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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1202957
審判番号 不服2007-8343  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-03-22 
確定日 2009-08-27 
事件の表示 特願2006- 64087「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月15日出願公開、特開2007- 37977〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯・本願発明の認定

本願は平成18年3月9日に出願された(平成17年6月30日出願の特願2005-190899号に基づく優先権主張がされている)ものであって、平成19年2月15日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として同年3月22日付けで本件審判請求がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、新たな拒絶の理由を通知したところ、請求人は平成21年6月4日付けで意見書及び手続補正書を提出した。


第2 当審の判断

1.本願発明の認定

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年6月4日付けで補正された特許請求の範囲の、【請求項1】に記載された事項によって特定されるべきものであり、その記載は次のとおりである。

「各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数の表示列と、前記複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける開始受付手段と、前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、前記複数の表示列ごとの可変表示の停止の指示を受け付ける複数の停止受付手段と、前記複数の表示列の可変表示が停止した状態における入賞ライン上の所定の表示位置の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞し、入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与し、前記賞には、付与される前記遊技価値として遊技媒体の払い出しを伴う小役賞と付与される前記遊技価値としてゲームの種類を所定のゲームに移行させる開始賞を含み、前記小役賞には入賞態様が特定小役であった場合に所定数の遊技媒体を払い戻す特定小役賞が含まれ、前記開始賞には入賞態様が第1特別役であった場合に次ゲームの1ゲームで終了する第1特別ゲームを開始する第1開始賞と、入賞態様が第2特別役であった場合に次ゲームから所定の条件を充足するまで実行する第2特別ゲームを開始する第2開始賞とが含まれ、通常ゲーム、前記第2開始賞に当選したゲームの次のゲームから入賞態様が前記第2特別役となるゲームまでの内部中ゲーム、前記第1特別ゲーム及び前記第2特別ゲームを含む複数の種類のゲームを実行可能であり、有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する遊技機であって、
一又は複数の賞若しくはハズレに対応する複数の区分の中から特定の区分を抽選により決定し、決定した前記特定の区分に対応した一又は複数の賞の当選結果を示す抽選情報を生成し、前記通常ゲームおよび前記内部中ゲームにおける抽選対象に前記第1開始賞と前記特定小役賞との両方の当選結果を示す抽選情報を生成する第1抽選区分を含ませて抽選を実行し、前記内部中ゲームにおいて前記第1抽選区分が抽選により決定した場合、前記特定小役賞のみの当選結果を示す抽選情報を生成し、前記内部中ゲームにおいて前記第2開始賞の当選結果を示す抽選情報を当該第2開始賞に入賞するまで保持し、保持した前記第2開始賞の当選結果を示す抽選情報と新たな抽選により生成された当選結果を示す抽選情報とを合わせた抽選情報とする抽選手段と、
前記複数の表示列に対応する前記停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミングで、当該表示列上の図柄位置を示す図柄情報を取得する図柄情報取得手段と、
前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記抽選情報に基づいて所定範囲内で移動させることで目的の図柄を前記所定の表示位置に停止させる停止制御手段と、
前記通常ゲームにおいて、入賞態様が前記第1特別役であった場合に、次ゲームのゲームの種類を前記第1特別ゲームとし、前記通常ゲーム又は前記内部中ゲームにおいて、前記抽選情報が前記第2開始賞の当選結果を示すゲームにおいて入賞態様が前記第2特別役を示さない場合に、次ゲームのゲームの種類を前記内部中ゲームとし、前記通常ゲーム又は前記内部中ゲームにおいて、入賞態様が第2特別役であった場合に、次ゲームのゲームの種類を前記第2特別ゲームとし、前記第2特別ゲームにおいて、前記所定の条件を充足すると、次ゲームのゲームの種類を通常ゲームとして管理するゲーム管理手段と、
前記通常ゲーム、前記第1特別ゲーム、前記内部中ゲーム及び前記第2特別ゲームの各々と対応付けられた複数の賞抽選テーブルであって、前記複数の区分のそれぞれの当選確率を定めた複数の賞抽選テーブルとを有し、
前記抽選手段は、該当する種類のゲームに対応付けられた賞抽選テーブルを前記複数の賞抽選テーブルの中から選択し、選択した賞抽選テーブルを参照し、前記当選確率に基づいて前記複数の区分の中から決定した前記特定の区分に対応した抽選情報を生成し、
前記複数の区分には、前記小役賞のみの当選結果を示す抽選情報を生成する小役賞の区分が含まれ、
前記第1特別ゲームに対応付けられた賞抽選テーブルにおける前記小役賞の区分の当選確率は、前記通常ゲームに対応付けられた賞抽選テーブルにおける前記小役賞の区分の当選確率よりも高く定められており、
前記第1特別役を構成する図柄は、前記複数の表示列のそれぞれにおいて複数有し、且つ複数の当該図柄どうしの間隔は前記所定範囲内に配置され、
前記停止制御手段は、
前記抽選情報が前記第1開始賞と前記特定小役賞との両方の当選結果を示す前記通常ゲームでは、前記複数の表示列において、取得した前記図柄情報が示す前記図柄位置から前記所定範囲内で移動させることで前記第1特別役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示し、前記抽選情報が前記第2開始賞と前記特定小役賞との両方の当選結果を示す前記内部中ゲームでは、前記複数の表示列において、取得した前記図柄情報が示す前記図柄位置から前記所定範囲内で移動させることで前記第2特別役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示できる場合、当該第2特別役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示させ、取得した前記図柄情報が示す前記図柄位置から前記所定範囲内で移動させることで前記第2特別役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示できない場合であって前記特定小役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示できる場合、当該特定小役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示させ、
前記抽選情報が前記特定小役賞を含む小役賞のみの当選結果を示す前記各ゲームでは、前記複数の表示列において、取得した前記図柄情報が示す前記図柄位置から前記所定範囲内で移動させることで小役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示させることを特徴とする遊技機。」


2.引用刊行物の記載事項

当審の拒絶理由に引用した特許第3535078号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の記載が図示とともにある。

