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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  E05C
審判 全部無効 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否  E05C
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E05C
審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  E05C
管理番号 1237367
審判番号 無効2010-800077  
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-04-22 
確定日 2010-12-13 
事件の表示 上記当事者間の特許第3477154号発明「扉止め装置及び扉」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3477154号に係る発明は、平成12年8月3日に出願され、平成15年9月26日に特許の設定登録がなされたもので、平成20年10月28日付けで無効審判の請求(以下、「前回の無効審判の請求」という。)がなされ、平成21年7月24日付けで訂正請求書が提出され、その後、「訂正を認める。本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下、「前審決」という。)がなされ、平成21年12月9日に確定したものである。
これに対して、平成22年4月22日付けで請求人寺西捷夫より本件無効審判の請求がなされ、被請求人株式会社システックキョーワより同年7月20日付けで答弁書が提出された。
そして、同年8月31日付けで審判長より送付された審理事項通知書に対して、同年10月4日付けで請求人及び被請求人の両方より口頭審理陳述要領書が提出され、同年10月18日に口頭審理が行われ、併せて審理終結通知が告知されたものである。


第2 本件発明
本件無効審判の請求の対象となる訂正は、前回の無効審判手続において平成21年7月24日付けの訂正請求書によりなされたものであって、その訂正の前後における特許請求の範囲の請求項1の記載は以下のとおりである。なお、請求項1を引用する請求項2?6は、文言上、訂正されていないので、摘示を省略する。また、訂正後の請求項1?6に係る発明を、それぞれ本件発明1?6という。

1.訂正後
「【請求項1】 下記の要件を備えたことを特徴とする扉止め装置。
(イ)装置本体は、開閉する扉の一側に取り付けられ、床面に形成された係止凹部に係止可能な係止軸を有すること。
(ロ)係止凹部は、強磁性体によって形成された金属板によって構成されていること。
(ハ)金属板は、床面に固定された基台に回動自在に取り付けられていること。
(ニ)装置本体の下部には、金属板の係止凹部に係止軸を係止可能にする位置に金属板を磁力により引き上げる磁石部材が設けられていること。
(ホ)係止軸には、係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が装置本体から突出して設けられていること。
(ヘ)装置本体は、係止軸が突出して係止位置にあるときと係止軸が戻って非係止位置にあるときの双方の位置において、前記係止軸に設けた操作手段を保持する保持手段を備えていること。
(ト)操作手段は第1の弾性部材により係止軸の非係止位置方向に付勢されていること。
(チ)操作手段と係止軸は別々に形成され、係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動できるように構成されていること。」

2.訂正前
「【請求項1】 下記の要件を備えたことを特徴とする扉止め装置。
(イ)装置本体は、開閉する扉の一側に取り付けられ、床面、壁面又は天井に形成された係止凹部に係止可能な係止軸を有すること。
(ロ)係止凹部は、強磁性体によって形成された金属板によって構成されていること。
(ハ)金属板は、床面、壁面又は天井に固定された基台に回動自在に取り付けられていること。
(ニ)装置本体の下部には、金属板を磁力により引き上げ、金属板の係止凹部に係止軸を係止可能にする磁石部材が設けられていること。
(ホ)係止軸には、係止軸を、磁石部材の磁力により引き上げられた金属板の係止凹部の非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が装置本体から突出して設けられていること。
(ヘ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること。
(ト)操作手段は第1の弾性部材により係止軸の反係止方向に付勢されていること。
(チ)操作手段と係止軸は、別々に形成され、係止軸は、操作手段に対して移動でき、第2の弾性部材によって係止方向に付勢されていること。」


第3 請求人の主張
1.請求の理由
審判請求書での請求人の主張の概要は、以下の(1)及び(2)である。

(1)上記訂正前の請求項1の「(へ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること。」が「(へ)装置本体は、係止軸が突出して係止位置にあるときと係止軸が戻って非係止位置にあるときの双方の位置において、前記係止軸に設けた操作手段を保持する保持手段を備えていること。」と訂正された、訂正前の要件(へ)から、「係止位置」の定義(係止軸が係止凹部に係止する位置)と「非係止位置」の定義(係止軸が係止凹部に係止していない位置)とが削除された。そうすると、訂正後の「係止軸が突出して係止位置にあるとき」とは、係止軸が係止凹部に係止する位置にあっても(すなわち、係止軸が係止凹部に係止されていても)、係止軸が係止凹部に係止する位置になくても(すなわち、係止軸が係止凹部に係止されていなくても)よいことになる。
そこで、本件特許明細書の記載を参酌すると、
(i)(当審注:原本では丸数字の1である。以下、同様。)「扉止め装置1は装置本体2を有する。装置本体2は、開閉する扉50の一側に取り付けられ、床面、壁面又は天井に形成された係止凹部51に係止可能な係止軸25を有する。係止軸25には、係止軸25を非係止位置から係止位置に移動させる操作手段20が装置本体2から突出して設けられている。装置本体2は、係止軸25が係止凹部51に係止する係止位置と係止軸25が係止凹部51に係止していない非係止位置で、操作手段20又は係止軸25を保持する保持手段45を備えている。」(本件特許明細書の段落[0013])を参酌すると、「係止軸が突出して係止位置にあるとき」とは、係止軸が係止凹部に係止する位置にある(すなわち、係止軸が係止凹部に係止されている)ことを言うのであり、係止軸が係止凹部に係止する位置になくても(すなわち、係止軸が係止凹部に係止されていなくても)よいことは、記載はおろか示唆すらもされていない。
(ii)そして、「本願請求項1乃至5の扉止め装置は、上記効果に加え、係止軸が操作手段に対して移動でき、さらに第2の弾性部材によって係止方向に付勢されているので、係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動するため、係止軸及び装置本体の壊れを防止することができるという効果がある。」(本件特許明細書の段落[0041])との記載から、本件特許明細書は、「係止軸が突出して係止位置にあるとき」とは、係止軸が係止凹部に係止する位置にある(すなわち、係止軸が係止凹部に係止されている)ことを前提として、所望の作用効果「係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動するため、係止軸及び装置本体の壊れを防止することができる」を奏すること、すなわち第2の弾性部材による係止軸の係止凹部への係止が保持されている状態で、第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動することができるという作用効果を奏することを開示している。
すなわち、訂正前では「係止軸」が「係止凹部」に係止された状態から、扉に強い力が加わった場合に、係止凹部に係止された係止軸が、非係止位置方向に移動できるとしていたが、訂正1により「係止軸」と「係止凹部」とが係止している状態も係止されていない状態のどちらの状態からでも係止軸が非係止位置方向に移動できるようにしている。
それゆえ、「係止軸が係止凹部に係止していない状態から、係止軸が係止凹部に嵌まり込むときに、係止軸が非係止位置方向に移動できること」にまで権利が及ぶので、当該訂正1は特許請求の範囲を拡張するものである。
したがって、この点は特許請求の範囲の拡張に該当し、特許法第134条の2第5項で準用する特許法126条第4項の「第1項の明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならない」との要件を満たさず、特許法123条第1項第8号の規定により無効とすべきものである。

(2)さらに、請求項1の(チ)の「係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動でき」と訂正した根拠が本件特許明細書の段落[0033]の「保持部材45の係合突起46は、図3に示すように、案内溝40を反時計方向に回転する。係止軸25は、ガイド軸21に対して摺動し、さらにバネ(第2の弾性部材)33によって係止方向に付勢されているので、係止軸25が係止位置にあるとき、この係止軸25に強い力が加わった場合、係止軸25がバネ(第2の弾性部材)33に抗して反係止方向に摺動することができ、係止軸25及び装置本体2の壊れを防止することができる」との記載以外になく、この記載からは、「係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動でき」る理由が技術的に理解できないので、特許法第36条第6項第1号の「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」との要件を満たしておらず、特許法第123条第1項第4号により無効とされるべきである。
また、係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動することの技術的意義が不明であるので、明確性要件(特許法第36条第6項第2号の要件)を満たしておらず、特許法第123条第1項第4号により無効とされるべきである。
そして、係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動することの技術的意義が不明であり、明細書中に裏付けとなる記載も示唆もないので当業者といえども実施することが不可能であることから実施可能要件(特許法第36条第4項の要件)を満たしておらず、特許法第123条第1項第4号により無効とされるべきものである。
以上述べたとおり、訂正後の本件特許の請求項1の記載内容は、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」という要件(特許法第36条第6項第1号の要件)を満たしておらず(「係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動でき」る理由が技術的に理解不可)、特許法第123条第1項第4号により無効とされるべきであり、かつまた明確性要件(特許法第36条第6項第2号の要件)を満たしておらず(係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動することの技術的意義が不明)、特許法第123条第1項第4号により無効とされるべきであり、そのうえ発明の詳細な説明が、実施可能要件(特許法第36条第4項の要件)を満たしておらず(係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動することについて、明細書中に裏付けとなる記載も示唆もない)、特許法第123条第1項第4号により無効とされるべきものである。

