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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H04N
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  H04N
管理番号 1240166
審判番号 無効2010-800130  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-07-26 
確定日 2011-05-02 
事件の表示 上記当事者間の特許第3965462号発明「ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第一 経緯

1 本件特許
本件特許に係る経緯は、概要、以下のとおりである。
国際出願日 平成8年6月6日
(特願平09-501931号)
遡及出願日 平成7年6月7日
(パリ条約による優先権主張)
設定登録日 平成19年6月8日
(請求項の数:18、権利者:スターサイト・テ レキャスト・インコーポレーテッド)

別件無効審判:無効2008-800130号
審決確定日 平成22年3月11日
審決の要旨:訂正を認める。本件審判請求は、成り立たない。

2 本件請求
本件請求に係る経緯は、概要、以下のとおりである。
請求書 平成22年 7月26日
答弁書 平成22年11月 9日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成23年 2月17日
口頭審理陳述要領書(被請求人)平成23年 3月 3日
口頭審理 平成23年 3月10日

平成23年3月10日に行われた口頭審理において、審判請求人は、審判請求書の無効理由のうち甲第3号証に基づく無効理由2の主張を取下げ、被請求人は、これを承諾している。

第二 本件特許発明

本件特許に係る請求項1から請求項18までの発明(以下、各請求項に係る発明を請求項の番号を用いて「本件特許発明1」等という。)は、それぞれ、訂正後における明細書の特許請求の範囲の請求項1から請求項18に記載された下記のとおりのものである。


【請求項1】
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備えていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項2】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つに関係する情報を表示するスクリーンを有するデバイスを少なくとも1つ備えていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項3】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、前記ソフトウエアの更新情報を注文するための少なくとも1つの電話を購えており、前記ソフトウエアの更新情報の実装に必要なデータは、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つが前記電話を用いて注文された後に、前記受信装置にダウンロードされることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項4】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、該システムはさらに、セットトップ・ボックスを介して前記ソフトウエアの更新情報を注文する少なくとも1つの遠隔制御装置を備えており、前記ソフトウエアの更新情報の実装に必要なデータは、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つが前記遠隔制御装置を用いて注文された後に、前記受信装置にダウンロードされることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項5】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、ソフトウエアの修理に関する情報を含むことを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項6】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、赤外線(IR)コードを指定することを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項7】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記ソフトウエアの更新情報は、ピクチャ・イン・ピクチャの拡張、ピクチャ・イン・ピクチャ画面のチャネル識別子、表示されたチャネル識別子を有するグラフィック・ネットワークのロゴ及びアイコン、拡張されたデータ・サービス、株相場サービス、バーチャル・チャネル・サービス、ニュース・サービス、気象情報サービス、及びスポーツ・スコア・サービスの少なくとも1つに関する情報であることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項8】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記受信装置の各々は、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダとのいずれか1つからなることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項9】
請求項1記載のテレビジョン・システムにおいて、前記プロセッサは各々、ダウンロード可能な新規のソフトウエアの更新情報が利用可能となったときに、該ソフトウエアの更新情報を広告するためのアイコンを表示するように構成されていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項10】
請求項9記載のテレビジョン・システムにおいて、前記プロセッサは、ユーザによる新規のダウンロード可能なソフトウエアの更新情報に関連するデータの要求に応答して、該情報を受信するよう構成されていることを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項11】
ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、
前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる
ことを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項12】
ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、
複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、
前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、
前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データを記憶するよう構成されているメモリと、
前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、
前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている
ことを特徴とするテレビジョン・システム。
【請求項13】
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、前記ソフトウエアの更新情報は、ピクチャ・イン・ピクチャの拡張、ピクチャ・イン・ピクチャ画面のチャネル識別子、表示されたチャネル識別子を有するグラフィック・ネットワークのロゴ及びアイコン、拡張されたデータ・サービス、株相場サービス、バーチャル・チャネル・サービス、ニュース・サービス、気象情報サービス、及びスポーツ・スコア・サービスの少なくとも1つ用のソフトウエアの更新情報であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、前記受信装置の各々は、テレビジョンと、セットトップ・ボックスとのいずれか1つからなることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13記載の方法において、該方法はさらに、ダウンロード可能な新規のソフトウエアの更新情報が利用可能となったときに、該ソフトウエアの更新情報を広告するためのアイコンを表示するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13記載の方法において、該方法はさらに、ユーザによる新規のソフトウエアの更新情報に関する情報の要求に応答して、該情報を受信するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項18】
テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、
複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、
前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、
前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、
前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと
を含むことを特徴とする方法。

第三 当事者の主張

1 請求
(1)請求の趣旨
特許第3965462号発明の請求項1-18に係る発明についての特許を無効とする
審判費用は被請求人の負担とする
との審決を求める。

(2)請求の理由(概要)
本件特許発明1-18は、本件特許発明の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載の発明と同一であるので、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
また、本件特許発明1-18が、仮に甲第1号証と同一の発明でないとしても、甲第1号証から上記本件発明は容易に推考できるものであるから、本件特許発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(3)請求の理由の要点
(審判請求書)
ア 本件特許発明1
本件特許発明1と、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証とは、構成要件1A?1Fの全てにおいて一致し、相違するところはないから、本件特許発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(構成要件1Fについて)
(ア)甲第2号証には、メニュフォーマット情報は、セットトップ端末220のRAMやEPROMなどの一時メモリに記憶されるが、(加入者が)このメニュフォーマットの変更を望む際は、新たなメニュフォーマット情報が番組制御情報信号またはSTTCISを介してセットトップ端末220に送られることが記載されている(44頁6?15行(後記(k21))及び43頁13?16行(後記(k20)))。
(イ)上記したメニュフォーマットの変更を望むのは、加入者自身である。加入者がメニュフォーマットを変更する旨の意思表示は、ポーリング応答信号によって行う。このことは、49頁14?15行(後記(k26))に、指定されたセットトップ端末220からポーリング応答を(加入者が)命令するとの記載からも明らかである。
(ウ)ポーリングは、甲第5号証からも明らかなようにホストと端末の間で行われる通信の一態様であり、ポーリング通信によってデータの送受信が行われる。電話回線によってもセットトップ端末220とケーブルヘッドエンド208との間は通信が確保されている(44頁10?12行(後記(k21)))。
(エ)ポーリング時の信号フォーマットは、甲第2号証の図7aと図7bに詳述されている。そしてポーリング処理要求は、図7bおよび48頁28行?49頁3行(後記(k25))にそれぞれ示すように、ポーリング応答フォーマット中に用意されている情報フィールド932’を利用し、ここにシステム更新に関する情報を挿入して行われる(49頁15?17行(後記(k26)))。
(オ)ケーブルヘッドエンド208側から送信される図7a規定の信号フォーマットからなる。番組制御情報信号は、番組パッケージの内容の説明の他に、ケーブルヘッドエンド208および又はセットトップ端末220に送られるコマンドと、信号伝達に関係した他の情報を含むと共に(32頁18?22行(後記(k9)))、システム更新などのための再プログラミングはこの番組制御情報信号を用いて行われると記載されている(79頁16?26行(後記(k36)))。この一連のポーリング処理はマイクロプロセッサ602が担う(44頁6?15行(後記(k21)))。
(カ)番組制御情報信号の中にはセットトップ端末220を特定する識別子928が挿入されているので(68頁12?16行(後記(k29)))、識別子928によって特定されたセットトップ端末220内のマイクロプロセッサ602によって、RAMが再プログラムされて、セットトップ端末220のソフトウェアがアップグレード(更新)されることになる(79頁16?24行(後記(k36)))。
(キ)このように、甲第2号証には、セットトップ端末によってテレビなどが制御されるシステムが開示されると共に、メニュフォーマットの変更などを加入者が望む際には、加入者の指示に基づいてポーリング送信要求を行い、識別子928によって特定されたセットトップ端末220内におけるメニュフォーマットなどの変更処理を行うプロセッサ(構成要件1F)が開示されている。

イ 本件特許発明2
本件特許発明2に係る構成要件2Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成2Aaと一致し、相違するところはないから、本件特許発明2は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成2Aa:45頁8?19行、後記(k22)

ウ 本件特許発明3
本件特許発明3に係る構成要件3Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成3Aa?構成3Afと一致し、相違するところはないから、本件特許発明3は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成3Aa:37頁8?11行、後記(k13)
構成3Ab:48頁24?25行、後記(k25)
構成3Ac:請求項12、後記(k45)
構成3Ad:79頁5?8行、後記(k35)
構成3Ae:43頁13?16行、後記(k20)
構成3Af:46頁3?16行、後記(k23)

エ 本件特許発明4
本件特許発明4に係る構成要件4Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成4Aa?構成4Abと一致し、相違するところはないから、本件特許発明4は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成4Aa:75頁14?24行、後記(k34)
構成4Ab:79頁5?8行、後記(k35)

オ 本件特許発明5
本件特許発明5に係る構成要件5Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成5Aaと一致し、相違するところはないから、本件特許発明5は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成5Aa:37頁8?11行、後記(k13)

カ 本件特許発明6
本件特許発明6に係る構成要件6Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成6Aa?構成6Abと一致し、相違するところはないから、本件特許発明6は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成6Aa:94頁17?26行、後記(k41)
構成6Ab:48頁10?18行、後記(k24)

キ 本件特許発明7
本件特許発明7に係る構成要件7Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成7Aa?構成7Acと一致し、相違するところはないから、本件特許発明7は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成7Aa:24頁14?28行、後記(k4)
構成7Ab:52頁15?23行、後記(k27)
構成7Ac:53頁12?15行、後記(k28)

ク 本件特許発明8
本件特許発明8に係る構成要件8Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成8Aa?構成8Abと一致し、相違するところはないから、本件特許発明8は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成8Aa:28頁23行?29頁1行、後記(k6)
構成8Ab:96頁7?21行、後記(k44)

ケ 本件特許発明9
本件特許発明9に係る構成要件9Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成9Aa?構成9Aiと一致し、相違するところはないから、本件特許発明9は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成9Aa:71頁11?17行、後記(k32)
構成9Ab:71頁22?25行、後記(k33)
構成9Ac:84頁28行?85頁2行、後記(k37)
構成9Ad:85頁25?27行、後記(k38)
構成9Ae:70頁4?17行、後記(k31)
構成9Af:45頁8?13行、後記(k22)
構成9Ag:40頁26行?41頁3行、後記(k17)
構成9Ah:88頁26行?89頁13行、後記(k39)
構成9Ai:89頁14?24行、後記(k40)

コ 本件特許発明10
本件特許発明10に係る構成要件10Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成10Aa?構成10Adと一致し、相違するところはないから、本件特許発明10は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成10Aa:95頁4?8行、後記(k42)
構成10Ab:95頁21?23行、後記(k43)
構成10Ac:75頁20?24行、後記(k34)
構成10Ad:70頁4?17行、後記(k31)

サ 本件特許発明11
本件特許発明11と、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証とは、構成要件11A?11Fの全てにおいて一致し、相違するところはないから、本件特許発明11は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成11Fa:95頁4?8行、後記(k42)
構成11Fb:75頁20?24行、後記(k34)
構成11Fc:49頁14?15行、後記(k26)
構成11Fd:49頁15?17行、後記(k26)

シ 本件特許発明12
本件特許発明12と、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証とは、構成要件12A?12Fの全てにおいて一致し、相違するところはないから、本件特許発明12は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成12Fa:32頁18?22行、後記(k9)
構成12Fb:49頁9?11行、後記(k25)
構成12Fc:68頁12?16行、後記(k29)

ス 本件特許発明13
本件特許発明13と、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証とは、構成要件13A?13Eの全てにおいて一致し、相違するところはないから、本件特許発明13は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
(構成要件13Eについて)
構成要件13Eにあっては、特定された受信装置にソフトウェアの更新情報に関連したデータをダウンロードし、ユーザの指示があったときには前記データを用いてダウンロードしたソフトウエアに関する更新情報の1つを使用可能つまりイネーブルすることが要旨である。
この構成要件13Eに関しては、加入者の指示に応じてシステム更新に関する情報などを注文できる内容(95頁4?8行(後記(k42))、75頁20?24行(後記(k34)))をまず援用する。これに加えて、甲第2号証にはさらに以下のような記載がある。
まず、第1に、伝達される番組信号は加入者の家庭の装置が特定の番組を選択するためのメニュを表示することを可能にする情報が含まれると共に(42頁12?14行(後記(k18)))、加入者入力を受信するように適合された加入者インタフェースがあり(請求項42の前半部(後記(k47))、先の加入者入力をイネーブルするステップが記載されている(請求項42の後半部(後記(k47)))。このように加入者の選択によって特定のメニュ表示をイネーブルできることが記載されている。
第2に、セットトップコンバータとテレビディスプレーとの機能性を強化するハードウェアグレードの場合に(請求項15の前半部(後記(k46)))、デジタル音声番組の1つをイネーブルする手段が備えられていることが記載されている(請求項15の後半部(後記(k46)))。イネーブル手段を操作するのは加入者に他ならず、イネーブルするか否かは加入者の選択に委ねられていることが判る。
このように、甲第2号証には、特定された受信装置にソフトウェアの更新情報に関連したデータをダウンロードし、ユーザの指示があったときには前記データを用いてソフトウェアに関する更新情報の1つを使用可能つまりイネーブル状態にするステップの記載があるので、構成要件13Eは甲第2号証に開示されている。

セ 本件特許発明14
本件特許発明14に係る構成要件14Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成14Aa?構成14Acと一致し、相違するところはないから、本件特許発明14は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成14Aa:24頁14?28行、後記(k4)
構成14Ab:52頁15?23行、後記(k27)
構成14Ac:53頁12?15行、後記(k28)

ソ 本件特許発明15
本件特許発明15に係る構成要件15Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成15Aaと一致し、相違するところはないから、本件特許発明15は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成15Aa:28頁23行?29頁1行、後記(k6)

タ 本件特許発明16
本件特許発明16に係る構成要件16Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成16Aa?構成16Ahと一致し、相違するところはないから、本件特許発明16は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成16Aa:71頁11?17行、後記(k32)
構成16Ab:71頁22?25行、後記(k33)
構成16Ac:84頁28行?85頁2行、後記(k37)
構成16Ad:85頁25?27行、後記(k38)
構成16Ae:45頁8?19行、後記(k22)
構成16Af:40頁26行?41頁3行、後記(k17)
構成16Ag:88頁26行?89頁13行、後記(k39)
構成16Ah:89頁14?24行、後記(k40)

チ 本件特許発明17
本件特許発明17に係る構成要件17Aは、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証の構成17Aa?構成17Abと一致し、相違するところはないから、本件特許発明17は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成17Aa:95頁4?8行、後記(k42)
構成17Ab:95頁21?23行、後記(k43)

ツ 本件特許発明18
本件特許発明18と、甲第1号証の公表特許公報である甲第2号証とは、構成要件18A?18Eの全てにおいて一致し、相違するところはないから、本件特許発明18は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
構成18Ba:49頁9?11行、後記(k25)
構成18Bb:68頁12?16行、後記(k29)

テ 本件特許発明1-18が、仮に甲第1号証と同一の発明でないとしても、甲第1号証から上記本件発明は容易に推考できるものであるから、本件特許発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(陳述要領書)
ト (A)「1 前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」(構成要件1F、11E、12E)が、甲第1号証(訳文甲第2号証)に記載されているか、について

上記構成要件1F(構成要件11E、12Eは1Fと同一)をさらに分説すると、以下の4つの構成要素からなる。これら各構成要素と甲第2号証とを比較する。
1.「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを」
2.「実装すべき旨のユーザ指示に応答して、」
3.「前記データを用いて、」
4.「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」。

(ア)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つ」(構成要素1)について
甲第2号証の46頁17?18行には、
「各セットトップ端末220の基本的なプログラミングは、セットトップ端末220内のROMに配置されている。」と記載され、
同、79頁19?24行には、
「ROMの載っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブルヘッドエンド208はセットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができる。この能力によってケーブルヘッドエンド208は遠隔的にセットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができる。」(同、79頁16?24行)と記載されている。
これらの記載において、「セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードする」ために、「セットトップ端末220のRAMを再プログラムする」のに使用する情報は、「ソフトウェアの更新情報の1つ」(本件構成要素1.)に他ならない。よって、上記には本件構成要素1.である「ソフトウェアの更新情報の1つ」が開示されている。

