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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1205602
審判番号 不服2008-10579  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-25 
確定日 2009-10-15 
事件の表示 特願2000- 36962「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月21日出願公開、特開2001-224777〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成12年2月15日の出願であって、拒絶理由通知に対応して平成20年1月30日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、平成20年4月25日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成20年5月23日に手続補正がなされたものである。
また、当審において、平成21年3月9日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行ったが、請求人から応答がなかった。

第二.平成20年5月23日付の手続補正書についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成20年5月23日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1(以下「本願補正発明」という。)は以下のように補正された。
「複数の変動表示領域を有する変動表示装置と、該変動表示装置の変動表示領域の各々で複数の識別情報を回転させながら所定の順序に従って変動表示させる変動表示遊技を行うとともに、当該変動表示遊技の演出効果を高める背景画像表示を行う表示制御手段と、を備え、
前記変動表示遊技の結果、前記変動表示装置に表示される識別情報の停止態様が特定の組み合わせ態様を導出したときに、遊技者に対し特典を付与可能とした遊技機において、
前記識別情報の背面にベース部を介在させて回転表示体を構成し、
前記ベース部を、前記識別情報の外周を縁取るように該識別情報の外周側に膨らむように突出した外形形状で所定の厚みを有する立体形状とするとともに、前記識別情報を、厚みを有する立体形状とするものとし、
前記表示制御手段は、
前記回転表示体を回転させる過程で、前記識別情報が真正面向きの状態にある回転表示体が、裏返る方向に略90度回転して前記識別情報の内容が認識不能な状態となったときに、当該識別情報を次の識別情報に切り替えるとともに、前記ベース部の外形形状を該切り替えられた識別情報に対応する外形形状に切り替え、該切り替えられた識別情報の形状に閉じた領域がある場合には前記背景画像表示が視認可能となるように該閉じた領域に対応するようにベース部の内側にも閉じた領域を形成する表示制御を行うことを特徴とする遊技機。」
(下線部は補正によって変更又は追加された箇所)

2.補正要件(目的)の検討
請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「表示制御手段」に「該切り替えられた識別情報の形状に閉じた領域がある場合には背景画像表示が視認可能となるように該閉じた領域に対応するようにベース部の内側にも閉じた領域を形成する」という機能を付加(下位概念化)したものであるから、請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に該当する。

3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平8?243228号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、
【0029】・・・また、マイクロコンピュータ69は、第2制御基盤22と、表示画像記憶手段としての表示用マイクロコンピュータ74及び液晶パネル駆動回路75とから構成された画像表示制御手段としての画像表示制御基盤76と、も接続されている。
【0030】・・・表示用マイクロコンピュータ74は、第1制御基盤21のマイクロコンピュータ69の指示にしたがって、予め記憶された表示画像データに基づいて表示画像を作成し、液晶パネル駆動回路75を介して液晶パネル64に画像を表示するようになっている。
