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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06Q |
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管理番号 | 1210523 |
審判番号 | 不服2007-5480 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-02-21 |
確定日 | 2010-01-20 |
事件の表示 | 特願2002-179998「技術開発企業マネジメント支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月20日出願公開、特開2003- 85339〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成14年6月20日(優先権主張 平成13年6月26日)の出願であって、平成17年9月16日付けで拒絶理由通知がなされ、平成18年9月11日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、平成17年11月28日付けで手続補正がなされ、平成19年1月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年2月21日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年5月14日付で手続補正がなされ、当該手続補正に対して同年8月20日付けで手続却下がなされたものである。 2.明細書の記載について 上述のとおり、平成19年5月14日付けの手続補正は、同年8月20日付けで手続却下されたので、明細書の特許請求の範囲、発明の詳細な説明の段落【0006】、段落【0007】、段落【0030】、及び段落【0058】の記載は、平成17年11月28日付けの手続補正書に記載されたとおり以下のとおりのものである。なお、当該補正書に記載された図面の図40及び図41については省略する。 (a)特許請求の範囲について 「【請求項1】 ホストコンピューターに「登録システム」,「第一次審査システム」,「第二次審査システム」,「製品評価システム」からなる「データベース」としてのエリア部分を設け、前記各システムに付帯する各審査項目の評価値並びに当該項目の計算式等により数値化されたデーター及び「キーワード」,「ID」,「コード番号」等開発技術を特定する情報を入力して照合,比較判断する記憶情報照合データベースハードデスクエリアと、過去及び既存の前記各項目のデータ,情報を保存する内部情報記憶データベースハードデスクエリアとインターネットにより接続された公設及び私設の外部の情報とを入手し各データを「キーワード」「ID」等により分類,判別しこれを入力,記憶させる外部情報記憶データベースハードデスクエリアとにより構成され、新規に登録された情報・技術と分野別に分類された過去及び既存の各項目のデーターと内部情報及び最新の外部情報とを比較検討することによりその新規性、相違性を求めることを特徴とする技術開発企業マネジメント支援システム。 【請求項2】 コンピュータ内に存在する「登録システム」データベース,「第一次審査シスステム」データベース,「第二次審査システム」データベース,「製品評価システム」データベースを順次直列に運用し、判定の結果を出すシステムと、この4つのシステムデーターベースをサイクル状に運用し、情報の反復,確認をすることを特徴とする請求項1に記載の技術開発企業マネジメント支援システム。」 (b)発明の詳細な説明の段落【0006】及び段落【0007】について 「【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、ホストコンピューターに「登録システム」,「第一次審査システム」,「第二次審査システム」,「製品評価システム」からなる「データベース」としてのエリア部分を設け、前記各システムに付帯する各審査項目の評価値並びに当該項目の計算式等により数値化されたデーター及び「キーワード」,「ID」,「コード番号」等開発技術を特定する情報を入力して照合,比較判断する記憶情報照合データベースハードデスクエリアと、過去及び既存の前記各項目のデータ,情報を保存する内部情報記憶データベースハードデスクエリアとインターネットにより接続された公設及び私設の外部の情報とを入手し各データを「キーワード」「ID」等により分類,判別しこれを入力,記憶させる外部情報記憶データベースハードデスクエリアとにより構成され、新規に登録された情報・技術と分野別に分類された過去及び既存の各項目のデーターと内部情報及び最新の外部情報とを比較検討することによりその新規性、相違性を求めることを特徴とする。 