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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02F
管理番号 1234406
審判番号 不服2009-17556  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-17 
確定日 2011-03-24 
事件の表示 特願2006-330044「表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月26日出願公開、特開2008-145551〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成18年12月6日の出願であって、平成21年2月2日及び同年5月18日に手続補正がなされ、同年6月15日付けで前記平成21年5月18日付け手続補正が却下されるとともに同日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月17日付けで拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、これと同時に手続補正がなされ、その後当審において、平成22年10月12日付けで拒絶理由が通知され、同年12月13日に手続補正がなされたものである。

そして、本願の請求項に係る発明は、平成22年12月13日付け手続補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の事項によって特定されるものと認められる。

「【請求項1】
映像信号に応じて駆動されるパネルと、
前記パネルを照明するための光を発する光源と、
前記パネルと前記光源との間に設けられた光源像分割シートと、
前記パネルと前記光源像分割シートとの間に設けられた拡散シートと、
前記パネルと前記拡散シートとの間に設けられたレンズシートと、
前記パネルを駆動する駆動手段と
を備え、
前記光源像分割シートは、当該光源像分割シートの底面と平行な平面に沿って延在する複数の柱状のプリズムを連続的に並列配置してなり、
前記レンズシートは、当該レンズシートの底面と平行な平面に沿って延在する複数の柱状のプリズムを連続的に配列するとともに、各プリズムの延在方向が前記光源像分割シートの各プリズムの延在方向と互いに直交するように配置してなり、
前記レンズシートの各プリズムの配列方向の幅が110μm以上200μm以下であり、
前記パネルは、複数の画素uを有し、
各画素uは、複数色のドットを同色につき複数個有し、
前記ドットは、ストライプ配列となっており、
前記駆動手段は、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて明暗が生じるように前記パネルを駆動すると共に、ストライプ配列方向において、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて明に相当するドットと、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて暗に相当するドットとが交互に配列されるように前記パネルを駆動する
表示装置。」(以下「本願発明」という。)


第2 当審において通知した拒絶の理由
当審において平成22年10月12日付けで通知した拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

「この出願は、発明の詳細な説明の記載及び特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び同条第6項第1、2号に規定する要件を満たしていない。


・・・
(4)本願発明の目的は、「モアレを目立たなくすることの可能な表示装置を提供すること」(【0008】)であり、当該モアレは、「レンズシートを構成する各プリズムよって形成される規則正しい繰り返し模様と、液晶パネルの各画素を構成するピクセルによって形成される規則正しい繰り返し模様とが相互に干渉して液晶パネルの表面に出現する」ものであって(【0004】)、「レンズシートの各プリズムの繰り返し模様」と「液晶パネルのピクセルの繰り返し模様」相互の関係によって出現するものである、と認められるところ、特許請求の範囲の請求項1には、「(レンズシートの)立体構造の配列方向の幅が110μm以上200μm以下であり」とのみ記載され、液晶パネルのピクセルの繰り返し模様の幅に関しては何ら規定されてはいない。すなわち、同請求項1は、モアレが目立つ表示装置をも含むものといえるから、発明の課題を解決するための手段を反映したものとはいえない。また、同請求項1に係る発明は、発明が解決しようとする課題及び発明の技術上の意義が理解できないものである。」(以下、この理由を「理由a」という。)


第3 記載不備(特許法第36条第4項及び同条第6項第1、2号)について
1 本願明細書の記載
当審において平成22年10月12日付けで通知した拒絶の理由(上記第2参照。)において指摘した(4)に関連する記載として、本願明細書には、以下のア?カがある。

