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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47L
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A47L
管理番号 1203354
審判番号 不服2007-28445  
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-10-18 
確定日 2009-09-10 
事件の表示 特願2004- 36426「電気掃除機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 8月25日出願公開、特開2005-224417〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成16年2月13日の特許出願であって、同18年12月12日付けで拒絶の理由が通知され、同19年2月19日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同19年9月11日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し、同19年10月18日に本件審判の請求がされ、同19年11月16日に特許請求の範囲及び明細書を補正対象書類とする手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容の概要
本件補正は、特許請求の範囲及び明細書について補正をするものであって、特許請求の範囲について補正前後の請求項1の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。
(1) 補正前の請求項1
「内部に集塵室や電動送風機を有する掃除機本体と、一端に該掃除機本体の前部に着脱自在に装着される本体接続部を有し他端に操作部を有するホースユニットと、該ホースユニットの操作部に着脱自在に接続される延長管及び該延長管に着脱自在に接続される吸込み具とを備え、
前記ホースユニットの本体接続部にガイド部を設け、該ガイド部を、ホース側が狭く掃除機本体側が幅広のほぼ三角形状で外縁部がテーパー状に形成されて前記本体接続部の接続管の両側に一体に設けられ、前記掃除機本体側の幅広部が前記掃除機本体の前面部の幅とほぼ等しくかつ該前面部に位置するように構成したことを特徴とする電気掃除機。」
(2) 補正後の請求項1
「内部に集塵室や電動送風機を有する掃除機本体と、一端に該掃除機本体の前部に着脱自在に装着される本体接続部を有し他端に操作部を有するホースユニットと、該ホースユニットの操作部に着脱自在に接続される延長管及び該延長管に着脱自在に接続される吸込み具とを備え、
前記ホースユニットの本体接続部に剛体からなるガイド部を設け、該ガイド部を、ホース側が狭く掃除機本体側が幅広のほぼ三角形状で外縁部がテーパー状に形成されて前記本体接続部の接続管の両側に一体に設けられ、前記掃除機本体側の幅広部が前記掃除機本体の前面部の幅とほぼ等しくかつ該前面部に位置するように構成したことを特徴とする電気掃除機。」
2 補正の適否
請求項1における補正は、ガイド部について、「剛体からなる」という限定事項を付加するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。また、ガイド部が剛体であることについて、本件出願の出願当初の特許請求の範囲、及び明細書上において直接の記載は存在しないが、本件出願の出願当初の明細書の段落【0011】に、「21は接続管16の両側から一体に、かつ回転管19との間にすき間を隔てて回転管19の前端部近傍までほぼ水平に張り出したほぼ三角形状のガイド部で、前端部は細く後部になるにしたがって掃除機本体1の前部側幅とほぼ等しい幅まで拡幅され、外縁部が直線状又は緩やかな円弧状のテーパ状に形成されており、後端部は掃除機本体1の前面側の形状に対応した形状に形成されている。22はガイド部21の側縁部に取付けたバンパーで、例えば弾性を有するゴム系の素材からなり、表面には摩擦抵抗の低いフッ素材のコーティングを施して高摺動性の表面処理が施されている。」と記載されており、ガイド部21の側縁部には弾性材からなるバンパー22が取り付けられているものであることから、ガイド部はある程度剛性を有する部材であることは明らかであるから、「剛体からなる」ガイド部と補正することは、新規事項の追加に該当するものではない。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。
(1) 補正発明
