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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1209547
審判番号 不服2007-1441  
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-01-16 
確定日 2010-01-04 
事件の表示 特願2001- 21674「ネットワーク情報提供システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月16日出願公開、特開2002-229975〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯

特許願 平成13年 1月30日
出願審査請求書 平成16年12月21日
拒絶理由通知書 平成18年 7月11日(平成18年 7月18日発送)
意見書 平成18年 9月14日
手続補正書 平成18年 9月14日
拒絶査定 平成18年12月 8日(平成18年12月19日発送)
審判請求書 平成19年 1月16日
手続補正書 平成19年 2月15日
手続補正書 平成19年 2月15日
審尋 平成21年 1月15日(平成21年 1月20日発送)
拒絶理由通知書 平成21年 8月18日(平成21年 8月26日発送)
意見書 平成21年10月22日
手続補正書 平成21年10月22日



2.本願発明の認定

本願の請求項1乃至2に係る発明は、平成21年10月22日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の範囲の請求項1乃至2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「 【請求項1】
保管文書が格納される文書保管データベース、情報提供のマークアップ言語で記述された文書を作成するマークアップ言語作成部、及び情報提供の制御を行うWWWサーバからなる文書管理端末が、前記保管文書の情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続されたネットワーク情報提供システムであり、
前記要求元のWWWクライアントの検索対象文書が、前記文書保管データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行う検索判定手段と、
該検索判定手段により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が付加しているか否かを判定する属性判定手段と、
該属性判定手段によって前記印刷禁止の属性の付加が判定されると、前記マークアップ言語作成部により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述された文書に印刷禁止命令タグと格納禁止タグとが挿入されてなる拡張マークアップ言語で記述された文書を前記WWWクライアントに送信する送信手段とが前記文書管理端末に設けられ、
前記拡張マークアップ言語で記述された文書を表示する表示手段と、
前記拡張マークアップ言語に基づき、前記検索対象文書の印刷および格納を禁止する選択禁止手段とが前記WWWクライアントに設けられていることを特徴とするネットワーク情報提供システム。」



3.平成18年7月11日付けの拒絶理由通知書

平成18年7月11日付けの拒絶理由通知書で指摘された拒絶理由(以下、「原査定の拒絶の理由」という。)は、要するに、
請求項1乃至4に係る発明は、引用文献1乃至3、すなわち、
1.特開平11-296336号公報
2.特表2000-514582号公報
3.特開平08-044760号公報
に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
というものである。

なお、平成21年8月18日付けの拒絶理由通知書では、原査定の拒絶の理由が解消したか否かの判断を保留する旨を、明記している。

そこで、原査定の拒絶の理由について検討する。



4.引用例1の認定

原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、特開平11-296336号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)
「 【請求項14】 ハイパーテキストで記述された複数のドキュメントを備えるサーバと、該サーバとネットワークを介して接続され、該サーバに対して該ドキュメントのアクセスを要求し、該サーバから送付された該ドキュメントの画面を行うための閲覧ソフトウェアを備えたクライアントとによって構成されるハイパーテキストで記述されたドキュメントの画面表示制御システムにおいて、
該サーバ側に備えられる複数のドキュメントの画面表示を記述するハイパーテキスト内に、該閲覧ソフトウェアによって表示される画面のコピーの禁止を示すか、ユーザからのコピー要求に対応して警告メッセージを表示させるためのタグ情報を設ける手段と、
該クライアント側の閲覧ソフトウェアが、該ドキュメントの画面表示を記述するハイパーテキスト内の前記タグ情報を解読するタグ情報解読手段と、
ユーザから画面のコピー要求があった時、前記警告メッセージを表示させるか、該画面のコピーを作成させないための制御を行うコピー禁止制御手段とを備えることを特徴とするハイパーテキストで記述されたドキュメントの画面表示制御システム。」

(イ)
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディジタルドキュメントのハードコピー方式に係り、更に詳しくは例えばインターネットにおいて、サーバ側から送られたホームページをブラウザによってパソコンに表示させた場合に、表示された画面のハードコピーの禁止のため、またはハードコピーを行わせる場合にも警告メッセージを表示してハードコピーを行わせるための表示画面ハードコピー制御方式に関する。」

