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審決分類 審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
審判 一部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01N
審判 一部無効 2項進歩性  G01N
管理番号 1236224
審判番号 無効2010-800168  
総通号数 138 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-09-28 
確定日 2011-05-02 
事件の表示 上記当事者間の特許第3542114号発明「工業製品の目視検査支援装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3542114号の出願についての手続の概要は,以下のとおりである。
平成12年 3月 8日 特許出願
平成16年 4月 9日 特許権の設定登録(請求項の数3)。
平成22年 9月28日 無効審判請求(請求人)(甲第1?4号証)
平成22年12月10日 答弁書提出(被請求人)(乙第1及び2号証)
平成23年 1月21日 審理事項通知書(当審)
平成23年 2月17日 口頭審理陳述要領書(請求人)(甲第5及び6号証)
平成23年 2月23日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成23年 2月24日 上申書(請求人)(甲第7?20号証)
平成23年 3月 3日 口頭審理・審理終結

第2 本件発明
本件無効審判請求の対象となった請求項1に係る発明は,その特許請求の範囲からみて,次の技術的事項により特定されるものである。
「【請求項1】 検査対象を保持する保持手段と,
上記検査対象を正面から撮影する,ズーム機能及び絞り機能を備えた正面用ビデオカメラ,上記検査対象を斜め方向から撮影する,ズーム機能及び絞り機能を備えた斜め用ビデオカメラ及び該斜め用ビデオカメラと反対側に配したバランサを一体に組み合わせたカメラユニットであって,正面用ビデオカメラを中心に回転させる回転手段を備えたカメラユニットと,
前記検査対象を,必要に応じて,上記カメラユニットに対して相対的にX,Y,Zの三次元方向の全部又は一部の方向に移動させ得るように,該検査対象及び前記カメラユニットの双方又は一方に備えさせた移動手段と,
前記カメラユニットの正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラの撮影した画像信号を選択的に再生し得る画像モニタと,
前記保持手段及び前記カメラユニットをそれぞれ移動させる移動手段,前記カメラユニットを回転させる回転手段,前記カメラユニットに於ける正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラ並びに前記画像モニタのそれぞれを,検査対象の要検査部位を順次予め設定した順序と撮影態様で撮影して前記画像モニタで再生すべく制御する制御装置と,
上記制御装置に撮影の進行の指示を与える指示装置と,
で構成した工業製品の目視検査支援装置。」

第3 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張
請求人は,特許第3542114号の請求項1に係る発明の特許を無効とする,審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,審判請求書,口頭審理(口頭審理陳述要領書及び第1回口頭審理調書を含む)において,下記「第3 2 証拠方法」に示した証拠を提出して,次に示す無効理由を主張している。無効理由について,これまでの主張を整理すると次のとおりである。

(無効理由1)
本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は,甲第1号証,甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて,出願前に当業者が容易に想到できた発明であるから,本件発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当し,本件特許は無効とすべきである。

(無効理由2)
本件特許には明細書の記載と請求項1の記載に不明確な点があり,特許法第36条第4項,同法第6項第2号に規定する要件を欠き,同法第123条第1項第4号の規定により無効にされるべきである。

2 証拠方法
甲第1号証 特開平8-29121号公報
甲第2号証 特開平4-107994号公報
甲第3号証 実願平4-24234号(実開平5-73565号)の
願書に最初に添付した明細書及び図面の内容を記録した
CD-ROM
甲第4号証 特開平5-18723号公報
甲第5号証 JIS工業用語大辞典,第4版第1刷,1995年11
月20日発行,1516?1517頁
甲第6号証 マグローヒル科学技術用語大辞典,日刊工業新聞社,改
訂第3版1刷,2000年3月15日発行,1172頁
甲第7号証 特開平7-318326号公報
甲第8号証 特開平11-83458号公報
甲第9号証 特開2000-41207号公報
甲第10号証 特開2000-59667号公報
甲第11号証 特開平8-304299号公報
甲第12号証 特開昭63-257808号公報(審理事項通知書にお
いて刊行物Bとして引用。)
甲第13号証 特開平9-15162号公報(審理事項通知書において
刊行物Cとして引用。)
甲第14号証 実願昭61-37308号(実開昭62-150608
号)の願書に最初に添付した明細書及び図面の内容を撮
影したマイクロフィルム(審理事項通知書において刊行
物Dとして引用。)
甲第15号証 特開平8-220419号公報(審理事項通知書におい
て刊行物Eとして引用。)
甲第16号証 特開平8-114551号公報
甲第17号証 特開平8-64999号公報
甲第18号証 特開平8-22068号公報
甲第19号証 特開平4-282605号公報
甲第20号証 特開平9-265131号公報

3 各甲号証の記載内容
各項号証には,以下の事項が記載されている。なお,下線は,当審にて付記したものである。以下同様である。
(1)甲第1号証
(甲1-1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,基板に搭載された電子部品の浮きや位置ずれなどを検査する電子部品の外観検査方法に関するものである。」

(甲1-2)「【0010】
【実施例】次に,図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。図1は本発明の一実施例の電子部品の外観検査装置の斜視図,図2は同認識部の斜視図である。1は本体フレーム,2はベースプレート,3は基板4を矢印H方向へ搬入する前コンベア,5は基板4を矢印M方向へ搬出する後コンベア,6は基板4を位置決めする基板ホルダー,7は不良基板4aを収納するマガジン8を備えた不良基板ストッカー,9は基板ホルダー6の上方に設けられた認識部である。
【0011】基板ホルダー6には2本のガイドレール10と,モータ11とボールネジ11aにより矢印A方向へ移動する可動ベース12が設けられている。さらに可動ベース12上には2本のガイド13が設けられ,可動側コンベア14が駆動モータ15によって駆動されるようになっている。また可動ベース12には,固定側コンベア14aが設けられ,固定側コンベア14aを基準として可動側コンベア14が移動するようになっている。しかも基板4の幅に応じて可動側コンベア14と固定側コンベア14aの間隔を調整するためにハンドル16とスクリュー17が設けられ,ロックハンドル18により可動側コンベア14がロックされるようになっている。
【0012】固定側コンベア14aには,シリンダー19により矢印B方向へ作動する基板ストッパー20と,基板4の有無を検出する基板検出センサー21が設けられている。可動側コンベア14には,シリンダー22により基板4を矢印C方向にクランプするクランパー23が設けられている。したがってクランパー23で基板4をクランプして固定し,駆動用のモータ11が駆動すると,可動ベース12はガイドレール10に沿って矢印A方向に水平移動し,基板4も同方向に水平移動する。すなわちモータ11や可動ベース12などは基板4を認識部9に対して水平方向へ移動させる移動手段となっている。」

(甲1-3)「【0016】またブロック42には,認識部9を矢印G方向に水平回転させるモータ46を備えた駆動装置47が設けられ,駆動装置47の下部に認識部9の本体フレーム48を回転可能にさせるベアリング49が設けられている。モータ46を駆動して認識部9を矢印G方向に水平回転させることにより,基板4に搭載された電子部品の向きに応じて,電子部品の画像の取り込み方向を変えることができる。
【0017】本体フレーム48には,基板4の位置認識の為のカメラ50と照明ランプ51が設けられている。そして本体フレーム48には,基板4の上面に対して光軸が垂直方向になるように配置されたカメラ53(以下トップカメラと称す)と,基板4に上方から光を照射するリング状の照明ランプ54が設けられ,また基板4の上面に対して光軸が斜め方向になるように配置された複数個(本実施例では4個)のカメラ55,55a,55b,55c(以下サイドカメラと称す)と,ファイバー45aに連結されて基板4に斜上方から光を照射する複数個の照明ランプ56,56a,56b,56cが設けられている。
【0018】図示するように,サイドカメラ55とサイドカメラ55aはトップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設されており,またサイドカメラ55bとサイドカメラ55cも同様にしてトップカメラ53を中心に左右対称に対設されている。このように左右一対のサイドカメラ55,55aおよび55b,55cを2組配置することにより,後に図9?図12を参照して説明するように,電子部品の浮きや位置ずれを的確に検出できる。また基板4に搭載された電子部品52の搭載状態や半田付け状態の外観検査結果により,不良電子部品または不良箇所にマーキングをするマーカー57が基板ホルダー60の上方に設けられている。」

(甲1-4)「【0019】駆動用のモータ43が駆動すると,ブロック42はガイド41に沿って矢印F方向に水平移動する。認識部9やマーカー57はブロック42と一体に組付けられており,したがってブロック42と一緒に矢印F方向に水平移動する。すなわちガイド41,ブロック42,モータ43は認識部9やマーカー57を基板4に対して水平方向(F方向)へ移動させる移動手段となっている。ここで,矢印A方向と矢印F方向は互いに直交する方向であり,したがってモータ11とモータ43が駆動することにより,基板4は認識部9やマーカー57に対してA方向やF方向に相対的に水平移動することができる。」

(甲1-5)「【0020】以上のように構成された電子部品の外観検査装置についてその動作を説明する。図1において,まず基板4を前コンベア3上に置く。そうすると基板4は前コンベア3により矢印H方向に搬送され,ストッパー20により基板搬送方向の基板位置決めが行われる。その後基板検出センサー21が基板4を検出するとクランパー23がシリンダー22によりC方向に移動を行い,基板4がクランプして位置決めされる。そして位置決めされた基板4の状態をカメラ50と照明ランプ51によって認識し,基板4の傾き,位置ずれを制御装置が演算する。そして,基板4の傾き,位置ずれから演算される補正値とあらかじめ記憶された基板4上のマスターパターンデータに基づいてモータ11,モータ43が駆動し,基板4を認識部9に対して相対的にA方向やF方向に水平移動させ,基板4に搭載された所定の電子部品52を認識部9による外観検査位置に位置させ,この電子部品52について後述する外観検査が行われる。」

(甲1-6)「【0021】次に,制御装置の説明を行う。図3は,本発明の一実施例の電子部品の外観検査装置の機能ブロック図である。53,55,55a,55b,55cは基板4上の電子部品52の画像を取り込むテレビカメラである。テレビカメラ53はトップカメラであり,テレビカメラ55,55a,55b,55cはサイドカメラである。58?62は,テレビカメラ55,55a,55b,55cから取り込まれた画像レベルを規格化されたコンポジットビデオ信号に変換するカメラコントロールユニット,63は映像切替ユニットであり,各テレビカメラから取り込まれた画像は,カメラ切替選択信号によりどれか1つのみを選択することができる。」

