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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G09F
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する G09F
審判 訂正 2項進歩性 訂正する G09F
管理番号 1225219
審判番号 訂正2010-390078  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2010-07-21 
確定日 2010-09-28 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2937287号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2937287号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第2937287号(以下、「本件特許」という。)は平成4年9月22日の出願であって、その請求項1ないし請求項3に係る発明が平成11年6月11日にその特許権の設定登録がなされたものである。
そして、平成22年7月21日に本件訂正審判の請求がなされた後、同年9月8日付けで審判請求書を補正する手続補正書及び補正された訂正明細書が提出された。

2.平成22年9月8日付けの手続補正書の適否
(1)審判請求書を補正する手続補正の適否
平成22年9月8日付けの手続補正書は、審判請求書の請求の理由について補正するものであるところ、その補正内容のいずれも、訂正前の明細書ないし訂正明細書からの摘記内容の誤記を訂正するものであるから、審判請求の要旨を変更するものとはいえない。
したがって、上記手続補正は、特許法第131条の2第1項の規定に適合する適法なものといえるので、上記の手続補正を認める。
(2)補正された訂正明細書の適否
補正された訂正明細書により、空欄であった発明の名称が「揺動意匠体の自己起動する揺動装置」と補正された。この補正は、審判請求書に添付された訂正明細書の不備を補正するものであるから、審判請求の要旨を変更するものとはいえない。
したがって、上記補正は、特許法第131条の2第1項の規定に適合する適法なものといえるので、上記補正を認める。

3.請求の要旨
上記2.(1)ないし(2)で述べたとおり、平成22年9月8日に提出された手続補正書による補正、及び補正された訂正明細書は適法と認められるので、本件訂正審判請求の要旨は、特許第2937287号の明細書及び特許請求の範囲を平成22年9月8日付け手続補正書により補正された審判請求書に添付した、補正された訂正明細書のとおり、すなわち、下記訂正事項のとおりに訂正することを求めるものである。
(1)訂正事項1:請求項1に「相手の揺動運動中立点付近に配設して揺動側の自由振動体を揺動させてなる」とあるのを、「相手の揺動運動中立点付近に配設して揺動側の自由振動体を揺動させ、前記自走発振回路の電源として、短時間放電により駆動コイルヘの電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサー(C12)を結線し、この電解コンデンサー(C12)に対し、充電電流を流す太陽電池(25)を接続して、前記駆動コイルの無通電期間中に、前記太陽電池の発電電流により前記電解コンデンサー(C12)を充電するとともに、抵抗(R1)を経て時定数設定用コンデンサー(C11)にも充電し、この時定数設定用コンデンサー(C11)の電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせることで、前記電解コンデンサー(C12)に貯まった電荷を、前記駆動コイルを経て放電する」と訂正する。

(2)訂正事項2:本件特許の請求項2及び3を削除する。

(3)訂正事項3:本件特許の請求項1の上記訂正事項1との整合を図るため、願書に添付した明細書(以下、明細書)の段落【0008】の「請求項1記載の発明では、」を「本発明では、」と訂正する。

(4)訂正事項4:明細書の段落【0009】の「請求項1の発明にとられている」を「本発明でとられている」と訂正する。

(5)訂正事項5:明細書の段落【0011】の「また請求項2記載の発明として内部抵抗の大きな太陽電池でも請求項1の発明が使えるように」を、「また、内部抵抗の大きな太陽電池でも使えるように」と訂正する。

(6)訂正事項6:明細書の段落【0012】を「すなわち、前記自走発振回路の電源として、短時間放電により駆動コイル4への電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサーC12を結線し、この電解コンデンサー(C12)に対し、充電電流を流す太陽電池25を接続し、前記駆動コイルの無通電期間中に、太陽電池25の発電電流により電解コンデンサーC12を充電するとともに、抵抗R1を経て時定数設定用コンデンサーC11にも充電し、この時定数設定用コンデンサーC11の電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせることで、電解コンデンサーC12に貯まった電荷を、駆動コイル4を経て放電する。」と訂正する。

(7)訂正事項7:明細書の段落【0013】の「【作用】このように構成された本発明の作用を説明するにあたって、始めに請求項1の発明を、本発明の第1の実施例の図3の図面中の符号によって説明」を、「(作用)このように構成された本発明の作用を説明するにあたって、本発明を第1の実施例の図3の図面中の符号によって説明」と訂正する。

(8)訂正事項8:明細書の段落【0017】の「しかし請求項1の発明の場合、駆動コイル4に対して相対的に移動可能な永久磁石7があり、」を、「しかし、本発明の場合、駆動コイル4に対して相対的に移動可能な永久磁石7があり、」と訂正する。

(9)訂正事項9:明細書の段落【0028】の「このような回路内での最適通電時期選択作用が、請求項1で成り立つのは、」を、「このような回路内での最適通電時期選択作用が成り立つのは、」と訂正する。

(10)訂正事項10:明細書の段落【0030】の「また、本発明の請求項1の特徴ある作用として、」を、「また、本発明の特徴ある作用として、」と訂正する。

(11)訂正事項11:明細書の段落【0032】を「次に、本発明は、電源に太陽電池と電解コンデンサーC12とを並列接続したものを使用しているので、これを図10、図11、図12により説明する。」と訂正する。

(12)訂正事項12:本件特許の請求項1の上記訂正事項1との整合を図るため、明細書の段落【0033】を「この発明装置の周囲が徐々に明るくなってくると太陽電池に電圧が生じ、その太陽電池の十、一両端子に直接接続された電源用の電解コンデンサーC12に微少充電電流が流れ、前記主要発明の直流電源と同じように自走発振回路の電源電圧としての電源用コンデンサーC12電圧がゆっくりと生じてくる、その時まだ2石のトランジスタはOFF状態なので、高抵抗値の抵抗R1と抵抗R2を通じ、極微小電流が流れ、電源用コンデンサーC12の電圧が両抵抗により分割され、電源用コンデンサーC12電圧の上昇とともに抵抗R2の端子電圧も上がり、ついに図11中のNPN型トランジスタTrNのベース電圧が0.6V近くになってベース電流が流れ、前記増幅、正帰還作用により2石のトランジスタがON状態になり、駆動コイル4に電源用コンデンサーC12から放電電流が供給されて前記電磁起動作用で任意の意匠体等をつけた揺動側を自己起動させる。このように太陽電池利用の振子駆動装置は、その周囲の明るさが徐々に明るくなる場合、その明るさが所定の照度に達しなければ自己起動しない。」と訂正する。

(13)訂正事項13:明細書の段落【0037】を「このように、太陽電池で発電する微少電流を電源用電解コンデンサーC12に蓄え、内部抵抗の少ない電源を作り、前記作用で自己起動した後は、少しづつ溜めた電荷を揺動運動加速附勢に最も効率の良い時点で、主要構成発明の作用と同じように駆動コイルに放電電流として流し、振子の持続的揺動作用をもたらすものである。また、室内用の電卓等に使われている太陽電池の11A単位の発電電流で。も作動するが、屋外用の太陽電池のmA単位、A単位の発電電流でも、回路の各電子部品の容量や抵抗値を変えて実施することができ、当然、発電電流の増加により、屋外の動く彫刻のように大きな揺動体を動かすことが出来る。」と訂正する。

(14)訂正事項14:明細書の段落【0038】の「この請求項2の電源用電解コンデンサーC12は、太陽電池」を、「この電源用電解コンデンサーC12は、太陽電池」と訂正する。

(15)訂正事項15:明細書の段落【0039】の「これは請求項3の発明であり、図13の実施例の符号によって、その作用を述べると、」を、「これは図13の実施例の符号によって、その作用を述べると、」と訂正する。

(16)訂正事項16:明細書の段落【0057】の「次に請求項1の発明にかかるもので、図14、図15に示す第5の実施例について説明する。」を、「次に、図14、図15に示す第5の実施例について説明する。」と訂正する。

(17)訂正事項17:本件特許の請求項1の上記訂正事項1との整合を図るため、明細書の段落【0060】の「次に請求項1の発明にかかるもので、図16、図17に示す第6の実施例について説明する。」を「次に、図16、図17に示す第6の実施例について説明する。」と訂正する。

(18)訂正事項18:明細書の段落【0063】の「次に請求項1の発明にかかるもので、図18、図19に示す第7の実施例と、図20に示す第8の実施例について説明する。」を、「次に、図18、図19に示す第7の実施例と、図20に示す第8の実施例について説明する。」と訂正する。

(19)訂正事項19:明細書の段落【0067】の「次に請求項1の発明を実施した、第9の実施例について説明する。」を、「次に第9の実施例について説明する。」と訂正する。

(20)訂正事項20:本件特許の請求項1の上記訂正事項1との整合を図るため、明細書の段落【0071】を「この実施例の特徴は、磁気回路の空隙を最小限にすることが出来ることと、4個の永久磁石による強力な磁界中で、駆動コイルに通電する電気エネルギーが、無駄なく機械的エネルギーに変換できることであり、少受光面積の=室内用太陽電池を使って、この実施例を作動させたとしても、比較的重くて大きな意匠体を含む振子を大振幅で振らせることが出来るものである。なお、前記第2の実施例のヨーク鉄板7aかおり、この実施例では永久磁石の移動方向が前後左右定まらないので、円盤上の鉄板7a円周下面がリング状にS磁極になっているが、若し、永久磁石の移動方向が一方向であれば、その方向に延びた短冊形のヨーク鉄板にしてSNSの順に並ぶ3磁極の構成にして、実施することができる。」と訂正する。

(21)訂正事項21:明細書の段落【0082】の「この地球儀の回転中には、前記、起動時の請求項1の作用によって、」を、「この地球儀の回転中には、前記、起動時の作用によって、」と訂正する。

(22)訂正事項22:明細書の段落【0085】の「また、請求項2の発明では、従来玩具作動用に非安定、マルチバイブレータ回路を使い、」を、「また、従来玩具作動用に非安定マルチバイブレータ回路を使い、」と訂正する。

(23)訂正事項23:明細書の段落【0086】を「また、雑信号を電源側に出す各種電子機器と共通の電源で本発明を実施する場合でも電源用電解コンデンサーと抵抗の使用で誤動作することなく高信頼性の振子駆動装置にすることができ、コンピューター用電源のように雑信号の入らない高価な定電圧回路を電源にしなくても、前記駆動コイル4電流が振子を最も効率よく附勢する時点以外での誤通電を防ぎ、コスト低減効果がある。更にまた、本装置と共通の電源となっている各種電子機器に雑信号を送出することがないという効果もあり、電源に任意性があり、そのため、低コストで交直両用の振子駆動措置ができる。このように本発明は、確実な自己起動の作用があるため、遠隔地から本発明への電力供給スイッチングを行って、振子運動をリモートコントロールできるので、高い所にある看板の意匠体を揺動させることにも利用でき、また、動く広告物や、玩具や、任意の意匠体の動く置物などに、止めても自然に自己起動してしまう揺動装置として有効に利用できる。」と訂正する。

4.訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明において、「前記自走発振回路の電源として、短時間放電により駆動コイルヘの電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサー(C12)を結線し、この電解コンデンサー(C12)に対し、充電電流を流す太陽電池(25)を接続して、前記駆動コイルの無通電期間中に、前記太陽電池の発電電流により前記電解コンデンサー(C12)を充電するとともに、抵抗(R1)を経て時定数設定用コンデンサー(C11)にも充電し、この時定数設定用コンデンサー(C11)の電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせることで、前記電解コンデンサー(C12)に貯まった電荷を、前記駆動コイルを経て放電する」ものに限定しようとするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

自走発振回路の電源として、短時間放電により駆動コイルヘの電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサー(C12)を結線し、この電解コンデンサー(C12)に対し、充電電流を流す太陽電池(25)を接続して、前記駆動コイルの無通電期間中に、前記太陽電池の発電電流により前記電解コンデンサー(C12)を充電することは、本件願書に添付した明細書又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の特許請求の範囲の請求項2に記載されており、前記太陽電池の発電電流により前記電解コンデンサー(C12)を充電するとともに、抵抗(R1)を経て時定数設定用コンデンサー(C11)にも充電することは、本件特許明細書等の図11の記載から当業者に自明の事項であり、この時定数設定用コンデンサー(C11)の電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせることで、前記電解コンデンサー(C12)に貯まった電荷を、前記駆動コイルを経て放電することは、本件特許明細書等の【0033】及び図11の記載から当業者に自明の事項であることからして、当該訂正事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内において訂正するものである。
また、当該訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
上記訂正事項2は、訂正前の請求項2及び3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、当該訂正事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内において訂正するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3ないし23について
上記訂正事項3ないし23は、上記訂正事項1ないし2との整合をとるための明細書の訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、当該訂正事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内において訂正するものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

5.独立特許要件
訂正事項1及び2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、当該訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを検討する。

