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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02F
管理番号 1211693
審判番号 不服2008-1516  
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-17 
確定日 2010-02-12 
事件の表示 特願2002- 77215「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月 2日出願公開、特開2003-279993〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成14年3月19日に特許出願したものであって、平成17年2月9日付け及び平成19年9月25日付けで手続補正がなされたが、同年12月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年1月17日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされた後、当審において平成21年7月14日付けで拒絶理由が通知され、同年9月24日付けで手続補正がなされたものである。

第2 当審において平成21年7月14日付けで通知した拒絶の理由
当審において平成21年7月14日付けで通知した拒絶の理由は、以下のとおりである。

「1 本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。



(1)ア 発明の詳細な説明に、「・・・光重合又は熱重合するモノマーを液晶に混入させ、重合させることによって安定な配向を得る配向規制技術を開発してきた。」(【0009】)、「しかしながら、前記配向規制技術では、・・・液晶注入口105の対向辺における両端部に、中間調表示において黒ムラ111が発生する。本発明者らが検討したところ、この黒ムラの発生には、注入される液晶が画像の表示部(ブラックマトリクス103内の領域;ここでは配向膜106の配設部位に一致する。)よりも、その周縁部位である非表示部(ブラックマトリクス103とシール材104との間の領域)の方が、液晶注入速度が速いことに起因していると判明した。・・・」(【0010】)、「更に詳細な検討の結果、非表示部の液晶注入速度は、非表示部の垂直配向でない部分、即ち配向膜外の領域(ここでは水平配向である。)が広い程、速くなることが判った。」(【0011】)・・・と記載されている。
イ しかし、配向膜外の領域が水平配向となる根拠も不明であるし、周縁部位(非表示部)では、配向膜が存在せずセルギャップが大きくなることや、シール材の影響(抵抗)によって液晶注入速度が低下することも考えられるところ、表示部よりも非表示部の方が液晶注入速度が速くなることの根拠が不明である。
ウ また、仮に、表示部と周縁部位(非表示部)とで液晶注入速度に差が生じるとしても、上記のような説明のみでは、液晶注入速度と黒ムラとの因果関係、すなわち、表示部と周縁部位(非表示部)における液晶注入速度の差によって、液晶注入口の対向辺における両端部に黒ムラが発生する具体的な理由が不明であり、本願各発明が解決しようとする課題そのものが理解しがたい。
そして、本願各発明について、「液晶がパネル内に注入されるときに、前記液晶層の表示部位とその周縁部位とでその注入速度がほぼ等しく」とされるものであることにより、黒ムラの発生が防止できるものと認めるに足る具体的な実施例や比較例が発明の詳細な説明に記載されているわけでもないから、本願各発明の技術上の意義が不明である。
(なお、平成19年9月25日付け意見書において、「本願のように、液晶にモノマーを添加し、重合によるポリマー構造物の層を液晶層の表層に形成して液晶配向制御をする構成では、液晶注入時の注入速度差でモノマーや重合開始剤の濃度が局所的に変化し、ポリマー構造物の層の厚みが不均一となり、液晶の表示ムラ等の原因となります」と主張されるが、液晶注入速度の違いによりなぜモノマーや重合開始剤の濃度が変化するのか不明であるし、仮に、表示部と周縁部位(非表示部)とでポリマー構造物の層の厚みが均一でないとしても、このことがなぜ液晶の表示ムラの原因となるのかも不明である。)

(2)発明の詳細な説明に、「・・・このとき、非表示部が殆ど存在せず、シール材31の内側領域を垂直配向膜16a、16bが覆っているため、全面に亘って液晶分子はこれらに規制されて垂直配向の状態で液晶注入が行われてゆく。従ってこの場合、上述したような液晶注入速度の相違は生ぜず、均一な注入速度で液晶層13が形成され、・・・」(【0017】、【0020】)、「・・・一方、非表示部のその他の部位では非表示部が殆ど存在せず、シール材31の内側領域を垂直配向膜16a、16bが覆っているため、全面に亘って液晶分子はこれらに規制されて垂直配向の状態で液晶注入が行われてゆく。従ってこの場合、幅広領域42の液晶が悪影響を及ぼすことなく、上述したような液晶注入速度の相違は生ぜず、均一な注入速度で液晶層13が形成され、・・・」(【0027】)と記載されているが、上記(1)イに照らして、シール材31の内側領域を垂直配向膜16a、16bが覆っているとしても、このことにより液晶注入速度の相違が生じない根拠が不明である。

