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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  A01K
審判 全部無効 2項進歩性  A01K
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A01K
管理番号 1207818
審判番号 無効2007-800177  
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-28 
確定日 2009-12-15 
事件の表示 上記当事者間の特許第2534031号発明「動物用排尿処理材」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本件特許第2534031号は、平成6年12月29日に特許出願され、平成8年6月27日に特許権の設定登録が行われた。
そして、無効審判請求人松井佳章により請求項1?5に係る特許について本件無効審判の請求がなされ、被請求人から答弁書が提出され、平成20年4月9日に口頭審理が行われた。その後、被請求人から同年4月18日付け及び同年5月1日付け上申書が、請求人から同年4月28日付け上申書がそれぞれ提出されたものである。
本件特許の請求項1?5に係る発明は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。(以下、請求項1?5に係る発明を、それぞれ「本件発明1」?「本件発明5」という。)
「【請求項1】吸水性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆されていることを特徴とする動物用排尿処理材。
【請求項2】上記核部分が表層より暗色系の顔料又は染料にて着色されていることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項3】上記核部分が無機顔料を含有していることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項4】上記核部分が水溶性の顔料又は染料にて着色されていることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項5】上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成ることを特徴とする動物用排尿処理材。」

2.請求人の主張
無効審判請求人は、審判請求書及び平成20年4月9日付け口頭審理陳述要領書において、以下の無効理由を主張をしている。
[無効理由1及び2]
(1)本件発明1?本件発明4は、甲第1号証(特開平6-315330号公報)、甲第2号証(特開平6-237661号公報)又は甲第3号証(WO93/14626)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項の規定に違反して特許されたものである。
仮に、微差があるとしても、それらは当業者が適宜変更しえる程度のものであるから、本件発明1?本件発明4は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(2)本件発明5は、甲第1号証(特開平6-315330号公報)及び甲第4号証(特開平5-328866号公報)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

[無効理由3]
(3)本件特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

3.被請求人の反論
無効審判被請求人は、答弁書において、以下の主張をしている。
[無効理由1及び2]
本件請求項1乃至5に記載の排泄物処理材において、吸尿すると核部分の色を表層を通して(透過して)露見せしめ、或いは吸尿すると核部分の着色を表層に滲潤して露見せしめ、使用前・使用後の判別(排尿の有無の判別)に資する発明思想は本件特許発明によって初めて提供されたものである。
甲1乃至甲4の各公知発明は全て、核部分の色を被覆によって隠蔽する発明を開示するのみで、これらを組み合わせても、本件発明を得ることができないものである。
よって、本件特許発明は特許法第29条第1項第3号、同条第2項に該当し、無効であるとの請求人の主張は棄却されるべきである。

[無効理由3]
本発明は当業者と言わずとも、一般人であっても、常識として知見している技術から明細書の記載を容易に理解し実施できるものであり、特許法第36条第4項の要件を満たさず、無効であるとの請求人の主張は棄却されるべきである。