「【0004】図4は、後述の発明の実施の形態で詳述する、回胴式遊技機の正面概観の1例である。図4において、遊技者がメダル投入口404に所定の枚数のメダルを投入すると、投入枚数に応じて入賞ライン405?409の内の1本から最大5本までが有効化された有効ラインとなる。
【0005】その後、遊技者がスタートレバー419を操作(スタートレバーON)すると、左から順に横3列に並んだ表示窓401?403内のリール102?104が上から下向きへ回転を始める。リールの回転と同時に内部的なプログラムの抽選によって、入賞(いわゆる”役”の成立)またはハズレ(役の不成立)が決定される。
【0006】リールは表面に複数の図柄が描かれており、各役は有効ライン上に揃うことが可能な3列の図柄の組合せである。役の種類には、例えば7が有効ライン上に揃うことで遊技者が多量のメダルを獲得できる特別入賞(以下、ボーナスと呼ぶ)、およびベルの有効ライン上の並びのような少量のメダルを払い出すその他の入賞(以下、小役と呼ぶ)がある。
【0007】回胴式遊技機のプログラムは、通常、小役はボーナスより高確率に設定されている。また、上記各役に対応するフラグ(デフォルトはOFF)を制御しており、役の成立時にはその役のフラグをONする(フラグの成立)。特に、ボーナスフラグON時には、通常、遊技者に対してボーナスフラグの成立を報知する。その報知としては、リーチ目(特定の図柄の組合せが表示窓内の特定の位置に停止する)、表示窓のフラッシュ、音、および告知ランプの点灯等がある。
【0008】ある役のフラグがONの状態で、遊技者が停止ボタン420?422を押してリールの回転を止める場合、リールの引込み制御が働く範囲でフラグONの役の図柄が有効ライン上に揃えられる。有効ライン上に揃った役に対応した枚数のメダルの払い出しが遊技者に対して行われ、1ゲーム終了となる。
【0009】ここで、リールの引込み制御は、停止ボタンが押されたタイミングから所定のコマ数以内だけ、役の図柄を有効ライン上へ引込むようにリールの停止を制御する(後述)。
【0010】逆に役の不成立時は全ての役のフラグがOFFなので、遊技者が停止ボタン420?422を押して特定の役の図柄を狙ってリールの回転を止めたとしても、ハズレ時のリール制御が働くためにどのような役の図柄も有効ライン上に揃わずに、1ゲーム終了となる。
・・・・・・
【0012】各リールには図柄7、c、b、s、r、zがリールの外周の21個のポイントに配置されている。101は21個の配置ポイントに対応する図柄番号である。各リールは回転の向き105の示すように、図柄番号1,2,3…20,21,1,2…の順に上から下向きに表示窓401?403内で回転する。
【0013】現在の回胴式遊技機の法規則である、リール回転の定常速度が80rpm以下かつ停止ボタン操作後190ms以内のリールの引込み、に則ると、図1のリールを78rpmで回転させた場合、4コマ以内のリールの引込みが許される。以下、図1のリールで、リールの引込み制御が働く範囲を4コマ以内とした場合を想定して説明する。
【0014】図2は、上述した図1のリールを有する回胴式遊技機で遊技をした場合の、役の成立とリールの引込み制御を示す。
【0015】図2(a)のタイミングチャートは、スタートレバーON時の小役cフラグとボーナスフラグの状態を示す。図2(a)において、通常、小役c等の小役フラグONは1回のスタートレバーONに対応した1ゲームでリセットされOFFになるが、ボーナスフラグONはボーナス図柄が有効ライン上に揃うまで保持される。
【0016】図2(a)中の201は、小役cフラグON時にリールの引込み制御が働いて小役cが有効ライン上に揃った時を示し、その時のリールの引込みの様子を図2(b)に示す。
【0017】図2(b)において、表示窓401、402内では有効ライン上に小役cの図柄が停止しており、リール104が表示窓403内で回転の向き105の向きに回転中に、図1のリール104の図柄番号4の図柄sが有効ライン上に差し掛かった場合を示す。
【0018】この時に停止ボタン422が押されると、この後有効ラインに向かって回転してくる4コマ以内の図柄がチェックされ、小役cの図柄の有無が調べられる。この場合、リールの引込み制御が働く範囲内に図柄番号8の図柄cがあるため、リールの引込み制御が働いて図柄番号8の図柄cが有効ライン上まで引込まれて停止し、小役cが有効ライン上に揃う。
・・・・・・
【0022】上記の目押しの有用性と役の取りこぼしの発生は、ボーナスフラグON時にも同様に当てはまる。上記図1に例示されるように、7のようなボーナス図柄は小役図柄より一般にリール中の配置が少ないため、ボーナス図柄のリールの引込み制御が働く範囲も自ずと少ない。
【0023】そのためボーナスフラグONを報知された後、目押しが得意な熟練した遊技者は少ないゲーム数で早くボーナス図柄を有効ライン上に揃えられるが、そうでない遊技者はボーナス図柄を有効ライン上になかなか揃えられず、ボーナスゲーム開始までに多くのゲーム数を消化することになる。
【0024】ボーナスフラグONからボーナス図柄が有効ライン上に揃ってボーナスゲーム開始となるまでの間も、上記抽選による小役の成立とハズレの決定、および成立した小役のリール制御と払い出しまたはその取りこぼし、またはハズレ時のリール制御が通常通り行われる。
【0025】ボーナスゲームによる多量のメダルの払い出しが無い小役のみの払い出しでは、遊技者へのメダルの払出率である「払出枚数(OUT枚数)/投入枚数(IN枚数)」という比、いわゆる回胴式遊技機の”機械割”は常に、100%未満で、遊技者の手持ちのメダルは漸減していく。
・・・・・
【0046】有効ラインLED410は、メダル投入口404にメダルの1枚目を投入、またはベットボタン416の操作でクレジット中のメダルから1枚目を投入することにより、点灯し、入賞ライン表示405を有効ラインとする。
・・・・・
【0077】(動作説明)以上述べたシステム構成で本実施形態の小役制御方法の処理を以下、説明する。本実施形態では、前述の従来の技術に記載した制御に加えて、ある”特定小役”に対して、内部的な抽選確率は常に一定であるが、ボーナスフラグ不成立の状態においてはその小役のフラグが成立してもハズレ時のリール制御を行い、ボーナスフラグ成立の状態においてその小役のフラグ成立に対するリールの引込み制御を行うものとする。
・・・・・・
【0089】その後、遊技者がスタートレバー419を操作するとリール始動スイッチ501のトリガ発生により、主制御部508はリール制御装置512へリールの回転の指示を出すと共に、RAM510内の役の乱数カウンタから乱数値を抽出する。主制御部508は取得した乱数値に基づいて役の入賞/ハズレを決定し、入賞の場合は入賞した役のRAM510内のフラグをONにする(ステップS700)。
・・・・・・
【0115】(他の実施形態)以上述べた実施形態の他に次の形態を実施できる。
1)上述の実施形態では、図1に示すリール中の小役zは、どの図柄番号が有効ライン上に差し掛かった時に停止ボタン420?422が押されても、必ずリールの引込み制御が働くように配置されている。しかし、リールの引込み制御が働かずに小役zが取りこぼされる図柄配置にしても良く、この場合、目押しが不得手な遊技者の取りこぼしを考慮した小役zの抽選確率またはその払出枚数の少なくとも一方の調整をすることで、ボーナスフラグ成立からボーナスゲーム開始となるまでの間の機械割を常に100%とすればよい。」

