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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 F03D
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 F03D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F03D
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 F03D
管理番号 1205012
審判番号 不服2007-29883  
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-10-09 
確定日 2009-10-07 
事件の表示 特願2002- 52325「流体抵抗を解消する表面形状と構成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 2月19日出願公開、特開2004- 52547〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年1月24日の出願であって、平成19年9月3日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月9日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、手続補正書が提出されたものである。

2.平成19年10月9日付手続補正書による補正(以下、「本件補正1」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正1を却下する。

[理由]
(1)本件補正1後の本願の明細書、及び図面について
本件補正1は、本願の明細書の全文、及び図面の全図を補正しようとするものである。
しかしながら、段落【0006】の
「(5)各種配管や水路等への活用
流体の流送路に微細な円錐形突起を設けたり、同形状のシ-トを貼る。
微細突起による消波効果や乱流攪拌効果により、流送効率向上が見込める。
(6)スポ-ツウエア等への活用
スポ-ツウエア等の表面に微細で滑らかな円錐形突起を設ける。
乱流防止と流体剥離現象が改善されるので、競技速度の向上が期待できる。」との記載、
段落【0007】の
「各種配管及びホ-ス類や排水溝そしてスポ-ツウエアへの応用も望まれる。」との記載、
図1の平面図、及び断面図における
「大小の突起がすきまなく配置されているもの」の開示、及び
図1の
「仕様
1.微細で滑らかな円錐形突起は境界層の撹拌を目的とする為、滑らかに突起させる。
2.突起は流体の流れが直線的に抜けないよう大小をまんべんなく配置する。
3.突起サイズは用途にあわせ決定する。
突起形状凡例
大 直径3.0m/m×高さ1.0m/m
小 直径1.5m/m×高さ1.0m/m
大 直径2.0m/m×高さ0.6m/m
小 直径1.0m/m×高さ0.6m/m
大 直径1.0m/m×高さ0.3m/m
小 直径0.5m/m×高さ0.3m/m」
との記載、つまり、突起の形状を円錐形突起としたとの記載、各種配管、水路、ホ-ス類、排水溝、及びスポ-ツウエアに当該突起を適用したとの記載、図1の「大小の突起をすきまなく配置したもの」の開示、及び図1の当該突起の具体的な仕様や突起形状の具体的な凡例の記載は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず、かつこれらの記載から、自明な事項でもない。

(2)むすび
したがって、本件補正1は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.原査定の理由
一方、原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
[理由1]
平成19年6月21日付手続補正書による補正(以下、「本件補正2」という。)後の明細書、及び図2、3の記載において、「境界層」に関する記載、「着脱式避雷針」の構成、「車体下部への巻き込み空気を整流する効果もある。」との記載、「円形突起」の仕様等は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず、かつこれらの記載から、自明な事項でもないから、本件補正2は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

[理由2]
請求項1に記載される「表面形状とその構成方法」は、発明の属するカテゴリーが不明であるから、本願の請求項1に係る発明は明確でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

[理由3]
特開2000-55014号公報(以下、「引用例1」という。)、及び特開平10-146403号公報(以下、「引用例2」という。)には、小さく規則的な円形突起により流体抵抗を低減させるものが開示されているから、本願の請求項1に係る発明は、引用例1、2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願の請求項1に係る発明は、引用例1、2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.当審の判断
[理由1]について
本件補正2は、本願の明細書の全文、及び図面の全図を補正しようとするものである。
しかしながら、段落【0006】の
「自動車の場合は車体下部への巻き込み空気を整流する効果もある。」との記載、
図2、3の平面図、及び断面図における
「大小の突起がすきまなく配置されているもの」の開示、及び
図2、3の
「円形突起仕様
2.突起は流体の流れが直線的に抜けないように配置する。
3.突起サイズは用途及び取付部位にあわせ決定する。
突起形状凡例
[大 直径1.0m/m×高さ0.3m/m 小 直径0.5m/m×高さ0.3m/m]
[大 直径2.0m/m×高さ0.5m/m 小 直径1.0m/m×高さ0.5m/m]」
との記載、つまり、「自動車の場合は車体下部への巻き込み空気を整流する」との効果の記載、図2、3の「大小の突起をすきまなく配置したもの」の開示、及び図2、3の円形突起の具体的な仕様や突起形状の具体的な凡例の記載は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されておらず、かつこれらの記載から、自明な事項でもない。
したがって、本件補正2は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

