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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H01L
管理番号 1214792
審判番号 無効2009-800117  
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-06-01 
確定日 2010-03-15 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3516342号発明「光リモコン用受光モジュ-ル」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第3516342号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は,被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
1 出願手続経緯
本件の特許第3516342号に係る出願は,平成4年3月6日に特許出願した特願平4-49656号(優先日 平成3年3月7日,以下「原々出願」という)の一部を平成13年1月18日に特願2001-10179号(以下「原出願」という)として新たな特許出願とし,更にその一部を平成14年5月16日に特願2002-141227号として新たな特許出願したものであり,本件出願の手続の経緯の概要は,以下のとおりである。

平成 4年 3月 6日 原々出願(特願平4-49656号)
平成13年 1月18日 原出願(特願2001-10179号)
平成14年 5月16日 本件出願(特願2002-141227号)
平成16年 1月30日 特許権の設定登録

2 審判手続経緯
これに対して,請求人より平成21年5月29日に本件無効審判の請求がなされたものであり,本件無効審判における手続の経緯の概要は,以下のとおりである。

平成21年 5月29日 無効審判請求(甲第1?28号証)
8月31日 答弁書
8月31日 訂正請求
10月16日 弁駁書(甲第29?43号証)
12月16日 口頭陳述要領書(請求人)
12月16日 口頭陳述要領書(被請求人)
12月16日 第1回口頭審理

以下,甲第1号証?甲第43号証を甲1?甲43という。

第2 訂正請求について
1 本件訂正請求の内容
平成21年8月31日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正請求」という)の内容は,本件特許の明細書を,訂正請求書に添付した全文訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであり,本件訂正の内容は以下の(1)?(2)のとおりである。(下線部は訂正個所である)

(1)訂正事項1
訂正事項1は,本件特許の特許請求の範囲について,
「【請求項1】・PINホトダイオードからなる受光素子と、
・前記受光素子とは独立して設けられ、前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子と、
・前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備えるとともに一定電位に接続される金属製の第1リードフレームと、
・前記リード部に並んで配置され、前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製の第2リードフレームと、
を備えた光リモコン用受光モジュールであって、
・前記素子固定部における前記リード部及び前記第2リードフレームの前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し、
・前記受光素子と前記回路素子は、同一導電型の半導体基板を備えるとともに、前記第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、それぞれの表側の電極を、前記受光素子の出力用の表側の電極が前記回路素子の入力側の表側の電極に接続されるように、配線手段によって直接接続され、
・前記素子固定部と前記受光素子と前記回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆っている事を特徴とする光リモコン用受光モジュール。」
と訂正するものである。

(2)訂正事項2
訂正事項2は,本件特許明細書の【課題を解決するための手段】の欄(本件特許公報2頁3欄17?49行)について,
「【課題を解決するための手段】本発明の受光モジュールは請求項1に記載のように
・PINホトダイオードからなる受光素子と、
・前記受光素子とは独立して設けられ、前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子と、
・前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備えるとともに一定電位に接続される金属製の第1リードフレームと、
・前記リード部に並んで配置され、前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製の第2リードフレームと、を備えた光リモコン用受光モジュールであって、
・前記素子固定部における前記リード部及び前記第2リードフレームの前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し、
・前記受光素子と前記回路素子は、同一導電型の半導体基板を備えるとともに、前記第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、それぞれの表側の電極を、前記受光素子の出力用の表側の電極が前記回路素子の入力側の表側の電極に接続されるように、配線手段によって直接接続され、
・前記素子固定部と前記受光素子と前記回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆っている事を特徴とする。この様に請求項1記載の発明によれば、前記受光素子と前記回路素子が第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、同一電位に固定されることで、いわゆるフローティングによる出力変動が抑制される。そして、両素子を直接接続するので微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなるので、耐雑音特性も良好になる。また、両素子を独立させることにより、受光素子の感度と応答性を高めることができる。また、素子固定部と受光素子と回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆うことにより、赤外線を利用する光リモコンに好適な構造とすることができる。」
と訂正するものである。

2 当審の本件訂正請求についての判断
(1)通常実施権者の承諾について
弁駁書および口頭陳述要領書(請求人)によれば,請求人は,本件訂正請求が通常実施権者の承諾を得ていない違法なものであって,却下されるべきものである旨主張しているので,先ずこれについて検討する。
請求人は,本件特許について通常実施権者が存在する旨を主張するものの,それを立証する具体的・客観的な証拠を提出していない。また,本件無効審判と同時に継続している無効2009-800116号において提出された証拠(甲27?32)を考慮しても,通常実施権者が存在するとはいえない。また,他に,通常実施権者が存在することを立証する証拠は見あたらない。
してみると,本件特許についての通常実施権者は存在しないと判断せざるを得ないから,本件訂正請求について,通常実施権者の承諾は必要がないことは明らかである。

(2)訂正事項1について
ア 請求項1の「受光素子」についての訂正
請求項1の「受光素子」を「PINホトダイオードからなる受光素子」とする訂正 は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして,本件特許明細書である本件特許公報2頁4欄8?21行の「受光素子2は例えばシリコンPINホトダイオードからなり、フレーム1の素子固定部11に導電性接着剤を介して固着されている。受光素子2は電極21、半導体基板(P層)22、I層23、空乏層24、拡散層(N層)25、他の電極26から構成されている。I層23はシリコンに濃度10^(14)cm^(-3)程度のP型不純物を添加されたものである。半導体基板22は、このI層23の下部に選択拡散され、濃度10^(19)?10^(20)cm^(-3)のP型不純物が添加されている。拡散層(n層)25はI層23の上部に部分的に選択拡散され、濃度10^(19)?10^(20)cm^(-3)のN型不純物が添加されている。空乏層24はN層25の表面からI層23の内部に部分的に延びて形成されたもので、キャリア濃度が非常に少ない領域である。」という記載および同4頁7欄2?5行の「なお以上の説明に於て、受光素子2、2aとしてPINホトダイオードを例示したが、その他にホトトランジスタやホトダイオードなどにも適用可能である。」という記載からみて,「PINホトダイオードからなる受光素子」が記載されていることは明らかであり,上記訂正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものである。

イ 請求項1の「回路素子」についての訂正
「前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子」を「前記受光素子とは独立して設けられ、前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子」とする訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして,本件特許明細書である本件特許公報3頁6欄12?19行の「これに対して本実施形態では、受光素子2aは回路素子3aと独立して製造されるので、受光素子2aのI層23aの不純物濃度を10^(14)cm^(-3)程度と小さく設定することができる。故にI層23aの比抵抗が(500?3000Ωcmと)大きくなるので、空乏層の厚さは例えば110μm以上と厚く製造することができる。従って赤外光を効率よく(90%以上)受光することができ、受光素子2aの感度が高くなり、応答速度が早くなる。」という記載および同2頁3欄44?45行ならびに同4頁8欄8?9行の「また、両素子を独立させることにより、受光素子の感度と応答性を高めることができる。」という記載からみて,「受光素子とは独立して設けられた回路素子」が記載されていることは明らかであり,上記訂正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものであるといえる。

ウ 請求項1の「第1リードフレーム」についての訂正
「前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備える金属製の第1リードフレーム」を「前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備えるとともに一定電位に接続される金属製の第1リードフレーム」とする訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。
そして,本件特許明細書である本件特許公報2頁4欄42行?同3頁5欄17行の「次にこの受光モジュ-ルの動作を図3のブロック図に従い説明する。この図に於て回路素子3は、例えばABLC315と増幅器316とリミッタ317とフィルタ318と検波回路319と波形整形回路320とトランジスタ321と抵抗322の各回路からなる。受光素子2のアノ-ド側(電極21)はフレ-ム1を介してアノ-ド共通タイプとして接地電位に接続され、カソ-ド側(他の電極26)は回路素子3の入力に接続されている。ABLC315はオ-トバイアスロジックレベルコントロ-ルであり、受光素子2に一定の逆バイアス電位を与える。他のリ-ドフレ-ム14に印加される電位Vccは回路素子3内の各回路に電圧を与える。リ-ド部12は電源電位、すなわち接地電位に接続されている。この様にして電気信号を変調された赤外光を受けとった受光素子2からの信号は回路素子3を経て、他のリ-ドフレ-ム13に出力信号Vssを与える。ここで、図1、図2に示すように、前記素子固定部11は、前記リード部12よりも幅が広く前記受光素子2と前記回路素子3を配置するに十分な面積を有している。そして、受光素子2と回路素子3はそれぞれの裏側の電極がリードフレームの素子固定部11の上面に導電性接着剤を介して共通に接続され、前記リードフレームのリード部12が電源電位(接地電位)に接続されているので、リードフレームがシールド板として機能し、受光素子2や回路素子3に侵入する雑音を低減する事ができる。」という記載,同3頁5欄35?48行の「回路素子3aは概ね第1実施形態で示した回路素子3のP層とN層を逆転させたものであり、半導体基板302aはN型である。但しトランジスタ321は第1実施形態と同じNPN型を用いる。受光素子2aのカソ-ド側(電極21)はフレ-ム1を介してカソ-ド共通タイプとしてプラス電位に接続され、アノ-ド側(他の電極26)は回路素子3aの入力に接続されている。リ-ド部12に印加される電源電位Vccは回路素子3a内の各回路にその電位を与える。他のリ-ドフレ-ム14は接地電位に接続されている。この様にして変調された赤外光は受光素子2aを経て、回路素子3aにより、他のリ-ドフレ-ム13に出力信号Vssを与える。このカソ-ド共通タイプの実施形態もアノード共通タイプの実施形態と同様の作用効果を奏する事ができる。」という記載,同3頁6欄47行?同4頁7欄2行の「なおシ-ルドを設ける他の方法としては、フレ-ムの上に素子が載置されこのフレ-ムが所定電位に接続される事を利用して、このフレ-ムの一部を樹脂から突出させ、樹脂全体を導電性熱収縮チュ-ブで覆い、そのチュ-ブが突出したフレ-ムと電気的に接触するように構成する事でも構成できる。」という記載および同4頁7欄5?12行の「上述の実施形態によれば、同一導電型の半導体基板を有する受光素子と回路素子をそれぞれ電極を介して同一フレ-ムに載置する。故に受光素子と回路素子の電位が一定電位に固定される事で、いわゆるフロ-ティングによる出力変動がない。そして、両素子を直接接続するので微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなる。故に耐雑音特性が良好となる。」という記載からみて,「一定電位に接続される金属製の第1リードフレーム」が記載されていることは明らかであり,上記訂正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものであるといえる。

エ 請求項1の「第2リードフレーム」についての訂正
「前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製の第2リードフレーム」を「前記リード部に並んで配置され、前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製の第2リードフレーム」とする訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。
そして,本件特許明細書である本件特許公報2頁4欄6?8行の「リ-ド部12に略平行に他のリ-ドフレ-ム13(第2リードフレーム)、14が2本配置されている。」という記載からみて,「リード部に並んで配置された第2リードフレーム」が記載されていることは明らかであり,上記訂正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものであるといえる。