また、引用例1の【図3】及び【図8】には、「ボーナス揃う」の後の複数の「ゲーム数(回)」とともに、メダルの「純増(枚)」が大幅に増えていく様子が図示されている。
さらに、引用例1の【図2】、【図6】及び【図7】には、「ボーナスフラグON」の間に、抽選で得た小役のフラグとボーナスフラグの両フラグが立てられる様子が、図示されている。


3.引用例1記載の発明の認定

段落【0004】の記載から、引用例1は「メダル」の投入で「入賞ライン」が「有効化された有効ライン」となる「回胴式遊技機」に関する。段落【0046】の記載も参酌すれば、「メダル」は「クレジット中のメダル」から投入することもできる。
段落【0005】-【0006】の記載から、「回胴式遊技機」は「表面に複数の図柄」が描かれた「リール102?104」を有しており、「スタートレバー419」の操作で「リール102?104」が回転を始める。段落【0008】-【0009】の記載から、「停止ボタン420?422」が押されると「リール102?104」が停止制御される。
段落【0006】の記載に戻ると、有効ライン上の3列の図柄組み合わせから「役」が構成されており、「7」が揃う「特別入賞」たる「ボーナス」、その他の入賞として、少量のメダルを払い出す「小役」が存在している。段落【0005】及び段落【0007】の記載によると、内部的な抽選によって役の成立または不成立が決定され、各役に対応するフラグが制御される。 段落【0089】の記載によれば、内部的な抽選は乱数値に基づくものである。
リールの停止制御についてみれば、段落【0013】の記載から、「リールの引込み制御が働く範囲」は「4コマ以内」である。また、段落【0018】の記載によると、「停止ボタン」が押されたときに、「その後有効ラインに向かって回転してくる4コマ以内の図柄がチェック」されており、フラグONの役に対応する図柄の有無が調べられている。
段落【0015】の記載から、「ボーナスフラグON」は「ボーナス図柄が有効ライン上に揃うまで保持」される。また、段落【0023】に「ボーナスゲーム開始」と記載があり、「ボーナス」は入賞すれば「ボーナスゲーム」を開始するものである。【図3】及び【図8】の図示から、ここにいう「ボーナスゲーム」は、複数回継続することが明らかである。
段落【0024】の記載によれば、「ボーナスフラグONからボーナス図柄が有効ライン上に揃ってボーナスゲーム開始となるまでの間」のゲームでは、「抽選による小役の成立とハズレの決定」を行っており、【図2】、【図6】及び【図7】の図示から、ボーナスフラグONの間は、抽選で得た小役のフラグとボーナスフラグの両フラグが立てられている。
段落【0023】-【0025】の記載では、当該「ボーナスフラグONからボーナス図柄が有効ライン上に揃ってボーナスゲーム開始となるまでの間」が、目押しが得意でない遊技者は長くなること、及び、当該期間中は「ボーナスゲームによる多量のメダル払い出しが無い」ため、「払出率」が低いことが指摘されている。
そして、ボーナス図柄を狙って揃えることが不得手な遊技者への配慮として、段落【0077】の記載には、従来技術の制御に加えて、ある「特定小役」を設け、内部的な抽選確率は一定としつつ、当該特定小役のフラグ成立に対して、ボーナスフラグ不成立の状態ではハズレ時のリール制御を行い、ボーナスフラグ成立の状態では当該特定小役の図柄に対するリールの引込み制御を行うことが示されている。また、段落【0115】の記載によれば、「特定小役」たる「小役z」については、「どの図柄番号が有効ライン上に差し掛かった時に停止ボタン420?422が押されても、必ずリールの引込み制御が働くように配置されている。」とのことである。

以上を整理すると、引用例1には次のような発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認めることができる。

「表面に複数の図柄が描かれたリール102?104と、
リール102?104の回転を開始させるスタートレバー419と、
リール102?104の停止制御を開始させる停止ボタン420?422とを有し、
メダルの投入またはクレジット中のメダルの投入で入賞ラインが有効化された有効ラインとなる回胴式遊技機であって、
有効ライン上の図柄組み合わせから役が構成されており、乱数値に基づく内部的な抽選により役の成立または不成立が決定され、各役に対するフラグがセットされ、
リールの引込み制御が働く範囲は4コマ以内であり、停止ボタンが押されたときに、その後有効ラインに向かって回転してくる4コマ以内の図柄をチェックして、フラグONの役に対応する図柄の有無を調べて停止制御を行い、
役には、7が揃う特別入賞たるボーナスと、少量のメダルを払い出す小役とが含まれ、ボーナスフラグONはボーナス図柄が有効ライン上に揃うまで保持され、ボーナスに入賞すれば複数回継続するボーナスゲームが開始され、
ボーナスフラグONからボーナス図柄が有効ライン上に揃ってボーナスゲーム開始となるまでの間のゲームでは、抽選による小役の成立とハズレの決定を行い、抽選で得た小役のフラグとボーナスフラグの両フラグを立て、
小役には、内部的な抽選確率は一定の特定小役zを含み、特定小役zのフラグ成立に対して、ボーナスフラグ成立の状態では特定小役zの図柄に対するリールの引込み制御を行う一方、ボーナスフラグ不成立の状態ではハズレ時のリール制御を行うとともに、
特定小役zの図柄は、どの図柄番号が有効ライン上に差し掛かった時に停止ボタン420?422が押されても、必ずリールの引込み制御が働くように配置されている、
回胴式遊技機。」