(1)本件訂正発明の認定
訂正事項1及び2による訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、当該訂正後の請求項1に記載される次のとおりのものである(以下「本件訂正発明」という。)。
「非安定マルチバイブレータ回路の発振電流で駆動コイルを励磁し、この駆動コイルと相対して移動可能に設けられた永久磁石に電磁力をおよぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとに相対的に働く電磁力により、任意の復元力系を有し、かつ揺動意匠体を配置した自由振動体を励振させる揺動装置において、
前記非安定マルチバイブレータ回路を、PNP型とNPN型との2石のトランジスタ(TrP,TrN)の互いのベースを相手のトランジスタのコレクタに接続し、その接続が一方のトランジスタには直通的に、および他方のトランジスタには時定数設定用コンデンサー(C11)を介しておのおの接続して自走発振回路として構成し、前記時定数設定用コンデンサーがコレクタに接続された前記他方のトランジスタの負荷として、そのコレクタに駆動コイル(4)を接続し、この駆動コイルに前記自走発振回路から通電した場合に、前記駆動コイルに発生する磁界により、前記駆動コイルに対して相対的に移動可能でかつ任意の復元力で相対的に揺動可能に設けられた永久磁石(7)に電磁力を及ぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとのいずれか一方を揺動側に配設し、他方を固定側の、相手の揺動運動中立点付近に配設して揺動側の自由振動体を揺動させ、前記自走発振回路の電源として、短時間放電により駆動コイルヘの電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサー(C12)を結線し、この電解コンデンサー(C12)に対し、充電電流を流す太陽電池(25)を接続して、前記駆動コイルの無通電期間中に、前記太陽電池の発電電流により前記電解コンデンサー(C12)を充電するとともに、抵抗(R1)を経て時定数設定用コンデンサー(C11)にも充電し、この時定数設定用コンデンサー(C11)の電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせることで、前記電解コンデンサー(C12)に貯まった電荷を、前記駆動コイルを経て放電することを特徴とする揺動意匠体の自己起動する揺動装置。」

(2)刊行物に記載の事項
本件訂正発明が、本件審判請求書に刊行物として添付された特公昭37-5547号公報及び実願昭60-33635号(実開昭61-148396号)のマイクロフィルムにそれぞれ記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか否かを検討する。

ア.本件特許の出願前に頒布された刊行物である特公昭37-5547号公報(以下「刊行物1」という。)には、図と共に以下の記載がある(下線は審決で付した。以下同じ。)。
(ア)「発明の詳細なる説明
本発明は殊に時計用の電子的の手段殊にトランジスタ帰還結合増幅装置を介してコンタクトレスに制御される定時性の機械的振動機構に関する。」(1頁左欄25?28行)
(イ)「これらの公知のものは提案された配置と異なつて、本発明では、一つの磁石殊に永久磁石とこの磁石と協働する一つの駆動コイルとを有し、この駆動コイルが振動機構と歩調を揃えて磁石及び駆動コイルの場に対して相対的に運動するようになつている形式の、電子的の手段殊にトランジスタ帰還結合増幅装置を介してコンタクトレスに制御される定時性の機械的振動機構において配置を次のように行つた、即ち一つの分岐線内、殊に集電子又は陽極分岐線内に駆動コイルが設けられている傾倒ゼネレータを設けたのである。駆動コイルと磁石との機械的の相対運動の際に駆動コイル内にほぼサインカーブ状の電圧が生ぜしめられ、この電圧はトランジスタの基体結晶電極又は真空管のグリッドに接続される。これによつて揺動過程が機械的の運動と同期的に制御される。
傾倒ゼネレータとしては、傾倒が生じる限り自体公知の適当な傾倒接続が使用されることが出来る。傾倒ゼネレータは一つ又は多数の真空管もしくは一つ又は多数のトランジスタを備えていることが出来る。機械的の振動機構について公知の発振器接続に比べて傾倒ゼネレータは次の利点を有している。即ちただ一つのコイルしか存在しておらず、その誘電率は過程に対して無限であるのに対して、共結合を有する発振器においては、正しい振動はコイルの寸法、品度及び相互インダクタンス、換言すればコイル相互の相対的位置によつて著しく左右される、これによつて生じる共結合が正しい大きさを有していない場合には、この種の装置において、殊に小さい部分において、実施困難な調整が行われる必要がある。さらに、傾倒ゼネレータ接続においては磁石と、動かされるコイルとの間のあらゆる不都合な反作用が避けられる、それというのは駆動コイルと関連して磁石によつて系全体が同期化されるか又はトリガーされるからである。」(1頁右欄33行?2頁左欄23行)

(ウ)「本発明による駆動インパルスの発生は次のようにして行うのが最も良好である、即ち磁石系とコイル系の互に作用する部分、例えば磁石部分系とコイル、が次のように、即ちそれが振動体の休止状態において軸方向に見て、振動軸線を通る中心平面に対して対称的に配置されているようにするのである。この場合殊に重要なことは電気的の対称が生じることであるが、しかしこれは多くの場合には機械的の対称から生じるか或は機械的の対称と関係する。この場合、本来の駆動のためには、磁石系が定置であってコイル系が可動であるか、或は配置がその逆であるかどうかということは重要でない。」(2頁右欄29?39行)

(エ)「第4図において駆動コイル19の接続点40はトランジスタ42の放射電極及び電源43のプラス極と結合されていると共に、駆動コイル19の結合点45はトランジスタ46の集電極と、並にコンデンサ47を介してトランジスタ42の基体結晶電極と結合されている。なおまた、トランジスタ42の集電極に接続されている。
さらにトランジスタ42の基本結晶電極は調整可能の抵抗48を介してトランジスタ46の放射電極及び電源43のマイナス点と結合されている。」(3頁左欄45行?同頁右欄1行)

(オ)「許許請求の範囲
定置の磁石殊に永久磁石と、振動機構殊に平衡輪と結合されていて制御コイルとしても駆動コイルとしても働く一つのコイルとを有していて、電子的の接続装置を介してコンタクトレスに制御される機械的の振動機構殊に電子的の時計の平衡輪において、コイルから電子的の三極真空管の一つの電極殊にトランジスタの基体結晶電極への回路に少くとも一つのコンデンサを配属し、且同じ三極真空管の第2の回路、殊に基体結晶電極からバツテリーへの回路内に少くとも一つの抵抗を配属したことを特徴とする、殊に時計用の、電子的駆動の機械的の振動機構。」(4頁右欄34?44行)

(カ)傾倒ゼネレータ装置の第1配線図を示す第4図として、



トランジスタ46の基本結晶電極がトランジスタ42の集電極と接続されていることが看取できる。

(キ)上記(ア)ないし(カ)を含む刊行物1全体の記載から、刊行物1には以下の発明が記載されているものと認められる(以下「刊行物1発明」という。)。
「永久磁石と、この磁石と協働する一つの駆動コイルとを有し、この駆動コイルが振動機構と歩調を揃えて磁石及び駆動コイルの場に対して相対的に運動するようになつている形式の、殊に時計用の電子的の手段殊にトランジスタ帰還結合増幅装置を介してコンタクトレスに制御される定時性の機械的振動機構であって、
一つの分岐線内、殊に集電子又は陽極分岐線内に前記駆動コイルが設けられている傾倒ゼネレータを設け、駆動コイルと永久磁石との機械的の相対運動の際に駆動コイル内にほぼサインカーブ状の電圧が生ぜしめられ、この電圧がトランジスタの基体結晶電極に接続されることによって、揺動過程が機械的の運動と同期的に制御されて、動かされるコイルとの間のあらゆる不都合な反作用が避けられるものであり、
永久磁石と駆動コイルとが、振動体の休止状態において軸方向に見て、振動軸線を通る中心平面に対して対称的に配置されており、駆動インパルスの発生について、電気的にも機械的にも対称であり、
傾倒ゼネレータの駆動コイル19の第1の接続点40は第1のトランジスタ42の放射電極及び電源43のプラス極と結合されていると共に、駆動コイル19の第2の結合点45は第2のトランジスタ46の集電極と、並にコンデンサ47を介して第1のトランジスタ42の基体結晶電極と結合され、前記第2のトランジスタ46の基本結晶電極が第1のトランジスタ42の集電極と接続されており、さらにトランジスタ42の基本結晶電極は調整可能の抵抗48を介してトランジスタ46の放射電極及び電源43のマイナス点と結合されている、
殊に時計の平衡輪の、電子的駆動の定時性の機械的振動機構。」

イ.同じく本件特許の出願前に頒布された刊行物である実願昭60-33635号(実開昭61-148396号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という。)には、図と共に以下の記載がある。
(ア)「2. 実用新案登録請求の範囲
(1)太陽電池で発電した電気エネルギを充電しておく蓄電部、及び前記蓄電部に蓄電された電気エネルギが所定値に達すると放電させて負荷を駆動させる制御部を備えた電動玩具。」(1頁4?8行)

(イ)「〔考案の実施例〕
以下考案の一実施例について説明する。第1図及び第2図において、(1)は光エネルギを電気エネルギに変換する太陽電池、(2)はコンデンサ(2a)からなり、太陽電池(1)で発電した電気エネルギを蓄電する蓄電部、(3)は制御部で、例えばトランジスタ等の半導体制御素子により構成され、コンデンサ(2a)の電圧が所定値に達すると、負荷(4)へ電気エネルギを供給するものである。(4)は例えばモータ、電磁石等の負荷、(5)は負荷(4)によって動作する玩具で、例えば太陽電池(1)を頭に取付け、蓄電部(2)、制御部(3)及び負荷(4)を内蔵している。」(3頁15行?4頁6行)

(ウ)「次に動作について説明する太陽電池(1)で発電された電気エネルギは、一旦蓄電部(2)で蓄電され、例えばコンデンサ(2a)の充電電圧が所定値に達する毎に制御部(3)を導通させて、コンデンサ(2a)の帯電エネルギを間欠的に放出して負荷(4)を駆動し、この時、第2図に示すように尻尾を実線位置から点線の位置に振る等の動作をさせる。」(4頁7?13行)
(エ)「また蓄電部(2)に電気エネルギが蓄えられるスピードは、概略光の強さに比例する。このため、このような玩具(5)を明るい所に設置すると動きが速くなり、暗い所では動きが緩慢になる性質があり、玩具として付加された魅力的な特徴となる。」(4頁16?20行)

(オ)「なお、上記実施例では、尻尾を振る構造の例を示したが、手を振ったり首を振ったり目玉を動かしたりすることもできる。」(5頁4?6行)
(カ)上記(ア)ないし(オ)を含む刊行物2全体の記載から、刊行物2には以下の発明が記載されているものと認められる(以下「刊行物2発明」という。)。
「光エネルギを電気エネルギに変換する太陽電池と、コンデンサからなり前記太陽電池で発電した電気エネルギを蓄電する蓄電部と、トランジスタ等の半導体制御素子により構成され、前記コンデンサの電圧が所定値に達すると、負荷へ電気エネルギを供給する制御部と、モータ、電磁石等の負荷及び前記負荷によって動作する玩具とを備え、
前記太陽電池で発電された電気エネルギは、一旦前記蓄電部で蓄電され、その充電電圧が所定値に達する毎に前記制御部を導通させて、前記蓄電部の帯電エネルギを間欠的に放出して前記負荷を駆動し、尻尾を振ったり手を振ったり首を振ったり目玉を動かしたりする玩具を動作させるものであって、
前記蓄電部に電気エネルギが蓄えられるスピードが概略光の強さに比例するため、明るい所に設置すると動きが速くなり、暗い所では動きが緩慢になる性質がある電動玩具。」

(3)対比・判断
ア.本件訂正発明と刊行物1発明との対比・判断
本件訂正発明と刊行物1発明とを対比する。
刊行物1発明の「傾倒ゼネレータ」、「駆動コイル」、「永久磁石」、「振動体」、「『第1のトランジスタ』及び『第2のトランジスタ』」、「コンデンサ」及び「『振動体』を運動させる『機械的振動機構』」は、それぞれ、本件訂正発明の「『非安定マルチバイブレータ回路』及び『自走発振回路』」、「駆動コイル」、「永久磁石」、「自由振動体」、「2石のトランジスタ」、「時定数設定用コンデンサー」及び「自由振動体を励振させる揺動装置」に相当する。
刊行物1発明の「自由振動体を励振させる揺動装置(機械的振動機構)」は、「前記駆動コイルが設けられている傾倒ゼネレータを設け、駆動コイルと永久磁石との機械的の相対運動の際に駆動コイル内にほぼサインカーブ状の電圧が生ぜしめられ、この電圧がトランジスタの基体結晶電極に接続されることによって、揺動過程が機械的の運動と同期的に制御されて、動かされるコイルとの間のあらゆる不都合な反作用が避けられる」ものであるから、本件訂正発明の「自由振動体を励振させる揺動装置」と、「非安定マルチバイブレータ回路の発振電流で駆動コイルを励磁し、この駆動コイルと相対して移動可能に設けられた永久磁石に電磁力をおよぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとに相対的に働く電磁力により、任意の復元力系を有」する点で一致する。
刊行物1発明の「傾倒ゼネレータ」は、本件訂正発明の「非安定マルチバイブレータ回路」と、「2石のトランジスタ(TrP,TrN)の互いのベースを相手のトランジスタのコレクタに接続し、その接続が一方のトランジスタには直通的に、および他方のトランジスタには時定数設定用コンデンサー(C11)を介しておのおの接続して自走発振回路として構成し、前記時定数設定用コンデンサーがコレクタに接続された前記他方のトランジスタの負荷として、そのコレクタに駆動コイル(4)を接続し、この駆動コイルに前記自走発振回路から通電した場合に、前記駆動コイルに発生する磁界により、前記駆動コイルに対して相対的に移動可能でかつ任意の復元力で相対的に揺動可能に設けられた永久磁石(7)に電磁力を及ぼ」す点で一致する。
また、刊行物1発明は、「永久磁石と駆動コイルとが、振動体の休止状態において軸方向に見て、振動軸線を通る中心平面に対して対称的に配置されており、駆動インパルスの発生について、電気的にも機械的にも対称」であるから、本件訂正発明と同様に「この永久磁石と前記駆動コイルとのいずれか一方を揺動側に配設し、他方を固定側の、相手の揺動運動中立点付近に配設」したものである。
してみると、本件訂正発明と刊行物1発明とは、
「非安定マルチバイブレータ回路の発振電流で駆動コイルを励磁し、この駆動コイルと相対して移動可能に設けられた永久磁石に電磁力をおよぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとに相対的に働く電磁力により、任意の復元力系を有し、かつ揺動意匠体を配置した自由振動体を励振させる揺動装置において、
前記非安定マルチバイブレータ回路を、2石のトランジスタの互いのベースを相手のトランジスタのコレクタに接続し、その接続が一方のトランジスタには直通的に、および他方のトランジスタには時定数設定用コンデンサーを介しておのおの接続して自走発振回路として構成し、前記時定数設定用コンデンサーがコレクタに接続された前記他方のトランジスタの負荷として、そのコレクタに駆動コイルを接続し、この駆動コイルに前記自走発振回路から通電した場合に、前記駆動コイルに発生する磁界により、前記駆動コイルに対して相対的に移動可能でかつ任意の復元力で相対的に揺動可能に設けられた永久磁石に電磁力を及ぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとのいずれか一方を揺動側に配設し、他方を固定側の、相手の揺動運動中立点付近に配設して揺動側の自由振動体を揺動させる揺動装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:
自由振動体が、本件訂正発明においては、揺動意匠体を配置したものと特定されるのに対して、刊行物1発明では、そのように特定されない点。