(甲1-7)「【0022】64は外部同期信号を発生させるビデオ回路である。この外部同期信号により各テレビカメラは全て完全同期化された画像を取り込むことができる。65はビデオバス,66はステータス,コントロールバスである。67は512×512×8ビットから成るフレームメモリ(TFM)であり,各テレビカメラがとらえたオリジナル画像を格納しておく場所である。68,69は必要な処理を加えて画像変換された映像情報を格納するワーキングメモリ(512×512×8ビット)であり,一方のワーキングメモリ(DMI)68は明るさによって分類された映像情報を格納し,他方のワーキングメモリ(DMII)69はフィルター処理された映像情報を格納する。70は検査に関する動作を制御するCPUから成る制御部である。71はリードオンリーメモリとランダムアクセスメモリから成るメモリ,72はI/Oコントロール部である。
【0023】次に,制御部70の動作を説明する。図4は,本発明の一実施例の電子部品の外観検査装置の制御部の動作を示すフローチャートである。ステップ1では,まずトップカメラ53から基板4に搭載されている電子部品52の画像を取り込む。ステップ2では,基板4に搭載されている電子部品52の座標・明るさ・方向・種類等のデータによる検査パラメータの検索を行う。ステップ3では,フレームメモリ67からワーキングメモリ68へ必要な明るさのみ抽出した映像の転送を行う。ステップ4では,フレームメモリ67からワーキングメモリ69へ輪部強調又は平滑化された映像等を転送する。ステップ5では,基板4に搭載された電子部品52の電極部の明るさ判定及び所定場所での位置ずれ寸法判定を行う。ステップ6では,カメラの切替えを行うか行わないかの選択をする。ここで,カメラの切替えを行わない場合検査終了となる。また,カメラの切替えを行う場合,ステップ7でトップカメラ53からサイドカメラ55,55a,55b,55cへ切替わり,新たに電子部品52の映像を取り込む。」

(2)甲第2号証
(甲2-1)「6はカメラ3の下方に設けられた鏡筒であり,その下部にはズーム系7が設けられている。8,9はズーム系7を駆動するためのモータとタイミングベルトであり,カメラ3の焦点深度を調整する。」(2頁2?7行)

(3)甲第3号証
(甲3-1)「【0003】
【考案が解決しようとする課題】
従来公知の目視検査方式は上記の如き問題点を有しているが,本考案はこのような問題点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,目視検査対象物の任意の箇所のリアルタイム映像を任意の順序で任意の時間だけディスプレイに順次表示することによってリアルタイム映像を目視の対象として検査を実施することを可能にするとともに,リアルタイム映像上で不良箇所の位置を入力装置を用いて特定することによって該不良箇所に関する各種データをデータベースに登録することを可能にし,作業者が検査箇所及び検査順序を全く意識することなく正確な検査を行えるばかりか,不良箇所を一時的に記録しておくための上記確認及び記入作業に要する精神的,時間的負担を排除することができる目視検査システムを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため,本考案における目視検査システムは,目視検査対象物を任意の水平方向に移動させるXYテーブルと,XYテーブルを駆動する駆動部ど,XYテーブル上に置かれた目視検査対象物を映すカメラと,カメラで映された目視検査対象物のリアルタイム映像を表示するディスプレイと,ディスプレイに表示されたリアルタイム映像上の任意の箇所を特定する入力装置と,駆動部の動作を制御するとともに入力装置で特定した箇所に関するデータを記録ないし処理するコントロール部とにより構成される。
【0005】
【作用及び実施例】
次に,本考案につき,その一実施例を示す添付図面を参照して説明する。
図2においてディスプレイ1の表示画面は,コントロール部8によりその上部を不良要因表示領域4,それより下の部分を映像表示領域5として各々分割制御されており,図5においてXYテーブル10が停止した状態で同テーブル上のプリント基板11をカメラ12が映すと,その映像は図3に示す如くリアルタイムの映像として映像表示領域5に表示される。
また,ディスプレイ1の画面上に入力装置として図4の如きドット方式のタッチパネル2を取り付けると,図1においてタッチパネル2内部にマトリックス状に配列されたドット3のいくつかは,映像表示領域5ないし不良要因表示領域4に表示された部品6の映像ないし不良要因番号7の画像上に位置する。
上記の如きディスプレイ1の画面とタッチパネル2のドット3との関係を利用し,本考案におけるシステムの運用に際しては,XYテーブル10の駆動条件,部品及び不良要因に関するマスタデータをあらかじめ登録しておかなければならない。
まず,検査対象となるプリント基板11上の各部品の部品番号やその設計上のシルク番号等,各部品の固有データをコントロール部8に登録する。
次に,1枚の基板をいくつの映像に分割して検査を行うのか,また各映像の表示時間をどの位の長さにするのか,さらにどういう順番で各映像を先送りするのかをコントロール部8に登録する。
そして,図1に示す如く,各映像上の各部品上に位置するタッチパネル2のドット3と各部品の固有のデータとを対にしてコントロール部8に登録する。
一方,不良要因表示領域4に表示される各不良要因番号においても,その上に位置する各ドットと不良要因番号とを対にしてコントロール部8に登録しておく。
上記の如きXYテーブル10の駆動条件ないし各種マスタデータの登録は,コントロール部8に組込んだマスタデータ登録プログラムを実行することによって行われる。
上記の登録ないし条件設定作業後,コントロール部8に組込んだ検査プログラムを実行して目視検査を実施する。
検査プログラムが実行されると,ディスプレイ1ではプリント基板11のリアルタイム映像がXYテーブル10の駆動に伴い順次先送りされ,作業者はこれらのリアルタイム映像そのものを目視の対象として検査を進めていくこととなる。
図1において,検査中に作業者が不良箇所を発見した際に,作業者が該不良の対象となる部品6の映像をタッチパネル2上から指で押してその位置を特定後,続けて該不良箇所の不良要因番号7を不良要因表示領域4から選択してその画像をタッチパネル2上から指で押して特定すると,検査プログラムは該不良筒所ないし部品に関するマスタデータと該不良箇所の不良要因番号7とを組合わせてひとつの検査データとし,同データをコントロール部8のデータベースに瞬時に登録する。
以上,本考案の一実施例を図面を参照して説明したが,本考案は該実施例に限定されるものではなく,これに各種の改変を施して実施することができるものである。
例えば,データベースに登録された検査データを逐一検索,集計,出力するプログラムをコントロール部に付加することが可能であるし,ドット方式のタッチパネルに替えて超音波方式のタッチパネルやマウスを入力装置とすることも可能である。
また,映像の拡大倍率を映像毎に逐一設定ないし変更する機能や,画面の送りを一時的にマニュアルに切り替えて指定した画面まで先送りないし後退できる機能を検査プログラムに付加することも可能である。
また,上記実施例における不良要因に加え,その他の情報を表示する領域を画面上に確保し,そこから選択ないし入力した情報も含めてひとつの検査データとし,同データをデータベースに登録することも可能である。
さらに,ディスプレイを映像表示領域と不良要因表示領域とに分割せず,たとえば,まずリアルタイム映像を画面全体に表示させ,それが表示されている間に任意の箇所が特定されると,自動的に不良要因等の選択ないし入力情報を画面全体に表示した画面に切り替わり,同画面上で選択ないし入力が行われると自動的に上記リアルタイム映像の画面に復帰するという方式とすることも可能である。
【0006】
【考案の効果】
本考案は,上述のとおり構成されているので以下に記載されるような効果を奏する。
第一に,あらかじめプログラム化された検査箇所をプログラム化された検査順序でディスプレイの画面に表示するため,作業者が検査箇所,検査順序を意識しなくても未検査による不良箇所の見逃しを防止できる。
第二に,ディスプレイに表示される検査対象物のリアルタイム映像そのものを目視の対象とし,該映像上の不良箇所を簡単な操作で特定するだけで該不良箇所に関するデータを直接データベースに登録できるため,経験に関係無く誰にでも操作することができる。
第三に,検査結果を図面ないし記録用紙に一時的に記録するために要する作業や記録したデータを改めてデータベースに登録する作業を排除することで,検査工程全体の作業効率が飛躍的に向上する。」

(4)甲第4号証
(甲4-1)「【0002】
【従来の技術】チップを半田により基板に接着した後,半田付け状態の良否を判定する外観検査が行われる。従来,このような外観検査は目視検査により行われてきたが,近年は光学手段により自動検査することが次第に普及してきている。上記外観検査は,一般にカメラにより行われるものであり,特開平1-79874号公報に示されるものが提案されている。このものは,チップを垂直な上方から観察するトップカメラと,斜め上方から観察するサイドカメラを備えており,トップカメラによりチップの位置ずれ,欠品等を,またサイドカメラによりチップの浮き等を検査するようになっている。」

(5)甲第5号証
(甲5-1)「バランサ balancer エンジンの不釣合い慣性力及び偶力を釣り合わせるための装置」(1516頁右欄下から4行?下から2行)

(甲5-2)「バランサ balancer ディーゼル機関の不釣合い慣性力及び偶力を釣合わせるための装置。」(1517頁左欄1?3行)

(甲5-3)「バランスウェイト balande weight, counter weight 機関の不釣り合い力又は不釣り合い偶力を釣り合わせるためクランク軸などに設けるおもり。」

(5)甲第6号証
(甲6-1)「つりあいおもり・・・2.つりあいのとれていない機構に静的な平衡を保たせるように取り付けられるおもり。」(1172頁左欄18?24行)

(6)甲第7号証
(甲7-1)「【発明の名称】パターン検査装置及び方法」

(甲7-2)「【請求項1】・・・パターン検査装置。」

(甲7-3)「【請求項8】・・・パターン検査方法。」

(甲7-4)「【0001】・・・パターン検査方法及び装置に関する。」

(甲7-5)「【0005】・・・検査する方法及び装置・・・」

(甲7-6)「【0014】・・・ズームレンズ13を介してイメージセンサ14により検出する。・・・」

(甲7-7)「【0016】TVカメラ12は,対物レンズ9の瞳面10(対物レンズの像側焦点面,開口絞りの位置,あるいはフーリエスペクトル面と呼ぶこともある)をレンズ11を介して検出する・・・」

(甲7-8)「【0024】・・・焦点深度を犠牲にしないように,必要以上のNAを確保する必要もない。」

(甲7-9)「【符号の説明】・・・13 ズームレンズ・・・」

(7)甲第8号証
(甲8-1)「【請求項1】 ・・・検査装置。」

(甲8-2)「【請求項2】 絞り,ズーム及びフォーカスの少なくとも一つの状態を,・・・検査装置。」

(甲8-2)「【0001】・・・実装状態の検査に好適に用いられる検査装置に関する。」

(甲8-3)「【0006】・・・ズーム及びフォーカスの少なくとも一つの状態を,上記読取画像とともに表示する状態表示手段・・・」

(甲8-4)「【0010】また,請求項2の発明によれば,画像情報読取手段の絞り,ズーム及びフォーカスの少なくとも一つの状態が読取画像とともに表示されるから,・・・」

