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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A01K
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A01K
審判 全部無効 2項進歩性  A01K
管理番号 1210160
審判番号 無効2007-800166  
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-17 
確定日 2009-12-15 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2534031号発明「動物用排尿処理材」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯・本件発明
本件特許第2534031号は、平成6年12月29日に特許出願され、平成8年6月27日に特許権の設定登録が行われた。
そして、無効審判請求人株式会社大貴により請求項1?5に係る特許について本件無効審判の請求がなされ、被請求人から答弁書が提出され、平成20年4月1日に口頭審理が行われた。その後、当審において無効理由を通知し、これに対し被請求人から同年4月24日付けで訂正請求書及び意見書が提出され、請求人から同年6月2日付けで弁駁書が提出されたものである。

2.訂正請求について
2-1.訂正請求の内容
平成20年4月24日付け訂正請求書に記載された訂正の内容は次のとおりである。
(1)特許第2534031号発明の明細書の特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】吸水性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆した複合層構造を有し、該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成を有することを特徴とする動物用排尿処理材。」と訂正する。アンダーラインは訂正個所を示す。

(2)特許第2534031号発明の明細書の特許請求の範囲の請求項5を、
「【請求項5】上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成ることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。」と訂正する。アンダーラインは訂正個所を示す。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
ア.請求項1に関する訂正事項の内、「複合層構造を有し、」という記載を加入する点は、本件発明の動物用排尿処理材は、核部分と該核部分を被覆する表層とから成るものであるが、核部分と表層との複合層構造であることを明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、本件明細書の段落【0004】に「この発明は、前記吸水性を有する動物排尿処理材において、これを排尿を吸収すると核部分の色を露見できるようにした表層で覆い、複合層構造にして排尿の有無を判別できるようにした思想を提供する。この複合層構造によって、前記薬剤を使用せずに、上記判別を可能にした処理材が形成できる。」と記載されていることなどから、特許明細書に記載した事項の範囲内における訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ.請求項1に関する訂正事項の内、「該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成を有する」という記載を加入する点は、核部分の色を露見せしめ、排尿の有無を判別する構成について、排尿を吸収した表層を通して露見が得られること、及び、複合層構造にして、即ち複合層構造の状態で、排尿の有無を判別することに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件明細書の段落【0008】に「この発明によれば排泄物処理材を複層構造にして、排尿の含水により表層を通して核部分の色を露見できるので、排尿によって発色する薬剤を用いずに、排尿における使用前と使用後の状態を的確に判別でき、使用部位のみを交換する利点も享受できる。」と記載され、本件明細書の段落【0004】に「この発明は、前記吸水性を有する動物排尿処理材において、これを排尿を吸収すると核部分の色を露見できるようにした表層で覆い、複合層構造にして排尿の有無を判別できるようにした思想を提供する。この複合層構造によって、前記薬剤を使用せずに、上記判別を可能にした処理材が形成できる。」と記載されていることなどから、特許明細書に記載した事項の範囲内における訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

請求人は、平成20年6月2日付けの弁駁書において、従来の請求項1に「した複合層構造を有し、該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成を有する」なる字句を加入する訂正は、訂正前の特許発明の基本構成に「判別目的を達成するための具体的手段」を新たな構成要素として加えるものであり、特許発明の実質的な変更である旨、主張している。
しかし、本件明細書の【発明が解決しようとする問題点】の欄の「上記排尿処理材の使用部分(排尿された部分)と未使用部分(排尿されていない部分)の判別がつけば、使用部分のみを交換することができるので経済的であり、又放置して異臭を放つ問題も解消できるが、従来例は排尿のペーハーによって変色する薬剤の使用を前提としている。例えばそれだけで家庭内で使用される排尿処理材としての適性が疑われ、商品性を損なう。加えて便器に流した後の廃水処理の問題も懸念される。」との記載から、本件の発明の目的は、排尿のペーハーを検出して変色する薬剤を用いずに排尿処理材の使用前と使用後の判別を行うようにするものと解される。そして、「該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成を有する」との字句を加入する上記訂正事項は、この目的の範囲内において、「排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆されている」という技術的事項を減縮するものであり、排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめることにより、排尿の有無を判別するという技術的事項において変わるものではないから、特許請求の範囲を実質上変更するものには当たらない。

ウ.請求項5に関する訂正事項は、「請求項1記載の」という記載を加入して、請求項5を請求項1の従属項とするものである。
訂正前の請求項5に、「上記核部分が」と記載されていることや、訂正前の請求項5に記載された構成のみでは、発明の構成が明確でないことから、請求項5が請求項1の従属項であることは明らかであり、この訂正は、誤記の訂正を目的とするものと認められる。そして、この訂正は、特許明細書に記載した事項の範囲内における訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

請求人は、平成20年6月2日付けの弁駁書において、請求項5に関する訂正は、先行する請求項1のすべての特許要件(特徴)を含む請求項にしたものであり、発明の基本的構成が大きく変更されるものであるから、特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものである旨、主張している。
しかし、上述のように、訂正前の請求項5が請求項1の従属項であることが明らかである以上、「請求項1記載の」という記載を加入して従属項としても、発明の実態が変わるものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張するものにも、又は変更するものにも当たらない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書、及び特許法134条の2第5項において準用する同法第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.請求人の主張
無効審判請求人は、証拠方法として次の甲第1?26号証を提出し、審判請求書及び平成20年3月19日付け口頭審理陳述要領書において、次の無効理由を主張をしている。
[無効理由]
本件特許の請求項1乃至5に係る発明は、甲第2号証(特開平6-237660号公報)と、甲第3号証(特開平6-237661号公報),甲第4号証(特開平6-315330号公報),甲第5号証(特開平5-328866号公報),甲第6号証(特開平5-328865号公報)に記載された発明(ないしこれから認められる周知慣用技術)と、出願時の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。
[証拠方法]
甲第1号証:本件特許第2534031号公報
甲第2号証:特開平6-237660号公報
甲第3号証:特開平6-237661号公報
甲第4号証:特開平6-315330号公報
甲第5号証:特開平5-328866号公報
甲第6号証:特開平5-328865号公報
甲第7号証:「製紙科学」 昭和57年6月30日発行、発行所:中外産業調査会、551頁
甲第8号証:広辞苑、2740頁の「露見」の意味
甲第9号証:フリー百科事典「ウィキペディア」の「顔料」の意味
甲第10号証:「紙・パルプの実際知識」2.1.5 古紙パルプ(36?39頁)
甲第11号証:特開平1-257418号公報
甲第12号証:特公昭62-60491号公報
甲第13号証:平成5年1月21日付「コーヒー殻猫砂の製造販売に関する事業計画案」
甲第14号証:ペットライン株式会社から発表された新製品ニュースリリース用書面
甲第15号証:新製品として販売したときの包装用袋につめられた製品見本写真
甲第16号証:平成6年3月2日付日経産業新聞「コーヒーかすから猫の砂」の記事
甲第17号証:月刊雑誌「月刊テラ」に掲載された新製品が販売の紹介記事
甲第18号証:平成4年(94年)10月8日発行「週刊ダイヤモンド」に掲載された製品「お花畑<たんぽぽ>」の紹介記事
甲第19号証の1,2,3:出荷依頼書と発注書の写し
甲第20号証:特開平5-308868号公報
甲第21号証:株式会社ペパーレットの製品ネコ砂の実験写真
甲第22号証:甲第3号証のお茶殻を利用したネコ砂の実験写真
甲第23号証:甲第4号証のコーヒー抽出液残渣を利用したネコ砂の実験写真
甲第24号証:甲第5号証のチャコールフィルターパルプスラッジを利用したネコ砂の実験写真
甲第25号証:特開平4-112731号公報
甲第26号証:実開平5-39259号公報

