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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B05C 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B05C 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B05C |
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管理番号 | 1213717 |
審判番号 | 不服2008-22066 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-08-28 |
確定日 | 2010-03-18 |
事件の表示 | 平成11年特許願第367902号「グラビア塗工方法およびグラビア塗工機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 7月 3日出願公開、特開2001-179151〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成11年12月24日の出願であって、平成20年2月8日付けで拒絶理由が通知され、同年4月21日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年8月28日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年9月29日付けで明細書を補正する手続補正がなされ、その後、当審において平成21年9月8日付けで書面による審尋がなされ、これに対し同年11月16日付けで回答書が提出されたものである。 第2.平成20年9月29日付けの明細書を補正する手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年9月29日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 平成20年9月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関しては、本件補正により補正される前の(すなわち、平成20年4月21日付けで提出された手続補正書により補正された)下記の(a)を下記の(b)へと補正するものである。 (a)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 一対の平行な展張ロールによって上面を支持された状態で両展張ロールの軸方向と直交方向に走行している連続体状の基材であって、前記両展張ロールの間に平行に配置されているとともに直径が20mm?50mmの一対の平行な自由回転自在な姿勢制御ロールによって上面を支持された状態で両姿勢制御ロールの軸方向と直交方向に走行している連続体状の基材の前記両姿勢制御ロール間の下方に、両姿勢制御ロールと平行に配置され、かつ、外周面の全周にグラビアパターンが形成された直径が20mm?50mmのグラビアロールを、前記基材と相対速度を有する周速度で回転させるとともに、このグラビアロールの表面からドクタブレードによって余剰塗工剤を塗工を施す前に拭取って、定量の塗工剤を前記基材の上面が自由状態にある位置におけるその基材の下面に塗工して、前記基材に塗工剤をべた塗りすることを特徴とするグラビア塗工方法。 【請求項2】 各姿勢制御ロールはそれぞれグラビアロールに近接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のグラビア塗工方法。 【請求項3】 走行している連続体状の基材の上面を支持する一対の平行な展張ロールと、前記両展張ロールの間に平行に配置されているとともに走行している連続体状の基材の上面を支持する直径が20mm?50mmの一対の平行な自由回転自在な姿勢制御ロールと、両姿勢制御ロールの間で走行している連続体状の基材の上面が自由状態にある位置におけるその基材の下面に塗工剤を塗工するグラビアロールであって、両姿勢制御ロールと平行に配置され、かつ、外周面の全周にグラビアパターンが形成された直径が20mm?50mmのグラビアロールと、このグラビアロールの表面から余剰塗工剤を塗工を施す前に拭取って定量の塗工剤を塗工部へ供給せしめるドクターブレードとを有することを特徴とするグラビア塗工機。 【請求項4】 各姿勢制御ロールはそれぞれグラビアロールに近接して配置されていることを特徴とする請求項3に記載のグラビア塗工機。」 (b)本件補正後の特許請求の範囲(アンダーラインは、補正箇所を明示するためのものである。) 「【請求項1】 一対の平行な展張ロールによって上面を支持された状態で両展張ロールの軸方向と直交方向に走行している連続体状の基材であって、前記両展張ロールの間に平行に配置されているとともに直径が20mm?50mmで、かつ、回転の触れ精度が0.005?0.008mm以内の一対の平行な自由回転自在な姿勢制御ロールによって上面を支持された状態で両姿勢制御ロールの軸方向と直交方向に走行している連続体状の基材の前記両姿勢制御ロール間の下方に、両姿勢制御ロールと平行に、かつ、姿勢制御ロールとの軸間距離を姿勢制御ロールの直径程度の大きさにして配置され、かつ、外周面の全周にグラビアパターンが形成された直径が20mm?50mmのグラビアロールを、前記基材と相対速度を有する周速度で回転させるとともに、このグラビアロールの表面からドクタブレードによって余剰塗工剤を塗工を施す前に拭取って、定量の塗工剤を前記基材の上面が自由状態にある位置におけるその基材の下面に塗工して、前記基材に塗工剤をべた塗りすることを特徴とするグラビア塗工方法。 