4.無効理由1及び2についての検討
以下に、無効審判請求人が主張する無効理由1及び2について検討する。
4-1.甲第1号証?甲第4号証の記載事項
4-1-1.甲第1号証(特開平6-315330号公報)
甲第1号証には、「動物の排泄物処理材」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(ア)【特許請求の範囲】に「着色造粒物は、表面着色部と、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣及び該コーヒー抽出液抽出残渣をより少ない量で含有される配合物質とが、均一に混合されている造粒部とを備えて、3ミリメートル以上の粒径に形成されると共に、10重量%以下の水分を含有し、前記表面着色部は、該造粒部を囲む複数の着色物の層で形成されていることを特徴とするコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有する動物の排泄物処理材。」(【請求項1】)
(イ)【産業上の利用分野】として、「本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材の製造方法及びその装置に関し、特に、焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を抽出する際に生じる焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣の有効利用を図る、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材の製造方法及びその装置に関する。」(段落【0001】)
(ウ)【発明が解決しようとする課題】として、「コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色は、動物の飼い主の好むところでないために、問題とされている。ところで、動物の排泄物処理材は、一般に、室内で使用されるために、衛生的な感じを与える色調であることが要求されている。本発明は、コーヒー抽出液抽出残渣のもつ褐色の色彩による動物排泄物処理材としての商品価値の低下に係る問題点を解決することを目的としている。」(段落【0003】)
(エ)【課題を解決するための手段】として、「本発明は、動物が排泄した尿の吸収及び保水性が良く、排泄物に接して塊状化でき、また焼却でき、しかも、廃物のコーヒー抽出液抽出残渣、即ちコーヒー粕を、その色彩にとらわれることなく、有効に利用できる動物の排泄物処理材並びにその製造方法及び装置を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、着色造粒物は、表面着色部と、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣及び該コーヒー抽出液抽出残渣をより少ない量で含有される配合物質とが、均一に混合されている造粒部とを備えて、3ミリメートル以上の粒径に形成されると共に、10重量%以下の水分を含有し、前記表面着色部は、該造粒部を囲む複数の着色物の層で形成されていることを特徴とするコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有する動物の排泄物処理材にあり、・・・」(段落【0004】)
(オ)着色について、「本発明において、製造される焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣の造粒物の表面は、該コーヒー抽出液抽出残渣の本来有する色、即ち、該コーヒー抽出液抽出残渣の固有の色と異なる色を有する着色物質により着色されている。この場合、コーヒー抽出液抽出残渣の粒子を該着色物質により着色し、次いでこの着色されたコーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒して、コーヒーの色を隠した造粒物とするもでき、またこの造粒物に二次的に更に着色することもできる。またこの他に、コーヒー抽出液抽出残渣を造粒し、この造粒物を該着色物質により着色して、コーヒーの色を隠した造粒物とすることができる。」(段落【0005】)
(カ)着色物質について、「本発明において、着色物質として、顔料及び染料を使用することができる。このような顔料及び染料には、白色のものとして、紙粉、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パールがあり、黒色のものとしては、カーボン、エリオクロムブラックT、アミノブラック10B及びクロラゾルブラックBHがある。青色の顔料及び染料としては、シアニンブルー、アゾブルー及びパテントブルーがあり、緑色の顔料及び染料としては、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、黄色の顔料及び染料としては、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエローがある。着色物質として、紙粉は、繊維長が0.1乃至0.8mmものであると、他のものに比して剥落が少なくなり好ましい。」(段落【0006】)
(キ)配合物質について、「本発明において、コーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒乾燥物に配合される配合物質としては、尿に触れて粉体粒子相互を接着させて、容易に塊を形成して、尿に触れた部分を容易に取り出し易くさせるように、接着機能を有するつ配合物質を配合するのが好ましい。このような配合物質には、水溶性又は水分散性の配合物質として、茶殻、紙粉、製紙用パルプ、製紙スラッジ、活性炭入りパルプ廃物、パルプスラッジ、ポリビニルアルコール(PVA)、小麦粉、澱粉、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、プルラン、カゼイン又はゼラチンなどがあり、これらは、単独で使用されるか、又はこれら2種以上を混合して配合物質として使用される。また、アルコール溶解性の配合物質としては、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)又はポリビニルピロリドン或は(PVP)などがあり、この場合も同様に、単独で使用されるか、又はこれら2種以上を混合して配合物質として使用される。」(段落【0009】)
(ク)【作用】として、「本発明において、動物の排泄物処理材は、脱臭に優れるコーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物が、例えば噴霧により塗布された着色物質で着色されているので、コーヒー特有の褐色の色が隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じることが可能を可能とし、商品の多色化に応じて、適宜の色調に製造することができる。・・・」(段落【0021】)
(ケ)【実施例】として、「例7.焙煎したコーヒー豆粉砕物に水を加えてコーヒーを抽出した抽出残渣、即ち含水率68%のコーヒー抽出液抽出残渣28kgを、コーヒー抽出液抽出残渣供給用の原料ホッパー39に入れ、次いで表面に添加付着させる物質、即ち着色物質として、紙粉(繊維長0.5?0.3mm)4kgを着色材供給用原料ホッパー42に入れ、着色物質に次いで、配合物質として、紙粉(繊維長0.8?1.5mm)6kg、安息香酸ナトリウム20g及び吸水性ポリマー1.5kgを配合物質供給用原料ホッパー45に入れる。
原料を夫々の原料ホッパーに入れたところで、各ロータリーバルブを開いてコーヒー抽出液抽出残渣、着色物質及び配合物質を原料ミキサー48に入れる。原料ミキサー48においてコーヒー抽出液抽出残渣、着色物質の紙粉及び配合物質を、原料ミキサー48に導入されたところで、スクリュを作動させて、着色剤の紙粉(繊維長0.3?0.5mm)並びに配合物質の紙粉(繊維長0.8?1.5mm)を撹拌混合する。紙粉、安息香酸ナトリウム及び吸水性ポリマーが配合されたコーヒー抽出液抽出残渣は、全体が灰色を呈しており、ミキサー48の下部開閉口を開いて、灰色に着色されたコーヒー抽出液抽出残渣配合物を、チョッパー50へ入れる。チョッパー50に入れられた灰色に着色されたコーヒー抽出液抽出残渣配合物は、直径6.4mm、長さ12.5mmの細い円柱状の灰色の造粒物が形成された。
造粒されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒物は、紙粉コーティング装置52に送られ、噴霧装置19に送られ、噴霧ノズル22から、紙粉4kg、ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500(登録商標)600g及びポリビニルアルコール400gの被覆物質が噴霧された。被覆物質が被着されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒物は、振動コンベアー61、流動乾燥器62に送られ、乾燥された。乾燥されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色乾燥造粒物の1mm以上の粒径のものが除かれ、コンベヤによつて取出し、直径5mm、長さ10mmの猫のトイレ用の砂が得られた。
室内において、この猫のトイレ用の砂100gに、35℃の温度の20倍に希釈したアンモニア水50mlを加えたが、非常に吸水性及び脱臭性が良好であり、室内にアンモニア臭を感じなかった。この猫のトイレ用の砂は、全体が白色を呈して清潔的であり、猫のトイレに厚さ3cmの厚さに敷いて使用されたが、猫は普段と同様にトイレとして使用しており、使用の上で何等支障がなかった。猫が排泄に使用後、この猫のトイレ用の砂は、猫が排泄した部分については、容易に取り出すことができた。しかも脱臭性に優れ、屋内に不快な臭い発生するのを避けることができた。」(段落【0064】?【0067】)

