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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1232149
審判番号 不服2008-20006  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-06 
確定日 2011-02-18 
事件の表示 特願2007-531140「情報出力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月22日国際公開、WO2007/021249、平成20年 1月24日国内公表、特表2008-501490〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2006年8月2日を国際出願日とする出願であって、平成20年4月8日に手続補正がなされ、同年7月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月6日に拒絶査定に対する審判の請求がなされるとともに、同年9月5日に手続補正がなされたものである。
その後、前置報告書の内容について、審判請求人の意見を求めるために平成21年5月1日付けで審尋がなされ、同年7月6日に当該審尋に対する回答書が提出された。

第2 平成20年9月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成20年9月5日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、以下のとおり、補正前のものから補正後のものに補正された。

(補正前)
「ステージ面上に、その媒体面に所定の規則に基づいたドットパターンが印刷された媒体を前記ステージ面と対面させた状態で載置し、ステージ下空間に配置された撮像手段によって前記ドットパターンを読み取って、当該撮像手段から得られた撮影画像からドットパターンの意味するコード値又は座標値に変換し、該コード値又は座標値に対応した情報を出力する情報出力装置であって、
前記ステージ面の複数の媒体載置位置にはそれぞれ光透過性の読取孔が設けられており、
前記各読取孔に対応するステージ下空間にはそれぞれ撮像手段が前記読取孔上に載置された媒体の媒体面を撮像可能に配置された情報出力装置。」

(補正後)
「繰り返し配置されたコード値および/又は媒体の所定位置を示す座標値を定義した、所定の規則に基づいて形成されたドットパターンが印刷された媒体の媒体面を、該媒体を複数載置可能なステージ面上に、該ステージ面と対面させた状態で載置し、該ステージ面の直下に配置された複数の撮像手段により、該媒体面のドットパターンのうち、撮影範囲に入る一部のみを撮影し、撮影画像から該ドットパターンの意味するコード値および/又は座標値に変換し、該コード値および/又は座標値に対応した情報を出力する情報出力装置であって、
前記ステージ面の、前記複数の撮像手段の各々に対応した、複数の媒体載置位置には、それぞれ光透過性の、前記撮影範囲に対応した、少なくとも1つのコード値および/又は1組の座標値を読取可能な大きさの読取孔が設けられ、
前記ステージ下の空間は、前記撮像手段の分のみ確保されていることを特徴とした、情報出力装置。」

2.検討
上記補正は、補正前の「各読取孔に対応するステージ下空間にはそれぞれ撮像手段が・・・載置され」を「ステージ下の空間は、前記撮像手段の分のみ確保されている」(以下「特定事項」という。)という事項に変更する補正を含むものである。
請求人は、その補正の根拠について「この記載は、図1を根拠としています。
故に、本補正は新規事項の追加に当たるものではありません。」(平成20年9月5日提出の、審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書の2.(4)参照)と主張している。
上記特定事項について検討する。

(1)本願明細書等の記載
本願の願書に最初に添付した明細書又は図面の国内書面(以下「当初明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。
(a)「【発明を実施するための最良の形態】
【0110】
<第1の実施形態 マルチセンサゲーム機>
図1から図8は、本発明におけるカードゲーム装置の第1の実施形態を説明したものである。
【0111】
図1は、装置内部に複数のセンサを設置したカードゲーム装置の外観を示した正面図である。
【0112】
カードゲーム装置は、プレイヤが所有するカードを載置するためのカード配置パネルが設けられており、カード配置パネルには、後述するセンサユニットのセンサを照射させるための読取孔が16個設けられている。また、ゲームの進行状況等が表示されるディスプレイと、音楽や音声を発するためのスピーカが設けられている。
【0113】
また、カードゲーム装置の内部には、16個のセンサユニットが設けられており、センサユニットは、後述する如く、LAN又はHuBを介してドットコード出力制御ユニットに接続されている。更にドットコード出力制御ユニットはゲーム中央処理ユニットに接続され、ゲーム中央処理ユニットには、ディスプレイ、スピーカが接続されている。」
(b)図1は「本発明の第1の実施形態におけるカードゲーム装置を示す斜視図」(【図面の簡単な説明】参照)であって、同図からは、上記(a)に記載された事項が見て取れる。また、カードゲーム装置の内部には、16個のセンサユニット及び接続ケーブルと思われる線のみが図示されている。