2.口頭審理陳述要領書での請求人の主張
また、請求人は、口頭審理陳述要領書で、
証拠方法とし、本件特許の権利化までの経緯を示す、甲第1号証(平成14年9月3日付拒絶理由通知書。以下、「拒絶理由通知」という。)、甲第2号証(前記拒絶理由通知における引用文献2である登録実用新案第3026885号公報。以下、「引用文献2」という。)、甲第3号証(前記拒絶理由通知に対する平成14年11月8日付意見書。以下、「意見書」という。)、甲第4号証(前記意見書とともに提出された平成14年11月8日付手続補正書(以下、「手続補正書」という。)、および、前回の無効審判の請求の審理において被請求人より提出された訂正請求書である、甲第5号証(平成21年7月24日付訂正請求書。以下、単に「訂正請求書」という。)を提出し、
概略、次の主張(1)(2)を行った。

(1)引用文献2には、コイルばね18により下方に付勢され外ケースから突出したラッチ13が、扉を閉めるときにラッチ13のテーパ部が、受座12の傾斜面12Aに当接すると、ラッチ13が、反係止方向に移動するとともに、傾斜面12Aを乗り越えて、扉を閉止状態にすることができることが開示されている。また、閉じた際には、ラッチ13のテーパ部とは逆方向の垂直壁の部分が、受座12の垂直壁の部分と当接し、扉が開かないようになっている。
被請求人は、意見書において、「本願請求項1乃至5の発明は、装置本体に設けられた磁石部材によって引き上げられた金属板の係止凹部に係止軸を係止させるものであり」(甲第3号証の4頁9?10行)、「係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合、例えば係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合等に、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動して、金属板の係止凹部から係止軸が外れ、係止軸全体、装置本体、金属板、扉、床面等の壊れを防止することができるが、引用発明1、2では係止軸が反係止方向に移動できないため、係止軸等の壊れを防止することができない」(甲第3号証の4頁18?23行)と主張した。
意見書の内容から、本件特許発明は、磁石部材によって引き上げられた後の、磁石部材に吸着された状態の係止凹部に、係止軸を係止させると解釈するのが自然である。
また、係止軸が係止位置にある時とは、係止軸が係止凹部に係止された状態であるとしか理解できない。すなわち、引用文献2のラッチ13は、上記したように、ラッチ13自体は反係止方向に移動ができるのであるから、上記意見書における「係止位置」とは「係止軸が係止凹部に係止された状態でない」とすると、上記意見書における「引用発明1、2では係止軸が反係止方向に移動できないため、係止軸等の壊れを防止することができない」という理論と完全に矛盾してしまうのである。
したがって、意見書の内容から、
(i)「係止位置」とは、「係止軸が係止凹部に係止された状態」であること、
(ii)「磁石部材によって引き上げられた金属板の係止凹部に係止軸を係止させる」とは、「磁石部材によって金属板が引き上げられて、磁石部材に吸着された後、係止軸が金属板の係止凹部に係止される」ことが明らかであり、
(iii)さらに引用文献に対する効果である、「係止軸に強い力が加わった場合、例えば係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合等に、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動して、金属板の係止凹部から係止軸が外れ、係止軸全体、装置本体、金属板、扉、床面等の壊れを防止することができる」とは、「係止軸が係止凹部に入った状態から、係止軸が外れるので、壊れを防止する」ということが明らかである。
そして、手続補正書で請求項1が補正され(上記2.(2)(訂正前)の請求項1を参照)、特許査定となり、この特許査定時の請求項1における要件(ヘ)における「係止位置」とは、「係止軸が係止された状態」と解すべきであり、
「(ニ)装置本体の下部には、金属板を磁力により引き上げ、金属板の係止凹部に係止軸を係止可能にする磁石部材が設けられていること。
(ホ)係止軸には、係止軸を、磁石部材の磁力により引き上げられた金属板の係止凹部の非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が装置本体から突出して設けられていること。
(ヘ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること。」とは、「磁石部材によって金属板が引き上げられて、磁石部材に吸着された後、係止軸が金属板の係止凹部に係止される」と解すべきことは明らかである。
審査段階で明らかに、請求の範囲の記載について、被請求人自身により、要件(ヘ)における「係止位置」が、「係止軸が係止された状態」と意識的に限定され、
「(ニ)装置本体の下部には、金属板を磁力により引き上げ、金属板の係止凹部に係止軸を係止可能にする磁石部材が設けられていること。
(ホ)係止軸には、係止軸を、磁石部材の磁力により引き上げられた金属板の係止凹部の非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が装置本体から突出して設けられていること。
(ヘ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること。」が、
「磁石部材によって金属板が引き上げられて、磁石部材に吸着された後、係止軸が金属板の係止凹部に係止される」と意識的に限定されたのである。
しかしながら、訂正請求書において、要件(ホ)について、「(ホ)係止軸には、係止軸を、磁石部材の磁力により引き上げられた金属板の係止凹部の非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が装置本体から突出して設けられていること」を、「(ホ)係止軸には、係止軸を非係止位置から係止位置に移動させる装置本体から突出して設けられていること」と訂正された。
要件(ヘ)について、「(ヘ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること」を、「(ヘ)装置本体は、係止軸が突出して係止位置にあるときと係止軸が戻って非係止位置にあるときの双方の位置において、前記係止軸に設けた操作手段を保持する保持手段を備えていること」と訂正された。
さらに、要件(チ)について、「(チ)操作手段と係止軸は別々に形成され、係止軸は、操作手段に対して移動でき、第2の弾性部材によって係止方向に付勢されていること」が、「(チ)操作手段と係止軸は別々に形成され、係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動できるように構成されていること」と訂正された。
上記訂正は、要件ごとの比較だけで見ると、一見発明の範囲が拡張していないように思えるが、上記意見書の内容と、特に要件(ヘ)と(チ)により明らかに発明全体として拡張されている。
すなわち、訂正前は、係止軸が磁力により引き上げられた金属板の係止凹部に係止された状態(要件(ニ)、(ヘ))から、要件(チ)により、係止軸が係止凹部に嵌まりこんだ状態から強い力が加わった場合に、第2の弾性部材が、係止方向への付勢力に抗して、係止軸が外れ、壊れを防止するという発明であったものが、
訂正後は、係止位置自体の概念が、係止軸が突出した状態に変更され、金属板自体が磁石部材に吸着されているか否かが問われないようになり、さらに係止軸が係止方向に付勢された状態で、非係止位置方向に移動できればよいという構成に変更された。この変更により、発明の概念が、係止軸が金属板の係止凹部に係止されていない状態からも、係止軸が非係止位置方向に移動できるもの、すなわち、意見書において、被請求人自体が出願経過において、請求の範囲の記載に入らないと主張したもの(たとえば、甲第2号証に記載された非係止位置方向に移動できるもの)にまで、拡張されているのである。
このような訂正が認められるとすれば、意見書や手続補正書等の内容から、一度権利範囲に入らないと信じて実施していた第三者が、訂正後に突然権利範囲に入るとして、権利行使を受けるという不測の不利益を生じるおそれがあり、許されるものではなく、かつ訂正制度の趣旨にも明らかに反するものである。
請求人は、要件(ヘ)だけの比較により、特許請求の範囲の拡張と主張しているわけではなく、他の要件、被請求人の主張および意見書等の内容の全てに鑑みれば、訂正後の請求の範囲の記載は、訂正前と比較して発明全体として概念が拡張していることをいいたいのである。
ゆえに、訂正前に、発明として、係止軸が、磁石部材により引き上げられた金属板の係止凹部から外れることにより、壊れを防止するという技術的思想だけであったものを、訂正後に、係止軸が金属板の係止凹部から外れる場合だけでなく、係止凹部に嵌まり込む場合にも壊れを防止するという範囲まで技術的思想を拡張しようとするものであり、かつその拡張しようとする範囲が、被請求人自身が発明の範囲に入らないと主張している部分を新たに権利範囲に含めようとする意図があるわけであるから、当該訂正は、明らかに拡張であり、訂正の要件に違反するものである。
そのような意図がなく、係止凹部から外れる場合だけを意図するのであれば、第三者が見ても明確になるように訂正すべきである。訂正されない場合は、権利範囲が不明確であり、第三者が、本来権利範囲に入らないものであるにもかかわらず、実施するにあたって躊躇してしまい、実施した場合には権利行使を受けるという不測の不利益を受けるのであるから、許されるべきではない。