4-1-2.甲第2号証(特開平6-237661号公報)
甲第2号証には、「茶殻を使用する動物の排泄物処理材」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(コ)【特許請求の範囲】に「【請求項1】 茶殻を主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面の少なくともその一部が着色物質により被覆されている着色された乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
【請求項2】 着色された乾燥造粒物が、茶殻並びに該茶殻より少ない量の配合物質を含有するコア部を有することを特徴とする請求項1に記載の動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項4】 着色された乾燥造粒物が、茶殻並びに該茶殻より、夫々少ない量の配合物質、殺菌作用を有する物質及び着色物質を含有するコア部を有することを特徴とする請求項1に記載の動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項9】 配合物質が、紙粉、木屑、木粉、ビート糖の粕、柑橘果皮、製紙用パルプ、活性炭入りパルプ廃物、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣、パルプスラッジ、製紙スラッジ、ポリビニルアルコール、小麦粉、おから、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、高吸水性樹脂、ビニルエステル、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト又はゼオライト或はこれら2種以上の混合物であることを特徴とする請求項2に記載の動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項12】 着色物質が、紙粉、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パール、カーボン、エリオクロムブラックT、アミノブラック10B、クロラゾルブラックBH、シアニンブルー、アゾブルー、パテントブルー、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエローであることを特徴とする請求項4項に記載の動物の排泄物処理材。」
(サ)【産業上の利用分野】として「本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関し、特に、茶殻の有効利用を図る、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関する。」(段落【0001】)
(シ)【課題を解決するための手段】として、「本発明は、動物が排泄した尿の吸収性及び保水性が良く、排泄物に接して塊状化でき、また焼却でき、しかも、廃物の茶殻その色彩にとらわれることなく、有効に利用できる動物の排泄物処理材を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、茶殻を主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面の少なくともその一部が着色物質により被覆されている着色された乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にあり、また、本発明は、茶殻に、該茶殻より少ない量の配合物質を配合して、造粒して、前記茶殻を主として含有する造粒物を形成し、この形成された造粒物の表面に着色物質を付着させ、着色された造粒物の水分が10重量%以下になるまで乾燥することを特徴とする動物の排泄物処理材の製造方法にあり、・・・
・・・・・
また、本発明において、動物の排泄物処理材は、茶殻を主として含有するので、造粒物の表面及び外観は、該茶殻のの本来有する緑色乃至褐色になっており、室内等において使用するのに、見た目が一見悪い。そこで、本発明において、茶殻は、この茶殻の固有の色とは異なる色の着色物質により着色されるのが好ましい。例えば白色粉状の配合物質を、排泄物処理材の40重量%以下の量、好ましくは、10重量%以下の量で、造粒に先立って、該茶殻に混合したり、該茶殻の造粒物の表面にまぶしたりして、茶殻の造粒物の色調を、茶殻の色調と異なる色調に、例えば、略白色又は白色に近づかせるなどして、茶殻の造粒物の茶殻の色を緩和させることができる。」(段落【0004】?【0007】)
(ス)【作用】として「本発明において、動物の排泄物処理材は、茶殻を含む造粒物表面が着色物質で着色されているので、茶殻特有の緑色乃至褐色の色調は隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じることが可能なり、商品の多色化を可能とすることができる。」(段落【0019】)

4-1-3.甲第3号証(WO93/14626)
甲3号証には、「動物の排泄物処理材」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(セ)【請求の範囲】に「12.焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面の少なくともその一部が着色物質により被覆されている着色された乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
13.着色された乾燥造粒物が、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣並びに該抽出残渣より少ない量の配合物質を含有するコア部を有することを特徴とする請求の範囲第12項に記載の動物の排泄物処理材。
・・・・・
15.着色された乾燥造粒物が、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣並びに該抽出残渣より、夫々少ない量の配合物質、殺菌作用を有する物質及び着色物質を含有するコア部を有することを特徴とする請求の範囲第11項に記載の動物の排泄物処理材。
16.着色物質が、紙粉、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パール、カーボン、エリオクロムブラックT、アミノブラック10B、クロラゾルブラックBH、シアニンブルー、アゾブルー、パテントブルー、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエローであることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の動物の排泄物処理材。
・・・・・
21.配合物質が、紙粉、木屑、木粉、ビート糖の粕、柑橘果皮、製紙用パルプ、活性炭入りパルプ廃物、茶殻、パルプスラッジ、製紙スラッジ、ポリビニルアルコール、小麦粉、おから、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、高吸水性樹脂、ビニルエステル、澱粉、ベントナイト又はゼオライト或いはこれら2種以上の混合物であることを特徴とする請求の範囲第12項に記載の動物の排泄物処理材。」(第34?35頁)
(ソ)「本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関し、特に、焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を抽出する際に生じる抽出残渣、所謂、コーヒー抽出粕(以下、コーヒー抽出液抽出残渣という)の有効利用を図る、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関する。」(明細書第1頁第4?8行)
(タ)「本発明は、動物が排泄した尿の吸収性及び保水性が良く、排泄物に接して塊状化でき、また焼却でき、しかも、廃物のコーヒー抽出液抽出残渣、即ちコーヒー抽出粕を、その色彩にとらわれることなく、有効に利用できる動物の排泄物処理材を提供することを目的としている。」(明細書第2頁第4?7行)
(チ)「本発明は、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有する乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にあり、また、本発明は、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面の少なくともその一部が着色物質により被覆されている着色された乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にある。」(明細書第2頁第8?13行)
(ツ)「本発明において、動物の排泄物処理材は、コーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物表面が着色物質で着色されているので、コーヒー特有の褐色は隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じることが可能なり、商品の多色化を可能とすることができる。」(明細書第8頁第15?19行)