【請求項2】 走行している連続体状の基材の上面を支持する一対の平行な展張ロールと、前記両展張ロールの間に平行に配置されているとともに走行している連続体状の基材の上面を支持する直径が20mm?50mmで、かつ、回転の触れ精度が0.005?0.008mm以内の一対の平行な自由回転自在な姿勢制御ロールと、両姿勢制御ロールの間で走行している連続体状の基材の上面が自由状態にある位置におけるその基材の下面に塗工剤を塗工するグラビアロールであって、両姿勢制御ロールと平行に、かつ、姿勢制御ロールとの軸間距離を姿勢制御ロールの直径程度の大きさにして配置され、かつ、外周面の全周にグラビアパターンが形成された直径が20mm?50mmのグラビアロールと、このグラビアロールの表面から余剰塗工剤を塗工を施す前に拭取って定量の塗工剤を塗工部へ供給せしめるドクターブレードとを有することを特徴とするグラビア塗工機。」 2.本件補正の目的 特許請求の範囲に関する本件補正は、本件補正前の請求項2及び請求項4を削除し、それに伴って、まず、本件補正前の請求項3を請求項2に繰り上げ、さらに、本件補正前の請求項1及び請求項3に記載した発明を特定するために必要な事項である「姿勢制御ロール」について「回転の触れ精度が0.005?0.008mm以内」との限定を付加するとともに、同じく「グラビアロール」について「姿勢制御ロールとの軸間距離を姿勢制御ロールの直径程度の大きさにして配置され」との限定を付加するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる請求項の削除及び同項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3.本件補正の適否 上記2.で検討したように、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的としている。そこで、次に、本件補正後の請求項1及び請求項2に係る発明(以下、それぞれ「本願補正発明1」及び「本願補正発明2」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。 (ア)本件補正により請求項1及び2に付加された「回転の触れ精度が0.005?0.008mm以内」という発明特定事項は、発明の詳細な説明の段落【0013】中に同様の記載があるだけで、具体的に「姿勢制御ロール」のどのような回転挙動の精度を指称するのか不明りょうである。 (イ)本件補正により請求項1及び2に付加された「姿勢制御ロールとの軸間距離を姿勢制御ロールの直径程度の大きさにして配置され」という発明特定事項は、「直径程度」の技術的範囲が不明確であるから、結果的に「姿勢制御ロールとの軸間距離」も不明確である。 したがって、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願補正発明1及び本願補正発明2は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 平成20年9月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年4月21日付け手続補正により補正された上記第2.[理由]1.(a)の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 1.原査定の拒絶の理由に引用された引用例 1-1.特開平10-154461号公報(以下、「引用例1」という。) 1-1-1.引用例1の記載事項 引用例1には、次の事項が図面とともに記載されている。 なお、アンダーラインは、発明の理解の一助として当審において付した。 (ア)「【0052】図1は、第1の発明にかかる耐エッチング層塗布装置の一例を表す該略図である。 【0053】図1において、21はシャドウマスクの基材である帯状の金属薄板である。帯状金属薄板21は、図示しない駆動装置によって上下方向の移動が可能な2個の展張ロール22,122により掛け渡されている。帯状金属薄板21は、図の右側から左側に向かって搬送されており、塗布領域においては略水平に走行している。金属薄板21の下方には、約20mm?約60mmの直径を有するグラビアロール23が設けられている。グラビアロール23は、直接又は間接的に図示しない駆動モータにより、高速で金属薄板21の走行方向と逆方向に回転される。グラビアロール23の外周部表面には、耐エッチング層塗布液を充填する彫刻部24が設けられている。このグラビアロール23の彫刻部24には、ピッチが略0.120mm?0.260mm、深さが略30μm?100μmでロール軸に対し略70°傾斜した溝が、らせん状に設けられている。このグラビアロール23の下方には、図示しない基台上に載置された耐エッチング層塗布液のオーバーフロー分を受けとるための容器25が固定されている。この容器25上には、グラビアロール23に耐エッチング層塗布液27を供給する塗布液供給ノズル26が設置されている。また、グラビアロール23の彫刻部24上の、塗布液供給ノズル26より供給された耐エッチング層塗布液27が金属薄板21に移動する直前の位置には、ドクターブレード28が設けられている。