ア 「【0001】
本発明は、光透過性のレンズシートを内蔵する表示装置に関する。
・・・
【0003】
・・・従来から、面発光源と液晶パネルとの間に、輝度向上用のレンズシートが配置されている。これにより、面発光源から射出された拡散光がレンズシートで集光されるので、正面輝度が増加する。
【0004】
このように、レンズシートは表示装置の表示輝度を高めるために用いられるが、このレンズシートを構成する各プリズムよって形成される規則正しい繰り返し模様と、液晶パネルの各画素を構成するピクセルによって形成される規則正しい繰り返し模様とが相互に干渉して、周期的な縞状のパターン(モアレ)が液晶パネルの表面に出現することがある。そこで、従来は、液晶パネル側に生じる模様のピッチに対してモアレ縞の幅が狭くなるように、レンズピッチを50μm、25μmと小さくして対応している(特許文献1)。
【0005】
また、レンズピッチを50μm、25μmと小さくしても、液晶パネルピッチとレンズピッチとの兼ね合いによる干渉が生じて周期的なモアレを発生させることがある。そこで、このような場合には、レンズシートと液晶パネルとの間に拡散性のシートを設置したり、レンズシートの裏面にマット処理を施して出射光の配光を調整するなどして対応している。さらに、液晶パネルの表面に表面反射を抑制するためにアンチグレア層として微拡散性のフィラーを塗布・形成したり、液晶パネルの裏面側にも光学シートとのコスレや、密着防止として微拡散性のフィラーを塗布・形成して、シボ加工を施して、レンズシートと液晶パネルとの間で発生しているモアレを低減している。」

イ 「【0007】
しかし、このようにレンズピッチを小さくしていくと、輝度上昇に貢献する傾斜面部分に対する、輝度上昇に貢献しない頂部および谷部の割合が増加するので、レンズシートにおいて輝度を充分に上昇させることができなくなる。また、液晶パネルの表に設置されたアンチグレア処理、裏面のシボ処理などの微拡散フィラーにより、正面方向へ出射していた光は拡散されてしまい、輝度の低下を招いてしまっていた。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、レンズシートのピッチを小さくして輝度の低下をさせたり、或いは、液晶パネルの表裏に正面輝度の低下を招くアンチグレア処理、シボ処理を施さなくても、モアレを目立たなくすることの可能な表示装置を提供することにある。」

ウ 「【0009】
本発明の表示装置は、映像信号に応じて駆動されるパネルと、パネルを照明するための光を発する光源と、パネルを駆動する駆動手段とを備えたものである。パネルと光源との間には、光源像分割シートと、拡散シートと、レンズシートとが光源側からこの順に設けられている。光源像分割シートは、当該光源像分割シートの底面と平行な平面に沿って延在する複数の柱状のプリズムを連続的に並列配置して構成されている。レンズシートは、当該レンズシートの底面と平行な平面に沿って延在する複数の柱状のプリズムを連続的に配列するとともに、各プリズムの延在方向が光源像分割シートの各プリズムの延在方向と互いに直交するように配置して構成されている。レンズシートの各プリズムの配列方向の幅は110μm以上200μm以下となっている。パネルは複数の画素uを有しており、各画素uは、複数色のドットを同色につき複数個有しており、ドットは、ストライプ配列となっている。駆動手段は、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて明暗が生じるようにパネルを駆動すると共に、ストライプ配列方向において、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて明に相当するドットと、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて暗に相当するドットとが交互に配列されるようにパネルを駆動するようになっている。」

エ 「【0010】
本発明の表示装置では、駆動手段によって、一画素中に含まれる同色の複数のピクセルにおいて明暗が生じるようにパネルが駆動されるので、立体構造の配列方向の幅が110μm以上となっていても、レンズシートを構成する各プリズムよって形成される規則正しい繰り返し模様と、パネルの各画素を構成するピクセルによって形成される規則正しい繰り返し模様とが相互に干渉し難くなる。
・・・
【0014】
本発明の表示装置によれば、駆動手段を用いて一画素中に含まれる同色の複数のピクセルにおいて明暗が生じるようにパネルを駆動するようにしたので、立体構造の配列方向の幅を110μm以上とした場合に、レンズシートのピッチを小さくして輝度の低下をさせたり、或いは、液晶パネルの表裏に正面輝度の低下を招くアンチグレア処理、シボ処理を施さなくても、モアレを目立たなくすることができる。」