(ウ)
「【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般にディスプレイに表示中の文書情報や画像情報をハードコピーする際には、その重要性や機密性に応じて(秘)、“重要”、“コピー厳禁”などの特別なメッセージを各ページ毎、あるいは表紙につけてプリントアウトすることも多い。
【0003】
このような特別なメッセージを特別の色、例えば赤インクで文書情報の印刷時に自動的に付加する技術、例えばフロッピーディスクに格納されている文書データを読み出す時、この文書データに対してあらかじめ登録されている内容に基づいて特別なメッセージなどを指定された色で書き込んでプリントアウトする技術、および秘密文書や重要文書などのインデックス情報も含め、インデックスシート上に全てのインデックス情報を分かりやすく出力し、かつ機密性を保てるようにする技術が次の3つの文献に開示されている。
【0004】
特開昭63-256448 石沢 康久 文書処理装置
特開平9-86015 伊藤 正博 システムアプリケーション装置
特開平6-348808 吉岡 達郎(他) 画像形成記憶装置
後述する本発明の実施の形態においては、インターネットのブラウザによってディスプレイ画面上に表示された画面のハードコピーを行う場合のコピー制御方式について説明するため、このような場合の従来の技術とその問題点について説明する。
【0005】
インターネットを利用する場合には、ネットワークを介してWWWサーバから送られたホームページの画像が、ネットスケープ社のネットスケープなどのブラウザを用いてディスプレイ画面上に表示される。ユーザは必要に応じて、ディスプレイ上に表示された文書やイメージデータ、写真などのディジタルドキュメントを対象として、使用しているパソコンなどに接続されたプリンタを用いてハードコピーを行うのが普通である。
【0006】
図7はハイパーテキスト、例えばHTML(ハイパーテキストマークアップランゲージ)で記述されたホームページの複写方式の従来例の説明図である。同図において、WWWサーバからLANなどを介してクライアント側に送られたハイパーテキストは、マイクロソフト社のウィンドウズ95などのオペレーションシステム内部の回線制御機能を介して、閲覧ソフトとしてのブラウザによって解読される。ここで回線制御機能は、必要に応じてユーザ識別子やパスワードを用いて、サーバ側からのハイパーテキストを受け取る。ディスプレイ上にブラウザによって表示されたホームページ画像は、ユーザからの要求に対応してハードコピーされ印刷される。
【0007】
このように市販のブラウザによって表示されるホームページなどの内容は一般的に流通性の高いものであり、ほとんどの場合ユーザがその内容をハードコピーするか否かは問題にはならない。しかしながら情報の機密性や重要性が高い場合には、ユーザ識別子やパスワードによって特定のユーザしか該当するURL(ユニフォーム リソース ロケータ)にアクセスできないように、WWWサーバ側のアクセス制御部が機密保持の制御を実行している。
【0008】
このように機密性や重要性が高い情報に対するアクセスを特定のユーザに制限するにしても、その特定のユーザがブラウザによって表示された情報を簡単にハードコピーすることが可能であるために、ハードコピーされた内容を第3者に見せてしまい、情報の機密性が保たれないという問題点があった。
【0009】
本発明は、例えばインターネットのホームページの内容のハードコピー禁止を可能にすると共に、ハードコピーをさせる場合にも必要に応じて警告メッセージをコピー上に印刷することを可能とし、データの機密性の保持を容易にすることを目的とする。」

(エ)
「【0010】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理構成ブロック図である。同図を用いて課題を解決するための手段について説明する。」

(オ)
「【0011】
図1においてハイパーテキストで記述されたドキュメント1は、そのドキュメントの記述によって表示される画面のコピーの禁止を示すか或いは、ユーザからのコピー要求に対応して警告メッセージを表示させるためのタグ情報2を、そのドキュメントを記述するハイパーテキスト内に備えるものである。そして本発明の1つの実施形態としてのインターネットにおいて用いられる場合には、このハイパーテキストで記述されたドキュメント1はWWWサーバ3の内部に備えられる。」

(カ)
「【0012】
閲覧ソフトウェア4は、ハイパーテキストで記述されたドキュメント1の送付を外部に要求し、外部から送付されたドキュメント1を用いて実際の画面表示を行うためのものであり、タグ情報解読手段5と、コピー禁止制御手段6をとを備える。」

(キ)
「【0013】
タグ情報解読手段5は、ドキュメント1を記述するハイパーテキスト内で、そのドキュメントの記述によって表示される画面のコピーの禁止を示すか或いは、ユーザからのコピー要求に対応して警告メッセージを表示させるためのタグ情報2を解読するものである。」

(ク)
「【0014】
コピー禁止制御手段6は、ユーザから画面のコピー要求があった時、その警告メッセージを画面上に表示させると共に、その画面のコピーを作成させないための制御を行うものである。これらの手段5,6を備える閲覧ソフトウェア4は、例えばインターネットにおいてクライアント7側に備えられる。」

(ケ)
「【0015】
上述の説明では閲覧ソフトウェアはクライアント側に設置装備するものとしたが、サーバ側に備えて、サーバ自体によって表示を行う場合に、ハードコピー禁止する場合や警告メッセージを表示する場合も含まれる。」

(コ)
「【0017】
次に本発明の1つの実施形態において、図1のシステムがハイパーテキストで記述されたドキュメントの画面表示制御システムとして用いられる場合には、クライアント7の内部の閲覧ソフトウェア4からの要求によって、サーバ3側から送られるハイパーテキストで記述されたドキュメント1の内部のタグ情報2がタグ情報解読手段5によって解読され、ハードコピー禁止制御手段6によって、前述と同様にユーザから画面のハードコピー要求があった時、警告メッセージを画面上に表示させると共に、画面のハードコピーを作成させないための制御が行われる。」

(サ)
「【0018】
更に本発明の異なる実施形態においては、図1においてサーバ3側からハイパーテキストで記述されたドキュメント1がクライアント側に送付された時点で、閲覧ソフトウェア4の内部のタグ情報解読手段5によってタグ情報2の内容が解読され、ハイパーテキストで記述されたドキュメント1のバッファへのローディングに際して、表示される画面のハードコピー防止のために、閲覧ソフトウェア4の操作メニュー内の画面印刷メニューを無効化する画面コピー防止手段が更に備えられる。」

(シ)
「【0020】
【発明の実施の形態】
図2は本発明が実現される1つ実施形態としてのインターネットに接続した時の構成を示すブロック図である。同図において、WWWサーバ10は、複数のクライアント11a,11b,...と、ルータ12を介してネットワークによって接続されている。例えばクライアント11bは、ルータ12を介して、必要に応じ、ユーザ識別子またはパスワードを用いてホームページの送付を受け、そのホームページはブラウザ13によって表示される。ブラウザ13は、例えばユーザから印刷のメニューを用いて印刷が指示された時、プリントサーバ14に画面のハードコピーを実行させる。」