補正発明は、本件補正により補正がされた特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記1の(2)の補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
(2) 引用例記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本件出願前に頒布された刊行物である実公昭39-13036号公報(以下「引用例」という。)には、以下のとおり記載されている。
ア 実用新案登録請求の範囲
「電気掃除機の前蓋に連結せられたホースの直結部より矢状形に成形せられアームを掃除機本体の腹部を左右の両側部に沿っておおつたことを特徴とする電気掃除機。」
イ 第1頁右欄第5行?第21行
「本案はかかる欠点を取り除くためになされたものであつて、本案の一実施例を図面について説明する。1は電気掃除機本体、2は掃除機本体に直結されているホース、3は掃除機本体1の移動性を良くしているための車輪である。ホース2には矢状形に形成され掃除機本体を左右においているアーム4を有している。
本案は上述のごとき構造を有するもので、作用効果を説明すると、一般のシリンダー形掃除機で掃除機本体1に接続するホース2より弾性体のアーム4を本体の腹を矢状において掃除機本体1をバンパーとすることにより構造簡単にしなおかつそのアーム4は掃除機前部に沿つて円錐状になつているため、それより机や家具などへの衝突に対してばかりでなく、障害物に引掛り移動性を阻害する従来の欠点を除去した特徴を有するものである。」
ウ ここで、電気掃除機であるので、電気掃除機本体1の内部に集塵室や電動送風機を有することは明らかである。さらに、電気掃除機本体1において、ホース2が設けられている方が前部であることも明らかである。
また、図面の第2図を参照すると、ホース2の電気掃除機本体1に対する接続部付近には、アーム4が取り付けられていることが見て取れる。そして、第2図を参照する限り、アーム4の外側輪郭はホース2側が狭く電気掃除機本体1側が幅広のほぼ三角形状で外縁部がテーパー状に形成されていることは明らかである。そして、アーム4の後端部は電気掃除機本体1の両側面に位置しているものの、アーム4の幅広部自体は電気掃除機本体1の前面部の幅とほぼ等しくかつ該前面部に位置するように設けられているものである。
上記アないしイの摘記事項、及びウの認定事項より、引用例には、次の事項が記載されていると認める。
「内部に集塵室や電動送風機を有する電気掃除機本体1と、一端に該電気掃除機本体1の前部に装着されるホース2とを備え、
前記ホース2の電気掃除機本体1に対する接続部に弾性体からなるアーム4を設け、該アーム4の外側輪郭を、ホース2側が狭く電気掃除機本体1側が幅広のほぼ三角形状で外縁部がテーパー状に形成されてホース2の左右に設けられ、前記電気掃除機本体1側の幅広部が前記電気掃除機本体1の前面部の幅とほぼ等しくかつ該前面部に位置し、該アーム4の後端部を前記電気掃除機本体1の両側面に位置するように構成した電気掃除機。」(以下「引用発明」という。)
(3) 対比
補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「電気掃除機本体1」は、補正発明の「掃除機本体」に相当しており、以下同様に、「ホース2」は「ホースユニット」に、「アーム4」は「ガイド部」にそれぞれ相当していることは明らかである。
また、引用発明の「ホース2の電気掃除機本体1に対する接続部」は、補正発明の「ホースユニットの本体接続部」に相当する。
さらに、引用発明の「ホース2側」が「ホース側」と言えるものであることは明らかである。
補正発明のホースユニットが本体接続部を有しており、本体接続部がさらに接続管を有していることから、引用発明の「ホース2の左右に設けられ」ることは、「ホースユニットの両側に設けられ」る限りにおいて、補正発明の「本体接続部の接続管の両側に一体に設けられ」ることと共通する。
以上の点から、両者は次の「電気掃除機」で一致している。
「内部に集塵室や電動送風機を有する掃除機本体と、一端に該掃除機本体の前部に装着されるホースユニットとを備え、
前記ホースユニットの本体接続部にガイド部を設け、該ガイド部を、ホース側が狭く掃除機本体側が幅広のほぼ三角形状で外縁部がテーパー状に形成されてホースユニットの両側に設けられ、前記掃除機本体側の幅広部が前記掃除機本体の前面部の幅とほぼ等しくかつ該前面部に位置するように構成した電気掃除機。」
そして、両者は次の点で相違している。
<相違点1>
