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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03B 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G03B |
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管理番号 | 1234413 |
審判番号 | 不服2009-23126 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-11-25 |
確定日 | 2011-03-24 |
事件の表示 | 特願2000-194740「顔画像撮影方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月10日出願公開、特開2001-215605〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成12年(2000年)年6月28日(国内優先権主張 平成11年11月26日)の出願(特願2000-194740号)であって、平成21年3月19日付けで手続補正がなされ、同年5月1日付けで拒絶理由(最後)が通知され、同年7月10日付けで意見書が提出され、同日付けで手続補正がなされ、同年8月17日付けで平成21年7月10日付けの手続補正についての補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成21年11月25日付けの手続補正についての補正の却下の決定について [補正の却下の決定の結論] 平成20年11月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成21年3月19日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1の、 「被撮影者の少なくとも顔画像を撮影するステップと、 この撮影された顔画像から上記被撮影者の顔の大きさを測定するステップと、 この測定された顔の大きさ測定値に応じて、上記撮影された顔画像に対しズーミング処理を行うことにより一定の大きさの顔画像を得るステップと、 を有することを特徴とする顔画像撮影方法。」から 「被撮影者の少なくとも顔画像を撮影するステップと、 この撮影された顔画像から前記被撮影者の顔の中の少なくとも両瞳の位置および口の位置をそれぞれ検出し、これら検出した両瞳の位置と口の位置との間に形成される領域の面積を求め、この求めた面積から前記被撮影者の顔の大きさを測定するステップと、 この測定された顔の大きさ測定値に応じて、前記撮影された顔画像に対しズーミング処理を行なうことにより一定の大きさの顔画像を得るステップと、 を具備したことを特徴とする顔画像撮影方法。」と補正された。 そして、この補正は、本件補正前の請求項1の「被撮影者の顔の大きさを測定するステップ」において、被撮影者の顔の大きさの測定のしかたについて「被撮影者の顔の中の少なくとも両瞳の位置および口の位置をそれぞれ検出し、これら検出した両瞳の位置と口の位置との間に形成される領域の面積を求め、この求めた面積から前記被撮影者の顔の大きさを測定する」と限定して特定する補正事項を含むものである。 上記の補正事項は、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とする補正事項であるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものを含む。 2 独立特許要件違反についての検討 そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、平成21年11月25日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されるものである。(上記「第2 平成21年11月25日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」の記載参照。) (2)引用例 ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平11-84481号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(後述の「イ 引用例1に記載された発明の認定」において発明の認定に直接関係する記載に下線を付した。) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、キャッシュカ-ド、クレジットカード、身分を証明する社員証などの個人認証用カ-ドを発行するカ-ド発行装置において、個人認証用カ-ド上に印刷する顔画像を撮影する顔画像撮影方法および顔画像撮影装置に関する。 【0002】 【従来の技術】たとえば、キャッシュカ-ドサイズのカードに顔画像や文字情報を印刷するカ-ド発行装置を使用して、身分を証明する社員証などの個人認証用カ-ドを発行する際、カード所持者の顔画像をCCD形カメラなどで撮影し、この撮影した顔画像を個人認証用カ-ド上に印刷するようになっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、カメラと被写体との距離が短い場合、カメラに広角レンズを使用するため、体形による顔の大きさの差以上に被写体の前後位置により顔の大きさが変わってしまう。