(2)判断
これらの記載事項を参酌する限り、カードゲーム装置の内部に設けられている、16個のセンサユニットと「ステージ下の空間」との特定の関係を見て取ることは出来ない。また、カードゲーム装置の内部に16個のセンサユニット及び接続ケーブルと思われる線以外の部材が設けられているかどうかも明らかではない。
してみると、上記特定事項が図1に記載されているとすることは出来ない。
また、当初明細書等のすべての記載を参酌しても、上記特定事項に記載されたようなセンサユニットと「ステージ下の空間」との特定の関係を見て取ることは出来ない。
すなわち、上記特定事項は、当初明細書等には記載された事項とすることは出来ない。また、上記特定事項が、当業者にとって自明な事項であるともいえない。

したがって本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでない。

以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。

第3 本願発明について
平成20年9月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年4月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのもの(以下「本願発明」という。)である。(上記第2の1.の(補正前)参照。)
1.引用刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開2004-41740号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(1a)「【0001】 【発明の属する技術分野】
本発明はカードをプレイフィールド上に並べることによりカードの裏面に記憶されたカードデータを自動的に読み取ってプレイフィールド上に載置されたカードデータの組合せに応じたゲーム内容で所定のビデオゲームを進行させるよう構成されたカードゲーム装置及びカードゲーム制御方法及びカードデータ読み取り装置及び記録媒体及びプログラム及びカードに関する。」
(1b)「【0063】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明になるカードゲーム装置の一実施例の全体構成を示す斜視図である。図2は本発明になるカードゲーム装置の各プレイヤが操作する端末装置を示す斜視図である。
図1及び図2に示されるように、カードゲーム装置10は、2台の大型パネルディスプレイ12と、大型パネルディスプレイ12の表示制御を行うメイン制御部14と、メイン制御部14と通信可能に接続された複数(本実施例では8個)の端末装置16a?16hとから構成されている。
【0064】
本実施例のカードゲーム装置10では、サッカーゲームを行えるようになっており、サッカー以外のスポーツ競技(例えば、野球やラグビー、アメリカンフットボール、ホッケーなどのチームで対戦する競技)にも適用できるのは、勿論である。
大型パネルディスプレイ12は、サッカー場の全体画像、全席の試合ダイジェスト、全席の試合結果などの画像が表示される。初めてゲームに参加するプレイヤは、最初にゲームに必要なスタートセット(アイテム)を購入して端末装置16a?16hが設置された各席に着席する。このスタートセットには、練習結果や試合結果等を記録する記録媒体として使用されるICカード(メモリカード)18と、各サッカー選手の写真が印刷された11枚の選手カード20とが含まれる。
【0065】
尚、選手カード20は、後述するように表面に夫々異なる選手の写真が印刷され、裏面には表面に印刷された選手個人を識別するためのデータパターン(識別コード)が記録されている。また、ICカード18は、少なくとも当該プレイヤが所有する選手カード20の種類及びカードデータに対応する選手のスキル及び過去のゲーム結果が記憶されている。そのため、ICカード18に記憶された情報を読み取ることによりゲームに必要なデータが得られると共に、プレイヤ22がゲームに参加する資格を有していることを確認することができる。
【0066】
端末装置16a?16hは、夫々同一構成であるので、ここでは端末装置16aについて説明する。