(2)上述したように、被請求人は、発明として、係止軸が、磁石部材により引き上げられた金属板の係止凹部から外れることにより、壊れを防止するという技術的思想だけであったものを、訂正後に、係止軸が金属板の係止凹部から外れる場合だけでなく、係止凹部に嵌まり込む場合にも壊れを防止するという範囲まで技術的思想を拡張しようとしている訂正について違法であると主張している。
しかしながら、段落[0033]だけでなく、他の記載を見ても課題を解決する手段が記載されていないというのが、請求人の主張である。すなわち、段落[0033]に記載されている「係止軸25に強い力が加わった場合、係止軸25がバネ(第2の弾性部材)33に抗して反係止方向に摺動することができ、係止軸25及び装置本体2の壊れを防止することができる」という効果を訂正後の請求の範囲の記載では、実現できず、課題を解決することができないのである。
すなわち、被請求人が自ら意見書において、「引用発明2では係止軸が反係止方向に移動できないため、係止軸等の壊れを防止することができない」といっているが、当該引用発明2では、ラッチ13(係止軸)が、テーパ部分と垂直壁部分とを持っており、当該ラッチ13の垂直壁部分と受座12の垂直壁部分とが、当接している場合は、被請求人がいう壊れを防止できない状態である。
したがって、壊れを防止するためには少なくとも係止軸の先端の形状が特定されなければ課題を解決することができないので、サポート要件に違反するのである。
さらに、繰り返しいうが、被請求人の訂正により、係止軸が係止凹部に係止された状態からだけでなく、係止軸が突出しているが係止凹部に係止されていない状態からも壊れを防止できるというものまで拡張しようというわけであるから、そのための構成として、係止軸の先端形状の規定が請求の範囲にない以上、壊れを防止できるかどうかはわからない。
そして、仮に係止軸の先端形状が、棒状のものであっても、係止軸の突出状態によっては係止軸を係止凹部に係止することができないし、係止軸が壊れてしまうのであり、訂正された要件(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(チ)だけでは、明らかに本件特許発明の係止軸の壊れを防止するという作用効果を奏するための要件が不足している。すなわち、係止軸の先端形状が、半球状であること、係止軸の先端の突出量についての規定が不足している。また、突出量が「大」であれば係止凹部に係止させることができるが、突出量が「小」であれば係止凹部に係止はできないが、壊れを防止する作用効果は得られる。
したがって、訂正後の請求の範囲は、サポート要件、明確性要件、実施可能要件に違反し、無効とすべきものである。
ガイド軸については、不足している要件としては考えていない。審判請求書における段落[0033]を引用した理由は、段落[0033]に記載されている効果を得るための必須構成が記載されていないということを主張するために引用したものであり、上述のとおり、係止軸自体についての必須構成が不足しているということである。


第4 被請求人の主張
1.答弁書での主張
被請求人は、答弁書で、乙第1号証(上記「前審決」)を証拠方法として提出し、概略、次のように主張している。

(1)訂正請求書により、訂正前の請求項1の「(ヘ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること。」を「(ヘ)装置本体は、係止軸が突出して係止位置にあるときと係止軸が戻って非係止位置にあるときの双方において、前記係止軸に設けた操作手段を保持する保持手段を備えていること。」と訂正したことが、特許請求の範囲の拡張に該当せず、特許法第134条の2第5項で準用する同法126条第4項の規定の要件を満たしていることは、前審決において判断されており、前審決に対し請求人は出訴期間内に審決取消訴訟を提起しておらず、同審決は既に確定していることから、前記主張を内容とする本件審判の請求は不適法なものである(特許法第167条、同135条)。また、仮に前記主張を内容とする本件審判の請求が不適法でないとしても、前審決の判断は正当であるから、請求人の前記主張が失当であることは明らかである。したがって、本件特許1ないし6は、特許法第123条第1項第8号の規定により無効とされるべきものではない。

(2)訂正後の請求項1の記載内容は、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」という要件(特許法第36条6項1号の要件)を満たし、かつ、明確性要件(特許法第36条6項2号の要件)も満たし、さらに、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件(特許法第36条4項の要件)を満たしていることは、前審決において判断が示されている。また、仮に前記主張を内容とする本件審判の請求が不適法でないとしても、前審決の判断は正当であるから、請求人の前記主張が失当であることは明らかである。したがって、本件特許1ないし6は、特許法第123条1項4号の規定により無効とされるべきものではない。

2.口頭審理陳述要領書での被請求人の主張
また、被請求人は、口頭審理陳述要領書で、概略、以下のように主張している。

(1-1)「訂正により「係止位置」「非係止位置」の意味が変更されたか、変更されていないか。」について
請求人は訂正の前後において「係止位置」および「非係止位置」の意味を変更していない。したがって、請求項1に係る発明の技術的事項にも影響はない。
訂正によって特許時の請求項1に記載されていた「(ヘ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること。」を「(ヘ)装置本体は、係止軸が突出して係止位置にあるときと係止軸が戻って非係止位置にあるときの双方の位置において、前記係止軸に設けた操作手段を保持する保持手段を備えていること。」と訂正した。
請求項1記載の「扉止め装置」は、扉に取り付けられる「装置本体」と、床に取り付けられる「係止凹部」の2つの要素を有している。(へ)はこの2つの要素の内「装置本体」の構成を特定したものであって、「装置本体」が「操作手段を保持する保持手段を備えていること」を説明したものである。
そして、図1?図4の説明図からも明らかなように、「装置本体」は床面に取り付ける「係止凹部」とは独立した機構であるから、この「装置本体」が備える「操作手段」および「係止軸」は、床に取り付けた「係止凹部」の有無に関わりなく上下動するものである。
また、明細書の段落0031には「操作手段20、即ち押圧板22をバネ(第1の弾性部材)37の弾性に抗して押圧操作すると、ガイド軸21が押し下げられ、バネ(第2の弾性部材)33を介して係止軸25の係止ピン26を押し出す。保持手段45の係合突起46が、図3に示すように、案内溝40の第1の係合部41に係合し、係止軸25が係止位置に突出して保持される。」と記載されている。しかしながら、この段落0031の説明に用いた図3には「係止凹部」を記載していない。これは、「係止凹部」の有無に関わりなく「係止軸25が係止位置に突出して保持される。」ことを示している。一方、係止軸25の係止ピン26が「係止凹部」に係止された状態は図7に示されており、係止軸25(係止ピン26)が凹部55の底面に当接して(底面から力を受け)、係止軸25(係止ピン26)の突出量が上記図3に示した状態よりも小さくなっている状態が示されている。
仮に、請求人の主張通り請求項に記載した「係止位置」が「係止凹部」に嵌合している場合だけをいうのであれば、上記図3や段落0031に記載されている説明との間に不一致が生じることになる。このように「係止位置」とは、特許明細書に記載されている通り係止軸が突出した位置のことであって、「係止凹部」に係合可能とするための位置であることを意味しているのである。したがって、「係止軸」が実際に「係止凹部」に係合しているか否かとは関わりなのないことであり、これはこれは訂正の前後において全く変わりのないことである。

(1-2)明細書の【0013】【0041】の記載内容と【0030】?【0032】の記載内容に不一致はない。
本発明に係る「扉止め装置」は、扉に設けた係止軸を突出させることによって床に設けた係止凹部に係止させ、扉止め装置としての機能を発揮させるものである。そして、係止軸を有する装置本体と、係止凹部を構成する部材は互いに独立して配置されているのであるから、係止軸と係止凹部の位置関係を適切にしなければ上記「扉止め装置」としての機能を発揮することができない。この両者の関係を特定するために、特許明細書では「係止軸25が係止凹部51に係止する係止位置」との表現を用い、扉止め装置として機能することができる「係止軸」の突出位置を「係止位置」と表現している。したがって、明細書の【0013】【0041】の記載内容に何ら誤りはない。
一方、「扉止め装置」は、「係止凹部」と係合する場合にのみ「係止軸」が突出できるわけではなく、「係止凹部」との関係にかかわらず操作手段が操作されると突出する構造になっている。しかしながら、「係止軸」はあくまで「係止凹部」との係合を目的としたものであり、係止軸の突出した位置が「係止凹部」との係合を目的とした位置であることは明らかである。これは、装置本体単体の動作説明でありながら「図3に示すように、案内溝40の第1の係合部41に係合し、係止軸25が係止位置に突出して保持される。」(段落【0031】)と説明していることからも明らかである。
以上の通り、「係止位置」とは、「係止凹部」に係合している場合を含め係止軸が突出した位置のことをいうのであって、特許請求の範囲および発明の詳細な説明を通じて「係止位置」の意味に不一致はなく、訂正の前後においても用語の意義に不一致はない。

