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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1209136
審判番号 不服2008-6783  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-19 
確定日 2009-12-24 
事件の表示 特願2004-347506「経路案内装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月15日出願公開、特開2006-153757〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年11月30日の出願であって、平成20年2月8日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月19日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、手続補正書が提出されたものである。

2.平成20年3月19日付手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ユーザへの案内を行う案内手段と、
設定された案内経路がロータリーを通る経路である場合に、所定のタイミングでロータリーの退出路を前記案内手段に案内させる案内制御手段と、
を備えた、車両での移動時に用いられる経路案内装置において、
前記案内経路は、通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路がそれぞれの車道毎に異なるリンクデータ及び案内用のデータが定義されている地図データに基づいて、前記複数の車道の内、特定の車道を抜ける経路が設定されるものであり、
前記経路案内装置は、前記通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路に関し、前記特定の車道が区別された案内情報を入力する案内情報入力手段をさらに備え、
前記案内制御手段は、前記案内手段に案内させる前記退出路が通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路に含まれる場合、前記案内情報入力手段が入力した前記案内情報に基づき、前記案内経路である案内対象の車道と同一進行方向の案内経路ではない車道とを区別した案内を前記案内手段に実行させること、
を特徴とする経路案内装置。」
と補正された。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「案内経路」に関し、通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道「から構成された道路」がそれぞれ「の車道毎に」異なるリンクデータ「及び案内用のデータ」が定義されている地図データに基づいて、「前記複数の車道の内、特定の車道を抜ける経路が」設定され「る」ものと限定し、「案内情報」を、「特定の」車道が区別された案内情報と限定すると共に、「案内情報入力手段」及び「案内制御手段」について明りょうでない記載の釈明をするものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮及び第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-317956号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目的地までの案内経路に沿って車両を走行させる場合の車両誘導技術に関する。」

・「【0018】そこで、請求項4に示すような構成を採用することが考えられる。請求項4に記載のナビゲーション装置では、案内手段が、設定された案内経路に含まれるロータリーの情報を含む案内分岐情報を走行順に表示する。そして本発明では、案内手段が、ロータリーの情報として、少なくとも、案内対象の分岐路がロータリーに進入してから何番目のものであるかを表示する。」

・「【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
[第1実施例]図1は第1実施例としての車載用ナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。本車載用ナビゲーション装置1は、制御部10を中心に構成されており、この制御部10に接続される位置検出器20、地図データ入力器30、操作スイッチ群40、外部メモリ50、表示装置60、音声出力装置70及びリモコンセンサ80を備えている。なお、制御部10は通常のコンピュータとして構成されており、内部には、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。
【0024】位置検出器20は、いずれも周知の地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機24を有している。これらのセンサ等21?24は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより、各々補間しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサ、各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0025】地図データ入力器30は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ及び地図データを入力するための装置である。地図データ入力器30は記録媒体としてのDVDを備えており、これらのデータはDVD-ROMから入力される。本実施例では、DVD-ROMを用いたが、CD-ROMやメモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。
【0026】ここで地図データは、 交差点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したものであって、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのX・Y座標、リンクの道路幅、道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)等のデータからなるリンク情報を記憶している。特に、本線からの分岐路やロータリーからの分岐路を示すリンクには、分岐路を特定するための情報が付加されている。本第1実施例はこの分岐路の情報による分岐案内を行うことを特徴とするため、ここで分岐路の情報について説明しておく。」