オ 「【0017】
図1は本発明の一実施の形態に係る表示装置1の機能ブロックを表すものである。この表示装置1は、映像信号に応じて各画素が駆動される透過型の液晶パネル20と、この液晶パネル20の背後に配置された照明装置10と、液晶パネル20を駆動して映像を表示させるための駆動回路40とを備えており、液晶パネル20の表面が観察者(図示せず)側に向けられている。・・・図2は互いに重ね合わされた照明装置10および液晶パネル20の断面構造を表すものである。
【0018】
照明装置10は光源11を有しており、光源11の液晶パネル20側には、光源像分割シート12、拡散シート13、レンズシート14が光源11側から順に配置されており、他方、光源11の背後には、反射シート15が配置されている。・・・
【0019】
光源11は、複数の線状光源11Aが等間隔(例えば20μm間隔)で並列配置されたものである。・・・
【0020】
反射シート15は、例えばアルミニウム(Al)、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)およびポリカーボネートを光源11側から順に積層したものであり、光源11からの射出光の一部を、液晶パネル20の方向へ反射するようになっている。・・・
【0021】
光源像分割シート12は、例えば、透明な合成樹脂からなり、・・・。この光源像分割シート12は、その底面12Aが液晶パネル20の表面と平行となるように配置されている。光源像分割シート12の液晶パネル20側の表面には、図3にその断面の一例を拡大して示したように、光源像分割シート12の底面12Aと平行な平面に沿って延在する複数の柱状のプリズム12-1が連続的に並列配置されている。ここで、各プリズム12-1は、各プリズム12-1の延在方向が各線状光源11Aの延在方向(例えば水平方向)と互いに平行となるように配置されていることが好ましいが、各線状光源11Aの延在方向に対して光学特性上許容できる範囲内で交差するように配置されていてもよい。・・・
【0022】
これにより、光源像分割シート12は、一の線状光源11Aから射出された光のうち底面12Aまたは傾斜面12C,12Dに臨界角未満の角度で入射した光を液晶パネル20側に射出する一方で、臨界角以上の角度で入射した光を全反射するので、一の線状光源11Aがつくる光源像を複数に分割する機能を有する。つまり、この光源像分割シート12は、一の線状光源11Aがつくる光源像を複数に分割し、分割した後の各光源像により形成される光源像同士の間隔を線状光源11A同士の間隔よりも狭くするので、分割した後の光源像の輝度レベル(最大値)と分割した後の光源像同士の間の輝度レベル(最小値)との差を、分割前の光源像の輝度レベル(最大値)と分割前の光源像間の輝度レベル(最小値)との差よりも小さくし、照明輝度のむらを低減することができる。・・・
【0023】
拡散シート13は、例えば、比較的厚手の板状の透明樹脂の内部に拡散材(フィラ)を分散して形成された拡散板、比較的薄手のフィルム状の透明樹脂上に拡散材を含む透明樹脂を塗布して形成された拡散フィルム、またはこれらを組み合わせたものである。・・・この拡散シート13は、光源像分割シート12がつくる光源像を拡散する機能を有する。
【0024】
レンズシート14は、光源像分割シート12と同様、例えば、透明な合成樹脂からなる。このレンズシート14は、その底面14Aが液晶パネル20の表面と平行となるように配置されている。レンズシート14の液晶パネル20側の表面には、図4にその断面の一例を拡大して示したように、レンズシート14の底面14Aと平行な平面に沿って延在する複数の柱状のプリズム14-1(立体構造)が延在方向に沿って連続的に配列されている。ここで、各プリズム14-1は、各プリズム14-1の延在方向が光源像分割シート12の各プリズム12-1の延在方向(例えば水平方向)と互いに直交するように配置されていることが好ましいが、各プリズム12-1の延在方向に対して光学特性上許容できる範囲内で交差するように配置されていてもよい。各プリズム14-1は、例えば、頂角θ3の頂部14Bに接する傾斜面14C,14Dを有する三角柱形状となっている。これら傾斜面14C,14Dは、底面14Aに対して底角θ4で斜めに対向して配置されている。このとき、各プリズム14-1の横幅(レンズシート14におけるピッチPw)は、110μm以上となっている。
【0025】
ここで、図5に示したように、各プリズム14-1のピッチPwを110μm以上とすることにより、正面輝度を最大化することが可能である。・・・なお、各プリズム14-1のピッチPを500μmよりも大きくすると、各プリズム14-1の高さ(厚さ)も大きくなるので、各プリズム14-1の形成されている基材部分の厚さも厚くすることが必要となる。
・・・
【0027】
・・・レンズシート14は、拡散シート13で拡散された光のうち各プリズム14-1の延在方向と直交する方向(例えば水平方向)の成分を液晶パネル20と直交する方向に屈折透過させ、これにより、指向性を増加させるようになっている。・・・
【0028】
液晶パネル20は、観察側の透明基板29と照明装置10側の透明基板22との間に液晶層25を有する積層構造となっている。具体的には、照明装置10側から順に、偏光板21、透明基板22、透明電極23、配向膜24、液晶層25、配向膜26、透明電極27、カラーフィルタ28、透明基板29および偏光板30を有する。
・・・
【0034】
カラーフィルタ28は、液晶層25を透過してきた光を、例えば、赤(R)、緑(G)および青(B)の三原色にそれぞれ色分離したり、または、R、G、Bおよび白(W)などの四色にそれぞれ色分離するためのカラーフィルタを、透明電極23の配列と対応させて配列したものである。フィルタ配列(画素配列)としては、一般的に、ストライプ配列や、ダイアゴナル配列、デルタ配列、レクタングル配列のようなものがある。
【0035】
ここで、ストライプ配列とは、図6に例示したように、方形状の各色のフィルタ28R,28G,28Bを各色ごとに一の方向(図6では紙面の上下方向)に配列すると共に、各色のフィルタ28R,28G,28Bを一の方向に沿って周期的に配置したものである。・・・
【0037】
駆動回路40は、液晶パネル20内の各透明電極23へ映像信号に基づく駆動電圧を供給するXドライバ(データドライバ)41と、液晶パネル20内の透明電極27を図示しない走査線に沿って順次駆動するYドライバ(ゲートドライバ)42と、これらXドライバ41およびYドライバ42を制御する制御部43と、外部からの映像信号を処理してRGB信号を生成する映像処理部44と、この映像処理部44からのRGB信号を記憶するフレームメモリである映像メモリ45とから構成されている。
【0038】
映像処理部44は、カラーフィルタ28が、各画素を構成するピクセルの組み合わせがほぼ一義的に決まってしまうようなフィルタ配列となっている場合に、映像信号中に、表示輝度が低階調や中間階調となるような非高階調信号が含まれているときには、以下に示す処理を行い、・・・。
・・・
【0040】
・・・映像処理部44は、RGB信号が非高階調信号に該当するか否かを判定し、それに該当する場合には、そのRGB信号に含まれるR信号、G信号およびB信号の少なくとも1つに対して補正を行う。
【0041】
一画素あたりの面積を変えずに補正を行う場合、例えばR信号に対してだけ補正を行う場合には、図10に示したように、R信号の入力対象である2つのR用ピクセル31Rのうち一方をメインセル31Rmとし、他方をサブセル31Rsとした上で、メインセル31Rmおよびサブセル31Rsにより得られる表示輝度(平均輝度)がArとなるように、メインセル31Rmの表示輝度をサブセル31Rsの表示輝度より大きくし、サブセル31Rsの表示輝度をメインセル31Rmの表示輝度より小さくする。つまり、一画素中の同色において明暗を設けている。このとき、各画素間で、メインセル31Rmと、サブセル31Rsとが互いに隣接しないようにすることが好ましい。つまり、表示画素において、各画素中に含まれる同色の複数のピクセルにおいて明に相当するメインセル31Rmと、各画素中に含まれる同色の複数のピクセルにおいて暗に相当するサブセル31Rsとが交互に(互い違いに)配列されていることが好ましい。・・・」