(甲8-5)「【0025】・・・カメラ40のアイリス絞り,ズーム,及びフォーカスの現在の状態を示す絵柄90が表示されている・・・」

(甲8-6)「【0035】また,モニタ58の画面には,読取画像80とともにアイリス絞り,ズーム及びフォーカスのような現在の検査状態を示す絵柄90が表示されている・・・」

(9)甲第9号証
(甲9-1)「【0172】・・・絞り機能を有するシャッター312を絞り値に応じて開放し,撮像素子14を露光する(S301,S302)。」

(10)甲第10号証
(甲10-1)「【0014】・・・交換レンズ1は,カメラボディ31に着脱可能なズームレンズである。被写体像を結像させるための撮影レンズは,正レンズ2と負レンズ4で構成され,この撮影レンズ中に,絞り機構3が配置されている。
【0015】この絞り機構3は,絞り駆動回路12の出力に従って動作する絞りモータ10によって駆動制御される。上記絞り機構3の初期位置や停止位置は,絞りエンコーダ7によって検出され,この検出された位置情報はレンズCPU14に入力され,上記絞り駆動回路12にフィードバックされる。」

(甲10-2)「【符号の説明】・・・3 絞り機構・・・12 絞り駆動回路・・・」

(11)甲第11号証
(甲11-1)「【請求項2】・・・前記カメラの向きを一巡させることを特徴とする請求項1記載の半田付け状態の検査方法。」

(甲11-2)「【0007】したがって,従来回転軸12に軸着されたターンテーブル13において,回転軸12から偏心した位置に,カメラ8をブラケット14で固定し,回転軸12を水平回転させることによって,複数の向きから電子部品2の半田付け部を観察するようにしていた。・・・」

(甲11-3)「【0016】・・・0度,90度,180度,270度というように,カメラ8の向きを定義する。
【0017】そして,カメラ8が信号ケーブル10,照明ケーブル11に接続されており,これらのケーブル10,11は,回転軸12とともに回転する。回転軸12とともに回転する。回転軸12を,360度何巡も回転させるようにすると,これらのケーブル10,11が破断してしまう。従って,本実施例では,360度のうち,ある原点方向(180度と270度の中間に原点方向θ0)を定め,回転軸12が原点方向θ0を超えないように,回転させることとしている。
【0018】カメラ8の向きは,第1の要領として,270度を最初の向きとし,次に,0度,90度,180度というように,原点方向θ0をまたがないように一巡させる。また第2の要領として,180度を最初の向きとし,90度,0度,270度としても良い。」

(甲11-4)図5に従来の半田付け状態の検査方法の説明図が図示されている。

(甲11-5)図1にカメラがターテーブル12に回転軸12から偏心してブラケット14で固定されているものが図示されている。また,ケーブル10,12がカメラに接続されている状態が図示されている。

(12)甲第12号証
(甲12-1)「部品取付検査装置」(1頁左下欄3行)

(甲12-2)「1.プリント基板上に搭載された多品種,多品名の部品の取付状態を検査する部品取付検査装置において,部品表面の捺印を撮像するズームレンズを備えた撮像装置と,部品の取付検査に必要な検査データ及びNCデータを格納している記憶装置と,検査データと前記撮像装置より得た撮像データとをマッチング処理して合否判定を行う認識装置と,前記プリント基板を搭載して位置決めを行うX軸及びY軸テーブルと,これらの制御を行うプロセッサとを備え,該プロセッサは,検査データ内の光学系データに基づいて,検査部品種毎に前記ズームレンズの撮像倍率,絞り,ピントを制御し,一定の大きさで一定の明るさの捺印の撮像データを前記認識装置に与えるようにしたことを特徴とする部品取付検査装置。」(1頁左下欄5行?末行)

(甲12-3)「ズームレンズ4の撮像倍率,絞り,ピントの制御を行い」(3頁右下欄10?11行)

(甲12-4)「光学系情報は,そのプリント基板での部品種毎の電動ズームレンズの倍率,絞り,ピントを決定する制御データであり,部品種情報は,そのプリント基板での部品種毎の2値化閾値データである。」(2頁左下欄4?8行)

(甲12-5)「絞り:照明を同一としていても,各部品の捺印色と部品の材質1色により反射光量は,一定とならない。反射光量が多ければハレーションを起し鮮明な画像が得られず,また反射光量が少なければ,コントラストのない画像しか得られず,これらの画像では,2値化が困難となり,検査速度の低下,信頼性の低下を生じる。従って,部品種毎に最適な絞りが設定される。例えば,第3図(a)のLSIは,その材質9色がアルミニウム,銀白色で捺印色が黒であるのに対し,第3図(e)のSSIは,その材質,色がセラミック,黒で,捺印色が白である。」(4頁右下欄5?16行)

(13)甲第13号証
(甲13-1)「【0010】なお,上記X,Y軸方向の移動及び鉛直軸θ及び水平軸Rの軸回りの回転は,制御回路8の出力によって各モータを駆動することで行われる。そして,上記ビデオカメラ1には,電動式ズームレンズを備えるオートフォーカスタイプのものが用いられており,このビデオカメラ1で撮影された画像は,制御回路8を通じてCRTディスプレイ9上に表示される。」

(甲13-2)「【0014】次にティーチング時の動作について説明する。検査領域を順次セットしていくティーチングに際して,このものではおおまかな検査部位をマウス等の入力手段を用いて指定することで,ティーチングすべき点を生成するプリティーチング機能を備えたものとしている。図4はこのプリティーチングについてのフローを示しており,大きな視野(基準倍率)の中で検査する部品をおおまかに指定しておくと,次のティーチング時には,プリティーチングで指定された多数の領域が拡大倍率で順次表示されることから,各領域について位置(X,Y)の微調整を行ったり,拡大倍率や絞り,視野の傾き角度(θ,R)等を細かく設定していくことで,検査すべき領域について教示点をセットし忘れることがなくなるものである。」

(甲13-3)「【要約】
【目的】 死角のない外観の目視検査を迅速に行うことができる。
【構成】 基板2表面を撮像するカメラ1と,撮像画面を表示する表示部9と,カメラ1による基板2の撮像領域を変更する撮像領域変更部と,カメラ1による基板の撮影角度を変更する撮影角度変更部とを備える。また撮影角度変更に応じた撮像領域の変動を基板とカメラとの相対位置変更で補正する制御回路8を備えている。撮影角度変更によって死角のない検査が可能である上に,撮影角度変更に応じた撮像領域の変動が基板2とカメラ1との相対位置変更で補正されるために,撮影角度を変更しても視野中心から現在の撮像領域が外れてしまうことがない。」

(甲13-4)「【0018】・・・また,カメラ位置変更のためのモータの位置決めと,ズーム・フォーカス・絞りといったカメラ設定とを並行に動作させることで,高速な画像切換を可能としている。」

(甲13-5)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプリント基板の外観の目視検査のための装置に関するものである。」

(甲13-6)「【0018】・・・(略)・・・また,カメラ位置変更のためのモータの位置決めと,ズーム・フォーカス・絞りといったカメラ設定とを並行に動作させることで,高速な画像切換を可能としている。」

(14)甲第14号証
(甲14-1)「回転装置により回転せしめられると共に,被検査物を保持する主軸部と,所要の焦点深度を得るための焦点深度調整機構を有し,かつ上記主軸部に保持された上記被検査物の先端部の形状を検出する形状検出装置と,この形状検出装置で得られた上記被検査物の先端部の形状とあらかじめ記憶されている基準形状とを比較して,上記被検査物の先端部の検査位置を割出し,かつ上記被検査物の先端部の形状の良否をあらかじめ設定された検査領域と検査判定基準とに基づいて判定する画像パターン認識装置と,この画像パターン認識装置からの信号に基づいて上記回転装置を制御して上記被検査物を位置決めする制御装置とを具備したことを特徴とする自動外観検査装置。」(明細書1頁5行?同頁下から2行)

(甲14-2)「この形状検査装置12は,第3図に示すように,上記ドリル2の先端を拡大する顕微鏡部13とこの顕微鏡部13で拡大された先端形状を撮像するテレビ撮像管部14とから構成され,かつこの顕微鏡部13のズーム式対物レンズ15とテレビ撮像管部14との間に,倍率を得るための中継レンズ16と絞りを調節するための絞り機構17とが設けられている。これにより,上記顕微鏡部13は,第4図に示すように,各種のドリル2に応じた必要焦点深度Dを得ることが十分に可能な深い焦点深度を有する構成となつている。」(明細書6頁4?15行)

(15)甲第15号証
(甲15-1)「【請求項1】 ズームレンズ鏡筒を有するカメラ装置であって,
被写体像を変倍させる変倍レンズ群と,被写体像を結像させる合焦レンズ群と,光量を調整するための絞りと,光の情報を電気の情報に変換するための受光素子と,前記変倍レンズ群の位置を検出するためのズーム位置検出手段と,前記合焦レンズ群の位置を検出するためのフォーカス位置検出手段と,前記絞りのFナンバーを検出するためのFナンバー検出手段と,前記ズーム位置検出手段の情報と前記フォーカス位置検出手段の情報とより被写体距離を決定するための被写体距離決定手段と,前記ズーム位置検出手段の情報と前記Fナンバー検出手段の情報と前記被写体距離決定手段の情報とより被写界深度を決定するための被写界深度決定手段と,決定した被写体距離と被写界深度を表示する表示手段とを備えた事を特徴とする撮影距離明示装置。」

(甲15-2)「【0002】
【従来の技術】近年,ビデオカメラあるいはカメラ一体型VTRおよび電子スチルカメラの普及により,カメラ撮りを本格的に楽しむ機会が増加している。さらにビデオカメラあるいはカメラ一体型VTRの超小型,軽量化に伴い,ズームレンズの小型,軽量化が要求され,レンズ構成枚数の少ないインナーフォーカス方式のズームレンズの採用が一般的となっている。また,カメラ撮りを行う場合に便利な自動合焦(以下AFと略す)機能や,絞りのFナンバー(以下,FNoと略す)の設定が出来るものも多くなってきている。」