[理由2]について
請求項1の「表面形状とその構成方法」の記載からみて、本願の請求項1に係る発明は、「表面形状」という物の発明と、「構成方法」という方法の発明の2つのカテゴリーに属するものである。
ところで、特許法第68条において、「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。」と規定され、同法第2条第3項においては、「実施」を物の発明、方法の発明、及び物を生産する方法の発明に区分して定義していることから、これらを考慮すれば、1つの請求項において、上記のような2つのカテゴリーが記載されている発明に特許を付与することは、権利のおよぶ範囲が不明確となり適切でない。
したがって、請求項1の「表面形状とその構成方法」の記載は、特許を受けようとする発明が明確であるとはいえないから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。。

[理由3]について
上記「[理由2]について」のとおり、請求項1の記載が明確でないため、本願の請求項1に係る発明の要旨認定をすることができず、本来であれば、新規性、及び進歩性について判断することはできないが、請求項1に記載の「その構成方法」に関して、その技術的意義は不明瞭であり、また本願の明細書、及び図面には明確に記載されていないことから、参考までに、本願の請求項1に係る発明を「表面形状」との物の発明と認定して判断する。

(1)本願の発明について
本件補正1は、上記2.のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、本来であれば、平成19年6月21日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されなければならないが、上記の理由により、以下のように認定する。
「小さく規則的な円形突起により流体抵抗を解消する表面形状。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1には、図面と共に以下の事項が記載されている。
・「【0015】摩擦抵抗も非常に減少することから、総合的に流体の抵抗を格段に緩和でき、さらに、空気との摩擦による騒音も非常に小さくなるという優れた効果がある。」
・「【0019】図1ないし図3は、それぞれ流体の抵抗緩和装置が装備された貼着シートSa,Sbを示したもので、これを物体の表面に貼着して使用される。
【0020】図1に示す貼着シートSaと、図2に示す貼着シートSbとは、それぞれ大デインプル1と中デインプル2と小デインプル3とを、縦横に規則的に配列したもの」
また、図1ないし3には、以下のとおりの開示がある。
貼着シートの表面形状は、大デインプル1と中デインプル2と小デインプル3とが形成され、これらの形状は、円形突起である。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「規則的に配列された大、中、小の円形突起のデインプルにより流体抵抗を格段に緩和する貼着シートの表面形状。」

(3)対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
後者における「円形突起のデインプル」は、その構造、機能、作用等からみて、前者における「円形突起」に相当し、以下同様に、「流体抵抗を格段に緩和する」との態様は、「流体抵抗を解消する」との態様に、「貼着シートの表面形状」は、「表面形状」に、それぞれ相当する。
したがって、両者は、
「規則的な円形突起により流体抵抗を解消する表面形状。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
円形突起に関し、本願発明は、「小さ」いものであるのに対し、引用発明は、「大、中、小」の3種類のもので構成されている点。

(4)判断
上記相違点について以下検討する。
引用発明においても、規則的に配列された小の円形突起のデインプル、すなわち小さく規則的な円形突起が形成されているから、本願発明の「小さく規則的な円形突起」との構成は、引用発明に包含されることになる。
したがって、上記相違点は、実質的な差異ではない。
また、例えば、引用例1には、「【0004】従来、物体の表面に凸又は凹のデインプルを設けることによって、急速に接する空気に乱流を予め起こすことによって、空気の剥離現象を防止し、これによって空気との抵抗を少なくする手段が取られ」、及び「【0005】従来では、デインプルの形状や大きさが同じであること、その配列が格子状又は千鳥状であること、というようにパターンが決まっており」と記載されているように、一般的に、1つの大きさのデインプル(突起)を配列して流体抵抗を解消することは、周知の技術事項である。
したがって、引用発明において、上記周知の技術事項を採用することにより、本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものともいえる。

そして、本願発明の全体構成によって奏される効果も、引用発明、及び上記周知の技術事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

よって、本願発明は、引用発明、及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)小括
以上のとおりであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許法第49条第1項第1号、及び第2号の規定に該当し、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-07-16 
結審通知日 2009-07-28 
審決日 2009-08-17 
出願番号 特願2002-52325(P2002-52325)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (F03D)
P 1 8・ 121- Z (F03D)
P 1 8・ 537- Z (F03D)
P 1 8・ 534- Z (F03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上田 真誠  
特許庁審判長 大河原 裕
特許庁審判官 黒瀬 雅一
仁科 雅弘
発明の名称 流体抵抗を解消する表面形状と構成方法  
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