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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1217046
審判番号 不服2008-26420  
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-15 
確定日 2010-05-19 
事件の表示 特願2001-373968「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 6月17日出願公開、特開2003-169931〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯

本願は平成13年12月7日に出願されたものであって,平成20年9月8日付けで拒絶の査定がされたため,これを不服として同年10月15日付けで本件審判請求がされるとともに,同年11月12日付けで明細書についての手続補正書が提出されたものである。
当審においてこれを審理した結果,平成21年12月21日付けで,上記平成20年11月12日付け手続補正を却下するとともに新たな拒絶の理由を通知したところ,請求人は平成22年3月1日付けで,意見書及び手続補正書を提出した。


第2 当審の判断

1.本願発明の認定

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成22年3月1日付けで補正された明細書における,特許請求の範囲の【請求項1】に記載された事項によって特定されるべきものであり,その記載は次のとおりである。
なお,便宜のために,当審で本願発明の構成要件をA?Fに分説した。

「A 遊技球が流下可能な遊技領域に設けられ,かつ識別情報を変動表示可能な表示装置を有し,
B 前記識別情報を変動表示させた後に,前記識別情報の表示結果を確定表示させる制御を実行するとともに,前記表示装置に確定表示される表示結果が予め定められた特定表示結果になった場合に,遊技者にとって有利な特賞状態に制御可能な遊技機において,
C 遊技球が前記遊技領域に設けた入賞口に入賞したことを契機に,予め定めた所定の確率に基づいて,前記特賞状態を生起するか否かの抽選処理を実行し,当該抽選の結果にしたがって前記識別情報の表示結果を指定する表示指令情報を出力可能な遊技制御手段と,
D 前記遊技制御手段から出力される前記表示指令情報を受信する毎に1を加算し,前記表示指令情報に前記識別情報の確定表示結果が前記特定表示結果になる特定の表示指令情報が含まれている場合は0にリセットすることにより,前記特賞状態が生起するまでの前記識別情報の変動回数を計数記憶する変動回数計数手段と,
E 前記特賞状態になる場合のみ,前記特賞状態になることを予告報知する抽選を第1の確率または当該第1の確率よりも高確率の第2の確率で行い,かつ該抽選に当選した場合,前記特定表示結果となる場合の変動表示中に,予告画像を前記表示装置に表示させることにより前記特賞状態になることを予告報知する予告報知手段と,を備え,
F 前記予告報知手段は,前記遊技制御手段から出力される前記表示指令情報を受信し,当該受信した前記表示指令情報に前記識別情報の確定表示結果が前記特定表示結果になる特定の表示指令情報が含まれているか否かを判定する第1判定手段と,前記第1判定手段が前記特定の表示指令情報が含まれていると判定した場合,前記変動回数計数手段が計数記憶した計数値が,予め定めた所定値を超過しているか否かを判定する第2判定手段と,前記第2判定手段が前記所定値を超過していないと判定した場合,前記第1の確率で前記予告報知を行うか否かを抽選する第1予告報知抽選手段と,前記第2判定手段が前記所定値を超過していると判定した場合,前記第2の確率で前記予告報知を行うか否かを抽選する第2予告報知抽選手段とを含み,前記第2予告報知抽選手段の抽選に当選した場合には,前記識別情報の変動表示中における表示形態がリーチ状態になると略同時に前記予告画像を前記表示装置に表示させることを特徴とする遊技機。」