【0007】 また、請求項2の発明は、コンピュータ内に存在する「登録システム」データベース,「第一次審査シスステム」データベース,「第二次審査システム」データベース,「製品評価システム」データベースを順次直列に運用し、判定の結果を出すシステムと、この4つのシステムデーターベースをサイクル状に運用し、情報の反復,確認をすることを特徴とする。」 (c)発明の詳細な説明の段落【0030】について 「【0030】 次に、二次審査内容において行われる開発技術状況チェック用のレーザーチャートを図39に示す。なお、このレーザーチャートは本発明における重要なチェック項目であり以下に詳しく説明する。この開発技術レーザーチャートは、多様な各要素をコンピュータに入力して即時に意志決定できる判断基準が正確に得られるものであり、ここに発明としての技術的思想が存在する。即ち、このレーザーチャートは大区分として開発企画,開発実施,開発設計があり、夫々要素区分として30項目のチェック項目がある。作成に当っては例えばクライアントの開発部門,営業部門,開発技術部門内に属するリーダ級に対して客観的に聞き取りして入力する。これを自社商品の他競合商品についても実施することにより差別化戦略が科学的に分析され、挑戦目標を明確に定めることができる。なお、これに関連して出願人はマトリックス二項分布を用いた顧客満足度に関する分析技術を有しているが、これは原出願で開示していないためここでの説明は省略する。以上のように、本願発明は色々のツールを有し、このツールをコンピュータを用いて技術的に処理するものである。」 (d)発明の詳細な説明の段落【0058】について 「【0058】 【発明の効果】 本発明によれば、開発技術や発明が多角,多面の切り口から審査,評価され、その結果、有用,有益で企業や発明者等にとっても大きなメリットが生ずる発明や開発技術を効率的に具現化することができ、社会貢献が果たせる効果が上げられる。即ち、審査の格差をなくし、公平、かつ迅速な評価結果を出すことができる。」 3.原査定の拒絶の理由の概要 原審の平成18年9月11日付けの拒絶理由通知で通知された拒絶の理由の概要は、当該拒絶理由通知の記載からみて、以下のとおりである。 「(理由1)平成17年11月28日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 (中略) ・補正後の請求項1の記載は、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の請求項2の記載は、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の第6段落の記載は、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の第7段落の記載は、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の第30段落の記載は、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・図40,図41は、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。」 また、平成19年1月16日付けの拒絶査定の備考の欄には拒絶の理由について以下の事項が記載されている。 「・(理由1)について 意見書において出願人は、平成17年11月28日付手続補正書は本願発明が「コンピュータシステム」であることを審査官に理解してもらうために変更を行ったものであること、平成17年11月28日付手続補正書の内容は主に図34乃至図39を文章化して表示したものであること、図40,図41は図34乃至図38をわかり易くまとめたものであること、を主張している。 上記主張を踏まえ、平成17年11月28日付手続補正書の内容を検討する。 ・平成17年11月28日付手続補正書でした手続補正後(以下、補正後とする)の請求項1の『ホストコンピューターに「登録システム」,「第一次審査システム」,「第二次審査システム」,「製品評価システム」からなる「データベース」としてのエリア部分を設け、』という記載について、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」とする。)