• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1239491
審判番号 不服2010-1810  
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-27 
確定日 2011-07-04 
事件の表示 特願2005- 23197「コネクタ及び電線カバー」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 8月10日出願公開、特開2006-210243〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成17年 1月31日の出願であって、平成21年11月 5日付けで拒絶査定がなされ(平成21年11月10日発送)、これに対し、平成22年 1月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。

2.平成22年 1月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年 1月27日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「ハウジングにおける電線の導出端部に、2つの半割体を筒状に合体させた形態の電線カバーを取り付け、この電線カバーは、前記ハウジングから導出した前記電線を包囲し、かつ前記電線を前記ハウジングの軸線に沿って導出したのち側方に曲げて配索可能なように途中で屈曲された筒状をなすように形成されたコネクタであって、
一方の前記半割体には、前記ハウジングの電線の導出端部に設けられた取付部に係止可能な係止部が設けられ、かつ他方の前記半割体との合体状態においてこの他方の半割体側へ突出するとともに外面側への弾性撓みを可能とされたロック片が形成され、
前記他方の半割体の外面にはロック突起が形成されており、
前記一方の半割体が前記ハウジングに組み付けられたのち同ハウジングから導出された電線が途中で屈曲されつつ前記一方の半割体に載置され、続いて前記他方の半割体が前記一方の半割体に対して合体され、
前記2つの半割体が合体される過程では、前記ロック片が外面側へ弾性撓みしつつ前記ロック突起に乗り上がり、前記2つの半割体が合体状態に至ると、前記ロック片が弾性復帰して前記ロック突起に係止することで、前記2つの半割体が合体状態にロックされるようになっているコネクタにおいて、 前記一方の半割体には、合体状態において前記他方の半割体側へ突出する形態であり、合体の過程において前記ロック片が前記ロック突起に当接するより前に前記他方の半割体の内面に当接可能な規制片が形成されており、
かつ前記規制片は、前記ロック片に対してその内側の面と対向するように配されているとともに、
前記規制片と前記ロック片とは、前記一方の半割体における同一方の半割体に載置された電線の屈曲部分の外側に対応する位置に設けられていることを特徴とするコネクタ。」と補正された。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定する事項である「電線カバー」について「この電線カバーは、」「(電線を)包囲し、かつ前記電線を前記ハウジングの軸線に沿って導出したのち側方に曲げて配索可能なように途中で屈曲された筒状をなすように形成された」との限定を付加し、「電線」について「途中で屈曲されつつ」との限定を付加し、「規制片」について「かつ前記規制片は、前記ロック片に対してその内側の面と対向するように配されているとともに、前記規制片と前記ロック片とは、前記一方の半割体における同一方の半割体に載置された電線の屈曲部分の外側に対応する位置に設けられて(いる)」との限定を付加するものであって、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項に適合するか)について、以下検討する。

(2)引用例
1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-127813号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア「【請求項1】
電線の端末に固着された端子金具が挿入されるコネクタハウジングの後面には、この後面から引き出された電線を覆う筒状のカバーが装着されたコネクタにおいて、
前記カバーが、合体して筒状をなす一対の分割カバーにより構成され、両分割カバーのうちの一方の分割カバーには、前記コネクタハウジングの後面に保持可能な保持手段が設けられるとともに、両分割カバーの間には、両分割カバーを合体状態にロックするロック手段が前記保持手段とは別に設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記カバーは、電線を屈曲しつつ挿通して引き出された方向とは交差した方向に導出可能となっていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記両分割カバーがヒンジを介して開閉可能に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ロック手段が、前記保持手段を押さえて保持状態に維持すべく前記保持手段の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコネクタ。」(特許請求の範囲【請求項1】?【請求項4】)

イ「【発明の属する技術分野】
本発明は、電線カバーを備えたコネクタに関する。」(段落【0001】)
ウ「【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記従来例におけるカバーの取付構造は、各分割カバーにおけるハウジングへの取付側の端部に、ハウジングの後端部の外周に位置決めされて嵌まる半割りの嵌合筒が設けられる一方、各分割カバーの突き合わせ端縁に、ロック片とロック突部とからなる複数のロック手段が設けられた構造であり、端的には、両分割カバーを合わせてロックして初めて、カバー自体もハウジングの後端部に取り付けられるようになっていた。
したがって実際の組み付けに際しては、ハウジング内に端子金具を挿入したのち、一方の分割カバーを手で支えてその中に引き出された電線を屈曲させつつ嵌め、場合によっては電線の外周に嵌装されたコルゲートチューブを導出端側に嵌め、続いて両分割カバーを合わせて、それぞれの嵌合筒をハウジングの後端部に嵌めつつ、両分割カバー間のロックを掛ける必要があり、作業がし難くて手間が掛かるという問題があった。しかも近年は、コネクタすなわちカバーが小型化する傾向にあるために、作業のし難さがより顕著となっていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、カバーの取り付けの作業性を向上させるところにある。」(段落【0004】?【0005】)