カ 「【0047】
次に、このようにして形成したレンズフィルム12,13を内蔵する表示装置1において、画像表示をする際の基本動作について説明する。
【0048】
まず、照明装置10において、光源11からの射出光を光源像分割シート12で微小光束に分割し、分割により得られる光源像を拡散シート13で拡散し、レンズシート14で指向性を高めた後に、液晶パネル2へ射出する。
【0049】
そして液晶パネル20において、照明装置10からの入射光を、透明電極23と対向電極としての透明電極27との間に画素ごとに印加された電圧の大きさに応じて透過させ、カラーフィルタ28によって色分離して観察側に射出する。これにより、カラーの画像表示が行われる。
【0050】
ところで、上記したように、カラーフィルタ28が、画素配列がほぼ一義的に決まってしまうようなフィルタ配列(例えばストライプ配列)となっている場合には、各画素を構成するピクセルの組み合わせによって形成される規則正しい繰り返し模様と、液晶パネル20に最も近接して配置されている光学部品であるレンズシート14を構成する各プリズム14-1によって形成される規則正しい繰り返し模様とが相互に干渉して、周期的な縞状のパターン(モアレ)が液晶パネル20の表面に出現する可能性がある。
【0051】
また、液晶パネル20に最も近接して配置されている光学部品が周期構造をなしている場合に、その周期構造のピッチを100μmを超える程度に大きくした場合には、上記と同様、周期的な縞状のパターン(モアレ)が液晶パネル20の表面に出現する可能性がある。
【0052】
例えば、表1に示したように、全画素を同一の輝度にした場合に、その輝度レベルを最大輝度を100%として、80%、60%、40%、20%と徐々に低下させていくと、ピッチを80μmとしたときに、輝度レベルが40%および20%において、幅が約2mmのモアレを視認することができ、ピッチを160μmとしたときに、輝度レベルが60%、40%および20%において、幅が約2mmのモアレを視認することができ、さらに、ピッチを185μmとしたときには、輝度レベルが60%、40%および20%において、幅が2mmを超えるモアレをはっきりと視認することができ、ピッチを200μmとしたときに、輝度レベルが60%、40%および20%において、幅が約2mmのモアレを視認することができた。他方、ピッチを50μmとしたときには、輝度レベルがいずれの場合においても、モアレを視認することができなかった。なお、表1中の白丸はモアレを視認できなかったことを示し、白三角は幅が約2mmのモアレを視認することができたことを示し、バツは幅が2mmを超えるモアレをはっきりと視認することができたことを示している。
【0053】
【表1】