には、「登録システム」「第一次審査システム」「第二次審査システム」「製品評価システム」が記載されていることは認められるものの、「ホストコンピュータにこれら各システムからなる「データベース」としてのエリア部分を設けること」については、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の請求項1の『前記各システムに付帯する各審査項目の評価値並びに当該項目の計算式等により数値化されたデーター及び「キーワード」,「ID」,「コード番号」等開発技術を特定する情報を入力して照合,比較判断する記憶情報照合データベースハードデスクエリア』という記載について、当初明細書等には、請求項6、第11段落、第55段落などに「前記各システムに付帯する各審査項目の評価値並びに当該項目の計算式等により数値化されたデーターを入力して照合,比較判断する」ことが記載されていると認められるものの、「「キーワード」,「ID」,「コード番号」等開発技術を特定する情報を入力すること」については、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の請求項1の『過去及び既存の前記各項目のデータ,情報を保存する内部情報記憶データベースハードデスクエリア』という記載は、当初明細書等の請求項6、第11段落、第55段落などに記載されていると認められる。 ・補正後の請求項1の『インターネットにより接続された公設及び私設の外部の情報とを入手し各データを「キーワード」「ID」等により分類,判別しこれを入力,記憶させる外部情報記憶データベースハードデスクエリア』という記載について、当初明細書等には、請求項6、第11段落、第55,56段落などに「外部の情報を入手しこれを入力,記憶させる」ことは記載されていると認められるものの、「当該外部の情報がインターネットにより接続された公設及び私設の外部情報であること」、「各データを「キーワード」「ID」等により分類,判別すること」については、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の請求項1の『新規に登録された情報・技術と分野別に分類された過去及び既存の各項目のデーターと内部情報及び最新の外部情報とを比較検討することによりその新規性、相違性を求める』という記載について、当初明細書等には、「新規に登録された情報・技術と過去及び既存の各項目のデーターと内部情報及び最新の外部情報とを比較検討することによりその新規性、相違性を求める」ことは記載されていると認められるものの、「当該過去及び既存の各項目のデーターと内部情報が分野別に分類されていること」については、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の請求項2の記載について、当初明細書等には、「「登録システム」データベース,「第一次審査シスステム」データベース,「第二次審査システム」データベース,「製品評価システム」データベースを順次直列に運用すること」は記載されていると認められるものの、「(一の)コンピュータ内に各データベースが存在すること」、「この4つのシステムデーターベースをサイクル状に運用し、情報の反復,確認をすること」については、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の第6段落の記載は、補正後の請求項1で指摘した点が、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の第7段落の記載は、補正後の請求項2で指摘した点が、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・補正後の第30段落について、『次に、二次審査内容において行われる開発技術状況チェック用のレーザーチャートを図39に示す。なお、このレーザーチャートは本発明における重要なチェック項目であり以下に詳しく説明する。この開発技術レーザーチャートは、多様な各要素をコンピュータに入力して即時に意志決定できる判断基準が正確に得られるものであり、ここに発明としての技術的思想が存在する。即ち、このレーザーチャートは大区分として開発企画,開発実施,開発設計があり、夫々要素区分として30項目のチェック項目がある。』という記載については、当初明細書等の図39に記載された範囲内で同図を説明するものであると認められるものの、『作成に当っては例えばクライアントの開発部門,営業部門,開発技術部門内に属するリーダ級に対して客観的に聞き取りして入力する。』という記載、『これを自社商品の他競合商品についても実施することにより差別化戦略が科学的に分析され、挑戦目標を明確に定めることができる。』という記載、『なお、これに関連して出願人はマトリックス二項分布を用いた顧客満足度に関する分析技術を有しているが、これは原出願で開示していないためここでの説明は省略する。』という記載、『以上のように、本願発明は色々のツールを有し、このツールをコンピュータを用いて技術的に処理するものである。』