(2)第1に、請求人は「係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動できる」とした構成が、発明な詳細な説明(段落0033)からは理解することができないので特許法第36条第6項第1号違反である旨の主張をしている。
しかしながら、段落0033には「係止軸25は、ガイド軸21に対して摺動し、さらにバネ(第2の弾性部材)33によって係止位置方向に付勢されているので、係止軸25が係止位置にあるとき、この係止軸25に強い力が加わった場合、係止軸25がバネ(第2の弾性部材)33に抗して非係止位置方向に摺動することができ、係止軸25及び装置本体2の壊れを防止することができる。」と記載している。
上記のように請求項1の(チ)の構成が段落0033に記載されていることは明らかである。したがって請求人の主張には理由がない。
第2に、請求人は「係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動することの技術的意義が不明である」ので発明が明確ではなく特許法第36条第6項第2号違反である旨主張している。
しかしながら、「係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態」であるというのは係止軸を突出させておくために必要な事項であり、「操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動する」構成によって、係止軸が第2の弾性部材の弾性力を上回る外力を受けた場合に移動し破損を防止することができるようになっているものである。このように請求項1に記載した(チ)の意義は明確であるし、当業者であれば容易に理解できることである。したがって請求人の主張には理由がない。
第3に、請求人は「係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動することの技術的意義が不明であり、明細書中に裏付けとなる記載も示唆もないので当業者といえども実施することが不可能であることから」との理由により特許法第36条第6項第2号(当審注:第4項の誤記である。)違反である旨主張している。
しかしながら、上述したように請求項1に記載した(チ)の技術的意義は明確であるし、発明の詳細な説明および図面を参酌すれば、ほぼ本発明に係る「扉止め装置」を実施することができることは明らかである。したがって請求人の主張には理由がない。
また、通知書に記載された(b)「係止軸は、ガイド軸21に対して摺動する」点についてどう考えるかという問いであるが、この「係止軸は、ガイド軸21に対して摺動する」との構造は、最適な実施例であるものの「係止軸」を「操作手段に対して非係止位置方向に移動できるように構成」するための一つの手段であり、同様の作用を有する他の構造を採用することも可能なものである。したがって「係止軸は、ガイド軸21に対して摺動する」という構造は発明を特定するための必須の構成ではない。あくまで、突出した係止軸が外力を受けた場合に非係止位置方向に移動できるという作用を有するために「操作手段と係止軸は別々に形成され、係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動できるように構成されていること。」という技術的思想が必須の構成である。したがって、「係止軸は、ガイド軸21に対して摺動する」との事項が特許請求の範囲に記載されていないことによって発明が実施できないわけでも不明確になることも無い。


第5 審理事項通知書の内容
両当事者の口頭審理陳述要領書の提出に先立って、審判長より送付された審理事項通知書の内容は次のとおりである。

『1.被請求人側から、一事不再理との主張が出されているが、前回無効審判において、本件無効理由の事実・証拠について十分な審理がなされてそれが審決に明記されているとは、必ずしもいえないので、一事不再理の取り扱いはせずに審理を続行する。

2.請求人に対して
(1)請求項1の(へ)に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張するものであるとの無効理由について
これについては、例えば、次のような見方もあり得るが、どう考えるか。
訂正前の発明において、係止軸(または操作手段)の係止位置における「操作手段を保持する保持手段」による保持は、金属板の係止凹部を伴って初めて保持可能になるのではなく(係止軸の係止には、係止凹部が必須であるが)、係止凹部とは無関係に保持されるものであるから、金属板の係止凹部に係止軸が係止していない状況においても、「係止軸が係止凹部に係止する係止位置」に対応する突出長さの位置で、保持手段により係止軸(または操作手段)が保持されることは、訂正前の発明の構成要件(構成要件(ヘ)だけでなく、他の構成要件を含む)から当然に理解されることである。
また、当然に理解される事項であるので、訂正前の発明では、明記はないものの、係止軸が係止凹部に係止されていない状態においても、係止軸が非係止位置方向に移動できる(構成要件(チ)に係る技術事項)ものであったと理解される。なお、これは、特許明細書の【0031】?【0033】の記載内容と整合し、また、技術的にみても矛盾はない。
そうすると、当該訂正は、当然に理解される事項を明記しようとするものに過ぎない。
そして、上記当然に理解される事項を明記するに伴ない、「係止位置」の定義的な記載として、訂正前の「係止軸が係止凹部に係止する係止位置」の表現では、上記当然に理解される事項を含ませることができないので、広義の係止位置の表現である「係止軸が突出して係止位置にあるとき」を採用したものである。
したがって、当該(へ)に係る訂正は、訂正前の特許発明の技術的事項を実質的に変更したり、訂正前の特許発明の範囲を実質的に拡張したりするものではない。

(2)訂正後の請求項1の(チ)の構成は、サポート要件、発明の明確性要件、実施可能要件を満たさないとの無効理由について
サポート要件に関し、請求人は本件特許明細書の【0033】の記載事項のうち、何が必須構成であると主張したいのか、明確にされたい。
また、【0033】の記載事項で、請求項1にないのは、(a)「保持部材の係合突起は、案内溝40を反時計方向に回転する」点、(b)「係止軸は、ガイド軸21に対して摺動する」点であると考えられるところ、
(a)については、前回審決の「第8」「1 無効理由1及び2について」の「(3)保持手段について」で検討済みである。
(b)は、請求人が、前回無効審判の平成21年8月21日付け上申書で主張した(当初の無効理由にはない)事項である。
これについては、ガイド軸があった方がよりよいものの、ガイド軸がなくても、邪魔する部材がなければ、「係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動できる」とも考えられるが、どうか。

3.被請求人に対して
(1)請求項1の(へ)に係る訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張するものであるとの無効理由について
平成21年7月24日付けの訂正請求書では、請求項1の(へ)に係る訂正の原因として、主として本件特許明細書の【0030】?【0032】、図2,図3の記載に基づき説明しているが、請求人の主張する論点に対してどう考えるか。
例えば、
・訂正により「係止位置」「非係止位置」の意味が変更されたか、変更されていないか。
・その意味が変更されているとしたら、それにより、請求項1に係る発明の技術的事項はどのような影響を受けているのか。発明の技術的事項が変更されたのではないか。
・本件特許明細書における【0013】【0041】の記載内容と【0030】?【0032】の記載内容に、不一致はないのか。整合性をどう説明するか。

(2)訂正後の請求項1の(チ)の構成は、サポート要件、発明の明確性要件、実施可能要件を満たさないとの無効理由について
上記(b)「係止軸は、ガイド軸21に対して摺動する」点について、どう考えるか。 』


第6 当審の判断
1.一事不再理の適用について
被請求人から、前回の無効審判手続中に請求された訂正を認めて請求不成立の審決が確定しているので、本件無効審判請求に対して特許法第167条に規定する一事不再理を適用すべきとの主張が出されているが、訂正については、本件審判請求の無効理由の事実・証拠について十分な審理がされて前審決に明記されているとは、必ずしもいえないこと、および、請求項1の(チ)については、訂正後のものを対象として無効が主張されていることから、前審決と内容的には重複する部分もあるものの、一事不再理の適用による審決却下はしない。