4.無効理由通知の内容
当審で、平成20年4月8日付けで通知した無効理由通知の内容は、以下の通りである。
[無効理由通知1]
本件特許の請求項1乃至4に係る発明は、特開平6-237660号公報(請求人が甲第2号証として提出したもの)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであり、請求項1?4に係る特許は特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきものである。
[無効理由通知2]
特許請求の範囲請求項5には「上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成ることを特徴とする動物用排尿処理材。」と記載されているが、この構成のみでは排尿の有無を判別できるようにするための構成が全て記載されているとは認められず、請求項5には、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項を全て記載しているとは認められないから、平成6年改正前の特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない。
したがって、請求項5に記載された発明に係る特許は、特許法第123条第1項第4号の規定により無効とすべきものである。

5.被請求人の反論
無効審判被請求人は、証拠方法として次の検乙1?5号証及び乙第1?17号証を提出するとともに、答弁書において次の主張をしている。
複層構造でありながら、吸尿すると核部分の色を表層を通して(透過して)露見せしめ、或いは吸尿すると核部分の着色を表層に滲潤して露見せしめ、使用前・使用後の判別(排尿の有無の判別)に資する発明思想は本件特許発明によって初めて提供されたものである。
甲2は被覆を崩壊流出して核部分の色を露呈し判別に資する発明であり、又甲3乃至甲6は廃材の母材色を隠蔽することを目的とする発明であり、各公知発明を組み合わせても、本件特許発明を容易には得ることができないものである。
[証拠方法]
検乙第1号証:甲2の被覆に用いられているベントナイトの現物見本
検乙第2号証:甲3乃至甲6の被覆に用いられている炭酸カルシウムの現物見本
検乙第3号証:甲3乃至甲6の被覆に用いられている酸化チタンの現物見本
検乙第4号証:被請求人の代表者が作成した本件特許発明の実施許諾契約前に請求人が製造していた製品の再現品
検乙第5号証:被請求人の製品見本(商品名:ブルーノ)
乙第1号証:被請求人が請求人に許諾した特許通常実施契約書写し
乙第2号証:請求人が上記契約日前に販売していた製品(商品名:お花畑シリーズ たんぽぽ)の販売事実を示すパラダイス99抜粋写し
乙第3号証:請求人が上記契約日後に販売を開始した新製品(商品名:お花畑シリーズ ひなげし)の販売事実を示すパラダイス2000抜粋写し
乙第4号証:被請求人の製品「ブルーノ」の用前・用後の状態を示す写真
乙第5号証:検乙4の再現品の用前・用後の状態を示す写真
乙第6号証:甲2の被覆に用いられている検乙1(ベントナイト)の吸水前と吸水後の崩壊流出状態を示す写真
乙第7号証:常陸化工株式会社による証明書
乙第8号証:株式会社スーパーキャットによる証明書
乙第9号証:シーズイシハラ株式会社による証明書
乙第10号証:株式会社ゼオライトジャパンによる証明書
乙第11号証:新東北化学工業株式会社による証明書
乙第12号証:株式会社アズ・インターナショナルによる証明書
乙第13号証:株式会社テラエツによる証明書
乙第14号証:中屋商事株式会社による証明書
乙第15号証:フジライト工業株式会社による証明書
乙第16号証:株式会社チューチクによる証明書
乙第17号証:特開平9-248087号公報

6.本件発明
上記「2.訂正請求について」で述べたように訂正請求が認められるから、本件特許の請求項1乃至5に係る発明は、訂正請求書で訂正された特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された次のとおりのものである。(以下、請求項1乃至請求項5に記載された発明を、それぞれ「本件発明1」乃至「本件発明5」という。)
【請求項1】(本件発明1)
吸水性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆した複合層構造を有し、該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成を有することを特徴とする動物用排尿処理材。
【請求項2】(本件発明2)
上記核部分が表層より暗色系の顔料又は染料にて着色されていることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項3】(本件発明3)
上記核部分が無機顔料を含有していることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項4】(本件発明4)
上記核部分が水溶性の顔料又は染料にて着色されていることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項5】(本件発明5)
上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成ることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。