(イ)「実装すべき旨のユーザ指示に応答して、」(構成要素2)について
甲第2号証には、「アップストリーム・データ送信は、既に図7a、図7bを参照して説明したポーリング・システムを用いて、特にデータ送信機344を用いて達成される。」(同、67頁25?27行)ので、ケーブルヘッドエンド208に対するデータ送信(アップストリームデータ送信)は、ポーリング・システムを用いて行われる。
このポーリング通信にあって、「P/Fビット930を使用して、指定されたセットトップ端末220からポーリング応答を命令(コマンド)する。」(同、49頁14?15行)場合には、加入者にそのポーリング応答結果を要求しているが、その一方で自動ポールバック(自動リポートバック)(同、第35頁10?11行)することが記載されている。
自動リポートバックは、「ネットワーク・コントローラ214に送られる情報は、各加入者のセットトップ端末220内のRAMに記憶され、ネットワーク・コントローラ214によるポーリングの際にだけ検索される。」(同、35頁14?17行)から、加入者からのポーリング応答を待つことなく(つまり加入者の介在なしに)、自動的にセットトップ端末2 2 0のRAMを検索して必要な記憶情報をリポートバックするように構成されている。
一方、特定の加入者に対するポーリング通信においては、セットトップ端末識別用の識別子928を有した図7aのフォーマット920からなる番組制御情報信号を使用することが 同、26頁11行および48頁19行以下に記載され、加入者側は図7bのフォーマット920’からなる信号を使用して、アップストリーム送信を行うことが記載されている。
このアップストリーム送信は、上述したように「指定されたセットトップ端末220からのポーリング応答」命令に対する返信としても利用され得るが、さらに甲第2号証には、その49頁15?17行にかけて、「応答フレーム・フォーマット920’は、またシステム更新に関する情報のような他のデータ通信に対する可変長の情報フィールド932’を提供する。」と記載されている。
「システム更新に関する情報」は、「セットトップ端末220のRAMを再プログラムする」(同、79頁 19?24行)情報に関連した情報であり、したがって、この「システム更新に関する情報」は、セットトップ端末220側から発信される情報である。換言するならば、「システム更新に関する情報」は、ケーブルヘッドエンド208から送られた再プログラム情報をセットトップ端末220側でダウンロードすること(あるいは実装すること)を確認するために、ケーブルヘッドエンド208側に返信する情報である。
ケーブルヘッドエンド208側からの「ポーリング応答の命令(コマンド)」は、「指定されたセットトップ端末220」に対してだけ行われるから、バグのように一斉送信に対する返信命令とは異なり、特定の加入者の意思確認を必要とする。したがってアップストリーム送信に使用される上記「システム更新」は、「P/Fビット930によって特定されたセットトップ端末220」を操作する加入者の意思が反映された返信命令である。
そして、甲第2号証69頁、2?7行には、「データ送信機344は、情報を、図7bを参照して説明したフレームの情報フィールドにおいて、ケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送る。当業者であれば、上述したハードウェアセットトップ端末220にハードウェア構成要素の複数の改変や組合せを用いて、アップストリーム・データ送信を達成できることを理解するであろう。」のように、情報フィールドを使用して、ネットワークコントローラ214側に情報を送ることが記載され、そのときのアップストリーム・データ送信は図11に示すように、加入者の入力338を受信するマイクロプロセッサ602がデータ送信機344に結合されたハードウェアを利用することが図示されている。
このように「ケーブルヘッドエンド208がセットトップ端末のRAMを再プログラムする」のは、ケーブルヘッドエンド208(センタ202)側の指示のみならず、特定のセットトップ端末220からの指示も含まれ、この指示は加入者の意思が反映されたものであるから、「システム更新」情報をアップストリーム送信する場合は、「実装すべき旨のユーザ指示」がなされていることに他ならない。

(ウ)「前記データを用いて」(構成要素3)について
当該構成要素の「前記データ」は、本件特許発明1における構成要件1Cの「受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含むデータ」のことである。
この識別子を含むデータについては、構成要素2.において援用したように、「このフレーム・フォーマット920は、・・・(4)ポーリング・コマンド/応答(またはP/F)ビット930を含むセットトップ端末の識別子928、(5)情報フィールド、・・・からなる。」(同、48頁21?27行)と記載されている。
送信要求を行う場合には、送信要求を行うセットトップ端末220を特定するために、そのセットトップ端末専用の識別子が使用されているので、甲第2号証には、本件構成要素3.「前記データを用いて」が開示されている。

(エ)「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の1つにおいて実装するプロセッサ」(構成要素4)について
まず受信装置およびプロセッサについては、甲第2号証の図4に記載され、44頁6?15行としても提示した通り、本件特許発明1における受信装置およびプロセッサと同じ構成が開示されている。
一方、同、68頁12?14行には、「個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、各セットトップ端末の特定のアドレス又はID(例えば、セットトップID928,928’)にしたがってデータ受信機332によって受信される。」ことが記載され、
同、68頁16?19行には、「データ受信機332は、図7aを参照して説明した番組制御情報信号フレームの情報フィールドにおいて、・・・セットトップ端末特定データを受信し得る。」ことが記載され、
同、68頁15?16行には、「・・・セットトップ端末220は、それ自身のデータだけを受信する。」ことが記載されている。また、
「紹介メニューは、ケーブルヘッドエンド208がその加入者の特定のセットトップ端末220に個人的なメッセージを送ったかどうかを、加入者に知らせることができる。」(同、41頁1?3行)ので、このメッセージを加入者が確認すれば、データ受信機332で受信したデータが自身向けのデータか否かを判断できる。
ここで、構成要件4.における「実装」の解釈について以下に述べる。
まず、本件特許公報の第11頁4行以下の記載によると、本件構成要素4.の「実装」とは、本来の「実装する(一般的に言うところのインプリメント)」ことの他に、単に「ダウンロードする」ことも含まれる広い概念であると解釈できる。
このように「実装する」概念が、一般的に言うところのインプリメントより広い概念として捉えていることは、本件特許公報第11頁41?45行に同様な記載があることからもうかがえる。
また、上記の記載に加えて、本件特許公報11頁29?33行の記載の記載によれば、注文すれば、データベースからの情報がダウンロードされることになるので、上記記載からは、また「ダウンロードする」ことは「注文する」ことと同義であるとも、示唆している。つまり、本件特許発明1では、「実装する」概念が 「ダウンロードする」ことのみならず、場合によっては「注文する」ことも含まれる広い概念であると解釈できる。
さて、甲第2号証の75頁20行には、「リモコン900は、注文ボタン354、「実行(ゴー)」ボタン358を含む‥・」と記載されている。
加入者が「実行ボタン358」を操作すれば、ケーブルヘッドエンド208(センタ202)側にアップストリーム送信することができ、加入者が何らかの「注文」操作を行って、「実行」操作をすれば、ケーブルヘッドエンド208側から何らかの情報を受け取ることができる。
加入者のこの「注文」操作および「実行」操作は、「ユーザからの指示」に相当することは明らかであるので、本件特許発明と同様に、この「注文」および「実行」操作は、注文した情報を「ダウンロードする」指示でもある。このことは、広い概念の本件特許発明1の「実装する」という記載に合致する。プロセッサとのリンクについては、前述の図11に、加入者の入力338を受信するマイクロプロセッサ602がデータ送信機344に結合されたハードウェアが図示されている。
したがって、甲第2号証には、「ユーザ指示に応答して」、「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の1つにおいて実装するプロセッサ」技術(本件構成要素4)が開示されている。

ナ (B)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」(構成要件13E、18E)が、甲第1号証(訳文:甲第2号証)に記載されているといえるか、について

本件特許発明13、18における構成要件13E、18E(18Eは13Eと同一)をさらに分説すると、本件構成要件13E(18E)は、以下の4つの構成要素からなる。
1.「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを」
2.「使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、」
3.「前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、」
4.「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」。

上記構成要素において、「構成要素1と3」は、本件特許発明1、11、12の構成要件1F、11E、12Eと同一であるので、説明は割愛する。また、「構成要素2と4」にあって、本件特許発明1、11、12の構成要件1F、11E、12Eと相違する点は、「使用可能にすべき旨」および「・・・使用可能にする」だけである。
ここで、「使用可能」は、本件特許公報第6頁で40行に記載されているように「イネーブル」と同じ意味である。
甲第2号証42頁12?13行には、「・・・伝達される番組信号は、加入者の家庭の装置が特定の番組を選択するためのメニューを表示することを可能にする情報を含む。」と記載され、番組信号の中にはメニュー表示を可能にする、すなわちイネーブルする情報が含まれていることが明らかである。
また、甲第2号証の請求項15には以下のように記載されている。
「15.ケーブルテレビ番組配送システムにおけるセットトップ・コンバータとテレビ・ディスプレイとの機能性を強化するハードウェア・アップグレードであって、
・・・
前記加入者の選択に基づいて聞くために前記デジタル音声番組の1つをイネーブルする手段と、
を備えていることを特徴とするハードウェア・アップグレード。」
この請求項15には、イネーブルする手段が開示されている。
同じく、請求項42は以下のように記載されている。
「42. セットトップ・コンバータの機能性を強化する方法であって、
・・・
前記加入者入力をイネーブルして聴取のために前記デジタル音声番組の1つを生じさせるステップと
を含むことを特徴とする方法。」
この請求項42にも、イネーブルする手段が開示されている。
したがって、上述した本件特許発明1、11、12に対する甲第2号証の開示内容の説明(援用)と、上記した「イネーブル」情報を含むことの記載、上記「イネーブル手段」および「イネーブルして・・・ステップ」との記載から明らかなように、甲第2号証には本件特許発明13、18の構成要素13E、18Eが開示されている。

ニ 審判事件答弁書に対する弁駁
本件特許発明1に対する無効理由1について
(ア)について(答弁書、3頁5行以下)
被請求人は答弁書3頁19?21行に「メニューフォーマットの変更を望むのは、加入者自身ではなく、ネットワーク・コントローラ214およびまたはオペレーションセンタ202であるというべきである。」と述べている。
しかし、新たなメニューフォーマット情報は、ネットワーク・コントローラ214(ケーブルヘッドエンド208)側より提供されるのは、その通りであるが、既述のバグのように一斉送信に対する返信命令とは異なり、ケーブルヘッドエンド208側からの「ポーリング応答の命令(コマンド)」は、「指定されたセットトップ端末220」に対してだけ行われるから、特定の加入者の意思確認を必要とする。
この場合は、提供された情報の変更を望むのは「加入者」であって、センタ側(ネットワーク・コントローラ214側)ではない。

(イ)について(同、3頁下から4行以下)
「ポーリング応答は、・・・ネットワーク・コントローラによって命令(コマンド)され」(同、4頁9?10行)、「P/Fビット930はネットワーク・コントローラ214からセットトップ端末220に送信される。」(同、14?15行)ことはその通りである。しかし、同、同頁17?19行に「セットトップ端末220からの応答を命令(コマンド)することが、加入者からのいかなる入力も伴わないことは明らかであり、」と述べているが、これは誤りである。
つまり、甲第2号証、第35頁10?11行に記載されている「自動ポールバック」、「ポーリングと自動リポートバック」のうち「自動ポールバック」あるいは「自動リポートバック」の場合のみ、「加入者からの如何なる入力も伴わない」のであって、それ以外の「ポーリング」の場合には、上記したように少なくともポーリング応答に対する命令を返信しなければならないので、「加入者からの入力」を必要とするからである。

(ウ)について(同、4頁下から3行以下)
答弁書、5頁8?9行にかけて「ポーリング機能が視聴者がどの番組を見たのかを探し出すための手段」として捉えているが、ポーリング機能の1つとして「自動リポートバック」があるのであって、それが全てではない。
甲第2号証、35頁11行には「ポーリングと自動リポートバックのサイクル」を規定しているだけで、甲第2号証の69頁、2?7行には、「データ送信機344は、情報を、図7bを参照して説明したフレームの情報フィールドにおいて、ケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送る。当業者であれば、上述したハードウェアセットトップ端末220のハードウェア構成要素の複数の改変や組合せを用いて、アップストリーム・データ送信を達成できることを理解するであろう。」のように、セットトップ端末220側から情報をケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送ることが記載されている。

(エ)について(同、5頁12行以下)
被請求人は、答弁書、6頁5?8行にかけて、「この可変長の情報フィールド932’が、ネットワーク・コントローラによってセットトップ端末に送信されるポーリング要求メッセージに応答して、何らかの情報をネットワーク・コントローラに提供するために用いられる」と述べていることはその通りであるが、答弁書5頁下から3行以下に、「セットトップ端末は、単に、ネットワーク・コントローラによって送信されるポーリング要求およびメッセージ情報に自動的に応答するだけである。」との主張は当を得ない。
それは、甲第2号証の69頁、2?7行には、「データ送信機344は、情報を、図7bを参照して説明したフレームの情報フィールドにおいて、ケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送る。当業者であれば、上述したハードウェアセットトップ端末220にハードウェア構成要素の複数の改変や組合せを用いて、アップストリーム・データ送信を達成できることを理解するであろう。」のように、セットトップ端末220側から情報をケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送ることが記載されているので 自動的に応答するだけではない。

(オ)について(同、6頁9行以下)
被請求人は、答弁書、7頁17?23行にかけて、「ポーリング(・・・)が、なぜ、上述した(i)および(ii)に関連しているのか、その理由が提供されていない。さらに、請求人はなぜ上述した(i)および(ii)が、(iii)のポーリング処理のステップであるのか、その理由を提供していない。・・・マイクロプロセッサ602を用いることは無関係である。」と述べている。
(i)の番組制御情報信号を用いて、情報をセットトップ端末に提供すること、および(ii)の番組制御情報信号を用いてソフトウェアをアップグレードすることは、その通りである。
しかし、上記の(i)および(ii)の処理が、(iii)の処理に関連していることは以下の記載から明らかである。
番組制御情報信号は、甲第2号証の32頁20?22行に、「この番組制御情報信号は、番組パッケージの内容の説明と、ケーブルヘッドエンド208および/又はセットトップ端末220に送られるコマンドと、信号伝達に関係した他の情報を含む。」と記載されている。
図7aはこの番組制御情報信号のフォーマットを示す(同、26頁11行)。図7aのフォーマットと対をなす図7bの信号フォーマットは、セットトップ端末からのポーリング応答のためのフレームフォーマットを示している(同、26頁12?13行)ので、ポーリングを利用して番組制御情報信号が送られ、この番組制御情報信号には、信号伝達に関連した他の情報も含まれること、図7bの情報フィールド932’には「システム更新に関する情報」が挿入され得ること(同、49頁、16?17行)が記載されているので、上記した(i)および(ii)の処理が、(iii)の処理に関連していることは明らかである。
また、「マイクロプロセッサ602を用いることは無関係である」と、主張するが、甲第2号証の図11およびその説明から明らかなように、アップストリーム・データ送信にはマイクロプロセッサ602が関与していることは明らかである。

(カ)について(同、8頁2行以下)
被請求人が、答弁書8頁、8?10行にかけて、「識別子928が番組制御情報信号の中に挿入されているという請求人の主張は、68頁12?16行(甲2)によってサポートされていない。」とする記述は、理解できない。
なぜなら、68頁12?16行(甲2)に記載されたセットトップID928,928’は、セットトップ端末220を識別する識別子そのものである。識別子928と同一の符号が付されていることからも明らかである。
答弁書8頁、11?12行には、「79頁16?24行(甲2)後半部は、セットトップ端末のソフトウェアをアップグレードするために識別子を用いることを述べていない。」と主張するが、特定のセットトップ端末に対する送信であることを識別するためには、甲第2号証49頁、9?11行に記載されているように、上記セットトップIDである識別子928が、「セットトップ端末を一意的に識別する」ために使用されていることは明らかである。
被請求人は、さらに答弁書8頁15?16行にかけて、「識別子をセットトップ端末220のソフトウェアをアップグレード(更新)するために用いると言う開示が依然として存在しない」と主張するが、そのポイントが間違っている。
識別子は、「セットトップ端末220のソフトウェアをアップグレードするために使用する」のではなく、セットトップ端末をー意的に識別するために使用され、端末識別用として供されるものである。その識別がなされた結果として、特定のセットトップ端末セットトップ端末220のソフトウェアをアップグレード(更新)がなされるものである。

(キ)について(同、8頁17行以下)
被請求人は、答弁書9頁2?3行にかけて、「セットトップ端末は、単純に、ネットワークコントローラによって送信されるポーリング要求メッセージに応答するだけである。」と主張するが、その主張は失当である。
甲第2号証、49頁15?17行には、「応答フレームフォーマット920’は、また、システム更新に関する情報‥・」と記載されているように、「応答フレームフォーマット920’は、また」と、「また」の文言を挿入した強調文となっている。つまり、この応答フレームフォーマットは、ポーリング応答に対する返信用として使用されるだけではなく、その他の情報通信にも使用され得ることが強調されている。その情報の一例として、図11に示す構成およびその説明を挙げる。

(4)証拠方法
甲第1号証:国際公開公報:WO94-13107号パンフレット
甲第2号証:甲第1号証の公表特許公報:特開平8-510869号
甲第3号証:国際公開公報:WO94-14284号パンフレット
甲第4号証:甲第3号証の公表特許公報:特開平8-506942号
甲第5号証:「IT用語辞典バイナリ(ポーリング)(平成22年7月13日検索)http://www.sophia-it.com/content/」
甲第6号証:「IT用語辞典バイナリ(識別子)(平成22年7月13日検索)http://www.sophia-it.com/content/」
甲第7号証:本件特許に係る訂正請求書(平成20年11月17日付け提出)の写し
甲第8号証:訂正請求書に添付された全文訂正明細書(平成20年11月17日付け提出)の写し
甲第9号証:特許第3965462号公報(本件特許の特許公報)

2 答弁
(1)答弁の趣旨
特許第3965462号の請求項1-18に係る発明についての特許を維持する、審判請求費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

(2)答弁の理由(概要)
審判請求書における審判請求人の主張は、いずれも失当である。本件特許発明に無効理由はない。

(3)答弁の理由の要点
(答弁書)
ア 本件特許発明1に対する無効理由について
甲第2号証は、少なくとも、構成要件1Fを開示していない。
請求人は、本件特許発明1と甲第2号証とが、構成要件1Fにおいて一致していることの根拠として、(ア)?(キ)を挙げている(審判請求書の第77頁?第78頁)。しかし、請求人の主張は正しくない。
(ア)上記(ア)について、請求人は、メニュフォーマットの変更を望むのは、加入者自身であると甲第2号証の開示を解釈している。しかし、この解釈は正しくない。甲第2号証は、メニュフォーマットの変更を望むのは、加入者自身であることを何ら開示していない。むしろ、ネットワーク・コントローラ(214)がセットトップ端末制御情報ストリーム(STTCIS)をセットトップ端末(220)に送信する場合には、番組制御信号は、オペレーションセンター(202)によってセットトップ端末(220)に送信される。甲第2号証には、この番組制御信号が、加入者によって影響を受けるという開示はどこにも存在しない。従って、メニュフォーマットの変更を望むのは、加入者自身ではなく、ネットワーク・コントローラ(214)および/またはオペレーションセンター(202)であるというべきである。

