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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F
管理番号 1220358
審判番号 不服2008-18040  
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-14 
確定日 2010-07-14 
事件の表示 特願2005-140392「プラズマ表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月 2日出願公開、特開2005-331945〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本件発明の認定
本件出願は平成17年5月12日(パリ条約による優先権主張 平成16年5月18日、大韓民国)の特許出願であって、平成19年8月16日付けで拒絶理由が通知され、同年11月16日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月6日付けで拒絶理由(いわゆる「最後の拒絶理由通知」である。)が通知され、平成20年3月11日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年3月11日付けの手続補正が同年4月9日付けの補正の却下の決定により却下されるとともに、平成19年12月6日付けの拒絶理由通知書に記載した理由により平成20年4月9日付けで拒絶査定がなされたため、これを不服として同年7月14日に本件審判請求がなされ、同日付けで明細書及び特許請求の範囲について手続補正がなされ、同年9月1日付けで拒絶理由が通知され、同年12月8日付けで意見書が提出されたものである。
そして、当審においてこれを審理した結果、平成21年10月15日付けで拒絶理由を通知したところ、平成22年1月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
したがって、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、平成22年1月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める(なお、当審は、平成22年1月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された「備えることを特徴とすることを特徴とする」は、「備えることを特徴とする」の誤記と認める。)。

「プラズマ表示パネル;
前記プラズマ表示パネルを一の側に結合し、且つ支持するシャシベース;
前記シャシベースにおける前記プラズマ表示パネルを結合し、且つ支持する前記一の側と反対側に、前記シャシベースに対して平行に、且つ前記シャシベースと離隔して設置される回路ボードアセンブリー;
該回路ボードアセンブリーの上面に実装される集積回路モジュール;及び
前記集積回路モジュールの上面に結合されて放熱機能を遂行するヒートシンク;
を含み、
前記ヒートシンクは、断面コ字状であり、
前記集積回路モジュールの前記上面に結合されて、前記回路ボードアセンブリーに平行に、且つ前記回路ボードアセンブリーの外側に延在する第1部分と、
該第1部分から前記シャシベースに向かって曲がるように延在して、前記回路ボードアセンブリーの外側に位置する第2部分と、
該第2部分から延在して、その下面が前記シャシベースと面接触する第3部分と、
を含み、
前記第1部分及び前記第2部分は、前記ヒートシンクの外側方向に向けて配置された複数の放熱ピンをさらに備えることを特徴とするプラズマ表示装置。」

第2 当審の判断
1 引用刊行物の記載事項
平成21年10月15日付けの拒絶理由において引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-13883号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の(ア)?(コ)の記載が図面とともにある。

(ア)「【請求項3】端面に表示電極が設けられた平面型表示パネルと、
前記表示パネルの裏面に取り付けられたシャーシと、
前記表示電極の端子の並びに平行に設けられた梁状構造と、
前記表示電極を駆動するためのドライバICチップが搭載された基板、及び前記ドライバICチップから導き出されて前記表示パネルの前記表示電極に接続されるフレキシブル基板とを有するドライバIC実装モジュールとを備え、
前記ドライバIC実装モジュールの前記基板の裏側は、前記梁状構造に直接的又は熱伝導体を介して接触する構造を有することを特徴とする平板型表示装置。」

