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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F17C |
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管理番号 | 1232706 |
審判番号 | 不服2007-32630 |
総通号数 | 136 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-12-03 |
確定日 | 2011-02-28 |
事件の表示 | 特願2002-592163「高流量でのガス送出」拒絶査定不服審判事件〔平成14年11月28日国際公開、WO02/95797、平成16年 9月 9日国内公表、特表2004-527712〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯と本願発明 本願は、2001年12月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年1月5日、米国)を国際出願日とする出願であって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年11月16日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。 「貯蔵容器において液化圧縮ガスの温度を制御する方法において、 a.液化圧縮ガスを貯蔵容器に送り、 b.圧縮ガス貯蔵容器の壁に温度測定手段を配置し、 c.貯蔵容器に接近させて少なくとも1個の加熱手段を配置し、 d.貯蔵容器内の圧縮ガスの温度を温度測定手段で監視し、 e.貯蔵容器内の出口に圧力測定手段を配置して容器圧を監視し、そして f.加熱手段の出力を調整して貯蔵容器内の液化圧縮ガスを加熱する、 ことを含み、 温度測定手段及び圧力測定手段は、加熱手段の出力を調整するために使用される液化圧 縮ガスの温度制御法。」 2.引用発明および周知技術 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-277380号公報(以下、「引用例1」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 ア「この発明は、液化状態からのガスの制御配給システム、及びこれを備えた半導体処理システムに関する。本発明は又液化状態からのガスの制御配給方法に関する。」(第5欄第10行?第13行) イ「本発明の目的は、液化状態からガスを制御配給する新規なシステムを提供するもので、このシステムは液化ガスを含むシリンダーの圧力を正確に制御し、これと同時にシリンダーから引かれるガス中に入った液滴を最小にするものである。」(第9欄第25行?第29行) ウ「さらに本発明の目的は、液化ガスからガスを制御配給する進歩性のあるシステムを備えた半導体プロセスシステムを提供することにある。」(第9欄第36行?第38行) エ「図13の概略ダイヤグラムに戻って、このシステムは、伝熱速度増加手段308と過熱手段306 とを統括的に制御する手段をさらに備えることができる。この制御手段は、シリンダーの圧力と温度とを、また、減圧手段304 の上流側のシリンダーから引かれたガスを過熱する度合いを正確に制御することができる。従って、一定のシリンダー圧力、環境温度もしくは環境温度よりもやや低いシリンダー温度、および膨脹前のガス過熱の所望する度合いを全て得ることができる。」(第19欄第30行?第20欄第3行) オ「適切な制御手段は公知であり、例えば、一又は二以上のプログラム可能な論理制御器(PLCs)またはマイクロプロセッサーがある。圧力センサー310 は、シリンダー310 の出口で圧力をモニターする。圧力センサーで読まれる圧力は、気化が生じる圧力を示し、さらに伝熱速度増加手段を調整するコントローラー314 に入力する。この調整は、例えば、瞬間的な圧力値とその履歴に基づくことができる。選択的に、シリンダー過熱センサー316 をも設けて、所定の温度リミットを越えたときにコントローラーを無視するようにすることもできる。」(第20欄第4行?第14行) また、上記オの「圧力センサー310 は、シリンダー310 の出口で圧力をモニターする。圧力センサーで読まれる圧力は、気化が生じる圧力を示し、さらに伝熱速度増加手段を調整するコントローラー314 に入力する。」の記載及び図13より、圧力センサー310は出口で圧力を測定しており、当該圧力はガスシリンダー内の圧力を測定しているのは、技術的に明らかである。また、ガス容器と導管が通じている構成において、導管の圧力を測定することにより容器内にあるガスの圧力を測定することはガス容器の技術分野において周知技術(実願昭60-82491号(実開昭61-198800号)のマイクロフィルムを参照のこと)でもあり、当該周知技術からも前記オの記載と図13の記載より引用例1に記載された発明が「ガスシリンダーの容器圧」を測定していることは明らかである。 また、上記エの「図13の概略ダイヤグラムに戻って、このシステムは、伝熱速度増加手段308と過熱手段306とを統括的に制御する手段をさらに備えることができる。