(3)発明の詳細な説明に、「・・・このとき、非表示部ではフッ素材41により液晶が弾かれて液晶分子が疑似垂直配向化し、実質的にはほぼ全面に亘って液晶分子が垂直配向した状態で液晶注入が行われてゆく。従ってこの場合、上述したような液晶注入速度の相違は生ぜず、均一な注入速度で液晶層13が形成され、、・・・」(【0023】)と記載されているが、非表示部ではフッ素材41により液晶が弾かれて液晶分子が疑似垂直配向化するとしても、このことにより液晶注入速度の相違が生じない根拠が不明である。

(4)発明の詳細な説明に記載された、「液晶注入口31aから最も離間した幅広領域42にモノマーの薄い液晶が閉じ込められ、局所的に滞留領域が形成される。」(【0027】)とは、どのようなことを意味するのか不明りょうである。また、幅広領域42を形成することの技術上の意義が不明である。

(5)発明の詳細な説明に「簡易且つ確実に開口率を向上させ」(【0018】、【0021】、【0024】、【0028】、【0041】)と記載されているが、どのような構成、作用に基づいて「簡易且つ確実に開口率を向上させ」ることができるのか不明りょうである。

(6)発明の詳細な説明に「黒ムラ111」(【0010】)と記載されているが、図面に記載されていない。

(7)発明の詳細な説明に「液晶注入口31a」(【0019】、【0020】、【0023】、【0027】)と記載されているが、図面に記載されていない。

(なお、上記(1)?(4)につき、技術常識を踏まえれば本願明細書に基づいて理解可能である場合には、技術常識の裏付けとなる文献を提示されたい。)

2 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



(1)本願各発明は、液晶の配向方向について特定されないものと認められるところ、発明の詳細な説明には、垂直配向を前提としたものが記載されていると認められるものの、液晶の配向方向について特定されない発明が記載されているものとは認められない。

(2)請求項2につき、「液晶分子が前記液晶層の表示部位とその周縁部位とで略同等のプレチルト角を有する」発明が、発明の詳細な説明に記載されているものとは認められない。

(3)請求項4につき、単に「周縁部位の一部に撥油性樹脂が塗布されている」発明が、発明の詳細な説明に記載されているものとは認められない。

(理由3は省略)」

第3 本願発明
(1)本願の請求項に係る発明は、平成21年9月24日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。

「 【請求項1】 第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、液晶分子を垂直方向に配向させる配向膜及び液晶層を介して接合されてなる液晶表示装置であって、
前記配向膜と前記液晶層との間に、前記液晶層の液晶分子を所定方向に配向させるためのポリマー構造物が形成されており、
前記配向膜の外側に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材が設けられており、
前記配向膜と前記シール材との間の領域が、前記配向膜の存在しない非表示部として画定されており、
前記非表示部の幅が0mm以上0.5mm以下とされていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】 第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、液晶分子を垂直方向に配向させる配向膜及び液晶層を介して接合されてなる液晶表示装置であって、
前記配向膜と前記液晶層との間に、前記液晶層の液晶分子を所定方向に配向させるためのポリマー構造物が形成されており、
前記配向膜の外側に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材が設けられており、
前記配向膜と前記シール材との間の領域が、前記配向膜の存在しない非表示部として画定されており、
前記非表示部の一部に撥油性樹脂が塗布されていることを特徴とする液晶表示装置。」(以下、請求項1ないし2に係る発明を「本願発明1」ないし「本願発明2」といい、これらを総称して「本願発明」という。)

(2)上記によれば、本願発明は、「第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、液晶分子を垂直方向に配向させる配向膜及び液晶層を介して接合されてなる液晶表示装置であって、前記配向膜と前記液晶層との間に、前記液晶層の液晶分子を所定方向に配向させるためのポリマー構造物が形成されており、前記配向膜の外側に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材が設けられており、前記配向膜と前記シール材との間の領域が、前記配向膜の存在しない非表示部として画定」されている液晶表示装置に係るものであり、本願発明1は、「前記非表示部の幅が0mm以上0.5mm以下とされている」ことを特徴とし、本願発明2は、「前記非表示部の一部に撥油性樹脂が塗布されている」ことを特徴とするものと認められる。

