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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T
管理番号 1233555
審判番号 不服2009-17089  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-14 
確定日 2011-03-11 
事件の表示 特願2003-403266「画像抽出方法、該方法をコンピュータに実行させるプログラム及び該プログラムを格納した記録媒体並びに画像抽出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月 2日出願公開、特開2004-246868〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成15年12月2日の出願(国内優先権主張 平成15年1月22日)であって、平成21年3月19日付け拒絶理由通知に対して平成21年5月22日に手続補正書が提出されたが、平成21年6月10日付けで拒絶査定され、これに対して平成21年9月14日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成21年9月14日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成21年9月14日付けの補正を却下する。

[理由]

1.本件補正の内容

(1)本件補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりのものである。
(以下、これを「審判請求時補正請求項1」とし、この請求項1についての補正を「当該補正」と記す。)

【審判請求時補正請求項1】
複数の画像の中から画像を抽出する画像抽出方法であって、
前記複数の画像を複数のグループに分割する分割ステップと、
ユーザの操作に応じて前記複数のグループ毎にそれぞれのグループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を設定する設定ステップと、
前記複数のグループ毎にそれぞれのグループに属する画像に対してユーザにより設定された評価を認識する認識ステップと、
前記認識した評価に基づいて前記複数のグループ毎にそれぞれのグループに属する画像の中から前記設定された数の画像を抽出する抽出ステップと、
を有することを特徴とする画像抽出方法。

2.当該補正の適否

当該補正により、「ユーザの操作に応じて前記グループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を設定する設定ステップ」が「ユーザの操作に応じて前記複数のグループ毎にそれぞれのグループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を設定する設定ステップ」と補正された。すなわち、補正後の内容は、グループ毎に抽出枚数を個別に設定することを包含するものである。
しかしながら、出願当初の明細書又は図面を見ても、グループ毎にそれぞれのグループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を設定することは記載も示唆もされていない。

出願人は、当該補正の根拠について、審判請求の理由において『補正の根拠は、図2のフローチャートの内容と、このフローチャートに記載された、ステップS202、ステップS203、ステップS204及びステップS205(全グループで終了するまでループ)に関する明細書中の説明個所です。請求項に記載された「抽出する画像数の設定」の補正の根拠は、明細書中の段落〔0049〕〔0065〕の記載にあります。』と述べている。
しかし、「各グループから抽出すべき画像の抽出枚数を入力する(ステップS203)」(【0049】)、「さらに、各グループから抽出すべき画像の抽出枚数を入力する(ステップS203)」(【0065】)、図2等の記載をみても、グループ毎に抽出すべき画像の数を設定することまでは記載されていない。

そして、
「さらに、各グループから抽出すべき画像の抽出枚数を入力する(ステップS203)ので、グループによって異なる「お気に入り度」が入力されても複数枚の画像の中から、入力の順番に拘わることなく平等に所定枚数の画像を抽出することができる。」(【0065】)、
「ステップS203の処理によれば、分割されたグループから抽出すべき画像の抽出数を入力するので、ステップS204においてグループによって異なる「お気に入り度」の点数が入力されても、入力の順番に拘わることなく、ステップS207において複数枚の画像の中から平等に所定枚数の画像を抽出することができ、もって、全体に亘って所定の基準が維持されたフォトアルバムを作成することができる。」(【0066】)、
「ステップS204の評価値入力処理で、例えば、最初のうちは「お気に入り度」の点数が低く、該処理が進むにつれて点数が高くなるということ、即ち、ステップS207において抽出される画像がステップS204の後半に「お気に入り度」の点数が入力された画像だけに集中して前半の画像からの抽出漏れが生じるという問題が生じる場合がある。これは、大量の画像に対する評価を連続して入力する際に、全体としてほぼ統一した評価基準を維持しながら「お気に入り度」の点数を入力することが、精神的に非常に困難であるからである。これに対して、ステップS202?S203の処理の結果、各グループから抽出された画像がフォトアルバム全体に亘って分布することになるので、抽出漏れや、偏りの少ないフォトアルバムを作成することができる。」(【0068】)、
「例えば、抽出枚数の総数が100枚であるときには、例えば、画像データのファイル名順や、画像の属性情報として記録されている日付・日時順に並べた場合に、その並びで、例えば1/4である25枚ずつのグループに分割してもよい。」(【0086】)、
「また、ステップS203において、各グループからの抽出枚数を入力するとしたが、これに代えて、例えば電子的なフォトアルバムの作成に必要な所定枚数を入力することにより、所定枚数をグループの分割数nで割った値を各グループからの抽出枚数をとしてもよい。」(【0091】)
の記載等を勘案すれば、各グループは単純にn分割された均等枚数から構成されるものであるから、「それぞれのグループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を設定する」ことは、「平等に所定枚数の画像を抽出すること」、「各グループから抽出された画像がフォトアルバム全体に亘って分布すること」と整合しない。