オ 請求項1の「回路素子」の固着についての訂正
「前記素子固定部における前記リード部の前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し」を「前記素子固定部における前記リード部及び前記第2リードフレームの前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し」とする訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。
そして,本件特許明細書である本件特許公報3頁5欄17?27行の「また、リードフレーム13の前方に回路素子3を配置し、回路素子3の前方に受光素子2を配置し、受光素子2、配線41、回路素子3、配線43、リードフレーム13を直線的に配列しているので、微弱信号が出力される配線41を、大きな信号が出力される配線43、リードフレーム13と離間して配置する事ができる。その結果、配線41に配線43やリードフレーム13などの出力が与える影響を最小限に抑制する事ができ、受光モジュールの動作の安定化を図る事ができる。」という記載からみて,「リードフレーム13の前方に回路素子3を配置」,すなわち,「第2リードフレームの前方に回路素子を固着」する点が記載されていることは明らかであり,上記訂正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものであるといえる。

カ 請求項1の「それぞれの表側の電極」の接続についての訂正
「それぞれの表側の電極を配線手段によって直接接続され」を「それぞれの表側の電極を、前記受光素子の出力用の表側の電極が前記回路素子の入力側の表側の電極に接続されるように、配線手段によって直接接続され」とする訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。
そして,本件特許明細書である本件特許公報2頁4欄30?35行の「金属細線41、42、43、44は金等からなる配線手段で、それぞれ受光素子2の他の電極26と回路素子3の他の電極311との間、素子固定部11と他の電極313との間、他のリ-ドフレ-ム13と他の電極312との間、他のリ-ドフレ-ム14と他の電極314との間に接続されている。」という記載からみて,「受光素子の出力用の表側の電極が回路素子の入力側の表側の電極に接続される」点が記載されていることは明らかであり,上記訂正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものであるといえる。

カ 小括
してみると,訂正事項1は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,新規事項を追加するものではなく,また,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

(3)訂正事項2について
訂正事項2は,訂正事項1にともない,本件特許明細書の【課題を解決するための手段】の欄についての記載を訂正するものであって,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(4)まとめ
以上のとおり,本件訂正請求は,特許法134条の2第5項で準用する同法第127条の規定に適合しないものではなく,また,上記訂正事項1?2は,特許法134条の2第1項ただし書きに適合するから,当該訂正を認める。

第3 本件発明
以上のように,本件訂正請求が認められることから,本件特許発明は,本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。(以下「本件発明」という)

「【請求項1】・PINホトダイオードからなる受光素子と、
・前記受光素子とは独立して設けられ、前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子と、
・前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備えるとともに一定電位に接続される金属製の第1リードフレームと、
・前記リード部に並んで配置され、前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製の第2リードフレームと、
を備えた光リモコン用受光モジュールであって、
・前記素子固定部における前記リード部及び前記第2リードフレームの前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し、
・前記受光素子と前記回路素子は、同一導電型の半導体基板を備えるとともに、前記第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、それぞれの表側の電極を、前記受光素子の出力用の表側の電極が前記回路素子の入力側の表側の電極に接続されるように、配線手段によって直接接続され、
・前記素子固定部と前記受光素子と前記回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆っている事を特徴とする光リモコン用受光モジュール。」

第4 当事者の主張
1 請求人の主張
審判請求書,弁駁書および口頭陳述要領書によれば,請求人は,訂正後の本件発明は,本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであり,特許法29条2項の規定によって特許を受けることができないものであって,本件発明に付与された本件特許は,同法123条1項2号の規定により,無効とすべきものであると主張し,甲1?43号証を提出している。

甲 1:特開昭63-136838号公報
甲 2:特開平1-206673号公報
甲 3:「シャープ技報 通巻第31号」,シャープ株式会社技術本部,昭
和60年3月20日発行
甲 4:特開昭61-116847号公報
甲 5:特開平1-143248号公報
甲 6:「オプトロニクス N0.99 1990年3月号」,株式会社オ
プトロニクス社,平成2年3月10日発行
甲 7:特開昭62-72160号公報
甲 8:柳井久義,永田穣著「改訂 集積回路工学(1)」,株式会社コロ
ナ社,昭和62年4月30日改訂第1刷発行
甲 9:「オプトロニクス N0.83 1988年11月号」,株式会社
オプトロニクス社,昭和63年11月10日発行
甲10:本山卓彦著,「おもしろい接着剤のはなし」,日刊工業新聞社,平
成元年5月30日初版1刷発行
甲11:小野昌孝他編著,「新版 接着と接着剤」,財団法人日本規格協会
,平成元年3月27日第1版1刷発行
甲12:日本接着学会編,「接着剤データブック」,日刊工業新聞社,平成
2年2月28日初版1刷発行
甲13:特開昭63-73678号公報
甲14:特開昭57-37867号公報
甲15:株式会社ノイズ研究所ノイズ対策室編,「ノイズ対策マニュアル」
株式会社イー・エム・シー,昭和63年6月10日初版発行
甲16:オーム社編,「絵とき電子回路基礎マスターブック」,株式会社オ
ーム社,平成元年7月31日第1版第1刷発行
甲17:実願昭63-50743号(実開平1-154652号)のマイク
ロフィルム
甲18:「オプトロニクス N0.39 1985年3月号」,株式会社オ
プトロニクス社,昭和60年3月10日発行
甲19:伊藤弘編著,「現場技術者実戦シリーズ3 オプト・デバイス応用
ノウハウ」,CQ出版株式会社,昭和59年10月30日初版発行
甲20:実願平1-87285号(実開平3-25256号)のマイクロフ
ィルム
甲21:本件特許出願の平成15年9月5日付け意見書
甲22:本件特許出願の平成15年9月5日付け手続補正書
甲23:原々出願の優先日である平成3年3月7日に出願された先の出願(
特願平3-41789号)の願書,明細書,図面及び要約書
甲24:平成14年5月16日に提出された本件特許に係る願書,並びに,
願書に最初に添付した明細書,図面及び要約書
甲25:大阪地方裁判所平成21年3月5日判決(平成20年(ワ)第40
56号損害賠償等請求事件)の判決文(最高裁判所ホームページよ
り)
甲26:知的財産高等裁判所平成20年7月30日判決(平成19年(行ケ
)第10431号補正却下決定取消請求事件)の判決文(最高裁判
所ホームページより)
甲27:特許第3177287号公報(原々出願に係る特許公報)
甲28:特開平5-72027号公報(原々出願に係る公開特許公報)
甲29:欠番
甲30:実願昭62-166547号(実開平1-71791号)のマイク
ロフィルム
甲31:特開昭63-43433号公報
甲32:特開昭63-236371号公報
甲33:財団法人光産業技術振興協会監修,「光技術活用ハンドブック」,
株式会社オプトロニクス社,平成元年2月22日増補改訂版発行
甲34:谷腰欣司著,「光センサとその使い方-種類・特徴・回路技術-」
,日刊工業新聞社,昭和63年10月20日初版1刷発行
甲35:メカトロニクス編集部編,「メカトロブックス・3 最先端のオプ
トエレクトロニクス」,株式会社技術調査会,昭和60年12月1
6日初版発行
甲36:特公平2-34462号公報
甲37:特公平2-17940号公報
甲38:実願昭62-64026号(実開昭63-172970号)のマイ
クロフィルム
甲39:特開昭59-36445号公報
甲40:特開昭60-32446号公報
甲41:特開昭62-105541号公報
甲42:実願昭61-99944号(実開昭63-5715号)のマイクロ
フィルム
甲43:原々出願における平成12年7月24日付け手続補正書

2 被請求人の主張
これに対して,被請求人は,口頭陳述要領書において,上記無効理由が理由あると自認している。

第5 各証拠およびその内容
1 甲1について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲1には,次の事項が記載されている。

(甲1-ア)
「2 特許請求の範囲
同一の集積回路装置パッケージ内に、赤外線リモートコントロール受信用プリアンプのペレットと、赤外線受光用ダイオードのペレットとを設け、前記プリアンプの入力と前記ダイオードの出力とを前記パッケージ内で接続したことを特徴とする赤外線リモートコントロールを受信装置。」(1頁左下欄4?10行)

(甲1-イ)
「〔産業上の利用分野〕
本発明は赤外線リモートコントロール受信装置に係り、特に受信装置の光電変換部、受信信号の増幅部に関する。」(1頁左下欄12?15行)

(甲1-ウ)
「〔従来の技術〕
従来、赤外線リモートコントロールシステムにおける受信装置の側は、光電変換部と受信信号増幅部と受信信号デコーダとの3つのブロック、具体的にはそれぞれ赤外線受光用ダイオード(以下、ホトダイオードという)、赤外線リモートコントロール受信用プリアンプ(以下、プリアンプICという)、デコーダICの3つのデバイスから、構成されていた。送信装置側から送られてきた光信号(バースト波)は、ホトダイオードによって、微弱な電気信号に変換され、プリアンプICによって、ロジックレベルまで増幅されデコーダICによって、送信信号のデコードが行なわれる。この場合、プリアンプICは、入力インピーダンスが高く、またゲインが高いので、入出力間の帰還による発振、外来ノイズによる誤動作という問題を起こしやすく、セット実装時はこれらの問題を解消するために、ホトダイオード、プリアンプIC全体にシールドを施さなければならなかった。 これはセットの小型化、組立工数の低減、信頼性の向上に際し、大きな障害となっていた。」(1頁左下欄16行?同頁右下欄19行)

(甲1-エ)
「〔発明が解決しようとする問題点〕
前述した従来の赤外線リモートコントロール受信装置線、プリアンプのICがハイ・入力インピーダンス、ハイ・ゲインであるために、外来ノイズによる誤動作、入出力間の帰還による発振という問題を起こしやすく、セット実装時はホトダイオードの出力8とプリアンプ3の入力9との接続をできる限り短くしてシールドを施さなければならないので、セットの小型化や組立工数の低減、資材費の低減、信頼性の向上等の点で大きな障害となる。」(2頁左上欄8?18行)

(甲1-エ)
「本実施例の赤外線リモートコントロール受信装置は、パッケージ1内に、アイランド4と、リードフレーム5とを含み、構成される。
このアイランド4の上に、リモートコントロール受信用プリアンプ3と、ホトダイオード6との2つのペレットをマウントし、前記プリアンプ3の入力9と、ホトダイオード6の出力8とを、ボンディング線2で接続し、他のパッドはリードフレーム5に接続する。そして、パッケージ1内から、接地ピンク、出力ピン10等を出す。
本実施例ではペレットを搭載するアイランド4がフローティングになっていたが、アイランド4と接地(GND)ピン7とを共用すること(第2の実施例)によりアイランド4をシールド板として利用することがより好ましい。この場合、シールド効果を高めて、外来ノイズに対して一層強くすることができる。また、前記2つの実施例では、ペレットがモノリシックICの場合について説明したが、他の周辺部品をパッケージ内に組み込んだハイブリッドICについても、同様に実施することができる。」(2頁右上欄17行?同頁左下欄17行)

2 甲2について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲2には,次の事項が記載されている。

(甲2-ア)
「(産業上の利用分野〉
本発明は光伝送装置に係り、特に中?高速伝送に適した光伝送装置に関する。」(1頁右下欄2?4行)