2.請求項1の(へ)に係る訂正について
(1)被請求人は、特許明細書の【0031】は、装置本体単体の動作説明であり、「図3に示すように、案内溝40の第1の係合部41に係合し、係止軸25が係止位置に突出して保持される。」と説明していること等から、訂正前の「係止軸が係止凹部に係止する係止位置」は、扉止め装置として機能することができる「係止軸」の突出位置を意味していることは明らかであると主張する。
確かに、扉止め装置としての機能は、扉に設けた係止軸を突出させて床に設けた係止凹部に係止させることによって得られるのであるから、訂正前の「係止軸が係止凹部に係止する係止位置」は、扉止め装置として機能することができる「係止軸」の突出位置の意味を含むことは、当然である。
しかし、訂正前の「係止軸が係止凹部に係止する係止位置」という表現からは、扉止め装置として機能することができる「係止軸」の突出位置にあるだけでなく、係止軸の突出方向に直交する方向でみて(すなわち、特許明細書の図6の左右方向でみて)、係止軸が係止凹部に挿入可能な位置にもあること、つまり、特許明細書の図7の状態にあることを想定するのが自然である。
被請求人は、特許明細書の【0031】や図3の記載を根拠として上記主張を説明するが、必ずしもその説明が合理的とはいえない。
例えば、特許明細書の【発明の実施の形態】の記載は、まず、【0013】?【0016】で、扉止め装置の全体構成について説明し、その後、「さらに壁止め装置1について詳細に説明する。」として、被請求人が根拠とする【0031】の説明に続く、という順序である。そして、扉止め装置の全体構成の説明の中で、「装置本体2は、係止軸25が係止凹部51に係止する係止位置と係止軸25が係止凹部51に係止していない非係止位置で、操作手段20又は係止軸25を保持する保持手段45を備えている。」(訂正前の【0013】)と記載され、訂正前の(へ)の記載と同様の、「係止軸25が係止凹部51に係止する係止位置」「係止軸25が係止凹部51に係止していない非係止位置」という表現が出てくるのである。そうすると、扉止め装置の全体構成の説明で、「係止位置」の定義的な説明がなされ、壁止め装置の詳細な説明に属する【0031】の記載は、扉止め装置の全体構成でなされた定義的な記載である「係止軸25が係止凹部51に係止する係止位置」を前提として、更に詳細に説明しており、【0031】等では係止軸と係止凹部の関係の説明は省略している、とも考えられるのである。
なお、以下では、「係止位置」の概念について、被請求人が主張するような、扉止め装置として機能することができる「係止軸」の突出位置だけを意味するものを「広義の係止位置」と呼び、他方、扉止め装置として機能することができる「係止軸」の突出位置であって、かつ、係止軸の突出方向に直交する方向でみて、係止軸が係止凹部に挿入可能な位置にもあるもの(つまり特許明細書の図7の状態にあるもの)を、「狭義の係止位置」と呼ぶことにする。

そこで、訂正前の「(へ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること。」における「係止軸が係止凹部に係止する係止位置」が、被請求人が主張する「広義の係止位置」ではなく、「狭義の係止位置」であるとして、訂正後の「(ヘ)装置本体は、係止軸が突出して係止位置にあるときと係止軸が戻って非係止位置にあるときの双方の位置において、前記係止軸に設けた操作手段を保持する保持手段を備えていること。」が、実質上特許請求の範囲を拡張または変更しているか否かについて、以下に検討する。

請求項1の(へ)についての訂正は、発明特定事項(扉止め装置の構成)だけをみると、審理事項通知書で示したとおり、
訂正前の発明において、係止軸(または操作手段)の係止位置における「操作手段を保持する保持手段」による保持は、金属板の係止凹部を伴って初めて保持可能になるのではなく(係止軸の係止には、係止凹部が必須であるが)、係止凹部とは無関係に保持されるものであるから、金属板の係止凹部に係止軸が係止していない状況においても、「係止軸が係止凹部に係止する係止位置」に対応する突出長さの位置で、保持手段により係止軸(または操作手段)が保持されることは、訂正前の発明の構成要件(構成要件(ヘ)だけでなく、他の構成要件を含む)から当然に理解されることである。
また、当然に理解される事項であるので、訂正前の発明では、明記はないものの、係止軸が係止凹部に係止されていない状態においても、係止軸が非係止位置方向に移動できる(訂正後の構成要件(チ)に係る技術事項)ものであったと理解される。これは、特許明細書の【0031】?【0033】や図3の記載内容と整合し、また、技術的にみても矛盾はない。
そうすると、当該訂正は、当然に理解される事項を明記しようとするものに過ぎない。
そして、上記当然に理解される事項を明記するに伴ない、「係止位置」の定義的な記載として、訂正前の「係止軸が係止凹部に係止する係止位置」の表現では、上記当然に理解される事項を含ませることができないので、「広義の係止位置」の表現である「係止軸が突出して係止位置にあるとき」を採用したものである。
したがって、当該(へ)に係る訂正は、訂正前の発明特定事項を実質的に変更や拡張するものではない。
また、請求項1の(ヘ)以外の構成要件についても訂正されているが、発明特定事項として実質的に変更や拡張はない。
したがって、訂正後の請求項1は、発明特定事項でみる限り、実質的に変更や拡張はされていない。
そして、これら訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的としたものということができる。

(2)次に、請求項の発明特定事項(扉止め装置の構成)と、発明の目的や効果の記載との関係について検討する。

(2-1)まず、特許請求の範囲に記載すべき事項として、平成6年に特許法第36条が改正され、その第5項は、「特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない」と規定され、それまであった「発明の構成に欠くことができない事項のみを記載」という文言が削除された。これにより、特許請求の範囲には、出願人が自らの判断で特許を受けることにより保護を求めようとする発明を記載することが明確にされた。
ただし、特許法第36条第6項、第4項に規定する、いわゆるサポート要件、発明明確性要件、実施可能要件等は、引き続き満たすことが求められる。
そのなかで、発明の詳細な説明の要件についてみると、
まず、特許法第36条第4項は「経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」とされ、実施可能要件とともに委任省令要件があることが規定され、その委任省令要件は、「特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない。」(特許法施行規則第24条の2)とされる。
この委任省令の趣旨は、審査基準(第I部第1章3.3参照)によれば、次のとおりである。
「発明をすることは新しい技術的思想を創作することであるから、出願時の技術水準に照らして当該発明がどのような技術上の意義を有するか(どのような技術的貢献をもたらしたか)を理解できるように記載することが重要である。そして、発明の技術上の意義を理解するためには、どのような技術分野において、どのような未解決の課題があり、それをどのようにして解決したかという観点からの記載が発明の詳細な説明中においてなされることが有用であり、通常採られている記載方法でもある。
また、技術開発のヒントを得ることや有用な特許発明を利用することを目的として特許文献を調査する場合には、解決しようとしている課題に着目すれば容易に調査を行うことができる。
さらには、発明の進歩性(第29条第2項)の有無を判断する場合においては、解決しようとする課題が共通する先行技術文献が公知であればその発明の進歩性が否定される根拠となりうるが、判断対象の出願の明細書等にも先行技術文献にもこのような課題が記載されていれば、その判断が出願人や第三者にも容易になる。
こうした理由から、委任省令では発明がどのような技術的貢献をもたらすものかが理解でき、また審査や調査に役立つように、「当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項」を記載すべきものとし、記載事項の例として課題及びその解決手段を掲げている。」

また、発明の詳細な説明に記載される「効果」については、特許法施行規則の様式第29の[備考]「ニ」には、「特許を受けようとする発明が従来の技術との関連において有利な効果を有するものであるときは、なるべくその効果を記載する。」と記載されており、また、審査基準には次のように記載されている。
「従来技術と比較した場合の有利な効果
請求項に係る発明が従来技術との関連において有する有利な効果を記載することは委任省令要件として扱わないが、請求項に係る発明が引用発明と比較して有利な効果がある場合には、請求項に係る発明の進歩性の存在を肯定的に推認するのに役立つ事実として、これが参酌される(第II部第2章2.5(3)参照))から、有利な効果を記載することが、進歩性の判断の点で出願人に有利である。また、有利な効果の記載から課題が理解できる場合には課題の記載に代わるものとなりうる。したがって、請求項に係る発明が有利な効果を有する場合には、出願人が知る限りにおいて、その有利な効果を記載すべきである。」

これらの規定等から、上記委任省令の要件は、発明の詳細な説明において、当業者が「発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載する」ことを求めるものの、発明の効果については、「なるべく有利な効果を記載する」にとどまることである。