ドクターブレード28により、その彫刻部24に塗布されている余剰の耐エッチング層塗布液27を掻き取ることができる。 【0054】塗布時には、展張ロール22,122の下面は、グラビアロール23と接している金属薄板21の上側表面より下方に位置するようになっており、グラビアロール23と金属薄板21のなす角度、接触面積を規制している。また、非塗布時には、展張ロール22,122は上側に移動し、金属薄板21の下面をグラビアロール23から離すようになっている。また、グラビアロールが配置される位置において、金属薄板の上面は、例えばバックロール等の支持ロールが設けられることはなく、自由状態となっている。 【0055】本発明による塗布装置は、直径約20mm?約60mmとした小径のグラビアロールを用いているため、金属薄板21との接触面積が小さい。また、その塗布部で金属薄板11の走行速度と、グラビアロール23の周速度を異なるように設定し、相対的に大きな周速度で逆回転させるため、塗布時に大きな剪断力を発生させることができる。その結果、凹部に耐エッチング層塗布液が押し込まれる力が増強され、凹部内の空気を耐エッチング層塗布液で容易に置換することができる。このようにして、本発明によれば、凹凸のある金属薄板21にも耐エッチング層塗布液27を、容易に、塗布充填することができる。また、ドクターブレード28により、彫刻部24上の耐エッチング層塗布液27の層を、常に所定の均一な厚さに調整してから金属薄板21に供給しているため、安定した膜厚、塗工状態が得られる。」(段落【0052】ないし【0055】) (イ)「【0059】耐エッチング層形成工程 次に、前記第一のエッチング工程によって凹部が形成された面を下側にしたままで、本発明の耐エッチング層塗布装置を用いて耐エッチング層塗布液を塗布し、前記凹部内に耐エッチング層塗布液を充填し、耐エッチング層を形成する。この装置では、直径約20mm?約60mmのグラビアロールが速度V(m/分)で走行している帯状の金属薄板の下方に配置される。グラビアロールは周速度約4V(m/分)?25V(m/分)以上の速度で金属薄板の搬送方向と逆向きに回転される。このとき、グラビアロールが配置される位置において金属薄板の上面は自由状態となっている。グラビアロールの表面に前記耐エッチング層塗布液を供給し、前記グラビアロールの表面からドクターブレードにより余剰の耐エッチング層塗布液を掻き取り、帯状金属板の下面に耐エッチング層塗布液を塗布する。」(段落【0059】) (ウ)「【0071】図6に示す装置は、第1の発明にかかる耐エッチング層塗布装置の好ましい態様の1つを表す該略図を示す。 【0072】図示するように、この装置は、グラビアロール23が接触された面上の位置に対し反対側の面上の位置よりも少し下流に、補助ロール29が設置されている以外は、図1に示す装置と同様の構成を有する。補助ロール29を用いると、凹部の空気をより効果的に耐エッチング層塗布液で置換し、より良好な膜厚制御を行なうことができる。また、補助ロール29を用いた耐エッチング層塗布装置は、例えば図3に示す装置のように塗布装置を2つ設けなくても、孔径が比較的小さく、深さの大きい凹部にも十分に適用し得る。」(段落【0071】及び【0072】) 1-1-2.引用例1に記載された発明 上記1-1-1.(ア)ないし(ウ)によると、引用例1には、 「一対の平行な展張ロール22,122によって上面を支持された状態で両展張ロール22,122の軸方向と直交方向に走行している帯状金属薄板21であって、前記両展張ロール22,122の間に配置されているとともに帯状金属薄板21に形成された凹部の空気をより効果的に耐エッチング層塗布液27で置換するための自由回転自在な補助ロール29によって上面を支持された状態で補助ロール29の軸方向と直交方向に走行している帯状金属薄板21の前記補助ロール29の上流側下方に、補助ロール29と平行に配置され、かつ、外周面の全周に彫刻部24が形成された直径が約20mm?約60mmのグラビアロール23を、前記帯状金属薄板21と相対速度を有する周速度で回転させるとともに、このグラビアロール23の表面からドクターブレード28によって余剰の耐エッチング層塗布液27を塗工を施す前に拭取って、定量の耐エッチング層塗布液27を前記帯状金属薄板21の上面が自由状態にある位置におけるその帯状金属薄板21の下面に塗工して、前記帯状金属薄板21に耐エッチング層塗布液27をべた塗りする耐エッチング層塗布方法。」 という発明(以下、「引用例1に記載された発明」という。)が記載されている。 1-2.特開平6-226190号公報(以下、「引用例2」という。) 引用例2には、次の事項が図面とともに記載されている。 「【0012】…(前略)…このようなバー方式の塗工装置の側面図を図1に示した。図1において、左方から基紙7がホールドダウンロール1及び2とアプリケーターロール3の間を通ってバー5及びペーパーロール6を経て次の乾燥工程に送られる。カラーパン4中の塗液(剥離剤)がアプリケーターロール4によって過剰に基紙に塗布され、その後バー5によって計量、平滑化される。…(後略)…」(段落【0012】) 2.