【0054】
そこで、従来は、液晶パネル20に最も近接して配置されている光学部品が周期構造をなしている場合には、その周期構造のピッチを50μm程度に狭くしたり、または、周期構造をなしている光学部品と、液晶パネル20との間に、周期構造を有しない拡散シートなどを設けて、モアレを目立たなくしていた。
【0055】
このモアレは、表1から、液晶パネル20の表面のうち表示輝度が高階調となっている領域ではほとんど目立たないが、表示輝度が低階調や中間階調となっている領域で目立つという特徴を有していると言える。
【0056】
そこで、本実施の形態では、カラーフィルタ28が、画素配列がほぼ一義的に決まってしまうようなフィルタ配列(例えばストライプ配列)となっている場合には、表示輝度が低階調や中間階調となる領域において、一画素中の同色において明暗を設けたり、一画素中の同色において明暗を設けると共に一画素の面積を大きくしている。
【0057】
例えば、表2に示したように、表示輝度が低階調や中間階調となる領域において、図10に例示したような画素配列とした場合に、その輝度レベルを最大輝度を100%として、80%、60%、40%、20%と徐々に低下させていっても、いずれの場合においても、輝度むらを視認することができなかった。
【0058】
【表2】

【0059】
これにより、レンズシート14を構成する各プリズム14-1のピッチPwを110μm以上500μm以下とした場合であっても、高階調領域においてモアレが発生していたとしても目立たず、また、非高階調領域(低階調領域および中間階調領域)においてもモアレを目立たなくすることができる。」

2 理由aについての当審の判断
ア 上記1イ(【0008】)及びウによれば、本願発明が解決しようとする課題は、「モアレを目立たなくすることの可能な表示装置を提供すること」であり、また、上記1ア(【0004】)及びカ(【0050】)によれば、当該「モアレ」は、「レンズシートを構成する各プリズムよって形成される規則正しい繰り返し模様と、液晶パネルの各画素を構成するピクセルによって形成される規則正しい繰り返し模様とが相互に干渉して」、「液晶パネルの表面に出現する」ものであって、「レンズシートを構成する各プリズムよって形成される規則正しい繰り返し模様」と「液晶パネルの各画素を構成するピクセルによって形成される規則正しい繰り返し模様」との相互の関係によって出現するものであると認められる。しかるところ、本願の請求項1には、「レンズシートの各プリズムの配列方向の幅」の値について、「110μm以上200μm以下であ」ることが記載されているものの、「(液晶)パネルの各画素を構成するピクセルの繰り返し模様の幅」の値については何ら規定されていない。すなわち、「(液晶)パネルの各画素を構成するピクセルの繰り返し模様の幅」の値について何ら規定されていない本願発明は、モアレが目立つ表示装置をも含むものと解され、発明が解決しようとする課題及び発明の技術上の意義が理解できないものである。