7.無効理由及び無効理由通知1についての検討
以下に、無効審判請求人が主張する無効理由、及び当審で通知した無効理由通知1について検討する。
7-1.甲第2号証?甲第6号証の記載事項
7-1-1.甲第2号証(特開平6-237660号公報)
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証には、「ペットの糞尿処理用敷き砂」の発明が記載されており、次の記載がある。
(甲2a)【発明の目的】として、「この発明は、犬、猫等ペットの糞尿処理用敷き砂の新規な構造とその製造方法に関するものであり、糞尿によって固化すると同時に、糞尿の水分を吸収した部分の敷き砂表面が発色して使用済みであることを確認できるようにした理想的なペットの糞尿処理用敷き砂と、それを簡便且つ確実に製造する方法とを提供しようとするものである。」(段落【0001】)
(甲2b)【発明の構成】として、「この発明のペットの糞尿処理用敷き砂は、基本的に次のような構成から成るものである。即ち、珪砂微粉末を含む粘土を主成分とし、ゼオライト粉末、吸水剤、および顔料のメチレンブルー粉末を夫々適量混練して固化した粒状芯体と、該粒状芯体の表面全体を覆う固化促進剤からなる表面被膜層と、該表面被膜層の外表面に付着もしくは浸透させた着色料とから成るペットの糞尿処理用敷き砂とするものである。」(段落【0006】)
(甲2c)「吸水剤及び顔料」について、「吸水剤としては、気泡状の石粉、特にパーライト粉末(325#)が有効である。これら混入するものの割合の例としては、例えば、ゼオライト粉末との重量比で10?15%程度が混入されればよい。顔料として採用するメチレンブルーは、所定の水分によって極めて鮮やかな青色に発色する無害の白色粉体であって、主成分である微細珪砂粒子入り粘土1立米当りに100g程度、直径2mm前後の粒状芯体であればその1個内にメチレンブルーの粒が2?3個混入される程度の僅かな量が含まれるようにすれば十分である。」(段落【0010】)
(甲2d)「表面被膜層及び着色料」について、「表面被膜層は、上記した素材からなる粒状芯体の固化促進剤として機能させるもので、比較的吸水性に富むベントナイト粉末、特にナトリュウム系ベントナイト粉末体(250#、例えば商品名、クニミネのクニゲル)が適しており、造粒時に加えた粒状芯体内の含有水分によって粒状芯体表面全面に付着させるようにするか、溶かしたものを塗着するようにして形成される。着色料は、上記表面被膜層であるベントナイトの白い色を化粧すると共に、粒状芯体内部に混入されているメチレンブルー粉末が、糞尿水分で発色した際に、その青い色が浮き上がってくるのを助ける機能を果たすもので、白の外、黄色、薄緑等の色が適しており、表面被膜層に付着あるいは含浸、含有される。」(段落【0011】)
(甲2e)【作用】として、「以上のような構成から成るこの発明のペットの糞尿処理用敷き砂は、その粒状芯体が、粘土に適量の珪砂微粉末を混入した主成分からなるものとして保形性を良くすると共に、全体として安価に形成されるようにした上、その内部には、脱臭効果に秀れたゼオライトと、糞尿内の水分を速やかに粒状芯体内に引き込む吸水剤、そして、水分による発色性が極めて高い顔料のメチレンブルーが組み合わされてなるものに形成され、それらを着色された表面被膜層で固化促進剤コーティングして整形性ならびに保形性に秀れたものとしている。
その結果、一旦ペットの糞尿がかかって多少とも水分を受けると、個々の表面固化促進剤を通して吸水剤が逸早くそれらの水分を粒状芯体内に吸引するよう機能してメチレンブルーの水分による発色を促すことになり、この過程で表面被膜層である固化促進剤が、浸透してくる水分で崩壊状となって流れ出して粒状体相互を接着させ、糞尿のかかった部分をダンゴ化させながら、内部から吹き出してくるように発色するメチレンブルーの鮮やかな青色で自らの色を失い、ダンゴ化した部分全体を鮮やかな青色に変色させてしまい、他の元々着色されている表面被膜層のままの敷き砂部分と一目で区別されるようにする。このダンゴ状となった部分は、仮令乾燥し始めてもメチレンブルーで発色した鮮やかな青色をそのまま止め、従前までの敷き砂のように、乾燥と共にその輪郭(即ち、糞尿がかかった所とそうでない所との境目)を不明瞭なものとしてしまう虞がない。
一方、糞尿の嫌な匂いは、粒状芯体1の中に最小必要限度の最適な量で配合されているゼオライトが確実に吸着して、糞尿からの悪臭が辺りに充満してしまわないように機能することになる。したがって、ペットの買い主は、自分の都合に合わせ、何時でも確実に敷き砂の中の汚れた部分だけを確実に除去でき、除去して少なくなった分の敷き砂を補充するようにしさえすれば、ペット用トイレの中の敷き砂は、常に新しい敷き砂だけにしておくことが可能になる。」(段落【0018】?【0020】)

上記摘記事項(甲2a)?(甲2e)から、甲第2号証には「珪砂微粉末を含む粘土を主成分とし、ゼオライト粉末、吸水剤、および顔料のメチレンブルー粉末を夫々適量混練して固化した粒状芯体と、該粒状芯体の表面全体を覆う固化促進剤からなる表面被膜層と、該表面被膜層の外表面に付着もしくは浸透させた着色料とから成るペットの糞尿処理用敷き砂であって、
ペットの糞尿がかかって水分を受けると、表面の固化促進剤を通して吸水剤がそれらの水分を粒状芯体内に吸引してメチレンブルーの水分による発色を促し、この過程で表面被膜層である固化促進剤が、浸透してくる水分で崩壊状となって流れ出して粒状体相互を接着させ、糞尿のかかった部分をダンゴ化させながら、発色するメチレンブルーの青色で自らの色を失い、ダンゴ化した部分全体を鮮やかな青色に変色させて、他の元々着色されている表面被膜層のままの敷き砂部分と一目で区別されるようにしたペットの糞尿処理用敷き砂。」(以下、「甲第2号証記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

7-1-2.甲第3号証(特開平6-237661号公報)
甲第3号証には、「茶殻を使用する動物の排泄物処理材」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲3a)【特許請求の範囲】に、「【請求項1】 茶殻を主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面の少なくともその一部が着色物質により被覆されている着色された乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項4】 着色された乾燥造粒物が、茶殻並びに該茶殻より、夫々少ない量の配合物質、殺菌作用を有する物質及び着色物質を含有するコア部を有することを特徴とする請求項1に記載の動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項12】 着色物質が、紙粉、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パール、カーボン、エリオクロムブラックT、アミノブラック10B、クロラゾルブラックBH、シアニンブルー、アゾブルー、パテントブルー、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエローであることを特徴とする請求項4項に記載の動物の排泄物処理材。」
(甲3b)【産業上の利用分野】として、「本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関し、特に、茶殻の有効利用を図る、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関する。」(段落【0001】)
(甲3c)【課題を解決するための手段】として、「本発明は、動物が排泄した尿の吸収性及び保水性が良く、排泄物に接して塊状化でき、また焼却でき、しかも、廃物の茶殻その色彩にとらわれることなく、有効に利用できる動物の排泄物処理材を提供することを目的としている。」(段落【0004】)
(甲3d)「本発明において、動物の排泄物処理材は、茶殻を主として含有するので、造粒物の表面及び外観は、該茶殻のの本来有する緑色乃至褐色になっており、室内等において使用するのに、見た目が一見悪い。そこで、本発明において、茶殻は、この茶殻の固有の色とは異なる色の着色物質により着色されるのが好ましい。例えば白色粉状の配合物質を、排泄物処理材の40重量%以下の量、好ましくは、10重量%以下の量で、造粒に先立って、該茶殻に混合したり、該茶殻の造粒物の表面にまぶしたりして、茶殻の造粒物の色調を、茶殻の色調と異なる色調に、例えば、略白色又は白色に近づかせるなどして、茶殻の造粒物の茶殻の色を緩和させることができる。」(段落【0007】)
(甲3e)「着色物質」について、「またこの他に、茶殻を造粒し、この造粒物を着色物質により着色して、茶殻の色を隠した造粒物とすることができる。本発明において、このような指示薬を配合する場合には、指示薬の発色を容易に検出できるようにするために、茶殻の乾燥粒子の表面を白色に着色し、これに白色乃至略白色の配合物質に指示薬を添加混合したものを配合するのが好ましい。この場合、上記の白色の顔料及び染料に替えて、白色乃至略白色の増量材等の配合物質を着色物質として使用することができる。したがって、例えば上に列記の白色の着色物質以外に、例えば、ベントナイト、ゼオライト、炭酸カルシウム及び石膏等の鉱物質の白色配合物質、並びに小麦粉、紙粉、製紙用パルプ粉、製紙スラッジ及びCMC等の白色配合物質を、茶殻の着色造粒物粒子の表面の着色物質として、使用することができる。」(段落【0008】)
(甲3f)「本発明において、このような指示薬を配合する場合には、指示薬の発色を容易に検出できるようにするために、茶殻の乾燥粒子の表面を白色に着色し、これに白色乃至略白色の配合物質に指示薬を添加混合したものを配合するのが好ましい。この場合、上記の白色の顔料及び染料に替えて、白色乃至略白色の増量材等の配合物質を着色物質として使用することができる。したがって、例えば上に列記の白色の着色物質以外に、例えば、ベントナイト、ゼオライト、炭酸カルシウム及び石膏等の鉱物質の白色配合物質、並びに小麦粉、紙粉、製紙用パルプ粉、製紙スラッジ及びCMC等の白色配合物質を、茶殻の着色造粒物粒子の表面の着色物質として、使用することができる。」(段落【0014】)
(甲3g)【作用】として、「本発明において、動物の排泄物処理材は、茶殻を含む造粒物表面が着色物質で着色されているので、茶殻特有の緑色乃至褐色の色調は隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じることが可能なり、商品の多色化を可能とすることができる。」(段落【0019】)