第4 本願明細書の記載
本願明細書(平成21年9月24日付け手続補正後のもの。以下同じ。)の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。

「 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関し、特に、垂直配向型で且つ光重合により形成されたポリマーの配向規制力を利用して、液晶分子の配向を制御する方式の液晶表示装置を対象とする。
【0002】
【従来の技術】
従来、アクティブマトリクスを用いた液晶ディスプレイ(LCD)としては、正の誘電率異方性を持つ液晶材料を暗状態において基板面に水平に、且つ対向する基板間で90度ツイストするように配向させたTNモードの液晶表示装置が広く用いられている。
【0003】
このTNモードの液晶表示装置は、視角特性に劣るという問題を有しており、視角特性を改善すべく種々の検討が行われている。そこで、これに替わる方式として、負の誘電率異方性を持つ液晶材料を垂直配向させ、配向膜にラビング処理を施すことなく、基板表面に設けた突起やスリットにより電圧印加時の液晶分子の傾斜方向を複数方向に規制するMVA(Multi-domain Vertical Alignment)方式が開発されており、視角特性を大幅に改善することに成功している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
MVA方式の液晶表示装置は、上述のように優れた視角特性を有する反面、配向規制用の突起等の構造物が設けられることから必然的に開口率を低下させ、明るさが劣るという問題がある。しかも、微細且つ精緻な前記構造物を形成すること自体、製造プロセスを複雑化し、製造コストを増加させるということも無視できない。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現する液晶表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0007】
本発明の液晶表示装置は、第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、液晶分子を垂直方向に配向させる配向膜及び液晶層を介して接合されてなる液晶表示装置であって、前記配向膜と前記液晶層との間に、前記液晶層の液晶分子を所定方向に配向させるためのポリマー構造物が形成されており、前記配向膜の外側に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材が設けられており、前記配向膜と前記シール材との間の領域が、前記配向膜の存在しない非表示部として画定されており、前記非表示部の幅が0mm以上0.5mm以下とされている。
本発明の液晶表示装置は、第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、液晶分子を垂直方向に配向させる配向膜及び液晶層を介して接合されてなる液晶表示装置であって、前記配向膜と前記液晶層との間に、前記液晶層の液晶分子を所定方向に配向させるためのポリマー構造物が形成されており、前記配向膜の外側に、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材が設けられており、前記配向膜と前記シール材との間の領域が、前記配向膜の存在しない非表示部として画定されており、前記非表示部の一部に撥油性樹脂が塗布されている。
【0008】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、配向膜及び液晶層を介してシール材により接合されてなる液晶表示装置の製造方法であって、前記配向膜と前記シール材とをほぼ接触するように配置し、前記液晶層を形成するに際して、液晶分子を所定方向に配向させるためのモノマーを混入した液晶を用い、液晶分子が前記液晶層のほぼ全面に亘って同一の配向となるように前記液晶を注入した後、前記モノマーを重合させて所定の配向パターンのポリマー構造物を形成し、前記液晶分子を前記ポリマー構造物により配向規制する。
【0009】
【発明の実施の形態】
-本発明の基本骨子-
先ず、本発明の基本骨子について説明する。
本発明者らは、MVA方式の液晶表示装置を改良し、開口率を向上させて明るさを増加し、コストの点でもレベルアップさせる手法として、光重合又は熱重合するモノマーを液晶に混入させ、重合させることによって安定な配向を得る配向規制技術を開発してきた。
【0010】
しかしながら、前記配向規制技術では、以下に示すような液晶注入に関わる問題を有している。
即ち図1に示すように、能動素子として例えばTFTが設けられる基板(TFT基板)101には、これと対向して配置されるカラーフィルター(不図示)及びブラックマトリクス(BM)103が設けられる基板(CF基板)102と接合するためのシール材104に液晶注入口105が設けられており、この液晶注入口105の対向辺における両端部に、中間調表示において黒ムラが発生する。本発明者らが検討したところ、この黒ムラの発生には、注入される液晶が画像の表示部(ブラックマトリクス103内の領域;ここでは配向膜106の配設部位に一致する。)よりも、その周縁部位である非表示部(ブラックマトリクス103とシール材104との間の領域)の方が、液晶注入速度が速いことに起因していると判明した。ここで、図1(a),(b)に示すように、上記した周縁部位である非表示部には、配向膜106が存在しない。
【0011】
更に詳細な検討の結果、非表示部の液晶注入速度は、非表示部の垂直配向でない部分、即ち配向膜外の領域(ここでは水平配向である。)が広い程、速くなることが判った。一般に垂直配向部位における液晶注入速度は遅く、水平配向では速い。そこで本発明者は、以下で詳細に説明するように、非表示部の面積を極力小さくなるようにシール材と配向膜とを近接させることや、非表示部に撥油性処理を行うことによって非表示部の液晶を疑似垂直配向化し、非表示部の配向を表示部の配向(ここでは垂直)とほぼ同等となるように制御することを提案する。これにより、液晶注入速度を均一化し、中間調表示における黒ムラの発生を抑止することができる。
【0012】
-具体的な諸実施形態-
上述した本発明の基本骨子を踏まえ、具体的な諸実施形態について説明する。ここでは、図2に示すような主要構成を有する液晶表示装置を対象とする。
【0013】
この液晶表示装置は、所定間隔をあけて対向する一対の透明ガラス基板11,12と、これら透明ガラス基板11,12間に狭持される液晶層13とを備えて構成されている。透明ガラス基板11,12は、不図示のシール材により接合固定される。
【0014】
