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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B65H
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65H
管理番号 1229008
審判番号 不服2009-11667  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-26 
確定日 2010-12-15 
事件の表示 特願2004-300831「大型ロービング」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月 9日出願公開、特開2005-145715〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成16年10月15日(優先権主張平成15年10月20日)の出願であって,平成21年3月19日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同日付けで特許請求の範囲及び明細書を対象とする手続補正がなされたものである。その後,平成22年5月12日付けで,前置報告書の内容を通知する審尋を行い,期間を指定して回答書を提出する機会を与えたが,請求人から何ら応答がなかったものである。

第2.原査定
原査定における拒絶の理由は,以下のとおりのものと認める。
「この出願の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1;特開2003-252645号公報
2;特開平8-239166号公報」

第3.平成21年6月26日付けの手続補正についての補正却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成21年6月26日付けの手続補正(以下,「本件補正」という)を却下する。
〔理由〕
1.本件補正の概要
本件補正は,平成20年11月20日付けで補正された特許請求の範囲及び明細書をさらに補正するもので,特許請求の範囲については,補正前に
「【請求項1】複数本のストランドを引き揃え円筒状に巻き取った大型ガラスロービングであって,巻き高さ(h)と,円筒の外周直径(2r)との間に1.1≦2r/h≦4の関係を有し,巻き高さが200?500mmであることを特徴とする大型ガラスロービング。
【請求項2】綾角度が2?20°であり,質量が25?160kgであることを特徴とする請求項1に記載の大型ガラスロービング。
【請求項3】番手が1000?7000texであることを特徴とする請求項1または2に記載の大型ガラスロービング。」
とあるのを,次のとおりに補正するものである。

「【請求項1】複数本のストランドを引き揃え円筒状に巻き取った大型ガラスロービングであって,巻き高さ(h)と,円筒の外周直径(2r)との間に1.1≦2r/h≦4の関係を有し,外周直径が400?550mm,巻き高さが200?500mm,質量が25?95kgであることを特徴とする大型ガラスロービング。
【請求項2】綾角度が2?20°であることを特徴とする請求項1に記載の大型ガラスロービング。
【請求項3】番手が1000?7000texであることを特徴とする請求項1または2に記載の大型ガラスロービング。」

請求項1の補正は,外周直径を「400?550mm」に限定するとともに,ガラスロービングの質量を「25?95kg」に限定するものである。請求項2及び請求項3は,いずれも請求項1を引用するものであるから,実質的に上記と同じ内容の補正がなされたといえる。そして,本件補正が産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでないことは明らかである。なお,補正後の請求項2が引用する請求項1に記載された「質量が25?95kg」は,補正前の請求項2に記載された「質量が25?160kg」の数値範囲に含まれるから,補正前の請求項2に記載されていた「質量が25?160kg」が削除されていても,補正後の請求項2に係る発明が補正前の請求項2に係る発明の上位概念にあたるものではない。
したがって,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下,「本願補正発明」という)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。

2.記載要件
本願補正発明の大型ガラスロービングは,以下の3つの条件を同時に満たすものである。
条件1)巻き高さ(h)と円筒の外周直径(2r)との間に「1.1≦2r/h≦4」の関係を有する
条件2)円筒の外周直径が「400?550mm」である
条件3)巻き高さが「200?500mm」である
ところが,円筒の外周直径(2r)及び巻き高さ(h)をそれぞれ条件2及び条件3の数値範囲で任意に変更しても,円筒の外周直径(2r)を巻き高さ(h)で除した値(2r/h)がとり得る最大値は550/200=2.75であるから,条件1の数値範囲には,条件2及び条件3とは矛盾する部分(2.75<2r/h≦4)が含まれる。
したがって,本願補正発明は明確ではなく,当該請求項を含む特許請求の範囲の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3.むすび
以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第4.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成20年11月20日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(以下,「本願発明」という)。

第5.刊行物記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の優先日前に頒布された特開2003-252645号公報(以下,「刊行物1」という)には,図面とともに,次の事項が記載されている。
1a)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,SMC,スプレーアップ,フィラメントワインディング,引き抜き等の成形法により,FRPもしくは,その成形材料を製造する際に使用するガラスロービングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にSMC,スプレーアップ,フィラメントワインディング,引き抜き等の成形法に使用されるガラスロービングは,次のような方法で作製される。
【0003】まずブッシングの底部に形成された多数のノズルから溶融ガラスを紡出して直径が数?数十μmのガラスフィラメントを成形し,各ガラスフィラメントを巻取機で引っ張りながら,その表面に集束剤を塗布した後,これらを数十本?数千本集束することによってストランドとしてから,綾振装置で綾を掛けながら巻取チューブに巻き取ることによってケーキを作製する。次いで複数個のケーキを乾燥してから,各々の内層からストランドを解舒し,これらを引き揃えて(合糸して)ストランド束とした後,綾を掛けながら円筒状に巻き取る。」
1b)「【0007】
【発明が解決しようとする課題】ガラスロービングを大型化する方法としては,その外径を大きくする方法と,巻き高さを高くする方法があるが,いずれの大型ガラスロービングについても,使用時にストランド束を解舒する際,その内側面でストランド束の崩落現象が発生しやすいという問題がある。」
1c)「【0019】また一般のガラスロービングの寸法は,内径100mm,外径270mm,巻き高さ270mmで,質量が17kg程度であるが,上記したようにガラスロービングが大型化するほど,解舒時にストランド束の崩落が起こりやすく,持ち上がりが発生しやすいため,本発明のガラスロービングは,外径が300mm以上,巻き高さが300mm以上,質量が30kg以上の大型ガラスロービングとして好適であり,より具体的には,外径が400mm以上,巻き高さが500?1200mm,質量が50?300kgのガラスロービングとして好適である。」