(甲2-イ)
「外部接続用のリード107cは受信用集積回路素子設置面を有し、その設置面上に受信用集積回路素子123が設置されている。そしてこの受信用集積回路素子123はボンディングワイヤによって中継端子103の中継面111と外部接続用のリード107a、107b,107c,l07dにそれぞれ接続されている。
また受光ダイオード設置面を有する外部接続用リード107dの設置面上には受光ダイオード121が設置されており、ボンディングワイヤによって外部接続用リード107dと中継端子103の中継面111と接続されている。
上述したように受信用集積回路素子123と受光ダイオード121は中継端子103の中継面111を介して接続されている。これはボンディングワイヤによって受信用集積回路素子123と受光ダイオード121といった素子同志を接続することが、技術的に困難であるため、中継面111を介して接続してある。
つまりボンディングワイヤによっての接続は次のように行なわれているためである。まずボンディングワイヤの一端を加熱してボール状にし、このボール状になったボンディングワイヤを所定の位置にに接続し、他端は圧力を加えて所定の位置に圧着する。このように一喘は加熱して接続するが他喘は圧着するために、素子等の微細な位置に接続を行なおうとしても、所定の位置以外の部分にもボンディングワイヤが広がり接触する危険性がある。このため上述のように中継端子103を介して接続せざるをえない。」(1頁右下欄18行?2頁右上欄7行)

(甲2-ウ)
「特に受光ダイオード121-中継端子103-受信用集積回路素子123間の信号は数μAオーダーと非常に微弱な信号であるため、他のコンデンサ容量を生じる箇所に比べてコンデンサ容量による影響を受ける割合が大きい。また中継端子103が外部からの雑音を拾うため外部雑音の影響も受けていた。」(3頁左上欄15行?同頁右上欄1行)

3 甲3について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲3には,次の事項が記載されている。

(甲3-ア)
「ホトダイオードを構成するpn接合は、n型エピタキシャル層とp型基板間との接合を使用している。・・・」(128頁右欄下から5?4行)

(甲3-イ)
129頁の図6「OPICチップの構造断面図」が示されている。

4 甲4について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲4には,「半導体デバイス用裏面コンタクト構造及びその製造方法」に関して,次の事項が記載されている。

(甲4-ア)
「〔産業上の利用分野〕
本発明は半導体デバイスのコンタクトに係り、更に詳しくはシリコン集積回路の為の改良された裏面コンタクトに係わる。」(2頁左上欄14?17行)

(甲4-イ)
「〔従来の技術、及び発明が解決しようとする問題点〕
半導体基板の表の面の上に形成された能動半導体デバイスにアース又はその他の電気的コンタクトをもたらす為に、半導体デバイスにメタライズされた裏面コンタクトを形成する事が一般的に行なわれている。典型的な裏面コンタクトはこれ迄、半導体デバイスの裏面用の電気的コンタクトをもたらす金の層で被れたアルミニウム薄層によって形成されて来た。しかしながら、この様なアルミニウム-金のコンタクトは比較的高い直列抵抗のコンタクトをもたらす事が知られている。それは一部には金が低い温度でアルミニウム層と反応し、高抵抗の酸化アルミニウム層を生じさせる事に起因している。更に、このアルミニウム-金の組合わせは高価であるばかりでなく、能動デバイスのライフタイムを減少させる傾向のある拡散特性を有している。」(2頁左上欄18行?同頁右上欄15行)

(甲4-ウ)
「図に示されている実施例に於いて、シリコン集積回路10は、P型半導体基板12の上に形成された典型的なMOSトランジスタを含んでいる。回路10はnドープ領域14及び16を含んでおリ、これらの領域はメタルコンタクト18及び20と共にMOSトランジスタのソースとドレインを形成している。ゲートの酸化物層22は、ゲートのメタル電極24と共に、このトランジスタのゲートを形成している。フィールド酸化物層26及び28は絶縁の目的の為に従来の方法でトランジスタ以外の面の上に形成される。図示されている集積回路は従来の技術によって形成する事が出来また、本発明は例えばバイポーラデバイスの如く、沢山の良く知られたいかなるデバイスをも含む事が出来る。
本発明によれば、裏面コンタクトは、パラジウム、プラチナ、ロジウム、及びイリジウムを含む白金族のうちから選ばれた1つの金属から形成されるメタル層30によって形成される。これらの金属は実施上どれでもうまく働く事が出来るものの、パラジウムがそのコストの安さと優れた動作特性の為に好ましい。導電性のエポキシ接着剤の層32が、金メッキされたコバール又はこれと同様の金属で形成する事の出来るメタルリードフレーム34とのコンタクトをもたらす為にコンタクト層30の裏面の上に形成される。」(2頁左下欄15行?同頁右下欄20行)

5 甲5について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲5には,「半導体集積回路装置」に関して,次の事項が記載されている。

(甲5-ア)
「〔産業上の利用分野]
本発明は半導体集積回路装置に関し、特に複数の半導体チップを半導体マスタ基板上に配列して1つのチップとして集積化した半導体集積回路装置に関する。」(1頁左下欄16?19行)」

(甲5-イ)
「これらの図において、1は半導体マスタ基板であり、2は夫々回路が構成された半導体チップである。前記半導体マスタ基板1は複数個の半導体チップ2を搭載するに十分な表面積と厚さを持つ。また、半導体マスタ基板1の伝導型は半導体チップ2の基板と同型に設定している。例えば、半導体チップ2がP型基板上に回路が形成されたものであるならば、半導体マスタ基板1もP型である。」(2頁左上欄15行?同頁右上欄2行)」

(甲5-ウ)
「3は半導体チップ2を半導体マスタ基板1上に搭載してマウントする導電性の接着材であり、例えばAu-Si共晶合金が採用される。この場合、なるべく低温で接着できるとともに電気抵抗の少ない材料であることが必要である。」(2頁右上欄18行?同頁左下欄2行)」

6 甲6について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲6には,次の事項が記載されている。

(甲6-ア)
「1.概要
S3599は光による物体検出用のモノリシックフォトIC化受光素子である。
・・・・・・
2.内部機能
図1にブロック図を示す。・・・・・」(164頁左欄1?14行)

(甲6-イ)
「パッケージは4ピン片側リードの透明モールドパッケージが標準であるが,この他に小型4ピン片側リードパッケージ,4ピン両側リードパッケージが用意されている。また可視カットモールドも可能であり、この場合には外乱光許容照度をさらに高めることができる。パッケージ群を写真1に示す。」(165頁左欄下から4行?同頁右欄2行)

7 甲7について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲7には,「光集積回路素子」に関して,次の事項が記載されている。

(甲7-ア)
「産業上の利用分野
本発明は光通信などの用途に適した光集積回路に関するものである。
従来の技術
第3図は従来の光信号を電気信号に変換する光集積回路を示すものであり、1は半絶縁性GaAs基板、2は電界効果トランジスタのn型GaAs活性層、3は抵抗層、4,5,6は光導波路であり、4,6はクラッド層でAlGaAs層、5は光を閉じ込めるGaAs層である。7,8はフォトダイオードで、7はn型GaAs層、8はp型GaAs層である。9は電界効果トランジスタのソース・ドレイン電極、10はショットキーゲート電極、11はフォトダイオード電極、12は抵抗の電極である。外部から光導波路に入った光信号は、光導波路内を伝搬し、フォトダイオードに入る。光信号によりフォトダイオードには電流が流れ、抵抗層で電圧降下を生じ、ゲート電極10に印加される電圧が変化し、ソース・ドレイン電流が変化するものである。このように光-電気変換が行なわれる。」(1頁左下欄16行?同頁右下欄16行)

(甲7-イ)
「(丸付き1)マイクロホンをスピーカに近づけると,スピーカからキーンという大きな音が出ることがある.
このような現象はハウリング現象とよばれ,発振現象の一種である.増幅器の出力の電気振動を入力へ帰すことによって,電気振動だけの循環経路をつくることができる(第3図参照).」(67頁1?11行)

8 甲8について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲8には,次の事項が記載されている。

(甲8-ア)
「〔2〕半導体集積回路 今日の集積回路の主力をなすもので,膜集積回路が基板に絶縁物材料を用いているのに対して,半導体集積回路では半導体の結晶を基板として用いている。半導体結晶としてはシリコン(Si)や化合物半導体(GaAsなど)の単結晶が用いられ,その表面に沿ってp形領域とn形領域を適宜構成することによって,トランジスタや抵抗,コンデンサ,ダイオードなどの回路部品を形成する。これらの部品は半導体単結晶の表面につけられたSiO_(2)などの酸化膜を絶縁膜として利用し,アルミニウム(Al)などの金属を蒸着することによって配線を行い,電子回路を構成する。代表的な構造を図2.3に示す。集積化の概念が最も明確になった構造である。
この半導体単結晶の基板の小片をチップ(chip)と呼んでいる。マルチチップICは,複数個のチップを用いそれらを相互接続して回路を構成し,一つのパッケージ(package;容器)に収容したものである。チップごとに別々の製造プロセスで異なった種類の部品(例えば,npnトランジスタとpnpトランジスタ)を作ることができるので,回路構成上自由度が大きい。他方,製造上手間がかかり量産向きではなく,製品の種類は少ない。
モノリシックICは,語源的には“1個の石”でできた集積回路,つまりワンチップICを意味する。すなわち,一つの半導体結晶基板の上にすべての部品を構成して回路を作るものである。製造技術上の制限から構成できる部品の種類に制限があり,したがって,回路構成上の自由度は少ないが,1枚の板の上に全回路を作ってしまうため,きわめて量産性に富んでおり,大量生産,低コストの生産が可能である。特にシリコン単結晶を用いたものでは,構成部品も技術の進歩によってかなり良質のnpnトランジスタ,pnpトランジスタ,抵抗,コンデンサ,ダイオードおよびMOSトランジスタなどが得られるので,ほとんど大部分の回路は構成できるようになってきている。このためモノリシックICは最も数多く生産され,使用されており,最も重要な集積回路となっている。普通,ICといえば半導体集積回路の中のこのモノリシックICを指す場合が多い。本書でもシリコンのモノリシックICを中心に学ぶことにしている。
なお,半導体集積回路を構成する製造技術は,トランジスタを作る技術に非常に類似している。そのため半導体集積回路では,バイポーラトランジスタやMOSトランジスタなどの能動素子を作るのは容易であるが,抵抗やコンデンサなどの受動素子は必ずしも良質のもの,大容量のものが作れない。特にインダクタンス類はほとんど実用できないのが現状である。こうした回路素子がどうしても必要な場合には,膜集積回路技術と組み合わせる必要がある。」(15頁9行?17頁6行)

9 甲9について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲9には,次の事項が記載されている。

(甲9-ア)
「モノリシックタイプでは,受光部から回路部まで一連の製造プロセスでチップ形成されるため,ハイブリッドタイプと比較し受光部の感度低下が避けられない。」(113頁右欄1?3行)

