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審決分類 |
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 G01N 審判 全部無効 発明同一 G01N 審判 全部無効 2項進歩性 G01N |
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管理番号 | 1231384 |
審判番号 | 無効2010-800029 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2010-02-23 |
確定日 | 2011-01-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3225468号発明「抗体測定用試薬」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 手続の経緯の概要 本件特許第3225468号についての手続の経緯の概要は以下のとおりである。 平成 4年8月28日 :出願 平成13年8月31日 :特許権の設定登録 平成22年2月22日 :審判請求 甲第1号証ないし甲第20号証提出 平成22年5月17日 :答弁書提出 乙第1号証ないし乙第5号証提出 平成22年6月25日 :審理事項通知書 平成22年8月20日 :被請求人口頭審理陳述要領書提出 平成22年8月20日 :請求人口頭審理陳述要領書提出 甲第21号証ないし甲第36号証提出 第2 請求人の主張の概要 請求人は,本件の請求項1ないし9に係る発明について特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,審判請求書と共に甲第1号証ないし甲第20号証を提出し,また,口頭審理陳述要領書と共に甲第21号ないし甲第36号証を提出し,本件請求項1ないし9に係る特許発明は,甲第1号証に記載された発明と同一であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない(無効理由1),本件請求項5及び6に係る発明は,甲第1号証に記載された発明と技術常識及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(無効理由2),本件請求項1ないし9に係る発明は,甲第2号証に記載された発明と同一であるから,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(無効理由3),本件請求項1ないし9に係る発明は,甲第3号証に記載された発明と同一であるから,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(無効理由4),本件請求項1ないし9に係る発明は,甲第1,4及び11号証に記載された先行技術並びに技術常識及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(無効理由5)から,本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきものであると主張している 証拠方法は以下のとおりである。 甲第1号証:国際公開第91/17442号 甲第1号証-2:特表平6-506768号公報 甲第2号証:国際公開第93/20445号 甲第2号証-2:特表平7-504492号公報 甲第3号証:国際公開第93/09253号 甲第3号証-2:特表平6-505164号公報 甲第4号証:Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.88,1991,p.4641-4645 甲第5号証:Science,Vol.244,1989, p.362-364 甲第6号証:Cancer Research,Vol.51,1991, p.2842-2847 甲第7号証:The Korean Journal of Internal Medicine,Vol.7,No.1,1992年1月, p.9-12 甲第8号証:Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.88,1991,p.3647-3651 甲第9号証:Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.89,1992年5月,p.4486-4489 甲第10号証:Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.89,1992年4月,p.3190-3194 甲第11号証:国際公開第91/15771号 甲第11号証-2:特表平5-508219号公報 甲第12号証:山本重雄編「バイオ検査薬開発マニュアル」,(株)シーエムシー出版,1992年4月28日第1刷,p.90-98 甲第13号証:Reviws of Infectious Diseases,Vol.4,No.1,1982,p.35-68 甲第14号証:米国特許第4515890号明細書 甲第15号証:欧州特許公開第451687号明細書 甲第16号証:鑑定書(写し) 甲第17号証:欧州特許公開第291479号明細書 甲第18号証:米国特許第5279935号明細書 甲第19号証:米国特許第4510240号明細書 甲第20号証:米国特許第4237219号明細書 甲第21号証:鑑定書 甲第22号証:鑑定書 甲第23号証:米国特許第4497899号明細書 甲第24号証:石黒正恒著「生物化学実験法8 SH基の化学修飾」,学会出版センター,1989年第4版,p.4,p.81-82 甲第25号証:志村憲助ら著「生物化学実験法11 ゲル濾過法 第2版」,学会出版センター,1990年,p.159-165 甲第26号証:特許庁企画「特許ワークブック」,(社)発明協会, 2004年初版第4刷,p.114,156 甲第27号証:鑑定書 甲第28号証:鑑定書(写し) 甲第29号証:ルミパルスオーソHCV抗原キット添付文書, 2008年12月改訂(第3版) 甲第30号証:特開昭60-126300号公報 甲第31号証:Immunology Letters,Vol.7, 1984,p.329-333 甲第32号証:国際公開第92/13892号 甲第32号証-2:特表平6-505389号公報 甲第33号証:米国特許第5075221号明細書 甲第34号証:米国特許第4769320号明細書 甲第35号証:米国特許第4702909号明細書 甲第36号証:British Medical Bulletin, Vol.46,No.2,1990,p.423-441 第3 被請求人の主張の概要 被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判の費用は請求人の負担とするとの審決を求め,答弁書と共に乙第1ないし5号証を提出し,本件請求項1ないし9に係る発明は,甲第1号証,甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明と同一でなく,甲第1,4,及び11号証に記載された先行技術と周知技術から容易に発明し得たものではなく,また,本件請求項5及び6に係る発明は,甲第1号証に記載された発明及び周知技術から容易ではないと主張している。 証拠方法は以下のとおりである。 乙第1号証:特表平5-503422号公報 乙第2号証:Bangalore GeNei社カタログ,「T7RNA Polymerase」,2008 乙第3号証:NEW ENGLAND BioLabs社のインターネットホームページ,「T7 RNA Polymerase FAQ」,2010年5月12日検索 乙第4号証:見解書(写し) 乙第5号証:見解書(写し) 第4 当審の判断 1 本件発明 本件の請求項1ないし9に係る発明(以下,それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明9」という。)は,以下のとおりのものと認める。 「【請求項1】検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するための感受性チオール基をもつHCV抗原含有試薬において,該試薬に還元剤を含有せしめるか又は固相化された該抗原含有試薬を還元剤で処理せしめることを特徴とするHCV抗体測定用試薬。 【請求項2】還元剤が反応溶媒中に存在する請求項1記載の試薬。 【請求項3】試薬が感受性チオール基をもつHCV抗原を担体に固相化した抗原であり,該抗原試薬が還元剤で処理されている請求項1記載の試薬。 【請求項4】感受性チオール基をもつ抗原がHCVゲノムの非構造領域のNS3領域である請求項3記載の試薬。 【請求項5】感受性チオール基をもつ抗原が遺伝子組換え技術による発現産物である請求項4記載の試薬。 【請求項6】感受性チオール基をもつ抗原が合成ペプチドである請求項4記載の試薬。 【請求項7】試薬が担体を含み,該担体がビーズ,チューブ,プレート,赤血球,又はラテックス粒子である請求項1記載の試薬。 【請求項8】還元剤がチオール基の酸化防止剤である請求項1?7のいずれか1項記載の試薬。 【請求項9】還元剤がジチオスレイトール,ジチオエリスリトール,チオグリコール酸,システイン,グルタチオン,2-メルカプトエタノール,2-メルカプトエチルアミン及びこれらの混合物から成る群より選ばれる少なくとも一つである請求項1?7のいずれか1項記載の試薬。」 2 本件発明1の「HCV抗体測定用試薬」の技術的範囲について 本件発明1は,検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するために用いるHCV抗体測定用の試薬であるから,HCV抗体測定のために検体と混合する前に,還元剤を含有せしめ又は還元剤で処理せしめられて試薬として完成したものであるといえ,当該試薬中に検体,つまり,HCV抗体を測定する対象である検体が含有された反応中の試薬が含まれるとは,測定用の試薬の使用や流通形態を考えれば,通常は考えられない。 しかしながら,広義の「試薬」には,反応中の試薬も含まれること,また,本件発明1が「還元剤を含有せしめる」及び「還元剤で処理せしめる」とされ,現在形で表現されているため,既に「含有された」又は「処理された」状態であることが,必ずしも明確とはいえないため,以下に,「HCV抗体測定用試薬」の技術的範囲について検討する。 本件明細書には,本件発明1の「HCV抗体測定用試薬」の特徴である「該試薬に還元剤を含有せしめる」又は「固相化された該抗原含有試薬を還元剤で処理せしめる」こと,つまり試薬の製造過程について, 段落【0005】に「試薬を製造するに際し,担体にHCV抗原を感作した後,得られた感作担体を還元剤を含有する緩衝液に分散させ,上記感作担体を含有する緩衝液を凍結乾燥することからなる。」, 段落【0006】に「試薬を製造するに際し,不溶性担体にHCV抗原を固相化した後,得られた抗原結合固相を前記の還元剤あるいはこれらの混合物を含有する緩衝液に浸漬した後,上記固相を乾燥することにより達成することが出来る」と記載されている。 また,試薬の製造方法及びその使用方法の具体例として, 段落【0009】の実施例1には,凍結乾燥HCV抗原感作赤血球をDTT含有トリス塩酸緩衝液に再懸濁し,感度を比較したこと,感度の比較は,HCV抗体陽性ヒト血清を段階希釈した感度管理用血清を分注したマイクロタイタープレートのウエルに感作血球を分注して行ったことが記載され,段落【0010】の実施例2には,凍結乾燥HCV抗原感作赤血球を2-ME含有トリス塩酸緩衝液に再懸濁し,実施例1に準じて感作血球の感度比較を行ったことが記載されており,これらの実施例では,固相化されたHCV抗原含有試薬である,凍結乾燥HCV抗原感作赤血球を,還元剤含有緩衝液に再懸濁して試薬とし,この試薬は検体と混合して使用するものである。 また,段落【0011】の実施例3には,HCV抗原感作赤血球をグルタチオン添加凍結乾燥用緩衝液中で凍結乾燥し,これを緩衝液中に懸濁し,実施例1に準じて感作血球の感度比較を行ったことが記載されており,固相化されたHCV抗原含有試薬である,HCV抗原感作赤血球を,還元剤を添加した緩衝液中で凍結乾燥して試薬としている。そして,使用時に緩衝液中に再懸濁して液体の試薬とし,この試薬は検体と混合して使用するものである。 また,段落【0012】の実施例4には,HCV抗原固定化ポリスチレンビーズを,反応用緩衝液として,2-ME含有トリス塩酸緩衝液を入れたウエルに入れ,1時間放置後,感度管理用血清を添加することが記載されており,固相化されたHCV抗原含有試薬である,HCV抗原固定化ポリスチレンビーズを,還元剤を添加した反応用緩衝液に入れることにより,還元剤で処理して試薬とし,この試薬は検体と混合して使用するものである。 また,段落【0013】の実施例5には,凍結乾燥HCV抗原感作赤血球をトリス塩酸緩衝液に懸濁し,2週間放置後のこの懸濁液に2-MEを添加し,実施例1と同様に感度を検討したことが記載されており,固相化されたHCV抗原含有試薬である,凍結乾燥HCV抗原感作赤血球を,緩衝液に再懸濁して放置した後,還元剤を添加して試薬とし,この試薬は検体と混合して使用するものである。 上記のとおり,本件明細書の記載から,本件発明1の「HCV抗体測定用試薬」は,その製造過程で還元剤が添加或いは還元剤で処理されて製造され,その試薬は使用時に検体と混合されて測定が行われるものである。 ところで,請求項2に「還元剤が反応溶媒中に存在する請求項1記載の試薬」と記載されているが,「溶媒」とは,一般に,固体が液体と混ざって溶液をつくる場合,その液体を溶媒といい,固体は溶質という(岩波 理化学辞典 第4版及び第5版の「溶媒」の欄参照)ことから,請求項2の「反応溶媒」は,上記実施例4に記載の2-MEを含有するトリス塩酸緩衝液である「反応用緩衝液」に相当するものであるといえ,請求項2発明では,「反応溶媒」に還元剤を存在させたものを,抗原試薬に含有せしめ又は,これで固相化抗原試薬を処理でしめるものといえ,請求項2の「反応溶媒」には,溶質である抗原や抗体が含まれないとするのが相当である。 以上のことから,請求項1の「HCV抗体測定用試薬」は,その製造時に還元剤が添加され又は還元剤で処理されるものであり,当該試薬には,検体である抗体を添加した状態のものは含まれないとするのが相当といえる。 一方,段落【0006】に「本発明に従えば,凝集反応時に感作担体を懸濁させる際の使用緩衝液中に上記還元剤を添加してもよい。」,段落【0007】に「本発明に従えば,抗原結合固相に検体中の特異抗体を反応させる際に使用する反応液中に上記の還元剤あるいはこれらの混合物を添加してもよい。」と記載されているが,「凝集反応時に感作担体を懸濁させる際の使用緩衝液」及び「抗原結合固相に検体中の特異抗体を反応させる際に使用する反応液」はいずれも,反応の『際に使用』するとされており,現に抗原や抗体が混合され反応が行われている溶液を意味するものではなく,反応に使用されることになる緩衝液を意味するとするのが適当であり,この解釈は,実施例等の明細書全体の記載と整合するものである。 さらに,段落【0002】の従来技術中に「このようにある種の抗原を用いた試薬の場合,試薬の保存中に抗原の活性が反応溶液中で急激に低下し,抗原抗体反応が十分に進行できず測定感度が十分に上がらない」と記載されているが,試薬の活性の低下は「試薬の保存中」に生じるとされており,試薬の使用中ではないことから,ここでいう「反応溶液」は,抗原と緩衝液からなるものであり,実施例中で対照実験に用いられた,還元剤を含まない試薬を意味するとするのが相当といえる。 さらに,段落【0003】に「本発明者等は,これらの知見に基づきHCV抗体測定系に還元剤,特にチオール保護剤を添加することにより,そのHCV抗体測定系の感度の低下の問題を防止でき,しかもその還元剤処理は該測定系に悪影響を与えないことを明らかにし,本発明を完成したものである。」と記載され,「HCV抗体測定系」に還元剤が添加されることが記載されているが,この記載は,本件発明1の「HCV抗体測定用試薬」を使用した測定系のことを言っているのであって,試薬そのものについての記載とはいえない。 そうすると,上記各記載をもっても,本件発明1の「HCV抗体測定用試薬」が,検体である抗体を添加した状態のものも含むとすることはできない。 したがって,HCV抗体測定のために検体と混合する前に,還元剤を含有せしめ又は還元剤で処理せしめられ試薬として完成したものであるするのが相当である。 3 証拠の記載事項 (1)甲第1号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項が記載されている。訳文は,対応日本語公報である特表平6-506768号公報(甲第1号証-2)による。 (1a)「ポリメラーゼプローブのBおよびCドメインは,クローニング,酵素的構築,化学的架橋技術,直接的化学合成またはそれらの組み合わせによって調製され得る。」(第14頁17?20行) (1b)「本発明の別の局面では,免疫学的な分析物の存在および濃度を検出および定量するためのイムノアッセイに,アンプリファイアプローブを使用する。」(第25頁5?7行) (1c)「分析物は,例えば生物学的流動体あるいは組織,食物,環境物質等のさまざまな種に存在し得,あるいはインビトロで合成し得る。」