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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G01N
審判 全部無効 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否  G01N
審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G01N
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G01N
審判 全部無効 特174条1項  G01N
審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  G01N
管理番号 1225214
審判番号 無効2008-800272  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-12-04 
確定日 2010-09-28 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3293717号発明「分析装置」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許3293717号に係る出願は,平成6年9月29日に特許出願され,平成14年4月5日にその請求項1に係る発明について特許の設定登録がなされたものであり,その後,平成18年3月16日付けで訂正審判の請求(訂正2006-39042号)がなされ,同年5月10日に訂正することを認めるとの審決が確定し,さらに,平成19年6月26日付けで訂正審判の請求(訂正2007-390082号)がなされ,同年8月31日に訂正することを認めるとの審決が確定したものである。
これに対して,株式会社キーエンス(以下,「請求人」という。)から平成20年12月4日付けで請求項1に係る発明の特許について,無効審判の請求がなされたものであり,その後の手続の経緯は,以下のとおりである。

平成21年 2月23日 答弁書
平成21年 2月23日 訂正請求書
平成21年 3月30日 弁駁書
平成21年 4月 3日 上申書(請求人)
平成21年 4月 7日 上申書(被請求人)
平成21年 5月22日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成21年 5月22日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成21年 5月22日 口頭審理
平成21年 5月26日 上申書(請求人)
平成21年 6月 5日 上申書(請求人)
平成21年 6月26日 上申書(被請求人)

第2 平成21年2月23日付け訂正請求(以下,「本件訂正請求」という。)について

1 本件訂正請求の内容
(1)訂正事項1
訂正事項1は,本件特許の請求項1において,

「分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と」

とあるのを,

「物質表面の原子配列や表面形状の測定結果として分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と」

と訂正するものである。

(2)訂正事項2
訂正事項2は,本件特許の請求項1において,

「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示する手段と」

とあるのを,

「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示するとともに,前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する手段と」

と訂正するものである。

(3)訂正事項3
訂正事項3は,本件特許明細書の段落【0004】において,

「本発明は,分析装置において,分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と」

とあるのを,

「本発明は,分析装置において,物質表面の原子配列や表面形状の測定結果として分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と」

と訂正するものである。

(4)訂正事項4
訂正事項4は,本件特許明細書の段落【0004】において,

「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示する手段と」

とあるのを,

「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示するとともに,前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する手段と」

と訂正するものである。

2 当審の本件訂正請求についての判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は,訂正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「分析手段側から得られる画像データ」を,「物質表面の原子配列や表面形状の測定結果として分析手段側から得られる画像データ」と訂正して下位概念に限定するものである。
そして,本件特許明細書の

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,走査型プローブ顕微鏡等の分析装置に関し,特に測定した画像データをカラー表示する画像データ表示装置を備えた分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば,走査型プローブ顕微鏡等の分析装置においては,物質表面の原子配列や,物質表面の表面形状の測定結果を画像データとして取得し,該画像データを表示装置に表示している。この走査型プローブ顕微鏡として,例えば,プローブと試料表面との間に流れるトンネル電流を用いる走査型トンネル顕微鏡(STM)や,プローブと試料表面間に働く原子間力を測定する原子間力顕微鏡(AFM)が知られている。・・・このような走査型プローブ顕微鏡等の分析装置が備える画像表示装置においては,一般に,分析装置から得られる画像データは必ずしもコントラストが良好ではない。・・・」

との記載からみて,同明細書に「物質表面の原子配列や表面形状の測定結果として分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と」が記載されていることは明らかであり,訂正事項1は,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。
してみると,上記訂正事項1は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,新規事項を追加するものではなく,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

なお,請求人は弁駁書において,「しかるに,該訂正は,訂正前の明細書に開示されていた原子配列や表面形状の測定手段である走査型プローブ顕微鏡を超えて,原子配列や表面形状の測定を行い測定結果を画像データとして出力する分析手段全般を特許請求の範囲に取り込むものであり,訂正前の明細書に記載された全ての事項から導かれる技術的事項以外のものが個別化されることになり(審査基準第III部第I節4.2(1)〔1〕(当審注:原文は丸付き数字。以下,同様に,丸付き数字は括弧〔〕で囲んで表記する。)),新規事項を追加するものであるから,特許法第134条の2第5項で準用される同法第126条第3項に適合せず,認められない。」(2頁14?20行)と主張している。
しかしながら,本件特許明細書の段落【0002】には前述のとおり,「例えば,走査型プローブ顕微鏡等の分析装置」(下線追加)と記載されており,走査型プローブ顕微鏡のみに限定されない記載であることが明らかであるから,請求人の上記主張には理由がない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は,訂正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示する手段」を,「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示するとともに,前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する手段」と訂正して下位概念に限定するものである。
そして,本件特許明細書には以下の記載がある。

「【0008】
【作用】・・・この求めた輝度分布は,表示部中において,例えば,ヒストグラム等の表示形態によって表すことができる。表示部には,前記輝度分布を表す部分と共に,カラーテーブルを表す部分が形成され,画像データ表示部で表示される画像データの色の分布を,例えば柱状の形態によって,ヒストグラムで表された輝度分布と対応できるように表示している。そして,カラーテーブル割り当て指定手段によって画像データの輝度分布における表示範囲を指定して,カラーテーブルによって色付さけれる輝度分布中の範囲を設定する。これによって,所望の輝度分布範囲におけるカラー表示を設定することができる。」
「【0013】・・・また,レンジ・バー12は,画像データ表示部10におけるカラー表示の状態を変更して設定する手段であり,例えば,マウス等のカラーテーブル割り当て指定部4等の入力手段により入力することができる。カラーテーブル割り当て指定部4によって,このレンジ・バー12をヒストグラム表示部13に対して移動し,輝度分布に対して色付けを行なう範囲を設定する。図1では,横方向の実線で示される2本のレンジ・バー12により設定される輝度分布の間において,カラーテーブル表示部11で示される色分布によってカラー表示が行なわれることになる。したがって,このレンジ・バー12を移動させることにより,色付けされる輝度分布の範囲を変更することができる。・・・」
「【0015】カラーテーブル割り当て範囲メモリ23は,カラーテーブル割り当て指定部4が指定した割り当て範囲を記憶するメモリである。表示部1中のレンジ・バー12,及びカラーテーブル表示部11の表示範囲は,このメモリ23の記憶内容に応じて行なわれる。・・・」

上記の各記載によれば,「カラーテーブル」は「ヒストグラムで表された輝度分布と対応できるように表示」されるものであり,「横方向の実線で示される2本のレンジ・バー12により設定される輝度分布の間において」,「色分布」が「カラーテーブル表示部11で示される」ものであるから,本件特許明細書に「前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する」ことが記載されていることは明らかであり,訂正事項2は,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえる。
してみると,上記訂正事項2は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,新規事項を追加するものではなく,実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

なお,請求人は弁駁書において,「しかるに,該訂正は,既に訂正前の特許請求の範囲において表示されている『カラーテーブル』を更に『設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する』という,カラーテーブルの二重表示を規定するとしか読めない意味不明の訂正であって,特許請求の範囲に記載された発明を不明りょうとするものであるから,特許法第134条の2第1項但し書の目的要件に適合せず認められない。」(3頁最下行?4頁4行)と主張している。
しかしながら,本件訂正明細書の請求項1の「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示するとともに,前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する」との記載における「前記カラーテーブル」が何を意味するかについて検討すると,「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示する」の「カラーテーブル」は,「前記カラーテーブル」に先行して記載されたものであり,また,請求項1には明記されていないものの,同明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載からみて,表示部にカラーテーブルは1箇所しか表示されておらず,カラーテーブルを複数表示するとの記載はないから,「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示する」の「カラーテーブル」と「前記カラーテーブル」が同じものを意味するものと解釈するのが相当である。そうすると,上記記載は,前記輝度分布,レンジ・バー,及び表示用画像データと共に表示される「カラーテーブル」が,前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示されることを意味していると解釈すべきあって,「カラーテーブルの二重表示」を意味していないことは明らかである。
また,請求人は弁駁書において,「被請求人の意図は,レンジ・バーの移動に伴いカラーテーブルの表示範囲が『対応的に変化する』というものであることが答弁書上の主張から明らかであるが,訂正事項〔2〕がかかる『対応的変化』なるものを含むものであるとすれば,そのような技術的事項は訂正前の明細書又は図面に記載された全ての技術的事項を総合しても導き出すことができない新規事項であることは明らかであるから,訂正事項〔2〕に係る訂正は,特許法第134条の2第5項で準用される同法第126条第3項に違反し認められない。」(5頁16?22行)とも主張している。
しかしながら,本件特許明細書の段落【0013】の「カラーテーブル割り当て指定部4によって,このレンジ・バー12をヒストグラム表示部13に対して移動し,輝度分布に対して色付けを行なう範囲を設定する」との記載,及び,段落【0015】の「カラーテーブル割り当て範囲メモリ23は,カラーテーブル割り当て指定部4が指定した割り当て範囲を記憶するメモリである。表示部1中のレンジ・バー12,及びカラーテーブル表示部11の表示範囲は,このメモリ23の記憶内容に応じて行なわれる。」との記載から,少なくとも「輝度分布に対して色付けを行なう範囲」すなわち「割り当て範囲」が指定されたタイミングで,レンジ・バー12の位置に合わせてカラーテーブルの表示がなされる,いいかえると,レンジ・バーの移動に伴いカラーテーブルの表示範囲が「対応的に変化する」ことが明らかである。
したがって,請求人の上記各主張には,いずれも理由がない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は,上記訂正事項1の訂正に伴い,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためのものであって,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は,上記訂正事項2の訂正に伴い,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためのものであって,明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(5)まとめ
したがって,上記訂正事項1乃至4は,特許法第134条の2第1項に掲げる事項を目的とし,かつ,同条第5項で読み替えて準用する同法126条第3項及び第4項の規定に適合するから,当該訂正を認める。

第3 本件発明
以上のように,本件訂正請求が認められることから,本件請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は,本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「物質表面の原子配列や表面形状の測定結果として分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と,前記輝度分布に対して,前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段と,前記カラーテーブルの割り当てに従って画像データを表示用画像データに変換する手段と,前記表示用画像データを記憶する手段と,前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示するとともに,前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する手段とを備えた分析装置であって,
前記設定された輝度分布の範囲の上限以上,また,下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行うことを特徴とする分析装置。」

第4 請求人の主張と証拠方法
1 請求人の主張
請求人は,特許第3293717号の請求項1に係る特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,審判請求書,弁駁書,口頭審理(口頭審理陳述要領書及び第1回口頭審理調書を含む)及び上申書において,下記「2 証拠方法」に示した証拠を提出して,次に示す無効理由1乃至5を主張している。無効理由1乃至5について,これまでの主張を整理すると次のとおりである。

(1)無効理由1
本件発明は発明を特定する事項同士の関係が不明確であるため請求項の記載が表現として不明瞭であり特許請求の範囲の記載が明確性を欠くから,該特許請求の範囲の記載は発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものといえず,本件特許請求の範囲は平成6年改正前特許法第36条第5項第2号に適合しないものであり,従って,本件特許は特許法第123条第1項第4号の規定に基づき無効とされるべきである。

(2)無効理由2
本件特許請求の範囲を善解した場合,平成11年12月28日補正時の特許請求の範囲に記載された「前記輝度分布に対するカラーテーブルの割り当てを表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行う輝度分布の範囲を設定する手段」は当初明細書又は図面に記載された事項の範囲を逸脱した新規事項に該当し,本件特許は平成6年改正前特許法第17条第2項に反する補正をした特許出願に対してされたものであるから,本件特許は特許法第123条第1項第1号の規定に基づき無効とされるべきものである。

(3)無効理由3
平成18年3月20日付訂正(当審注:「平成18年3月16日付訂正」の誤記と認められる。)によって本件特許請求の範囲に付加された「前記設定された輝度分布の範囲の上限以上,また,下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行う」という技術事項は,「輝度分布に対して色付けを行う」ことを特徴とする訂正前の分析装置に対し,いかなる実現手段により「輝度分布」以外(上限以上,また,下限以下)について「色付けを行う」ものであるかを当業者が理解することができない,実施可能性に欠く特定事項であり,該特定事項に係る発明の詳細な説明の記載は当業者が容易に発明を実施できる程度に発明の目的,構成及び効果を記したものとはいえず,平成6年改正前特許法第36条第4項に違反するものであり,或いは特許請求の範囲の記載は同条第5項第2号に違反するものであって,本件特許は特許法第123条第1項第4号の規定に基づき無効とされるべきものである。