(甲9-イ)
「3.ハイブリッドタイプ及びその応用
ハイブリッドタイプのフォトICは受光部と回路部が独自に設計できるため、特に性能面を優先した設計や、特殊な要求への対応において多く用いられる。例えば、光電変換効率の高い受光部を要求する設計、大面積で低容量の受光部を要求する設計などにおいて、周波数特性やノイズ、コストなどを考慮してデバイス設計が行われる。
写真2に,カメラのAF用ハイブリッドフォトICの外観を,図3にそのブロック図を示す。受光部には2分割型フォトダイオードが使用され,検出された信号は専用のICにより信号処理される。カメラへの入射光には,外来光成分が多く,信号検出精度を向上させるため光電流の定常光成分を抜取る回路を付設している。微弱入射時への対応として絶対値ではなく相対値による信号処理が,ダイナミックレンジ拡大化への対応として対数圧縮処理が,外来光成分の除去として可視光カット光学フィルタの付設が,それぞれ行われる。最近では,増幅のみではなく被写体までの距離を自動的に判定し,撮像レンズ系の駆動も行なえる制御回路を1チップに組み込んだ大規模IC化が進んでいる。
写真3に,ビデオカメラのホワイトバランス用カラーセンサの外観を示す。光源の色成分に対応した信号を検知し,ビデオカメラ回路への自動補正データを出力し,各種光源下での忠実な画像再生を行なわせる機能を持つ。受光部は3分割型フォトダイオードであり,受光面上にR,G,Bの色フィルターを直接,印刷形成している。回路部では,初段の増幅部に高インピーダンスのJ-FETを用い,100pAの微弱電流の検出を可能とし1lxの微弱光に対しても機能できる。R,G,Bの各検出信号は,対数増幅後それぞれの差をとることにより,B/G,R/Gの信号としてICより出力される。その結果,2000?10000Kの広い色温度範囲において,照度変動に関係なく光源の色温度を検出できる。」(114頁右欄11行?115頁16行)

10 甲10について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲10には,「ICにおける接着技術」に関して,次の事項が記載されている。

(甲10-ア)
「 IC製造工程で,半導体チップをリードフレームに接着するのには導電性接着剤が用いられている。導電性接着剤は一九六七年米国のエポテック社が開発し,エポキシ樹脂と銀、銀・パラジウム、金などの導電性で耐食性のある貴金属粉末を配合したものである。最近は瞬間接着剤に金属粉を配合した短時間接着剤、ポリイミド樹脂をベースにした耐熱接着剤もある。もっとも接着剤を使わないでチップ裏面とフレム表面に金などの金属を蒸着し、両面を熱融着する方法も広く用いられている。
導電性のエポキシ接着剤は発光ダイオードのリード線の接着、マイクロモータのカーボンの接着、ハイブリッドICなどの用途もある。」(213頁3?10列)

11 甲11について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲11には,次の事項が記載されている。

(甲11-ア)
「主な機能別接着剤
電気的・導電性接着剤・・・・・IC,LED,LSIチップ,光導電素子などに応用されている。」(73頁の表2.3.1)

(甲11-イ)
「・・・・・導電性接着剤の使用用途としては,水晶振動子と金属,成型カーボンと金属,IC,LED,LSIチップ,光導電素子,液晶素子などへ応用されている。」(77頁18?20行)

12 甲12について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲11には,次の事項が記載されている。

(甲12-ア)
「各産業における主な用途
電気・電子 汎用部品 ・半導体(導電性接着剤によるダイボンディング)」(22頁の表1)

(甲12-イ)
「エイブルボンド84-1LMI エポキシ 1液熱硬化形 ダイボンディング用導電性接着剤 日本エイブルスティック(丸付き14)」(25頁7段)

(甲12-ウ)
「エイブルボンド979-1A エポキシ 1液熱硬化形 ダイボンディング用導電性接着剤 日本エイブルスティック(丸付き14)」(25頁9段)

13 甲13について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲13には,「半導体装置」に関して,次の事項が記載されている。

(甲13-ア)
「〔産業上の利用分野〕
この発明は、光通信用モジュール機能を持った半導体装置に関するものである。」(1頁左下欄15?17行)。

(甲13-イ)
「〔問題点を解決するための手段〕
この発明に係る半導体装置は、レーザダイオードまたはLEDとホトダイオードとを金属フレーム上にマウントするとともに、これらの半導体素子と外部リードとを金属細線等で結線し、全体を樹脂でモールドしたものである。」(2頁左上欄6?11行)

(甲13-ウ)
「・・・・・これら半導体素子5?7はフレーム1の所定の位置に半田等で接着されている。8はAu等からなる金属細線であり、半導体素子5?7の電極(図示せず)とリード2?4とを電気的に導通すべく接続している。9は透明樹脂であり、半導体素子5?7その他をモールドしている。」(2頁右上欄5?10行)

(甲13-エ)
「第2図はこの発明の他の実施例を示す半導体装置の斜視図である。この実施例の特徴は、フレーム11上に駆動用回路を構成したICチップ16を半田等によって取り付け、その各電極とリード12?15間を金属細線8で結線したものであり、その動作は第1図の実施例と同様である。
上記各実施例のように、フレーム1および11の一部をL字状に折り曲げ、この折曲げ部の垂直面1a,llaにそれぞれホトダイオードB7を取り付けることにより一層の小型化が実現できる。例えば、上記実施例によれば、装置の容積を従来のl/10以下にすることが可能となる。」(2頁左下欄2?13行)

14 甲14について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲14には,「半導体装置」に関して,次の事項が記載されている。

(甲14-ア)
「この発明は二つの半導体素子を同一のフレーム上に積み重ねて組立てた半導体装置に関するものである。」(1頁左下欄16?18行)」

(甲14-イ)
「光検出素子としてシリコンフォトダイオード素子(以下、「SPDチップ」と称す)は各方面で利用されている。このSPDチップで光の強さが電気信号に変換されるが、通常、この信号は極めて微弱な物であつたり、複数のSPDチップからの微弱な信号を処理したりするため、およびSPDチップとそこから得られた電気信号を処理する部分の面積を減らすために、このSPDチップとそこから得られた信号を処理する半導体集積回路素子(以下、「ICチップ」と称す)とを同一フレームに組立てる場合がある。・・・・・」(1頁右下欄2?12行)」

(甲14-ウ)
「・・・・・図において、(1)はSPDチップ、(11)はSPDチップ(1)の表面、(2)はICチップ、(21)はICチップ(2)の表面、(3)はフレーム、(4)は外部リード導体、(5)はSPDチップ(1)またはICチップ(2)のボンディングパッドと外部リード導体(4)とを接続する金線などによりボンディングワイヤ、(6)はSPDチップ(1)、ICチップ(2)、フレーム(3)、ボンディングワイヤ(5)、およびは外部リード導体(4)の所要部分を樹脂封止する透明樹脂である。ICチップ(2)への光の入射を防止してICチップ(2)に正常な動作をさせるために、ICチップ(2)の表面(21)に遮光剤を塗布するか、ICチップ(2)を金属膜で覆つている。・・・・・」(2頁左上欄3?15行)」

15 甲15について
本件特許に係る出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲15には,「ノイズ対策方法」に関して,次の事項が記載されている。

(甲15-ア)
「・・・・・また,入出力線の干渉を防ぐ配線方法、シールド等を採用するとよいでしょう。」(177頁左欄下から6?5行)

(甲15-イ)
「雑音対策はフィルタだけですむ,と盲信しているような人が作ったシステムの内部をよく見ると,フィルタの入・出力線が,どこかで接近していることがあります.それほど,フィルタの効果を認めているなら,入・出力線の配置にもっと注意をはらって欲しいものです.『フィルタは入・出力線の配置によって全く効果がなくなる』といえます.」(177頁右欄下から10?4行)

(甲15-エ)
「フィルタの実装の上の注意事項を以下に挙げておきます.
(a)入力線と出力線を物理的に離す.
(b)入力線と出力線間に,シールド板を立てる.
(c)入力端子は筺体の外に出るようにできれば,さらに良い。ただし,これは実際には無理なことが多い.
(d)シールド線を使うこともよい.」(178頁左欄1?8行)

16 甲16について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲16には,「電気振動を循環させる共振回路の原理」に関して,次の事項が記載されている。

(甲16-ア)
「(丸付き3)発振回路は出力の一部を入力にもどすための帰還回路である.・・・・・」(66頁問左下欄1?3行)

(甲16-イ)
「(丸付き1)マイクロホンをスピーカに近づけると,スピーカからキーンという大きな音が出ることがある.
このような現象はハウリング現象とよばれ,発振現象の一種である.増幅器の出力の電気振動を入力へ帰すことによって,電気振動だけの循環経路をつくることができる(第3図参照).」(67頁1?11行)

17 甲17について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲17には,「赤外光受光装置」に関して,次の事項が記載されている。

(甲17-ア)
「本考案は赤外光によるリモートコントロール信号を受信するリモートコントロールシーバ等(注:正しくは「レシーバ等」)に用いられる赤外光受光装置に関する。」(明細書2頁3?5行)

(甲17-イ)
「赤外光受光装置は封止樹脂に接着した可視光カットフィルタにより可視光をカットするのではなく、受光素子aを可視光カット染料入り樹脂gにより封止し、その可視光カット染料gにより可視光をカットするようにしたものである。」(明細書4頁4?8行)

18 甲18について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲18には,「光リモコンシステム」に関して,次の事項が記載されている。

(甲18-ア)
「受光素子としては、GaAs赤外発光ダイオードの発光波長域(?940nm)でブロードな分光感度特性をもつSiホトダイオードが適している。その中でも高感度、高速応答性を有するpin構造のSiホトダイオード(PN313/323)を用いた受信部のブロック図を図-3に示す。PN313/323は可視光カット樹脂で封止しているので可視域での外乱光を除去でき,S/N比の向上を図ることができる.・・・・・」(72頁右欄9行?73頁4行)

19 甲19について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲19には,「受光素子の分光感度特性」に関して,次の事項が記載されている。

(甲19-ア)
「〈例-1〉リモコン/光電スイッチ
これらは、一般に発光源としてガリウム砒素赤外発光ダイオードが使用されます。しかし,これらの機器は人の居住空間で使用されるため,可視光成分の多いけい光灯の光が外乱光として入ります.そこで,可視光に対する感度をカットするのが有利です.この方法としては,
(1)可視光カット樹脂により,モールドされた受光素子を用いる(例;PD48PI,PT430F).
(2)可視光カット・フィルタを受光素子の前面に配置する.
などがあります.」(32頁5?11行)

20 甲20について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲11には,「集積回路」に関して,次の事項が記載されている。

(甲20-ア)
「本考案は集積回路に関し、例えば光ファイバを介して光情報を受信するようになされた光情報検出素子の集積回路に適用して好適なものである。」(明細書2頁5?7行)

(甲20-イ)
「・・・・・チップ10及び11間をワイヤボンディングで接続する。」(明細書4頁14?15行)

(甲20-イ)
「このとき予めダイパッド13をリードフレーム21と一体に成形し、これによりリードフレーム21を介して当該集積回路20のアース側電源を供給する。
さらに全体を透明の樹脂材料でパッケージし、・・・・・」(明細書5頁2?6行)

