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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1225541
審判番号 不服2007-25113  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-13 
確定日 2010-10-21 
事件の表示 特願2002- 17994「表示装置およびそれを備えた試料分析装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月 6日出願公開、特開2002-351591〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年1月28日(国内優先権主張、平成13年1月30日)に出願したものであって、平成19年4月27日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年7月12日付けで意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされたが、同年8月1日付けで拒絶をすべき査定がされ、これに対し同年9月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年10月15日付けで手続補正がなされた。
これに対して、当審において、平成19年10月15日付けの手続補正を平成22年6月3日付けで却下するとともに、同日付けで拒絶理由を通知したところ、同年8月2日付けで意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年8月2日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の通りのものと認める。

「オペレータ情報とそのオペレータが使用する言語の種類を示す情報とを対応付けて記憶するオペレータ情報記憶手段と、
試料分析に関する文字が第1の言語で記されている第1の表示文字記憶手段と、
試料分析に関する文字が第2の言語で記されている第2の表示文字記憶手段と、
オペレータからの前記オペレータ情報の入力を受け付ける入力部と、
入力部で受け付けた前記オペレータ情報と対応する言語の種類を示す情報を前記オペレータ情報記憶手段から読み出し、使用する表示文字記憶手段を選択する表示文字選択手段と、
前記文字を含む試料分析に関する画面を表示する表示手段を備える表示装置を備える試料分析装置。」

3.当審の拒絶理由
当審において平成22年6月3日付けで通知した拒絶の理由の概要は、平成19年7月12日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正前発明」という。)は、本願の優先権主張の日前の平成11年9月17日に頒布された特開平11-250090号公報(以下「引用例1」という)、平成11年9月28日に頒布された特開平11-266303号公報(以下「引用例2」という)、及び、周知技術(周知例としては特開昭62-212824号公報(以下「引用例3」という)を参照。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

4.引用例1の記載

当審において通知した拒絶の理由で示した引用例1(特開平11-250090号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