2.引用刊行物の記載事項

当審の拒絶理由に引用した特開平9-70475号公報(以下「引用例1」という。)には,以下の記載が図示とともにある。

「【0019】
【発明の実施の形態】図1?7は,本発明の一実施の形態を示すものであり,図1は本発明の制御の概略を示したフロー図,図2はパチンコ機の概略正面図,図3は遊技盤の拡大正面図,図4は図柄表示列の拡大正面図,図5は停止図柄が当たりである例を示した説明図,図6は停止図柄が当たり前後である例を示した説明図,図7は本発明の異なる実施の形態における制御の概略を示したフロー図を各々示す。
【0020】図2中,10は,弾球遊技機としてのパチンコ機を示すものであり,このパチンコ機10は,その前面には遊技盤11を有し,遊技盤11の表面には,円弧状のガイドレール12で囲まれた略円形の遊技部20を備えている。なお,図示しないが遊技盤11の表面には,複数の釘が打設され,遊技部20内を流下する打球は,釘に当たって,その流下方向に変化が与えられる。
・・・・・・・・・・・
【0022】上記遊技部20内には,図3に示すように,そのほぼ中央に図柄変動表示手段としての図柄変動表示装置50が配置されている。この図柄変動表示装置50は,図4に示すように,左側,中央,右側からなる横並びに並んだ3列の図柄表示列60?62を有している。各図柄表示列60?62は,図4に示すように,遊技者側の前面に設けられた長方形状の表示窓70?72と,前記表示窓70?72の奧に配置された,それぞれ複数種類の図柄,例えば「1」?「9」までの数字を外周に表示した回転リール80?82とを備えている。また,前記回転リール80?82は,外周に表示した複数種類の図柄を,表示窓70?72の上位置から下位置まで移動して連続的に外部に変動表示するように,モータ(図示せず)によって回転可能に軸支され,左側の回転リール80,右側の回転リール82,中央の回転リール81の順で,図柄変動を停止するとともに,各表示窓70?72の上,中央,下の3つの位置で,それぞれ停止図柄として決定された図柄を停止表示することができるように形成されている。
【0023】そして,各図柄表示列60?62の回転リール80?82が,図柄を停止表示した状態で,図4に示すように,各図柄表示列60?62の上段を結んだ仮想の上ラインL1,各図柄表示列60?62の中段を結んだ仮想の中ラインL2,各図柄表示列60?62の下段を結んだ仮想の下ラインL3,各図柄表示列60?62を斜めに結んだ仮想の2本の斜めラインL4,L5上のいずれかに,停止表示された停止図柄の組合せが,特別の賞態様を構成する図柄の組合せである場合に,遊技者に対して特別の利益を付与するようにしている。
・・・・・・・・・・・・
【0025】また,上記図柄変動表示装置50の真下には,図3に示すように,図柄変動表示装置50による図柄の変動を開始させるための始動口100が設けられている。この始動口100には,打球の入球を検出するための入球センサ101が設けられている。そして,始動口100に遊技球が入球すると,前記入球センサ101が打球を検出し,図柄変動表示装置50による図柄の変動表示が開始される。なお,図柄変動表示装置50による図柄の変動中に,始動口100に打球が入球し,入球センサ101によって入球が検出されると,保留球として扱われ,前記保留球記憶ランプ90に点灯表示される。
【0026】前記始動口100の下方には,図3に示すように,アタッカータイプの変動入賞装置110が設けられている。この変動入賞装置110は,図3に示すように,前面の中央に方形状に開口形成された入賞口111と,前記入賞口111を正面から塞ぐ開閉扉112とを備えている。また,前記入賞口111には,入球した遊技球を検出するためのセンサ(図示せず)が設けられている。前記センサは,遊技球の入球を検出すると,遊技者に対して所定数の遊技球を払い出すように構成されている。また,前記開閉扉112は,前記図柄表示列60?62の5本の仮想のラインL1?L5上のいずれかに停止表示された停止図柄の組合せが,図5に示すように,特別の賞態様を構成する図柄の組合せである場合に,開放することで,入賞口111に遊技球を入球容易として,遊技者に対して特別の利益を付与するようにしている。
【0027】また,変動入賞装置110の下方には,ガイドレール12の下縁に落下した遊技球を回収するための回収口120が設けられている
つぎに,上記構成を備えたパチンコ機の図柄変動方法決定に関する動作の概略を,図1を用いて説明する。まず,第1ステップS201では,記憶した乱数値は,当たりか否かが判定される。この判定は,停止図柄決定手段によって行われる。この判定は,まず,停止図柄決定用の乱数発生手段が順次発生する,例えば十進数にして0?16383までの数字の乱数から,乱数抽出手段が,前記入球センサ101が遊技球の入球を検出したことを条件に,1つの乱数値を抽出して,これを記憶し,停止図柄決定手段は,先に記憶した乱数値が,予め記憶された,停止図柄決定用の乱数発生手段が発生する乱数値がとる全領域中に,特別の賞態様とすべき入賞領域及び入賞領域以外の非入賞領域を備えた入賞判定テーブルを参照し,抽出した乱数値が特別の賞態様とすべき入賞領域に該当する数値か否か,すなわち乱数値は当たりか否かの判定をすることにより行われる。
【0028】上記第1ステップS201で,記憶した乱数値が当たりでないと判定された場合には,次に,第2ステップS202に進み,第2ステップS202においては,停止図柄決定手段は,停止図柄を当たり図柄以外とする。すなわち停止図柄決定手段は,停止図柄を当たり図柄以外の図柄に決定する
ここで,「当たり図柄」とは,図柄変動表示装置50における全ての図柄表示列60?62による図柄の変動が停止した状態で,上記5本の仮想のラインL1?L5上のいずれかに停止表示された停止図柄の組合せが,特別の賞態様を構成する図柄の組合せになる場合をいい,例えば,停止図柄が,図5の(A)?(E)に示すように,仮想のラインL1?L5に「777」と揃った場合が該当する。
【0029】したがって,「当たり図柄」以外とは,図柄変動表示装置50における全ての図柄表示列60?62による図柄の変動が停止した状態で,上記5本の仮想のラインL1?L5上に停止表示された全て停止図柄の組合せが,上記の「当たり図柄」以外の場合をいう。これに対し,上記第1ステップS201で,記憶した乱数値が当たりであると判定された場合には,次に,第3ステップS203に進み,第3ステップS203においては,停止図柄決定手段は,停止図柄を当たり図柄に決定する。
【0030】上記第2ステップS202及び第3ステップS203で,停止図柄が決定されると,次に第4ステップS204に進み,第4ステップS204においては,変動回数カウンタのカウンタを+1する。すなわち,変動回数のカウンタ値を+1することにより,上記図柄変動表示装置による図柄の変動回数を計数する。上記第4ステップS204で,変動回数カウンタのカウンタ値を+1すると,つぎの第5ステップS205に進み,この第5ステップS205では,停止図柄決定手段によって決定された停止図柄は「リーチ」であるか否かが判定される。この判定は,抽選テーブル選択手段によって行われる。抽選テーブル選択手段は,停止図柄のうち,最後に図柄の変動を停止する図柄列以外の図柄列に停止表示される図柄の組合せが,特別の賞態様を構成する図柄の組合せに含まれるか否か,すなわち,停止図柄が「リーチ」であるか否かの判定を行う。停止図柄が「リーチ」である場合とは,本実施の形態では,中央の回転リール81を除いた回転リール80,82の図柄の変動が停止した状態で,上記いずれかのラインL1?L5上に,特別の賞態様を構成する組合せとなる図柄の組合せが存在することとなる状態をいう。
【0031】上記第5ステップS205で,停止図柄が「リーチ」と判定されると,次の第6ステップS206に進み,この第6ステップS206では,停止図柄が,当たり,すなわち特別の賞態様を構成する図柄の組合せであるか又は,停止図柄が,当たり前後,すなわち最後に図柄の変動を停止する図柄表示列61の図柄が,特別の賞態様を構成する図柄の組合せにおける図柄と,1図柄分だけ回転リール80?82の移動方向の前後にずれている場合であるか否かが判定される。この判定は,抽選テーブル選択手段によって行われる。
【0032】ここで,最後に図柄の変動を停止する図柄列61の図柄が,特別の賞態様を構成する図柄の組合せにおける図柄と,1図柄分だけ回転リール80?82の移動方向の前後にずれている場合とは,図6に示すように,最後に図柄の変動を停止する図柄表示列60?62の図柄が,特別の賞態様を構成する図柄の組合せとなる可能性があった図柄表示列において,回転リール80?82の回転方向の前後に1図柄分ずれると,特別の賞態様を構成する図柄の組合せと一致するものをいう。
【0033】上記第6ステップS206で,停止図柄が,当たり又は当たり前後と判定された場合には,つぎの第7ステップS207に進み,この第7ステップS207では,変動回数カウンタのカウンタ値が150以上であるか否かが判定される。この判定は,抽選テーブル選択手段によって行われ,抽選テーブル選択手段は,変動回数カウンタのカウンタ値を監視している。
【0034】上記第7ステップS207で,変動回数カウンタのカウンタ値が150以上であると判定された場合には,つぎの第8ステップS208に進み,第4抽選テーブルが選択される。この第4抽選テーブルは,変動方法用乱数発生手段が発生する乱数値がとる全領域のうち,リーチ停止態様を行わせる領域が5%,特別リーチ停止態様を行わせる領域が95%の割合となっている。変動方法抽選用乱数発生手段は,例えば0?99までの数値の乱数を発生する場合には,0?4まではリーチ停止態様を行わせる領域であり,5?99までは特別リーチ停止態様を行わせる領域となる。
【0035】上記第8ステップS208で,第4抽選テーブルが選択されると,第9ステップS209に進む。上記第9ステップS209では,変動方法抽選用乱数及び第4抽選テーブルを使用して,変動方法決定手段は,変動方法を決定する。変動方法の決定は,変動方法抽選用乱数発生手段から順次発生される,例えば0?99までの乱数から,変動方法抽選用乱数抽出手段が,例えば停止図柄が決定されたときに1つの乱数値を抽出する。
【0036】そして,前記乱数抽出手段が抽出した1の乱数値を,前記抽選テーブル選択手段が選択した第4抽選テーブルと照合して,抽出した乱数値が,リーチ停止態様を行わせる領域に属するのか又は特別リーチ停止態様を行わせる領域に属するのかによって行われる。上記第6ステップS206で,第4抽選テーブルが選択されていることから,第4抽選テーブルを用いた変動方法の決定においては,変動方法は,95%の確率で,特別リーチ停止態様に決定されることとなる。
【0037】上記第9ステップS209において,変動方法が決定されると,つぎの第10ステップS210に進み,変動方法は特別リーチ停止態様か否かが判定される。この判定は,カウンタリセット手段によって行われ,カウンタリセット手段は,変動方法決定手段が決定した変動方法が,特別リーチ停止態様に決定されたか否かを監視している。
【0038】上記第10ステップS210において,変動方法が,特別リーチ停止態様であると判定された場合には,つぎに第11ステップS211に進み,カウンタリセット手段は,変動回数カウンタのカウンタ値を,0クリア,すなわちリセットする。上記第11ステップS211で,変動回数カウンタを0クリアすると,次に第12ステップS212に進み,第12ステップS212では,変動態様記憶手段に記憶された変動態様にもとづいて,変動方法決定手段によって決定された停止態様に応じた図柄変動を行う。
【0039】停止態様が通常停止態様に決定された場合には,図柄変動制御手段は,複数個の図柄表示列60?62を通常変動速度により順次停止表示させる。また,停止態様が,リーチ停止態様に決定された場合には,図柄変動制御手段は,複数個の図柄表示列60?62を通常変動速度により順次停止表示させるとともに,最後に停止させる図柄表示列61については,前記通常変動速度より低速なリーチ変動表示速度に変更した後に停止させる。
【0040】そして,停止態様が,特別リーチ停止態様に決定された場合には,複数個の図柄表示列60?62を通常変動速度により順次停止表示させるとともに,最後に停止させる図柄表示列61にについては,前記リーチ変動表示速度より更に低速な特別リーチ変動表示速度を変更した後に停止させる。これに対し,上記第9ステップS209において,特別リーチ停止態様でないと判定された場合には,第12ステップS212に進む。
【0041】一方,上記第7ステップS207で,変動回数カウンタのカウンタ値が,150以下であると判定された場合には,第13ステップS213に進み,第3抽選テーブルが選択される。この第3抽選テーブルは,変動方法用乱数発生手段が発生する乱数値がとる全領域のうち,リーチ停止態様を行わせる領域が51%,特別リーチ停止態様を行わせる領域が49%の割合となっている。変動方法抽選用乱数発生手段は,例えば0?99までの数値の乱数を発生する場合には,0?49まではリーチ停止態様を行わせる領域であり,50?99までは特別リーチ停止態様を行わせる領域となる。
・・・・・・・・・・・
【0050】・・・・・
上記実施の形態では,図柄変動表示手段として,回転リール80?82を備えた図柄変動表示装置50を用いたが,図柄変動表示手段は,これに限らず,液晶表示装置やCRTを用いたものであってもよい。
【0051】
【発明の効果】本発明は,以上のように構成されているので,以下に記載されるような効果を奏する。請求項1記載の弾球遊技機によれば,図柄変動表示手段による図柄の変動回数が一定回数に達したら特別リーチ態様を行わせる抽選確率を高くすることにより,弾球遊技機による遊技の面白味を増加させることのできる弾球遊技機を提供することができる。」

