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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 B60K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60K |
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管理番号 | 1212829 |
審判番号 | 不服2008-25346 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-10-02 |
確定日 | 2010-03-04 |
事件の表示 | 特願2004-336120「車両の制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月 8日出願公開、特開2006-143000〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件は、平成16年11月19日の出願であって、平成20年4月15日付けで拒絶理由が通知され、平成20年6月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成20年8月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年10月2日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成20年10月15日付けで特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、その後、当審において平成21年9月24日付けで書面による審尋がなされ、これに対して平成21年10月27日付けで回答書が提出されたものである。 第2.平成20年10月15日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の結論] 平成20年10月15日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 平成20年10月15日付けの手続補正書による手続補正(以下、単に「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成20年6月20日付けの)特許請求の範囲の以下のa.に示す請求項1ないし5を、b.に示す請求項1ないし5へと補正するものである。 a.本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 駆動源と、前記駆動源に連結された変速機とを含む車両の制御装置であって、 前記車両の減速中に前記車両に制動力を追加するための付加手段と、 アクセル開度を検出するための手段と、 前記変速機のダウンシフトの完了を検出するための手段と、 前記アクセル開度が予め定められた開度よりも小さい場合の車両の減速中に前記制動力を追加するとともに、前記ダウンシフトが完了した場合に前記追加された制動力を減少させるように前記付加手段を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 【請求項2】 前記制御手段は、前記アクセル開度が予め定められた開度よりも小さいことが検出された場合は、前記制動力を、予め定められた変化率で増加させるように、前記付加手段を制御するための手段を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。 【請求項3】 前記付加手段は、発電機である、請求項1または2に記載の車両の制御装置。 【請求項4】 前記付加手段は、前記車両の空調装置のコンプレッサである、請求項1または2に記載の車両の制御装置。 【請求項5】 前記駆動源は内燃機関であって、 前記付加手段は、前記内燃機関に吸入される空気の量を調整するスロットルバルブである、請求項1または2に記載の車両の制御装置。」 b.本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 駆動源と、前記駆動源に連結された変速機とを含む車両の制御装置であって、 前記車両の減速中に前記車両に制動力を追加するための付加手段と、 アクセル開度を検出するための手段と、 前記変速機のダウンシフトの完了を検出するための手段と、 前記アクセル開度が予め定められた開度よりも小さい場合の車両の減速中に前記制動力を追加するとともに、前記ダウンシフトが完了した場合に、前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、前記追加された分だけ制動力を減少させるように前記付加手段を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 【請求項2】 前記制御手段は、前記アクセル開度が予め定められた開度よりも小さいことが検出された場合は、前記制動力を、予め定められた変化率で増加させるように、前記付加手段を制御するための手段を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。 【請求項3】 前記付加手段は、発電機である、請求項1または2に記載の車両の制御装置。 【請求項4】 前記付加手段は、前記車両の空調装置のコンプレッサである、請求項1または2に記載の車両の制御装置。 【請求項5】 前記駆動源は内燃機関であって、 前記付加手段は、前記内燃機関に吸入される空気の量を調整するスロットルバルブである、請求項1または2に記載の車両の制御装置。」(下線は補正箇所を示すためのものである。) 2.本件補正の適否についての判断 [理由1] 2.