上記摘記事項(甲3a)?(甲3g)から、甲第3号証には「茶殻を主として含有するコア部(造粒物)の表面が、紙粉等の着色物質により被覆されている着色された乾燥造粒物である動物の排泄物処理材。」が記載されていると認められる。

7-1-3.甲第4号証(特開平6-315330号公報)
甲第4号証には、「動物の排泄物処理材」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲4a)【特許請求の範囲】に、「着色造粒物は、表面着色部と、焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣及び該コーヒー抽出液抽出残渣をより少ない量で含有される配合物質とが、均一に混合されている造粒部とを備えて、3ミリメートル以上の粒径に形成されると共に、10重量%以下の水分を含有し、前記表面着色部は、該造粒部を囲む複数の着色物の層で形成されていることを特徴とするコーヒー抽出液抽出残渣を主として含有する動物の排泄物処理材。」(【請求項1】)
(甲4b)【産業上の利用分野】として、「本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材の製造方法及びその装置に関し、特に、焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を抽出する際に生じる焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣の有効利用を図る、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材の製造方法及びその装置に関する。」(段落【0001】)
(甲4c)【発明が解決しようとする課題】として、「コーヒー抽出液抽出残渣の褐色の色は、動物の飼い主の好むところでないために、問題とされている。ところで、動物の排泄物処理材は、一般に、室内で使用されるために、衛生的な感じを与える色調であることが要求されている。本発明は、コーヒー抽出液抽出残渣のもつ褐色の色彩による動物排泄物処理材としての商品価値の低下に係る問題点を解決することを目的としている。」(段落【0003】)
(甲4d)着色について、「本発明において、製造される焙煎コーヒー豆のコーヒー抽出液抽出残渣の造粒物の表面は、該コーヒー抽出液抽出残渣の本来有する色、即ち、該コーヒー抽出液抽出残渣の固有の色と異なる色を有する着色物質により着色されている。この場合、コーヒー抽出液抽出残渣の粒子を該着色物質により着色し、次いでこの着色されたコーヒー抽出液抽出残渣の粒子を造粒して、コーヒーの色を隠した造粒物とするもでき、またこの造粒物に二次的に更に着色することもできる。またこの他に、コーヒー抽出液抽出残渣を造粒し、この造粒物を該着色物質により着色して、コーヒーの色を隠した造粒物とすることができる。」(段落【0005】)
(甲4e)着色物質について、「本発明において、着色物質として、顔料及び染料を使用することができる。このような顔料及び染料には、白色のものとして、紙粉、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パールがあり、黒色のものとしては、カーボン、エリオクロムブラックT、アミノブラック10B及びクロラゾルブラックBHがある。青色の顔料及び染料としては、シアニンブルー、アゾブルー及びパテントブルーがあり、緑色の顔料及び染料としては、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、黄色の顔料及び染料としては、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエローがある。着色物質として、紙粉は、繊維長が0.1乃至0.8mmものであると、他のものに比して剥落が少なくなり好ましい。」(段落【0006】)
(甲4f)配合物質について、「本発明において、コーヒー抽出液抽出残渣の着色造粒乾燥物に配合される配合物質としては、尿に触れて粉体粒子相互を接着させて、容易に塊を形成して、尿に触れた部分を容易に取り出し易くさせるように、接着機能を有するつ配合物質を配合するのが好ましい。このような配合物質には、水溶性又は水分散性の配合物質として、茶殻、紙粉、製紙用パルプ、製紙スラッジ、活性炭入りパルプ廃物、パルプスラッジ、ポリビニルアルコール(PVA)、小麦粉、澱粉、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、プルラン、カゼイン又はゼラチンなどがあり、これらは、単独で使用されるか、又はこれら2種以上を混合して配合物質として使用される。また、アルコール溶解性の配合物質としては、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)又はポリビニルピロリドン或は(PVP)などがあり、この場合も同様に、単独で使用されるか、又はこれら2種以上を混合して配合物質として使用される。」(段落【0009】)
(甲4g)【作用】として、「本発明において、動物の排泄物処理材は、脱臭に優れるコーヒー抽出液抽出残渣を含む造粒物が、例えば噴霧により塗布された着色物質で着色されているので、コーヒー特有の褐色の色が隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じることが可能を可能とし、商品の多色化に応じて、適宜の色調に製造することができる。・・・」(段落【0021】)

上記摘記事項(甲4a)?(甲4g)から、甲第4号証には「コーヒー抽出液抽出残渣を主として含有する造粒物を、着色物としての紙粉等の層で被覆した動物の排泄物処理材。」が記載されていると認められる。

7-1-4.甲第5号証(特開平5-328866号公報)
甲第5号証には、「動物の排泄物処理材」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲5a)【特許請求の範囲】に、「【請求項1】 チャコールフィルターパルプスラッジを主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面が着色物質により少なくともその一部が被覆されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
【請求項2】 チャコールフィルターパルプスラッジ並びに該スラッジより少ない量の配合物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面が着色物質により少なくともその一部が被覆されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項4】 着色物質が、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パール、シアニンブルー、アゾブルー、パテントブルー、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエローであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の動物の排泄物処理材。」
(甲5b)【産業上の利用分野】として、「本発明は、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関し、特に、フィルター付きたばこを製造する際に生じるチャコールフィルターパルプスラッジの有効利用を図る、動物、特に猫科及び犬科動物並びにその他愛玩動物等の動物の粒状の排泄物処理材及びその製造方法に関する。」(段落【0001】)
(甲5c)【発明が解決しようとする課題】として、「動物の排泄物処理材は、一般に、室内で使用されるために、汚れ難く衛生的な感じを与える色調であることが要求されている。本発明は、チャコールフィルターパルプスラッジのもつ黒色の色彩による動物排泄物処理材としての商品価値の低下に係る問題点を解決することを目的としている。」(段落【0003】)
(甲5d)【課題を解決するための手段】として、「本発明は、動物が排泄した尿の吸収及び保水性が良く、排泄物に接して塊状化でき、また焼却でき、しかも、タバコ産業の廃物のチャコールフィルターパルプスラッジを、その色にとらわれることなく、有効に利用できる動物の排泄物処理材を提供することを目的としている。即ち、本発明は、チャコールフィルターパルプスラッジを主として含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面が着色物質により少なくともその一部が被覆されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にあり、また本発明は、チャコールフィルターパルプスラッジ並びに該スラッジより少ない量の配合物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面が着色物質により少なくともその一部が被覆されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にあり、さらに本発明は、チャコールフィルターパルプスラッジ並びに該スラッジより少ない量の配合物質及び殺菌作用を有する物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、その表面が着色物質により少なくとも一部着色されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材にある。」(段落【0004】)
(甲5e)【作用】として、「本発明において、動物の排泄物処理材は、チャコールフィルターパルプスラッジを含む造粒物表面が着色物質で着色されているので、チャコールフィルターパルプスラッジに含有されるヤシ殻活性炭の特有の黒色は隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じた着色物とすることが可能なり、動物の排泄物処理材の多色化を可能にすることができる。」(段落【0020】)