(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドライバIC実装モジュール及びそれを使用した平板型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の平板型表示パネルを用いた表示装置の開発、進歩は目覚ましいものがあり、特に3電極面放電構造を有するAC型PDP(plasma display panel)は大画面化、カラー化が容易であることから、大型テレビ等の用途で実用化、応用化が進んでいる。
【0003】図1は、3電極面放電構造のAC型PDPの平面の模式図と駆動回路ブロック図を示し、図2は、そのAC型PDPの表示セルの断面図を示している。AC型PDPパネルは、前面ガラス基板101 と背面ガラス基板102 が間隔をおいて相対向して配置されている。前面ガラス基板101 のうち背面ガラス基板110 との対向面には、透明導電材よりなる表示用の維持電極が平行に複数本形成されている。維持電極は交互に配置されるX電極x_(n) (nは整数)とY電極y_(n) (nは整数)から構成されており、発光表示された1つのセル領域103 を区画するX電極x_(n) とY電極y_(n) には維持電圧が印可される。
【0004】また、背面ガラス基板110 のうち前面ガラス基板101 との対向面上には、維持電極x_(n) 、y_(n) と直交する形で複数本のアドレス電極a_(m) (mは整数)が配置されており、1本のアドレス電極a_(m) と1組の維持電極x_(n )、y_(n) とが交差した空間が単一の表示セル103 となる。それらのアドレス電極a_(m) に選択的にアドレス電圧を印加するか否かによって1つの表示セル103 の表示又は非表示のいずれかを選択するようになっている。
【0005】維持電極x_(n) , y_(n) は保護膜104 により覆われ、また、アドレス電極a_(m) は誘電体膜105 に覆われている。誘電体膜105 のうちアドレス電極a_(m) の両側の領域の上には、絶縁性の隔壁106 が形成されている。また、隔壁106 と誘電体膜105の表面には、赤、緑又は青の蛍光体107 が塗布されている。なお、アドレス電極a_(m) と維持電極x_(n) 、y_(n) の間には対向電極間容量Cg が存在し、またアドレス電極a_(m) 相互間には隣接電極間容量Ca が存在している。
【0006】AC型PDPの駆動回路の主要部は、図1に示したように、アドレス電極a_(m)を駆動するアドレスドライバ回路111 と、Y電極y_(n) を独立して駆動し走査するための走査ドライバ回路112 と、走査ドライバ112 を介してY電極y_(n) に維持電圧を印加するためのY共通ドライバ回路113 と、X電極x_(n) に維持電圧を印加するX共通ドライバ回路114 と、それらのドライバ回路111 ?114 を制御する制御回路115 から構成されている。
【0007】制御回路115 は、外部からのクロック信号CLK及び表示データDに基づいてアドレスドライバ回路111 を駆動する表示データ制御部116 と、外部からの水平同期信号H_(sync)と垂直同期信号V_(sync)に従って走査ドライバ回路112 を駆動するための走査ドライバ制御部117 と、外部から入力される水平同期信号H_(sync)と垂直同期信号V_(sync)に従ってX共通ドライバ回路114 及びY共通ドライバ回路113を駆動するための共通ドライバ制御部118 とを有している。また、表示データ制御部116 は、表示データを格納するためのフレームメモリ119 を有している。
【0008】以上の回路構成において、走査ドライバ回路112 とアドレスドライバ回路111に関しては、複数のY電極y_(n) 、複数のアドレス電極a_(m) に選択的に駆動パルスを印加するための回路が必要となり、その回路は、通常、IC化された半導体素子を主要回路部品として使用している。例えば、42インチクラスのPDPでは、走査側には480本のY電極y_(n) が存在し、アドレス側には2556本(852画素×3( RGB) )分のアドレス電極a_(m) が存在しており、それらの電極に一対一で接続される出力パッドを有するドライバ(駆動回路)が必要となる。
【0009】通常、そのようなドライバとしては、64電極を駆動できる64回路分が集積化されたドライバICチップが用いられているのが一般的である。従って、通常、Y電極側には電極480本に対して8個のドライバICが使用され、アドレス電極側には電極2556本に対して40個のドライバICが用いられる。
【0010】多数のドライバICを駆動回路としてPDP装置に組み込むためには、多数本の電極に対する電気的接続を確実に且つ高信頼で行うとともにそれらの駆動回路を小型、薄型にして表示パネルの裏側に実装する高密度実装技術が要求されることになる。例えば、従来のPDP装置では、図3に示すように、複数本の骨素材120,121を交差させて構成されるシャーシ122 の一面上に表示パネル123 を張り付けるとともに、そのシャーシ122 の他面上に複数のドライバICチップを取り付ける構造となっている。それらの骨素材120,121 は、断面がハット状となる金属製の棒状体である。
【0011】ドライバICチップの実装構造として、複数のドライバICチップを1つの基板上に集積してモジュールとし、このモジュールをPDP装置内に組み込むような手法がとられている。そのようなドライバIC実装モジュールとしては、図4(a),(b) に示すようなCOB(chip on board) 構造又は図5(a),(b) に示すようなCOM(chip on multiple board)構造がある。
【0012】COB構造は、図4(a),(b) に示すように、プリント基板131 と、プリント基板131 の一側部に熱圧着されたフレキシブルフラットケーブル(以下に、FFCという。)132 と、プリント基板131 の他側部に熱圧着されたフレキシブル基板133 を有しており、そのプリント基板131 上に複数個のベアチップ状のドライバIC130 を直接に取り付けるとともに、各ドライバIC130 上の各種のパッド(不図示)をプリント基板131 上の配線134,135 にワイヤボンディング接続するような構造を有している。ドライバIC130 上のパッドには、電源パッド、入力信号パッド、出力パッド等がある。
【0013】プリント基板131 上の出力側の複数の配線135 は、フレキシブル基板133 上の複数の配線136 と一対一で熱圧着により接続されている。また、プリント基板131 上の入力側の複数の配線134 は、FFC132 の複数の配線137 とそれぞれ一対一で半田付けにより接続されている。なお、図4(b) 中符号138aは、プリント基板131 の裏面の入力側に形成された入力信号用と電源用の配線パターンを示している。その配線パターン138aは、FFC132 から入力された各種配線を複数個のドライバIC130 に分配するためにスルーホールを利用したり、基板裏面の配線パターンを利用することによって3次元の配線構造を有している。また、図4(b) において符号138bは、その裏面の出力側に形成された高圧電源パターンを示し、138cは、その裏面のドライバIC130 の下方に形成されたアースパターンを示し、139 は、プリント基板131 の上面に形成された電圧電源パターンを示している。
【0014】これに対して、COM構造は、図5(a),(b) に示すように、プリント基板141と、プリント基板141 の一側部に半田付けされたFFC142 と、プリント基板141 の他側部に接着されたフレキシブル基板143 とを有している。ベアチップ状のドライバIC140 上の出力側の複数のパッドは、フレキシブル基板143 上の複数の配線146 に一対一でワイヤボンディング接続されている。また、プリント基板141 上の入力信号用、電源用の配線145 は、FFC142 から入力された各種配線を複数個のドライバIC140 に分配するために基板のスルーホールを利用したり、基板裏面の配線パターンを利用することによって3次元の配線構造を有している。それらの配線145 の一端は、それぞれドライバIC140 の入力信号、電源用のパッドに一対一でワイヤボンディングにより接続されている。
【0015】なお、図5(b) 中符号148aは、プリント基板141 の裏面の入力側に形成された入力信号用と電源用の配線パターンを示し、148bは、その裏面のドライバIC140 の下方に形成されたアースパターンを示し、148cは、プリント基板141 の表面の出力側に形成された高圧電源パターンを示している。COM構造のドライバIC実装モジュールによれば、ドライバICの出力側での熱圧着による配線同士の接続が不要であるので、COB構造のものに比べて高信頼で且つ高密度を実現される。
【0016】以上のように、COB構造とCOM構造の実装構成上の違いから、フレキシブル基板134,144 の配線の出力側が、COBとCOMとでは、プリント基板131,141 の上面(ドライバIC130,140 の取り付け面)に対して逆方向に露出することになる。即ち、COB構造ではプリント基板131 のうちドライバIC130 の搭載面とフレキシブル基板の配線136 の出力端の露出面とが逆向きになるのに対して、COM構造ではドライバIC140 の搭載面とフレキシブル基板143 の配線146 の出力端の露出面の向きが同じになる。
【0017】次に、面放電AC型PDPのシャーシ122 へのドライバIC実装モジュールの取り付けについて次に説明する。図4に示したCOB構造のドライバIC実装モジュールM1 は、例えば図6に示すようにプリント基板131 を絶縁シート126 を介してシャーシ122 の骨素材121 上にネジ127 により固定される。この場合、プリント基板131 のICチップ搭載面とフレキシブル基板133 上の出力端子面が逆向きに存在するために、ICチップ搭載面の裏側がパネル123 に向いた状態で固定するような状態で取り付けられる。なお、絶縁シート126 の代わりに円柱状のボスを用いてプリント基板131をシャーシ122 にネジ止めしてもよい。
【0018】これに対して、図5に示したCOM構造のドライバIC実装モジュールM2 は、例えば図7に示すようにシャーシ122 の骨素材121 上に取り付けられた円柱状のボス124 の頂面にネジ125 を用いてプリント基板141 を固定するような状態で取り付けられる。この場合、プリント基板141 のICチップ搭載面とフレキシブル基板143 の配線146 の露出面とが同じ向きになっているために、プリント基板141 のICチップ搭載面がパネル123 に向いた状態で固定されている。」

(ウ)「【0023】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図4、図5に示したようなモジュール化されたドライバICを長期間に渡って安定な動作を保証するためには、ドライバICの発熱を抑える構造が必要になる。即ち、AC型PDP装置、EL表示装置などの発光型の表示パネル用においては、原理的な動作特性として画素に発光エネルギーを供給するのみならず、パネルの容量成分に対する充放電電流を供給することも必要である。このため、ドライバIC内部に流れる電流が大きくなってそれ自身での発熱量も高くなり、内部での電力損失が大きくて無視できないレベルになる傾向にある。
【0024】特に、42インチクラスの大型パネルでは、表示パネルの電極あたりの画素数が多いことから、各ドライバICでの電力消費が大きくて発熱量も益々大きくなり、その発熱を効率よく外部に放散させてドライバIC自身の温度上昇を抑えるための適切な構造が必須となる。しかしながら、図5,図7に示したような従来のCOM構造のドライバIC実装モジュールの構造及び組み込み構造においては、ドライバIC130 で発生した熱はプリント基板131 以外への逃げ場がなく、プリント基板131 とフレーム122の間で熱が籠もってしまいドライバIC130 自身の温度が上昇して長時間に渡る信頼性が保証できなくなるおそれがある。
【0025】これに対して、図4、図6に示したような従来のCOB構造のドライバIC実装モジュールの構造及び組み込み構造においては、シャーシ122 の一部を放熱板として利用しようとするものであり、シャーシ122 に凸状の金具を設けるか、或いは、直接的にプリント基板131 の裏面をシャーシ122 に接触させることによってドライバIC130 からの熱を放散させることが好ましい。
【0026】しかし、従来のCOB構造のドライバIC実装モジュールでは、プリント基板131 裏面側には、高圧電源配線や信号配線が形成されているために、プリント基板131 の裏面を金具やシャーシに直に接触させることは不可能であり、絶縁シート126 を省くことができない。この結果、プリント基板131 からの放熱は絶縁シート126 を介してのシャーシ122 への放散となるために、その放熱効果には限界があり、信頼性を保証できるレベルまでは至っていないのが現状である。
【0027】さらに、前述したように、COB構造では、プリント基板131 上の出力側配線とフレキシブル基板133 上の配線を互いに熱圧着で接続する構造が必須となる。しかし、プリント基板131 とフレキシブル基板133 のそれぞれの上に多数配置された配線はピッチが細かいので、対向する配線同士の位置合わせにズレが生じて配線間がショートしたり異物混入による接触不良が起きやすくなる。特に、配線ピッチが高精細で配線長さが長くなるほど、接続品質、信頼性が保証しにくくなる。
【0028】本発明の目的は、放熱効果の高いICモジュール又は放熱効率の高いシャーシ構造を有するドライバIC実装モジュールとこれを用いる平板型表示装置を提供することにある。」