A.「【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる一実施形態の特許情報検索システムおよび特許情報検索装置並びにその制御方法について図を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]図1は、本発明の一実施形態である特許情報検索システムの構成例を示すものである。クライアント端末101は、ネットワーク102(例えば、インターネットなど)を介して、特許情報検索装置103と接続されている。このクライアント端末101は、端末エミュレータであり、情報検索装置103からのコマンドを入力して表示する。このコマンドは表示フィールドを有し、従って、ユーザは端末に表示された所望のフィールドに入力すると、端末は、入力データとフィールドとをそのまま検索装置103に送り返す。
【0032】特許情報検索装置103は、例えば、日本において出願された特許情報などを検索するためのサーバであり、クライアント端末101からの要求に応じて、日本の特許情報などが格納された各種データベース(115、116、117)を検索する。CPU104は、ROM106内の制御プログラム等に基づいて、特許情報検索装置103全体の制御を行う。RAM105は、ROM106に格納された制御プログラム等を実行する際に、ワークエリアなどとして使用される。
【0033】検索式置換部107は、クライアント端末101から送信される検索条件を解析し、各種データベース(115、116、117)を、検索可能な検索式に置き換える処理を行う。検索部108は、検索式置換部107において、生成された検索式に基づいて、各種データベース(115、116、117)を検索する。ネットワークインタフェース部109は、ネットワーク102と接続するためのインタフェース部である。
【0034】認証部110は、クライアント端末101を使用するユーザが、特許情報検索装置103の使用を許可されたユーザであるか否かを判定する。また、この認証部110では、特許情報検索装置103を使用するユーザに対して、利用料金を請求するための課金管理なども行っている。翻訳部111は、各種データベース(115、116、117)を検索した結果、得られた情報を所定の言語に翻訳するための翻訳依頼を行う。記憶部インタフェース112は、データベースサーバ113と接続するためのインタフェース部である。
【0035】この特許情報検索装置103は、内部に翻訳エンジン若しくは翻訳ツール(不図示)を有し、上記翻訳部111はこの翻訳エンジンに上記依頼を発行する。尚、翻訳手段は、内蔵の翻訳エンジン若しくは翻訳ツールに限られず、例えば、外部の翻訳サーバであってもよい。外部の翻訳サーバの翻訳を依頼する場合は、翻訳依頼を翻訳対象のテキスト共に当該サーバに通信回線で送って翻訳してもらい、その翻訳結果を受け取る。
【0036】データベースサーバ113は、データベースサーバ113全体の制御を行うためのCPU118、データベースサーバ113を制御するための制御プログラム等が格納されたROM120、ROM120に格納された制御プログラム等を実行する際に、ワークエリアなどとして使用されるRAM119、日本の特許情報などが格納された各種データベース(115、116、117)から構成される。
【0037】英文アブストラクトデータベース115には、特許情報の1つである公開特許公報に対応する英文抄録(英文アブストラクト)が格納されている。全文検索データベース116には、日本において出願された特許に関する公開特許公報(日本語)などが格納されている。データベース117には、同義語テーブル1201、単語置換テーブル1202、出願人置換テーブル1301、変換テーブル1302、フリーキーワードテーブル1601、IPC変換テーブル1602などの各種テーブル類が格納されている。
【0038】なお、図1のデータベースサーバ113は、特許情報検索装置103から独立した形で構成されているが、本発明はこれに限られたものでなく、このデータベースサーバ113の構成および機能を特許情報検索装置103に統合してもかまわない。次に、本発明の特許情報検索システムによれば、日本語以外の言語(例えば、英語)を母国語とする者(以下、「ユーザ」とする)が、海外に設置された端末装置から、或いは日本国内におかれた外国語の端末装置から、日本において出願された特許に関する情報などを、データベースサーバ113から簡単に検索することができる。
【0039】このために、クライアント端末101は、例えば、HTML言語を理解するインタプリタを有する。HTML言語を用いる場合には、クライアント端末101と情報検索装置103とは例えばHTTPプロトコルを適用する。尚、クライアント端末101と情報検索装置103間のプログラムは任意でよく、例えば、情報検索装置103がPATOLIS型のデータを扱うことができる場合には、端末はPATOLIS端末をエミュレートするものであれば任意でよい。以下に、海外ユーザからデータベースサーバ113にアクセスする場合についての詳細を図2から図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0040】まず、ユーザは、クライアント端末101を使用して、特許情報検索装置103に接続するために、ユーザIDおよびパスワードを入力し、特許情報検索装置103に対して、接続要求を行う(ステップS201)。特許情報検索装置103によるユーザ認証が終了し、特許情報検索装置103の使用が許可された場合、特許情報検索装置103は入力用のメニュー画面を端末101に送信する。そして、クライアント端末101は特許情報検索装置103から送信されたメニュー画面を表示する(ステップS203)。このメニュー画面801は、例えば、図8に示すようなレイアウトで構成され、各項目の説明は英語で表記される。後述するように、検索装置103は、ユーザがログインしてきたときの情報に基づいて、当該ユーザが日本語圏ユーザか英語圏ユーザかの判断を行っており、ユーザが例えば英語圏ユーザであった場合には、図8のようなメニューを送ることになる。
【0041】ユーザは、表示されたメニュー画面801において、シンプル・テキスト・サーチ(Simple Search)802、または、エキスパート・サーチ(Expert Search)803の何れかを選択し、さらに、オプション(Option)項目を指定してから検索条件を入力する(ステップS204)。上述したシンプル・テキスト・サーチとは、ユーザにより入力される任意の英単語に基づいて、データベース(115、116、117)に格納された特許情報を検索する場合に使用し、例えば、図9Aのようなレイアウトのメニューで構成される。エキスパート・サーチとは、例えば、特許出願人の中から、ユーザにより指定された出願人のみを検索するなどの検索範囲の絞り込みを行った後で、データベース(115、116、117)に格納された特許情報を検索する場合に使用し、例えば、図9Bのようなメニューのレイアウトで構成される。
【0042】また、メニュー画面801には、オプションとして、検索対象となるデータベースを指定するためのチェックボックス(804,805)が用意されており、例えば、"English Abstract"をチェックすると英文アブストラクト用データベース115(以下、「英文アブストラクトDB」とする)に、また、"Japanese"をチェックすると全文検索用データベース116(以下、「全文検索DB」とする)にアクセスするようになる。上述した英文アブストラクトDB115には、特許情報の1つである公開特許公報に対応する英文抄録(以下、「英文アブストラクト」とする)が格納されており、また、全文検索DB116には、日本において出願された特許に関する公開特許公報(日本語)などが格納されている。
【0043】これらの英文アブストラクトDB115および全文検索DB116は、例えば、リレーショナルデータベースで構成されており、そのテーブルレイアウトは、図11Aおよび図11Bのようになる。また、英文アブストラクトDB115と全文検索DB116とは、例えば、「公開特許番号」1002で関連づけられている。
