• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1230581
審判番号 不服2009-24852  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-15 
確定日 2011-01-13 
事件の表示 平成11年特許願第 78204号「パチンコ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月 3日出願公開、特開2000-271327〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成11年3月23日の出願であって、拒絶理由通知に対して平成21年7月21日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、平成21年12月15日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第二.平成21年12月15日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年12月15日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により補正された補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という)は次のとおりである。
「 パチンコ球が入賞口へ入賞したこと、又はパチンコ球がゲートを通過したことを検出する入賞検出手段と、
該入賞検出手段による検出結果に基づいて、遊技者に賞品球として払い出すべきパチンコ球の個数を確定して払出個数信号として出力する払出個数信号出力手段を有する主制御部と、
前記払出個数信号出力手段から出力される払出個数信号に基づいて、遊技者にパチンコ球を払い出すためのパチンコ球払出手段を駆動して所定個数のパチンコ球を払い出させる払出指令手段を有する払出制御部と、
を備えるパチンコ遊技機において、
前記パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を検出する賞品球検出手段を設け、
前記主制御部に、
前記賞品球検出手段による検出結果に基づいて、前記パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を計数する賞品球計数手段と、
該賞品球計数手段による計数結果と前記払出個数信号とに基づいて、パチンコ球の払い出しが適正に行われているか否かを判断し、判断結果を出力する払出適正判断手段と、
を設け、
大当たり遊技中でない場合で、且つ、前記払出適正判断手段からパチンコ球の払い出しが適正に行われていない旨の判断結果が出力された場合に、大入賞口の閉塞、パチンコ球発射装置の機能の停止、遊技情報を保存した後の遊技制御の一時停止、及び図柄表示装置の表示の消去のうち少なくとも1つを実行する遊技停止手段
を設けたことを特徴とするパチンコ遊技機。」
(下線部は補正によって追加された箇所)

2.補正要件(目的)の検討
請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項である「遊技停止手段」について、その実行の条件として「大当たり遊技中でない場合で、且つ、」を付加するものであるから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に相当する。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に該当する。

3.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用された文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、特開平10-290865号公報(以下「引用文献」という)には以下の事項が記載されている。
【0021】さらに、遊技領域20には、始動入賞口34、普通入賞口36、38、及び、大入賞口40が適宜配設されている。始動入賞口34及び普通入賞口36、38は遊技盤16に取り付けられており、大入賞口40は大入賞装置24に一体に設けられている。各入賞口34,36,38,40には入賞球センサ(図7中で符号34a,36a,38a,40aを付す)が備えられており、これらの入賞球センサ34a,36a,38a,40aによって入賞した各遊技球(以下、入賞球と称する)が1個ずつ検出される。
【0041】各フォトセンサ104は発光部114と受光部116(一方のみ図示)とを有しており、排出口112の手前側に配置されている。発光部114と受光部116とは賞球通路118を挟んでおり、各賞球通路118を通過する賞球90…を一個ずつ検出する。
【0054】図7中の符号200はパチンコ機10の全体の制御を司る制御部としての主制御部の要部を示しており、この主制御部200は、CPU202、ROM204、RAM206、球数カウンタ208、払出時間間隔カウンタ210、記憶手段としてのレジスタ212、及び、入出力インターフェース214,216等を有している。また、主制御部200には前述したタッチスイッチ70、ボリュームスイッチ72、荷重センサ88,100等の検出機器や、同じく前述した発射モー74、賞球払出しモータ110、ソレノイド156等の駆動機器が接続されている。また、主制御部200には各種の表示ランプ42a?42c等も接続されている。
【0055】なお、これらの検出機器や駆動機器等は分散して配置された各種の副制御部(フレーム制御部、液晶表示盤制御部など)を介して主制御部200に接続されているが、それらの副制御部の図示は省略する。
【0056】次に、パチンコ機10における制御方法を図7及び図8に基づいて説明する。なお、通常の遊技やその他の処理のための制御方法に関しては一般的な方法を採用できるので、ここでは賞球払出し制御の要部についてのみ説明し、その他の説明は省略する。
【0057】図8に示すように、賞球払出しに先立って、入賞の態様に応じた賞球数Ai(S1)、賞球の払出し時間間隔の設定値B(S2)、及び、排出時間の設定値C(S3)が決められている。賞球数Aiは、遊技盤16に設けられた始動入賞口34、固定入賞口36、可動入賞38、及び、大入賞口40に対応して決められている。本実施例においては、前述したように大入賞口40に入賞した場合が15個、その他の入賞口34,36,38に入賞した場合は7個に設定されている。
【0063】つぎに、図7に示すように、フォトセンサ104,104の信号が主制御部200へ送られ、払い出された賞球90…の数が球数カウンタ208によって1個ずつ更新される(S9)。また、フォトセンサ104,104の検出結果を基にして賞球払出しの時間間隔が検出される(S10)。そして、球数カウンタ208の出力値Eと賞球払出しの時間間隔の検出値Fがレジスタ212に記憶される(S11)。つぎに、カウント値Eが払い出すべき賞球数Aiと一致したか否か(「E=Ai」)が判断され(S12)、一致した場合には賞球払出し処理が終了する。
【0064】一方、「E=Ai」の条件が成立しない場合には、賞球タンク84の荷重センサ88、及び、賞球誘導樋94の荷重センサ100の状態に基づいて賞球90…の有無が判別される(S13,S14)。そして、いずれか一方でもOFFになっていれば、賞球払出装置96への賞球90…の供給が適切に行われていないことが検知され、賞球払出し異常の発生が判断される(S15)。また、いずれの荷重センサ88,100もON状態にある場合には、払出し時間間隔の検出値Fが設定値Bと比較され(S16)、「F≧B」の条件が成立していれば、賞球払出しに異常が発生したことが判断される(S15)。
【0065】例えば、大入賞口40で入賞が発生した場合には15個の賞球90…が払出しされるよう、主制御部200が賞球払出しモータ110の回転量を決定するが、10個の賞球90…が払い出された時点で異常が発生すると、賞球払出しモータ110は、賞球5個に相当する分だけ空転した後、停止する。
【0066】このように異常が発生すると、前面枠12の異常発生表示ランプ42aが点滅制御され、遊技者や遊技場の店員等に賞球払出しの異常が発生したことが告知される(S17)。この後、店員等が遊技盤16を開放し、例えば手作業等により異常が解消されると、賞球90…が賞球払出装置96の各フォトセンサ104を通過し、球数カウンタ208のカウント値Eが更新され増加する。そして、このカウント値Eの増加の有無が判定され(S18)、カウント値Eの増加に基づいて、賞球払出しの異常が解消したことが判断される(S19)。
【0067】さらに、遊技盤16が閉じられ、パチンコ機10の正常な遊技が可能になると、タッチスイッチ70及びボリュームスイッチ72が共に遊技者により操作されたか否かが判断され(S20,S21)、両スイッチがON状態にあれば、通常の遊技の再開が可能になり、表示ランプ42aが消灯される(S22)。

摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献には以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。
「 各入賞口34,36,38,40に入賞した遊技球を検出する入賞球センサ34a,36a,38a,40aと、
各入賞口34,36,38,40で入賞が発生した場合には、各入賞口34,36,38,40に対応して決められている賞球数Aiの賞球90…が払出しされるよう、賞球払出しモータ110の回転量を決定する主制御部200と、
主制御部200に副制御部を介して接続されている賞球払出しモータ110と、
を備えるパチンコ機10において、
各賞球通路118を通過する前記賞球90…を一個ずつ検出するフォトセンサ104を設け、
前記主制御部200に、
前記フォトセンサ104の信号が送られ、払い出された賞球90…の数が1個ずつ更新される球数カウンタ208を設け、
前記球数カウンタ208の出力値Eが前記賞球数Aiと一致したか否かが判断され、一致した場合には賞球払出し処理が終了し、一致しない場合には、賞球払出し異常の発生が判断され、
異常が発生すると、異常発生表示ランプ42aが点滅制御され、この後、店員等が遊技盤16を開放し、異常が解消されれば、通常の遊技の再開が可能になる
パチンコ機10。」

(2)引用発明と本願補正発明との対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「各入賞口34,36,38,40」は、本願補正発明の「入賞口」に相当し、以下同様に、
「入賞球センサ34a,36a,38a,40a」は「入賞検出手段」に、
「賞球数Ai」は「遊技者に賞品球として払い出すべきパチンコ球の個数」に、
「賞球90…」は「賞品球」に、
「主制御部200」は「主制御部」に、
「副制御部」は「払出制御部」に、
「賞球払出しモータ110」は「遊技者にパチンコ球を払い出すためのパチンコ球払出手段」に、
「パチンコ機10」は「パチンコ遊技機」に、
「フォトセンサ104」は「賞品球検出手段」に、
「球数カウンタ208」は「賞品球計数手段」に、
「球数カウンタ208の出力値E」は「賞品球計数手段による計数結果」に、それぞれ相当する。
さらに、引用文献の記載等からみて、以下のことが言える。

a.引用発明の「各入賞口34,36,38,40に入賞した遊技球を検出する入賞球センサ34a,36a,38a,40a」は、本願補正発明の「パチンコ球が入賞口へ入賞したことを検出する入賞検出手段」に相当する。