4-1-4.甲第4号証(特開平5-328866号公報)
甲第4号証には、「動物の排泄物処理材」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(テ)【特許請求の範囲】に「【請求項1】 チャコールフィルターパルプスラッジを主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面が着色物質により少なくともその一部が被覆されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
【請求項2】 チャコールフィルターパルプスラッジ並びに該スラッジより少ない量の配合物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面が着色物質により少なくともその一部が被覆されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項4】 着色物質が、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パール、シアニンブルー、アゾブルー、パテントブルー、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエローであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項8】 配合物質が、紙粉、製紙用パルプ、コーヒー液抽出残渣、木粉、茶殻、パルプスラッジ、製紙スラッジ、ポリビニルアルコール、小麦粉、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、高吸水性樹脂、ビニルエステル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト又はゼオライト或はこれら2種以上の混合物であることを特徴とする請求項2、請求項3又は請求項4に記載の動物の排泄物処理材。」
(ト)【産業上の利用分野】として「本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関し、特に、フィルター付きたばこを製造する際に生じるチャコールフィルターパルプスラッジの有効利用を図る、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関する。」(段落【0001】)
(ナ)【発明が解決しようとする課題】として「動物の排泄物処理材は、一般に、室内で使用されるために、汚れ難く衛生的な感じを与える色調であることが要求されている。本発明は、チャコールフィルターパルプスラッジのもつ黒色の色彩による動物排泄物処理材としての商品価値の低下に係る問題点を解決することを目的としている。」(段落【0003】)
(ニ)【課題を解決するための手段】として「本発明は、動物が排泄した尿の吸収及び保水性が良く、排泄物に接して塊状化でき、また焼却でき、しかも、タバコ産業の廃物のチャコールフィルターパルプスラッジを、その色にとらわれることなく、有効に利用できる動物の排泄物処理材を提供することを目的としている。
即ち、本発明は、チャコールフィルターパルプスラッジを主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面が着色物質により少なくともその一部が被覆されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にあり、また本発明は、チャコールフィルターパルプスラッジ並びに該スラッジより少ない量の配合物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面が着色物質により少なくともその一部が被覆されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にあり、さらに本発明は、チャコールフィルターパルプスラッジ並びに該スラッジより少ない量の配合物質及び殺菌作用を有する物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、その表面が着色物質により少なくとも一部着色されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にある。」(段落【0004】)
(ヌ)【作用】として「本発明において、動物の排泄物処理材は、チャコールフィルターパルプスラッジを含む造粒物表面が着色物質で着色されているので、チャコールフィルターパルプスラッジに含有されるヤシ殻活性炭の特有の黒色は隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じた着色物とすることが可能なり、動物の排泄物処理材の多色化を可能にすることができる。」(段落【0020】)

4-2.本件発明1について
4-2-1.甲第1号証との対比・判断
上記摘記事項(イ)の「本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材の製造方法及びその装置に関し、」との記載、上記摘記事項(エ)の「本発明は、動物が排泄した尿の吸収及び保水性が良く、・・・動物の排泄物処理材・・・を提供することを目的としている。」との記載などから、甲第1号証には「吸収性を有する動物用排尿処理材」が記載されていると認められる。
また、上記摘記事項(ア)に「着色造粒物は、表面着色部と、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣及び該コーヒー抽出液抽出残渣をより少ない量で含有される配合物質とが、均一に混合されている造粒部とを備えて、・・・前記表面着色部は、該造粒部を囲む複数の着色物の層で形成されていることを特徴とするコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有する動物の排泄物処理材。」と記載されており、「造粒部」及び「表面着色部」は、それぞれ本件発明1の「核部分」及び「表層」に該当するものであるから、甲第1号証には、「排尿処理材が、核部分を有し、該核部分が表層にて被覆されていること」が記載されていると認められる。
したがって、甲第1号証には、「吸収性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が、核部分を有し、該核部分が表層にて被覆されている動物用排尿処理材。」が記載されていると認められるが、本件発明1の構成である「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成を示す直接的な記載はない。