【0044】なお、第1実施形態では、説明を簡略化するために、検索可能なデータベースとして英文アブストラクトDB115および全文検索DB116に限定して説明を行うものとするが、本発明はこれに限られたものではなく、例えば、特許に関するデータベースの他に、実用新案、意匠、商標などのデータベースも扱うことができる。また、データベースに用いられる言語は日本語に限られる必要はない。
【0045】図2Aの制御手順の説明に戻ると、次に、ユーザにより検索条件が入力されたか否か判断する(ステップS205)。検索条件が入力未済の場合には、ステップS204に戻り、ユーザによる検索条件の入力待ちとなる。ユーザにより検索条件が入力されると、後述するように、特許情報検索装置103は、図9A(シンプル・テキスト・サーチの場合)または図9B(エキスパート・サーチの場合)のメニュー画面を送ってくる。これらの画面を用いてユーザは特許情報検索装置103に対して検索要求を行う。この検索要求の入力に際して、図9Aまたは図9Bに示す画面において、特許情報の検索条件が入力された後、ユーザにより「START」ボタン905が押下されたときに、特許情報検索装置103に対してコマンドが発行される。
【0046】検索装置103はこのコマンドに応じて検索を行い、検索結果を端末101に返す。続いて特許情報検索装置103から検索結果を受信する(ステップS207)。そして、図10Aに示すように、受信した検索結果は、クライアント端末101のモニタ上に、1レコードずつ一覧表示される(ステップS208)。図10Aから明らかなように、検索結果は検索された複数の出願を一覧表示として含むものであり、表示された一覧表1001には、公開特許番号1002、発明の名称1003、発明者1004、出願人1005などの情報が表示されるのみである。従って、この一覧表1001からは、発明の詳細な内容を把握することはできない。
【0047】このような場合は、ユーザは、画面に表示された一覧表1001の中から、所望する公開特許番号1002の近傍をマウスなどでクリック(指定)することにより、特許情報検索装置103に対して、指定した公開特許番号1002に対応する公開特許公報などの表示要求を行う(ステップS210)。この表示要求により、所望する公開特許番号1002の種々の特許情報(例えば公開特許公報)の表示を要求するコマンドが特許情報検索装置103に対して発行される。
【0048】尚、ステップS204において英文アブストラクトDB115を検索するオプションが選択されている場合には、図10Bに示すような表示形態で、クリックされた公開特許番号1002に対応する英文アブストラクトを得ることができる(ステップS211)。一方、ステップS204において全文検索DB116を検索するオプションが選択されている場合には、図10Cに示すような表示形態で、クリックされた公開特許番号1002に対応する公開特許公報を得ることができる(ステップS211)。
【0049】ここで、ユーザは、例えば、表示された日本語の公開特許公報1014(図10C)を英文アブストラクトに切替えたい場合がある。このようなときは、「CHANGE」ボタン1010(図10C)を押下する。すると、表示されている公開特許公報1014に対応する英文アブストラクト1013がモニタに表示される。尚、表示されている公開特許公報1014に対応する英文アブストラクト1013が、英文アブストラクトDB115に存在しない場合はその旨をモニタに表示してユーザに通知する。
【0050】また、モニタに表示された英文アブストラクト1013を日本語の公開特許公報に切替えたい場合は、同様に、「CHANGE」ボタン1010を押下すると、表示されている英文アブストラクト1013に対応する公開特許公報1014がモニタに表示される。なお、特許情報検索装置103を検索した結果得られる情報は、図10Bに示すように、英語で記載された情報だけではなく、図10Cに示すように、日本語で記載された情報も含まれる。ただし、この日本語で記載された情報は、日本語を理解できないユーザにとっては、有効な情報とはいえない。そこで、本発明にかかる特許情報検索システムは、例えば、日本語で記載された公開特許公報などを、ユーザが理解できる言語に翻訳するために、ユーザが外部の翻訳会社の翻訳サーバ(または特許情報検索装置103内部の翻訳エンジン)に対して翻訳依頼を行うことができるように、本システムは構成されている(ステップS215)。翻訳を依頼する場合、図10Cの「ORDER」ボタン1011を押下することにより、翻訳依頼を行うコマンドが特許情報検索装置103に対して発行されて、翻訳金額の見積もり、発注などの処理を行うことができる。
【0051】また、本発明にかかる特許情報検索システムは、図10Cにおいて、例えば、表示された公開特許公報に記載されている発明が外国に優先権がある場合、優先権番号1015をクリックすると(ステップS216)、その優先権がある国のデータベースにリンクして(ステップS217)、対応する公報を表示するようにも構成されている。この場合、HTMLなどで表示画面1014を作成すれば、優先権番号1015とその優先権がある国のデータベースとをリンクすることが可能である。
【0052】上述した内容は、日本の特許情報などを検索する場合に、クライアント端末101側の処理について詳細に説明したものであるが、次に、特許情報検索装置103側の処理について詳細に説明を行う。特許情報検索装置103は、クライアント端末101から送られてくるコマンドを監視し(ステップS301)、コマンドを受信した場合、その受信したコマンドを解析する(ステップS302)。ステップS303では、解析したコマンドが接続要求である場合、ステップS304に進み、それ以外の場合ステップS305に進む。
【0053】ステップS305では、解析したコマンドが検索要求である場合、ステップS306に進み、それ以外の場合ステップS307に進む。ステップS307では、解析したコマンドが表示要求である場合、ステップS308に進み、それ以外の場合ステップS309に進む。ステップS309では、解析したコマンドが翻訳要求である場合、ステップS310に進み、それ以外の場合ステップS311に進む。ステップS311では、解析したコマンドが切断要求である場合、ステップS312に進み、クライアント端末101との接続を切断する処理を行う。また、それ以外の場合ステップS301に進み処理を継続する。
【0054】次にステップS304の「接続」処理について、図4を用いて説明する。特許情報検索装置103は、クライアント端末101から送信されたユーザID、パスワードに基づいてユーザの認証を行う(ステップS401)。特許情報検索装置103の使用が許可されているユーザからのログインであると判断された場合には、さらに、ユーザIDに基づいて、そのユーザが理解できる言語が判定される(ステップS403)。特許情報検索装置103は、ユーザIDとそのユーザ名と国籍とその国の主要言語との対応テーブルを記憶しているので、言語の判定はこのテーブルを用いて行われる。ユーザの言語が特定されると、その言語に対応する検索メニューが、そのユーザが使用するクライアント端末101に送信される(ステップS405およびステップS406)。
【0055】尚、ユーザの認証において、特許情報検索装置103の使用が許可されていないユーザからのログインであった場合、クライアント端末101にその旨を通知する(ステップS404)。このように、ステップS304の接続処理では、ユーザIDに基づいて、ユーザ認証を行うと共に、ユーザが理解することができる言語を判定し、その言語に対応する検索メニューをユーザに対して送信することを特徴としている。なお、上述した言語の判定処理においては、例えば、ユーザが理解することができる言語に対応する識別文字を、あらかじめユーザIDに付加しておくことにより、ユーザIDからユーザが理解することができる言語を判定することができる。」
(第8ページ左欄第40行目?第11ページ左欄第27行目)