b.引用発明は「各入賞口34,36,38,40に対応して決められている賞球数Aiの賞球90…が払出しされる」ものであり、どの入賞口に入賞したかはどの入賞球センサによって遊技球が検出されたかに基づいていることは明らかであるから、引用発明の「主制御部200」は、本願補正発明の「入賞検出手段による検出結果に基づいて、遊技者に賞品球として払い出すべきパチンコ球の個数を確定」に相当する機能を有しており、かつ、入賞した遊技球を検出した入賞球センサに応じた賞球数Aiの信号を出力する手段、すなわち本願補正発明の「払出個数信号として出力する払出個数信号出力手段」に相当する手段を有するものということができる。

c.引用発明の「賞球払出しモータ110」は、賞球数Aiの賞球90…が払出しされるように回転するものであるから、引用発明の「副制御部」は、「主制御部200」で決定された賞球払出しモータ110の回転量の信号に基づいて、「賞球払出しモータ110」を駆動して賞球数Aiの賞球90…を払出しさせるものといえる。そして、引用発明における「賞球払出しモータ110の回転量」と本願補正発明の「払出個数」は、“払い出すべきパチンコ球の個数に応じた変量”である点では共通しているから、引用発明と本願補正発明は“払い出すべきパチンコ球の個数に応じた変量の信号に基づいて、遊技者にパチンコ球を払い出すためのパチンコ球払出手段を駆動して所定個数のパチンコ球を払い出させる払出指令手段を有する”点では共通しているといえる。

d.引用発明の「各賞球通路118を通過する前記賞球90…」は、「賞球払出しモータ110」が回転することにより払出されたものであることが明らかであるから、引用発明の「フォトセンサ104」は、本願補正発明の「前記パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を検出する」に相当する機能を有しているといえる。

e.引用発明において「払い出された賞球90…の数が1個ずつ更新される」ことは、本願補正発明において「パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を計数する」ことに相当するといえる。
また、引用発明における「球数カウンタ208」の更新は、フォトセンサ104の信号が送られることに起因するから、フォトセンサ104の検出結果に基づくものといえる。
そうしてみると、引用発明の「球数カウンタ208」は、本願補正発明の「前記賞品球検出手段による検出結果に基づいて、前記パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を計数する」に相当する機能を有しているといえる。

f.引用発明の「賞球数Ai」は、本願補正発明の「遊技者に賞品球として払い出すべきパチンコ球の個数」に相当し、本願補正発明の「払出個数信号」は、遊技者に賞品球として払い出すべきパチンコ球の個数を確定して出力されるものである。
そして、引用発明は「球数カウンタ208の出力値Eが前記賞球数Ai」が「一致した場合」には賞球払出し処理が終了、すなわち賞球の払出しが適正に行われたと判断し、逆に「一致しない場合」には賞球払出し異常の発生、すなわち賞球の払出しが適正に行われていないと判断するから、引用発明において「球数カウンタ208の出力値Eが前記賞球数Aiと一致したか否かが判断され」ることは、本願補正発明において「賞品球計数手段による計数結果と前記払出個数信号とに基づいて、パチンコ球の払い出しが適正に行われているか否かを判断」することに相当するものといえる。

g.引用発明においては「異常が発生すると、異常発生表示ランプ42aが点滅制御され」ているので、異常の発生が判断された結果が出力されていることは明らかである。
また、引用発明において異常の発生が判断されることは上記f.で述べたように、本願補正発明において「パチンコ球の払い出しが適正に行われていないと判断されること」に相当している。
さらに、引用発明において「異常発生表示ランプ42aが点滅制御され」ることと、本願補正発明において「大入賞口の閉塞、パチンコ球発射装置の機能の停止、遊技情報を保存した後の遊技制御の一時停止、及び図柄表示装置の表示の消去のうち少なくとも1つを実行する」こととは、引用発明も、その後店員等が遊技盤16を開放して遊技を停止することになるので、遊技停止に関連する動作の実行である点で共通している。すなわち、引用発明と本願補正発明とは、主制御部に、“遊技停止に関連する動作を実行する手段”を設けている点では共通しているといえる。