・「【0030】外部メモリ50は、ハードディスク装置であり、各種処理を実行するにあたり、必要な情報の記憶を行うためのものである。ただし、情報の記憶ができればよいため、ハードディスク装置以外の例えば半導体メモリ装置を用いてもよい。表示装置60は、液晶やCRT等を用いたカラーディスプレイである。この表示装置60を介して、車載用ナビゲーション装置1から利用者への情報表示が行われる。
【0031】音声出力装置70はスピーカを備えており、この音声出力装置70を介して、車載用ナビゲーション装置1から利用者への音声案内が行われる。リモコンセンサ80は、リモートコントロール端末(以下「リモコン」という。)80aを介した利用者の操作情報を取得する。
【0032】このような構成により、いわゆるナビゲーション機能が実現される。表示装置60の画面には、位置検出器20から入力された車両現在地マークと、地図データ入力器30より入力された地図データと、更に地図上に表示する案内経路、名称、目印等の付加データとを重ねて表示することができる。そして、本車載用ナビゲーション装置1では、リモコン80aを介してリモコンセンサ80から、あるいは操作スイッチ群40から、目的地の位置及び、必要に応じて高速道路等の特定の経路の指定(すなわち経由地の指定)を入力すると、現在地からその目的地までの最適な経路が自動的に選択され、いわゆる案内経路が設定されて表示される。このように自動的に最適な経路を設定することは、ダイクストラ法等の手法によって実現される。そして、この案内経路が形成され表示された後、車両の走行状況に応じ、制御部10により表示装置60又は音声出力装置70を介して経路案内が行われる。」

・「【0044】一方、図3に示す分岐案内処理は、ロータリーによる分岐を案内するものである。この処理は、制御部10によって、所定の案内タイミングであることが判断されると実行される。所定の案内タイミングはロータリーまでの距離に基づいて判断することが考えられる。この処理も、基本的に、図2に示した高速道路における分岐案内処理と同様のものである。
【0045】まず最初のS200では、出口番号があるか否かを判断する。図2中のS100で説明したのと同様に、出口番号は上述した分岐路番号に相当する。したがって、この処理は地図データのリンク情報を参照し、案内対象の出口に対応する出口番号があるか否かを判断するものである。ここで出口番号があると判断された場合(S200:YES)、S210へ移行する。一方、出口番号がないと判断された場合(S110:NO)、S220へ移行する。
【0046】S210では出口番号を音声出力し、その後、本分岐案内処理を終了する。一方、S220では、案内対象の出口が何番目かを音声出力する。これは、案内対象の出口がロータリーに進入してから何番目の出口であるかを報知する処理である。そしてその後、本分岐案内処理を終了する。」

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「利用者への案内を行う案内手段と、
設定された案内経路にロータリーによる分岐が含まれている場合に、所定のタイミングで案内対象の出口を前記案内手段に案内させる制御部と、
を備えた、車載用ナビゲーション装置において、
前記案内経路は、リンク情報及び分岐案内を行うための分岐路の情報を記憶している地図データに基づいて、案内経路が設定されるものであり、
前記ナビゲーション装置は、分岐案内を行うための分岐路の情報を記憶している地図データを入力する地図データ入力器をさらに備え、
前記制御部は、前記案内手段に案内させる前記出口を、前記地図データ入力器が入力した前記地図データに基づき、前記案内手段に案内させる、
車載用ナビゲーション装置。」

(2-2)引用例2
同じく引用された特開2001-227970号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

・「【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、初心者や土地に不慣れなドライバにとっては、交差点に進入する際の車線に加えて交差点から退出する際の車線も重要になることが多い。すなわち、複数車線の道路で短い距離の間に右左折が連続する場合、例えば左折した直後に右折をする場合などでは、曲がった後がそのまま一番右側の車線となるように、最初の交差点を左折するのが最も好ましい。しかしながら、上記従来のナビゲーション装置のように、直近の交差点だけに関して車線移動の案内を行う車線誘導案内方法では、車線移動の案内を行うまもなく右左折が連続するような場合、最初の交差点を退出する車線を誤ったために(交差点進入時よりも交差点退出時の方が、車線規制に関する情報を見落とし易い)、次の交差点に進入する際の適切な車線に入れないということもある。従って、このような場合には、結局次の交差点において、上述したような急な車線変更を要求されたり、目的と異なる方向にしか進行できないといった問題が発生する。」

