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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02F
管理番号 1206450
審判番号 不服2007-3468  
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-05 
確定日 2009-11-04 
事件の表示 特願2002-343952「2サイクルエンジンにおけるシリンダ製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月 3日出願公開、特開2003-184638〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本件出願は、平成14年11月27日(パリ条約による優先権主張2001年11月28日、ドイツ国)に出願されたものであり、平成18年1月13日付けの拒絶理由通知に対して、平成18年4月13日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成18年10月27日付けで拒絶査定がなされた。
そして、平成19年2月5日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成19年2月28日付けで手続補正書が提出されて、明細書を補正する手続補正がなされ、その後、当審において、平成20年11月5日付けで書面による審尋がなされ、平成21年4月8日付けで審尋に対する回答書が提出されたものである。

第2.平成19年2月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年2月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
平成19年2月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、明細書の特許請求の範囲について、本件補正により補正される前の、平成18年4月13日付けの手続補正書により補正された、
「【請求項1】2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法であって、エンジンのシリンダ(2)が筒状のピストン走行面(3)によって画成されたシリンダ内部空間(4)を有し、ピストン走行面(3)がシリンダ穴(6)に被着された被覆部(7)の内側の表面(5)によって形成され、ピストン走行面(3)に配置される吸気窓(9)を介してシリンダ内部空間(4)に開口する少なくとも1つの搬送通路(8)が設けられている前記2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法において、
シリンダ穴(6)の表面(5)を機械的加工により加工して被覆部(7)を被着させるための前処理を行なうステップと、
前記機械的加工の結果生じる、吸気窓(9)を縁取る窓縁(10)を、折れ曲がった窓縁(10’)が生じるように少なくとも部分的に加工するステップと、
シリンダ穴(6)の表面(5)に被覆部(7)を備えさせて、被覆部(7)が折れ曲がった窓縁(10’)を少なくとも部分的に覆うようにし、且つ折れ曲がった窓縁(10’)の領域に、搬送通路(8)の通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなっている部位(11)を生じさせるようにするステップと、
被覆した折れ曲がった窓縁(10’)の領域に被覆部エッジ(14)が形成され、通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなっている前記部位(11)に対する被覆部エッジ(14)の壁間隔(H)が0.7mmの最大値を有するように、ピストン走行面(3)を形成させるための被覆部(7)を仕上げ寸法に加工するステップと、を含む製造方法。
【請求項2】被覆部エッジ(14)がシリンダ軸線(13)に対し半径方向において前記部位(11)に対し最大値が0.8mmの半径方向の間隔(C)を持つように、被覆工程とこれに続く表面加工工程とを互いに整合させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】壁間隔(H)がその最大値の大きさのときに半径方向の間隔(C)を狭く設定し、半径方向の間隔(C)がその最大値の大きさのときに壁間隔(H)を狭く設定することを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】半径方向の間隔(C)と壁間隔(H)の値を対で設定し、半径方向の最大許容間隔(C)は壁間隔(H)が増大するにつれて線形関数的に減少することを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】被覆部(7)が通路軸線(12)に対する半径方向において、被覆されていない通路壁(15)に対し著しく突出しないように、折れ曲がった窓縁(10)の領域で被覆部(7)を形成させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項6】被覆部(7)を搬送通路(8)内へ引き込むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項7】被覆部(7)を搬送通路(8)内へ引き込むことにより生じる被覆部の隆起部位(16)の厚み(V)が許容値0.03mmを越えないように、且つ隆起部位(16)と通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなった前記部位(11)との間に少なくとも0.2mmの長さ(L)の直線状部分(17)が残るように、搬送通路(8)内に被覆部を形成させることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。」