(イ)上記(イ)について、上記(ア)と同様に、メニュフォーマットの変更を望むのは、加入者自身であるという請求人の解釈は正しくない。甲第2号証は、メニュフォーマットの変更を望むのが加入者自身であることを何ら開示していないし、そのような加入者の望みをセットトップ端末またはネットワーク・コントローラに通信することができることも何ら開示していない。
また、48頁14?15行(甲2)は、「後述するように、P/Fビット930を使用して、指定されたセットトップ端末220から、ポーリング応答を命令(コマンド)する。」ことを記載しているにすぎない。
ネットワーク・コントローラ214が、P/Fビット930を有するポーリング要求メッセージをセットトップ端末220に送信することにより、セットトップ端末220からの応答を命令(コマンド)することが、加入者からのいかなる入力を伴わないことは明らかであり、加入者によって命令される(コマンド)されるわけでもないことは明らかである。従って、請求人による上記(イ)の主張は、甲第2号証の開示に基づかない不当な主張であるというべきである。

(ウ)ポーリングが、セットトップ端末220とネットワーク・コントローラ214との間で行われる通信の一態様であることはそのとおりであるが、このことは、構成要件1Fとは無関係である。甲第2号証の第48頁第19行?第21行の記載から、甲第2号証におけるポーリングの機能が、視聴者がどの番組を見たのかを探し出すための手段をネットワーク・コントローラに提供することであること、この機能が、ポーリング要求メッセージをセットトップ端末に送信することによって達成されることは明らかである。

(エ)「ポーリング要求は、・・・情報フィールド932’を利用し、」という請求人の主張は正しくない。情報フィールド932’は、ネットワーク・コントローラ214によって送信されるポーリング要求メッセージ920に応答してセットトップ端末220によってネットワーク・コントローラ214に送信される応答フレーム・フォーマット920’の一部であるからである。甲第2号証には、セットトップ端末がポーリングを要求するという開示は何ら存在しない。セットトップ端末は、単に、ネットワーク・コントローラによって送信されるポーリング要求メッセージに自動的に応答するだけである。
49頁15?17行(甲2)は、「応答フレーム・フォーマット920’ は、また、システム更新に関する情報のような他のデータ通信に対する可変長の情報フィールド932’を提供する。」ことを記載しているすぎない。この可変長の情報フィールド932’が、ネットワーク・コントローラによってセットトップ端末に送信されるポーリング要求メッセージに応答して、何らかの情報をネットワーク・コントローラに提供するために用いられることは明らかである。

(オ)32頁18?22行(甲2)は、「CAPは、番組をパッケージ化した後に、番組パッケージと共にケーブル・ヘッドエンド308及び/又はセットトップ端末220に伝達される番組制御情報信号を作成する。この番組制御情報信号は、番組パッケージの内容の説明と、ケーブルヘッドエンド208及び/又はセットトップ端末220に送られるコマンドと、情報伝達に関係した他の情報を含む。」ことを記載する。
79頁16?26行(甲2)は、「セットトップ端末220がその時点での内的な番組編成(プログラミング)及びアップグレード可能性をもってサポートするすべての特徴に加えて、セットトップ端末220の離間した再プログラミングを介して、付加的な特徴を加えたり、既存の特徴を増加させたりできる。 ROM上に乗っているオベレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットドップ端末220のRAMを再プログラムすることができる。この能力によって、ケーブル・ヘッドエンド208は、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができる。再プログラミング(再番組編成)は、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られる。」ことを記載する。
上述した32頁18?22行および79頁16?26行(甲2)の記載は、マイクロプロセッサ602が、この一連のポーリング処理を担うという請求人の主張に対するサポートを提供しない。
(i)32頁18?22行(甲2)は、番組制御情報信号を用いて、異なるタイプの情報をセットトップ端末に提供するオペレーションセンター202の機能に言及している。(ii)79頁16?26行(甲2)は、番組制御情報信号を用いて、セットトップ端末上のソフトウェアを遠隔的にアップグレードするケーブル・ヘッドエンドの機能に言及している。(iii)ポーリング処理は、ポーリング要求メッセージと応答メッセージとを用いて、セットトップ端末と通信を行うネットワーク・コントローラによって実行される機能である。
請求人は、ポーリング処理(すなわち、ポーリング要求メッセージと応答メッセージとを用いて、セットトップ端末と通信を行うネットワーク・コントローラによって実行される処理)が、なぜ、上述した(i)および(ii)に関連しているのか、その理由を提供していない。さらに、請求人は、なぜ、上述した(i)および(ii)が、(iii)のポーリング処理のステップであるのか、その理由を提供していない。(セットトップ端末220の一部である)マイクロプロセッサ602を用いることは、無関係である。
甲第2号証の記載から、上述した(i)、(ii)、(iii)の間にリンクが存在しないことは明らかである。従って、請求人による上記(オ)の主張は、甲第2号証の開示に基づかない不当な主張であるというべきである。

(カ)セットトップ識別子(ID)928は、ポーリング要求メッセージの一部である(このことは、甲第2号証の図7aに明確に示されている)。従って、識別子928が番組制御情報信号の中に挿入されているという請求人の主張は、68頁12?16行(甲2)によってサポートされていない。
79頁16?24行(甲2)後半部は、セットトップ端末のソフトウェアをアップグレードするために識別子を用いることを述べていない。
それ故、仮に、識別子928が番組制御情報信号の中に挿入されていたとしても(被請求人がそのことを自認するわけではないが)、甲第2号証には、そのような識別子をセットトップ端末220のソフトウェアをアップグレード(更新)するために用いるという開示が依然として存在しないというべきである。

(キ)甲第2号証のどこにも、ポーリングが、ソフトウェア更新またはメニュ更新の際に行われるという開示は存在しない。加えて、セットトップ端末は、ポーリング送信要求を実行しない。セットトップ端末は、単純に、ネットワーク・コントローラによって送信されるポーリング要求メッセージに応答するだけである。甲第2号証のどこにも、メニュフォーマヅト等の変更したい旨の希望をユーザがセットトップ端末に表明するという開示は存在しない。すなわち、甲第2号証のどこにも、メニュフォーマットを変更するという要求を加入者がセットトップ端末に入力するという開示は存在しない。
それ故、仮に、ポーリングが、何らかの態様で、ソフトウェア更新またはメニュ更新に関連しているとしても(被請求人がそのことを自認するわけではないが)、甲第2号証には、このことが、「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して」行われるという開示が依然として存在しないというべきである。

イ 本件特許発明2?10に対する無効理由について
本件特許発明2?10のそれぞれは、本件特許発明1に従属する。従って、本件特許発明1について上述した理由と少なくとも同一の理由から、本件特許発明2?10に対する無効理由1は存在しないというべきである。

ウ 本件特許発明11に対する無効理由について
本件特許発明1について上述した議論と同様の議論は、本件特許発明11についてもあてはまる。すなわち、甲第2号証は、少なくとも、構成要件11Eを開示していない。少なくとも以上の理由から、本件特許発明11に対する無効理由1は存在しないというべきである。

エ 本件特許発明12に対する無効理由について
本件特許発明1について上述した議論と同様の議論は、本件特許発明12についてもあてはまる。すなわち、甲第2号証は、少なくとも、構成要件12Eを開示していない。少なくとも以上の理由から、本件特許発明12に対する無効理由1は存在しないというべきである。

オ 本件特許発明13に対する無効理由について
本件特許発明1について上述した議論と同様の議論は、本件特許発明13についてもあてはまる。すなわち、甲第2号証は、少なくとも、構成要件13Eを開示していない。少なくとも以上の理由から、本件特許発明13に対する無効理由1は存在しないというべきである。

カ 本件特許発明14?17に対する無効理由について
本件特許発明14?17のそれぞれは、本件特許発明13に従属する。従って、本件特許発明13について上述した理由と少なくとも同一の理由から、本件特許発明14?17に対する無効理由1は存在しないというべきである。

キ 本件特許発明18に対する無効理由について
本件特許発明1について上述した議論と同様の議論は、本件特許発明18についてもあてはまる。すなわち、甲第2号証は、少なくとも、構成要件18Eを開示していない。少なくとも以上の理由から、本件特許発明18に対する無効理由1は存在しないというべきである。

(陳述要領書)
ク (A)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」(構成要件1F、11E、12E)が、甲第1号証(訳文:甲第2号証)に記載されているといえるか、について

請求人は、構成要件1Fをさらに分節しているが、このような分節に基づく請求人の主張は、全く論理的でない。
被請求人は、構成要件1Fが甲第2号証に記載されていることを論理的に説明するのなら、以下のように説明することが適切であると思料する。

1’「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」が、甲第2号証に記載されているか。
2’「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」が、甲第2号証に記載されているか。
3’「前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」ことが、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」に応答して起こることが、甲第2号証に記載されているか。

上記1’について、請求人の主張が論理的に不十分であることは明らかである。なぜなら、請求人は、甲第2号証の「セットトップ端末220上のソフトウエアをアップグレードする」ために、「セットトップ端末220のRAMを再プログラムする」ことを構成要件1Fの「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つ」を「実装する」ことに対応づけているようであるが(請求人の口頭審理陳述要領書の第2頁)、請求人は、甲第2号証のどの情報が構成要件1Fの「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つ」に相当すると主張しているのか不明であるし、甲第2号証のどの指示が「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」に相当すると主張しているのかも不明であるからである。

請求人は、ポーリング要求に対するポーリング応答として、セットトップ端末220からケーブルヘッドエンド208に返信される「システム更新に関する情報」が、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」に相当すると主張しているようである。なぜなら、請求人は、「システム更新に関する情報」は、「セットトップ端末220のRAMを再プログラムする」情報に関連した情報であると主張しているからである(請求人の口頭審理陳述要領書の第2頁)。しかしながら、甲第2号証のどこにも、「システム更新に関する情報」をセットトップ端末220からケープルヘッドエンド208に返信することと、「セットトップ端末220のRAMを再プログラムする」との因果関係は記載されていない。従って、「システム更新に関する情報」が、「セットトップ端末220のRAMを再プログラムする」旨の指示であるとはいえないというべきである。

さらに、「システム更新に関する情報」が「ユーザ指示」にあたるともいえない。この点について、請求人は、「システム更新に関する情報」が、加入者の意思が反映された返信命令であると主張しているようである。その根拠として、読求人は、(i)ポーリング応答である「システム更新に関する情報」が、(すべてのセットトップ端末220からの返信ではなく)「指定されたセットトップ端末220」だけからの返信であること、(ii)甲第2号証の図11に「加入者の入力338」が示されていることを主張しているようである(請求人の口頭審理陳述要領書の第3頁?第4頁)。被請求人は、何故、これらの(i)、(ii)が、「システム更新に関する情報」が加入者の意思が反映された返信命令であるという主張の根拠になり得るのかを全く理解することができない。なぜなら、上記(i)は、ポーリング応答を行うセットトップ端末220をすべてのセットトップ端末220ではなく、指定されたセットトップ端末220に限定するという意味であって、セットトップ端末220からの返信に加入者の意思を反映させることとは無関係であるし、上記(ii)は、「加入者の入力338」がセットトップ端末220からの「システム更新に関する情報」の返信に反映されているのか全く不明だからである。

上記2’について、請求人の主張が論理的に不十分であることは明らかである。なぜなら、請求人は、構成要件1Fの「前記データ」が「ソフトウエア更新情報」に関連するデータでなければならない点を見落としていることに加えて、「フレーム・フォーマット920」を有するどのデータが、構成要件1Fの「前記データ」に相当するのかを明らかにしていないし、「フレーム・フォーマット920」を有するデータを用いて「セットトップ端末220のRAMを再プログラムする」ことが甲第2号証のどこに記載されているかも明らかにしていないからである。

上記3’について、請求人の主張が論理的に不十分であることは明らかである。被講求人は、請求人の口頭審理陳述要領書のどこで、上記3’に対応する事項が主張されているのかを正確に理解することができない。

請求人は、甲第2号証の75頁20行の「リモコン900は、注文ボタン354、「実行(ゴー)」ボタン358を含む・・・」という記載を引用して、加入者のこの「注文」操作および「実行」操作が、「ユーザからの指示」に相当する旨を主張する(講求人の口頭審理陳述要領書の第8頁)。しかしながら、この請求人の主張は、上述した「システム更新に開する情報」が「ユーザ指示」に相当する旨の講求人の主張と矛盾するものである。よって、被請求人は、請求人の主張を正確に理解することができない。また、加入者の「注文」操作および「実行」操作は、何を注文し、何を実行するものなのか全く不明であるから、このような加入者の「注文」操作および「実行」操作が、何故、構成要件1Fの「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示」に相当するといえるのか全く不明である。

以上の理由から、請求人の主張は失当であるというべきである。

ケ (B)「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップ」(構成要件13E、18E)が、甲第1号証(訳文:甲第2号証)に記載されているといえるか、について

請求人は、甲第2号証には、「イネーブルする情報」、「イネーブルする手段」が記載されていることを根拠に、甲第2号証には構成要件13E、18Eが開示されている旨を主張する(請求人の口頭審理陳述要領書の第9頁?第10頁)。被請求人は、請求人の主張の論理を全く理解することができない。なぜなら、構成要件13E、18Eは、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つ」を使用可能にすることを必要とするところ、甲第2号証に記載されている「イネーブル情報」は、「メニューを表示することを可能にする情報」であり、甲第2号証の請求項15に記載されている「イネーブル手段」は、「前記デジタル音声番組の1つをイネーブルする手段」であり、甲第2号証の請求項42に記載されている「イネーブル手段」は、「前記加入者入力をイネーブルする手段」であるからである。請求人は、甲第2号証のどこに「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つ」をイネーブルすることが記載されているのか明らかにしていない。
以上の理由から、請求人の主張は失当であるというべきである。

コ 審判事件答弁書に対する弁駁について
本件特許発明1に対する無効理由1について
(ア)について(答弁書、3頁5行以下)
請求人は、ケーブルヘッドエンド208側からの「ポーリング応答の命令(コマンド)」は、「指定されたセットトップ端末220」に対してだけ行われるから、特定の加入者の意思確認を必要とすると主張する(請求人の口頭審理陳述要領書の第11頁)。被請求人は、何故、ケーブルヘッドエンド208側からの「ポーリング応答の命令(コマンド)」が「指定されたセットトップ端末220」に対してだけ行われることが、特定の加入者の意思確認を必要とするという主張の根拠になり得るのかを全く理解することができない。なぜなら、ポーリング応答を行うセットトップ端末220をすべてのセットトップ端末220ではなく、指定されたセットトップ端末220に限定することと、セットトップ端末220からのボーリング応答に加入者の意思確認が必要であることとは無関係だからである。甲第2号証のどこにも、セットトップ端末220からのポーリング応答に加入者の意思確認を反映させるという開示は存在しない。以上の理由から、請求人の主張は失当であるというべきである。

(イ)について(同、3頁下から4行以下)
請求人は、「自動ポールバック」あるいは「自動リポートパック」の場合のみ、「加入者からの如何なる入力も伴わない」のであって、それ以外の「ポーリング」の場合には、上記したように少なくともポーリング応答に対する命令を返信しなければならないので、「加入者からの入力」を必要とすると主張する(請求人の口頭審理陳述要領書の第12頁)。しかし、請求人の主張は誤りである。そもそも、甲第2号証の第35頁の10行?11行に記載されている「ポーリングと自動リポートバック」は、ポーリング要求とポーリング応答を指しているにすぎず、ポーリング応答に自動で行われるものと自動で行われないものの2種類があることを示しているのではない。甲第2号証は、ポーリング応答が自動で行われることを開示しているにすぎない(自動で行われるポーリング応答が、「自動ポールバック」あるいは「自動リポートパック」である)。上述したように、甲第2号証のどこにも、セットトップ端末220からのポーリング応答に加入者の意思確認を反映させるという開示は存在しない。以上の理由から、請求人の主張は失当であるというべきである。

(ウ)について(同、4頁下から3行以下)
請求人の主張は、「ポーリングと自動リポートバック」の誤った解釈に基づくものであるから、失当である。
また、甲第2号証の69頁の2行?7行には、ポーリング応答ではない情報をセットトップ端末220からケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送ることが記載されている旨を主張する(請求人のロ頭審理陳述要領書の第12頁?第13頁)。しかし、請求人の主張は誤りである。なぜなら、請求人が引用する甲第2号証の69頁の2行?7行の「データ送信機344は、情報を、図7bを参照して説明したフレームの情報フィールドにおいて、ケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送る。当業者であれば、上述したハードウェアセットトップ端末220のハードウェア構成要素の複数の改変や組合わせを用いて、アップストリーム・データ送信を達成できることを理解するであろう。」という記載は、図7bに示されるフレーム・フォーマットを用いてポーリング応答を返信する(すなわち、アップストリーム・データ送信を達成する)ためのハードウェア構成として様々な構成を採用することが可能である旨を説明したものだからである。すなわち、甲第2号証の69頁の2行?7行に記載されていることは、「ポーリング応答」をセットトップ端末220からケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送ることであって、「ポーリング応答」ではない情報をセットトップ端末220からケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送ることではない。このように、請求人の主張は、甲第2号証の69頁の2行?7行の記載の誤った解釈に基づくものであるから、失当である。