エ「【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
組付けの一例としては、コネクタハウジング内に端子金具を挿入したら、一方の分割カバーを保持手段によりコネクタハウジングの後面に保持し、続いて、この保持された分割カバー内に引き出された電線を嵌め、最後に他方の分割カバーを合わせてロック手段によりロックする。これによりカバーの取り付けが完了し、それに伴いコネクタハウジングの後面から引き出された電線がカバー内を通って所定方向に導出される。
一方の分割カバーをコネクタハウジングに対して、所定の位置に予め保持できる構造としたから、この分割カバーを格別に支えていなくても、引き続いて引き出された電線を嵌めることと、両分割カバーを合わせてロックすることを簡単にかつスムーズに行うことができ、すなわちカバーの取付作業を能率良く行うことができる。
<請求項2の発明>
いわゆる横出しタイプのものにあっても、特に分割カバー内に電線を嵌める作業が簡単にできる。
<請求項3の発明>
組み付け作業がさらに簡略化でき、また部品点数が削減できることでコスト低減が図られる。
<請求項4の発明>
両分割カバー間のロックを行うことに伴って保持手段が押さえられ、言わば二重に保持されることになって、カバーをコネクタハウジングに対してより強固に取り付けることができる。」(段落【0008】?【0009】)

オ「【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図17に基づいて説明する。
この実施形態では雌側の防水コネクタを例示しており、例えば機器から突設された相手の雄コネクタと嵌合されるようになっており、図1に示すように、5本の雌端子10を収容可能とした雌側のコネクタハウジング20(以下、雌ハウジングという)と、この雌ハウジング20の後面に装着される横出しタイプのカバー30(図5等)とから構成されている。
雌端子10は、導電性に優れた金属板をプレス加工することで形成され、相手の雄コネクタに収容された雄端子と接触される接触片を収容した角筒形の接続部11を有し、その後方に形成されたバレル12をかしめることで、防水ゴム栓13ともども電線15の端末に圧着されている。
雌ハウジング20は合成樹脂製であって、図2ないし図4にも示すように、横長の正面形状をなすタワー部21を有し、その回りにフード部22が形成されている。タワー部21内には、上記した雌端子10を後方から挿入可能なキャビティ23が、5個横方向に並んで形成され、雌端子10が正規位置まで挿入されると、キャビティ23の壁面に設けられたランス(図示せず)で抜け止めされるようになっている。
フード部22の天井面には、相手の雄コネクタとの間を嵌合状態にロックするためのロックアーム25が設けられている。
なお、雌ハウジング20の後面から引き出された5本の電線15は、後記するように1本に束ねられてカバー30内に挿通されるが、カバー30との間の防水を図るために、束ねられた電線15には、所定長さのコルゲートチューブ17(図13参照)が嵌装されるようになっている。コルゲートチューブ17は、外周面に周方向の溝17Aと突条17Bとを軸線方向に沿って交互に設けた形状であって、適度の可撓性を有するものである。」(段落【0010】?【0012】)