(4)無効理由4
前記訂正によって本件特許請求の範囲に付加された前記「(3)無効理由3」の技術事項は,「輝度分布に対して色付けを行う」ことを規定した訂正前の分析装置に対し,輝度分布の範囲外にも色付けを行う分析装置を特許請求の範囲に含ませる,新たな実施例を加入するものであり,訂正前の特許請求の範囲に対し実質的な拡張変更に該当するものである。従って,上記訂正は特許法第126条第4項の訂正要件に違反してなされたものであるから,本件特許は特許法第123条第1項第8号の規定に基づき無効とされるべきものである。

(5)無効理由5
本件発明は,甲第1号証(特開平4-198812号公報)に記載された発明に甲第2号証(MACWORLD Photoshop2.5大全 1994年2月28日初版第1刷),甲第3号証(PHOTOSHOP BIBLE For Adobe Photoshop 2.5J 平成5年12月25日初版第1刷発行)を適用し,その際甲第4号証(特開昭57-66479号公報)も参照することで当業者が容易に想到できた発明であるから,本件発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,従って,本件特許は特許法第123条第1項第2号の規定に基づき無効とされるべきものである。

2 証拠方法
甲第1号証 特開平4-198812号公報
甲第2号証 MACWORLD Photoshop2.5大全
甲第3号証 PHOTOSHOP BIBLE For Adobe
Photoshop 2.5J
甲第4号証 特開昭57-66479号公報
甲第5号証 特開平8-94645号公報
甲第6号証 平成11年12月28日付け手続補正書
甲第7号証 本件特許掲載公報
甲第8号証 訂正2006-39042特許審決公報
甲第9号証の1 特開平4-294467号公報
甲第9号証の2 「表面科学の基礎と応用」1991年8月1日初版発行
甲第9号証の3 特開平6-288942号公報
甲第10号証 米国特許第5333244号明細書
甲第11号証 本件出願の平成14年2月19日付意見書

3 参考資料
参考資料1 被告(請求人,以下同)準備書面(1)
参考資料2 原告(被請求人,以下同)第2準備書面
参考資料3 被告準備書面(2)
参考資料4 原告第3準備書面

第5 被請求人の主張と証拠方法
1 被請求人の主張
被請求人は,請求人の上記主張に対して,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,答弁書,口頭審理(口頭審理陳述要領書及び第1回口頭審理調書を含む)及び上申書において,下記「2 証拠方法」に示した証拠を提出して,請求人の主張する無効理由はいずれも理由がなく,本件発明に係る特許は,特許法第123条第1項第1号,第2号,第4号,第8号の規定により無効にされるものではない,と反論している。

2 証拠方法
乙第1号証の1 CD説明図
乙第1号証の2 CD
乙第2号証 本件発明の技術的特徴の説明図
乙第3号証 平成11年12月28日付審判理由補充書
乙第4号証 米国特許第5333244号出願経過書類
乙第5号証 請求人が平成21年6月18日付けで提出した
平成20年(ワ)第12849号特許権侵害差止等
請求事件の準備書面(3)

第6 各甲号証の記載内容
1 甲第1号証について
本件出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開平4-198812号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(記載事項1-1)
「11.ある形状を持った表示対象物の形状情報と,該表示対象物上のサンプリング点におけるスカラ量とに基づき等高線および/またはカラーマップを表示するマップ表示手段と,上記スカラ量に基づきグラフを表示するグラフ手段と,該グラフ表示手段と該マップ表示手段とを制御し,上記グラフに対応する等高線および/またはカラーマップを表示させる制御手段とを備えことを特徴とするスカラ量分布表示装置。
12.上記グラフがヒストグラムであることを特徴とする請求項11記載のスカラ量分布表示装置。
13.上記ヒストグラムの任意の区間を指定する区間指定手段を有し,上記制御手段は,該区間指定手段により指定された区間についてのみのヒストグラムを表示させる機能を有することを特徴とする請求項12記載のスカラ量分布表示装置。」(2頁左上欄14行?右上欄10行)

(記載事項1-2)
「[産業上の利用分野]
本発明は,構造解析を始めとする科学技術計算,人工衛星を利用した気象,地理データ,工学や物理学,化学,医学等の分野での計測機器による測定データ等,計算機を用いた解析結果等のスカラ量分布表示方法に関する。」(2頁右上欄17行?左下欄2行)

(記載事項1-3)
「本実施例のスカラ量分布表示装置は,第1図に示すとおり,その表示処理を,制御手段たるカラーマップ表示変更手段104と,ヒストグラムの表示を行うグラフ表示手段101と,カラーマップ表示手段103と,マウス等のポインティングデバイスを含むグラフ内区間指定手段102と,表示条件情報書き込み手段105と表示条件情報読み込み手段106とを含んで構成される図示しない記憶手段とにより構成されている。
そして,その画像の表示は,この図には示さない表示装置,例えば,CRT等に対して行われるものである。
以下,本実施例を計算機支援による構造設計の応力解析表示に用いた場合の表示例について説明する。
本実施例では,計算機による解析結果,つまり,スカラ量を,グラフ表示手段101により,表示装置10上にヒストグラム11として表示する。これにより,解析結果が現実に即した値かどうかを,チェック可能となっている。このヒストグラムを第2図aに示す。
この結果,現実的な応力分布ならば,カラーマップ表示手段103により,第2図bに示すように,解析結果の応力分布をワイヤフレームで表示した形状の上に,カラーマップ12として表示する。
ここで,『現実的な』応力分布とは,全体の応力分布の傾向からかけはなれた特異な応力をもたない,連続的な分布を指す。なお,特異な応力は,解析アルゴリズム,あるいは計算機の性能上,発生することがある。
第3図は,グラフ表示手段101が,スカラ量分布を,ヒストグラムとして表示する処理の流れ図である。
グラフ表示手段101は,形状情報21と,該形状情報21に対応するスカラ量とを,一対一に対応づけてメモリ20内部に格納している。
なお,形状情報21とは,解析対象となる形状の形状要素,例えば,該形状を構成するメッシュの節点等のID等,である。
そして,該データに対して,区間分割処理部23により全形状要素に対応するスカラ量の最大値S_(max)と最小値S_(min)を求め,この区間をあらかじめ設定済みの分割数で等分割する。続いて,カウント処理部24は,分割された各小区間毎に,該区間内に存在するスカラ量22を属性としてもつ形状要素の個数をカウントする。そして,その結果をヒストグラム表示処理部25によりヒストグラムの形式で表示する。
これにより,実際に等高線表示,あるいはカラーマップ表示する前に,スカラ量の分布状況を表したヒストグラムをチェックすることができ,解析結果が現実に即した,妥当なものであるかどうかを判断できる。
第4図に示した表示例は,カラーマップ表示変更手段104による制御の下,グラフ表示手段101と,グラフ内区間指定手段102と,カラーマップ表示手段103とを,連動させたものである。
これにより,グラフ内区間指定手段102,この場合,マウス等のポインティングデバイス,を用いて,解析結果のスカラ量分布を表すヒストグラムの任意の1区間,あるいは任意の複数区間の少なくとも1点以上を指示することにより,カラーマップ表示変更手段104は,指示された区間に対応するスカラ量分布を,詳細にカラーマップ表示する。
該表示処理をより詳細に説明する。
第4図aにおいて,グラフ表示手段101により表示されたヒストグラム30の領域内で,マウスの左ボタンを1回クリックする(このときのマウスカーソルの位置をマウスカーソル31とする)と,区間の指定が開始される。続いて,マウスの右ボタンを1回クリックする(このときのマウスカーソルの位置をマウスカーソル32とする)ことで区間の指定が完了する。
次に,この指定された区間の最大値S_(max1)と最小値S_(min1)とが取り出され,あらかじめ設定済みの分割数(表示色数)で,再度,等分割される。そして,各小区間に存在するスカラ量を属性としてもつ形状要素の個数がカウントされる。そして,この結果が,再度,ヒストグラム33として表示される。
また,上記処理を表示候補の形状要素が存在する範囲で繰り返し行うことにより,さらに詳細な等高線表示,あるいはカラーマップ表示が可能となる。
次に,ヒストグラムと,カラーマップのカラーバーとを対応付けて,同一画面に表示する例について第5図を用いて説明する。
カラーマップ表示手段103とグラフ表示手段102とにより,画面40上にカラーバー41とヒストグラム42とを,並列的に配置して,同時に表示する。さらにヒストグラム42の各区間を,対応するカラーバー41の色と同色で表示する。
これにより,カラーマップ43において各色の占める部分の面積または体積の割合をヒストグラム42で表現でき,視覚に訴える情報量が増大する。また,情報の内容を判断しやすくなる。
第6図は,カラーマップ表示変更手段104による制御の下,グラフ表示手段101と,グラフ内区間指定手段102と,カラーマップ表示手段103とを連動させて,第5図と同様の表示を行い,さらに,該表示に対して,マウス等のポインティングデバイスを用いてヒストグラムの任意の区間を指定し,この区間に対応するスカラ量分布を詳細にカラーマップ表示した例である。
なお,マウスによる区間の指定方法は,第4図の場合と同様である。」(5頁左上欄3行?6頁右上欄11行)

2 甲第2号証について
本件出願前に頒布された刊行物である甲第2号証(MACWORLD Photoshop2.5大全)には,以下の事項が記載されている。

(記載事項2-1)
「レベル補正とトーンカーブ
Photoshopには,色補正のための2つのプロ用のコマンド,“レベル補正”と“トーンカーブ”が用意されている。一般的な色補正に適した“レベル補正”は,選択範囲全体や,カラーチャンネル別に,ハイライト,シャドウ,ガンマ(中間調)の調整ができる。そして,“レベル補正”ではカバーできない特殊効果や色補正には,“トーンカーブ”を使う。“トーンカーブ”コマンドは,各カラーチャンネルの明るさを変えることができる。
“レベル補正”コマンド
“イメージ”メニュー→“色調補正”→“レベル補正(command-L)コマンドを選択すると,Figure16-8のようなダイアログボックスが開く。ここには,『2階調化』の項で説明したヒストグラムが表示されている。また,2つのスライダと3種類のスポイトツール・アイコンがある。“入力レベル”スライダで画像の明るさの分布域の幅を調整し,その明るさを“出力レベル”スライダを使って新しい明るさに割り当てる。
・・・・・・・
“レベル補正”ダイアログボックスの各オプションの内容は次の通りだ。
チャンネル:このポップアップメニューで,編集の対象となるチャンネルを選択する。チャンネルごとに入出力レベルを変えることも可能だが,ダイアログボックスの右側に並んだオプションは,どのチャンネルが選択されていても,選択範囲内のすべての色に影響する。
入力レベル:画像の選択範囲内の,最も暗い部分と,最も明るい部分を選択して,画像のハイライトとシャドウ間のダイナミックレンジを上げることができる。“入力レベル”の3つの欄は,ヒストグラムのすぐ下のスライダと連動している。ピクセルを黒(または出力レベルの最も暗い値)に変えるには,最初の欄に0?255の値を入力するか,黒い三角のスライダをドラッグする。たとえば,値を『55』に設定すると,明るさが55以下のピクセルは黒に変わる。Figure16-9の左側の画像がその例だ。
ピクセルを白に変える(または出力レベルの最も明るい値)には,3番目の欄に0?255を入力するか,白い三角のスライダをドラッグする。たとえば『200』と入力すれば,明るさが200以上のピクセルは白に変わる。これを示した例がFigure16-9の中央。Figure16-9の右側は,先の2つの設定を組み合せて画像のコントラストを上げたものだ。
・・・・・・・」(600頁下から6行?602頁4行)

3 甲第3号証について
本件出願前に頒布された刊行物である甲第3号証(PHOTOSHOP BIBLE For Adobe Photoshop 2.5J)には,以下の事項が記載されている。

(記載事項3-1)
「それではイメージメニューから『ヒストグラム』を選択してみましょう。ヒストグラムは画像が複数のチャンネルから構成されている場合はチャンネルごとにヒストグラムを表示します。・・・表示される数値は0から255の間の数値(0から255で256階調に分けられる)になります。」(131頁15?27行)

(記載事項3-2)
「入力レベルの下にグレーのチャートが表示されている部分が出力レベルの調整です。この出力レベルを調整することによって,画像自体は真黒の0から真白の255までの256階調を含んでいていても,この出力レベルで階調を制限することが可能です。左側のシャドー部のスライダを右にずらしていくと画像の黒い部分はグレーに置き換えられていきます。置き換えられるグレーの濃さはこのスライダの位置により決まります。」(136頁1?10行)

4 甲第4号証について
本件出願前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開昭57-66479号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(記載事項4-1)
「本発明は,医用画像をはじめとした画像処理技術の分野に属するものであり,特に2次元階調性画像を表示するための画像表示方式に関するものである。」(1頁左下欄11?14行)