そこで、甲第1号証に、本件発明1の構成である「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成が、実質的に記載されているかを検討する。
上記摘記事項(ア)から、甲第1号証記載の動物の排泄物処理材は、造粒部(核部分)が、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣及び該コーヒー抽出液抽出残渣をより少ない量で含有される配合物質とから成り、該造粒部を囲む着色物の層で表面着色部が形成されており、着色物としては、上記摘記事項(カ)に記載されているような、紙粉等が用いられるものである。
また、上記摘記事項(ケ)から、実施例として、「チョッパー50に入れられた灰色に着色されたコーヒー抽出液抽出残渣配合物は、直径6.4mm、長さ12.5mmの細い円柱状の灰色の造粒物が形成された。造粒されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒物は、紙粉コーティング装置52に送られ、噴霧装置19に送られ、噴霧ノズル22から、紙粉4kg、ハイモ株式会社製の高吸水性樹脂ハイモサブ500(登録商標)600g及びポリビニルアルコール400gの被覆物質が噴霧された。被覆物質が被着されたコーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒物は、振動コンベアー61、流動乾燥器62に送られ、乾燥された。・・・この猫のトイレ用の砂は、全体が白色を呈して清潔的であり、」と記載されている。
したがって、甲第1号証には、コーヒー抽出液抽出残渣配合物から形成された灰色の造粒物を、着色物としての紙粉の層で被覆した動物用排泄物処理材、が記載されていると認められる。
そして、請求人が参考資料1として提示した、「製紙科学」(有限会社中外産業調査会、昭和57年6月30日発行)第551頁に「高白色度の紙の個々の繊維や粒子は『水の白色』であり、光線が繊維や粒子を通過しても光はほとんど吸収されず,むしろ反射や屈折の多数繰返しにより完全に近い光散乱を生じ,結果として高白色度,不透明性を呈すると言われている。またこのためには,個々の繊維や粒子固体界面間に空隙(光学的非結合面積)の存在も必要である。もし紙を強くプレスしたり,水に浸すと紙の白さや不透明性が失われることからも明らかである。」と記載されているように、一般的に、紙を水に浸すと紙の白さや不透明性が失われることは技術常識ということができる。
しかし、甲第1号証には、【発明が解決しようとする課題】として上記摘記事項(ウ)に「コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色は、動物の飼い主の好むところでないために、問題とされている。ところで、動物の排泄物処理材は、一般に、室内で使用されるために、衛生的な感じを与える色調であることが要求されている。本発明は、コーヒー抽出液抽出残渣のもつ褐色の色彩による動物排泄物処理材としての商品価値の低下に係る問題点を解決することを目的としている。」と記載され、【課題を解決するための手段】として上記摘記事項(エ)に「着色造粒物は、表面着色部と、・・・造粒部とを備えて、・・・前記表面着色部は、該造粒部を囲む複数の着色物の層で形成されている・・・」と記載され、【作用】として上記摘記事項(ク)に「本発明において、動物の排泄物処理材は、脱臭に優れるコーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物が、例えば噴霧により塗布された着色物質で着色されているので、コーヒー特有の褐色の色が隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じることが可能を可能とし、商品の多色化に応じて、適宜の色調に製造することができる。」と記載されているように、甲第1号証記載の発明は、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、コーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものである。
してみると、甲第1号証には、コーヒー抽出液抽出残渣配合物から形成された灰色の造粒物を、着色物としての紙粉の層で被覆した動物用排泄物処理材、が記載されており、仮に、紙粉の層の厚さが薄ければ、紙粉の層が排尿を吸収した場合に不透明性が失われて、コーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物の褐色の色が露見すると想定されるが、上述したように、甲第1号証記載の発明は、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、コーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、着色物の層を厚くするものであり、したがって、甲第1号証に、「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成が、実質的に記載されているということはできない。

そして、表層が、排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる点を相違点としても、甲第1号証記載の発明は、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、コーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、着色物の層を厚くするものであり、したがって、この相違点の構成を当業者が甲第1号証記載の発明から容易に想到し得たということはできない。

4-2-2.甲第2号証との対比・判断
甲第2号証記載の発明は、基本的には、甲第1号証記載の発明において、「コーヒー抽出液抽出残渣」に代えて「茶殻」を用いたものである。
したがって、上記摘記事項(コ)(サ)(シ)から、甲第2号証には、「吸収性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が、核部分を有し、該核部分が表層にて被覆されている動物用排尿処理材。」が記載されていると認められるが、本件発明1の構成である「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成を示す直接的な記載はない。
また、上記摘記事項(シ)(ス)から、甲第2号証記載の発明は、茶殻の緑色乃至褐色の色を隠すために、茶殻を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、着色物の層を厚くするものであり、したがって、甲第2号証に、「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成が、実質的に記載されているということはできない。
さらに、表層が、排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる点を相違点としても、甲第2号証記載の発明は、茶殻の緑色乃至褐色の色を隠すために、茶殻を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、着色物の層を厚くするものであり、したがって、この相違点の構成を当業者が甲第2号証記載の発明から容易に想到し得たということはできない。

4-2-3.甲第3号証との対比・判断
甲第3号証記載の発明は、基本的に、甲第1号証記載の発明と同様に、「コーヒー抽出液抽出残渣」を用いた「動物の排泄物処理材」に関するものである。
したがって、上記摘記事項(セ)(ソ)(タ)(チ)から、甲第3号証には、「吸収性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が、核部分を有し、該核部分が表層にて被覆されている動物用排尿処理材。」が記載されていると認められるが、本件発明1の構成である「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成を示す直接的な記載はない。
また、上記摘記事項(タ)(ツ)から、甲第3号証記載の発明は、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、コーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、着色物の層を厚くするものであり、したがって、甲第3号証に、「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成が、実質的に記載されているということはできない。
さらに、表層が、排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる点を相違点としても、甲第3号証記載の発明は、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、コーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、着色物の層を厚くするものであり、したがって、この相違点の構成を当業者が甲第3号証記載の発明から容易に想到し得たということはできない。

