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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1204604 |
審判番号 | 不服2008-8800 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-04-10 |
確定日 | 2009-10-01 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第342920号「遊技機島」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 7月 7日出願公開、特開平10-179906〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件の経緯概要は以下のとおりである。 特許出願 平成8年12月24日 審査請求 平成15年12月4日 拒絶理由 平成19年10月29日 手続補正 平成20年1月11日 拒絶査定 平成20年2月25日 審判請求 平成20年4月10日 手続補正 平成20年5月7日 第2 平成20年5月7日付の手続補正についての補正却下の決定 [結論] 平成20年5月7日付の手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 本件補正前(平成20年1月11日付の手続補正書)及び本件補正後(平成20年5月7日付の手続補正書)における特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 [本件補正前の請求項1] 「遊技機と、遊技媒体貸出機と、遊技機島内サービス設備とからなり、上記遊技機島内サービス設備をライン配置した遊技機島であって、 上記遊技機が上記遊技機島内サービス設備に側面支持され、上記ラインに沿って所定間隔で、かつ、上記ラインと直交する方向に上記遊技機島内サービス設備から突出するように、複数の上記遊技機が配列されてなり、 上記遊技機島内サービス設備と隣り合う上記遊技機とによって形成されるエリア内にて遊技者が上記ラインに沿った方向を向いた状態で上記遊技機に対面して遊技を行うように構成されている ことを特徴とする遊技機島。」 [本件補正後の請求項1] 「遊技機と、遊技媒体貸出機と、遊技機島内サービス設備とからなり、上記遊技機島内サービス設備をライン配置した遊技機島であって、 上記遊技機が上記遊技機島内サービス設備に側面支持され、上記ラインに沿って所定間隔で、かつ、上記ラインと直交する方向に上記遊技機島内サービス設備から突出するように、複数の上記遊技機が配列されてなり、 上記遊技機島内サービス設備と隣り合う上記遊技機とによって形成されるエリア内にて遊技者が上記ラインに沿った方向を向いた状態で上記遊技機に対面して遊技を行うことで、当該遊技者が当該遊技機に対面して遊技する際に略独立したエリア内で遊技できるように構成されている ことを特徴とする遊技機島。」 2.本件補正についての検討 本件補正は、本件補正前の請求項1に対して「遊技者が遊技機に対面して遊技する際に略独立したエリア内で遊技できる」という点の限定を加えたものである。 よって、特許請求の範囲の限定的減縮に該当すると判断でき、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討することとする。 3.引用例 原査定の拒絶理由において引用された特公昭45-22102号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。 「図中1は多数のパチンコ機2?2を乗載する下横長板、3?3は下横長板1の正面4に対して鋭角の傾斜角をなして下横長板1の上面に垂設5した各側板で、各パチンコ機2の正面の長さに合致する間隔を残して互いに併立している。なお各側板3?3の高さはパチンコ機2の高さとほぼ均等である。6は各側板3?3の上面にそれぞれ垂架されて釘着7した上横長板、8は各パチンコ機2?2の裏面下部を規制する押板木で、下横長板1乗に釘着9される。15は遊戯者を略示している。16,16は斜状の段差である。」(公報第1欄30行?第2欄3行) 「上記の各側板3?3の間に形成される各斜向取付枠(F)に対し、その正面から一個ずつのパチンコ機を嵌装して」(公報第2欄4?6行) 「従来のパチンコ機2は第4図に示すように直線上に並立したのであるから、遊戯者が混んでくると隣の遊戯者と接触してパチンコ球を弾き難くなる欠点があったが、本発明の配列方法によれば各遊戯者は鋸歯状に斜設したパチンコ機に対向して遊戯し得るから隣の遊戯者と接触しない効果がある。」(公報第2欄12?18行) 「さらに、本発明配列方法のように鋸歯状に配したパチンコ機2の正面付近においては、多数のパチンコ機2を一望し難くなるため鋸歯状の傾設度の選択によって第三者の望見を欲しない遊戯者15が両側の他遊戯者より独立状態を保持しやすいので、その技能を充分に自己満喫することができる大きい特徴を附随する。」