(エ)について(同、5頁12行以下)
請求人は、甲第2号証の69頁の2行?7行には、ポーリング応答として自動的に応答するばかりではなく、自動的に応答しない情報をセットトップ端末220からケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送ることが記載されている旨を主張する(請求人の口頭審理陳述要領書の第13頁)。しかし、請求人の主張は誤りである。なぜなら、請求人が引用する甲第2号証の69頁の2行?7行の「データ送信機344は、情報を、図7bを参照して説明したフレームの情報フィールドにおいて、ケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送る。当業者であれば、上述したハードウェアセットトップ端末220のハードウェア構成要素の複数の改変や組合わせを用いて、アップストリーム・データ送信を達成できることを理解するであろう。」という記載は、図7bに示されるフレーム・フォーマットを用いてポーリング応答を返信する(すなわち、アップストリーム・データ送信を達成する)ためのハードウェア構成として様々な構成を採用することが可能である旨を説明したものだからである。すなわち、甲第2号証の69頁の2行?7行に記載されていることは、「ポーリング応答」をセットトップ端末220からケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送ることであって、「ポーリング応答」として自動的に応答するばかりではなく、自動的に応答しない情報をセットトップ端末220からケーブルヘッドエンド208又はネットワークコントローラ214に送ることではない。このように、請求人の主張は、甲第2号証の69頁の2行?17行の記載の誤った解釈に基づくものであるから、失当である。

(オ)について(同、6頁9行以下)
被請求人は、請求人の主張を正確に理解することができない。従って、請求人の主張は、依然として、不明なままである。

(カ)について(同、8頁2行以下)
請求人は、被請求人の「識別子928が番組制御信号の中に挿入されているという請求人の主張は、68頁12?16行(甲2)によってサポートされていない。」という主張が理解できない旨を主張し、その根拠として、68頁12?16行(甲2)に記載されたセットトップID928、928’がセットトップ端末220を織別する識別子そのものであることを挙げている(請求人のロ頭審理陳述要領書の第14頁)。しかし、請求人の主張は誤りである。なぜなら、識別子928がセットトップ端末220を識別する識別子であるからといって、識別子928が番組制御信号の中に挿入されていることにはならないからである。従って、請求人の主張は失当である。

(キ)について(同、8頁17行以下)
請求人は、甲第2号証の49頁の15行?17行には、「応答フレーム・フォーマット920’は、また、システム更新に関する情報・・・」と記載されているから、この応答フレームフォーマットが、ポーリング応答に対する返信用として使用されるだけではなく、その他の情報通信にも使用され得ることが強調されていると主張する(請求人のロ頭審理陳述要領書の第15頁)。しかし、請求人の主張は誤りである。なぜなら、請求人が引用する甲第2号証の49頁の15行?17行に記載されていることは、応答フレーム・フォーマット920’の情報フィールド932’がシステム更新に関する情報のような他のデータ通信のために使用され得るということであって、応答フレーム・フォーマット920’がポーリング応答以外の用途でも使用され得るということではないからである。このように、請求人の主張は、甲第2号証の49頁の15行?17行の記載の誤った解釈に基づくものであるから、失当である。

第四 当審の判断

1 本件特許発明1
(1)分説
本件特許発明1を分説すると次のとおりである(以下、分説の記号を用いて、それぞれの構成要件を「構成要件1A」等という。)。

1A ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、

1B 複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置と、

1C 前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、

1D 前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、

1E 前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、

1F 前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと

1A を備えていることを特徴とするテレビジョン・システム。

(2)新規性
ア 甲第1号証の記載
〈産業上の分野〉
(k1)「The invention relates to television entertainment systems for providing television programming to consumer homes. More particularly, the invention relates to a set top terminal for use with a program delivery system with menu selection of programs.」(p.1 l.28-32)
「本願発明は、消費者宅にテレビ番組を提供するテレビ娯楽(エンターテイメント)システムに関する。特に、本願発明は、番組のメニュ選択の際に番組配送システムと共に用いるためのセットトップ端末に関する。」(甲第2号証(甲第1号証の公表特許公報)20頁24?26行)

〈本発明の背景〉
(k2)「More recently, technology has provided cable users in certain parts of the country with 100 channels of programming. This increased program capacity is beyond the ability of many consumers to use effectively. No method of managing the program choices has been provided to consumers.」(p.2 l.12-16)
「更に近くは、科学技術によって、米国のある地域では、ケーブル・ユーザに100チャンネルもの番組が提供されている。このように増加した番組量では、多くの消費者にとっては、効率的な使用は不可能である。番組の選択肢を管理する方法は、従来、消費者に与えられてきていない。」(21頁6?10行)

(k3)「TV consumers wish to go from limited viewing choices to a variety of choices, from no control of programming to complete control. Consumers wish to advance from cumbersome and inconvenient television to easy and convenient television and keep costs down. Consumers do not wish to pay for one hundred channels when due to lack of programming information, they seldom, if ever, watch programming on many of these channels.
The concepts of interactive television, high definition television and 300 channel cable systems in consumer homes will not sell if they are not packaged, delivered and presented in a useable fashion to consumers. The problem is that TV programming is not being delivered and presented to consumers in a user friendly manner.」(p.3 l.6-19)
「テレビの消費者は、制限された視聴選択から種々の選択への転換を、すなわち、番組編成(programming)をコントロールできない状態から、番組編成を完全にコントロールできる状態への転換を望んでいる。消費者は、扱いにくく不便なテレビから、容易で便利なテレビへの進歩を望むと共に、低コストを保つことを望む。消費者は、100ものチャンネルに対する料金に関し、番組編成に関する情報が欠如しているが故にこれらのチャンネルの多くをほとんど見ない場合には、支払いを望まない。
消費者宅における、対話型テレビ、高品位テレビ及び300ものチャンネルを有するケーブル・システムというコンセプトも、消費者にとって使用可能な態様で組み合わされ提供され示されなければ、売り物にならない。問題は、テレビの番組編成が、ユーザーフレンドリーな態様で消費者に提示されてはいない点にある。」(21頁26行?22頁9行)

〈本発明の概要〉
(k4)「The present invention is a set top converter box or terminal for a television program delivery system. More specifically, the present invention is an advanced set top converter box that acts as a terminal in the viewer home. The set top terminal is a key component of a digital cable television delivery system. The set top terminal is an upgradeable system that provides for the decompression of digital program signals. The preferred set top terminal provides both a menu generation capability as well as a number of advanced features and functional capabilities.
The set top terminal of the present invention may be achieved through a set of hardware upgrades to any of the following embodiments: (1) an existing set top converter upgraded with a circuit card (which has a microprocessor electronically connected to the set top converter); (2) an industry standard decompression converter upgradeable by either an upgrade module or a menu generation card; and (3) a set top converter box capable of both decompression and menu generation. The hardware upgrades provide additional advanced features and functional capabilities to any of these embodiments.
A number of advanced features and functional capabilities are supported by the preferred set top terminal. This set top terminal provides subscribers with a picture-on-picture capability without requiring a special television to support the capability. The set top terminal also supports a TV guide service, which provides subscribers with information on all programming available at its particular subscriber location. The set top terminal further includes the capability of querying viewers to establish, among other things, favorite channel lists, personal profile data and mood information. The set top terminal allows the subscriber to view promotional menus on future programming events.
The set top terminal supports additional capabilities using its hardware upgrades that allow subscribers to use other interactive services, for example, to engage in on-line question and answer sessions, to order and confirm airline tickets, and to access a variety of other data services. The set top terminal makes use of a digital tuner as a hardware upgrade to provide subscribers with a digital audio capability.」(p.5 l.15-p.6 l.21)
「本発明は、テレビ番組配送システムのためのセットトップ・コンバータ・ボックス又は端末である。更に詳しくは、本発明は、視聴者の家庭での端末として機能する改良(拡張)型のセットトップ・コンバータ・ボックスである。セットトップ端末は、デジタル・ケーブルテレビ配送システムのキーになる構成要素である。セットトップ端末は、デジタル番組信号の圧縮解除を与えるアップグレード可能なシステムである。好適なセットトップ端末は、複数の進んだ特徴に加えて、メニュ発生能力や機能上の能力を有している。
本発明のセットトップ端末は、以下の実施例の中の任意のものへのハードウェア・アップグレードの組を介して達成され得る。すなわち、(1)回路カードでアップグレードされた既存のセットトップ・コンバータ(これには、マイクロプロセッサが電子的に接続されている)、(2)アップグレード・モジュール又はメニュ発生カードによってアップグレード可能な工業標準の圧縮解除コンバータ、(3)圧縮解除とメニュ発生の両方が可能なセットトップ・コンバータ・ボックス、である。ハードウェア・アップグレードは、これらの実施例の任意のものに付加的な改良型の特徴と機能上の能力とを提供する。
複数の改良型の特徴と機能上の能力とが、好適なセットトップ端末によってサポートされる。このセットトップ端末は、加入者に、特別のテレビでその能力をサポートすることを要せずにピクチャ・オン・ピクチャ能力を提供する。このセットトップ端末は、また、テレビ・ガイド・サービスをサポートし、これによって、加入者は、その特定の加入者の地域で利用可能なすべての番組に関する情報を得る。このセットトップ端末は、更に、視聴者に質問をして、好みの番組のリスト、個人的プロフィール・データ、ムード情報などを確立する機能も有している。このセットトップ端末によれば、加入者は、将来の番組イベントに関するプロモーショナル・メニュを見ることも可能になる。
このセットトップ端末は、加入者が、オンラインでの質疑応答セッションに参加したり、航空券を注文したり確認したり、種々の他のデータ・サービスにアクセスしたりする他の対話型サービスを使用することを可能にするハードウェア・アップグレードを用いての付加的な能力をサポートする。このセットトップ端末は、デジタル・テューナをハードウェア・アップグレードとして利用し、加入者に、デジタル音声能力を提供する。」(23頁27行?24頁28行)

〈好適実施例の詳細な説明〉
〈A.テレビ番組配送システムの説明〉
〈1.イントロダクション〉
(k5)「Figure 1 shows the present invention as part of an expanded cable television program delivery system 200 that dramatically increases programming capacity using compressed transmission of television program signals.」(p.10 l.5-8)
「図1は、拡張されたケーブルテレビ番組配送システム200の一部として、本願発明を示す。このシステム200は、圧縮されたテレビ番組信号の圧縮された送信を用いることによって、番組編成能力を劇的に増加させる。」(27頁22?24行)

〈2.システムの主要な構成要素〉
(k6)「The program delivery system 200 transports the digital signals to the cable headend 208 where the signals are transmitted through a concatenated cable television system 210. Within the cable headend 208, the received signals may be decoded, demultiplexed, managed by a local central distribution and switching mechanism, combined and then transmitted to the set top terminal 220 located in each subscriber's home over the cable system 210.」(p.11 l.9-16)
「番組配送システム200は、デジタル信号をケーブルヘッドエンド208に伝送し、そこで、信号は連結されたケーブルテレビ・システム210を介して送信される。ケーブル・ヘッドエンド208内では、受信した信号は、復号され、デマルチプレクスされ、ローカルな中央分散及びスイッチング機構によって管理され、合成され、そして、ケーブル・システム210上を各加入者の家庭に置かれているセットトップ端末220に送信される。」(28頁23行?29頁1行)

〈3.オペレーション・センタとデジタル圧縮システム〉
(k7)「The operations center 202 performs two primary services, packaging television programs and generating the program control information signal.」(p.13 l.14-16)
「オペレーション・センタ202は、2つの主要なサービス、すなわちテレビ番組のパッケージングと番組制御情報信号の発生とを行う。」(30頁20?21行)

(k8)「The packaging of the digital signals is typically performed at the operations center 202 by computer assisted packaging equipment (CAP).」(p.14 l.8-10)
「デジタル信号のパッケージ化(パッケージング)は、典型的には、オペレーション・センタ202で、コンピュータ援助パッケージング装置(CAP)によって行われる。」(31頁12?14行)

(k9)「After the CAP packages the programs, it creates a program control information signal to be delivered with the program package to the cable headend 208 and/or set top terminal 220. The program control information signal contains a description of the contents of the program package, commands to be sent to the cable headend 208 and/or set top terminal 220, and other information relevant to the signal transmission.」(p.15 l.20-27)
「CAPは、番組をパッケージ化した後に、番組パッケージと共にケーブル・ヘッドエンド208及び/又はセットトップ端末220に伝達される番組制御情報信号を作成する。この番組制御情報信号は、番組パッケージの内容の説明と、ケーブル・ヘッドエンド208及び/又はセットトップ端末220に送られるコマンドと、信号伝達に関係した他の情報を含む。」(32頁18?22行)

〈4.ケーブル・ヘッドエンド〉
(k10)「As an intermediary between the set top terminals 220 and the operations center 202 (or other remote site), the cable headend 208 performs two primary functions. First, the cable headend 208 acts as a distribution center, or signal processor, by relaying the program signal to the set top terminal 220 in each subscriber's home. In addition, the cable headend 208 acts as a network controller 214 by receiving information from each set top terminal 220 and passing such information on to an information gathering site such as the operations center 202.」(p.17 l.9-18)
「セットトップ端末220とオペレーション・センタ202(あるいは他の離間した場所)との間の中継として、ケーブル・ヘッドエンド208は、2つの主要な機能を果たす。第1に、ケーブル・ヘッドエンド208は、番組信号を各加入者宅のセットトップ端末220に中継することによって、分配センタとして又は信号プロセッサとして働く。更に、ケーブル・ヘッドエンド208は、各セットトップ端末220からの情報を受信し、その情報をオペレーション・センタなどの情報収集サイトに送ることによって、ネットワーク・コントローラ214として機能する。」(33頁28行?34頁7行)

(k11)「As a network controller 214, the cable headend 208 performs the system control functions for the system. The primary function of the network controller 214 is to manage the configuration of the set top terminals 220 and process signals received from the set top terminals 220. In the preferred embodiment, the network controller 214 monitors, among other things, automatic poll-back responses from the set top terminals 220 remotely located at each subscribers' home. The polling and automatic report-back cycle occurs frequently enough to allow the network controller 214 to maintain accurate account and billing information as well as monitor authorized channel access. In the simplest embodiment, information to be sent to the network controller 214 will be stored in RAM within each subscriber's set top terminal 220 and will be retrieved only upon polling by the network controller 214. Retrieval may, for example, occur on a daily, weekly or monthly basis. The network controller 214 allows the system to maintain complete information on all programs watched using a particular set top terminal 220.
The network controller 214 is also able to respond to the immediate needs of a set top terminal 220 by modifying a program control information signal received from the operations center 202.」(p.18 l.20-p.19 l.11)
「ネットワーク・コントローラ214としては、ケーブル・ヘッドエンド208は、このシステムに対し、システム制御機能を行う。ネットワーク・コントローラ214の主要な機能は、複数のセットトップ端末220の構成とセットトップ端末220から受け取ったプロセス信号とを管理することである。この好適実施例では、ネットワーク・コントローラ214は、数ある中で、各加入者宅に遠隔的に配置されたセットトップ端末220からの自動ポールバック(poll-back)応答をモニタする。ポーリングと自動リポートバック(report-back)とのサイクルは、ネットワーク・コントローラ214が、モニタが認めたチャンネル・アクセスに加えて計算及び料金請求に関する正確な情報を維持できる程度の頻度で生じる。最も単純な実施例では、ネットワーク・コントローラ214に送られる情報は、各加入者のセットトップ端末220内のRAMに記憶され、ネットワーク・コントローラ214によるポーリングの際にだけ検索される。検索は、例えば、毎日、毎週、又は毎月、行われ得る。ネットワーク・コントローラ214によって、システムが、特定のセットトップ端末220を用いて監視されている全ての番組に関する完全な情報を維持することができる。
ネットワーク・コントローラ214は、また、オペレーション・センタ202から受信した番組制御情報信号を修正することによって、セットトップ端末220の当面のニーズに応答できる。」(35頁5?22行)

〈5.セットトップ端末〉
(k12)「The set top terminal 220 is the portion of the delivery system 200 that resides in the home of a subscriber. The set top terminal 220 is usually located above or below the subscriber's television, but it may be placed anywhere in or near the subscriber's home as long as it is within the range of the subscriber's remote control device 900.」(p.20 l.11-16)
「セットトップ端末220は、加入者の家庭にある番組配送システム200の一部である。セットトップ端末220は、通常は、加入者のテレビの上方又は下方に配置されるが、加入者のリモコン装置900の範囲内にあるかぎり、加入者宅の中あるいは加入者宅の近くの任意の場所に、置くことができる。」(36頁20?23行)

(k13)「Also, the set top terminal 220 contains a phone jack which can be used for maintenance, trouble shooting, reprogramming and additional customer features.」(p.21 l.1-4)
「また、セットトップ端末220は、メンテナンス、トラブル・シューティング、再プログラミング、及び付加的な顧客のための特徴(customer features)のために使用され得る電話ジャックを含む。」(37頁8?11行)