上記摘記事項(甲5a)?(甲5e)から、甲第5号証には「チャコールフィルターパルプスラッジを主として含有する造粒物の表面が、着色物質により被覆されている乾燥造粒物である動物の排泄物処理材。」が記載されていると認められる。

7-1-5.甲第6号証(特開平5-328865号公報)
甲第6号証には、「動物の排泄物処理材」に関する発明が記載されており、以下の記載がある。
(甲6a)【特許請求の範囲】に「【請求項4】 木粉並びに該木粉より少ない量の配合物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面の少なくとも一部が着色物質により着色されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項7】 木粉並びにコーヒー液抽出残渣及び/又はチャコールフィルターパルプスラッジとを主として含有し、前記主として含有される木粉並びにコーヒー液抽出残渣及び/又はチャコールフィルターパルプスラッジより少ない量の配合物質及び殺菌作用を有する物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有し、表面の少なくとも一部が着色物質により着色されている乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。
・・・・・
【請求項9】 着色物質が、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パール、シアニンブルー、アゾブルー、パテントブルー、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、アゾイエロー、アシッドイエロー又はハンサイエロー或いはこれら2種以上の混合物であることを特徴とする請求項3又は請求項6に記載の動物の排泄物処理材。」
(甲6b)「本発明において、排泄物処理材を使用雰囲気に調和させる目的で、木粉造粒物は着色物質により着色される。本発明において、着色物質は、顔料及び染料を使用することができる。このような顔料及び染料には、例えば、白色のものとして、炭酸カルシウム、酸化チタン及び合成パールがあり、青色の顔料及び染料としては、シアニンブルー、アゾブルー及びパテントブルーがあり、緑色の顔料及び染料としては、シアニングリーン及びエメラルドグリーンがあり、黄色の顔料及び染料としては、アゾイエロー、アシッドイエロー及びハンサイエローがある。」(段落【0010】)
(甲6c)「本発明において、このような尿検査用の指示薬を配合するなどのために、木粉の造粒乾燥粒子の表面を白色に着色する場合、指示薬が添加され又は添加されない白色乃至略白色の配合物質を木粉に配合することができる。この場合、白色乃至略白色の配合物質を、上記の白色の顔料及び染料に代えて使用することができる。したがって、例えば上に列記の、例えば、ベントナイト、ゼオライト、炭酸カルシウム及び石膏等の鉱物質の白色配合物質、並びに小麦粉、紙粉、製紙用パルプ粉、製紙スラッジ及びCMC等の白色配合物質を、木粉粒子の表面の白色着色用物質として、使用することができる。尿pH指示薬の場合は、使用される着色物質及び配合物質はpHに影響を与えないものとされる。例えば紙粉、チタン白等が使用される。」(段落【0016】)
(甲6d)【作用】として、「本発明において、動物の排泄物処理材は、木粉を含む造粒物表面が着色物質で着色されているので、木粉の特有の色は隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じた着色物とすることが可能なり、動物の排泄物処理材の多色化を可能にすることができる。」(段落【0022】)

上記摘記事項(甲6a)?(甲6d)から、甲第6号証には「木粉並びに該木粉より少ない量の配合物質を含有する造粒物の表面が、着色物質により着色されている乾燥造粒物である動物の排泄物処理材。」が記載されていると認められる。

7-2.本件発明1について
7-2-1.甲第2号証記載の発明との対比・判断
本件発明1と上記甲第2号証記載の発明とを対比する。
甲第2号証記載の発明の「ペットの糞尿処理用敷き砂」は、粒状芯体に吸水剤を含み、該吸水剤が糞尿の水分を粒状芯体内に吸引するものであるから、本件発明1の「吸水性を有する動物用排尿処理材」に該当するものである。
また、甲第2号証記載の発明の「粒状芯体」は、本件発明1の「核部分」に相当し、甲第2号証記載の発明の「該粒状芯体の表面全体を覆う固化促進剤からなる表面被覆層」及び「該表面被覆層の外表面に付着もしくは浸透させた着色料」は、本件発明1の「核部分を被覆する表層」に相当するものであるから、甲第2号証記載の発明が、核部分を表層にて被覆した複合層構造を有することは明らかである。
そして、甲第2号証記載の発明の表面被覆層は、「表面被膜層である固化促進剤が、浸透してくる水分で崩壊状となって流れ出して粒状体相互を接着させ、糞尿のかかった部分をダンゴ化させながら、発色するメチレンブルーの青色で自らの色を失い、ダンゴ化した部分全体を鮮やかな青色に変色させて、他の元々着色されている表面被膜層のままの敷き砂部分と一目で区別されるようにする」ものであるから、排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめるものということができる。
したがって、本件発明1と甲第2号証記載の発明とは、「吸水性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆した複合層構造を有する動物用排尿処理材。」という点で一致する。

しかし、甲第2号証記載の発明は、表面被膜層である固化促進剤が、浸透してくる水分で崩壊状となって流れ出して粒状体相互を接着させ、糞尿のかかった部分をダンゴ化させながら、発色するメチレンブルーの青色で自らの色を失い、ダンゴ化した部分全体を鮮やかな青色に変色させるもの、すなわち、表面被覆層が水分により崩壊することにより、粒状芯体に含まれるメチレンブルーの青色が現れるものである。
これに対して、本件発明1は「該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、上記複合層構造にして排尿の有無を判別する」構成を有するものであり、この構成は、本件明細書に、例えば、段落【0012】に「一例として核部分1a,2aは表層1b,2bより暗色系の顔料又は染料にて着色し、上記排尿吸収時に表層1b,2bを通し該着色が露見されるようにする。」と、段落【0019】に「更に他例として核部分1a,2aの全体又は外層部分に水溶性の顔料又は染料にて着色を与える。この実施例においては排尿にて含水する時、核部分1a,2aの着色が表層1b,2bに滲潤して核部分の色を露見し使用後と使用前を判別できるようにしている。」と、段落【0024】に「この発明によれば吸水材から成る動物用排尿処理材において、その核部分と表層とに明度に差を持たせた複層構造とする、又は核部分に表層より暗色系の着色を施した複層構造にすると言う着想により、排尿吸収時に表層を通して核部分の色が露見できるようにした上記処理材が提供でき、従来の排尿のペーハーを検出して変色する薬剤を用いずに、使用前と使用後の判別が的確に行なえる上記処理材の形成が可能であり、これにより使用後の処理材のみを交換できる利点も享受できる。」と記載されているように、表層を通して複合層構造の状態で露見が得られるものである。
したがって、甲第2号証記載の発明は、本件発明1の「排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、複合層構造にして」排尿の有無を判別するという構成を備えているということはできず、この点において甲第2号証記載の発明と相違するものであるから、本件発明1が甲第2号証に記載された発明ということはできない。