この制御手段は、シリンダーの圧力と温度とを、また、減圧手段304 の上流側のシリンダーから引かれたガスを過熱する度合いを正確に制御することができる。」の記載、上記オの「さらに伝熱速度増加手段を調整するコントローラー314 に入力する............選択的に、シリンダー過熱センサー316 をも設けて、所定の温度リミットを越えたときにコントローラーを無視するようにすることもできる。」の記載、そして図13より、コントローラーが伝熱速度増加手段308を制御していること及び、シリンダー過熱センサー316とコントローラーが接続され、シリンダー過熱センサーの温度リミットを越えたときにコントローラーを無視するような制御を行っている構成が記載されていることから、シリンダー過熱センサー316がコントローラーを介して伝熱速度増加手段308の出力を調整していることは明らかであり、またシリンダー過熱センサーがガスシリンダーの温度を監視するものであることも明らかである。 したがって、上記引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 「ガスシリンダーにおいて液化ガスの温度を制御する方法において、 a.液化ガスをガスシリンダーに送り、 b.ガスシリンダーにシリンダー過熱センサーを配置し、 c.ガスシリンダーに接近させて少なくとも1個の伝熱速度増加手段を配置し、 d.ガスシリンダーの温度を過熱センサーで監視し、 e.ガスシリンダー内の出口に圧力センサーを配置して容器圧を監視し、そして f.伝熱速度増加手段を調整してガスシリンダー内の液化ガスを加熱する、ことを含み、 シリンダー過熱センサー及び圧力センサーは、伝熱速度増加手段の出力を調整するために使用される液化ガスの温度制御法。」 3.対比 本願発明と引用発明1とを対比するに、引用発明1の「ガスシリンダー」、「液化ガス」、「シリンダー過熱センサー」、「伝熱速度増加手段」、「圧力センサー」は、それぞれ本願発明の「貯蔵容器」、「液化圧縮ガス」、「温度測定手段」、「過熱手段」、「圧力測定手段」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明1は 「貯蔵容器において液化圧縮ガスの温度を制御する方法において、 a.液化圧縮ガスを貯蔵容器に送り、 b.圧縮ガス貯蔵容器に温度測定手段を配置し、 c.貯蔵容器に接近させて少なくとも1個の加熱手段を配置し、 d.貯蔵容器の温度を温度測定手段で監視し、 e.貯蔵容器内の出口に圧力測定手段を配置して容器圧を監視し、そして f.加熱手段の出力を調整して貯蔵容器内の液化圧縮ガスを加熱する、 ことを含み、 温度測定手段及び圧力測定手段は、加熱手段の出力を調整するために使用される液化圧縮ガスの温度制御法。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 相違点1 本願発明の温度測定手段が貯蔵容器の壁に温度測定手段を配置して圧縮ガスの温度を測定しているのに対して、引用発明1のシリンダー過熱センサー(温度測定手段)をどのように配置しているのかが不明な点 相違点2 本願発明の温度測定手段が貯蔵容器内の圧縮ガスの温度を測定しているのに対して、引用発明1のシリンダー過熱センサー(温度測定手段)が、液化ガス(圧縮ガス)の温度を測定しているのか貯蔵容器等の温度を測定しているかが不明な点 4.相違点の検討 上記相違点について検討する 相違点1について 容器の温度測定の技術分野において「貯蔵容器の壁に温度測定手段を配置して温度を測定する」ことは周知技術(実願平3-47965号(実開平4-132300号)のマイクロフィルム、特開平8-21560号公報、特開平10-26298号公報を参照こと)であることから、当該周知技術の構成を引用発明1に用いて、引用発明1のシリンダー過熱センサー(温度測定手段)をガスシリンダー(貯蔵容器)の壁に配置し、本願の相違点1に係る構成のようにすることは当業者にとり格別な困難性のないものであり、容易になし得たものである。 相違点2について 容器の温度測定の技術分野において「貯蔵容器内の物質の温度を測定する」ことは周知技術(特開平8-21560号公報、特開平10-26298号公報を参照こと)であることから、当該周知技術の構成を引用発明1に用いて、引用発明1のシリンダー過熱センサー(温度測定手段)をガスシリンダー(貯蔵容器)の内部の液化ガス(圧縮ガス)の温度を測定し、本願の相違点2に係る構成のようにすることは当業者にとり格別な困難性の無いものであり、容易になし得たものである。 5.まとめ 以上の通り本願発明は、上記引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-10-15 |
結審通知日 | 2009-10-20 |
審決日 | 2009-11-04 |
出願番号 | 特願2002-592163(P2002-592163) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F17C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 白川 敬寛 |
特許庁審判長 |
千馬 隆之 |
特許庁審判官 |
谷治 和文 佐野 健治 |
発明の名称 | 高流量でのガス送出 |
代理人 | 倉内 基弘 |
復代理人 | アクシス国際特許業務法人 |