(甲15-3)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従来の構成では,ズーム位置または焦点距離と,絞りのFNoが独立にわかるだけで,被写体距離または被写界深度の表示ができない。そのため,AF機能を備えたビデオカメラでは,撮りたい被写体の前後に別の被写体がある場合,AF機能の誤認識によって別の被写体にも合焦し,撮りたい被写体がピントボケせずに記録されているかの判断をファインダーの像からしなければならず,判りづらい。また,マニュアル撮影時には,被写体が現れるのを待ちながら撮影する場合(待ち受け撮影),被写体距離を決めなければピントがあった撮影チャンスを逃すことになり,さらに被写界深度を設定する場合に,カメラの専門知識が無ければ,絞りのFNoの設定ができず,背景ぼかし等カメラ撮りの楽しみを充分に味わえないという問題を有していた。」

(甲15-4)「【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明の撮影距離明示装置は,被写体像を変倍させる変倍レンズ群と,被写体像を結像させる合焦レンズ群と,光量を調整するための絞りと,光の情報を電気の情報に変換するための受光素子と,変倍レンズ群の位置を検出するためのズーム位置検出手段と,合焦レンズ群の位置を検出するためのフォーカス位置検出手段と,絞りのFナンバーを検出するためのFナンバー検出手段と,ズーム位置検出手段の情報とフォーカス位置検出手段の情報とより被写体距離を決定するための被写体距離決定手段と,ズーム位置検出手段の情報とFナンバー検出手段の情報と被写体距離決定手段の情報とより被写界深度を決定するための被写界深度決定手段と,決定した被写体距離と被写界深度を表示する表示手段とを備えた構成を有している。」

(甲15-5)「【0017】
【発明の効果】以上のように本発明は,・・・光量を調整するための絞りと,・・・」

(甲15-6)「【要約】
【目的】 被写体距離または被写界深度が,カメラの専門知識が無くとも,容易に,すばやく,明確に分かることができるという優れた撮影距離明示装置を提供する事を目的とする。
【構成】 ズーム位置検出回路11で決定されたズーム位置とフォーカス位置検出回路12で決定されたフォーカス位置とを使って被写体距離sを決定する被写体距離決定部14と,F値検出回路13により決定されたFナンバーとズーム位置検出回路11で決定されたズーム位置と被写体距離sとを使って被写界深度を決定する被写界深度決定部15とを設け,表示装置16に明示することにより,被写体距離,被写界深度が,容易に,すばやく,明確に分かることができる。」

(甲15-7)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビデオカメラあるいはカメラ一体型ビデオテープレコーダ(以下,カメラ一体型VTRと略す)および電子スチルカメラにおける撮影時の被写体距離,被写界深度を決定し,表示するための撮影距離明示装置に関するものである。」

(16)甲第16号証
(甲16-1)「【0015】14は電源オン/オフ,及び画面切り替えのためのスイッチであり,装置各機器の電源オン/オフ制御,及び4上記3つのカメラ12,13,13で撮影した各画像の表示出力切り替え等を行なう際に操作される。
【0016】15は上記3つのカメラ12,13,13で撮影した各拡大画像をステージ前方にて表示する表示部であり,ここでは手操作による角度調整が可能な液晶モニタを用いて構成されるものとする。この液晶モニタ15には,上記3つのカメラ12,13,13で撮影した各画像のうち上記スイッチ14の表示切り替えで選択された拡大画像が表示され,検査箇所を目視確認できる。」

(17)甲第17号証
(甲17-1)「【要約】
【目的】 検査能力の安定化と向上を実現し得る検査装置を提供する。
【構成】 X-Yステージ2上の被検査対象1に,光源3によって照明するとともに,被検査対象1の上方に両眼視のカラーカメラ4a,4bを設け,かつこのカラーカメラ4a,4bをX-Yステージ2のX-Y軸に対して45度方位角回転した位置に設置する。カラーカメラ4a,4bの2画像から画素の距離計測を行い,自動良否判定演算を行う。自動良否判定で不良判定された部分をカラーカメラ4a,4bで撮像し,目視判定のため表示ユニット13に表示する。」

(甲17-2)「【請求項1】プリント配線板への部品実装の品質を外観検査する検査装置であって,
検査対象を位置決めする位置決め手段と,
検査箇所の画像を得るための照明・撮像手段と,
得られた画像情報から三次元計測データを算出する演算手段と,
前記三次元計測データを用いて実装品質良否を判定する判定手段と,
不良判定箇所の位置データを記憶するメモリ手段と,
自動検査終了後,前記位置データを用いて前記検査対象が再位置決めされ,その不良箇所を照明・撮像する照明・撮像手段と,
その不良箇所の画像を表示する表示手段とを備え,
自動検査のための照明・撮像手段と,画像表示のための照明・撮像手段を共用するものである検査装置。」

(甲17-3)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製品製造ラインにおいて,立体の形状や立体構造を計測することによって半完成品を検査し,不良品を修理修正する場合に利用される検査装置,三次元形状計測方法と,製品製造方法に関するものであり,特にプリント配線板に電子部品を搭載し,はんだ付けを施した後の部品実装基板検査自動化技術,目視検査のための画像化表示技術,及びこれらの技術を利用した修理修正製造方法に関する。」
(甲17-4)「【0011】例えば,左右両眼の撮像装置をX-Y水平面において,左右間距離の中点を中心として45度方位角回転した位置に固定すると,図18に示すようにX-Y座標軸に平行にチャッキングされたプリント配線板上にX-Y座標軸に平行に搭載された直方体近似形状部品の右方側面と上方側面の画像が右眼装置により,また左方側面と下方側面の画像が左眼装置により,同時に撮像されることになり,上記の4眼の必要性は消滅する。更に本発明になる斜め両眼視法のメリットは,この方法で得た画像を用いて画像目視検査を行う場合に,立体の立体感ある画像表示ができることである。従って,斜め両眼視法により自動計測及び自動検査を行った後,不良判定された箇所の目視再検査を行う検査装置においては,自動検査と画像表示用の撮像を同一の照明・撮像手段によって得られる同質の画像情報を用いて行うことができるという大きなメリットが得られる。また,図19のZ軸方向に第3の撮像装置を配置する方法を用いれば,演算式(1)の通り,対象の上下誤差由来の誤差はゼロになる。」

(甲17-5)「【0012】この出願の特許請求の範囲の請求項1に係る検査装置は,プリント配線板への部品実装の品質を外観検査する検査装置であって,検査対象を位置決めする位置決め手段と,検査箇所の画像を得るための照明・撮像手段と,得られた画像情報から三次元計測データを算出する演算手段と,前記三次元計測データを用いて実装品質良否を判定する判定手段と,不良判定箇所の位置データを記憶するメモリ手段と,自動検査終了後,前記位置データを用いて前記検査対象が再位置決めされ,その不良判定箇所を照明・撮像する照明・撮像手段と,その不良判定箇所の画像を表示する表示手段とを備え,自動検査のための照明・撮像手段と,画像表示のための照明・撮像手段を共用している。」

(18)甲第18号証
(甲18-1)「【請求項1】 カメラをピッチジンバルに取り付け,ピッチジンバルをアジマスジンバルに取り付け,カメラに取り付けられたレンズ可動部とバランスウェイトとをピッチジンバルのエレベーション軸の回りにマスバランスさせたカメラスタビライザにおいて,ズーム操作或はフォーカス操作の向きと逆向きに移動せしめられる補助バランスウェイトを具備することを特徴とするカメラスタビライザ。」

(甲18-2)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,カメラスタビライザに関し,特に,カメラのレンズ可動部のズーム操作時およびフォーカス操作時のレンズ可動部の変位によるマスアンバランスを補正するバランス調整装置を具備するカメラスタビライザに関する。
【0002】
【従来の技術】カメラスタビライザの従来例を図2を参照して説明する。図2において,10はカメラを示す。1はカメラのレンズ可動部であり,カメラ10に取り付けられたレンズ筒に沿って矢印により示される軸方向にズーム操作或はフォーカス操作される。4はバランスウェイトを示し,カメラ10に取り付けられた取り付け部材の端部に固定されている。2はピッチジンバルであり,xにより示されるエレベーション軸の回りにカメラ10を回動可能に支持している。3はアジマスジンバルであり,カメラ10を支持したピッチジンバル2をzにより示されるアジマス軸を中心に回動可能に支持している。
【0003】ここで,ピッチジンバル2およびアジマスジンバル3より成るカメラスタビライザに上述した通りにカメラ10,レンズ可動部1およびバランスウェイト4を取り付けた場合,エレベーション軸xの回りにマスアンバランスが存在すると,カメラの安定化性能に影響を及ぼす。従って,カメラスタビライザを構成するジンバル機構とカメラとを組み立てる際,エレベーション軸xの回りのマスバランス調整を実施している。エレベーション軸xの回りのマスバランス調整は,レンズ可動部1をレンズ駆動軸方向の所定位置に設定し,カメラ10のレンズ可動部1の向きがエレベーション軸xの回り如何なる向きであってもエレベーション軸xの回りのマスバランスを満足する様にバランスウェイト4により調整する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の通りのピッチジンバル2およびアジマスジンバル3より成るカメラスタビライザに取り付けられたカメラ10は,エレベーション軸xの回りのマスバランス調整を実施されてはいるが,カメラ10のレンズ可動部1をズーム操作およびフォーカス操作することにより生ずるレンズ駆動軸方向の重心移動に対する対策,補償措置は採用されてはいない。
【0005】ところで,このカメラ10を報道用のテレビカメラとしてヘリコプター,車両その他振動を伴う装置に装着して使用する場合,エレベーション軸xの回りのマスバランスがとれてさえいれば,カメラ10に多少の振動が加えられてもカメラ10のレンズ可動部1の向きが変化することはない。しかし,カメラ10のレンズ可動部1をズーム操作およびフォーカス操作することによりエレベーション軸xの回りに僅かのマスアンバランスが生ずると,レンズ可動部1の向きは加えられる振動によりレンズ可動部1の向きは変動するに到る。」

(甲18-3)「【0011】
【発明の効果】以上の通りであって,この発明のカメラスタビライザのバランス調整装置は,レンズ可動部1のレンズ駆動軸方向のマスの変位に起因するピッチジンバル2のエレベーション軸xの回りのマスアンバランスを,パルスモータ5とボールネジ6とにより補助バランスウェイト8を移動させて微妙に補正調整することができる。従って,ピッチジンバル2のエレベーション軸xの回りのマスバランスは常に保持されているので,カメラスタビライザに振動が加えられても,これに取り付けられているカメラのレンズ可動部1,レンズ筒,バランスウェイト4全体についてこれらの向きは偏向することはなく,カメラのレンズ可動部1の向きは常に制御された向きを保持してカメラの操作性能は向上する。」