端末装置16aは、プレイヤ22が所有する選手カード20を載置するための選手カード配置パネル24と、プレイヤ22が作ったサッカーチームの練習や試合の画像が表示されるモニタ26と、ICカード18が挿入されるICカードリードライト28と、ゲーム終了後に選手カードが払い出されるカード発行部30とが設けられている。また、選手カード配置パネル24の左側には、作戦メニューを選択指示するための作戦指示釦32a?32cが設けられ、選手カード配置パネル24の右側には、選手パワー等を指示する入力釦34a,34bが設けられている。プレイヤ22は、作戦指示釦32a?32cを操作することにより、練習や試合中に選手に指示を与えられる。すなわち、プレイヤ22は、作戦指示釦32a?32cを操作して、例えば、サイド攻撃など戦術の指示を行ったり、ゴールへのシュートを指示したり、モニタ26に表示される試合場面のカメラを切り替えたりできる。」
(1c)「【0069】
また、各端末装置16a?16hは、CPU62、メモリ(RAM)64、入出力インターフェース66、サウンド回路68、グラフィック表示回路70を有する。メモリ(RAM)64には、モニタ26に表示される各種画像データ(例えば、各種ゲーム選択画像や各選手のプレイ画像等)、及び制御プログラムが格納されている。入出力インターフェース66は、メイン制御部14の他にICカードリードライト28、選手カード20の裏面に記憶されたカードデータを読み取るためのイメージセンサ56及びモニタ26を操作するためのスイッチ72が接続されている。サウンド回路68は、モニタ26に表示される各種画像に応じた音声を出力するサウンドアンプ74に接続されている。グラフィック表示回路50は、CPU62からの制御信号により選択された画像をモニタ26に表示させる。
【0070】
図4は選手カード配置パネル24を上からみた平面図である。図5は選手カード配置パネル24が取り付けられた筐体76の縦断面図である。
図4及び図5に示されるように、選手カード配置パネル24は、筐体76の上面開口76aを塞ぐように取り付けられた透明なガラス板78と、ガラス板78の上面に積層された薄いプレイフィールド用シート80とから構成されている。
【0071】
選手カード20は、プレイフィールド用シート80の上面に載置される。そして、筐体76の内部には、選手カード配置パネル24に載置された選手カード20の裏面に赤外線(不可視光)を照射する光源82と、光源82から発光された光から可視光を除去する第1フィルタ84と、選手カード配置パネル24上に載置された選手カード20の裏面に記憶されたカードデータのパターンを撮像するイメージセンサ56と、選手カード20の裏面で反射した反射光を上方へ反射させる第1反射板86と、第1反射板86で反射した反射光(不可視光)をイメージセンサ56に導く第2反射板88と、反射板86,88で反射した反射光に含まれる外乱光(可視光)を除去する第2フィルタ90とが取り付けられている。光源82は、赤外線あるいは紫外線のような肉眼で見えない不可視光を発光する発光ダイオード(LED)からなる。もちろん、光源82から可視光が発光されないときは第1フィルタ84を除くことができる。
【0072】
第1反射板86は、水平に設けられた選手カード配置パネル24に対して所定の傾斜角度αで傾斜するように筐体76の下側傾斜部76bに支持されている。また、第2反射板88は、第1反射板86の取付角度に応じた傾斜角度で取り付けられている。
【0073】
筐体76は、下側傾斜部76bを有するため、プレイヤ22が着席したとき、プレイヤ22の足が下側傾斜部76bの下方に挿入させることができる。そのため、プレイヤ22は、選手カード配置パネル24上に選手カード20を並べる際に選手カード配置パネル24の奥の位置まで手を伸ばすことが可能になり、選手カード配置パネル24の全面のどこでも選手カード20を載置させることができる。
【0074】
密閉された筐体76の内部からは、光源82から可視光をカットされた赤外線(不可視光)が選手カード配置パネル24に照射されているため、選手カード配置パネル24を上からみても筐体76の内部を覗くことはできない。
【0075】
図6は端末装置16aの選手カード配置パネル24及び操作部を拡大して示す平面図である。
図6に示されるように、筐体76の上面には、選手カード配置パネル24と、プレイヤが操作する作戦指示釦32a?32c及び入力釦34a,34bが設けられている。選手カード配置パネル24の上面には、レギュラー選手となる選手カード20を配置するための出場選手カード配置領域92と、控えの選手となる選手カード20を配置するためのサブ選手カード配置領域94とが形成されている。
【0076】