(ス)
「【0020】
【発明の実施の形態】
図2は本発明が実現される1つ実施形態としてのインターネットに接続した時の構成を示すブロック図である。同図において、WWWサーバ10は、複数のクライアント11a,11b,...と、ルータ12を介してネットワークによって接続されている。例えばクライアント11bは、ルータ12を介して、必要に応じ、ユーザ識別子またはパスワードを用いてホームページの送付を受け、そのホームページはブラウザ13によって表示される。ブラウザ13は、例えばユーザから印刷のメニューを用いて印刷が指示された時、プリントサーバ14に画面のハードコピーを実行させる。」

(セ)
「【0021】
図3は本発明におけるハイパーテキスト内のタグ情報の説明図である。同図を従来例の図6と比較すると、ハイパーテキストの内部にホームページを表示するためのHTMLデータに加えて、印刷禁止、警告メッセージ、オーバレイ、およびログファイルURLを示す各種のタグ情報が記述される。これらのタグ情報は、ブラウザに設けられるタグ情報解読用のインタプリタ機能を使ってポインタにより順次ポイントされて解読され、解読された内容の処理が実行される。」

(ソ)
「【0022】
ハイパーテキストに新たに記述されるタグ情報としての印刷禁止は、このタグ情報をブラウザのインタプリタが解読することにより、現在表示されている画面内容がクライアント側で指定されているプリンタにコピーされないように処理を行わせるためのものである。」

(タ)
「【0025】
図4はハイパーテキストで記述されたドキュメント、例ばホームページのクライアント側におけるローディング処理のフローチャートである。同図においては、図3においてホームページがクライアント側の例えばバッファにローディングされた時点で、本発明の表示制御プログラムによってタグ情報が解読され、ブラウザのユーザ操作メニューのうちで“印刷”のメニューが無効化されるものとして、処理を説明する。
【0026】
図4において処理が開始されると、ステップS1でURLで指定した目的画面、例えばホームページがバッファに格納され、ステップS2でタグ情報の読出しが行われ、ステップS3がハードコピー禁止のタグ情報があるか否かが判定される。そのタグ情報がある場合には、ステップS4でブラウザのユーザ操作メニューの中で“印刷”のメニューが白ぬきされることによって、そのメニュー自体が無効化された上で、ハードコピー禁止のタグ情報がない場合にはステップS4の処理を実行することなく、処理を終了する。」

(チ)
「【0027】
図5はホームページなどの画面を表示する場合におけるハードコピー制御処理のフローチャートである。同図においては、画面の表示にあたりハードコピーの指示がなされているか否かを判定して、コピー制御処理を実行する場合のフローチャートを説明する。」

(ツ)
「【0028】
図5において処理が開始されると、ステップS10で画面表示が行われと共に、まずステップS11でハイパーテキスト内のタグ情報が読み出され、ステップS12で例えばハードコピーの指示があるか否かが判定され、ない場合には直ちに処理を終了する。」

(テ)
「【0029】
ハードコピーの指示があると判定されると、ステップS13でハードコピー禁止のタグ情報があるか否かが判定され、ハードコピー禁止である場合には直ちに処理を終了する。」

(ト)
「【0030】
ハードコピー禁止でない場合には、ステップS14で警告メッセージを表示すべきか否かが判定され、表示すべき場合にはステップS15でその警告メッセージがオーバレイ形式であるか否かが判定され、オーバレイ形式である場合には、ステップS16でオーバレイ用の文字を所定の領域から取り出し、ステップS17で現在の画面に重ね合わせての表示が行われ、ステップS20の処理に移行する。」

(ナ)
「【0033】
なお図5では画面表示の時点でハードコピー指示の有無が判定され、コピー制御処理が行われるものとしたが、ユーザが表示された画面を見た後にコピー指示を与えた場合にもステップS13以降の処理が実行されることは当然である。」


以上の引用例1の記載によれば、引用例1には以下の事項が開示されていると認められる。

(a)
引用例1の上記(ア)の
「ハイパーテキストで記述された複数のドキュメントを備えるサーバと、該サーバとネットワークを介して接続され、該サーバに対して該ドキュメントのアクセスを要求し、該サーバから送付された該ドキュメントの画面を行うための閲覧ソフトウェアを備えたクライアントとによって構成されるハイパーテキストで記述されたドキュメントの画面表示制御システムにおいて、・・・」という記載、
(なお、「ハイパーテキストで記述された複数のドキュメント」を「サーバ」が備えているのであるから、「サーバ」が当該ドキュメントを格納するための「データベース」を備えていることは明らかである。
また、クライアントがサーバに対してドキュメントの「アクセスを要求」することによって、サーバはクライアントへドキュメントを送付するのであるから、クライアントはサーバから「情報提供」を受け、サーバはクライアントに対して「情報提供」の「制御」を行っていることは明らかである。)

