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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  A47B
管理番号 1241620
審判番号 無効2010-800129  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-07-26 
確定日 2011-06-27 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4349993号発明「蓋体の装着の構造、家具」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第4349993号に係る出願は、平成11年12月3日に出願した特願平11-376310号の一部を平成16年8月2日に新たな特許出願(特願2004-225417号)としたものであって、平成21年7月31日にその請求項1?8に係る発明について特許権の設定登録がなされたものである。
これに対して、株式会社岡村製作所(以下、「請求人」という。)から平成22年7月26日付けで請求項1?3、8に係る発明の特許について、無効審判の請求がなされたものであり、その後の手続の経緯は,以下のとおりである。

審判請求書 平成22年 7月26日
審判事件答弁書 平成22年10月 8日
訂正請求書 平成22年10月 8日
審判事件弁駁書 平成22年11月18日
審理事項通知書 平成23年 2月16日
口頭審理陳述要領書(請求人) 平成23年 4月 5日
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成23年 4月 5日
訂正請求書 平成23年 4月19日
口頭審理(特許庁審判廷) 平成23年 4月19日
審理終結通知(口頭による) 平成23年 4月19日

2.平成23年4月19日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)について
本件訂正請求により、平成22年10月8日付け訂正請求については、特許法第134条の2第4項の規定により、取り下げられたものとみなすので、以下、本件訂正請求について検討する。

(1)本件訂正請求の内容

A.特許請求の範囲における請求項1の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】天板の中央部に巾方向に沿って開口する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持することを特徴とする蓋体の装着の構造。」
に訂正する。

B.特許請求の範囲における請求項2の記載を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【請求項2】前記支持部が、前記軸部を回転可能に支持する軸支持部分と、部材の弾性変形を利用して前記軸部を軸支持部分に挿入可能とするための切欠部分とを具備してなることを特徴とする請求項1記載の蓋体の装着の構造。」
に訂正する。

C.特許請求の範囲における請求項3の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項3】蓋体が、閉止位置で、少なくともその外縁の一部と、対向する収納物出入口の開口縁間に、上方に開口し配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着されることを特徴とする請求項1又は2記載の蓋体の装着の構造。」
に訂正する。

D.特許請求の範囲における請求項4の記載を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【請求項4】天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するものであり、蓋体が、閉止位置で、前記蓋体の前後縁部と、対向する収納物出入口の前後縁部間に、配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着され、前記蓋体が着脱可能に装着されることを特徴とする蓋体の装着の構造。」
に訂正する。

E.特許請求の範囲における請求項5の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【請求項5】天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するものであり、前記収納物出入口が配線出入口であることを特徴とする蓋体の装着の構造。」
に訂正する。

F.特許請求の範囲における請求項6の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【請求項6】天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するものであり、第1のボックス本体要素と、第1のボックス本体要素の下方に位置し該第1のボックス本体要素に支持される第2のボックス本体要素とを具備するボックス本体を、前記第1、第2のボックス本体要素間に天板の一部を挟み込んだ状態で両ボックス本体要素を連結することによって天板に支持させており、前記第1のボックス本体要素が収納物出入口を形成していることを特徴とする蓋体の装着の構造。」
に訂正する。

G.特許請求の範囲における請求項8の記載を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【請求項8】請求項1、2又は3記載の蓋体の装着の構造を用いた家具であって、その天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着してなることを特徴とする家具。」
に訂正する。

H.特許請求の範囲における請求項5の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【請求項9】天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するものであり、前記蓋体が着脱可能に装着されるものであり、前記収納物出入口が配線出入口であることを特徴とする蓋体の装着の構造。」
に訂正する。

J.出願当初明細書における段落【0007】に「収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「天板の中央部に巾方向に沿って開口する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、」に訂正する。

K.出願当初明細書における段落【0007】に「蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、」に訂正する。

L.出願当初明細書における段落【0007】に「蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「蓋体が収納物出入口の前後両縁部に対して両開き可能となるように、」に訂正する。

M.出願当初明細書における段落【0012】に「蓋体が、少なくともその外縁の一部と、対向するボックス本体の開口縁間に上方に開口した隙間を形成した状態で装着される」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「蓋体が、閉止位置で、少なくともその外縁の一部と、対向する収納物出入口の開口縁間に上方に開口し配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着される」に訂正する。

N.出願当初明細書における段落【0015】に「収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、」に訂正する。

O.出願当初明細書における段落【0015】に「蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、」に訂正する。

P.出願当初明細書における段落【0017】に「蓋体が、少なくともその外縁の一部と、対向する収納物出入口の開口縁間に上方に開口した隙間を形成した状態で装着される」とある記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「蓋体が、閉止位置で、少なくともその外縁の一部と、対向する収納物出入口の開口縁間に上方に開口し配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着される」に訂正する。

(2)本件訂正請求に対する審判請求人の主張

(2-1)訂正事項Aについて
・「天板の中央部に巾方向に沿って開口する開口部」と訂正請求しているが、根拠とする段落【0018】は「机の天板」に関する限りの記載であるので、「机の天板」に限定せず、単に「天板」とすることは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではなく、実質上特許請求の範囲を変更するものである。
また、「巾方向」は、机以外の天板について、どの方向であるか不明であり、「巾方向」と「前後」、「左右」の関係も不明である。