という記載は、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・図40(本発明の各データベース間とこれ等と開発技術等との関係を示す関係図)について、「登録システムデータベース」「第一次審査システムデータベース」「第二次審査システムデータベース」「製品評価システムデータベース」は当初明細書に記載されているものの、「第一次審査システムデータベース」から「登録システムデータベース」に戻る方向の矢印「第二次審査システムデータベース」から「第一次審査システムデータベース」に戻る方向の矢印「製品評価システムデータベース」から「第二次審査システムデータベース」に戻る方向の矢印「登録システムデータベース」と「製品評価一ステムデータベースの関係」間の双方向の矢印図中央の「開発技術」「収斂技術」を含む円、並びに、該円とデータベース間の矢印「サイクル・データベースシステム」という枠のいずれについても、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 ・図41(本発明のコンピュータによる処理をわかり易くまとめたブロック図である。)について、「入出力データベース・エリア」、「記憶データベース」、ホストコンピューター内部に「入出力「第一次審査データベース」「第二次審査データベース」「製品評価データベース」「記憶データベス」を内包する構成、「記憶データベース」内の「結果データ」を「入出力データベース・エリア」の「出力データ」と結びつけること、のいずれについても、当初明細書等に記載した事項ではなく、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 よって、平成17年11月28日付手続補正書でした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」 4.当初明細書又は当初図面に記載された事項について 願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)又は図面(以下、「当初図面」という。)には、平成17年11月28日付けの手続補正書により補正された記載に関連する事項として、以下の事項が記載されている。 (a)「【請求項5】 支援システムのコンピュータによる管理は、定置式のコンピュータと、携帯式のコンピュータを活用するものからなり、これ等のコンピュータはインターネットにより連結され、そのデータ処理がオフィスフリーに、かつ多角,多面的に行われることを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の技術開発企業マネジメント支援システム。 【請求項6】 本支援システムのコンピュータによる管理は、本支援システムの全体フローの登録システム、第一次審査システム、第二次審査システム及び製品評価システムのエリア部分において行われ、前記第一次審査システムと第二次審査システム及び製品評価システムのエリアは、夫々のシステムに付帯する各審査の評価並びに当該項目の計算式により数値化されたデータをキーボード入力するコアエリアと、各項目に関連する既存データや基準評価値をデータベースとして入力している内部情報コアエリアと、前記各項目に関連する外部情報を入力する外部情報コアエリアとにより構成され、これ等のコアエリアの各データが比較検討されて各システムにおける審査が自動的に行われることを特徴とする請求項5に記載の技術開発企業マネジメント支援システム。 【請求項7】 前記各エリア部分における審査においては、前記各コアエリアによる比較検討に加えて非数値されない評価項目についての審査が付加されることを特徴とする請求項6に記載の技術開発企業マネジメント支援システム。」 (b)「【0010】 また、請求項5の発明は、支援システムのコンピュータによる管理は、定置式のコンピュータと、携帯式のコンピュータを活用するものからなり、これ等のコンピュータはインターネットにより連結され、そのデータ処理がオフィスフリーに、かつ多角,多面的に行われることを特徴とする。定置式コンピュータと携帯式のコンピュータをインターネットと連結することにより、遠隔地での管理や審査が可能になり、オフィスフリーの支援活動が効率的に行われる。 【0011】 また、請求項6の発明は、本支援システムのコンピュータによる管理は、本支援システムの全体フローの登録システム、第一次審査システム、第二次審査システム及び製品評価システムのエリア部分において行われ、前記第一次審査システムと第二次審査システム及び製品評価システムのエリアは、夫々のシステムに付帯する各審査の評価並びに当該項目の計算式により数値化されたデータをキーボード入力するコアエリアと、各項目に関連する既存データや基準評価値をデータベースとして入力している内部情報コアエリアと、前記各項目に関連する外部情報を入力する外部情報コアエリアとにより構成され、これ等のコアエリアの各データが比較検討されて各システムにおける審査が自動的に行われることを特徴とする。