(第25頁18?21行) (1d)「固相を利用するイムノアッセイにおいては,分析物(抗原でも抗体でも有り得る)は固相に直接的に固定されるか,最初に固相に結合された第1抗原に分析物が結合することにより間接的に固定化されるか,あるいは第2抗原が分析物を認識し,次に分析物が固相に結合された第1抗原によって認識されるサンドイッチアッセイ(図2A)によって固定化される。」(第26頁3?10行) (1e)「抗原/抗体複合体の安定性を維持するように核酸ハイブリダイゼーンコンの条件を調節することが重要である。」(第29頁12?14行) (1f)「実施例1-ヒト血清におけるHCV抗原の存在についてのイムノイムアッセイ このアッセイは,C型肝炎ウィルスのC-100抗原の存在を直接に検査するために設計される。このイムノアッセイのための一般的なプロトコールは,前述されたとおりである。第1抗体としてヤギ抗マウス抗体を使用するマイクロタイタープレートを用意する。この抗体を96ウエルのマイクロタイタープレートのウェル中に固定化する。第2抗体は,HCV C-100のエピトープに特異的なマウスモノクローナル抗体である。HCVについてスクリーニングしようとする個体からの血清の同一の2つの希釈物をブロッキングバッファー中で調製し,適切な非感染コントロールと並列してマイクロタイターのウェル中でインキュベートする。第3抗体は,各HCV抗原を認識するポリクローナルウサギ抗体の組み合わせである。最後の抗体は,ハイブリッドT7ポリメラーゼアンプリファイアプローブである。ドメインAのポリペプチド部分は,ヤギ抗ウサギ抗体として機能し,「サンドイッチ」イムノアッセイを完成させる。 T7ポリメラーゼプローブを添加した後,ドメインCの転写は,この複合体を,40mM Tris HCl(pH8),20mM MgCl_(2),10mM NaC1,1mMスペルミジン,10mMジチオスレイトール,0.15mg/ml ウシ血清アルブミン,rATP,rCTP,rGTP,rUTPがそれぞれ1.25mM,1600単位/ml RNアシン,および2000単位/ml T7RNAポリメラーゼからなる溶液20μl中でインキユベートすることにより実施する。この混合物を37℃で1時間インキュベートする。8×SSCおよび0.2%SDSを含有する溶液20μlを添加して転写を停止させ,混合物全体を,C_(1)’配列を有する固定化キャプチャープローブを含む新しいウェルに移し変える。ドメインCの転写物の捕捉(図3)は,55°Cで1時間インキュベートし,その後0.1×SSC,0.1%SDSで2回洗浄することによって実行される。 次に,ドメインCの転写物を,40μlの4×SSC,100μg/lのポリA中の酵素標識プローブ(c2’)50fmo1を55℃で15分間添加することにより標識する。最後に,この複合体を0.1×SSC,0.1%SDSで洗浄し,続いて0.1×SSCで2回洗浄する。 AP検出のために,Lumigen Inc,から得られる,酵素が引き金となって起こるジオキセタン反応(Schapp(1987)ら,Tet.Lett.28:1159-1162および米国特許第4,857,652号)を行う。検出方法は,以下のように行う。標識工程では,APプローブを有する)HMバッファ-20μmを各ウェルに添加し,それらのウェルを55°Cで15分間インキュベートする。上清を除去して,各ウェルを380μlの0.1×SSCおよび0.1%SDSで2回洗浄する。次に,それらのウェルを380μlの0.1×SSCで2回洗浄して,残存する全てのSDSを取り除く。CTABバッファー中の3.3×10^(-4)Mジオキセタン20μmを各ウェルに添加する。これらのウェルを軽くたたいて試薬が底に沈むようにし,この試薬が底金体に均一に分布するようゆっくりと回す。ウェルをマイクロタイタープレートのシールで覆い,37℃のオーブンで1時間インキコベートする。次にウェルをルミノメータ-で読み,既知量の抗原について作成された標準曲線と比較して定量する。」(第35頁20行?第37頁6行) (1g)「実施例2-ヒト血清におけるHCVに対する抗体の存在についてのイムノアツセイ マイクロタイタープレートをまず,C型肝炎ウィルスからのHCV C-100抗原でコートする。コーティングバッファー(50mMホウ酸ナトリウム,pH9.0),21ml/プレート,BSA(25μg/ml),HCV C-100(2.50μg/ml)を含む溶液を添加の直前に調製する。この溶液を0.2ml/ウェルでプレートに添加し,5分間混合した後,それらを覆って37℃で2時間インキュベートし,その後この溶液を吸引によって取り除く。これらのウェルを0.4mlの洗浄バッファー(100mM リン酸ナトリウム,pH7.4,140mM NaCl,0.1%カゼイン,1%(w/v)Triton X-100,0,01%(w/v)ヒビテン)で1回洗浄する。洗浄溶液を除去した後,200μl/ウエルのコート後溶液(10mMリン酸ナトリウム,pH7.2,150mM NaC1,0.1%(v/v)カゼイン,3%ショ糖,および2mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF))を添加し,プレートをゆったりと覆って気化するのを防ぎ,そして室温に30分間放置する。次にこれらのウェルを吸引して溶液を取り除き,棚の加温なしに,1晩凍結乾燥する。 イムノアッセイを遂行するために,血清サンプルまたはコントロールの同一の2つの希釈液20μlをサンプル希釈物(100mM リン酸ナトリウム,pH7.4,500mM NaC1,1mM EDTA,0.1%(w/v)カゼイン,0.01%(w/v)Hibitane,1%TritonX-100,100μg/ml酵母抽出液)200μlを含むウェルに添加する。これらのプレートをシールし,37℃で2時間インキュベートし,その後この溶液を吸引により除去して,そしてこれらのウェルを400μlの洗浄バッファー(0.05%Tween20を含むPBS)で3回洗浄する。 血清サンプルの添加に引き続いて,これらのウェルを,ウサギ抗ヒト血清を第3抗体(ウサギ抗分析物抗体)で置き換えたこと以外,上記実施例1と同様にして処理する。」(第37頁7行?第38頁6行) (2)甲第2号証 本件出願日前の国際特許出願であって,本件出願後に国際公開されたものであり,国際出願日における明細書及び図面には,以下の事項が記載されている。なお,記載箇所の表示は,国際公開パンフレットの頁と行による。また,訳文は,対応日本語公報である特表平7-504492号公報(甲第2号証-2)による。 (2a)「我々はまた,検査試料中の抗HCV IgM抗体の存在を高感度且つ特異的に検出することができ,従ってHCV感染の有用敏感なマーカーを提供する新規のイムノアッセイを発見した。 発明の概要 本発明は,検査試料中に存在し得るC型肝炎ウィルス(HCV)に対するIgMの存在及び/又は量を決定するためのアッセイを提供する。抗HCV CORE IgM抗体は,感染の敏感なマーカーとして有用であることが示される。該アッセイは,検査試料中に存在し得るリューマチ性因子様物質(rheumatoid factor-1ike 5ubstances)の作用(影響)が存在した場合に,その作用を阻止するのに十分な条件に検査試料をかけ,HCV CORE,HCV 33c及びHCV c-100から選択した1種類以上のHCV抗原に検査試料を接触させ,得られた混合物を抗原/抗体複合体の形成に十分な時間及び条件下でインキュベートする操作を含む。」(第3頁下から8行?第4頁7行) (2b)「本明細書に記載のアッセイは,HCV抗原を結合するための固相を含み得る。固相としては,ポリマーもしくはガラスのビーズ,ニトロセルロース,微小粒子(micro particle),反応トレーのウェル,試験管及び磁気ビーズを選択し得る。」(第6頁11行?14行) (2c)「本明細書に記載の本発明の方法で検査できる検査試料としては,ヒト及び動物の体液,例えば全血,血清,血漿,脳を髄液,尿,生物学的液体,例えば細胞培養上清,組織試料及び細胞試料挙げられる。」(第8頁下から13?9行) (2d)「該アッセイ形態では,本発明の実施に固相を使用し得る。この場合の「固相(solid phase)」とは,不溶性であるか又は後続の反応によって不溶性にし得る任意の材料を意味する。固相としては,捕捉試薬を引き付けて固定する能力を本来的に備えているものを選択し得る。あるいは,捕捉試薬を引き付けて固定する能力を有する別のレセプターを保持できるものを使用し得る。別のレセプターとしては,捕捉試薬に対して,又は捕捉試薬に結合した帯電物質に対して,逆の電荷を有する帯電物質が挙げられる。更に別の変形例として,レセプター分子は,固相上に固定され,特異的結合反応を介して捕捉試薬を固定する能力を有する任意の特異的結合メンバーであってもよい。レセプター分子は,アッセイの実施前又はアッセイの実施中に捕捉試薬を固相材料に間接的に結合することができる。本発明のアッセイの実施にアッセイデバイスを使用する場合,該アッセイデバイスは多(の形態を有し得,そのうちの幾つかは固相として選択した材料に依存する。例えば,固相としては任意の適当な多孔質材料を使用し得る。「多孔質(porous)」とは,検査試料を容易に透過させることができる材料を意味し,これには吸水性(bibulous)及び非吸水性の両方の固相材料が含まれる。本発明で使用し得る固相としては,1種類以上のアッセイ試薬を含む1つ以上の層を有する注入及び流出型(pourand flow-through)アッセイデバイスで使用されるファイバーグラス,セルロースもしくはナイロンパッド,浸漬読取り型(dip and read)アッセイで使用されるディップスティック,ウィッキング(wicking)用の試験片(例えば紙),あるいは薄層クロマトグラフィーもしくは毛細管作用技術用の試験片(例えばニトロセルロース),又は当業者に良く知られている別の多孔質もしくは開孔材料(例えばポリエチレンシート材料)が挙げられる。しかしながら固相は多孔質材料には限定されない。固相としては,ポリマーもしくはガラスのビーズ,微粒子,管,シート,プレート,スライド,ウェル,テープ,試験管等,又は本来電荷を有するか,あるいは帯電物質を保持することができる他の任意の材料も使用し得る。」(第10頁17行?第11頁14行) (2e)「固体支持体は当業者に公知であり,具体例としては,反応トレーのウェルの壁,試験管,ポリスチレンビーズ,磁気ビーズ,ニトロセルロースストリップ,メンプラン,ラテックス粒子のような微粒子,ガラス,プラスチック,誘導体化プラスチック,金属及びケイ素のチップ等が挙げられる。」(第12頁14?17行) (2f)「本明細書に記載のアッセイでHCV抗原を捕捉試薬として使用する場合は,1種類以上のHCV抗原を固相に結合した状態で,又は溶液形態で使用する。該抗原としては,HCV CORE,HCV 33c及びHCV c-100を使用し得る。我々は,HCV COREが本発明のアッセイの実施で使用するのに最も好ましい抗原であると確認したが,HCV 33c及びHCV c-100も単独で又は任意に組み合わせて使用し得る。例えば,HCV CORE抗原をHCV 33c及び/又はc-100又は別のHCV抗原と組み合わせ,本明細書に記載の方法で捕捉抗原として使用し得る。」(第14頁下から9?1行) (2g)「実施例1 半自動化ドツトプロットイムノアッセイ 半自動ドツトプロットイムノアッセイで,ABBOTTMATRIX(登録商標)アナライザー(AbbottLaboratories,Abbott Park.ILから市販)を用いて,ニトロセルロースからなるテストカード上にコーティングした精製組換えHCV抗原を検出した。・・・要約すれば,テストカードを後述のように用意し,用意したテストカードを本明細書に記載のアッセイに使用した。各テストカードは陰性対照を含んでいた。陰性対照は,自己ブランキング(self-blanking)及びバリディティチェックを考慮したものである。 酵母中に発現されたHCVクローンc100-3(KuoらによりScience 244:362-364[1989]に記載されている)キメラポリペプチドと,大腸菌(E.coli)中に発現された組換えHCVポリペプチド,例えばpHCV-23(最初の107個のN末端アミノ酸を欠失しているc100フラグメント) ,pHCV-29(CKS-33c),pHCV-34(CKS-CORE)及pHCV-35(λpL CORE)及びpHCV-45(NS4/NS5結合体)に由来するものとからなるHCVテストカードを開発した。第1図は,本明細書に記載のHCVのrDNA発現領域の地図である。」(第15頁下から8行?第16頁15行) (2h)「実施例2 IgMを測定するためのHCVアッセイ手順 10μlの検査試料を,1mlの試料希釈物(1.5%v/vBrij-35(登録商標)と0.1%w/vEDTAと0.1%NaN_(2),とを含む20mM TBS中の,1%w/vウシ血清アルブミン[BSA]と,0.5%w/v脱脂粉乳と,0.03%酵母抽出物と,CKSタンパク質を含む5%w/v大腸菌溶解物とからなる)と混合した。希釈物がリューマチ性因子様妨害を抑制するための哺乳動物抗ヒトIgGを含んでいる場合は,試料/希釈物混合物を室温で約15分間インキュベートした。該インキュベーションの後に,試料/希釈物混合物を12,000rpmで5分間遠心分離にかけ,沈殿したIgG凝集体を除去した。上清を該アッセイで希釈検査試料として使用した。該希釈検査試料1mlを前述のように用意した検査セルに移した。該検査セルを検査試料と共に35℃で約60分間インキュベートした。 次いで,検査セルをABBOTT MATRIX(登録商標)アナライザーで約15分間TBSで洗浄した。洗浄は,検査セルを少なくとも3回洗浄し濯ぐ一連の洗浄ステップを含んでいた。次いで,1mlの抗ヒトIgM:ビオチンプローブを200ng/mlでプローブ希釈液(ABBOTT MATRIX(登録商標)プローブ希釈液,Abbott Laboratories,Abbott Park,ILから市販)で希釈した。最も好ましい抗ヒトIgMはヤギ抗ヒトIgM(ヤギ抗ヒトIgM,F(ab′)_(2):ビオチン結合体,Sigma Chemical Co.,St.Lou is,MOから市販)であったが,全ヤギ抗ヒトIgM:ビオチン結合体プローブも使用し得ると確認された。該混合物を35℃で30分間インキュベートした。該インキュベーション後,更に15分間の洗浄を前述のように行った。次いで,1mlの抗ビオチン:アルカリホスファターゼ結合体を反応セルに加え,35℃で30分間インキュベートした。使用した抗ビオチン抗体はウサギポリクローナル抗体である。酵素は仔牛腸由来のアルカリホスファターゼ(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)又は大腸菌組換えアルカリホスファターゼ(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)であった。前記インキュベーション後,更に15分間の洗浄を前述のように行った。次いで,1mlの5-ブロモ-4-クロロ-3-インドールホスフェート(BC IP)を反応セルに加え,該混合物を35℃で30分間インキュベートした。該インキュベーションの後に,15分間の最終洗浄を前述のように実施した。 最終洗浄した後,ABBOTT MATRIX(登録商標)アナライザーで反応セルを乾燥しく35℃で25分間),反応セルのアレイ内の所定位置での反射率を測定して,個々の反応の程度を客観的に測定した。結果はDR(反射密度,reflectance density)又はΔDR(陰性対照スポットのDR値を検査スポットDRから差し引いた自己ブランク化(self-blanked)結果)として現れた。後述のように,選択集団(selected populations)に基づいて各抗原の反応性カットオフ値を計算した。」(第17頁下から15行?第18頁下から5行) (2i)「2.高ALT試料 HCV IgM反応性試料を同定するために,高ALT値を有する91個の試料血漿ユニットからなる集団を供給し,本発明のHCV IgMアッセイで検査した。これらの試料は,複数のHCVアッセイ,即ちプロトタイプアッセイABBOTT MATRIX(登録商標)HCVアッセイ,プロトタイプアッセイABBOTT IM_(x)(登録商標)HCVアッセイ,市販のライセンスアッセイでありHCV c100を捕捉抗原として使用するABBOTT“1.0”アッセイ,及び更に2つの組換えHCVタンパク質(33c及びCORE)を使用するプロトタイプアッセイABBOTT ”2.0EIA”(これらのテストはいずれもAbbott Laboratoires,Abbott Park,ILから入手可能)により,抗HCV(IgG)活性について予めスクリーニングした。アッセイした91個の試料のうち,3つの試料(試料No.1010,1034及び1089)は,前述の種々のHCVアッセイ(ABBOTT MATRIX(登録商標)HCVアッセイ,ABBOTT“1.0”アツセイ及びプロトタイプABBOTT”2.0EIA”)でHCV IgG反応性を示した。」(第20頁18行?32行) (2j)「実施例6 IgMアッセイに対する還元剤の効果 Abbott抗HCVアッセイ(前述のHCV IgGアッセイ,ABBOTT MATRIX(登録商標))及び本発明のIgMアッセイで抗HCVに対して強く反応した5つの試料を,還元剤での処理後に,ABBOTT MATRIX(登録商標)アッセイで,HCV抗原に対するIgG及びIgM特異的反応性について検査した。