カ「雌ハウジング20の後面側には、カバー30が装着可能とされている。そのため上記したフード部22の背面には、図1及び図3に示すように、並んだキャビティ23の入口23Aの左右両側から下側を囲むようにして取付壁27が形成されている。なお、取付壁27の上辺部分が切除されているのは、ロックアーム25の操作端26側の傾動を許容するためである。
取付壁27における左右の外側面には、その後縁(図1の手前側)におけるほぼ中央高さ位置に、一対の突片28が対称に張り出し形成されている。また、突片28における上下の面の付け根位置には、取付壁27の壁面側に凹んだ凹部29が形成されている。
カバー30は同じく合成樹脂製であって、図5ないし図8に示すように、二つ割りされた本体カバー31と蓋カバー32とがヒンジ33を介して開閉可能に形成されている。詳しくは後記するように、両カバー31,32が正規に合体されると、図13に参照して示すように、L型でかつ屈曲部分の外側を斜めに削ったような外形の角筒形をなし、一端の開口の広い側が雌ハウジング20への取付端35となり、他端の開口の狭い側が電線15を外部に導き出す導出端36となり、取付端35と導出端36とは直交して配されている。
より詳細には、本体カバー31は、底板38の両側縁に沿って取付端35から導出端36にわたり側壁39が立ち上がり形成されている。ただし、導出端36側の側壁39Aは他と比べて約半分の背の高さとされている。また、導出端36側の内面には、上記したコルゲートチューブ17の溝17A内に嵌まる半円状の係止突条40が3条形成されている。そして、両側壁39の取付端35側の縁部には、上記した雌ハウジング20の取付壁27における正面の左右両側縁に突き当たる突当部42が、内方に直角曲げされて形成されている。
それとともに、同両側壁39の取付端35側の縁部からは、この側壁39よりも少し背の高い一対の保持板43が、取付壁27における左右の外側面を丁度挟むことができる対応間隔を開けて突設されている。両保持板43の突出端における内方の角は、テーパ状のガイド面44とされている。これらの両保持板43には、取付壁27の左右の外側面に設けられた突片28が緊密に嵌まる嵌合溝45が切られている。また、保持板43の内面における嵌合溝45の上下の位置には、突片28の上下に設けられた凹部29に嵌まるがた詰め突部46が形成されている。
一方の蓋カバー32は、上記した本体カバー31の底板38とほぼ対称形状をなす文字通りの蓋板48を有しており、本体カバー31の側壁39の突出端に当たって閉じられるようになっている。ただし、導出端36側では、本体カバー31側で側壁39Aの背が低くなった分を埋めるようにして側壁39Bが形成されており、その導出端36側の内面には、コルゲートチューブ17の反対の面側の溝17A内に嵌まる同じく半円状の係止突条40が3条対応して形成されている。
この蓋カバー32は仰向けの姿勢となり、図6に示すように、それぞれ導出端36を外に向けた対称姿勢で本体カバー31と並んで成形され、蓋カバー32の取付端35側と、本体カバー31の側壁39の取付端35側の隣接した縁部同士の間に帯状のヒンジ33がわたされている。これにより蓋カバー32は、本体カバー31に対してヒンジ33を屈曲させつつ開閉可能となっている。
蓋カバー32が、本体カバー31の開口に整合して閉じられるように、蓋板48の裏面における取付端35側の左右の両側縁と、傾斜縁のそれぞれ内側に少し入った位置には、差込片50が形成されている。これらの差込片50は、本体カバー31における両側壁39の取付端35側の内面と、側壁39の傾斜した部分の内面とにそれぞれ差し込み可能とされている。」(段落【0013】?【0018】)

キ「本実施形態は上記のような構造であって、続いてその組み付けの手順を説明する。
まず、図1の矢線に示すように、電線15の端末に固着された雌端子10を、雌ハウジング20の対応するキャビティ23内に挿入する。ここで、雌ハウジング20の後面から引き出された5本の電線15は一束にまとめられ、その外周にコルゲートチューブ17が嵌装される。
次に、雌ハウジング20の後面にカバー30が仮保持される。具体的には、図9に示すように、本体カバー31を斜め姿勢として、先にヒンジ33に近い側の保持板43を、雌ハウジング20の取付壁27の対応する側面に当てつつ、嵌合溝45内に突片28を嵌める。
この状態から、本体カバー31を同図の矢線方向に回動しつつ押し込むと、反対側の保持板43が弾性的に開きつつ対応する突片28に乗り上げ、本体カバー31の突当部42が取付壁27の正面に突き当たるまで押し込まれると、図10に示すように、反対側の保持板43が復元変形しつつその嵌合溝45内にも対応する突片28が嵌まる。これにより、両保持板43の嵌合溝45に突片28が正規に嵌まり、それとともに上下一対ずつのがた詰め突部46も、突片28の付け根の上下の凹部29に嵌まることで(図11参照)、本体カバー31の取付端35側が、雌ハウジング20の取付壁27に対してがたつき無く仮保持される。
このように本体カバー31が仮保持されたら、図11に示すように、一束にまとめられた電線15を直角に曲げつつ本体カバー31内に嵌めるとともに、コルゲートチューブ17を手前側(同図の上側)に寄せて、手前側の端部の半周分を係止突条40に嵌める。
最後に図12に示すように、蓋カバー32をヒンジ33から本体カバー31の上面に向けて折り返すと、差込片50が側壁39の内側に差し込まれるとともに、ロック片57,57Lが側壁39,39Aの外面に沿って進んで、弾性的に開きつつロック突部53,53Lに乗り上げ、蓋カバー32が本体カバー31を正規に覆うまで折り返されると、図13ないし図15に示すように、ロック片57,57Lが復元変形しつつロック孔59内に対応するロック突部53,53Lが嵌まり、両カバー31,32が合体状態にロックされる。・・・
以上により組み付けが完了し、雌ハウジング20の後面から引き出された電線15は、カバー30並びにコルゲートチューブ17内を通りつつ直角に曲げられて、図15に示すように、正面から見た右方向に導出される。
この状態から、両カバー31,32の滑り止め部61を摘んで、雌ハウジング20を相手の雄コネクタに嵌合する。・・・特に横出しタイプでは、狭い場所で電線15を直角に曲げて嵌める必要があるが、本体カバー31が雌ハウジング20に仮保持されていることで、手が有効に使えてスムーズに嵌めることができる。もって、カバー30の取付作業を能率良く行うことができる。」(段落【0022】?【0027】)