(2-2)これを踏まえて、本件をみると、発明が解決しようとする課題は、訂正の前後で変更がなく、次のとおりである。
「【0003】【発明が解決しようとする課題】上記従来の扉止め装置は、手で第1の係止具を第2の係止具に引っ掛けるので、膝を折り曲げて腰を屈めて行わなければ、引っ掛けることができず、手足腰の不自由な人にとって、極めて辛い作業であった。
【0004】本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、立ったままで簡単に開いた扉を固定することができる、従来にない新規な構造の興趣ある扉止め装置を提供することを目的とする。」
そして、【0005】以降に、【課題を解決するための手段】として、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明特定事項が記載されている。
さらに、発明の効果として、次のように記載されている(訂正前のものであるが、訂正後も実質的に同じ内容である)。
「【0038】
【発明の効果】以上説明してきたように、本願請求項1乃至5の扉止め装置は、操作手段を操作して係止軸を非係止位置から係止位置に移動させ、係止軸を床面、壁面又は天井に形成された係止凹部に係止できるので、簡単に扉を開いた状態で固定することができるという効果がある。
【0039】また、本願請求項1乃至5の扉止め装置は、上記効果に加え、装置本体の下部に、金属板を磁力により引き上げ、金属板の係止凹部に係止軸を係止可能にする磁石部材が設けられているので、係止軸を確実に係止凹部に係止させることができ、係止軸が係止凹部から外れ難いという効果がある。
【0040】さらに又、本願請求項1乃至5の扉止め装置は、上記効果に加え、操作手段が第1の弾性部材により係止軸の反係止方向に付勢されており、操作手段に形成された案内溝の第1の係合部に保持手段の係合突起が係合して係止軸が係止位置にある状態から、この係止を解除すると、第1の弾性部材により操作手段が係止軸の反係止方向に付勢され、案内溝の第2の係合部に保持手段の係合突起が係合して係止軸が非係止位置で保持される。このように、本願請求項1乃至3の扉止め装置は、係止軸を係止位置から非係止位置に自動的に復帰させることができ、手による復帰作業を必要としないので、手足の不自由な人でも簡単に使用することができるという効果がある。
【0041】また、本願請求項1乃至5の扉止め装置は、上記効果に加え、係止軸が操作手段に対して移動でき、さらに第2の弾性部材によって係止方向に付勢されているので、係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動するため、係止軸及び装置本体の壊れを防止することができるという効果がある。
【0042】本願請求項1乃至5の扉止め装置は、上記効果に加え、操作手段に形成された案内溝の第1の係合部に保持手段の係合突起が係合すると、係止軸が係止位置で保持され、案内溝の第2の係合部に保持手段の係合突起が係合すると、係止軸が非係止位置で保持され、この係合突起が案内溝に摺動自在に案内されているので、確実且つ簡単に係止軸の位置を切り替えることができるという効果がある。
【0043】本願請求項4の扉止め装置は、上記効果に加え、係止軸が非係止位置にある時見えないようになっており、係止軸が係止位置にある時見えるようになっているロック表示部が装置本体に設けられているので、係止軸の係止状態を一目で確認することができるという効果がある。
【0044】本願請求項5の扉止め装置は、上記効果に加え、係止軸が非係止位置にある時点灯せず、係止軸が係止位置にある時点灯するようになっている点灯手段が装置本体に設けられているので、係止軸の係止状態を一目で確認することができるという効果がある。」

効果の記載のうち、【0038】?【0040】の記載は、訂正前後で実質的に変更がないものであり、上記【課題を解決するための手段】における記載に加えて、訂正前後の請求項1に記載された発明特定事項によって上記「発明が解決しようとする課題」が解決できることを理解するに十分な記載であるから、上記委任省令において求める、発明の詳細な説明において当業者が「発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載する」という要件は、本件では、訂正前後いずれにおいても、満たされているということができる。
効果の記載のうち、請求項1に関係するもので残るのは、【0041】だけである(なお、【0042】は、「本願請求項1乃至5の扉止め装置」の効果として記載されるが、内容的には請求項1に規定がない発明特定事項における効果を記載しているから、ここでは除かれる)。ここで、上記委任省令において求める要件は、本件では満たしている訳だから、この【0041】の効果の記載は、記載があってもなくてもよい任意記載事項であることは明らかである。
これを確認したうえで、【0041】に記載された効果の意味について検討すると、
まず、訂正前においては、請求項1の「(チ)操作手段と係止軸は、別々に形成され、係止軸は、操作手段に対して移動でき、第2の弾性部材によって係止方向に付勢されていること。」等に対応する効果といえるところ、
この効果は、「係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合」におけるもので、「狭義の係止位置」を念頭におくと、典型的には、係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合が想定されるところ、「係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動する」という作用が生じるには、第2の弾性部材による付勢に抗する力が働くときに限られることは、当業者に明らかである。そして、訂正前の請求項1には、第2の弾性部材による付勢に抗する力が働くときの条件については、規定されていないが、係止軸の先端の形状や係止軸と係止凹部との寸法関係などの条件が揃ったときに、生じる作用である。したがって、【0041】に記載の効果は、「係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わり第2の弾性部材による付勢に抗する力が働く場合、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動するため、係止軸及び装置本体の壊れを防止することができるという効果」と、補足(上記下線部)を入れて、理解することが妥当である。
また、図7をみると、係止軸の先端は丸みが形成されており、丸みの一部が、金属板52の係止凹部51に接触するようにみえ、係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合には、多少なりとも、第2の弾性部材による付勢に抗する力が働くように考えられるから、【0041】の効果を上記のように理解することが、明細書および図面の記載からみても首肯される。
そして、請求人が主張するごとく、【0041】の効果を完全に発揮するためには「第2の弾性部材による付勢に抗する力が働くときの条件」が必要であるのに、請求項1にそれが明記されていないから、発明が不明確である、というような判断を行うことは、特許法第36条第5項が「特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない」と規定し、これにより、特許請求の範囲には出願人が自らの判断で特許を受けることにより保護を求めようとする発明を記載するとした法律の趣旨に逸脱するものである。
したがって、訂正前の記載は、特許法第36条4項、6項各号の要件を満たしている。

次に、訂正後については、請求項1の(ヘ)の発明特定事項は、訂正前後において実質的に変更がないものであるが、自明な事項が付加されているので、係止凹部に関係する「狭義の係止位置」から、係止凹部との関係を問わない「広義の係止位置」に変更され、訂正後は、「係止凹部に係止しない位置における、係止軸の突出位置」を含むものになっている。
そこで、訂正により(訂正では請求項1の(チ)等も変更されているが、実質的な変更ではない。)、発明の技術的事項が実質的に変更または拡張されたか否かについて検討する。
まず、上記のとおり、特許法第36条第5項が「特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない」としているから、一般に、発明特定事項に実質的な変更や拡張がない限り、特許請求の範囲の技術的事項が変更、拡張されることは基本的にほとんどないものである。
本件の場合、請求人は、効果との関連で、特許請求の範囲の技術的事項が拡張されているという主張をしているので、以下に効果を確認するが、【0041】の記載自体は、訂正前後で実質的に変更がなく(「係止方向」が「係止位置方向」、「反係止方向」が「非係止位置方向」に変更された程度)、また、訂正前の【0041】記載の効果の理解については、上記したとおりである。
そして、訂正後は、係止位置の概念に、「係止凹部に係止しない位置における、係止軸の突出位置」を含むものとなったが、それに伴い、【0041】記載の効果の意味は、請求人が主張するように、「係止軸」と「係止凹部」とが係止している状態も係止されていない状態のどちらの状態からでも係止軸が非係止位置方向に移動できるようになっており、したがって、「係止軸が係止凹部に係止していない状態から、係止軸が係止凹部に嵌まり込むときに、係止軸が非係止位置方向に移動できること」を含むものに確かになっている。
しかし、この場合であっても、【0041】記載の効果は、訂正前についてした上記理解である、「係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わり第2の弾性部材による付勢に抗する力が働く場合、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動するため、係止軸及び装置本体の壊れを防止することができるという効果」と同様に理解される。
そして、【0041】記載の効果は、【0041】に記載されているように、直接的には、「係止軸が操作手段に対して移動でき、さらに第2の弾性部材によって係止方向に付勢されている」(訂正前)、「係止軸が操作手段に対して移動でき、さらに第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢されている」(訂正後)ことによる効果をいうのであり、「第2の弾性部材による付勢に抗する力が働くときの条件」が揃った場合に、「係止位置」が狭義か広義かに関係なく、当然に奏する効果であると理解される。この理解は、図3に示される係止軸25の突出程度と図6,7に示される基台53との位置関係や、係止軸先端や基台端部の形状からみても、首肯されることである。つまり、「係止軸が係止凹部に係止していない状態から、係止軸が係止凹部に嵌まり込むときに、係止軸が非係止位置方向に移動できること」は、自明な効果に過ぎない。したがって、効果からみても、発明の技術的事項に実質的な変更、拡張はないというべきである。

以上から、特許請求の範囲の発明特定事項は実質的に変更、拡張されておらず、また、効果の記載を参酌したとしても、特許請求の範囲の発明特定事項から把握される技術的事項は実質的に変更、拡張されていないというべきである。