IgMアッセイは実施例1及び2に記載の方法に従って,但し下記のように実施した。特定的には,試料希釈物の添加の前に,試料をジチオトレイトール(DTT)と共に酢酸ナトリウム緩衝液中で,最終DTT濃度18mMで,15分間インキュベートした。該IgMアッセイでは,5つの試料の総てが抗HCV COREについて還元敏感反応性(reduction sensitive reactivity)を示した。IgG抗HCVアッセイでは,HCV CORE,HCV 33c及びHCV c-100に対する反応性は試料への還元剤の添加によって左右されなかった。また,患者1010に由来する分別IgM反応性又は極めて低い阻害はDTTでの前処理によって破壊された。しかしながら該検査試料のIgGフラクションは,DTTの存在下又は不在下で処理した時には,ABBOTT MATRIX(登録商標)アッセイで同様の反応性又は極めて低い阻害を示した。これらのデータは表10及び11に示す。」(第33頁15行?最終行) (2k)図1には,HCV AA#が,「CORE 1-150」,「33C 1192-1457」,「C100 1677-1931」,「C100-3 1569-1931」と記載され,また,C100-3がSODとC100から構成されることが図示されている。(図面1/4 FIG.1) (3)甲第3号証 本件出願日前の国際特許出願であって,本件出願後に国際公開されたものであり,国際出願日における明細書及び図面には,以下の事項が記載されている。なお,記載箇所の表示は,国際公開パンフレットの頁と行による。また,訳文は,対応日本語公報である特表平6-505164号公報(甲第3号証-2)による。 (3a)「c33cの誘導体を利用する改良されたイムノアッセイを開発するため,c33c配列のタンパクの種々の構造がつくられ,テストされた。驚くべきことに,c33c全領域中に発見された免疫優性エピトープはすべて102個カルボキシ末端アミノ酸中に含まれていることが発見された。 本発明においては,NS3遺伝子産物のc33c領域のこの102個カルボキシ末端部分中に含まれる抗原決定子を有する組換えタンパクが提供される。代替具体例においては,組換え融合タンパクを実質的に同じ配列を含む合成ペプチドで置換する。 前記アミノ酸配列,または実質的に同じ抗原性を示すM換えタンパクまたは合成ペプチドは,患者血清標本中に含まれるHCVに対する抗体と,固相支持体上に被覆された,NS3遺伝子産物のc33Cフラグメントの末端カルボキシ102アミノ酸中に含まれる組換えタンパクまたは合成ペプチドさ,またはHCV NS3遺伝子産物のc33cフラグメントのカルボキシ末端102アミノ酸の抗原決定子を実質的に持っている組換えタンパクまたは合成ペプチドと接触させるステップと,c33cフラグメントに対し,さらに詳しくはそのカルボキシ末端102アミノ酸フラグメントもしくはその抗原的均等物に対し特異性の患者血清標本中に含まれる抗体と結合することを許容するのに充分な時間インキュベートするステップと,結合した抗体を未結合抗体から分離するステップと,そして結合した抗体を検出するステップよりなる,イムノアツセイに利用される。」(第2頁12行?第3頁10行) (3b)「実施例5 c33c制限フラグメントの免疫スクリーニング λgtllに発現されたc33cの制限フラグメントは,実施例2に記載した操作を使用する免疫スクリーニングにより,血清学的活性について分析された。正しいDNA配列のインサートを含んでいた図1のクローンは,3種のHCV反応性標本のプールを使用して免疫スクリーニングされた。これらの結果は表3に呈示されている。これらクローンは10種の抗HCVc33c反応性血清および7種のc33c/非反応性血清よりなる個々の血清でさらに免疫スクリーニングされた。このパネルの血清学的プロフィルは図4に示されている。この結果は,Ban II/EcoRIフラグメントは全長c33c抗原と反応するパネルのすべてのメンバーによって認識される1以上のエピトープを含んでいることを指示する。c33C全長に対するパネル メンバーの免疫反応性は,c33cRIBAテスト(Ortho Diagnostics,Raritan.NJ)により決定した同様な相対的免疫反応性を表わす。BanII/EcoRIフラグメントの完全な配列は図2に提示しである。」(第15頁14行?最終行) (3c)「実施例7 BANII/EcoRIc33cフラグメントのタンパク発現用pGEXベクターへのクローニングおよびタンパク精製 BAN II/EcoRI c33c DNAをEcoRI消化によって対応するpUC19クローンから除去し,2%TABアガロースゲル上にサイズ分画し,ジーンクリーンによって精製した。このフラグメントを発現ベクターpGEX-3Xa,Smith &Johnson,Gene,67:31(1988)のEcoRI部位にクローンした。このベクターはSchistosomajaponicumからの26KDグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)のC末端融合物として,フレーム内インサートを発現するであろう。この組換えプラスミドは,製造者のプロトコールに従って,E.coli DH5a(Bethesda Research Labs,Gaithersburg,MD)中へ形質転換された。GST-c33c BanII/RcoRI融合遺伝子が発現され,そしてタンパクはSmith and Johnson,Gene,67:31 (1988)によって記載された方法の以下の修正によって精製された。アンピシリン50μg/mlを含有するLBプロス中で生育させた一夜培養物を新鮮な培地中に1:10希釈し,OD600 0.4へ37℃で生育させた。この時点でイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.1mMの濃度へ加えた。培養物を37℃でさらに2時間生育させ,細胞を遠心によりペレット化し,MTPBS(NaCl 150mM,Na_(2)HPO_(4) 16mM,NaH_(2)PO_(4) 4mM,Ph7.3)の1/50または1/100培養物体積中に再懸濁した。細胞を氷上で超音波処理によって溶解し,TritonX-100を1%へ加えた。溶解物を10,000×gで4℃において5分間遠心した。遠心の上清をあらかじめ洗浄し,そしてMTPBS中に希釈した50%グルタチオンアガロースビーズ(イオウ結合,Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO9の1/10容積と室温でローター上で混合した。2?3分吸着の後,アガロースビーズを500×gにおける2分間遠心によって集め,ペレットをMTPBSで3回洗った。融合タンパクを50mM Tris-HCl pH8.0中の還元型グルタチオン(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)5mMとの競合により,ビーズ体積に対して2×2分洗液を使用して溶出した。」(第19頁8?第21頁14行) (3d)「実施例9 常磁性微粒子酵素イムノアッセイを使用するGST-BanII/EcoRIの免疫反応性 GST-BanII/EcoRI融合タンパクを全長c33cタンパクの免疫反応性を常磁性微粒子酵素イムノアッセイ(MPアッセイ)によって比較した。このアッセイは,表面にHCV抗原を被覆した常磁性固相を使用することによって抗HCVを検出した。常磁性微粒子(MP)はBaxter Dtagnostics Inc.,Pandex,Mandelein,ILから得た。これらは螢光性ポリスチレン常磁性コアとポリスチレン表面からなっていた。すべての粒子製剤は狭い粒度分布(平均直径は4.5μm)によって特徴化されていた。GST-BanII/EcoRIおよびC33cウイルス遺伝子産物を実施例7のように精製した。全長C33CタンパクはpET5aシステム中の16アミノ酸リーダー,Studier and Moffatt,J.Mol.Biol.189:113(1982)によって発現された。0.1MアセテートバッファーpH5.0中400μgタンパク/mlのウィルス抗原をMP(2.5%w/v)上へ,抗原とMPを室温で一夜ゆっくり混合することによって受動的に被覆した。MPは次にPBS (20mMリン酸ナトリウム,150mM NaCl,pH7.4)で遠心(5000rpm,5分)を使用して良く洗った。抗原被覆MPをPBS中0.025%(w/v)の作業濃度へ希釈した。 標本を1:100へ希釈しく希釈バッファー:15%ウシ新生児血清,500mM NaCl,100mM Tris-HCl,0.3% Nonidet P-40,pH7.4),そして50μlを黒色プラスチックマイクロタイタープレートの各ウェルへ入れた。MP(0.025%w/v)20μlを各ウェルへ加え,42℃で30分間インキュベートした。各ウェル中の粒子を洗浄ステップの間各ウェルの底へとどめておくため磁場を使用し,0.05%Tween-20を含むTBSで5回洗った。コンジュゲート希釈液(8%ウシ新生児血清,50mM Tris-HCl,200mM NaC1,1mM MgSO_(4),pH7.4)中へ1:800希釈したヤギ抗ヒトIg(H+L)β-ガラクトシダーゼコンジュゲート(American Qualex,La Mirada,CA)50μlを各ウェルへ加え,42℃で15分間インキュベートした。プレートを前記のように洗った。基質(4-メチルウンベリフェリルβ-ガラクトシド,MUG:0.5mM MUG,20mM Tricine,0.05% Tween-20,pH8.5)50μlを各ウェルへ加え,生成物螢光を時間間隔(2分および14分)で測定した(365nm励起および450nm放出)。標準曲線としてクマリンの希釈液を使用して,螢光値をnMクマリン値へ変換した。基質転換の動力学値(12分間に生成したnMで表したクマリンの量)をQuattro Pro(Borland International,Scott Valley,CA)スプレッドシートソフトウェアプログラムを使用して測定した。動力学値の動力学的範囲は0ないし5.000μMクマリンであった。ランダムボランティア-血液ドナーサンプルおよび血清変換の間モニターされた患者からの系統的血清サンプルのパネルをテストすることにより,カットオフ計算のための予備アルゴリズムが確立された。このアルゴリズム(陽性キャリブレータ-のμMクマリン×0.175)は約200?300μMクマリンのカットオフを与えた。 表7中の結果は,MPアッセイを使用し,全長c33c抗原に免疫反応性のすべての血清はBanII/EcoRI産物にも反応性であることを示す,一部の血清との全長c33cのより強い反応性は,MPアッセイがBanII/EcoRIウィルス産物のために最適化されなかった事実を表す。 BanII/EcoRI産物をMPアッセイへ最適化するアプローチは,因子X開裂,Smith and Johnson,Gene,67:31(198)によりGST融合をBanII/EcoRIから除去し,BanII/EcoRIをpET5a,Studier and Moffatt,J Mol Biol,189:113(1986)へクローニングするか,またはウィルス産物を他の態様で固相へ被覆することを含む。」(第22頁15行?第24頁最終行) (3e)図2には,BanII/EcoRIフラグメントの完全な配列が提示され,アミノ酸数が102であることが示されている。 (4)甲第4号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (4a)「要約 酵素免疫ソルベントアッセイ(ELISA)を,C型肝炎(HCV)感染の血清診断用に,組換えバキュロウイルスにより合成されたHCVコアタンパク質(p22)を用いて開発した。」(第4641頁左欄1行?4行) (4b)「動物細胞内で発現され,正しくプロセッシングされたHCVコアタンパク質に対する抗体を検出するELISAは,提供血液の大規模なスクリーニングおよびC型肝炎の早期の診断に有用であろう。」(第4641頁左欄16行?20行) (4c)「HCV感染の早期の診断に用いることができる,感度がより高いHCV抗体アッセイを確立する。」(第4641頁右欄3行?5行) (4d)「このタンパク質を用いることにより,抗体検出系を確立して,HCV感染を診断するための特異的で高感度な方法を開発した(12)」(第4641頁右欄9行?12行) (4e)「ELISAの確立。 Ac316に感染させたS.frugiper細胞(10^(7)細胞)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し,2mlの50mMトリスHCl,pH8.0/2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)/0.1mMジチオスレイトール(1mlあたり100μlのフェニルメチルスルフォニルクロリドを含む)で超音波処理して溶解させた。10,000×gでの遠心分離の後,その上清に対して硫酸アンモニウムを加えることにより上清を分画して,33%の飽和溶液を作製した。沈殿を遠心分離により回収し,超音波処理により2mlのPBSに溶解して,部分精製HCVコアタンパク質を調製した。次いで,ELISAプレート(Costar3590)のウエルを,PBSにより1:50に希釈した上記の溶液100μlで被覆した。25%Block Ace(大日本製薬,大阪)を含むPBSによりブロッキングした後に,血清100μを各々のウエルに加え,プレートを室温にて2時間インキュベートした。アルカリフォスファターゼとヤギ抗ヒト免疫グロブリンのF(ab’)_(2)断片との結合物(Tago4603)との2回目のインキュベーションを室温で1時間行うことにより,結合した抗体を検出した。酵素活性は,p-ニトロフェニルリン酸を基質として用いて測定した。各ウエルの吸光度は,410nmで測定した。患者の血清の最適希釈は通常1:400?1:800であり,これは特異tきシグナル対非特異的シグナルの最高の比率をもたらした。抗C100-3をHCV抗体ELISA試験(Ortho Diagnostics,東京)により測定した。」(第4641頁右欄下から4行?第4642頁左欄21行) (5)甲第5号証の記載事項 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (5a)「特異的なアッセイを,血液感染性の非-A,非-B肝炎(NANBH)ウイルスについて開発した。当該アッセイにおいては,C型肝炎ウイルス(HCV)の組換え酵母クローン中で合成したポリペプチドを,循環ウイルス抗体を捕捉するために使用した。」(第362頁要約欄1?3行) (6)甲第6号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (6a)「Ortho-HCV ELISA(Ortho Diagnostic Systems,Raritan,NJ)を,抗-HCVを検出するために使用した。この間接的なアッセイは,Choo et al.(13)によって詳細が記載された組換えあHCV抗原ポリペプチド(C100-3)を使用する。・・・さらにその上,ELISA陽性血清を,Ortho Diagnostic Systemsによって卸されたChiron HCV RIBA(Chiron Corp.,Emeryville,CA)によって再試験した。このアッセイは,ニトロセルロースストリップにアプライした,3つの組換え抗原,すなわち,SOD-HCV融合ポリペプチド5-1-1(大腸菌において合成),C100-3(酵母において合成)及びSODのみ(酵母において合成)を含む。」(第2843頁右欄24?44行) (7)甲第7号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (7a)「このアッセイは,酵母において合成した組換えHCV抗原(C100-3)を使用する。」(第9頁要約欄6?7行) (7b)「抗-HCVは,ABBOTT HCV EIA Test System(ABBOT CO.,America)を使用して,製造者の取扱説明書に従って検出した。このアッセイは,酵母において合成した組換えHCV抗原(C100-3)を使用する。」(第10頁右欄11?15行) (8)甲第8号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (8a)「本報告においては,セロコンバージョンパネルによって,キャプシド及び非構造タンパク質の両方の免疫優勢領域に由来する合成ペプチドに基づくアッセイが,4?10週まで,C型肝炎ウイルス抗体の検出を促進することが示された。」(第3647頁要約欄6?10行) (8b)「注意深く選択された特徴的抗原性ペプチドにより,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びヒトリンパ球向性ウイルスI/II診断における有用性が以前から示されているので(14-19),我々は,組換えHCV(rHCV)C100-3タンパク質に基づくイムノアッセイの欠点を克服するために,構造タンパク質(13)及び非構造タンパク質(20)に両方をコードする既知のHCVゲノム配列に由来する合成ペプチドを使用した。」