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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1215178 |
審判番号 | 不服2008-29517 |
総通号数 | 126 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-06-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-20 |
確定日 | 2010-04-15 |
事件の表示 | 特願2002-107981「抽選システム及び景品管理端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月21日出願公開、特開2003-299867〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第一.手続の経緯 本願は、平成14年4月10日の出願であって、拒絶理由通知に対応して平成20年9月10日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、同年11月20日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年12月12日に手続補正がなされたものである。 また、当審において、平成21年10月2日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行ったが、請求人からの回答書提出はなかった。 第二.平成20年12月12日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年12月12日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 本件補正により補正された補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)は次のとおりである。 「 処理手段と、会員が使用する会員側端末とを通信手段を介して接続し、上記処理手段は、会員特定情報と、その会員の既獲得ポイントを記憶するポイント記憶手段を有する一方、上記会員側端末からのアクセスがあったとき、ポイント記憶手段の情報から、その会員側端末から送信された上記会員特定情報に対応する既獲得ポイントを特定して、上記既獲得ポイントに応じた抽選参加資格の有無を判断し、抽選参加資格がないと判断したときには、抽選不可画面情報を表示させ、抽選参加資格が有ると判断したとき、上記会員側端末に抽選参加資格を得たことを知らせる機能と抽選に参加するための参加信号を受け付ける機能とを併せ持った抽選伺い画面を表示させるとともに、この抽選伺い画面を介して参加信号が入力されたとき、抽選を実行し、抽選結果を上記会員側端末へ表示させる機能を備えた抽選システム。」 (下線部は補正によって変更又は追加された箇所。) 2.補正要件(目的)の検討 請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「抽選伺い画面」について「抽選参加資格がないと判断したときには、抽選不可画面情報を表示させ」及び「機能と抽選に参加するための参加信号を受け付ける機能とを併せ持った」を新たに付加する補正である。 してみると、当該補正は、抽選伺い画面について限定を付加するものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。 したがって、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に該当する。 3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討 (1)引用刊行物記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平10-52564号公報(以下「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。 【0018】【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。先ず第1の実施形態を図1?図19を用いて説明する。図1は遊技店内の情報処理システムの構成を概略的に示す図である。図において、ネットワーク回線4には、島設備3…、玉計数装置5、景品交換装置6、景品抽選装置7、カード発行装置8および情報処理装置9が接続してあり、これらにより遊技店の情報処理システムが構築されている。 【0024】情報処理装置9は、カード発行装置8からの情報に基づいて、図3に示すような貯玉カードファイルFを作成する。