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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1202270
審判番号 不服2007-10972  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-16 
確定日 2009-08-12 
事件の表示 特願2006-107586「製造業体の特殊機能を支援する記録及び/または再生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 9月14日出願公開、特開2006-244697〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本件審判の請求に係る特許出願(以下「本願」という。)は、平成11年6月22日(パリ条約による優先権主張、1998年6月22日、1998年7月29日、韓国)に出願した特願平11-176050号の一部を平成12年10月20日に特願2000-321767号として新たな特許出願とし、上記特願2000-321767号の一部を平成16年6月30日に特願2004-194916号として新たな特許出願とし、そして上記特願2004-194916号の一部を平成18年4月10日に新たな特許出願としたものであって、平成18年8月24日付けの拒絶理由の通知に応答して同年11月24日付けで手続補正がなされたが、平成19年1月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年4月16日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

そして、本願の請求項1ないし2に係る発明は、上記平成18年11月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項2に係る発明は次のとおりである。
「オーディオ、ビデオ及び/または情報データを具備する内容を再生する再生装置において、
内容と内容のための規格化された情報と製造業体に特有の特殊機能を支援する製造業体情報とを再生する再生制御器
を具備し、
製造業体情報は、
記録媒体の内容を記録及び/または編集した記録装置の製造業体の識別コード
を具備する
ことを特徴とする再生装置。」(以下「本願発明」という。)

2.刊行物

これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平9-45054号公報(以下「引用例」という。)には、情報再生装置に関して図面と共に次の事項が記載されている。(なお下線は当審で付与した。)
「【0012】制御回路20はユーザが入力キー21を用いて与えた記録・再生・早送り・早戻し等の指示に従ってATRAC エンコーダ3, CD-ROM エンコーダ4, CD-ROM デコーダ13, ATRAC デコーダ14及びモータ制御回路19を制御する。さらに入力キー21は本発明による最新トラック演奏機能の使用を指示するものでもある。MDにはディスク及びトラックの名前, 各トラックのスタート・エンドアドレス, トラックを記録した日時及び機種等の情報を記録するUTOC (User Table Of Contents) エリアが存在する。表1にMDのUTOCエリアのアドレスマップの一部分を示す。
【0013】
【表1】(省略)
【0014】MDは最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コードを表1に示したUTOCエリアのセクタ0のアドレス7に記録する様に規格書により規定されている。またMDは最大255 トラックまで記録でき、トラック毎にそのトラックを記録した日時並びにMDレコーダの製造者コード及び機種コードをセクタ2のアドレス78?587 に記録する規定になっている。
【0015】図2は前述のMDレコーダ/プレーヤが行う本発明に関連する部分の処理手順を示すフローチャートである。MDレコーダ/プレーヤはMDを挿入されたとき、本発明による最新トラック演奏機能を使用中でなければ(S31) 先頭のトラックから順番に再生する通常再生を行う(S40) 。最新トラック演奏機能を使用している場合は挿入されたMDにUTOCが存在するか否かを判別して(S32) 、UTOCが存在しない、つまり挿入されたMDが再生専用のMDである場合は通常再生を行う(S40) 。
【0016】MDにUTOCが存在する場合はセクタ0のアドレス7に記録してある最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コードを読み込んで(S33) 、これらのコードが制御回路20に記憶してある当該MDレコーダ/プレーヤ自身のコードと一致する場合(S34) 、最後に記録を行ったのは当該MDレコーダ/プレーヤ又はこの同機種であるので、セクタ2のアドレス78?587 に記録してあるトラック毎の記録日時を比較して最も新しく記録されたトラックを制御回路20に記憶する(S35)。そして記憶したトラックを再生する(S36) 。
【0017】一方、S34 においてMDから読み込んだコードが当該MDレコーダ/プレーヤ自身のコードと一致しなかった場合、セクタ2のアドレス78?587 に記録してあるトラックを記録したMDレコーダの製造者コード及び機種コードを読み込み、当該MDレコーダ/プレーヤ自身のコードと一致するか否か判定する(S38) 。一致するトラックが1つも存在しなかった場合は通常再生を行う(S40) 。一致するトラックが存在した場合はそのトラックの中で最も新しく記録されたトラックをセクタ2のアドレス78?587 の記録日時のデータから判定して制御回路20に記憶する(S39) 。そして記憶したトラックを再生する(S36) 。」

