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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1236983
審判番号 不服2008-7217  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-24 
確定日 2011-05-11 
事件の表示 特願2000-620564「請求書管理方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成12年11月30日国際公開、WO00/72245、平成15年 1月 7日国内公表、特表2003-500762〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、2000年5月24日(パリ条約による優先権主張1999年5月25日、オーストラリア国)を国際出願日とする出願であって、平成20年3月24日付け手続補正書により補正された明細書及び図面に記載された「請求書管理方法及びシステム」に関するものと認められるところ、該補正された特許請求の範囲の記載は以下のとおりである。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 オンライン請求書支払いを可能にするシステムであって、
請求書支払処理に関する少なくとも1つのパラメータと、複数の符号化タグとが印刷されたフォームであって、各符号化タグが、前記フォームの識別及び当該フォーム上における当該符号化タグの位置を符号化したものである前記フォームと、
コンピュータシステムであって、
前記フォームのデジタル記述と当該フォームの前記識別とを関連付けて、前記少なくとも1つのパラメータを、前記デジタル記述において当該フォーム上の対応する符号化タグの位置と関連付け、
前記フォームから前記少なくとも1つのパラメータを選択するのに使用される検出デバイスであって、選択されたパラメータと関連する符号化タグを検知して、前記フォームの識別及び検知された前記符号化タグの位置を基準とする前記検出デバイスの位置を示す表示データを生成する前記検出デバイスから、前記表示データを受信し、
受信した前記表示データを用い、関連付けられた前記デジタル記述から前記選択されたパラメータを特定するように構成された前記コンピュータシステムと、
を備えていることを特徴とするシステム。」

2.原査定の理由
一方、原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
「1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



(1)特開平06-309084号公報
(2)特表平06-506080号公報
(3)特開平03-037707号公報

(全請求項について)
上記引用文献1(特に、第17段落の記載を参照)、上記引用文献2(特に、第4頁から始まる「位置検知装置の一般的形態」の項目を参照)、上記引用文献3(特に、特許請求の範囲、第6乃至7図の記載を参照)に記載された発明それぞれにおいて、如何なる帳票(フォーム)を処理対象とするかは、当業者が適宜成し得る設計的事項である。
また、帳票(フォーム)を周知のプリンタで印刷することによって用意することにも格別な技術的困難性はない。
更に、識別可能に各種機器に識別番号を付けること自体は、情報処理分野における常套手段である。

2.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



特許請求の範囲の各所には「パラメータ」という記載があるが、特許請求の範囲にある記載では「パラメータ」の定義が不十分であるため、「パラメータ」が何を指しているのか不明である。」

3.当審の判断
そこで、上記拒絶理由の「理由2」について判断する。
(1)特許請求の範囲の記載は、これに基づいて新規性進歩性等の特許要件の判断がなされ、これに基づいて特許発明の技術的範囲が定められるという点において重要な意義を有するものであり、一の請求項から発明が明確に把握されることが必要である。
第36条第6項第2号は、こうした特許請求の範囲の機能を担保する上で重要な規定であり、特許を受けようとする発明が明確に把握できるように記載しなければならない旨を規定したものである。けだし、特許を受けようとする発明が明確に把握されなければ、的確に新規性進歩性等の特許要件の判断ができず、特許発明の技術的範囲も理解し難い。そして、発明が明確に把握されるためには、発明に属する具体的な事物の範囲が明確である必要があり、その前提として、発明を特定するための事項の記載が明確である必要があるといえる。
(2)請求項1における「パラメータ」が何を指すのか不明という拒絶理由に対し、請求人は、「パラメータは、例えば、支払方法、カードの種類、請求書支払い行、自動支払オプション、口座の種類に関連付けられたものである。」と説明する。しかしながら、明細書全体を参酌しても、パラメータがこのようなものと特定できる記載はなく、「パラメータ」についての定義は明細書の記載全体からみても明確なものでない。また、請求人のいう「関連付けられたもの」というのが、どのようなことをいうのか明確でなく、この説明が、定義であるとしても、その内容自体、明確であるとはいえない。
(3)そして、請求項1における「パラメータ」の定義が明確でない結果、「前記フォームのデジタル記述と当該フォームの前記識別とを関連付けて、前記少なくとも1つのパラメータを、前記デジタル記述において当該フォーム上の対応する符号化タグの位置と関連付け」との発明特定事項の記載における「デジタル記述」と「パラメータ」の関係も不明となり、「前記フォームのデジタル記述と当該フォームの前記識別とを関連付け」ることが、どうして、「前記少なくとも1つのパラメータを、前記デジタル記述において当該フォーム上の対応する符号化タグの位置と関連付け」ることになるのか当業者は理解することができないといえる。
(4)さらに言えば、この「前記フォームのデジタル記述と当該フォームの前記識別とを関連付けて、前記少なくとも1つのパラメータを、前記デジタル記述において当該フォーム上の対応する符号化タグの位置と関連付け」との記載では、デジタル記述とはなにものであるのか不明、デジタル記述と当該フォームの前記識別とをどのようにして関連付けるのか不明(ちなみに、請求項の記載では、タグについて、単に複数あるとするだけで、実施例のように、フォーム全面に配置されているとは特定されてはいない)、パラメータを符号化タグの位置と関連付けるというのが、何を意味するのか不明(後の記載で、「選択されたパラメータと関連する符号化タグを検知」としているのとも整合していない。)など、この発明特定事項が全体的に何を言わんとするのか不明となっている。
(5)また、「受信した前記表示データを用い、関連付けられた前記デジタル記述から前記選択されたパラメータを特定する」とあるが、受信した表示データをどのように用いて選択されたパラメータが特定できるのかも不明であり、この処理内容が具体的で明確であるとはいえない。
(6)そうすると、本願の特許請求の範囲の記載は、上記(2)?(5)のとおり、依然として、「特許を受けようとする発明が明確であること」の規定に違反するものであることは明らかである。

4.むすび
したがって、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-01 
結審通知日 2010-12-07 
審決日 2010-12-21 
出願番号 特願2000-620564(P2000-620564)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 成瀬 博之和田 財太  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 飯田 清司
久保 正典
発明の名称 請求書管理方法及びシステム  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
代理人 池上 美穂  
代理人 恩田 誠  

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