「【請求項1】2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法であって、エンジンのシリンダ(2)が筒状のピストン走行面(3)によって画成されたシリンダ内部空間(4)を有し、ピストン走行面(3)がシリンダ穴(6)に被着された被覆部(7)の内側の表面(5)によって形成され、ピストン走行面(3)に配置され窓縁(10)を備えた吸気窓(9)を介してシリンダ内部空間(4)に開口する少なくとも1つの搬送通路(8)が設けられ、燃料・空気混合気が吸気窓(9)からシリンダ内部空間(4)内へ支障のない流動案内により流入するときにシリンダ内部空間(4)内にある排ガスが排気通路(25)を通じて外部へ押し出されるように窓縁(10)を形成させるようにした、前記2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法において、
シリンダ穴(6)の表面(5)を機械的加工により加工して被覆部(7)を被着させるための前処理を行なうステップと、
前記機械的加工の結果生じる、吸気窓(9)を縁取る窓縁(10)を、折れ曲がった窓縁(10’)が生じるように少なくとも部分的に加工するステップと、
シリンダ穴(6)の表面(5)に被覆部(7)を備えさせて、被覆部(7)が折れ曲がった窓縁(10’)を少なくとも部分的に覆うようにし、且つ折れ曲がった窓縁(10’)の領域に、搬送通路(8)の通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなっている部位(11)を生じさせるようにするステップと、
被覆した折れ曲がった窓縁(10’)の領域に被覆部エッジ(14)が形成され、通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなっている前記部位(11)に対する被覆部エッジ(14)の壁間隔(H)が0.7mmの最大値を有するように、ピストン走行面(3)を形成させるための被覆部(7)を仕上げ寸法に加工するステップと、
を含む製造方法。
【請求項2】被覆部エッジ(14)がシリンダ軸線(13)に対し半径方向において前記部位(11)に対し最大値が0.8mmの半径方向の間隔(C)を持つように、被覆工程とこれに続く表面加工工程とを互いに整合させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】壁間隔(H)がその最大値の大きさのときに半径方向の間隔(C)を狭く設定し、半径方向の間隔(C)がその最大値の大きさのときに壁間隔(H)を狭く設定することを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】半径方向の間隔(C)と壁間隔(H)の値を対で設定し、半径方向の最大許容間隔(C)は壁間隔(H)が増大するにつれて線形関数的に減少することを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】被覆部(7)が通路軸線(12)に対する半径方向において、被覆されていない通路壁(15)に対し著しく突出しないように、折れ曲がった窓縁(10)の領域で被覆部(7)を形成させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項6】被覆部(7)を搬送通路(8)内へ引き込むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項7】被覆部(7)を搬送通路(8)内へ引き込むことにより生じる被覆部の隆起部位(16)の厚み(V)が許容値0.03mmを越えないように、且つ隆起部位(16)と通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなった前記部位(11)との間に少なくとも0.2mmの長さ(L)の直線状部分(17)が残るように、搬送通路(8)内に被覆部を形成させることを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。」
へと補正するものである。

2.本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の請求項1の「ピストン走行面(3)に配置される吸気窓(9)を介してシリンダ内部空間(4)に開口する少なくとも1つの搬送通路(8)が設けられている前記2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法」について、「窓縁(10)を備えた」及び「燃料・空気混合気が吸気窓(9)からシリンダ内部空間(4)内へ支障のない流動案内により流入するときにシリンダ内部空間(4)内にある排ガスが排気通路(25)を通じて外部へ押し出されるように窓縁(10)を形成させるようにした」という発明特定事項を付加することによって、「ピストン走行面(3)に配置され窓縁(10)を備えた吸気窓(9)を介してシリンダ内部空間(4)に開口する少なくとも1つの搬送通路(8)が設けられ、燃料・空気混合気が吸気窓(9)からシリンダ内部空間(4)内へ支障のない流動案内により流入するときにシリンダ内部空間(4)内にある排ガスが排気通路(25)を通じて外部へ押し出されるように窓縁(10)を形成させるようにした、前記2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法」と限定する補正を含むものである。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.本件補正の適否
上記2.で検討したように、本件補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3-1.引用文献記載の発明
(1)原査定の拒絶理由に引用された、本件出願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平6-159131号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。