(エ)「【0032】(中略)
(2)上記した課題は、端面に表示電極が設けられた平面型表示パネルと、前記表示パネルの裏面に取り付けられたシャーシと、前記表示電極の端子の並びに平行に設けられた梁状構造と、前記表示電極を駆動するためのドライバICチップが搭載された基板、及び前記ドライバICチップから導き出されて前記表示パネルの前記表示電極に接続されるフレキシブル基板とを有するドライバIC実装モジュールとを備え、前記ドライバIC実装モジュールの前記基板の裏側は、前記梁状構造に直接的又は熱伝導体を介して接触する構造を有することを特徴とする平板型表示装置によって解決する。
【0033】次に、本発明の作用について説明する。本発明によれば、表示パネル背面のシャーシに対して梁状構造を付加し、或いはシャーシ自身を一部梁状構造に形成することにより機械的強度を保持するとともに、この梁状構造の平板状の平坦面にドライバIC実装モジュールの基板面を接触させるようにした。
【0034】これにより、ドライバICからの熱は、梁を経由させてシャーシに拡散されることになる。即ち、シャーシ自身にドライバICの熱放散のための機能を持たせて、熱特性を改善するとともに、シャーシ本来の機械的強度を保持する機能をそのまま持たせて、全体として薄型で熱特性の改善された組み込み実装構造が実現される。
【0035】特に、シャーシをほぼパネルの背面側前面をカバーする範囲の平板状金属板で形成する構造によれば、シャーシが広い面積を有することによりドライバICからの発熱のみならず、表示パネルや他の駆動回路基板からの発熱に対する放熱及び熱拡散板としての作用も果たし、装置全体の熱特性を改善するとともに、梁楮の付加により機械的強度も保持できるため、薄型で機械的強度の十分な平板型表示装置が実現される。」

(オ)「【0036】
【発明の実施の形態】そこで、以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)図9(a),(b) 及び図10(a),(b) は、本発明の第1実施形態に係る第1及び第2のドライバIC実装モジュールの平面図及び断面図である。なお、以下に述べるドライバIC実装モジュールにおいては、表示パネルに接続される側を出力側とし、シャーシ上のデバイスに接続される側を入力側として説明するが、これら入力側、出力側の用語は、実際の信号の進行方向を限定するものではない。
【0037】まず、図9(a),(b) に示すモジュールにおいては、ガラスエポキシ、ベークなどの絶縁材よりなるプリント基板11の上面の中央領域には、ドライバICチップ10が載置される複数のダイボンディングパターン(アースパターン)11hが形成されている。また、プリント基板11の上面の入力側領域には、外部回路に接続するための複数の入力端子11cと、この入力端子11cに接続された制御用入力信号配線11d、低圧電源配線11e、高圧電源配線11f及びアース配線11gが形成されている。ドライバICチップ10の入力側近傍の領域には、入力信号配線11dが数百μmピッチで形成されるとともに、低圧電源配線11eが形成され、また、出力側近傍の領域には高圧電源配線11fに接続され、ベタ状に形成された高圧電源プレーン11iが配置されている。
【0038】ドライバICチップ10の裏面は、導電性接着剤によってアース電位のダイボンディングパターン11hに取り付けられている。また、ドライバICチップ10上のパッド10aは、導電線10bを介してダイボンディングパターン11h、入力信号配線11d、低圧電源配線11e及び高圧電源プレーン11i等にワイヤボンディングされている。
【0039】ダイボンディングパターン11h、入力配線11d、低圧電源配線11e及び高圧電源プレーン11i等は、それぞれ18?35μm程度の銅箔をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより形成される。プリント基板11の入力領域には、入力端子11cより入力された複数の入力信号配線11dと低圧電源配線11eを4個のドライバICチップ10に分配するためのクロス配線が形成されており、これは、複数のスルーホール11n,11p、および下面に形成された複数の配線11j,11kによりクロス配線され、再び上面のドライバICチップ10の入力側近傍に再配列するためのものである。また、プリント基板11の下面の中央から出力側の領域には、ベタ状のアースプレーン11mが広い領域で形成されており、このアースプレーン11mは、サーマルバイアとしても機能するスルーホール11qを通してダイボンディングパターン11hに電気的に接続されている。
【0040】プリント基板11の上面にベタ状に形成された高圧電源プレーン11iの上には、ポリエステル、ポリイミドのような絶縁材よりなるベースフィルム12a及び被覆フィルム12bにより挟まれた銅製の複数の配線12cを有するフレキシブル基板12が取り付けられている。それらの配線12cの出力端領域12eは下側から露出される一方、その入力端領域12dは上側から露出されている。即ち、フレキシブル基板12の配線12cでは、出力端領域12eの露出面と入力端領域12dの露出面は互いに逆向きになっている。
【0041】そのフレキシブル基板12の配線12cの入力端領域12dと、ドライバICチップ10のボンディングパッド10aとはワイヤボンディング法によって導電線10bを介して互いに接続されている。上述したプリント基板11の上面の入力側領域には、低圧電源配線11eおよび高圧電源配線11fに対してアース配線11gとの間にバイバスコンデンサであるチップコンデンサ13a、13bが各々表面実装されている。
【0042】また、プリント基板11の入力端子11cには、FFC14の複数の出力端子14dが半田付けによって接続されている。そのFFC14は、導電線14bを覆うポリエステル、ポリイミドなどの絶縁性被覆膜14aを有している。なお、プリント基板11の入力側領域の両側寄りにはそれぞれ固定用孔11bが開けられており、それらの固定用孔11bには、ネジなどを通すことによってプリント基板11を表示装置のシャーシに固定するようになっている。
【0043】図9に示したドライバIC実装モジュールは、入力部にFFC14を使用した例であったが、コネクタを使用することも可能であり、図10にプリント基板11の入力部の下面側にコネクタ15を実装したタイプのものを示す。即ち、プリント基板11の入力領域の上面側にはコネクタ15のピン15aを突き出す形でスルーホールおよびランド部に半田付けされている。それ以外の構成は、図9と同様であり、説明を省略する。」

