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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) E04D |
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管理番号 | 1205073 |
判定請求番号 | 判定2009-600022 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2009-06-26 |
確定日 | 2009-10-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2741655号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「屋根下地材」は、特許第2741655号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
第1 請求の趣旨 本件判定請求人である株式会社チャンピオンは、判定請求書に添付のイ号説明書に示す「屋根下地材」(以下「イ号物件」という)が、特許第2741655号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属するとの判定を求めるものである。 第2 本件特許発明 本件特許第2741655号の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、これを構成要件に分説すると次のとおりである。 A 軟質性合成樹脂のシート状基材の上下両面に紙を一体的に接合して成り屋根の野地板上に敷く屋根下地材において、 B 上記シート状基材の上面には、下部が大径で上部が小径とされ所定の高さだけ2段階に突出した多数のすべり止め突部を一体的に形成すると共に、 C これらのすべり止め突部を所定の単位面積中に複数個存在するように配置して全面に等方的に設けた D ことを特徴とする屋根下地材。 第3 イ号物件 請求人が提出した、判定請求書に添付した甲第1号証のイ号説明書、「[1]イ号屋根下地材の特定」(別添参照)及び同じく甲第5号証の「レボ1」製品(イ号物件の実物)によれば、イ号物件は、次の構成aないしdを有するものと特定される。 【イ号物件】 a 軟質性合成樹脂のシート状基材(1)の上下両面に紙(2)(3)を一体的に接合して成り屋根の野地板上に敷く屋根下地材において、 b 上記シート状基材(1)の上面には、外径が約2mmと小径であり、高さが約2mmの円柱形状に形成された多数のすべり止め突部(6)が、一体的に突出した状態で形成されているとともに、該すべり止め突部(6)の上端部分(5)は必ずしも平坦とはなっておらず、他の主たる部分(4)と比較してやや小径に盛り上がったものも存在しており、 c これらのすべり止め突部(6)を所定の単位面積中に複数個存在するように配置して全面に等方的に設けた d 屋根下地材。 第4 当事者の主張 1.請求人の主張 請求人は、判定請求書において、イ号物件は、本件特許発明と相違点が全くないから、イ号物件は本件特許発明の技術的範囲に属する旨主張している。 特に、本件特許発明の構成要件Bとイ号物件の構成bとの関係について、概略次のように主張している。 (1)イ号物件は、完成品において、平坦な平面一段には形成されておらず、下部が大径で上部が小径とされ、突起部拡大画像(甲第10号証)の陰影からも明らかなように、所定の高さだけ2段に突出した多数のすべり止め突部を一体的に形成する、屋根下地材である。 2.被請求人の主張 被請求人は、判定事件答弁書において、イ号物件の構成bは、本件特許発明の構成要件Bを満たしていないから本件特許発明の技術的範囲に属さない旨主張し、その具体的な理由として、概略次のように主張している。 (1)イ号物件の構成bは、「シート基材の上面に、外径が約2mmと小径であり、高さが約2mmの円柱形状に形成された多数のすべり止め突部が、一体的に突出した状態で形成されている」というものであり、すべり止め突部は、明らかに1段階に突出したものであり、下部大径突部と上部小径突部に明確に区別できるものではない。 すべり止め突部の上端面は、必ずしも平坦とはなっていないが、それは、当該屋根下地材を金型を用いて製造する際に、すべり止め突部の先端が変形してしまうからである。 第5 対比・判断 本件特許発明とイ号物件とを対比する。 (1)イ号物件の構成a、c及びdは、本件特許発明の構成要件A、C及びDを充足しており、この点について当事者間に争いはない。 (2)イ号物件の構成bと、本件特許発明の構成要件Bを対比する。 ア.イ号物件の構成bの「すべり止め突部(6)」は、その上端部分(5)は必ずしも平坦とはなっておらず、他の主たる部分(4)と比較してやや小径に盛り上がったものも存在している。 しかしながら、すべり止め突部(6)の上端部分(5)が、他の主たる部分(4)と比較してやや小径に盛り上がることによって、当該小径の突出部分に、連続的に径の変化している部分はあるとしても、段階的に径が変化する段部を備えてはいない。 イ.請求人は、この点に関して、上記「第4」の「1.」の「(1)」のとおり主張する。 ウ.しかしながら、請求人の提出した甲第1号証、甲第5号証、甲第10号証及びその他の証拠を精査しても、請求人の上記主張を裏付ける根拠を見いだすことはできない。 エ.したがって、イ号物件の構成bは、本件特許発明の構成要件Bを充足していない。 オ.そして、本件特許明細書の【0009】【作用】の記載によれば、本件特許発明において、すべり止め突部が「下部が大径で上部が小径とされ所定の高さだけ2段階に突出し」ているのは、「すべり止め突部の下部大径突部で踏み感の安定性を維持し、上部小径突部で作業者の作業靴下面にくいつき状となりすべり止め効果を増大させる」ためである。してみると、構成要件Bは、本件特許発明の本質的な部分である。 第6 むすび 以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2009-09-29 |
出願番号 | 特願平6-167550 |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZB
(E04D)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
神 悦彦 |
特許庁審判官 |
山口 由木 山本 忠博 |
登録日 | 1998-01-30 |
登録番号 | 特許第2741655号(P2741655) |
発明の名称 | 屋根下地材 |
代理人 | 青谷 一雄 |