3.引用例1記載の発明の認定

引用例1には,段落【0019】によれば,「パチンコ機」に関する発明事項が開示されている。
これをより具体的にみると,「パチンコ機」は,段落【0020】によれば「パチンコ機10」であり,「遊技部20」を備えている。また,該「遊技部20」内には,「打球」が流下する。「打球」については,段落【0031】に「遊技球」との表現があるので,「遊技球」に読み替えることとする。
段落【0022】によれば,「遊技部20」内には,「図柄変動表示手段」としての「図柄変動表示装置50」が配置されている。段落【0050】によれば,図柄変動表示手段は「液晶表示装置」で構成してもよいから,ここでは「液晶表示装置」により「図柄変動表示装置50」を構成する場合を採ることとする。段落【0022】に戻れば,「図柄変動表示装置50」は,「液晶表示装置」によりこれを構成するか否かにかかわらず,「複数種類の図柄」を「変動表示」したうえで「停止表示」することが明らかである。
また,段落【0023】によれば,停止表示された「停止図柄の組合せ」が,「特別の賞態様を構成する図柄の組合せ」である場合には,遊技者に対して「特別の利益」が付与される。該「特別の利益」は,段落【0026】によれば「入賞口111に遊技球を入球容易」とした状態であり,「特別の賞態様を構成する図柄の組合せ」は,段落【0031】によれば「当たり」である。
段落【0025】によれば,パチンコ機10には「図柄の変動を開始させるための始動口100」が設けられており,「始動口100」に「遊技球が入球」すると,「入球センサ101」が入球を検出する。そして,段落【0027】によれば,該「入球センサ101」が「遊技球の入球を検出したことを条件」として,「乱数抽出手段」が「1つの乱数値を抽出」する。ここで「抽出した乱数値」が,「特別の賞態様とすべき入賞領域に該当する数値か否か,すなわち,乱数値は当たりか否か」の判定をすることにより,「停止図柄決定手段」が,「停止図柄」を決定する。段落【0022】に戻れば,「図柄変動表示装置50」に「停止表示」されるのは,「停止図柄として決定された図柄」である。
段落【0030】によれば,停止図柄が決定されると,「変動回数カウンタ」のカウンタが「+1」される。該「変動回数カウンタ」の値は,段落【0037】?【0038】によれば,図柄の変動方法が「特別リーチ停止態様」である場合には,「0クリア」される。
該「特別リーチ停止態様」は,段落【0031】?【0041】によれば,「停止図柄」が「当たり」であるか,最後に変動を停止する図柄が1図柄分だけ前後にずれた「当たり前後」である場合にのみ,行われ得る。また,該「特別リーチ停止態様」が行われるか否かは,「第4抽選テーブル」を用いた「95%」の確率の抽選,または「第3抽選テーブル」を用いた「49%」の確率の抽選によって決定される。段落【0040】によれば,「特別リーチ停止態様」が行われると決定された場合には,「最後に停止させる図柄表示列」以外の図柄表示列を「通常変動速度」により「順次停止」させた後,「最後に停止させる図柄表示列」については,「リーチ変動表示速度より更に低速な特別リーチ変動表示速度」とした後に停止させる。
「特別リーチ停止態様」の「95%」の確率での抽選は,段落【0031】?【0034】によれば,次のように行われる。「抽選テーブル選択手段」が,停止図柄が「当たり」又は「当たり前後」であるか否かを判定し,「当たり又は当たり前後と判定された場合」には,「変動回数カウンタのカウンタ値」が「150以上であるか否か」を判定する。ここで「カウンタ値」が「150以上であると判定」された場合には,「第4抽選テーブル」が選択され,「95%」の確率での抽選が行われる。
これに対して,「特別リーチ停止態様」の「49%」の確率での抽選は,段落【0041】によれば,次のように行われる。すなわち,「抽選テーブル選択手段」が,停止図柄が「当たり又は当たり前後」と判定したうえで,「変動回数カウンタのカウンタ値」が「150以上であるか否か」を判定し,「カウンタ値」が「150未満」(当審注,「150以下」は【図1】の「S207」に照らして,「150未満」の誤記と認める。)と判定した場合には,「第3抽選テーブル」が選択され,「49%」の確率での抽選が行われる。