以上を総合すると、両者は、
「 パチンコ球が入賞口へ入賞したこと、又はパチンコ球がゲートを通過したことを検出する入賞検出手段と、
該入賞検出手段による検出結果に基づいて、遊技者に賞品球として払い出すべきパチンコ球の個数を確定して払出個数信号として出力する払出個数信号出力手段を有する主制御部と、
前記払い出すべきパチンコ球の個数に応じた変量の信号に基づいて、遊技者にパチンコ球を払い出すためのパチンコ球払出手段を駆動して所定個数のパチンコ球を払い出させる払出指令手段を有する払出制御部と、
を備えるパチンコ遊技機において、
前記パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を検出する賞品球検出手段を設け、
前記主制御部に、
前記賞品球検出手段による検出結果に基づいて、前記パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を計数する賞品球計数手段と、
該賞品球計数手段による計数結果と前記払出個数信号とに基づいて、パチンコ球の払い出しが適正に行われているか否かを判断し、判断結果を出力する払出適正判断手段と、
を設け、
前記払出適正判断手段からパチンコ球の払い出しが適正に行われていない旨の判断結果が出力された場合に、遊技停止に関連する動作を実行する手段
を設けたパチンコ遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願補正発明の「パチンコ球払出手段」は「払出個数信号に基づいて」駆動されるのに対し、引用発明の「賞球払出しモータ110」は「回転量」の信号に基づいて駆動される点。

[相違点2]遊技停止に関連する動作を実行する条件に関して、本願補正発明は「大当たり遊技中でない場合で、且つ、前記払出適正判断手段からパチンコ球の払い出しが適正に行われていない旨の判断結果が出力された場合」であるのに対し、引用発明は「異常が発生」した場合<本願補正発明の「払出適正判断手段からパチンコ球の払い出しが適正に行われていない旨の判断結果が出力された場合」に相当>、」だけである点。

[相違点3]遊技停止に関連する動作を実行する手段に関して、本願補正発明は「遊技停止手段」を設けているのに対し、引用発明は「異常発生表示ランプ42aが点滅制御され」るものであって、その際に遊技が停止されるか明らかでない点。

(3)相違点の検討
[相違点1について]
パチンコ遊技機において、パチンコ球が入賞口へ入賞した時、その入賞口に応じた払出個数の信号に基づいてパチンコ球を払い出すことは、例えば、特開平5-237246号公報(特に、段落【0087】)及び特開平10-216336号公報(特に、段落【0030】)に記載されるように従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)であるから、引用発明において、主制御部200から払出個数の信号を出力し、副制御部においてその払出個数の信号に基づいてパチンコ球を払い出すようにして、相違点1に係る本願補正発明のような構成とすることは、パチンコ遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到し得る。

[相違点2及び3について]
相違点2及び3は、密接に関連しているので、合わせて検討する。
パチンコ遊技機において、遊技球の供給に異常が生じたときに、遊技球の発射を停止させる処理を行うものの、大当たり中の場合は、いわゆるパンクを回避するために当該発射の停止を行わないことは、例えば、特開平6-71038号公報(特に、段落【0035】)及び特開平6-7530号公報(特に、段落【0149】)に記載されるように従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)であり、遊技球の供給異常と払出異常は直接関係する事象であるから、引用発明における払出異常の対策として周知技術2を適用し、相違点2及び3に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得る。

(4)まとめ
以上のように相違点1?3は、いずれも当業者が容易に想到し得るものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術1、2に基いて当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成21年12月15日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成21年7月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 パチンコ球が入賞口へ入賞したこと、又はパチンコ球がゲートを通過したことを検出する入賞検出手段と、
該入賞検出手段による検出結果に基づいて、遊技者に賞品球として払い出すべきパチンコ球の個数を確定して払出個数信号として出力する払出個数信号出力手段を有する主制御部と、
前記払出個数信号出力手段から出力される払出個数信号に基づいて、遊技者にパチンコ球を払い出すためのパチンコ球払出手段を駆動して所定個数のパチンコ球を払い出させる払出指令手段を有する払出制御部と、
を備えるパチンコ遊技機において、
前記パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を検出する賞品球検出手段を設け、
前記主制御部に、
前記賞品球検出手段による検出結果に基づいて、前記パチンコ球払出手段から賞品球として払い出されたパチンコ球を計数する賞品球計数手段と、
該賞品球計数手段による計数結果と前記払出個数信号とに基づいて、パチンコ球の払い出しが適正に行われているか否かを判断し、判断結果を出力する払出適正判断手段と、
を設け、
前記払出適正判断手段からパチンコ球の払い出しが適正に行われていない旨の判断結果が出力された場合に、大入賞口の閉塞、パチンコ球発射装置の機能の停止、遊技情報を保存した後の遊技制御の一時停止、及び図柄表示装置の表示の消去のうち少なくとも1つを実行する遊技停止手段
を設けたことを特徴とするパチンコ遊技機。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用文献記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第二.3.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比
本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明から「遊技停止手段」について、その限定事項である「大当たり遊技中でない場合で、且つ、」との構成を省いたものといえる。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.3.(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第四.むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項(請求項2?4)について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-11 
結審通知日 2010-11-16 
審決日 2010-11-30 
出願番号 特願平11-78204
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 納口 慶太森田 真彦  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 澤田 真治
川島 陵司
発明の名称 パチンコ遊技機  
代理人 足立 勉  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