上記各記載事項及び図面の記載によれば,刊行物1には,次の発明が記載されているといえる(以下,「引用発明」という)。
「ガラスフィラメントのストランドを引き揃えてストランド束とした後,綾を掛けながら円筒状に巻き取ることによって作製されたガラスロービングであって,外径が270mm程度であり,巻き高さも270mm程度であるガラスロービング。」

(2)前置審査報告において提示された,本願の優先日前に頒布された特開2000-44122号公報(以下,「刊行物2」という)には,図面とともに,次の事項が記載されている。
2a)「【0003】このようにして製造されたガラス繊維ロービングは,図5の(F)に示すように,複数個のロービング3を木製,プラスチック製,金属製等のパレット1に受け皿2を介して,例えば,3行×3列×3?4段や,4行×4列×3?4段等の複行,複列,複段に積載して上蓋4を被せ,結束バンド5で結束し,包装フィルム6によって,例えば,シュリンク包装等により梱包され,ロービング集合梱包体7として保管又は出荷される。
【0004】上記ロービング集合梱包体7は,SMC,スプレーアップ,フィラメントワインディング,引抜き等の成型法によりFRPもしくはその成形材料を製造する際に,包装フィルム6及び上蓋4を除去して積載形態のままで使用される。」
2b)「【0007】このロービング3のパレット1への積載形態,糸口数は,ロービング3を使用する際の使い勝手により決定され,ロービング積載時にその各々の糸口数となるよう各ロービング間を結合する必要がある。尚,このロービング間の結合順は,特に限定されるものではないが,上段から使用されるように結合しておいた方が,行もしくは列方向に先に使用した場合に使用残となるロービングが高さに比べ,行,列が少なくなり,それを保管,移動する際にロービングがパレット上で崩れたりすることが少なくなるため好ましい。」

第6.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「外径」,「ガラスロービング」は,それぞれ本願発明の「円筒の外周直径」,「大型ガラスロービング」に相当する。
そして,引用発明の巻き高さ(270mm程度)は,本願発明の巻き高さの数値範囲(200?500mm)に含まれるから,本願発明と引用発明は,本願発明の表記にしたがえば,
「複数本のストランドを引き揃え円筒状に巻き取った大型ガラスロービングであって,巻き高さが200?500mmである大型ガラスロービング。」の点で実質的に一致し,次の点で相違する。
[相違点]
本願発明は,巻き高さ(h)と円筒の外周直径(2r)との間に,1.1≦2r/h≦4の関係を有するのに対して,引用発明は,巻き高さと外径の比がほぼ1である点。
上記相違点について検討する。
FRPの製造に際して,ガラスロービングをパレット上に多段に積層した形態のまま使用することは,刊行物2に示されるように,従来からよく知られている(記載事項2a参照)。このような使用形態をとる場合,パレットを保管・移動する際に,パレット上のガラスロービングが荷崩れを起こすおそれがあり,それを防止することは自明な課題であるといえる(記載事項2b参照)。そして,円筒形状の物体を立てて置く場合,外径と高さの比が大きいほど(偏平になるほど),転倒しにくく,安定した姿勢を保つことは,技術的に自明な事項である。そうしてみると,引用発明において,外径を巻き高さよりも若干大きくして,外径と巻き高さの比を1.1より大きな値とすること,すなわち上記相違点は,上記周知技術及び技術常識に基づいて,当業者が容易に想到し得たというべきである。
したがって,本願発明は,引用発明,周知技術及び技術常識に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。

第7.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,周知技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明できたものであって,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
したがって,原査定は妥当であり,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-13 
結審通知日 2010-10-18 
審決日 2010-10-29 
出願番号 特願2004-300831(P2004-300831)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65H)
P 1 8・ 537- Z (B65H)
P 1 8・ 575- Z (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 誠永石 哲也  
特許庁審判長 千馬 隆之
特許庁審判官 熊倉 強
栗林 敏彦
発明の名称 大型ロービング  
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