4.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定

引用発明1における「回胴式遊技機」は、本願発明における「遊技機」に相当する。
引用発明1における「リール102?104」は、本願発明における「複数の表示列」に相当し、引用発明1における「複数の図柄」は複数種類あることが明らかであるとともに、「リール」が回転すれば「図柄」の可変表示が行われることは明らかである。そのため、本願発明に「各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数の表示列」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において、「リール102?104の回転を開始させるスタートレバー419」が、リールによる可変表示の開始の指示を遊技者から受け付けることは明らかである。また、「リール102?104の停止制御を開始させる停止ボタン420?422」が、各リールに対応して、可変表示の停止の指示を受け付けていることも明らかである。そのため、本願発明に「前記複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける開始受付手段」及び「前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、前記複数の表示列ごとの可変表示の停止の指示を受け付ける複数の停止受付手段」とある点も、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において、「有効化された有効ライン」は、本願発明における「入賞ライン」に相当する。引用発明1においては、「有効ライン上の図柄組み合わせから役が構成されて」いるとともに、停止制御されたリールの図柄が「7」か「特定小役zの図柄」か等によって入賞が決まっているからには、本願発明に「前記複数の表示列の可変表示が停止した状態における入賞ライン上の所定の表示位置の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞し」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。また、引用発明1において、小役の入賞における「少量のメダルを払い出す」及び「ボーナスに入賞」における「複数回継続するボーナスゲームが開始」は、いずれも遊技者に付与される遊技価値であるから、本願発明に「入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与し」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。さらに、引用発明1における「少量のメダルを払い出す小役」は、本願発明における「付与される前記遊技価値として遊技媒体の払い出しを伴う小役賞」に相当し、引用発明1における「複数回継続するボーナスゲーム」を開始させる「ボーナス」は、本願発明における「付与される前記遊技価値としてゲームの種類を所定のゲームに移行させる開始賞」に該当するから、本願発明に「前記賞には、付与される前記遊技価値として遊技媒体の払い出しを伴う小役賞と付与される前記遊技価値としてゲームの種類を所定のゲームに移行させる開始賞を含み、」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において、「特定小役z」は、「小役」の一つであるとともに、本願発明における「特定小役」に相当する。そのため、本願発明に「前記小役賞には入賞態様が特定小役であった場合に所定数の遊技媒体を払い戻す特定小役賞が含まれ、」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1における「複数回継続するボーナスゲーム」は、無限に続くものでなく何らかの所定の条件が充足されると終了することは明らかであるから、本願発明における「所定の条件を充足するまで実行する第2特別ゲーム」に相当する。また、引用発明1において「7が揃う特別入賞たるボーナス」に「入賞」することは、本願発明における「入賞態様が第2特別役であった場合」に相当する。引用発明1における「ボーナスゲーム」がボーナス入賞の「次ゲームから」実行されることも明らかであるから、引用発明1における「ボーナスゲーム」及び「ボーナス」は本願発明における「第2特別ゲーム」及び「第2開始賞」に相当する。すなわち、本願発明が、「開始賞」に「入賞態様が第2特別役であった場合に次ゲームから所定の条件を充足するまで実行する第2特別ゲームを開始する第2開始賞」を含むとする点は、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において、「ボーナスフラグONからボーナス図柄が有効ライン上に揃ってボーナスゲーム開始となるまでの間のゲーム」は、本願発明における「前記第2開始賞に当選したゲームの次のゲームから入賞態様が前記第2特別役となるゲームまでの内部中ゲーム」に相当し、引用発明1において「ボーナスゲーム」でなく、前述の「ボーナスフラグONから・・・ボーナスゲーム開始となるまでの間のゲーム」でもないゲームの期間は、本願発明における「通常ゲーム」に相当する。そのため、引用発明1も複数の種類のゲームを実行可能であり、本願発明に「通常ゲーム、前記第2開始賞に当選したゲームの次のゲームから入賞態様が前記第2特別役となるゲームまでの内部中ゲーム」及び「前記第2特別ゲームを含む複数の種類のゲームを実行可能であり、」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1においては、「メダルの投入」または「クレジット中のメダルの投入」で「入賞ラインが有効化」されるところ、「メダル」は有体の「遊技媒体」に該当するとともに、クレジット中のメダルは機械内部でその数が電気的もしくは磁気的に把握されていると言い得る。また、入賞ラインが有効化されないとゲームは始まらないから、本願発明に「有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において、「内部的な抽選により役の成立または不成立が決定され、各役に対するフラグがセット」されている以上、当該「内部的な抽選」を実行して「フラグ」をセットする手段を、引用発明1は当然に有しており、該手段は本願発明における「抽選手段」に相当する。また、引用発明1における「内部的な抽選」は「乱数値」を用いるものであり、いずれの役も内部的に不成立という抽選結果もあるから、抽出した乱数値を少なくとも一の賞もしくはハズレに対応する複数の区分と対応させ、乱数値に対応した特定の区分を決定して、当該決定した区分に対応するフラグをセットしていることは明らかである。そして、引用発明1における「フラグ」の状態は、本願発明における「賞の当選結果を示す抽選情報」に相当する。すなわち、引用発明1と本願発明とは、「複数の賞」に対応する抽選区分を有するか否かはひとまず措くとして、「一の賞若しくはハズレに対応する複数の区分の中から特定の区分を抽選により決定し、決定した前記特定の区分に対応した賞の当選結果を示す抽選情報を生成」する「抽選手段」を有する点で、一致する。
引用発明1における「ボーナス」及び「ボーナスフラグON」は、それぞれ本願発明における「第2開始賞」及び「第2開始賞の当選結果を示す抽選情報」に相当し、引用発明1において「ボーナス図柄が有効ライン上に揃」うことは、本願発明における「第2開始賞に入賞」に相当する。引用発明1の「ボーナスフラグONからボーナス図柄が有効ライン上に揃ってボーナスゲーム開始となるまでの間のゲーム」は、本願発明における「内部中ゲーム」に相当するところ、引用発明1ではこの期間中において、「ボーナスフラグON」を「保持」するとともに、抽選で得た小役のフラグとボーナスフラグの「両フラグ」を立てているから、本願発明に「前記内部中ゲームにおいて前記第2開始賞の当選結果を示す抽選情報を当該第2開始賞に入賞するまで保持し、保持した前記第2開始賞の当選結果を示す抽選情報と新たな抽選により生成された当選結果を示す抽選情報とを合わせた抽選情報とする」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。
また、上述した引用発明1における「ボーナスフラグON」の状態のゲームの継続態様、及びその前後のゲーム状態の変遷からして、ボーナスフラグがONとなったそのゲームまたはボーナスフラグONの状態を継続中のゲームにおいて、ボーナス入賞しない場合には次のゲームをボーナスフラグONとし、ボーナス入賞すれば次のゲームをボーナスゲームとするとともに、ボーナスゲーム中に終了条件を満たすと次のゲームから通常のゲームに戻っていることは明らかである。そのため、本願発明に「前記通常ゲーム又は前記内部中ゲームにおいて、前記抽選情報が前記第2開始賞の当選結果を示すゲームにおいて入賞態様が前記第2特別役を示さない場合に、次ゲームのゲームの種類を前記内部中ゲームとし、前記通常ゲーム又は前記内部中ゲームにおいて、入賞態様が第2特別役であった場合に、次ゲームのゲームの種類を前記第2特別ゲームとし、前記第2特別ゲームにおいて、前記所定の条件を充足すると、次ゲームのゲームの種類を通常ゲームとして管理する」とある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。引用発明1が、そのような管理のための「ゲーム管理手段」を備えることは明らかであり、「ゲーム管理手段」を有する点も、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1では、「停止ボタンが押されたときに、その後有効ラインに向かって回転してくる4コマ以内の図柄をチェックして」いるから、停止ボタンが押されたタイミングの有効ライン上の図柄位置を示す情報は当然に取得しており、そのための図柄情報取得手段も当然に備えている。またそのうえで、引用発明1では、4コマ以内の引込み制御範囲でフラグONの役に対応する図柄の有無を調べて、引込み停止制御を行っているから、本願発明に「前記複数の表示列に対応する前記停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミングで、当該表示列上の図柄位置を示す図柄情報を取得する図柄情報取得手段と、前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記抽選情報に基づいて所定範囲内で移動させることで目的の図柄を前記所定の表示位置に停止させる停止制御手段と」を有するとある点は、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1においても、「乱数値」による「内部的な抽選」について、乱数値と対比すべき複数の区分を有する抽選テーブルを使用していることは当然であり、当該複数の区分にそれぞれの当選確率が割り当てられていることは当然である。また、小役賞のみのフラグを立てる区分も当然に備わっている。そのため、ゲームの種類毎に賞抽選テーブルを有するかはひとまず措くとして、内部的な抽選に関して、「前記複数の区分のそれぞれの当選確率を定めた賞抽選テーブルとを有し、前記抽選手段は、賞抽選テーブルを参照し、前記当選確率に基づいて前記複数の区分の中から決定した前記特定の区分に対応した抽選情報を生成」すること、及び、「前記複数の区分には、前記小役賞のみの当選結果を示す抽選情報を生成する小役賞の区分が含まれ」ることは、引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1では、「ボーナスフラグ成立の状態」で「特定小役zのフラグ」も成立する場合があり、そのようなゲーム状態は「ボーナスフラグONからボーナス図柄が有効ライン上に揃ってボーナスゲーム開始となるまでの間のゲーム」で生じ得るから、「前記抽選情報が前記第2開始賞と前記特定小役賞との両方の当選結果を示す前記内部中ゲーム」が存在することは、引用発明1と本願発明との一致点である。また、引用発明1では、「ボーナスフラグ」と「特定小役zのフラグ」の両者が成立している場合に、「特定小役zの図柄」が引込み制御される場合が存在するから、いずれの当選図柄を優先するかはひとまず措くとして、「当該特定小役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示させ」る場合があることは、引用発明1と本願発明との一致点である。

