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審決分類 |
審判 判定 同一 属する(申立て成立) H01H |
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管理番号 | 1231509 |
判定請求番号 | 判定2010-600021 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2010-05-06 |
確定日 | 2011-01-27 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第4198564号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「押ボタンスイッチ」は、特許第4198564号発明の技術的範囲に属する。 |
理由 |
1.請求の趣旨・手続の経緯 (1)本件判定請求は、平成22年5月6日になされ、その請求の趣旨は、イ号図面及びイ号図面説明書に示すPS011シリーズの押ボタンスイッチ(以下「イ号物件」という。)は、特許第4198564号の発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 (2)本件判定請求人は、特許第4198564号の特許権者であり、別紙のイ号図面及びイ号図面説明書に示す押ボタンスイッチ(PS011シリーズ)を、被請求人台湾台北縣淡水鎮中正東路二段29號12樓 雄美企業有限公司が日本国内における展示会への出品及びユーザへの拡販活動を行っている事実を確認しており、本件特許発明は平成20年(2008年)10月10日に特許登録されており、本件判定請求人は、本件判定被請求人に対し、日本国内におけるイ号物件の販売及び拡販活動の自粛を求めるための証拠とするため、特許庁の公的な判断を求め判定請求を行っているものである。 (3)被請求人は、本件判定請求に対して答弁を行っていない。 2.本件特許発明 本件特許発明は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであって(以下、請求項1に係る発明を「本件特許発明」という。)、その構成要件を符号a?eを付して分説すると次のとおりである。 「【請求項1】 a.ケースの内壁の縦方向に半円形状の第1の係合溝と、 b.プランジャの外壁の縦方向に半円形状の第2の係合溝を形成し、 c.前記第1の係合溝と前記第2の係合溝とが対向して形成される円形状の係合溝の径よりは小さい径を有する丸ピンを前記円形状の係合溝に遊嵌するように配設し、 d.前記丸ピンをレールとして前記ケースに対する前記プランジャの移動をガイドさせ、滑らかな操作感を生み出す ことを特徴とする e.押ボタンスイッチ。」 3.イ号物件の構成の特定 判定請求書、判定請求書に添付されたイ号図面説明書及びイ号図面(甲第2号証)並びにイ号物件の解析結果(甲第3号証の写真1?12)を参照してイ号物件の構成の特定を以下に行う。なお、部材名(部材番号を含む。)は、押ボタンとしての通常の技術用語であるので、判定請求書において請求人が用いているものを採用した。 イ号物件として甲第2号証で示されているものは、PS011SERIESのLED PUSH BUTTON SWITCHで、これはLED押ボタンスイッチである。そして、 甲第3号証の写真2にも、イ号物件(写真左側)としてのLED押ボタンスイッチと本件特許発明(写真右側)の押ボタンスイッチの構成部品を並べて比較している。 イ号物件の部品名や部品箇所を、それに対応する本件特許発明の部品名や部品箇所で表現すると、 ・イ号物件は、甲第3号証の写真3?4からみて、四角状のケース内に復帰用コイルばねで付勢されたプランジャをケース内で上下に摺動させ、プランジャの上端部には操作面を備えるディフューザーが勘合されているLED押ボタンスイッチにおいて、ケースの内壁に外側に向かって凹型の半溝が上下方向に設けられている。 ・イ号物件は、甲第3号証の写真2及び写真6?7からみて、プランジャについて、外壁の上下方向に内側に向かって凹型の半溝が形成されていることが明らかである。 ・イ号物件は、甲第3号証の写真9?11からみて、ピンはケースの溝とプランジャの溝で形成された円形状の溝に嵌め合わせられていることが明らかである。イ号物件が押ボタンスイッチとして機能するためには、プランジャはケース内を上下動しなければならず、プランジャとケースはそれぞれの半溝が対向して形成された円形状の溝内に勘合された円形状の棒状体を介して摺動できる程度の間隙を有して嵌め合わされていることが明らかである。 ・甲第3号証の写真9、10(a)(b)、11(a)(b)から、ピンは直線状の真っ直ぐな円形状の棒状体であり、上記の構成を考慮すれば、プランジャ外壁はケース内壁とで形成された円形状の溝内の円形状の棒状体をレールとしてガイドされていることから、その移動も滑らかであることが明らかである。 ・また、ケースの内壁の凹型の半溝とプランジャの外壁の凹型の半溝とは、中に円形状の棒状体を勘合しているところからそれぞれ対向して円形状の溝を形成していることが明らかである。 以上のことから、判定請求書、判定請求書に添付されたイ号図面説明書及びイ号図面(甲第2号証)並びにイ号物件の解析結果(甲第3号証の写真1?12)を参照すると、イ号物件の構成は、次のとおり特定されるものである。