B.「【0089】このように、第2実施形態によれば、PATLISなどの商用データベースに本発明を適用することによって、日本語を理解することができないユーザでもPATLISなどの商用データベースを簡単に利用することができる。以上説明したように、第1実施形態及び第2実施形態によれば、例えば、日本語を理解することができないユーザが、日本の特許情報などが格納されたデータベースを利用する場合、日本語を意識することなく所望する情報を得ることができる。また、本発明は、様々なデータベース検索システムにも適用することができる。
[更なる変形例]なお、本発明にかかる一実施形態として、例えば、英語を母国語とするユーザが、日本の特許情報などが格納されたデータベースを利用する例について説明したが、本発明はこれに限られたものではなく、例えば、仏語を母国語とするユーザが、独国の特許情報などが格納されたデータベースを利用する場合などにも有効である。この場合は、メニュー画面などのユーザインタフェースにかかる部分を仏語で表記し、単語置換テーブル1202、出願人置換テーブル1301などのテーブル類には、仏語に対応する独語のフィールドを設けてやればよい。
【0090】本発明は、上記第1実施形態や第2実施形態に示された接続形態に限定されない。例えば、第1実施形態や第2実施形態の情報検索装置や情報処理装置は夫々別々のコンピュータシステムである必要はなく、1つのコンピュータシステム内に設置されていてもよい。かかる場合はバス結合となる。
【0091】また、本発明の検索式の置き換えは、データベースサーバ113に影響を与えないという観点からいえば、第1実施形態や第2実施形態の情報検索装置103内で行うことが望ましいが、必要に応じて、検索式の置き換え機能をデータベースサーバ113に設置してもよい。本発明は、ネットワークに接続されない検索装置にも適用可能である。即ち、端末101と検索装置103とデータベース113とが一体となった特許情報検索システムである。この場合のシステムは、例えば、WindowsやWindows NT等のOSの基で動作するコンピュータシステムとすることが望ましい。即ち、このコンピュータシステムが、端末とデータベース検索装置を兼ねるのである。この場合、WindowsやWindows NTは、当該特許情報がサポートする言語(例えばPATOLISのCD-ROMを用いる場合であれば日本語)によるバージョンである必要がある。但し、検索式入力のためのアプリケーションプログラムは、そのユーザの言語によるアプリケーション(米国人ユーザであれば、英語サポートのアプリケーション)にする方がそのユーザには使いやすいであろう。即ち、この変形例のシステムでは、例えば、米国人ユーザが、日本語のWindowsやWindows NTをインストールされ、更に英語のアプリケーションプログラムをインストールしたパソコンシステム或いはワークステーションに、PATOLIS CD-ROMを装着して、前述の第1実施形態や第2実施形態と同じ機能を発揮することができる。」
(第14ページ右欄第38行目?第15ページ左欄第40行目)