ク「<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本体カバーと蓋カバーとは別体に形成されていてもよい。
(2)本発明は、雌ハウジングの後面から引き出された電線を、そのまま同方向に導出するストレートタイプのカバーについても、同様に適用することができる。
(3)また本発明は、雄コネクタにも適用可能であり、さらにはワイヤ-ワイヤのコネクタにも適用することが可能である。」(段落【0029】)

記載事項ア?キ及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに即して整理すると、引用例1には、
「雌ハウジング20における電線15が導出される取付壁27に、二つ割りされた一対の分割カバーを筒状に合体させた形態のカバー30を取り付け、このカバー30は、前記雌ハウジング20から導出したのち前記電線15を包囲し、かつ前記電線15を直角に曲げつつ本体カバー31内に嵌めるように形成されたコネクタであって、
本体カバー31には、前記雌ハウジング20の電線15が導出される取付壁27に設けられた突片28に係止可能な保護板43が設けられ、かつ蓋カバー32との合体状態においてこの本体カバー31の外面にはロック突部53が形成され、
前記蓋カバー32には、本体カバー31側に突出するとともに外面側へ弾性的に開くロック片57が形成されており、
前記本体カバー31が雌ハウジング20に組み付けられたのち同ハウジング20から導出された電線15が直角に曲げられつつ前記本体カバー31内に嵌められ、続いて前記蓋カバー32が本体カバー31に対して合体され、 前記2つの分割カバーが合体される過程では、前記ロック片57が外面に沿って進んで、弾性的に開きつつロック突部53に乗り上げ、ロック片57が復元変形しつつロック突部53が嵌まることで、前記両カバー31、32が合体状態にロックされるようになっているコネクタにおいて、
前記蓋カバー32には、合体状態において前記本体カバー31へ突出する形態であり、合体の過程において前記本体カバー31の内面に当接可能な差込片50が形成されており、
前記差込片50は、前記ロック片57に対してその内側の面と対向するように配されているとともに、
前記差込片50と前記ロック片57とは、前記蓋カバー32における同蓋カバー32の電線の屈曲部分の外側に対応する位置に設けられているコネクタ。」(以下「引用発明」という。)が記載されている。

2)同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-185869号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア「【請求項1】 コネクタハウジングに係止部を設ける一方、該コネクタハウジングの一面側を開閉するカバーに係止部を設け、これら両係止部同士を係止して前記コネクタハウジングの一面側を前記カバーで覆うようにしたコネクタにおいて、
前記カバーの係止部の内方に前記コネクタハウジングの係止部の内側壁に当接するリブを設け、前記カバーの係止部の内側壁と前記コネクタハウジングの係止部の外側壁との間に第1のクリアランスを設けると共に、前記コネクタハウジングの係止部の内側壁と前記リブとの間に第2のクリアランスを設けたことを特徴とするコネクタ。
・・・
【請求項3】 請求項1,2記載のコネクタであって、
前記コネクタハウジング及び前記カバーを合成樹脂により金型成形し、前記コネクタハウジングの係止部と前記カバーの係止部のいずれか一方の係止部を鉤形の係止爪とし、他方の係止部を該係止爪が係脱される係止凹部としたことを特徴とするコネクタ。」(特許請求の範囲【請求項1】、【請求項3】)

イ「【発明の属する技術分野】本発明は、コネクタハウジングとカバーの係止構造を有した合成樹脂製のコネクタに関する。」(段落【0001】)