(k14)「After processing certain signals received from the cable headend 208, the set top terminal 220 is able to store menu templates for creating menus that are displayed on a subscriber's television by using an array of menu templates. Before a menu can be constructed, menu templates must be created and sent to the set top terminal 220 for storage. A microprocessor uses the control signals received from the operations center 202 or cable headend 208 to generate the menu templates for storage. Each menu template may be stored in volatile memory in the set top terminal 220. When the set top terminal receives template information it demultiplexes the program control signals received from the cable headend 208 into four primary parts: video, graphics, program logic and text. Each menu template represents a different portion of a whole menu, such as a menu background, television logo, cursor highlight overlay, or other miscellaneous components needed to build a menu. The menu templates may be deleted or altered using control signals received from the operations center 202 or cable headend 208.」(p.21 l.18-p.22 l.5)
「ケーブル・ヘッドエンド208から受け取った信号を処理した後で、セットトップ端末220は、メニュ・テンプレートのアレーを用いることによって加入者のテレビ上に表示されるメニュを作成するためのメニュ・テンプレートを記憶することができる。メニュが構成される前に、メニュ・テンプレートを作成し、記憶させるためにセットトップ端末220に送らなければならない。マイクロプロセッサが、オペレーション・センタ202あるいはケーブル・ヘッドエンド208から受け取った制御信号を使用して、記憶用のメニュテンプレートを発生する。各メニュ・テンプレートは、セットトップ端末220内の揮発性メモリに記憶され得る。セットトップ端末は、テンプレート情報を受信した際に、ケーブル・ヘッドエンド208から受け取った番組制御信号を、4つの主要部分、すなわちビデオ、グラフィックス、プログラム・ロジック、テキストにデマルチプレクスする。各メニュ・テンプレートは、メニュ背景、テレビのロゴ、カーソル・ハイライト・オーバレイ、メニュを作成するのに必要な種々雑多な構成要素などの、メニュ全体の中の異なった部分を表す。オペレーション・センタ202又はケーブル・ヘッドエンド208から受け取った制御信号を用いて、メニュ・テンプレートを削除したり変更したりすることもできる。」(37頁21行?38頁8行)

(k15)「Once the menu templates have been stored in memory, the set top terminal 220 can generate the appropriate menus. In the preferred embodiment, the basic menu format information is stored in memory located within the set top terminal 220 so that the microprocessor may locally access the information from the set top terminal instead of from an incoming signal. The microprocessor next generates the appropriate menus from the menu templates and the other menu information stored in memory. The set top terminal 220 then displays specific menus on the subscriber's television screen that correspond to the inputs the subscriber selects.」(p.22 l.6-17)
「メニュ・テンプレートがメモリに記憶されると、セットトップ端末220は、適当なメニュを発生することができる。この好適実施例では、基本的なメニュ・フォーマット情報はセットトップ端末220内に配置されたメモリに記憶され、それによって、マイクロプロセッサは、入力信号からではなく、セットトップ端末からの情報に局所的にアクセスできる。マイクロプロセッサは、次に、メニュ・テンプレートとメモリに記憶された他のメニュ情報とから、適当なメニュを発生させる。そして、セットトップ端末220は、加入者が選択した入力に対応する特定のメニュを、加入者のテレビ・スクリーン上に表示する。」(38頁9?16行)

(k16)「Also, optional upgrades are available to enhance the performance of a subscriber's set top terminal 220. These upgrades may consist of a cartridge or computer card (not shown) that is inserted into an expansion slot in the set top terminal 220 or may consist of a feature offered by the cable headend 208 or operations center 202 to which the user may subscribe. Available upgrades may include on line data base services, interactive multi-media services, access to digital radio channels, and other services.」(p.23 l.10-17)
「また、加入者のセットトップ端末220の性能を高めるグレードアップを、オプションで利用できる。これらのグレードアップは、セットトップ端末220に設けた拡張スロット内に挿入されるカートリッジ又はコンピュータカード(図示せず)から構成されるか、又は、ケーブル・ヘッドエンド208又はそのユーザが加入しているオペレーション・センタ202によって提供される特徴から構成され得る。利用できるグレードアップは、オンラインでのデータベース・サービス、対話型マルチメディア・サービス、デジタル・ラジオ・チャンネルへのアクセスなどを含み得る。」(39頁8?15行)

(k17)「Immediately after the subscriber turns on the set top terminal 220, the Introductory menu welcomes the subscriber to the system. The Introductory menu may display important announcements from the local cable franchise, advertisements from the cable provider, or other types of messages. In addition, the Introductory menu can inform the subscriber if the cable headend 208 has sent a personal message to the subscriber's particular set top terminal 220.」(p.25 l.1-8)
「加入者がセットトップ端末220をオンするとすぐに、紹介メニュが加入者をシステムに歓迎する。紹介メニュには、その地域のケーブル・フランチャイズからの重要な発表、ケーブル提供者からの広告、又は他のタイプのメッセージを表示し得る。更に、紹介メニュは、ケーブル・ヘッドエンド208がその加入者の特定のセットトップ端末220に個人的なメッセージを送ったかどうかを、加入者に知らせることができる。」(40頁26行?41頁3行)

〈B.セットトップ端末の詳細な説明〉
(k18)「It is preferred that the signal reaches the subscriber's home in a compressed format and is decompressed prior to viewing. Included in the delivered program signal is information that enables equipment at the subscriber's home to display menus for choosing particular programs.」(p.27 l.1-5)
「信号は圧縮されたフォーマットで加入者の家庭に送られ、視聴前に圧縮解除されることが好ましい。伝達される番組信号は、加入者の家庭の装置が特定の番組を選択するためのメニュを表示することを可能にする情報を含む。」(42頁12?14行)

(k19)「The program control information signal is generated by the operations center 202 and provides the network controller 214 with data on the scheduling and description of programs. In an alternate configuration, this data is sent directly to the set top terminal 220 for display to the subscriber. In the preferred embodiment, the program control information signal is stored and modified by the network controller 214 and sent to the set top terminal 220 in the form of a set top terminal control information stream (STTCIS). The set top terminal 220 integrates either the program control information signal or the STTCIS with data stored in the memory of the set top terminal 220 to generate on-screen menus that assist the subscriber in choosing programs for display.」(p.27 l.11-24)
「番組制御情報信号は、オペレーション・センタ202によって発生され、番組のスケジュールや説明に関するデータをネットワーク・コントローラ214に提供する。別の構成では、このデータは、セットトップ端末220に直接送られ、加入者に表示される。この好適実施例では、番組制御情報信号は、ネットワーク・コントローラ214によって記憶され修正され、セットトップ端末制御情報ストリーム(STTCIS)の形式で、セットトップ端末220に送られる。セットトップ端末220は、番組制御情報信号やSTTCISをセットトップ端末220のメモリに記憶されたデータと統合し、表示させる番組を選択する際に加入者を援助するオンスクリーン・メニュを発生する。」(42頁18?27行)

(k20)「In the preferred embodiment, the menu format information is stored at the set top terminal 220 in a temporary memory device such as a RAM or EPROM. New menu format information is sent via the program control information signal or the STTCIS to the set top terminals 200 whenever a change to a menu format is desired.」(p.28 l.13-19)
「この好適実施例では、メニュ・フォーマット情報は、セットトップ端末220において、RAMやEPROMなどの一時メモリに記憶されている。メニュ・フォーマットの変更を望む際は常に、新たなメニュ・フォーマット情報が、番組制御情報信号又はSTTCISを介して、セットトップ端末220に送られる。」(43頁13?16行)

(k21)「Figure 4 shows the basic hardware components of the set top terminal 220. The set top terminal 220 has a tuner 603, digital demodulator 606, decryptor 600, and demultiplexers 609, 616 as well as audio equipment 612 and a remote control interface 626 for receiving and processing signals from the remote control unit 900. An optional modem 627 allows communication between a microprocessor 602 and the cable headend 208. An NTSC encoder 625 provides a standard NTSC video output.
The microprocessor 602 is capable of executing program instructions stored in memory.」(p.29 l.8-18)
「図4は、セットトップ端末220の基本的なハードウェア構成要素を示している。セットトップ端末220は、オーディオ装置612とリモコン装置900からの信号を受信し処理するリモート・コントロール・インターフェース626とに加え、チューナ603と、デジタル復調器606と、解読器600と、デマルチプレクサ609、616と、を有する。オプションのモデム627によって、マイクロプロセッサ602とケーブル・ヘッドエンド208との間での通信が可能になる。NTSCエンコーダ625は、標準的なNTSCビデオ出力を提供する。
マイクロプロセッサ602は、メモリに記憶された番組命令(インストラクション)を実行する能力を有する。」(44頁6?15行)

(k22)「Figure 5a shows the front panel of the set top terminal 220, which includes an infrared sensor 630 and a series of LED displays 640. The LED displays 640 may indicate with an icon or a letter (e.g. A-K) the major menu currently selected by the set top terminal 220 or the channels selected directly by a user, or menu channel selections (e.g., from 1 to 50) . Further displays may include current channel, time, volume level, sleep time, parental lock (security), account balance, use of a hardware upgrade, second channel being recorded by VCR, use of the Level D music hardware upgrade in a separate room, and any other displays useful to a subscriber to indicate the current status of the set top terminal 220. The LEDs 640 may also provide an indication of the digital audio channel currently tuned.」(p.30 l.17-30)
「図5aにはセットトップ端末220のフロント・パネルが示され、そこには、赤外線センサ630と、一連のLEDディスプレイ640とが備わっている。LEDディスプレイ640は、アイコンや文字(例えば、A?K)によって、セットトップ端末220により現に選択されている主メニュや、ユーザにより直接選択されたチャンネルや、メニュ・チャンネル選択(例えば、1から50)を表示することができる。更に、表示には、現在のチャンネル、時間、ボリューム・レベル、スリープ・タイム、パレンタルロック(セキュリティ)、アカウント・バランス、ハードウェア・アップグレードの使用、VCRによって記録されている第2のチャンネル、別の部屋でのレベルDの音楽ハードウェアのアップグレードの使用など、セットトップ端末220の現在のステータスを表示し加入者に役立つその他の表示を含めることができる。LED640は、また、現在つけられているデジタル・オーディオ・チャンネルを表示することもできる。」(45頁8?19行)

(k23)「Figure 5b shows the back of the set top terminal 220, which includes a pair of output terminals 650, pair of input terminals 652, pair of stereo/audio output terminals 654, satellite dish input port 656, telephone jack 658 and an RS-422 port 660. In addition, an upgrade port 662 and a cover plate 664 are held in place by a series of sheet metal screws. One of the output terminals 650 is for a television and the other is for a VCR. The set top terminal 220 is equipped to handle incoming signals on one or two cables using the input terminals 652. The phone jack 658 and an RS-232 or RS- 422 port 660 are provided for maintenance, trouble shooting, reprogramming and additional customer features. In alternate embodiments, the telephone jack 658 may be used as the primary mode of communication between the cable headend 208 and the set top terminal 220. This connection is possible through the local telephone, cellular telephone or a personal communications network (PCN).
The basic programming of each set top terminal 220 is located on ROM within the set top terminal 220.」(p.31 l.11-29)
「図5bは、セットトップ端末220の背部を示している。その背部には、一対の出力端子650、一対の入力端子652、一対のステレオ/オーディオ(音声)出力端子654、衛星ディッシュ入力ポート656、電話ジャック658、及びRS-422ポート660が設けられている。更に、アップグレード・ポート662とカバー・プレート664とが、一連のシート状金属スクリューによって適所に保持されている。出力端子650の一方はテレビ用であり、他方はVCR用である。セットトップ端末220は、入力端子652を用いて、1つ又は2つのケーブル上の入力信号を扱えるように装備されている。電話ジャック658と、RS-232又はRS-422ポート660とが、メンテナンス、トラブル・シューティング、再プログラム(再編成)、などの顧客のための特徴のために提供されている。別の実施例では、電話ジャック658を、ケーブル・ヘッドエンド208とセットトップ端末220との間の通信の基本モードとして、使用することができる。この接続は、その地域の電話、セルラー電話、パーソナル通信ネットワーク(PCN)などによって可能である。
各セットトップ端末220の基本的なプログラミングは、セットトップ端末220内のROMに配置されている。」(46頁3?18行)

(k24)「The logic circuitry 708 of the Turbo Card 700 receives data, infrared commands, and synchronization signals from the set top converter. Menu selections made by the viewer on the remote control 900 are received by the set top converter's IR equipment and passed through to the Turbo Card 700. The Turbo Card 700 interprets the IR signal and determines the program (or menu) the viewer has selected. The Turbo Card 700 modifies the IR command to send the program selection information to the set top converter 221. The modified IR command contains the channel information needed by the set top converter. Using the phone line and dialer 716, the Turbo Card 700 is able to transmit program access information to the cable headend 208.」(p.33 l.25-p.34 l.6)
「ターボカード700の論理回路708は、セットトップ・コンバータから、データ、赤外線コマンド、及び同期信号を受信する。視聴者がリモコン900上で行うメニュの選択は、セットトップ・コンバータのIR装置によって受信され、ターボカード700に送られる。ターボカード700は、IR信号を解釈し、視聴者が選択した番組(又はメニュ)を判断する。ターボカード700は、IRコマンドを修正し、番組選択情報をセットトップ・コンバータ221に送る。修正されたIRコマンドは、セットトップ・コンバータが必要とするチャンネル情報を含む。電話回線及びダイヤル装置716を使用して、ターボカード700は、番組アクセス情報をケーブル・ヘッドエンド208に送信することができる。」(48頁10?18行)

(k25)「In the preferred embodiment, program access information, that is what programs the viewer watched, is stored at each set top terminal 220 until it is polled by the network controller 214 using a polling request message format as shown in Figure 7a. This frame format 920 consists of six fields, namely: (1) a leading flag 922 at the beginning of the message, (2) an address field 924, (3) a subscriber region designation 926, (4) a set top terminal identifier 928 that includes a polling command/response (or P/F) bit 930, (5) an information field 932, and (6) a trailing flag 934 at the end of the message. Figure 7b shows a response frame format 920' (similar to the frame format 920 end, therefore, commonly numbered with the frame depicted in Figure 7a, but with the prime indicator added for clarity) for information communicated by the set top terminal 220 to the network controller 214 in response to the polling request of Figure 7a.
The eight-bit flag sequence 922 that appears at the beginning and end of a frame is used to establish and maintain synchronization. Such a sequence typically consists of a "01111110" bit-stream. The address field 924 designates a 4-bit address for a given set top terminal 220. The subscriber region designation 926 is a 4-bit field that indicates the geographical region in which the subscriber's set top terminal 220 is housed. The set top terminal identifier 928 is a 16-bit field that uniquely identifies each set top terminal 220 with a 15-bit designation followed by an appended P/F bit 930.」(p.34 l.7-p.35 l.1)
「この好適実施例では、番組アクセス情報は、図7aに示したようなポーリング要求メッセージ・フォーマットを使用してネットワーク・コントローラ214によってポーリングされるまで、各セットトップ端末220に記憶される。このフレーム・フォーマット920は、(1)メッセージの最初の先頭(リーディング)フラグ922、(2)アドレス・フィールド924、(3)加入者の地域指定926、(4)ポーリング・コマンド/応答(又はP/F)ビット930を含むセットトップ端末の識別子928、(5)情報フィールド932、(6)メッセージの最後の追跡(トレーリング)フラグ934、という6つのフィールドから成る。図7bは、図7aのポーリング要求に応答してセットトップ端末220がネットワーク・コントローラ214に通信する情報に対する、(フレーム・フォーマット920と類似し、よって、明確にするために最後にプライム(’)を付してある点で異なるが図7aに示したフレームと共通の参照番号が付されている)応答フレーム・フォーマット920’を示す。
1つのフレームの最初と最後とに現れる8ビットのフラグ・シーケンス922を用いて、同期をとり維持する。そのようなシークェンスは、典型的には、「01111110」というビット・ストリームから成る。アドレス・フィールド924は、与えられたセットトップ端末220に対し、4ビットのアドレスを指定する。加入者領域指定926は、加入者のセットトップ端末220がある地理的な地域を示す4ビットのフィールドである。セットトップ端末の識別子928は、付加されたP/Fビット930が続く15ビットの指定によって各セットトップ端末220を一意的に識別する16ビットのフィールドである。」(48頁19行?49頁13行)

(k26)「The P/F bit 930 is used to command a polling response from the set top terminal 220 addressed, as described below. The response frame format 920' also provides a variable-length information field 932' for other data transmissions, such as information on system updates.」(p.35 l.4-8)
「後述するように、P/Fビット930を使用して、指定されたセットトップ端末220から、ポーリング応答を命令(コマンド)する。応答フレーム・フォーマット920’は、また、システム更新に関する情報のような他のデータ通信に対する可変長の情報フィールド932’を提供する。」(49頁14?17行)

(k27)「The set top terminal 220 generates and creates menus using, in part, information stored in its graphics memory. A background graphics file 800 will store menu backgrounds and a logo graphics file will store any necessary logos. A menu display and cursor graphics file will store menu display blocks and cursor highlight overlays as well as any other miscellaneous files needed to build the menus. Using this method of storing menus, the menus can be changed by reprogramming the graphics memory of the set top terminal 220 through instructions from either the network controller 214 or operations center 202.」(p.38 l.23-p.39 l.2)
「セットトップ端末220は、グラフィックメモリーに記憶されている情報を部分的に使用して、メニュを発生し作成する。バックグラウンドグラフィックファイル800はメニュのバックグラウンドを記憶しており、ロゴ(logo)グラフィックファイルは任意の必要なロゴを記憶している。メニュ表示及びカーソルグラフィックファイルは、メニュ作成に必要な種々雑多なファイルと共に、メニュ表示ブロックとカーソルハイライトオーバーレイを記憶している。メニュ記憶方法を使用し、ネットワーク・コントロールセンタ214やオペレーション・センタ202からの指示を通してセットトップ端末220のグラフィックメモリーを再プログラムするこによりメニュを変えることができる。」(52頁15?23行)