C.【図8】
英語の場合のメニュー画面の例が記載されている。メニュー画面は文字により構成されていることが読み取れる。(第16ページ)

以上の記載によれば、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「クライアント端末101は、ネットワーク102を介して、特許情報検索装置103と接続されており、
ユーザは、クライアント端末101を使用して、特許情報検索装置103に接続するために、ユーザIDおよびパスワードを入力し、特許情報検索装置103に対して、接続要求を行い、
特許情報検索装置103によるユーザ認証が終了し、特許情報検索装置103の使用が許可された場合、特許情報検索装置103は入力用のメニュー画面を端末101に送信し、
クライアント端末101は特許情報検索装置103から送信されたメニュー画面を表示するものであり、
メニュー画面は文字により構成されており、
特許情報検索装置103は、クライアント端末101から送信されたユーザID、パスワードに基づいてユーザの認証を行い、
特許情報検索装置103の使用が許可されているユーザからのログインであると判断された場合には、さらに、ユーザIDに基づいて、そのユーザが理解できる言語が判定され、
特許情報検索装置103は、ユーザIDとそのユーザ名と国籍とその国の主要言語との対応テーブルを記憶しているので、言語の判定はこのテーブルを用いて行われるもので、
ユーザの言語が特定されると、その言語に対応する検索メニューが、そのユーザが使用するクライアント端末101に送信される構成を有するクライアント端末。」

5.対比

本願発明と引用発明を対比する。

引用発明は、ユーザがクライアント端末101を使用して、特許情報検索装置103に接続するために、ユーザIDおよびパスワードを入力するものであるので、クライアント端末は、当然ユーザの入力を受け付ける入力部を有していることになる。また、引用発明における「ユーザ」は、特許情報検索装置を操作するオペレータであることになる。そのため、引用発明のクライアント装置は、本願発明の「オペレータからの前記オペレータ情報の入力を受け付ける入力部」に相当する手段を有していることになる。
引用発明の特許情報検索装置は、ユーザIDとそのユーザ名と国籍とその国の主要言語との対応テーブルを記憶しており、「ユーザID」は、上記のユーザのユーザIDであると認められるので、引用発明の「ユーザID」と「ユーザ名」は本願発明の「オペレータ情報」に相当するものである。また、引用発明の「その国の主要言語」は、言語の種類を示しているので、本願発明の「言語を示す情報」に対応する。そのため、引用発明の「ユーザIDとそのユーザ名と国籍とその国の主要言語との対応テーブルを記憶」することは、本願発明の「オペレータ情報と」「言語の種類を示す情報とを対応付けて記憶するオペレータ情報記憶手段」が有する機能に相当することになる。
引用発明は、ユーザの言語が特定されると、特許情報検索装置が、その言語に対応する検索メニューをそのユーザが使用するクライアント端末101に送信する構成を有するので、特許情報検索装置は言語に対応する検索メニューを有していると言える。そして、メニュー画面は文字により構成されているので、特許情報検索装置は、検索メニューとして文字の情報を有しており、その文字の情報をクライアント端末に送信していることは明らかなので、特許情報検索装置は本願発明の「表示文字記憶手段」に相当する記憶手段を有しているものと認められる。また、特許情報検索装置はその言語に対応する検索メニューを送信するものであるので、言語ごとの検索メニューとして文字の情報を有していることも明らかであるので、引用発明の特許情報検索装置は、本願発明の「文字が第1の言語で記されている第1の表示文字記憶手段」、「文字が第2の言語で記されている第2の表示文字記憶手段」に相当する記憶手段を有していることになる。
さらに、引用発明は、ユーザIDに基づいて、記憶している対応テーブルでそのユーザが理解できる言語を判定しているため、引用発明は、記憶している対応テーブルを読み出してから、言語の判定を行うことは明らかであるので、引用発明は、本願発明の「入力部で受け付けた前記オペレータ情報と対応する言語の種類を示す情報を前記オペレータ情報記憶手段から読み出し、使用する表示文字記憶手段を選択する表示文字選択手段」に相当する機能を有している。また、引用発明は、その言語に対応する検索メニューが、そのユーザが使用するクライアント端末に送信され、クライアント端末は特許情報検索装置から送信されたメニュー画面を表示するので、引用発明は、本願発明の「文字を表示する表示手段を備える表示装置」を有しているものと認められる。