(公報第2欄23?29行目) 「パチンコ店のパチンコ機の配列において、遊戯者同志の接触を防止し、かつ余地を設けるべくパチンコ機の左側を後方へさげて次の左隣のパチンコ機の右側との間に斜状の段差を形成するように順次全パチンコ機群を鋸歯状に凹凸に配列してなるを特徴としたパチンコ機の配列方法。」(特許請求の範囲) よって、引用文献1における記載事項及び図面を総合的に勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「下横長板1の正面4に対して鋭角の傾斜角をなした各側板3を各パチンコ機2の正面の長さに合致する間隔を残して互いに併立させ、上記の各側板3?3の間に形成される各斜向取付枠(F)に対し、その正面から一個ずつのパチンコ機を嵌装し、 パチンコ機2の左側を後方へさげて次の左隣のパチンコ機2の右側との間に斜状の段差16を形成するように順次全パチンコ機2群を鋸歯状に凹凸に配列してなり、 各遊戯者15は鋸歯状に斜設したパチンコ機2に対向して遊戯し得るから隣の遊戯者15と接触しない効果があり、鋸歯状に配したパチンコ機2の正面付近においては、多数のパチンコ機2を一望し難くなるため鋸歯状の傾設度の選択によって遊戯者15が両側の他遊戯者15より独立状態を保持しやすい パチンコ店のパチンコ機2の配列。」 4.対比 ここで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「パチンコ機2」は本願補正発明における「遊技機」に相当し、同様に「遊戯者15」は「遊技者」に、「対向」は「対面」にそれぞれ相当する。 そして、引用文献1の第1図も参照すれば、下横長板1及び上横長板6(以下、両者をまとめて「横長板」という)に沿って並べて配された複数のパチンコ機2が遊技機島を構成しており、また、当該パチンコ機2の裏面8側にパチンコ球を供給/回収する設備(本願補正発明における「遊技機島内サービス設備」に相当。)が横長板に沿って「ライン配置」されることは、引用文献1の出願当時の技術常識(例として特公昭30-5423号公報、実公昭27-9919号公報)を踏まえても明らかである。とすれば、複数のパチンコ機2は、当該ライン配置された設備から斜めに突出するように所定間隔で配列されているものであると云える。 また、同図を参照すれば、パチンコ機2,2間に斜状の段差16を形成する側板3が位置しており、遊戯者15が、パチンコ機2と段差16(側板3)とによって形成されるエリアに位置することも明らかである。 よって、引用発明と本願補正発明は、 「遊技機と、遊技機島内サービス設備とからなり、上記遊技機島内サービス設備をライン配置した遊技機島であって、 上記遊技機が、上記ラインに沿って所定間隔で上記遊技機島内サービス設備から突出するように、複数の上記遊技機が配列されてなる 遊技機島。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本願補正発明においては、遊技機島が「遊戯媒体貸出機」を備えているのに対して、引用発明にはかかる構成がない点。 [相違点2] 本願補正発明においては、遊技機が「(上記)遊技機島内サービス設備に側面支持され」、「(上記)ラインと直交する方向に」遊技機島内サービス設備から突出するように、複数の遊技機が配列されているのに対して、引用発明においてはパチンコ機2を鋸歯状に配列しており、鋸歯状の傾設度を選択可能ではあるものの、パチンコ機2を遊技機島(遊技機島内サービス設備)に「側面支持」させ、かつ遊技機島(遊技機島内サービス設備)から「直交する方向」に突出させることまで想定しているか不明である点。 [相違点3] 本願補正発明においては「(上記)遊技機島内サービス設備と隣り合う(上記)遊技機とによって形成されるエリア内にて遊技者が(上記)ラインに沿った方向を向いた状態で(上記)遊技機に対面して遊技を行うことで、当該遊技者が当該遊技機に対面して遊技する際に略独立したエリア内で遊技できるように構成されている」のに対して、引用発明においては、遊戯者15はパチンコ機2と段差16(側板3)とによって形成されるエリアに位置し、パチンコ機2に対向して遊戯し得るものであって、遊戯者15が両側の他遊戯者15より独立状態を保持しやすいように構成されているものの、遊戯者15が「遊技機島内サービス設備と隣り合う遊技機とによって形成されるエリア内」にて「ラインに沿った方向を向いた状態」で遊戯可能とはなっていない点。 5.相違点の判断 上記相違点について検討する。 [相違点1について] パチンコ機とパチンコ機の間に所謂台間球貸機(本願補正発明の「遊技媒体貸出機」に相当。)を設けることは例を挙げるまでもない周知事項であるから、本願補正発明の相違点1にかかる構成は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に想到できたことである。 [相違点2,3について] 座席等をどのように配置するか(レイアウト)は、当業者が店内デザインとしてそもそも適宜決定できることである。そして、例えば、飲食店(例として回転寿司店や牛丼店)において、ライン配置された設備(回転寿司店であれば皿が流れる設備。牛丼店であれば店員が通る通路)に対して、それに向かって座るカウンター席と、それに沿った方向に座るテーブル席を設けたり(例えば特開平8-434号公報、図1参照)、電車の車内の座席において、乗客が、ライン配置された車内通路に向かって横に並んで座る所謂ロングシートと、当該車内通路に沿った方向に(すなわち進行(あるいはその反対)方向に)座る所謂クロスシートを設けたりしている(例えば実公昭48-10322号公報、実開平6-32161号公報参照)ように、各分野において、座席の配置や方向は多種多様に設計されているものであって、ライン状の所要の設備に対して、それに対向して座席を配することも、それに沿った方向に座席を配することも、いずれも周知慣用の座席配置(レイアウト)であって当業者が選択的に設計できることに過ぎない。 そして、パチンコ店においても、引用発明においてはパチンコ機2を鋸歯状に配し、さらに「鋸歯状の傾設度の選択」も可能なものであるから、上述のような各分野において周知慣用されている座席配置(レイアウト)を参照し採用することに格別の阻害要因はなく、引用発明において、上記のようなライン状の所要の設備に沿った方向に座席を配するといったレイアウト例(以下「周知慣用のレイアウト」という。)を採用して、横長板に沿った方向に遊戯者15が座るようなパチンコ機2及び座席の配置を選択・採用することも、当業者が適宜設計できたことである。 とすれば、相違点2について、「ラインと直交する方向に」遊技機島内サービス設備から突出するように複数の遊技機を配列すること、また、相違点3について、「遊技機島内サービス設備と隣り合う遊技機とによって形成されるエリア内」にて「ラインに沿った方向を向いた状態」で遊技者が遊技可能とすることは、上記周知慣用のレイアウトを採用すれば当然満たされる構成に過ぎず、さらに、相違点2について、遊技機を「遊技機島内サービス設備に側面支持」させることも、当業者にとって通常の創作能力の発揮によって適宜設計できる範囲のことに過ぎない。 なお、相違点3について、「遊技者が遊技機に対面して遊技する際に略独立したエリア内で遊技できる」ことは、引用発明のような鋸歯状の配置によっても奏される効果であって、上記周知慣用のレイアウトを採用しても当然もたらされる効果に過ぎない。 よって、本願補正発明の相違点2,3にかかる構成とすることは、引用発明及び周知慣用のレイアウトに基づいて、当業者にとって容易に想到できたことである。 [相違点の判断のむすび] そうすると、相違点1?3にかかる本願補正発明の構成は、引用発明、周知事項及び周知慣用のレイアウトから当業者が容易に想到できた範囲のものというべきである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明、周知事項及び周知慣用のレイアウトから当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6.補正却下の決定におけるむすび したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1にかかる発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2.引用例 引用文献1及びその記載事項は、上記第2[理由]3.に記載したとおりのものである。 3.対比・判断 本願補正発明は、上記第2[理由]2.に記載したように、本願発明に限定的減縮を加えたものであるとして独立特許要件(進歩性)の有無を検討したものであって、上記第2[理由]5.のとおり、本願補正発明は、引用発明、周知事項及び周知慣用のレイアウトに基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明から限定を解除した本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 第4 むすび 以上のとおり、本件補正は却下され、そして、本願発明は原査定の拒絶の理由に基づいて特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-07-31 |
結審通知日 | 2009-08-04 |
審決日 | 2009-08-19 |
出願番号 | 特願平8-342920 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柴田 和雄 |
特許庁審判長 |
立川 功 |
特許庁審判官 |
池谷 香次郎 森 雅之 |
発明の名称 | 遊技機島 |
代理人 | 船橋 國則 |