【0031】次に、液晶パネル64に表示される表示画像の制御について、図5乃至図8を参照して詳細に説明する。図5及び図6は、液晶パネル64に表示された識別情報80の可変表示態様を示している。液晶パネル64には、背景部77と、該背景部77を縦方向に三等分する区画部78と、各区画内に回転表示される仮想回転板81と、が表示されている。仮想回転板81の表裏の平面部は、上・中・下の3コマの識別情報80が表示される識別情報表示部79を構成しており、画面全体では9コマの識別情報80によって組合せゲームを行うことができるようになっている。
【0033】上述の説明から理解できるように、本実施例では、平面的な液晶パネル64上で2次元の画像を次々と切り換え表示することにより、仮想回転板81があたかも立体的な回転をしているかのように見せかけている。・・・
【0034】まず、図5の画像(A)を基準としてみると、画像(B)?(D)の各仮想回転板81は、順に横幅が狭くなってゆくように表示されている。画像(E)の仮想回転板81は、真横を向いた状態で側面のみが表示されている。従って、識別情報80を視認することはできない。・・・
【0036】・・・次に、仮想回転板81が回転することによって、識別情報80が変更される例について、図7及び図8を参照して説明する。図7を見て理解できるように、この例では、識別情報80として0?9までの数字を使用している。なお、0?9以外の数字、図形、キャラクター、記号、文字等を使用してもよい。また、各仮想回転板81上の識別情報80は、上から下へ順に数字が小さくなるように、且つ連続した並びで表示されるようになっており、各仮想回転板81の回転に伴う識別情報80の変更時には、識別情報80が上から下へと順に1コマ分だけずれて表示されるようになっている。なお、上記のように1コマ分だけずれて表示させるのではなく、2コマ或いは3コマのように複数コマ分ずつずれて表示されるようにしてもよいし、又は、半コマ分ずつずれて表示されるように、複数サイクルの切り換え表示を行うことにより1コマ分ずれるようにしてもよい。
【0037】具体的に、本実施例の場合には、図7の画像(a)の左列の仮想回転板81を例にすると、識別情報80は上から下へ「2・1・0」の順に表示されている。そして、前記仮想回転板81の回転に伴って識別情報80が変更されると「3・2・1」の順に表示される。以後、仮想回転板81が回転される毎に識別情報80は、上から下へと1コマ分だけずれた「4・3・2」、「5・4・3」、「6・5・4」・・・・「1・0・9」が次々と切り換え変更されて表示される。そして、「1・0・9」の表示で切り換え変更が一巡したことになり、次は元の「2・1・0」が表示されることになる。
【0038】識別情報80の変更タイミングは、図8の画像(e)から画像(f)に切り換え表示されるときに、つまり、仮想回転板81が90度の回転をした状態から、さらに回転を続けた状態を表示した画像(f)に切り換えられるときに変更されるようになっており、前記画像(f)が表示されたときは既に識別情報80の変更は終了している。従って、従来タイプのスクロール表示のように、識別情報が移動されつつ変更されるのとは違って、一瞬にして識別情報が変更されるという全く新しい可変表示態様を遊技者に提供することができる。・・・
【0042】表示画面の仮想回転板81の回転が停止終了したことにより、識別情報80の組合せが確定し、その識別情報80の組合せ結果に基づいた遊技内容が実行される。つまり、大当たりの組合せで回転が停止終了した場合は特別遊技が実行され、その他の組合せで回転が停止終了した場合は通常の遊技が実行される。・・・
と記載されている。
図5乃至8には、3つの識別情報表示部79の各々で3コマの識別情報を表示した液晶パネル64と、略長方形形状で内側に識別情報80が表示され、所定の厚みを有する立体形状とした仮想回転板81とが図示されており、仮想回転板81の外形形状を変更するような切り替え表示制御は行っていないものと認められる。
よって、摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献1には、
「3つの識別情報表示部79を有する液晶パネル64と、該液晶パネル64に表示される3つの仮想回転板81の表裏の平面部は、上・中・下の3コマの識別情報80が表示される識別情報表示部79を構成しており、各仮想回転板81の回転に伴う識別情報80の変更時には、識別情報80が上から下へと順に1コマ分だけずれて表示させるようになっており、前記液晶パネル64には背景部77が表示され、表示用マイクロコンピュータ74及び液晶パネル駆動回路75とから構成された画像表示制御手段としての画像表示制御基盤76によって、予め記憶された表示画像データに基づいて表示画像を作成し、前記液晶パネル駆動回路75を介して前記液晶パネル64に画像を表示するようになっており、
前記仮想回転板81の回転が停止終了したことにより、識別情報80の組合せが確定し、大当たりの組合せで回転が停止終了した場合は特別遊技が実行されるパチンコ機Pにおいて、