(第3647頁左欄下から4行?右欄5行) (9)甲第9号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (9a)「酵素免疫吸着測定法(ELISA)を,C型肝炎ウイルス(HCV)の構造領域に由来する配列を有する合成ペプチド(SP)を使用することによって開発した。・・・要約すると,我々は,構造HCV合成ポリペプチドであるHCV-SPに基づいて,高い特異性及び感度を有し,HCV感染の急性期における特異的な抗体を検出することができるELISAを開発した。」(第4486頁要約欄1?23行) (10)甲第10号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (10a)「一連の重複するデカペプチドを,HCV-H(アミノ酸1?513),HC-J4(アミノ酸181?513)及び配列の変異を示す他の3つの単離物に由来する領域からの配列に従って,固相(ピン)手法によって合成した。」(第3190頁要約欄10?14行) (11)甲第11号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項が記載されている。訳文は,対応日本語公報である特表平5-508219号公報(甲第11号証-2)による。 (11a)「これらの5つのポリペプチドのうち,5-1-1は,推定されるNS4ドメインに存在し,C100は,推定されるNS3およびNS4ドメインに広がっており,C33cは,推定されるNS3ドメインに存在し,CA279aおよびCA290aは,推定されるCドメインに存在する。」(第2頁29行?33行) (11b)「これらのさらなる研究により,いずれのシングルHCVポリペプチドよりもより効果的な,HCV抗体の検出を提供するHCV抗原の組合せの同定が可能になった。 従って,本発明の1つの局面は,HCV抗原の組合せであって, (a)Cドメインからの第1HCV抗原,および (b)以下からなる群から選択される少なくとも1つの別のHCV抗原, (i)NS3ドメインからのHCV抗原, (ii)NS4ドメインからのHCV抗原, (iii)SドメインからのHCV抗原,および (iv)NS5ドメインからのHCV抗原 を含む,HCV抗原の組合せ。 1つの実施態様では,HCV抗原の組合せは,複数の抗原を含む融合タンパク質の形態である。他の実施態様では,抗原の組合せは,共通の固体マトリックスに結合した複数の個体抗原の形態である。さらに他の実施態様では,抗原の組合せは,個体抗原の混合物の形態である。 本発明の他の局面は,HCVに対する抗体を含むと思われる哺乳類体成分中に,該抗体を検出する方法である。この方法では,抗原抗体反応を起こさせる条件下で,該哺乳類体成分を上記のHCV抗原の組合せに接触させる工程;および該抗体および該抗原の免疫複合体の存在を検出する工程とを包含する。」(第3頁15行?第4頁7行) (11c)「「ドメイン」は,図2に示すHCVポリタンパク質のセグメントを指し,これらは,通常,HCVの推定される構造および非構造タンパク質に対応する。ドメインの記号は,一般に,フラビウイルスタンパク質を名付けるのに使用される従来の方法に従う。図2に示すドメインの位置は,およそのものである。記号「NS」は,「非構造」ドメインを指し,「S」は,エンベロープドメインを指し,「C」は,ヌクレオカプシドまたはコアドメインを指す。」(第5頁18?26行,対応公報第3頁左下欄10行?17行) (11d)「抗原の組合せを使用するアッセイフォーマット HCV抗原は,抗体を検出するための既知の抗原を用いる,実質的にすべてのアッセイフォーマットにおいて使用され得る。これらのアッセイのすべてに共通の特性は,抗原と,HCV抗体を含むと思われる体成分とを,成分中に存在する任意のこのような抗体と抗原とが結合する条件下で,接触させることである。このような条件とは,通常,過剰の抗原を用いた生理的温度,pHおよびイオン強度である。抗原と試料とをインキュベートさせ,次に抗原を含む免疫複合体が検出される。 免疫アッセイの設計は,非常に多様であり,多くのフォーマットが当該技術分野において公知である。プロトコルは,例えば,固体支持体または免疫沈降を用い得る。はとんどのアッセイでは,標識された抗体またはポリペプチドを使用し,その標識は,例えば,酵素分子,蛍光分子,化学発光分子,放射性分子,または染料分子であり得る。免疫複合体からのシグナルを増幅させるアッセイもまた知られている。その例としては,ビオチンおよびアビジンを用いるアッセイ,ならびにELISAアッセイのような,酵素で標識され媒介された免疫アッセイが挙げられる。 免疫アッセイは,限定されるわけではないが,異種または同種フォーマットであり,標準型または競合型であり得る。異種フォーマットの場合,通常,インキュベーション後,試料をポリペプチドから容易に分離するために,ポリペプチドは固体マトリックスまたは支持体に結合される。使用され得る固体支持体の例としては,ニトロセルロース(例えば,膜またはミクロタイターウェルの形態ン,ポリ塩化ビニル(例えば,シートまたはミクロタイターウェルの形態),ポリスチレンラテックス(例えば,ビーズまたはミクロタイタープレートの形態),ポリフッ化ビニリデン(イムロン(Immulon^(TM))として知られる),ジアゾ化紙,ナイロン膜,活性化ビーズ,およびプロテインAビーズがある。」(第10頁1?最終行) (11e)「実施例1:HCV抗原C33cの合成 HCV抗原C33cはNS3ドメイン由来の配列を含有する。特に図1のアミノ酸1192位から1457位を含有する。この抗原はヒトのスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)との融合タンパク質としてバクテリア内で以下のように生産された。ベクターpSODcfl(Steinerら(1986),J,Virol,58:9)は,EcoRIおよびBamHIで完全消化され,得られたEcoRI,BamHI断片は,以下のリンカ-に連結されて,pcflEFが形成された。 ・・・ アミノ酸1192から1457をコードし,EcoRI末端を有するcDNAクローンがpcflEFに挿入され,pcflEF/C33cが形成される。この発現構築物をD1210 E.coli細胞に形質転換した。 この形質転換細胞を用いて,N末端にSODを有し,C末端C33c HCV抗原をインフレームで有する融合タンパク質を発現させる。発現は,15mlの形質転換細胞の一晩培養物をアンピシリン(100μs/ml)含有する1500mlのルリアブイヨンに接種することにより行われる。細胞をO.D.0.3なるまで増殖させ,IPTGを最終濃度2mMになるように添加して,細胞の濃度がO.D.1に達するまで増殖を続行した。その時点で3,000×gで4℃にて20分間遠心分離機にかけて採取した。パックした細胞は-80℃で数カ月保存可能である。 SOD-C33cのポリペプチドを精製するために,ポリペプチドが発現される細菌細胞を浸透圧衝撃および機械的破砕に供し,SOD-C33cを含む不溶性画分を単離して,NaClアルカリ溶液で分画抽出にかけ,そして抽出物中の融合ポリペプチドをS-セファロースおよびQ-セファロースのカラムでクロマトグラフィーにより精製した。 浸透圧衝撃および機械的破砕により得た粗抽出物を以下の手順により調製した。1グラムのパックした細胞を0.02M Tris HCl,pH7.5,10mM EDTA,20%のスクロースを含有する10m1の溶液中に懸濁して,水上で10分間インキュベートした。次に細胞を4,000×gで15分間4℃にて遠心分離機にかけてペレット状にした。上清を除去後,細胞ペレットを10m1の緩衝液A1(0.01M Tris HCI,pH7.5,1mM EDTA,14mMβメルカプトエタノール[BME])に再懸濁して,氷上で10分間インキューベートした。細胞を再び4,000×gで15分間4℃でペレット状にした。透明な上清(ペリプラズム画分I)を除去後,細胞ペレットを緩衝液A1に再懸濁して,氷上で10分間インキュベートして,再び4,000×gで15分間4℃で遠心分離機にかけた。透明の上清(ペリプラズム画分II)を除去後,細胞ペレットを5mlの緩衝液A2(0.02M Tris HCl,pH7.5,14mM BME,1nM EDTA,1mM PMSF)に再懸濁した。細胞を破砕させるため,懸濁液(5ml)および7.5mlのダイノミル型の無鉛酸洗浄ガラスビーズ(直径0.10-0.15mm)(Glen-Mills(株)から入手)をファルコンチューブに入れて,2分間最高速度でボルテックスにかけ,続いて少なくとも2分間氷上で冷した。ボルテックス-冷却工程をさらに4回繰り返した。ボルテックス後,スラリーを低い吸引力でガラス漏斗を用いて濾過した。ガラスビーズを2回,緩衝液A2で洗浄し,そして濾液と洗浄液を混ぜ合わせた。 粗抽出物の不溶性画分を20,000×gで15分間4℃で遠心分離機にかけて回収し,10m1の緩衝液A2で2回洗浄し,5mlのMILLI-Q水に再懸濁した。 最終濃度が各々20mMになるようにNaOH(2M)およびNaCl(2M)を懸濁液に添加し,混合物を1分間ボルテックスにかけ,20,000×gで20分間4℃で遠心分離機にかけ,そして上清を維持することにより,SOD-C33c含有画分を,不溶性物質から単離した。 S-セファロースでSOD-C33cを精製するために,上清画分を最終濃度が6M尿素,0.05M Tris HCl,pH7.5,14mM BME,1mM EDTAになるように調整した。この画分を,緩衝液B(0.05M Tris HCl,pH7.5,14mM BME,1mM EDTA)で平衡化したS-セファロース速流動(1.5×10cm)のカラムにかけた。カラムにかけた後,カラムをカラムの2倍容の緩衝液Bで洗浄した。通過および洗浄画分を回収した。アプライおよび洗浄の流速は1ml/分であり,回収された画分は1mlであった。 SOD-C33c含有画分を同定するため,画分の部分標本をSDSを含有する10%のポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析して,クーマシーブルーで染色した。画分をさらにSODに対する抗体を用いてウェスタン法によっても分析した。SOD-C33c含有画分をプールした。 SOD-C33cを緩衝液Bで平衡化したQ-セファロースカラム(1.5cm×5cm)でさらに精製した。S-セファロース上でのクロマトグラフィーから得たSOD-C33cを含有するプールされた画分を,カラムにかけた。カラムを緩衝液Bで洗浄して,60m1の緩衝液B中のNaCl0.0から0.4Mのグラジェントで溶出させた。アプライ,洗浄,および溶出の流速は1ml/分であり,回収された画分は1mlであった。Q-セファロースカラムからの全画分をS-セファロースカラムの時と同様に分析した。カラムから溶出されたSOD-C33cのピークは約0.2M NaClの時点であった。 Q-セファロースカラムから得たSOD-C33cは,ポリアクリルアミドSDSゲルおよびヒトSODに対するモノクローナル抗体を用いたイムノブロットでの分析によると,約90%以上の純度であった。」(第12頁17行?第15頁15行,対応公報第5頁右下欄1行?第6頁左下欄14行) (11f)「実施例6:HCVにに対する抗体のラジオイムノアッセイ(RIA) HCV(非A,非B)を有すると臨床的に診断された個体の血清中,および供給血液から採取した血清中のHCVに対する抗体を検出する実施例1から5のHCV抗原の能力を,RIAフォーマットで試験した。 RIAは,SELECTED METHODS IN CELLULARIMMUNOLOGY(W.H.Freeman & Co.),pp.373-391に記載のTsuおよびHerzenberg(1980)の手順に基づき行った。一般には,マイクロタイタープレート(Immulon 2.Removawell strips)を精製したHCV抗原で被覆した。被覆したプレートを血清試料または適切な対照と共にインキュベートした。インキュベーションの間,抗体は,もし存在するなら,固相抗原に免疫学的に結合する。結合しなかった物質を除去して,マイクロタイタープレートを洗浄後,ヒト抗体-NANBV抗原の複合体は,^(125)I標識ヒツジ抗ヒト免疫グロブリンと共にインキュベートすることにより検出される。結合していない標識抗体を吸引により除去して,プレートを洗浄する。個々のウェルの放射活性を測定する。結合ヒト抗HCV抗体の量はウェルの放射活性に比例する。 詳細には,0.125M Naホウ酸緩衝液,pH8.3,0.075M NaC1(BBS)中に0.1から0.5μgのHCV抗原を含有する100μlの部分標本を,マイクロタイタープレート(Dynatech Immulon 2 Removawell strips)の各ウェルに添加した。プレートを4℃にて一晩湿気のあるチャンバーでインキュベートした。その後,抗原液を除去し,ウェルを0.02%のTriton X-100(BBST)を含有するBBSで3回洗浄した。非特異的結合を阻害するため,BBS中の5mg/mlのBSA溶液を100μm添加し,続いて室温で1時間インキュベートして,このインキュベーションの後BSA溶液を除去することにより,ウェルをウシ血清アルブミン(BSA)で被覆した。10mg/mlのBSAを含有する0.01M リン酸ナトリウム緩衝液,pH7.2,0.15M NaCl(PBS)で1:100に希釈した血清試料を100μl添加し,そして血清含有ウェルを37℃で1時間インキュベートすることにより,被覆されたウェル中の抗原を血清と反応させた。インキュベーション後,血清試料を吸引により除去して,ウェルをBBSTで5回洗浄した。抗原に結合した抗体を^(125)I標識F’(ab)_(2)ヒツジ抗ヒトIgGを被覆ウェルに結合することにより定量した。100μlの標識プローブの部分標本(比放射能5-20μCi/μg)を各ウェルに添加し,プレートを1時間37℃でインキュベートし,次いで過剰のプローブを吸引により除去して,BBSTで5回洗浄した。各ウェルに結合した放射活性をガンマ放射線を検出するカウンターにより測定した。」(第21頁28行?第23頁5行,対応公報第8頁左下欄4行?右下欄20行) (12)甲第12号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項が記載されている。 (12a)「1.5.3 第一世代のHCV診断薬 カイロン社ではこのウイルス遺伝子の非構造領域(Non Structural Region;NS)の一部(NS3?NS4領域)とひとスーパーオキシドジムスターゼ(Superoxide dismutase[SOD]遺伝子の一部を融合タンパク質として遺伝子工学的に発現させることに成功した。これを抗原として用いHCV抗体(c100-3抗体)をELISAもしくはRIAにて測定する系が開発された。この測定系はわが国にもいち早く導入され,C型肝炎の臨床的研究に多大な貢献をもたらした。」(第91頁16行?21行) (12b)「1.5.4 第二世代のHCV診断薬 c100-3抗体の測定系を始めとするいわゆる第一世代のHCV診断薬のみでの診断では不十分であることが指摘されている。即ち,HCV感染者のすべてを検出できないこと,および急性期の抗体出現まで時間を要すること等である。C型肝炎をより早期に,より特異的に診断するために第二世代のHCV診断薬開発が行われている。ダイナボット社ではHCVの3種のリコンビナント抗原(pHCV-34,c100-3,pHCV-31)を用いた第二世代のHCV関連抗体測定系を開発した。抗原としてはHCV遺伝子のNS-3?NS-4領域に相当するc100-3に加えて新たに2種類の抗原を用いる。pHCV-34抗原はHCVのコア領域に相当し,pHCV-31抗原はNC-3の33cおよびNS-4のc100-3の一部であるBCDに相当する。同様のHCV関連抗体測定系の開発がオーソ社からも報告されている。オーソ社の用いている抗原領域もダイナボット社のそれとほぼ同様のものを用いており,遺伝子工学的に生産されている。また,東燃,国際試薬は共同で日本人の非A非B型肝炎患者の血漿からHCV遺伝子RNAを抽出し,新たなHCV遺伝子のクローニングを行い,得られた遺伝子より2種のリコンビナント抗原,c11とc17,を作成した。c11抗原はHCV遺伝子のコア領域の一部に相当し,c7抗原はNS-3領域に相当する。そしてこれら2種類の抗原(c7,c11)を用いてHCV関連抗体測定用ELISAキット(イムチェックHCVAb)を開発している。これら第二世代のHCV診断薬は慢性肝炎,肝硬変,肝癌での陽性率が高く,輸血後および散発性非A非B肝炎においては早期に抗体が検出でき,急性肝炎に診断に有用であることが示されている。即ち,従来法に比較して,臨床的感度,特異性に優れたHCV関連抗体の検出試薬であると考えられる。」(第92頁12行?31行) (13)甲第13号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (13a)「それ故,細胞内因子のためのEIA系の感度は,抗原をEIA抗体により接近しやすくなるような操作により改善することが可能である。抗原を暴露する1つの可能性のある方法は,粘膜および細胞膜におけるジスルフィド結合を還元できる試薬を用いた試料の処理である。