(甲18-4)「【要約】
【目的】 カメラのレンズ可動部のズーム操作時およびフォーカス操作時のレンズ可動部の変位によるマスアンバランスを補正するバランス調整装置を具備するカメラスタビライザを提供する。
【構成】 カメラ10をピッチジンバル2に取り付け,ピッチジンバル2をアジマスジンバル3に取り付け,カメラ10に取り付けられたレンズ可動部1とバランスウェイト4とをピッチジンバル2のエレベーション軸xの回りにマスバランスさせたカメラスタビライザにおいて,ズーム操作或はフォーカス操作の向きと逆向きに補助バランスウェイト8を移動させるカメラスタビライザを構成した。」

(甲18-5)「【符号の説明】
・・・
4 バランスウェイト
・・・
8 補助バランスウェイト
・・・
10 カメラ
x エレベーション軸」

(19)甲第19号証
(甲19-1)「【要約】【目的】 テレビ用カメラ装置において,ズームやフォーカスの調整時,レンズの移動で生じた重心の移動量を補正し,カメラ装置全体のバランスをとることを目的とする。
【構成】 ズームやフォーカスの調整時,レンズの移動で生じた重心の移動量を前記調整操作と連動して補正する重心補正手段を具備した。
【効果】 レンズの移動で生じた重心の移動量を補正し,カメラ装置全体のバランスをとることができる。」

(甲19-2)「【0003】上記のように従来例のテレビ用カメラ装置のレンズ装置にはフォーカスやズーム時にレンズの移動による重心の移動を補正する装置はつけられていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来例では,ズーミングを行う時やフォーカス調整を行う時に,レンズが移動するため,重心が移動しカメラ用レンズ全体の重量バランスがくずれて三脚支点を中心として,回転力が加わり,アンバランスになるという問題点があった。」

(甲19-3)「【符号の説明】
・・・
9,14 重り
・・・」

(甲19-4)「【0017】フォーカス調整を行うと,レンズがB方向へ移動するため,カメラ全体の重量バランスがくずれるが,これを補正する目的で,重り14をD方向へ移動させる。この移動により,カメラ全体の重量バランスを取ることができる。重り14はねじ送り棒19によりD方向へ移動でき,ねじ送り棒19はギヤ16とギヤ18によりフォーカス調整を行う押し引き棒8と連動している。」

(甲19-5)図1には,重心補正手段Yが図示されている。

(20)甲第20号証
(甲20-1)「【要約】
【課題】テレビカメラ装置の重心移動を相殺するバランスウエイト部材を,テレビカメラ装置のカメラ本体に着脱可能に取り付けることにより,カメラマンの操作性向上を図る。
【解決手段】カメラ本体14の側面にバランサー46を着脱可能に設ける。バランサー46はネジ棒52,バランスウエイト54を有し,ネジ棒52をテレビレンズ12に向けて延設する。ネジ棒52にバランスウエイト54を螺合する。バランスウエイト54をネジ棒52に対して回転させると,バランスウエイト54がネジ棒52に沿って,即ち,テレビカメラ装置10の重心移動を相殺する方向に移動する。例えば,テレビレンズ12の前部にワイパーユニット26を取り付けると,テレビカメラ装置10の重心がテレビレンズ12側に大きく移動するので,バランスウエイト54をテレビレンズ12から離れる方向に大きく移動させてテレビカメラ装置10の重心移動を相殺する。」

(甲20-2)「【請求項1】雲台上にパン,チルト操作可能に取り付けられると共に,そのテレビレンズの前部にワイパーユニットが着脱自在に取り付けられるテレビカメラ装置に於いて,
前記ワイパーユニットを操作するワイパーコントローラを,前記ワイパーユニットの取り付けによるテレビカメラ装置の重心移動を相殺する位置に着脱可能であることを特徴とするテレビカメラ装置。」

(甲20-3)「【0004】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので,カメラマンによるカメラの操作性を向上させることができるテレビカメラ装置を提供することを目的とする。」

(甲20-4)「【0006】本発明は,ワイパーユニットを取り付けると,テレビカメラ装置の重心がテレビレンズ側に移動するので,その重心移動を相殺する位置にワイパーコントローラを取り付ける。これにより,カメラマンによるカメラの操作性が向上する。また,本発明は,ワイパーユニットとワイパーコントローラとを取り付けた際によるテレビカメラ装置の重心が移動した場合に,バランスウエイト部材をテレビカメラ装置に取り付けてその重心移動を相殺する。例えば,前記バランスウエイト部材をカメラ本体又はパン棒に取り付けて重心移動を相殺する。これにより,カメラマンによるカメラの操作性が向上する。更に,前記バランスウエイト部材をガイド部材に沿って移動させて,ワイパーユニットの重心移動を相殺する位置に位置させれば,一個のバランスウエイト部材で重量の異なる複数のワイパーユニットに対応することができる。」

(甲20-5)「【0010】ところで,図1に示すようにバランサー46がカメラ本体14の側部に設けられる。このバランサー46は図1,図3に示すように一対のクランププレート48,50,ネジ棒52,及びバランスウエイト54から構成され,また,前記ワイパーコントローラ44が支持プレート56を介してクランププレート48に固定されている。」

(甲20-6)「【0015】また,本実施の形態では,バランスウエイト54をカメラ本体14の側部に移動自在に配置したが,この位置に限られるものではなく,例えばパン棒20に取り付けても良い。即ち,前記バランスウエイト54の取り付け位置は,雲台18を挟んでワイパーユニット26の反対側であればその位置は問わない。更に,本実施の形態では,バランスウエイト54で重心移動を相殺するようにしたが,バランスウエイト54を用いなくても,ワイパーコントローラ44を図4に示すように重心Pの移動を相殺する位置に取り付けるようにしても良い。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るテレビカメラ装置によれば,ワイパーユニットの取り付けでテレビカメラ装置の重心が移動した場合に,ワイパーコントローラ及び/又はバランスウエイト部材によってその重心移動を相殺するようにしたので,カメラマンによるカメラの操作性を向上させることができる。」

(甲20-7)「【図面の簡単な説明】・・・
【図4】ワイパーコントローラで重心移動を相殺した状態を示す模式図
・・・」

第4 被請求人の主張と証拠方法
1 被請求人の主張
本件無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め,下記「第4 2 証拠方法」に示した証拠を提出して,請求人の主張する無効理由は理由がなく,本件発明に係る特許は,特許法第123条第1項第2号の規定により無効にされるものではない,と反論している。

2 証拠方法
乙第1号証 特開2001-50907号公報
乙第2号証 特開平11-316403号公報

3 各乙号証の記載内容
各乙号証には,以下の事項が記載されている。
(1)乙第1号証
(乙1-1)「【0005】一方,前記検査装置による自動欠点検査方法のみによった場合,前記の基板欠点と基板への付着物との分別ができない不具合に加え,本来欠点ではなかった付着物も欠点と判定される,いわゆるオーバーキルが起きる。すなわち,本来欠点ではない付着物は,再洗浄,簡単な手直し,再加工等で製品化できるが,これが欠点と判定されれば廃棄処理,または重度の手直しがなされ,材料のロス,工程の負担増を招く。」

(2)乙第2号証
(乙2-1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,CCD等の撮像素子を用いて電気的に画像信号を取り込む電子カメラに関するものである。」

(乙2-2)「【0022】本実施形態の特徴は,図2に示すように撮影光学系の電子ズーム域を含んだ広い光学ズーム域をファインダー光学系が具えている点である。このことについて以下により詳細に説明する。」

第5 無効理由1について
1 甲第1号証記載の発明
上記摘記事項(甲1-1)?(甲1-7)に記載された事項からみて,甲第1号証には,次の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「電子部品を搭載した基板4をクランパー23でクランプして固定する基板ホルダー6と,
前記基板4の上面に対して光軸が垂直方向になるように配置されたテレビカメラであるトップカメラ53,前記基板4の上面に対して光軸が斜め方向になるように配置され,トップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55,55a及び同様にトップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55b,55cの計2組のサイドカメラを本体フレーム48に配置し,
前記本体フレーム48を回転可能にさせるベアリング49を設けた回転機構と,
前記基板4を,トップカメラ及びサイドカメラを配置した前記本体フレーム48が設けられたブロック42を所定の水平方向(F方向)に移動することができ,前記基板4をそれとは直交する水平方向(A方向)に移動することができる水平移動機構を備え,
前記トップカメラ又はサイドカメラのいずれの画像を取り込むか選択する機構と,前記トップカメラ又はサイドカメラからの画像は,フレームメモリ67に格納され,該フレームメモリ67から必要な処理を加えて画像変換され画像が転送され,判定機構に送られ,
該判定機構は,平面形状の特徴部である4つの角部をそれぞれ包含する4つのエリア74,74a,74b,74cを予め記憶されたマスターパターンデータに基づいて設定し,各々のエリア74?74cの画像データをトップカメラ53に取り込み,4つのエリア74?74cのすべてに角部の画像が包含されていれば搭載状態は良と判定し,4つのエリア74?74cのうち,少なくとも何れか1つのエリアに角部の画像が包含されていなければ位置ずれがあるものと判定し,4つのすべてのエリア74?74cに角部の画像がなければ欠品と判定する機構,及び,
一方のサイドカメラがとらえた電子部品52の画像82の位置の変位(矢印I方向)と,他方のサイドカメラがとらえた画像83の位置はこれと同一方向である変位(矢印J方向)を,基準画像80,81の位置と比較してその変位を求めることにより,電子部品52に浮き及び/又は位置ずれがあることを判定する機構からなり,
前記基板ホルダ6で固定した基板4及び前記ブロック42を基板4に搭載された電子部品の位置に応じて移動させる前記水平移動機構と,
前記基板4に搭載された電子部品52の向きに応じて,電子部品の画像取り込み方向を変える,外観検査位置に電子部品の位置と向きを変える前記回転機構を有し,
基板4の傾き,位置ずれを制御装置が演算し,基板4の傾き,位置ずれから演算される補正値とあらかじめ記憶された基板4上のマスターパターンデータに基づいてモータ11,モータ43が駆動し,基板4を認識部9に対して相対的にA方向やF方向に水平移動させ,基板4に搭載された所定の電子部品52を認識部9による外観検査位置に位置させ,該電子部品52について前記外観検査機構による外観検査を行う機構と,
で構成した電子部品52を搭載した基板4の自動検査装置。」