(記載事項4-2)
「濃淡像を表示する場合,例えば第1図に示すように単に相対的に濃淡の差をもつ画像を表示するだけでなく,各濃度(階調)のレベルが実質的にどういう値(例えばシンチレーションカメラのカウント値とか,CTスキャナーのCT値とか)を有しているのかの対応をつけるためのスケール(濃淡と絶対値との関係を示すいわば『ものさし』?グレースケールバー,カラースケールバーなどと称する)を並べて表示することが多い。
すなわち,第1図は通常の画像処理装置における表示フォーマットの一例であり,中央に濃淡像C1,左側に最大および最小輝度並びに中心輝度における濃度レベルの値を対応させて付した濃淡スケールすなわちグレースケールバーSB,そして右端に当該画像に関する識別情報(日付,患者名)その他のデータIDを表示している。」(1頁左下欄19行?右下欄15行)

(記載事項4-3)
「ところで,一般に濃淡像を表示する場合,できるだけコントラストをつけて表示することが望まれる。この時,ふつうは試行錯誤で,濃淡のゲイン(濃度変換の利得)や,中心輝度を決めて行っている。この中心輝度や濃淡のゲインを決めるのに,濃度ヒストグラムを用いることは,合理的であり,最適な輝度,ゲインを客観的に求める方法の一つである。
すなわち,第2図のヒストグラムにおいて,最頻値(最も頻度の高い値)のカウント200?249のレベルを中心輝度とし,カウント50以下を最小輝度,カウント500以上を最大輝度とする様なゲインに設定すれば,最もコントラストのついた画像が得られる。・・・」(2頁左上欄8行?右上欄1行)

(記載事項4-4)
「すなわち,本発明の特徴とするところは,階調性画像と階調のスケールをあらわすスケールバーとを同時に表示するに当り,さらに前記スケールバーに対応させて各階調レベルの頻度(対応する画素数に応じた値)を同時表示させるようにすることにある。」(2頁右上欄13?18行)

(記載事項4-5)
「濃淡階調表示に限らずカラー階調表示等にも同様にして実施することができる。」 (2頁右下欄8?9行)

5 甲第5号証について
甲第5号証は,本件特許に係る公開公報であり,本件出願時における明細書及び図面等の内容が示されている。

6 甲第6号証について
甲第6号証は,本件特許に係る平成11年12月28日付け手続補正書であり,当該手続補正書により補正された明細書の内容が示されている。

7 甲第7号証について
甲第7号証は,本件特許掲載公報であり,本件特許登録時の明細書及び図面等の内容が示されている。

8 甲第8号証について
甲第8号証は,本件特許に係る訂正2006-39042特許審決公報であり,当該訂正に係る審決及び訂正明細書の内容が示されている。

9-1 甲第9の1号証について
本件出願前に頒布された刊行物である甲第9の1号証(特開平4-294467号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(記載事項9の1-1)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,二次元画像の強調処理に係り,特に電子顕微鏡およびその類似装置の観察像に好適な画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子顕微鏡像の画像強調法は,従来から色々行われている。たとえば,画像をフ-リエ変換してフィルタリングを行なって強調する手法である。しかし,処理に長時間を要するという問題やア-チファクトの問題があり,ほとんど実用化されていない。このような問題を解決するために,特開昭61-47046号公報に開示されているような手法がある。すなわち図5に示すように,画像の強調したい部分(たとえば画像の暗い部分)を指定し,その部分のみ強調する手法である。この手法は,画像の強調したい部分とその強調の程度を人為的に指定できるために,実時間で所望の強調処理像が得られるという特徴があった。」

(記載事項9の1-2)
「【0009】一般に,SEMでは一次電子線1の照射により試料2から出てきた二次電子3を検出器4で検出して画像信号としている。この画像信号を走査信号発生器16による一次電子線1の試料2上の二次元走査と同期してブラウン管6上に表示したのが試料表面のSEM像といわれているものである。本実施例では,この画像信号の信号強度を16bitA/D変換器7によりデジタル化し,画像信号強度I_(mn)としてメインメモリ8に格納する。もちろんこの際には,走査信号発生器16によって決められた試料2上の一次電子線1の位置信号はA/D変換器17によりデジタル化されて画素位置信号としてこのメインメモリ8に与えられており,画像信号強度I_(mn)は一次電子線1の試料位置と対応するように二次元的に格納されている。本実施例では,この二次元画素を1024×1024で行った。」

(記載事項9の1-3)
「【0013】以上,本発明の構成ならびに動作原理について述べた。ここで,本発明にしたがって実施した処理画像を図6に示す。この原画像は走査型電子顕微鏡により得られたもので,試料はラットの肝細胞である。原画像にたいして明度画像は画像全体の大まかな明るさを示しており,全体の立体情報が主に表されたものとなっている。一方,微細構造画像は画像の微細構造のみが抽出されており,立体情報の乏しい平面的な画像になっている。この微細構造情報をヒストグラム平坦化処理により強調した画像が微細構造強調画像であり,微細構造が鮮明に強調されていることが分かる。ただ,このままでは立体感のない画像になっているので,分離されていた明度画像を加えあわせて画像本来の立体感ある強調画像を再生している。この強調画像を原画像と比較すると,本発明の効果は一目瞭然である。」

(記載事項9の1-4)
「【0015】本発明の実施例として図1ではSEMに適用した。しかし,本発明はこのSEMに限ることなく一般の画像強調処理として使用できることはいうまでもない。たとえば,電子線の応用装置としては時系列的に信号の得られる走査形透過電子顕微鏡(STEM)や走査形トンネル顕微鏡(STM)の類似装置はいうまでもなく,広く用いられている透過形電子顕微鏡(TEM)にも用いることができる。一般にTEMの画像は時系列的ではないが,結像面に撮像素子を置いて時系列的に信号を得られるようにしておけばよい。また,電子顕微鏡以外でもレ-ザ顕微鏡のような光学顕微鏡のような画像はじめ,X線CT,MRI等の診断画像やあらゆる分野の画像強調処理として用いることができる。」

9-2 甲第9の2号証について
本件出願前に頒布された刊行物である甲第9の2号証(「表面科学の基礎と応用」1991年8月1日初版発行)には,以下の事項が記載されている。

(記載事項9の2-1)
「表面科学に関する実験には,多種多様の科学計測機器が駆使されることは言うまでもないが,新しい現象や知見への遭遇の可能性が,道具立てにより左右されるという点,他の分野に比して大きいのではなかろうか。使用する計測器によって,“表面”の定義すら変わると言っても過言ではなかろう。“面”であるから情報の二次元分布が必要であるし,“表”を知るためには逆にミクロな深さ情報を得なければならない。」(934頁左欄1?8行)

(記載事項9の2-2)
「不可視光や光以外の情報の空間分布が,可視光の強度分布という目に訴えうる形で表示されたものが画像である。」(935頁右欄14?16行)

(記載事項9の2-3)
「二次元データは,画像データも含めて,平面上に展開された情報の大きさの分布であり,画像としては光の濃淡やカラーの分布で表示される。これをより定量的に示すために,図2にあるように三次元的な立体表示が行われる。厳密に言えば,(b)は(a)という二次元データの三次元表示である。画像を構成する最小単位を一般にピクセルという。」(936頁左欄1?7行)

(記載事項9の2-4)
「二次元データの中でも画像処理と呼ばれる場合,できるだけ目で判別しやすくするという目的が含まれるため,特殊な処埋がつけられていることも多い。ここではそれらを含め,一次元,二次元データに対するいくつかの処理法を説明しておく。」(937頁右欄17行?938頁左欄4行)

(記載事項9の2-5)
「4.4 ヒストグラム等価
画像全体を鮮明にするための処理である。画像強度の頻度図(ヒストグラム)は,画像によって特徴のある形状をとる。これを均等化するもので,その原理を示したのが図5である。」(939頁左欄1?5行)

(記載事項9の2-6)
「情報の画像化はいうまでもなく重要である。ここでいう画像化というのは分析結果をグラフィック表現するというのではなく,生データ自体を二次元的に得るということを意味する。つまり,試料の場所による違いをデータ化することであって,SEM・EPMA・AES・IMA・STMなどは当然のこととして行われており,XPSなども急速に進んできている(1989年現在)。」(945頁右欄7?13行)

(記載事項9の2-7)
「またフレームメモリを利用している利点として,メモリの深さ(ビット数)分だけの積算が可能であり,測定中であっても常時TVモードでの読み取りが可能なので,リアルタイム表示やリアルタイム画像処理が可能である。さらに,市販の画像解析装置との接続が非常に簡単である(多くの場合ビデオインプットのケーブル1本で可能)。」(946頁左欄下から2行?右欄5行)

(記載事項9の2-8)
「データ処理の内容は大別すると,〔1〕波形処理,〔2〕数値処理,〔3〕画像処理である。そしてそれぞれは,〔4〕生データの処理,〔5〕各種演算計算,〔6〕アウトプットおよび記憶によって構成される。波形処理・画像処理については次項で記述される。」(946頁右欄7?11行)

(記載事項9の2-9)
「画像処理の目的として次のようなことがある。・・・目的とする情報が明瞭に見えるように,伝わるように,濃淡コントラストを強調すること・・・画像の特徴を抽出して画像データに含まれる情報の解析を容易にすること」(952頁左欄20?29行)

(記載事項9の2-10)
「コンピュータ画像処理をすることで,電子顕微鏡写真が鮮明になりデータ解析が容易になる例を示す。この図1に示す例では,サマリウム・コバルト合金における規則正しい原子配列や原子配列の乱れを観察することを目的として,細かいところを調べるために大きく拡大して画像ノイズが目立った原画像を処理して原子配列が鮮明に観察できるようにしたものである。」(952頁右欄24?30行)

(記載事項9の2-11)
「走査型電子顕微鏡は試料表面の凹凸の程度を濃淡度に変換して試料の表面を観察する分析装置である。」(953頁右欄23?24行)

9-3 甲第9の3号証について
本件出願後に頒布された刊行物である甲第9の3号証(特開平6-288942号公報)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(記載事項9の3-1)
「【0002】
【従来の技術】従来,SEMやEPMA等の表面分析装置において,入射粒子の照射により試料から放出される検出粒子によって得られる画像により試料の表面分析を行なう表面分析装置において,画像のコントラスト及びブライトネスを自動により設定する場合には,例えばヒストグラム法等の演算方法を用いて行なっている。
【0003】このコントラスト及びブライトネスを自動設定する方法としては,例えばヒストグラム法がある。このヒストグラム法は,表面分析装置により得られる画像の明度とその分布量の関係等を表すヒストグラムを計算することによって,画像のコントラスト及びブライトネスを設定するものである。・・・」

10 甲第10号証について
本件出願前に頒布された刊行物である甲第10号証(米国特許第5333244号明細書)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(記載事項10-1)
「8. A scalar quantity distribution display method wherein shape information of an object to be displayed having a certain shape, and scalar quantity magnitudes at a plurality of sampling points lying on said object to be displayed are used for displaying scalar quantity magnitude distribution on said object to be displayed in terms of at least one of contour lines and a color map, said scalar quantity distribution displaying method comprising the steps of:
displaying,in terms of at least one of contour 1ines and a color map, said scalar quantity magnitudes by a first histogram over a range which covers said scalar quantity magnitudes at all of said sampling points;
designating at arbitrary interval of said histogram;
dividing said designated interval into sub-intervals;
and
displaying, simultaneously with said first histogram, a second histogram for scalar quantity magnitudes of said sub-intervals in terms of at least one of contour 1ines and a color map,
wherein boundary values of said sub-intervals obtained by said dividing step can be altered by a user.」(12欄22?44行)

(当審仮訳:「請求項8. ある形状を持った表示対象物の形状情報と,前記表示対象物上の複数のサンプリング点におけるスカラ量の大きさとを用いて,等高線とカラーマップとの少なくとも1つの表現形式で,前記表示対象物上におけるスカラ量の大きさ分布を表示するスカラ量分布表示方法であって,前記スカラ量分布表示方法は,
等高線とカラーマップとの少なくとも1つの表現形式で,前記サンプリング点全てのスカラ量の大きさを含む範囲の第1ヒストグラムによる前記スカラ量の大きさを表示するステップと,
前記ヒストグラムの任意の区間を指定するステップと,
前記指定された区間をサブ区間に分割するステップと,
等高線とカラーマップとの少なくとも1つの表現形式でのスカラ量の大きさであって,前記サブ区間のスカラ量の大きさのための第2のヒストグラムを,前記第1のヒストグラムと同時に表示するステップとを有し,
前記分割ステップで得られる前記サブ区間の境界値は,ユーザによって変更可能であることを特徴とする。」)