7-2-2.甲第2号証記載の発明を基本引例として進歩性の判断
請求人は、本件発明1は、甲第2号証記載の発明と、甲第3号証?甲第6号証に記載された発明(ないしこれから認められる周知慣用技術)と、出願時の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している。
そして、上記7-2-1.で述べたように、本件発明1は、甲第2号証記載の発明と、排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、複合層構造にして排尿の有無を判別する点(相違点)で相違すると認められるので、この相違点が容易であるかどうかを検討する。

甲第3号証には、上記7-1-2.から、「茶殻を主として含有するコア部(造粒物)の表面が、紙粉等の着色物質により被覆されている着色された乾燥造粒物である動物の排泄物処理材。」が記載されている。
また、甲第4号証には、上記7-1-3.から、「コーヒー抽出液抽出残渣を主として含有する造粒物を、着色物としての紙粉等の層で被覆した動物の排泄物処理材。」が記載されている。
また、甲第5号証には、上記7-1-4.から、「チャコールフィルターパルプスラッジを主として含有する造粒物の表面が、着色物質により被覆されている乾燥造粒物である動物の排泄物処理材。」が記載されている。
また、甲第6号証には、上記7-1-5.から、「木粉並びに該木粉より少ない量の配合物質を含有する造粒物の表面が、着色物質により着色されている乾燥造粒物である動物の排泄物処理材。」が記載されている。
そして、請求人が甲第7号証として提示した、「製紙科学」(有限会社中外産業調査会、昭和57年6月30日発行)第551頁に「高白色度の紙の個々の繊維や粒子は『水の白色』であり、光線が繊維や粒子を通過しても光はほとんど吸収されず,むしろ反射や屈折の多数繰返しにより完全に近い光散乱を生じ,結果として高白色度,不透明性を呈すると言われている。またこのためには,個々の繊維や粒子固体界面間に空隙(光学的非結合面積)の存在も必要である。もし紙を強くプレスしたり,水に浸すと紙の白さや不透明性が失われることからも明らかである。」と記載されているように、一般的に、紙を水に浸すと紙の白さや不透明性が失われて、紙の厚さが薄い場合には透けて見えることは技術常識ということができる。
しかし、甲第3号証には、【課題を解決するための手段】として上記摘記事項(甲3d)に「本発明において、動物の排泄物処理材は、茶殻を主として含有するので、造粒物の表面及び外観は、該茶殻のの本来有する緑色乃至褐色になっており、室内等において使用するのに、見た目が一見悪い。そこで、本発明において、茶殻は、この茶殻の固有の色とは異なる色の着色物質により着色されるのが好ましい。」と記載され、【作用】として上記摘記事項(甲3g)に「本発明において、動物の排泄物処理材は、茶殻を含む造粒物表面が着色物質で着色されているので、茶殻特有の緑色乃至褐色の色調は隠されて、排泄物処理材の使用時における、例えば室内の調度との調和、衛生感、使用者の好み及び色彩雰囲気等に応じることが可能なり、商品の多色化を可能とすることができる。」と記載されているように、甲第3号証記載の発明は、茶殻の緑色乃至褐色の色を隠すために、茶殻を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものである。
してみると、甲第3号証には、茶殻から形成された造粒物を、着色物としての紙粉の層で被覆した動物用排泄物処理材、が記載されているが、上述したように、甲第3号証記載の発明は、茶殻の緑色乃至褐色の色を隠すために、茶殻を含む造粒物の表面を着色物の層で被覆しているものであるから、茶殻の緑色乃至褐色の色を隠すために、着色物の層を厚くするものであり、着色物の層を薄くすることは想定されないから、甲第3号証に、「表層」が「排尿を吸収した表層を通し核部分の色を露見せしめる」という構成が、示唆されているということはできない。
同様に、甲第4号証、甲第5号証又は甲第6号証の発明も、それぞれコーヒー抽出液抽出残渣の褐色、チャコールフィルターパルプスラッジの黒色、又は木粉の色を隠すために、造粒物の表面を着色物質で被覆しているものであるから、甲第4号証、甲第5号証又は甲第6号証に、「表層」が「排尿を吸収した表層を通し核部分の色を露見せしめる」という構成が示唆されているということはできない。
してみると、甲第3?6号証には、表層が、排尿を吸収した表層を通し核部分の色を露見せしめる」という構成は示唆されていないから、甲第3?6号証記載の技術を甲第2号証記載の発明と組み合わせても、上記相違点1の構成が容易ということはできない。

請求人は、甲第13?19号証を提出し、甲第4号証(特開平6-315330号公報)記載の発明の実施商品である「お花畑<たんぽぽ>(商標)」を本件特許の出願日前に製造販売しており、本件発明の「使用後に核部分の色が露出する現象」は出願前に当業者が当然に認識していた事項である、と主張する。
しかし、「お花畑<たんぽぽ>(商標)」が、例えば表面着色部(表層)の厚さなどを含めて、甲第4号証記載の発明を正確に実施したものとは認められないから、無効理由として「お花畑<たんぽぽ>(商標)」自体からの公然実施等を主張するならともかく、甲第4号証記載の発明の解釈に参酌することはできず、「使用後に核部分の色が露出する現象」を当業者が当然に認識していた事項であるとの主張は採用できない。

請求人は、平成20年6月2日付けの弁駁書において、訂正後の特許発明は、基本構成が同一である甲第2号証の発明に、甲第25号証(特開平4-112731号公報)、甲第26号証(実開平5-39259号公報)で示したような周知技術を加えただけのものであり、当業者であれば容易に発明できるものである、と主張している。
甲第25号証には、「実施例」として、「第2図は本発明の一実施例のペット用シーツ5の部分断面を含む斜視図である。
この実施例は、液体が通過する性質を有し、動物の尿等の排泄物が通過する第1のシートであるレーヨン等から成る不織布11と、液体が通過しない性質を有する第2のシートである合成樹脂フィルム14と、第1のシートである不織布11と第2のシートである合成樹脂フィルム14との間に狭持され、1枚以上から成る第3のシートである紙2および不織布13とから構成される。
さらに、第1のシートである不織布11と、第2のシートである合成樹脂フィルム14と、第3のシートである紙2および不織布13の内のいずれか1以上のシートに所要インキが含浸、塗布あるいは印刷される。」(第2頁右上欄第5?20行)と、また、「作用」として、「本発明によれば、所要水分により色彩が変化する所要インキが含浸、塗布あるいは印刷される素材から成る。
このため、人、あるいは、動物の尿等の排泄物等の所要水分が日用品中の所要インキと接触すると、変色し、尿中のPH、蛋白質、ブドウ糖、潜血等が定性的あるいは定量的に検知され、人、あるいは、動物の体調を知ることができ、さらに、種々の処置を行う目安となる。」(第2頁左上欄第11?19行)と記載されている。
また、甲第26号証には、「水分吸収部材の一側面に、水濡れによって色彩変化を生ずる濡れ検出部材を配したことを特徴とする排尿検知シート。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、図1及び図2には、実施例として、排尿検知シートを外包4で被覆したペット用トイレシートが示されている。
そうすると、ペット用トイレシートにおいて、水分によって色彩変化を生ずる濡れ検出シートを設け、外包等で覆うことは周知ということができる。
しかし、甲第25号証或いは甲第26号証記載のペット用トイレシートは、濡れ検出シートが濡れて色彩変化を生ずることによって排尿の有無を検出するものである。そして、甲第25号証の「第1のシート」或いは甲第26号証の「外包4」については、濡れることにより内部の色を露見させることを示唆する記載はないから、尿のような水分を透過する性質を有するとともに、内部が透けて見える部材、つまり、排尿の有無に拘わらず、単に内部の色を外部から視認可能にする部材で足りると解される。したがって、本件発明1の「表層」のように、排尿を吸収することにより核部分の色を露見せしめるものではないから、甲第25号証或いは甲第26号証にみられる技術を甲第2号証記載の発明に組み合わせても、本件発明1が容易想到ということはできない。

