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審決分類 |
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C12Q 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C12Q |
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管理番号 | 1227688 |
審判番号 | 不服2007-17625 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-06-25 |
確定日 | 2010-11-24 |
事件の表示 | 特願2003-271366「特にグラム陽性菌に誘導型糖ペプチド耐性を付与するタンパク質」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月 4日出願公開、特開2004- 65257〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は,平成5年12月17日(パリ条約による優先権主張1992年12月18日及び1993年7月7日,フランス)を国際出願日とする特願平6-514865号の一部を、平成15年7月7日に分割出願したものである。 そして,平成17年9月28日付けで拒絶理由が通知され,これに対し,平成18年4月4日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ,平成18年6月13日付けで,再度拒絶理由が通知され,これに対し,平成18年12月19日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,平成19年3月22日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成19年6月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされ,その後,平成21年12月15日付けで,平成18年4月4日と平成18年12月19日の手続補正を却下する決定がなされたものである。 そして,平成21年12月15日付けの補正却下は確定したので,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,出願当初の本願明細書及び図面の記載からみて以下のとおりのものである。 「グラム陽性球菌、特に腸球菌に起因する感染の治療用として活性な分子、特に抗生物質のスクリーニング方法であって、特にVanB型のバンコマイシン耐性表現型を有する細菌でこれらの分子の活性を検出することを特徴とする方法。」 2.平成17年9月28日付けの拒絶理由の概要 特許法第158条の規定により,審判においても、その効力を有するとされる,平成17年9月28日付けの拒絶理由は,以下のものを含んでいる。 (2-1)本願発明は、本願優先日前に頒布された刊行物であるAntimicrobial Agent and Chemotherapy 33(9) p.1588-1591 (1989)(以下,「引用例」という。)に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (2-2)この出願は、特許請求の範囲の記載が「本願発明について、「特に」等の記載は特に以下に記載される構成を必須のものとするか否かが不明なため、本願発明は明確でない」点で、特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない。 3.当審の判断 (3-1)進歩性について (3-1-1)引用例 引用例は,「バイコマイシン耐性Enterococcus faecalisnの生体外の感受性の研究」という表題の学術文献であり, 「Enterococcus faecalisnの分離物であるV583,V586及びV587が示すバンコマイシン耐性が記述される。バンコマイシンMICは32から64マイクログラム/mlまで変動した。バンコマイシンに耐性にもかかわらず、分離物は、teicoplanin(0.5マイクログラム/ml以下のMIC)に感受性であった。・・・。」(抄録)と記載されている。 (3-1-2)対比 本願明細書には,引用例に記載されるEnterococcus faecalisnのV583株が,本願発明の「VanB型のバンコマイシン耐性表現型を有する細菌」として説明されている。 そこで,本願発明と引用例に記載された発明を対比すると,両者は,「VanB型のバンコマイシン耐性表現型を有する細菌」に関するものである点で一致するが, 本願発明においては,「VanB型のバンコマイシン耐性表現型を有する細菌」を用いて,グラム陽性球菌、特に腸球菌に起因する感染の治療用として活性な分子、特に抗生物質の活性を検出するスクリーニング方法であるのに対し,引用例には,そのようなスクリーニング方法が記載されていない点で,相違する。 (3-1-3)判断 Enterococcus faecalisnにバイコマイシン耐性のものがあることを知った当業者であれば,当然に,バイコマイシン耐性Enterococcus faecalisnに効く薬剤を得たいという課題を抱くものである。そして,そのためには,抗生物質の開発において周知である,候補となる化合物を,感染症などの原因菌を用いて,抗生物質の活性があるかスクリーニングすることに,当業者は容易に想到するものであり,またそのときに,何の困難もなく,V583株などのバイコマイシン耐性Enterococcus faecalisnを用い,本願発明のごとくできるものである。 以上のとおりであるから,本願発明は,本願優先日前に頒布された引用例に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3-2)明細書の記載要件について 本願の請求項1の,「活性な分子、特に抗生物質」の記載をみても,抗生物質に限定されているのか,それともその他の活性な分子も意味するのか,明確でないし,「特にVanB型のバンコマイシン耐性表現型を有する細菌」も,VanB型のバンコマイシン耐性表現型を有する細菌をも意味するのか明確でない。 したがって,本願は,本願発明について,特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしているとはいえない。 4.むすび 以上のとおり,本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,また,本願は,本願発明について,特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない。 |
審理終結日 | 2010-06-23 |
結審通知日 | 2010-06-29 |
審決日 | 2010-07-12 |
出願番号 | 特願2003-271366(P2003-271366) |
審決分類 |
P
1
8・
534-
Z
(C12Q)
P 1 8・ 121- Z (C12Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 光本 美奈子 |
特許庁審判長 |
平田 和男 |
特許庁審判官 |
引地 進 鵜飼 健 |
発明の名称 | 特にグラム陽性菌に誘導型糖ペプチド耐性を付与するタンパク質 |
代理人 | 大崎 勝真 |
代理人 | 川口 義雄 |
代理人 | 金山 賢教 |
代理人 | 渡邉 千尋 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 小野 誠 |