2 対比
本件発明と甲1発明を対比する。
(1)甲1発明の「電子部品を搭載した基板4」及び「クランパー23でクランプして固定する基板ホルダー6」は,それぞれ本件発明の「検査対象」及び「保持手段」に相当する。

(2)甲1発明の「前記基板4の上面に対して光軸が垂直方向になるように配置されたテレビカメラからなるトップカメラ53」は,その光軸からみて,基板4を正面から撮影するものであることは明白である。また,甲1発明のトップカメラはテレビカメラであり,「ビデオ‐カメラ【videocamera】テレビ画像を作るためのカメラ。」[株式会社岩波書店広辞苑第六版]との語義からみて,テレビカメラは,ビデオカメラともいえるから,本件発明の「上記検査対象を正面から撮影する,ズーム機能及び絞り機能を備えた正面用ビデオカメラ」とは,「上記検査対象を正面から撮影する正面用ビデオカメラ」という点で共通する。
また,甲1発明の「前記基板4の上面に対して光軸が斜め方向になるように配置され,トップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55,55a」は,基板を斜めから撮影するものであることは明白である。よって,甲1発明の1組のサイドカメラの内の一方は,ズーム機能及び絞り機能を備えていないものの,本件発明の「ズーム機能及び絞り機能を備えた斜め用ビデオカメラ及び該斜め用ビデオカメラ」とは,「斜め用ビデオカメラ」というで共通する。
そうすると,甲1発明の「トップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55,55a及び同様にトップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55b,55cの計2組のサイドカメラを本体フレーム48に配置」したものは,一方のサイドカメラが他方のサイドカメラに対してバランスをとるという機能を有するものではあるが,サイドカメラであってバランサとはいえないから,本件発明の「該斜め用ビデオカメラと反対側に配したバランサを一体に組み合わせたカメラユニット」とは,「バランスをとるように斜め用ビデオカメラを配置したカメラユニット」という点で共通する。
以上を総合すると,甲1発明の「前記基板4の上面に対して光軸が垂直方向になるように配置されたテレビカメラであるトップカメラ53,前記基板4の上面に対して光軸が斜め方向になるように配置され,トップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55,55a及び同様にトップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55b,55cの計2組のサイドカメラを本体フレーム48に配置」したものと,本件発明の「上記検査対象を正面から撮影する,ズーム機能及び絞り機能を備えた正面用ビデオカメラ,上記検査対象を斜め方向から撮影する,ズーム機能及び絞り機能を備えた斜め用ビデオカメラ及び該斜め用ビデオカメラと反対側に配したバランサを一体に組み合わせたカメラユニット」とは,「上記検査対象を正面から撮影する正面用ビデオカメラ,上記検査対象を斜め方向から撮影する斜め用ビデオカメラ及びバランスをとるように斜め用ビデオカメラを配置したカメラユニット」という点で共通する。

(3)甲1発明の本体フレーム48上には,トップカメラ53が設けられており,本体フレームが回転すれば,必然的にトップカメラも回転することとなるが,甲第1号証には,本体フレーム48の回転軸とトップカメラとの関係については明記されていない。
よって,甲1発明の「前記本体フレーム48を回転可能にさせるベアリング49を設けた回転機構」と,本件発明の「正面用ビデオカメラを中心に回転させる回転手段を備えたカメラユニット」とは,「正面用ビデオカメラを回転させる回転手段を備えたカメラユニット」という点で共通する。

(4)本件発明において,移動手段により移動される方向は,「X,Y,Zの三次元方向の全部又は一部の方向」であってよいから,水平方向であるX,Y軸のみに移動するものも,本件発明に包含される。
また,本件発明において,移動手段が備えられるのは,「該検査対象及び前記カメラユニットの双方又は一方」であってよいから,検査対象に移動手段が設けられるものも本件発明に包含される。
そうすると,甲1発明の「前記基板4を,トップカメラ及びサイドカメラを配置した前記本体フレーム48が設けられたブロック42を所定の水平方向(F方向)に移動することができ,前記基板4をそれとは直交する水平方向(A方向)に移動することができる水平移動機構」は,本件発明の「前記検査対象を,必要に応じて,上記カメラユニットに対して相対的にX,Y,Zの三次元方向の全部又は一部の方向に移動させ得るように,該検査対象及び前記カメラユニットの双方又は一方に備えさせた移動手段」に相当することは明白である。

(5)本件発明の「前記カメラユニットの正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラの撮影した画像信号を選択的に再生し得る画像モニタ」について,「正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラの撮影した画像信号」は,いずれのカメラを再生するか選択され,それにより,一方の画像が画像モニタで選択的に再生し得るようになっていると解される。
これは,本件明細書の段落【0047】の「こうして撮影されて得られた画像信号は前記画像切換部12を通じて画像モニタ7に入力され,ここで再生される。云うまでもなく,前記画像切換部12では,このときは,正面用カメラ2aの画像信号が選択されるよう,前記制御部8で制御される。」とする記載事項とも矛盾しない。
甲1発明は「前記トップカメラ又はサイドカメラのいずれの画像を取り込むか選択する機構と,前記トップカメラ又はサイドカメラからの画像は,フレームメモリ67に格納され,該フレームメモリ67から必要な処理を加えて画像変換され画像が転送され,判定機構に送られ」るものであって,「前記トップカメラ又はサイドカメラのいずれの画像を取り込むか選択する機構」により,画像信号は選択されているといえる。
そうすると,甲1発明の「前記トップカメラ又はサイドカメラのいずれの画像を取り込むか選択する機構と,前記トップカメラ又はサイドカメラからの画像は,フレームメモリ67に格納され,該フレームメモリ67から必要な処理を加えて画像変換され画像が転送され,判定機構に送られ」るものと,本件発明の「前記カメラユニットの正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラの撮影した画像信号を選択的に再生し得る画像モニタ」とは,「前記カメラユニットの正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラの撮影した画像信号を選択しえるもの」という点で共通する。

(6)甲1発明の「基板4に搭載された電子部品の向き」及び「基板4に搭載された電子部品52の位置」は,本件発明の「要検査部位」に相当する。
また,甲1発明の「前記水平移動機構」は,トップカメラ及びサイドカメラを配置した前記本体フレーム48が設けられたブロック42を所定の水平方向(F方向)に移動することができ,基板4をそれとは直交する水平方向(A方向)に移動することができる水平移動機構であるから,本件発明の保持手段及びカメラユニットに相当するものを移動させているといえる。
さらに,甲1発明の前記回転機構は,トップカメラ及びサイドカメラが配置された「前記本体フレーム48を回転可能にさせるベアリング49を設けた回転機構」であり,本件発明のカメラユニットに相当するものを回転させているといえる。
そうすると,甲1発明の「前記基板ホルダ6で固定した基板4及び前記ブロック42を基板4に搭載された電子部品の位置に応じて移動させる前記水平移動機構と,
前記基板4に搭載された電子部品52の向きに応じて,電子部品の画像取り込み方向を変える,外観検査位置に電子部品の位置と向きを変える前記回転機構により,
該電子部品52について前記外観検査機構による外観検査を行う機構を有し,
基板4の傾き,位置ずれを制御装置が演算し,基板4の傾き,位置ずれから演算される補正値とあらかじめ記憶された基板4上のマスターパターンデータに基づいてモータ11,モータ43が駆動し,基板4を認識部9に対して相対的にA方向やF方向に水平移動させ,基板4に搭載された所定の電子部品52を認識部9による外観検査位置に位置させ,該電子部品52について前記外観検査機構による外観検査を行う機構」と,本件発明の「前記保持手段及び前記カメラユニットをそれぞれ移動させる移動手段,前記カメラユニットを回転させる回転手段,前記カメラユニットに於ける正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラ並びに前記画像モニタのそれぞれを,検査対象の要検査部位を順次予め設定した順序と撮影態様で撮影して前記画像モニタで再生すべく制御する制御装置」とは,「前記保持手段及び前記カメラユニットをそれぞれ移動させる移動手段,前記カメラユニットを回転させる回転手段,前記カメラユニットに於ける正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラのそれぞれを,検査対象の要検査部位を撮影すべく制御する制御装置」という点で共通する。

(7)上記「第5 2(6)」に記したように,甲1発明には,「基板4に搭載された電子部品の向き」,「基板4に搭載された電子部品52の位置」及びカメラの切替えを行う何らかの制御装置が具備されているといえる。そのためには,撮影の進行の指示を与える指示装置が不可欠である。
そうすると,上記「第5 2(6)」に記したように,制御装置の制御内容が,本件発明と甲1発明とでは異なることを除き,甲1発明が,本件発明の「上記制御装置に撮影の進行の指示を与える指示装置」に相当する装置を具備していることは明白である。

(8)甲1発明の「電子部品52を搭載した基板4」は,本件発明の「工業製品」に相当する。
そうすると,甲1発明の「電子部品52を搭載した基板4の自動検査装置」と,本件発明の「工業製品の目視検査支援装置」とは,「工業製品の検査装置」という点で共通する。

以上のことを総合すると,両発明は,次の(一致点)及び(相違点1)?(相違点5)を有する。

(一致点)
「検査対象を保持する保持手段と,
上記検査対象を正面から撮影する正面用ビデオカメラ,上記検査対象を斜め方向から撮影する斜め用ビデオカメラ及びバランスをとるように斜め用ビデオカメラを配置したカメラユニットであって,
正面用ビデオカメラを回転させる回転手段を備えたカメラユニットと,
前記検査対象を,必要に応じて,上記カメラユニットに対して相対的にX,Y,Zの三次元方向の全部又は一部の方向に移動させ得るように,該検査対象及び前記カメラユニットの双方又は一方に備えさせた移動手段と,
前記カメラユニットの正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラの撮影した画像信号を選択しえるものと,
前記保持手段及び前記カメラユニットをそれぞれ移動させる移動手段,前記カメラユニットを回転させる回転手段,前記カメラユニットに於ける正面用ビデオカメラ及び斜め用ビデオカメラのそれぞれを,検査対象の要検査部位を撮影すべく制御する制御装置と,
上記制御装置に撮影の進行の指示を与える指示装置と,
で構成した工業製品の検査装置。」

(相違点1)
正面用ビデオカメラと斜め用ビデオカメラが,本件発明では「ズーム機能及び絞り機能を備え」ているのに対して,甲1発明はかかる機能を備えていない点。

(相違点2)
バランスをとるように斜め用ビデオカメラを配置したカメラユニットが,本件発明では「該斜め用ビデオカメラと反対側に配したバランサを一体に組み合わせたカメラユニット」であるのに対して,甲1発明は,トップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55b,55cであって,バランスはとれているもののバランサを具備していない点。