一方の透明ガラス基板(TFT基板)11上には、絶縁層14を介してITOからなる複数の画素電極15、能動素子となる不図示の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成され、画素電極15を覆うように透明の垂直配向膜16aが形成されており、他方の透明ガラス基板(CF基板)12上には、カラーフィルター17(及び不図示のブラックマトリクス)、共通電極(対向電極)18及び垂直配向膜16bが順次積層されている。そして、液晶層13を狭持するように垂直配向膜16a,16bが突き合わせられてガラス基板11,12がシール材により固定され、各基板11,12の外側に偏光子19,20が設けられる。画素電極15はアクティブマトリクス(TFTマトリクス)と共に形成され、図示の例ではTFTのドレイン電極が接続されているデータバスライン21が示されている。また、図示されていないが、TFTのゲート電極が接続されるゲートバスラインも形成されている。なお、電極は一方の基板のみに設けられることもある。
【0015】
液晶層13は、シール材に設けられた液晶注入口から液晶が注入されることにより形成される。本実施形態では、前記液晶は、光重合又は熱重合するモノマーが混入してなるものである。更に、画素電極15には、例えば図3に示すように、配向パターンを形成する微細なスリット15aが形成されている。そして、図4に示すように、注入された液晶に所定の交流電圧を印加しながらUV照射又は熱処理を施すことにより、前記モノマーを重合させてスリット15aの配向パターンに規制されたポリマー構造物13aが液晶層13の表層(垂直配向膜16a,16bの表面)に形成され、当該ポリマー構造物に規制されて液晶分子が前記配向パターンに倣って配向する。
【0016】
(第1の実施形態)
図5は、第1の実施形態による液晶表示装置の液晶層形成時の様子を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が短辺に沿った断面図である。
この液晶表示装置では、TFT基板11に垂直配向膜16aを囲むシール材31が、CF基板12に垂直配向膜16bの周縁を覆うブラックマトリクス32がそれぞれ設けられており、シール材31が垂直配向膜16aまで内寄せ配置され、ブラックマトリクス32とシール材31との間の領域である非表示部が極めて狭く(殆ど一致させる場合もある)されている。この非表示部の幅は例えば0.5mm以下とすることが好ましい。
【0017】
この状態で、シール材31の一辺に設けられた液晶注入口31aから前記液晶を注入する。このとき、非表示部が殆ど存在せず、シール材31の内側領域を垂直配向膜16a,16bが覆っているため、全面に亘って液晶分子はこれらに規制されて垂直配向の状態で液晶注入が行われてゆく。従ってこの場合、上述したような液晶注入速度の相違は生ぜず、均一な注入速度で液晶層13が形成され、液晶注入速度の相違に起因する黒ムラの発生が抑止される。
【0018】
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置によれば、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく液晶注入速度が均一化されて黒ムラの発生が抑止されるため、簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現することができる。
【0019】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態による液晶表示装置の液晶層形成時の様子を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が短辺に沿った断面図である。
この液晶表示装置では、TFT基板11に垂直配向膜16aを囲むシール材31が、CF基板12に垂直配向膜16bの周縁を覆うブラックマトリクス32がそれぞれ設けられており、垂直配向膜16a,16bがブラックマトリクス32を超えてシール材31まで拡大配置されている。この場合、垂直配向膜16a,16bとシール材31との間の領域が極めて狭く(殆ど一致させる場合もある)されている。この領域の幅は例えば0.5mm以下とすることが好ましい。
【0020】
この状態で、シール材31の一辺に設けられた液晶注入口31aから前記液晶を注入する。このとき、非表示部が殆ど存在せず、シール材31の内側領域を垂直配向膜16a,16bが覆っているため、全面に亘って液晶分子はこれらに規制されて垂直配向の状態で液晶注入が行われてゆく。従ってこの場合、上述したような液晶注入速度の相違は生ぜず、均一な注入速度で液晶層13が形成され、液晶注入速度の相違に起因する黒ムラの発生が抑止される。
【0021】
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置によれば、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく液晶注入速度が均一化されて黒ムラの発生が抑止されるため、簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現することができる。
【0022】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態による液晶表示装置の液晶層形成時の様子を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が短辺に沿った断面図である。
この液晶表示装置では、TFT基板11に垂直配向膜16aを囲むシール材31が、CF基板12に垂直配向膜16bの周縁を覆うブラックマトリクス32がそれぞれ設けられており、ブラックマトリクス32とシール材31との間の領域である非表示部に撥油性樹脂であるフッ素材41が塗布形成されている。
【0023】
この状態で、シール材31の一辺に設けられた液晶注入口31aから前記液晶を注入する。このとき、非表示部ではフッ素材41により液晶が弾かれて液晶分子が疑似垂直配向化し、実質的にはほぼ全面に亘って液晶分子が垂直配向した状態で液晶注入が行われてゆく。従ってこの場合、上述したような液晶注入速度の相違は生ぜず、均一な注入速度で液晶層13が形成され、液晶注入速度の相違に起因する黒ムラの発生が抑止される。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置によれば、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく液晶注入速度が均一化されて黒ムラの発生が抑止されるため、簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現することができる。
【0025】
(第4の実施形態)
図8は、第4の実施形態による液晶表示装置の液晶層形成時の様子を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が短辺に沿った断面図、(c)が長辺に沿った断面図である。