以上のようなコンピュータによる管理を行うことにより、審査の格差をなくし、公平,公正、かつ迅速な審査評価を行うことができる。 【0012】 また、請求項7の発明は、前記各エリア部分における審査においては、前記各コアエリアによる比較検討に加えて非数値されない評価項目についての審査が付加されることを特徴とする。これにより、数値的評価では表されない項目の評価ができ、より公平で正確な審査評価を行うことができる。」 (c)「【0030】 次に、第二次審査内容において行われる開発技倆状況チェック用のレーザチャートを図39により説明する。図示のように、このレーザチャートは円グラフ的のものからなり、大別して開発企画に関する項目と開発実施に関する項目及び開発設計に関する項目に分けられる。更に、開発企画に関する項目は1から14までの小項目からなり、開発実施に関する項目は15から20までの小項目からなる。また、開発設計に関する項目は21から30の小項目からなる。また、夫々の小項目は半径に沿って中心側から2点で始まって外径に向かって10点まで点が殆等間隔に表示されている。なお、2点から4点が評価点として可であり、5点から7点が良であり8点から10点が優である。判断者はこの開発技倆についての智識を有する複数人(チェックマン)により行われ、各小項目について2点から10点をつけ、最終的に評価点を項目1から30までを連結することによりレーザチャートが完成する。以上により目視により開発技術の内容を認識することができ、正確な評価を行うことができる。」 (d)「【0053】 次に、本発明の支援システムのコンピュータによる管理方式について図34乃至図38によりやや詳しく説明する。図34及び図35は本支援システムの全体システム70のフローを示すものであり、図36乃至図38は第一次審査システムと第二次審査システム及び製品審査システムの夫々のシステムにおけるコンピュータによる管理方式を示すブロック図である。 【0054】 図34及び図35に示すように、本支援システムは、まず支援を希望する支援希望企業からの問合せ、面談、申込みによりスタートする。これは図2の市場創造源グループの中から原則として創造されるが勿論これに限るものではない。ここで企業の承認、推薦が行われ、予め登録されているデータベースにより既存登録企業との照合や選考が行われ、ここで新規登録企業が決まり、コンピュータにより登録企業として図3,図4に示したような必要事項が登録システムに登録記憶される。また、この時点で図5に示すような審査メンバが選定される。 【0055】 次に、第一次審査システムによる審査が行われる。第一次審査システムとしては図34及び図36に示すように第一次審査の段階で必要とする第一次審査項目(図6)、市場性(図7)、評価基準書(図8)、評価付面項目(図9)、商品化検討書(図10)のような各項目の計算式等により数値化されたデータをキーボード入力するコアエリアと、前記各項目に関連する既存データや基準評価値をデータベースとして入力している内部情報コアエリアと、前記各項目に関連する外部情報(外部市場情報、特許公報文献、インタネット情報等)を入力する外部情報コアエリア等の各コアエリアのコンピュータ入力が夫々行われ、ここで以上の3つのコアエリアの比較検討が行われる。この検討はコンピュータにより自動的、機械的に所定の方式により行われる。その結果として評価データが出力される。なお、この場合、非数値化されない評価項目も考えられるので、この非数値化されないデータも評価項目として入力され、最終的の評価データが作成される。以上により一次審査評価結果が出力され判定が行われ、一次審査の合否が決定される。合格時には新規登録され、登録システムのデータベースに入力記憶される。また、この時点で公表されると共に創造事業支援グループ機関が決定される。 【0056】 第一次審査が合格したら図35及び図37に示す第二次審査システムが行われる。ここにおけるコンピュータ処理は内容としては第一次審査システムとは異なるが外部キーボード入力によるコアエリアと内部情報コアエリアと外部情報コアエリアとの各データの比較検討が行われることは第一次審査システムの場合と同様である。なお、図示のようにキーボード入力としては差別化戦略、市場創造や図39に示すレーザチャートによる開発技倆状況チェック等が挙げられる。また、内部情報としては、過去評価データ、調査データ、統計資料、産業別資料等が挙げられ、外部情報としては、例えば、ホームページ、業界ニュース、社会的資料、経済的資料、白書、統計資料等が挙げられる。