(カ)「【0112】(中略)
(第8の実施の形態)上記した実施形態では、ドライバIC実装モジュールが取り付けられるシャーシの構造として、複数の骨材を交差させて組み込んだ構造を採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、上記した実施形態の代わりに、図32に示すような構造を採用してもよい。
【0113】図32に示すPDP装置のシャーシ55は、表示パネルが前面に貼り付けられる平板状の金属板55aを有し、その金属板55aの背面には、補強のために断面ハット形の骨素材55b、55cが複数箇所に平行して取り付けられている。また、その金属板55aの背面の一側部には、断面がZ形状(階段形状)の金属製の梁56の下段部56aがTOX、ヘンロブリベットなどを用いてカシメ締結され、その上段部56bにはドライバIC実装モジュールM_(0) が取り付けられている。
【0114】また、各骨素材55b相互間、骨素材55b・梁56相互間には複数のドライバ搭載基板57a?57c、電源基板57d等が橋渡しされて取り付けられている。ドライバIC実装モジュールM_(0) として図10に示した構造のものを採用する場合には、ドライバIC実装モジュールM_(0) は図33に示すような状態で梁56の上段部56bの上に取り付けられる。
【0115】図33において、金属板55aに取り付けられた断面Z形状の梁56の上段部は金属板55aから浮き上がった状態となっていて、その上段部55a(当審注:「上段部55a」は「上段部56b」の誤記と認める。)の上には図10に示したプリント基板11が載置されネジ止めされている。即ち、梁56の上段部56bの裏側にプレスナット58aを圧入しておき、そのプレスナット58aにプリント基板11の取り付け孔11bを重ねておき、その孔11bを通してプレスナット58aにビス58bを取り付ける。
【0116】そのプリント基板47は、その下面のアースプレーン11mを梁56の上段部56a(当審注:「上段部56a」は「上段部56b」の誤記と認める。)の上面に接触させる一方で、その下面の信号配線50e、電源配線50fは梁56から外れた領域に配置されていてアースプレーン11mとの短絡が防止されている。プリント基板11の下面の配線11n,11j,11p,11kは、コネクタ15を介してバス基板8に接続されている。また、プリント基板11に接続されたフレキシブル配線12は湾曲して表示パネル5の背面ガラス基板102上の電極5aに接続されている。
【0117】以上のような、シャーシ55においても、ドライバICチップ10から発生した熱はプリント基板11及びアースプレーン11m及び梁56を介して外部に放熱することが可能になる。しかも、アースプレーン11mは、梁56を介してアース電位に保持されることになる。以上のような構造のシャーシ55を採用すると、ドライバIC10からの発熱のみならず、表示パネル5や他の駆動回路基板からの発熱に対する放熱及び熱拡散板としての作用を奏し、PDP装置全体の熱特性が改善されるとともに、梁56の付加により機械的強度も保持できるために、薄型で機械的強度も十分な構造が実現されることになる。
【0118】(中略)
(第9の実施の形態)上記した第8の実施形態では、断面がZ形状の梁56を介してシャーシ55,14(当審注:「シャーシ55,14」は「シャーシ55」の誤記と認める。) 上にドライバIC実装モジュールM_(0) のプリント基板11を取り付けるような構成について説明した。
【0119】その梁56は、断面がZ形状のものに限るものではなく、以下に述べるような構造であってもよい。例えば、図34に示すような断面がU字形状(溝形状ともいう)の梁60がある。その梁60は互いに対向する上部60aと下部60bを有していて、下部60bはシャーシ4,55側に固定され、上部60aにはプリント基板11が取り付けられる。この場合にも、プリント基板11下面のアースプレーン11mのみが梁60に接触する状態で、プリント基板11が梁60の上部にネジ(不図示)等により固定される。
【0120】なお、図33に示した断面Z形状の梁56と図34に示した断面U字状の梁60はそれぞれ平板金属板を折り曲げ加工して得られる。その他の構造の梁として、図35に示すような角管形状の梁61、図36に示すようなH形状の梁62、図37に示すような断面T形状の梁63、図38に示すようなリップZ形状の梁64等がある。
【0121】これらの梁62?64においても、プリント基板47が取り付けられる上部62a?64aと、シャーシ14,55に取り付けられる下部62b?64bが存在し、上部62a?64aと下部62b?64bは互いに平行な向きとなっている。図35?図38に示した梁61?64は、押し出し加工によって形成され、それらの梁の下部上部61b?64b(当審注:「下部上部61b?64b」は「下部61b?64b」の誤記と認める。)はTOX、ヘンロブリベットなどを用いるカシメ締結によりシャーシ4,55に固定される。また、それらの梁61?64の上部61a?64b(当審注:「上部61a?64b」は「上部61a?64a」の誤記と認める。)にはプリント基板11がプレスナット(不図示)とネジ(不図示)によって固定され、その下面のアースプレーン11mは梁61?64の上部61a?64aに直に接触している。
【0122】なお、梁61?64の形状の違いにより、カシメ締結やプレスナット圧入に必要なスペースが確保できない場合には、通常のネジとナットによる固定やセルスタッドを用いてナットで固定する方法を採用してもよい。(以下略)」

(キ)引用例1の上記記載事項(カ)の段落【0116】の「バス基板8」という記載及び図34?40に照らし、図33の「18」は「8」の誤記と認める。

(ク)「【0122】(中略)図39は、断面Z形状の梁56の上段部56bの下面に放熱フィン65を取り付けたものである。その上段部56a(当審注:「上段部56a」は「上段部56b」の誤記と認める。)には皿小ネジ用の皿孔(不図示)が形成され、放熱フィン65には皿孔位置に対応した箇所にネジ孔(不図示)が形成されている。そして、梁56の上段部56bの皿孔を通して放熱フィン65のネジ孔にネジが取り付けられている。そのネジとして、一般に広く繁用されている十字穴なべ小ネジを使用すると、ネジ頭部が梁の上部の上面から突出してしまうので、その上面にプリント基板のアースパターンを接触させることができなくなってしまうので、皿小ネジを用いることが必須となる。
【0123】そのような放熱フィン65が取り付けられた梁56によれば、ドライバICチップ10から放散された熱を放熱フィン65により積極的に空気中に放熱することができるので、梁56だけを使用する場合に比べて更によい放熱効果が実現される。図40は、断面Z形状の梁66の上部66aの下面に、櫛歯形状の突起66bを形成したものであり、その突起66bと梁66は押し出し加工により一体的に形成される。そのような櫛歯66bは図41(当審注:「図41」は「図39」の誤記と認める。)の放熱フィン65と同じような放熱効果を有するが、ネジ取り付けが不要になるために、製造の手間が省ける。なお、梁66の下段部66cはシャーシ4,55に固定される。」