この貯玉カードファイルFは、暗証番号、貯玉カードNo.(カード番号)、貯玉数(貯玉情報)、使用日付、住所・氏名、発行日、使用端末、および抽選記録の各欄から構成されている。なお、作成当初は、貯玉情報は「0」であり、使用日付、抽選記録は空欄となる。 【0057】次に、上記景品抽選装置7のCPU761によって行われる制御の手順を図10?図14を用いて詳細に説明する。・・・ 【0064】ステップS10では、入力された暗証番号と、カードCから読み込んだカード情報(カード番号、貯玉情報)とを情報処理装置9に送信し、次のステップS11に進む。このとき、情報処理装置9では、後述するように、暗証番号とカード情報とを受信し、貯玉カードファイルFから、受信したカード番号と同一のものを検索し、貯玉カードファイルFの当該カード番号に対応する暗証番号および貯玉情報が、受信した暗証番号および貯玉情報に一致するかどうかを判別し、一致したとき、カードCの確認(認証)が取れたとして「確認OK(カード正常)」情報を、当該貯玉カードファイルFの貯玉情報等とともに、景品抽選装置7に送信する。一致しないときは「確認不可(カード異常)」を景品抽選装置7に送信する。 【0065】ステップS11では、情報処理装置9から「確認OK」を受信したか否かを判別し、「確認OK」の受信であれば次のステップS21に進み、「確認不可」の受信であればステップS14に分岐する。なお、この「確認OK」「確認不可」を受信するまでは、表示装置72には、「確認中」(図7(C))の画面を表示する。そして、「確認OK」であれば、上記したように、抽選券発行・抽選確認の選択画面(図7(D))に切り替える。 【0066】ステップS14では、カードCに異常があるとしてカードCを排出し、ステップS5に戻って、次のカードCが挿入されるのを待機する。ステップS21では、抽選券発行・抽選確認の選択画面(図7(D))において、どちらが選択(タッチ入力)されたかの判別を行い、「抽選券発行」の選択であれば次のステップS22に進み、「抽選確認」の選択であればステップS28に分岐する。 【0067】ステップS22では、抽選券発行確認情報を情報処理装置9に送信し、次のステップS23に進む。情報処理装置9では、抽選券発行確認情報を受信すると、カードCに対応する貯玉カードファイルFの貯玉情報と抽選記録とに基づいて、抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉の有無を確認し、その確認結果を景品抽選装置7に送信する。 【0068】ステップS23では、情報処理装置9からの確認結果を判別し、「OK」であれば次のステップS24に進み、そうでなければステップS27に分岐する。 【0069】ステップS24では、抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉に関し、所定貯玉数毎に抽選番号を付与し、その抽選番号を刻印した抽選券T1の発行を抽選券発行装置74に指令し、次のステップS25に進む。これにより、ストッカー75にストックされている抽選券T1が抽選券発行口74aから発行される。 【0072】一方、ステップS27では、すでに抽選券発行サービスの提供を受けているため、抽選券が発行されない旨のメッセージを画面表示し、上記のステップS26に進む。これにより、抽選券を発行せずにカードCが遊技者に返却される。 【0073】また、ステップS28では、遊技者が「抽選確認」を選択しているので、抽選確認処理サブルーチン(図13)を実行し、この抽選確認処理の完了後はステップS5に戻り、次のカードCが挿入されるまで待機する。 【0074】図13は抽選確認処理サブルーチンを示すフローチャートである。この抽選確認処理サブルーチンは、遊技者が持っている抽選券の当否判定を行い、遊技者に知らせるためのものであり、先ずステップS31において、情報処理装置9から送信されてきた、情報処理装置9側で乱数を用いて決定した当選番号の受取処理を行い、次のステップS32に進む。 【0075】ステップS32では、遊技者が表示装置72の指示画面(図9(A))に従って抽選券読取口73aに挿入した抽選券T1の抽選番号を読み取る抽選券読取処理を行い、次のステップS33に進む。 【0076】ステップS33では、読み取った抽選番号と当選番号とを照合して、抽選番号が当選か否かの判定を行い、当選であればステップS34に、ハズレであればステップS38にそれぞれ進む。 【0077】ステップS34では、表示装置72の画面に図9(B)に示すような当たり表示を行い、ステップS38では、表示装置72の画面に図9(C)に示すようなハズレ表示を行い、その後次のステップS35にそれぞれ進む。 摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 なお、引用文献の記載では「貯玉数」と「貯玉情報」の語が混在しているので、以下では、統一して「貯玉数」を用いることとする。 「 情報処理装置9と、景品抽選装置7がネットワーク回線4に接続してあり、 上記情報処理装置9は、暗証番号、カード番号、貯玉数、使用日付、住所・氏名、発行日、使用端末、および抽選記録の各欄から構成されている貯玉カードファイルFを作成する一方、上記景品抽選装置7から暗証番号とカード番号、貯玉数とを受信し、 上記貯玉カードファイルFの当該カード番号に対応する暗証番号および貯玉数が、受信した暗証番号および貯玉数に一致するかどうかを判別し、一致したとき、抽選券発行・抽選確認の選択画面に切り替え、 該選択画面において抽選券発行がタッチ入力されれば、上記貯玉カードファイルFの貯玉数と抽選記録とに基づいて、抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉の有無を確認し、その確認結果を上記景品抽選装置7に送信し、「OK」でなければ上記景品抽選装置7は抽選券が発行されない旨のメッセージを画面表示し、「OK」であれば上記景品抽選装置7は所定貯玉数毎に抽選番号を付与し、その抽選番号を刻印した抽選券T1が抽選券発行口74aから発行され、 上記選択画面において抽選確認がタッチ入力されれば、上記景品抽選装置7は、遊技者が挿入した抽選券T1の抽選番号を読み取る抽選券読取処理を行い、読み取った抽選番号と当選番号とを照合して、抽選番号が当選か否かの判定を行い、当選であれば当たり表示を行い、ハズレであればハズレ表示を行う遊技店の情報処理システム。」 (2)引用発明と本願補正発明との対比 引用発明の「情報処理装置9」は、本願補正発明の「処理手段」に相当し、以下同様に、 「景品抽選装置7」は「会員が使用する会員側端末」に、 「暗証番号」、「カード番号」及び「住所・氏名」は「会員特定情報」に、 「貯玉数」は「その会員の既獲得ポイント」に、 「上記貯玉カードファイルFの貯玉数と抽選記録とに基づいて」は「上記既獲得ポイントに応じた」に、 「抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉の有無」は「抽選参加資格の有無」に、 「確認し」は「判断し」に、 「抽選確認がタッチ入力されれば」は「参加信号が入力されたとき」に、 「当選であれば当たり表示を行い、ハズレであればハズレ表示を行う」は「抽選結果を上記会員側端末へ表示させる」に、各々相当する。 さらに、引用文献の記載等からみて、以下のことが言える。 a.複数の装置がネットワーク回線に接続してあるということは、それらの装置を通信手段を介して接続してあるということにほかならないから、引用発明の「情報処理装置9と、景品抽選装置7がネットワーク回線4に接続してあり」は、本願補正発明の「処理手段と、会員が使用する会員側端末とを通信手段を介して接続し」に相当するといえる。 b.引用発明の「貯玉カードファイルF」は、本願補正発明の「会員特定情報」及び「その会員の既獲得ポイント」に相当する番号等や貯玉数の欄から構成され、「貯玉カードファイルFを作成する」ということは、それらの情報を記憶させることにほかならないから、引用発明の「情報処理装置9」は、本願補正発明の「会員特定情報と、その会員の既獲得ポイントを記憶するポイント記憶手段」に相当する構成を有するものといえる。 c.引用発明の「当該カード番号」は景品抽選装置7から受信したものであるから、景品抽選装置7から送信されたカード番号と言い換えることができ、本願補正発明の「会員側端末から送信された上記会員特定情報」に相当するものといえる。 そして、引用発明の「情報処理装置9」は、貯玉カードファイルFの当該カード番号に対応する暗証番号および貯玉数が、受信した暗証番号および貯玉数に一致するかどうかを判別し、一致したとき、その「貯玉数」等に基づいて抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉の有無を確認しているから、景品抽選装置7から送信されたカード番号に対応する貯玉数を特定しているということができる。 また、引用発明において「上記景品抽選装置7から暗証番号とカード番号、貯玉数とを受信」したとき、及び「抽選券発行・抽選確認の選択画面において抽選券発行がタッチ入力」されたときは、摘記した段落【0064】【0066】及び【0067】の記載等からみて、いずれも景品抽選装置7から情報処理装置9へのアクセスがあったときであるということができる。 よって、引用発明は、本願補正発明の「上記会員側端末からのアクセスがあったとき、ポイント記憶手段の情報から、その会員側端末から送信された上記会員特定情報に対応する既獲得ポイントを特定して、上記既獲得ポイントに応じた抽選参加資格の有無を判断し」に相当する機能を有しているといえる。 