また、プレイヤ22は、手持ちの選手カード20の中から出場選手カード配置領域92の11枚の選手カード20を配置することができ、サブ選手カード配置領域94には5枚までの選手カード20を控えの選手として配置させることができる。」
(1d)「【0088】
図9は選手カード20の裏面に記憶されたカードデータの一例を示す図である。
図9に示されるように、選手カード20の裏面には、不可視光で見ると白と黒で印刷されたパターンがカードデータ112の記録部として記録されている。このカードデータ112は、黒部分が通常肉眼では見えないが赤外線などの不可視光を吸収する特殊なインクで印刷されている。選手カード20の裏面の白部分113は、不可視光が照射されると反射する紙やインクでできている。そのため、光源82からの不可視光は、選手カード20の裏面に照射されると、カードデータ112の黒部分を除く白部分に照射された不可視光のみが反射してイメージセンサ56に入射してカードデータ112のパターンが撮像される。
【0089】
また、カードデータ112は、上側を除く左側、右側、下側の3方が黒枠112a?112cで囲まれた記憶領域112dに四角形状に形成された黒部分112eと白部分112fのパターンを1ビットとして、例えば縦方向に8ビット、横方向に3ビットの白黒パターンが検出されるように印刷されている。
【0090】
また、カードデータ112の上側のみ黒枠が設けられていないので、黒枠112a?112cの位置から選手カード20の角度を判別することができる。また、カードデータ112の周囲が白であるので、カードデータ112の輪郭を容易に抽出することができる。」
(1e)「【0093】
ここで、選手カード20の裏面に記憶されたカードデータの識別方法について説明する。
図10は選手カード配置パネル24に載置された選手カード20の裏面に記憶されたカードデータを認識するための制御処理を示すフローチャートである。
【0094】
図10に示されるように、端末装置16aのCPU62では、コインが投入されると、S11でメディアンフィルタを用いてノイズカット処理を行う。このノイズカット処理により、イメージセンサ56の画素欠けなどのノイズを除去する。
【0095】
ここでは、読み取りコードの各ビットが並んだ横方向について、全てのドットを対象とし、対象として選んだ1ドット及びその左右(横方向)に隣接する1ドットを選択する。図11(A)に選択した3ドットの一例を示す。ここでは各ドットを示す矩形内にそのドットの輝度値を表示している。この3ドットの輝度値を昇順にソートして中間の値を求める。図11(B)では、左のドットの輝度値21が中間の値である。この中間の値を対象ドット(中央のドット)の輝度値として図11(B)に示すように更新する。
・・・
【0111】
次のS17では、上記のように求めた位置座標、角度から輝度の画像を切り出し、図18に示すようにある範囲の左右の輝度差から、例えば、左右輝度差が白黒=0,黒白=1を読み出す。そして、選手カード20の裏面に記憶されたカードデータ112の白黒パターンから24ビットのIDコード(カード表面に印刷された選手の識別コード)を検出する。」
(1f)「【0146】
次のS52において、プレイヤ22が図6に示すように、少なくともスタメンとなる11枚の選手カード20を選手カード配置パネル24上に並べると、S53で選手カード20の配置を確認する。そして、S54で配置終了の入力操作があると、S55に進み、選手カード配置パネル24上に載置された11枚の選手カード20の識別コードを読み取ってスタメンデータとして記録する。
【0147】
S56では、モニタ26に試合前練習画面を表示する。試合前練習画面としては、例えば、図30(A)に示すような育成メニュー画面130と、図30(B)に示すような各練習画面132と、図30(C)に示すような練習結果から各項目別ポイントを加算したチーム総合力評価画面134とが順次、モニタ26に表示される。
【0148】
次のS57では、試合前ミーティング画面をモニタ26に表示させる。続いて、S58では、他のプレイヤの準備待ち状態となる。
【0149】
図26に示すS59では、試合開始アナウンス画面をモニタ26に表示させる。続いて、S60に進み、選手入場及びスタメン選手名の表示など試合開始時演出画面をモニタ26に表示させる。
【0150】
S61では、当該プレイヤチームと他のプレイヤチームとの試合前半画面136をモニタ26に表示させる。試合開始直後のプレイヤ22は、図31に示されるように、最初にスタメンとなる11枚の選手カード20を選手カード配置パネル24上に載置させたままモニタ26に表示される各選手の動きをみる。」