イ この点に関し、本願明細書には、
(ア)「本発明の表示装置では、駆動手段によって、一画素中に含まれる同色の複数のピクセルにおいて明暗が生じるようにパネルが駆動されるので、立体構造の配列方向の幅が110μm以上となっていても、レンズシートを構成する各プリズムよって形成される規則正しい繰り返し模様と、パネルの各画素を構成するピクセルによって形成される規則正しい繰り返し模様とが相互に干渉し難くなる。」(上記1エ(【0010】))、
(イ)「本発明の表示装置によれば、駆動手段を用いて一画素中に含まれる同色の複数のピクセルにおいて明暗が生じるようにパネルを駆動するようにしたので、立体構造の配列方向の幅を110μm以上とした場合に、レンズシートのピッチを小さくして輝度の低下をさせたり、或いは、液晶パネルの表裏に正面輝度の低下を招くアンチグレア処理、シボ処理を施さなくても、モアレを目立たなくすることができる。」(上記1エ(【0014】))、
(ウ)「本実施の形態では、カラーフィルタ28が、画素配列がほぼ一義的に決まってしまうようなフィルタ配列(例えばストライプ配列)となっている場合には、表示輝度が低階調や中間階調となる領域において、一画素中の同色において明暗を設けたり、一画素中の同色において明暗を設けると共に一画素の面積を大きくしている。例えば、表2に示したように、表示輝度が低階調や中間階調となる領域において、図10に例示したような画素配列とした場合に、その輝度レベルを最大輝度を100%として、80%、60%、40%、20%と徐々に低下させていっても、いずれの場合においても、輝度むらを視認することができなかった。・・・これにより、レンズシート14を構成する各プリズム14-1のピッチPwを110μm以上500μm以下とした場合であっても、高階調領域においてモアレが発生していたとしても目立たず、また、非高階調領域(低階調領域および中間階調領域)においてもモアレを目立たなくすることができる。」(上記1カ(【0056】?【0059】))、
と記載され、また、請求人は、平成22年12月13日の意見書において、
(エ)「本願発明では、「前記駆動手段は、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて明暗が生じるように前記パネルを駆動すると共に、ストライプ配列方向において、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて明に相当するドットと、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて暗に相当するドットとが交互に配列されるように前記パネルを駆動する」ので、液晶パネル側のピッチとは無関係にモアレが生じ難くなっている。つまり、本願発明において、パネル側のピッチを規定していないのは、パネル側のピッチとは無関係にモアレが生じ難くなっているからである。」(【意見の内容】(3)4)、との主張を行っている。
しかしながら、「駆動手段」が、「各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて明暗が生じるように前記パネルを駆動すると共に、ストライプ配列方向において、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて明に相当するドットと、各画素u中に含まれる同色の複数のドットにおいて暗に相当するドットとが交互に配列されるように前記パネルを駆動する」ようになすことにより、「液晶パネル側のピッチとは無関係にモアレが生じ難くな」るとする技術的理由は不明である。また、本願明細書には、「輝度むらを視認することができなかった」とする【表2】(上記1カ【0058】)が示されているが、該【表2】は、パネル側に画素ピッチの値が具体的にいくらなのか明らかではなく、「パネル側のピッチとは無関係にモアレが生じ難くなっている」ことを裏付けるものとはいえない。

ウ 以上のとおり、(液晶)パネルの各画素を構成するピクセルの繰り返し模様の幅について何らの規定もされていない本願発明は、モアレが目立つ表示装置をも含むものと解され、発明が解決しようとする課題及び発明の技術上の意義が理解できないものであり、本願明細書の発明の詳細な説明は、本願発明の技術的意義を当業者が理解できる程度に記載したものということはできない。


第4 むすび
以上のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明は、本願発明の技術的意義を当業者が理解できる程度に記載したものということはできないから、特許法第36条第4項第1号の経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところにより記載されたものであるということはできない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-26 
結審通知日 2011-01-27 
審決日 2011-02-08 
出願番号 特願2006-330044(P2006-330044)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 吉野 公夫
特許庁審判官 橿本 英吾
服部 秀男
発明の名称 表示装置  
代理人 藤島 洋一郎  
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