ウ「図1に示すように、コネクタ10は、合成樹脂製で略直方体状のコネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11の背面(一面)11a側を開閉する合成樹脂製で断面略コ字状のカバー20とで構成されていて、コネクタハウジング11の背面11a側がカバー20により閉じられた状態で、該コネクタハウジング11の背面11aの回りの周壁11bとカバー20の天井壁部21aとの間で形成される左右両側の電線収容空間Pより電線としての図示しないワイヤハーネスが引き出されるようになっている。
図1,図2に示すように、コネクタハウジング11の周壁11bの上,下端部(図1中左,右上端部)には、等間隔毎に鉤形の係止爪(係止部)12を複数一体突出形成してある。また、カバー20の長,短側壁部21b,21c(図1中左,右側壁部)の各係止爪12に対向する位置には、該各係止爪12が係脱される略矩形の孔部22aを有した係止凹部(係止部)22を一体形成してある。さらに、カバー20の各係止凹部22の内方(内側)にはコネクタハウジング11の各係止爪12の内側壁12bに当接するリブ23を一体突出形成してある。
・・・
尚、コネクタハウジング11の各係止爪12の外側壁12aの両側には、補強リブとカバー20の各係止凹部22の案内を兼ねた一対のガイド突起13,13を一体突出形成してある。また、カバー20の各係止凹部22の内側壁22bの下端側には、離脱用のテーパ面22cを形成してある。
以上実施形態のコネクタ10によれば、コネクタハウジング11の各係止爪12をカバー20の各係止凹部22と各リブ23との間で挾むことにより、該コネクタハウジング11の各係止爪12とカバー20の各係止凹部22の孔部22aとの係止状態を確実に保持することができる。また、コネクタ10を落下等させてカバー20に衝撃力が加わっても、該衝撃力をカバー20の各リブ23と該各リブ23が当たるコネクタハウジング11の各係止爪12の内側壁12bとにより確実に吸収することができ、コネクタハウジング11の各係止爪12からのカバー20の係止凹部22の外れや、該カバー20の係止凹部22の破損を確実に防止することができる。
また、カバー20の各係止凹部22の内側壁22bとコネクタハウジング11の各係止爪12の外側壁12aとの間の第1のクリアランスXを、コネクタハウジング11の各係止爪12の内側壁12bとカバー20の各リブ23との間の第2のクリアランスYよりも大きくなるように設定したため、落下等により外部から衝撃力を受けた場合に、該衝撃力をカバー20の各リブ23がコネクタハウジング11の各係止爪12の内側壁12bに当たることにより確実に吸収することができ、カバー20の各係止凹部22がコネクタハウジング11の各係止爪12から上記衝撃力を受けることがない。
さらに、コネクタハウジング11の各係止爪12とカバー20の各係止凹部22との係止方向に従来のような方向性がないため、コネクタハウジング11の各係止爪12及びカバー20の各係止凹部22を図示しない金型の同軸方向の移動によりモールド成形することができる。これにより、コネクタハウジング11とカバー20を成形する金型を簡素化することができてコネクタ10を低コストで製造することができると共に、コネクタハウジング11の背面11a側からのワイヤハーネスのひき出し方向の自由度を拡大させることができる。」(段落【0017】?【0023】)

エ「尚、前記実施形態によれば、コネクタハウジング11に係止爪12を突設し、カバー20には該係止爪12が係脱される係止凹部22を設けたが、図3に示す他の実施形態のコネクタ10′のように、コネクタハウジング11′の係止部を係止凹部12′とすると共に、カバー20′の係止部を鉤形の係止爪22′としても前記実施形態と同様の作用、効果が得られる。この場合も、カバー20′の係止爪22′の内側壁22bとコネクタハウジング11′の係止凹部12′の外側壁12aとの間の第1のクリアランスXを、コネクタハウジング11′の係止凹部12′の内側壁12bとカバー20′のリブ23との間の第2のクリアランスYよりも大きくなるように設定する。また、カバー20′の係止爪22′の内側壁22bとリブ23との間には金型用の抜き孔24が形成される。」(段落【0024】)

オ 上記記載事項ウ及び【図2】の記載から、コネクタハウジング11とカバー20との係止に関連した位置構成をみると、カバー20がコネクタ10に対し、図2の場合よりも右側に変位している場合、カバー20をコネクタハウジング11に係止する過程において、カバー20の係止部22が該ハウジング11の係止部12に当接する前にリブ23に当接可能であることが理解できる。