引用例1の上記(ア)の
「・・・画面表示制御システムにおいて、
該サーバ側に備えられる複数のドキュメントの画面表示を記述するハイパーテキスト内に、該閲覧ソフトウェアによって表示される画面のコピーの禁止を示すか、ユーザからのコピー要求に対応して警告メッセージを表示させるためのタグ情報を設ける手段と、
該クライアント側の閲覧ソフトウェアが、該ドキュメントの画面表示を記述するハイパーテキスト内の前記タグ情報を解読するタグ情報解読手段と、・・・」という記載、及び、
引用例1の上記(オ)の「図1においてハイパーテキストで記述されたドキュメント1は、そのドキュメントの記述によって表示される画面のコピーの禁止を示すか或いは、ユーザからのコピー要求に対応して警告メッセージを表示させるためのタグ情報2を、そのドキュメントを記述するハイパーテキスト内に備えるものである。そして本発明の1つの実施形態としてのインターネットにおいて用いられる場合には、このハイパーテキストで記述されたドキュメント1はWWWサーバ3の内部に備えられる。」という記載、
(なお、「タグを設ける手段」が「画面表示システム」が備える「サーバ」及び「クライアント」のどちらに設けられているのか明記されていないものの、「サーバ」に備えられた「タグ情報」を含むドキュメントを「クライアント」が解読しているのであるから、「タグを設ける手段」が「クライアント」に設けられることは技術的に不自然である。つまり、「タグを設ける手段」は、「画面表示システム」が備える「クライアント」以外のコンピュータ、すなわち「サーバ」が備えていることは明らかである。
また、当該「タグを設ける手段」は、ドキュメントの画面表示を記述するハイパーテキスト内に、閲覧ソフトウェアによって表示される画面のコピーの禁止を示すためのタグ情報を設けているのであるから、当該手段は、ドキュメントを作成する手段、すなわち、「ドキュメント作成手段」であるともいえることは明らかである。)

引用例1の上記(セ)の「図3は本発明におけるハイパーテキスト内のタグ情報の説明図である。同図を従来例の図6と比較すると、ハイパーテキストの内部にホームページを表示するためのHTMLデータに加えて、印刷禁止、警告メッセージ、オーバレイ、およびログファイルURLを示す各種のタグ情報が記述される。これらのタグ情報は、ブラウザに設けられるタグ情報解読用のインタプリタ機能を使ってポインタにより順次ポイントされて解読され、解読された内容の処理が実行される。」という記載、
(なお、HTML等のハイパーテキストはマークアップ言語の一種であることは技術常識である。)

引用例1の上記(シ)の「図2は本発明が実現される1つ実施形態としてのインターネットに接続した時の構成を示すブロック図である。同図において、WWWサーバ10は、複数のクライアント11a,11b,...と、ルータ12を介してネットワークによって接続されている。例えばクライアント11bは、ルータ12を介して、必要に応じ、ユーザ識別子またはパスワードを用いてホームページの送付を受け、そのホームページはブラウザ13によって表示される。ブラウザ13は、例えばユーザから印刷のメニューを用いて印刷が指示された時、プリントサーバ14に画面のハードコピーを実行させる。」という記載から、
(クライアントは、(WWWサーバから送付される)ホームページをブラウザによって表示しているのであるから、「WWWクライアント」であることは明らかである。)

引用例1には、「複数のドキュメントが格納されるデータベース、及び情報提供のマークアップ言語で記述されたドキュメントを作成するドキュメント作成手段を備えた、情報提供の制御を行うWWWサーバが、該ドキュメントの情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続された、ネットワークを介した情報提供を行う画面表示制御システム」が開示されていると認められる。


(b)
上記(a)の「複数のドキュメントが格納されるデータベース、及び情報提供のマークアップ言語で記述されたドキュメントを作成するドキュメント作成手段を備えた、情報提供の制御を行うWWWサーバが、該ドキュメントの情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続された、ネットワークを介した情報提供を行う画面表示制御システム」という開示、

引用例1の上記(カ)の「閲覧ソフトウェア4は、ハイパーテキストで記述されたドキュメント1の送付を外部に要求し、外部から送付されたドキュメント1を用いて実際の画面表示を行うためのものであり、タグ情報解読手段5と、コピー禁止制御手段6をとを備える。」という記載、及び、
引用例1の【図1】には、「クライアント7」が「閲覧ソフトウエア4」を備えることが図示されていること、
(なお、クライアントが備える「閲覧ソフトウェア4は、ハイパーテキストで記述されたドキュメント1の送付を外部に要求」(すなわち、「サーバに要求」)し、「外部から送付されたドキュメント1を用いて実際の画面表示を行う」のであるから、サーバは、「検索手段」を用いてデータベースを検索することによって、要求されたドキュメント(すなわち、「検索対象文書」)を特定して、「要求元」のクライアントに送付していることは明らかである。
また、データベースに所望のデータが無い場合の対応が必要であることは技術常識であることを鑑みれば、「検索手段」が、データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行うことは明らかである。)

引用例1の上記(セ)の「図3は本発明におけるハイパーテキスト内のタグ情報の説明図である。同図を従来例の図6と比較すると、ハイパーテキストの内部にホームページを表示するためのHTMLデータに加えて、印刷禁止、警告メッセージ、オーバレイ、およびログファイルURLを示す各種のタグ情報が記述される。これらのタグ情報は、ブラウザに設けられるタグ情報解読用のインタプリタ機能を使ってポインタにより順次ポイントされて解読され、解読された内容の処理が実行される。」という記載、

引用例1の上記(タ)の「図4はハイパーテキストで記述されたドキュメント、例ばホームページのクライアント側におけるローディング処理のフローチャートである。・・・(中略)・・・図4において処理が開始されると、ステップS1でURLで指定した目的画面、例えばホームページがバッファに格納され、ステップS2でタグ情報の読出しが行われ、ステップS3がハードコピー禁止のタグ情報があるか否かが判定される。そのタグ情報がある場合には、ステップS4でブラウザのユーザ操作メニューの中で“印刷”のメニューが白ぬきされることによって、そのメニュー自体が無効化された上で、ハードコピー禁止のタグ情報がない場合にはステップS4の処理を実行することなく、処理を終了する。」という記載、
(なお、クライアントで「ハードコピー禁止のタグ情報があるか否かが判定される」のであるから、サーバに格納されている全てのドキュメントに対して「ハードコピー禁止のタグ情報」が設けられているのではなくて、「ハードコピー禁止」(すなわち、印刷禁止)という属性が与えられているドキュメントに対してのみ「ハードコピー禁止のタグ情報」が設けられていることは明らかである。)