(甲20-エ)
「さらに上述の実施例においては、フォトディテクタのチップ10に限らず、種々の検出素子をその信号処理回路と共に集積回化(当審注:正しくは「集積回路化」)する場合について述べたが、本考案はフォトディテクタのチップ10に限らず、種々の検出素子をその信号処理回路と共に集積回路化する場合に広く適用することができる。」(明細書14頁7?12行)

21 甲21について
甲21は,平成15年6月30日起案の拒絶理由通知書に対して,本件特許の出願人らが平成15年9月5日付けで提出した意見書であり,その2頁2?9行では,同日付の手続補正書による補正後の請求項1の発明の効果として,「前記受光素子と前記回路素子が第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、同一電位に固定されることで、いわゆるフローティングによる出力変動が抑制される。そして、両素子を直接接続するので微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなるので、耐雑音特性も良好になる。また、両素子を独立させることにより、受光素子の感度と応答性を高めることができる。また、素子固定部と受光素子と回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆うことにより、赤外線を利用する光リモコンに好適な構造とすることができる。」と述べている。

22 甲22について
甲22は,本件特許の出願人らが平成15年9月5日付けで提出した手続補正書であり,請求項1を
「【請求項1】
・受光素子と、
・前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子と、
・前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備える金属製の第1リードフレームと、
・前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製の第2リードフレームと、
を備えた光リモコン用受光モジュールであって、
・前記素子固定部における前記リード部の前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し、
・前記受光素子と前記回路素子は、同一導電型の半導体基板を備えるとともに、前記第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、それぞれの表側の電極を配線手段によって直接接続され、
・前記素子固定部と前記受光素子と前記回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆っている事を特徴とする光リモコン用受光モジュ-ル。」
に補正するとしている。

23 甲23について
甲23は,原々出願の優先日である平成3年3月7日に提出された先の出願(特願平3-41789号)の願書,並びに,願書に最初に添付した明細書,図面及び要約書であり,その図1には,本件特許発明の実施例として受光モジュールの平面図が示されており,段落【0007】には「【実施例】図1は本発明の実施例を示す樹脂モールド前の受光モジュールの平面図で、1は電源電位に接続されるフレームであり、幅の広い素子固定部11と、リード部12からなり、リード部12に平行に他のリードフレーム10が2本配置されている。2はそのフレーム1に載置された受光素子で、シリコンPINホトダイオードなどからなる。3はフレーム1に載置された増幅器を有する回路素子で、金属細線4などで受光素子2と増幅器の入力端子が直接に接続され、回路素子3の出力と他の電源端子は各々他のリードフレーム10に配線され接続されている。・・・・・」と記載されている。

24 甲24について
甲24は,平成14年5月16日に提出された本件特許に係る願書,並びに,願書に最初に添付した明細書,図面及び要約書である。

25 甲25について
甲25は,大阪地方裁判所平成21年3月5日判決(平成20年(ワ)第4056号損害賠償等請求事件)の判決文であり,要旨変更の判断基準について次の通り判示されている。
「(1)要旨変更の判断基準
『明細書の要旨』とは,旧特許法上その意義を定めた明文の規定がないものの,特許請求の範囲に記載された技術的事項を指すものと解すべきである。したがって,特許請求の範囲を増加し,減少し,変更することは,その本来的意味においては,いずれも明細書の要旨を変更するものということができる。しかし、『出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達前に,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において特許請求の範囲を増加し減少し又は変更する補正は,明細書の要旨を変更しないものとみなす。』と定めているから(旧特許法41条),当該補正が明細書の要旨を変更することになるか否かは、結局のところ、当該補正後の特許請求の範囲に記載された技術的事項が「願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内」か否かによって決せられることになる。そして,『願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項』とは,当業者によって,出願時の明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,このように導かれる技術的事項との関係において,当該補正が特許請求の範囲の記載に新たな技術的事項を導入するものであるときは,当該補正は,『願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において』するものということはできず,明細書の要旨を変更するものということになる。以下,このような見地から本件補正が当初明細書の特許請求の範囲に記載された技術的事項に新たな技術的事項を導入するものであるか否かを検討する。」(41頁21行?42頁15行)

26 甲26について
甲26は,知的財産高等裁判所平成20年7月30日判決(平成19年(行ケ)第10431号補正却下決定取消請求事件)の判決文であり,要旨変更の判断基準について次の通り判示されている。
「そして,本願の出順当時におけるパチンコに代表される遊技機の技術分野において,特別変動入賞装置と無関係な特別可変表示装置が遊技機に単体で存在することが自明であったとは認め難いから,このような遊技機(特別変動装置の作動との関係から切り離された「特別可変表示装置」が単体で存在する遊技機)を出願当初の明細書から把握することは自明のことではないというべきである。
そうすると,本件補正は,明細書の中に新たに遊技機に単体で存在する特別可変表示装置という技術的事項を導入するものであるから,明細書の要旨を変更するものといわなければならない。」(21頁7?15行)

27 甲27について
甲27は,原々出願に係る特許公報(特許第3177287号)である。

28 甲28について
甲28は,原々出願に係る公開特許公報(特開平5-72027号,平成5年3月23日公開)であって,「受光モジュール」に関して,次の事項が記載されている。

(甲28-ア)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源電位に接続されるフレ-ムと、そのフレ-ムに載置された受光素子と、前記フレ-ムに載置され前記受光素子に直接配線が施された増幅器を有する回路素子と、前記受光素子と前記回路素子を一体に覆う樹脂とを具備し、前記受光素子と前記回路素子はそれぞれ前記フレ-ムと接続される電極上に同一導電型の半導体基板を有する事を特徴とする受光モジュ-ル。
【請求項2】 前記回路素子の周辺が遮光性樹脂で覆われ、かつ前記受光素子と前記遮光性樹脂が透光性樹脂で覆われた事を特徴とする請求項1の受光モジュ-ル。
【請求項3】 素子固定部と透孔を有する舌片部とを有するフレ-ムと、その素子固定部に載置された回路素子と受光素子と、その回路素子と受光素子と前記素子固定部を覆う樹脂とを具備し、前記舌片部は前記透孔が前記受光素子の位置に対応するようにして前記樹脂の表面を覆ってなる事を特徴とする受光モジュ-ル。」

(甲28-イ)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光リモコンなどに好適な受光モジュ-ルに関する。」

(甲28-ウ)
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかして上述の受光モジュ-ルでは、受光素子と回路素子との配線が複雑なため両者間で雑音を拾い易い。またプリント基板を用いるため占有体積が大きいという欠点が有る。そこで一つの半導体基板上に受光素子と回路素子を集積することが試みられるが、実用に至っていない。何故ならば受光素子の出力が低く、応答速度が遅く、あるいは回路素子に光が当ることにより誤動作を生じ易いからである。故に本発明は上述の欠点を鑑みてなされたものであり、すなわち雑音を拾いにくく、小型の、応答速度の早い、誤動作を生じにくい受光モジュ-ルを提供するものである。」

(甲28-エ)
「【0006】
【作用】上述の様に、同一導電型の半導体基板を有する受光素子と回路素子を同一フレ-ム上に載置することにより、微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなる。故に雑音の影響を受けにくくなる。また受光素子も単独に製作するので最適の比抵抗を選択する事により、受光素子の出力を高めて応答速度を早くできる。さらに回路素子を遮光性樹脂又は舌片部で覆う事により、誤動作を防止する。
【0007】
【実施例】以下に本発明の第1実施例を図1、図2、図3に従って説明する。図1は本実施例に係る受光モジュ-ルの平面断面図、図2は図1のAA断面図である。これらの図に於て、フレ-ム1は金属性の板からなり、幅の広い素子固定部11とリ-ド部12を有している。リ-ド部12に略平行に他のリ-ドフレ-ム13、14が2本配置されている。」

(甲28-オ)
「【0008】受光素子2は例えばシリコンPINホトダイオ-ドからなり、フレ-ム1の素子固定部11に導電性接着剤を介して固着されている。受光素子2は電極21、半導体基板(P層)22、I層23、空乏層24、拡散層(N層)25、他の電極26から構成されている。I層23はシリコンに濃度10^(14)cm^(-3)程度の燐等のP型不純物を添加されたものである。半導体基板22は、このI層23の下部に選択拡散され、濃度10^(19)?10^(20)cm^(-3)の燐等のP型不純物が添加されている。拡散層(n層)25はI層23の上部に部分的に選択拡散され、濃度10^(19)?10^(20)cm^(-3)のボロン等のN型不純物が添加されている。空乏層24はN層25の表面からI層23の内部に部分的に延びて形成されたもので、キャリア濃度が非常に少ない領域である。
【0009】回路素子3は素子固定部11上に導電性接着剤を介して固着されている。(略)」

(甲28-カ)
「【0010】金属細線41、42、43、44は金等からなり、それぞれ受光素子2の他の電極26と回路素子3の他の電極311との間、素子固定部11と他の電極313との間、他のリ-ドフレ-ム13と他の電極312との間、他のリ-ドフレ-ム14と他の電極314との間に接続されている。そして好ましくは、この回路素子3の周辺をカ-ボン入りシリコ-ン等の遮光性樹脂5が覆う様に設けられている。
【0011】(略)リ-ド部12は電源電位、すなわち接地電位に接続されている。この様にして電気信号を変調された赤外光を受けとった受光素子2からの信号は回路素子3を経て、他のリ-ドフレ-ム13に出力信号Vssを与える。
【0012】(略)
【0013】回路素子3aは概ね第1実施例で示した回路素子3のP層とN層を逆転させたものであり、半導体基板302aはN型である。但しトランジスタ321は第1実施例と同じNPN型を用いる。受光素子2aのカソ-ド側(電極21)はフレ-ム1を介してカソ-ド共通タイプとしてプラス電位に接続され、アノ-ド側(他の電極26)は回路素子3aの入力に接続されている。リ-ド部12に印加される電源電位Vccは回路素子3a内の各回路にその電位を与える。他のリ-ドフレ-ム14は接地電位に接続されている。この様にして変調された赤外光は受光素子2aを経て、回路素子3aにより、他のリ-ドフレ-ム13に出力信号Vssを与える。」

(甲28-キ)
「【0018】
【発明の効果】本発明は上述のように、同一導電型の半導体基板を有する受光素子と回路素子をそれぞれ電極を介して同一フレ-ムに載置する。故に受光素子と回路素子の電位が一定電位に固定されることで、いわゆるフロ-ティングによる出力変動がない。そして、両素子を直接接続するので微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなる。故に耐雑音特性が良好となる。更に受光素子を回路素子と独立して設けるので、受光素子のI層の不純物濃度を小さくすることにより、I層の比抵抗が大きくなる。故に空乏層の厚みが大きくなり、光吸収効率が高くなるので受光素子の感度が高くなり、応答速度も早くなる。本発明はまた、プリント基板を用いないでフレ-ムに直接素子を載置するのでモジュ-ルが小型となる。
【0019】本発明はさらに、舌片部によって樹脂を覆うことでシ-ルド効果を簡単にかつ確実に得ることができる。その場合、透孔によって受光素子には光が導かれるが同じ平面内にある回路素子はフレ-ムにより光が遮られるので、回路素子が光エネルギ-によって誤動作することはない。また本発明は回路素子の周辺を遮光性樹脂で覆う事により、光が遮ぎられるので、回路素子が光エネルギ-によって誤動作しない。そして受光素子を透光性樹脂で覆うので、受光素子には適正な光が導かれる。」