次に、前記の3つのコアエリアの比較検討がコンピュータにより自動的、機械的に行われ、かつ非数値化データを入力した評価が行われて評価結果が出力され、判定、新規登録が行われ、第二次審査合格支援が決定される。ここで、マネジメント支援グループが決められ図1Cに示した活動が開始されると共に図35及び図38に示した製品評価システムによるコンピュータを用いた最終評価が行われる。 【0057】 図35,図38に示すように製品審査システムは外部のキーボード入力のコアエリアと内部情報コアエリア及び外部情報コアエリアとの比較評価のルーチン的処理がコンピュータにより行われる。なお、図示のように外部のキーボード入力としては0次試作、一次試作及びn次試作の各データの入力が行われる。また、内部情報としては、例えば、整合性情報、各種蓄積資料、管理情報や過去のテスト結果等の情報が挙げられ、外部情報としては各種外部入力、市場情報、社会性情報、経済性情報、業界情報が挙げられる。この3つのコアエリアの比較評価がルーチン処理として行われ、商品会議を介して最終判定、評価が行われて新規登録、量産化開始決定が行われる。 【0058】 【発明の効果】 1)本発明の請求項1の技術開発企業マネジメント支援システムによれば、開発技術や発明が多角,多面の切り口から審査,評価され、その結果、有用,有益で企業や発明者等にとっても大きなメリットが生ずる発明や開発技術を効率的に具現化することができ、社会貢献が果たせる効果が上げられる。 2)本発明の請求項2の技術開発企業マネジメント支援システムによれば、差別化戦略が具体的に定められ、この処理にコンピュータを用いることにより多量のデータが効率的に処理され、差別化判断を正確に、かつ迅速的に行うことができ、オフィスフリーが可能になる。 3)本発明の請求項3の技術開発企業マネジメント支援システムによれば、市場創造が具体的に定められ、かつコンピュータにより処理されるため、コンセプトに基づく新市場や新技術を創造することが比較的容易にでき、開発技術の幅を広げることができる。 4)本発明の請求項4の技術開発企業マネジメント支援システムによれば、開発技倆状況が円グラフ状のレーザチャートにより明確に視覚的に認識され、開発技術の技倆状況を容易に、かつ正確に把握することができる。 5)本発明の請求項5の技術開発企業マネジメント支援システムによれば、定置式のコンピュータと携帯式のコンピュータを互いにインターネットを介して連結することにより、データ処理が遠隔地で可能になりオフィスフリーの効果が上げられ、データ処理も迅速化、効率化が図れる。 6)本発明の請求項6,7の技術開発企業マネジメント支援システムによれば、全体のシステムがコンピュータにより管理され、正確、かつ迅速な処理が行われ、かつ画一的な評価が行われる。」 (e)第33図?第39図 5.当審の判断 平成17年11月28日付けでした手続補正(以下、「本件補正」という。)が、当初明細書又は当初図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるかどうか以下に検討する。 (1)本件補正後の請求項1の『インターネットにより接続された公設及び私設の外部の情報とを入手し各データを「キーワード」「ID」等により分類,判別しこれを入力,記憶させる外部情報記憶データベースハードデスクエリア』との事項について 当初明細書の請求項5?7、発明の詳細な説明の段落【0010】?段落【0012】、段落【0055】?段落【0057】、又は当初図面の図33?図39には、「外部の情報を入手しこれを入力,記憶させる」ことは記載されていると認められるものの、これらの記載を含む当初明細書又は当初図面には、『各データを「キーワード」「ID」等により分類,判別する』ことは記載されておらず、また、それらの記載から自明であるとは認められない。 したがって、本件補正後の請求項1の『インターネットにより接続された公設及び私設の外部の情報とを入手し各データを「キーワード」「ID」等により分類,判別しこれを入力,記憶させる外部情報記憶データベースハードデスクエリア』との事項は、当初明細書又は当初図面に記載した事項ではなく、また、それらの記載から自明な事項でもない。 (2)本件補正後の請求項2の『コンピュータ内に存在する「登録システム」データベース,「第一次審査シスステム」データベース,「第二次審査システム」データベース,「製品評価システム」データベースを順次直列に運用し、判定の結果を出すシステムと、この4つのシステムデーターベースをサイクル状に運用し、情報の反復,確認をする』との事項について 当初明細書の請求項5?7、発明の詳細な説明の段落【0010】?段落【0012】、段落【0055】?段落【0057】、又は当初図面の図33?