引用例1の上記(コ)の「次に本発明の1つの実施形態において、図1のシステムがハイパーテキストで記述されたドキュメントの画面表示制御システムとして用いられる場合には、クライアント7の内部の閲覧ソフトウェア4からの要求によって、サーバ3側から送られるハイパーテキストで記述されたドキュメント1の内部のタグ情報2がタグ情報解読手段5によって解読され、・・・」という記載から、
(「ハイパーテキストで記述されたドキュメント」が「サーバ3側から送られる」のであるから、当該ドキュメントを送信するための手段(例:送信手段)がサーバに設けられていることは明らかである。)

引用例1には
「前記要求元のWWWクライアントの検索対象文書が、前記データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行う検索手段と、
印刷禁止という属性が与えられているドキュメントに対して、前記ドキュメント作成手段により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述されたドキュメント内に印刷禁止を示すタグ情報が設けられてなる印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語で記述されたドキュメントを前記WWWクライアントに送信する送信手段がWWWサーバに設けられ」ていること
が開示されていると認められる。


(c)
上記(a)の「複数のドキュメントが格納されるデータベース、及び情報提供のマークアップ言語で記述されたドキュメントを作成するドキュメント作成手段を備えた、情報提供の制御を行うWWWサーバが、該ドキュメントの情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続された、ネットワークを介した情報提供を行う画面表示制御システム」という開示、

上記(b)の
「前記要求元のWWWクライアントの検索対象文書が、前記データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行う検索手段と、
印刷禁止という属性が与えられているドキュメントに対して、前記ドキュメント作成手段により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述されたドキュメント内に印刷禁止を示すタグ情報が設けられてなる印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語で記述されたドキュメントを前記WWWクライアントに送信する送信手段がWWWサーバに設けられ」ていること
という開示、

引用例1の上記(シ)の「図2は本発明が実現される1つ実施形態としてのインターネットに接続した時の構成を示すブロック図である。・・・(中略)・・・。例えばクライアント11bは、ルータ12を介して、必要に応じ、ユーザ識別子またはパスワードを用いてホームページの送付を受け、そのホームページはブラウザ13によって表示される。・・・」という記載、

引用例1の上記(タ)の「図4はハイパーテキストで記述されたドキュメント、例ばホームページのクライアント側におけるローディング処理のフローチャートである。同図においては、図3においてホームページがクライアント側の例えばバッファにローディングされた時点で、本発明の表示制御プログラムによってタグ情報が解読され、ブラウザのユーザ操作メニューのうちで“印刷”のメニューが無効化されるものとして、処理を説明する。・・・(中略) ・・・図4において処理が開始されると、ステップS1でURLで指定した目的画面、例えばホームページがバッファに格納され、ステップS2でタグ情報の読出しが行われ、ステップS3がハードコピー禁止のタグ情報があるか否かが判定される。そのタグ情報がある場合には、ステップS4でブラウザのユーザ操作メニューの中で“印刷”のメニューが白ぬきされることによって、そのメニュー自体が無効化された上で、ハードコピー禁止のタグ情報がない場合にはステップS4の処理を実行することなく、処理を終了する。」という記載から、
(なお、ハードコピー禁止のタグ情報があると、ブラウザの“印刷”のメニューが無効化される(すなわち、選択禁止になる)ことによって、ハードコピーが禁止(すなわち、印刷が禁止)されるのであるから、”印刷”のメニューを選択不能とすることによって印刷を禁止するための手段(例:選択禁止手段)がクライアントに設けられていることは明らかである。)

引用例1には、
「前記印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語で記述されたドキュメントを表示するブラウザと、
前記印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語に基づき、ドキュメントの印刷を禁止する選択禁止手段とが前記WWWクライアントに設けられていること」が開示されていると認められる。


以上の引用例1の記載によれば、引用例1には下記の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されていると認められる。

「複数のドキュメントが格納されるデータベース、及び情報提供のマークアップ言語で記述されたドキュメントを作成するドキュメント作成手段を備えた、情報提供の制御を行うWWWサーバが、該ドキュメントの情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続された、ネットワークを介した情報提供を行う画面表示制御システムであり、
前記要求元のWWWクライアントの検索対象文書が、前記データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行う検索手段と、
印刷禁止という属性が与えられているドキュメントに対して、前記ドキュメント作成手段により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述されたドキュメント内に印刷禁止を示すタグ情報が設けられてなる印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語で記述されたドキュメントを前記WWWクライアントに送信する送信手段がWWWサーバに設けられ、
前記印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語で記述されたドキュメントを表示するブラウザと、
前記印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語に基づき、ドキュメントの印刷を禁止する選択禁止手段とが前記WWWクライアントに設けられていることを特徴とする、ネットワークを介した情報提供を行う画面表示制御システム。」



5.引用例2の認定

原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、特表2000-514582号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)
「また、この発明は、ネットワークを介して互いに能力の異なる複数のデータ端末に接続可能で、且つ、それぞれのデータ端末に情報を提供することが可能なサーバ装置を提供する。このサーバ装置は、ネットワークに接続するデータ端末の能力を判別する手段と、判別手段により判別されたデータ端末の能力に見合った適切な方法で各データ端末に情報を提供する情報提供手段と、を有する。」 (第7頁第15乃至20行)