29 甲30について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲30には,「LCD表示装置の構造」に関して,次の事項が記載されている。

(甲30-ア)
「2.実用新案登録請求の範囲
1.LCD表示装置のLCD表示板後部にシリコンPINホトダイオードからなる赤外線リモコンセンサーを配置したことを特徴とするLCD表示装置の構造。」(明細書1頁4?8行)

(甲30-イ)
「〔従来の技術〕
従来この種のLCD表示装置においては、これらが装着されている機器の操作パネル内において、LCD表示板とシリコンPINホトダイオードからなる赤外線リモコンセンサー部とが並列に配置され、全体として操作パネルが大きくなり,かなりのスペースを占有する形で構成されている。」(明細書1頁16行?2頁3行)

(甲30-ウ)
「第1図において、11は赤外線リモコンからの赤外線を受光するためのシリコンPINホトダイオードからなる赤外線リモコンセンサーであり、・・・・・」(明細書4頁8?11行)

(甲30-エ)
第1図には,シリコンPINホトダイオードからなる赤外線リモコンセンサー11を備えたLCD表示装置が示されている。

30 甲31について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲31には,次の事項が記載されている。

(甲31-ア)
「本発明は赤外線リモートコントロール装置等に代表される光通信機の受信装置に関するものである。」(1頁左下欄14?16行)

(甲31-イ)
「また、周波数応答特性を改善する手段として、フォトダイオードをPIN構造(P型I型N型接合)にし、フォトダイオードの接合容量23を下げる方法があるが、特に信号周波数fsが高いときや、フォトダイオードと他の回路素子を半導体集積回路の同一基板上に実現しようとする場合、PIN構造にできず、フォトダイオードの接合容量23が大きくなり、良好な受信ができないことがあった。」(2頁左上欄18行?同頁右上欄6行)

31 甲32について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲32には,「光受信装置」に関して,次の事項が記載されている。

(甲32-ア)
「最近、TVやVTR等の操作に赤外線信号を送受信するリモートコントロールシステムが多くなってきた。・・・・・パルス変調された微弱な赤外線15をPINホトダイオード11の接合部に当てると、光電変換により電源端Tcから光電源が増幅器ICl4に入力し、出力端Toに増幅信号を出力する。」(1頁右下欄4?12行)

(甲32-ウ)
「上述した従来の光受信装置は、PINホトダイオードのインピーダンスが高く、さらにIC増幅器の増幅利得が大きいため、ノイズによる誤動作対策として静電シールドをするためにアルミケースに入れて組立てているので光受信装置の寸法が大きくなり、携帯が不便であるという問題があった。」(1頁右下欄20行?2頁左上欄6行)

(甲32-エ)
第2図には、PINホトダイオード11を備えた光受信装置の回路図が示されている。

32 甲33について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲33には,次の事項が記載されている。

(甲33-ア)
「・・・・・テレビ,エアコン,ステレオなどで多機能光リモコンシステムが種々用いられている。・・・・・受信部はpinフォトダイオードで光を電気に変換し、・・・・・」(304頁右欄20?27行)

33 甲34について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲34には,次の事項が記載されている。

(甲34-ア)
43頁の表2.4には,PINフォトダイオードが,その特徴として高速応答性を有し,主な用途として光リモコンに用いられることが記載されている。

34 甲35について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲35には,次の事項が記載されている。

(甲35-ア)
「数量的にはシリコンのpinフォトダイオードを用いたリモコン用やCD、VD用センサなどの家電用が今後も年約30%近い伸びで増加し,フォトダイオードの大半を占めていこう.・・・・・」(56頁右欄27?30行)

35 甲36について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲36には,次の事項が記載されている。

(甲36-ア)
「4bは本発明により17本目のパターン(ポスト)として導体パターン4aの隣りに形成したフローテイング状態の導体パターンである。このパターンは導体パターン4a等と共に形成されるが、後に切断線7でカツトされてフローテイング状態となり」(2頁4欄26?31行)

36 甲37について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲37には,次の事項が記載されている。

(甲37-ア)
「第1の電極及び第2の電極は接地電位に対してフローテイング状態で使用される」(1頁1欄23?24行)

37 甲38について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲38には,次の事項が記載されている。

(甲38-ア)
「アースより上記回路構成全体をフローテイングするように構成した」(明細書1頁20行?2頁2行)

38 甲39について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲39には,次の事項が記載されている。

(甲39-ア)
「第1図において1はPIN-PDもしくわAPD等の受光素子、・・・・・」(2頁左上欄3?4行)

(甲39-イ)
第1図には,逆方向バイアスで使用する構成が開示されている。

39 甲40について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲40には,「光受信回路」に関して,次の事項が記載されている。

(甲40-ア)
「従来の光受信回路の一例を第1図に示し説明すると、この第1図に示す回路は光受信部と増幅部から構成され、その光受信部のホトインジエクシヨンダイオード(以下、PINダイオードと呼称する)のパルス応答特性をよくするため、PINダイオードに逆バイアス電圧を印加し、増幅部との結合はPINダイオードにかなりの電圧(5?15V位)が印加できるようにコンデンサC1を介して交流結合している。」(1頁右下欄4?12行)

(甲40-イ)
第1図には、PINダイオードを逆方向バイアスで使用する構成が開示されている。

40 甲41について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲41には,「光受信回路」に関して次の事項が記載されている。

(甲41-ア)
「第2図は本発明の実施例のブロック図であり、11は受光素子としてのPINフォトダイオード、・・・・・」(2頁左下欄16?17行)

(甲41-イ)
第2図には,PINフォトダイオード11を逆方向バイアスで使用する構成が開示されている。

41 甲42について
原々出願の優先日(平成3年3月7日)前に頒布された刊行物である甲42には,「光-電気変換回路」に関して,次の事項が記載されている。

(甲42-ア)
「第1図において、フォトダイオード(PINフォトダイオード)PDと入力抵抗(100kΩ)R1とが直列に接続され、・・・・・」(明細書4頁16?18行)

(甲42-イ)
第1図には,PINフォトダイオードPDを逆方向バイアスで使用する構成が記載されている。

42 甲43について
甲43は,原々出願における平成12年7月24日付手続補正書であって,その段落【0017】には「・・・・・リードフレーム13の前方に回路素子3を配置し、回路素子3の前方に受光素子2を配置し、受光素子2、配線41、回路素子3、配線43、リードフレーム13を直線的に配列しているので、微弱信号が出力される配線41を、大きな信号が出力される配線43、リードフレーム13と離間して配置することができる。その結果、配線41に配線43やリードフレーム13などの出力が与える影響を最小限に抑制することができ、受光モジュールの動作の安定化を図ることができる。」,また,段落【0025】には「また本発明は回路素子の周辺を遮光性樹脂で覆う事により、光が遮ぎられるので、回路素子が光エネルギ-によって誤動作しない。そして受光素子を透光性樹脂で覆うので、受光素子には適正な光が導かれる。」と記載されている。

第6 当審の判断
1 分割要件について
原出願が原々出願との関係において,特許法44条1項に規定する要件を満たしているかどうかについて,すなわち,原々出願の願書に添付した明細書又は図面(甲28参照)に原出願に係る特許発明が記載されているかどうかについて検討する。

(甲28-ア)?(甲28-キ)によれば,原々出願の願書に添付した明細書には,「リード部」について,以下の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】 電源電位に接続されるフレ-ムと、そのフレ-ムに載置された受光素子と、前記フレ-ムに載置され前記受光素子に直接配線が施された増幅器を有する回路素子と、前記受光素子と前記回路素子を一体に覆う樹脂とを具備し、前記受光素子と前記回路素子はそれぞれ前記フレ-ムと接続される電極上に同一導電型の半導体基板を有する事を特徴とする受光モジュ-ル。
【請求項2】 前記回路素子の周辺が遮光性樹脂で覆われ、かつ前記受光素子と前記遮光性樹脂が透光性樹脂で覆われた事を特徴とする請求項1の受光モジュ-ル。
【請求項3】 素子固定部と透孔を有する舌片部とを有するフレ-ムと、その素子固定部に載置された回路素子と受光素子と、その回路素子と受光素子と前記素子固定部を覆う樹脂とを具備し、前記舌片部は前記透孔が前記受光素子の位置に対応するようにして前記樹脂の表面を覆ってなる事を特徴とする受光モジュ-ル。」

イ 「【0006】
【作用】上述の様に、同一導電型の半導体基板を有する受光素子と回路素子を同一フレ-ム上に載置することにより、微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなる。故に雑音の影響を受けにくくなる。また受光素子も単独に製作するので最適の比抵抗を選択する事により、受光素子の出力を高めて応答速度を早くできる。さらに回路素子を遮光性樹脂又は舌片部で覆う事により、誤動作を防止する。
【0007】
【実施例】以下に本発明の第1実施例を図1、図2、図3に従って説明する。図1は本実施例に係る受光モジュ-ルの平面断面図、図2は図1のAA断面図である。これらの図に於て、フレ-ム1は金属性の板からなり、複数のリードフレームからなる。リードフレームの1つは、幅の広い素子固定部11とリ-ド部12を有している。リ-ド部12に略平行に他のリ-ドフレ-ム13、14が2本配置されている。」

ウ 「【0008】受光素子2は例えばシリコンPINホトダイオ-ドからなり、フレ-ム1の素子固定部11に導電性接着剤を介して固着されている。(略)
【0009】回路素子3は素子固定部11上に導電性接着剤を介して固着されている。(略)
【0010】金属細線41、42、43、44は金等からなり、それぞれ受光素子2の他の電極26と回路素子3の他の電極311との間、素子固定部11と他の電極313との間、他のリ-ドフレ-ム13と他の電極312との間、他のリ-ドフレ-ム14と他の電極314との間に接続されている。そして好ましくは、この回路素子3の周辺をカ-ボン入りシリコ-ン等の遮光性樹脂5が覆う様に設けられている。
【0011】(略)リ-ド部12は電源電位、すなわち接地電位に接続されている。この様にして電気信号を変調された赤外光を受けとった受光素子2からの信号は回路素子3を経て、他のリ-ドフレ-ム13に出力信号Vssを与える。」

エ 上記記載事項ア?ウおよび技術常識を考慮すれば,図1および図2には,「リードフレーム13の前方に回路素子3を配置し,回路素子3の前方に受光素子2を配置し,受光素子2,配線41,回路素子3,配線43,リードフレーム13を直線的に配列する」ことが記載されているといえる。