そうすると、引用例2には、
「ワイヤハーネスが引き出される空間を覆うカバー20をコネクタハウジング11に係止する構造において、鉤形の係止部をいずれか一方に、係止凹部を他方に形成し、両者を係脱すること。」(以下「引用例2記載事項a」という。)及び
「ワイヤハーネスが引き出される空間を覆うカバー20をコネクタハウジング11に係止する構造において、カバー20をコネクタハウジング11に係止する過程において、カバー20の係止部22が該ハウジング11の係止部12に当接する前にリブ23に当接可能とすること。」(以下「引用例2記載事項b」という。)が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、引用発明の「雌ハウジング20」は本願補正発明の「ハウジング」に相当し、以下同様に「電線15が導出される取付壁27」は「電線の導出端部」に、「二つ割りされた一対の分割カバーを筒状に合体させた形態のカバー30」は「2つの半割体を筒状に合体させた形態の電線カバー」に、「雌ハウジング20から導出したのち前記電線15を包囲し、かつ前記電線15を直角に曲げつつ本体カバー31内に嵌めるように形成されたコネクタ」は「電線を前記ハウジングの軸線に沿って導出したのち側方に曲げて配索可能なように途中で屈曲された筒状をなすように形成されたコネクタ」に、「突片28」は「取付部」に、「保護板43」は「係止部」に、「本体カバー31」は「一方の半割体」に、「蓋カバー32」は「他方の半割体」に、「ロック突部53」は「ロック突起」に、「外面側へ弾性的に開く」は「外面側への弾性撓みを可能とされた」に、「直角に曲げられつつ本体カバー31内に嵌められ」は「途中で屈曲されつつ前記一方の半割体に載置され」に、「外面に沿って進んで、弾性的に開きつつロック突部53に乗り上げ」は「外面側に弾性撓みしつつ前記ロック突起に乗り上がり」に、「復元変形しつつロック突部53が嵌まる」は「弾性復帰して前記ロック突起に係止する」に、「差込片50」は「規制片」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「ロック突部53」及び「ロック片57」は、本願補正発明の「ロック突起」及び「ロック片」と、「ロック部材」である点で共通するものであり、これらは、便宜上、「一方のロック部材」及び「他方のロック部材」と呼ぶことができる。
同様に、2つの半割体の一方を「一方の半割体」と特定した場合、他の半割体は、便宜上、「他方の半割体」と呼ぶことができる。

そうすると、両者は、
「ハウジングにおける電線の導出端部に、2つの半割体を筒状に合体させた形態の電線カバーを取り付け、この電線カバーは、前記ハウジングから導出した前記電線を包囲し、かつ前記電線を前記ハウジングの軸線に沿って導出したのち側方に曲げて配索可能なように途中で屈曲された筒状をなすように形成されたコネクタであって、
一方の前記半割体には、前記ハウジングの電線の導出端部に設けられた取付部に係止可能な係止部が設けられ、かつ一方のロック部材が形成され、 他方の前記半割体には他方のロック部材が形成されており、
前記一方の半割体が前記ハウジングに組み付けられたのち同ハウジングから導出された電線が途中で屈曲されつつ前記一方の半割体に載置され、続いて前記他方の半割体が前記一方の半割体に対して合体され、
前記2つの半割体が合体される過程では、前記他方のロック部材が外面側へ弾性撓みしつつ前記一方のロック部材に乗り上がり、前記2つの半割体が合体状態に至ると、前記他方のロック部材が弾性復帰して前記一方のロック部材に係止することで、前記2つの半割体が合体状態にロックされるようになっているコネクタにおいて、
(他方の)ロック部材が設けられた半割体には、合体状態において相手側半割体側へ突出する形態であり、相手側半割体の内面に当接可能な規制片が形成されており、
かつ、前記規制片は、前記他方のロック部材に対してその内側の面と対向するように配されているとともに、
前記規制片と前記他方のロック部材とは、前記一方の半割体における同一方の半割体に載置された電線の屈曲部分の外側に対応する位置に設けられているコネクタ。」の点で一致し、
次の点で相違している。

[相違点1]
2つの半割体に形成されるロック部材につき、本願補正発明では、一方の半割体に形成される一方のロック部材は、他方の半割体との合体状態においてこの他方の半割体側へ突出するとともに外面側への弾性撓みを可能とされたロック片であり、他方の半割体に形成される他のロック部材は、該半割体の外面に形成されたロック突起であるのに対し、引用発明では、一方の半割部材に形成される一方のロック部材は半割体の外面に形成されたロック突起であり、他方の半割部材に形成される他のロック部材は、他方の半割体との合体状態においてこの他方の半割体側へ突出するとともに外面側への弾性撓みを可能とされたロック片である点。

[相違点2]
規制片の形成態様につき、本願補正発明では、合体の過程においてロック片がロック突起に当接するより前に(他方の半割体の内面に)当接可能に形成するものであるのに対し、引用発明では、当該構成が不明である点。