前記仮想回転板81を略長方形形状で内側に識別情報80が表示され、所定の厚みを有する立体形状とし、
前記画像表示制御手段による、識別情報80の変更タイミングは、前記仮想回転板81が90度の回転をした状態から、さらに回転を続けた状態を表示した画像(f)に切り換えられるときに変更されるようになっており、前記画像(f)が表示されたときは既に識別情報80の変更が終了しており、
前記仮想回転板81の外形形状を変更するような切り替え表示制御を行わないパチンコ機P。」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

(2)引用発明と本願補正発明との対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「3つの識別情報表示部79」は、本願補正発明の「複数の変動表示領域」に相当し、以下同様に、
「液晶パネル64」は「変動表示装置」に、
「識別情報80」は「識別情報」に、
「前記仮想回転板81の回転が停止終了したこと」は「前記変動表示遊技の結果」に、
「識別情報80の組合せが確定し、大当たりの組合せで回転が停止終了した場合」は「前記変動表示装置に表示される識別情報の停止態様が特定の組み合わせ態様を導出したときに」に、
「特別遊技が実行される」は「特典を付与可能」に、
「パチンコ機P」は「遊技機」に、
「仮想回転板81」は「ベース部」に、
各々相当する。
さらに、引用文献1の記載等からみて、以下のことが言える。
a.引用発明の「液晶パネル64にある仮想回転板81の表裏の平面部には、上・中・下の3コマの識別情報80が表示される識別情報表示部79を構成しており、各仮想回転板81の回転に伴う識別情報80の変更時には、識別情報80が上から下へと順に1コマ分だけずれて表示させるようになっており」について、上記記載及び図7、図8から、「仮想回転板81」の回転に伴って、「識別情報表示部79」の各々で3コマの識別情報80が回転し、それぞれのコマの数字が1つずつ大きく(ただし、9の場合は0となる)なるように変動表示されていることから、引用発明と、本願補正発明は、「該変動表示装置の変動表示領域の各々で複数の識別情報を回転させながら所定の順序に従って変動表示させる変動表示遊技を行う」点で一致している。
b.引用発明の「画像表示制御基盤76」について、「液晶パネル64」に表示を行う場合には、「画像表示制御基盤76」を介して行われるものであり、「画像表示制御基盤76」には、予め記憶された表示画像データに基づいて作成される表示画像を作成する表示用マイクロコンピュータを有していることから、「仮想回転板81」の回転表示や「識別情報80」の切り替え表示等の一切の表示制御については「画像表示制御基盤76」が行っており、上記「a.」で検討した点を踏まえれば、本願補正発明の「当該変動表示遊技の演出効果を高める背景画像表示を行う」点は別として、引用発明と、本願発明とは、「該変動表示装置の変動表示領域の各々で複数の識別情報を回転させながら所定の順序に従って変動表示させる変動表示遊技を行う表示制御手段」で一致している。
c.本願補正発明の「前記識別情報の背面にベース部を介在させて回転表示体を構成し」について、引用文献1の「仮想回転板81の表裏の平面部は、上・中・下の3コマの識別情報80が表示される」(段落【0031】)との記載、及び、引用文献1の「前記仮想回転板81の回転に伴って識別情報80が変更されると「3・2・1」の順に表示される。」(段落【0037】)との記載から、引用文献1の「仮想回転板81」は、「識別情報80」が表示された回転する表示体であるといえるから、引用発明と、本願補正発明とは、「前記識別情報の背面にベース部を介在させて回転表示体を構成」する点で一致する。
d.引用発明の「仮想回転板81を略長方形形状で内側に識別情報80が表示され、所定の厚みを有する立体形状とし」について、「仮想回転板81」の内側に「識別情報80」が表示されているのであるから、「識別情報80」からしてみれば、「仮想回転板81」は、「識別情報80」の外周側に膨らむように突出した外形形状であるものといえる。
e.引用発明の「前記画像表示制御手段による、識別情報80の変更タイミングは、仮想回転板81が90度の回転をした状態から、さらに回転を続けた状態を表示した画像(f)に切り換えられるときに変更されるようになっており、前記画像(f)が表示されたときは既に識別情報80の変更が終了しており」について、引用文献1の図8(e)には、識別情報80が記載されておらず、「画像(E)の仮想回転板81は、真横を向いた状態で側面のみが表示されている。従って、識別情報80を視認することはできない。」(段落【0034】)との記載からみても、図8(e)において、仮想回転板81が真横を向いた状態では、識別情報80が視認できないように設計されているものと認められる。さらに、引用発明の「識別情報80の変更タイミングは、仮想回転板81が90度の回転をした状態から、さらに回転を続けた状態を表示した画像(f)に切り換えられるときに変更される」との記載は、仮想回転板81が真横を向いた状態で、識別情報80の識別情報を変更しているものと認められる。よって、引用発明には、本願補正発明の「前記回転表示体を回転させる過程で、前記識別情報が真正面向きの状態にある回転表示体が、裏返る方向に略90度回転して前記識別情報の内容が認識不能な状態となったときに、当該識別情報を次の識別情報に切り替える」に実質的に相当する構成を有する。