d.引用発明において、抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉の有無を確認した結果が「OK」でないということは、本願補正発明の「抽選参加資格がないと判断した」ということに相当し、引用発明において、情報処理装置9が「OK」でないという確認結果を景品抽選装置7に送信し、その景品抽選装置7が抽選券が発行されない旨のメッセージを画面表示することは、情報処理装置9が景品抽選装置7に抽選券が発行されない旨のメッセージを画面表示させていると言い換えることができるから、引用発明の「情報処理装置9」は、本願補正発明の「抽選参加資格がないと判断したときには、抽選不可画面情報を表示させ」に相当する機能を有しているといえる。 e.引用発明において、抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉の有無を確認した結果が「OK」であるということは、本願補正発明の「抽選参加資格が有ると判断した」ということに相当する。 また、引用発明において、景品抽選装置7が所定貯玉数毎に抽選番号を付与し、その抽選番号を刻印した抽選券T1が抽選券発行口74aから発行されるということと、本願補正発明において「会員側端末に抽選参加資格を得たことを知らせる機能と抽選に参加するための参加信号を受け付ける機能とを併せ持った抽選伺い画面を表示させる」ということとは、“会員側端末に抽選参加資格を得たことを知らせる機能を備える”点では共通している。 よって、引用発明と本願補正発明とは、“抽選参加資格が有ると判断したとき、上記会員側端末に抽選参加資格を得たことを知らせる機能を備える”点では共通しているといえる。 f.引用発明の「抽選券発行・抽選確認の選択画面において」と、本願補正発明の「抽選伺い画面を介して」は、“抽選選択画面を介して”という点では共通している。 また、引用発明において「遊技者が挿入した抽選券T1の抽選番号を読み取る抽選券読取処理を行い、読み取った抽選番号と当選番号とを照合して、抽選番号が当選か否かの判定を行」うことは、本願補正発明において「抽選を実行する」ことに相当するといえる。 よって、引用発明と本願補正発明とは、“抽選選択画面を介して参加信号が入力されたとき、抽選を実行し、抽選結果を上記会員側端末へ表示させる機能を備えた”点では共通しているといえる。 g.引用発明の「情報処理システム」は、本願補正発明と同様の抽選処理を行っているから、実質的には本願補正発明の「抽選システム」に相当するものといえる。 以上を総合すると、両者は、 「 処理手段と、会員が使用する会員側端末とを通信手段を介して接続し、上記処理手段は、会員特定情報と、その会員の既獲得ポイントを記憶するポイント記憶手段を有する一方、上記会員側端末からのアクセスがあったとき、ポイント記憶手段の情報から、その会員側端末から送信された上記会員特定情報に対応する既獲得ポイントを特定して、上記既獲得ポイントに応じた抽選参加資格の有無を判断し、抽選参加資格がないと判断したときには、抽選不可画面情報を表示させ、抽選参加資格が有ると判断したとき、上記会員側端末に抽選参加資格を得たことを知らせる機能を備え、抽選選択画面を介して参加信号が入力されたとき、抽選を実行し、抽選結果を上記会員側端末へ表示させる抽選システム。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1]“抽選選択画面”に関して、本願補正発明は「抽選参加資格が有ると判断したとき、上記会員側端末に抽選参加資格を得たことを知らせる機能と抽選に参加するための参加信号を受け付ける機能とを併せ持った抽選伺い画面を表示させる」のに対し、引用発明は、「カード番号に対応する暗証番号および貯玉数が、受信した暗証番号および貯玉数に一致するかどうかを判別し、一致したとき、抽選券発行・抽選確認の選択画面に切り替え」るものであって、本願補正発明の「抽選参加資格が有ると判断したとき」に相当する「抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉の有無を確認した結果が「OK」であるとき」においては、抽選番号を刻印した抽選券T1が抽選券発行口74aから発行される点。 [相違点2]本願補正発明は、「処理手段」が「抽選を実行し、抽選結果を上記会員側端末へ表示させる機能を備え」ているのに対し、引用発明は「景品抽選装置7」が、本願補正発明の「抽選を実行し、抽選結果を上記会員側端末へ表示させる」に相当する機能を備えている点。 (3)相違点の検討及び判断 [相違点1について] 抽選参加資格が有ると判断したとき、会員側端末に抽選参加資格を得たことを知らせる機能と抽選に参加するための参加信号を受け付ける機能とを併せ持った画面を表示させることは、例えば、特開2002-49818号公報(特に、段落【0023】、図5及び図6(a))、特開平11-328541号公報(特に、段落【0021】及び図5(B))及び特開平10-137428号公報(特に、段落【0040】及び図6)に示されるように、従来抽選システムの分野において周知の技術(以下「周知技術1」という。)であるから、引用発明の「抽選券発行サービスの提供を受ける権利を有する貯玉の有無を確認した結果が「OK」であるとき」において、景品抽選装置7に抽選参加資格を得たことを知らせる機能と抽選に参加するための参加信号を受け付ける機能とを併せ持った画面を表示させるようにして、上記相違点1に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得る。 [相違点2について] 上位の処理装置が抽選を実行し、抽選結果を下位の端末へ表示させることは、例えば、特開平11-169544号公報(特に、段落【0008】及び図5)及び特開平10-137428号公報(特に、段落【0042】、【0043】及び図6)に示されるように、従来抽選システムの分野において周知の技術(以下「周知技術2」という。)であるから、引用発明において、「景品抽選装置7」が「遊技者が挿入した抽選券T1の抽選番号を読み取る抽選券読取処理を行い、読み取った抽選番号と当選番号とを照合して、抽選番号が当選か否かの判定を行い、当選であれば当たり表示を行い、ハズレであればハズレ表示を行う」のに代えて、「情報処理装置9」が抽選を実行し、抽選結果を景品抽選装置7へ表示させるようにして、上記相違点2に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得る。 (4)まとめ 以上のように相違点1及び2は、いずれも当業者が容易に想到し得るものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術1、2に基いて当業者が予測できる範囲のものである。 よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.むすび したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第三.本願発明について 1.本願発明 平成20年12月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年9月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「 処理手段と、会員が使用する会員側端末とを通信手段を介して接続し、上記処理手段は、会員特定情報と、その会員の既獲得ポイントを記憶するポイント記憶手段を有する一方、上記会員側端末からのアクセスがあったとき、ポイント記憶手段の情報から、その会員側端末から送信された上記会員特定情報に対応する既獲得ポイントを特定し、上記既獲得ポイントに応じた抽選参加資格の有無を判断し、抽選参加資格が有ると判断したとき、上記会員側端末に抽選参加資格を得たことを知らせる抽選伺い画面を表示させ、この抽選伺い画面を介して参加信号が入力されたとき、抽選を実行し、抽選結果を上記会員側端末へ表示させる機能を備えた抽選システム。」 2.特許法第29条第2項の検討 (1)引用文献に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。 (2)引用発明と本願発明との対比及び判断 本願発明は、実質的には前記「第二」で検討した本願補正発明から「抽選伺い画面」の限定事項である、「抽選参加資格がないと判断したときには、抽選不可画面情報を表示させ」及び「機能と抽選に参加するための参加信号を受け付ける機能とを併せ持った」との構成を省いたものといえる。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.3.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第四.むすび 本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項(請求項2)について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-02-03 |
結審通知日 | 2010-02-09 |
審決日 | 2010-03-01 |
出願番号 | 特願2002-107981(P2002-107981) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 土屋 保光 |
特許庁審判長 |
小原 博生 |
特許庁審判官 |
川島 陵司 深田 高義 |
発明の名称 | 抽選システム及び景品管理端末装置 |
代理人 | 嶋 宣之 |