すると、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。

一致点
「オペレータ情報と言語の種類を示す情報とを対応付けて記憶するオペレータ情報記憶手段と、
文字が第1の言語で記されている第1の表示文字記憶手段と、
文字が第2の言語で記されている第2の表示文字記憶手段と、
オペレータからの前記オペレータ情報の入力を受け付ける入力部と、
入力部で受け付けた前記オペレータ情報と対応する言語の種類を示す情報を前記オペレータ情報記憶手段から読み出し、使用する表示文字記憶手段を選択する表示文字選択手段と、
前記文字を表示する表示手段を備える表示装置を備える装置。」

一方、両者は次の点で相違する。

相違点1
本願発明は、オペレータ情報とそのオペレータが使用する言語の種類を示す情報とを対応付けて記憶するオペレータ情報記憶手段を有しているのに対し、引用発明は、ユーザIDとそのユーザ名と国籍とその国の主要言語との対応テーブルを有しており、記憶されている言語の種類を示す情報が、オペレータが使用する言語に特定されていない点。

相違点2
本願発明は、試料分析に関する文字が記された表示文字記憶手段を有し、試料分析に関する画面を表示する単体の装置からなる試料分析装置であるのに対し、引用発明はネットワークを介して、特許情報検索装置と接続されたクライアント端末であり、特許情報検索装置とクライアント端末で分担して各機能を実現したものであり、試料分析に関する文字及び画面に関しての特定がなされていない点。

6.当審の判断
上記相違点1及び相違点2について検討する。

(相違点1について)
当審において通知した拒絶の理由で示した引用例2(特開平11-266303号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

D.「【請求項4】 請求項1に記載の交換機システムにおける保守運用アクセス方式において、前記交換機は、前記記憶手段に、前記ユーザプロフィール情報として全てのユーザについての国情報と言語情報を記憶し、前記判断結果情報作成手段が、「許可」の判断結果情報に、国情報と言語情報を含むユーザプロフィール情報を前記記憶手段から読み出して設定し、前記運用管理サーバは、記憶手段に、前記国情報と言語情報を含むユーザプロフィール情報をユーザ識別符号と関連付けて記憶し、前記保守運用端末装置は、前記第1表示手段が、前記国情報と言語情報を用いて前記メニュー表示を行うことを特徴とする交換機システムにおける保守運用アクセス方式。」
(第2ページ右欄第13行目?同欄第27行目)

E.「【0019】即ち、請求項4に記載の発明では、保守運用端末装置5aの画面操作によるアプリケーションの実行において、アプリケーションのテキスト、通貨、日時の表示形式を国情報と言語情報を用いて切り替えることができる。」
(第6ページ左欄第19行目?同欄第23行目)