オ 甲43によれば,原々出願の願書に添付した明細書は,原出願の特許出願前である平成12年7月24日に提出した付手続補正書により全文が補正され,その段落【0017】に「・・・・・リードフレーム13の前方に回路素子3を配置し、回路素子3の前方に受光素子2を配置し、受光素子2、配線41、回路素子3、配線43、リードフレーム13を直線的に配列しているので、微弱信号が出力される配線41を、大きな信号が出力される配線43、リードフレーム13と離間して配置することができる。その結果、配線41に配線43やリードフレーム13などの出力が与える影響を最小限に抑制することができ、受光モジュールの動作の安定化を図ることができる。」と記載されている。

そこで,原出願に係る特許発明(特許第3696094号公報参照)の特定事項の内,「前記素子固定部におけるリード部の前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ固着し」に注目すると,上記アおよびイの記載ならびに図1からみて,原出願に係る特許発明の「第2リードフレーム」である「リードフレーム13」と「回路素子」および「受光素子」との関係については記載されているといえるものの,原出願に係る特許発明の「リード部」である「リード部12」と「回路素子」および「受光素子」についての前記特定事項は,図1および2を参照しても原々出願の願書に添付した明細書又は図面に記載されている,あるいは示唆されているといえず,また,当業者において自明な事項ともいえない。
そうすると,原出願に係る特許発明の「リード部」,「回路素子」および「受光素子」についての前記特定事項は,原々出願の願書に添付した明細書又は図面に独立した技術的事項として把握できるように記載されていたとはいえず,原出願は,特許法44条1項に規定する要件を満たしておらず,適法な分割出願と認められないから,原出願に係る特許の出願日は,原々出願の出願日に遡及せず,平成13年1月18日である。

してみると,本件特許の出願日も原々出願の出願日に遡及せず,平成13年1月18日であるから,原々出願に係る公開特許公報である特開平5-72027号公報(甲28,平成5年3月23日公開)は,本件特許の出願日前に頒布された刊行物となる。

2 甲28に記載された発明について
甲28の発明の詳細な説明には直接の記載はないものの,前述のように,上記記載事項(甲28-ア)?(甲28-キ)を参照すれば,甲28の図1には,「素子固定部11におけるリードフレーム13の前方に前記回路素子3を,更に回路素子3の前方に受光素子2をそれぞれ固着」することが記載されているといえる。
そうすると,上記記載事項(甲28-ア)?(甲28-キ)および甲28の図1,2を総合すると,甲28には,以下の発明が記載されていると認められる。
「・PINホトダイオードからなる受光素子2と,
・前記受光素子2とは独立して設けられ、前記受光素子2と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子3と,
・前記受光素子2と前記回路素子3の両方を載置する素子固定部11とリード部12とを備えるとともに一定電位に接続される金属製のフレーム1と,
・前記リード部12に並んで配置され,前記回路素子3の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製のリードフレーム13と,
を備えた光リモコン用受光モジュールであって,
・前記素子固定部11における前記リードフレーム13の前方に前記回路素子3を,更に前記回路素子3の前方に前記受光素子2をそれぞれ配置し,
・前記受光素子2と前記回路素子3は,同一導電型の半導体基板を備えるとともに,前記リードフレーム13に導電性接着剤を介して共通に接続され,それぞれの表側の電極を,前記受光素子2の出力用の表側の電極が前記回路素子の入力側の表側の電極311に接続されるように,配線手段41によって直接接続され,
・前記素子固定部11と前記受光素子2と前記回路素子3を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆っている光リモコン用受光モジュール。」(以下「甲28発明」という)

3 対比
本件発明と 甲28発明 とを対比すると,その構造・機能からみて,甲28発明の「フレーム1」および「リードフレーム13」は,それぞれ,本件発明の「第1リードフレーム」および「第2リードフレーム」に相当することは明らかである。

そうすると,両者は,
(一致点)
「・PINホトダイオードからなる受光素子と,
・前記受光素子とは独立して設けられ、前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子と,
・前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備えるとともに一定電位に接続される金属製のフレームと,
・前記リード部に並んで配置され,前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製のリードフレームと,
を備えた光リモコン用受光モジュールであって,
・前記素子固定部における前記リードフレームの前方に前記回路素子を,更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し,
・前記受光素子と前記回路素子は,同一導電型の半導体基板を備えるとともに,前記リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され,それぞれの表側の電極を,前記受光素子の出力用の表側の電極が前記回路素子の入力側の表側の電極に接続されるように,配線手段によって直接接続され,
・前記素子固定部と前記受光素子と前記回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆っている光リモコン用受光モジュール。」
の点で一致し,以下の点で相違する。

(相違点)
「受光素子」について,本件発明では「リード部の前方に回路素子を固着し,更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ固着し」てあるのに対し,甲28発明ではそのような構成ではない点。

4 相違点についての判断
上記記載事項(甲2-イ)および甲2の第7図を総合すると,甲2には,従来技術として,「受信用集積回路素子123が,外部接続用リード107cの前方の受信用集積回路素子設置面上に固着され,更に受光ダイオード121が,受信用集積回路素子123の前方の受光ダイオード設置面上に固着された光伝送装置」が記載されているといえる。そして,該「光伝送装置」においては,「受信用集積回路素子設置面」は,「受光ダイオード設置面」と一体ではないものの,本件発明の「回路素子」に相当する「受信用集積回路素子123」が固着されているのであるから,本件発明の「素子固定部」に対応し,その結果,上記「外部接続用リード107c」は,本件発明の「リード部」に対応するといえる。
してみると,甲28発明において,上記「光伝送装置」における「外部接続用リード107c」,「受信用集積回路素子123」および「受光ダイオード121」の配置関係を適用して,相違点における本件発明の構成とすることは,当業者にとって何ら困難性はなく,容易に想到し得る事項であるというべきである。