図39には、『「登録システム」データベース,「第一次審査シスステム」データベース,「第二次審査システム」データベース,「製品評価システム」データベースを順次直列に運用する』ことは記載されていると認められるものの、これらの記載を含む当初明細書又は当初図面には、「この4つのシステムデーターベースをサイクル状に運用し、情報の反復,確認をする」ことは記載されておらず、また、それらの記載から自明であるとは認められない。 したがって、本件補正後の請求項2の『コンピュータ内に存在する「登録システム」データベース,「第一次審査シスステム」データベース,「第二次審査システム」データベース,「製品評価システム」データベースを順次直列に運用し、判定の結果を出すシステムと、この4つのシステムデーターベースをサイクル状に運用し、情報の反復,確認をする』との事項は、当初明細書又は当初図面に記載した事項ではなく、また、それらの記載から自明な事項でもない。 (3)本件補正後の発明の詳細な説明の段落【0006】に記載された事項について 本件補正後の発明の詳細な説明の段落【0006】の記載は、実質的に本件補正後の請求項1の記載と同じ内容であるので、本件補正後の請求項1に記載された事項と同様に、当初明細書又は当初図面に記載した事項ではなく、また、それらの記載から自明な事項でもない。 (4)本件補正後の発明の詳細な説明の段落【0007】に記載された事項について 本件補正後の発明の詳細な説明の段落【0007】の記載は、実質的に補正後の請求項2の記載と同じ内容であるので、補正後の請求項2に記載された事項と同様に、当初明細書又は当初図面に記載した事項ではなく、また、それらの記載から自明な事項でもない。 (5)本件補正後の発明の詳細な説明の段落【0030】の「作成に当っては例えばクライアントの開発部門,営業部門,開発技術部門内に属するリーダ級に対して客観的に聞き取りして入力する。これを自社商品の他競合商品についても実施することにより差別化戦略が科学的に分析され、挑戦目標を明確に定めることができる。なお、これに関連して出願人はマトリックス二項分布を用いた顧客満足度に関する分析技術を有しているが、これは原出願で開示していないためここでの説明は省略する。」との事項について 当初明細書の発明の詳細な説明の段落【0030】及び当初図面の図39には、「開発技術についての智識を有する複数人により評価点の判断が行われる」こと、及び「評価点を記入したレーザチャートにより開発技術の内容を認識する」ことは記載されているものの、これらの記載を含む当初明細書又は当初図面には、「作成に当っては例えばクライアントの開発部門,営業部門,開発技術部門内に属するリーダ級に対して客観的に聞き取りして入力する」こと、「これを自社商品の他競合商品についても実施することにより差別化戦略が科学的に分析され、挑戦目標を明確に定めることができる」こと、及び「これに関連して出願人はマトリックス二項分布を用いた顧客満足度に関する分析技術を有している」ことは記載されておらず、また、それらの記載から自明な事項でもない。 したがって、本件補正後の発明の詳細な説明の段落【0030】の「作成に当っては例えばクライアントの開発部門,営業部門,開発技術部門内に属するリーダ級に対して客観的に聞き取りして入力する。これを自社商品の他競合商品についても実施することにより差別化戦略が科学的に分析され、挑戦目標を明確に定めることができる。なお、これに関連して出願人はマトリックス二項分布を用いた顧客満足度に関する分析技術を有しているが、これは原出願で開示していないためここでの説明は省略する。」との事項は、当初明細書又は当初図面に記載した事項ではなく、また、それらの記載から自明な事項でもない。 (6)まとめ したがって、他の記載事項を検討するまでもなく、本件補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるので、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 6.むすび 以上のとおり、平成17年11月28日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-06 |
結審通知日 | 2009-11-17 |
審決日 | 2009-11-30 |
出願番号 | 特願2002-179998(P2002-179998) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(G06Q)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 唐橋 拓史 |
特許庁審判長 |
赤穂 隆雄 |
特許庁審判官 |
山本 章裕 齋藤 哲 |
発明の名称 | 技術開発企業マネジメント支援システム |