(k28)「In the preferred embodiment, a graphics controller is used to assist the set top terminal 220 in generating menus. Menu generation by the set top terminal 220 begins with the building of a major menu screen, which includes background graphics for that major menu. The background graphics may include an upper sash across the top of the screen and a lower sash across the bottom of the screen. The background graphics may be generated from the background graphics file 800 in the memory files of the graphics memory (preferablyEEPROM). In addition, logo graphics may be generated. Such graphics typically include an icon window, a cable company logo, a channel company logo, and two "go" buttons.」(p.39 l.12-23)
「好ましい実施例において、グラフィックコントローラは、メニュを作成する際に、セットトップ端末220を援助するために使用される。セットトップ端末220によるメニュ作成は、主要メニュスクリーンの作成から始まる。主要メニュスクリーンは、前記主要メニュのためのバックグラウンドグラフィックを備えている。バックグラウンドグラフィックは、スクリーンの頂部を横切る上部サッシ(sash)と、スクリーンの底部を横切る下部サッシ(sash)とを備えている。バックグラウンドグラフィックは、グラフィックメモリ(好ましくはEEPROM)のメモリファイルのバックグラウンドグラフィックファイル800から、出力させることができる。さらに、ロゴグラフィックも出力させることができる。そのようなグラフィックは、典型的に、アイコンウインドウと、ケーブルカンパニーロゴと、チャンネルカンパニーロゴと、2つの「実行」ボタンとを備えている。」(53頁4?15行)

〈C.改良型セットトップ端末の詳細な説明〉
〈2.改良型セットトップ端末の主な構成要素及びアップグレード〉
〈b.アップストリーム・データ送信ハードウェア〉
(k29)「Data targeted to individual set top terminals 220 is received by the data receiver 332 according to each set top terminal's specific address or ID (e.g. set top ID 928, 928'). In this way, each addressable set top terminal 220 only receives its own data. The data receiver 332 may receive set top terminal specific data in the information field of the program control information signal frame described with reference to Figure 7a or on a separate data carrier located at a convenient frequency in the incoming spectrum.」(p.51 l.8-16)
「個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、各セットトップ端末の特定のアドレス又はID(たとえば、セットトップID928、928’)に従ってデータ受信機332によって受信される。このようにして、それぞれのアドレス付加可能(アドレサブル)なセットトップ端末220は、それ自身のデータだけを受信する。データ受信機332は、図7aを参照して説明した番組制御情報信号フレームの情報フィールドにおいて、又は、入力スペクトル内の便宜的な周波数に位置する別個のデータ・キャリア上で、セットトップ端末特定データを受信し得る。」(68頁12?16行)

〈c.ハードウェア・アップグレード〉
(k30)「Figure 12a diagrams the basic components of the Level A, B and C hardware upgrades, indicated generally at 100. The figure diagrams the interaction between the hardware upgrades 100 and the set top terminal's 220 basic components.」(p.52 l.18-22)
「図12aには、レベルA、B、及びCのハードウェア・アップグレードの基本的な構成要素を図解し、参照番号100を付した。この図では、ハードウェア・アップグレード100とセットトップ端末220の基本的な構成要素との間の相互作用を図解している。」(69頁16?20行)

(k31)「Along with their basic components, the Level A, B and C hardware upgrades 100 each use their own interactive software 106. This software may be used to provide the enhanced functional capabilities described below. The Level A, B and C hardware upgrades also make use of processing circuitry 108, which allows the set top terminal 220 to pass the subscriber's interactive input to the Level A, B and C hardware upgrades 100 for interpretation. These commands are passed through the interface linking the set top terminal's microprocessor with the microprocessor of the Level A, B and C hardware upgrades 100. In this way, subscriber inputs, entered through the set top terminal keypad or remote control, can be transferred to any of the hardware upgrades for processing and responses generated therein can then be sent back to the set top terminal 220 for display. In the preferred embodiment the IR commands are transferred from set top terminal to hardware upgrade.」(p.53 l.6-22)
「それぞれの基本的な構成要素と共に、レベルA、B、及びCのハードウェア・アップグレードは、それぞれがそれ自体の対話型ソフトウェア106を用いる。このソフトウェアを用いることにより、以下で述べる強化された機能上の能力が提供される。また、レベルA、B、及びCのハードウェア・アップグレードは、処理回路108を用い、これによって、セットトップ端末220が加入者の会話型の入力を解釈のためにレベルA、B、及びCのハードウェア・アップグレード100に与えることが可能になる。これらのコマンドは、セットトップ端末のマイクロプロセッサとレベルA、B、及びCのハードウェア・アップグレード100のマイクロプロセッサとをリンクさせるインターフェースを介して与えられる。このようにして、セットトップ端末のキーパッド又はリモコンを介して入力される加入者の入力は、処理のためにハードウェア・アップグレードの任意のものに転送されることができて、その内部で発生された応答が、次に、表示のためにセットトップ端末220に送り戻される。この好適実施例では、IRコマンドがセットトップ端末からハードウェア・アップグレードに転送される。」(70頁4?17行)

(k32)「The Level B interactive unit provides the user with access to online data base services for applications such as home shopping, airline reservations, news, financial services, classified advertising, home banking, and interactive teletext services. For example, with this upgrade, a user will be able to reserve plane tickets or buy consumer electronics. The primary feature of this upgrade unit is that it allows actual transactions using two-way communications over modem with outside services.」(p.54 l.16-24)
「レベルBの対話型ユニットは、ユーザに、ホーム・ショッピング、航空券の予約、ニュース、金融サービス、分野別広告、ホーム・バンキング、対話型のテレテキスト(teletext)サービスなどの、オンラインのデータベース・サービスへのアクセスを提供する。たとえば、このアップグレードによって、ユーザは、航空券を予約したり日常の電気製品を購入したりできる。このアップグレード・ユニットの主たる特徴は、これによれば、モデム上での往復の通信を用いて外部的なサービスとの実際の取引が可能になるということである。」(71頁11?17行)

(k33)「The Level C interactive unit employs a high volume local storage capacity, including compact disc or other random access digital data formats (e.g., CD-ROM 122). This unit allows use of interactive multi-media applications. Such applications include, for example, computer games, multi-media educational software, encyclopedias, other reference volumes (e.g. Shakespeare library), etc.」(p.54 l.28-p.55 l.2)
「レベルCの対話型ユニットは、コンパクト・ディスク又はそれ以外のランダムアクセス・デジタル・データ・フォーマット(たとえば、CD-ROM122)などの大容量のローカルな記憶能力を有する。このユニットによれば、対話型のマルチメディアを応用したものを用いることが可能になる。この応用には、たとえば、コンピュータ・ゲーム、マルチメディア教育用ソフトウェア、百科事典、そのほかの参考図書(シェークスピア図書館など)が含まれる。」(71頁20?25行)

〈3.リモコン及びセットトップ端末への加入者のアクセス〉
(k34)「The subscriber can access programs televised by the system through the set top terminal 220 using a remote control 900. Figure 13a shows a two-section remote control 900 that accommodates such access. To reduce costs and make the set top terminal 220 as user friendly as possible, a standard television remote control 350, such as a Jerrold RC 650 remote control or the like, may be augmented by adding a new section 352 that provides the additional digital menu access and ordering functions. Figure 13a depicts the addition of menu access and cursor movement control to the remote control 900.
The remote control 900 has an ordering button 354 and four-way cursor movement 356 that includes a "go" button 358 and menu access buttons 360. The preferred remote control 900 operates using infrared (IR) signals, with the signals being received by the infrared (IR) sensor 630 on the front of the set top terminal 220.」(p.59 l.4-20)
「加入者は、リモコン900を用いセットトップ端末220を介して、システムによってテレビ画像化された番組にアクセスできる。図13aは、そのようなアクセスを与える2つの部分から成るリモコン900を示している。コストを下げセットトップ端末220を可能な限りユーザーフレンドリーにするために、ジェロルドRC650リモコンなどのような標準的なテレビ用リモコン350は、付加的なデジタル・メニュ・アクセスと注文機能を与える新たな部分352を加えることにより拡大される。図13aは、リモコン900へのメニュ・アクセスとカーソル移動制御の付加を図解している。
リモコン900は、注文ボタン354、「実行(ゴー)」ボタン358を含む4つの方向へのカーソル移動356、及びメニュ・アクセス・ボタン360を含む。好適なリモコン900は、赤外線(IR)信号を用いて動作し、その際に、信号はセットトップ端末220の全面にある赤外線センサ630によって受信される。」(75頁12?24行)

〈4.改良された特徴及び機能上の能力〉
〈a.概観〉
(k35)「The set top terminal 220 supports additional capabilities using its hardware upgrades that allow subscribers to use other interactive services, for example, to engage in on-line question and answer sessions, to order and confirm airline tickets, and to access a variety of other data services.」(p.63 l.24-31)
「セットトップ端末220は、加入者が、たとえば、オンラインの質疑応答セッションに参加したり、航空券を注文し確認したり、種々のそれ以外のデータ・サービスにアクセスするなどの他の対話型のサービスを用いることを可能にするハードウェア・アップグレードを用いることにより、更なる能力をサポートする。」(79頁5?8行)

(k36)「In addition to all the features that the set top terminal 220 supports with its current internal programming and upgradeability, additional features may be added or existing features increased through remote reprogramming of the set top terminal 220. Utilizing the resident operating system on the read only memory (ROM), the cable headend 208 is able to reprogram the random access memory (RAM) of the set top terminal 220. With this capability, the cable headend 208 can remotely upgrade software on the set top terminals 220.
Reprogramming will occur by using the program control information signal, with the appropriate signals sent over this signal.」(p.64 l.8-19)
「セットトップ端末220がその現時点での内的な番組編成(プログラミング)及びアップグレード可能性をもってサポートするすべての特徴に加えて、セットトップ端末220の離間した再プログラミングを介して、付加的な特徴を加えたり、既存の特徴を増加させたりできる。ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができる。この能力によって、ケーブル・ヘッドエンド208は、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができる。
再プログラミング(再番組編成)は、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られる。」(79頁16?26行)

〈d.視聴者への質問〉
(k37)「Any demographic information which will assist the set top terminal 220 in targeting advertisements to the viewer or suggesting programs may be used.」(p.70 l.21-24)
「広告を視聴者にターゲットを合わせる又は番組を提案する際にセットトップ端末220を助けることになる任意の人口学的な情報が用いられ得る。」(84頁28行?85頁2行)

(k38)「The personal profile information may also be used in targeting advertisements. In the preferred embodiment, the network controller 214 can target specific advertisements to individual cable distribution network nodes or, alternatively, to individual subscribers. In order to accomplish the advertisement targeting capability, the network controller 214 transmits packages of advertisements to the cable distribution network nodes or subscribers for eventual display on the set top terminal 220.」(p.71 l.20-28)
「個人的プロフィール情報は、また、広告を方向付けるのにも用いることができる。この好適実施例では、ネットワーク・コントローラ214は、特定の広告を個々のケーブル配分ネットワーク・ノードに、又は、個別の加入者に向けることができる。この広告方向付けの能力を達成するには、ネットワーク・コントローラ214は、広告のパッケージをケーブル配分ネットワーク・ノード又は加入者に送信して、結果的にセットトップ端末220上に表示されるようにする。」(85頁22?27行)

〈f.他の対話型サービス〉
(k39)「Figures 19a and 19b show menus (1130 and 1132, respectively) that are available using the interactive Level A services. Referring to Figure 19a, when interactive Levels A services are available for a television program, the system will display an interactive logo 1134 consisting of the letter "I" and two arrows with semicircular tails. In the preferred embodiment, the set top terminal 220 will place the interactive logo on the television screen as an overlay menu. In the preferred embodiment, the set top terminal 220 will detect that there is data or information available about a television program which can be displayed to a subscriber using the interactive service. When the set top terminal 220 senses that there is interactive information available, it will generate the interactive logo overlay menu 1134 and place it on the television screen. For example, the set top terminal 220 will detect that information on a television program is being sent in the vertical blanking interval (VBI) and generate an interactive logo overlay menu 1134 which will appear on the subscriber's television screen for approximately fifteen seconds during each ten minute interval of programming. Similarly, the set top terminal 220 can sense that the programming has closed caption information available and place a closed caption logo on the screen.」(p.75 l.8-30)
「図19a及び図19bは、対話型のレベルAのサービスを用いて利用可能なメニュ(それぞれ、1130、1132)を示す。図19aを参照すると、対話型のレベルAのサービスがテレビ番組に対して利用可能な場合には、システムは、文字の”I”と半円形の尻尾を有する2つの矢印から成る対話型のロゴ1134を表示する。この好適実施例では、セットトップ端末220は、この対話型のロゴをオーバレイ・メニュとしてテレビ画面上に配置する。この好適実施例では、セットトップ端末220は、対話型サービスを用いて加入者に表示可能なテレビ番組に関するデータや利用可能な情報があることを検出する。セットトップ端末220は、対話型情報が利用可能であると感知した場合には、対話型ロゴ・オーバレイ・メニュ1134を発生してそれをテレビ画面上に配置する。たとえば、セットトップ端末220は、テレビ番組に関する情報が垂直ブランキング・インタバル(VBI)で送られることを検出し、番組の各10分間隔の間にほぼ15秒の間だけ加入者のテレビ画面上に現れる対話型ロゴ・オーバレイ・メニュ1134を発生する。同様に、セットトップ端末220は、番組が閉鎖型の利用可能なキャプション情報を有していることを感知すると、画面上に閉鎖型のキャプション・ロゴを配置する。」(88頁26行?89頁13行)

(k40)「Referring to Figure 19b, when the subscriber sees the interactive logo 1134 on the television screen, the subscriber is made aware of the fact that interactive services are available in conjunction with his television program. If the subscriber presses the interactive remote control button, another overlay menu 1133 will be generated by the set top terminal 220 and placed on the screen. This overlay menu 1133 is shown in Figure 19b being overlayed on an interactive television program. From this menu 1133, the subscriber may select a variety of different types of textual interactivity with the current television program, as at 1134, including quizzes, fast facts, more info, where in the world, products, etc. At any time during the interactive submenus, the user may return to the television program without interactive features.」(p.75 l.31-p.76 l.13)
「図19bを参照すると、加入者は、テレビ画面上に対話型のロゴ1134を見ると、そのテレビ番組との関係で対話型サービスが利用可能であるという事実に気づかされる。加入者が対話型のリモコン・ボタンを押下すると、セットトップ端末220が別のオーバレイ・メニュ1133を発生して画面上に配置する。このオーバレイ・メニュ1133は図19bに示されており、対話型テレビ番組上にオーバレイされている。このオーバレイ・メニュ1133から、加入者は、1134のような現時点のテレビ番組との種々の異なったタイプのテキスト型の対話性を選択できて、これには、クイズ、ちょっとした事実(fast facts)、更なる情報、世界のどこかで、製品などを含む。対話性のサブメニュの間の任意の時間に、ユーザは、対話型機能をもたないテレビ番組に戻ることができる。」(89頁14?24行)

〈h.デジタル音声能力〉
(k41)「Alternatively, the set top terminal's remote control may be programmed for use with the Level D hardware upgrade so that an additional remote control is not required to use the digital audio feature.
Using either remote control embodiment, the subscriber accesses the Level D hardware upgrade to select a digital audio program. The remote control sends an IR command signal to the Level D hardware upgrade, instructing the unit's microprocessor 602 to initiate the selection of a given program. The desired program is processed (i.e., tuned, demultiplexed, decrypted and decompressed) as described above and transmitted to the subscriber's stereo for listening.」(p.81 l.30-p.82 l.11)
「また、セットトップ端末のリモコンをレベルDのハードウェア・アップグレードとの使用のためにプログラムすることもでき、それによって、デジタル音声機能のために用いられる付加的なリモコンが不要になる。
どちらのリモコンの実施例を用いても、加入者はレベルDのハードウェア・アップグレードにアクセスして、デジタル音声番組を選択できる。リモコンはIRコマンド信号をレベルDのハードウェア・アップグレードに送り、そのユニットのマイクロプロセッサ602に与えられた番組の選択を開始するように命令する。所望の番組が上述のように処理され(すなわち、チューニングされ、復調され、暗号解読され、圧縮解除される)、加入者のステレオに聴取のために送信される。」(94頁17?26行)

(k42)「Alternatively, the Level D hardware upgrade can be co-located with the set top terminal 220 and the subscriber can select a digital audio program through a menu displayed on the subscriber's television. In this embodiment, the subscriber would use the set top terminal remote control to access a digital audio program selection menu.」(p.82 l.19-24)
「また、レベルDのハードウェア・アップグレードをセットトップ端末220と同じ場所に配置することも可能であり、その場合には、加入者は、デジタル音声番組を加入者のテレビ上に表示されたメニュを介して選択できる。この実施例では、加入者はセットトップ端末のリモコンを用いて、デジタル音声番組選択メニュにアクセスする。」(95頁4?8行)

(k43)「For example, one menu may allow the user to test the system with a free demonstration. Another menu allows the subscriber to request additional promotional information about the system.」(p.83 l.7-10)
「たとえばユーザが無料のデモンストレーションを試すことを可能にするメニュがある。また別のメニュによれば、加入者は、このシステムに関する更なるプロモーショナル情報を要求することができる。」(95頁21?23行)