4-2-4.甲第4号証との対比・判断
甲第4号証記載の発明は、基本的には、甲第1号証記載の発明において、「コーヒー抽出液抽出残渣」に代えて「チャコールフィルターパルプスラッジ」を用いたものである。
したがって、上記摘記事項(テ)(ト)(ニ)から、甲第4号証には、「吸収性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が、核部分を有し、該核部分が表層にて被覆されている動物用排尿処理材。」が記載されていると認められるが、本件発明1の構成である「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成を示す直接的な記載はない。
また、上記摘記事項(ナ)(ニ)(ヌ)から、甲第4号証記載の発明は、チャコールフィルターパルプスラッジのもつ黒色の色を隠すために、チャコールフィルターパルプスラッジを含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、チャコールフィルターパルプスラッジのもつ黒色の色を隠すために、着色物の層を厚くするものであり、したがって、甲第4号証に、「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成が、実質的に記載されているということはできない。
さらに、表層が、排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる点を相違点としても、甲第4号証記載の発明は、チャコールフィルターパルプスラッジのもつ黒色の色を隠すために、チャコールフィルターパルプスラッジを含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、着色物の層を厚くするものであり、したがって、この相違点の構成を当業者が甲第4号証記載の発明から容易に想到し得たということはできない。

4-2-5.甲第1号証乃至甲第4号証を組み合わせての進歩性の判断
上記4-2-1.?4-2-4.で述べたように、甲第1?4号証記載の発明は、コーヒー抽出液抽出残渣、茶殻或いはチャコールフィルターパルプスラッジから成る造粒部(核部分)の色を隠すために、造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、着色物の層を厚くするものであり、甲第1?4号証の何れにも、「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成が記載若しくは示唆されているということはできない。
してみると、甲第1?4号証記載の発明を組み合わせても、本件発明1が容易想到ということはできない。

4-2-6.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1が、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された発明であるということはできず、また、甲第1号証乃至甲第4号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

4-3.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1に対して、「上記核部分が表層より暗色系の顔料又は染料にて着色されている」との構成を付加するものである。
甲第1号証には、上記摘記事項(オ)に「コーヒー抽出液抽出残渣の粒子を該着色物質により着色し、次いでこの着色されたコーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒して、コーヒーの色を隠した造粒物とするもでき、またこの造粒物に二次的に更に着色することもできる。」と記載され、また、上記摘記事項(カ)に「着色物質として、顔料及び染料を使用することができる。このような顔料及び染料には、・・・黒色のものとしては、カーボン、エリオクロムブラックT、アミノブラック10B及びクロラゾルブラックBHがある。」と記載されていることから、甲第1号証記載の発明の態様として、着色物質により黒色に着色されたコーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒し、この造粒物を更に二次的に着色物質で着色したものも想定され、このようなものは、核部分が暗色系の顔料または染料にて着色されているということができる。
しかし、甲第1号証には、コーヒー抽出液残渣を黒色に着色した際に、更に二次的に何色に着色するかは記載されておらず、黒色に着色した場合には更に二次的に黒色に着色すると考えるのが自然であり、核部分が表層より暗色系の顔料又は染料にて着色されていることが記載若しくは示唆されているということはできない。
また、そもそも本件発明2は、本件発明1の、表層が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるという構成を前提とするものであって、上記4-2-1.で述べたように、この構成は甲第1号証に記載されたものではなく、また、甲第1号証から容易想到といえるものではないから、本件発明2も、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1号証記載の発明から容易想到であるともすることができない。
同様に、本件発明2が、甲第2?4号証に記載された発明であるとも、これらから容易想到であるともすることはできない。

4-4.本件発明3について
本件発明3は、本件発明1に対して、「上記核部分が無機顔料を含有している」との構成を限定するものである。
甲第1号証には、上記摘記事項(オ)に「コーヒー抽出液抽出残渣の粒子を該着色物質により着色し、次いでこの着色されたコーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒して、コーヒーの色を隠した造粒物とするもでき、またこの造粒物に二次的に更に着色することもできる。」と記載され、また、上記摘記事項(カ)に「着色物質として、顔料及び染料を使用することができる。このような顔料及び染料には、白色のものとして、・・・炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パールがあり、」と記載されていることから、甲第1号証記載の発明の態様として、炭酸カルシウム、酸化チタン又は合成パールで着色したコーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒し、この造粒物を更に二次的に着色物質で着色したものも想定され、このようなものは、核部分が無機顔料を含有しているということができる。
しかし、甲第1号証には、核部分に白色の無機顔料である炭酸カルシウム、酸化チタン又は合成パールを配合した際に、更に二次的に何色に着色するかは記載されておらず、上記摘記事項(ケ)にみられるように、二次的に紙粉で着色した場合には、白色に着色された核部分を白色の紙粉で被覆することになって、表層が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるという構成とはならないものである。
そもそも本件発明3は、本件発明1の、表層が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるという構成を前提とするものであって、上記4-2-1.で述べたように、この構成は甲第1号証に記載されたものではなく、また、甲第1号証から容易想到といえるものではないから、本件発明3も、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1号証記載の発明から容易想到であるともすることができない。
同様に、本件発明3が、甲第2?4号証に記載された発明であるとも、これらから容易想到であるともすることはできない。