さらに、
「この場合には、「お気に入り度」入力画面300上に「訪問地の変化」に類するチェックボタンを別途用意しておき、ユーザは画像に対する評価を時系列順に入力すると共に、訪問地が変わったときの画像に対して、上記チェックボタンを有効にする。例えば、訪問地Aの画像に対する評価が終了し、訪問地Bに変わった時点で、その画像に対してチェックボタンを有効にする。その後のステップS207では、このチェックボタンに基づいて訪問地毎のグループに分割した上で画像抽出処理を行う。」(【0085】)
の記載によれば、分割された各グループ毎に枚数が変わり得るものの、各グループから抽出する枚数をグループ毎に設定することは記載も示唆もされていないし、各請求項に係る発明の「グループ」を、分割数nで割ったグループではなく、チェックボタンに基づいて分割された訪問地毎のグループであると認定することはできない。
当該記載を、「ユーザの操作に応じて前記複数のグループ毎にそれぞれのグループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を設定する」と同然と理解することはできないから、自明とは言えない。

したがって、当該補正は平成18年改正前特許法第17条の2第3項で規定する補正の要件を満たすものではないから、同条同項の規定に違反するするものである。
よって、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(なお、補正された請求項2?4および12?15の各請求項についても同様に判断される。)

第3 本願発明について

1.本願発明の認定

平成21年9月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成21年5月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?20に記載した事項により特定されるとおりのものと認められる。
この内、請求項1に係る発明は、下記のとおりである。

【請求項1】
複数の画像の中から画像を抽出する画像抽出方法であって、
前記複数の画像を複数のグループに分割する分割ステップと、
ユーザの操作に応じて前記グループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を設定する設定ステップと、
前記グループに属する画像に対してユーザにより設定された評価を認識する認識ステップと、
前記認識した評価に基づいて前記グループに属する画像の中から前記設定された数の画像を抽出する抽出ステップと、
を有することを特徴とする画像抽出方法。
(以下、これを「本願発明」とする。)

2.引用刊行物に記載の発明

原査定の拒絶理由に引用された刊行物1(特開平2002-23277号公報;公開日平成14年1月23日)には、以下の(ア)から(イ)の事項が図面とともに記載されている。

(ア)「【請求項1】
顧客が撮影した画像をデジタル画像データとして入力し、該入力したデジタル画像データと、該デジタル画像データを1件ごとにカテゴライズし、該カテゴライズにより得られるカテゴリを識別するカテゴリ識別情報、前記1件分の画像データを識別する件識別情報および顧客情報を、ともに、データベースに保存し、
予め設定されているサービスの中から、予め顧客が選択したサービスの種類に応じて、所定の時期に、前記カテゴリ識別情報、件識別情報および顧客情報を用いて前記保存された画像データから、前記サービスの種類に対応した画像データを選択して、画像処理を施し、前記サービスの種類に対応した形態で出力することを特徴とする写真パックサービス方法。」