相違点2:
2石のトランジスタが、本件訂正発明ではPNP型とNPN型であると特定されるのに対して、刊行物1発明では、そのように特定されない点。

相違点3:
本件訂正発明は、前記自走発振回路の電源として、短時間放電により駆動コイルヘの電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサー(C12)を結線し、この電解コンデンサー(C12)に対し、充電電流を流す太陽電池(25)を接続して、前記駆動コイルの無通電期間中に、前記太陽電池の発電電流により前記電解コンデンサー(C12)を充電するとともに、抵抗(R1)を経て時定数設定用コンデンサー(C11)にも充電し、この時定数設定用コンデンサー(C11)の電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせることで、前記電解コンデンサー(C12)に貯まった電荷を、前記駆動コイルを経て放電するものと特定されるのに対して、刊行物1発明は、そのように特定されるものではない点。

上記相違点3について検討する。
刊行物2発明が、光エネルギを電気エネルギに変換する太陽電池と、コンデンサからなり前記太陽電池で発電した電気エネルギを蓄電する蓄電部と、トランジスタ等の半導体制御素子により構成され、前記コンデンサの電圧が所定値に達すると、負荷へ電気エネルギを供給する制御部とを備えるものであるから、これを刊行物1発明に適用できるか否かについて検討すると、「殊に時計の平衡輪の」とされる、「定時性の機械的振動機構」である刊行物1発明は、常に一定頻度、一定周期で振動することが求められるものであるところ、「前記蓄電部に電気エネルギが蓄えられるスピードが概略光の強さに比例するため、明るい所に設置すると動きが速くなり、暗い所では動きが緩慢になる性質がある」刊行物2発明において、動作の頻度及び周期は、光の強さに依存し、一定とはならないのであるから、刊行物1発明に刊行物2発明の構成を適用することには阻害要因があるというべきである。
よって、刊行物1発明に相違点3に係る本願訂正発明の構成を採用しようとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明は、刊行物1発明に刊行物2発明を組み合わせることにより当業者が容易に発明することができたものではない。

イ.本件訂正発明と刊行物2発明との対比・判断
本件訂正発明と刊行物2発明とを対比する。
刊行物2発明の「電磁石」、「太陽電池」及び「『前記太陽電池で発電された電気エネルギは、一旦前記蓄電部で蓄電され、その充電電圧が所定値に達する毎に前記制御部を導通させて、前記蓄電部の帯電エネルギを間欠的に放出して前記負荷を駆動し、尻尾を振ったり手を振ったり首を振ったり目玉を動かしたりする玩具を動作させる』『電動玩具』」は、それぞれ、本件訂正発明の「駆動コイル」、「太陽電池」及び「自己起動する揺動装置」に相当する。
刊行物2発明の「制御部」、「コンデンサ」及び「『尻尾』、『手』、『首』、『目玉』」は、本件訂正発明の「非安定マルチバイブレータ回路」、「電解コンデンサー」及び「揺動意匠体を配置した自由振動体」と、それぞれ、「制御部」、「コンデンサー」及び「意匠体」である点で一致する。
刊行物2発明の「制御部」と本件訂正発明の「非安定マルチバイブレータ回路」とは、トランジスタ等の半導体制御素子により構成され、「駆動コイル(負荷である電磁石)」へ電気エネルギを供給する制御部である点で一致する。
刊行物2発明の電動玩具は、前記太陽電池で発電された電気エネルギは、一旦前記蓄電部で蓄電され、その充電電圧が所定値に達する毎に前記制御部を導通させて、前記蓄電部の帯電エネルギを間欠的に放出して前記負荷である電磁石を駆動し、尻尾を振ったり手を振ったり首を振ったり目玉を動かしたりする玩具を動作させるものであるから、間欠的に放出される帯電エネルギは、本件訂正発明の「発振電流」に相当し、本件訂正発明と同様にコンデンサーに貯まった電荷を、前記駆動コイルを経て放電するものであり、かつ、自己起動するものである。
よって、本件訂正発明と刊行物2発明とは、
「制御部の発振電流で駆動コイルを励磁し、意匠体を動作させる装置において、
制御部は、トランジスタ等の半導体制御素子により構成され、駆動コイルへ電気エネルギを供給するものであり、これにコンデンサーを結線し、このコンデンサーに対し、充電電流を流す太陽電池を接続して、前記駆動コイルの無通電期間中に、前記太陽電池の発電電流により前記電解コンデンサーを充電するとともに、前記電解コンデンサーに貯まった電荷を、前記駆動コイルを経て放電する意匠体の自己起動する動作装置。」
の点で一致し、次の点で相違する。

相違点4:
動作装置が、本件訂正発明においては、「発振電流で駆動コイルを励磁し、この駆動コイルと相対して移動可能に設けられた永久磁石に電磁力をおよぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとに相対的に働く電磁力により、任意の復元力系を有し、かつ揺動意匠体を配置した自由振動体を励振させる揺動装置」と特定されるのに対して、刊行物2発明においては、そのように特定されていない点。

相違点5:
制御部が、本件訂正発明においては、非安定マルチバイブレータ回路であって、この非安定マルチバイブレータ回路を、PNP型とNPN型との2石のトランジスタ(TrP,TrN)の互いのベースを相手のトランジスタのコレクタに接続し、その接続が一方のトランジスタには直通的に、および他方のトランジスタには時定数設定用コンデンサー(C11)を介しておのおの接続して自走発振回路として構成し、前記時定数設定用コンデンサーがコレクタに接続された前記他方のトランジスタの負荷として、そのコレクタに駆動コイル(4)を接続し、この駆動コイルに前記自走発振回路から通電した場合に、前記駆動コイルに発生する磁界により、前記駆動コイルに対して相対的に移動可能でかつ任意の復元力で相対的に揺動可能に設けられた永久磁石(7)に電磁力を及ぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとのいずれか一方を揺動側に配設し、他方を固定側の、相手の揺動運動中立点付近に配設して揺動側の自由振動体を揺動させるものであるのに対して、刊行物2発明の制御部は本件訂正発明のようなものではない点。

相違点6:
コンデンサーが、本件訂正発明では短時間放電により駆動コイルヘの電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサーと特定されるのに対して、刊行物2発明ではそのように特定されないこと。

相違点7:
本件訂正発明では、前記駆動コイルの無通電期間中に、前記太陽電池の発電電流により抵抗を経て時定数設定用コンデンサーにも充電し、この時定数設定用コンデンサーの電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせるのに対して、刊行物2発明は時定数設定用コンデンサーを有していない点。

上記相違点5について検討する。
刊行物1発明が、「非安定マルチバイブレータ回路の発振電流で駆動コイルを励磁し、この駆動コイルと相対して移動可能に設けられた永久磁石に電磁力をおよぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとに相対的に働く電磁力により、任意の復元力系を有し、かつ揺動意匠体を配置した自由振動体を励振させる揺動装置において、 前記非安定マルチバイブレータ回路を、2石のトランジスタの互いのベースを相手のトランジスタのコレクタに接続し、その接続が一方のトランジスタには直通的に、および他方のトランジスタには時定数設定用コンデンサーを介しておのおの接続して自走発振回路として構成し、前記時定数設定用コンデンサーがコレクタに接続された前記他方のトランジスタの負荷として、そのコレクタに駆動コイルを接続し、この駆動コイルに前記自走発振回路から通電した場合に、前記駆動コイルに発生する磁界により、前記駆動コイルに対して相対的に移動可能でかつ任意の復元力で相対的に揺動可能に設けられた永久磁石に電磁力を及ぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとのいずれか一方を揺動側に配設し、他方を固定側の、相手の揺動運動中立点付近に配設して揺動側の自由振動体を揺動させる揺動装置。」(上記(ア)参照。)であることから、これを刊行物2発明に適用できるか否かについて検討すると、刊行物2発明は、永久磁石を有するか否か不明であり、これに伴い駆動コイルと永久磁石との機械的の相対運動の際に駆動コイル内に電圧が生ぜしめられるか否かも不明であるため、刊行物1発明の駆動コイルと永久磁石との機械的の相対運動の際に駆動コイル内に生じる電圧がトランジスタの基体結晶電極に接続されることによって、揺動過程が機械的の運動と同期的に制御する構成を採用できるか否か不明であり、また、刊行物1発明が、駆動コイルと永久磁石との機械的の相対運動の際に駆動コイル内に生じる電圧がトランジスタの基体結晶電極に接続されることによって、揺動過程が機械的の運動と同期的に制御されて、動かされるコイルとの間のあらゆる不都合な反作用が避けられるものであるのに対して、刊行物2発明は、駆動コイルの運動とは無関係に、蓄電部での充電電圧が所定値に達する毎に前記蓄電部の帯電エネルギを間欠的に放出するものであるため、発振電流で駆動コイルを励磁するタイミングも、刊行物2発明と刊行物1発明とでは異なるものであるのだから、刊行物2発明に、刊行物1発明の構成を採用しようとする動機が存在しないというべきである。
よって、刊行物2発明に相違点5に係る本願訂正発明の構成を採用しようとすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明は、刊行物2発明に刊行物1発明を組み合わせることにより当業者が容易に発明することができたものではない。

ウ.上記ア.及びイ.より、本件訂正発明は、刊行物1及び2にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、その他に本件訂正発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見あたらない。