11 甲第11号証について
甲第11号証は,本件特許に係る平成14年2月19日付け意見書であり,当該意見書の内容を示すものである。

第7 当審の判断
1 無効理由1について
請求項1に記載された「前記輝度分布に対して,前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段」は,一見複雑な構造を有する表現であるが,本件の補正,訂正の経緯等を踏まえれば,以下のように解釈するのが相当である。
すなわち,平成11年12月28日付け手続補正書において,上記の記載に対応する部分は,「前記輝度分布に対するカラーテーブルの割り当てを表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段」となっていたことから,まず表現の骨格が,「前記輝度分布に対して」「カラーテーブルの割り当て範囲を」「指定して」「色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段」であることが明らかである。そして,この表現の骨格における「カラーテーブル」に対して,「前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割された」との限定が付加され,また,上記表現の骨格における「指定して」の具体的手段として「輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて」との限定が付加されたものと解釈すべきである。
そして,本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載をみても,この解釈に矛盾する記載はない。
ここで,請求項1の上記記載中の「カラーテーブル」の意味について検討すると,本件訂正明細書には,これに関連して以下の記載がある。

「【0005】・・・また,本発明におけるカラーテーブルは,画像データをカラー表示する際の色分布を表す表であり,割り当て指定手段はこの色分布を輝度分布中の輝度範囲に対する割り当て範囲を指定し,設定する手段である。・・・」
「【0008】・・・表示部には,前記輝度分布を表す部分と共に,カラーテーブルを表す部分が形成され,画像データ表示部で表示される画像データの色の分布を,例えば柱状の形態によって,ヒストグラムで表された輝度分布と対応できるように表示している。・・・」
「【0009】・・・したがって,表示部には,画像データとカラーテーブルと輝度分布が同時に表示される。そして,該表示状態を観察して,カラーテーブルの輝度分布に対する範囲を,表示された画像データの表示状態に応じてカラーテーブル割り当て指定手段によって変更することができる。・・・」
「【0012】カラーテーブル表示部11(ビデオルックアップテーブルという名称で呼ばれる場合もある)は,画像データ表示部10におけるカラー表示に使用するカラーの分布状態を表示する部分であり,図では柱状の形態で示されている。そして,このカラーテーブル表示部11は,例えば,256個に分割されている。各分割された区分に対応するピクセル値(以下,カラー値という)に対して,データ処理部2は後述するカラーテーブルメモリ21中に格納されているカラーテーブルの色情報を対応させることにより,色表示を行なう。・・・」
「【0017】・・・前記ステップS2及びステップS4で形成した輝度分布,表示用画像データ,及びカラー表示のためのカラーテーブルを表示部1上に同時に表示する(テップS5)・・・」
「【0020】前記ステップS13及びステップS15によって,輝度分布のデータ(ヒストグラムのデータ)及び表示用画像データが求められてメモリに格納され,また,カラーテーブルは,あらかじめカラーテーブルメモリ21に格納されている。そこで,これらのデータを表示部1中のそれぞれの画像データ表示部10,ヒストグラム表示部13,及びカラーテーブル表示部11に表示する。・・・」
「【0022】・・・また,該カラーテーブル自体の表示については,図5中に示すカラーテーブルEのカラー値(C_(1)?C_(n))に対応する色をカラーテーブル表示部11に表示することにより行なうことができる。・・・」

これらの記載によれば,「カラーテーブル」は,「画像データをカラー表示する際の色分布を表す表」(段落【0005】)であり,このカラーテーブルを表示部上に視認できる形にしたものが,「例えば柱状の形態によって,ヒストグラムで表された輝度分布と対応できるように表示」(段落【0008】)されたものである。そして,段落【0009】,【0017】,【0020】及び【0022】の記載から,本件訂正明細書において「カラーテーブル」との用語が,本来の表を意味するものとして使用されるだけでなく,表示部上に表示された例えば柱状の形態を意味して使用される場合もあることが分かる。(なお,どちらを意味するかは,それぞれの文脈等から明確であり,記載上の問題はない。)
そして,請求項1の「前記輝度分布に対して・・・カラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する」との記載中の「カラーテーブル」は,輝度分布に対してその割り当て範囲が表示画面上のレンジ・バーを用いて指定されるものであり,【図1】において輝度分布に対応させて柱状の色分布がレンジ・バーで挟まれる範囲内に表示されていることを考慮すれば,「表示部上に表示された例えば柱状の形態」を意味するものと解釈すべきことが明らかである。請求項1には他にも,「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示するとともに,前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する手段」のように,「カラーテーブル」との用語が「表示部上に表示された例えば柱状の形態」の意味として用いられていることが明らかな記載があり,上記の解釈はこのこととも整合する。
ここで,請求項1の「前記輝度分布に対して・・・カラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して」と「色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する」との関係について検討すると,上記のような「カラーテーブル」の解釈に基づけば,輝度分布に対してカラーテーブルの割り当て範囲を指定することは,「色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する」ことに他ならないから,請求項1の上記記載は,実質的に同じことを異なる表現で言い換えて再度記載することにより,より明確に構成を特定したものといえる。
してみると,請求項1の上記記載に不明確な点はなく,請求人の主張する無効理由1には理由がない。

なお,請求人は審判請求書において,「カラーテーブルの割り当てとは輝度分布即ちヒストグラムに対し任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブル(特許掲載公報【図5】『E』の『カラー分割数に分割されたカラーテーブル』 )を対応づける,装置が行う処理であり,下記図Aがこの処理を表す。」(8頁2?6行)と主張しているが,この主張は,「カラーテーブル」を図5の「E」,すなわち,「カラーテーブル本来の表」を意味するとの前提でなしたものであるから,誤りである。

2 無効理由2について
上述の「1 無効理由1について」で検討したとおり,請求項1の「前記輝度分布に対して・・・カラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して」と,「色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する」とは,実質的に同じことを表すものと解釈すべきものである。
しかるに,請求人は,上記解釈とは異なる解釈,すなわち,請求項1の上記各構成がそれぞれ異なる処理を表しているとの解釈に基づいて無効理由2を主張しているため,無効理由2に理由がないことは明らかである。

3 無効理由3について
請求人の主張する無効理由3について検討すると,まず請求項1に記載された「前記設定された輝度分布の範囲の上限以上,また,下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行う」の「カラーテーブルの上限また下限」については,「カラーテーブル」が「前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割された」ものである以上,輝度分布の上限また下限と対応したカラーテーブルの色であることは明らかであり,ここに不明確な点はない。
また,請求項1の上記記載に関連して,本件訂正明細書には以下の記載がある。

「【0023】(設定カラーレンジによるカラー表示)カラー表示の色範囲を変更する場合には,レンジ・バー12をヒストグラム表示部13に対して移動して,カラーレンジを指定し変更を行なう(ステップS18)。前記ステップS18においてカラーレンジの指定範囲が変更すると,例えば図6に示す設定カラーレンジ及び輝度区分となる。図6において,フルカラーレンジより狭い範囲に設定し,その狭い設定範囲をカラーレンジとして前記ステップS12と同様にn分割し,輝度区分(L_(1)?L_(n))を求める(ステップS19)。
【0024】そして,前記ステップS15と同様にして,画像データを表示部1の画像データ表示部10に表示するためのビットマップデータを求める。このビットマップデータは,前記ステップS18で設定したカラーレンジ(カラーテーブルの割り当て範囲)に対応して,各画素の輝度強度がいずれの輝度区分となるかを判定し,その区分値を示したものとなる。図6のマトリックスCは4×4のビットマップデータを示しており,その区分値は,L_(1)?L_(n)によって表示している。このビットマップデータにおいては,表示される輝度の上限が下げられ,また,下限が上げられているため,L_(1)以下の輝度はL_(1)として表示され,L_(n)以上の輝度はL_(n)として表示される。また,ビットマップデータCをカラーテーブルEを用いてカラー表示する場合には,前記ステップS16と同様に,ビットマップデータCに対してカラーテーブルEを用いて対応するR,G,Bの色データを用いて行ない,色付けは,前記ステップS19において輝度範囲をn分割して求めた輝度区分(L_(1)?L_(n))に対して,フルカラーレンジを同じくn分割した代表値(以下,カラー値(C_(1)?C_(n))という)を1対1で対応させて定め,ビットマップデータC中の輝度区分Lに対応したカラー値Cを求めることにより行なわれる。このとき,カラーテーブル及びヒストグラム表示については,フルカラーレンジにおける表示と同一のデータを用いて同様に行なうことができる。」

上述のとおり,段落【0024】には,「このビットマップデータにおいては,表示される輝度の上限が下げられ,また,下限が上げられているため,L_(1)以下の輝度はL_(1)として表示され,L_(n)以上の輝度はL_(n)として表示される。」と記載されており,この記載中の「ビットマップデータ」が装置により機械的に作成されるものであることは,同段落の「前記ステップS15と同様にして,画像データを表示部1の画像データ表示部10に表示するためのビットマップデータを求める。」との記載における,一連の機械処理を表す「ステップ」という表現からも明らかである。さらに,この種の色付けを操作者が入力装置で行うことは,技術常識から考えて通常はあり得ないから,請求項1の「前記設定された輝度分布の範囲の上限以上,また,下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行う」との記載は,装置が機械的に行うものであることを意味することは明白である。
また,装置が機械的に色付けを行うことは極めて一般的な慣用技術であり,しかも,段落【0024】に「このビットマップデータにおいては,表示される輝度の上限が下げられ,また,下限が上げられているため,L_(1)以下の輝度はL_(1)として表示され,L_(n)以上の輝度はL_(n)として表示される。」と記載されているのだから,発明の詳細な説明に当業者が容易にその実施をすることができる程度に,本件発明の目的,構成及び効果が記載されていないということはできない。
したがって,請求人の主張する無効理由3には理由がない。

なお,請求人は弁駁書において,「段落【0024】を訂正根拠とする構成要件Gの付加訂正に際して,被請求人は同段落の記載を忠実に反映せず,明細書に記載されていない実施態様が含まれるような上位概念化を行っているのであるから,該訂正は訂正前の明細書等の記載全体から導き出される技術的事項を超えて新たな技術的事項を付加するものであって新規事項追加訂正の瑕疵をも含む」(15頁17?21行)と主張している。
しかし,請求項1の「前記設定された輝度分布の範囲の上限以上,また,下限以下」は,本件特許明細書の段落【0024】の「L_(n)以上の輝度」及び「L_(1)以下の輝度」を言い換えたものであり,請求項1の「カラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行う」は,同段落【0024】の「L_(n)として表示される」及び「L_(1)として表示され」と同じ意味であるから,新規事項の追加はなく,請求人の上記主張は採用することができない。

4 無効理由4について
本件特許明細書の発明の詳細な説明の実施例の欄(段落【0024】)には,「このビットマップデータにおいては,表示される輝度の上限が下げられ,また,下限が上げられているため,L_(1)以下の輝度はL_(1)として表示され,L_(n)以上の輝度はL_(n)として表示される」と記載されているところ,一般的に実施例は特許請求の範囲に記載された発明をより具体的に記載したもの,逆の言い方をすると,特許請求の範囲は実施例の上位概念として記載されるものであるから,請求項1の「前記輝度分布に対して,前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段」との記載は,上記の段落【0024】記載の構成を包含する上位概念として記載されたものと解釈すべきものである。
そうすると,請求項1の上記記載中の「色付けを行う輝度分布の範囲」は,それ以外の範囲には一切の色付けをしないということまでを意味するものとは解釈すべきではなく,任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブルと実質的に1対1で対応させて,つまり,カラーテーブルの全ての色に対応させて割り当てられる輝度分布の範囲と解釈するのが相当である。
してみると,平成18年3月16日付訂正において,請求項1に「前記設定された輝度分布の範囲の上限以上,また,下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行う」との構成を追加したことは,訂正前の特許請求の範囲に対し実質的な拡張変更に該当するものとはいえないから,請求人の主張する無効理由4には理由がない。