この液晶表示装置では、この液晶表示装置では、TFT基板11に垂直配向膜16aを囲むシール材31が、CF基板12に垂直配向膜16bの周縁を覆うブラックマトリクス32がそれぞれ設けられている。
【0026】
そして、図中短辺部位、即ち液晶注入口31aと平行な部位のうち、液晶注入口31aと対向する部位では、非表示部が図1と比しても幅広に形成(幅広領域42)されている。更に、非表示部のその部位、即ち図中長辺部位(液晶注入口31aと直交する部位)及び液晶注入口31aの短辺部位では、シール材31が垂直配向膜16aまで内寄せ配置され、ブラックマトリクス32とシール材31との間の領域である非表示部が極めて狭く(殆ど一致させる場合もある)されている。この非表示部の幅は例えば0.5mm以下とすることが好ましい。
【0027】
この状態で、シール材31の一辺に設けられた液晶注入口31aから前記液晶を注入する。このとき、液晶注入口31aから最も離間した幅広領域42にモノマーの薄い液晶が閉じ込められ、局所的に滞留領域が形成される。一方、非表示部のその他の部位では非表示部が殆ど存在せず、シール材31の内側領域を垂直配向膜16a,16bが覆っているため、全面に亘って液晶分子はこれらに規制されて垂直配向の状態で液晶注入が行われてゆく。従ってこの場合、幅広領域42の液晶が悪影響を及ぼすことなく、上述したような液晶注入速度の相違は生ぜず、均一な注入速度で液晶層13が形成され、液晶注入速度の相違に起因する黒ムラの発生が抑止される。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置によれば、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく液晶注入速度が均一化されて黒ムラの発生が抑止されるため、簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現することができる。
【0029】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0030】
(付記1)第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、配向膜及び液晶層を介して接合されてなる液晶表示装置であって、
前記液晶層は、液晶中に当該液晶分子を所定方向に配向させるためのポリマー構造物が形成されており、
前記液晶分子が前記液晶層の表示部位とその周縁部位とで略同等のプレチルト角を有することを特徴とする液晶表示装置。
【0031】
(付記2)前記周縁部位は、前記基板上の前記配向膜と、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材との間の領域として画定されており、
前記シール材が前記配向膜まで内寄せ配置されていることを特徴とする付記1に記載の液晶表示装置。
【0032】
(付記3)前記周縁部位は、前記基板上の前記配向膜と、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材との間の領域として画定されており、
前記配向膜が前記シール材まで拡大配置されていることを特徴とする付記1に記載の液晶表示装置。
【0033】
(付記4)前記周縁部位の一部に撥油性樹脂が塗布されていることを特徴とする付記1に記載の液晶表示装置。
【0034】
(付記5)前記周縁部位は、液晶注入部位と対向する部位が幅広に、その他の部位が幅狭に形成されていることを特徴とする付記1に記載の液晶表示装置。
【0035】
(付記6)第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、配向膜及び液晶層を介してシール材により接合されてなる液晶表示装置の製造方法であって、
前記配向膜と前記シール材とをほぼ接触するように配置し、
前記液晶層を形成するに際して、
液晶分子を所定方向に配向させるためのモノマーを混入した液晶を用い、液晶分子が前記液晶層のほぼ全面に亘って同一の配向となるように前記液晶を注入した後、
前記モノマーを重合させて所定の配向パターンのポリマー構造物を形成し、前記液晶分子を前記ポリマー構造物により配向規制することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【0036】
(付記7)前記シール材を前記配向膜まで内寄せ配置することを特徴とする付記6に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0037】
(付記8)前記配向膜を前記シール材まで拡大配置することを特徴とする付記6に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0038】
(付記9)第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、配向膜及び液晶層を介してシール材により接合されてなる液晶表示装置の製造方法であって、
前記配向膜と、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材との間の領域の一部に撥油性樹脂を塗布し、
前記液晶層を形成するに際して、
液晶分子を所定方向に配向させるためのモノマーを混入した液晶を注入した後、
前記モノマーを重合させて所定の配向パターンのポリマー構造物を形成し、前記液晶分子を前記ポリマー構造物により配向規制することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【0039】
(付記10)第1の電極を有する第1の基板と、第2の電極を有する第2の基板とが、配向膜及び液晶層を介してシール材により接合されてなる液晶表示装置の製造方法であって、
前記配向膜と、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合するシール材との間の領域において、液晶注入部位と対向する部位を幅広に、その他の部位を幅狭に形成し、
液晶分子を所定方向に配向させるためのモノマーを混入した液晶を用い、液晶分子が前記幅広の領域を除き前記液晶層全面に亘って同一の配向となるように前記液晶を注入した後、
前記モノマーを重合させて所定の配向パターンのポリマー構造物を形成し、前記液晶分子を前記ポリマー構造物により配向規制することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【0040】
(付記11)前記配向膜が垂直配向処理されてなるものであることを特徴とする付記6?10のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく液晶注入速度が均一化されて黒ムラの発生が抑止されるため、簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現することが可能となる。」