・「【0036】誘導交差点演算部5は、経路探索部3から入力される経路情報と、地図データ格納部2から入力される地図データ(経路探索部3が読み出した地図データと同じ地図データ)とに基づいて、探索経路が通過する交差点(以下、誘導交差点という)を検索して抽出する。ここで、抽出する誘導交差点は、探索経路が通過するすべての交差点であってもよいし、予め定めた誘導が必要な特定の交差点(例えば、多車線道路が交わる交差点や右左折する交差点)だけであってもよい。この抽出された誘導交差点の情報は、推奨車線演算部6および誘導部7へ出力される。推奨車線演算部6は、地図データ格納部2から入力される地図データ(車線数や車線規制情報等)と、経路探索部3から入力される経路情報と、誘導交差点演算部5から入力される誘導交差点情報とに基づいて、各誘導交差点の進入時および退出時に推奨する走行車線を求め、推奨車線の情報を生成する。この生成された推奨車線の情報は、誘導部7へ出力される。
【0037】誘導部7は、入力部1から誘導案内モードが指示されると、経路探索部3から入力される経路情報と、位置検出部4から入力される車両の現在位置情報と、地図データ格納部2から入力される地図データとに基づいて、地図上でどちらの方向に進むべきかを示す経路案内のための誘導情報を生成する。さらに、誘導部7は、地図データと、誘導交差点演算部5から入力される誘導交差点情報と、推奨車線演算部6から入力される推奨車線情報とに基づいて、後述する所定の処理を行って、各誘導交差点における車線誘導案内情報を生成する。そして、誘導部7は、この誘導情報および車線誘導案内情報を予め定めたタイミングで出力部8へ出力する。出力部8は、表示装置(液晶ディスプレイ,CRTディスプレイ等)を含み、誘導部7から入力される誘導情報および車線誘導案内情報に基づいて、誘導案内のための画像を画面上に表示する。」