以上を整理すると,引用例1には,

「遊技球が流下する遊技部20内に,液晶表示装置で構成され,複数種類の図柄を変動表示したうえで停止表示する図柄変動表示装置50が配置され,
停止表示された停止図柄の組合せが,特別の賞態様を構成する図柄の組合せである当たりである場合には,遊技者に対して,入賞口111に遊技球が入球容易となる特別の利益を付与する,パチンコ機10において,
図柄の変動を開始させるために設けられた始動口100に遊技球が入球し,入球センサ101が遊技球の入球を検出したことを条件として,乱数抽出手段が1つの乱数値を抽出し,抽出した乱数値が,特別の賞態様とすべき入賞領域に該当する数値か否か,すなわち,乱数値は当たりか否かを判定をすることにより,停止図柄決定手段が,停止図柄を決定し,図柄変動表示装置50には,停止図柄として決定された図柄が停止表示され,
停止図柄が決定されると,変動回数カウンタのカウンタを+1し,変動回数カウンタの値は,図柄の変動方法が特別リーチ停止態様である場合に0クリアされ,
特別リーチ停止態様は,停止図柄が当たりであるか,最後に変動を停止する図柄が1図柄分だけ前後にずれた当たり前後である場合にのみ,行われ得る図柄の変動方法であり,
特別リーチ停止態様が行われるか否かは,第4抽選テーブルを用いた95%の確率の抽選,または第3抽選テーブルを用いた49%の確率の抽選によって決定され,
特別リーチ停止態様が行われると決定された場合には,最後に停止させる図柄表示列以外の図柄表示列を通常変動速度により順次停止させた後,最後に停止させる図柄表示列については,リーチ変動表示速度より更に低速な特別リーチ変動表示速度とした後に停止され,
抽選テーブル選択手段は,停止図柄が当たり又は当たり前後であるか否かを判定し,当たり又は当たり前後と判定された場合には,変動回数カウンタのカウンタ値が150以上であるか否かを判定し,カウンタ値が150以上であると判定された場合には,第4抽選テーブルを選択して,95%の確率で抽選を行い,カウンタ値が150以上でないと判定した場合には,第3抽選テーブルを選択して,49%の確率で抽選を行う,
パチンコ機10。」

なる発明(以下,「引用発明1」という。)が開示されていると認めることができる。


4.本願発明と引用発明1の一致点及び相違点の認定

引用発明1と本願発明とを対比する。対比は,本願発明の構成要件A?F毎に,一度小括し,最後に整理して,引用発明1と本願発明との一致点及び相違点を認定することとする。

(1)構成要件Aについて
引用発明1が「パチンコ機10」であることは,本願発明が「遊技機」であることに相当する。
引用発明1における「遊技球」は,本願発明における「遊技球」と一致し,引用発明1において「遊技球が流下する遊技部20」は,本願発明における「遊技球が流下可能な遊技領域」に相当する。
引用発明1における「図柄変動表示装置50」は,本願発明における「表示装置」に相当する。また,引用発明1において,「図柄変動表示装置50」が「遊技部20内」に配置されていることは,本願発明において,「表示装置」が「遊技領域」に「設けられ」ていることに相当する。
引用発明1における「複数種類の図柄」は,該「図柄」のそれぞれが,本願発明における「識別情報」に相当する。引用発明1における「図柄変動表示装置50」が,これらの図柄を「変動表示」するからには,本願発明における「表示装置」と同様に,「変動表示可能」であることは明らかである。
小括すると,本願発明における構成要件Aの部分は,引用発明1と本願発明との一致点である。

(2)構成要件Bについて
引用発明1において,「複数種類の図柄を変動表示」したうえで「停止表示」することは,本願発明において,「前記識別情報を変動表示させた後に,前記識別情報の表示結果を確定表示させる」ことに相当する。また,引用発明1の「パチンコ機10」がそのような変動表示と停止表示の動作を行うからには,当該動作の制御を実行していることは明らかであるから,本願発明において,「変動表示」から「確定表示」に至る動作に関して,「制御を実行するとともに,」とある点も,引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1における「停止表示された停止図柄の組合せ」は,本願発明における「前記表示装置に確定表示される表示結果」に相当する。また,引用発明1における「特別の賞態様を構成する図柄の組合せ」は,事前に予め定められていることが明らかであるから,本願発明における「予め定められた特定表示結果」に相当する。そして,引用発明1において,当該「図柄の組合せ」である「当たりである場合」は,本願発明において,「特定表示結果になった場合」に相当する。
引用発明1において,「遊技者」に対して「特別の利益を付与する」状態は,本願発明において,「遊技者にとって有利な特賞状態」に相当する。また,引用発明1において,前述「特別の利益を付与する」状態で「入賞口111に遊技球が入球容易」とするからには,「パチンコ機10」がそのような制御を行っていることが明らかであるから,本願発明に「特賞状態に制御可能な遊技機において」とある点も,引用発明1と本願発明との一致点である。
小括すると,本願発明の構成要件Bの部分は,引用発明1と本願発明との一致点である。

(3)構成要件Cについて
引用発明1における「図柄の変動を開始させるために設けられた始動口100」は,本願発明における「入賞口」に相当する。また,引用発明1における前記「始動口100」は,「遊技球が入球」し得る以上,「遊技球が流下する遊技部20」に設けられていることは明らかであるから,本願発明に「前記遊技領域に設けた入賞口」とある点は,引用発明1と本願発明との一致点である。そして,引用発明1において,「始動口100」に「遊技球が入球」することは,本願発明において「遊技球」が「入賞口」に「入賞」することに相当する。さらに,引用発明1において,「入球センサ101が遊技球の入球を検出したことを条件として」,後続する乱数値の抽出等の処理を行うことは,本願発明において,「遊技球」が「入賞口」に「入賞したことを契機に」,後続する「抽選処理」等を行うことに相当する。
引用発明1において,「乱数抽出手段が1つの乱数値を抽出し,抽出した乱数値が,特別の賞態様とすべき入賞領域に該当する数値か否か,すなわち,乱数値は当たりか否かを判定をすること」は,本願発明において,「前記特賞状態を生起するか否かの抽選処理を実行」することに相当する。また,引用発明1において,当該「当たりか否か」の確率は,実際上は予め定められた所定の値であることが当然と言い得るから,本願発明に「予め定められた所定の確率に基づいて」とある点も,引用発明1と本願発明との一致点である。
そして,引用発明1において,前述した「乱数値は当たりか否か」の「判定」により,「停止図柄を決定」することは,本願発明において,「当該抽選の結果にしたがって前記識別情報の表示結果を指定する」ことに相当する。また,引用発明1において,決定された「停止図柄」で「図柄変動表示装置50」に「図柄が停止表示」される以上,決定された停止図柄を指定する情報が出力されることは明らかであり,同情報は,その具体的なフォーマット等についてはひとまず措くとして,本願発明における「表示指令情報」に相当する。さらに,本願発明において,当該情報を「出力可能」とある点も,引用発明1と本願発明との一致点である。
引用発明1において,前述した「乱数値を抽出」という動作を行う手段から,停止図柄を決定する「停止図柄決定手段」,及び決定した停止図柄を指定する情報を外部送信する手段を含む手段は,パチンコ機10の遊技動作の主たる制御を実行する手段と言うことができ,同手段は,本願発明における「遊技制御手段」に相当する。
小括すると,本願発明の構成要件Cの部分は,引用発明1と本願発明との一致点である。