(ケ)「【0124】図41は、断面Z形状の梁67の折り曲げ加工の一部を鋭角にした構造を示しており、その上段部67aと下段部67bをつなぐ中間部67cは下段部67bに対して垂直になっているとともに、上段部67aは中間部67c に対して角度90度以下の鋭角になるように折り曲げられている。これにより、下段部67bをシャーシ14,55(当審注:「シャーシ14,55」は「シャーシ4,55」の誤記と認める。)に固定した状態で、図9に示すプリント基板11を上段部67aの上面上に取り付けると、その上段部67aの傾斜により、ドライバIC実装モジュールの出力側のフレキシブル基板53が表示パネル5に近づくようにプリント基板11は表示パネル側に傾くことになる。
【0125】その結果、ドライバIC実装モジュールのフレキシブル基板12の長さが、第5実施形態に比べて短くてすむことになるために、ドライバIC実装モジュール自体の単価を下げることができる。なお、図41に示したドライバIC実装モジュールの入力部については、電気信号や電源電圧の供給源であるバス基板8をFFC14などのケーブルを用いて、コネクタ7や接着の半田付けなどで接続する方法を採用する。(以下略)」

(コ)「【0164】また、本発明によれば、表示パネル背面のシャーシに対して梁状構造を付加し、或いはシャーシ自身を一部梁状構造に形成することにより機械的強度を保持するとともに、この梁状構造の平板状の平坦面にドライバIC実装モジュールの基板面を接触させるようにしたので、梁を経由させてドライバICからの熱をシャーシに拡散することが可能になり、シャーシ本来の機械的強度を保持する機能をそのまま持たせて、全体として薄型で熱特性の改善された組み込み実装構造を実現することができる。
【0165】特に、シャーシをほぼパネルの背面側前面をカバーする範囲の平板状金属板で形成する構造によれば、シャーシが広い面積を有することによりドライバICからの発熱のみならず、表示パネルや他の駆動回路基板からの発熱に対する放熱及び熱拡散板としての作用も果たし、装置全体の熱特性を改善するとともに、梁楮の付加により機械的強度も保持できるため、薄型で機械的強度の十分な平板型表示装置を実現することができる。」

平成21年10月15日付けの拒絶理由において引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-351346号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の(サ)?(ス)の記載が図面とともにある。

(サ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプレイパネルなどのフラットパネル型表示装置に関し、特にそのドライバICの実装構造に関する。」

(シ)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、優れた放熱効果と耐電圧特性が得られると共に、簡素な構造と低コスト化等を実現し得るドライバICの実装構造を備えたフラットパネル型表示装置を提供することを目的とする。」

(ス)「【0037】また図5は、各種のシャーシ形態に対応する変形例を示した説明図である。ディバイスICモジュールを表示部本体2と金属シャーシ3に実装する構造としては、(中略)更に、図5(b)に示すように、金属シャーシ3の端部にコの字状の折り曲げ部3bを設け、折り曲げ部3bに設けた開口を介してディバイスICモジュールを引き回し、導電性テープ11の他方の面(ドライバIC9に接着された面とは逆側の面)を金属シャーシ3の折り曲げ部3bに接着するようにしても良い。
【0038】上述の各実施形態によると、フレキシブル配線テープ11上のドライバIC9の裏面9aとアース用配線パターン10を導電性テープ11で接続することにより、ドライバIC9の裏面9aを確実にアースすることができ、そのシールド効果によって耐電圧特性を向上させることができる。更には、ドライバIC9によってカラープラズマディスプレイパネルを表示駆動する際に発生する熱を導電性テープ11の放熱作用によって有効に放熱することができる。また、導電性テープ11による簡単な実装構造により上述の放熱効果の向上と耐電圧特性の向上を図ることができるため、実装密度の向上を図ることができ、高精細なカラープラズマディスプレイパネルを実現することができる。」

平成21年10月15日付けの拒絶理由において引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2000-242189号公報(以下「引用例3」という。)には、以下の(セ)?(タ)の記載が図面とともにある。

(セ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像表示パネルが該パネルから引出されたフレキシブル・プリント・ケーブル(以降、FPCと称す。)とともに支持される画像表示パネル支持構造に関する。さらには、そのような画像表示パネル支持構造を備える平面薄型画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、大型の平面薄型画像表示装置として代表されるものに、気体放電型のプラズマディスプレイパネル(以降、PDPと称す。)、PDPと液晶を合体したプラズマアドレスディスプレイ(以降、PDAと称す。)、電界放出電子による電子線励起発光型のField Emittionディスプレイ(以降、FEDと称す。)、表面伝導型電子放出素子を用いたディスプレイおよび液晶ディスプレイなどがある。」

(ソ)「【0055】(中略)
(実施形態3)図8は、本発明の第3の実施形態である、平面薄型画像表示装置の画像表示パネル支持構造を示す断面図である。図8には、表示パネルの4辺のうちの1辺の断面が示されている。
【0056】金属枠102は金属の押し出し連続成形加工した枠で、枠の一部が略「コ」の字状の断面形状になっており、この部分にSEDパネル101のへりが嵌め込まれる。また、この金属枠102には、駆動IC基板109bが取り付けられ、該駆動IC基板109b状に駆動IC109aが実装される。駆動IC109aの上面は金属枠102の一部に接触するようになっており、該部分に冷却のための放熱フィン110が設けられている。この金属枠102は、駆動電気基板108が取り付けられた駆動電気基板取付け板107とともにネジ止めにより裏カバー106に固定される。
【0057】SEDパネル101のへりの表示面側にはFPC取り出し面が設けられており、該FPC取り出し面からFPC103がSEDパネル101の非表示面(裏面)側へ引き回されている。SEDパネル101の非表示面と該非表示面側へ引き回されたFPC103との間にはシリコン系の緩衝材105が設けられている。非表示面(裏面)側へ引き回されたFPC103は、駆動IC基板109b上のコネクターに接続されている。駆動IC基板109b上の回路は駆動IC109aを経路して駆動電気基板取付け板107に設けられた貫通穴から駆動電気基板108のコネクターに接続されている。
【0058】緩衝材104は、シリコン系の弾性体で、断面形状が略「コ」の字状になっている。この緩衝材104は、SEDパネル101のへりをFPC103とともに覆うように取り付けられ、金属枠102にSEDパネル101とともに嵌め込まれる。
【0059】上述した構成によれば、緩衝材105によってFPC103とSEDパネル101の接触が防止される。また、緩衝材104の弾性を利用してSEDパネル101が金属枠102に固定されるとともに、緩衝材104によってSEDパネル101およびFPC103が保護される。」