そして,相違点による本件発明の効果も,甲28および甲2の記載から予測し得る範囲のものであって,格別顕著なものとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり,本件発明は,甲28および甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件発明に係る特許は,特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり,同法第123条1項2号に該当し,無効とすべきものである。
審判に関する費用については,特許法169条2項において準用する民事訴訟法61条の規定により,審判費用は被請求人の負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光リモコン用受光モジュール
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】・PINホトダイオードからなる受光素子と、
・前記受光素子とは独立して設けられ、前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子と、
・前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備えるとともに一定電位に接続される金属製の第1リードフレームと、
・前記リード部に並んで配置され、前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製の第2リードフレームと、
を備えた光リモコン用受光モジュールであって、
・前記素子固定部における前記リード部及び前記第2リードフレームの前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し、
・前記受光素子と前記回路素子は、同一導電型の半導体基板を備えるとともに、前記第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、それぞれの表側の電極を、前記受光素子の出力用の表側の電極が前記回路素子の入力側の表側の電極に接続されるように、配線手段によって直接接続され、
・前記素子固定部と前記受光素子と前記回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆っている事を特徴とする光リモコン用受光モジュ-ル。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は光リモコン用受光モジュ-ルに関する。
【従来の技術】近年、オ-ディオ装置、空調機器、テレビジョン受信器など多くの室内機器においては、赤外光が雑音に強くまた比較的多くの情報量を短時間に伝達できるので、発光ダイオ-ドと受光素子を利用した光リモコンが使用されている。その光リモコンに用いる受光モジュ-ルは例えば実開平1-102834号公報に示されるように、受光素子と回路素子をプリント基板上に載置し、シ-ルドケ-スに収納してこれを構成している。
【発明が解決しようとする課題】しかして上述の受光モジュ-ルでは、受光素子と回路素子との配線が複雑なため両者間で雑音を拾い易い。またプリント基板を用いるため占有体積が大きいという欠点が有る。そこで一つの半導体基板上に受光素子と回路素子を集積する事が試みられるが、実用に至っていない。何故ならば受光素子の出力が低く、応答速度が遅く、あるいは回路素子に光が当る事により誤動作を生じ易いからである。故に本発明は上述の欠点を鑑みてなされたものであり、すなわち雑音を拾いにくい受光モジュ-ルを提供するものである。また、小型の受光モジュ-ルを提供するものである。また、応答速度の早い受光モジュ-ルを提供するものである。また、誤動作を生じにくい受光モジュ-ルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】本発明の受光モジュールは請求項1に記載のように、
・PINホトダイオードからなる受光素子と、
・前記受光素子とは独立して設けられ、前記受光素子と接続されるとともに増幅器を内蔵した回路素子と、
・前記受光素子と前記回路素子の両方を載置する素子固定部とリード部とを備えるとともに一定電位に接続される金属製の第1リードフレームと、
・前記リード部に並んで配置され、前記回路素子の出力電極と配線を介して接続された信号出力用の金属製の第2リードフレームと、を備えた光リモコン用受光モジュールであって、
・前記素子固定部における前記リード部及び前記第2リードフレームの前方に前記回路素子を、更に前記回路素子の前方に前記受光素子をそれぞれ配置し、
・前記受光素子と前記回路素子は、同一導電型の半導体基板を備えるとともに、前記第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、それぞれの表側の電極を、前記受光素子の出力用の表側の電極が前記回路素子の入力側の表側の電極に接続されるように、配線手段によって直接接続され、
・前記素子固定部と前記受光素子と前記回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆っている事を特徴とする。この様に請求項1記載の発明によれば、前記受光素子と前記回路素子が第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、同一電位に固定されることで、いわゆるフローティングによる出力変動が抑制される。そして、両素子を直接接続するので微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなるので、耐雑音特性も良好になる。また、両素子を独立させることにより、受光素子の感度と応答性を高めることができる。また、素子固定部と受光素子と回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆うことにより、赤外線を利用する光リモコンに好適な構造とすることができる。
【発明の実施の形態】以下に本発明の第1実施形態を図1、図2、図3に従って説明する。図1は本実施形態に係る受光モジュ-ルの平面断面図、図2は図1のAA断面図である。これらの図に於て、フレ-ム1は金属製の板からなり、複数のリードフレームからなる。リードフレームの1つ(第1リードフレーム)は、幅の広い素子固定部11とリ-ド部12を有している。リ-ド部12に略平行に他のリ-ドフレ-ム13(第2リードフレーム)、14が2本配置されている。受光素子2は例えばシリコンPINホトダイオ-ドからなり、フレ-ム1の素子固定部11に導電性接着剤を介して固着されている。受光素子2は電極21、半導体基板(P層)22、I層23、空乏層24、拡散層(N層)25、他の電極26から構成されている。I層23はシリコンに濃度10^(14)cm^(-3)程度のP型不純物を添加されたものである。半導体基板22は、このI層23の下部に選択拡散され、濃度10^(19)?10^(20)cm^(-3)のP型不純物が添加されている。拡散層(n層)25はI層23の上部に部分的に選択拡散され、濃度10^(19)?10^(20)cm^(-3)のN型不純物が添加されている。空乏層24はN層25の表面からI層23の内部に部分的に延びて形成されたもので、キャリア濃度が非常に少ない領域である。回路素子3は素子固定部11上に導電性接着剤を介して固着されている。回路素子3は断面図で示す様に、電極301、半導体基板(P層)302、N+(埋込層)303、N層304、N+層305と306、P層307、SiO2層308、導電層309、導電層310、他の電極311、312、313、314から構成されている。この様に受光素子2と回路素子3はそれぞれフレ-ム1と接続される電極21と301上に同一導電型(P型)の半導体基板22と302を有している。金属細線41、42、43、44は金等からなる配線手段で、それぞれ受光素子2の他の電極26と回路素子3の他の電極311との間、素子固定部11と他の電極313との間、他のリ-ドフレ-ム13と他の電極312との間、他のリ-ドフレ-ム14と他の電極314との間に接続されている。そして好ましくは、この回路素子3の周辺をカ-ボン入りシリコ-ン等の遮光性樹脂5が覆う様に設けられている。フレ-ム1の素子固定部11と受光素子2と回路素子3又は遮光性樹脂5は、エポキシ樹脂等からなりかつ受光素子2の必要な波長の光(概ね赤外光)に対して透光性を有しかつ他の波長の光(特に可視光)に対して遮光性を有する黒色の樹脂6で一体に覆われている。次にこの受光モジュ-ルの動作を図3のブロック図に従い説明する。この図に於て回路素子3は、例えばABLC315と増幅器316とリミッタ317とフィルタ318と検波回路319と波形整形回路320とトランジスタ321と抵抗322の各回路からなる。受光素子2のアノ-ド側(電極21)はフレ-ム1を介してアノ-ド共通タイプとして接地電位に接続され、カソ-ド側(他の電極26)は回路素子3の入力に接続されている。ABLC315はオ-トバイアスロジックレベルコントロ-ルであり、受光素子2に一定の逆バイアス電位を与える。他のリ-ドフレ-ム14に印加される電位Vccは回路素子3内の各回路に電圧を与える。リ-ド部12は電源電位、すなわち接地電位に接続されている。この様にして電気信号を変調された赤外光を受けとった受光素子2からの信号は回路素子3を経て、他のリ-ドフレ-ム13に出力信号Vssを与える。ここで、図1、図2に示すように、前記素子固定部11は、前記リード部12よりも幅が広く前記受光素子2と前記回路素子3を配置するに十分な面積を有している。そして、受光素子2と回路素子3はそれぞれの裏側の電極がリードフレームの素子固定部11の上面に導電性接着剤を介して共通に接続され、前記リードフレームのリード部12が電源電位(接地電位)に接続されているので、リードフレームがシールド板として機能し、受光素子2や回路素子3に侵入する雑音を低減する事ができる。また、リードフレーム13の前方に回路素子3を配置し、回路素子3の前方に受光素子2を配置し、受光素子2、配線41、回路素子3、配線43、リードフレーム13を直線的に配列しているので、微弱信号が出力される配線41を、大きな信号が出力される配線43、リードフレーム13と離間して配置する事ができる。その結果、配線41に配線43やリードフレーム13などの出力が与える影響を最小限に抑制する事ができ、受光モジュールの動作の安定化を図る事ができる。次に、カソ-ド共通タイプとして、本発明の第2実施形態を図4に従って説明する。図4は本実施形態に係る受光モジュ-ルのブロック図である。図4で示した番号の内、図1ないし図3と同じ番号は同じ部品である事を示す。受光素子2aは第1実施形態で示した受光素子2のP層とN層を逆転させたものである。すなわちI層23aはシリコンにN型不純物を添加され、半導体基板22aはN型不純物が添加され、拡散層(P層)25aはP型不純物が添加されたものである。回路素子3aは概ね第1実施形態で示した回路素子3のP層とN層を逆転させたものであり、半導体基板302aはN型である。但しトランジスタ321は第1実施形態と同じNPN型を用いる。受光素子2aのカソ-ド側(電極21)はフレ-ム1を介してカソ-ド共通タイプとしてプラス電位に接続され、アノ-ド側(他の電極26)は回路素子3aの入力に接続されている。リ-ド部12に印加される電源電位Vccは回路素子3a内の各回路にその電位を与える。他のリ-ドフレ-ム14は接地電位に接続されている。この様にして変調された赤外光は受光素子2aを経て、回路素子3aにより、他のリ-ドフレ-ム13に出力信号Vssを与える。このカソ-ド共通タイプの実施形態もアノード共通タイプの実施形態と同様の作用効果を奏する事ができる。さらに本実施形態の受光モジュ-ルに用いた受光素子2aの光吸収効率特性を図5に従い説明する。この図に於て横軸は空乏層24aの厚さ(μm)であり、縦軸は光吸収効率(%)、すなわち発生フォトン数を入射フォトン数で割ったものの百分率である。この中で特性B、C、D、E、Fは受光素子2aが受ける光の波長であり、それぞれ700、780、900、940、1000nmである。赤外光(930?950nm)を効率よく(90%以上)受けるには空乏層の厚さが110μm以上必要な事が判かる。従来の様に半導体基板上に受光素子を一体化して製造すると、その受光素子内のI層はエピタキシャル法で製造されるため、I層の不純物濃度は十分小さくならない。(10^(16)cm^(-3)程度)故にI層の比抵抗が小さいので空乏層の厚さを厚くする事ができない。これに対して本実施形態では、受光素子2aは回路素子3aと独立して製造されるので、受光素子2aのI層23aの不純物濃度を10^(14)cm^(-3)程度と小さく設定する事ができる。故にI層23aの比抵抗が(500?3000Ωcmと)大きくなるので、空乏層の厚さは例えば110μm以上と厚く製造する事ができる。従って赤外光を効率よく(90%以上)受光する事ができ、受光素子2aの感度が高くなり、応答速度が早くなる。次にシ-ルドケ-スを用いた本発明の第3実施形態を図6に従って説明する。以下の説明に於て第1実施形態又は第2実施形態と同じ番号のものは同じ物である事を示す。図6は、本実施形態に係る受光モジュ-ルの斜視図であり、図1のフレ-ムの素子固定部11の延長上にコ字状の舌片部を設けこれを折り曲げたものである。すなわちフレ-ム71の先端に設けた舌片部72に透孔73を設け、その透孔73が受光素子2又は2aの位置に対応するように、そして素子固定部と舌片部72の主表面が略平行になるように折り曲げ加工して舌片部72で樹脂60の表面を覆う。透孔73は受光素子2又は2aの光導入孔となり、受光素子2又は2aと回路素子3又は3aはフレ-ム71が少なくとも3面(上下の面と前側面)、図の例では5面で(上下の面と左右の側面と前側面)あるが、舌片部を箱型に加工しておけば6面(上下の面と左右の側面と前後の側面)を覆う事ができる。またフレ-ムの薄い場合や、折り曲げをしてもフレ-ムが少し元に戻り樹脂60とフレ-ムの間隔が大きくなるような場合には、樹脂60の側面に小さな突起を設け、舌片部72の側面折曲部に孔もしくは爪を設け、これらを係止させればフレ-ムは所定の箱状に形成できる。このように、受光素子2と回路素子3を共通に配置したフレームの一部を折り曲げてシールド用の舌片部72を形成したので、この舌片部72も受光素子2及び回路素子3の下面を覆うフレームと同電位に保つ事ができ、受光素子2及び回路素子3の周囲を広範囲にシールドする事ができる。なおシ-ルドを設ける他の方法としては、フレ-ムの上に素子が載置されこのフレ-ムが所定電位に接続される事を利用して、このフレ-ムの一部を樹脂から突出させ、樹脂全体を導電性熱収縮チュ-ブで覆い、そのチュ-ブが突出したフレ-ムと電気的に接触するように構成する事でも構成できる。なお以上の説明に於て、受光素子2、2aとしてPINホトダイオ-ドを例示したが、その他にホトトランジスタやホトダイオ-ドなどにも適用可能である。上述の実施形態によれば、同一導電型の半導体基板を有する受光素子と回路素子をそれぞれ電極を介して同一フレ-ムに載置する。故に受光素子と回路素子の電位が一定電位に固定される事で、いわゆるフロ-ティングによる出力変動がない。そして、両素子を直接接続するので微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなる。故に耐雑音特性が良好となる。更に受光素子を回路素子と独立して設けるので、受光素子のI層の不純物濃度を小さくする事により、I層の比抵抗が大きくなる。故に空乏層の厚みが大きくなり、光吸収効率が高くなるので受光素子の感度が高くなり、応答速度も早くなる。また、プリント基板を用いないでフレ-ムに直接素子を載置するのでモジュ-ルが小型となる。さらに、受光素子及び回路素子を配置したフレームと同電位の舌片部によって樹脂を覆う事でシ-ルド効果を簡単にかつ確実に得る事ができる。その場合、透孔によって受光素子には光が導かれるが同じ平面内にある回路素子はフレ-ムにより光が遮られるので、回路素子が光エネルギ-によって誤動作する事はない。また本発明は回路素子の周辺を遮光性樹脂で覆う事により、光が遮ぎられるので、回路素子が光エネルギ-によって誤動作しない。そして受光素子を透光性樹脂で覆うので、受光素子には適正な光が導かれる。以上のように上記実施形態によれば、耐雑音特性が良好な受光モジュールを提供する事ができる。また、受光素子の感度が高く、応答速度も早い受光モジュールを提供する事ができる。また、小型で誤動作が少ない受光モジュールを提供する事ができる。
【発明の効果】本発明によれば、前記受光素子と前記回路素子が第1リードフレームに導電性接着剤を介して共通に接続され、同一電位に固定されることで、いわゆるフローティングによる出力変動が抑制される。そして、両素子を直接接続するので微弱信号を扱う部分が十分近接し、関係する面積も小さくなるので、耐雑音特性も良好になる。また、両素子を独立させることにより、受光素子の感度と応答性を高めることができる。また、素子固定部と受光素子と回路素子を赤外光に対して透光性を有しかつ可視光に対して遮光性を有する樹脂で一体に覆うことにより、赤外線を利用する光リモコンに好適な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る受光モジュ-ルの平面断面図である。
【図2】図1のAA断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る受光モジュ-ルのブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る受光モジュ-ルのブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る受光モジュ-ルの光吸収効率特性図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る受光モジュ-ルの斜視図である。
【符号の説明】
1 フレ-ム
2、2a 受光素子
3、3a 回路素子
5 遮光性樹脂
6 樹脂
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2010-01-19 
結審通知日 2010-01-21 
審決日 2010-02-04 
出願番号 特願2002-141227(P2002-141227)
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平田 佳規居島 一仁安田 明央  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 郡山 順
竹中 靖典
登録日 2004-01-30 
登録番号 特許第3516342号(P3516342)
発明の名称 光リモコン用受光モジュ-ル  
代理人 深見 久郎  
代理人 松岡 伸晃  
代理人 堀井 昭暢  
代理人 岡田 春夫  
代理人 岡田 春夫  
代理人 中西 淳  
代理人 瓜生 嘉子  
代理人 増田 義行  
代理人 森田 俊雄  
代理人 森田 俊雄  
代理人 岩崎 浩平  
代理人 堀井 豊  
代理人 増田 義行  
代理人 鈴木 麻友  
代理人 堀井 豊  
代理人 日▲高▼ 麗衣  
代理人 深見 久郎  
代理人 山口 孝司  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
代理人 中西 淳  
代理人 瓜生 嘉子  
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