(4)構成要件Dについて
引用発明1において,「停止図柄が決定」されると「+1」される「変動回数カウンタ」は,本願発明における「前記識別情報の変動回数を計数記憶する変動回数計数手段」に相当する。また,引用発明1における「変動回数カウンタ」が,「停止図柄が決定」されると「+1」されることと,本願発明における「変動回数計数手段」が,「前記遊技制御手段から出力される前記表示指令情報を受信する毎に1を加算」することとを比較すると,両者は,「前記識別情報の変動毎に1を加算」するという点で一致する。さらに,引用発明1における「変動回数カウンタ」が,「図柄の変動方法が特別リーチ停止態様である場合に0クリア」される点と,本願発明における「変動回数計数手段」が「前記表示指令情報に前記識別情報の確定表示結果が前記特定表示結果になる特定の表示指令情報が含まれている場合は0にリセットする」こととを比較すると,両者は,「前記識別情報の変動表示が特定のものである場合に0にリセットする」点で,一致すると言い得る。そして,引用発明1における「変動回数カウンタ」がカウントする値と,本願発明における「変動回数計数手段」が計数記憶する回数とは,「前記識別情報の変動表示が特定のものとなるまでの前記識別情報の変動回数」である点で,一致すると言うことが出来る。
小括すると,本願発明の構成要件Dの部分に関して,引用発明1と本願発明とは,「前記識別情報の変動毎に1を加算し,前記識別情報の変動表示が特定のものである場合に0にリセットすることにより,前記識別情報の変動表示が特定のものとなるまでの前記識別情報の変動回数を計数記憶する変動回数計数手段」を備える点で,一致する。

(5)構成要件Eについて
引用発明1における「特別リーチ停止態様」は,停止図柄が「当たり」であるか,最後に変動を停止する図柄が1図柄分だけ前後にずれた「当たり前後」の場合にのみ,行われるものである。すなわち,ゲーム結果が「当たり」となるか「当たり」にきわめて近いことを,遊技者に事前に示す意味を有するから,信頼度が100%か否かという点をひとまず別とすれば,本願発明における「前記特賞状態になることを予告報知」に相当する。
引用発明1において,「特別リーチ停止態様が行われるか否か」が,「95%」または「45%」の確率の「抽選によって決定」されることは,本願発明において「第1の確率」または「第2の確率」で「前記特賞状態になることを予告報知する抽選」が行われることに相当する。そして,2つの確率についてみれば,引用発明1における「第3抽選テーブルを用いた49%の確率」は,本願発明における「第1の確率」に相当し,引用発明1における「第4抽選テーブルを用いた95%の確率」は,本願発明における「当該第1の確率よりも高確率の第2の確率」に相当する。
引用発明1における「特別リーチ停止態様が行われると決定された場合」は,本願発明における「該抽選に当選した場合」に相当する。引用発明1において,「最後に停止させる図柄表示列以外の図柄表示列を通常変動速度により順次停止させた後,最後に停止させる図柄表示列については,リーチ変動表示速度より更に低速な特別リーチ変動表示速度とした後に停止され」ることは,本願発明において,「前記特定表示結果となる場合」の変動表示中であるかは別として,「変動表示中」に「前記特賞状態になることを予告報知する」ことに相当する。
引用発明1が,「抽選テーブル選択手段」を用いながら,上述したように「特別リーチ停止態様」を行うか否かを決定して実行している以上,「抽選テーブル選択手段」を含めて,当該決定と実行のための手段は当然に有しており,該手段は本願発明における「予告報知手段」に相当する。
小括すると,本願発明の構成要件Eの部分に関して,引用発明1と本願発明とは,「前記特賞状態になることを予告報知する抽選を第1の確率または当該第1の確率よりも高確率の第2の確率で行い,かつ該抽選に当選した場合,変動表示中に,前記特賞状態になることを予告報知する予告報知手段」を備える点で,一致する。

(6)構成要件Fについて
引用発明1における「抽選テーブル選択手段」が,「停止図柄が当たり又は当たり前後であるか否かを判定」する以上,引用発明1は,「特別リーチ停止態様」の決定と実行を担う手段の中に,当該判定のための部分的手段を備えている。引用発明1における,当該部分的手段を,本願発明における「前記遊技制御手段から出力される前記表示指令情報を受信し,当該受信した前記表示指令情報に前記識別情報の確定表示結果が前記特定表示結果になる特定の表示指令情報が含まれているか否かを判定する第1判定手段」と比較すると,引用発明1における「停止図柄」は本願発明における「前記識別情報の確定表示結果」に相当し,また,引用発明1における「当たり又は当たり前後」と本願発明における「前記特定表示結果」とは,「所定の表示結果」という限度で一致するから,両者は,「前記識別情報の確定表示結果が所定の表示結果となるか否かを判定する第1判定手段」という点で一致する。そして,引用発明1における,「当たり又は当たり前後と判定された場合」と,本願発明における「前記第1判定手段が前記特定の表示指令情報が含まれていると判定した場合」とは,「前記第1判定手段が所定の表示結果となると判定した場合」という点で一致する。
引用発明1において,「変動回数カウンタのカウンタ値が150以上であるか否かを判定」することは,本願発明において,「前記変動回数計数手段が計数記憶した計数値が,予め定めた所定値を超過しているか否かを判定する」ことに相当する。また,引用発明1の「抽選テーブル選択手段」は,当該判定を行う部分的手段も有していることが明らかであり,該部分的手段は本願発明における「第2判定手段」に相当する。
引用発明1における「カウンタ値が150以上でないと判定した場合」は,本願発明における「前記第2判定手段が前記所定値を超過していないと判定した場合」に相当し,引用発明1において「第3抽選テーブルを選択して,49%の確率で抽選を行」うことは,本願発明において「前記第1の確率で前記予告報知を行うか否かを抽選する」ことに相当する。そして,引用発明1において「第3抽選テーブル」を用いて抽選を実行する手段は,本願発明における「第1予告報知抽選手段」に相当する。
同様に,引用発明1における「カウンタ値が150以上であると判定された場合」は,本願発明における「前記第2判定手段が前記所定値を超過していると判定した場合」に相当し,引用発明1において「第4抽選テーブルを選択して,95%の確率で抽選を行」うことは,本願発明において「前記第2の確率で前記予告報知を行うか否かを抽選する」ことに相当する。そして,引用発明1において「第4抽選テーブル」を用いて抽選を実行する手段は,本願発明における「第2予告報知抽選手段」に相当する。
小括すると,本願発明の構成要件Fの部分に関して,引用発明1と本願発明とは,「前記予告報知手段は,前記識別情報の確定表示結果が所定の表示結果になるか否かを判定する第1判定手段と,前記第1判定手段が前記所定の表示結果になると判定した場合,前記変動回数計数手段が計数記憶した計数値が,予め定めた所定値を超過しているか否かを判定する第2判定手段と,前記第2判定手段が前記所定値を超過していないと判定した場合,前記第1の確率で前記予告報知を行うか否かを抽選する第1予告報知抽選手段と,前記第2判定手段が前記所定値を超過していると判定した場合,前記第2の確率で前記予告報知を行うか否かを抽選する第2予告報知抽選手段とを含む」という点で,一致する。