(タ)引用例3の図8から、金属枠102が駆動IC基板109bの外側まで延在していることを読み取ることができる。

2 引用例1に記載された発明の認定
(1)引用例1の上記記載事項(カ)には、「断面がZ形状(階段形状)の金属製の梁56」(段落【0113】)、「上記した第8の実施形態では、断面がZ形状の梁56を介してシャーシ55,14 (当審注:「シャーシ55,14」は「シャーシ55」の誤記と認める。)上にドライバIC実装モジュールM_(0) のプリント基板11を取り付けるような構成について説明した。」(段落【0118】)、「その梁56は、断面がZ形状のものに限るものではなく、以下に述べるような構造であってもよい。例えば、図34に示すような断面がU字形状(溝形状ともいう)の梁60がある。」(段落【0119】)、「その他の構造の梁として、図35に示すような角管形状の梁61、図36に示すようなH形状の梁62、図37に示すような断面T形状の梁63、図38に示すようなリップZ形状の梁64等がある。」(段落【0120】)と記載されているから、引用例1の図32?33の実施形態(第8の実施の形態)と図34?38の実施形態(第9の実施の形態)とは、梁の構造が異なるだけで、前記梁以外は同一の構造を備えた実施形態であると認めることができる(ただし、図34?38の実施形態(第9の実施の形態)のシャーシは、図11?12の実施形態(第1の実施の形態)のシャーシ4を用いてもよいし、図32?33の実施形態(第8の実施の形態)のシャーシ55を用いてもよい。)。
そして、引用例1の上記記載事項(カ)には、図32?33の実施形態(第8の実施の形態)について、「金属板55aの背面の一側部には、断面がZ形状(階段形状)の金属製の梁56の下段部56aがTOX、ヘンロブリベットなどを用いてカシメ締結され、その上段部56bにはドライバIC実装モジュールM_(0) が取り付けられている。」(段落【0113】)、「金属板55aに取り付けられた断面Z形状の梁56の上段部は金属板55aから浮き上がった状態となっていて、その上段部55a(当審注:「上段部55a」は「上段部56b」の誤記と認める。)の上には図10に示したプリント基板11が載置されネジ止めされている。」(段落【0115】)、「プリント基板47は、その下面のアースプレーン11mを梁56の上段部56a(当審注:「上段部56a」は「上段部56b」の誤記と認める。)の上面に接触させる」(段落【0116】)、「シャーシ55においても、ドライバICチップ10から発生した熱はプリント基板11及びアースプレーン11m及び梁56を介して外部に放熱することが可能になる。」(段落【0117】)、「以上のような構造のシャーシ55を採用すると、ドライバIC10からの発熱のみならず、表示パネル5や他の駆動回路基板からの発熱に対する放熱及び熱拡散板としての作用を奏し、PDP装置全体の熱特性が改善される」(段落【0117】)と記載され、また、引用例1の図32?33の実施形態(第8の実施の形態)及び図34?41の実施形態(第9の実施の形態)のように表示パネル背面のシャーシに対して梁状構造を付加した実施形態について、引用例1の上記記載事項(エ)には、「本発明によれば、表示パネル背面のシャーシに対して梁状構造を付加し、或いはシャーシ自身を一部梁状構造に形成することにより機械的強度を保持するとともに、この梁状構造の平板状の平坦面にドライバIC実装モジュールの基板面を接触させるようにした。」(段落【0033】)、「これにより、ドライバICからの熱は、梁を経由させてシャーシに拡散されることになる。即ち、シャーシ自身にドライバICの熱放散のための機能を持たせて、熱特性を改善する」(段落【0034】)、「特に、シャーシをほぼパネルの背面側前面をカバーする範囲の平板状金属板で形成する構造によれば、シャーシが広い面積を有することによりドライバICからの発熱のみならず、表示パネルや他の駆動回路基板からの発熱に対する放熱及び熱拡散板としての作用も果たし、装置全体の熱特性を改善する」(段落【0035】)と記載されているから、引用例1の図32?33の実施形態(第8の実施の形態)では、ドライバICチップ10から発生した熱を、プリント基板11、アースプレーン11m及び梁56を介してシャーシ55に拡散させるために、梁56の下段部56aはシャーシ55の平板状の金属板55aの背面の一側部と接触していると認めることができる。また、図32から、ドライバIC実装モジュールM_(0)は2次元的に延在していると認めることができる。したがって、梁56の下段部56aはシャーシ55の平板状の金属板55aの背面の一側部と面接触していると認めることができる。
すると、引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)においても、梁60の下部60bは、シャーシ55の平板状の金属板55aの背面の一側部と面接触した状態で固定されていると認めることができる。

(2)引用例1の図32?33の実施形態(第8の実施の形態)と図34?38の実施形態(第9の実施の形態)とは、梁の構造が異なるだけで、前記梁以外は同一の構造を備えた実施形態であると認めることができること(上記(1)を参照。)、及び、引用例1の上記記載事項(カ)の段落【0121】の「これらの梁62?64においても、プリント基板47が取り付けられる上部62a?64aと、シャーシ14,55に取り付けられる下部62b?64bが存在し、上部62a?64aと下部62b?64bは互いに平行な向きとなっている。」との記載(なお、下線は当審が付した。)に照らすと、引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)の梁60も、上部60aと下部60bは互いに平行であるということができる。
また、引用例1の図32?33の実施形態(第8の実施の形態)と図34?38の実施形態(第9の実施の形態)とは、梁の構造が異なるだけで、前記梁以外は同一の構造を備えた実施形態であると認めることができること(上記(1)を参照。)、及び、引用例1の上記記載事項(カ)の段落【0115】の「金属板55aに取り付けられた断面Z形状の梁56の上段部は金属板55aから浮き上がった状態となっていて」との記載に照らすと、引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)の梁60の上部60aも、金属板55aから浮き上がった状態となっているということができる。

(3)引用例1の上記記載事項(カ)の段落【0118】?【0122】及び上記記載事項(ケ)は、いずれも、梁の構造をいろいろ変えた第9の実施の形態の記載であること、並びに、引用例1の上記記載事項(ケ)の段落【0124】の「上段部67aと下段部67bをつなぐ中間部67c」との記載に照らすと、引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)の梁60の上部60aと下部60bをつなぐ部分は中間部と呼ぶことができる。

(4)引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)の梁60の形状について、引用例1の上記記載事項(カ)には、「図34に示すような断面がU字形状(溝形状ともいう)の梁60」(段落【0119】)、「図34に示した断面U字状の梁60」(段落【0120】)と記載されている。
しかし、(a)図34に照らすと、引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)の梁60の上部60aと下部60bをつなぐ中間部(上記(3)を参照。)は、曲線ではなく直線と認めることができること、(b)引用例1の上記記載事項(カ),(ケ)は、いずれも、梁の構造をいろいろ変えた第9の実施の形態の記載であるところ、引用例1の上記記載事項(ケ)には、「図41は、断面Z形状の梁67の折り曲げ加工の一部を鋭角にした構造を示しており、その上段部67aと下段部67bをつなぐ中間部67cは下段部67bに対して垂直になっているとともに、上段部67aは中間部67c に対して角度90度以下の鋭角になるように折り曲げられている。」(段落【0124】)と記載され、引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)の梁60の上部60aと下部60bは互いに平行であるということができるから(上記(2)を参照。)、引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)の梁60の上部60aと中間部とのなす角度及び下部60bと中間部とのなす角度はいずれも90度であると認めることができることに照らすと、引用例1の図34の実施形態(第9の実施の形態)の梁60の形状は、上部60a、下部60b、前記上部60a及び前記下部60bを接続する部分からなる断面コ字状であると認める。