ホースユニットに関して、補正発明では、掃除機本体の前部に着脱自在に装着される本体接続部を有するとともに、他端に操作部を有し、さらに、ガイド部の取り付けに関して、補正発明では、ガイド部はホースユニットの本体接続部の接続管の両側に一体に設けられているのに対して、引用発明では、ホースユニットに相当するホース2が本体接続部や操作部を有しているのかどうか不明であるとともに、ガイド部に相当するアーム4も、ホース2には設けられてはいるものの、本体接続部に設けられているのかどうか不明な点。
<相違点2>
ガイド部に関して、補正発明では、「剛体からなる」ものとしているのに対して、引用発明では、ガイド部に相当するアーム4は弾性体である点。
<相違点3>
補正発明では、ホースユニットの操作部に着脱自在に接続される延長管を備えるとともに、該延長管に着脱自在に接続される吸込み具を備えているのに対して、引用発明では、ホース2に延長管や吸込み具が設けられているのかどうか不明な点。
(4) 相違点の検討
上記相違点について検討する。
<相違点1>について
掃除機本体の前部に着脱自在に装着される本体接続部を有するとともに、該本体接続部には接続管を設け、さらに他端に操作部を有するホースユニットは、例えば特公平3-77733号公報(第3欄第42行?第4欄第10行及び図面の第5図を参照。)を例示するまでもなく、従来周知の事項である。そして、この従来周知の事項を引用発明に適用することに対する阻害要因も見当たらないことからすれば、引用発明においても、該ホース2に、電気掃除機本体1の前部に着脱自在に装着される本体接続部を設けるとともに、該本体接続部には接続管を設け、さらにホース2の他端に操作部を設けることは、当業者が容易になし得たものである。そして、ガイド部に相当するアーム4は、電気掃除機本体1の前部に設けるべきものであることからして、引用発明において、ホース2に接続管を有する本体接続部を設けた場合には、当該アーム4を電気掃除機本体1に最も近い部材である接続管に設ける構成とすることは、当業者が当然採用し得る設計変更に過ぎない。
また、一般に、部材を一体で作るか別体として接続して作るかは、当業者が製造に当たって適宜考慮することであるから、アーム4を接続管に設けることとした場合、当該アーム4を接続管と一体とすることは、格別の創意を要するものではない。
<相違点2>について
引用例には、アーム4を設けることの作用効果として、摘記事項イに「作用効果を説明すると、一般のシリンダー形掃除機で掃除機本体1に接続するホース2より弾性体のアーム4を本体の腹を矢状において掃除機本体1をバンパーとすることにより構造簡単にしなおかつそのアーム4は掃除機前部に沿つて円錐状になつているため、それより机や家具などへの衝突に対してばかりでなく、障害物に引掛り移動性を阻害する従来の欠点を除去した特徴を有するものである。」と記載されている。すなわち、引用発明において、アーム4は障害物に対する引っ掛かりをなくすものである。してみると、アーム4は、その外側輪郭がほぼ三角形となっていれば足りるものであり、アーム4が弾性体であるか剛体であるかには関係がない。以上のことからすれば、引用発明において、アーム4を弾性体のものに代えて剛体からなるものとすることは、当業者が容易になし得たものとせざるを得ない。
<相違点3>について
電気掃除機において、ホースユニットに操作部を設けること、及び、ホースユニットの操作部に着脱自在に延長管を接続すること、該延長管に吸込み具を着脱自在に接続することは、例えば上記特公平3-77733号公報(第3欄第42行?第4欄第10行、第4欄第17行?第19行及び図面の第5図を参照。)を例示するまでもなく、従来周知の事項であるので、引用発明においても、ホース2に操作部を設け、該操作部に着脱自在に延長管を接続し、該延長管に吸込み具を着脱自在に接続することは、当業者が容易になし得たものである。
<作用・効果>について
作用ないし効果についても、引用発明及び上記周知の事項から予測し得る程度のものであって格別のものではない。
したがって、補正発明は、引用発明及び上記従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
なお、請求人は、平成19年11月16日付けの審判請求の理由に関する手続補正書において、「これに対して、引用文献1(当審注:実公昭39-13036号公報)に記載のアーム4は、請求項1の発明と対比すると、
a 帯状であって、ほぼ三角形状ではない。
b 前端部のみがホース2に固定され、後端部は掃除機本体1の両側面から離れた自由端になっており、本体接続部の接続管の両側に一体的に設けられたものではない。
c 後端部は自由端となって掃除機本体1の両側面に位置しており、掃除機本体の前面部の幅とほぼ等しく、かつ前面部に位置していない。
のように、両者は構成が全く相違しております。」(第3頁第17行?第23行。)と主張している。