第5 判断
1 特許法第36条第4項に規定する要件について
(1)上記第4によれば、本願明細書の発明の詳細な説明(以下、単に「発明の詳細な説明」という。)には、本願発明に関して、以下の事項が記載されているものと認められる。

ア MVA方式(Multi-domain Vertical Alignment)の液晶表示装置は、優れた視角特性を有する反面、配向規制用の突起等の構造物が設けられることから必然的に開口率を低下させ、明るさが劣るという問題がある。しかも、微細且つ精緻な前記構造物を形成すること自体、製造プロセスを複雑化し、製造コストを増加させるということも無視できない。
本願発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現する液晶表示装置を提供することを目的とする(【0003】?【0005】)。

イ 本願発明の発明者ら(以下「本発明者ら」という。)は、MVA方式の液晶表示装置を改良し、開口率を向上させて明るさを増加し、コストの点でもレベルアップさせる手法として、光重合又は熱重合するモノマーを液晶に混入させ、重合させることによって安定な配向を得る配向規制技術を開発してきたが、前記配向規制技術では、液晶注入口の対向辺における両端部に、中間調表示において黒ムラが発生するというような液晶注入に関わる問題を有している。
本発明者らが検討したところ、この黒ムラの発生には注入される液晶が画像の表示部(配向膜の配設部位に一致する。)よりも、その周縁部位である非表示部(配向膜が存在しない)の方が、液晶注入速度が速いことに起因しており、非表示部の液晶注入速度は、非表示部の垂直配向でない部分、即ち配向膜外の領域(ここでは水平配向である。)が広い程、速くなることが判明した。
そこで本願発明の発明者は、非表示部の面積を極力小さくなるようにシール材と配向膜とを近接させることや、非表示部に撥油性処理を行うことによって非表示部の液晶を疑似垂直配向化し、非表示部の配向を表示部の配向(ここでは垂直)とほぼ同等となるように制御することを提案するものであり、これにより、液晶注入速度を均一化し、中間調表示における黒ムラの発生を抑止することができる(【0009】?【0011】)。