・「【0041】以下、図4?図10を参照して、走行パスの生成方法および合成方法(上記ステップS14)の具体例をさらに詳細に述べる。なお、すべて交差点進入時の推奨車線が最右端車線、交差点退出時の推奨車線が最左端車線である場合を、一例に挙げて述べている。まず、第1の方法は、走行パスを、交差点進入時の推奨車線と交差点退出時の推奨車線とを結んだ連続する一本または複数本の矢印線で表現する方法である(図4)。なお、図4では、走行パスを連続する一本の矢印線で表現した場合を一例に挙げている。これにより、交差点進入時および退出時の走行車線を一連の動きとして一目瞭然で把握することができるという、ドライバに対して親切な車線誘導案内を提供することができる。
【0042】次に、第2の方法は、交差点進入時の推奨車線と交差点退出時の各車線とを、車線推奨度に基づいて色分した連続する一本または複数本の矢印線で結んだ走行パスでそれぞれ表現する方法(図5(a))、または、交差点進入時の推奨車線と交差点退出時の各車線とを、車線推奨度に基づいて線幅を替えた連続する一本または複数本の矢印線で結んだ走行パスでそれぞれ表現する方法である(図5(b))。この第2の方法を行う場合、前提として推奨車線演算部6が、上記ステップS12において、交差点退出時の車線ごとに推奨の度合いである車線推奨度を(離散値または連続値で表せばよい)求めておく必要がある。なお、この車線ごとに求める車線推奨度は、次の誘導交差点までの距離や幅員の減少やバス停の有無等のような条件に従って、自由に設定することが可能である。なお、図5では、各走行パスを連続する一本の矢印線でそれぞれ表現した場合を一例に挙げている。これにより、交差点進入時および退出時の走行車線を一連の動きとして一目瞭然で把握することができると共に、退出時の走行車線については車線推奨度を示すことでドライバに車線選択の余地を与えることができるという、ドライバに対して親切できめ細かな車線誘導案内を提供することができる。
【0043】次に、第3の方法は、上記第1および第2の方法に基づく走行パスの表示に加え、推奨車線に対してその車線の推奨理由を表示する方法である(図6(a)および(b))。この第3の方法を行う場合、前提として推奨車線演算部6が、上記ステップS12において、誘導交差点ごとに推奨する走行車線と共にその車線を推奨するに至った理由を、探索経路および車線データに基づいて求めておく必要がある。なお、図6(a)および(b)では、アイコンを用いて次の交差点までの距離と進行方向とを示すことで、車線を選択した理由をドライバに明示するようにしている。このように、上記第1および第2の方法の効果に加え、ドライバに対して推奨車線を決定するに至った理由を明示するので、ドライバに安心感を与えることできる。
【0044】次に、第4の方法は、連続する2つ以上の誘導交差点が近接している場合に(図7)、それらの誘導交差点を結合して1つの交差点図として表示する方法である(図8)。なお、図7および図8では、2つの誘導交差点xおよびyが近接している場合を一例に挙げている。この第4の方法を行う場合、前提として誘導交差点演算部5は、上記ステップS11において抽出した誘導交差点の中で、2つ以上連続して近接している誘導交差点があるか否かを判断する。そして、誘導交差点演算部5は、近接している誘導交差点がある場合に、それらをまとめて表示することを指示するフラグを立てることを行っておく。次に、誘導部7は、上記ステップS13において誘導交差点情報に上記フラグが立っている場合、各誘導交差点を結合したデフォルメされた交差点図(結合交差点図)を生成する。最後に、誘導部7は、走行パスを、結合交差点図を構成する各誘導交差点の進入時および退出時の推奨車線とをそれぞれ結んだ連続する一本または複数本の矢印線で表現する(図8では、推奨車線を2本の矢印線で表現する場合を例示している)。このように、上記第1?第3の方法を用いて誘導交差点ごとに交差点図を表示すると、十分な表示時間間隔をもって誘導案内をすることができない右左折が短い距離で連続する場合でも、複数の誘導交差点における結合交差点図を生成して表示することで、ドライバは最初の交差点に進入する前に予め余裕をもって走行車線を確認し、一連の動作として一目瞭然で把握することができる。
【0045】次に、第5の方法は、上記第1?第3の方法を用いて表現した交差点図を、探索経路上のすべての誘導交差点を順に並べて表示する方法である(図9)。この第4の方法を行う場合、誘導部7が各誘導交差点において生成したすべての交差点図を、出発地から順に出力部8に出力することを行う。これにより、ドライバは、走行する全経路における推奨車線の情報を、実際の交差点間距離や方角を無視した形で、一度に確認することができる。なお、交差点図のすべてが1画面に収まらない場合は、ドライバの指示に従ってまたは自動的にスクロールすることにより、収まらない部分の交差点図を順次表示していくようにすればよい。また、図10に示すように、交差点間の距離や交差点の名称や道路の国道番号等を付随させて表示するようにしてもよい。さらに、この第5の方法に関しては、上述した交差点図を用いる以外に、車線規制情報のみを簡易的に表現した図形(例えば、レーン図)を用いて、探索経路上のすべての誘導交差点を順に並べて表示することも可能である。
【0046】以上のように、本発明の一実施形態に係る車線誘導案内表示方法によれば、誘導交差点における進入時および退出時の適切な走行車線(推奨車線)を、連続する一本または複数本の矢印線(走行パス)で表現して、画面表示される走行経路の地図上で視覚的に誘導案内表示する。これにより、交差点進入時および退出時の走行車線を一連の動きとして一目瞭然で把握することができるという、ドライバに対して親切な車線誘導案内を提供することができる。」