ア.「【請求項3】 アルミニウム合金ダイカスト製エンジンシリンダに、脱脂等の前処理を行なった後、該エンジンシリンダのピストンとの摺動面に無電解Ni-Bメッキを施し、その後、該ピストン摺動面をホーニング加工することを特徴とするエンジンシリンダの製造方法。」(【特許請求の範囲】の【請求項3】)

イ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム合金製2サイクルエンジンの構造と、該エンジンシリンダのピストンとの摺動面に適用される表面処理方法に関する。」(段落【0001】)

ウ.「【0002】
【従来の技術】従来のアルミニウム合金ダイカスト製2サイクルシリンダは、図3に示すように母材2のピストン、ピストンリングとの摺動面5に電気メッキ法によりCrメッキを施工し皮膜4を形成して耐摩耗性、耐焼付性を確保している。」(段落【0002】)

エ.「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで前述のように現在使用されているアルミニウム合金製エンジンのピストン摺動面へのCrメッキ施工は電気メッキ法によって行なわれ、これにより該ピストン摺動面に皮膜4が形成されている。
【0004】電気メッキは、電解液中で処理面と電極とを対向させ通電することで、図3に示すエンジン母材2の処理面5に皮膜4を形成する手法であるが、このメッキ法の欠点として皮膜の均一性が低い点があげられる。
【0005】これは処理面5への電流分布に起因するもので、角部、端部等の形状が連続していない処理面部分6、あるいは突起状となった部分に電流が集中しやすく、その結果電流集中部には7に示すように皮膜が厚く、その他の部位は8に示すように皮膜が薄くなり、不均一な皮膜分布となる。
【0006】このため仕上げ代3を考慮すれば処理後の最低膜厚4aを薄膜部4aに設定することが必要で、電流集中部は過大な膜厚7となり不必要な仕上げ加工を余儀なくされる。
【0007】特に吸気,排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部はこの傾向が著しく仕上加工時の工具によって皮膜の欠損等が生じるため、面取りによって過大膜厚となることを緩和しようと試みているが、その効果は乏しい。
【0008】またCrメッキ法自体が六価クロムを使用するため地球環境保護の観点から廃止の方向へ向う可能性は大きい。
【0009】以上のことから、Crメッキに代わる表面処理皮膜で、膜厚の均一性があり低公害の処理が必要である。
【0010】本発明は上述のような従来技術の不具合点を解決する新たなエンジンシリンダとその製造方法を提供することを目的としている。」(段落【0003】?【0010】)

オ.「【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のエンジンシリンダにおいては、アルミニウム合金製エンジンシリンダのピストン摺動面に無電解Ni-Bメッキを施している。
【0012】また前記無電解Ni-Bメッキを、無電解Ni-Pメッキ層をピストン摺動面に施した層の上にさらに施したものも効果的である。
【0013】そして、このようなアルミニウム合金ダイカスト製エンジンシリンダの製造方法としては、該エンジンシリンダに脱脂等の前処理を施したのち、該エンジンシリンダのピストンとの摺動面に無電解Ni-Bメッキを施し、その後該ピストン摺動面をホーニング加工する製造方法がある。
【0014】さらに、前記前処理の後、ピストン摺動面に無電解Ni-Pメッキを施し、その上に前記無電解Ni-Bメッキを施す別の製造方法も効果的である。」(段落【0011】?【0014】)

カ.「【0015】
【作用】上記のように構成された本発明によれば、アルミニウム合金製エンジンシリンダのピストン摺動面に無電解Ni-Bメッキを直接又は間接的に施したため、処理面に施された全体のメッキ皮膜がほぼ均一で、特にエンジンの吸気・排気ポートと、シリンダのピストン摺動面との交差部(図1に示すA部)についても過大膜厚とはならず、他の部位とほぼ等しい膜厚を得られる。
【0016】このため仕上げ加工も容易で、仕上げ加工時における皮膜欠損等の不具合も生じない。」(段落【0015】及び【0016】)