ウ 本願発明は、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく液晶注入速度が均一化されて黒ムラの発生が抑止されるため、簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現することが可能となる、との効果を奏する(【0041】)。

(2)ア 上記(1)イによれば、発明の詳細な説明においては、光重合又は熱重合するモノマーを液晶に混入させ、重合させることによって安定な配向を得る配向規制技術において、液晶注入口の対向辺における両端部に、中間調表示において黒ムラが発生するのは、画像の表示部(配向膜の配設部位に一致し、垂直配向である。)よりも、その周縁部位である非表示部(配向膜が存在せず、水平配向である。)の方が、液晶注入速度が速いことに起因するとされており、本願発明は、非表示部の面積を極力小さくなるようにシール材と配向膜とを近接させることや、非表示部に撥油性処理を行うことによって非表示部の液晶を疑似垂直配向化し、非表示部の配向を表示部の垂直配向とほぼ同等となるように制御することにより、液晶注入速度を均一化し、中間調表示における黒ムラの発生を抑止するものとされていることが理解できる。

イ しかし、発明の詳細な説明の記載をみても、配向膜外の領域が水平配向となる根拠が不明であるし、非表示部では、配向膜が存在せずセルギャップが大きくなることや、シール材の影響(抵抗)によって液晶注入速度が低下することも考えられるところ、表示部よりも非表示部の方が液晶注入速度が速くなることの根拠が不明である。
また、仮に、表示部と非表示部とで液晶注入速度に差が生じるとしても、上記のような説明のみでは、液晶注入速度と黒ムラとの因果関係、すなわち、表示部と非表示部における液晶注入速度の差によって、液晶注入口の対向辺における両端部に黒ムラが発生する具体的な理由が不明であり、本願発明が解決しようとする課題そのものが理解しがたい。

ウ そして、上記イのように、非表示部では液晶注入速度が低下することも考えられるところ、非表示部の面積を極力小さくなるようにシール材と配向膜とを近接させることや、非表示部に撥油性処理を行うことによって非表示部の液晶を疑似垂直配向化することにより、液晶注入速度を均一化できることの根拠も不明である。
また、上記イのとおり、表示部と非表示部における液晶注入速度の差によって、液晶注入口の対向辺における両端部に黒ムラが発生する具体的な理由が不明であることに照らすと、仮に、液晶注入速度を均一化できるとしても、このことにより黒ムラの発生が抑止されるといえるのかどうか不明である。
さらに、発明の詳細な説明には、液晶表示装置の主要構成及び第1ないし第4の実施形態が記載されている(【0012】?【0028】)ものの、いずれの実施形態についても、単に、液晶注入速度の相違は生ぜず、均一な注入速度で液晶層が形成され、液晶注入速度の相違に起因する黒ムラの発生が抑止される旨の説明があるにとどまり、これらの実施形態において、具体的にどの程度液晶注入速度が均一化されたのか、また、そのことが黒ムラの発生の防止に具体的にどのように関係するものであるのかといった点を説明する記載はなく、本願発明について、「前記非表示部の幅が0mm以上0.5mm以下とされている」こと(本願発明1)、あるいは、「前記非表示部の一部に撥油性樹脂が塗布されてい」ること(本願発明2)により、液晶注入速度を均一化し、黒ムラの発生が防止できるものと認めるに足る具体的な実施例や比較例が発明の詳細な説明に記載されているわけでもない。

