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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1235942 |
審判番号 | 不服2009-23159 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-11-26 |
確定日 | 2011-04-28 |
事件の表示 | 特願2003-202380「化学機械研磨用水系分散体および半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 4月22日出願公開、特開2004-128475〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件出願は、平成15年7月28日(優先権主張、平成14年8月2日)の特許出願であって、同20年7月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年8月29日に手続補正がなされ、同21年8月27日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、同年11月26日に本件審判の請求とともに手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、同22年10月15日付けで審尋がされ、指定期間内に応答がなかったものである。 第2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲、及び対応する発明の詳細な説明について補正をするものであって、請求項1について、補正前後の記載は、以下のとおりである。 (1)補正前 「砥粒が含有されてなる化学機械研磨用水系分散体であって、 当該砥粒が、 (A)無機粒子および有機粒子から選ばれる少なくとも1種よりなる単純粒子、並びに、 (B)複合粒子 の両者を含み、 界面活性剤が含有されることを特徴とする化学機械研磨用水系分散体。」 (2)補正後 「砥粒が含有されてなる化学機械研磨用水系分散体であって、 当該砥粒が、 (A)無機粒子よりなる単純粒子、並びに、 (B)有機粒子と無機粒子が一体的に結合されてなる無機有機複合粒子よりなる複合粒子 の両者を含み、 界面活性剤が含有されることを特徴とする化学機械研磨用水系分散体。」 2.補正の適否 本件補正の請求項1についての補正は、「単純粒子」について「無機粒子よりなる」と特定し、「複合粒子」について「有機粒子と無機粒子が一体的に結合されてなる無機有機複合粒子よりなる」と特定するものであり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か(いわゆる独立特許要件)について検討する。 (1)補正発明 補正発明は、本件補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、上記1.(2)のとおりのものと認める。 (2)刊行物に記載された発明 これに対し、原査定の拒絶理由で引用された刊行物である特開2001-196336号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、丸囲み数字は「丸1」のように置き換えた。 ア.段落0004 「【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来の問題を解決するものである。すなわち、充分に平坦化された精度の高い仕上げ面が得られ、良好なダマシン配線を形成することができる、半導体装置の製造において有用な化学機械研磨用水系分散体、及びそれを用いた化学機械研磨方法を提供することを目的とする。」 イ.段落0011?0012 「【0011】本発明は、研磨剤として、無機粒子、有機粒子及び無機有機複合粒子のうちの少なくとも1種を使用し得ることを明らかにするものである。無機粒子としては、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、酸化鉄及び酸化マンガン等の、ケイ素又は金属元素の酸化物からなる粒子を用いることができる。 【0012】有機粒子としては、(1)ポリスチレン及びスチレン系共重合体、(2)ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂及びアクリル系共重合体、(3)ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、並びに(4)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン等のポリオレフィン及びオレフィン系共重合体などの熱可塑性樹脂からなる粒子を使用することができる。・・・。」 ウ.段落0028?0034 「【0028】 【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。 [1]砥粒を含む水分散体の調製 (1)無機粒子を含む水分散体の調製 丸1 ヒュームドシリカ又はヒュームドアルミナを含む水分散体の調製 ・・・。 【0029】丸2 コロイダルシリカを含む水分散体の調製 ・・・。 【0030】(2)複合粒子を含む水分散体の調製 丸1 重合体粒子を含む水分散体 ・・・。 