(k44)「In order to accommodate the VCR control feature, the set top terminal 220 sends instructions or control signals to the VCR. Such control signals are initiated by the set top terminal's microprocessor 602 and passed to the VCR either using a separate connection or as part of the video signals processed for display on the subscriber's television. These control signals are sent directly from the advanced set top terminal 220 to the VCR, instructing the VCR when to begin and end taping of a particular program.
The microprocessor 602 coordinates the dissemination of control signals sent to the VCR, storing the content of such signals in local memory. Upon nearing the time for the program to be displayed, the microprocessor 602 activates the menu generation software to display a notification menu or screen, notifying the subscriber that the program is nearing the time for display. This reminder will also request the subscriber to check whether a tape has been inserted into the VCR itself.
The subscriber can initiate the VCR control feature by accessing a VCR control submenu, which requests whether the subscriber wishes to record a program selected for future viewing.」(p.83 l.25-p.84 l.15)
「VCR制御機能を与えるためには、セットトップ端末220は指令又は制御信号をVCRに送る。このような制御信号はセットトップ端末のマイクロプロセッサ602から出され、別個の接続を用いるか、又は加入者のテレビ上での表示のために処理される映像信号の一部として、VCRに送られる。これらの制御信号は、改良型のセットトップ端末220から直接にVCRに送られ、VCRに特定の番組のテープ録画をいつ開始し、いつ終了させるかを指令する。
マイクロプロセッサ602は、VCRに送られる制御信号の配布(dissemination)を調整し、その信号の内容をローカルなメモリに記憶する。番組が始まる時刻が近づくと、マイクロプロセッサ602は、メニュ発生ソフトウェアを付勢し、画面上に告知メニュを表示し、加入者に番組の開始時刻が近づいていることを知らせる。このリマインダは、また、加入者にテープがVCR内に入っているかどうかをチェックすることも要求する。
加入者は、VCRの制御サブメニュにアクセスすることによってVCR制御機能を開始させることができて、これは、加入者が将来の視聴のために選択した番組の録画を望むかどうかを要求する。」(96頁7?21行)

〈特許請求の範囲〉
(k45)「12. The hardware upgrade of claim 10 for use with on-line databases and interactive services outside of the cable television program delivery system, wherein the hardware upgrade further comprises a telephone modem adapted to provide communications capability with the on-line databases and the interactive services.」(p.92)
「12.前記ケーブルテレビ番組配送システムの外部のオンライン・データベースと対話型のサービスと共に用いる請求項10記載のハードウェア・アップグレードにおいて、前記オンライン・データベース及び前記対話型のサービスとの通信能力を提供するように適合した電話モデムを更に備えていることを特徴とするハードウェア・アップグレード。」(6頁)

(k46)「15. A hardware upgrade for enhancing the functionality of a set top converter and television display in a cable television program delivery system, each set top converter having a subscriber interface adapted to receive subscriber inputs and to display menus, the enhanced functionality allowing reception of digital audio programs, the hardware upgrade comprising:
a subscriber interface means for subscriber selection of any one of the digital audio programs using one or more of the menus displayed with the menu generation capability;
an interface means for providing an electrical connection to the set top converter, wherein the subscriber selections are passed to the set top converter for display and wherein the digital audio programs received;
a means for processing digital audio programs; and
a means for enabling one of the digital audio programs for listening based on the subscriber selections.」(p.93-94)
「15.ケーブルテレビ番組配送システムにおけるセットトップ・コンバータとテレビ・ディスプレイとの機能性を強化するハードウェア・アップグレードであって、各セットトップ・コンバータは加入者入力を受信しメニュを表示するように適合した加入者インターフェースを有し、前記強化された機能性によりデジタル音声番組の受信が可能になるハードウェア・アップグレードにおいて、
前記メニュ発生能力により表示される前記メニュの1つ又は複数を用いて前記デジタル音声番組の任意のものを加入者が選択する加入者インターフェース手段と、
電気的接続を前記セットトップ・コンバータに提供するインターフェース手段であって、前記加入者の選択は表示のために前記セットトップ・コンバータに送られ、前記デジタル音声番組が受信されるインターフェース手段と、
デジタル音声番組を処理する手段と、
前記加入者の選択に基づいて聞くために前記デジタル音声番組の1つをイネーブルする手段と、
を備えていることを特徴とするハードウェア・アップグレード。」(6?7頁)

(k47)「42. A method for enhancing the functionality of a set top converter, each set top converter having a subscriber interface adapted to receive subscriber inputs and menu generation capability for operation in a cable television program delivery system, the enhanced functionality allowing reception of digital audio programs, the method comprising the steps of:
providing an electrical connection to the set top converter, wherein the subscriber inputs are passed to the set top converter for display and wherein the digital audio programs received;
processing the digital audio programs;
selecting any one of the processed digital audio programs using one or more of the menus displayed with the menu generation capability; and
enabling the subscriber inputs to produce one of the digital audio programs for listening.」(p.107)
「42.セットトップ・コンバータの機能性を強化する方法であって、各セットトップ・コンバータはケーブルテレビ番組配送システムでの動作のための加入者入力を受信するように適合された加入者インターフェースとメニュ発生能力とを有し、前記強化された機能性はデジタル音声番組の受信を可能にする方法において、
電気的接続を前記セットトップ・コンバータに提供することによって、前記加入者入力は表示のために前記セットトップ・コンバータに送られ、そこで前記デジタル音声番組が受信されるようにするステップと、
前記デジタル音声番組を処理するステップと、
前記メニュ発生能力を用いて表示される1つ又は複数のメニュを用いて前記処理されたデジタル音声番組の任意の1つを選択するステップと、
前記加入者入力をイネーブルして聴取のために前記デジタル音声番組の1つを生じさせるステップと、
を含むことを特徴とする方法。」(17頁)

イ 甲第1号証に記載された発明
請求人は、甲第1号証に記載された発明を明確に認定していないが、請求人が摘示した箇所を参照し、図1及び図3に示されているテレビ番組配送システムにおいて、ケーブル・ヘッドエンド208によって提供される特徴からセットトップ端末の220の性能を高めるグレードアップするもの、及びメニュ・フォーマットの変更を行うものを甲第1号証に記載された発明として認定する。
(ア)テレビ番組配送システム
「図1は、拡張されたケーブルテレビ番組配送システム200の一部として、本願発明を示す。」(上記(k5)、27頁22?23行)ものであり、
「番組配送システム200は、デジタル信号をケーブルヘッドエンド208に伝送し、そこで、信号は連結されたケーブルテレビ・システム210を介して送信される。ケーブル・ヘッドエンド208内では、受信した信号は、復号され、デマルチプレクスされ、ローカルな中央分散及びスイッチング機構によって管理され、合成され、そして、ケーブル・システム210上を各加入者の家庭に置かれているセットトップ端末220に送信される。」(上記(k6)、28頁23行?29頁1行)ものであり、
「セットトップ端末220は、通常は、加入者のテレビの上方又は下方に配置される」(上記(k12)、36頁21?22行)ものである。
また、「ケーブル・ヘッドエンド208は、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができる。」(上記(k36)、79頁22?24行)
以上より、甲第1号証に記載されている「テレビ番組配送システム200」は、ケーブルヘッドエンド208と各加入者のテレビの上方又は下方に配置されるセットトップ端末220からなり、ケーブル・ヘッドエンド208は、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができるものである。

(イ)データ受信機
「個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、各セットトップ端末の特定のアドレス又はID(たとえば、セットトップID928、928’)に従ってデータ受信機332によって受信される。このようにして、それぞれのアドレス付加可能(アドレサブル)なセットトップ端末220は、それ自身のデータだけを受信する。データ受信機332は、図7aを参照して説明した番組制御情報信号フレームの情報フィールドにおいて、又は、入力スペクトル内の便宜的な周波数に位置する別個のデータ・キャリア上で、セットトップ端末特定データを受信し得る。」(上記(k29)、68頁12?16行)
「番組アクセス情報は、図7aに示したようなポーリング要求メッセージ・フォーマットを使用してネットワーク・コントローラ214によってポーリングされるまで、各セットトップ端末220に記憶される。このフレーム・フォーマット920は、(1)メッセージの最初の先頭(リーディング)フラグ922、(2)アドレス・フィールド924、(3)加入者の地域指定926、(4)ポーリング・コマンド/応答(又はP/F)ビット930を含むセットトップ端末の識別子928、(5)情報フィールド932、(6)メッセージの最後の追跡(トレーリング)フラグ934、という6つのフィールドから成る。図7bは、図7aのポーリング要求に応答してセットトップ端末220がネットワーク・コントローラ214に通信する情報に対する、(フレーム・フォーマット920と類似し、よって、明確にするために最後にプライム(’)を付してある点で異なるが図7aに示したフレームと共通の参照番号が付されている)応答フレーム・フォーマット920’を示す。」(上記(k25)、48頁19行?49頁3行)
「セットトップ端末の識別子928は、付加されたP/Fビット930が続く15ビットの指定によって各セットトップ端末220を一意的に識別する16ビットのフィールドである。」(上記(k25)、49頁8?11行)
以上より、個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、番組制御情報信号フレームの各セットトップ端末の識別子928に従ってデータ受信機332によって、番組制御情報信号フレームの情報フィールド932において、受信される。

(ウ)アップグレード、RAM
「セットトップ端末220がその現時点での内的な番組編成(プログラミング)及びアップグレード可能性をもってサポートするすべての特徴に加えて、セットトップ端末220の離間した再プログラミングを介して、付加的な特徴を加えたり、既存の特徴を増加させたりできる。ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができる。この能力によって、ケーブル・ヘッドエンド208は、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができる。
再プログラミング(再番組編成)は、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られる。」(上記(k36)、79頁16?26行)
以上より、ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ、
再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られる。

(エ)プロセッサ
「図4は、セットトップ端末220の基本的なハードウェア構成要素を示している。セットトップ端末220は、オーディオ装置612とリモコン装置900からの信号を受信し処理するリモート・コントロール・インターフェース626とに加え、チューナ603と、デジタル復調器606と、解読器600と、デマルチプレクサ609、616と、を有する。オプションのモデム627によって、マイクロプロセッサ602とケーブル・ヘッドエンド208との間での通信が可能になる。NTSCエンコーダ625は、標準的なNTSCビデオ出力を提供する。
マイクロプロセッサ602は、メモリに記憶された番組命令(インストラクション)を実行する能力を有する。」(上記(k21)、44頁6?15行)
以上より、セットトップ端末220は、マイクロプロセッサ602を有し、マイクロプロセッサ602は、メモリに記憶された番組命令(インストラクション)を実行する能力を有する。

(オ)システム更新に関する情報
「図7bは、図7aのポーリング要求に応答してセットトップ端末220がネットワーク・コントローラ214に通信する情報に対する、(フレーム・フォーマット920と類似し、よって、明確にするために最後にプライム(’)を付してある点で異なるが図7aに示したフレームと共通の参照番号が付されている)応答フレーム・フォーマット920’を示す。」(上記(k25)、48頁27行?49頁3行)
「応答フレーム・フォーマット920’は、また、システム更新に関する情報のような他のデータ通信に対する可変長の情報フィールド932’を提供する。」(上記(k26)、49頁15?17行)
「ケーブル・ヘッドエンド208は、各セットトップ端末220からの情報を受信し、その情報をオペレーション・センタなどの情報収集サイトに送ることによって、ネットワーク・コントローラ214として機能する。」(上記(k10)、34頁4?7行)
以上より、セットトップ端末220がケーブルヘッド・エンド208に通信する情報に対する、応答フレーム・フォーマット920’は、また、システム更新に関する情報のような他のデータ通信に対する可変長の情報フィールド932’を提供する。

(カ)メニュ・フォーマットの変更
「この好適実施例では、メニュ・フォーマット情報は、セットトップ端末220において、RAMやEPROMなどの一時メモリに記憶されている。メニュ・フォーマットの変更を望む際は常に、新たなメニュ・フォーマット情報が、番組制御情報信号又はSTTCISを介して、セットトップ端末220に送られる。」(上記(k20)、43頁13?16行)
以上より、メニュ・フォーマットの変更を望む際は常に、新たなメニュ・フォーマット情報が、番組制御情報信号又はSTTCISを介して、セットトップ端末220に送られる。

(キ)甲第1発明
上記(ア)?(カ)より、甲第1号証には、次の発明(以下「甲第1発明」という。)が記載されていると認められる。

「ケーブル・ヘッドエンド208と各加入者のテレビの上方又は下方に配置されるセットトップ端末220からなり、ケーブル・ヘッドエンド208は、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができるものである、テレビ番組配送システム200であって、
個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、番組制御情報信号フレームの各セットトップ端末の識別子928に従ってデータ受信機332によって、番組制御情報信号フレームの情報フィールド932において、受信され、
ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ、
再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ、
セットトップ端末220は、マイクロプロセッサ602を有し、マイクロプロセッサ602は、メモリに記憶された番組命令(インストラクション)を実行する能力を有し、
セットトップ端末220がケーブル・ヘッドエンド208に通信する情報に対する、応答フレーム・フォーマット920’は、また、システム更新に関する情報のような他のデータ通信に対する可変長の情報フィールド932’を提供し、
メニュ・フォーマットの変更を望む際は常に、新たなメニュ・フォーマット情報が、番組制御情報信号又はSTTCISを介して、セットトップ端末220に送られる
テレビ番組配送システム200。」

ウ 本件特許発明1と甲第1発明との対比
本件特許発明1と甲第1発明とを対比する。

(ア) 1A「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」
甲第1発明は、
「ケーブルヘッドエンド208と各加入者のテレビの上方又は下方に配置されるセットトップ端末220からなり、ケーブル・ヘッドエンド208は、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができるものである、テレビ番組配送システム200であ(って、)」り、
「ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ、
再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ、」
るものである。
「ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ」ることは、ソフトウエアを更新することといえ、
「再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ」るから、この「番組制御情報信号」は、ソフトウエアの更新するための情報であり、ソフトウエアの更新情報といえる。
さらに、「再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ、」「ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ(、)」るから、「番組制御情報信号」は、ケーブル・ヘッドエンド208からセットトップ端末220へ送られるものであり、ダウンロードされるものといえる。
そして、「テレビ番組配送システム200」は、「テレビジョン・システム」といえる。
したがって、甲第1発明の「テレビ番組配送システム200」は、「ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システム」といえ、本件特許発明1と一致する。

(イ) 1B「複数の受信装置であって、各々が、テレビジョン受信機と、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる、複数の受信装置」
甲第1発明は、「各加入者のテレビの上方又は下方に配置されるセットトップ端末220」を備えている。そして、「セットトップ端末220」は受信装置といえる。
したがって、甲第1発明は、「複数の受信装置であって、各々が、(テレビジョン受信機と、)セットトップ・ボックスと(、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つ)からなる、複数の受信装置」を備えているといえ、本件特許発明1と一致する。

(ウ) 1C「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」
甲第1発明は、
「個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、番組制御情報信号フレームの各セットトップ端末の識別子928に従ってデータ受信機332によって、番組制御情報信号フレームの情報フィールド932において、受信され、
ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ、
再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ」
るものである。
「ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ」ることは、ソフトウエアを更新することといえ、
「再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ」るから、この「番組制御情報信号」は、ソフトウエアの更新するための情報であり、ソフトウエアの更新情報といえる。
「データ受信機332」は、「個別のセットトップ端末220に向けられたデータ」を受信し、「番組制御情報信号フレーム」は、「各セットトップ端末の識別子928」、「情報フィールド932」を有しているから、「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」といえ、本件特許発明1と一致する。

(エ) 1D「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」
上記(ウ)のとおり、甲第1発明の「データ受信機332」は、「前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機」といえる。
ソフトウエアを更新するための情報である「ソフトウエアの更新情報」は、受信した後に、ソフトウエアの更新することは明らかであり、そのためには、受信したデータを記憶するメモリが必要なことは明らかである。
そうすると、甲第1発明は、「ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリ」を備えていることは明らかであり、甲第1発明の「受信機」は、「番組制御情報信号フレームの各セットトップ端末の識別子928に従って」受信するものであるから、「メモリ」に「前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される」ことは当然である。
したがって、甲第1発明は、「前記複数の受信機それぞれに対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリ」を備えているといえ、本件特許発明1と一致する。

(オ) 1E「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、」
セットトップ端末220のマイクロプロセッサ602は、甲第1号証のFIG.11に示されているように、データ受信機332と結合されているから、「前記受信装置のそれぞれに対応して設けられたプロセッサであって、それぞれが、(前記メモリと)前記受信機(の少なくとも1つと)に結合して(おり)」いるといえる。

(カ) 1F「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」

甲第1発明は、
「個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、番組制御情報信号フレームの各セットトップ端末の識別子928に従ってデータ受信機332によって、番組制御情報信号フレームの情報フィールド932において、受信され、
ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ、
再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ、
セットトップ端末220は、マイクロプロセッサ602を有し、マイクロプロセッサ602は、メモリに記憶された番組命令(インストラクション)を実行する能力を有(し)」するものである。

セットトップ端末220のマイクロプロセッサ602は、「メモリに記憶された番組命令(インストラクション)を実行する能力を有(し)」するものであり、
「ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ、
再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ、」るものであり、
「個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、番組制御情報信号フレームの各セットトップ端末の識別子928に従ってデータ受信機332によって、番組制御情報信号フレームの情報フィールド932において、受信され」るものであり、
「ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ」ることは、ソフトウエアを更新することといえ、
「再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ」るから、この「番組制御情報信号」は、ソフトウエアの更新するための情報であり、ソフトウエアの更新情報といえ、 「セットトップ端末220のRAMを再プログラムする」ことは、受信装置といえる「セットトップ端末220」にソフトウエアの更新情報を実装することといえ、
再プログラムは、「ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって」できるものであり、マイクロプロセッサ602は、メモリに記憶された番組命令(インストラクション)を実行する能力を有し」ているから、上記実装は、プロセッサ602によって行われるといえる。
以上より、「プロセッサ602」は、データ受信装置により受信されたソフトウエアの更新情報に関連した情報を用いて、「ソフトウエアの更新情報を、受信装置において実装するプロセッサ」といえる。