6.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年法律第116号附則第6条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第126条第1項ないし第3項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
揺動意匠体の自己起動する揺動装置
【産業上の利用分野】
【0001】
この発明は、任意の意匠体が揺動する玩具や室内アクセサリー置物などの駆動装置に利用されるほか、広告用として店頭に置くムービングディスプレイや、看板の一部を揺動させる駆動装置や、屋外用の揺動する彫刻造形物の駆動装置として利用するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、振子の一端に付いた永久磁石に少しの隙間で対向する固定電磁石に対し、振子揺動の1往復について2回の割で、前記永久磁石と固定電磁石の向き合う瞬間に、電気接点通電、または前記永久磁石の位置と動きの方向の検出手段によって導入される半導体による無接点通電により、前記振子の永久磁石と、通電により励磁された固定電磁石とに働く電磁力でその振子揺動の半往復ごとにその動きを附勢する電磁駆動装置があった。これらの装置は室内アクセサリーやPOP広告用として利用されているが、室内にあって人が手動で振子の起動を容易に行えることが前提条件であり、自己起動の作用がないために、看板の一部を揺動させるなど手の届きにくい所では利用できなかった。
【0003】
また、従来、自己起動する揺動玩具として、非安定マルチバイブレータ回路の発振電流で、二つの駆動コイルを交互に励磁し、これらの駆動コイルと対向して移動可能にした永久磁石に交互に電磁力を及ぼし、この電磁力により、前記永久磁石の固定された復元作用のあるの鋼線の先端に、蝶などの玩具が付けられた、揺動意匠体を配置した自由振動体を励振させる揺動装置(実用新案 公開公報昭48-3282)があった。
【0004】
また、従来、自己起動型の無接点電磁駆動装置として、特許出願公告 昭48-14004号 特許公報の技術が考えられた、これを図1により説明すると、電磁石6aの鉄芯6に駆動コイル4と検出コイル5とが巻かれ、交流電源2がその駆動コイル4を経由してサイリスタSCR3のアノード、カソード間にかけられ、前記SCR3のゲート、カソード間には前記検出コイル5が接続され、振子揺動時に振子下端の永久磁石7の位置が前記電磁石6a真上(揺動運動の中立点)から遠ざかる瞬間をその検出コイル5が発電作用で捉え、SCR3を導通状態にさせ駆動コイル4に半波整流電流を流し、永久磁石7に反発電磁力を作用させて振子8の揺動を附勢するものである。
【0005】
この技術の特徴は前記SCR3のアノード、カソード間に、そのSCR3の整流方向と逆の整流方向を持つダイオード1と抵抗r1とコンデンサーc1、そのコンデンサーと並列接続した抵抗r2との直並列接続した起動制御回路を接続したことであり、このことによりスイッチ9により回路に交流電圧を投入した瞬間、前記起動制御回路に電流が流れ、まだ振子8が静止状態で前記検出コイル5に発電させることが出来ない時でも検出コイル5に2次的な誘導電流を流して、SCR3をON状態にし、駆動コイル4に電流を流し振子下端の永久磁石7を反発駆動させて起動させるものである。なお図中、r3は抵抗、1’はダイオードである。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの揺動意匠体を自己起動させる技術には、次に示す問題点があった。実用新案公開公報 昭48-3282号のものは、非安定マルチバイブレータ回路の性質上、二つの駆動コイルのどちらかには必ず電流が流れており、前記自由振動体の固有振動数の近くの回路発振周波数でなければ励振不可能になる欠点がり、揺動意匠体の付け変え時に大きさ等が変わって自由振動体の固有振動数がわれば揺動しなくなったり、電源電池の電圧低下や周囲温度の変化により発振周波数が変わることでも揺動しなくなる問題点があり、また、駆動にあまり役立たない連続的駆動コイル電流により乾電池の消耗が大きく、駆動コイルが二つで不経済であった。次の特許出願公告 昭48-14004号 特許公報の技術では、看板の一部に前記振子8に取りついて動く意匠パネル11があった場合、風のためにその意匠パネル11が押され一時的に止められたり、店頭に置かれた前記振子8で動く人形の動きを子供が強制的に止めてしまったとき、その風がやんだり、強制停止行動が終った後で検出コイル5の発電がないために振子8が止まりっきりになることである。そこで本発明の目的は、永久磁石7と電磁石または駆動コイル4の相対的電磁力で駆動させる振子8が電源投入時に限定せずに、その振子8を止める拘束力が解除された後で自動的に自己起動するようにすることである。
【0007】
また、次の課題として、周囲が明るくなってくると、その光のエネルギーを使って自動的に揺動運動を自己起動させることができる太陽電池利用回路を提供し、メンテナンス不要の、揺動運動する室内アクセサリー置物や広告物などを作れるようにすることである。また、別の課題として、任意の汎用直流電源にした場合、雑信号を電源側に出してくる何らかの電子機器回路と共通の直流電源にしても誤動作せず、逆に本発明装置から雑信号を出さないようにする自己起動駆動装置の電源回路を提供することである。このように本発明により、自己起動作用のある低コスト、長寿命、省エネルギー、高信頼性の振子駆動装置にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、PNP型とNPN型の2石のトランジスタの互いのベースを相手のコレクタに一方のトランジスタには直通的に、他方のトランジスタには時定数設定用コンデンサーを介して接続されている自走発振回路の、そのコンデンサーがコレクタに接続されたトランジスタの負荷として、そのコレクタに駆動コイルを接続し、その駆動コイルに前記回路から通電した場合に、駆動コイルに発生する磁界により、前記駆動コイルに対して相対的に移動可能でかつ任意の復元力で相対的に揺動可能に設けられた永久磁石に電磁力を及ぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとのいずれか一方を揺動側に配設し、他方を固定側の、相手の揺動運動中立点付近に配設して揺動側の意匠体の付いた自由振動体を揺動させるようにして、従来のような非安定マルチバイブレータ回路でなく公知の変則的非安定マルチバイブレータ自走発振回路にし、検出コイルを無くし、従来の二つの駆動コイルを一つにする手段をとっている。
【0009】
本発明でとられている自走発振回路は、General Electric Companyにより1965年に出版された“ComponentsHobby”Manual”によって変則的非安定マルチバイブレータ回路として知られているものであり、本発明はこのフラッシャー用自走発振回路を電磁駆動用に変えて構成したものである、そのフラッシャー用自走発振回路は図2に示す白熱電球10による照明の点滅に使用されていたもので、図2に示す回路になっている、これはPNP型トランジスタTrPのベースにそのベース、エミッタ間抵抗R3とNPN型トランジスタTrNのコレクタを接続し、そのNPN型トランジスタTrNのベースに、それぞれプラス、マイナスの電源に接続されたR1とR2の両抵抗に接続すると共に、そのトランジスタTrNのベースに前記トランジスタTrPのコレクタにタイマー時定数設定用のコンデンサーC11を介して接続し、両トランジスタTrP、TrNの各エミッタをそれぞれ直流電源12のプラスとマイナスに接続し、前記PNP型トランジスタTrPのコレクタと電源マイナスとの間に白熱電球10をつないでいる。
【0010】
この回路の白熱電球10の代わりに駆動コイル4をつなぎ替えたものが本発明中の間欠通電用の自走発振回路部であり、この回路結線図を永久磁石7と駆動コイル4の位置関係と共に本発明の第1の実施例として図3に示している、しかし本発明はこの第1の実施例に限定されず、この図中の電源12のプラスとマイナスを逆にすると共に、2石のトランジスタ(TrPとTrN)のPNP型トランジスタTrPをNPN型に、NPN型トランジスタTrNをPNP型に変更しても実施することができる、また、本発明は本発明の回路構成の基本要旨範囲内において、無駄電流制限用抵抗R4やトランジスタ過大電流保護用抵抗R8を前記自走回路構成内に追加して実施することもでき、抵抗R3を取りさって実施することもできるる。
【0011】
また、内部抵抗の大きな太陽電池でも使えるように、その電源を図11に示すような電解コンデンサーC12と太陽電池25の並列接続したものにする手段をとっている。
【0012】
すなわち、前記自走発振回路の電源として、短時間放電により駆動コイル4への電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサーC12を結線し、この電解コンデンサー(C12)に対し、充電電流を流す太陽電池25を接続し、前記駆動コイル4の無通電期間中に、太陽電池25の発電電流により電解コンデンサーC12を充電するとともに、抵抗R1を経て前記時定数設定用コンデンサーC11にも充電し、この時定数設定用コンデンサーC11の電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせることで、電解コンデンサーC12に貯まった電荷を、駆動コイル4を経て放電する。
【0013】
(作用)
このように構成された本発明の作用を説明するにあたって、本発明を第1の実施例の図3の図面中の符号によって説明すると、駆動コイル4と永久磁石7とが少しの隙間で対向して、永久磁石7が揺動側下端(振子下端)にあり、駆動コイル4が固定側の、ほゞ振子真下に固着している時、いいかえれば、振子によって、その移動方向が制限された永久磁石の揺動運動の中立点付近に駆動コイルがある時、直流電源12による電源電圧がスイッチ9の投入により2石のトランジスタによる自走発振回路にかけられると、NPN型トランジスタTrNは、抵抗R1を通る微少ベース電流により増幅されたコレクタ電流を流し、そのトランジスタTrNのコレクタにベースが接続されたPNP型トランジスタTrPもON状態になり、コレクタ電流を流す、その時、そのトランジスタTrPのコレクタ電流の一部はタイマー時定数設定用コンデンサーC11への充電電流として抵抗R8を通って流れ、その充電電流は、前記トランジスタTrNのベース電流として流れるので、正帰還作用により瞬間的に両トランジスタがON状態になる。
【0014】
そのコンデンサーC11への充電電流により、急激にコンデンサC11の端子電圧が上がりはじめ、充電電流の減少とともに、逆に抵抗R8や抵抗R2にかかる電圧が下がり、抵抗R2端子電圧、即ち、前記トランジスタTrNのベース電圧が、0.55V以下の電圧に降下するまでの短時間、前記両トランジスタはON状態を続け、駆動コイル4に電流を流し、その短時間(振子の大きさ、重量によって設定値は変わるが例えば約0.3秒)の後、両トランジスタTrN,TrPはOFFになる。
【0015】
それは、トランジスタTrNのベース電圧が0.55V以下になってベース電流が減少、またはほとんど無くなり、そのトランジスタTrNがほとんどOFFとなり、従ってベース電流が供給されないために正帰還作用でトランジスタTrPも瞬間的にOFFになるからである。次に、前記コンデンサーC11に充電された電荷は駆動コイル4を通って電源12から高抵抗値の抵抗R1を通って放電し、徐々にそのコンデンサーC11の端子電圧が低下していく、この時、前記トランジスタTrNのベース電圧は始めの内、ベース逆電圧としてかけられ、その後、前記コンヂンサーC11への逆充電により0.6V近くまでベース順電圧がかけられるまで、2石のトランジスタはOFFを続けている。
【0016】
(トランジスタが活性化する電圧は、周囲温度により変化するが平均的に0.56Vのベース電圧を必要とし、本説明では、0,6V近くと表現している)また、図3中の抵抗R3は、漏れ電流の多いゲルマニュームトランジスタを出力段に使用した場合、誤動作を防ぐために必要としたものであるが、近年改良された低漏れ電流シリコントランジスタで構成した場合には必要のない抵抗である。
【0017】
この自走発振回路の前記起動時の電気的作用は公知であり、若し駆動コイル4だけがあり永久磁石7が無ければ、その作用により、この回路は一定の周期、周波数で前記作用を繰り返すものであり、なんら新規性のあるものといえない。しかし、本発明の場合、駆動コイル4に対して相対的に移動可能な永久磁石7があり、振子が停止時に前記作用で駆動コイル4に短期間通電したとき、前記永久磁石7の磁極極性と同極性磁界がその駆動コイル4面上にでき、前記永久磁石7と少しの隙間で対向している駆動コイル4との間に反発力となる電磁力が発生し、その電磁力で振子8は、その下端の永久磁石位置が、揺動運動の中立点付近から、始めの僅かな偏芯をより大きくするような方向に移動し、重力による復元力で戻りながら慣性による揺動運動を起動する。(本発明は揺動の復元力として重力以外の力も利用できる)
【0018】
その後の本発明の回路の作用は、前記公知の自走発振回路の作用と根本的に違ったものとなる。前記のように重力などの復元力で僅かな振幅で振子が揺動し始めると、永久磁石が揺動運動の中立点に戻ってきた時に、駆動コイルと永久磁石との相対移動速度が最大になり、永久磁石から出る磁力線が駆動コイルの中心から即動コイル周外に移動する間、フレミングの右手の法則により、その駆動コイルに誘導起電力が発生する。その誘導起電力の方向が時定数設定用コンデンサC11や抵抗R8を経てNPN型トランジスタTrNのベース順電圧になることが本発明の特徴であり、しかも、例え、誘導起電力が発生したとしても、回路の作用で、その誘導電流を流したり流さなかったりすることが出来るのも本発明の特徴である。以下、図4、図5、図6によってこれを説明する。
【0019】