(5)したがって、引用例1の上記記載事項(ア)?(キ)、(ケ)?(コ)から、引用例1には次の発明が記載されていると認めることができる。

「端面に表示電極が設けられたプラズマ表示パネル5と、
前記プラズマ表示パネル5の裏面に取り付けられたシャーシ55と、
前記表示電極の端子の並びに平行に設けられた梁状構造と、
前記表示電極を駆動するためのドライバICチップ10が搭載されたプリント基板11、及び、前記ドライバICチップ10から導き出されて前記プラズマ表示パネル5の前記表示電極に接続されるフレキシブル配線基板12を有するドライバIC実装モジュールとを備え、
前記ドライバIC実装モジュールの前記プリント基板11の裏側は、前記梁状構造に直接的又は熱伝導体を介して接触する構造を有するプラズマ表示装置において、
前記プリント基板11は、その上面に前記ドライバICチップ10が搭載され、その下面にアースプレーン11mが形成され、
前記シャーシ55は、前記プラズマ表示パネル5が前面に貼り付けられる平板状の金属板55aと、前記平板状の金属板55aの背面に取り付けられる骨素材55b,55cを有し、
前記梁状構造は、上部60a、下部60b、前記上部60aと前記下部60bをつなぐ中間部からなり、前記上部60aと前記下部60bは互いに平行である断面コ字状の梁60であり、
前記梁60の下部60bは前記平板状の金属板55aの背面の一側部と面接触した状態で固定され、
前記梁60の上部60aは前記平板状の金属板55aから浮き上がった状態となっていて、その上部60aの上面に前記プリント基板11の下面の前記アースプレーン11mが接触する状態で前記プリント基板11が固定され、
前記ドライバICチップ10から発生した熱は、前記プリント基板11、前記アースプレーン11m及び前記梁60を介して前記シャーシ55に拡散され、前記シャーシ55は、前記ドライバICチップ10からの発熱に対する放熱及び熱拡散板としての作用を奏する、
プラズマ表示装置。」(以下「引用発明」という。)

3 本件発明と引用発明の一致点及び相違点の認定
(1)引用発明の「プラズマ表示パネル5」、「前記プラズマ表示パネル5が前面に貼り付けられる」「シャーシ55」の「平板状の金属板55a」、「プラズマ表示装置」は、それぞれ、本件発明の「プラズマ表示パネル」、「前記プラズマ表示パネルを一の側に結合し、且つ支持するシャシベース」、「プラズマ表示装置」に相当する。

(2)引用発明の「シャーシ55」の「平板状の金属板55aの背面の一側部と面接触した状態で固定され」た「断面コ字状の梁60」「の下部60b」「に平行である」「断面コ字状の梁60」「の上部60aは前記平板状の金属板55aから浮き上がった状態となっていて、その上部60aの上面に」「固定され」る「プリント基板11」は、本件発明の「前記シャシベースにおける前記プラズマ表示パネルを結合し、且つ支持する前記一の側と反対側に、前記シャシベースに対して平行に、且つ前記シャシベースと離隔して設置される回路ボードアセンブリー」に相当する。
また、引用発明の「プリント基板11」「の上面に」「搭載され」る「ドライバICチップ10」は、本件発明の「回路ボードアセンブリーの上面に実装される集積回路モジュール」に相当する。

(3)ア 引用発明の「前記ドライバICチップ10から発生した熱は、前記プリント基板11、前記アースプレーン11m及び前記梁60を介して前記シャーシ55に拡散され、前記シャーシ55は、前記ドライバICチップ10からの発熱に対する放熱及び熱拡散板としての作用を奏する」から、引用発明の「梁60」は「ドライバICチップ10から発生した熱」を「シャーシ55に拡散」する機能、すなわち、「シャーシ55」に放熱する機能を有すると認めることができる。
したがって、引用発明の「ドライバICチップ10から発生した熱」を「シャーシ55に拡散」する「梁60」と、本件発明の「前記集積回路モジュールの上面に結合されて放熱機能を遂行するヒートシンク」とは、「前記集積回路モジュールと熱的に結合されて放熱機能を遂行するヒートシンク」である点で一致する。

イ 引用発明の「梁60」は「上部60a、下部60b、前記上部60aと前記下部60bをつなぐ中間部からなり、前記上部60aと前記下部60bは互いに平行である断面コ字状」であることは、本件発明の「前記ヒートシンクは、断面コ字状であ」ることに相当する。

ウ 引用発明の「プリント基板11が固定され」る「断面コ字状の梁60」の「上部60a」と、本件発明の「前記集積回路モジュールの前記上面に結合されて、前記回路ボードアセンブリーに平行に、且つ前記回路ボードアセンブリーの外側に延在する」「断面コ字状であ」る「ヒートシンク」の「第1部分」とは、「前記回路ボードアセンブリーに平行に延在する」「断面コ字状であ」る「ヒートシンク」の「第1部分」である点で一致する。

エ 引用発明の「断面コ字状の梁60」の「前記上部60aと前記下部60bをつなぐ中間部」と、本件発明の「該第1部分から前記シャシベースに向かって曲がるように延在して、前記回路ボードアセンブリーの外側に位置する」「断面コ字状であ」る「ヒートシンク」の「第2部分」とは、「該第1部分から前記シャシベースに向かって曲がるように延在」する「断面コ字状であ」る「ヒートシンク」の「第2部分」である点で一致する。

オ 引用発明の「シャーシ55」の「平板状の金属板55a」「の背面の一側部と面接触した状態で固定され」る「断面コ字状の梁60」の「下部60b」は、本件発明の「該第2部分から延在して、その下面が前記シャシベースと面接触する」「断面コ字状であ」る「ヒートシンク」の「第3部分」に相当する。

(4)すると、本件発明と引用発明とは、

「プラズマ表示パネル;
前記プラズマ表示パネルを一の側に結合し、且つ支持するシャシベース;
前記シャシベースにおける前記プラズマ表示パネルを結合し、且つ支持する前記一の側と反対側に、前記シャシベースに対して平行に、且つ前記シャシベースと離隔して設置される回路ボードアセンブリー;
該回路ボードアセンブリーの上面に実装される集積回路モジュール;及び
前記集積回路モジュールと熱的に結合されて放熱機能を遂行するヒートシンク;
を含み、
前記ヒートシンクは、断面コ字状であり、
前記回路ボードアセンブリーに平行に延在する第1部分と、
該第1部分から前記シャシベースに向かって曲がるように延在する第2部分と、
該第2部分から延在して、その下面が前記シャシベースと面接触する第3部分と、
を含む、
プラズマ表示装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点1〉
本件発明の「ヒートシンク」の「第1部分」は「前記集積回路モジュールの前記上面に結合されて、」「前記回路ボードアセンブリーの外側に延在」し、前記「ヒートシンク」の「第2部分」は「前記回路ボードアセンブリーの外側に位置する」のに対し、引用発明の「梁60」の「上部60a」及び「中間部」にはそのような限定がない点。

〈相違点2〉
本件発明の「ヒートシンク」の「前記第1部分及び前記第2部分は、前記ヒートシンクの外側方向に向けて配置された複数の放熱ピンをさらに備える」のに対し、引用発明の「梁60」の「上部60a」及び「中間部」にはそのような限定がない点。