これらの記載を総合すると、引用文献1には以下の発明が記載されているものと認められる。
「筐体(76)の上面には、選手カード配置パネル(24)が設けられ、選手カード配置パネルの上面には、レギュラー選手となる選手カード(20)を配置するための出場選手カード配置領域(92)と、控えの選手となる選手カードを配置するためのサブ選手カード配置領域(94)とが形成され、筐体の内部には、選手カード配置パネル上に載置された選手カードの裏面に記憶されたカードデータ(112)のパターンを撮像するイメージセンサ(56)が設けられ、選手カードの裏面に記憶されたカードデータの白黒パターンから24ビットの、選手の識別コードであるIDコードを検出し、識別コードに対応する選手をモニタ(26)に表示するカードデータ読み取り装置。」(以下「引用文献1記載の発明」という。)

3.対比
そこで、本願発明と引用文献1記載の発明とを比較すると、引用文献1記載の発明の「筐体の上面」が、本願発明の「ステージ面」に相当する。
以下同様に、
「裏面にカードデータのパターンが記憶された選手カード」が「その媒体面に所定の規則に基づいたドットパターンが印刷された媒体」に、
「筐体の内部に設けられた、イメージセンサ」が「ステージ下空間に配置された撮像手段」に、
「選手カードの裏面に記憶されたカードデータの白黒パターンから24ビットの、選手の識別コードであるIDコードを検出」が「撮影画像からドットパターンの意味するコード値又は座標値に変換」に、
「レギュラー選手となる選手カードを配置するための出場選手カード配置領域と、控えの選手となる選手カードを配置するためのサブ選手カード配置領域」が「複数の媒体載置位置」に、
「識別コードに対応する選手をモニタに表示するカードデータ読み取り装置」が「コード値又は座標値に対応した情報を出力する情報出力装置」に、それぞれ相当する。
また、引用文献1記載の発明の各「選手カード配置領域」が光透過性の読取孔を構成していることは明らかである。

したがって両者は、
「ステージ面上に、その媒体面に所定の規則に基づいたドットパターンが印刷された媒体を前記ステージ面と対面させた状態で載置し、ステージ下空間に配置された撮像手段によって前記ドットパターンを読み取って、当該撮像手段から得られた撮影画像からドットパターンの意味するコード値又は座標値に変換し、該コード値又は座標値に対応した情報を出力する情報出力装置であって、
前記ステージ面の複数の媒体載置位置には光透過性の読取孔が設けられており、
前記読取孔に対応するステージ下空間には撮像手段が前記読取孔上に載置された媒体の媒体面を撮像可能に配置された情報出力装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]本願発明では、光透過性の読取孔が、複数の媒体載置位置にそれぞれ設けられており、撮像手段が、各読取孔に対応するステージ下空間にそれぞれ配置されているのに対して、引用文献1記載の発明では、撮像手段は1つであって、読取孔が媒体載置位置ごとに設けられているかどうか不明な点。

4.判断
上記[相違点]について検討する。
ステージ面上に載置した複数のカードのデータを撮像手段によって読み取る装置において、カード載置位置ごとに読取孔を設け、各読取孔に対応させて複数の撮像手段を配置することは、当該技術分野における周知技術(特開2004-229836号公報参照)であり、引用文献1記載の発明に当該周知技術を採用し、上記相違点に係る構成を採用することは、当業者が容易になし得る事項である。

また、本願発明の作用効果も、引用文献1記載の発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用文献1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は上記回答書において「本件補正後の請求項は、いずれも出願当初の明細書及び図面に記載されているものであり、出願の分割を行いたいから面接を希望する」旨要望したが、上記「第2」に示したとおり、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでないから、本件補正に基づく分割出願は適法なものではない。したがって、請求人の上記要望を受け入れることに意義を見いだせないことから、面接は行っていない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-16 
結審通知日 2010-06-21 
審決日 2010-07-02 
出願番号 特願2007-531140(P2007-531140)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松川 直樹  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 村田 尚英
伊藤 幸仙
発明の名称 情報出力装置  

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