以上を総合すると、両者は、
「複数の変動表示領域を有する変動表示装置と、該変動表示装置の変動表示領域の各々で複数の識別情報を回転させながら所定の順序に従って変動表示させる変動表示遊技を行う表示制御手段と、を
備え、
前記変動表示遊技の結果、前記変動表示装置に表示される識別情報の停止態様が特定の組み合わせ態様を導出したときに、遊技者に対し特典を付与可能とした遊技機において、前記識別情報の背面にベース部を介在させて回転表示体を構成し、前記ベース部を、該識別情報の外周側に膨らむように突出した外形形状で所定の厚みを有する立体形状とし、
前記表示制御手段は、前記回転表示体を回転させる過程で、前記識別情報が真正面向きの状態にある回転表示体が、裏返る方向に略90度回転して前記識別情報の内容が認識不能な状態となったときに、当該識別情報を次の識別情報に切り替え、表示制御を行う遊技機。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明では、「表示制御手段」が、「当該変動表示遊技の演出効果を高める背景画像表示を行う」のに対し、引用発明では、「画像表示制御基盤76」が、「背景部77」(本願補正発明の「背景画像表示」に相当する。)で、変動表示遊技の演出効果を高める表示を行っているか否かが不明な点
[相違点2]
「ベース部」の外形形状を、本願補正発明では、「識別情報の外周を縁取るよう」な外形形状であるのに対し、引用発明では、「仮想回転板81」が、識別情報80の外周を縁取る形状となっていない点
[相違点3]
本願補正発明は、「前記識別情報を、厚みを有する立体形状とするもの」であるのに対し、引用発明では、「識別情報80」が立体形状とはなっていない点
[相違点4]
本願補正発明では、「前記ベース部の外形形状を該切り替えられた識別情報に対応する外形形状に切り替え」る表示制御を行うのに対し、引用発明では「仮想回転板81」(本願補正発明の「ベース部」に相当する。)の外形形状を変更するような切り替え表示制御を行わない点
[相違点5]
本願補正発明では、「該切り替えられた識別情報の形状に閉じた領域がある場合には前記背景画像表示が視認可能となるように該閉じた領域に対応するようにベース部の内側にも閉じた領域を形成する」表示制御を行うのに対し、引用発明では、このような制御を行っていない点

(3)相違点の検討及び判断
[相違点1について]
変動表示遊技の演出効果を高める背景画像表示を行う技術は、遊技機の技術分野において、普通に行われている周知の技術(以下「周知技術1」という。)であり、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば、引用発明の「背景部77」に周知技術1を適用することに、何ら格別な困難性はない。
[相違点2、4について]
相違点2、4は、関連するのであわせて検討する。
遊技機の変動表示装置に表示される識別情報の外周を縁取るように該識別情報の外周側に膨らむように突出した外形形状で所定の厚みを有する立体形状を設けることは、特開平8?131627号公報(特に、図20?図23参照。)に記載されているように、周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。
よって、引用発明の「仮想回転板81」に上記周知技術2を適用し、「仮想回転板81」の形状を、「識別情報80」の外周を縁取るように該識別情報の外周側に膨らむように突出した外形形状で所定の厚みを有する立体形状に改変することは、当業者にとって適宜実施しうる設計事項にすぎない。
また、そのように改変すれば、引用発明の識別情報を次の識別情報に切り替える際に、「仮想回転板81」の形状を次の識別情報に対応する外形形状に切り替えるように構成することは、当然行われることである。
[相違点3について]
遊技機の変動表示装置に表示される識別情報を、厚みを有する立体形状とすることは、特開平8?332264号公報(特に、図4、図5参照。)、特開平8?309003号公報(特に、図3?図6参照。)に記載されているように周知の技術(以下「周知技術3」という。)である。
よって、引用発明の「識別情報80」に上記周知技術3を適用することは、当業者にとって格別な困難性はない。