しかしながら、上記a、b、cの3つの点につき、aの点については、引用発明のアーム4は、帯状ではあるものの、外側輪郭の形状はほぼ三角形状となっており、この点に関して補正発明と引用発明との間に相違があるものとすることはできない。
また、bの点については、上記<相違点1>について中で示したとおりである。
さらに、cの点については、補正発明では、「ガイド部の幅広部が掃除機本体の前面部に位置する」と特定しているものであって、ガイド部自体が掃除機本体の前面部に位置すると特定しているものではない。そして、引用発明のアーム4の幅広部も、電気掃除機本体1の前面部に位置するものである。
以上のとおりであるので、請求人の上記主張は採用することができない。
3 むすび
以上のとおりであるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記第2の1の(1)の補正前の請求項1に示したとおり、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 引用例記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用例には、上記第2の2の(2)に示したとおりの事項が記載されている。
3 対比・判断
本願発明は、上記第2の2で述べたとおり、補正発明の発明特定事項から、上記限定事項が省かれたものである。
そうすると、上記第2の2の(4)で検討したとおり、補正発明は、引用発明及び上記従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、補正発明の発明特定事項から上記限定事項が省かれた本願発明についても、同様の理由により、引用発明及び上記従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、審判請求人は、平成21年4月10日付け回答書において、特許請求の範囲の請求項1を「内部に集塵室や電動送風機を有する掃除機本体と、一端に該掃除機本体の前部に着脱自在に装着される本体接続部を有し他端に操作部を有するホースユニットと、該ホースユニットの操作部に着脱自在に接続される延長管及び該延長管に着脱自在に接続される吸込み具とを備え、
該ホースユニットの本体接続部に剛体からなるガイド部を設け、該ガイド部を、ホース側が狭く掃除機本体側が幅広のほぼ三角形状で外縁部をテーパー状に形成し、ホースの一端に設けた回転管が回転自在に連結された前記本体接続部の接続管の両側に一体かつ前記回転管との間にすき間を隔てて設けられ、前記掃除機本体側の幅広部が前記掃除機本体の前面部の幅とほぼ等しく該前面部に位置するように構成したことを特徴とする電気掃除機。」と補正する機会を与えられたい旨、主張している。
しかしながら、ホースユニットに接続管と回転管とを設け、ホースを回転自在とすることは、例えば、特公平6-2119号公報(第6欄第17行?第19行、及び図面の第1図参照。)や特開2001-137164号公報(段落【0012】及び図面の図1から図3参照。)に見られるように従来周知の事項であり、障害物に対して掃除機本体を引掛りにくくするというガイド部の目的からして、ホースが回転自在であればガイド部は回転しない部分に取り付けるべきことは当然のことであるから、上記回答書に記載された特許請求の範囲の請求項1を進歩性を有する発明とすることはできない。
4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び上記従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2ないし8について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-08 
結審通知日 2009-07-14 
審決日 2009-07-28 
出願番号 特願2004-36426(P2004-36426)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A47L)
P 1 8・ 561- Z (A47L)
P 1 8・ 121- Z (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栗山 卓也  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 菅澤 洋二
尾家 英樹
発明の名称 電気掃除機  
代理人 佐々木 宗治  
代理人 大村 昇  
代理人 佐々木 宗治  
代理人 大村 昇  
代理人 安島 清  
代理人 高梨 範夫  
代理人 高梨 範夫  
代理人 小林 久夫  
代理人 安島 清  
代理人 小林 久夫  

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