(イ)
「次に、センタ装置2がデータ端末1に提供する電子メールサービスについて説明する。センタ装置2は、図6に示すように、会員に送られてきた電子メールをメールボックスに記憶する。ユーザがメールボックスに記憶されている電子メールを見たいと要求した場合、センタ装置2は、図13に示される動作を実行する。センタ装置2は、データ端末1に送信する電子メールが画像データを含んでいるか否かを判断する(ステップS70)。電子メールが画像データを含んでいない場合、情報提供部23は、電子メールに何の加工や変更を加えずにデータ端末1に送信する(ステップS72)。電子メールが画像データを含んでいる場合、情報提供部23は、データ端末1から送信された機器コードとデータ加工部232に記憶されている機器コードを検知する。機器コードがPDA3に対応するB3である場合、または、PC1に対応するC1である場合、情報提供部23は、画像データと一緒に電子メールをデータ端末1に送信する(ステップS74)。機器コードがパーソナルデジタルフォンに対応するA1であった場合、PDA1に対応するB1であった場合、または、PDA2に対応するB2であった場合、情報提供部23は、画像データを消去した電子メールを、電子メールは画像データを含んでいるが、画像データは送信できない旨のメッセージデータと一緒に送信する(ステップS75)。」 (第17頁第23行から第18頁第11行)

(ウ)
「図14は、センタ装置2が提供するWebサービスの動作を示している。センタ装置2がデータ端末1からURLを受信した場合、情報提供部23は、データ端末1がPDAであるか否かを判断する(ステップS81)。データ端末1がPDAでない場合、つまり、データ端末1がPCのとき(Webサービスを利用することができるのはPCとPDA3のみである。)情報提供部23は、何も変更を加えていないHTMLドキュメントをデータ端末1に送信する(ステップS82)。データ端末1がPDAである場合、情報提供部23は、データ端末1の表示部の能力や、表示部の大きさ等に応じて、HTMLドキュメントを加工して、送信する。」
(第17頁第12乃至20行)


以上の引用例2の記載によれば、引用例2には下記の発明(以下、「引用例2発明」という。)が開示されていると認められる。

「データ端末から情報提供の要求がされた場合、情報提供する情報を加工してデータ端末に送信する情報提供部を備えたことを特徴とするセンタ装置。」



6.引用例3の認定

原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された、特開平8-44760号公報(以下、「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)
「 【0006】
【発明が解決しようとする課題】
不特定多数のユーザからウインドウ・システムを通してデータベースを検索され、検索情報(データ)がコピーされたり、ファイル出力、プリント出力など外部デバイスへの出力といったことを自由に行われることは、機密情報などの漏洩といった“セキュリティ(安全性)”の面で問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためにディスプレイ以外の外部デバイスへの出力を制御し機密情報の漏洩を防ぐことを目的とする。」

(イ)
「 【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、データベースから検索されたデータを画面に表示するデータベース検索システムであって、検索されたデータを格納する検索データ格納手段と、前記データベースのデータの各々に格納禁止属性を付与する格納禁止属性付与手段と、格納禁止属性が付与されたデータを前記検索データ格納手段へ格納することを禁止する格納禁止手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、データベースから検索されたデータを画面に表示するデータベース検索システムであって、検索されたデータを印刷する検索データ印刷手段と、前記データベースのデータの各々に印刷禁止属性を付与する印刷禁止属性付与手段と、印刷禁止属性が付与されたデータを前記検索データ印刷手段へ印刷することを禁止する印刷禁止手段とを備えたことを特徴とする。」

(ウ)
「 【0033】
図5は、情報(データ)の出力の制御を示すフローチャートである。図5において、データベースから検索した情報(データ)を、出力したいデバイスに出力し(ステップ31)、このとき、これらのデータを、図 に示すデータ出力制御部12で受け取り、出力先デバイスの種別をチェック(ステップ32)し、出力先がディスプレイならば、出力情報(データ)をディスプレイ・デバイスに出力し(ステップ34)、処理を終了する。出力先がディスプレイ以外の外部デバイスならば、出力情報(データ)をチェックし、アクセス属性の付加されている情報(データ)以外を指定デバイスに出力(ステップ33)、処理を終了する。
【0034】
本発明は、ウインドウ・システムでなく、DOSなどの他のシステムにも適用できる。
【0035】
アクセス属性に段階的(レベル)な条件を加え、ある属性が付加されているデータはプリンタ出力を可能とし、ある属性の場合はファイル出力を可能とすることもできる。」


以上の引用例3の記載によれば、引用例3には下記の発明(以下、「引用例3発明」という。)が開示されていると認められる。

「データベースから検索されたデータを画面に表示するデータベース検索システムであって、
検索されたデータを格納する検索データ格納手段と、前記データベースのデータの各々に格納禁止属性を付与する格納禁止属性付与手段と、格納禁止属性が付与されたデータを前記検索データ格納手段へ格納することを禁止する格納禁止手段と、
検索されたデータを印刷する検索データ印刷手段と、前記データベースのデータの各々に印刷禁止属性を付与する印刷禁止属性付与手段と、印刷禁止属性が付与されたデータを前記検索データ印刷手段へ印刷することを禁止する印刷禁止手段と
を備えたことを特徴とするデータベース検索システム。」



7.対比

本願発明と引用例1発明とを対比する。

(1)
引用例1発明の
「複数のドキュメント」、
「データベース」、
「マークアップ言語で記述されたドキュメント」、
「印刷禁止という属性」
「印刷禁止を示すタグ情報」、
「印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語」、
「印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語で記述されたドキュメント」は、それぞれ、