(7)引用発明1と本願発明との一致点
以上を整理すると,本願発明と引用発明1の一致点は次のとおりである。

<一致点>
「遊技球が流下可能な遊技領域に設けられ,かつ識別情報を変動表示可能な表示装置を有し,
前記識別情報を変動表示させた後に,前記識別情報の表示結果を確定表示させる制御を実行するとともに,前記表示装置に確定表示される表示結果が予め定められた特定表示結果になった場合に,遊技者にとって有利な特賞状態に制御可能な遊技機において,
遊技球が前記遊技領域に設けた入賞口に入賞したことを契機に,予め定めた所定の確率に基づいて,前記特賞状態を生起するか否かの抽選処理を実行し,当該抽選の結果にしたがって前記識別情報の表示結果を指定する表示指令情報を出力可能な遊技制御手段と,
前記識別情報の変動毎に1を加算し,前記識別情報の変動表示が特定のものである場合に0にリセットすることにより,前記識別情報の変動表示が特定のものとなるまでの前記識別情報の変動回数を計数記憶する変動回数計数手段と,
前記特賞状態になることを予告報知する抽選を第1の確率または当該第1の確率よりも高確率の第2の確率で行い,かつ該抽選に当選した場合,変動表示中に,前記特賞状態になることを予告報知する予告報知手段と,を備え,
前記予告報知手段は,前記識別情報の確定表示結果が所定の表示結果になるか否かを判定する第1判定手段と,前記第1判定手段が前記所定の表示結果になると判定した場合,前記変動回数計数手段が計数記憶した計数値が,予め定めた所定値を超過しているか否かを判定する第2判定手段と,前記第2判定手段が前記所定値を超過していないと判定した場合,前記第1の確率で前記予告報知を行うか否かを抽選する第1予告報知抽選手段と,前記第2判定手段が前記所定値を超過していると判定した場合,前記第2の確率で前記予告報知を行うか否かを抽選する第2予告報知抽選手段とを含む,遊技機」

(8)引用発明1と本願発明との相違点
そして,本願発明と引用発明1との相違点は,以下のとおりとなる。

<相違点1>
本願発明では,「特賞状態になることを予告報知」が「前記特賞状態になる場合のみ」に行われ,具体的には「前記特定表示結果となる場合の変動表示中」に「予告画像を前記表示装置に表示させることにより」行われるのに対し,引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点2>
本願発明では,「前記特賞状態が生起するまで」の識別情報の変動回数が「予め定めた所定値を超過」している場合に,「特賞状態になることを予告報知」する抽選を「第1の確率よりも高確率の第2の確率」で行うのに対して,引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点3>
本願発明では,「変動回数計数手段」が「前記特賞状態が生起するまで」の識別情報の変動回数を記憶するのに対して,引用発明1ではそうなっていない点,
及び,
本願発明では,「変動回数計数手段」が「遊技制御手段」の外部に存在し,「遊技制御手段から出力される前記表示指令情報を受信する」毎に1を加算するとともに,「前記表示指令情報に前記識別情報の確定表示結果が前記特定表示結果になる特定の表示指令情報が含まれている」場合に0へのリセットを行うのに対して,引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点4>
本願発明では,「第1判定手段」が,識別情報の確定表示結果が「前記特定表示結果」になるか否かを判定するのに対して,引用発明1ではそうなっていない点,
及び,
本願発明では,「第1判定手段」を含む「予告報知手段」が「遊技制御手段」の外部に存在するとともに,「第1判定手段」は,「前記遊技制御手段から出力される前記表示指令情報を受信」して,「当該受信した前記表示指令情報」に「特定の表示指令情報が含まれているか否か」を判定することで,上述した識別情報の確定表示結果に関する判定を行うのに対して,引用発明1ではそうなっていない点。

<相違点5>
本願発明では,「前記第2予告報知抽選手段の抽選に当選した場合には,前記識別情報の変動表示中における表示形態がリーチ状態になると略同時に前記予告画像を前記表示装置に表示させる」のに対して,引用発明1ではそうなっていない点。
なお,この点に関して本願発明では,「前記第2予告報知抽選手段の抽選に当選した場合」の予告報知の内容のみを特定する一方,「第1予告報知抽選手段」の抽選に当選した場合に行われる予告報知の内容については,何ら特定がされていない。この点については,次の2つの解釈が可能である。
(解釈1)「第1予告報知抽選手段」の抽選に当選した場合の予告報知の内容については,特定することを失念したか,あるいは意図的に特定を省略しているが,「第2予告報知抽選手段」の抽選に当選した場合と同じ予告報知がなされることを排除しない趣旨。
(解釈2)「第1予告報知抽選手段」の抽選に当選した場合には,「第2予告報知抽選手段」の抽選に当選した場合と同じ予告報知を行わせず,予告報知の内容を抽選手段に応じて異ならせる趣旨。
ここで,(解釈2)の如く,第1予告報知抽選手段を用いたか第2予告報知抽選手段を用いたかによって,予告報知の内容を異ならせることについては,明細書等にも何ら実際上の記載が存在しないとともに,請求人はこの点に関して何ら特段の主張もしていない。その点を勘案すれば,本願発明は(解釈1)の趣旨と解することが妥当である。
そのため,本相違点に係る本願発明の構成については,主位的には上記(解釈1)の趣旨と解したうえで検討を行うこととする。上記(解釈2)の趣旨の場合については,予備的な検討に留めることとする。