4 相違点についての判断
(1)相違点1について
プラズマディスプレイパネルの技術分野において、プラズマディスプレイパネルの背面側に配置された駆動ICから発生する熱を、前記駆動ICを搭載する部材と対向する駆駆動ICの面と反対側の前記駆駆動ICの表面側から放熱させるために、前記駆動ICの前記表面側に金属シャーシを回り込ませて、前記駆動ICの前記表面側で前記駆動ICと前記金属シャーシを結合させることは、本件出願の優先日当時において当業者に周知の技術的事項である(例えば、引用例2(上記記載事項(サ)?(ス)、図5(b))、引用例3(上記記載事項(セ)?(タ)、図8)を参照。)。
そして、上記3(3)アにおいて述べたように、引用発明の「梁60」は「ドライバICチップ10から発生した熱」を「シャーシ55に拡散」する機能、すなわち、「シャーシ55」に放熱する機能を有すると認めることができることに照らすと、引用発明の「梁60」の「上部60a」と、引用例2,3により周知の技術的事項である金属シャーシの前記駆駆動ICの前記表面側へ回り込んだ部分とは、プラズマディスプレイパネルの背面側に配置された駆動ICから発生する熱を金属シャーシに放熱させる機能を有する点で共通する。
したがって、引用発明に引用例2,3により周知の上記技術的事項を適用して、引用発明の「プリント基板11」と対向する「ドライバICチップ10」の面と反対側の前記「ドライバICチップ10」の表面側に前記「梁60」の「上部60a」を回り込ませて、前記「ドライバICチップ10」の前記表面側で前記「ドライバICチップ10」と前記「梁60」の「上部60a」を結合させることは、当業者にとって容易に想到し得る。
そして、引用発明の「プリント基板11」と対向する「ドライバICチップ10」の面と反対側の前記「ドライバICチップ10」の表面側に前記「梁60」の「上部60a」を回り込ませて、前記「ドライバICチップ10」の前記表面側で前記「ドライバICチップ10」と前記「梁60」の「上部60a」を結合させるに当たり、引用発明の「断面コ字状の梁60」の「前記上部60aと前記下部60bをつなぐ中間部」を「プリント基板11」の外側に位置させるとともに、引用発明の「断面コ字状の梁60」の「上部60a」及び「下部60b」を「プリント基板11」の外側まで延在させることは、当業者が適宜なし得る設計変更であるうえ、引用例3にも記載されている(引用例3の上記記載事項(セ)?(タ)、図8を参照。)。
以上のとおりであるから、引用発明に上記相違点1に係る本件発明の発明特定事項を採用することは当業者にとって想到容易である。

(2)相違点2について
プラズマディスプレイパネルの技術分野において、プラズマディスプレイパネルの背面側に配置された駆動ICから発生する熱を放熱させる放熱部材に放熱フィン等の放熱のための突起を外側方向に向けて配置することは、本件出願の優先日当時において当業者に周知の技術的事項である(例えば、特開2004-126151号公報(図1,7,8)、特開平7-322171号公報(段落【0001】?【0003】、【0007】?【0009】、【0012】、図3))、引用例3(上記記載事項(セ)?(タ)、図8)、特開平10-260641号公報(図6(a))を参照。)。
また、放熱部材に設けられる放熱のための突起として放熱ピンを設けることは、本件出願の優先日当時において当業者に周知の技術的事項である(例えば、引用例1(引用例1の上記記載事項(ク)の段落【0123】の「櫛歯形状の突起66b」)、特開平11-65459号公報(段落【0017】、図2)、特開平10-133782号公報(特に、段落【0053】、【0058】)、特開平10-303580号公報(特に、段落【0044】)を参照。)。
そして、上記3(3)アにおいて述べたように、引用発明の「梁60」は「ドライバICチップ10から発生した熱」を「シャーシ55に拡散」する機能、すなわち、「シャーシ55」に放熱する機能を有すると認めることができる。また、引用例1の上記記載事項(ク)には、梁に放熱フィンを設けてドライバICチップからの発熱を積極的に空気中に放熱する旨記載されている。
したがって、上記(1)で述べたように、引用発明の「プリント基板11」と対向する「ドライバICチップ10」の面と反対側の前記「ドライバICチップ10」の表面側に前記「梁60」の「上部60a」を回り込ませて、前記「ドライバICチップ10」の前記表面側で前記「ドライバICチップ10」と前記「梁60」の「上部60a」を結合させるとともに、引用発明の「断面コ字状の梁60」の「前記上部60aと前記下部60bをつなぐ中間部」を「プリント基板11」の外側に位置させ、引用発明の「断面コ字状の梁60」の「上部60a」及び「下部60b」を「プリント基板11」の外側まで延在させたものに、上記周知技術を適用して、引用発明の「ドライバICチップ10から発生した熱」を放熱する機能を有する「梁60」に、外側方向に向けて配置された放熱ピンを設けることは、当業者にとって容易に想到し得る。
そして、上記のように、引用発明の「プリント基板11」と対向する「ドライバICチップ10」の面と反対側の前記「ドライバICチップ10」の表面側に前記「梁60」の「上部60a」を回り込ませて、前記「ドライバICチップ10」の前記表面側で前記「ドライバICチップ10」と前記「梁60」の「上部60a」を結合させるとともに、引用発明の「断面コ字状の梁60」の「前記上部60aと前記下部60bをつなぐ中間部」を「プリント基板11」の外側に位置させ、引用発明の「断面コ字状の梁60」の「上部60a」及び「下部60b」を「プリント基板11」の外側まで延在させたものに、上記周知技術を適用して、引用発明の「ドライバICチップ10から発生した熱」を放熱する機能を有する「梁60」に、外側方向に向けて配置された放熱ピンを設けるに当たり、外側方向に向けて配置された放熱ピン設ける場所として、「プリント基板11」と対向する「ドライバICチップ10」の面と反対側の前記「ドライバICチップ10」の表面側に回り込ませた「梁60」の「上部60a」、及び、「プリント基板11」の外側に位置する「断面コ字状の梁60」の「前記上部60aと前記下部60bをつなぐ中間部」を選択することは、放熱ピンが外側方向に向けて配置されるものであること、及び、放熱面積を大きくして放熱効果を向上させることを考慮して、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。
以上のとおりであるから、引用発明に上記相違点2に係る本件発明の発明特定事項を採用することは当業者にとって想到容易である。

5 本件発明の進歩性の判断
以上検討したとおり、引用発明に上記相違点1?2に係る本件発明の発明特定事項を採用することは当業者にとって想到容易である。
また、本件発明の効果も、引用例1?3に記載された発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。
したがって、本件発明は引用例1?3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本件発明は引用例1?3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本件発明が特許を受けることができない以上、本件出願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は、拒絶されるべきものである。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-02-15 
結審通知日 2010-02-16 
審決日 2010-03-01 
出願番号 特願2005-140392(P2005-140392)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 吉喜  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 日夏 貴史
村田 尚英
発明の名称 プラズマ表示装置  
代理人 村山 靖彦  
代理人 渡邊 隆  
代理人 志賀 正武  

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