そのため、被写体にお願いして、椅子に深く腰掛けてもらうよう着座位置を直してもらったり、あるいは、椅子の背もたれにきちんと背中をつけてもらったりして、撮影する必要があった。 【0004】そこで、本発明は、被写体の体形、着座位置、姿勢などに影響されず、常に適正な顔の大きさに撮影を行なうことができる顔画像撮影方法および顔画像撮影装置を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の顔画像撮影方法は、被写体の顔画像を撮像し、この撮像した顔画像から被写体の顔の大きさを検出し、この検出した顔の大きさに応じて、前記撮像された顔画像に対して縮小、拡大処理を行なうことにより適正な顔の大きさの顔画像を得ることを特徴とする。」 「【0021】その後、CPU7は、第1のフレ-ムメモリ4内の顔画像を読出すことにより、被写体の顔の大きさを検出する(S3)。すなわち、フレ-ムメモリは、2次元配列とみなされ、H(水平)方向とV(垂直)方向に、それぞれ指定された画素をCPU7がアドレス制御部6を用いてアクセスできるように管理されている。被写体を容易に検出できるように、背景は例えば青色のスクリ-ンとする。顔の大きさは、第1のフレ-ムメモリ4のV方向の上方から下方に向かって、H方向にスキャンを行ない、背景の青色と異なる色の成分が検出されたV方向のアドレスを被写体の登頂位置とする。さらに、続けてH方向にスキャンを行ない、あるH方向の幅の画素以上の背景の青色と異なる色の成分が連続して検出されたV方向のアドレスを被写体の肩位置とする。そして、上記登頂位置と肩位置のV方向のアドレスの差、すなわち、画素幅を被写体の顔の大きさとするものである。 【0022】こうして顔の大きさを検出すると、CPU7は、その検出した顔の大きさに基づき転送倍率を計算する(S4)。すなわち、第1のフレ-ムメモリ4において、登頂位置のV方向のn画素上方の画素を印刷画像の上端とし、顔の大きさが基準の大きさとなる倍率を計算する。 【0023】次に、CPU7は、計算した倍率に基づき、図4 に示すように、第1のフレ-ムメモリ4内の顔画像を縮小、拡大処理しながら第2のフレ-ムメモリ5に転送し、書込みを行なう(S5)。この転送、書込み処理が終了すると、CPU7は、ディスプレイ3に第2のフレ-ムメモリ5内の顔画像を静止画として表示する(S6)。 【0024】操作員は、ディスプレイ3に表示される顔画像において、顔の大きさ、切出し位置が適正であるか否か、目つぶりなどの不具合がないかどうかを確認し(S7,S8,S9)、顔の大きさ、切出し位置が適正であり、目つぶりなどの不具合がなければ、操作用キ-ボ-ド8内の確定キ-を押下する(S10)。この確認の結果、目つぶりがあった場合には、ステップS1に戻り、再度、撮影キ-を押下することにより、再撮影を行なう。」 イ 引用例1に記載された発明の認定 上記記載から、引用例1には、 「被写体の顔画像を撮像し、この撮像した顔画像から被写体の顔の大きさを検出し、この検出した顔の大きさに応じて、前記撮像された顔画像に対して縮小、拡大処理を行なうことにより適正な顔の大きさの顔画像を得る顔画像撮影方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (3)本願補正発明と引用発明の対比 ア 対比 本願補正発明と引用発明を対比する。 引用発明の「被写体の顔画像を撮像」する処理が、本願補正発明の「被撮影者の少なくとも顔画像を撮影するステップ」に相当する。 引用発明の「この撮像した顔画像から被写体の顔の大きさを検出」する処理と、本願補正発明の「この撮影された顔画像から前記被撮影者の顔の中の少なくとも両瞳の位置および口の位置をそれぞれ検出し、これら検出した両瞳の位置と口の位置との間に形成される領域の面積を求め、この求めた面積から前記被撮影者の顔の大きさを測定するステップ」とは、「この撮影された顔画像から前記被撮影者の顔の大きさを測定するステップ」である点で一致する。 引用発明の「この検出した顔の大きさに応じて、前記撮像された顔画像に対して縮小、拡大処理を行なうことにより適正な顔の大きさの顔画像を得る」処理が、本願補正発明の「この測定された顔の大きさ測定値に応じて、前記撮影された顔画像に対しズーミング処理を行なうことにより一定の大きさの顔画像を得るステップ」に相当する。 イ 一致点 よって、本願補正発明と引用発明は、 「被撮影者の少なくとも顔画像を撮影するステップと、 この撮影された顔画像から前記被撮影者の顔の大きさを測定するステップと、 この測定された顔の大きさ測定値に応じて、前記撮影された顔画像に対しズーミング処理を行なうことにより一定の大きさの顔画像を得るステップと、 を具備した顔画像撮影方法。」の発明である点で一致し、次の点で相違する。 ウ 相違点 撮影された顔画像から前記被撮影者の顔の大きさを測定する測定方法が、本願補正発明は、「前記被撮影者の顔の中の少なくとも両瞳の位置および口の位置をそれぞれ検出し、これら検出した両瞳の位置と口の位置との間に形成される領域の面積を求め、この求めた面積から前記被撮影者の顔の大きさを測定する」ものであるのに対して、引用発明においては、そのような限定がなされていない点。 (4)当審の判断 ア 上記各相違点について検討する。 顔画像の処理に関する技術分野において、両瞳の位置と口の位置との間に形成される領域の面積と顔の大きさ(面積)とは一定の比(面積比)を有することは一般的技術事項として知られていること(例えば、特開平1-314385号公報参照)である。 引用発明と上記の一般的技術事項の例として示された特開平1-314385号公報に記載された技術とが、人の顔の画像処理を行って顔の大きさや特徴を抽出する点で共通しており、両者には、それぞが属する技術分野や作用において共通性を有するということができるから、引用発明においても、顔の大きさ(面積)を求めるために、上記の一般的技術事項を参酌して、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。 イ 本願補正発明の奏する作用効果 そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明及び一般的技術事項から当業者が予測し得る程度のものである。 なお、審判請求書において、請求人は、上記の本願補正発明によってもたらされる効果について、 「目や口という被撮影者の髪型等に左右されない顔のパーツを基準として使用して被撮影者の顔の大きさを測定するので、被撮影者の髪型や耳の形状等に顔の大きさが左右されることなく、一定値以上の精度を確保することができるという格別な作用効果をも期待できます。」 と主張するが、上記の作用効果は、上記の一般的技術事項(原審においては、審判請求時前の平成21年8月17日付けの「補正の却下の決定」において示されている)から当業者が予測し得る事項に過ぎず、当業者の予測を超える格別の効果であるとはいえないから、上記主張は採用できない。 ウ まとめ 以上のとおり、本願補正発明は、引用例1に記載された発明及び一般的技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 むすび したがって、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成21年7月10日付けの手続補正は原審において既に却下されており、平成21年11月25日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年3月19日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成21年11月25日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」の記載参照。) 2 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項及び引用発明については、上記「第2 平成21年11月25日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。 3 対比・判断 (1)対比 本願発明と引用発明を対比する。 引用発明の「被写体の顔画像を撮像」する処理が、本願発明の「被撮影者の少なくとも顔画像を撮影するステップ」に相当する。 引用発明の「この撮像した顔画像から被写体の顔の大きさを検出」する処理が、本願発明の「この撮影された顔画像から上記被撮影者の顔の大きさを測定するステップ」に相当する。 引用発明の「この検出した顔の大きさに応じて、前記撮像された顔画像に対して縮小、拡大処理を行なうことにより適正な顔の大きさの顔画像を得る」処理が、本願発明の「この測定された顔の大きさ測定値に応じて、上記撮影された顔画像に対しズーミング処理を行なうことにより一定の大きさの顔画像を得るステップ」に相当する。 (2)一致点・相違点 よって、本願発明と引用発明は、 「被撮影者の少なくとも顔画像を撮影するステップと、 この撮影された顔画像から前記被撮影者の顔の大きさを測定するステップと、 この測定された顔の大きさ測定値に応じて、上記撮影された顔画像に対しズーミング処理を行なうことにより一定の大きさの顔画像を得るステップと、 を具備した顔画像撮影方法。」の発明である点で一致し、両者に相違するところがない。 (3)まとめ したがって、本願発明は、引用発明である。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明であり、特許法第29条第1項3号に該当するから、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-01-12 |
結審通知日 | 2011-01-18 |
審決日 | 2011-02-04 |
出願番号 | 特願2000-194740(P2000-194740) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G03B)
P 1 8・ 113- Z (G03B) P 1 8・ 575- Z (G03B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 辻本 寛司 |
特許庁審判長 |
北川 清伸 |
特許庁審判官 |
橋本 直明 森林 克郎 |
発明の名称 | 顔画像撮影方法 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 河井 将次 |