・また、図5には、交差点退出時の道路が同一方向の複数の車線から構成された道路であって、交差点退出時の車線推奨度を色の違いや矢印線の太さの違いで表現した画面表示が示されている。【0041】?【0046】の記載を参酌すれば、図4と図5に示されている交差点は「誘導交差点x」と解されるから、図4には、同一方向の複数の車線から構成された道路に関し、交差点退出時の推奨車線である最左端車線と、同一進行方向の推奨車線ではない車線とを、矢印線で区別して表現した画面表示が示されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
後者における「利用者」が前者における「ユーザ」に相当し、以下同様に、
「設定された案内経路にロータリーによる分岐が含まれている場合」が「設定された案内経路がロータリーを通る経路である場合」に、
「案内対象の出口」が「ロータリーの退出路」に、
「制御部」が「案内制御手段」に、
「車載用ナビゲーション装置」が「車両での移動時に用いられる経路案内装置」に、
「リンク情報」が「リンクデータ」に、
「分岐案内を行うための分岐路の情報を記憶している」態様が「案内用のデータが定義されている」態様に、
「案内経路」が「経路」に、それぞれ相当している。
また、後者の「分岐案内を行うための分岐路の情報を記憶している地図データ」と前者の「通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路に関し、特定の車道が区別された案内情報」とは、「案内のための情報」との概念で共通し、
後者の「地図データ入力器」と前者の「案内情報入力手段」とは、「情報入力手段」との概念で共通し、
後者の「案内手段に案内させる出口を、地図データ入力器が入力した地図データに基づき、前記案内手段に案内させる」態様と前者の「案内手段に案内させる退出路が通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路に含まれる場合、案内情報入力手段が入力した案内情報に基づき、案内経路である案内対象の車道と同一進行方向の案内経路ではない車道とを区別した案内を前記案内手段に実行させる」態様とは、「案内手段に案内させる退出路について、情報入力手段が入力した案内のための情報に基づき、案内を前記案内手段に実行させる」との概念で共通する。
したがって、両者は、
「ユーザへの案内を行う案内手段と、
設定された案内経路がロータリーを通る経路である場合に、所定のタイミングでロータリーの退出路を前記案内手段に案内させる案内制御手段と、
を備えた、車両での移動時に用いられる経路案内装置において、
前記案内経路は、リンクデータ及び案内用のデータが定義されている地図データに基づいて、経路が設定されるものであり、
前記経路案内装置は、案内のための情報を入力する情報入力手段をさらに備え、
前記案内制御手段は、前記案内手段に案内させる前記退出路について、前記情報入力手段が入力した前記案内のための情報に基づき、案内を前記案内手段に実行させる、
経路案内装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
リンクデータに関し、本願補正発明では「通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路がそれぞれの車道毎に異なる」リンクデータであるのに対し、引用発明では、そのような特定がされていない点。
[相違点2]
案内経路に関し、本願補正発明では「複数の車道の内、特定の車道を抜ける」経路であるのに対し、引用発明ではそのような特定がされていない点。
[相違点3]
案内のための情報を入力する情報入力手段に関し、本願補正発明では「通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路に関し、特定の車道が区別された案内情報を入力する案内情報入力手段」であるのに対し、引用発明では、「分岐案内を行うための分岐路の情報を記憶している地図データを入力する地図データ入力器」である点。
[相違点4]
案内手段による案内の実行に関し、本願補正発明では、案内手段に案内させる「退出路が通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路に含まれる場合、案内情報入力手段」が入力した「案内情報に基づき、案内経路である案内対象の車道と同一進行方向の案内経路ではない車道とを区別した案内を」前記案内手段に「実行させる」のに対し、引用発明では、案内手段に案内させる「出口を、地図データ入力器」が入力した「地図データに基づき、」前記案内手段に「案内させる」点。