(相違点3)
カメラユニットの回転手段が,本件発明では「正面用ビデオカメラを中心に」回転させるものであるのに対して,甲1発明では,トップカメラを中心に回転しているか不明である点。

(相違点4)
画像信号を選択し得るものが,本件発明では「画像信号を選択的に再生し得る画像モニタ」であるのに対して,甲1発明は画像モニタを具備しておらず,前記トップカメラ又はサイドカメラのいずれの画像を取り込むか選択的に取得し得る外観検査機構であり,

制御装置が,本件発明では「画像モニタで再生すべく」制御しているのに対して,甲1発明ではモニタを具備していないから,そのような制御もなされておらず,

検査装置が,本件発明では「目視検査支援装置」であるのに対して,甲1発明では「自動検査装置」である点。

(相違点5)
制御装置が,本件発明では,「検査対象の要検査部位を順序予め設定した順序と撮影態様で撮影して」いるのに対して,甲1発明では「基板4に搭載された電子部品の向き」及び「基板4に搭載された電子部品52の位置」を制御しているものの,設定した順序と撮影態様で撮影すべく制御が行われているか不明である点。

3 検討・判断
(1)相違点1について
摘記事項(甲2-1)によれば,甲第2号証には「6はカメラ3の下方に設けられた鏡筒であり,その下部にはズーム系7が設けられている。8,9はズーム系7を駆動するためのモータとタイミングベルトであり,カメラ3の焦点深度を調整する。」と記載されている。これは,ズーム系を駆動することにより,焦点深度を調整するものであって,絞り機能について甲第2号証に言及されていない。したがって,焦点深度を調整しようとしてズーム系を駆動させると,拡大率も変化してしまう。
一般的に,検査対象の材質や色により,反射量は一定とならない。反射光量が大きければ,ハレーションを起こし鮮明な画像が得られず,また,反射光量が少なければ,コントラストの低い画像しか得られず,信頼性のある検査を行うことは困難であることは技術常識である。(例えば,甲第12号証の摘記事項(甲12-5)を参照されたい。)
そして,光量を適正なものとして,最適な画像を得るために,絞りを設けることは,本件特許の出願前から行われている慣用の手段である。(例えば,甲第12号証の摘記事項(甲12-5)を参照されたい。)
しかも,検査装置において,ズーム機能及び絞り機能の両者を備えたビデオカメラを用いることは,甲第7号証,甲第8号証及び甲第12?14号証,に記載のように本件特許の出願前から周知の技術的事項となっている。
以上のことを考慮すれば,甲第2号証記載のものに,絞り機能を設けることは,単なる慣用手段の付加にすぎない。
したがって,甲1発明に,ズーム機能を有する甲第2号証記載の技術的事項を採用し,かつ,光量を適正なものとすべく絞り機能を設ける慣用手段を付加することにより,相違点1に記載の本件発明のごとく構成することは,当業者が容易になし得たことといえる。

そして,相違点1に記した本件発明の特定事項により奏される効果,特に,本件明細書の段落【0051】の「被写界深度が深くなるように調整しておくことにより,奥行きのある部位の撮影が鮮明にできることとなり,その検査がより正確にできることとなる。」との効果について検討すると,甲第14号証及び甲第15号証に示すように絞り及びズームレンズの焦点距離を調節することにより被写界深度を変えることができることは技術常識である。
そうすると,相違点1に記した本件発明の特定事項により奏される効果は,当業者であれば甲第1号証,甲第2号証,上記慣用手段及び技術常識から,当業者が予測し得る範囲のものであって,格別顕著な効果とはいえない。

(2)相違点2について
甲1発明は,「一方のサイドカメラがとらえた電子部品52の画像82の位置の変位(矢印I方向)と,他方のサイドカメラがとらえた画像83の位置はこれと同一方向である変位(矢印J方向)を,基準画像80,81の位置と比較してその変位を求めることにより,電子部品52に浮き及び/又は位置ずれがあることを判定する機構」からなる判定機構を具備するものである。
この判定のためには,摘記事項(甲1-3)に「左右一対のサイドカメラ55,55aおよび55b,55cを2組配置することにより,後に図9?図12を参照して説明するように,電子部品の浮きや位置ずれを的確に検出できる」と記載されているように,トップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラが必要であり,一方のカメラをバランサに置き換えて,本件発明のごとく構成することは,該判定が行えなくなるから困難であるといえる。

なお,請求人は,次のように主張する。
(主張1)
被請求人は,答弁書(3頁下から4行?下から2行)において,甲1発明にバランサが有ることを自認している。(口頭審理調書及び請求人口頭審理陳述要領書7頁21?26行)

(主張2)
一対のカメラを持つ甲1発明において,残留不釣り合いを取るためにバランサを付けるのは容易である。(口頭審理調書及び請求人口頭審理陳述要領書3行?末行,上申書4頁15?26行)

そこで,請求人の主張について順に検討する。
(主張1)について
特許法第151条において,民事訴訟法第179条を準用しており,そして,第179条中「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実」とあるのは「顕著な事実」と読み替えるものとされている。
したがって,特許法は,「顕著な事実」のみを証明を要しない事項としており,自白した主要事実についても証明を要するものとしている。
被請求人は,口頭審理において,本件発明のバランサには,甲第1号証でいうカメラは含まれないと陳述しているし(口頭審理調書参照),答弁書において甲第1号証に「バランサ」が示されていることを認めているとしても,前記特許法第151条の規定によれば,これに拘束されず,自白があったということのみをもって,本件特許を無効とすることはできない。
したがって,請求人の主張は採用できない。

(主張2)について
請求人の提出する証拠方法から把握されるバランサには,大きく分けて,固定的なバランサと移動するバランサがあることを,まず述べておく。

(固定的なバランサについて)
甲1発明は,摘記事項(甲1-3)に「左右一対のサイドカメラ55,55aおよび55b,55cを2組配置することにより,後に図9?図12を参照して説明するように,電子部品の浮きや位置ずれを的確に検出できる。」ものであって,図9?図12のように,左右のカメラからの情報を総合して,浮きや位置ずれを検出するものである。左右のカメラの性能が異なると,このような検出に不都合であるから,左右のサイドカメラは全く同じ製品を用いるとするのが自然であり,釣合いが取れていると理解される。
さらに,左右のサイドカメラが同じ製品である甲1発明においては,製品毎の微妙な差異に基づく重量の違いにより,微少な残留不釣り合いがあることは否定できないが,請求人の提出する全証拠方法を精査しても,甲1発明のような左右対象に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55b,55cを有する検査装置において,厳密に微少な残留不釣合いを取り除くようなものは提出されていないし,本件特許の出願前の技術常識を参酌しても,微小な残留不釣合いを取り除く特殊な事情があるともいうこともできない。
以上のことから,甲1発明に,一般的な残留不釣り合いを取るためにバランサを付け,相違点2に記載の本件発明の特定事項のごとく構成することは,当業者といえども困難である。
したがって,請求人の主張は採用できない。

(移動するバランサについて)
移動するバランサは,甲第18?20号証に記載されている。
まず,甲1発明に,甲第18号証及び甲第19号証記載の技術的事項を適用できるか検討する。
甲第18号証(摘記事項(甲18-1)参照。)によれば,移動するバランスウエイトは,「ズーム操作或はフォーカス操作の向きと逆向きに移動せしめられる補助バランスウェイト」である。
また,甲第19号証(摘記事項(甲19-4)参照。)によれば,移動するバランスウエイトは,ズーミングやフォーカッシング調整を行う際に生じる不釣合いを,ねじ送り棒19に取り付けた重り14を移動させるものである。
この移動するバランサをあえて甲1発明に適用しようとした場合,一対のサイドカメラの両方に移動するバランサを設けるか,又は,一方は固定的なバランサで他方を移動するバランサとして設けることが必要となる。
いずれにせよ,甲1発明の一対のサイドカメラの両方にバランサを設ける必要があり,本件発明の特定事項である「ズーム機能及び絞り機能を備えた斜め用ビデオカメラ及び該斜め用ビデオカメラと反対側に配したバランサを一体に組み合わせたカメラユニット」のようにはならない。

また,甲1発明に甲第20号証記載の技術的事項を適用できるか検討すると,甲1発明は,「一方のサイドカメラがとらえた電子部品52の画像82の位置の変位(矢印I方向)と,他方のサイドカメラがとらえた画像83の位置はこれと同一方向である変位(矢印J方向)を,基準画像80,81の位置と比較してその変位を求めることにより,電子部品52に浮き及び/又は位置ずれがあることを判定する機構」という特定事項を具備するものであり,左右のサイドカメラで捉えた画像を基準画像と比較するものであるから,両サイドカメラの撮影条件は同じであることが望ましいことはいうまでもないことである。何らかの部品を取り付けるにしても,左右両方のサイドカメラに同じ部品を取り付けるのが自然であり,あえて一方のサイドカメラのみに部品を取り付ける動機といえるものがなく,移動するバランサを取り付ける必要が見いだせない。
しかも,甲第20号証記載のもの摘記事項(甲20-2)に記載のように,特許請求の範囲からみて,「雨天対策用のワイパーユニット」を取り付けた際の不釣合いを移動するバランスウエイトで相殺するものであって,電子部品の自動検査装置に係る甲1発明のサイドカメラに雨天対策用のワイパーユニットを取り付けることはあり得ない。
したがって,請求人の主張は採用できない。

(3)相違点3について
甲1発明の本体フレーム28には,トップカメラ53及びトップカメラ53を中心に互いに左右対称に対設された1組のテレビカメラからなるサイドカメラ55が2組設けられている。甲1発明においてトップカメラ53を中心に回転しないとすると,回転に伴い,トップカメラの光軸は円を描き,場合によっては,カメラの撮影する画面から基板4に搭載された電子部品52が出てしまう不都合も想定される。
甲1発明の回転手段が,電子部品の向きに応じて,電子部品の画像の取り込み方向を変えることを目的とする以上,トップカメラを中心に回転させるものであると解するのが自然である。
よって,この点は,実質的に相違点とはいえない。

(4)相違点4について
自動検査装置においても,例えば,甲第17号証及び下記刊行物Aに記載のように,自動検査をチェックするために画像モニタを設けることは本件特許の出願前より周知慣用の技術的事項であり,そして,チェックする際は,必然的に目視検査支援装置といえるものとなる。
また,自動検査装置と画面モニタを有する目視検査装置を双方とも有する検査装置も下記刊行物F及びGに記載されているように本願出願前より周知である。
そうすると,画像信号を選択し得る甲1発明において,上記周知慣用の技術的事項を適用して画像モニタを設けて,画像信号を選択的に再生し得る画像モニタとし,本件発明のごとく目視検査支援装置とすることは,当業者が容易になし得たことといえる。