-1 新規事項の判断 本件補正における請求項1ないし5に対する補正は、上記本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に対して、「前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、」付加手段を制御することと、減少させる制動力が「前記追加された分だけ」であることとを特定することによって、制御手段を限定する補正を含むものである。 そして、この補正により、請求項1では任意の付加手段、請求項5ではスロットルバルブである付加手段について、ダウンシフトが完了した場合に、車両の減速中に車両に追加された分だけ制動力を減少させるという事項が含まれることになった。 ところで、願書に最初に添付した明細書には、段落【0035】に「S106にて、ECT_ECU1020は、エンジンECU1010に制御信号を送信して、オルタネータ102による電気負荷を低減させる。本実施の形態においては、オルタネータ102による電気負荷を0にする。その後、この処理は終了する。」、段落【0036】に「なお、オルタネータ102による電気負荷を、予め定められた量だけ低減してもよい。また、オルタネータ102による電気負荷を低減する代わりに、その他、コンプレッサ402の回転数を減少させたり、加圧量を減少させたりしてもよい。さらに、電子スロットル102の開度を大きくしてポンピングロスを減少させたり、他の補機による負荷を減少させたりしてもよい。」との記載が存在する。また、願書に最初に添付した図面の図3には、付加手段がオルタネータであって、電気負荷が最大の状態から電気負荷がない状態に減少する場合のタイミングチャートが記載されている。 これらの記載から、付加手段がオルタネータのときについては、車両の減速中にオルタネータの電気負荷が0から最大値まで増加し、ダウンシフトが完了したときに電気負荷が0になることが分かるので、ダウンシフトが完了した場合に、車両の減速中に車両に追加された分だけ制動力を減少させるという事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に開示されているといえる。 しかしながら、付加手段がスロットルバルブのときについては、ダウンシフトが完了した場合の、スロットルバルブによる制動力の減少が、車両の減速中に車両に追加された分だけであることは、当初明細書等には開示されていない。さらに、ダウンシフトの完了時のスロットルバルブの開度は、変速の種類や車速等に応じて変化させて制動量を調整することが通常(例えば、特開平6-1166号公報参照。)であり、ダウンシフトのたびに全開となったり特定の開度となったりするような性質のものではないので、段落【0036】の「オルタネータ102による電気負荷を低減する代わりに、…(中略)…電子スロットル102の開度を大きくしてポンピングロスを減少させたり、他の補機による負荷を減少させたりしてもよい。」の記載とともに、段落【0035】のオルタネータの例を併せて考慮したとしても、車両の減速中に車両に追加された分だけスロットルバルブの制動力を減少させることが、当初明細書等から自明であるともいえない。 したがって、付加手段がスロットルバルブである請求項5、及び付加手段にスロットルバルブが含まれる請求項1についての本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 2.-2 むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 [理由2] 2.-3 独立特許要件の判断 本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正による補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。 2.-4 記載要件について (1)本件補正における請求項5には、車両に制動力を追加する付加手段がスロットルバルブであって、ダウンシフトが完了した場合に、車両の減速中に車両に追加された分だけ制動力を減少させることが記載されている。 また、発明の詳細な説明には、段落【0035】に「S106にて、ECT_ECU1020は、エンジンECU1010に制御信号を送信して、オルタネータ102による電気負荷を低減させる。本実施の形態においては、オルタネータ102による電気負荷を0にする。その後、この処理は終了する。」、段落【0036】に「なお、オルタネータ102による電気負荷を、予め定められた量だけ低減してもよい。また、オルタネータ102による電気負荷を低減する代わりに、その他、コンプレッサ402の回転数を減少させたり、加圧量を減少させたりしてもよい。さらに、電子スロットル102の開度を大きくしてポンピングロスを減少させたり、他の補機による負荷を減少させたりしてもよい。」との記載が存在する。さらに、図3には、付加手段がオルタネータであって、電気負荷が最大の状態から電気負荷がない状態に減少する場合のタイミングチャートが記載されている。 しかしながら、付加手段がスロットルバルブであって、ダウンシフトが完了した場合に、車両の減速中に車両に追加された分だけ制動力を減少させることは、発明の詳細な説明には開示されていない。 さらに、発明の詳細な説明には、車両の減速中に車両に追加された分だけの制動力とは、スロットルバルブのどの程度の制動力を示しており、該制動力を減少させることがどのような制御なのかについて、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。 (2)本件補正における請求項1には、「前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、」付加手段を制御することが記載されている。 しかしながら、発明の詳細な説明を参酌すると、アクセル開度が予め定められた開度よりも小さい場合、ダウンシフト後の制動力は、ダウンシフト前の制動力に比べて必ず大きくなる性質のものである。 