キ.「【0017】
【実施例】以下図面により本発明の一実施例について説明する。図1は本発明の1実施例であるピストン摺動面に無電解Ni-Bメッキを施したエンジンシリンダの断面図、図2は図1のA部拡大図である。
【0018】これらの図において1はアルミニウム合金ダイカスト製エンジンシリンダの母材2aのピストン摺動面に施されたメッキ皮膜で、該皮膜1は母材2aに前処理(脱脂,亜鉛置換)を行なった後、無電解Ni-Pメッキを約1μm施工した後、その上にさらに無電解Ni-Bメッキを約20μm施工した。皮膜の均一性を要するためのメッキ法として無電解メッキ法を採用している。また処理液は低公害性のものであることを条件として選定している。
【0019】その後該メッキ層をホーニング仕上げにて約5μm研摩し、図2に示す仕上げ加工位置3になるようにし、メッキ皮膜の残膜厚を約15μmに仕上げるように構成している。
【0020】図1におけるA部はエンジンの吸気及び排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部である。
【0021】本発明により製造された製品を実機に組み込み運転したところ、結果は良好で、特に従来のCrメッキ品に比較して遜色がなかった。
【0022】なおメッキ皮膜の硬さはHV750?HV850を得られており、従来のCrメッキとほぼ同等で耐摩耗性に優れている。
【0023】以上本発明の一実施例につき説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、本発明技術思想の範囲内において種々設計変更し得るものであり、それらは何れも本発明の技術的範囲に属するものである。」(段落【0017】?【0023】)

ク.「【0024】
【発明の効果】以上述べたように本発明の製造方法により製作されたエンジンシリンダによれば、ピストン摺動面に施されたメッキ皮膜の膜厚の不均一さが極めて少ないため仕上げ加工も容易でメッキ皮膜の欠損等の不具合も生じない。
【0025】また実機試運転の結果も極めて良好で、従来のCrメッキ品に比較して耐摩耗性,耐焼付性の点でも何等の遜色がなかった。」(段落【0024】及び【0025】)

ケ.「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係るエンジンシリンダの断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】従来法によるエンジンのポートとシリンダ交差部のCrメッキ皮膜分布状態を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 無電解Ni-Bメッキ皮膜
2a 母材
3 仕上げ加工位置
A エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部」(【図面の簡単な説明】及び【符号の説明】)

(2)上記(1)のア.?ケ.の記載事項及び図面からわかること。
コ.上記(1)のカ.、ケ.の記載事項及び図1から、次のことがわかる。
図1には、2つの符号「A」が記載され、一方、明細書においては、上記(1)のカ.で、「エンジンの吸気・排気ポートと、シリンダのピストン摺動面との交差部(図1に示すA部)」と、上記(1)のケ.で「A エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部」と、それぞれ記載されているが、引用文献を全体としてみると、符号「A」は、「エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部」と対応していることがわかる。
そこで、符号「A」については、以下、「エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部A」と統一して記載する。

サ.上記(1)のア.、カ.、キ.、ケ.の記載事項及び図2から、次のことがわかる。
図2には、符号「1」に対応して「めっき皮膜」と記載され、一方、明細書においては、上記(1)のア.で、「無電解Ni-Bメッキ」と、上記(1)のカ.で、「無電解Ni-Bメッキを直接又は間接的に施した」と、上記(1)のキ.で、「1は」「メッキ皮膜」及び「該皮膜1は」「無電解Ni-Pメッキを約1μm施工した後、その上にさらに無電解Ni-Bメッキを約20μm施工した」と、上記(1)のケ.で、「1 無電解Ni-Bメッキ皮膜」と、それぞれ記載されているが、引用文献を全体としてみると、符号「1」は、「無電解Ni-Bメッキ」からなる「皮膜」と対応していることがわかる。
そこで、符号「1」については、以下、「無電解Ni-Bメッキ皮膜1」と統一して記載する。