(4)判断
上記相違点1?4について以下検討する。
引用例2には、交差点から退出する際に適切な車線に入れないと、目的と異なる方向にしか進行できないという課題を解決するために、複数の車道(引用例2における「車線」が相当、以下同様。)の内、特定の車道(推奨車線)を抜ける案内経路が設定され、同一進行方向の複数の車道から構成された道路(同一方向の複数の車線から構成された道路)に関し、特定の車道が区別された案内情報(地図データの車線規制情報等と経路情報と誘導交差点情報とに基づいて求めた推奨車線の情報)に基づき、前記案内経路である案内対象の車道(推奨車線)と同一進行方向の案内経路ではない車道(同一進行方向の推奨車線ではない車線)とを区別した案内(矢印線で区別して表現した画面表示)を実行するナビゲーション装置(以下、「引用例2に記載の技術」という。)が記載されているといえる。
ここで、引用例2には、同一進行方向の複数の車道が、「通行不能な分離帯によって分離された」ものであるか否か明示はないが、引用例2に記載の技術は、適切な車線に入れないと、目的と異なる方向にしか進行できない(引用例2の【0005】参照)という課題を解決したものであるから、実質的に「通行不能な分離帯によって分離された」場合も考慮した技術であると認められる。
また、引用例2には地図データの車線規制情報の具体的データは示されていないが、複数の車線から構成された道路が「それぞれ車道(車線)毎に異なるリンクデータ」により定義されることは、ナビゲーション装置や電子地図の技術分野において技術的常套手段といえ、例えば原審の拒絶査定時に周知例として示されている特開平11-108679号公報(特に【0033】?【0037】【0084】【図4】【図7】【図8】【図9】【図38】【図39】参照。)等にも開示されている。
そして、交差点(ロータリー)から退出する際に適切な車線に入れないと、目的と異なる方向にしか進行できないという課題は、ナビゲーション装置の技術分野において広く知られている一般的な課題であって、引用発明においても考慮されるべき課題といえるから、当該課題の下に、引用発明において上記引用例2に記載の技術を適用すると共に、その際に、車線規制情報として上記技術的常套手段を参酌することにより、相違点1?4に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たものというべきである。

そして、本願補正発明の全体構成によって奏される効果も、引用発明、上記引用例2に記載の技術及び上記技術的常套手段から当業者が予測し得る範囲内のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、上記引用例2に記載の技術及び上記技術的常套手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願の発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成19年8月28日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「ユーザへの案内を行う案内手段と、
設定された案内経路がロータリーを通る経路である場合に、所定のタイミングでロータリーの退出路を前記案内手段に案内させる案内制御手段と、
を備えた、車両での移動時に用いられる経路案内装置において、
前記案内経路は、通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道について、それぞれ異なるリンクデータが定義されている地図データに基づいて設定されたものであり、
前記経路案内装置は、通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路に関し、前記車道が区別された案内情報を入力する案内情報入力手段をさらに備え、
前記案内制御手段は、前記案内手段に案内させる前記退出路が通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道から構成された道路である場合、前記案内情報入力手段が入力した前記案内情報に基づき、前記案内経路である案内対象の車道と同一進行方向のそれ以外の車道とを区別した案内を前記案内手段に実行させること、
を特徴とする経路案内装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は、上記「2.(2)引用例」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「2.(1)補正後の本願の発明」で検討した本願補正発明における「案内経路」に関し、通行不可能な分離帯によって分離された同一進行方向の複数の車道「から構成された道路」がそれぞれ「の車道毎に」異なるリンクデータ「及び案内用のデータ」が定義されている地図データに基づいて「前記複数の車道の内、特定の車道を抜ける経路が」設定されるとの限定と、「案内情報」に関し、「特定の」車道が区別された案内情報との限定を省いたものである。

そうすると、本願発明を特定する事項の全てを含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「2.(3)対比」及び「2.(4)判断」に記載したとおり、引用発明、上記引用例2に記載の技術及び上記技術的常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、上記引用例2に記載の技術及び上記技術的常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-20 
結審通知日 2009-10-27 
審決日 2009-11-09 
出願番号 特願2004-347506(P2004-347506)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01C)
P 1 8・ 575- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 大河原 裕
特許庁審判官 小川 恭司
仁木 浩
発明の名称 経路案内装置およびプログラム  
代理人 伊藤 高順  
代理人 永井 聡  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 久保 貴則  
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