4-5.本件発明4について
本件発明4は、本件発明1に対して、「上記核部分が水溶性の顔料又は染料にて着色されている」との構成を限定するものである。
甲第1号証には、上記摘記事項(オ)に「コーヒー抽出液抽出残渣の粒子を該着色物質により着色し、次いでこの着色されたコーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒して、コーヒーの色を隠した造粒物とするもでき、またこの造粒物に二次的に更に着色することもできる。」と記載され、また、上記摘記事項(カ)に「着色物質として、顔料及び染料を使用することができる。このような顔料及び染料には、・・・青色の顔料及び染料としては、・・・パテントブルーがあり、」と記載されていることから、甲第1号証記載の発明の態様として、パテントブルーで着色したコーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒し、この造粒物を更に二次的に着色物質で着色したものも想定され、このようなものは、核部分が水溶性の顔料又は染料にて着色されているということができる。
しかし、本件発明4は、本件発明1の、表層が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるという構成を前提とするものであって、上記4-2-1.で述べたように、この構成は甲第1号証に記載されたものではなく、また、甲第1号証から容易想到といえるものではないから、本件発明4も、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1号証記載の発明から容易想到であるともすることができない。
同様に、本件発明4が、甲第2?4号証に記載された発明であるとも、これらから容易想到であるともすることはできない。

4-6.本件発明5について
本件発明5は、「上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成ることを特徴とする動物用排尿処理材。」というものである。
審判請求人は、本件発明5は、甲第1号証記載の発明の「コーヒー抽出液抽出残渣」に代えて甲第4号証記載の「チャコールフィルターパルプスラッジ」を用いることにより、当業者が容易に発明をすることができたものであると主張しているので、先ずこの点について検討する。
本件発明5は、形式的には請求項1を引用していないが、「上記核部分」と記載していること、或いは、本件明細書の段落【0014】及び【0015】に「換言すると、表層1b,2bを核部分1a,2aより明色(白等の無色と言われる色を含む)にし、核部分1a,2aをこれより暗色にする。素材自身が有する母材色を利用する手段として、核部分1a,2aを故紙パルプ(白色度の低いパルプ)で作り、表層1b,2bをそれより白色度の高いバージンパルプ等で作る。ここにパルプとはパルプスラッジを含む。
故紙パルプはインキ成分によって付色されており、暗灰色を呈する。これをこれより白色度の高いバージンパルプ等の繊維又は粉体から成る表層1b,2bで被覆し、排尿の吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色が露見できるようにする。」と記載されているから、本件発明5は請求項1を引用するものと解される。
甲第1号証記載の発明は、上記4-2-1.で述べたように、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、コーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、むしろ、コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色を隠すために、着色物の層を厚くしているものである。
してみると、甲第1号証記載の発明において、「コーヒー抽出液抽出残渣」に代えて甲第4号証記載の「チャコールフィルターパルプスラッジ」を用いたとしても、表層が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるという構成を導き出すことはできない。
また、上記4-2.で述べたように、甲第2?4号証にも、「表層」が「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる」という構成が記載若しくは示唆されているということはできないから、甲第1?4号証記載の発明を組み合わせても、本件発明5が容易想到ということはできない。

5.無効理由3についての検討
(1)請求人は、明細書の記載要件違反(平成6年改正前の特許法第36条第4項)について、具体的には、次のように主張している。(無効審判請求書、口頭審理陳述要領書第9頁第2?23行)
「本件明細書の発明の詳細な説明及び図面には、上記吸収剤をどの程度用い、どのようにして動物用排尿処理材の核部分を形成するのかは記載されていない。同様に、表層部分についても、上記の吸水性を有する素材をどの程度用い、どのようにして核部分を覆うのか、どのようにして動物用排尿処理材の形態である粒状物、ペレット状物にするのかについては一切開示されておらず、動物用排尿処理材として請求項1?5に規定された『排尿を吸収すると核部分の色を露見できる』複合構造物とするための具体的な方法が記載されていない。
特に本願発明では、『排尿を吸収すると核部分の色を露見できる』ことが要件とされており、この要件を満足させるためには、表層部と核部分の材料の選択、該表層部層の厚さと核部分の大きさ、表層部と核部分との明度差等相互に関連する考慮すべき事項が多岐にわたり、技術常識を考慮したとしても、当業者が期待しうる程度を越えた試行錯誤が必要となる。
したがって、本件の発明の詳細な説明には、当業者が容易に実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果が記載されているとはいえない。」