以上を整理すると、本願発明と引用発明1の一致点及び相違点は次のとおりである。

<一致点>
「各々に複数種類の図柄を有し、当該複数種類の図柄を可変表示可能な複数の表示列と、
前記複数の表示列の可変表示の開始の指示を受け付ける開始受付手段と、
前記複数の表示列の各々に対応して設けられ、前記複数の表示列ごとの可変表示の停止の指示を受け付ける複数の停止受付手段と、
前記複数の表示列の可変表示が停止した状態における入賞ライン上の所定の表示位置の図柄の組合せが、所定の入賞態様となる役を示す場合に賞に入賞し、入賞した賞に応じて予め定められた遊技価値を付与し、
前記賞には、付与される前記遊技価値として遊技媒体の払い出しを伴う小役賞と付与される前記遊技価値としてゲームの種類を所定のゲームに移行させる開始賞を含み、
前記小役賞には入賞態様が特定小役であった場合に所定数の遊技媒体を払い戻す特定小役賞が含まれ、
前記開始賞には、入賞態様が第2特別役であった場合に次ゲームから所定の条件を充足するまで実行する第2特別ゲームを開始する第2開始賞が含まれ、
通常ゲーム、前記第2開始賞に当選したゲームの次のゲームから入賞態様が前記第2特別役となるゲームまでの内部中ゲーム、及び前記第2特別ゲームを含む複数の種類のゲームを実行可能であり、
有体又は電気的若しくは磁気的に記憶した無体の遊技媒体の受け付けでゲームを開始する遊技機であって、
一の賞若しくはハズレに対応する複数の区分の中から特定の区分を抽選により決定し、決定した前記特定の区分に対応した賞の当選結果を示す抽選情報を生成し、
前記内部中ゲームにおいて前記第2開始賞の当選結果を示す抽選情報を当該第2開始賞に入賞するまで保持し、
保持した前記第2開始賞の当選結果を示す抽選情報と新たな抽選により生成された当選結果を示す抽選情報とを合わせた抽選情報とする抽選手段と、
前記複数の表示列に対応する前記停止受付手段が停止の指示を受け付けたタイミングで、当該表示列上の図柄位置を示す図柄情報を取得する図柄情報取得手段と、
前記取得した図柄情報が示す図柄位置から前記抽選情報に基づいて所定範囲内で移動させることで目的の図柄を前記所定の表示位置に停止させる停止制御手段と、
前記通常ゲーム又は前記内部中ゲームにおいて、前記抽選情報が前記第2開始賞の当選結果を示すゲームにおいて入賞態様が前記第2特別役を示さない場合に、次ゲームのゲームの種類を前記内部中ゲームとし、
前記通常ゲーム又は前記内部中ゲームにおいて、入賞態様が第2特別役であった場合に、次ゲームのゲームの種類を前記第2特別ゲームとし、前記第2特別ゲームにおいて、前記所定の条件を充足すると、次ゲームのゲームの種類を通常ゲームとして管理するゲーム管理手段と、
前記複数の区分のそれぞれの当選確率を定めた賞抽選テーブルとを有し、前記抽選手段は、賞抽選テーブルを参照し、前記当選確率に基づいて前記複数の区分の中から決定した前記特定の区分に対応した抽選情報を生成し、
前記複数の区分には、前記小役賞のみの当選結果を示す抽選情報を生成する小役賞の区分が含まれ、
前記抽選情報が前記第2開始賞と前記特定小役賞との両方の当選結果を示す前記内部中ゲームでは、当該特定小役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示させる場合がある、
遊技機。」

<相違点1>
本願発明では、「入賞態様が第1特別役であった場合に次ゲームの1ゲームで終了する第1特別ゲームを開始する第1開始賞」を有し、ゲームの種類として「第1特別ゲーム」が存在するとともに、ゲーム管理手段が「前記通常ゲームにおいて、入賞態様が前記第1特別役であった場合に、次ゲームのゲームの種類を前記第1特別ゲームと」するのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点2>
本願発明では、「前記通常ゲーム、前記第1特別ゲーム、前記内部中ゲーム及び前記第2特別ゲームの各々と対応付けられた複数の賞抽選テーブル」を有し、「該当する種類のゲームに対応付けられた賞抽選テーブルを前記複数の賞抽選テーブルの中から選択し」て抽選が行われるとともに、「前記第1特別ゲームに対応付けられた賞抽選テーブルにおける前記小役賞の区分の当選確率は、前記通常ゲームに対応付けられた賞抽選テーブルにおける前記小役賞の区分の当選確率よりも高く定められて」いるのに対し、引用発明1ではゲーム種類毎の複数の賞抽選テーブルを有するか不明であるとともに、「第1特別ゲーム」が存在せず、「第1特別ゲーム」用の賞抽選テーブルは有さない点。