シ.上記(1)のウ.、エ.、キ.、ケ.の記載事項及び図2、3から、次のことがわかる。
エンジンのポートとシリンダ交差部に関する図3には、符号「5」及び「6」が記載され、一方、明細書においては、上記(1)のウ.で、「摺動面5」と、上記(1)のエ.で、「処理面5」と「ピストン摺動面」及び「処理面部分6」と、上記(1)のキ.で、「ピストン摺動面」と、それぞれ記載されている。
ところで、エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部に関する図2には、符号「5」及び「6」が記載されていないが、引用文献を全体としてみると、図2の母材2aにも、図3の母材2の符号「5」及び「6」に対応した位置に、母材2aの「処理面」と「ピストン摺動面」及び「処理面部分」がそれぞれ位置することがわかる。
ここで、母材2aの「処理面」と「ピストン摺動面」に関して、「処理面」が、「無電解Ni-Bメッキ皮膜1」と明確に区別される概念であるのに対して、「ピストン摺動面」は、「無電解Ni-Bメッキ皮膜1」の有無を問わない概念である。

ス.上記(1)のウ.、エ.、キ.の記載事項及び図1?3並びに上記シ.から、次のことがわかる。
シリンダの母材2aとピストンは、シリンダのピストン摺動面に沿って互いに摺動するから、ピストンは、ピストン摺動面によって穴のように一端が開放され、筒状に画成される空間の内部に位置することがわかる。

セ.上記(1)のウ.、エ.、キ.、ケ.の記載事項及び図1?3並びに上記シ.、ス.から、次のことがわかる。
シリンダをダイカストにより製造する際には、ダイカストマシンを用いて原材料を「機械的加工」により加工して、「シリンダ穴」を含むシリンダとすることが明らかであるとともに、「シリンダ穴」の処理面の「前処理」として、「機械的加工」により加工することは、技術常識(例えば、特開昭61-182443号公報の第2ページ左下欄4?16行、特公平3-9822号公報の第4欄41行?第5欄34行、特開平7-97675号公報の第5欄22?47行等参照。)である。
そして、これらの「機械的加工」は、無電解Ni-Bメッキ皮膜1を施工する前の「機械的加工」として一連の加工である。
そうすると、「シリンダ穴」の処理面を「機械的加工」により加工することの結果、エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aを生じさせることがわかる。

ソ.上記(1)のウ.、エ.、キ.の記載事項及び図1?3並びに上記シ.から、次のことがわかる。
図2から、無電解Ni-Bメッキ皮膜1が処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aを覆っていることがわかる。
また、図1から、吸・排気ポートには、シリンダへの吸気及びシリンダからの排気のための「通路」が、シリンダと「通路」の軸線が交差するように設けられるとともに、エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aの領域において、「通路」の間隔が最も狭くなっていることがわかる。
そして、これらを無電解Ni-Bメッキ皮膜1の施工に併せて言い換えると、「無電解Ni-Bメッキ皮膜1が処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aを覆うようにし、且つ処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aの領域に、通路の通路軸線に対し間隔が最も狭くなっている部位を生じさせる」と言える。

タ.上記(1)のア.、キ.の記載事項及び図2並びに上記シ.から、次のことがわかる。
図2の無電解Ni-Bメッキ皮膜1の残膜厚の寸法を、仕上加工位置3で示される寸法となるように、ホーニング仕上げにて研磨することから、仕上加工位置3に仕上げられる無電解Ni-Bメッキ皮膜1に、「エッジ」が形成されることがわかる。

(3)引用文献記載の発明
上記(1)のア.?ケ.の記載事項及び図1?3並びに上記(2)のコ.?タ.から、引用文献には次の発明が記載されている。
「2サイクルエンジンにおけるシリンダの製造方法であって、エンジンのシリンダが筒状のピストン摺動面によって画成されたシリンダの内部空間を有し、ピストン摺動面がシリンダ穴に施工された無電解Ni-Bメッキ皮膜1の内側の処理面によって形成された前記2サイクルエンジンにおけるシリンダの製造方法において、
シリンダ穴の処理面を機械的加工により加工して無電解Ni-Bメッキ皮膜1を施工させるための前処理を行うステップと、
前記機械的加工の結果生じる、エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aを、処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aが生じるように面取りするステップと、
シリンダ穴の処理面に無電解Ni-Bメッキ皮膜1を備えさせて、無電解Ni-Bメッキ皮膜1が処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aを覆うようにし、且つ処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aの領域に、通路の通路軸線に対し間隔が最も狭くなっている部位を生じさせるようにするステップと、
被覆した処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aの領域にエッジが形成され、ピストン摺動面を形成させるための無電解Ni-Bメッキ皮膜1を仕上加工位置3の寸法にホーニング加工するステップと、
を含む製造方法。」(以下、「引用文献記載の発明」という。)