例えば,穏やかな還元剤N-アセチルシステインを用いた鼻洗浄試料の処理は,呼吸器系ウイルスおよびインフルエンザウイルスのヘマグルチンの測定の為のEIA系の効率を改善する。」(第53頁右欄3行?15行) (14)甲第14号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (14a)「本開示は,ヒト血液抽出物,骨髄抽出物及びリンパ球抽出物における,末端デオキシヌクレオチジル転移酵素のin vitro定量的測定方法に関し,末端デオキシヌクレオチジル転移酵素は,ノニオン界面活性剤,抗凝固剤及び還元剤を含む抽出液を用いて抽出する。」(フロントページ要約欄) (14b)「ここでいう「還元剤」なる用語は,末端デオキシヌクレオチジル転移酵素(TdT)の分子間ジスルフィド結合形成を防ぎ,TdTの酸化防止をすることによって,TdTを安定化する組成物をいう。このような還元剤は当業者にとって容易に認識しうるものであって,グルタチオンなどのようなチオール類が包含される。本発明の抽出組成物中の還元剤としてグルタチオンを使用するのが好ましい。」(第3欄53行?61行) (15)甲第15号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (15a)「試験試料,例えば,感染したヒト細胞を含む臨床検体中のクラミジア・トラコマティスの存在を検出する方法であって,該方法においては,試験試料を処理して,試料中に存在するクラミジア・トラコマティスに由来する多価クラミジア抗原を露出し,標識した抗体試薬を加えて,標識抗体と遊離した抗原との免疫複合体を含む混合物を形成させる方法。」(第1頁要約欄1行?4行) (15b)「このようなタンパク質抗原を露出させるのにさらに有用なのは,一つ又は複数の次に示すいずれかの物質である:アセチルシステイン(例えば200mM以下の濃度で)のような還元剤」(第4頁11?12行) (15c)「さらなる例として,露出される抗原がLPSである場合,有用な試料処理液は,約6.5?約9で,好ましくはリン酸緩衝液(例えば0.1M)を用いて緩衝する。このようなリポポリサッカライド(LPS)抗原を露出させるのにさらに有用なのは,一つ又は複数の次に示すいずれかの物質である:DTT(例えば50mMより低い濃度)及びアセチルシステイン(例えば100mMより低い濃度)のような還元剤」(第4頁18?21行) (16)甲第16号証 平成22年2月19日付けで知的財産高等裁判所に提出した松浦善治氏による鑑定書の写しであって,甲第1号証,本件では甲第4号証で使用したHCVコア抗原に「感受性チオール基」が存在するとの見解が実験データと共に示され,また,甲第1号証,本件では甲第4号証で使用したDTTが,硫酸アンモニア沈殿工程で精製した後も残存しているとする見解が示されている。 (17)甲第17号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (17a)「哺乳類及び鳥類のクラミジア感染を免疫化学的に検出するアッセイ方法であって,サンプル中に存在する可能性があるクラミジア属の細菌を溶菌溶液中で溶菌させる方法。」(第1頁要約欄3?4行) (17b)「主要外膜タンパク質(MOMP)はジスルフィド架橋によって互いに結合しているので,MOMPが検出すべき標的タンパク質である場合には,ジチオスレイトールのような還元剤を使用することが有利である。」(第4頁3?4行) (18)甲第18号証の記載事項 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (18a)「抗原ストックは,A型インフルエンザウイルス(Flu-A)(WSN種)を感染させたメイディン・ダービー・イヌ腎臓(MDCK)細胞であって,・・・に希釈した細胞を用いて調製した。・・・250μlアリコートのこの抗原(又は対照)を上記装置にアプライし,制流インサートを介してメンブレン上層上に排液させ,次いで300μlの0.15Mクエン酸水溶液を通過させた。・・・アルカリホスファターゼであるウシ腸APにコンジュゲートした抗-Flu-A抗体(Buehringer Mannheim,Indianapolis,Ind.)を27μg/ml含む溶液を100mMトリスHcl,150mMのNaCl,200mMのリン酸ナトリウム,1%カゼイン,1mMの塩化マグネシウム,0.1mMの塩化亜鉛,1mMの2-メルカプトエタノール及び0.2%のNaN_(3)を含む緩衝液(pH7.2)中に調製した。この混合物の150μlアリコートを上記装置に添加し,メンブレンスタックに吸収させた。短時間(2分)のインキュベーションの後,装置を300μlのTBS(IgG不含)で洗浄した。」(第6欄3?31行) (19)甲第19号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (19a)「実施例1:チロキシン(T_(4))の測定 緩衝液:10mMのリン酸カルシウム(pH7.0),0.14M塩化のトリウム,0.5mMの塩化マグネシウム,1mMの1,4-ジチオスレイトール(DTT) 反応混合物:10μlのT_(4)誘導化β-ガラクトシダーゼ(1μg/ml)(ヨードアセチル-T_(4)とβ-ガラクトシダーゼとの1:2のモル比での反応により調製),10μlの抗-T_(4)ヒツジ全血清(10-1希釈)(免疫原:T_(4)-エデスチンコンジュゲート),20μlのL-チロキシン(1.25?25ng/l) 上記混合物を,30分間37℃でインキュベートし,その後,5分間62℃で加熱する。」(第5欄10?25行) (20)甲第20号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (20a)「二連で行ったすべての測定は,1.6Mトリス緩衝液,pH7.6(200μl),2%ウシ血清アルブミン(100μl),0.020Mメルカプトエタノール(10μl),5ピコグラムのウサギγグロブリン(50μl)を含有する12×75mmガラス管内で行った。・・・高濃度のトリスおよび2-メルカプトエタノールは,アイソザイムのスルフヒドリル基を保護し,モノマーの解離を防止すると考えられている。この混合物に,100μl?5μlの範囲の容積で,抗血清の適切な希釈液を添加した(希釈は正常ウサギ血清で行った)。^(125)Iが標識されたMM(0.1mcg),MB(0.1mcg),およびBB CK(0.2mcg)を,各管内に約25000cpmが存在するように添加した。」(第6欄41行?第7欄42行) (21)甲第21号証 2010年8月19日付けの,マイケル・ホートン氏の鑑定書であって,甲第2号証は,HCV抗体測定用免疫アッセイを開示している,HCV抗体含有試料に添加したDTTは抗原抗体反応開始時点で還元剤としてまだ機能している,還元剤は抗原のジスルフィド結合の形成防止を促進する,当業者は,c33c抗原等のHCV抗原の安定化のための還元剤の使用を知っていた,との鑑定が示されている。 (22)甲第22号証 平成22年8月20日付けの,松浦善治氏の鑑定書であって,甲第2号証は,HCV抗体測定用免疫アッセイを開示している,HCV抗体含有試料に添加したDTTは,抗原抗体反応が行われる際に還元剤としての機能を有し存在していた,c33c抗原等のHCV抗原のジスルフィド結合の形成を防ぐために還元剤を添加することは周知であるとの鑑定,及び甲第3号証について,実施例9のグルタチオンの一部はコーティング工程で存在し,洗浄工程を経ても抗原に結合し続け,抗原のジスルフィド結合が形成されるのを防ぐ,との鑑定が示されている。 (23)甲第23号証の記載事項の日本語訳 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (23a)「本発明は,臨床試料中のクラミジア・トラコマティス抗原の検出のためのイムノアッセイ手法に関する。具体的には,測定すべきクラミジア・トラコマティス抗原を直接固相にコーティングした固相イムノアッセイに関する。」(第1欄7?12行) (23b)「予期せぬことに,界面活性剤,例えばTriton X-100,Tween-80,ドデシル硫酸塩,デオキシコール酸または他の胆汁酸塩を溶菌培地に添加することにより,本発明の方法の感度が増すことが見出された。デオキシコール酸塩,好ましくはケノデオキシコール酸塩を溶菌培地へ添加することにより,本発明の方法を使用して得られた結果に関して優れた感度及び特異性をもたらすことが見出された。界面活性剤に加えて,還元剤,例えばジチオスレイトール,2-メルカプトエタノール,N-アセチル-システインなどが,好ましくは溶菌培地に添加される。」(第2欄29?41行) (24)甲第24号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項が記載されている。 (24a)「SH基は酸化剤の添加によって酸化を受けるのはもちろん,空気中の酸素によって自発的に酸化-いわゆる自動酸化-される。この分子状酸素によるチオール基の酸化速度は,微量の金属イオン(とくに鉄と銅)の存在で非常に加速される。したがって,これら金属イオンと複合体をつくることができるキレート剤を添加したり,β-メルカプトエタノールやDDTなどの添加によって,遊離SH基が活性の発現に必要な酵素タンパク質のSH基を保持,安定化できる。」(第81頁下から4行?第82頁3行) (25)甲第25号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項が記載されている。 (25a)「使用する溶出液としては,目的とする蛋白質や酵素を安定に保つのに必要なpHを保ち,しかも蛋白質や酵素活性の測定を阻害しない緩衝液を使用する。酵素の安定化のために,必要に応じて種々の塩類,ジチオスレイトールなどの還元試薬,EDTA,グリセロール,ショ糖などを加える。」(第162頁7?10行) (26)甲第26号証 2004年6月30日(初版4刷)に発行された,特許ワークブックであって,新規性の判断について記載されている。 (27)甲第27号証 2010年8月18日付けの,リチャード.A.ラーナー氏の鑑定書であって,甲第3号証において,実施例7で使用されたグルタチオンの一部が,実施例9においては,グルタチオンを溶液から除去する工程については述べられておらず,実施例7で使用されたグルタチオンの一部が,実施例9のコーテイング工程及び洗浄工程の間にわたって,抗原に結合し続けるとの鑑定が示されている。 (28)甲第28号証 2010年7月15日付けの,マイケル・ホートン氏の鑑定書の写しであって,本件出願時点で科学者は「感受性チオール基」という概念を理解しており,還元剤が感受性チオール基に及ぼす安定化効果も理解していた,甲第2号証,本件では甲第11号証において,実施例1において精製した際に,14mM BMEバッファー中の抗原が最終的な形態であり,実施例6のコーテイングバッファー中に,約0.1mMのBMEが含まれていた,甲第2号証は,複数の抗原を使用することで感度が向上することを教示しており,単一のHCV抗原を複数のHCV抗原で置き換えることは困難ではないとの鑑定を示している。 (29)甲第29号証 本件出願後の2008年12月(改訂(第3版))に頒布された刊行物であり,以下の事項が記載されている。 (29a)「C型肝炎ウイルスコア蛋白質キット ルミパルスオーソHCV抗原」 (29b)「<反応プロトコール;2ステップモード> 検体の前処理 検体を,界面活性剤を主成分とするHCV抗原用検体処理液で処理し,HCVコア蛋白質を露出させ,共存するHCVコア蛋白に対する抗体を失活させます。」(第1頁目右欄1行?4行) (29c)「2.試料の調製法 プラスチックチューブに検体200μLを分注し,これにHCV抗原用検体処理液100μLを加えて撹拌した後,60±4℃,30分間反応させます(前処理)。前処理の終了した検体は,室温に5分程度静置することで室温に戻し,これを測定用検体とします。」(第2頁目左欄9?13行) (30)甲第30号証の記載事項 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項が記載されている。 (30a)「1)(a)特異結合性タンパクを (1)アルデヒド化合物,および (2)還元剤 と反応させ, (b)不溶性支持体の表面をその反応させた特異結合性タンパクと接触させ,そして該表面に特異結合性タンパクを結合させ,そして (c)前記不溶性支持体から未結合タンパクを除去する ことからなる固相イムノアッセイの製造方法。 2)特異結合性タンパクが抗体,抗原およびハプテンからなる群より選択される特許請求の範囲第1項記載の方法」(特許請求の範囲請求項1,2) (30b)「更に詳細には,本発明は不溶化された安定な特異結合性タンパクおよび,アルデヒドと反応させそして還元剤の存在下にインキュベートした特異結合性タンパクを用いる固相イムノアッセイの調製方法を包含する。このアルデヒド/還元剤を特異結合性タンパクと組合せるとコーテイング溶液の免疫反応安定性の顕著な増大および/または標識被分析物の結合割合(%)の向上がみられる。 本明細書に用いる用語「特異結合性タンパク」とは抗体,抗原またはハプテンと特異的に反応するガンマグロブリンまたは免疫グロブリンとも呼ばれる一群の血清タンパクを意味する。」(第4頁左上欄5行?最終行) (30c)「適切なイムノアッセイまでうまく開発できなかつた特異結合性タンパクが,本発明に従つてアルデヒド活性化段階の完了前または完了後に還元剤をコーテイング溶液に添加することにより使用可能となることを見出した。特異結合性タンパクに対してアルデヒド化合物か還元剤のいずれかを他方の非存在下に用いた場合には,得られる結合効率がこれら物質の双方を用いた場合に達成される効率よりも低い,抗体抑制活性のロスを防ぐことによる相乗効果を得るには,これらの試剤の双方の存在が不可欠である。」(第4頁左下欄3行?13行) (30d)「この効果のメカニズムは知られていないが,還元剤の存在により特異結合性タンパクの酸化が防止されることによるものと思われる。中性又はアルカリ性pHにあるタンパクが溶存酸素との試験管内反応によりジスルフイド架橋を形成し得ることは知られている。Haschemeyer R.H.およびA.E.V.Haschemeyer,1973「Primary structure of proteins」Proteins. Ed. John Wiley and Sons,Inc. p.66参照。これらの結合はタンパク/抗体の三次構造を変える効果を有し,それ故に分子の酵素活性または免疫活性を変えることができる。還元剤は硫黄基を還元させたスルフヒドリル型,すなわち-SHにすることにより分子内スルフイド結合の形成を防ぐ化学的能力を有するものと思われる。それで特異的結合性タンパク/抗体は各コーテイング溶液中での免疫反応性が安定化される。 不溶性プラスチック支持体上にコーテイングした場合,特異結合性タンパクは一般に,還元剤が取込まれない場合よりも大きな大きな標識被分析物の結合を示す。特異結合性タンパクの免疫反応安定性は,一旦固相表面に結合されると,長時間にわたつて,25℃では数ヶ月間にまでわたつてさえも極めて良好であることを見い出した。」(第5頁左上欄9行?右上欄15行) (30e)「実施例1 本願発明1および比較用実験A L-3,5,3-トリヨード-チロニン(T_(3))に対する精製ウサギ抗血清を・・・グルタールアルデヒドを最終濃度が5ミリモル濃度(mM)となるように添加しそして室温で20分間反応させる。その反応終了時に,本発明実験1には,1,4-ジチオスレイトール(DTT)を最終濃度が0.6mMとなるように添加するが,比較用実験Aには添加しない。その溶液を混合させ1mlをポリプロピレン管中に分散させ,24℃で一夜インキュベートし,傾瀉し,pH7.4を有するトリス-ゼラチン緩衝液で1回洗浄しそして25℃で空気乾燥させる。 DTTの存在下または非存在下に製造した管の比較分析を第1図に示す。それらの結果は,コーテイングの処理の際に還元剤が存在する場合にはコーテイング効率が増大することを示す。それらの結果は,DTTを取り込ませて製造した管によりT_(3)の取り込みを測定するための優れた固相イムノアッセイが得られることを示す。」(第8頁左上欄6行?右上欄11行) (30f)「実施例2 本願発明2および比較用実験B ウサギ・ジゴキシン抗血清を・・・精製して・・・その精製抗血清を・・・グルタールアルデヒドと反応させる。次いで1,4-ジチオスレイトールを0.6mMの濃度となるまで本発明実験は添加するが,比較用実験Bは添加しない。次にその溶液を混合しそして1.0mlをポリプロピレン管に添加しそして25℃で一夜インキュベートする。管を傾瀉し,pH7.4で緩衝されたトリス-ゼラチンで1回洗浄し次いで空気乾燥する。第2図はジゴキシン抗血清の結合が1,4-ジチオスレイトールを使用せずに製造した管に比べ著しく増大することを示している。」(第8頁右上欄12?左下欄12行) (31)甲第31号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (31a)「要約 従来の間接的な赤血球凝集試験は,2-メルカプトーエタノール(2-ME)を用いた事前の血清の処理を行った場合や行わなかった場合に,(二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi)に感染した動物から収集された)アカゲザルの血清において行われた。