ここで、「プロセッサ602」が、「ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して」実装するか検討する。
甲第1発明は、
「ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ」
るものであり、「ケーブル・ヘッドエンド208」が「遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ」るものであるから、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすること、すなわち、ソフトウエアの更新を受信装置において実装することは、「ケーブル・ヘッドエンド208」が行っているものであり、甲第1号証には、加入者が実装すべき旨の指示をすることに応答して、セットトップ端末220上のソフトウエアをアップグレードすることの開示はない。
また、甲第1発明においては、「セットトップ端末220がケーブル・ヘッドエンド208に通信する情報に対する、応答フレーム・フォーマット920’は、また、システム更新に関する情報のような他のデータ通信に対する可変長の情報フィールド932’を提供」するものであり、「システム更新に関する情報」は、セットトップ端末220からケーブル・ヘッドエンド208に通信する情報である。
しかしながら、「システム更新に関する情報」(information on system updates)は、どのような情報であるか甲第1号証には記載されていないから、文言自体が意味している情報であると理解できる。
「システム更新に関する情報」は、セットトップ端末220からケーブル・ヘッドエンド208に送る情報であるものの、「ユーザ指示」による情報とは甲第1号証に記載されておらず、また、「システム更新に関する情報」が、セットトップ端末220からケーブル・ヘッドエンド208に送られた後に、再プログラムするための番組制御情報信号がケーブル・ヘッドエンド208からセットトップ端末220に送られ、セットトップ端末220で再プログラミングするとも、甲第1号証には記載されていない。
そうすると、甲第1発明は、「システム更新に関する情報」をセットトップ端末220からケーブル・ヘッドエンド208に送るものの、このことが、「ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、・・・前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」における「ユーザ指示」であるとはいえない。

甲第1発明は、
「メニュ・フォーマットの変更を望む際は常に、新たなメニュ・フォーマット情報が、番組制御情報信号又はSTTCISを介して、セットトップ端末220に送られる」
ものである。
甲第1号証の記載は、上記(k20)のとおりであり、他の記載をみても、「メニュ・フォーマットの変更を望む」のが加入者であることは開示されてない。
そうすると、「メニュ・フォーマットの変更を望む」のは、加入者ではなく、ケーブル・ヘッドエンド側であるとするのが自然であり、上記構成が、「ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、・・・前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」における「ユーザ指示」を意味しているとはいえない。

以上のとおり、甲第1発明は、「プロセッサ」を備えているものの、甲第1発明の「プロセッサ」は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサ」とはいえないから、甲第1発明は、本件特許発明1と相違する。

エ 請求人の主張について
(ア)請求人は、メニュ・フォーマットの変更を望むのは、加入者自身であると主張する。
しかしながら、上記のとおり、甲第1号証の記載は、上記(k20)のとおりであり、他の記載をみても、「メニュ・フォーマットの変更を望む」のが加入者であることは開示されていない。
そうすると、「メニュ・フォーマットの変更を望む」のは、加入者ではなく、ケーブル・ヘッドエンド側であるとするのが自然であるから、請求人の主張は採用できない。

(イ)請求人は、
「『システム更新に関する情報』は、『セットトップ端末220のRAMを再プログラムする』(甲第2号証、79頁 19?24行)情報に関連した情報であり、したがって、この『「システム更新に関する情報』は、セットトップ端末220側から発信される情報である。換言するならば、『システム更新に関する情報』は、ケーブルヘッドエンド208から送られた再プログラム情報をセットトップ端末220側でダウンロードすること(あるいは実装すること)を確認するために、ケーブルヘッドエンド208側に返信する情報である。」(陳述要領書3頁22?28行)
と主張する。
しかしながら、上記のとおり、「システム更新に関する情報」は、どのような情報であるか甲第1号証には記載されていないから、文言自体が意味している情報であると理解でき、「システム更新に関する情報」は、セットトップ端末220からケーブル・ヘッドエンド208に送る情報であるものことは理解できるものの、「『システム更新に関する情報』は、ケーブルヘッドエンド208から送られた再プログラム情報をセットトップ端末220側でダウンロードすること(あるいは実装すること)を確認するために、ケーブルヘッドエンド208側に返信する情報である。」とはいえない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

(ウ)請求人は、
「甲第2号証の75頁20行には、『リモコン900は、注文ボタン354、『実行(ゴー)』ボタン358を含む‥・』と記載されている。
加入者が『実行ボタン358』を操作すれば、ケーブルヘッドエンド208(センタ202)側にアップストリーム送信することができ、加入者が何らかの『注文』操作を行って、『実行』操作をすれば、ケーブルヘッドエンド208側から何らかの情報を受け取ることができる。
加入者のこの『注文』操作および『実行』操作は、『ユーザからの指示』に相当することは明らかである
・・・
したがって、甲第2号証には、「ユーザ指示に応答して」、「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の1つにおいて実装するプロセッサ」技術が開示されている。」(陳述要領書8頁)
と主張する。
しかしながら、リモコン900が、注文ボタン34、実行ボタン358を有し、ユーザがそれらのボタンを操作することは、甲第1号証に開示されているものの、注文ボタン、実行ボタンを操作することによって、ソフトウエアの更新情報が受信装置において実装することが、開示されているとは認められない。
そうすると、甲第1号証には、「ユーザ指示に応答して」、「前記ソフトウェアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の1つにおいて実装する」ことが開示されているとは認められないから、請求人の主張は採用できない。

オ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1と甲第1発明とを対比すると、相違点があり、一致しないのであるから、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。

(3)進歩性
上記(2)のとおり、本件特許発明1と甲第1発明とを対比すると、相違点がある。
この相違点を克服する証拠は何ら提出されておらず、この相違点が自明のこととも認められないので、本件特許発明1は、甲第1号証に基づいて当業者が容易に発明できたものとは認められない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。
また、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

2 本件特許発明2?10
本件特許発明2?10は、本件特許発明1を引用するところ、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明ではないことは、上記1(2)のとおりであるから、同様に、本件特許発明2?10は、甲第1号証に記載された発明ではない。また、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められないことは、上記1(3)のとおりであるから、同様に、本件特許発明2?10は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。
したがって、本件特許発明2?10は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。
また、本件特許発明2?10は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

3 本件特許発明11
(1)分説
本件特許発明11を分説すると次のとおりである。

11A ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システムにおいて、

11B 複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、

11C 前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、

11D 前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データが記憶される、ところのメモリと、

11E 前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、

11F 前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータは、システムのユーザが、自分のテレビジョン・システムに前記ソフトウエアの更新情報をダウンロードすることを望むかどうかの選択をすることができるようにするための情報を含んでいる

11A ことを特徴とするテレビジョン・システム。

(2)新規性進歩性
本件特許発明11の構成要件11Eは、本件特許発明1の構成要件1E、1Fと同じであるから、上記1(2)ウ(オ)、(カ)、(3)を援用する。
したがって、本件特許発明11は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。
また、本件特許発明11は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

4 本件特許発明12
(1)分説
本件特許発明12を分説すると次のとおりである。

12A ソフトウエアの更新情報をダウンロード可能なテレビジョン・システムにおいて、

12B 複数の受信装置であって、各々が、テレビジョンと、セットトップ・ボックスと、ビデオ・レコーダと、テレビジョン及びビデオ・レコーダの結合体とのいずれか1つからなる複数の受信装置と、

12C 前記複数の受信装置の各々に対応して設けられた受信機であって、前記ソフトウエアの更新情報に関連しかつ前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータを受信する受信機と、

12D 前記複数の受信機の各々に対応して設けられ、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータを記憶するメモリであって、前記識別子が対応する受信装置を表している場合にのみ、当該データを記憶するよう構成されているメモリと、

12E 前記受信装置の各々に対応して設けられたプロセッサであって、各々が、前記メモリと前記受信機の少なくとも1つとに結合しており、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装するプロセッサと
を備え、

12F 前記識別子は、モデル、ブランド、及び製品タイプの1つによって、受信装置を識別するよう構成されている

12A ことを特徴とするテレビジョン・システム。

(2)新規性進歩性
本件特許発明12の構成要件12Eは、本件特許発明1の構成要件1E、1Fと同じであるから、上記1(2)ウ(オ)、(カ)、(3)を援用する。
したがって、本件特許発明12は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。
また、本件特許発明12は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

5 本件特許発明13
(1)分説
本件特許発明13を分説すると次のとおりである。

13A テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、

13B 複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、

13C 前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、

13D 前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、

13E 前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと

13A を含むことを特徴とする方法。

(2)新規性
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証の記載は、上記1(2)アと同じである。

イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1発明は、上記1(2)イ(キ)のとおりであり、この「テレビ番組搬送システム」におけるセットトップ端末上のソフトウエアをグレードアップする動作を方法の発明として認定する。この発明は、甲第1号証に記載された発明といえる。

甲第1発明は、
「ROM上に乗っているオペレーティング・システムを用いることによって、ケーブル・ヘッドエンド208は、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることができ、この能力によって、遠隔的に、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードすることができ、
再プログラミングは、番組制御情報信号を用いることによって生じ、適切な信号がこの信号上を送られ、
セットトップ端末220は、マイクロプロセッサ602を有し、マイクロプロセッサ602は、メモリに記憶された番組命令(インストラクション)を実行する能力を有(し)、」
するものであり、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードする動作は、「番組制御情報信号を用いて、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることによって、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードする」ものといえる。

そうすると、甲第1発明の「テレビ番組搬送システム」におけるセットトップ端末上のソフトウエアをグレードアップする動作は、次の方法の発明(以下「甲第1発明2」という。)として認定できる。

「ケーブル・ヘッドエンド208と各加入者のテレビの上方又は下方に配置されるセットトップ端末220からなるテレビ番組配送システム200であって、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードする方法において、
個別のセットトップ端末220に向けられたデータは、番組制御情報信号フレームの各セットトップ端末の識別子928に従ってデータ受信機332によって、番組制御情報信号フレームの情報フィールド932において、受信され、
番組制御情報信号を用いて、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることによって、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードする方法。」

ウ 本件特許発明13と甲第1発明2との対比
甲第1発明が、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」とはいえないことは、上記1(2)ウ(カ)のとおりであり、甲第1発明2は、甲第1発明のセットトップ端末上のソフトウエアをグレードアップする動作を方法の発明として認定したものであり、上記イのとおりのものであるから、同様に、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを実装すべき旨のユーザ指示に応答して、前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて実装する」とはいえない。
ここで、甲第1発明2が、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にする」ものか検討する。
上記イのとおり、甲第1発明2は、「番組制御情報信号を用いて、セットトップ端末220のRAMを再プログラムすることによって、セットトップ端末220上のソフトウェアをアップグレードする」ものであり、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して・・・前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にする」ものではない。
また、甲第1号証には、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示」は何ら開示されておらず、さらに、甲第1号証は、「・・・ユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にする」ことを開示するものではない。
したがって、甲第1発明2は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にする」ものとはいえないから、本件特許発明13と相違する。

エ 請求人の主張について
請求人は、構成要件13Eが甲第1号証(甲第2号証)に開示されている根拠として次の記載を挙げている(審判請求書101?102頁)。
(ア)「また、レベルDのハードウェア・アップグレードをセットトップ端末220と同じ場所に配置することも可能であり、その場合には、加入者は、デジタル音声番組を加入者のテレビ上に表示されたメニュを介して選択できる。この実施例では、加入者はセットトップ端末のリモコンを用いて、デジタル音声番組選択メニュにアクセスする。」(上記(k42)、95頁4?8行)
(イ)「リモコン900は、注文ボタン354、「実行(ゴー)」ボタン358を含む4つの方向へのカーソル移動356、及びメニュ・アクセス・ボタン360を含む。好適なリモコン900は、赤外線(IR)信号を用いて動作し、その際に、信号はセットトップ端末220の全面にある赤外線センサ630によって受信される。」(上記(k34)、75頁20?24行)
(ウ)「信号は圧縮されたフォーマットで加入者の家庭に送られ、視聴前に圧縮解除されることが好ましい。伝達される番組信号は、加入者の家庭の装置が特定の番組を選択するためのメニュを表示することを可能にする情報を含む。」(上記(k18)、42頁12?14行)
(エ)「42.セットトップ・コンバータの機能性を強化する方法であって、各セットトップ・コンバータはケーブルテレビ番組配送システムでの動作のための加入者入力を受信するように適合された加入者インターフェースとメニュ発生能力とを有し、前記強化された機能性はデジタル音声番組の受信を可能にする方法において、
電気的接続を前記セットトップ・コンバータに提供することによって、前記加入者入力は表示のために前記セットトップ・コンバータに送られ、そこで前記デジタル音声番組が受信されるようにするステップと、
前記デジタル音声番組を処理するステップと、
前記メニュ発生能力を用いて表示される1つ又は複数のメニュを用いて前記処理されたデジタル音声番組の任意の1つを選択するステップと、
前記加入者入力をイネーブルして聴取のために前記デジタル音声番組の1つを生じさせるステップと、
を含むことを特徴とする方法。」(上記(k47)、17頁)
(オ)「15.ケーブルテレビ番組配送システムにおけるセットトップ・コンバータとテレビ・ディスプレイとの機能性を強化するハードウェア・アップグレードであって、各セットトップ・コンバータは加入者入力を受信しメニュを表示するように適合した加入者インターフェースを有し、前記強化された機能性によりデジタル音声番組の受信が可能になるハードウェア・アップグレードにおいて、
前記メニュ発生能力により表示される前記メニュの1つ又は複数を用いて前記デジタル音声番組の任意のものを加入者が選択する加入者インターフェース手段と、
電気的接続を前記セットトップ・コンバータに提供するインターフェース手段であって、前記加入者の選択は表示のために前記セットトップ・コンバータに送られ、前記デジタル音声番組が受信されるインターフェース手段と、
デジタル音声番組を処理する手段と、
前記加入者の選択に基づいて聞くために前記デジタル音声番組の1つをイネーブルする手段と、
を備えていることを特徴とするハードウェア・アップグレード。」(上記(k46)、6?7頁)

しかしながら、上記(ア)は、「加入者はセットトップ端末のリモコンを用いて、デジタル音声番組選択メニュにアクセスする」ことを開示し、上記(イ)は、注文ボタン354、「実行(ゴー)」ボタン358を操作することを開示し、上記(ウ)は、「加入者の家庭の装置が特定の番組を選択するためのメニュを表示することを可能にする」ことを開示し、上記(エ)は、「前記加入者入力をイネーブルして聴取のために前記デジタル音声番組の1つを生じさせる」ことを開示し、上記(オ)は、「前記加入者の選択に基づいて聞くために前記デジタル音声番組の1つをイネーブルする手段」を開示しているにすぎず、上記(ア)?(オ)は、「前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示」を開示するものではなく、さらに、「・・・ユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にする」を開示するものではない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

(3)進歩性
上記(2)のとおり、本件特許発明13と甲第1発明2とを対比すると、相違点がある。
この相違点を克服する証拠は何ら提出されておらず、この相違点が自明のこととも認められないので、本件特許発明13は、甲第1号証に基づいて当業者が容易に発明できたものとは認められない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明13は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。
また、本件特許発明13は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

6 本件特許発明14?17
本件特許発明14?17は、本件特許発明13を引用するところ、本件特許発明13は、甲第1号証に記載された発明ではないことは、上記5(2)のとおりであるから、同様に、本件特許発明14?17は、甲第1号証に記載された発明ではない。また、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められないことは、上記5(3)のとおりであるから、同様に、本件特許発明14?17は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。
したがって、本件特許発明14?17は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。
また、本件特許発明14?17は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

7 本件特許発明18
(1)分説
本件特許発明18を分説すると次のとおりである。

18A テレビジョン・システムにおいて、ソフトウエアの更新情報をダウンロードする方法において、

18B 複数の受信装置に対して、前記ソフトウエアの更新情報に関連するデータであって、前記複数の受信装置の少なくとも1つを、モデル、ブランド、プロダクション、製品タイプの1つによって識別する識別子を含んでいるデータが送信されるステップと、

18C 前記データを、前記受信装置のそれぞれに配置されている複数の受信機において受信するステップと、

18D 前記データを、該データに含まれる前記識別子によって識別された前記受信装置において記憶するステップと、

18E 前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを使用可能にすべき旨のユーザ指示に応答して、前記識別子に識別された前記受信装置において記憶された前記データを用いて、前記ソフトウエアの更新情報の少なくとも1つを、前記受信装置の少なくとも1つにおいて使用可能にするステップと

18A を含むことを特徴とする方法。

(2)新規性進歩性
本件特許発明18の構成要件18Eは、本件特許発明13の構成要件13Eと同じであるから、上記5(2)ウ、(3)を援用する。
したがって、本件特許発明18は、甲第1号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当しない。
また、本件特許発明18は、甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとは認められない。

第五 むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1から請求項18に係る発明を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定においてさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-03-24 
出願番号 特願平9-501931
審決分類 P 1 113・ 113- Y (H04N)
P 1 113・ 121- Y (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古川 哲也  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 小池 正彦
梅本 達雄
登録日 2007-06-08 
登録番号 特許第3965462号(P3965462)
発明の名称 ダウンロード可能なソフトウエアの更新情報を有するテレビジョン・システム  
代理人 山本 秀策  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 森下 夏樹  
代理人 安村 高明  

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