なお,請求人は審判請求書において,「該引例(甲第4号証)は,『第2のヒストグラムにおいて,最頻値(最も頻度の高い値)のカウント200?249のレベルを中心輝度とし,カウント50以下を最小輝度,カウント500以上を最大輝度とする様なゲインを設定すれば,最もコントラストのついた画像が得られる』との開示がある(同号証2頁左上欄16行?右上欄1行)。 即ち,設定された輝度分布の範囲の上限以上及び下限以下についてそれぞれ上限また下限と同一の色付けを行うものである。この引例との差別化のために上記限定を加えたものであるから,設定範囲外についても同一の色付けを行うものが本件補正(当審注:平成11年12月28日付け手続補正)後の特許請求の範囲に含まれていたと解することは包袋禁反言の観点からも誤った解釈である。」(19頁1?9行)と主張している。
しかしながら,平成11年12月28日付け手続補正では,特許請求の範囲に対して,「色付けを行う輝度分布の範囲を設定する」との限定だけでなく,「表示画面上のレンジ・バーを用い」る等の限定も付加されているから,上記補正が,引用文献(甲第4号証)の「設定された輝度分布の範囲の上限以上及び下限以下についてそれぞれ上限また下限と同一の色付けを行う」という構成との差異を明確にすることを目的としてなされたものとは,必ずしも言うことはできない。
むしろ,上記補正と同日付けで提出された審判理由補充書(乙第3号証)の「このとき濃淡ヒストグラムとグレースケールを同時に見られるので煩雑さは多少無くなるものの,本願発明のようにレンジ・バーを使った一度の操作で最適な表示とすることはできない。・・・これに比較すると本願発明においては,輝度分布に対するカラーテーブルの割り当てをレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定するようにしているから,一度の割り当ての指定および再表示を行うことで,最適な表示結果が得られる。すなわち既に得られている輝度分布に対してカラーテーブルを直接的に対応づけることができるから,試行錯誤的な設定や確認は全く必要がない。しかもレンジ・バーを用いた操作は直感的であり分かりやすい。」(5頁6?19行)との記載からは,上記補正により,レンジ・バーを用いて範囲指定をする点において,引用文献との差異を明確化しようとした意図を窺うことができる。
そうすると,本件発明の「色付けを行う輝度分布の範囲を設定する」との限定が,設定された範囲以外にも色付けを行う引用文献との差別化のために付加されたものと断定することはできないから,請求人の上記主張は採用することができない。

5 無効理由5について
(1)甲第1発明について
上記記載事項1-1?1-3及び第1?9図の内容を総合すると,甲第1号証には,次の発明(以下,「甲第1発明」という。)が記載されていると認められる。

「ある形状を持った表示対象物の形状情報と,該表示対象物上のサンプリング点における工学や物理学,化学,医学等の分野での計測機器による測定データ等のスカラ量とに基づきカラーマップを表示するマップ表示手段と,上記スカラ量に基づきあらかじめ設定済みの分割数で等分割されたヒストグラムを表示するグラフ手段と,該グラフ表示手段と該マップ表示手段とを制御し,上記ヒストグラムに対応するカラーマップを表示させる制御手段とを備え,上記ヒストグラムの任意の区間をマウスカーソルを用いて指定する区間指定手段を有し,上記制御手段は,該区間指定手段により指定された区間についてのみのヒストグラムを表示させる機能を有し,カラーマップ表示手段とグラフ表示手段とにより,同一画面上にカラーマップのカラーバーとヒストグラムとを対応付けて,並列的に配置して,同時に表示し,さらにヒストグラムの各区間を,対応するカラーバーの色と同色で表示するとともに,指定された区間に対応するスカラ量分布をカラーマップ表示するスカラ量分布表示装置。」

(2)対比
本件発明を,甲第1発明と比較する。
甲第1発明の「カラーマップ」,「ヒストグラム」,「カラーバー」は,それぞれ本件発明の「表示用画像データ」,「輝度分布」,「カラーテーブル」に相当する。
甲第1発明は,「形状情報と・・・スカラ量とに基づきカラーマップを表示する」ものであるから,「形状情報」及び「スカラ量」は「画像データ」ということができる。そうすると,甲第1発明の「ある形状を持った表示対象物の形状情報と,該表示対象物上のサンプリング点における工学や物理学,化学,医学等の分野での計測機器による測定データ等のスカラ量」と,本件発明の「物質表面の原子配列や表面形状の測定結果として分析手段側から得られる画像データ」とは,「測定結果として分析手段側から得られる画像データ」という点で共通する。
甲第1発明は,「上記スカラ量に基づきあらかじめ設定済みの分割数で等分割されたヒストグラムを表示するグラフ手段」を備えるものであるが,スカラ量に基づきヒストグラムを表示する以上は,その前に当該スカラ量からヒストグラムを演算により求めることは当然である。そして,本件発明は,「画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段」を備えるものであるから,両発明は,「画像データの複数の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段」を備える点で共通する。

甲第1発明は,「カラーマップのカラーバーとヒストグラムとを対応付け」るものであり,「ヒストグラムの各区間を,対応するカラーバーの色と同色で表示する」ものであって,本件発明は,「前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブル」を有するものであるから,両発明は,「前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる複数のカラー分割数に分割されたカラーテーブル」を有する点で共通する。
また,甲第1発明は,「上記ヒストグラムの任意の区間をマウスカーソルを用いて指定する区間指定手段」を有するものであり,本件発明の「輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用い」たものは,「カラーテーブルの割り当て範囲を」「指定」するものであるから,両発明は,「範囲指定手段」を有する点で共通する。
そして,甲第1発明は,「該区間指定手段により指定された区間についてのみのヒストグラムを表示させる機能を有し」,「同一画面上にカラーマップのカラーバーとヒストグラムとを対応付けて,並列的に配置して,同時に表示し」,「指定された区間に対応するスカラ量分布をカラーマップ表示する」ものである。
そうすると,甲第1発明の「上記ヒストグラムの任意の区間をマウスカーソルを用いて指定する区間指定手段」と,本件発明の「前記輝度分布に対して,前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段」とは,「前記輝度分布に対して,前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる複数のカラー分割数に分割されたカラーテーブルの割り当て範囲を,範囲指定手段により指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段」である点で共通するといえる。

甲第1発明は,「指定された区間に対応するスカラ量分布をカラーマップ表示する」ものである以上,本件発明と同様に「前記カラーテーブルの割り当てに従って画像データを表示用画像データに変換する手段と,前記表示用画像データを記憶する手段」を有することが明らかである。
甲第1発明は,「同一画面上にカラーマップのカラーバーとヒストグラムとを対応付けて,並列的に配置して,同時に表示し」,「指定された区間に対応するスカラ量分布をカラーマップ表示する」ものであり,本件発明は,「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示するとともに,前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する手段」を有するものであるから,両発明は,「輝度分布,カラーテーブル,及び表示用画像データを表示する手段」を有する点で共通する。
甲第1発明の「スカラ量分布表示装置」は,「計測機器による測定データ等」に基づきスカラ量分布を表示する装置であるから,本件発明の「分析装置」に相当する。

してみると,両発明は,

「測定結果として分析手段側から得られる画像データの複数の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と,前記輝度分布に対して,前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる複数のカラー分割数に分割されたカラーテーブルの割り当て範囲を,範囲指定手段により指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段と,前記カラーテーブルの割り当てに従って画像データを表示用画像データに変換する手段と,前記表示用画像データを記憶する手段と,輝度分布,カラーテーブル,及び表示用画像データを表示する手段とを備えた分析装置。」

である点で一致し,以下の点で相違している。

(相違点1)
「複数の輝度分割数」及び「複数のカラー分割数」が,本件発明では「任意」の数値であるのに対し,甲第1発明では「あらかじめ設定済みの」数値である点。

(相違点2)
「範囲指定手段」が,本件発明では,「輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いたもの」であるのに対して,甲第1発明では,「マウスカーソルを用いて指定するもの」である点。

(相違点3)
本件発明では,「前記設定された輝度分布の範囲の上限以上,また,下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行う」のに対して,甲第1発明では,そのような構成かどうか明らかでない点。

(相違点4)
「測定結果」が,本件発明では,「物質表面の原子配列や表面形状の測定結果」であるのに対して,甲第1発明では,「工学や物理学,化学,医学等の分野での計測機器による測定」の結果である点。

(相違点5)
表示される「輝度分布」が,本件発明では「前記輝度分布」であるのに対して,甲第1発明では,「区間指定手段により指定された区間についてのみのヒストグラム」であり,「輝度分布,カラーテーブル,及び表示用画像データを表示する手段」が本件発明では,「前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する」ものであるのに対して,甲第1発明では,そのような構成であるかどうか明らかでない点。

(3)相違点についての判断
ア 相違点1について
本件発明の「任意の輝度分割数」及び「任意のカラー分割数」に関して,請求項1においては,それぞれの「任意」が「設計者にとって任意」であるか「操作者にとって任意」であるかは特定されていない。
また,これらに関連して,本件訂正明細書には,以下の事項が記載されている。

「【0007】・・・本発明の第6の実施態様は,画像データの輝度の分割個数とカラーテーブルの色分割の個数とが実質的に一致しているものであり,これによって,ビットマップデータで表される表示用画像データの値とカラーテーブルの各色を表す値とを実質的に1対1で対応させることができ,これによって,画像データのカラー表示を容易に行なうことができ,また,カラーテーブルを変更することによりカラー表示の変更を容易に行なうことができる。・・・」
「【0012】・・・そして,このカラーテーブル表示部11は,例えば,256個に分割されている。・・・」
「【0014】・・・カラーテーブルメモリ21は,画像データ表示部10にカラー表示を行なうための色情報を格納している部分であり,例えば,256色の色付けを行なう場合には,各色に対するR,G,Bの強度の組み合わせを記憶している。・・・なお,この例では,カラーテーブルを256色としているが,表示のビット数を増やすことによって増色することもできる。また,使用するR,G,B信号の組み合わせを変更することにより,カラー表示の色状態を変更することもできる。・・・」
「【0018】・・・前記ステップS11で求めた最大輝度(Pmax)と最小輝度(Pmin)の区間〔Pmax,Pmin〕をn分割する。この分割数nは任意であるが,カラー表示を行なう場合の色数と対応させて設定する方が後の信号処理において望ましい。n分割による輝度の一つの区間間隔は(Pmax-Pmin)/nである。そして,このn分割に対応して,輝度区分を設定する。・・・このnの数は,前記したカラー表示の色数に対応して例えば256とすることができる(ステップS12)。・・・」
「【0022】・・・なお,前記例では,輝度分布とカラーレンジとを共にn分割して1対1の対応付けを行なっているが,分割数及び対応付けの比率は任意とすることができる。(ステップS16)。・・・」

これらの記載によれば,本件発明の「任意の輝度分割数」及び「任意のカラー分割数」の「任意」という用語の意味について,「設計者にとって任意」という意味と,「操作者にとって任意」という意味とのいずれかに特定して解釈できる記載部分はないと言うべきである。
確かに,「表示のビット数を増やす」(段落【0014】)や「後の信号処理において望ましい」(段落【0018】)のように分析装置内部の機械処理に関する記載であって,一見すると「設計者にとって任意」という意味に推測できる根拠とも思われる記載もあるが,「使用するR,G,B信号の組み合わせを変更することにより,カラー表示の色状態を変更することもできる」(段落【0014】)のように,「使用するR,G,B信号の組み合わせを変更する」という機械処理に関する記載があっても,「カラー表示の色状態を変更することもできる」と操作者によることが明らかな記載もあるので,機械処理に関する記載があるからといって,必ずしも「任意」を「操作者にとって任意」という意味に解釈すべきものとまでは言うことができない。
そうすると,本件発明において「任意」という用語は,「設計者にとって任意」であってもよいし,「操作者にとって任意」であってもよいものと解釈すべきである。
そして,甲第1発明において,「上記スカラ量に基づきあらかじめ設定済みの分割数で等分割されたヒストグラム」の「あらかじめ設定済みの分割数」は,「設計者があらかじめ任意に設定した分割数」といえるから,「任意の輝度分割数」と言うことができるし,甲第1発明は「ヒストグラムの各区間を,対応するカラーバーの色と同色で表示する」ものであり,輝度分割数とカラー分割数とが対応関係にあるものであるから,「輝度分割数」が「任意」の数値である以上,「カラー分割数」も当然に「任意」の数値と言うことができる。
してみると,相違点1は,実質的な相違点とはいえないものである。

イ 相違点2について
上記記載事項2-1によれば,甲第2号証に記載された「スライダ」は,「画像の明るさの分布域の幅を調整」,すなわち,「輝度分布の領域の幅を調整」するものであり,「ヒストグラムのすぐ下」に複数配置されて,「ドラッグ」して使用するものであるから,甲第2号証には,「範囲指定手段」として「輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のスライダを用いたもの」が記載されているといえる。
そして,棒(バー)状のものを並べて表示して,その棒に挟まれた区間として範囲を表すことは,常套手段である。
そうすると,甲第1発明において,「範囲指定手段」として,「マウスカーソルを用いて指定するもの」に替えて,甲第2号証に記載された「輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のスライダを用いたもの」を採用し,かつ,そのスライダの形状を棒状のものとする,すなわち,「レンジ・バー」として,相違点2における本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到できたことである。