7-2-3.甲第2号証乃至甲第6号証を組み合わせての進歩性の判断
上記7-2-1.で述べたように、甲第2号証記載の発明は、本件発明1の「排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、複合層構造にして」排尿の有無を判別するという構成を備えていない。また、上記7-2-2.で述べたように、甲第3号証?甲第6号証記載の発明は、茶殻等の色を隠すために、造粒物の表面を着色物質で被覆しているものであるから、むしろ、着色物の層を厚くするものである。したがって、甲第2?6号証の何れにも、「表層」が「排尿を吸収した表層を通し核部分の色を露見せしめる」という構成が、示唆されているということはできない。
してみると、甲第2?6号証の何れにも、「表層」が「排尿を吸収した表層を通し核部分の色を露見せしめる」という構成は記載も示唆もされていないから、甲第2?6号証記載の発明を組み合わせても、本件発明1が容易想到ということはできない。

そして、本件発明1は、特許明細書の【発明の効果】の欄に記載された、「この発明によれば吸水材から成る動物用排尿処理材において、その核部分と表層とに明度に差を持たせた複層構造とする、又は核部分に表層より暗色系の着色を施した複層構造にすると言う着想により、排尿吸収時に表層を通して核部分の色が露見できるようにした上記処理材が提供でき、従来の排尿のペーハーを検出して変色する薬剤を用いずに、使用前と使用後の判別が的確に行なえる上記処理材の形成が可能であり、これにより使用後の処理材のみを交換できる利点も享受できる。」という、甲第2?6号証記載の発明とは異なる作用効果を奏するものである。

7-2-4.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1が、甲第2号証に記載された発明であるということはできず、また、甲第2号証乃至甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

7-3.本件発明2?本件発明5について
本件発明2は、本件発明1に対して、「上記核部分が表層より暗色系の顔料又は染料にて着色されている」との構成を付加するものである。
また、本件発明3は、本件発明1に対して、「上記核部分が無機顔料を含有している」との構成を付加定するものである。
また、本件発明4は、本件発明1に対して、「上記核部分が水溶性の顔料又は染料にて着色されている」との構成を付加するものである。
また、本件発明5は、本件発明1に対して、「上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成る」との構成を付加するものである。

そして、請求項2?請求項5は請求項1を引用するものであるから、本件発明2?本件発明5は、本件発明1の、表層が、排尿を吸収すると該排尿を吸収した表層を通し核部分の色の露見が得られるという構成を前提とするものであって、上記7-2.で述べたように、この構成は甲第2号証に記載されたものではなく、また、甲第2?6号証から容易想到といえるものではないから、本件発明2?本件発明5も、甲第2号証に記載された発明であるとも、甲第2?6号証記載の発明から容易想到であるともすることができない。

8.無効理由通知2についての検討
当審では、平成20年4月8日付けで、「特許請求の範囲請求項5には『上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成ることを特徴とする動物用排尿処理材。』と記載されているが、この構成のみでは排尿の有無を判別できるようにするための構成が全て記載されているとは認められず、請求項5には、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項を全て記載しているとは認められないから、平成6年改正前の特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない。」との無効理由を通知した。
これに対して、被請求人は、平成20年4月24日付けの訂正請求書で、請求項5を「【請求項5】上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成ることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。」と訂正する請求を行った。
この訂正請求は、上記2.のとおり認められるので、請求項5は請求項1を引用するものとなり、請求項5に係る発明は、排尿の有無を判別するための構成を備えるものとなったので、上記記載不備は解消したと認められる。