3-2.対比
本件補正発明と引用文献記載の発明とを対比すると、引用文献記載の発明における「2サイクルエンジン」は、その技術的意義からみて、本件補正発明における「2サイクルエンジン(1)」に相当し、以下同様に、「シリンダ」は「シリンダ(2)」に、「ピストン摺動面」は「ピストン走行面(3)」に、「シリンダの内部空間」は「シリンダ内部空間(4)」に、「シリンダ穴」は「シリンダ穴(6)」に、「施工」は「被着」に、「無電解Ni-Bメッキ皮膜1」は「被覆部(7)」に、「処理面」は「表面(5)」に、「エッジ」は「被覆部エッジ(14)」に、「仕上加工位置3の寸法」は「仕上げ寸法」に、「ホーニング加工」は「加工」に、それぞれ相当する。
そして、引用文献記載の発明における「エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部A」と本件補正発明における「吸気窓(9)を縁取る窓縁(10)」は、シリンダ内部空間への「開口部を縁取る窓縁」である限りにおいて一致するから、この限りにおいて、引用文献記載の発明における「処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部A」は、本件補正発明における「折れ曲がった窓縁(10’)」に相当し、以下同様に、「エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aを、処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aが生じるように面取りする」は「開口部を縁取る窓縁を、折れ曲がった窓縁(10’)が生じるように少なくとも部分的に加工する」に、「シリンダ穴の処理面に無電解Ni-Bメッキ皮膜1を備えさせて、無電解Ni-Bメッキ皮膜1が処理面部分を含むエンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部Aを覆うように」は「シリンダ穴(6)の表面(5)に被覆部(7)を備えさせて、被覆部(7)が折れ曲がった窓縁(10’)を少なくとも部分的に覆うように」に、それぞれ相当する。
また、引用文献記載の発明における「通路」と本件補正発明における「搬送通路(8)」は、シリンダ内部空間に開口する「通路」である限りにおいて一致するから、この限りにおいて、引用文献記載の発明における「通路軸線」は、本件補正発明における「通路軸線(12)」に相当する。
よって本件補正発明と引用文献記載の発明とは、
「2サイクルエンジンにおけるシリンダの製造方法であって、エンジンのシリンダが筒状のピストン走行面によって画成されたシリンダ内部空間を有し、ピストン走行面がシリンダ穴に被着された被覆部の内側の表面によって形成された、前記2サイクルエンジンにおけるシリンダの製造方法において、
シリンダ穴の表面を機械的加工により加工して被覆部を被着させるための前処理を行なうステップと、
前記機械的加工の結果生じる、開口部を縁取る窓縁を、折れ曲がった窓縁が生じるように少なくとも部分的に加工するステップと、
シリンダ穴の表面に被覆部を備えさせて、被覆部が折れ曲がった窓縁を少なくとも部分的に覆うようにし、且つ折れ曲がった窓縁の領域に、通路の通路軸線に対し間隔が最も狭くなっている部位を生じさせるようにするステップと、
被覆した折れ曲がった窓縁の領域に被覆部エッジが形成され、ピストン走行面を形成させるための被覆部を仕上げ寸法に加工するステップと、
を含む製造方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