よって、ダウンシフト後の制動力は、付加手段を制御するか否かによってダウンシフト前の制動力よりも大きくなるか小さくなるかの結論が変わるものではないので、「前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、」付加手段を制御することがどのような意味であるのかが不明であり、発明が明確ではない。 (3)したがって、本願は特許法第36条第4項第1号並びに第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないものであって、本件補正発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 2.-5 進歩性について 2.-5-1 引用文献記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平6-1166号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 a.「【0010】上記エンジン制御用コンピュータ32,トランスミッション制御用コンピュータ34,スロットル制御用コンピュータ35は、何れもCPU,RAM,ROM,入出力インタフェース回路,A/Dコンバータ等を備えて構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うもので、トランスミッション制御用コンピュータ34には、上記各信号の他、パターンセレクトスイッチ70から選択パターンを表すパターン信号SP、ブレーキランプスイッチ72からブレーキが踏込み操作されたことを表すブレーキ信号SB、オーバードライブスイッチ74からO/D変速段までの変速許可を表すO/D信号SO、アクセル操作量センサ76からアクセルペダルの操作量Acを表すアクセル操作量信号SAcがそれぞれ供給されるようになっている。アクセル操作量信号SAcはエンジン制御用コンピュータ32およびスロットル制御用コンピュータ35にも供給される。上記パターンセレクトスイッチ70は、下り坂などで自動的にエンジンブレーキを増大させる自動エンジンブレーキパターンを少なくとも有するとともに、動力性能を重視した変速マップによって自動変速機78の変速制御を行うパワーパターン、燃費を重視した変速マップによって変速制御を行うエコノミーパターンなど、予め定められた複数の走行パターンの中から運転者が好みの走行パターンを選択操作するものである。また、ブレーキランプスイッチ72はブレーキペダルの近傍に配設され、ブレーキペダルが踏込み操作されたか否かによってON,OFFが切り換えられるON-OFFスイッチ等により構成されている。 【0011】自動変速機78は、例えば図3に示すようにトルクコンバータ110,第1変速機112,および第2変速機114を備えて構成されている。トルクコンバータ110のポンプ翼車は前記エンジン10のクランク軸118に連結されており、タービン翼車は入力軸120を介して第1変速機112のキャリヤ122に連結されている。第1変速機112は、サンギヤ124,リングギヤ126,およびキャリヤ122に回転可能に配設されてサンギヤ124,リングギヤ126と噛み合わされているプラネタリギヤ128から成る遊星歯車装置を含んで構成されており、サンギヤ124とキャリヤ122との間にはクラッチC_(0) および一方向クラッチF_(0) が並列に設けられ、サンギヤ124とハウジング130との間にはブレーキB_(0) が設けられている。」(段落【0010】及び【0011】) b.「【0045】このように本実施例では、エンジンブレーキ力を増大するためにアクセルOFF状態時にダウンシフトが行われる際に、ダウンシフト後の駆動力がダウンシフト前の駆動力と同じか少し小さくなるスロットル弁開度TA2までスロットル弁20が開き制御されるため、ダウンシフト後もダウンシフト前と略同じエンジンブレーキ力が作用させられるようになり、エンジンブレーキ力の急激な増大に起因するショックが軽減されて乗り心地が向上する。特に、本実施例では、ダウンシフト後においてステップR2以下が実行されることにより、車速Vが目標車速Vmと一致するようにスロットル弁20がフィードバック制御されるため、適度なエンジンブレーキ力が得られるようになり、ダウンシフトによりエンジンブレーキ力が過大になってアクセル操作が必要になるなどの不都合がなく、運転操作が極めて容易となる。」(段落【0045】) 上記a.及びb.並びに図面から、次のことが分かる。 c.上記b.において、「エンジンブレーキ力を増大するためにアクセルOFF状態時」には、車両が減速中であることは、技術常識から明らかである。 d.上記b.において、ダウンシフトが行われる際に制御を行うことから、自動変速機のダウンシフトの完了を検出するための手段があることは明らかである。 上記a.ないしd.から、引用文献には、次の発明が記載されている。 「エンジンと、エンジンに連結された自動変速機とを含む車両の制御装置であって、 車両の減速中にエンジンブレーキ力を制御するスロットル弁と、 アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量センサと、 自動変速機のダウンシフトの完了を検出するための手段と アクセルOFF状態時で車両が減速中にエンジンブレーキ力を制御するとともに、ダウンシフト後の駆動力がダウンシフト前の駆動力より少し小さくなるように、スロットル弁を制御する手段を含む、 車両の制御装置。」(以下、「引用文献記載の発明」という。) 2.-5-2 対比 本件補正発明と引用文献記載の発明とを対比すると、引用文献記載の発明における「車両の減速中に車両にエンジンブレーキ力を制御するスロットル弁」は、その機能からみて、本件補正発明における「前記車両の減速中に前記車両に制動力を追加するための付加手段」に相当し、同様に、「エンジン」は「駆動源」に、「自動変速機」は「変速機」に、「アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量センサ」は「アクセル開度を検出するための手段」に、それぞれ相当する。 