説明のための1例として振子起動後の揺動4往復毎に1回の割で通電するトランジスタTrNベース電圧を図4のグラフ(A)で示している。図中、通電終了時点Oから通電開始P時点までの無通電A期間として実線曲線として示したベース電圧曲線は、振子8が揺動して永久磁石7が駆動コイル4の上を7回通過し、その間のベース電圧の変化を示している。図中点線で示した曲線は、振子がなく、永久磁石7が無いときのベース電圧の変化を表し、図中Q時点までの無通電B期間として示している。
【0020】
この場合振子8の1往復中に、永久磁石7は駆動コイル4の上を2回通過するので、振子8の4往復揺動の期間中、8回永久磁石7と駆動コイル4が対向し、始めの1回の対向通電を除く7回の対向時には通電せず、無通電A期間として振子8の減衰的な慣性揺動運動を行っている。
【0021】
前記作用説明中にもある、振子起動時、電源12によって前記時定数設定用コンデンサーC11に充電されたそのコンデンサーC11の端子電圧のために、グラフの点線で示すように、若し駆動コイル上に永久磁石が無ければ、トランジスタTrNのベースにたいしてベース逆電圧になるところのマイナス側で示している、電源電圧から0.7V程を引いた電圧のベース逆電圧から始まって、抵抗R1を通ってそのコンデンサーC11の電荷が徐々に放電されるに従い、点線で示されたベース電圧曲線のように、そのベース電圧は徐々に0Vになり、その後電源から前記時定数設定用コンデンサーC11への逆充電により、前記トランジスタTrNのベース電圧が、ベース順電圧として、プラス側で示す0.6V近く迄なめらかに上ってきて、0.6V近くに達するとトランジスタTrNにベース電流が流れ、前記した作用で図中Q時点で駆動コイル4に通電し始めるはずである。
【0022】
しかし本発明には振子8が既に起動しており、駆動コイル4の上に永久磁石7が相対的に移動していて、駆動コイル4に誘導起電力が生じており、その電圧は時定数設定用コンデンサーC11を通じてトランジスタTrNのベース電圧に影響を与えており、必ずしも前記Q時点で通電開始するとは限らないものとなっている。この駆動コイル4の永久磁石7移動による誘導起電力を図4のグラフ(B)によって前記ベース電圧の順方向になる電圧をプラスとして示している。
【0023】
このグラフ(B)に示すように、前記永久磁石7が駆動コイル4の中心真上にくる直前にマイナスの誘導起電力になり、永久磁石7が駆動コイル4の真上から行去る時にプラスの誘導起電力になり、永久磁石7が駆動コイル4から離れるとその誘導起電力はゼロに近くなる。
【0024】
この駆動コイル4の誘導起電力(B)とグラフ(A)中、点線で表した無通電B期間内のベース電圧とを合成した電圧が図4のグラフ(A)中、実線で示したP時点までの無通電A期間の変化曲線である。このグラフでP時点は、駆動コイル4の真上から永久磁石7が離れようとする瞬間であり、駆動コイル4の誘導起電力がトランジスタTrNのベース電圧を押し上げることにより、永久磁石7が無かった場合の通電開始Q時点より早く通電開始したことになり、駆動コイル4への短期間通電により永久磁石7を最も効率の良いタイミングで反発駆動させ、揺動運動を加速附勢するることができる。若しP時点より遅れてQ時点で駆動コイル4に通電していたとすれば、駆動コイルから永久磁石が離れた後で、弱い電磁力しか働かないか、または全然駆動力が働かなかったはずである。
【0025】
また、図5で示すように、振子の周期が何らかの原因で変化し、永久磁石の無かった時に通電開始するはずのQ時点が、ちょうど駆動コイル4の真上に永久磁石7が入り込んでこようとしている時であった場合、このようなときにもし駆動コイル4に通電したとすれば、永久磁石7は駆動コイル4から反発力を受けて減速し、振子の動きが弱くなるか又は止まってしまうはずである。
【0026】
しかし、本発明では駆動コイル4が相対的に移動する永久磁石7の位置や動きの方向をその永久磁石7の移動によって起きる駆動コイル誘導起電力で検出し、前記揺動運動減速という最悪時期通電を行わないようにし、図中、Q時点よりあとのP’時点まで通電時期を遅らせて、揺動運動を加速附勢するようにしている。これは永久磁石7が駆動コイル4の真上に入り込んで来ようとするとき、駆動コイル4誘導起電力がトランジスタTrNの順方向ベース電圧を押し下げるように作用し、単なる自走発振回路であれば当然そのベース電圧が0.6V近くに上がって2石のトランジスタをON状態にする制動になるQ時点を避け、その後で、永久磁石7が駆動コイル4の真上に到達した瞬間のP’時点にまで駆動コイル4への通電を遅らせることができるからである。
【0027】
このように本発明は駆動コイルと永久磁石の相対的移動のある振子駆動装置であり、自己起動をさせる駆動作用時には自走発振回路によって駆動コイルに短時間通電させ、振子起動後の駆動作用時には、その周期、周波数が永久磁石と駆動コイルの向き合うタイミングに合わせて変動する半自走発振回路によって、振子の複数回の往復揺動中に無くしたエネルギー(位置エネルギー等)を駆動コイルへの通電で一挙に補い、振幅の僅かな変動はあるにしても振子の持続的揺動を行うものである。
【0028】
このような回路内での最適通電時期選択作用が成り立つのは、自走発信回路の前段NPN型トランジスタTrNのベースに永久磁石位置検出用としての駆動コイル4が交流的に連結されると同時に、その駆動コイルが電源12から出力段のPNP型トランジスタTrPによる駆動電流スイッチ回路に接続されているからである、また、説明の仕方を変えれば、フレミングの右手と左手の両法則で磁力線の方向を同じにし、運動の方向と力の方向を同じにした場合、電流の方向が逆になるということを、トランジスタTrNのベース電流とトランジスタTrPのコレクタ電流とが、駆動コイルから見て逆方向になることに結び付けているためである。
【0029】
このように駆動コイルの検出、駆動、両電流方向が逆になっていために、永久磁石との相対移動による駆動コイルの誘導起電力方向のうち、トランジスタTrNのベース順電流方向となる時期が、永久磁石と駆動コイルが向き合う直前(吸引力)でも、直後(反発力)でも、出力駆動電流を駆動コイルに流してよい時期になり、更に、自走発振の周期後半まで、その通電を待たせる作用により、効率よく振子運動を持続させることができたものであり、このような作用により、駆動コイル4に検出コイルの役目をになわせることができたものである。
【0030】
また、本発明の特徴ある作用として、通電巾が自動的に適性に保たれることである。自走発振回路としての通電巾は主として時定数設定用コンデンサーC11の容量によって決り、自己起動時には揺動側の慣性力に打ち勝って加速駆動させるために長い通電巾に設定することが出来るのにたいし、一旦、自己起動した後は駆動コイルの誘導起電力に影響された短い通電巾になって、効率的に揺動を行わせることが出来るのである。このことは、前記誘導起電力を信号源とした直流増幅回路に自走発振回路が変わっていくことを意味しているものである。
【0031】
本発明は固定側と揺動側のどちらでも、永久磁石、駆動コイルを交換配設することができ、前記作用説明の永久磁石の移動手段を、駆動コイルの移動手段に代えた場合でも振子の自己起動作用をもたらし、また、永久磁石の極性は、励磁された駆動コイルの磁極に対し、吸引力を受ける磁極にしても、反発力を受ける磁極にしても自己起動作用をもたらすものである。
【0032】
次に、本発明は、電源に太陽電池と電解コンデンサーC12とを並列接続したものを使用しているので、これを図10、図11、図12により説明する。
【0033】
この発明装置の周囲が徐々に明るくなってくると太陽電池に電圧が生じ、その太陽電池の+,-両端子に直接接続された電源用の電解コンデンサーC12に微少充電電流が流れ、前記主要発明の直流電源と同じように自走発振回路の電源電圧としての電源用コンデンサーC12電圧がゆっくりと生じてくる、その時まだ2石のトランジスタはOFF状態なので、高抵抗値の抵抗R1と抵抗R2を通じ、極微小電流が流れ、電源用コンデンサーC12の電圧が両抵抗により分割され、電源用コンデンサーC12電圧の上昇とともに抵抗R2の端子電圧も上がり、ついに図11中のNPN型トランジスタTrNのベース電圧が0.6V近くになってベース電流が流れ、前記増幅、正帰還作用により2石のトランジスタがON状態になり、駆動コイル4に電源用コンデンサーC12から放電電流が供給されて前記電磁起動作用で任意の意匠体等をつけた揺動側を自己起動させる。このように太陽電池利用の振子駆動装置は、その周囲の明るさが徐々に明るくなる場合、その明るさが所定の照度に達しなければ自己起動しない。
【0034】
しかし前記主要発明作用説明でのべた直流電源12と違って太陽電池は微少電流しか供給しないので、2石のトランジスタONにより駆動コイル4に短時間通電が行われると、電源用コンデンサーC12に溜められていた電荷を放出し、そのコンデンサーC12電圧を下げることになる、しかしこの通電時間は、時定数設定用コンデンサーC11の容量などによりきまると共に、駆動コイルの誘導起電力によっても適正時間に保たれるため、電源用コンデンサーC12に溜った電荷が放出しきらないうちに2石のトランジスタがOFFになる、そのため、コンデンサーC12の容量や駆動コイルの抵抗値によって違うが、電圧降下は25%程で、まだ75%の電圧が残り、前記主要構成発明の作用で説明したものと同じ作用で起きる無通電期間中に太陽電池からの微少電流によりそのコンデンサーC12に充電し、その電圧降下分を取り返すという繰返しが起きる。
【0035】
前記太陽電池による光発電作用は、周囲が明るくなるにつれて増加し、前記コンデンサーC12への充電も速く行われ、コンデンサーC12電圧の平均電圧も周囲が明るくなるにつれて増加し、それに従って駆動コイル4への放電電流も増加し、駆動電磁力の増加に従って揺動側の振幅の増加が起きる。
【0036】
また夜間暗闇から電灯を付けて、急にその所定照度以上の光を太陽電池に照射した場合、図11に示した2石のトランジスタの始めの第1発目のONによる駆動コイル通電で自己起動し、図12で示したグラフ(C)のように、図11中の電源用電解コンデンサーC12端子電圧が変化して、グラフ(D)のように駆動コイル電流がながれ、何回かの駆動コイル通電の後に最大振幅になって揺動を持続する。図12中、駆動コイル電流の通電周期が自己起動時から少しづつ短くなっているのは、揺動側の振幅の増加にともない、揺動速度が増加するため、駆動コイル4の誘導起電力が大きくなり、自走発振回路の周期がくる前にその誘導起電力が図11のNPN型トランジスタTrNのベース電圧を押し上げて回路をON状態にするためである。また、図12(D)のグラフ中、駆動コイル電流は、始めの第1発目が最大値になり、通電パルス巾も始めの第1発目が最大になって、その第1発目の最大供給エネルギーにより、停止状態から自己起動させ、次の第2発目の駆動コイル通電では、第1発目通電で起きた動きによる駆動コイルの誘導起電力を通電のタイミング制御に使って任意の意匠体を付けた揺動側を加速させ、第3発目以降、次々に適時に駆動コイル通電を行って、その揺動を励振させることができる。この第1発目の駆動コイル電流として、自己起動に必要な最大エネルギーを電源用電解コンデンサーC12から供給できることにより、小受光面積の太陽電池でも自己起動させることができるようになったものである。
【0037】
このように、太陽電池で発電する微少電流を電源用電解コンデンサーC12に蓄え、内部抵抗の少ない電源を作り、前記作用で自己起動した後は、少しづつ溜めた電荷を揺動運動加速附勢に最も効率の良い時点で、主要構成発明の作用と同じように駆動コイルに放電電流として流し、振子の持続的揺動作用をもたらすものである。また、室内用の電卓等に使われている太陽電池のμA単位の発電電流でも作動するが、屋外用の太陽電池のmA単位、A単位の発電電流でも、回路の各電子部品の容量や抵抗値を変えて実施することができ、当然、発電電流の増加により、屋外の動く彫刻のように大きな揺動体を動かすことが出来る。
【0038】
この電源用電解コンデンサーC12は、太陽電池が内部抵抗の大きな直流電源なので瞬間的に比較的大電流を流せない電池素子の性質をおぎなうものであるが、逆に内部抵抗の大きな直流電源を作って電源用コンデンサーに徐々に電力を供給しても同じ振子揺動作用をもたらすことができる。これは前記太陽電池25と電源用電解コンデンサーC12の組み合せ構成に代わって、例えば交流を半波整流したような高リップル電源やパルス波を含む電源など任意の直流電源12を高抵抗値抵抗を介して電源用電解コンデンサーに繋いだものである。
【0039】
これは図13の実施例の符号によって、その作用を述べると、このような電源からスイッチ9’によって回路に電流を流そうとすると、図中の高抵抗値抵抗R5によって少しの電流に制限された電流が電源用電解コンデンサーC12’に流れ、徐々にそのコンデンサーC12’電圧が上がってゆき、前記太陽電池電源の場合の作用と同じように、図12のグラフ(C)で示したように、図13中にある電源用電解コンデンサーC12’の端子電圧が変化し、図12のグラフ(D)で示した駆動コイル4電流が流れて、振子8を自己起動させ、何回かの通電により、振子の振幅を加算して最大振幅に揺動させ、その後、持続的揺動作用を行うものである。
【0040】
この場合の電源部に任意性があるのは、その直流電源12から電解コンデンサーC12’に抵抗R5を経て少しずつ電流を流しているため、電源12側に含まれるパルス状電圧が抵抗R5で減衰し、主要構成発明の自走発信回路部に悪影響を与えないためであり、本発明の場合、前記駆動コイル4電流が振子を最も効率よく附勢する時点以外で外来雑信号による誤通電を防いでいる。また本発明電子回路から発生する、パルス状駆動コイル電流を原因とする雑信号も、電源用電解コンデンサーC12’に吸収されて、高抵抗抵値抗R5があるために、前記任意の直流電源12を共用電源にした他の電子機器にその雑信号を出すことがない。
【0041】
【実施例】
本発明の第1の実施例として、看板の一部に揺動する意匠体のある看板の駆動装置を説明する、これは図3に示すようにメンテナンスのしにくい高所に設置した看板内に駆動コイル4を固定し、そのコイル上面に少しの隙間で対向する永久磁石7を、看板の左右両面に軸受開口部から両端を突出させた振子水平軸8aの中央に固着し重力で安定的に垂下している振子の下端に取り付けている。その振子水平軸8aの両端には、顔の描かれた意匠パネル11が取り付けられ、振子8の揺動により看板左右両面に顔の揺動する部分を持たせるようにしている。一方その看板内にはプリント配線基板付き回路部品群26が収容され、前記駆動コイル4がこの発振回路の負荷として接続している、また、この回路の電源として電池交換のメンテナンスがし易い所に設置された乾電池2個による3ボルト直流電源12と電源開閉用スイッチ9とをリード線23によって接続している。