本件補正発明においては、「ピストン走行面(3)に配置され窓縁(10)を備えた吸気窓(9)を介してシリンダ内部空間(4)に開口する少なくとも1つの搬送通路(8)が設けられ、燃料・空気混合気が吸気窓(9)からシリンダ内部空間(4)内へ支障のない流動案内により流入するときにシリンダ内部空間(4)内にある排ガスが排気通路(25)を通じて外部へ押し出されるように窓縁(10)を形成させるようにした」ものであるとともに、各「ステップ」が「吸気窓(9)を縁取る窓縁(10)」及び「搬送通路」を対象とし、さらに、「通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなっている前記部位(11)に対する被覆部エッジ(14)の壁間隔(H)が0.7mmの最大値を有するように」「仕上げ寸法」に「加工」するのに対して、引用文献記載の発明においては、そもそも、各「ステップ」が「開口部を縁取る窓縁」である「エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部A」及び「通路」を対象とするにすぎず、さらに、どのような「仕上げ寸法」に「加工」するか、不明である点(以下、「相違点」という。)。

3-3.判断
(1)相違点について
「2サイクルエンジン」において、「吸気窓」を介して「シリンダ内部空間」に開口する「搬送通路」が設けられることは、「2サイクルエンジン」における技術常識からみて、自明の構成であるとともに、「ピストン走行面」に配置され「窓縁」を備えた「吸気窓」を介して「シリンダ内部空間」に開口する「搬送通路」が設けられ、燃料・空気混合気が「吸気窓」から「シリンダ内部空間」内へ支障のない流動案内により流入するときに「シリンダ内部空間」内にある排ガスが「排気通路」を通じて外部へ押し出されるように「窓縁」を形成させることは、本件出願の優先権主張の日前の周知の技術(以下、「周知技術」という。例えば、特開平8-277716号公報の段落【0010】?【0019】(第5欄5行?第6欄47行)及び図1?4、特開平10-47066号公報の段落【0010】?【0014】(第3欄35行?第5欄5行)及び図1?5、特開平10-176537号公報の段落【0017】?【0028】(第4欄29行?第7欄10行)及び図1?6等参照。)である。
そして、「吸気窓」を縁取る「窓縁」は、引用文献記載の発明における「エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部A」と同様に、「エンジン」の「吸気窓」と「シリンダ」の「ピストン摺動面」と交差する角部をなすものであるとともに、「搬送通路」は、引用文献記載の発明における「通路」が、「開口部」である「エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部A」を介して「シリンダ内部空間」に開口すると同様に、「吸気窓」を介して「シリンダ内部空間」に開口するものであり、引用文献記載の発明において、周知技術を採用する際に、「エンジンの吸・排気ポートとシリンダのピストン摺動面との交差角部A」に加えて、同様の交差角部である「吸気窓」を縁取る「窓縁」及び「搬送通路」についても、引用文献記載の発明における各「ステップ」の対象とすることは、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。
また、「通路軸線」に対し間隔が最も狭くなっている「部位」に対する「被覆部エッジ」の「壁間隔」の寸法を好適な値に設定することは、設計的事項である。
そうすると、引用文献記載の発明において、当然に具備すべき「吸気窓」及び「搬送通路」に関する構成として、周知技術を採用し、その際、「吸気窓」を縁取る「窓縁」及び「搬送通路」についても、上記各「ステップ」の対象として選択するとともに、「壁間隔」の寸法を好適な値に設定し、相違点に係る本件補正発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。

(2)本件補正発明を全体としてみても、その作用効果は、引用文献記載の発明及び周知技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものとは認められない。