また、ダウンシフト後に駆動力が小さくなるということは、ダウンシフト後に制動力が大きくなるということなので、引用文献記載の発明における「ダウンシフト後の駆動力がダウンシフト前の駆動力より少し小さくなるように、」は本件補正発明における「前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、」に相当する。 さらに、本件補正発明における「前記アクセル開度が予め定められた開度よりも小さい場合の車両の減速中に前記制動力を追加するとともに、前記ダウンシフトが完了した場合に、前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、前記追加された分だけ制動力を減少させるように前記付加手段を制御する」と、引用文献記載の発明における「アクセルOFF状態時で車両が減速中にエンジンブレーキ力を制御するとともに、ダウンシフト後の駆動力がダウンシフト前の駆動力より少し小さくなるように、スロットル弁を制御する」とは、「前記アクセル開度が予め定められた開度よりも小さい場合の車両の減速中に前記制動力を追加するとともに、前記ダウンシフトが完了した場合に、前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、前記付加手段を制御する」の限りにおいて相当する。 よって、本件補正発明と引用文献記載の発明とは、 「駆動源と、前記駆動源に連結された変速機とを含む車両の制御装置であって、 前記車両の減速中に前記車両に制動力を追加するための付加手段と、 アクセル開度を検出するための手段と、 前記変速機のダウンシフトの完了を検出するための手段と、 前記アクセル開度が予め定められた開度よりも小さい場合の車両の減速中に前記制動力を追加するとともに、前記ダウンシフトが完了した場合に、前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、前記付加手段を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 相違点 「前記ダウンシフトが完了した場合」に、本件補正発明では、「前記追加された分だけ制動力を減少させるように」付加手段を制御するのに対し、引用文献記載の発明では、制動力を減少させるように付加手段を制御するものの、「前記追加された分だけ」かどうかが不明である点(以下、「相違点」という。)。 2.-5-3 判断 上記相違点について検討する。 ダウンシフトの完了時のスロットル弁の開度は、変速の種類や車速等の種々の要因を考慮して、適当な制動量となるように変化させることが通常(必要ならば、引用文献の段落【0042】参照。)であり、引用文献記載の発明において、前回のダウンシフトから今回のダウンシフトまでの間に追加された分だけの制動力が減少するように、スロットル弁を制御することは、当業者が適宜なし得た単なる設計変更である。 よって、本件補正発明は、引用文献記載の発明に基づいて、当業者が格別の創意を要することなく想到できたものである。 そして、本件補正発明を全体としてみても、本件補正発明の奏する効果は、引用文献記載の発明から当業者が予測できた範囲内のものであり、格別顕著な効果ではない。 2.-6 むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 2.-7 結論 よって、[理由1]又は[理由2]により、結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成20年10月15日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.[理由]1.a.の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2.引用文献記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平6-1166号公報(引用文献)には、上記第2.[理由]2.5-1に記載したとおりの発明(引用文献記載の発明)が記載されている。 3.対比及び判断 本願発明は、上記第2.[理由]2.-5で検討した本件補正発明における発明特定事項である制御手段から、「前記ダウンシフト後の制動力が前記ダウンシフト前の制動力に比べて大きくなるように、」付加手段を制御するという事項と、制御される制動量が「前記追加された分だけ」であるという事項とを削除して、本件補正発明を上位概念化したものである。 してみれば、上記第2.[理由]2.-5で検討したとおり、本願発明の発明特定事項をすべて含む本件補正発明が引用文献記載の発明に基づいて当業者が格別の創意を要することなく想到できたものであるから、本願発明も同様の理由により当業者が格別の創意を要することなく想到できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-12-28 |
結審通知日 | 2010-01-05 |
審決日 | 2010-01-18 |
出願番号 | 特願2004-336120(P2004-336120) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B60K)
P 1 8・ 561- Z (B60K) P 1 8・ 537- Z (B60K) P 1 8・ 536- Z (B60K) P 1 8・ 575- Z (B60K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 畔津 圭介、小川 悟史 |
特許庁審判長 |
小谷 一郎 |
特許庁審判官 |
金澤 俊郎 西山 真二 |
発明の名称 | 車両の制御装置 |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 荒川 伸夫 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 堀井 豊 |