驚くべきことに,多くの血清サンプルは,2-MEによる最終的なタイターの顕著な増加を示した。」(第329頁左欄1行?7行) (31b)「前試験は,2-メルカプトエタノール(2-ME)を用いた事前の血清の処理を行った場合行わなかった場合について,マラリア抗原をコーティングしたヒツジ赤血球(SRBC)を2倍希釈した(二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi)に感染した動物から収集された)アカゲザルの血清に添加した従来の間接的な赤血球凝集試験を含んでいた。・・・2-ME処理を用いた場合に最終的なタイターの顕著な増加を示した,予期しなかった第三のカテゴリーが存在した。」(第329頁右欄10?20行) (31c)「一週間間隔で動物から採取した血清を,脱補体(decomplement)し,SRBCを用いて吸収させ,IHA試験に供した。血清は,2-MEを添加し,1時間37℃でインキュベートし,その後,二倍希釈液を調製した。(第330頁左欄19行?25行)」 (31d)「IHA試験は,最初に収集した血清中に行い,2-MEで処理した血清試料中のタイターの増加,すなわち3つの収集物の平均値を計算した。」(第331頁左欄6行?9行) (31e)「IHAタイターの2-MEによる増加は,活発な感染期のマラリア流行地域から収集されたヒト血清の日常的なスクリーニングにより,早くから気付かれていた。実験Iの根拠は,生きた寄生虫を注入した高度免疫アカゲザル血清において,このような2-MEによる増加を求めることであった。図1は,これらのサル血清中のΔ2-ME値を示す。実験動物,特に生きた寄生虫を注入した動物は,2-MEを用いた処理により,タイターの顕著な増加を示した。」(第331頁左欄14行?右欄1行) (31f)「実験IIは,初期薬物抑制二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi)の感染の間に収集した血清におけるIHAタイターの2-MEによる増加を求め,その免疫学的重要性を評価するために,デザインした。感染初期の発作の間に収集した血清におけるIHAタイターの2-MEによる増加は,二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi)を用いた攻撃感染に対する同じ動物の機能免疫と相関関係があった。」(第331頁右欄7行?14行) (31g)「2-MEによる増加は,未処理血清中の凝集タイターを遮蔽する,血清中の何らかの阻害物質を除去することに起因すると思われる。」(第332頁左欄16行?18行) (32)甲第32号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。訳文は対応日本語公報である特表平6-505389号公報(甲第32号証-2)による。 (32a)「さらに,試料を界面活性剤または還元剤またはその両方で処理することにより,「隠れた」抗原または抗原決定基を暴露することができる。たとえば,コア抗原はウィルスエンベロープで覆われたカプシド形態中に存在する。界面活性剤でエンベロープを剥ぎ取ることによりコア抗原が暴露される。モノクローナル抗体はまた,アッセイに一層高い感度を与え,一層短いインキュベーション時間を可能とする点で高力価のポリクローナル抗体に比べて実際的な利点をも提供する。」(第16頁2?6行) (33)甲第33号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (33a)「本発明は,安定化スルフヒドリル基含有還元剤を含んでなる組成物,抽出組成物および診断測定のためのクラミジア生菌体または淋菌生菌体からの抗原抽出に対するその使用に関する。」(第1欄9?13行) (33b)「ジチオスレイトールまたは他のスルフヒドリル基含有還元剤は,外生の蛋白質を可溶化するためのクラミジア抗原の抽出に有用であることが知られているが,これらの試薬は一般に不安定であり,迅速に使用しない限りはそれらの活性を急速に失う。従って,長期間貯蔵することができる抽出組成物および診断試験キットを入手することが望まれるであろう。」(第1欄65行?第2欄) (33c)「既知の抽出組成物および分析方法に伴う前述の課題は,スルフヒドリル基含有還元剤および1種以上の親水性ポリマーを含んでなる組成物によって解決される。」(第2欄8行?11行) (34)甲第34号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (34a)「抗-プロトロンビンの固相酵素結合免疫吸着測定法(ELISA) マイクロタイタープレート(96穴;Immunolon 2,Dynatech)を,0.05Mホウ酸,pH8.5中の20μg/mlの濃度のヒトプロトロンビンを用いて,16時間4℃でコーティングした。プレートを,ウエルに加えた同じバッファー中の0.05M Tris-HCl,pH7.2,0.14M NaCl,5mM CaCl_(2),0.05% NaN_(3)及び2%ウシ血清アルブミンで,30分間24℃で徹底的に洗浄した。0.05M Tris-HCl,pH7.2,14M NaCl,5mM CaCl_(2),0.05% NaN_(3)を用いた徹底的な洗浄後に,50μlの培養液上清またはマウスポリクローナル抗-プロトロンビン抗血清を,プレートに加えて,37℃で1時間インキュベートした。プレートを0.15M Tris-HCl,pH7.2,0.14M NaCl,5mM MgCl_(2),2mM β-メルカプトエタノール,0.05%Tween20及び0.05%NaN_(3)を用いて徹底的に洗浄した。前記バッファー中のβ-ガラクトシダーゼがコンジュゲートしたヒツジ抗-マウスIgGのFab断片(50μl)を添加した。プレートを24℃で2時間インキュベートした後,同じバッファーで3回洗浄した。p-ニトロフェニルD-ガラクトシド(50μl,0.05Mリン酸ナトリウム(pH7.2),1.5mM MgCl_(2),2mM β-メルカプトエタノール中)を各ウエルに加え,反応を30?60分間23℃で行った。405nmの吸光度を,Dynatech MR 580 Micro-ELISAオートリーダーを用いてモニターした。固定化したプロトロンビンに結合した抗-プロトロンビン抗体を検出した。」(第28欄41行?67行) (35)甲第35号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (35a)「非-A,非-B肝炎抗原又は抗体の検出のために本願明細書において使用した免疫粘着アッセイは,B型肝炎抗原(HBsAg)の検出についてのMayumi et al(Vox Sang.20;178,1971)によって記載された方法に基づく」(第8欄43行?47行) (35b)「アッセイ 前記二つの血清を45分間56℃で加熱し,補体を不活性化する。抗原についての力価を求める場合: 1.0.05mlの加熱した試料を,二列のウエル#1に添加し,ブランクであるゼラチンベロナール緩衝液,GVBを0.25ml使用して,連続して希釈する。 2.既知の抗体ポジティブ血清を,適切な希釈(4-8IA単位)で1列に添加し,GVBを対照としてもう一つの列に添加する。プレートを振動ミキサー上で混合し(10秒間),37℃で1時間インキュベートする。 3.適切な希釈の補体(1:50から1:100)を,全てのウエルに加える(0.025ml)。プレートを再度10秒間混合し,37℃で40分間インキュベートする。 4.マイクロプレートをインキュベーターから取り出し,0.025mlのDTT(ジチオスレイトール)を全てのウエルに加える。プレートを再度混合する。 5.即座に,0.025mlの0.5%RBCを全てのウエルに加え,混合した後,凝集パターンを発達させるために,プレートを室温で少なくとも2時間静置する。本方法は,可逆的ではないので,一晩静置させることが時には現実的である。蓋又はカバーを完全にプレート上で使用し,試料の蒸発を防ぐ。各実験により,対照抗原及び抗体をアッセイに供し,それぞれの力価を報告する。」(第8欄65行?第9欄24行) (36)甲第36号証 本件出願前に頒布された刊行物であり,以下の事項(日本語訳)が記載されている。 (36a)「C100は,HCVポリプロテインの推定上の非構造領域内に位置する(図2参照)。C100は,その後,HCV100フラグメントを,ヒトのスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)をコードするヒト遺伝子に融合させることによって,リコンビナント酵母内で発現させた。ヒトSODへの融合により,リコンビナント細菌及び酵母内での異種蛋白質の発現が容易になった。得られた融合ポリペプチド(C100-3)の相対組成を図3に示す。」(第430頁20行?27行) (36b)「図3 循環抗体を捕捉するための,酵母リコンビナントHCV抗原(C100-3)の組成。この抗原は,ヒトのスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の154アミノ酸及びHCVポリプロテインの非構造部分に由来する363アミノ酸(C100)を含む。クローニング手順が原因で,隣接するリンカー(L)DNAに由来する追加の10アミノ酸が存在する。」(第430頁下から5行?1行) (37)乙第1号証 本件出願後に頒布された刊行物であり,甲第1号証中で先行技術として引用された刊行物の対応日本語公報であり,以下の事項が記載されている。 (37a)「1.ハイブリダイゼーションアッセイで信号増幅用に使用するためのポリデオキシヌクレオチド構築物であって,以下の3つのドメイン: (a)一本鎖であり,標的配列に相補的なヌクレオチド配列を有する,第一ドメイン(A); (b)二本鎖であり,DNA依存性RNAポリメラーゼ酵素活性のためのプロモーターとして機能することができる,第二ドメイン(B);および (c)一本鎖または二本鎖のいずれかであり,第三のドメインが該第二のドメインのプロモーター活性のための鋳型として機能することができるように,該第二のドメインに隣接している,第三のドメイン(C): を包含する,ポリデオキシヌクレオチド構築物。」(請求の範囲請求項1) (37b)「様々な量で合成HIV標的配列を含む正常ヒト血漿の試料を,実施例2に記載のように調製した。10μlの血漿を12.5μlの抽出用緩衝液(10mMトリスpH8.0,150mM NaCl,10mM EDTA,1%SDS,40μg/ml超音波処理サケ精子DNA,および2mg/mlプロテイナーゼK)に添加し,マイクロタイターディッシュのウェル中で65℃で30分間インキュベートした。ウェルはまず初めに,実施例2に記載のように,所定配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを固相基質に結合させることにより準備した。12.5fmolのHIV捕捉およびリンカ-プローブを含む5μlのlN NaOHをウェル当り添加し(前記),混合物をさらに65℃で30分間インキュベートした。その後13μlのMOPS-SSC(0.77M 3-[N-モルホリノ]プロバンスルホン酸,1.845M NaC1,0.185Mクエン酸Na)を添加し,混合物をさらに65℃で2時間インキュベートした。 ウェルを次に,洗浄用緩衝液A(0.l×SSC.0.1%SDS)で2回洗浄した。洗浄の後,40μlのウマhyb mix(50%ウマ血清,0.6M NaCl,0.06Mクエン酸Na,0.1%SDS)中の30fmolのT7鋳型プローブを添加し,混合物を55℃で1時間インキュベートした。(ウマハイブリダイゼーションmixは以下のように調製した:10m1の場合---504μl水(ジエチルピロカーボネートDEPC処理済み),336μl 10%SDS,60μl 1MトリスHCI(pH8),100μl 25mg/mlプロテイナーゼK,5mlウマ血清,を65℃で2時間インキュベートし,1ml水(DEPC処理済)および2ml 20×SSCを添加。) ウェルを次に,洗浄用緩衝液Aで2回および洗浄用緩衝液B(0.l×SSC)で2回洗浄した。その後40μlの転写用mix(40mM トリスHCl pH8,20mM MgCl_(2),80単位T7ポリメラーゼ(New England Biolabs),10mM DTT,0.15mg/ml BSA,それぞれ1.25mMのATP,UTP,GTPおよびCTP,1600単位/ml RNAsin)を添加し,混合物を37℃のオーブンで1.5時間インキュベートした。」(第21頁左下欄下から13行?右下欄下から9行) (38)乙第2号証 2008年のBangalore GeNei社のカタログであって,DTTが,T7RNAポリメラーゼの活性のために要求されることが記載されている。 (39)乙第3号証 2010年5月12日に検索された,NEW ENGLAND BioLabs社のインターネットホームページであって,DTTが,T7RNAポリメラーゼの活性のために要求されることが記載されている。 (40)乙第4号証 平成22年5月12日付けの,奥村康氏による見解書の写しであって,甲第1号証(本件では甲第4号証)であるChiba論文は,HCVコア抗原を用いて抗体を捕捉する診断が臨床的に有用であることを明らかにしたものであり,同抗原へのDDTの影響の有無を論じた内容ではない,DTTは夾雑タンパク質との会合を外すために,細胞溶解物の部分精製に際して前処理のために添加したものである,松浦鑑定書(甲第16号証)は,実験の設計に欠陥が多く,HCVコア抗原がDTTの影響を受けて抗体との反応性に変化を生じるかは全く分からない,ラーナー鑑定書(甲第27号証)は,DTTがELISAプレートに還元剤として残留したかどうかは証明できていない,との見解が示されている。 (41)乙第5号証 2010年5月14日付けの,アントニー スコット ミアホフ氏による鑑定書であって,HCVコアタンパク質(アミノ酸1-150)及びHCV-NS3タンパク質(アミノ酸1192-1457)を使用し,DTTの影響をELISA法により測定し,HCVコアタンパク質は,DTTの存在下,不存在下でのコーテイングで顕著な変化を示さず,NS3タンパク質は,DTTの存在下では,不存在下に比べ免疫学的反応性が増大しチオール基の感受性がはっきりと示される,との鑑定が実験結果と共に示されている。 4 本件明細書及び甲各号証で用いられているHCV抗原の略称について HCV抗原について,本件明細書及び甲各号証で「C100」,「C-100」,「c-100」,「C100-3」及び「c100-3」と表記されたHCV抗原は,同じ抗原を意味し,また,「33c」,「c33c」,「C33c」と表記されたHCV抗原は,同じ抗原を意味する。 5 無効理由1について (1)甲第1号証記載の発明 甲第1号証には,上記記載事項(特に(1g)(1f))から, 「C-100抗原でコートしたマイクロタイタープレートであって,コーティングバッファー(50mMホウ酸ナトリウム,pH9.0),21ml/プレート,BSA(25μg/ml),HCV C-100(2.50μg/ml)を含む溶液を添加直前に調製し,この溶液を0.2ml/ウェルでマイクロタイタープレートに添加し,5分間混合した後,37℃で2時間インキュベートし,その後この溶液を吸引によって取り除き,ウェルを0.4mlの洗浄バッファー(100mM リン酸ナトリウム,pH7.4,140mM NaCl,0.1%カゼイン,1%(w/v)Triton X-100,0,01%(w/v)ヒビテン)で1回洗浄し,洗浄溶液を除去した後,200μl/ウエルのコート後溶液(10mMリン酸ナトリウム,pH7.2,150mM NaC1,0.1%(v/v)カゼイン,3%ショ糖,および2mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF))を添加し,室温に30分間放置し,ウェルを吸引して溶液を取り除き,1晩凍結乾燥して得られたものであり, イムノアッセイを遂行するために,血清サンプルの希釈液20μlを,サンプル希釈物(100mM リン酸ナトリウム,pH7.4,500mM NaC1,1mM EDTA,0.1%(w/v)カゼイン,0.01%(w/v)ヒビテン,1%TritonX-100,100μg/ml酵母抽出液)200μlを含むウェルに添加し,マイクロタイタープレートを37℃で2時間インキュベートし,溶液を吸引により除去して,ウェルを400μlの洗浄バッファー(0.05%Tween20を含むPBS)で3回洗浄し,ウェルに,ハイブリッドT7ポリメラーゼアンプリファイアプローブであるウサギ抗分析物抗体を添加しイムノアッセイを完成させ,T7ポリメラーゼプローブを添加した後,この複合体を,40mM Tris HCl(pH8),20mM MgCl_(2),10mM NaC1,1mMスペルミジン,10mMジチオスレイトール,0.15mg/ml ウシ血清アルブミン,rATP,rCTP,rGTP,rUTPがそれぞれ1.25mM,1600単位/ml RNアシン,および2000単位/ml T7RNAポリメラーゼからなる溶液20μl中でインキュベートしてドメインCの転写を実施して,ヒト血清におけるHCVに対する抗体の存在についてのイムノアッセイに用いるC-100抗原でコートしたマイクロタイタープレート。」