9.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法、並びに当審で通知した無効理由によっては、本件の請求項1?5に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
動物用排尿処理材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】吸水性を有する動物用排尿処理材であって、上記処理材が排尿を吸収すると核部分の色を露見せしめる表層にて被覆した複合層構造を有し、該排尿を吸収した表層を通し該露見が得られ、上記複合層構造にして排尿の有無を判別する構成を有することを特徴とする動物用排尿処理材。
【請求項2】上記核部分が表層より暗色系の顔料又は染料にて着色されていることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項3】上記核部分が無機顔料を含有していることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項4】上記核部分が水溶性の顔料又は染料にて着色されていることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【請求項5】上記核部分が白色度の低いパルプから成り、表層が白色度の高いパルプから成ることを特徴とする請求項1記載の動物用排尿処理材。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はセルロース繊維等の有機繊維又は有機粉等を主成分として粒状化又はペレット状化等した吸水性を有する動物用排尿処理材に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許第1696885号によってパルプ又はこれらの残渣を主成分とし、これに無機充填材を配合し粒状化した愛玩動物用排尿処理材が提供され、これを契機としてパルプ化する前の木粉又はコーヒー豆の抽出残渣を主成分としたもの、又はこれに適宜着色等を施し商品性を高めた排尿処理材が出願されるに至っているが、最近これら処理材に排尿のペーハーによって変色する薬剤を配合して、使用前と使用後の状態を判別できるようにした動物用排尿処理材が提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
上記排尿処理材の使用部分(排尿された部分)と未使用部分(排尿されていない部分)の判別がつけば、使用部分のみを交換することができるので経済的であり、又放置して異臭を放つ問題も解消できるが、従来例は排尿のペーハーによって変色する薬剤の使用を前提としている。例えばそれだけで家庭内で使用される排尿処理材としての適性が疑われ、商品性を損なう。加えて便器に流した後の廃水処理の問題も懸念される。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
この発明は、前記吸水性を有する動物排尿処理材において、これを排尿を吸収すると核部分の色を露見できるようにした表層で覆い、複合層構造にして排尿の有無を判別できるようにした思想を提供する。この複合層構造によって、前記薬剤を使用せずに、上記判別を可能にした処理材が形成できる。
【0005】
一例として上記核部分は顔料又は染料によって表層より暗色系の着色を施し上記判別を可能にする。他例として核部分に積極的に着色を施さず、素材が本来有する母材色を利用して、表層より核部分が暗色系になるように使い分けし上記判別を可能にする。
【0006】
又上記顔料又は染料は水溶性のものを用い、排尿の吸収によって顔料又は染料が表層に滲出し核部分の色を露見できるようにする。
【0007】
又上記処理材に炭酸カルシューム又はクレー等を主成分とする無機顔料を充填物として含ませることによって処理材に重みを付け、散乱、動物への付着を防止しつつ上記露見構造とする。無機顔料は重量付与効果に適しているが、有機顔料又は有機染料による着色は廃水処理において適正である。
【0008】
【作用】
この発明によれば排泄物処理材を複層構造にして、排尿の含水により表層を通して核部分の色を露見できるので、排尿によって発色する薬剤を用いずに、排尿における使用前と使用後の状態を的確に判別でき、使用部位のみを交換する利点も享受できる。
【0009】
【実施例】
前記のように対象とする動物排尿処理材は例えばパルプ(パルプ残渣を含む)又は木粉又はコーヒー豆の粉砕体又はコーヒー蒸留後の残渣等に代表される有機繊維又は有機粉を主成分とする吸水材から成る。これら吸水材には無機充填材、でん粉、吸水性ポリマー等を選択的に配合する。又上記処理材として藁の粉砕物、紙の粉砕物(紙粉,小紙片)を用いる。
【0010】
上記吸水材は図1、図2に示すように略小指大の粒状物1又はペレット状物2に成形し、乾燥してこれらの集合物を排尿処理に供する。又は上記吸水材はシート状体に成形し乾燥して排尿処理に供する。
【0011】
図1、図2に示すように、上記粒状物1又はペレット状物2を形成する吸水材は核部分1a,2aを、排尿を吸収すると核部分1a,2aの色を露見せしめる表層1b,2bにて被覆している。
【0012】
一例として核部分1a,2aは表層1b,2bより暗色系の顔料又は染料にて着色し、上記排尿吸収時に表層1b,2bを通し該着色が露見されるようにする。上記核部分1a,2aは単層構造にして、上記着色を施すか、又は複層構造にしてその最外層を着色層とする。
【0013】
他例として上記核部分1a,2aは組成する繊維又は粉粒体自身が有する母材色によって表層1b,2bより暗色にする。
【0014】
換言すると、表層1b,2bを核部分1a,2aより明色(白等の無色と言われる色を含む)にし、核部分1a,2aをこれより暗色にする。素材自身が有する母材色を利用する手段として、核部分1a,2aを故紙パルプ(白色度の低いパルプ)で作り、表層1b,2bをそれより白色度の高いバージンパルプ等で作る。ここにパルプとはパルプスラッジを含む。
【0015】
故紙パルプはインキ成分によって付色されており、暗灰色を呈する。これをこれより白色度の高いバージンパルプ等の繊維又は粉体から成る表層1b,2bで被覆し、排尿の吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色が露見できるようにする。
【0016】
又は核部分1a,2aをコーヒー豆処理後の残渣粉にて形成し、表層1b,2bをパルプ繊維又は粉体等の吸水性を有する素材にて被覆する。
【0017】
上記核部分1a,2aを形成するコーヒー豆処理後の残渣は褐色を呈しており、表層1b,2bは故紙パルプにしてもバージンパルプにしてもその明度において白色度がはるかに高い。これを利用して排尿の吸収時に、表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色が露見できるようにする。
【0018】
又他例として核部分1a,2aに非水溶性の顔料又は染料にて着色を施し、上記判別可能な構造にすることができる。
【0019】
更に他例として核部分1a,2aの全体又は外層部分に水溶性の顔料又は染料にて着色を与える。この実施例においては排尿にて含水する時、核部分1a,2aの着色が表層1b,2bに滲潤して核部分の色を露見し使用後と使用前を判別できるようにしている。この発明は核部分1a,2aと表層1b,2bとを前者を暗色にし、後者を明色にして、明度に差をつけて、排尿吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色を露見できるようにした思想を開示している。
【0020】
又この発明は核部分1a,2aと表層1b,2bとを異材質にして排尿吸収時に表層1b,2bを通して核部分1a,2aの色を露見できるようにした思想を開示している。上記表層1b,2bは有機繊維又はその粉粒体の他、シリカ、ゼオライト、ベントナイト等の無機物で形層し吸水性を付与する。
【0021】
上記思想に従った一適例について再述すると、核部分1a,2a(パルプ繊維)に顔料又は染料にて積極的に着色を施し、これを上記着色を施していない表層1b,2b(パルプ繊維)で被覆することによって鮮明な露見色を得ることができ、又パルプは入手が容易で安価であり、商品性を高める。
【0022】
又この発明は実施例として上記吸収材から成る処理材、即ちその核部分1a,2a及び表層1b,2bを有機繊維又は有機粉で形成すると共に、上記着色用顔料又は着色用染料を有機着色材にて形成し、トイレへ流した後の廃水処理に適合する素材構成にする。
【0023】
又炭酸カルシューム、クレー、珪石等の無機物は無害であり、水に良く溶ける。これらの無機物を成分とする顔料を上記有機物から成る処理材に配合することによって重量付加が適正に行なえ且つ着色による露見構造が形成できる。
【0024】
【発明の効果】
この発明によれば吸水材から成る動物用排尿処理材において、その核部分と表層とに明度に差を持たせた複層構造とする、又は核部分に表層より暗色系の着色を施した複層構造にすると言う着想により、排尿吸収時に表層を通して核部分の色が露見できるようにした上記処理材が提供でき、従来の排尿のペーハーを検出して変色する薬剤を用いずに、使用前と使用後の判別が的確に行なえる上記処理材の形成が可能であり、これにより使用後の処理材のみを交換できる利点も享受できる。又表層によって良好な外観性を付与することができる。従って内部(核部分)には機能を損なわない範囲で任意の材質を選択できる。
【0025】
又上記目的は処理材を単に前記複層構造にすることにより達成できるので、排尿反応剤等の薬剤を使用した場合の如き、ユーザーにおける有害の懸念を抱かせずに商品化でき、又トイレに流した後の廃水処理においても適正なる排泄物処理材を提供できる。
【0026】
尚この発明において排尿とは排便を含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明に係る排尿処理材を粒状物にした場合の単一粒状物の断面図である。
【図2】
同ペレット状にした場合の同断面図である。
【符号の説明】
1 粒状物
2 ペレット状物
1a,2a 核部分
1b,2b 表層
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2008-06-11 
結審通知日 2008-06-13 
審決日 2008-06-24 
出願番号 特願平6-339975
審決分類 P 1 113・ 534- YA (A01K)
P 1 113・ 121- YA (A01K)
P 1 113・ 113- YA (A01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 高橋 泰史
特許庁審判官 秋月 美紀子
山村 祥子
登録日 1996-06-27 
登録番号 特許第2534031号(P2534031)
発明の名称 動物用排尿処理材  
代理人 鈴木 英之  
代理人 渋谷 輝一  
代理人 卜部 忠史  
代理人 大津 洋夫  
代理人 菅原 清暁  
代理人 中畑 孝  
代理人 ト部 忠史  
代理人 中畑 孝  
代理人 中島 雪枝  
代理人 大橋 君平  
代理人 渋谷 輝一  
代理人 佐久間 幸司  
代理人 松田 純一  
代理人 中島 雪枝  
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