【0042】
そのスイッチ9で直流電源12を回路に投入することで、この回路の前記した作用により、駆動コイル4の上面に対向する永久磁石7の磁極極性と同極性の磁極が生じ、その永久磁石7を反発加速させて振子8を意匠パネル11とともに起動させることが出来る。次に玩具や宣伝広告用の踊る人形として実施する本発明の第2の実施例を、図6、図7、図8、図9の各図によって説明する。この実施例は台13内に収容された単4型乾電池12’の使用期間を著しく延ばす省エネルギー玩具であり、POP広告や景品としても応用実施されるものである。
【0043】
この玩具は缶ビール等ののアルミ缶22を人形の胴体と頭部に見立て、その頭部上面中央に下向きに磁力線を出す永久磁石7がヨーク鉄板7aと共に固着され、その胴体の下部円周周辺位置に、リング状おもり14と共に下端にフランジ部15aを持つ筒状フレーム15を固着し、その筒状フレーム15の上部一方から片持ち梁15bを胴体中央に向けて突設させ、その先端の下部に鋼製のピボット軸16を下向きに固着させている。一方、前記台13上にダイキャスト成形アルミ製の2本足の直立フレーム17を樹立させ、その上端に駆動コイル4を前記人形の頭部に付いた永久磁石7と少しの隙間で対向させながら配設し、その人形の胴体中央部付近の直立フレーム17に焼入れ鋼製のピボット受18を固着し前記人形側のピボット軸16の尖った先端を乗せている。
【0044】
この人形のデザイン的特徴の一つは、目鼻口つきメガネ19であり、アルミ缶22にゴムひも19’の弾力で取り付けている、もう一つは蝶ネクタイと手の付いた帯リボン21であり、頭部と胴体の境界を示すデザイン的意味があり、その材質をゴム編布リボンにしたり、印刷付き粘着テープにすることによってアルミ缶に容易に巻くことが出来るようになっている。
【0045】
この実施例の電気配線を説明すると、駆動コイル4から2本のリード線23’が前記直立フレーム17に沿って降下し、片方の足に沿わせて前記台13内にそのリード線23’を貫通しながら導入させ、そのリード線23’や直立フレーム17の足部を隠すようにプラスチック製の足カバー20が被せられている。
【0046】
その台13内に入った駆動コイル4のリード線23’は、図7で示す結線図のように結線されている。この実施例の半自走発信回路の特徴は、乾電池12’を長持ちさせるために、NPN型トランジスタTrNのコレクタとPNP型トランジスタTrPのベースとの間に抵抗R4を挿入し、そのトランジスタTrPに対する必要以上に無駄に流れるベース電流を制限し、更に夜間、室内が暗くなった時に自動的にほとんど電流を流さないように、NPN型トランジスタTrNのベースから乾電池12’のプラスに抵抗R1’と直列にCdS光導電素子24を挿入していることである。
【0047】
この実施例にはスイッチが無く、しいて人形を止めたいときは台13の正面側に露出したCdS光導電素子24を黒いテープや遮光板等で被うことによって行い、室内が明るく、CdS24が遮光されていないときは常に動く室内アクセサリーとして人形が踊るような動きをしている。この室内アクセサリーは、玩具と違って作動時間が長いので、内蔵の単4型乾電池2個12’の電力消耗を押え、かつ、力強く動作する対策がとられている、その対策の一つとしてゲルマニューム製のダイオードD1をトランジスタTrNのベース、エミッタ間に抵抗R2’と直列配線で接続している。このダイオードD1により駆動コイル4に駆動電流を流していない間、前記駆動コイル4に永久磁石7の移動で生ずる発電電流を流さないようにして、永久磁石7に働くその発電のための制動力を無くし(トランジスタTrNのベース電圧が0.6Vにちかずくに従い、抵抗R2’とダイオードD1を通る少しの発電電流はあるが、前記制動力には無視してもよいほど小さい)人形揺動運動の振幅減少率を小さくし、追加エネルギーとしての駆動コイル電流を減らし、乾電池の寿命を延ばしている。
【0048】
消費電流を減らす、もう一つの対策として、夜間室内が暗くなると自動的に回路の自走発振を止め、乾電池をほとんど使用しないようにすることであり、この作用を説明する。室内が徐々に明るくなってくると、暗黒時1500kΩ程であった光導電素子24の抵抗値が照度1ルックスで40kΩ程になり、抵抗R1’の160kΩとの合計200kΩの抵抗値と、抵抗R2’の抵抗値とで電源電圧3Vを電圧分割したとき、抵抗R2’の電圧にプラスしてゲルマニューム、またはショットキバリアダイオードに相当する順電圧降下の少ないダイオードD1の順方向電圧約0.1VがトランジスタTrNのベース、エミッタ間電圧としてかかり、その電圧が0.6V近くに達したとき、前記作用で駆動コイル4への断続的な通電が始まるようになる。
【0049】
すると人形の頭部に付いた永久磁石7と通電された駆動コイル4との間に働く電磁力により、前記直立フレーム17に固着のピボット受18にピボット軸16先端で回動自由、あらゆる方向への傾斜自由に支えられた人形が胴体の中央付近を傾斜回動の回転中心点として踊るような、身体の向きを変えて踊るような揺動を続け、図中矢印や、2点鎖線で示したものは人形の揺動状態の一部を示したものであり、実際はそれらの複合された複雑な動きをするようになる。なお、図中7aは、永久磁石7を中心下面に固着したヨーク鉄板であり、その円周下面がすべてS磁極になるようにして、駆動コイル4との間に働く電磁駆動力を増加させるためのものである。
【0050】
次に第3の実施例について説明すると、これは低照度、室内用太陽電池25を学生のデザインの人形の角帽上面に配置した図10、図11に示した玩具であり、その太陽電池25の背面下部中央に胴体内部に収容されたプリント基板付き回路部品群26’から結線された駆動コイル4を固着し、その駆動コイル4下面に、安定のため、やや大きな足から足を通って垂直に上に延びる垂直フレーム17’の上端に固着した永久磁石7が少しの隙間で対向し、胴体から上の人形全体が前記実施例と同じように胴体内中央で傾斜自由、水平回動自由に垂直フレーム17’に支持されている。
【0051】
この実施例の半自走発振回路の結線図を図11に示しているが、無駄電流節約用に抵抗R4がNPN型トランジスタTrNのコレクタとPNP型トランジスタTrPのベースとの間に挿入され、電源には1000μFの電源用電解コンデンサーC12と太陽電池25とを並列に結線したものになっている、その太陽電池25はその内部で複数のセルが直列配線され、約1.3Vの電圧と11μAの出力を200ルックスの蛍光灯照明、または40ルックスの白熱灯照明によって得られるようになっており、約12秒のほとんど無通電に近い期間中に電源用コンデンサーC12に平均11μAの電流を流して充電し、その充電期間の約1/92にあたる約0.13秒の通電パルス巾で約1mAの電流を駆動コイル4に流して永久磁石7との間に電磁駆動力を生じさせるようになっている。
【0052】
自走発振回路の作用は既に述べたので省略するが、この実施例の特徴として駆動コイル4が揺動する人形側にあり、永久磁石7が直立フレーム17’上部の固定側にあることである、このことは人形の乗る台を省略することができ、太陽電池25やプリント基板付き回路部品群26’が揺動側に配設されていることから、人形内部での配線が容易にでき、また永久磁石7に長くて強力なアルニコ磁石を使えるために、駆動コイル4への短時間通電によってでも充分な電磁駆動力を得ることができるということであり、また、駆動コイル4への無通電期間内に生ずる回路内での発電によるエネルギー損失を押えるために、図11に示すようにダイオードD1が駆動コイル4とNPN型トランジスタTrNのエミッタとの間に挿入接続されている、このダイオードD1の位置は、図7で説明した第2の実施例の場合と違っているが、どちらも若干の作用電圧に差があるだけで無通電期間中永久磁石7と駆動コイル4との相対移動によって生ずるはずの抵抗R2を通る駆動コイル発電電流を阻止し、その発電による制動力をなくし、人形の揺動を支える軸受部の機械的エネルギー損失を押えた構成(第2の実施例と同じ軸受構造)と相まって、その駆動コイル無通電期間中に人形揺動の振幅減少を最小にし、室内の照明光だけで人形の持続的揺動をもたらすことが出来る。この実施例の周囲が明るくなってくると太陽電池の発電電力が大きくなって電源用電解コンデンサーC12の充電が進み、その充電電圧がある程度大きくなってきたとき揺動し始める、この作用はすでに本発明の作用説明で記載している。また、本発明はシリコン単結晶型の屋外用太陽電池でも実施することができ、直射日光が当たらなくてもゆるやかに作動し、直射日光が当たると、激しく動いて目立つメンテナンス不用の看板揺動装置として利用することが出来る。
【0053】
次の第4の実施例について図13の結線図により説明する、この場合、看板の一部の揺動する部分として意匠パネル11を振子8に取り付け、風等の悪条件のなかでも作動する比較的大出力の振子駆動装置であり、立て看板のようにコードなしで何処にも置き換えができるようにしたい場合は12Vのカーバッテリー12aを使用し、軒先の突き出し看板のように既に100VのAC電源があるところに設置する場合、スイッチ9’によって、そのAC電源2から半波整流用ダイオードD2と分圧抵抗R6、R7によって作った脈動直流電源12bを、使用できるように切り替えられるようになっている。この実施例は消費電力を節約する必要がないので充分に力強く作動させることが出来るが、それでも人が手で止めたりして振子が止まった場合、前記した主要構成発明の作用により、自己起動し、徐々にその振幅を増加させ、元どうりの力強い揺動運動にすることができるものである。
【0054】
この実施例の特徴は電源部にあり、自走発振回路の電流を電源用大容量電解コンデンサーC12’(4700μF)の放電によって行い、その放電によって電圧降下した分を取り戻すように抵抗R5を通して前記カーバッテリー12aの直流電源や、脈動直流電源12bから少しずつコンデンサーC12’へ充電電流として流している。
【0055】
このような電源構成のために、カーバッテリー12aを使った種々電子機器から電源側に入ってくる雑信号がR5の抵抗で減衰したり、AC電源側から入ってくる雑信号もその抵抗5で減衰して駆動コイル4電流を駆動に必要な時点以外での通電を行わせないようにしている。
【0056】
なお、図中R8は電源用大容量電解コンデンサーC12’が瞬間的な内部抵抗ゼロに近い電源であり、且つ電圧が比較的高いために、トランジスタがONになった瞬間に時定数設定用コンデンサーC11への瞬間的充電電流の尖頭値が2つのトランジスタの定格最大電流を越すために、その充電電流を制限する抵抗である。なお、この実施例で前記第1、第3の実施例のようにダイオードD1を使用した高効率化手段をとらなかったのは、電源容量が充分に確保され、消費電力を節約する必要がないためと、比較的抵抗R2の抵抗値が高く、駆動コイル発電による電流が低く押えられ、エネルギー損失が軽微になっているためである。この実施例は、スイッチ9’や、カーバッテリー12aの直流電源や、脈動直流電源12bを延長コードによって遠隔地に置き、振子運動をリモートコントロールすることができるので、各種の信号機として応用できる。
【0057】
次に、図14、図15に示す第5の実施例について説明する。これは図14で示すように振子180が静止しているとき、振子の重心点の真上に設けたナイフエッジの刃190を、ナイフエッジの受け座部で受けている受け座付き梁150を、左右の支柱フレーム120で台フレーム130に枠状に支持連結した固定側フレーム160を構成し、その台フレーム130の上面で前記振子180の真下に駆動コイル140を固着させている。この駆動コイル140には、図示していないが第1の実施例と同じ自走発振回路が結ばれている。一方前記振子180の上端に意匠パネル110が取付き、その振子の下端に、振子ながて方向とほぼ直角に左に延びた磁石取り付け部材181を取り付け、その磁石取り付け部材181の片側の下部に永久磁石170を固着させている。
【0058】
このような構成の図14のような位置状態にあるとき、既に説明した回路作用で、駆動コイル140に短時間通電すると、図中に示すように駆動コイル140上面にs極の磁極が発生する、すると、そのs磁極に永久磁石170の下端のN磁極が引き付けられ、図15のように振子180が回動し、永久磁石170下端のN磁極が駆動コイル140の環中央線上に達した時、駆動コイル140への通電を止めると、図中矢印で示した方向に振子の慣性で揺動運動を起動させることが出来る。
【0059】
この場合、駆動コイル140への通電時間を、時定数設定用コンデンサーC11の容量を比較的小さく決めることにより、駆動コイルと永久磁石との電磁力をはやめに無くし、永久磁石が駆動コイル上面を無抵抗に通過させて、慣性作用により、振子の揺動運動を起動させることができる、しかし、若し少し駆動コイル140への通電が長引いたとしても永久磁石170のN磁極が駆動コイル140の環中央から立ち去ろうとした時に駆動コイル140に発電する電圧が、前記第1の実施例の回路のNPN型トランジスタTrNのベース逆電圧になって、そのトランジスタTrNのベース電流を止め、回路をOFF状態にし、駆動コイル140から離れようとする永久磁石170を引き留めようとする駆動コイル電流を切って永久磁石170に対する制動力を最小限に止めることができる。
【0060】
次に、図16、図17に示す第6の実施例について説明する。これは図16で示すように振子180が静止しているとき、振子の重心点の真上に設けたナイフエッジの刃190を、ナイフエッジの受け座部で受けている受け座付き梁150を、左右の支柱フレーム120で台フレーム130に枠状に支持連結した固定側フレーム160を構成し、その台フレーム130の上面で前記振子180の真下に、空芯の環状駆動コイル140をそのコイルの環円面が左右に向くように、コイル支持部材130aによって固定させている。この駆動コイル140には、図示していないが第1の実施例と同じ自走発振回路が結ばれている。一方前記振子180の上端に意匠パネル110が取付き、その振子の下端に、振子ながて方向と直角に、左右に延びた取り付け部材182を取り付け、その取り付け部材182の両端の折れ曲がり部182’両先端で、振子の回動中心からの距離を半径とする非鉄金属製弧状部材183を、前記駆動コイル140の環内を貫通させながら取り付け、その弧状部材183の中央より片寄った位置に、左右にS,N両磁極を持つ永久磁石170を固着させている。