ウ 相違点3について
上記記載事項2-1中の「ピクセルを黒(または出力レベルの最も暗い値)に変えるには,最初の欄に0?255の値を入力するか,黒い三角のスライダをドラッグする。たとえば,値を『55』に設定すると,明るさが55以下のピクセルは黒に変わる。」との記載において,「明るさが55以下」は「設定された輝度分布の範囲の下限以下」であり,「黒(または出力レベルの最も暗い値)」は「カラーテーブルの下限と同一の色付け」であることが明らかである。
また,同様に上記記載事項2-1中の「ピクセルを白に変える(または出力レベルの最も明るい値)には,3番目の欄に0?255を入力するか,白い三角のスライダをドラッグする。たとえば『200』と入力すれば,明るさが200以上のピクセルは白に変わる。」との記載において,「明るさが200以上」は「設定された輝度分布の範囲の上限以上」であり,「白」「(または出力レベルの最も明るい値)」は,「カラーテーブルの上限と同一の色付け」であることが明らかである。
そうすると,甲第2号証には,「設定された輝度分布の範囲の上限以上,また,下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行う」との技術的事項が記載されているといえるから,甲第1発明に対して甲第2号証に記載された上記の技術的事項を適用して,相違点3における本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到できたことである。

エ 相違点4について
「工学や物理学,化学,医学等の分野での計測機器」として,走査型トンネル顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡は従来周知のものである。そして,走査型トンネル顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡は,例えば甲第9号証の1や甲第9号証の2にも記載されているとおり,物質表面の原子配列や表面形状を測定して輝度分布として表示するものである。なお,走査型プローブ顕微鏡等が「物質表面の原子配列や表面形状」を測定するものであることは,本件訂正明細書の段落【0002】にも記載のあるとおりである。
そうすると,甲第1発明において,「測定結果」としての「工学や物理学,化学,医学等の分野での計測機器による測定」の結果を,より具体的に「物質表面の原子配列や表面形状の測定結果」として,相違点4における本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到できたことである。

オ 相違点5について
相違点5に関連して,本件発明の「前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示する」の「前記輝度分布」の解釈について検討する。
まず,請求項1の「・・・分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と,前記輝度分布に対して,・・・カラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段と,・・・前記輝度分布,カラーテーブル,レンジ・バー,及び表示用画像データを表示するとともに,・・・」との記載からみて,上記の「前記輝度分布」は,「分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布」であると解することができる。
そして,請求項1に「前記輝度分布に対して,・・・カラーテーブルの割り当て範囲を,輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段」と記載されていることから,この「輝度分布」は,色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する前に作成されているものであることが分かる。
そうすると,「前記輝度分布」,すなわち,「分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布」は,分析手段側から得られる画像データに基づいて,色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する前に作成された輝度分布を意味し,設定された輝度分布の範囲に対応して新たに作成される輝度分布を意味しないと解釈するのが相当である。
また,「前記輝度分布」に関連して,本件訂正明細書には以下の記載がある。

「【0018】前記ステップS1によって,画像データファイル3から読み込んだ画像データを基にして,その画像データの輝度信号から最大輝度(Pmax)と最小輝度(Pmin)を求める。・・・前記ステップS11で求めた最大輝度(Pmax)と最小輝度(Pmin)の区間〔Pmax,Pmin〕をn分割する。・・・次に,前記求めた輝度区分に対応する輝度強度を有する画素の個数を計数し,輝度分布のデータを形成する。図4では,輝度区分L_(1)についてはm_(1)個の画素数を計数し,輝度区分L_(2)についてはm_(2)個の画素数を計数し,輝度区分L_(n)については,m_(n)個の画素数を計数し,その値は図1中のヒストグラムデータメモリ24に格納している(ステップS13)。
【0019】(フルカラーレンジによるカラー表示)次に,はじめに測定された画像データの輝度分析の全体を観察するために,輝度区間〔Pmax,Pmin〕をフルカラーレンジとする。・・・・
【0020】前記ステップS13及びステップS15によって,輝度分布のデータ(ヒストグラムのデータ)及び表示用画像データが求められてメモリに格納され,また,カラーテーブルは,あらかじめカラーテーブルメモリ21に格納されている。そこで,これらのデータを表示部1中のそれぞれの画像データ表示部10,ヒストグラム表示部13,及びカラーテーブル表示部11に表示する。・・・」
「【0023】(設定カラーレンジによるカラー表示)カラー表示の色範囲を変更する場合には,レンジ・バー12をヒストグラム表示部13に対して移動して,カラーレンジを指定し変更を行なう(ステップS18)。前記ステップS18においてカラーレンジの指定範囲が変更すると,例えば図6に示す設定カラーレンジ及び輝度区分となる。図6において,フルカラーレンジより狭い範囲に設定し,その狭い設定範囲をカラーレンジとして前記ステップS12と同様にn分割し,輝度区分(L_(1)?L_(n))を求める(ステップS19)。
【0024】そして,前記ステップS15と同様にして,画像データを表示部1の画像データ表示部10に表示するためのビットマップデータを求める。・・・また,ビットマップデータCをカラーテーブルEを用いてカラー表示する場合には,前記ステップS16と同様に,ビットマップデータCに対してカラーテーブルEを用いて対応するR,G,Bの色データを用いて行ない,色付けは,前記ステップS19において輝度範囲をn分割して求めた輝度区分(L_(1)?L_(n))に対して,フルカラーレンジを同じくn分割した代表値(以下,カラー値(C_(1)?C_(n))という)を1対1で対応させて定め,ビットマップデータC中の輝度区分Lに対応したカラー値Cを求めることにより行なわれる。このとき,カラーテーブル及びヒストグラム表示については,フルカラーレンジにおける表示と同一のデータを用いて同様に行なうことができる。」

これらの記載によれば,フルカラーレンジによるカラー表示で表示される輝度分布は,画像データファイルから読み込んだ画像データを基にして,最大輝度と最小輝度の区間,すなわち,フルカラーレンジを分割して形成された輝度分布であり,カラー表示の色範囲を変更した場合(設定カラーレンジによるカラー表示の場合)の輝度分布表示については,「フルカラーレンジにおける表示と同一のデータを用いて同様に行なうことができる」(段落【0024】)ものである。そうすると,これらの記載は,上述の「前記輝度分布」の解釈と整合しており,この解釈を裏付けるものということができる。
また,この解釈は,本件特許の【図3】のフローチャートにおいて,ステップ「S13」でヒストグラムを作成した後には,ヒストグラムを作成し直す工程がないこととも整合する。

上記解釈によれば,相違点5における本件発明の構成は,「前記輝度分布」,すなわち,「分析手段側から得られる画像データに基づいて,色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する前に作成された輝度分布」並びに「カラーテーブル及び表示用画像データを表示する」とともに,「前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する」ものである。そして,ここで,「前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する」が,表示された「前記輝度分布」における「前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内」の位置に,カラーテーブルを表示することを意味することも明らかである。
しかしながら,このような構成は,甲第1号証に記載がないのみならず,甲第2号証乃至甲第4号証にも記載がないし,他のいずれの甲号証にも記載されていない。そして,このような構成を有することにより,本件発明は,「装置画像データの表示状態の調整のための操作が容易な分析装置を提供することができる」との作用効果,例えば,全輝度範囲(フルカラーレンジ)のヒストグラムに対するカラーテーブルの割り当て対応関係を表示画面上で確認しながら,色付けを行う輝度分布の範囲の設定調整を可能にするとの作用効果を奏するものである。

なお,請求人は弁駁書において,「被請求人は,前記訂正請求により引用発明と本件発明との間には相違点5も現れたと主張するが,『前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲に表示する』ことは,甲第1号証の『第7図は,第6図のカラーバーまたはヒストグラムについて,各区間の境界線をマウスを用いてドラッギングまたは各区間内でクリックすることにより,カラーバーの目盛りとなるスカラ量を変更した例』(6頁左下欄7?11行)そのものである。該第7図においては,『カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲に表示』している。引用発明と本件発明との間に『相違点5』は存在しない。」(27頁1?9行)と,主張している。
しかしながら,甲第1号証の第7図に記載されたものは,「カラーバーの目盛りとなるスカラ量」,すなわち,甲第1号証の第7図からも明らかなように「カラーバーの各スカラ量の境界線61」を変更するものであって,本件発明のように「色付けを行なう輝度分布の範囲を設定」して「前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する」ものではないから,請求人の上記主張を採用することはできない。

また,請求人は平成21年6月5日付け上申書において,甲第10号証(米国特許第5333244号明細書)を提出するとともに,「甲第10号証は,限定解釈された『前記輝度分布』を表示する手段を開示するものであり,甲第1号証の発明に該手段を適用して『相違点5』に想到することは,出願時当業者が容易になし得たことである。」(14頁8?10行)と主張している。
請求人の上記主張について以下に検討する。
上記記載事項10-1によれば,甲第10号証には,「サブ区間のスカラ量の大きさのための第2のヒストグラム」を「サンプリング点全てのスカラ量の大きさを含む範囲の第1ヒストグラム」と「同時に表示する」ことが記載されており,ここで,「サンプリング点全てのスカラ量の大きさを含む範囲の第1ヒストグラム」は,本件発明の「前記輝度分布」,すなわち,「分析手段側から得られる画像データに基づいて,色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する前に作成された輝度分布」に相当するものと認められる。
しかし,甲第10号証には,「前記輝度分布」,すなわち,「分析手段側から得られる画像データに基づいて,色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する前に作成された輝度分布」を表示するとともに,表示された「前記輝度分布」における「前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内」の位置に,カラーテーブルを表示することは記載されていない。
よって,甲第1発明に対して甲第10号証に記載された技術的事項を適用しても,相違点5における本件発明の構成を得ることはできないから,請求人の上記主張は採用することができない。

(4)まとめ
したがって,本件発明は,相違点5において,甲第1発明及び甲第2号証乃至甲第4号証などの各甲号証に記載された事項から当業者が容易に発明することができたものではないので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえず,請求人の主張する無効理由5には理由がない。