5.判断

(1)相違点1について
引用発明1における「特別リーチ停止態様」は,もともと停止図柄が「当たり」である場合か,1図柄だけ「当たり前後」という,非常に惜しい結果となる場合に限られている。
ここで,たとえば特開2001-327698号公報(以下,「周知文献1」という。)の段落【0025】には,「そして,S2において,「大当り」として判定された場合には(S2:YES),S3において,大当たりとなることを予告するための特定図柄,例えば毛虫Aを図5(a)に示すように画面に登場させる。これは,変動図柄の変動開始と同時に行われる。ここで,毛虫Aの映像データと,背景画の映像データとは,キャラクタROM46に予め記憶されている。図5では,変動図柄表示を省略して記載している。遊技者は,この毛虫の登場Aにより50%の確率で大当たりとなることを認識することができる。確率が100%でないのは,後で説明するが,毛虫Aは大当たりでないときにも,所定の確率で登場するからである。毛虫Aが登場したら100%大当たりとする処理を行うことも良い。そうすれば,遊技者は,変動図柄の変動により大当たりとなる可能性を認識し,間をおかずに大当たりとなったか否かを知ることができるため,パチンコ機に弄ばれている不快感を,パチンコ機の制御に詳しい遊技者に与えることがない。」との記載がある。
このように,当たりを想起させる特別なリーチや予告演出について,結果が当たりとなる場合以外にも出現させるか,あるいは結果が当たりとなる場合のみに出現させるかは,適宜に選択すればよい事項であることが,従来から広く知られていたものである。そして,結果が当たりとなる場合のみに出現させるようにした場合には,期待をさせておきながら遊技者をガッカリさせることがないという,後者を選択した場合の効果についても,本願出願前から知られた当たり前の事項に過ぎない。
これらのことは,上述した周知文献1のほかにも,たとえば特開平10-263160号公報の段落【0004】,特開2001-321512号公報の段落【0068】,特開2000-116851号公報の段落【0095】,特開2001-137437号公報の段落【0069】,特開2000-279595号公報の段落【0043】の記載からも明らかである。
以下では,当たりとなる場合のみに予告演出を行うことと,そうした場合の効果とを,併せて「周知技術1」ということとする。
そうであれば,引用発明1を出発点とした場合にも,もともと結果が「当たり」あるいは「当たり」に極めて近い場合のみに限られていた「特別リーチ停止態様」を,上記の周知技術1を勘案することにより,「当たり」の場合のみに限定することは,当業者であれば何らの困難性もなく想到できた選択肢の一つに過ぎない。そしてまた,そうした場合の効果も,事前に十分に予測できた事項と言うべきである。
さらに,上述した周知文献1には,予告のために「毛虫」の画像を用いる例が示されているところ,「液晶表示装置」による「図柄変動表示装置50」を用いる場合の引用発明1において,「特別リーチ停止態様」で併せて予告画像を出現させることも,当業者であれば適宜なし得た程度の事項というほかはない。
したがって,相違点1に係る本願発明の構成を得ることは,上記周知技術1に照らして,当業者であれば容易である。

(2)相違点2について
引用発明1では,「当たり」とならず「特別リーチ停止態様」が出現する場合にも,遊技者に演出上の刺激を与え得ることから,「特別リーチ停止態様」が出現するまでの図柄の変動回数が所定回数を超えた場合に,「特別リーチ停止態様」の出現確率を上げていた。しかしながら,相違点1について検討した如く,「特別リーチ停止態様」の出現を「当たり」の場合のみに限った際には,「特別リーチ停止態様」が出現すれば必ず「当たり」になるとともに,「特別リーチ停止態様」は,遊技者にとって最も喜ばしい「当たり」に対する付随的演出という位置づけとなる。
そうであれば,相違点1の構成を採るに際して,「当たり」以外では出現しないとともに「当たり」に比較すれば遊技者への刺激が乏しい「特別リーチ停止態様」までの図柄変動回数によって,予告報知の確率を変更するのではなく,遊技者にとって最も喜ばしい「当たり」までの図柄変動回数によって,予告報知の確率を変更するようにすることは,当業者であれば適宜なし得る設計事項程度と言うべきである。
また,特開2000-271300号公報(以下,「引用例2」という。)には,段落【0142】?【0144】に,次の記載がある。
「【0142】また,大当り状態が発生した時点での表示内容(大当り時表示パターン:図18では(d)に対応)の種類を,表示制御基板80が,前回の大当り状態が発生してから今回大当り状態が発生するまでの始動入賞に基づく可変表示回数(大当り状態間変動回数)に基づいて,決定することができる。なお,表示制御基板80は,前回の大当り状態を表示させるコマンドが送られてきてから,今回の大当り状態を表示させるコマンドが送られてくるまでの,全図柄の変動を開始させるコマンドが送信されてきた回数を記憶することにより,上記の大当り状態間変動回数を記憶する。図24に,予めA?Cの3つの大当り時表示パターンが準備されている場合に,実際に表示される大当り時表示パターンが,大当り状態間変動回数に応じて変化することを説明するための図を示す。
【0143】図24を参照して,大当り状態間変動回数が50回以下であれば,大当り時表示パターンとしてBが表示される。また,大当り状態変動回数が700回以上であれば,大当り時表示パターンとしてCが表示される。そして,それ以外の場合(通常時),すなわち大当り状態間変動回数が51?699回であれば,大当り時表示パターンとしてAが表示される。
【0144】図25に,大当り時表示パターンの一例を示す。図25(a)は,大当り時表示パターンC(図24参照)の表示例を示す。図25(a)の表示例では,「ハマリ脱出よかった!」という,始動入賞に基づく変動表示が比較的多く行なわれたにも関わらずなかなか大当り状態が発生しなかった状態からやっと大当り状態が発生した際の遊技者の気持ちに同情するような,メッセージが表示されている。」

すなわち,始動入賞による変動表示が多く行われたにも関わらずなかなか大当たり状態が発生しなかった状態からやっと大当たり状態が発生した際の遊技者に対して,該遊技者の気持ちに応じた演出表示を行うこと,そのために前回大当たりからの図柄変動回数に応じた演出表示の変更を行うことが開示されている(以下,「引用発明2」という。)。
そうであれば,引用発明1を出発点とする場合,相違点1の構成を採用するのに併せて,「当たり」に対する付随的演出となる「特別リーチ停止態様」について,前記引用例2の開示を参酌して,苦労したうえでようやく「当たり」となった場合には,遊技者の気持ちに応じた特別な演出の確率を高めるという観点から,当たり時のみに現れる「特別リーチ停止態様」の出現確率を高めることも,当業者であれば想到容易である。
したがって,相違点2に係る本願発明の構成を得ることは,相違点1に係る本願発明の構成を採るうえで設計事項程度であるか,そうでなくとも引用発明2に基づいて当業者であれば容易である。