本願発明の
「保管文書」、
「文書保管データベース」、
「マークアップ言語で記述された文書」、
「印刷禁止の属性」、
「印刷禁止命令タグ」、
「拡張マークアップ言語」、
「拡張マークアップ言語で記述された文書」に相当する。


(2)
一般的に、WWWサーバ機能を有するWWWサーバプログラムを情報処理装置に実装したものを「WWWサーバ」と称することは、情報処理分野における技術常識であることを鑑みれば、
引用例1発明の「複数のドキュメントが格納されるデータベース、及び情報提供のマークアップ言語で記述されたドキュメントを作成するドキュメント作成手段を備えた、情報提供の制御を行うWWWサーバ」は、
「複数のドキュメントが格納されるデータベース」、「情報提供のマークアップ言語で記述されたドキュメントを作成するドキュメント作成手段」、及び「情報提供の制御を行うWWWサーバ機能」からなる、『WWWサーバ』という名称の「情報処理装置」であることを意味している。

そうすると、引用例1発明の「複数のドキュメントが格納されるデータベース、及び情報提供のマークアップ言語で記述されたドキュメントを作成するドキュメント作成手段を備えた、情報提供の制御を行うWWWサーバが、該ドキュメントの情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続された、ネットワークを介した情報提供を行う画面表示制御システム」は、
(すなわち、「複数のドキュメントが格納されるデータベース、情報提供のマークアップ言語で記述されたドキュメントを作成するドキュメント作成手段、及び情報提供の制御を行うWWWサーバ機能からなる情報処理装置が、該ドキュメントの情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続された、ネットワークを介した情報提供を行う画面表示制御システム」と等価である。)

本願発明の「保管文書が格納される文書保管データベース、情報提供のマークアップ言語で記述された文書を作成するマークアップ言語作成部、及び情報提供の制御を行うWWWサーバからなる文書管理端末が、前記保管文書の情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続されたネットワーク情報提供システム」に相当する。

(3)
引用例1発明の
「前記要求元のWWWクライアントの検索対象文書が、前記データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行う検索手段と、
印刷禁止という属性が与えられているドキュメントに対して、前記ドキュメント作成手段により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述されたドキュメント内に印刷禁止を示すタグ情報が設けられてなる印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語で記述されたドキュメントを前記WWWクライアントに送信する送信手段がWWWサーバに設けられ」ていることと、

本願発明の
「前記要求元のWWWクライアントの検索対象文書が、前記文書保管データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行う検索判定手段と、
該検索判定手段により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が付加しているか否かを判定する属性判定手段と、
該属性判定手段によって前記印刷禁止の属性の付加が判定されると、前記マークアップ言語作成部により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述された文書に印刷禁止命令タグと格納禁止タグとが挿入されてなる拡張マークアップ言語で記述された文書を前記WWWクライアントに送信する送信手段とが前記文書管理端末に設けられ」ていることとは、

「前記要求元のWWWクライアントの検索対象文書が、前記文書保管データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行う検索判定手段と、
前記マークアップ言語作成部により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述された文書に禁止タグが挿入されてなる拡張マークアップ言語で記述された文書を前記WWWクライアントに送信する送信手段とが前記文書管理端末に設けられ」ているという点で一致し、

・本願発明では、「該検索判定手段により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が付加しているか否かを判定する属性判定手段」が文書管理端末に設けられ、「該属性判定手段によって前記印刷禁止の属性の付加が判定されると」ドキュメントを送信するのに対し、
引用例1発明では、「該検索判定手段により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が付加しているか否かを判定する属性判定手段」が文書管理端末に設けられるものでも、「該属性判定手段によって前記印刷禁止の属性の付加が判定されると」ドキュメントを送信するものでもない点、

・本願発明の「禁止タグ」は、「印刷禁止命令タグと格納禁止タグ」であるのに対し、
引用例1発明の「禁止タグ」は、「印刷禁止命令タグ」のみである点、

で相違する。


(4)
引用例1発明の
「前記印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語で記述されたドキュメントを表示するブラウザと、
前記印刷禁止を示すタグ情報を含むマークアップ言語に基づき、ドキュメントの印刷を禁止する選択禁止手段とが前記WWWクライアントに設けられていること」と、

本願発明の
「前記拡張マークアップ言語で記述された文書を表示する表示手段と、
前記拡張マークアップ言語に基づき、前記検索対象文書の印刷および格納を禁止する選択禁止手段とが前記WWWクライアントに設けられていること」とは、

「前記拡張マークアップ言語で記述された文書を表示する表示手段と、
前記拡張マークアップ言語に基づき、前記検索対象文書の複製を禁止する選択禁止手段とが前記WWWクライアントに設けられていること」という点で一致し、

本願発明では、「印刷および格納を禁止する」選択禁止手段によって複製を禁止するのに対し、
引用例1発明では、「印刷を禁止する」選択禁止手段によって複製を禁止する点、
で相違する。


(5)
したがって、本願発明と引用例1発明とは、

「保管文書が格納される文書保管データベース、情報提供のマークアップ言語で記述された文書を作成するマークアップ言語作成部、及び情報提供の制御を行うWWWサーバからなる文書管理端末が、前記保管文書の情報提供を受けるWWWクライアントに、ネットワークを介して接続されたネットワーク情報提供システムであり、
前記要求元のWWWクライアントの検索対象文書が、前記文書保管データベースに格納されているか否かを検索し検索結果の判定を行う検索判定手段と、
前記マークアップ言語作成部により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述された文書に禁止タグが挿入されてなる拡張マークアップ言語で記述された文書を前記WWWクライアントに送信する送信手段とが前記文書管理端末に設けられ、
前記拡張マークアップ言語で記述された文書を表示する表示手段と、
前記拡張マークアップ言語に基づき、前記検索対象文書の複製を禁止する選択禁止手段とが前記WWWクライアントに設けられていることを特徴とするネットワーク情報提供システム。」