(イ)「【0023】
まず本発明の第一実施形態として、アルバムの作成について説明する。
例えば、子供の誕生をきっかけとして、子供の成長記録を撮ろうと、写真を撮り始めたりすることがよくあるが、あっという間に写真の枚数が増えて、とても整理が追いつかないという状況に陥りがちである。そのようなとき、本発明の写真パックサービスを利用すれば、顧客はただ写真を撮影するのみでよく、あとは一切ラボにおまかせで、所定の時期に、完成したアルバムを手にすることができる。本写真パックサービスのうちアルバム作成サービスを受けるに当たり、顧客は、ラボにおいてどのような種類のアルバムにするかを選択する。例えば、七五三のようにあるイベントについて指定してもよいし、成人するまでの成長記録のようにある程度長期にわたるものでもよい。
【0024】
アルバムの種類としては、0?3才の画像データから子供誕生アルバムを作成する、学校生活3年分の画像データから(個人の)卒業アルバムを作成する、海外旅行の10本分のネガフィルムの画像データから旅行アルバムを作成する等様々なものが考えられる。そのアルバムの種類に応じてアルバムのページ数、掲載写真の枚数、顧客に提供されるフィルムの本数、画像データの保存期間等が予めセットになって設定されている。成人するまでの成長記録のように長期にわたるような場合には、フィルムが所定期間ごとに数本ずつわけて顧客に提供される。
例えば、顧客が子供が3才になるときに七五三アルバムの作成をラボに注文したとする。注文時に顧客は、アルバムの体裁やページ数、写真の枚数等についてラボの見本を参考に、選択して契約をし、フィルムを受け取る。あとは、各年に顧客が撮影をしてフィルムをラボへ持ち込めば7才の七五三が終わった後、アルバムが作成され顧客へ届けられる。なお、写真撮影は、もちろん顧客が自分で行ってもよいが、オプションとして、ラボ側からプロの写真家による出張撮影サービスを受けることもできる。
【0025】
顧客が撮影したフィルムをラボへ提出すると、ラボでは、顧客から氏名、電話番号、住所等および撮影時期、撮影対象等を聴き、顧客から受け取ったフィルムにフィルムIDを付すとともに、このフィルムIDに顧客情報、および撮影時期、撮影対象等を含むカテゴリ識別情報を対応づける。撮影時期は、例えば平成11年11月のように指定しただけでは内容がわからない場合には、撮影時期に関連する情報として「七五三」という情報を付加する。また、撮影対象は、「娘○○子」のように指定する。
フィルムIDは、同時プリント受け付け時に、フィルム1本ごとに付与される。例えば、135ネガフィルムは、ネガフィルムにフィルムにフィルムIDがついてないので、顧客からの注文受け付け時に、プリント注文袋にバーコードで印刷する。また、APSの場合には、ネガIDがフィルムに付いているので、これを利用すればよい。
【0026】
注文受け付け後、ラボでは、ネガフィルムFに撮影された画像をスキャナ12で読み取り、画像処理装置14で画像処理を施し、プリンタ16より(同時)プリントを出力して顧客に返却する。
また、ラボでは、同時プリントを作成するとともに、処理されたデジタル画像データをデータベース22に記録、保存する。このとき、画像データは、フィルム1本ごとに、例えば、娘○○子、七五三等とカテゴライズされて、そのフィルムID、顧客情報、カテゴリ識別情報等とともにデータベース22に記録される。このように顧客が撮影するごとに、その画像データがフィルム単位でラボのデータベース22に蓄積される。
【0027】
また、画像データの保存期間は、アルバムの種類ごとに、大体そのアルバムが作成されるまでの期間として予め設定されている。例えば、七五三アルバムであれば、少なくとも3才?7才の5年間は保存される。
7才の七五三が済んでそのフィルムがラボに持ち込まれると、通常のように同時プリントが作成される一方で、その画像データがデータベース22に記録され、今まで蓄積されていた画像データと合わせた画像データを用いて七五三アルバムが作成される。
アルバム作成は、顧客を煩わせることなく、すべてラボ側で行われる。ラボのアルバム作成者はコーディネータであり、今まで蓄積された画像データの中から、アルバムにふさわしいものを選択し、編集を行う。
【0028】
アルバム作成者は、顧客情報、カテゴリ識別情報を基にフィルムIDを用いて、検索部14bにより、その顧客が写した七五三の画像データをデータベース22から読み出す。画像データはフィルム1本毎に保存されているため、七五三とカテゴライズされたフィルムに七五三以外のものが混ざっている可能性もある。しかし、アルバム作成者は、これらの画像をディスプレイ20上に表示して、この中から七五三の画像を探して、さらに七五三アルバムにふさわしい画像を選び出していく。そして、これらの画像を適当に配置して、アルバム用の出力画像となるよう、画像処理部14aにおいて所定の画像処理を行う。このとき、付随情報がある場合には、その所定のテキストデータや画像データ(キャラクタ画像やCG画像等)と合成し、所定の画像加工方法により処理して、アルバムのページが編集される。
このとき、一応見本ができたところで、一旦顧客に提示して顧客の希望を取り入れるようにしてもよい。
なお、アルバム用の画像の選択は、上述したようにオペレータのような人間が行ってもよいが、所定の選択条件によって自動検索するようにしてもよい。所定の選択条件としては、カラーバランスの最も平均的なもの、主要被写体の位置や大きさが所定範囲のもの、あるいは真ん中のコマ等様々なものが考えられる。」