【0061】
このような構成の図16のような静止位置状態にあるとき、既に説明した回路作用で駆動コイル140に短時間通電すると、図中に示すように駆動コイル140左面にs極の磁極が発生する、すると、そのs磁極に永久磁石170の右端のN磁極が引き付けられ、図17のように振子180が回動し、永久磁石170のS磁極とN磁極の中央位置が環状駆動コイル140の中心に達した時、駆動コイル140への通電を止めると、図中矢印で示した方向に振子の慣性で揺動運動を起動させることが出来る。
【0062】
この場合、駆動コイル140への通電時間を、時定数設定用コンデンサーC11の容量を比較的小さく決めることにより、駆動コイルと永久磁石との電磁力をはやめに無くし、永久磁石が環状駆動コイル内を無抵抗に通過させて、慣性作用により、振子の揺動運動を起動させることができる、しかし、若し、少し駆動コイル140への通電が長引いたとしても永久磁石170N磁極が駆動コイル140の環右面から更に立ち去ろうとし、永久磁石170のS磁極が駆動コイル140環内に入ってこようとした時に駆動コイル140に発電する電圧が、前記第1の実施例の回路のNPN型トランジスタTrNのベース逆電圧になって、そのトランジスタTrNのベース電流を止め、回路をOFF状態にし、駆動コイル140から離れようとする永久磁石170を引き留めようとする駆動コイル電流を切って永久磁石170に対する制動力を最小限に止めることができる。
【0063】
次に、図18,図19に示す第7の実施例と、図20に示す第8の実施例について説明する。第7の実施例は前記第6の実施例と振子静止時点での永久磁石の駆動コイルに対する左右配置と、その永久磁石のNS極性配置以外は同じ構造であり、図19は振子が静止しているとき、永久磁石170’の左右N,S両磁極の中央線が空芯駆動コイル140の左右中心線に対してdで示す片よりだけ離れていることを示している、この駆動コイル140に通電するとコイル左右両面のコイル磁軸線上にs,nで示した磁極の磁界が生じる、するとその磁界のs,nの向きと、永久磁石170’のN,Sの向きとが逆になり、永久磁石170’は図中矢印で示す方向に電磁反発力を受けて加速、移動する。
【0064】
この時の起動方向は図中dで示した片よりのある方向であり、振子の重心位置によって決る永久磁石170’の振子静止時の駆動コイル140との相対位置がdの僅かな片よりの方向が起動方向になる、若し厳密に片よりなく振子の左右バランスをとって永久磁石170’の左右中心が駆動コイル140左右中心に完全静止時に一致していたならば、永久磁石170’は左右どちらへも移動することが出来ず、振子は自己起動出来ない、しかし、振子の軸受けがナイフエッジの場合、完全に静止させたり、完全にバランスをとることが出来ないので自己起動に問題はない。もし軸受構成の仕方により摩擦力も加わり、起動しにくいときは振子のバランスをくずして片よりdをより大きくとって構成する。
【0065】
次に第8の実施例について説明すると、これは前記第5の実施例と振子静止時点での永久磁石の駆動コイルに対する左右配置と、その永久磁石のNS極性配置以外は同じ構造であり、図20は振子が静止しているとき、永久磁石170’の上下N,S両磁極の磁軸中心線が空芯駆動コイル140の磁軸中心線に対してdで示す片よりだけ離れていることを示している、この駆動コイル140に通電するとコイル上下両面のコイル磁軸線上に図中s,nでしめした磁極の磁界が生じる、するとその磁界のs,nの向きと、永久磁石170’上下のN,Sの向きとが逆になり、永久磁石は図中矢印で示す方向に電磁反発力を受けて加速、移動する。
【0066】
この時の起動方向は図中dで示した片よりのある方向であり、振子の重心位置によって決る永久磁石170’の振子静止時の駆動コイル140との相対位置がdの僅かな片よりの方向が起動方向になる、若し厳密に片よりなく振子の左右バランスをとって永久磁石170’の左右中心が駆動コイル140左右中心に完全静止時に一致していたならば、永久磁石170’は左右どちらへも移動することが出来ず、振子は自己起動出来ない、しかし、振子の軸受けがナイフエッジの場合、完全に静止させたり、完全にバランスをとることが出来ないので自己起動に問題はない。もし軸受構成の仕方により摩擦力も加わり、起動しにくいときは振子のバランスをくずして片よりdをとって構成する。フレミングの左手の法則によれば、永久磁石170’の下端が駆動コイル140の片側の導体群の真上にあるとき、初期駆動力が最大になるので、片よりdの最大値をこの範囲以内にすることが自己起動性をよくするために必要である。
【0067】
次に第9の実施例について説明する。これは図21と図22に示すもので、前記した第5の実施例の永久磁石と駆動コイルの相対位置関係以外は同じ構成のものである。その違いのある部分について説明する、振子180の下部に磁石取り付け部材181を取り付け、その磁石取り付け部材181の片側の下部に、第5の実施例の永久磁石に代わってコの字形のヨーク鉄板184を、その開口部が下向きになるように取り付け、その垂れ下がった2枚のヨークの下部内面に、図22に示すように、扁平な永久磁石170a,170bの2個の磁石を、互いに向き合う面がS磁極、N磁極になるように固着させている。
【0068】
更に磁石取り付け部材181の他の片側の、振子の真下にあたる所の下部に、コの字形のヨーク鉄板184を、その開口部が下向きになるように取り付け、その垂れ下がった2枚のヨークの下部内面に、図22に示すように、扁平な永久磁石170c,170dの2個の磁石を、互いに向き合う面がN磁極、S磁極になるように固着させている。
【0069】
一方、振子のほゞ真下で、かつ、前記永久磁石170a,170b,170c,170dの各々対向している隙間にコイル面との間隙をとって駆動コイル140を配置し、台フレーム130にコイル支持部材130aによって取り付けている。この時、振子が静止しているときに、図22に示すdの片よりを、振子真下の永久磁石170c、170dの各磁極の中心線と、駆動コイル140の中心線との間にとっている。
【0070】
この片よりdの方向が駆動コイル140の中心から右にあるので、駆動コイル140に通電すると、図中n,sで示した磁極が生じ、振子真下の永久磁石170c、170dの二つの磁石は、駆動コイル140から反発電磁力を受けて、図の右に向かう力を受け、振子の片側に寄せて配置した永久磁石170a、170bの二つの磁石は、駆動コイル140から吸引電磁力を受けて、図の右に向かう力を受け、それらの合力により振子は起動し、永久磁石170a、170bの磁極の中心が駆動コイル140の中心に接近し、到達する直前に駆動コイル140への通電を止めるようにすることで、振子の慣性作用により揺動運動を開始するものである。
【0071】
この実施例の特徴は、磁気回路の空隙を最小限にすることが出来ることと、4個の永久磁石による強力な磁界中で、駆動コイルに通電する電気エネルギーが、無駄なく機械的エネルギーに変換できることであり、少受光面積の室内用太陽電池を使って、この実施例を作動させたとしても、比較的重くて大きな意匠体を含む振子を大振幅で振らせることが出来るものである。なお、前記第2の実施例のヨーク鉄板7aがあり、この実施例では永久磁石の移動方向が前後左右定まらないので、円盤上の鉄板7a円周下面がリング状にS磁極になっているが、若し、永久磁石の移動方向が一方向であれば、その方向に延びた短冊形のヨーク鉄板にしてSNSの順に並ぶ3磁極の構成にして、実施することができる。
【0072】
次に、本発明が重力を復元力にした振子だけでなく、重力以外の力を復元力に使った振動子にも応用実施することができることを、本発明の第10の実施例によって示し、図23によって説明する。まず、図23に示したものは、非鉄金属製の兎200が上下に振動する室内アクセサリー玩具であり、コイル状のスプリング202のたわみによる弾力を復元力に使っている。その構成は、筒状台204内に図示していないが、乾電池や、図7に示す回路の電子部品群が収容されている。また、その筒状台204上面中央には、コイル支持筒206が固着され、その筒206の上端に環状の駆動コイル4が、その円面を水平に取り付けている。一方、その筒状台204上面に、コイル状のスプリング202が、前記駆動コイル4を中心にして、囲うように、乗せられ、そのスプリング202の下端を筒状台204上面に固着さしている。そのスプリング202の上端は、非鉄金属製、中空成形の兎200の下面に固着され、その兎200の質量とスプリング202の弾性によって決る固有の振動数により、その兎200の上下方向の自由振動が出来るようになっている。
【0073】
この上下振動を自己起動させるために、その兎200の下面に突出した磁石取り付け棒201の下端に、上下にNSの磁極配置のある永久磁石170’が固着され、その永久磁石のNSの中間点が前記環状の駆動コイル4の中心点付近になるようにしている。この玩具の周囲が明るくなってくると、すでに第2の実施例で説明した通り、駆動コイル4に間欠的に通電があり、第7の実施例の図18に示す環状の駆動コイル140と、その環内を貫通移動する永久磁石170’との間で起きる電磁力作用と同じ作用により、兎200の下面を押し下げ、または、押し上げるようにして、兎200の自由振動を起動、持続させることが出来る。本発明の構成説明中に記載の振子は、従来の時計の振子を意味するものでなく、この実施例のように任意の復元力によって振動する振動子を意味するものである。
【0074】
次に、本発明の第11の実施例を図24により説明する。これは地球儀と通信衛星模型をデザインした室内アクセサリーの置物であり、通信衛星300の両翼には室内用太陽電池302が配設され、室内光によって発電された微小電力は、衛星300の下部に設けたパラボラアンテナから出る電波を摸した、クロームメッキした金属製の、衛星支持線304を経由して中空の地球儀306内の電子回路に接続投入されている。その衛星300が北極に取り付けられた地球儀306は、その南極の地球儀下端の開口部内面に環状永久磁石320が固着され、また、地球儀306の赤道内面の左側に駆動コイル4が内接して固着され、地球儀306右側内面に片持ち梁308が固着されている。その片持ち梁308の先端側は地球儀306の中心部にあり、その片持ち梁308の先端上部308’には、アルミ製弧状フレーム312の上端に取り付けられて、垂下している焼入れ鋼製の薄くて細い板バネ310の下端が取り付けられ、衛星300が北極に取り付けられた地球儀306は、振動子側として、その板バネ310によって吊り下げられている。
【0075】
一方、固定側として、前記弧状フレーム312の下端部が、円盤台314の中央に樹立した黄銅管316の上端に固着し、その弧状フレーム312の上下の中央部に、前記赤道内面に固着の駆動コイル4と、少しの隙間で向き合うように配置した永久磁石7’を固着し取り付けている。更に、黄銅管316の内部には、棒状の永久磁石318が、そのN磁極が前記環状永久磁石320の環中心位置になるように収容、固着されている。
【0076】
図示しているように、この実施例は前記環状永久磁石320の内周面がN極に着磁されているので、前記黄銅管316内部の、棒状の永久磁石318のN磁極と反発し、その黄銅管316の外周面は、地球儀の開口部内面に触ることなく、無接触軸受構成になっている。そのため、機械的摩擦抵抗が無く、地球儀のゆっくりとした水平回動振動にともなう、極僅かな空気粘性抵抗にさからう僅かな駆動力で、その振動を持続させることが出来る。
【0077】
この実施例の作用は、既に、第3の実施例により説明しているので省略するが、この実施例は、図中322の亜鉛製環状おもりのために、衛星300が北極に取り付けられた、地球儀306は、板バネ310に吊り下げられて、安定した水平回動振動をし、中空地球儀306や、環状おもり322等の慣性モーメントが比較的大きいのに、板バネ310のねじりモーメントが小さいために、第3の実施例に比べて、長い周期の大振幅のゆっくりとした、室内アクセサリー置物としての落ち着きのある水平回動的振動を行うものである。この第11の実施例を応用して、室内芳香発散器にした第12の実施例について説明すると、図示していないが第11の実施例の地球儀306の赤道上の一箇所にポケットを設け、そこに交換可能な固形の芳香剤を空気に触れるように架けたものである。第11の実施例の作用で室内が明るくなってくると地球儀306が回動し、赤道面にある芳香剤に空気の流れが接触して空気中に揮発し、更に、粘性抵抗や前記芳香剤に当たる空気抵抗で引きずられた空気の遠心力で香が室内に放散して快い室内にすることができ、夜間消灯後は地球儀の回動が止まり無駄な芳香剤の消耗を防ぐ効果がある。
【0078】
本発明の構成要素である振動子の復元力として、地磁気に対する永久磁石の磁気モーメントを利用することも可能であり、その例として、本発明の第13の実施例の地球儀の置物を図25により説明する。図25は、縦断側面図であり、その構成は、筒状台204’内に図示していないが、乾電池や、図7に示す回路の電子部品群が収容されている。またその筒状台204’上面中央には、上端がピボット軸16’になっている支持軸324が樹立され、その筒状台204’の左側側部に固着したL字形の黄銅パイプ326の上端に駆動コイル4が固定して取り付けられている、その駆動コイル4からリード線23が、前記黄銅パイプ326内を通って筒状台204’内に導かれ、前記回路に接続している。
【0079】
一方、振動子側は、中空成形の地球儀306’の南極に相当する下端に開口部を設け、その開口部の周囲内面に、亜鉛製の環状おもり322’を固着し、その地球儀306’の赤道内面の左右に永久磁石328、330を固着させ、左の永久磁石328の左面、即ち地球儀内面への接着面が、N磁極になり、右の永久磁石330の右面がS磁極になるようにしながら、継磁鉄板332で左右の永久磁石同志を磁気的に連結している。その継磁鉄板332左右方向中央部下側に、すり鉢状に成形した焼入れ鋼製のピボット受け18’が取り付けられている。