対比 本願発明と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載された発明における「展張ロール22,122」は、その技術的意義からみて、本願発明における「展張ロール」に相当し、以下同様に、「帯状金属薄板21」は「連続体状の基材」に、「彫刻部24」は「グラビアパターン」に、「グラビアロール23」は「グラビアロール」に、「ドクターブレード28」は「ドクタブレード」に、「耐エッチング層塗布液27」は「塗工剤」に、「耐エッチング層塗布方法」は「グラビア塗工方法」に、それぞれ相当する。また、引用例1に記載された発明における「補助ロール29」は、帯状金属薄板21(連続体状の基材)に形成された凹部の空気をより効果的に耐エッチング層塗布液27(塗工剤)で置換する作用を有する、すなわち、帯状金属薄板21(連続体状の基材)をグラビアロール23(グラビアロール)に押し付ける作用を有する、のであるから、帯状金属薄板21(連続体状の基材)の姿勢を制御する「姿勢制御ロール」の一種であるといえる。 してみると、本願発明と引用例1に記載された発明は、 「一対の平行な展張ロールによって上面を支持された状態で両展張ロールの軸方向と直交方向に走行している連続体状の基材であって、前記両展張ロールの間に配置されている自由回転自在な姿勢制御ロールによって上面を支持された状態で姿勢制御ロールの軸方向と直交方向に走行している連続体状の基材の前記姿勢制御ロールの下方に、姿勢制御ロールと平行に配置され、かつ、外周面の全周にグラビアパターンが形成された直径が20mm?50mmのグラビアロールを、前記基材と相対速度を有する周速度で回転させるとともに、このグラビアロールの表面からドクタブレードによって余剰塗工剤を塗工を施す前に拭取って、定量の塗工剤を前記基材の上面が自由状態にある位置におけるその基材の下面に塗工して、前記基材に塗工剤をべた塗りするグラビア塗工方法。」 の点で一致し、次の(1)及び(2)の点で相違している。 (1)本願発明においては、「姿勢制御ロール」は、その直径が20mm?50mmであるのに対し、引用例1に記載された発明においては、本願発明における「姿勢制御ロール」に相当する「補助ロール29」の直径が明らかでない点(以下、「相違点1」という。)。 (2)本願発明においては、「姿勢制御ロール」は、「両展張ロールの間に平行に配置されている一対の平行な姿勢制御ロール」であり、「両姿勢制御ロールの軸方向と直交方向に走行している連続体状の基材の前記両姿勢制御ロール間の下方に、両姿勢制御ロールと平行に」「グラビアロール」を配置するのに対し、引用例1に記載された発明においては、本願発明における「姿勢制御ロール」に相当する「補助ロール29」は、両展張ロール22,122」の間に配置されるが、一対設けられるものでなく、「補助ロール29」の軸方向と直交方向に走行している連続体状の基材の前記「補助ロール29」の上流側下方に、「補助ロール29」と平行に「グラビアロール23」を配置する点(以下、「相違点2」という。)。 3.当審の判断 以下、相違点1及び2について検討する。 (1)相違点1について 「姿勢制御ロール」や「補助ロール29」の直径の寸法をどの程度のものにするかは、「グラビアロール」の直径や「グラビアロール」との配置関係などを考慮して、当業者が適宜設定する設計的事項にすぎない。因みに、引用例1の図6の記載を参照すると、「補助ロール29」の直径は、約20mm?約60mmの直径とされる「グラビアロール23」の直径よりも小さく描かれている。 (2)相違点2について 引用例2には、上記1-2.によると、カラーパン4中の塗液をアプリケーターロール3によって基紙7に塗布する塗布装置において、「基紙7をホールドダウンロール1及び2とアプリケーターロール3の間を通って次の工程に送る」技術(以下、「引用例2に記載された技術」という。)が記載されている。そして、このような技術、すなわち、「一対のホールドダウンロールによって、連続体状の基材をグラビアロールなどのアプリケーターロールに押し付ける」技術は、周知技術(必要なら、例えば、特開平7-96237号公報の第2頁1欄39及び40行並びに図1を参照されたい。)というべきものである。 そうすると、引用例1に記載された発明において、「連続体状の基材」である「帯状金属薄板21」を「グラビアロール23」に押し付ける手段として、上記引用例2に記載された技術を適用して、「補助ロール29」を一対設けるように構成し、その際に、一対設けるようにした「補助ロール29」間の下方に「グラビアロール23」を配置するように構成する程度のことは、当業者が格別困難なく想到し得るものである。 そして、本願発明の作用効果も、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された技術から当業者が予測できる範囲のものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-01-14 |
結審通知日 | 2010-01-19 |
審決日 | 2010-02-02 |
出願番号 | 特願平11-367902 |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(B05C)
P 1 8・ 575- Z (B05C) P 1 8・ 121- Z (B05C) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 土井 伸次 |
特許庁審判長 |
深澤 幹朗 |
特許庁審判官 |
八板 直人 加藤 友也 |
発明の名称 | グラビア塗工方法およびグラビア塗工機 |
代理人 | 伊藤 高英 |
代理人 | 中尾 俊輔 |