【0031】丸2 複合粒子を含む水分散体 ・・・。 【0032】・・・、複合粒子を含む水系分散体を得た。この複合粒子の平均粒子径は180nmであり、ポリメチルメタクリレート系粒子の表面の80%にシリカ粒子が付着していた。 【0033】[2]化学機械研磨用水系分散体の調製 実施例1 [1]、(1)、丸1で調製したヒュームドシリカを含む水分散体を、ヒュームドシリカが5部となるように、また、マレイン酸カリウム及び過酸化水素を、それぞれ1質量%、0.1質量%の濃度となるようにイオン交換水に配合し、水酸化カリウムによりpHを9.5に調整してCMP用水系分散体を得た。 【0034】実施例2?9 砥粒の種類及び混合量、並びにマレイン酸カリウム及び過酸化水素の混合量を表1のようにした他は、実施例1と同様にして特定のpHを有するCMP用水系分散体を得た。」 エ.段落0039 表1の実施例6のものは、研磨剤種類が「複合粒子/ヒュームドシリカ」である。 これらの記載事項を、図面を参照しつつ、技術常識を考慮しながら補正発明に照らして整理すると、請求人が審判請求理由で主張するとおり(審判請求理由の「3.[2](2-1)引用文献の説明」参照)、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。 「砥粒が含有されてなる化学機械研磨用水系分散体であって、 当該砥粒が、 (A)無機粒子よりなる単純粒子、並びに、 (B)有機粒子と無機粒子が一体的に結合されてなる無機有機複合粒子よりなる複合粒子 の両者を含む、 化学機械研磨用水系分散体。」 (3)対比 補正発明と刊行物1発明とを、技術常識を踏まえ、対比する。 補正発明と刊行物1発明とは、次の点で一致している。 「砥粒が含有されてなる化学機械研磨用水系分散体であって、 当該砥粒が、 (A)無機粒子よりなる単純粒子、並びに、 (B)有機粒子と無機粒子が一体的に結合されてなる無機有機複合粒子よりなる複合粒子 の両者を含む、 化学機械研磨用水系分散体。」 そして、補正発明と刊行物1発明とは、以下の点で相違している。 補正発明は、「界面活性剤が含有される」ものであるが、刊行物1発明は、明らかでない点。 かかる一致点、相違点の認定については、請求人が審判請求理由で主張するとおり(審判請求理由の「3.[2](2-2)(ア)一致点と相違点」参照)である。 (4)相違点の検討 相違点について検討する。 化学機械研磨用水系分散体に、界面活性剤を含有させることは、拒絶査定で引用した特開2002-121541号公報の段落0005、0036、審尋で引用した特開2002-141314号公報の段落0028、0031、同じく特開2001-269859号公報の段落0008、0014にみられるごとく周知である。 また、界面活性剤を含有させることにより、スクラッチを減少させることは、上記特開2002-141314号公報の段落0031、同じく特開2001-269859号公報の段落0014にみられるごとく周知である。 刊行物1発明においても、スクラッチの減少が好ましいことから、かかる周知技術を踏まえ、刊行物1発明に、界面活性剤を含有させることを試みることに困難性は認められない。 請求人は審判請求理由において、「『スクラッチ数の減少』を課題とする本願発明において、『界面活性剤を含有させること』による解決手法は、引用文献3(当審注、特開2002-121541号公報)に記載されている『化学機械研磨用水系分散体に界面活性剤を含有させる』ことによっては、決して示唆されていないものというべきです。引用文献3に記載の発明では、スクラッチ数の減少と、界面活性剤との関連が何も議論されていないからです。」と主張する。 しかし、界面活性剤がスクラッチを減少させる効果は、上記のとおり周知であるから、請求人の主張は採用できない。 以上のことから、補正発明は、刊行物1発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし8に係る発明は、平成20年8月29日付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2.1.(1)に示す請求項1に記載されたとおりである。 2.刊行物等 これに対して、原査定の際にあげられた刊行物及びその記載内容は、上記第2.2.(2)に示したとおりである。 3.対比・検討 本願発明は、補正発明において付加された事項を削除するものである。 そうすると、本願発明も、上記第2.2.(4)と同様の理由により、刊行物1発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないことから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-02-28 |
結審通知日 | 2011-03-01 |
審決日 | 2011-03-15 |
出願番号 | 特願2003-202380(P2003-202380) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 横山 幸弘、高山 芳之 |
特許庁審判長 |
千葉 成就 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 遠藤 秀明 |
発明の名称 | 化学機械研磨用水系分散体および半導体装置の製造方法 |
代理人 | 大井 正彦 |