エ なお、請求人は、平成21年9月24日付け意見書において、
(ア)垂直配向膜が形成されていない領域(例えば素ガラスやITO電極等)では、液晶分子は基本的に水平配向する性質を有し、一般的に水平配向である方が液晶分子の動きはスムーズであることは技術常識である、
(イ)液晶表示装置の液晶パネルでは、画像の表示部(中央部位)よりも非表示部(周辺部位)の方が液晶注入速度が速いと、非表示部では表示部よりも速く液晶が入り、非表示部に入ってきた液晶はコーナー部分に衝突して跳ね返り、遅れて入ってきた表示部の液晶と、丁度コーナーに近い表示部内で衝突するところ、モノマーのような異物が混入した液体が流れる一般論として、先端部位の液体濃度は内部の液体濃度と異なる場合が殆どであり、この場合には、先端部位が低濃度となったと考えられること、コーナー部分で跳ね返った液晶と、遅れて注入されてきた液晶との衝突により、低濃度の領域は、そのままの濃度で閉じてしまい、低濃度のポリマー領域が形成され、この状態でPSA化すれば、当然にその部分だけ、液晶のチルトの付与性が劣り、初期チルトが小さくなり、液晶にムラが生じることになることも、「液晶表示装置」の技術分野の当業者にとって技術常識である、
と主張する。
しかし、上記イ及びウでの検討に照らして、一般的に水平配向である方が液晶分子の動きはスムーズであるとしても、表示部よりも非表示部の方が液晶注入速度が速くなることの根拠、非表示部の面積を極力小さくなるようにシール材と配向膜とを近接させることや、非表示部に撥油性処理を行うことによって非表示部の液晶を疑似垂直配向化することにより、液晶注入速度を均一化できることの根拠は不明といわざるを得ない。
また、本願明細書の記載事項から当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が上記(イ)の主張のように理解できると認めるに足る技術常識等の根拠も認めることができないから、請求人の上記主張は採用の限りでない。

(3)ア また、前記(1)ア及びウによれば、発明の詳細な説明において、本願発明は、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現する液晶表示装置を提供することを目的とし、液晶に表示ムラ等の不都合を生ぜしめることなく液晶注入速度が均一化されて黒ムラの発生が抑止されるため、簡易且つ確実に開口率を向上させ、信頼性の高い液晶表示を実現することが可能となる、との効果を奏するとされていることが認められる。
しかし、発明の詳細な説明をみても、本願発明のどのような構成により、「簡易且つ確実に開口率を向上させ」ることができるのか不明である。

イ なお、請求人は、上記意見書において、「本願明細書の段落[0018],[0021],[0024],[0028],[0041]の「簡易且つ確実に開口率を向上させ、」の記載を、「液晶注入速度が均一化されて黒ムラの発生が抑止されるため、簡易且つ確実に開口率を向上させ、」のように補正しました。」というが、黒ムラの発生の抑止が開口率の向上に関係するものとは認められない。

(4)以上によれば、発明の詳細な説明をみても、当業者が本願発明の技術上の意義を理解することができるものとはいえず、発明の詳細な説明が、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他の当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載(特許法施行規則第24条の2)したものとはいえない。
よって、本願は、発明の詳細な説明の記載が、経済産業省令で定めるところにより、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載したものとはいえないから、特許法(平成14年法律第24号による改正前のもの。以下同じ。)第36条第4項に規定する要件を満たしていない。

2 特許法第36条第6項第1号に規定する要件について
発明の詳細な説明には、非表示部に撥油性樹脂であるフッ素材41が塗布形成されている第3の実施形態が記載されており(【0022】?【0024】)、図7に照らすと、該実施形態は、液晶注入口31aが設けられた辺部に隣接する二つの辺部の非表示部の全長にわたって撥油性樹脂であるフッ素材41が塗布形成されることにより、実質的にはほぼ全面に亘って液晶分子が垂直配向した状態で液晶注入が行われるものと認められる。
しかるに、本願発明2では、単に「前記非表示部の一部に撥油性樹脂が塗布されている」ことが特定されるにとどまり、単に「前記非表示部の一部に撥油性樹脂が塗布されている」ことにより、実質的にはほぼ全面に亘って液晶分子が垂直配向した状態で液晶注入が行われるようにした発明が、発明の詳細な説明に記載されているものとは認められない。
よって、本願発明2は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第6 むすび
以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。
また、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2009-12-04 
結審通知日 2009-12-08 
審決日 2009-12-22 
出願番号 特願2002-77215(P2002-77215)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (G02F)
P 1 8・ 536- WZ (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右田 昌士  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 杉山 輝和
田部 元史
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 國分 孝悦  
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