の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 (2)対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを比較する。 (ア)甲1発明の「C-100抗原」は,HCV抗原の一種であるから,本件発明1の「感受性チオール基をもつHCV抗原」とは,HCV抗原である点で共通する。 (イ)甲1発明の「C-100抗原でコートしたマイクロタイタープレート」と,本件発明1の「固相化された該抗原含有試薬」とは,固相化されたHCV抗原含有試薬である点で共通する。 (ウ)甲1発明の「ヒト血清における」,「HCVに対する抗体」,「イムノアツセイ」は,本件発明1の「検体中」,「HCV抗体」,「免疫学的方法により測定」することに,それぞれ相当する。 したがって,両者の間には,以下の一致点及び相違点がある。 (一致点) 検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するためのHCV抗原含有試薬において,固相化されたHCV抗原含有試薬であるHCV抗体測定用試薬である点。 (相違点ア) HCV抗原が,本件発明1では,感受性チオール基をもつものであるのに対して,甲1発明では,「C-100抗原」であり,感受性チオール基をもつかどうか明らかでない点。 (相違点イ) 本件発明1が,HCV抗原含有試薬に還元剤を含有せしめるか又は固相化された該抗原含有試薬を還元剤で処理せしめるのに対して,甲1発明では,マイクロタイタープレートに抗原をコートするための溶液「コーティングバッファー(50mMホウ酸ナトリウム,pH9.0),21ml/プレート,BSA(25μg/ml),HCV C-100(2.50μg/ml)を含む溶液」,コートした後の洗浄液「洗浄バッファー(100mM リン酸ナトリウム,pH7.4,140mM NaCl,0.1%カゼイン,1%(w/v)Triton X-100,0,01%(w/v)ヒビテン)」,及びコート後溶液「コート後溶液(10mMリン酸ナトリウム,pH7.2,150mM NaC1,0.1%(v/v)カゼイン,3%ショ糖,および2mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF))」には還元剤は含有されず,コート後溶液を吸引して取り除いた後凍結乾燥して得た,C-100抗原でコートしたマイクロタイタープレートに,サンプル希釈物として添加される溶液「サンプル希釈物(100mM リン酸ナトリウム,pH7.4,500mM NaC1,1mM EDTA,0.1%(w/v)カゼイン,0.01%(w/v)ヒビテン,1%TritonX-100,100μg/ml酵母抽出液)」にも還元剤は含有されず,このサンプル希釈物を含むウエルに血清サンプルを添加した後に用いる洗浄液「洗浄バッファー(0.05%Tween20を含むPBS)」にも還元剤は含有されず,ハイブリッドT7ポリメラーゼアンプリファイアプローブであるウサギ抗分析物抗体を添加しイムノアッセイを完成させ,T7ポリメラーゼプローブを添加した後,還元剤を含有した溶液を添加して転写を行う点。 そこで,上記各相違点について検討する。 (相違点アについて) C-100抗原は,アミノ酸配列1677-1931を有し,33C抗原と重複しないNS3領域?NS4領域にコードされるものであることは,本件明細書段落【0002】に「HCVゲノム上の非構造領域であるNS3およびNS4領域にコードされるC100-3抗原を使用したHCV抗体測定系が開発された。1991年には,HCVゲノム上の構造領域であるコア領域およびC100-3抗原とは重複しないNS3領域にコードされるコア抗原およひ33C抗原」と記載され,さらに,甲第2号証の図1に33Cがアミノ酸配列1192-1457でありNS3領域にコードされ,C100がアミノ酸配列1677-1931であり,NS3領域の一部?NS4領域にコードされることが図示されているとおりである。 そして,33C抗原については,本件明細書段落【0003】に「感受性チオール基をもつHCV抗原,特にHCVゲノム上のNS3領域にコードされているタンパク質」と記載され,実施例5で,抗33C抗体を検体とした場合,還元剤非添加の感作血球を2週間放置したものに,還元剤である2-MEをに添加して測定した場合,添加しない場合に比べて感度が回復していることが【表5】に示されていること,及び乙第5号証でアミノ酸配列1192-1457のHCV-NS3抗原,つまり33C抗原を用いてNS3抗体を検出した実験で,DTTを添加して抗原をコーテイングした固相を使用した場合,添加しないでコーテイングした固相を使用した場合に比べて感度が向上することが,表1B,表2B(第5頁)に示されていることから,NS3領域にコードされる33C抗原は「感受性チオール基」をもつということができる。 以上のとおり,NS3領域にコードされる33C抗原は,「感受性チオール基」をもつといえるが,同じNS3領域の一部をコード領域に含むことのみを理由として,C-100抗原が「感受性チオール基」をもつということはできないから,この抗原が,「感受性チオール基」をもつかどうかは明らかでなく,甲1発明が感受性チオール基をもつHCV抗原を有するものであるとすることはできない。 (相違点イについて) 前記「第4 2」で記載したとおり,本件発明1の「HCV抗体測定用試薬」は,検体と混合する前に還元剤を含有せしめるか又は還元剤で処理せしめることにより得られたものである。 これに対して,甲1発明は,マイクロタイタープレートに抗原をコートするための溶液,コートした後の洗浄液,及びコート後溶液には還元剤は含有されず,コート後溶液を吸引して取り除いた後凍結乾燥して得た,C-100抗原でコートしたマイクロタイタープレートは,還元剤で処理されたたものではなく,C-100抗原でコートしたマイクロタイタープレートに,サンプル希釈物として添加される溶液にも還元剤は含有されていない。 そして,還元剤が添加されるのは,C-100抗原と血清サンプル中の抗体との反応後に,T7ポリメラーゼプローブを添加した後であり,還元剤を含有した溶液を添加して転写を行うものであるから,検体と試薬とを混合する前に,試薬を製造する過程で還元剤を添加することは記載されていないし示唆もされていない。 以上のとおり,本件発明1は,甲1発明であるとすることはできない。 イ 本件発明2ないし9について 本件発明2は,本件発明1の還元剤が,反応溶媒中に存在することを限定するものである。 本件発明3は,本件発明1の感受性チオール基をもつHCV抗原試薬が,感受性チオール基をもつHCV抗原を担体に固相化した抗原であることを限定するものである。 本件発明4は,本件発明3の感受性チオール基をもつHCV抗原が,HCVゲノムの非構造領域のNS3領域であることを限定するものである。 本件発明5は,本件発明4の感受性チオール基をもつHCV抗原が,遺伝子組換え技術による発現産物であることを限定するものである。 本件発明6は,本件発明4の感受性チオール基をもつHCV抗原が,合成ペプチドであることを限定するものである。 本件発明7は,本件発明1の試薬が,担体を含み,該担体がビーズ,チューブ,プレート,赤血球,又はラテックス粒子であることを限定するものである。 本件発明8は,本件発明1?7の還元剤が,チオール基の酸化防止剤であることを特定するものである。 本件発明9は,本件発明1?7の還元剤がジチオスレイトール,ジチオエリスリトール,チオグリコール酸,システイン,グルタチオン,2-メルカプトエタノール,2-メルカプトエチルアミン及びこれらの混合物から成る群より選ばれる少なくとも一つであることを限定するものである。 そして,上記限定を省いた,本件発明1が,前記「ア」に記載したとおり甲1発明と同一でない以上,本件発明2ないし9は,前記「ア」と同様の理由により,甲1発明であるとすることはできない。 (3)まとめ 以上のとおり,本件発明1ないし9は,甲第1号証に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないとすることはできない。 6 無効理由2について 本件発明5は,本件発明4の感受性チオール基をもつHCV抗原が,遺伝子組換え技術による発現産物であることを限定するものであり,本件発明6は,本件発明4の感受性チオール基をもつHCV抗原が,合成ペプチドであることを限定するものである。 そして,請求人の主張する無効理由2は,本件発明1ないし4が甲1発明と同一であるとした上で,上記限定事項は,甲第4ないし10号証に記載されるように本件出願前の周知技術であったので,上記限定事項は容易に想到しうるとするものである。 そうすると,上記「4」で記載したとおり,本件発明1ないし4が甲1発明と同一であるとすることができない以上,上記限定事項が周知技術であったとしても,本件発明5及び6が,甲1発明と甲第4ないし10号証に記載される本件出願前の周知技術から容易になし得たものとすることはできない。 7 無効理由3について (1)甲第2号証記載の先願発明 甲第2号証の記載事項(特に(2j)(2g)(2h))から,先願の明細書及び図面には, 「ニトロセルロース上にHCVのCORE,33c,c-100をコーテイングしたテストカードであって, IgMアッセイで抗HCVに対して強く反応した5つの試料を,ジチオトレイトール(DTT)と共に酢酸ナトリウム緩衝液中で,最終DTT濃度18mMで,15分間インキュベートすることにより還元剤処理し,HCV抗原に対するIgG及びIgM特異的反応性について検査するのに使用する上記テストカード。」の発明(以下,「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 (2)対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1と甲2発明とを比較する。 (ア)甲2発明の「HCVのCORE,33c,c-100」をコーテイングしたテストカードであるから,「33c」をコーテイングしたテストカードを含んでいる。そして,本件明細書の記載から,本件発明1の「感受性チオール基をもつHCV抗原」には,「33C抗原」が含まれているといえることは,前記「4(2)(相違点アについて)」で記載したとおりである。 (イ)甲2発明の「ニトロセルロース上にHCVの」「33c」「をコーテイングしたテストカード」は,本件発明1の「固相化された該抗原含有試薬」に相当する。 (ウ)甲2発明の「試料」,「HCV抗原に対するIgG及びIgM」及び「特異的反応性について検査する」が,本件発明1の「検体」,「HCV抗体」及び「免疫学的方法により測定する」に相当する。 そうすると,両者の間には,以下の一致点及び相違点がある。 (一致点) 検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するための33C抗原含有試薬において,固相化された33C抗原含有試薬であるHCV抗体測定用試薬である点。 (相違点ウ) 本件発明1が,33C抗原含有試薬に還元剤を含有せしめるか又は固相化された該抗原含有試薬を還元剤で処理せしめるのに対して,甲1発明は,ニトロセルロース上にHCVの33cをコーテイングする際に還元剤を含有させるものではなく,試料を最終DTT濃度18mM含有緩衝液中で,15分間インキュベートすることにより還元剤処理し,これを検査するのに使用するテストカードである点。 上記相違点について検討する。 前記「第4 2」で記載したとおり,本件発明1の「HCV抗体測定用試薬」は,検体と混合する前に還元剤を含有せしめるか又は還元剤で処理せしめることにより得られたものである。 これに対して,甲第2号証には,ニトロセルロース上に抗原をコーティングする際に還元剤が用いられることは記載も示唆もない。そして,還元剤が添加されるのは,試料に対してであり,ニトロセルロース上にコーテイングされた抗体に還元剤が含有された試料が添加されるが,試薬と試料とを混合する前に還元剤を添加することは,記載されていないし示唆もされていない。 したがって,本件発明1は甲2発明と同一であるとすることはできない。 イ 本件発明2ないし9について 本件発明2ないし9は,前記「4(2)イ」に記載したとおりの限定事項を有するものである。 したがって,上記限定を省いた,本件発明1が,甲2発明と同一でない以上,本件発明2ないし9は,前記「7(2)ア」と同様の理由により,甲2発明と同一であるとすることはできない。 (3)まとめ 以上のとおり,本件発明1ないし9は,甲2発明と同一であるから,特許法第184条の13で読み替えて準用する特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないとすることはできない。 8 無効理由4について (1)甲第3号証記載の先願発明 甲第3号証の実施例9(上記(3d))には「GST-BanII/EcoRIおよびc33c遺伝子産物を実施例7のように精製した」と記載されており,GST-BanII/EcoRI同様にC33cも遺伝子産物である以上,遺伝子産物の発現細胞から精製する必要があることは明らかであるところ,甲第3号証には,実施例7以外に,微粒子を被覆するために用いる抗原の精製法は記載されていないことから,c33c遺伝子産物もGST-BanII/EcoRIと同様にGSTと融合された形で遺伝子産物を発現させ,その精製はグルタチオンアガロースビーズと還元型グルタチオンを用いて行うとするのが相当である。 したがって,甲第3号証の記載事項(特に(3c)(3d))から,先願の明細書及び図面には, 「HCVのGST-BanII/EcoRIおよびc33c遺伝子産物を精製するために,遺伝子産物発現細胞を遠心によりペレット化し,MTPBS(NaC1 150mM,Na_(2)HPO_(4) 16mM,NaH_(2)PO_(4) 4mM,Ph7.3)の1/50または1/100培養物体積中に再懸濁し,細胞を氷上で超音波処理によって溶解し,TritonX-100を1%へ加え,溶解物を10,000×gで4℃において5分間遠心し,遠心の上清を洗浄し,MTPBS中に希釈した50%グルタチオンアガロースビーズと室温でローター上で混合し,吸着後,グルタチオンアガロースビーズを500×gで2分間遠心によって集め,ペレットをMTPBSで3回洗い,融合タンパクを50mM Tris-HCl pH8.0中の還元型グルタチオン5mMとの競合により,ビーズ体積に対して2×2分洗液を使用して溶出して精製した,GST-BanII/EcoRIおよびC33cウイルス遺伝子産物を,それぞれ常磁性微粒子と室温で一夜ゆっくり混合することによって被覆し,PBS(20mMリン酸ナトリウム,150mM NaC1,pH7.4)で遠心(5000rpm,5分)を使用して良く洗い,この抗原被覆常磁性粒子をPBS中0.025%(w/v)の濃度へ希釈して得られた,抗原被覆常磁性微粒子であって,前記PBS中に希釈した抗原被覆常磁性微粒子と血清とをマイクロタータープレートのウエル中で混合して行う常磁性微粒子イムノアッセイに用いるPBS中に希釈した抗原被覆常磁性微粒子。」の発明(以下,「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 (2)対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1と甲3発明とを比較する。 (ア)甲3発明の「精製した,GST-BanII/EcoRIおよびC33cウイルス遺伝子産物」のうち,「c33cウイルス遺伝子産物」は,甲第3号証の実施例9(上記(3d))の冒頭に「GST-BanII/EcoRI融合タンパクを全長c33cタンパクの免疫感応性を常磁性微粒子酵素イムノアッセイ(MPイムノアッセイ)によって比較した。」と記載され,「全長c33cタンパクはpET5aシステム中の16アミノ酸リーダー,Studier and Moffatt,J.Mol.Biol.189:113(1982)によって発現された。」と記載されていることから,全長「c33c」抗原であることは,明らかといえる。 そして,前記「5(2)ア(相違点アについて)」で記載したとおり,本件明細書の記載から,本件発明1の「感受性チオール基をもつHCV抗原」には,「33C抗原」が含まれているといえる。 (イ)甲第3号証には,「GST-BanII/EcoRI」は,c33cフラグメントであり,102個のアミノ酸で構成され,c33c抗原の免疫優性エピトープが全て含まれていることが記載されている(上記(3a))。そして,本件明細書に記載されるように「感受性チオール基」は,抗原の活性に大きく影響するチオール基であることから,「GST-BanII/EcoRI」が「感受性チオール基」をもっている可能性は高といえるが,還元剤を処理した場合の感度が,処理しない場合に比べて有意に向上するか明らかでないため,「GST-BanII/EcoRI」が「感受性チオール基」をもっているかどうかは明らかでない。 (ウ)甲3発明の「抗原被覆常磁性微粒子」は,抗原である「GST-BanII/EcoRI」又は「C33c」を被覆したものであるから,本件発明1の「固相化された該抗原含有試薬」に相当する。 (エ)甲3発明の「血清」及び「常磁性微粒子イムノアッセイ」は,それぞれ本件発明1の「検体」及び「免疫学的方法により測定する」ことに相当する。また,甲3発明の「常磁性微粒子イムノアッセイ」は,HCV抗体を測定するためのものであることは,血清と反応させる抗原がHCV抗原であることから明らかである。 したがって,両者の間には,以下の一致点及び相違点がある。 (一致点) 検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するための33C抗原含有試薬において,固相化された33C抗原含有試薬であるHCV抗体測定用試薬である点。 (相違点エ) 本件発明1が,33C抗原含有試薬に還元剤を含有せしめるか又は固相化された該抗原含有試薬を還元剤で処理せしめるのに対して,甲3発明はGST-BanII/EcoRIおよびC33c遺伝子産物を精製する工程で還元型グルタチオンが添加されることから,精製されたGST-BanII/EcoRIおよびC33c遺伝子産物溶液中に還元型グルタチオンが含有されているといえ,常磁性微粒はこの溶液中に混合されることから,常磁性微粒を抗原で被覆する際に還元型グルタチオンが溶液中に存在していることになるが,被覆後,還元剤を含有しないPBSで良く洗い,還元剤を含有しないPBS中に希釈したものである点。 そこで,上記相違点について検討する。 甲3発明は,常磁性微粒,つまり固相を,C33c抗原,GST-BanII/EcoRI抗原でそれぞれ被覆する際に還元型グルタチオンが溶液中に存在しているといえ,被覆の際は抗原のチオール基は還元剤で保護されていると考えられる。しかしながら,甲3発明は,常磁性粒子を抗原で被覆した後,還元剤を含有しないPBS中で良く洗っている。そして,還元型グルタチオンは,グルタミン酸,システイン,グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり,水に良く溶ける性質であるから(「化学大辞典」東京化学同人 1998年第1版第5刷,「化学大辞典」共立出版 1993年縮刷版第34刷,グルタチオンの欄参照)PBS中で良く洗うことにより抗原被覆常磁性粒子から還元型グルタチオンは除去されるといえる。なお,通常,GST融合タンパク質をグルタチオンアガロースビーズを用いて精製する場合,溶出されたGST融合タンパク質含有液中の還元型グルタチオンを除去するために透析等の処理を行うが,甲3発明では,GCT融合抗原が常磁微粒子に被覆されていることから,透析膜を用いることなく,洗浄により抗原を失うことなく還元型グルタチオンを除去できるといえる。 このように,常磁性微粒子を被覆する際には,溶液中に還元剤が含有されているものの,その後還元剤は除去され,還元剤を含有しないPBS中に希釈し試薬となっていることから,甲3発明は,本件発明1の「固相化された該抗原含有試薬を還元剤で処理せしめる」構成を有しているとすることはできない。 したがって,本件発明1は,甲3発明と同一であるとすることはできない。 イ 本件発明2ないし9について 本件発明2ないし9は,前記「4(2)イ」に記載したとおりの限定事項を有するものである。 したがって,上記限定を省いた,本件発明1が,甲1発明と同一でない以上,本件発明2ないし9は,前記「8(2)ア」と同様の理由により,甲1発明と同一であるとすることはできない。 (3)まとめ 以上のとおり,本件発明1ないし9は,甲3発明と同一であるから特許法第184条の13で読み替えて準用する特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないとすることはできない。 9 無効理由5について (1)甲第1号証記載の発明 上記「4(1)」に記載したとおりのものである。 (2)甲第4号証記載の発明 「Ac316に感染させたS.frugiper細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し,50mMトリスHCl,pH8.0/2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)/0.1mMジチオスレイトール(1mlあたり100μlのフェニルメチルスルフォニルクロリドを含む)で超音波処理を施しな溶解し,10,000×gで遠心分離した後,その上清に対して硫酸アンモニウムを33%飽和溶液となるように添加することで分画し,遠心分離により沈殿を回収し,超音波処理を施しながら2mlのPBSに溶解して,部分精製されたHCVコアタンパク質を調製し,次いで,ELISAプレートのウエルを,PBSにより1:50に希釈した,上記精製されたHCVコアタンパク質含有PBS溶液100μlにより被覆し,25%ブロックエースを含むPBSによりブロッキングした,HCV感染の血清診断用ELISAプレート」(以下,「甲4発明」という。) (3)甲第11号証記載の発明 「S-セファロース上でのクロマトグラフィーから得たSOD-C33cを含有するプールされた画分を,緩衝液B(0.05M Tris HCl,pH7.5,14mM BME,1mM EDTA)で平衡化したQ-セファロースカラムを,緩衝液B中のNaCl0.0から0.4Mのグラジェントで溶出させ精製したSOD-C33cを得,0.125M Naホウ酸緩衝液,pH8.3,0.075M NaC1(BBS)中に0.1から0.5μgの前記精製したSOD-C33cを含有する標本を,マイクロタイタープレートの各ウェルに添加し,プレートを一晩インキュベートし,その後,HCV抗原液を除去し,ウェルを0.02%のTriton X-100(BBST)を含有するBBSで3回洗浄し,非特異的結合を阻害するため,BBS中のBSA溶液を100μm添加し,続いて室温でインキュベートして,このインキュベーションの後BSA溶液を除去することにより,ウェルをウシ血清アルブミン(BSA)で被覆して得られたマイクロタイタープレートであり,被覆されたウェル中の抗原を供給血液から採取した血清と反応させ,血清中のHCVに対する抗体を検出するためのマイクロタイタープレート」 (4)甲1発明,甲4発明及び甲11発明から把握できる発明 甲1,甲4及び甲11発明で固相化する抗原はいずれもHCV抗原である。そして,HCV抗原を固相化したいずれのプレートも,固相化されたHCV抗原含有試薬であり,HCV抗体を免疫学的方法により測定するのに用いるものである。 したがって,甲1,甲4及び甲11発明を総合すると以下の発明は本件出願前の周知技術であったといえる。 「検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するためのHCV抗原含有試薬において,固相化されたHCV抗原含有試薬であるHCV抗体測定用試薬」(以下,「周知発明」という。) (5)対比・判断 ア 本件発明1について 本件発明1と周知発明とを比較すると,両者は,検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するためのHCV抗原含有試薬において,固相化されたHCV抗原含有試薬であるHCV抗体測定用試薬である点で一致し,以下の点で相違する。 (相違点オ) HCV抗原が,本件発明1では,感受性チオール基をもつものであるのに対して,周知発明は,HCV抗原全般を意味するものである点。 (相違点カ) 本件発明1は,HCV抗原含有試薬に還元剤を含有せしめるか又は固相化された該抗原含有試薬を還元剤で処理せしめるのに対して,周知発明は,固相化されたHCV抗原含有試薬を還元剤で処理せしめるものではない点。 そこで,上記各相違点について検討する。 (相違点オについて) 本件明細書段落【0002】に「【従来の技術】C型肝炎ウイルス(HCV)による感染を診断する方法としては,1988年に米国カイロン社よりHCVゲノム上の非構造領域であるNS3およびNS4領域にコードされるC100-3抗原を使用したHCV抗体測定系が開発された。1991年には,HCVゲノム上の構造領域であるコア領域およびC100ー3抗原とは重複しないNS3領域にコードされるコア抗原およひ33C抗原の使用により更に感度および検出率の優れたHCV抗体測定系が開発された。」と記載され,また,33C抗原は,甲第11号証で検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するために用いられ,さらに,甲第12号証には,「ダイナボット社ではHCVの3種のリコンビナント抗原(pHCV-34,c100-3,pHCV-31)を用いた第二世代のHCV関連抗体測定系を開発した。」,「pHCV-31抗原はNC-3の33cおよびNS-4のc100-3の一部であるBCDに相当する。」と記載されていることから,33C抗原は,検体中のHCV抗体を免疫学的方法により測定するために用いられる抗原として,本件出願前に周知のものであったといえる。 そして,前記「5(2)ア(相違点アについて)」で記載したとおり,本件明細書の記載から,本件発明1の「感受性チオール基をもつHCV抗原」には,「33C抗原」が含まれているといえる。 そうすると,周知発明において,HCV抗原として,33C抗原を採用することに格別の困難性があるとすることはできない。 (相違点カについて) (ア)まず,甲各号証の還元剤の使用について検討する。 a 甲第1号証には,抗原抗体反応後に標識となるプローブ部分に対して作用させるために反応系に還元剤を添加することが記載され,甲第4号証及び甲第11号証には,抗原の精製工程で還元剤が用いられることが記載されているが,いずれも抗原試薬に還元剤を含有させ又は固相化抗原試薬を還元剤で処理するものではなく,このような還元剤の使用については記載も示唆もされていない。 b 甲第13号証に,鼻洗浄試料中の抗原を暴露するために粘膜及び細胞膜のジスルフィド結合を還元できる還元剤で試料を処理することにより,インフルエンザウイルスの測定のEIAの効率が改善することが記載され, 甲第14号証には,ヒト血液抽出物等から末端デオキシヌクレオチジル転移酵素を抽出する際に還元剤を含有した抽出液を用いることが記載され, 甲第15号証には,試料中に存在するクラミジア・トラコマティスの抗原を露出させるために還元剤を用いることが記載され, 甲第17号証には,クラミジア属の細菌の主要外膜タンパク質がジスルフィド結合により互いに結合しているので,これを検出する場合は,還元剤で処理することが有利であること記載され, 甲第23号証には,クラミジア・トラコマティス抗原の検出のために,当菌培地に還元剤を添加することで感度が向上することが記載され, 甲第32号証には,試料を還元剤で処理してHCVのコア抗原の抗原決定基を暴露することが記載され, 甲第33号証には,外生のタンパク質を可溶化し,クラミジア菌または淋菌から抗原を抽出するのに,還元剤を用いることが記載され, 上記甲各号証の記載から,細菌や細胞試料を還元剤で処理して抗原を露出させ,抗体との反応を促進することは,本件出願前の周知技術といえる。 c 甲第20号証には,クレアチンキナーゼのアイソザイムの測定において,還元剤を含有する緩衝液を用いてアイソザイムのスルフヒドリル基,つまりチオール基を保護することが記載され, 甲第24号証には,還元剤が,遊離SH基が活性の発現に必要な酵素タンパク質のSH基を保護,安定化することが記載され, 甲第25号証には,ゲル濾過において,酵素の安定化のために還元剤を添加することが記載され, 上記甲各号証に記載から,遊離SH基が活性の発現に必要な酵素の安定化のために還元剤を添加することは,本検出前の周知技術といえる。 d 甲第18号証には,抗A型インフルエンザ抗体を含む溶液を還元剤含有緩衝液で調製し,メンブレン上に固相化したA型インフルエンザ抗原と反応させることが記載され, 甲第19号証には,標識チロキシン抗チロキシン抗体を用いてたチロキシン測定用の緩衝液中であって,還元剤が含有されたものが記載され, 甲第31号証には,マラリア原虫感染動物血清をマラリア抗原コーテイングヒツジ赤血球で検出する場合,マラリア原虫感染動物血清を還元剤で処理すると,タイターの増加つまり,感度が向上することが記載され, 甲第34号証には,プロトロンビンで被覆したマイクロタイタープレートを用いて抗プロトロンビンを測定する際に,抗体添加後,還元剤含有緩衝液で洗浄し,また標識酵素の基質溶液中に還元剤を含有させることが記載され, 甲第35号証には,非A非B肝炎抗原に,抗体含有血清と補体を添加しインキュベート後,還元剤を添加し,赤血球を加えて凝集パターンから抗原の力価を求めることが記載され, 上記甲各号証の記載から,免疫測定系において,還元剤が添加される系があることも周知である。しかしながら,還元剤を添加せずに分析を行う場合が多いことにも注意を向ける必要がある。例えば,C型肝炎ウイルスの免疫アッセイについてみても,国際公開第92/13275号,特開平4-232465号公報,特開平4-99799号公報,特開平4-121192号公報(いずれも実施例を参照)に記載されるとおり,還元剤を用いることなく分析を行うことも通常行われているのであり,免疫測定系一般において還元剤を添加することが周知技術であったということはできない。 e 甲第30号証には,アルデヒド化合物を用いて不溶性支持体を抗原,抗体等の特異的結合性タンパク質でコーティングする際,還元剤を添加することにより,コーテイング溶液の免疫反応性が増大することが記載され,効果のメカニズムは知られていないとした上で,特異結合性タンパク質の酸化が防止されることによるものと思われると記載されている。一方で,実施例は,いずれも,抗血清,つまり抗体を不溶性支持体にコーテイングすることが記載され,コーテイング効率が増大すること,抗原との結合率が増大することが記載されているから,還元剤の添加目的は,アルデヒドを用いた固相への抗体の結合における抗体の安定化であり,還元剤が作用するものは抗体といえる。 (イ)一方,33C抗原は周知の抗原といえるものの,この抗原がもつチオール基が抗原の活性に大きく影響を与える「感受性のチオール基」であることは,本件明細書と鑑定書である乙第5号証で示された実験結果によって確認して知り得たことであり,「感受性のチオール基をもつHCV抗原」について記載或いは示唆した,本件出願前に頒布された証拠はない。 さらに,上記dに記載したとおり,チオール基が酸化されない状態でいることで安定性を保持する酵素に対して還元剤を添加して安定化することは周知であり,また,上記eに記載したとおり,アルデヒドを用いた抗原,抗体等の特異結合性タンパク質の固相化において,還元剤の添加により免疫反応性が増大することが知られていたとしても,一般に,抗原がチオール基をもっていても,そのチオール基が抗原活性に大きく影響するものであるかどうかは,抗原の種類により異なるというべきであり,33C抗原のチオール基が「感受性チオール基」であることが,上記周知技術から,本件出願前に自明であるということもできない。 また,甲第3号証にも記載されるように,33C抗原は遺伝子組換えで作製され精製されたものであるから,上記cに記載した周知技術のように抗原の露出が必要なものではない。 そうすると,上記甲各号証に記載された周知技術を考慮しても,33C抗原含有試薬に還元剤を添加せしめ又は固相化された33C抗原含有試薬を還元剤で処理する動機付けを見出すことはできず,周知発明において,HCV抗原として周知の33C抗原を選択することは,上記のとおり困難性があるとはいえないものの,固相化された33C抗原を還元剤で処理することは,当業者が容易になし得たことであるとすることはできない。 イ 本件発明2ないし9について 本件発明2ないし9は,前記「4(2)イ」に記載したとおりの限定事項を有するものである。 したがって,上記限定を省いた,本件発明1が,前記「9(5)ア」に記載したとおり,甲1,4,11発明から把握できる周知発明,及び周知技術から,当業者が容易に発明できたものでない以上,本件発明2ないし9は,前記「9(5)ア」と同様の理由により,甲1,4,11発明から把握できる周知発明,及び周知技術から,当業者が容易に発明できたものとすることはできない。 (6)まとめ したがって,本件請求項1ないし9に係る発明は,甲第1,4及び11号証に記載された先行技術並及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。 第5 むすび 以上のとおり,本件請求項1ないし9に係る発明についての特許は,特許法第29条第1項,同第2項の規定,または特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから,特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものであるとすることはできない。 また,審判に関する費用については,特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2010-09-15 |
出願番号 | 特願平4-270684 |
審決分類 |
P
1
113・
113-
Y
(G01N)
P 1 113・ 121- Y (G01N) P 1 113・ 161- Y (G01N) |
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
秋月 美紀子 |
特許庁審判官 |
郡山 順 竹中 靖典 |
登録日 | 2001-08-31 |
登録番号 | 特許第3225468号(P3225468) |
発明の名称 | 抗体測定用試薬 |
代理人 | 大崎 勝真 |
代理人 | 堀江 健太郎 |
代理人 | 川口 義雄 |
代理人 | 山本 陽介 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 長沢 幸男 |
代理人 | 矢倉 千栄 |