という点で一致し、以下の相違点、すなわち、

(相違点1)
本願発明では、「該検索判定手段により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が付加しているか否かを判定する属性判定手段」が文書管理端末に設けられ、「該属性判定手段によって前記印刷禁止の属性の付加が判定されると」ドキュメントを送信するのに対し、
引用例1発明では、「該検索判定手段により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が付加しているか否かを判定する属性判定手段」が文書管理端末に設けられるものでも、「該属性判定手段によって前記印刷禁止の属性の付加が判定されると」ドキュメントを送信するものでもない点、

(相違点2)
本願発明の「禁止タグ」は、「印刷禁止命令タグと格納禁止タグ」であるのに対し、
引用例1発明の「禁止タグ」は、「印刷禁止命令タグ」のみである点、

そのため、

本願発明では、「印刷および格納を禁止する」選択禁止手段によって複製を禁止するのに対し、
引用例1発明では、「印刷を禁止する」選択禁止手段によって複製を禁止する点、

で相違する。



8.相違点の判断

(1)相違点1について

引用例2発明には、「データ端末から情報提供の要求がされた場合、情報提供する情報を加工してデータ端末に送信する」技術が開示されている。

そして、引用例2発明の技術を採用するか否か、すなわち、クライアントに送信するべき情報が必要になった時にその都度作成するか、クライアントに送信されるであろう情報を予め作成しておくかは、
周知のトレードオフ(例:情報更新の反映速度の優先、情報の提供速度の優先)を鑑みて決定されるような、当業者が適宜なし得る設計的事項である。

しかも、クライアントに送信するべき情報が必要になった時にその都度作成する技術、すなわち、引用例2発明に開示された技術を、引用例1発明に採用する場合、
引用例1発明の「検索判定手段」による処理と、引用例1発明の「送信手段」による処理との間に、「印刷禁止の属性」に関する処理を追加すればよいこと、すなわち、
引用例1発明の「検索判定手段」により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が与えられているか否かを判定し、
前記印刷禁止の属性が与えられていると判定されると、引用例1発明の「送信手段」の「前記マークアップ言語作成部により、前記検索対象文書がマークアップ言語で記述された文書に禁止タグが挿入されてなる拡張マークアップ言語で記述された文書を前記WWWクライアントに送信する」、
という処理を行えばよいことは明らかである。

また、当該処理を行うためには、「文書管理端末」に当該処理を行うための手段(例:引用例1発明の「検索判定手段」により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が与えられているか否かを判定する「属性判定手段」)を設ける必要があることも明らかである。

更に、引用例3発明の「前記データベースのデータの各々に印刷禁止属性を付与する印刷禁止属性付与手段」にあるように、データに印刷禁止属性を与えるために、当該データに印刷禁止属性を付与(又は、付加)するという方法を採用することは、情報処理分野における常套手段であるから、
文書に印刷禁止という属性を与えるために、当該文書に印刷禁止という属性を付加するという方法を採用することも、情報処理分野における常套手段であるといえる。

したがって、引用例1発明に対して、クライアントに送信するべき情報が必要になった時にその都度作成するために、引用例2発明及び引用例3発明を適用することによって、
引用例1発明の「文書管理端末」に、「該検索判定手段により前記検索対象文書の格納が判定されると、該文書に印刷禁止の属性が付加しているか否かを判定する属性判定手段」を設け、「該属性判定手段によって前記印刷禁止の属性の付加が判定されると」ドキュメントを送信するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。


(2)相違点2について

引用例3発明には、
「前記データベースのデータの各々に格納禁止属性を付与する格納禁止属性付与手段と、格納禁止属性が付与されたデータを前記検索データ格納手段へ格納することを禁止する格納禁止手段」、及び、
「前記データベースのデータの各々に印刷禁止属性を付与する印刷禁止属性付与手段と、印刷禁止属性が付与されたデータを前記検索データ印刷手段へ印刷することを禁止する印刷禁止手段」
が開示されている。

このように、データの複製(又は、ハードコピー)を禁止する場合、データを紙等の媒体に印刷することを禁止するだけでなく、データを電子媒体に格納することによる複製を禁止することは既知である。
すなわち、上記格納禁止手段、印刷禁止手段を合わせて「印刷及び格納を禁止する」選択禁止手段が開示されているといえる。
(結局のところ、データの複製するために、紙等を選択するか電子媒体を選択するかという、複製媒体の選択に基づく差異でしかないといえる。)

したがって、著作物の適切な保護を行うべく、引用例1発明に対して、引用例3発明を適用することによって、
引用例1発明の「禁止タグ」として、「印刷禁止命令タグと格納禁止タグ」を採用し、
「印刷を禁止する」選択禁止手段に代え、「印刷および格納を禁止する」選択禁止手段を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。



9.むすび

したがって、本願発明は、引用例1発明、引用例2発明、引用例3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-10-30 
結審通知日 2009-11-04 
審決日 2009-11-17 
出願番号 特願2001-21674(P2001-21674)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今村 剛  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 小曳 満昭
和田 財太
発明の名称 ネットワーク情報提供システム  
代理人 舘野 千惠子  

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