上記摘示事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用例には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コードをMDのUTOCエリアに記録する様に規格書により規定され、
MDに記録してある最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コードが、当該MDレコーダ/プレーヤ自身のコードと一致する場合、トラック毎の記録日時を比較して最も新しく記録されたトラックを再生する、
MDレコーダ/プレーヤ。」(以下「引用発明」という。)

3.対比

本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「MDレコーダ/プレーヤ」は、「再生装置」である点で本願発明と共通する。
そして、引用発明における「最後に記録を行ったMDレコーダ」及び「製造者コード」は、本願発明における「記録媒体の内容を記録及び/または編集した記録装置」及び「製造業体の識別コード」に各々相当する。
(2)引用発明は、MDの内容を再生するものであり、本願発明における「オーディオ、ビデオ及び/または情報データを具備する内容を再生する」に相当する構成を有することは、当業者にとって明らかである。
(3)引用発明は、MDのUTOCエリアの記録が「規格書により規定され」るものであって、「内容のための規格化された情報」を再生する点で本願発明と一致する。
(4)引用発明は、「最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コードをMDのUTOCエリアに記録する」のであるから、「記録媒体の内容を記録及び/または編集した記録装置の製造業体の識別コードを具備する」の点で本願発明における「製造業体情報」と共通する情報を実質的に有する。
(5)引用発明は、「最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コードが、当該MDレコーダ/プレーヤ自身のコードと一致する場合、トラック毎の記録日時を比較して最も新しく記録されたトラックを再生する」のであって、上記「一致する場合」かどうかの判別のため「最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コード」を再生することは明らかである。
本願発明における「製造業体情報」が、「記録媒体の内容を記録及び/または編集した記録装置の製造業体の識別コード」の点で、引用発明における上記「最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コード」と共通することは上述したとおりであり、よって引用発明は、本願発明における「製造業体情報」「を再生する」との構成を実質的に有する。
(6)引用発明は、上記(2)(3)及び(5)で述べたように「内容」「内容のための規格化された情報」及び「製造業体情報」を各々再生するのであるから、そのための再生制御器を実質的に具備するものであって、「内容と内容のための規格化された情報と」「製造業体情報とを再生する再生制御器を具備し、」の点で本願発明と共通する。

そうすると、本願発明と引用発明は次の点で一致する。
<一致点>
「オーディオ、ビデオ及び/または情報データを具備する内容を再生する再生装置において、
内容と内容のための規格化された情報と製造業体情報とを再生する再生制御器
を具備し、
製造業体情報は、
記録媒体の内容を記録及び/または編集した記録装置の製造業体の識別コード
を具備する
再生装置。」である点。

そして、次の点で相違する。
<相違点>
「製造業体情報」が、本願発明では「製造業体に特有の特殊機能を支援する」のに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。

4.判断

上記相違点について、
引用発明は、「最後に記録を行ったMDレコーダの製造者コード及び機種コードが、当該MDレコーダ/プレーヤ自身のコードと一致する場合、トラック毎の記録日時を比較して最も新しく記録されたトラックを再生する」との機能を有するものであるが、機種コードが一致する際は製造者コードも当然一致する。一方で、製造業体を同じくする再生装置の機能を共通化すると、製造者コードのみを識別することで、当該機能の支援(サポート)が可能となることは、例えば特開平9-298717号公報(【0025】他)、特開平8-63899号公報(【0011】他)、特開平4-168664号公報(8頁左上欄19行ないし右上欄12行、他)等にて周知であるから、引用発明においても、製造者コードの一致する再生装置で共通する機能をサポートすることにより、機種コードの判別を不要とすることは当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎず、その場合、上記製造者コードが「製造業体に特有の特殊機能を支援する製造業体情報」といえるものとなることは当然の結果にすぎない。

上記相違点の判断を勘案すると、本願発明の奏する効果は引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が十分予測可能なものであって格別なものとは言えず、本願発明は、引用例及び周知技術から当業者が容易に想到し得たものである。

5.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-03-12 
結審通知日 2009-03-17 
審決日 2009-03-30 
出願番号 特願2006-107586(P2006-107586)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田付 徳雄  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 小松 正
吉川 康男
発明の名称 製造業体の特殊機能を支援する記録及び/または再生装置  
代理人 実広 信哉  
代理人 志賀 正武  
代理人 村山 靖彦  
代理人 渡邊 隆  

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