したがって、請求人の「訂正前に、発明として、係止軸が、磁石部材により引き上げられた金属板の係止凹部から外れることにより、壊れを防止するという技術的思想だけであったものを、訂正後に、係止軸が金属板の係止凹部から外れる場合だけでなく、係止凹部に嵌まり込む場合にも壊れを防止するという範囲まで技術的思想を拡張しようとするものである」という主張は当たらない。

(2-3)ところで、請求人は、口頭審理陳述要領書で、次のようにも主張する。
『被請求人は、意見書において、「本願請求項1乃至5の発明は、装置本体に設けられた磁石部材によって引き上げられた金属板の係止凹部に係止軸を係止させるものであり」(甲第3号証の4頁9?10行)、「係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合、例えば係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合等に、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動して、金属板の係止凹部から係止軸が外れ、係止軸全体、装置本体、金属板、扉、床面等の壊れを防止することができるが、引用発明1、2では係止軸が反係止方向に移動できないため、係止軸等の壊れを防止することができない」(甲第3号証の4頁18?23行)と主張する。この意見書の内容から、本件特許発明は、磁石部材によって引き上げられた後の、磁石部材に吸着された状態の係止凹部に、係止軸を係止させると解釈するのが自然である。また、係止軸が係止位置にある時とは、係止軸が係止凹部に係止された状態であるとしか理解できない。すなわち、引用文献2のラッチ13は、上記したように、ラッチ13自体は反係止方向に移動ができるのであるから、上記意見書における「係止位置」とは「係止軸が係止凹部に係止された状態でない」とすると、上記意見書における「引用発明1、2では係止軸が反係止方向に移動できないため、係止軸等の壊れを防止することができない」という理論と完全に矛盾してしまうのである。』
『この変更により、発明の概念が、係止軸が金属板の係止凹部に係止されていない状態からも、係止軸が非係止位置方向に移動できるもの、すなわち、意見書において、被請求人自体が出願経過において、請求の範囲の記載に入らないと主張したもの(たとえば、甲第2号証に記載された非係止位置方向に移動できるもの)にまで、拡張されているのである。このような訂正が認められるとすれば、意見書や手続補正書等の内容から、一度権利範囲に入らないと信じて実施していた第三者が、訂正後に突然権利範囲に入るとして、権利行使を受けるという不測の不利益を生じるおそれがあり、許されるものではなく、かつ訂正制度の趣旨にも明らかに反するものである。』
『その拡張しようとする範囲が、被請求人自身が発明の範囲に入らないと主張している部分を新たに権利範囲に含めようとする意図があるわけであるから、当該訂正は、明らかに拡張であり、訂正の要件に違反するものである。そのような意図がなく、係止凹部から外れる場合だけを意図するのであれば、第三者が見ても明確になるように訂正すべきである。訂正されない場合は、権利範囲が不明確であり、第三者が、本来権利範囲に入らないものであるにもかかわらず、実施するにあたって躊躇してしまい、実施した場合には権利行使を受けるという不測の不利益を受けるのであるから、許されるべきではない。』

そこで、検討するに、請求人は、意見書の一部を摘記しているが、その前後を含めて、意見書の記載を示せば、以下のとおりである。なお、意見書とともに提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?6は、前記「第2 2.」に示す訂正前の請求項1?6である。また、下線部は、請求人の摘記箇所である。

「(3)本願請求項1乃至5記載の扉止め装置は、操作手段を操作して係止軸を非係止位置から係止位置に移動させ、係止軸を床面、壁面又は天井に形成された係止凹部に係止できるので、簡単に扉を開いた状態で固定することができるという効果を奏する。又、装置本体の下部に、金属板を磁力により引き上げ、金属板の係止凹部に係止軸を係止可能にする磁石部材が設けられているので、係止軸を確実に係止凹部に係止させることができ、係止軸が係止凹部から外れ難いという効果を奏する。さらに又、係止軸を係止位置から非係止位置に自動的に復帰させることができ、手による復帰作業を必要としないので、手足の不自由な人でも簡単に使用することができるという効果を奏する。又、係止軸が操作手段に対して移動でき、さらに第2の弾性部材によって係止方向に付勢されているので、係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動するため、係止軸及び装置本体の壊れを防止することができるという効果を奏する。さらに又、操作手段に形成された案内溝の第1の係合部に保持手段の係合突起が係合すると、係止軸が係止位置で保持され、案内溝の第2の係合部に保持手段の係合突起が係合すると、係止軸が非係止位置で保持され、この係合突起が案内溝に摺動自在に案内されているので、確実且つ簡単に係止軸の位置を切り替えることができるという効果を奏する。
(4)一方、引用文献1に記載された発明(以下、引用発明1という。)には、本願請求項1乃至5記載の発明と共通する点として、扉に係止するロック片を突出ピン(保持手段)を案内溝に係止させて係止位置と非係止位置で保持するようにした点で共通する。
(5)引用文献2に記載された発明(以下、引用発明2という。)には、本願請求項1乃至5記載の発明と共通する点として、プルボタン(操作手段)とラッチ(係止軸)とが摺動自在でラッチ(係止軸)が係止方向に付勢された点で共通する。
(6)引用文献3に記載された発明(以下、引用発明3という。)には、本願請求項1乃至5記載の発明と共通する点として、床面側の装置本体に回動自在に取り付けられた係合部材(金属板)が磁石で引き上げられ係止可能になる点で共通する。
(7)しかし、引用文献1乃至3には、本願請求項1乃至5記載の発明の特徴点である、「(ニ)装置本体の下部には、金属板を磁力により引き上げ、金属板の係止凹部に係止軸を係止可能にする磁石部材が設けられていること。(ホ)係止軸には、係止軸を、磁石部材の磁力により引き上げられた金属板の係止凹部の非係止位置から係止位置に移動させる操作手段が装置本体から突出して設けられていること。(チ)操作手段と係止軸は、別々に形成され、係止軸は、操作手段に対して移動でき、第2の弾性部材によって係止方向に付勢されていること。」について一切記載されておらず、それを示唆する事項もない。
(8)このように、本願請求項1乃至5の発明は、装置本体に設けられた磁石部材によって引き上げられた金属板の係止凹部に係止軸を係止させるものであり、引用発明1,2のように、床面に固定して設けられた係止凹部に係止軸を係止させるものではない。なお、引用発明3は、磁石部材によって引き上げられた金属板によって扉の一方向への動きを規制するが、本願請求項1乃至5の発明と異なり、この金属板が係止軸によって係止されないので、扉の他方向への動きを規制することができない。
また、本願請求項1乃至5の発明は、操作手段が保持手段で保持されるが、係止軸が保持手段で保持されるのではなく、操作手段に対して移動でき、且つ第2の弾性部材によって係止方向に付勢されているので、係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合、例えば係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合等に、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動して、金属板の係止凹部から係止軸が外れ、係止軸自体、装置本体、金属板、扉、床面等の壊れを防止することができるが、引用発明1,2では係止軸が反係止方向に移動できないため、係止軸等の壊れを防止することができない。
(9)このように、本願請求項1乃至5の発明は、引用発明1乃至3と、その目的、構成及び効果に明白な相違点を有し、引用発明1乃至3からは全く想起し得ないものである。なお、本願請求項6の発明は、本願請求項1乃至5を引用しているため、拒絶理由が解消したものと思料致します。」