3-4.まとめ
したがって、本件補正発明は、引用文献記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

第3.本件発明について
1.本件発明
平成19年2月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、平成18年4月13日付けの手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法であって、エンジンのシリンダ(2)が筒状のピストン走行面(3)によって画成されたシリンダ内部空間(4)を有し、ピストン走行面(3)がシリンダ穴(6)に被着された被覆部(7)の内側の表面(5)によって形成され、ピストン走行面(3)に配置される吸気窓(9)を介してシリンダ内部空間(4)に開口する少なくとも1つの搬送通路(8)が設けられている前記2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法において、
シリンダ穴(6)の表面(5)を機械的加工により加工して被覆部(7)を被着させるための前処理を行なうステップと、
前記機械的加工の結果生じる、吸気窓(9)を縁取る窓縁(10)を、折れ曲がった窓縁(10’)が生じるように少なくとも部分的に加工するステップと、
シリンダ穴(6)の表面(5)に被覆部(7)を備えさせて、被覆部(7)が折れ曲がった窓縁(10’)を少なくとも部分的に覆うようにし、且つ折れ曲がった窓縁(10’)の領域に、搬送通路(8)の通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなっている部位(11)を生じさせるようにするステップと、
被覆した折れ曲がった窓縁(10’)の領域に被覆部エッジ(14)が形成され、通路軸線(12)に対し間隔が最も狭くなっている前記部位(11)に対する被覆部エッジ(14)の壁間隔(H)が0.7mmの最大値を有するように、ピストン走行面(3)を形成させるための被覆部(7)を仕上げ寸法に加工するステップと、を含む製造方法。」

2.引用文献記載の発明
原査定の拒絶理由に引用された、本件出願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である引用文献(特開平6-159131号公報)には、前記第2.[理由]3-1.に記載したとおり、引用文献記載の発明が記載されている。

3.対比・判断
本件発明は、上記第2.[理由]2.で検討した本件補正発明における発明特定事項である「ピストン走行面(3)に配置され窓縁(10)を備えた吸気窓(9)を介してシリンダ内部空間(4)に開口する少なくとも1つの搬送通路(8)が設けられ、燃料・空気混合気が吸気窓(9)からシリンダ内部空間(4)内へ支障のない流動案内により流入するときにシリンダ内部空間(4)内にある排ガスが排気通路(25)を通じて外部へ押し出されるように窓縁(10)を形成させるようにした、前記2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法」から「窓縁(10)を備えた」及び「燃料・空気混合気が吸気窓(9)からシリンダ内部空間(4)内へ支障のない流動案内により流入するときにシリンダ内部空間(4)内にある排ガスが排気通路(25)を通じて外部へ押し出されるように窓縁(10)を形成させるようにした」との発明特定事項を省くことにより、「ピストン走行面(3)に配置される吸気窓(9)を介してシリンダ内部空間(4)に開口する少なくとも1つの搬送通路(8)が設けられている前記2サイクルエンジン(1)におけるシリンダ(2)の製造方法」へとしたものに相当する。
そうすると、本件発明の発明特定事項をすべて含む本件補正発明が、上記第2.[理由]3-3.で検討したとおり、引用文献記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明も、同様の理由により、引用文献記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、審判請求人は、平成21年4月8日付けの回答書において、「搬送通路」を「掃気通路」と限定するとともに、「燃料・空気混合気が掃気通路(8)の吸気窓(9)からシリンダ内部空間(4)内へ流入する際に該燃料・空気混合気をシリンダ中心軸線(13)を境にして排気通路(25)とは逆の側へ指向させる」ものである旨限定する補正の用意がある旨回答しているが、これらの発明特定事項についても、上記3-3.(1)において例示した、特開平8-277716号公報の段落【0010】?【0020】(第5欄5行?第6欄47行)及び図1?4、特開平10-47066号公報の段落【0010】?【0014】(第3欄35行?第5欄5行)及び図1?5、特開平10-176537号公報の段落【0018】?【0028】及び図1?6等に示されているように、本件出願の優先権主張の日前の周知の技術であり、上記3-3.で検討したと同様の理由により、引用文献記載の発明及び周知技術並びに当該周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本件発明は、引用文献記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-06-03 
結審通知日 2009-06-09 
審決日 2009-06-23 
出願番号 特願2002-343952(P2002-343952)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02F)
P 1 8・ 575- Z (F02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 雄二  
特許庁審判長 深澤 幹朗
特許庁審判官 志水 裕司
金澤 俊郎
発明の名称 2サイクルエンジンにおけるシリンダ製造方法  
代理人 藤田 アキラ  

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