(3)相違点3について
相違点3の前半部分については,相違点2に係る本願発明の構成を採るうえでは当然であり,設計事項程度である。
すなわち,引用発明1を出発点としても,当たりとなるまでの図柄の変動回数により特別リーチ停止態様の抽選確率を変更する以上は,「変動回数カウンタ」には,「当たり」となるまでの図柄変動回数を計数させるべきことは明らかであるから,そうすることは設計事項程度である。
次に,相違点3の後半部分について検討する。
たとえば,前記引用例2には,段落【0131】に,「また,可変表示部9におけるリーチ状態の発生時の表示を,始動入賞に基づく可変表示動作の実行回数(出現回数)と,大当り状態の発生回数(大当り回数)とに基づいて変化させることもできる。このような例を,図20を用いて説明する。なお,この場合に利用される出現回数は,表示制御手段基板80によって記憶される。具体的には,表示制御基板80は,遊技制御基板31から送られるコマンドの中の,可変表示部9において全図柄の変動を開始させるコマンドが送信されてきた回数を記憶することにより,上記の出現回数を記憶する。」と記載されている。
また,たとえば特開2000-279591号公報の段落【0231】には,「(4) 主制御基板31から表示制御基板80への表示制御コマンドデータの送信は,次のような態様で行なうようにしてもよい。可変表示の開始時期に,特別図柄の表示結果と,可変表示時間とのみを示す表示コマンドデータを主制御基板31(基本回路53)から1回のみ送信する。そして,表示制御基板80においては,特別図柄の表示結果と可変表示時間との組み合わせのそれぞれについて,演出表示制御用のデータ(プログラムを含む)を記憶しておき,受信した表示コマンドデータにより示される特別図柄の表示結果と,可変表示時間との組み合わせから対応する演出表示制御用のデータを選択し,その演出表示制御用のデータに基づいて,表示制御用CPU101が可変表示部9における演出表示制御を行なう。このようにすれば,基本回路53は,可変表示開始時において簡単なデータ構造の表示制御コマンドデータを送信するだけで,表示制御基板80側(表示制御用CPU101)が主体となって可変表示に関する制御を実行する。これにより,可変表示装置での可変表示に関する制御負担を一層低減することができる。」と記載されている。
さらに,たとえば特開2001-672号公報の段落【0132】には,「以上,図18を用いて説明したように,遊技制御基板31側から表示制御基板80に対しては,特別図柄の変動に関し,「変動開始時期」,「確定図柄」,「図柄確定時期」の3種類の情報のみが出力される。表示制御基板80は,これら3種類の情報に従い,リーチ演出の内容や予告の有無などを独自に決定する。」と記載されている。
このように,遊技機において,当たりを発生させるか否かの抽選等,遊技を統括制御する動作を,遊技制御基板に分担させる一方,予告等の演出動作については,遊技制御基板からの指令情報を受けて自己判断する周辺部材に分担させることは,周知技術(以下,「周知技術2」という。)である。
そうであれば,引用発明1を出発点とする場合にも,上記周知技術2を参酌して,演出の一つである特別リーチ停止態様の確率を変更するための手段である「変動回数カウンタ」を,停止図柄を決定して遊技を統括制御する手段の外部に設けるとともに,決定された停止図柄を指定する情報を受信して1を加算し,同情報が当たりの停止図柄を指定する情報を含むことを判別して0にリセットするように構成することは,想到容易と言わざるを得ない。
すなわち,相違点3の後半部分は,前記周知技術2に基づいて,想到容易である。
したがって,相違点3に係る本願発明の構成を得ることは,前記周知技術2に基づいて,総じて,当業者であれば容易である。

(4)相違点4について
相違点4の前半部分については,相違点2に係る本願発明の構成を採るうえでは当然であり,設計事項程度である。
すなわち,引用発明1を出発点としても,当たりとなるまでの図柄の変動回数により特別リーチ停止態様の抽選確率を変更する以上は,停止図柄が「当たり又は当たり前後であるか否か」の判定に代えて,停止図柄が「当たりか否か」を判定させるべきことは明らかであるから,そうすることは設計事項程度である。
次に,相違点4の後半部分について検討する。
相違点3の後半部について述べたとおり,遊技機において,当たりを発生させるか否かの抽選等,遊技を統括制御する動作を,遊技制御基板に分担させる一方,予告等の演出動作については,遊技制御基板からの指令情報を受けて自己判断する周辺部材に分担させることは,周知技術(当審注,前述「周知技術2」)である。
そうであれば,引用発明1を出発点とする場合にも,上記周知技術2を参酌して,演出の一つである特別リーチ停止態様の実行を分担する手段を,停止図柄を決定して遊技を統括制御する手段の外部に設けるとともに,決定された停止図柄を指定する情報を受信して,同情報が当たりの停止図柄を指定する情報を含むか否かを判定したうえで,変動回数カウンタのカウンタ値の判定等,後続する動作を行うように構成することは,想到容易と言わざるを得ない。
すなわち,相違点4の後半部分は,前記周知技術2に基づいて,想到容易である。
したがって,相違点4に係る本願発明の構成を得ることは,前記周知技術2に基づいて,総じて,当業者であれば容易である。

(5)相違点5について
引用発明1における「特別リーチ停止態様」は,もともと最後に停止させる図柄表示列以外の図柄表示列については,通常速度で順次停止させた後,リーチとなった時点で,最後に停止させる図柄表示列を,通常以上に低速とするものであった。すなわち,通常のリーチとは異なると遊技者に認識させる時点は,厳密にリーチとなった瞬間か否かは不明であるとしても,リーチとなるのと略同時かそれ以降程度であることが実際上予定され,また強く示唆されていたと言うべきである。
そうであれば,相違点1について検討したように,「液晶表示装置」による「図柄変動表示装置50」を用いる場合の引用発明1において,「特別リーチ停止態様」で併せて予告画像を出現させる際にも,予告画像の出現によって通常と異なる変動態様であることを遊技者に明瞭に印象づける時点を,リーチとなるのと略同時とすることは,設計事項程度というほかはない。
すなわち,「特別リーチ停止態様」において,予告画像を併せて出現させる時点を,リーチとなるのと略同時と設定し,もって「特別リーチ停止態様」が「第4抽選テーブルを用いた95%の確率の抽選」に当選して実行される場合にも,リーチとなるのと略同時に予告画像が現れるようにすることは,設計事項程度である。
したがって,相違点5に係る本願発明の構成を得ることは,(解釈1)の主位的解釈の場合について,設計事項程度である。
また,相違点5について,仮に(解釈2)の場合について予備的に検討したとしても,相違点2について述べた引用発明2の観点から,なかなか当たりが発生しなかった状態からやっと当たりが発生した場合と,さほど苦労なく当たりが発生した場合とで,演出内容を異ならせることは想到容易であり,具体的にどう異ならせるかは当業者が適宜選択できる設計事項というべきである。そのため,(解釈1)について述べたとおり,リーチとなるのと略同時に予告画像が現れる態様を,なかなか当たりが発生しなかった場合の「特別リーチ停止態様」とする一方,さほど苦労なく当たりが発生した場合には,それとは異なる「特別リーチ停止態様」として,(解釈2)の場合の相違点5に係る本願発明の構成を得ることも,当業者であれば想到容易である。
よって,相違点5に係る本願発明の構成を得ることは,結局のところ設計事項であるか想到容易である。

(6)進歩性のまとめ
以上のとおり,相違点1?5は,当該相違点に係る本願発明の構成を得ることが当業者にとって容易であるか,または設計事項程度であり,当該構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって,本願発明は,引用発明1,引用発明2及び上記周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。


第3 むすび

本願発明が特許を受けることができない以上,本願は拒絶せざるを得ない。

よって,結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2010-03-12 
結審通知日 2010-03-23 
審決日 2010-04-05 
出願番号 特願2001-373968(P2001-373968)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 綾子  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 吉村 尚
有家 秀郎
発明の名称 遊技機  
代理人 竹沢 荘一  
代理人 中馬 典嗣  

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