第8 むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件発明に係る特許を無効とすることができない。また,本件発明に係る特許を無効とすべき他の理由を発見しない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
分析装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】物質表面の原子配列や表面形状の測定結果として分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と、前記輝度分布に対して、前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブルの割り当て範囲を、輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段と、前記カラーテーブルの割り当てに従って画像データを表示用画像データに変換する手段と、前記表示用画像データを記憶する手段と、前記輝度分布、カラーテーブル、レンジ・バー、及び表示用画像データを表示するとともに、前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する手段とを備えた分析装置であって、
前記設定された輝度分布の範囲の上限以上、また、下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行うことを特徴とする分析装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型プローブ顕微鏡等の分析装置に関し、特に測定した画像データをカラー表示する画像データ表示装置を備えた分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、走査型プローブ顕微鏡等の分析装置においては、物質表面の原子配列や、物質表面の表面形状の測定結果を画像データとして取得し、該画像データを表示装置に表示している。この走査型プローブ顕微鏡として、例えば、プローブと試料表面との間に流れるトンネル電流を用いる走査型トンネル顕微鏡(STM)や、プローブと試料表面間に働く原子間力を測定する原子間力顕微鏡(AFM)が知られている。例えば、走査型トンネル顕微鏡は、探針を試料表面に近づけて探針または試料の何れかを3次元方向に移動可能とし、探針と試料表面との間に流れるトンネル電流が一定となるように試料表面と探針先端部との間をサブナノメータオーダーで制御することにより原子レベルの分解能で得られる3次元形状の情報によって、物質表面の原子配列の観察や、物質表面の表面形状の観察等を行うものであり、原子間力顕微鏡は、例えば探針及び探針を支持するカンチレバー等と、レバーの曲がりを検出する変位測定系からなり、探針と試料との間の原子間力(引力または斥力)を検出してこれが一定になるように制御することによって、試料表面の凹凸像等を観察するものであり、生物,有機分子,絶縁物等の非導電物質の観察を行うことができる顕微鏡である。このような走査型プローブ顕微鏡等の分析装置が備える画像表示装置においては、一般に、分析装置から得られる画像データは必ずしもコントラストが良好ではない。そのため、測定されたままの未処理の測定画像データに対してカラーテーブルを割り当てて色付けを行っても、明瞭なカラーの画像表示が行われるとは限らない。また、良好なコントラストが得られている場合であっても、分析の必要性から輝度の表示範囲を限定して表示を行いたいという要請が生じる場合がある。そのため、従来、その画像データの輝度分布を表すヒストグラムを基にして、測定画像データに対してヒストグラムの平坦化やヒストグラムの部分拡張等を行うデータ加工を行って測定画像データを再構成し、その再構成した測定画像データに対してカラーテーブルを割り当てて色付けを行ってカラー表示し、その画像表示を確認し、再び測定画像データのデータ加工を行うという操作を、所望の表示状態となるまで繰り返して行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の分析装置では、カラー表示のための測定データのデータ処理が円滑に行えないという問題がある。従来の測定画像データのカラー表示においては、前記したように分析装置から得られた測定画像データのデータ加工による再構成と、該加工画像データの表示確認という操作を繰り返す必要があるため、カラー表示のための測定データのデータ処理に時間を要し、操作が煩雑となっている。これは、従来の分析装置において行われるデータ加工はヒストグラム自体を所望の特性とするデータ処理であり、このデータ処理によって結果的に再構成される測定画像データを用いてカラー表示を行うものであるため、カラー表示におけるカラーテーブルの割り当てと、測定画像データのデータ加工とが必ずしも対応しているものとなっていないためである。例えば、走査型トンネル顕微鏡では、試料と探針との間に流れるトンネル電流を用いて得られる物質表面の原子配列や表面形状についての三次元データを、カラー表示によって画像表示する場合がある。例えば、表面の高さ情報をカラー表示によって画像表示する場合、この高さ方向の頻度を表すヒストグラム自体が所望の特性となるよう行うヒストグラムのデータ加工と、カラー表示を行うためのカラーテーブルの割り当てとの間には充分な対応がとられておらず、ヒストグラムのデータ加工を行ったとしても,必ずしも適切なカラー表示が行われるとは限らなかった。そこで、本発明は前記した従来の分析装置の問題点を解決し、測定画像データの表示状態の調整のための操作を容易に行うことができる分析装置を提供することを目的とし、また、トンネル電流を用いて得られる画像データのカラー表示のための調整を容易に行うことができる走査トンネル顕微鏡を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、分析装置において、物質表面の原子配列や表面形状の測定結果として分析手段側から得られる画像データの任意の輝度分割数に分割された輝度分布を求める手段と、前記輝度分布に対して、前記輝度分割数と実質的に1対1で対応させることができる任意のカラー分割数に分割されたカラーテーブルの割り当て範囲を、輝度分布表示に対して移動可能な表示画面上のレンジ・バーを用いて指定して色付けを行なう輝度分布の範囲を設定する手段と、前記カラーテーブルの割り当てに従って画像データを表示用画像データに変換する手段と、前記表示用画像データを記憶する手段と、前記輝度分布、カラーテーブル、レンジ・バー、及び表示用画像データを表示するとともに、前記カラーテーブルを前記設定された輝度分布の範囲の上限・下限と対応する範囲内に表示する手段手段とを備えた分析装置であって、前記設定された輝度分布の範囲の上限以上、また、下限以下についてはそれぞれカラーテーブルの上限また下限と同一の色付けを行うことによって、測定画像データの表示状態の調整のための操作を容易に行うことができる。
【0005】本発明における分析装置は、分析手段から得られる測定データを画像として表示する表示手段を備えた装置であり、さらに、その表示手段は測定画像データのカラー表示を行うことができるものである。本発明における画像データの輝度分布は、測定した画像データの輝度の強度に対する頻度分布を表すものである。また、本発明におけるカラーテーブルは、画像データをカラー表示する際の色分布を表す表であり、割り当て指定手段はこの色分布を輝度分布中の輝度範囲に対する割り当て範囲を指定し、設定する手段である。本発明における表示用画像データは、測定画像データをカラーテーブルの割り当て区分に対応するように変換することにより得られ、この表示用画像データに対してカラーテーブルの各色を対応させることによって、カラー表示を行うことができるものである。
【0006】本発明の第1の実施態様は、走査型トンネル顕微鏡において、探針を通して得られるトンネル電流を用いて得られる表面状態に関連する画像データの輝度分布を求める手段と、輝度分布に対するカラーテーブルの割り当て範囲を指定する手段と、カラーテーブルの割り当てに従って表面状態に関連する画像データを表示用画像データに変換する手段と、変換した表示用画像データを記憶する手段と、輝度分布、カラーテーブル、及び表示用画像データを表示する手段とを備えることによって、トンネル電流を用いて得られる画像データのカラー表示のための容易な調整を可能とする。本発明の第2の実施態様は、画像データは画素単位の輝度強度であり、該輝度強度を複数個の輝度区間に分割して区分し、各輝度区間に分布する画素の個数を求めることによって画像データの輝度分布を求めるものであり、これによって、該輝度分布を任意の表示形態で表示することができる。本発明の第3の実施態様は、輝度分布をヒストグラムの表示形態で表示するものであり、これによって、柱状の形態で表示したカラーテーブルと輝度分布との対応を容易に行なうことができる。本発明の第4の実施態様は、画像データの輝度強度をカラーテーブルの割り当て範囲に対応して区分し、区分した値を画素単位のビットマップデータとして記憶するものであり、これによって、設定したカラー表示範囲に対応した表示用の画像データを得ることができる。
【0007】本発明の第5の実施態様は、ビットマップデータで表される表示用画像データの値と、カラーテーブルの各色を表す値とを対応させることによって画像データのカラー表示を行うものであり、これによって、画像データのカラー表示を容易に行なうことができ、また、カラーテーブルを変更することによりカラー表示の変更を容易に行なうことができる。本発明の第6の実施態様は、画像データの輝度の分割個数とカラーテーブルの色分割の個数とが実質的に一致しているものであり、これによって、ビットマップデータで表される表示用画像データの値とカラーテーブルの各色を表す値とを実質的に1対1で対応させることができ、これによって、画像データのカラー表示を容易に行なうことができ、また、カラーテーブルを変更することによりカラー表示の変更を容易に行なうことができる。本発明の第7の実施態様は、輝度分布、カラーテーブル、及び表示用画像データを実質的に一つの表示面上に表示するものであり、これによって、輝度分布に対するカラーテーブルの割り当て範囲、及び画像データの表示確認を同時に行なうことができる。
【0008】
【作用】本発明の分析装置において、分析手段側から得られる画像データは、例えば、画素単位の輝度強度によって表されている。この輝度強度を複数個の輝度区間に分割して区分し、各輝度区間に分布する画素の個数を求めることによって、画像データの輝度分布を求めることができる。この求めた輝度分布は、表示部中において、例えば、ヒストグラム等の表示形態によって表すことができる。表示部には、前記輝度分布を表す部分と共に、カラーテーブルを表す部分が形成され、画像データ表示部で表示される画像データの色の分布を、例えば柱状の形態によって、ヒストグラムで表された輝度分布と対応できるように表示している。そして、カラーテーブル割り当て指定手段によって画像データの輝度分布における表示範囲を指定して、カラーテーブルによって色付さけれる輝度分布中の範囲を設定する。これによって、所望の輝度分布範囲におけるカラー表示を設定することができる。
【0009】また、画像データを表示用画像データに変換する手段は、測定画像データをカラーテーブルの割り当て区分に対応させ、その対応する色に該当するカラー値を画素単位で求め、さらに、表示用画像データを記憶する手段は、該値をビットマップデータとして記憶する。表示用画像データによって画像データのカラー表示を行なう場合には、表示用画像データのカラー値に対して対応するカラーテーブルの色を選択し、該色によってその画素に対応する部分を表示する。したがって、表示部には、画像データとカラーテーブルと輝度分布が同時に表示される。そして、該表示状態を観察して、カラーテーブルの輝度分布に対する範囲を、表示された画像データの表示状態に応じてカラーテーブル割り当て指定手段によって変更することができる。このカラーテーブルの割り当て範囲の変更により、前記したように、画像データを表示用画像データに変換し、カラー表示を行なう。
【0010】画像データの輝度の分割個数とカラーテーブルの色分割の個数とを一致させたり、あるいは、それらの個数関係に例えば整数倍等の一定の関係をもたせることによって実質的に一致させると、ビットマップデータで表される表示用画像データのカラー値と画像データ表示部において実際にカラー表示を行なう際のカラーテーブル中のR,G,Bの色データとを実質的に1対1で対応させることができる。そして、このR,G,Bの色データを、対応する画素に入力することによって、設定したカラーテーブルの割り当てに対応したカラー表示が行なわれる。このカラーテーブルにおいて、異なる組み合わせのR,G,Bの色データを使用することによって、カラー表示を変更することもできる。走査型トンネル顕微鏡においては、表示部において、ヒストグラム等の表示形態は、探針を通して得られるトンネル電流を用いて得られる表面状態に関連する画像データの輝度分布を表し、カラーテーブル割り当て指定手段によって表面状態に関連した画像データについての色付けの割当てを行って、所望の輝度分布範囲におけるカラー表示を設定する。そして、表示用画像データ記憶手段中の記憶してある表面状態に関連するビットマップデータに対して、対応するカラーテーブルの色を選択し、該色によって対応画素を表示する。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照しながら詳細に説明する。
〔本発明の実施例の構成〕はじめに、図1の構成図を用いて、本発明の分析装置の一実施例の構成について説明する。図1において、本発明の分析装置は、通常の分析を行なう分析手段(図示していない)、画像データ等の表示を行なう表示部1、画像データ等のデータの処理や記憶を行なうデータ処理部2を備えている。なお、図では、表示部1及びデータ処理部2の概略を示し、分析装置が備える分析手段等のその他の部分については省略して示している。なお、以下に示す例では、輝度分布表示としてヒストグラム表示を例として説明する。表示部1は、画像データ表示部10とカラーテーブル表示部11とレンジ・バー12とヒストグラム表示部13とを備えている。画像データ表示部10は、分析手段が測定した測定データを画像データとして表示する部分であり、例えば、512×512個の複数の画素に区分した表示手段により構成することができ、各画素に対して画像データを入力することによって画像表示を行なうものであり、R,G,Bのカラーデータに対応することによるカラー表示機能も備えている。分析装置が走査型トンネル顕微鏡の場合には、前記画像データはトンネル電流を用いて得られる表面状態に対応した画像データとなり、例えば、表面の三次元情報を有した画像データである。
【0012】カラーテーブル表示部11(ビデオルックアップテーブルという名称で呼ばれる場合もある)は、画像データ表示部10におけるカラー表示に使用するカラーの分布状態を表示する部分であり、図では柱状の形態で示されている。そして、このカラーテーブル表示部11は、例えば、256個に分割されている。各分割された区分に対応するピクセル値(以下、カラー値という)に対して、データ処理部2は後述するカラーテーブルメモリ21中に格納されているカラーテーブルの色情報を対応させることにより、色表示を行なう。ヒストグラム表示部13は、測定画像データ中の輝度分布を表す部分であり、例えば、最小の輝度から最大の輝度の間を分割し、その分割した区分内にある測定画像データ中の画素の個数をヒストグラムによって表示するものである。このヒストグラム表示においては、最大の画素数で各区分内の画素数を除することによって、規格化することができる。