【0080】
このピボット受け18’に、前記地球儀の開口部を貫通した支持軸324上端のピボット軸16’を当て支えて、振動子側を水平回動自由に支持すると、地磁気の影響を受けて、S磁極の永久磁石330は南向きに、N磁極の永久磁石328は北向きになるように、地球儀306’が水平回動して安定静止状態になる。この時、地球儀の片側の赤道面に少しの隙間で配置した駆動コイル4に、前記第2の実施例の図7の回路作用により、通電が起きると、駆動コイル4の南側に励磁されて生じるN磁極と、北に向いた永久磁石328のN磁極とが反発し合い、地球儀を含む振動子側が水平回動する。
【0081】
すると、二つの永久磁石328、330は、地磁気との関係で、元の位置に戻す方向の磁気モーメントを受け、その復元力により、地球儀306’は水平回動的低速振動を慣性作動する。そして、複数回、駆動コイル4と永久磁石328が向き合い、通過する内に、前記作用で、永久磁石328を効率良く加速する時期を選んで、駆動コイル4に通電する作用が起きるために、水平回動的振動の附勢が行われ、その振幅角の増加が起きる。この実施例の特徴は、その度々の通電により、この地球儀306’の徐々に増加する振幅角が、地球儀の半回転以上に達すると、地球儀306’が水平回転運動を始めることである。それは、復元力の方向、即ち、磁気モーメントの方向が、永久磁石磁軸の180度以上では逆方向に働くためである。
【0082】
この地球儀の回転中には、前記、起動時の作用によって、この地球儀の回転を附勢するものであり、それを説明すると、地球儀が半回転以上まで振幅があがって、復元力が逆向きになると、それまでのような折り返し往復動作が無くなり、永久磁石330も駆動コイル4に発電の影響を与え始める。若しも、図7の説明の自走発振回路の定期的通電時期にさしかかっていたとすると、電磁吸引力作用の駆動コイル4通電、励磁作用により、永久磁石330のS磁極を、駆動コイル4の南側に生じるN磁極が、吸引するようにして、地球儀の回転の加速をおこない、連続的な地球儀の回転を、電磁吸引力と電磁反発力の作用を交互に、または、通電時期によってはランダムに行いながら続けるものである。またこの実施例の回転運動中の特徴は、地球儀の回転速度が、むやみに上がらないことである。それは自走発振回路の定期的通電可能時期に達しなければ、何回、駆動コイル4と永久磁石328、330が向き合い、通過しても駆動コイル4に通電がないためである。また、回転が速くなると空気抵抗も大きくなり、そのため、地球儀306’は置物として見やすい速度で、安定して回転するものである。
【0083】
この置物の周囲が暗くなってくると、自走発振回路の通電周期が長くなり、地球儀の回転を持続させられなくなると、再び水平回動的振動に移り、更に暗くなると地球儀の振動の振幅が小さくなり、ついには、永久磁石328N磁極を北に向け、かつ、駆動コイル4と対向させながら、地球儀は停止するに至るのである。そして、次に周囲が明るくなってくると、再び、小さな振幅の水平回動的振動から始まって、更に明るくなるに従い、大きな振幅で振動し、更に明るくなってくると前記のように、地球儀の回転が行われるのである。
【発明の効果】
【0084】
本発明はこのような構成なので、永久磁石7と電磁石または駆動コイル4の相対的電磁力で駆動させる振子8が電源投入時に限定せずに、その振子8を止める拘束力が解除された後で自動的に自己起動させることができ、そのことは風等により止められる恐れのある看板やPOP広告用の振子駆動装置としての応用が可能になり、止まりっきりになることがなく、広告効果を上げることができる。またこの自己起動作用は太陽電池を使用し、その太陽電池と電源用電解コンデンサーとの並列接続電源にすれば、室内が明るくなってくると自動的に起動することを可能にし、室内が明るい間は、半永久的に動き続ける室内アクセサリーとして、乾電池等の消耗を気にせずに楽しめる効果があり、屋外看板等メンテナンスのしにくい所でも屋外用太陽電池で大きな意匠パネルを揺動させることが出来、動く彫刻造形物にも注目率の高い楽しみの持てるものとして利用できる。また、乾電池を電源にする場合でも、駆動コイルへの短時間通電が永久磁石と駆動コイルが最も効率よく反発電磁力(または吸引電磁力)の働く時点で行われることにより、消費電力が少なくなり、乾電池などの消耗が少なくなり省エネルギー、省資源効果を上げることが出来る。また、従来のように、断続通電の適性タイミングを得る手段として検出コイルを使わず、一つの駆動コイルですませているため、コスト低減効果と大きさを小さくできる効果がある。
【0085】
また、従来玩具作動用に非安定マルチバイブレータ回路を使い、二つのコイルを使った揺動意匠体を駆動する装置の電源に、太陽電池を繋いだ場合より桁違いに太陽電池受光面積を小さくでき、屋内用太陽電池を使用した玩具やPOP広告用のディスプレイに応用する場合、このような微少出力の安価な太陽電池でも、長い無通電期間に低価格の電源用電解コンデンサーに蓄電することにより、短時間放電電流を駆動コイル電流として活かすことができ、高価格の蓄電池などを使わず、電池交換のメンテナンスなしに、公害がなく長寿命効果と経済的効果を上げることが出来た。
【0086】
また、雑信号を電源側に出す各種電子機器と共通の電源で本発明を実施する場合でも電源用電解コンデンサーと抵抗の使用で誤動作することなく高信頼性の振子駆動装置にすることができ、コンピューター用電源のように雑信号の入らない高価な定電圧回路を電源にしなくても、前記駆動コイル4電流が振子を最も効率よく附勢する時点以外での誤通電を防ぎ、コスト低減効果がある。更にまた、本装置と共通の電源となっている各種電子機器に雑信号を送出することがないという効果もあり、電源に任意性があり、そのため、低コストで交直両用の振子駆動措置ができる。このように本発明は、確実な自己起動の作用があるため、遠隔地から本発明への電力供給スイッチングを行って、振子運動をリモートコントロールできるので、高い所にある看板の意匠体を揺動させることにも利用でき、また、動く広告物や、玩具や、任意の意匠体の動く置物などに、止めても自然に自己起動してしまう揺動装置として有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】従来例の振子斜視図付き結線図である。
【図2】別の従来例の結線図である。
【図3】本発明の第1の実施例の振子斜視図付き結線図である。
【図4】図中グラフ(A)は、本発明の第1の実施例の図3に示したトランジスタTrNのベース電圧の変化を、時間との関係で表したグラフである。図中グラフ(B)は、本発明の第1の実施例の図3の永久磁石の揺動により、駆動コイルに誘起した誘導起電力の変化を、グラフ(A)と同じ時間との関係で表したグラフである。
【図5】本発明の第1の実施例の図3に示したトランジスタTrNのベース電圧の変化を、図4の場合と違った振子揺動周期の場合について、時間との関係で表したグラフである。
【図6】本発明の第2の実施例の斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施例の図9、図10に図示した永久磁石と駆動コイルの相対関係図付き結線図である。
【図8】本発明の第2の実施例の縦断側面図である。
【図9】本発明の第2の実施例の一部切断斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施例の一部切断斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施例の永久磁石との相対関係図付き結線図である。
【図12】図中グラフ(C)は、本発明の第3および第4の実施例の自己起動から振幅増加の過程の、電源用電解コンデンサーの端子電圧の変化を、時間との関係で表したグラフである。図中グラフ(D)は、本発明の第3および第4の実施例の自己起動から振幅増加の過程の、駆動コイル電流の変化を、グラフ(C)と同じ時間との関係で表したグラフである。
【図13】本発明の第4の実施例の振子斜視図付き結線図である。
【図14】本発明の第5の実施例の斜視図である。
【図15】本発明の第5の実施例の正面図である。
【図16】本発明の第6の実施例の斜視図である。
【図17】本発明の第6の実施例の一部切断正面図である。
【図18】本発明の第7の実施例の正面図である。
【図19】本発明の第7の実施例の一部切断部分拡大正面図である。
【図20】本発明の第8の実施例の一部切断部分拡大正面図である。
【図21】本発明の第9の実施例の斜視図である。
【図22】本発明の第9の実施例の部分拡大横断平面図である。
【図23】本発明の第10の実施例の一部切断斜視図である。
【図24】本発明の第11の実施例の一部切断斜視図である。
【図25】本発明の第13の実施例の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0088】
1,1’…従来例のダイオード
2…交流電源
3…従来例のサイリスタSCR
4…駆動コイル
5…検出コイル
6…鉄芯
6a…電磁石
7’,7…永久磁石
8…振子
8a…振子水平軸
9…スイッチ
10…白熱電球
11…意匠パネル
12’,12…直流電源
13…台
14…リング状おもり
15…筒状フレーム
15a…フランジ部
15b…片持ち梁部
16’,16…ピボット軸
17…直立フレーム
18’,18…ピボット受け
19…目鼻つきメガネ
19’…ゴムひも
20…足カバー
21…リボン
22…アルミ缶
23,23’…リード線
24…CdS光導電素子
25…太陽電池
26,26’…プリント配線基板付き回路部品群
r1?r3…従来例の抵抗
c1…従来例のコンデンサー
R1?R8…抵抗
C11…時定数設定用コンデンサー
C12’,C12…電源用電解コンデンサー
D1,D2…ダイオード
d…片より
TrN…NPN型トランジスタ
TrP…PNP型トランジスタ
110…意匠パネル
120…支柱フレーム
130…台フレーム
130a…コイル支持部材
140…駆動コイル
150…受け座付き梁
160…固定側フレーム
170’,170…永久磁石
170a,170b…永久磁石
170c,170d…永久磁石
180…振子
181…磁石取り付け部材
182…取り付け部材
182’…取り付け部材の折れ曲がり部
183…弧状部材
184…ヨーク鉄板
190…ナイフエッジの刃
200…兎
201…磁石取り付け棒
202…スプリング
204’,204…筒状台
206…コイル支持筒
300…通信衛星
302…室内用太陽電池
304…衛星支持線
306’,306…地球儀
308…片持ち梁
310…板バネ
312…弧状フレーム
314…円盤台
316…黄銅管
318…永久磁石
320’,320…環状磁石
322’,322…環状おもり
324…支持軸
326…黄銅パイプ
328,330…永久磁石
332…継磁鉄板
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非安定マルチバイブレータ回路の発振電流で駆動コイルを励磁し、この駆動コイルと相対して移動可能に設けられた永久磁石に電磁力をおよぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとに相対的に働く電磁力により、任意の復元力系を有し、かつ揺動意匠体を配置した自由振動体を励振させる揺動装置において、
前記非安定マルチバイブレータ回路を、PNP型とNPN型との2石のトランジスタ(TrP,TrN)の互いのベースを相手のトランジスタのコレクタに接続し、その接続が一方のトランジスタには直通的に、および他方のトランジスタには時定数設定用コンデンサー(C11)を介しておのおの接続して自走発振回路として構成し、前記時定数設定用コンデンサーがコレクタに接続された前記他方のトランジスタの負荷として、そのコレクタに駆動コイル(4)を接続し、この駆動コイルに前記自走発振回路から通電した場合に、前記駆動コイルに発生する磁界により、前記駆動コイルに対して相対的に移動可能でかつ任意の復元力で相対的に揺動可能に設けられた永久磁石(7)に電磁力を及ぼし、この永久磁石と前記駆動コイルとのいずれか一方を揺動側に配設し、他方を固定側の、相手の揺動運動中立点付近に配設して揺動側の自由振動体を揺動させ、前記自走発振回路の電源として、短時間放電により駆動コイルへの電磁駆動に必要な電力量を流し得る容量の電解コンデンサー(C12)を結線し、この電解コンデンサー(C12)に対し、充電電流を流す太陽電池(25)を接続して、前記駆動コイルの無通電期間中に、前記太陽電池の発電電流により前記電解コンデンサー(C12)を充電するとともに、抵抗(R1)を経て前記時定数設定用コンデンサー(C11)にも充電し、この時定数設定用コンデンサー(C11)の電圧上昇が、前記トランジスタのベース電圧の上昇による増幅、正帰還作用を生じさせることで、前記電解コンデンサー(C12)に貯まった電荷を、前記駆動コイルを経て放電することを特徴とする揺動意匠体の自己起動する揺動装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-09-17 
出願番号 特願平4-294695
審決分類 P 1 41・ 851- Y (G09F)
P 1 41・ 856- Y (G09F)
P 1 41・ 121- Y (G09F)
最終処分 成立  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 藏田 敦之
赤木 啓二
登録日 1999-06-11 
登録番号 特許第2937287号(P2937287)
発明の名称 揺動意匠体の自己起動する揺動装置  
代理人 押野 宏  
代理人 大島 孝文  
代理人 加藤 公延  
代理人 大島 孝文  
代理人 永田 豊  
代理人 加藤 公延  
代理人 押野 宏  
代理人 永田 豊  
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