[相違点5について]
識別情報の形状に閉じた領域がある場合には背景画像表示を閉じた領域から視認可能となるように、識別情報を表示することは、特開2000?33146号公報(特に、図9?12、図18参照。)、特開平8?299549号公報(特に、図7?10参照。)に記載されているように、周知の技術(以下「周知技術4」という。)である。
よって、引用発明の「識別情報80」及び「仮想回転板81」に適用して、識別情報の閉じた領域から背景画像を視認可能となるように、「識別情報80」の閉じた領域に対応する「仮想回転板81」の内側に、閉じた領域を形成して、背景部77を表示制御することは、当業者にとって容易に想到しうることである。

さらに、本願補正発明の作用効果も、引用発明、周知技術1乃至4に基づき、当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、周知技術1乃至4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおりであるので、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反し、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成20年5月23日付の手続補正書は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年1月30日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される。以下のとおりのものである。
「複数の変動表示領域を有する変動表示装置と、該変動表示装置の変動表示領域の各々で複数の識別情報を回転させながら所定の順序に従って変動表示させる変動表示遊技を行うとともに、当該変動表示遊技の演出効果を高める背景画像表示を行う表示制御手段と、を備え、
前記変動表示遊技の結果、前記変動表示装置に表示される識別情報の停止態様が特定の組み合わせ態様を導出したときに、遊技者に対し特典を付与可能とした遊技機において、
前記識別情報の背面にベース部を介在させて回転表示体を構成し、
前記ベース部を、前記識別情報の外周を縁取るように該識別情報の外周側に膨らむように突出した外形形状で所定の厚みを有する立体形状とするとともに、前記識別情報を、厚みを有する立体形状とするものとし、
前記表示制御手段は、
前記回転表示体を回転させる過程で、前記識別情報が真正面向きの状態にある回転表示体が、裏返る方向に略90度回転して前記識別情報の内容が認識不能な状態となったときに、当該識別情報を次の識別情報に切り替えるとともに、前記ベース部の外形形状を該切り替えられた識別情報に対応する外形形状に切り替える表示制御を行うことを特徴とする遊技機。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1及び記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比
本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明の「表示制御手段」の機能について、「該切り替えられた識別情報の形状に閉じた領域がある場合には前記背景画像表示が視認可能となるように該閉じた領域に対応するようにベース部の内側にも閉じた領域を形成する」の限定がなくなり、本願補正発明の「表示制御手段」を上位概念化するものである。
そうすると、本願発明の構成要件の一部を下位概念化した本願補正発明が、前記「第二.3.(3)」に記載したとおり、引用発明、及び、周知技術1乃至4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、及び、周知技術1乃至4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び、周知技術1乃至4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-08-14 
結審通知日 2009-08-18 
審決日 2009-08-31 
出願番号 特願2000-36962(P2000-36962)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大浜 康夫  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 井上 昌宏
森 雅之
発明の名称 遊技機  
代理人 荒船 良男  
代理人 大日方 富雄  
代理人 荒船 博司  

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