(4)判断
そこで、上記相違点について以下検討する。
まず、相違点1についてみると、引用例2には、ロック片(「係止部」として記載されている。)とロック突部(「係止爪」として記載されている。)とを、いずれに設けてもよいことが示されている(引用例2記載事項a)。

引用例2記載事項aは、引用発明と同様、コネクタに関連した係止構造に関するものである。

このように、当該技術分野において、ロック片及びロック突部を、一対の半割体のどちらに設けるかは、当業者が必要に応じて適宜選択できるものである。

このことは、本願明細書に記載されたものにおいて、ロック片とロック突部との形成態様について、第2ロック片37は第1半割体に形成され、第2ロック突起39は第2半割体に形成されるものであるが、第1ロック突起34は第1半割体に形成され、第1ロック片35は第2半割体に形成されていることからも理解できる。

そして、引用例1に記載のものは、カバーの取り付けの作業性を向上させることを目的とするものであり、実施の形態において種々変更可能であることを示唆するものである(前記「(2)1)ウ、ク)」参照。)。

そうすると、引用発明において、2つの半割体に形成されるロック部材につき、一方の半割部材に形成されるロック部材はロック突起であり、他方の半割部材に形成されるロック部材はロック片であるものに代えて、本願補正発明のように、一方の半割体に形成されるロック部材は、他方の半割体との合体状態においてこの他方の半割体側へ突出するとともに外面側への弾性撓みを可能とされたロック片であり、他方の半割体に形成される他のロック部材は、半割体の外面に形成されたロック突起とした点は、引用例2記載事項aなどに基づいて、当業者であれば、容易に想到することができたものである。

次に、相違点2について検討する。
まず、発明の詳細な説明及び図面の記載から、「合体の過程においてロック片がロック突起に当接するより前に他方の半割体の内面に当接可能に形成する」とはどのような意味を有する構成であるか、検討する。

段落【0025】?【0032】において、
「・・・合体する過程では、・・・次に、図1及び図3に示すように、規制片40の上端縁における右端部が、第2後面板31の内面に対して当接又は接近して対応し、前後方向(第2半割体22の回動中心と略平行な方向)に重なり合う。これにより、第1半割体21は第2半割体22に対して相対的に後方(第1後面板26の外面側)へ相対変位することを規制される。この時点で、第2ロック片37の上端縁部は、第2ロック突起39には当接していない。・・・
このように第2ロック片37が第2ロック突起39に乗り上がった状態で合体が進む間に、第1ロック片35が、第1ロック突起34に当接して左方へ弾性撓みする。この後、更に両半割体21,22の合体が進むと、ヒンジ23に近い側(後側)の第3ロック片42が外面側へ弾性撓みしつつ第3ロック突起44に乗り上がり、この後、ヒンジ23から遠い側の第3ロック片42も外面側へ弾性撓みしつつ第3ロック突起44に乗り上がる。
そして、両半割体21,22が正規の合体状態に至ると、第1半割体21の第1接合縁部28の上端面(接合面)と第2半割体22の第2接合縁部33の下端面(接合面)が、前後左右に位置ずれすることなくほぼ面接触するように突き当たるとともに、・・・合体状態にロックされる。
・・・上述のように本実施形態においては、2つの半割体21,22を合体させる過程で、第2ロック片37が第2ロック突起39に乗り上がりつつ外面側(後方)へ弾性撓みしたときの弾性復元力に起因して、第1半割体21が第2半割体22に対して相対的に後方(第1後面板26の外面側)へ変位しようとするのであるが、第2ロック片37が第2ロック突起39に当接するより前に、第1半割体21に形成されている規制片40が第2半割体22の内面に当接するので、第1半割体21が第2半割体22に対して相対的に後方へ変位することが規制される。これにより、2つの半割体21,22を正しい位置関係に保った状態で合体させることができるので、作業性がよい。
・・・また、合体の過程で、規制片40の先端縁部が第2半割体22の第2接合縁部33に対して相対的に第1後面板26の外側(後方)へ変位していると、規制片40の先端縁部が第2接合縁部33の接合面(下面)に対して突き当たってしまうことが懸念される。しかし、本実施形態では、規制片40の先端縁部に形成したテーパ面41により、規制片40を第2後面板31(第2半割体22)の内側へ誘い込むようにしたので、規制片40は、第2半割体22の接合縁部(接合面)に突き当たることなく、第2半割体22の内面に確実に当接する。」とある。