本件明細書には、【問題点を解決するための手段】として「この発明は、前記吸水性を有する動物排尿処理材において、これを排尿を吸収すると核部分の色を露見できるようにした表層で覆い、複合層構造にして排尿の有無を判別できるようにした思想を提供する。・・・
一例として上記核部分は顔料又は染料によって表層より暗色系の着色を施し上記判別を可能にする。他例として核部分に積極的に着色を施さず、素材が本来有する母材色を利用して、表層より核部分が暗色系になるように使い分けし上記判別を可能にする。
又上記顔料又は染料は水溶性のものを用い、排尿の吸収によって顔料又は染料が表層に滲出し核部分の色を露見できるようにする。」(段落【0004】?【0006】)と記載され、
【作用】として「この発明によれば排泄物処理材を複層構造にして、排尿の含水により表層を通して核部分の色を露見できるので、排尿によって発色する薬剤を用いずに、排尿における使用前と使用後の状態を的確に判別でき、使用部位のみを交換する利点も享受できる。」(段落【0008】)と記載され、
【実施例】として「図1、図2に示すように、上記粒状物1又はペレット状物2を形成する吸水材は核部分1a,2aを、排尿を吸収すると核部分1a,2aの色を露見せしめる表層1b,2bにて被覆している。
一例として核部分1a,2aは表層1b,2bより暗色系の顔料又は染料にて着色し、上記排尿吸収時に表層1b,2bを通し該着色が露見されるようにする。・・・
他例として上記核部分1a,2aは組成する繊維又は粉粒体自身が有する母材色によって表層1b,2bより暗色にする。
換言すると、表層1b,2bを核部分1a,2aより明色(白等の無色と言われる色を含む)にし、核部分1a,2aをこれより暗色にする。素材自身が有する母材色を利用する手段として、核部分1a,2aを故紙パルプ(白色度の低いパルプ)で作り、表層1b,2bをそれより白色度の高いバージンパルプ等で作る。ここにパルプとはパルプスラッジを含む。
故紙パルプはインキ成分によって付色されており、暗灰色を呈する。これをこれより白色度の高いバージンパルプ等の繊維又は粉体から成る表層1b,2bで被覆し、排尿の吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色が露見できるようにする。
又は核部分1a,2aをコーヒー豆処理後の残渣粉にて形成し、表層1b,2bをパルプ繊維又は粉体等の吸水性を有する素材にて被覆する。
上記核部分1a,2aを形成するコーヒー豆処理後の残渣は褐色を呈しており、表層1b,2bは故紙パルプにしてもバージンパルプにしてもその明度において白色度がはるかに高い。これを利用して排尿の吸収時に、表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色が露見できるようにする。」(段落【0011】?【0017】)と記載されている。
これらの記載によれば、本件発明は、(着色を施した、または、母材色を有する)核部分をパルプ等の繊維又は粉体から成る表層で覆って複合層構造とし、表層が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるようにした、吸収性を有する動物用排尿処理材であると解される。
そして、請求人が参考資料1として提出した上記「製紙科学」第551頁に「もし紙を強くプレスしたり,水に浸すと紙の白さや不透明性が失われることからも明らかである。」と記載されているように、紙を水に浸すと紙の不透明性が失われ、透けて見えるようになることは技術常識であり、またその際に、紙の厚さが薄ければ透けて見えるが、厚ければ必ずしも透けて見えないことも明らかである。
してみると、本件発明の「動物用の排尿吸収材」において、表層が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるように構成するに際して、選択した材料に応じて、表層である例えば紙粉の厚さを適宜選択して、動物の尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるようにすることは、当業者ならば格別困難なく実施しうるものと認められる。
したがって、本件明細書の発明の詳細な説明に、当業者が容易に実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果が記載されていないとすることはできない。

(2)無効審判請求人は、口頭審理において、及び、平成20年4月28日付け上申書において、明細書の記載に関して、次の主張を行っている。
ア.本件明細書の段落【0018】などに「非水溶性の顔料又は染料」と記載されているが、非水溶性の染料は存在しない。
イ.本件明細書の【0019】などに「水溶性の顔料又は染料」と記載されているが、水溶性の顔料は存在しない。
ウ.本件明細書の【0020】に「上記表層1b,2bは有機繊維又はその粉粒体の他、シリカ、ゼオライト、ベントナイト等の無機物で形層し吸水性を付与する。」と記載されているが、シリカ、ゼオライト、ベントナイト等の無機物に吸水性はない。

上記請求人の主張について、
ア.本件明細書の上記記載は、非水溶性の(顔料又は染料)の意味と解され、非水溶性の染料が存在するか否かは明確でないが、非水溶性の顔料が存在することは明らかであり、この記載をもって、当業者が発明を実施できないと認めることはできない。
イ.同様に、本件明細書の上記記載は、水溶性の(顔料又は染料)の意味と解され、水溶性の顔料が存在するか否かは明確でないが、水溶性の染料が存在することは明らかであり、この記載をもって、当業者が発明を実施できないと認めることはできない。
ウ.シリカ、ゼオライト、ベントナイト等の無機物も粉粒体にすれば、粒子間に水を吸収すると考えられし、シリカ、ゼオライト、ベントナイトは、吸水性のある多孔質のものが一般的に知られているから、この記載をもって、当業者が発明を実施できないと認めることはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件の請求項1?5に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2008-05-09 
結審通知日 2008-05-14 
審決日 2008-05-27 
出願番号 特願平6-339975
審決分類 P 1 113・ 121- Y (A01K)
P 1 113・ 536- Y (A01K)
P 1 113・ 113- Y (A01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 高橋 泰史
特許庁審判官 山村 祥子
秋月 美紀子
登録日 1996-06-27 
登録番号 特許第2534031号(P2534031)
発明の名称 動物用排尿処理材  
代理人 卜部 忠史  
代理人 中畑 孝  
代理人 渋谷 輝一  
代理人 中島 雪枝  
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