F.「【0048】次に、図9は、一般加入者向けユーザプロフィール情報の例である。図10は、保守者向けユーザプロフィール情報の例である。図9、図10に示すように、ユーザプロフィールは、ユーザの生活習慣に関わる国情報や言語情報に、GUI機能情報、実行権情報、ユーザ熟練度情報を含めたものからなり、それぞれ例えば16ビットで構成される。GUI機能情報は、保守運用端末装置の画面上で制御できる保守・運用の機能の一覧を示す情報である。実行権情報は、保守運用端末装置の画面上で制御できる保守・運用の機能の読出権や書込権を示す情報である。
【0049】図11は、ユーザプロフィール情報の具体例である。国情報は、図11(1)に示すように国名が、言語情報は、図11(2)に示すように言語名が、それぞれ略記号で示される。実行権情報のレベルは、GUI機能情報のビット位置に対応して規定される。ユーザ熟練度情報は、ユーザが端末操作に習熟しているか否か等の指標である。図示するように、一般加入者の実行権とユーザ熟練度情報のレベルは、保守者のそれよりも低いレベルに割り付けられる。」
(第9ページ左欄第8行目?同欄第27行目)

G.「【図9】一般加入者向けUser Profile情報の例」
図面から、User Profile情報の中に、国情報と言語情報がそれそれ別々に格納されていることが読み取れる。

H.「【図11】User Profile具体例」
図面から、User Profile情報は、国情報と言語情報がそれそれ別々に定義されていることが読み取れる。

以上の記載によれば、引用例2には、「交換機は、記憶手段に、ユーザプロフィール情報として全てのユーザについての国情報と言語情報を記憶し、運用管理サーバは、記憶手段に、前記国情報と言語情報を含むユーザプロフィール情報をユーザ識別符号と関連付けて記憶し、保守運用端末装置は、その国情報と言語情報を用いてメニュー表示を行うもので、ユーザプロフィールは、ユーザの生活習慣に関わる国情報や言語情報に、GUI機能情報、実行権情報が含まれ、ユーザプロフィールはそれぞれ別々に定義され、User Profile情報の中に、国情報と言語情報がそれそれ別々に格納されている保守運用アクセス方式。」が記載されている。
引用例2の上記の記載内容は、端末装置からのアクセスにおいて、ユーザプロフィールとして有している国情報と言語情報を用いて対応するメニュー等の表示を行う方式という点で、技術分野、及び、発明が解決しようとする課題は引用発明と共通する。
そのため、引用例2に記載された国情報と言語情報がそれそれ別々に格納されている構成を適用し、引用発明の「ユーザIDとそのユーザ名と国籍とその国の主要言語との対応テーブル」を、ユーザIDとそのユーザ名と国情報と言語情報との対応テーブルとして構成とすることは、当業者であれば容易なことである。
また、この場合、言語情報にどのような言語を設定するかは、適宜選択して設定できるものであり、オペレータが使用する言語の種類を特定して選択することは、格別の困難性は認められない。

(相違点2について)
引用発明は、ネットワークを介して2つの装置を接続した特許情報検索装置において本願発明のオペレータ情報に相当するユーザIDに基づいて特定された言語に対応する検索メニューが表示されるものであるが、オペレータ情報に相当するユーザIDに基づいて特定された言語に対応する検索メニューを表示するという機能について、ネットワークを介して2つの装置を接続した特許情報検索装置以外の装置に適用することに格別の困難性は認められない。
また、試料分析装置において、画面表示に関して複数の言語に対応できるように構成することは周知の技術である(当審において通知した拒絶の理由で示した引用例3(特開昭62-212824号公報:全文)を参照。)。そして、試料分析装置が単体の装置であるかどうかは引用発明のネットワークを介して2つの装置を接続した特許情報検索装置における上記の機能を適用することについての特段の阻害要因とはならないので、引用発明の上記の機能を試料分析装置において適用することは当業者であれば容易に成し得ることである。
ここで、試料分析装置において画面表示に関して複数の言語に対応する場合、試料分析に関する画面表示が行われることは明らかであり、試料分析に関する文字が記された表示文字記憶手段を用いることも、当業者であれば当然想到し得ることである。
よって、引用発明を単体の装置からなる試料分析装置に適用して、本願発明のように構成することは、当業者であれば容易に成し得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例2、及び、周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用発明、引用例2、及び、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-23 
結審通知日 2010-08-24 
審決日 2010-09-07 
出願番号 特願2002-17994(P2002-17994)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 安久 司郎
佐藤 匡
発明の名称 表示装置およびそれを備えた試料分析装置  
代理人 西野 卓嗣  
代理人 芝野 正雅  

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