<相違点3>
本願発明には、「複数の賞」の当選結果を示す抽選情報を生成する抽選区分が存在するとともに、「前記通常ゲームおよび前記内部中ゲームにおける抽選対象に前記第1開始賞と前記特定小役賞との両方の当選結果を示す抽選情報を生成する第1抽選区分を含ませて抽選を実行し、前記内部中ゲームにおいて前記第1抽選区分が抽選により決定した場合、前記特定小役賞のみの当選結果を示す抽選情報を生成」するのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。
なお、本願発明において、前述「前記通常ゲームおよび前記内部中ゲームにおける抽選対象に前記第1開始賞と前記特定小役賞との両方の当選結果を示す抽選情報を生成する第1抽選区分を含ませて抽選を実行し」とある点は、字義通り解すれば「第1抽選区分」が「内部中ゲーム」においても「前記第1開始賞と前記特定小役賞の両方の当選結果を示す抽選情報を生成する」ものとなり、その後に続く「内部中ゲームにおいて・・・・特定小役賞のみの当選結果を示す抽選情報を生成」という記載と矛盾を生じるから、ここでは「前記通常ゲームおよび前記内部中ゲーム」の記載における「および前記内部中ゲーム」の部分は誤記であり、全体として(1)「通常ゲーム」と「内部中ゲーム」の両方に「第1抽選区分」が含まれること、(2)「通常ゲーム」では「第1抽選区分」で「第1開始賞」と「特定小役賞」との「両方の当選結果を示す抽選情報を生成」すること、(3)「内部中ゲーム」では「第1抽選区分」で「特定小役賞のみの当選結果を示す抽選情報を生成」すること、の3点(以下、「特定事項3-1」乃至「特定事項3-3」という。)を特定する趣旨であると解する。当該「および内部中ゲーム」の記載は、平成21年6月4日付けの補正によって追加されたものであり、請求人は当該補正の根拠を【図10a】であると主張しているが、【図10a】においても「抽選区分1」は「内部中ゲーム」において「小役C賞」のみのフラグを立てているから、「内部中ゲーム」でも両方の当選結果を示す抽選情報を生成する区分と解した場合、【図10a】とも整合しない。また、先に述べた特定事項3-1乃至3-3の内容を特定する趣旨と解する以外、特許請求の範囲の記載に対する合理的な解釈ができない。

<相違点4>
本願発明では、「前記第1特別役を構成する図柄は、前記複数の表示列のそれぞれにおいて複数有し、且つ複数の当該図柄どうしの間隔は前記所定範囲内に配置され」ているのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点5>
本願発明では、「前記停止制御手段は、前記抽選情報が前記第1開始賞と前記特定小役賞との両方の当選結果を示す前記通常ゲームでは、前記複数の表示列において、取得した前記図柄情報が示す前記図柄位置から前記所定範囲内で移動させることで前記第1特別役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示」するのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点6>
本願発明では、「第2開始賞」と「特定小役賞」の両方に当選している場合、「前記複数の表示列において、取得した前記図柄情報が示す前記図柄位置から前記所定範囲内で移動させることで前記第2特別役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示できる場合、当該第2特別役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示させ、取得した前記図柄情報が示す前記図柄位置から前記所定範囲内で移動させることで前記第2特別役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示できない場合であって前記特定小役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示できる場合、当該特定小役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示させ」るとして、「第2特別役を構成する図柄」を優先的に停止制御するのに対して、引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点7>
本願発明では、「前記抽選情報が前記特定小役賞を含む小役賞のみの当選結果を示す前記各ゲームでは、前記複数の表示列において、取得した前記図柄情報が示す前記図柄位置から前記所定範囲内で移動させることで小役を構成する図柄を前記入賞ライン上に表示させる」のに対して、引用発明1ではそうなっていない点。
なお、本願発明における上記の記載は、「前記特定小役賞を含む小役賞」について、「特定小役賞」を含む一部の小役賞であれば足りる趣旨とも、「特定小役賞」を含む全ての小役賞を指す趣旨とも解することができ、また、「前記所定範囲内で移動させることで・・・入賞ライン上に表示させる」について、所定範囲内の移動で可能な場合にのみ、入賞ライン上に表示させれば足りる趣旨とも、所定範囲内の移動で必ず入賞ライン上に表示させる意味であり、そのために該当する図柄が所定範囲内の間隔で配置されていることを示す趣旨とも、解することができる。
すなわち、上記の記載は、次の4つの趣旨のうちいずれとも解することができる。
1)少なくとも特定小役賞を含む一部の小役について、当該小役のみの当選結果が示されているゲームでは、所定範囲内での移動で入賞させることが可能であれば、入賞させるという趣旨(以下、「解釈7-1」という。)
2)少なくとも特定小役賞を含む一部の小役について、当該小役のみの当選結果が示されているゲームでは、所定範囲内での移動で必ず入賞させるという趣旨(以下、「解釈7-2」という。)
3)特定小役賞を含む全ての小役について、当該小役のみの当選結果が示されているゲームでは、所定範囲内での移動で入賞させることが可能であれば、入賞させるという趣旨(以下、「解釈7-3」という。)
4)特定小役賞を含む全ての小役について、当該小役のみの当選結果が示されているゲームでは、所定範囲内での移動で必ず入賞させるという趣旨(以下、「解釈7-4」という。)
上記解釈7-1?7-4のうち、いずれの解釈が妥当かについては、相違点7の容易想到性の判断に必要な限度で、相違点の判断において、検討することとする。


4.相違点の判断及び本願発明の進歩性の判断

(1)相違点1について
たとえば、当審が拒絶の理由に引用した特開2005-124848号公報(以下、「引用例2」という。)には、「ここで、実施例の役には、・・・・、シングルボーナス(以下「SB」と略記する)、・・・・が設けられている。」(段落【0024】)、「実施例の遊技状態には、基本的に、一般遊技状態、・・・・、及びシングルボーナス遊技状態(以下「SB遊技状態」と略記する)がある。」(段落【0027】)、「SB遊技状態の発生条件は、後述のSBの入賞である。所定回数(例えば、1回)のゲームが終了することにより移行条件が成立し、遊技状態が一般遊技状態へ移行する。」(段落【0045】)、及び「ただし、BB持越状態中においてSB、SCT、CT及びRBが入賞する場合はない。・・・・また、RB持越状態中においてSB、SCT、BB及びCTが入賞する場合はない。」(段落【0063】)との記載がある。また、たとえば特開2004-222873号公報(以下、「引用例3」という。)にも、「なお、他の特別役として、SB(シングルボーナス)が挙げられるが、本実施形態では、BB及びRBのみが設けられており、SBは設けていない。」(段落【0036】)と記載がされているように、シングルボーナス役は本願出願前には周知であったとともに、シングルボーナス役を採用するか否かは、回胴式遊技機を設計する者が適宜に決めればよい事項であったものである。
そうであれば、引用発明1においても、役の種類の豊富化という一般的な観点から、周知のシングルボーナス役を設けるとともに、当該シングルボーナス役については引用例2に記載されている如く、他のボーナス内部当たり中には入賞しないが、通常ゲームにおいてシングルボーナス役に入賞すれば次のゲームを1回だけシングルボーナスゲームとするものとして、相違点1に係る本願発明の構成を得ることは、遊技機の分野において通常程度の知識を有する者であれば、容易に想到できた事項である。
なお、以下では「シングルボーナス」を「SB」と表記し、SB以外のボーナス及び引用発明1にもともと存在したボーナスを、単に「ボーナス」と表記する。