(なお、その構成を符号A?Eを付して分説した。) A.四角状のケース内に復帰用コイルばねで付勢されたプランジャを該ケース内で上下に摺動させ、プランジャの上端部には操作面を備えるディフューザーが勘合されているLED押ボタンスイッチにおいて、ケースの内壁に外側に向かって凹型の半溝が上下方向に設けられ、 B.プランジャについて、外壁の上下方向に凹型の半溝が形成され、 C.円形状の棒状体はケースの凹型の半溝とプランジャの凹型の半溝がそれぞれ対向して形成された円形状の溝内に摺動できる程度の間隙を有して嵌め合わせられ、 D.プランジャは円形状の溝内に勘合された円形状の棒状体によりガイドされケースに対して上下方向に摺動する ことを特徴とする E.LED押ボタンスイッチ。 4.対比・判断 (1)構成要件aの充足性について イ号物件の「LED押ボタンスイッチ」は、本件特許発明の「押ボタンスイッチ」と同じ技術的分野に属する押ボタンスイッチである。 そして、本件特許発明の「押ボタンスイッチ」もイ号物件の「LED押ボタンスイッチ」と同じく、四角状のケース内に復帰用コイルばねで付勢されたプランジャを該ケース内で上下に摺動させ、プランジャの上端部には操作面を備えるディフューザーが勘合されている押ボタンスイッチであるから、イ号物件の「LED押ボタンスイッチ」は本件特許発明の「押ボタンスイッチ」に相当している。 イ号物件の構成Aの「外側に向かって凹型の半溝」、「上下方向」はそれぞれ本件特許発明の構成要件aの「半円形状の第1の係合溝」、「縦方向」にそれぞれ相当するから、イ号物件の構成Aのうちの「ケースの内壁に外側に向かって凹型の半溝が上下方向に設けられ」の構成と、本件特許発明の構成要件aの「ケースの内壁の縦方向に半円形状の第1の係合溝と」は一致する。 したがって、イ号物件の構成Aは本件特許発明の構成要件aを充足する。 (2)構成要件bの充足性について イ号物件のプランジャについての「凹型の半溝」、「上下方向」は本件特許発明のプランジャについての「半円形状の第2の係合溝」、「縦方向」にそれぞれ相当しているから、イ号物件の構成Bの「プランジャについて、外壁の上下方向に凹型の半溝が形成され」とする構成と、本件特許発明の構成要件bの「プランジャの外壁の縦方向に半円形状の第2の係合溝を形成し」とは一致する。 したがって、イ号物件の構成Bは本件特許発明の構成要件bを充足する。 (3)構成要件cの充足性について イ号物件の「円形状の棒状体」、「ケースの凹型の半溝」、「プランジャの凹型の半溝」、「円形状の溝」は、本件特許発明の「丸ピン」、「第1の係合溝」、「第2の係合溝」、「円形状の係合溝」にそれぞれ相当している。 そして、イ号物件において、「円形状の棒状体」が「円形状の溝内」を「摺動できる程度の間隙を有して嵌め合わせられ」ていることは、本件特許発明の「丸ピン」が「円形状の係合溝」の径よりは小さい径を有し、「円形状の係合溝」に遊嵌するように配設されていることに相当する。 してみれば、イ号物件の構成Cの「円形状の棒状体はケースの凹型の半溝とプランジャの凹型の半溝がそれぞれ対向して形成された円形状の溝内に摺動できる程度の間隙を有して嵌め合わせられ」とする構成と、本件特許発明の構成要件cの「第1の係合溝と第2の係合溝とが対向して形成される円形状の係合溝の径よりは小さい径を有する丸ピンを前記円形状の係合溝に遊嵌するように配設し」とは一致する。 したがって、イ号物件の構成Cは本件特許発明の構成要件cを充足する。 (4)構成要件dの充足性について イ号物件の「円形状の棒状体によりガイドされケースに対して上下方向に摺動する」は、円形状の棒状体をレールとしてケースに対するプランジャの移動をガイドされていることであり、その結果として、滑らかな操作感を生み出していることが技術的にみて明らかである。 してみれば、イ号物件の構成Dの「プランジャは円形状の溝内に勘合された円形状の棒状体によりガイドされケースに対して上下方向に摺動する」と、本件特許発明の構成要件dの「前記丸ピンをレールとして前記ケースに対する前記プランジャの移動をガイドさせ、滑らかな操作感を生み出す」とは一致する。 したがって、イ号物件の構成Dは本件特許発明の構成要件dを充足する。 (5)構成要件eの充足性について 上記4.(1)と同様に、イ号物件の「LED押ボタンスイッチ」と本件特許発明の「押ボタンスイッチ」とは一致している。 したがって、イ号物件の構成Eは本件特許発明の構成要件eを充足する。 以上のことから、イ号物件の構成A?Eは、本件特許発明の構成要件a?eの全てを充足する。 5.むすび 以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属する。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2011-01-18 |
出願番号 | 特願2003-325474(P2003-325474) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
YA
(H01H)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 横溝 顕範 |
特許庁審判長 |
川向 和実 |
特許庁審判官 |
田口 傑 小関 峰夫 |
登録日 | 2008-10-10 |
登録番号 | 特許第4198564号(P4198564) |
発明の名称 | 押ボタンスイッチ |