これらの記載を総合すれば、引用された刊行物1には次の発明が記載されていると認められる。
(以下、これを引用発明と記す。)

[引用発明]
(ウ)顧客が撮影した画像をデジタル画像データとして入力し、該入力したデジタル画像データの中からサービスの種類に対応した画像データを選択して、画像処理を施し、前記サービスの種類に対応した形態で出力することを特徴とする写真パックサービス方法であって、
入力された複数のデジタル画像データを1件ごとに、例えば「娘○○子」「七五三」などにカテゴライズし、該カテゴライズにより得られるカテゴリを識別するカテゴリ識別情報、前記1件分の画像データを識別する件識別情報を、ともに、データベースに保存し、
予め設定されているサービスの中から、顧客が見本を参考に、写真の枚数条件を含む予め選択したサービスの種類に応じて、前記カテゴリ識別情報、件識別情報を用いて前記保存された画像データから、前記サービスの種類に対応した画像データを選択して、画像処理を施し、前記サービスの種類に対応した形態で出力する、
ことからなる写真パックサービス方法。

3. 対比・判断

本願発明と引用発明を対比する。

引用発明において複数の画像データを「娘○○子」「七五三」などにカテゴライズすることは、カテゴライズ種別毎に、「複数の画像を複数のグループに分割する」ことである。
また、引用発明において「写真の枚数条件を含む予め顧客が選択したサービスの種類に応じて、前記カテゴリ識別情報、件識別情報を用いて前記保存された画像データから、前記サービスの種類に対応した画像データを選択して、画像処理を施し、前記サービスの種類に対応した形態で出力する」ことは、本願発明における「グループに属する画像の中から前記設定された数の画像を抽出する」ことに相当する。

してみれば、両者は次の(エ)の点において一致し、(オ)および(カ)の点において一応の相違がある。

[一致点]
(エ)
複数の画像の中から画像を抽出する画像抽出方法であって、
前記複数の画像を複数のグループに分割する分割ステップと、
ユーザの操作に応じて前記グループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を決定して設定するステップと、
前記グループに属する画像の中から前記設定された数の画像を抽出する抽出ステップと、
を有することを特徴とする画像抽出方法。