(2)相違点2について
ゲーム状態ごとに賞抽選テーブルを持たせて、ゲーム状態に応じた賞抽選テーブルを選択して使用させるようにすることは、たとえば前述引用例2の【図6】-【図8】にも示されるように、周知技術に過ぎない。そのため引用発明1において、相違点1で検討した如くSB役及びSBゲームを導入する場合、SBゲームを含めて生じる複数のゲーム種類毎に、それぞれ賞抽選テーブルを持たせることは、設計事項程度と言わざるを得ない。またその際、1回だけ有利なゲームとするSBゲーム用の賞抽選テーブルについて、小役賞の区分の当選確率を通常ゲーム用のテーブルより高く設定することも、設計事項に過ぎない。

(3)相違点3について
相違点1について検討した如く、引用発明1において、役の豊富化という一般的な観点から、ボーナスの内部当たり持ち越し中のゲーム(以下、「内部中ゲーム」という。)には入賞しないSB役を設けた場合、そのままでは当該SBの分だけ、内部中ゲームの払出率が不利となる。しかしながら、内部中ゲームの払出率が不利になるという課題に対しては、既に引用発明1において、内部中ゲームでは入賞するが通常ゲームでは入賞しない特定小役zを用いて、内部中ゲームと通常ゲームとで生じる特定小役zの入賞相違によって、内部中ゲームの払出率低下を補うという、課題解決手法が提示されている。また、たとえば前述引用例2の【図6】-【図8】に「グループ役」と記載され、同じく前述引用例3に「図9(b)に示すように、本実施形態の抽選テーブル61aでは、抽出された乱数値は、いずれか1つの役の当選領域、複数種類の役の当選領域、又は非当選領域に属するように定められている。」(段落【0057】)と記載があるように、複数の役に重複当選可能な抽選領域を設けることは周知技術である。
そうであれば、引用発明1において、相違点1について検討した如くSB役を設けるに際して、通常ゲームにおいてSB役の当選となる抽選区分領域を、特定小役zとの重複当選とし、同じ抽選区分領域を内部中ゲームにも設けるとともに、内部中ゲームでは当該抽選区分領域で特定小役zのみ当選とすることで、特定小役zの内部的な当選確率は一定に維持しつつ、通常ゲームでSB入賞可能となる当選領域では内部中ゲームで特定小役zに入賞可能となるようにして、内部中ゲームの払出率を補償することとして、相違点3に係る本願発明の構成を得ることは、当業者であれば想到容易である。

(4)相違点4について
引用発明1においても、特定小役zの図柄を、どのタイミングにおいても引込み範囲内となるよう、引込範囲内の間隔で配置しているように、小役を引込み範囲内の間隔で配置された図柄で構成することは、適宜に行われている事項である。また、たとえば特開2004-275711号公報の段落【0060】に、「なお、本例のスロットマシン10では、ボーナス以外の全ての役、すなわち「小役」が内部的に当選すると、リール20L,20M,20Rを停止させるために操作するリールストップボタン54L,54M,54Rの操作順序や操作タイミングに拘わらず、当選した小役の全てが獲得できるように、所謂「取りこぼし」がないように、リール20L,20M,20Rの停止が制御される。これにより、ゲームにより得られる利益を遊技者に最大限に還元することとするが、これに限らず、リール20L,20M,20Rの図柄配列や停止制御により、「取りこぼし」が生じるような態様としてもよい。」と記載されているように、全ての小役を取りこぼしが生じない図柄配置とすることも、適宜に選択し得る事項である。
そして、たとえば特開2005-152518号公報に、「なお、小役の中にも、通常の小役より遊技者に多くの利益を与えるSB(シングルボーナス)役がある。」(段落【0006】)と記載され、また特開2004-329667号公報に、「一方、小役当選は、抽選結果が小役当選となった遊技で小役入賞を引き当てられないと、次回の遊技には持ち越されないこととなっている。SB当選、単独当選およびReplay当選についても同様である。」(段落【0047】)と記載されているように、SB役は、一応ボーナスの名は付いているものの、いわゆる「ビッグボーナス(BB)」や「レギュラーボーナス(RB)」等の他のボーナスとは異なり、小役程度に扱われることも頻繁な役である。
そうであれば、相違点1に関して引用発明1に設けることとしたSB役を、もともと引用発明1が有したボーナスとは異なり、小役程度の扱いとするとともに、小役で適宜選択されているように取りこぼしがない図柄配置の役として、相違点4に係る本願発明の構成を得ることは、設計事項程度と言わざるを得ない。

(5)相違点5について
二つの当選フラグが立っている場合、引込み停止制御において、いずれか一方を優先することは当然であるところ、相違点3について検討した如く、通常ゲームにおいてSB役と特定小役zの両フラグが立つ抽選区分を設けた場合、SB役の方を優先引込みすれば、通常ゲームでは特定小役zでなくSB役が入賞するとともに、内部中ゲームではSB役に代えて特定小役zが入賞する状態を作り出せることが明らかである。その一方、特定小役zの方を優先引込みすれば、通常ゲームでも内部中ゲームでも特定小役zが入賞してしまうとともに、とりわけ引用発明1における特定小役zの図柄配置をそのまま維持した場合、特定小役zは必ず引込まれるから、せっかく設けたSB役の入賞機会自体が無くなってしまう。
そうであれば、SB役と特定小役zの両方のフラグが立つ通常ゲームにおいて、SB役を優先引込みすることは、当然の選択と言わざるを得ず、相違点4で検討した図柄配置であればSB役は所定範囲内の移動で必ず引込まれることとなるから、相違点5も設計事項程度である。