対応する図面を見ると、上記「規制片40の上端縁における右端部が、第2後面板31の内面に対して当接又は接近して対応し、・・・第1半割体21は第2半割体22に対して相対的に後方(第1後面板26の外面側)へ相対変位することを規制される。この時点で、第2ロック片37の上端縁部は、第2ロック突起39には当接していない。」との記載は、第2後面板31の内面に対して規制片40の上端縁における右端部が、接近したときに、第2ロック片37の上端縁部と第2ロック突起39の先端が当接したものが記載された【図3】と符合しないが、【図3】の記載において、第2半割体22が、第1半割体21に対して、左側に変位している場合、合体させる過程において、第2ロック片37が第2ロック突起39に当接するより前に、第2半割体22の内面に規制片40が当接する構成は、理解できる。

このように、「合体の過程においてロック片がロック突起に当接するより前に他方の半割体の内面に当接可能に形成する」とは、文言どおり、合体の過程においてロック片がロック突起に当接する前に他方の半割体の内面に当接することを許容する、すなわち、そのような場合があるという構成を意味するものと解することができる。

ここで、引用例2記載事項bを本願補正発明と対比すると、ロック片(「カバー20の係止部22」に相当している。)がロック突起(「コネクタハウジング11の係止部12」)に当接する前に規制片(「リブ23」)に当接可能な構成が記載されているといえる。

そして、引用例2記載事項bは、「ワイヤハーネスが引き出される空間を覆うカバー20をコネクタハウジング11に係止する構造」に関するものであるから、引用発明と同様の技術分野に属するものである。

また、当該技術分野において、規制片の突出高さを側壁より高くして係合を円滑にすることは、本件出願前よく知られた技術でもある(一例として、特開平11-299045号公報参照。)。

そうすると、引用発明において、規制片の形成態様につき、本願補正発明のように、合体の過程においてロック片がロック突起に当接するより前に他方の半割体の内面に当接可能とした点は、引用例2記載事項bなどに基づいて、当業者であれば、容易に想到することができたものである。

また、本願補正発明の奏する作用効果をみても、引用発明、引用例2記載事項a、b及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明、引用例2記載事項a、b及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであり、平成18年改正前特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成22年 1月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本願の平成21年10月 2日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである。
「ハウジングにおける電線の導出端部に、2つの半割体を筒状に合体させた形態の電線カバーを取り付け、前記ハウジングから導出した前記電線を電線カバーで包囲するようにしたコネクタであって、
一方の前記半割体には、前記ハウジングの電線の導出端部に設けられた取付部に係止可能な係止部が設けられ、かつ他方の前記半割体との合体状態においてこの他方の半割体側へ突出するとともに外面側への弾性撓みを可能とされたロック片が形成され、
前記他方の半割体の外面にはロック突起が形成されており、
前記一方の半割体が前記ハウジングに組み付けられたのち同ハウジングから導出された電線が前記一方の半割体に載置され、続いて前記他方の半割体が前記一方の半割体に対して合体され、
前記2つの半割体が合体される過程では、前記ロック片が外面側へ弾性撓みしつつ前記ロック突起に乗り上がり、前記2つの半割体が合体状態に至ると、前記ロック片が弾性復帰して前記ロック突起に係止することで、前記2つの半割体が合体状態にロックされるようになっているコネクタにおいて、 前記一方の半割体には、合体状態において前記他方の半割体側へ突出する形態であり、合体の過程において前記ロック片が前記ロック突起に当接するより前に前記他方の半割体の内面に当接可能な規制片が形成されていることを特徴とするコネクタ。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から「電線カバー」の限定事項である「この電線カバーは、」「(電線を)包囲し、かつ前記電線を前記ハウジングの軸線に沿って導出したのち側方に曲げて配索可能なように途中で屈曲された筒状をなすように形成された」との構成を省き、「電線」の限定事項である「途中で屈曲されつつ」との構成を省き、「規制片」の限定事項である「かつ前記規制片は、前記ロック片に対してその内側の面と対向するように配されているとともに、前記規制片と前記ロック片とは、前記一方の半割体における同一方の半割体に載置された電線の屈曲部分の外側に対応する位置に設けられて(いる)」との構成を省いたものである。

そうすると、本願発明の構成をすべて含み、さらに他の構成を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明、引用例記載事項a、b及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用例記載事項a、b及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2記載事項a、b及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

そうすると、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-04-27 
結審通知日 2011-05-10 
審決日 2011-05-23 
出願番号 特願2005-23197(P2005-23197)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
P 1 8・ 575- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 哲男  
特許庁審判長 岡本 昌直
特許庁審判官 冨岡 和人
稲垣 浩司
発明の名称 コネクタ及び電線カバー  
代理人 特許業務法人暁合同特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