【0013】図1では、ヒストグラム表示によって測定画像データ中の輝度分布を表しているが、その他の周知の表示形態によって表すこともできる。また、レンジ・バー12は、画像データ表示部10におけるカラー表示の状態を変更して設定する手段であり、例えば、マウス等のカラーテーブル割り当て指定部4等の入力手段により入力することができる。カラーテーブル割り当て指定部4によって、このレンジ・バー12をヒストグラム表示部13に対して移動し、輝度分布に対して色付けを行なう範囲を設定する。図1では、横方向の実線で示される2本のレンジ・バー12により設定される輝度分布の間において、カラーテーブル表示部11で示される色分布によってカラー表示が行なわれることになる。したがって、このレンジ・バー12を移動させることにより、色付けされる輝度分布の範囲を変更することができる。データ処理部2は、分析手段からの画像データ等のデータを処理や記憶を行ない前記表示部1に表示のための信号を出力する部分であり、処理部20、カラーテーブルメモリ21、表示用画像データメモリ22、カラーテーブル割り当て範囲(レンジ)メモリ23、及びヒストグラムデータメモリ(輝度分布データメモリ)24、表示ドライバ25を備えている。
【0014】処理手段20には、分析手段から得られた画像データを格納している画像データファイル3とカラーテーブル割り当て指定部4が、データ処理部2の外部から接続され、データ処理部2内部において、カラーテーブルメモリ21、表示用画像データメモリ22、カラーテーブル割り当て範囲メモリ23、及びヒストグラムデータメモリ24と接続されており、輝度分布形成のためのデータ処理やカラーテーブル割り当てのための処理や表示用画像データ(ビットマップデータ)の作成処理、及び表示ドライバ25の制御等を行なっている。カラーテーブルメモリ21は、画像データ表示部10にカラー表示を行なうための色情報を格納している部分であり、例えば、256色の色付けを行なう場合には、各色に対するR,G,Bの強度の組み合わせを記憶している。そして、各色を指定するカラー値に対応したR,G,B信号が画像データ表示部10に送られると、該画像データ表示部10はカラー表示を行なうことになる。なお、この例では、カラーテーブルを256色としているが、表示のビット数を増やすことによって増色することもできる。また、使用するR,G,B信号の組み合わせを変更することにより、カラー表示の色状態を変更することもできる。表示用画像データメモリ22は、画像データ表示部10に表示を行なうための画像データを格納しておくメモリであり、画像データファイル3から入力される分析手段からの画像データを、カラーテーブルの割り当て区分に対応したカラー値を画素単位で記憶するメモリであり、ビットマップデータを形成している。画像データ表示部10におけるカラー表示は、画像データファイル3中の画像データではなく、この表示用画像データメモリ22に格納されているビットマップデータに基づいて行なわれる。
【0015】カラーテーブル割り当て範囲メモリ23は、カラーテーブル割り当て指定部4が指定した割り当て範囲を記憶するメモリである。表示部1中のレンジ・バー12、及びカラーテーブル表示部11の表示範囲は、このメモリ23の記憶内容に応じて行なわれる。ヒストグラムデータメモリ24は、最小輝度と最大輝度間を分割した区分内にある測定画像データの画素の個数を記憶するメモリであり、この記憶内容に応じて、ヒストグラム表示部13に表示が行なわれる。表示ドライバ25は、カラーテーブルメモリ21、前記表示用画像データメモリ22、カラーテーブル割り当て範囲メモリ23、ヒストグラムデータメモリ24の記憶内容を表示部1に表示するための駆動部分であり、処理手段20によって制御される。また、走査型トンネル顕微鏡による分析装置の場合には、前記画像データは、トンネル電流を用いて得られる表面状態に関連した画像データとなる。
【0016】〔本発明の実施例の作用〕次に、本発明の分析装置の作用について、図2,図3のフローチャート、図4のビットマップデータ及びヒストグラムの形成を説明する図、図5のフルカラーレンジによるカラー表示を説明する図、及び図6の設定カラーレンジによるカラー表示を説明する図を用いて説明する。本発明の分析装置における画像データの表示のための概略手順は、図2に示すフローチャートに従って行なわれる。なお、図2のフローチャートでは、ステップSの符号を用いて説明する。はじめに、分析手段によって測定して得られた画像データの入力を行なう(ステップS1)。この画像データの入力は、画像データファイル3に格納しておいた画像データを処理手段20に読み込むことによって行なわれる。この場合、アナログの画像データを読み込んで、処理手段20においてデジタル信号にA/D変換することも、あるいは、デジタル信号に変換した画像データを画像データファイル3に格納しておき、デジタル信号を読み込むようにすることもできる。
【0017】そして、読み込んだ画像データを用いて、輝度分布(ヒストグラム)を求める(ステップS2)。カラー表示を行なう場合のカラーレンジを設定する(ステップS3)。このカラーレンジの設定は、輝度分布に対応して色付けを行なう範囲を定めるものであり、定められた範囲内をフルカラーレンジとして輝度分布に対応したカラー表示を行なうものである。また、前記読み込んだ画像データを処理して表示用の画像データを作成する。本発明の分析装置においては、分析手段で得られた画像データそのものではなく、表示用に形成した画像データによって画像表示を行なう(ステップS4)。前記ステップS2及びステップS4で形成した輝度分布、表示用画像データ、及びカラー表示のためのカラーテーブルを表示部1上に同時に表示する(テップS5),ステップS5における表示を観察して、カラー表示を行なう範囲(カラーレンジ)を変更する場合には、前記ステップS3に戻ってステップS4及びステップS5を繰り返す。次に、図4,図5,及び図6を用いるとともに、図3に示す本発明の分析装置における画像データの表示のためのより詳細な手順に従って、ステップSの10番台の符号を用いて説明する。
【0018】前記ステップS1によって、画像データファイル3から読み込んだ画像データを基にして、その画像データの輝度信号から最大輝度(Pmax)と最小輝度(Pmin)を求める。図4において、画像データファイル3から読み込まれる画像データは、画像元データとして表されている。図中において、画像元データは4×4のマトリックスAによって示されているが、例えば512×512のマトリックス状の画素により実現される。この各画素中に表記される「Pn」は、当該画素における輝度強度を表している。このマトリックス状の画素の輝度は表Bによって表わされる。この各画素中の輝度強度の中から、最大輝度(Pmax)と最小輝度(Pmin)を求める。図4中では、画素Iにおいて最大輝度(Pmax)を持ち、画素Jにおいて最小輝度(Pmin)を持っている(ステップS11)。前記ステップS11で求めた最大輝度(Pmax)と最小輝度(Pmin)の区間〔Pmax,Pmin〕をn分割する。この分割数nは任意であるが、カラー表示を行なう場合の色数と対応させて設定する方が後の信号処理において望ましい。n分割による輝度の一つの区間間隔は(Pmax-Pmin)/nである。そして、このn分割に対応して、輝度区分を設定する。この輝度区分の各輝度の代表値をそれぞれL_(1)?L_(n)とする。このnの数は、前記したカラー表示の色数に対応して例えば256とすることができる(ステップS12)。次に、前記求めた輝度区分に対応する輝度強度を有する画素の個数を計数し、輝度分布のデータを形成する。図4では、輝度区分L_(1)についてはm_(1)個の画素数を計数し、輝度区分L_(2)についてはm_(2)個の画素数を計数し、輝度区分L_(n)については、m_(n)個の画素数を計数し、その値は図1中のヒストグラムデータメモリ24に格納している(ステップS13)。
【0019】(フルカラーレンジによるカラー表示)次に、はじめに測定された画像データの輝度分析の全体を観察するために、輝度区間〔Pmax,Pmin〕をフルカラーレンジとする。このカラーレンジは、色付けを行なう際のカラーテーブルの割り当て範囲を設定するものである(ステップS14)。次に、画像データを表示部1の画像データ表示部10に表示するためのビットマップデータを求める。このビットマップデータは、前記ステップS14で設定したカラーレンジ(カラーテーブルの割り当て範囲)に対応して、各画素の輝度強度がいずれの輝度区分となるかを判定し、その区分値を示したものである。図4のマトリックスCは4×4のビットマップデータを示しており、その区分値は、L_(1)?L_(n)によって表示している。このビットマップデータが、表示用画像データとなり、図1中の表示用画像データメモリ22に格納される(ステップS15)。
【0020】前記ステップS13及びステップS15によって、輝度分布のデータ(ヒストグラムのデータ)及び表示用画像データが求められてメモリに格納され、また、カラーテーブルは、あらかじめカラーテーブルメモリ21に格納されている。そこで、これらのデータを表示部1中のそれぞれの画像データ表示部10、ヒストグラム表示部13、及びカラーテーブル表示部11に表示する。輝度分布のデータの表示は、例えば、図4中のヒストグラムDに示されるようにステップS13による画像素数を、各対応する輝度区分の位置に表示することにより形成される。このヒストグラムの表示あるいはステップS13のヒストグラムの形成において、最大の画素数で各区分内の画素数を除することによって、規格化することができる。
【0021】また、フルカラーレンジにおける画像データのカラー表示においては、図5に示すように、ビットマップデータCに対してカラーテーブルEを用いて対応するR,G,Bの色データを用いて行なう。このときの色付けは、前記ステップS12において輝度範囲をn分割して求めた輝度区分(L_(1)?L_(n))に対して、フルカラーレンジを同じくn分割した代表値(以下、カラー値(C_(1)?C_(n))という)を1対1で対応させて定め、前記ステップS15で求めたビットマップデータC中の輝度区分Lに対応したカラー値Cを求めることにより行なわれる。一般に、カラーテーブルEは、R,G,Bの各色の強度の組み合わせによって、ソフトウェアにより色表示を行なうことができるものであり、それらの組み合わせを示すカラーテーブルE中においてカラー値Cを指定することによって、該色を表示することができる。
【0022】したがって、ステップS15で求めたビットマップデータとあらかじめ用意してあるカラーテーブルとによって、カラー表示を行なうことができる。また、該カラーテーブル自体の表示については、図5中に示すカラーテーブルEのカラー値(C_(1)?C_(n))に対応する色をカラーテーブル表示部11に表示することにより行なうことができる。なお、前記例では、輝度分布とカラーレンジとを共にn分割して1対1の対応付けを行なっているが、分割数及び対応付けの比率は任意とすることができる。(ステップS16)。次に、前記ステップS16による表示を観察し、カラー表示の色範囲を変更するか否かの判定を行なう(ステップS17)。
【0023】(設定カラーレンジによるカラー表示)カラー表示の色範囲を変更する場合には、レンジ・バー12をヒストグラム表示部13に対して移動して、カラーレンジを指定し変更を行なう(ステップS18)。前記ステップS18においてカラーレンジの指定範囲が変更すると、例えば図6に示す設定カラーレンジ及び輝度区分となる。図6において、フルカラーレンジより狭い範囲に設定し、その狭い設定範囲をカラーレンジとして前記ステップS12と同様にn分割し、輝度区分(L_(1)?L_(n))を求める(ステップS19)。
【0024】そして、前記ステップS15と同様にして、画像データを表示部1の画像データ表示部10に表示するためのビットマップデータを求める。このビットマップデータは、前記ステップS18で設定したカラーレンジ(カラーテーブルの割り当て範囲)に対応して、各画素の輝度強度がいずれの輝度区分となるかを判定し、その区分値を示したものとなる。図6のマトリックスCは4×4のビットマップデータを示しており、その区分値は、L_(1)?L_(n)によって表示している。このビットマップデータにおいては、表示される輝度の上限が下げられ、また、下限が上げられているため、L_(1)以下の輝度はL_(1)として表示され、L_(n)以上の輝度はL_(n)として表示される。また、ビットマップデータCをカラーテーブルEを用いてカラー表示する場合には、前記ステップS16と同様に、ビットマップデータCに対してカラーテーブルEを用いて対応するR,G,Bの色データを用いて行ない、色付けは、前記ステップS19において輝度範囲をn分割して求めた輝度区分(L_(1)?L_(n))に対して、フルカラーレンジを同じくn分割した代表値(以下、カラー値(C_(1)?C_(n))という)を1対1で対応させて定め、ビットマップデータC中の輝度区分Lに対応したカラー値Cを求めることにより行なわれる。このとき、カラーテーブル及びヒストグラム表示については、フルカラーレンジにおける表示と同一のデータを用いて同様に行なうことができる。
【0025】また、走査型トンネル顕微鏡による分析装置の場合には、前記と同様の工程によって、トンネル電流を用いて得られる表面状態に関連した画像データをカラー表示することができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、装置画像データの表示状態の調整のための操作が容易な分析装置を提供することができる。また、トンネル電流を用いて得られる画像データのカラー表示調整が容易な走査トンネル顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析装置の一実施例の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の分析装置における画像データの表示のための概略手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の分析装置における画像データの表示のためのより詳細な手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明のビットマップデータ及びヒストグラムの形成を説明する図である。
【図5】本発明のフルカラーレンジによるカラー表示を説明する図である。
【図6】本発明の設定カラーレンジによるカラー表示を説明する図である。
【符号の説明】
1…表示部、2…データ処理部、3…画像データファイル、4…カラーテーブル割り当て指定部、11…カラーテーブル表示部、12…レンジ・バー、13…ヒストグラム表示部、20…処理手段、21…カラーテーブルメモリ、22…表示用画像データメモリ、23…カラーテーブル割り当て範囲メモリ、24…ヒストグラムデータメモリ、25…表示ドライバ、A…画像元データ、B…画素-輝度表、C…ビットマップデータ、D…ヒストグラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2009-08-03 
結審通知日 2009-08-06 
審決日 2009-08-21 
出願番号 特願平6-234802
審決分類 P 1 113・ 534- YA (G01N)
P 1 113・ 854- YA (G01N)
P 1 113・ 831- YA (G01N)
P 1 113・ 121- YA (G01N)
P 1 113・ 55- YA (G01N)
P 1 113・ 531- YA (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 恵一  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 小島 寛史
後藤 時男
登録日 2002-04-05 
登録番号 特許第3293717号(P3293717)
発明の名称 分析装置  
代理人 田上 洋平  
代理人 内田 敏彦  
代理人 喜多 俊文  
代理人 内田 敏彦  
代理人 岩坪 哲  
代理人 宮原 正志  
代理人 喜多 俊文  
代理人 宮原 正志  
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