(6)相違点6について
相違点5についてでも述べたとおり、二つの当選フラグが立っている場合、引込み停止制御において、いずれか一方を優先することは当然である。
そして、たとえば当審が拒絶の理由に引用した特開平6-335560号公報(以下、「引用例4」という。)の、【図14】及び【図15】のフローに図示されるように、ビッグボーナス等のボーナスと小役との両方のフラグが立っている場合に、ビッグボーナスの図柄が引込み可能であれば該ビッグボーナスの図柄を引込み、ビッグボーナスの図柄が引込み不可能で小役の図柄が引込み可能であれば小役の図柄を引込むことは、従来から行われている事項である。
引用発明1に戻ると、引用発明1は、もともと遊技に熟達していない者では、ボーナス入賞までの内部中ゲームが長くなってしまうことに、配慮しているものである。
ここで、ボーナスフラグと特定小役zの両フラグが立っている場合に、特定小役zを優先的に入賞させれば、それだけボーナス入賞までの期間は長期化することとなる。とりわけ、特定小役zの図柄を100%引込み配置したうえで、特定小役zを優先的に引込むこととした場合、遊技に熟達していない者が、運良くボーナス図柄を揃えられるはずのタイミングで操作をしても、特定小役zに当選していれば特定小役zの方が引込まれて、ボーナス入賞の機会を逃してしまうこととなる。その一方、前述引用例4でも行われているように、ボーナス図柄を優先引込みすることとすれば、ボーナスに入賞できるタイミングで操作がされた時には機会を逃さずボーナス入賞するから、ボーナス入賞までの期間を不要に長期化させることなく、特定小役zによる払出率補償も効率的に実施できることが明らかである。
そうであれば、引用発明1において、内部中ゲームでボーナスフラグと特定小役zの両フラグが立っている場合には、前述引用例4でも行われているように、ボーナス図柄を優先的に引込むこととして、相違点6に係る本願発明の構成を得ることは想到容易である。

(7)相違点7について
相違点7には、相違点の認定において述べたように、解釈7-1?7-4の4つの解釈があり得るところ、当該発明特定事項が導入された平成21年6月4日付け補正と同日付の意見書を参酌しても、請求人は相違点7に関する何らの説明もしていない。また、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、いずれの意味としても根本的な矛盾や不合理が生じるものではないから、いずれの解釈が妥当であるか定め得ない。
そこで、ここでは解釈7-4が最も限定された意味であるとともに、解釈7-4が想到容易であれば相違点7は結局想到容易となることを勘案し、解釈7-4の場合について検討することとする。解釈7-4の場合、特定小役を含む全ての小役に当該小役のみの単独当選フラグが立つ場合があり、かつ、その場合には、当該小役が所定範囲内の移動で必ず入賞することが、発明特定事項の該当要件となる。
引用発明1を基礎として検討を開始すると、まず、小役について、重複当選のみしかさせない前提はもともとないから、全ての小役で単独フラグが立つ場合を設けることは設計事項程度である。なお、相違点1で導入することとしたSB役は、小役程度の扱いを受けることはあるとしても、本願発明における「開始賞」に該当し、「小役」ではない。また、特定小役z以外の小役では、単独で当選フラグが立っている場合には引込み制御の対象とすることが前提であり、引込み範囲内であるのに入賞させないことは予定されていない。さらに、相違点4の検討でも述べたとおり、小役の図柄を必ず引込み範囲内となる間隔で配置することは周知であるし、全ての小役を取りこぼしがないようにすることも知られているから、全ての小役について、必ず引込み範囲内に図柄があるような図柄配置とすることも、設計事項程度と言わざるを得ない。なお、特定小役zの図柄は、引用発明1においても、必ず引込み範囲内に図柄がある図柄配置とされている。
以下、特定小役zについて検討する。相違点1及び3で検討した如く、引用発明1においてSB役を設け、通常ゲームにおけるSB入賞が内部中ゲームでは特定小役zの入賞で補われるようにした場合、特定小役zのフラグが立つ場合について見ると、通常ゲームではSB役のフラグも立ち、内部中ゲームではボーナスフラグも立っているから、特定小役zのフラグのみが単独で立つ場合がなくなっている。しかしながら、この状態では、既に通常ゲームと内部中ゲームとに対して、SB役と特定小役zという異なる入賞が割り当てられる場合が設定されており、特定小役zの払出枚数やSBゲームにおける小役当選確率等を調整することで、通常ゲームと内部中ゲームとの払出率は適宜に調整され得る。すなわち、特定小役zは、SB役と入賞が切り分けられることとなる重複当選領域の部分のみで、通常ゲームと内部中ゲームとの払出率調整機能を奏しているから、当該重複当選領域以外の箇所で、さらに追加して、通常ゲームと内部中ゲームとで入賞小役を異ならせる必要はない。そして、通常ゲームでも内部中ゲームでも入賞する小役として、どういう役を用いるかは、ゲーム設計者の自由に任されている。そうであれば、通常ゲームでも内部中ゲームでも入賞し得る小役を選定するに際して、既に有する特定小役zを流用し、SB役との入賞切り分けがされる部分以外では、通常ゲームでも内部中ゲームでも特定小役zが入賞し得るようにすることは、当業者であれば想到容易である。
その際、引用例3の【図9】(b)に、小役1?3について、単独当選領域と他の役との重複当選領域との両方を有する抽選テーブルが図示されているように、SB役との重複当選領域以外の箇所で、通常ゲームでも特定小役zに入賞し得る場合を設けるために、特定小役zの単独当選領域を追加すること、当該単独当選領域に通常ゲームで当選し、特定小役zのみのフラグが立った場合には、特定小役zが引込み入賞されるようにすることは、設計事項程度である。なお、特定小役zの図柄は、もともと引込み範囲内の間隔で配置されているから、引込み制御の対象となれば必ず入賞する。
以上を整理すると、相違点1及び3で検討した如く、新たに設けたSB役と重複当選させることとした特定小役zについて、内部中ゲームの払出率を調整する機能はSB役との入賞切り分けにおいて奏されることから、当該SB役との入賞切り分け部分以外において、通常ゲーム及び内部中ゲームの両者で入賞し得る小役の1つとしても特定小役zを流用し、特定小役zの単独当選領域を追加するとともに、特定小役zのみの当選フラグが立つゲームでは特定小役zを入賞させるようにすることは、想到容易である。また、特定小役z以外の全ての小役について、単独で当選フラグが立つ場合を設け、単独当選フラグが立つ場合には引込み制御の対象とするとともに、役を構成する図柄を引込み範囲間隔内に配置することは、設計事項程度である。
すなわち、相違点7に係る事項は、最も限定された意と解しても、想到容易な事項及び設計事項であるから、相違点7に係る本願発明の構成を得ることは、結局のところ想到容易と言わざるを得ない。

(8)進歩性のまとめ
以上のとおり、相違点1?7に係る本願発明の構成を採用することは、当業者にとって設計事項であるかまたは想到容易であり、当該構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明1、引用例2乃至4に記載された技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。


第3 むすび

本願発明が特許を受けることができない以上、その余の請求項に係る発明について検討することを要さず、本願は拒絶を免れない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-26 
結審通知日 2009-06-30 
審決日 2009-07-13 
出願番号 特願2006-64087(P2006-64087)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 小原 博生
有家 秀郎
発明の名称 遊技機  
代理人 グローバル・アイピー東京特許業務法人  

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