刊行物A:特開昭62-276443号公報
(刊A-1)「本発明は,プリント配置板などの穴明は工程及びこれと関連した工程における穴明はミス,穴づまり,穴細り等の欠陥を検査する自動穴ミス検査機に関する。」(1頁左下欄下から4行?末行)

(刊A-2)「マイクロプロセッサ11は,図示しないがROM内に格納されている所定のプログラムに従って制御されるようになっている。穴カウント回路9で計数された穴の個数および穴細り検出回路10における検出結果はデータバス(図示せず)を介してマイクロプロセッサ11に送られプロセッサ11はこれらの結果をキーボード/ディスプレイ14に表示するようになっている。オペレータはキーボード/ディスプレイ14に表示された画面から,計数された穴の個数が所定の個数であるか否かを確認したりあるいは検査されたプリント配線板に穴細り欠陥があるか否かを確かめることができる。」(2頁右上欄末行?同頁左下欄11行)

刊行物Aは,下記摘記事項(刊A-1)及び(刊A-2)に記載されているように,穴カウント回路9で計数された穴の個数および穴細り検出回路10における検出結果が正しいか否かを確かめるために,オペレータがキーボード/ディスプレイ14に表示された画面から,計数された穴の個数が所定の個数であるか否かを確認したりあるいは検査されたプリント配線板に穴細り欠陥があるか否かを確認するものである。計数された穴の個数が所定の個数であるか否かを確認したりあるいは検査されたプリント配線板に穴細り欠陥があるか否かを確認するときには,目視検査ということができる。
また,刊行物A記載のものは,基板検査という点で,甲1発明と同じ技術分野に属するものである。

刊行物F:特開平6-118001号公報
(刊F-1)「【要約】
【目的】目視検査作業の効率化を図るとともに,該作業から得られる検査結果の信頼性を向上させるための自動検査機能付き目視検査システムを提供する。
【構成】XYテーブル上の検査対象物の任意の箇所の映像をカメラ及び拡大レンズを用いてディスプレイに表示することによって検査者に対して検査箇所を提供する機能と,該検査箇所に対する検査結果に関する情報を入力装置を用いてコントロール部に記録する機能と,該情報を用いてコントロール部が各種の処理を行う機能と,上記検査者による検査と並行ないし独立してコントロール部が独自に上記映像に対して検査を実施する機能とを有する構成としている。」

(刊F-2)「【0005】・・・図4において,いま仮に,制御プログラムが部品12を不良(図は欠品を示す)であると判定すると,制御プログラムはディスプレイ1上の該部品の映像上に目立つ色ないし形状のメッセージ11を表示する。もし,検査者がこのメッセージ11に気付かずに自分の目視による検査を終えて次の映像画面を表示させようとしても,制御プログラムは指示に従わず警告音を発する。これにより制御プログラムが不良であると判定した部品に対して確実に検査者の注意を喚起することが可能となる。・・・」

刊行物G:実願平4-77988号(実開平6-33060号)の願書に最初に添付した明細書及び図面の内容を記録したCD-ROM
(刊G-1)「【要約】
【目的】目視検査作業の効率化を図るとともに,該作業から得られる検査結果の信頼性を向上させるための自動検査機能付き目視検査システムを提供する。
【構成】XYテーブル上の検査対象物の任意の箇所の映像をカメラを用いてディスプレイに表示することによって検査者に対して検査箇所を提供する機能と,該検査箇所に対する検査結果に関する情報を入力装置を用いてコントロール部に記録する機能と,該情報を用いてコントロール部が各種の処理を行う機能と,上記検査者による検査と並行ないし独立してコントロール部が独自に上記映像に対して検査を実施する機能とを有する構成としている。」

(刊G-2)「【0005】・・・ 図4において,いま仮に,検査プログラムが部品11が不良(図は欠品を示す)であると判定すると,検査プログラムはディスプレイ1上の該部品の映像上に目立つ色ないし形状のメッセージ10を表示する。もし,検査者がこのメッセージ10に気付かずに自分の目視による検査を終えて次の映像画面を表示させようとしても,検査プログラムは指示に従わず警告音を発する。これにより検査プログラムが不良であると判定した部品に対して確実に検査者の注意を喚起することが可能となる。・・・」

(5)相違点5について
甲第3号証には,段落【0005】にあるように「・・・XYテーブル10の駆動条件・・・を予め登録しておかなければならない。・・・」及び「1枚の基板をいくつの映像に分割して検査を行うのか,また各映像の表示時間をどの位の長さにするのか,さらにどういう順番で各映像を先送りするのかをコントロール部8に登録する」と記載されており,それにより,段落【0006】の「・・・第一に,あらかじめプログラム化された検査箇所をプログラム化された検査順序でディスプレイの画面に表示するため,作業者が検査箇所,検査順序を意識しなくても未検査による不良箇所の見逃しを防止できる。」という効果を奏するものである。甲第3号証に記載のものはプリント基板等の外観目視検査に関するものではあるが,検査箇所の撮影に関しては,上記したように自動的に行われるものである。
そうすると,甲1発明において,甲1発明の水平回転機構及びカメラの切替えも自動化する機構に加えて,甲第3号証記載のXYテーブル10の駆動条件を予め登録しておくことにより,検査箇所,検査順序を自動化する技術を適用して,相違点5記載の本件発明のごとく構成することは当業者が容易になし得たことといえる。

4 小括
したがって,本件発明は,相違点2について,甲第1号証,甲第2号証及び甲第3号証に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。
加えて,請求人の提出する他の証拠方法を考慮しても,当業者が容易に発明できたものとはいえない。
よって,無効理由1によって,本件発明を無効とすることはできない。

第6 無効理由2について
1 請求人の主張
請求人は,特許法第36条第4項違反及び特許法第36条6項第2号違反の主張について次の2つの主張をする。
(1)主張1
本件の特許明細書の段落0015前段では,移動手段は「検査対象をカメラユニットに対して,相対的にX,Y,Zの三次元方向,すなわち,横方向,縦方向および高さ方向の全部又は一部の方向に移動させ得るように」するものであると説明しながら,同じ段落の後段では(検査対象保持手段とカメラユニットの一方のみに移動手段を構成する場合は)「これらのように一方にのみ移動手段を構成する場合は,各々の移動手段が,X方向,Y方向およびZ方向の全ての方向に移動可能なように構成する必要があるのは云うまでもない。」と記載している。
この後段の記載によれば,検査対象をカメラユニットに対して相対的にX,Y,Zの三次元方向に(全方向に)移動可能にすることが必要であるように理解されるが,前段で「全部又は一部の方向」と記載していることと矛盾するものであり,特許法施行規則第24条の2の要件を欠き,特許法第36条第4項の要件を満たしていない。
従って請求項1における構成要件Cで,三次元方向の「全部又は一部の方向に移動させ得るように」の記載はこの発明を不明確にし,特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない。

(2)主張2
本件発明は光学ズームで顕微鏡の拡大画像に匹敵するような高倍率の撮影を可能にするものであるから(本件特許の特許公報,段落0004,0029,0030参照),いわゆるマクロレンズ(例えば光学倍率が約0.3?1.0)に相当するレンズを使うものであり,このようなレンズでは焦点深度(被写界深度)が極めて小さくなることは広く知られたことである。このため基板に取り付けた比較的背が高い部品の上面を撮影する際などには,撮影対象の高さによってレンズを上下に移動させて焦点を合わせる必要が生じるから,本件発明では撮影部位の高さによってカメラをZ方向に相対移動させる必要があるのである。従って,本件発明のカメラを三次元方向の全部又は一部の方向に移動させ得るようにするという構成要件Cの記載はZ方向に移動しないものは勿論のこと,X方向およびY方向のいずれかに移動しないものも含むことになる。またZ方向のみに移動可能で,X,Y両方向に移動しないものも含むことになるが,この場合は基板の目視検査ができなくなる。このため前記構成要件Cの記載では,特許を受けようとする発明が不明確となり(特許法第36条第6項第2号),特許法第36条に規定する要件を満たしていない。

2 検討・判断
(1)特許法第36条第6項第2号について
特許請求の範囲は「必要に応じて,相対的にX,Y,Zの三次元方向,すなわち,横方向,縦方向および高さ方向の全部又は一部の方向に移動させ得るように」するものであり,「必要に応じて」とは,必要がなければ,移動さなくともよいものである。部品が適切な位置に位置決めされていれば,X及びY軸に移動させなくとも検査が行えることは普通に想定できる。そして,同じ高さの部品を検査する等の場合,焦点を合わせるためにZ方向の移動は,不要であり,Z方向に移動できないと目視検査ができなくなるわけではない。請求人の主張するように背の高い部品を検査する必要がある場合には,必要に応じてZ方向に移動させ得るように構成すればよい。
よって,特許請求の範囲には,何ら不明りょうな点はないから,本件は,特許法第36条第2項に規定する要件を満たしている。

(2)特許法第36条第4項について
本件明細書の発明の詳細な説明欄の段落【0015】に「これらのように一方にのみ移動手段を構成する場合は,各々の移動手段が,X方向,Y方向およびZ方向の全ての方向に移動可能なように構成する必要があるのは云うまでもない。」と記載されている。しかし,前記したように特許請求の範囲の特定事項は「必要に応じて」であり,検査しようとする部品の大きさや該部品の位置などにより必要があれば,前記本件明細書の段落【0015】の記載のように,X方向,Y方向およびZ方向の全ての方向に移動可能なように構成することが求められるのであって,X方向,Y方向およびZ方向の全ての方向に移動可能としないと本件発明が実施できないものではない。
よって,本件は,特許法第36条第4項に規定する要件を満たしているということができる。

第7 むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件発明に係る特許を無効とすることができない。また,本件発明に係る特許を無効とすべき他の理由を発見しない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-03-23 
出願番号 特願2000-64230(P2000-64230)
審決分類 P 1 123・ 537- Y (G01N)
P 1 123・ 536- Y (G01N)
P 1 123・ 121- Y (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田邉 英治  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 横井 亜矢子
後藤 時男
登録日 2004-04-09 
登録番号 特許第3542114号(P3542114)
発明の名称 工業製品の目視検査支援装置  
代理人 山田 文雄  
代理人 北村 仁  
代理人 山田 文雄  
代理人 伊丹 辰男  
代理人 山田 洋資  
代理人 山田 洋資  
代理人 水野 清  
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