意見書のうち、(8)の第2段落は、請求人の摘記箇所の前に、「本願請求項1乃至5の発明は、操作手段が保持手段で保持されるが、係止軸が保持手段で保持されるのではなく、操作手段に対して移動でき、且つ第2の弾性部材によって係止方向に付勢されているので、」という記載があり、ここには、「係止軸が保持手段で保持されるのではなく、操作手段に対して移動でき」とあるから、逆にいえば、引用文献のものは、係止軸が保持手段で保持されるものであるという認識を被請求人が有していたことが理解される。
そこで、引用文献1,2をみると、引用文献1では、ロック片3を有する移動板11(支持軸に相当)は、突出ピン6(これと固定装置2の案内溝8を含めて保持手段に相当)を介して、把手1(操作手段に相当)につながっているから、上記記載は、引用文献1を念頭においていたと考えられる。
他方、引用文献2をみると、ラッチ本体7(係止軸に相当)のカム面10に、プルボタン26に当接するスライド体4の接触体5が当接しており、ラッチ本体7の後側からコイルバネ18で付勢しているものであるから、スライド体4の接触体5を保持手段というならば、係止軸が保持手段で保持されるといえる。ただ、断定はできない。
また、「係止軸が反係止方向に移動できない」という意見書の説明は、引用文献1に当てはまったとしても、引用文献2は、ラッチ本体7(係止軸に相当)は、コイルバネ18(第2の弾性部材に相当)に抗して、反係止方向に移動できる構成となっているのであるから、引用文献2に対しては不可解な説明となっている。
これに関連して、請求人は、『すなわち、被請求人が自ら意見書において、「引用発明2では係止軸が反係止方向に移動できないため、係止軸等の壊れを防止することができない」といっているが、当該引用発明2では、ラッチ13(係止軸)が、テーパ部分と垂直壁部分とを持っており、当該ラッチ13の垂直壁部分と受座12の垂直壁部分とが、当接している場合は、被請求人がいう壊れを防止できない状態である。』と主張しているところ、
「引用発明2(当審注:引用文献2のもの)では、ラッチ13(係止軸)が、テーパ部分と垂直壁部分とを持っており、当該ラッチ13の垂直壁部分と受座12の垂直壁部分とが、当接している場合」(つまり、図3,4の場合)は、請求人がいうように、ラッチ13が反係止方向に移動できないので、「壊れを防止できない状態である」と確かにいえる。しかし、意見書の上記(8)の第2段落で、被請求人が、ラッチと受座の形状を根拠として、「引用発明1,2では係止軸が反係止方向に移動できないため、係止軸等の壊れを防止することができない」と言っているかどうかは、不明である。
また、意見書では、本願発明について、「係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わった場合、例えば係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合等に、係止軸が第2の弾性部材に抗して反係止方向に移動して、金属板の係止凹部から係止軸が外れ、係止軸自体、装置本体、金属板、扉、床面等の壊れを防止することができる」と主張しているが、「例えば係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合等」については、「例えば」や「等」を付記しているから、被請求人が、係止軸の係止を解除せずに強引に扉を開こうとした場合に限って、引用文献1,2との差異を主張していると、断定することもできない。
要するに、意見書の上記(8)の第2段落の記載内容自体が不明確であるから、被請求人が、審査段階の意見書で、引用文献2の何をもって、訂正前の請求項1に係る発明と相違すると主張しているのか、正確に把握することができないのである。
そうすると、不明確な記載内容(不正確な主張)であるから、被請求人が、引用文献2のタイプである「係止軸が金属板の係止凹部に係止されていない状態からも、係止軸が非係止位置方向に移動できるもの」を意識的に除外して、本願発明を認識していた、と断定することは、そもそもできないというべきである。
したがって、請求人の「上記訂正は、要件ごとの比較だけで見ると、一見発明の範囲が拡張していないように思えるが、上記意見書の内容と、特に要件(ヘ)と(チ)により明らかに発明全体として拡張されている。」「すなわち、意見書において、被請求人自体が出願経過において、請求の範囲の記載に入らないと主張したもの(たとえば、甲第2号証に記載された非係止位置方向に移動できるもの)にまで、拡張されている」という主張には無理がある。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、前回の無効審判における平成21年7月24日付けの訂正請求書により、訂正前の請求項1の「(ヘ)装置本体は、係止軸が係止凹部に係止する係止位置と係止軸が係止凹部に係止していない非係止位置で、操作手段を保持する保持手段を備えていること。」を「(ヘ)装置本体は、係止軸が突出して係止位置にあるときと係止軸が戻って非係止位置にあるときの双方において、前記係止軸に設けた操作手段を保持する保持手段を備えていること。」と訂正したことは、特許請求の範囲を拡張するものではないので、願書に添付された明細書(特許請求の範囲を含む)の訂正は、特許法第134条の2第5項で準用する同法126条第4項の規定に違反してされたものではない。
また、訂正後の請求項1を引用する本件発明2?6も同様である。
したがって、本件発明1?6に係る特許は、特許法第123条第1項第8号の規定により無効とすべきものでない。

3.訂正後の請求項1の(チ)について
次に、訂正後の請求項1の「(チ)操作手段と係止軸は別々に形成され、係止軸は、第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向に移動できるように構成されていること。」に関わる無効理由について検討する。

(1)サポート要件
請求人は、訂正後の明細書の【0033】や【0041】に記載されている「係止軸25に強い力が加わった場合、係止軸25がバネ(第2の弾性部材)33に抗して非係止位置方向に摺動することができ、係止軸25及び装置本体2の壊れを防止することができる」という効果を実現するためには、少なくとも係止軸の先端の形状が特定される必要があるが、訂正後の請求項1は、係止軸の先端形状の規定がない以上、壊れを防止できるかどうかはわからず、係止軸の先端形状が半球状であること、係止軸の先端の突出量についての規定が不足している旨を主張している。
請求人の主張は、つまるところ、請求項の構成(発明特定事項)と発明の詳細な説明に記載された効果の間に不一致があるから、不一致を埋めるべく構成を追加して限定すべきというものである。
しかしながら、上記したように、訂正後の【0041】の効果を完全に発揮するためには「第2の弾性部材による付勢に抗する力が働くときの条件」が必要であるのに、請求項1にそれが明記されていないから、発明が不明確である、というような判断を行うことは、特許法第36条第5項が「特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない」と規定し、これにより、特許請求の範囲には出願人が自らの判断で特許を受けることにより保護を求めようとする発明を記載するとした法律の趣旨に逸脱するものである。
そして、訂正後の請求項1に記載された発明特定事項によって「発明が解決しようとする課題」が解決できることは、上記したとおり明らかであり、したがって、発明の詳細な説明は、当業者が「発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載する」という委任省令の要件を満たしている。
また、【0041】の効果の記載は、特に記載がなくてもよい程度の事項であるうえに、【0041】の効果は、「係止軸が操作手段に対して移動でき、さらに第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢されているので、係止軸が係止位置にある時、この係止軸に強い力が加わり第2の弾性部材による付勢に抗する力が働く場合、係止軸が第2の弾性部材に抗して非係止方向に移動するため、係止軸及び装置本体の壊れを防止することができるという効果」と理解されることも、上記したとおりである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

(2)明確性要件
請求人は、係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動することの技術的意義が不明であるので、明確性要件(特許法第36条第6項第2号の要件)を満たしていない、と主張する。
しかし、被請求人が主張するとおり、「係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態」であることは、係止軸を突出させておくために必要な事項であり、「操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動する」構成によって、係止軸が第2の弾性部材の弾性力を上回る外力を受けた場合に移動し破損を防止することができるようになっているものである。
したがって、技術的意義は明確である。
また、【0041】に記載の効果との関係も、上記したとおり理解できる。

(3)実施可能要件
請求人は、係止軸を第2の弾性部材によって係止位置方向に付勢された状態で操作手段に対して非係止位置方向(逆向き)に移動することの技術的意義が不明であり、明細書中に裏付けとなる記載も示唆もないので当業者といえども実施することが不可能であることから実施可能要件(特許法第36条第4項の要件)を満たしていない、と主張する。
しかし、上記(2)のとおり、技術的意義は明確であり、発明の詳細な説明は、特許請求の範囲に記載した発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されており、当業者にとって試行錯誤の必要がない。
また、【0041】に記載の効果との関係でいえば、「係止軸に強い力が加わり第2の弾性部材による付勢に抗する力が働く場合、係止軸が第2の弾性部材に抗して非係止方向に移動するため、係止軸及び装置本体の壊れを防止することができるという効果」を得るためには、例えば請求人が指摘するような係止軸の先端形状等を工夫すればよいことは、当業者に自明であり、その実施に何の困難性もない。

(4)まとめ
したがって、平成21年7月24日付けの訂正請求書により訂正された請求項1に係る発明(本件発明1)は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであり、特許法第36条6項1号の要件を満たしており、かつ、特許を受けようとする発明が明確であり、特許法第36条6項2号の要件を満たしている。また、平成21年7月24日付けの訂正請求書により訂正された発明の詳細な説明の記載は、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載しており、特許法第36条4項の要件を満たしている。
また、訂正後の請求項1を引用する本件発明2?6も同様である。
したがって、本件発明1?6に係る特許は、特許法第123条1項4号の規定により無効とすべきものではない。


第7 むすび
以上のとおり、請求人の申し立てた理由および証拠によっては、本件発明1?6に係る特許を無効にすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2010-11-01 
出願番号 特願2000-235513(P2000-235513)
審決分類 P 1 113・ 537- Y (E05C)
P 1 113・ 831- Y (E05C)
P 1 113・ 536- Y (E05C)
P 1 113・ 854- Y (E05C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 辻野 安人  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 柏崎 康司
一宮 誠
登録日 2003-09-26 
登録番号 特許第3477154号(P3477154)
発明の名称 扉止め装置及び扉  
代理人 秋山 重夫  
代理人 高田 修治  
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