[相違点]
(オ)ユーザの操作に応じて前記グループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を決定して設定するステップにおける「抽出すべき画像の数」が、本願発明において、ユーザにより「数」として直接設定されるものであるのに対し、引用発明においては、「写真の枚数を含む予め顧客が選択したサービスの種類」に応じて決定される数であって、見本を参考に選択により間接的に設定される点。

(カ)グループに属する画像の中から設定された数の画像を抽出するための基準が、本願発明においては、「前記グループに属する画像に対してユーザにより設定された評価」であり、本願発明では該「評価に基づいて」設定された数の画像を抽出するものであるのに対し、引用発明では、そのような評価に関して言及がされていない点。

相違点(オ)について検討する。

引用発明は、抽出された画像について、サービスの種類に対応した形態で出力する写真パックサービス方法であって、予め用意されたサービスの種類を選択する、いわばセミオーダーのサービスであるが、このようなサービスについて「抽出すべき画像の数」を含め自由にオーダー可能にすることは当業者が容易に想考できることである。
その際、「見本を参考に、写真の枚数条件を含む予め選択したサービスの種類に応じて」枚数を選択することに代えて、「抽出すべき画像の数」を直接入力して設定することは当然のことである。

相違点(カ)について検討する。

引用発明は、所望の「カテゴリ」(指定されたイベント)に関する画像の中から出力する(アルバムに使用する)画像を直接的には顧客の指示なしに選択しているものであるが、引用刊行物に明記はされていないものの、何らかの基準に基づいて、設定された数の画像を抽出していることは明らかである。
そして、そもそも引用発明は、顧客(ユーザ)が所望する写真パック、すなわち写真アルバムを作成するために必要な枚数の写真を抽出するものであり、抽出の選定基準が顧客の要望に則したものであることが望ましいことは自明であるから、引用発明において、抽出のための基準を顧客(ユーザ)が設定可能にすることは望ましいことである。
してみれば、個々の画像には顧客(ユーザ)が設定した評価が予め対応づけられており、抽出ステップに先立って「グループに属する画像に対してユーザにより設定された評価を認識する認識ステップ」により評価をすることは、当業者が容易に想到できたことである。

なお、画像を登録する際に画像の所定の属性値(請求項1の「ユーザにより設定された評価」に対応)を付与しておき、当該属性値に基づいて設定された数の画像を検索することは、拒絶理由通知において提示された刊行物2(特開平8-30763号公報)に記載されている公知の手法であるから、仮に、引用発明が顧客(ユーザ)が設定した評価に基づいた評価を認識するものでなく、装置がユーザの意向に無関係な基準により機械的に自動で評価する手法を用いたものであるとしても、引用発明において刊行物2に記載の方法を適用することは、当業者が容易に想考できるものであると判断される。

してみれば、これら相違点は想到し難い格別のものであるとすることはできない。また、該相違点の効果についてみても、格別顕著なものがあるともいえない。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、あるいは引用発明および刊行物2に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、あるいは刊行物1および刊行物2に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとした拒絶査定は妥当なものである。
よって、結論のとおり審決する。

第5 付記

上記第2において平成21年9月14日付けの補正を却下したが、却下された【審判請求時補正請求項1】に係る発明であっても、引用発明は顧客(ユーザ)が所望する写真パック、すなわち写真アルバムを作成するためのものであるから、引用発明において、写真パック(写真アルバム)をオーダーする際に、複数のグループ毎にそれぞれのグループに属する画像の中から抽出すべき画像の数を設定するようにすることは格別想考困難なことではない。
 
審理終結日 2011-01-07 
結審通知日 2011-01-11 
審決日 2011-01-24 
出願番号 特願2003-403266(P2003-403266)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06T)
P 1 8・ 561- Z (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菅原 道晴相澤 祐介  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 吉村 博之
溝本 安展
発明の名称 画像抽出方法、該方法をコンピュータに実行させるプログラム及び該プログラムを格納した記録媒体並びに画像抽出装置  
代理人 別役 重尚  

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