・「収納物出入口と蓋体間の対向両縁部」を「収納物出入口と蓋体間の前後両縁部」と訂正請求しているが、根拠とする段落【0023】の記載は「第1のボックス本体要素5」の存在を前提にするものであり、「第1のボックス本体要素5」の存在を前提としない訂正請求は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではない。
また、「収納物出入口と蓋体間の前後両縁部」の意味が不明であるし、「対向」の語句を「前後」の語句に訂正することは、拡張であるとも考えられる。

・「第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり」と訂正請求しているが、根拠とする段落【0024】は「第1のボックス本体要素5」の存在を前提にするものであり、「第1のボックス本体要素5」の存在を前提としない訂正請求は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではない。
また、該訂正により「選択的に」の意味が不明になっており、左軸部又は右軸部を選択的に支持することにより、蓋体の右方又は左方が開口されるとの解釈がなされることにもなり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でないばかりでなく、事実上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものである。
また、「前縁部側近傍から」、「後縁部側近傍から」との記載も、不明である。

・収納物出入口の対向両縁部が前後縁部であるとの訂正請求についても、根拠とする段落【0023】は「第1のボックス本体要素5」の存在を前提にするものであり、「第1のボックス本体要素5」の存在を前提としない訂正請求は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではない。

(2-2)訂正事項Bについて
訂正後の請求項2は、請求項1を引用する形式で記載されているが、訂正事項Bも第1のボックス本体要素の存在を前提とするものではなく、訂正事項Aが認められるべきでないのと同じ理由で、訂正事項Bも認められるべきでない。

(2-3)訂正事項Cについて
訂正後の請求項3は、請求項1又は2を引用する形式で記載されているが、訂正事項Cも第1のボックス本体要素の存在を前提とするものではなく、訂正事項Aが認められるべきでないのと同じ理由で、訂正事項Cも認められるべきでない。

(2-4)訂正事項Gについて
訂正事項Gは、訂正事項Aと同じ内容を訂正後の請求項8に係る発明にも加えることを含む内容であるから、訂正事項Aが認められるべきでないのと同じ理由で、訂正事項Gも認められるべきでない。

(2-5)訂正事項Dについて
訂正事項Aについての理由が、そのまま該当するものであり、該訂正請求は拒絶されるべきものである。

(2-6)訂正事項Eについて
訂正事項Eは、訂正前の請求項1に従属させていた内容を、そのまま従属形式から独立形式に書換えられるものと認められるが、準用する特許法第126条第5項の規定、いわゆる独立特許要件を満たすものではない。

(2-7)訂正事項Hについて
訂正事項Hには、訂正事項Eにおける前記理由が、そのまま該当し、訂正請求は拒絶されるべきものである。

(3)本件訂正請求の適否

(3-1)訂正事項Aについて
・「天板が有する開口部」を「天板の中央部に巾方向に沿って開口する開口部」とする訂正は、「開口部」の天板上での位置、形状を限定するもので、特許請求の範囲を減縮するものである。請求人は、「机の天板」に限定せず、単に「天板」とすることは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではなく、実質上特許請求の範囲を変更するものである旨主張しているが、該限定は、特に天板が机のものであることと関連するとは認められず、また、「中央部に巾方向に沿って開口する」点について、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されたもの以外の形態も想定されないので、該訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。
また、「巾方向」については、段落【0018】以外にも段落【0003】にも記載されており、図1に記載されているように、一方からみた場合の横方向を指していることは明らかである。また、「前後」、「左右」についても、同方向からみての「前後」、「左右」であることは容易に想定でき、意味が不明であるとは認められない。

・「収納物出入口と蓋体間の対向両縁部」を「収納物出入口と蓋体間の前後両縁部」とする訂正について、「対向両縁部」を「前後両縁部」と限定するものであると認められる。請求人は、「第1のボックス本体要素5」の存在を前提としない該訂正請求は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではない旨主張しているが、「対向両縁部」を「前後両縁部」とすることが、特に「第1のボックス本体要素5」の存在と関連しているとは認められず、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されたもの以外の形態も想定されないので、該訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
「対向」に関する請求人の主張について、訂正後の「収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、」との記載より、「前後両縁部近傍」には第1、第2の保持機構が設けられており、それぞれの保持機構は、収納物出入口の縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備していることから、収納物出入口の縁部と蓋体の縁部とは対向していることが理解されるので、該訂正により、「対向」していないものを含むようになるとは認められない。
また、「収納物出入口と蓋体間の前後両縁部」の意味は、上記したように「前後」の意味が容易に想定できるので、不明であるとはいえず、拡張であるとも考えられない。

請求人は、別件である訂正審判2009-390014における訂正拒絶理由通知書において、訂正前の「基板」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「基板の周縁に側壁を形成する」旨の訂正が、実施例として、「裏面側に延びる側壁」の記載しかなされていないとして認められなかったことをあげているが、この例においては、追加された「側壁」が、実施例として記載されていない「表面側に延びる」ものをも含むので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではないと判断されたものと認められるところ、本件の訂正については、追加された事項自体については、実施例として記載されたもの以外の形態が想定されないので、この点に関する請求人の主張は採用できない。

・「第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり」との訂正は、訂正前の請求項2の記載、および段落【0024】の記載を根拠として、「保持機構」を限定するものである。該訂正についても、請求人は、「第1のボックス本体要素5」の存在を前提としない該訂正請求は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内ではない旨主張しているが、該訂正事項も、「第1のボックス本体要素5」の存在と関連しているとは認められず、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されたもの以外の形態も想定されないので、該訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
また、「左右に対をなして突出した軸部」を「選択的に回転可能に支持する」ことについて、「左右に対をなして突出した軸部」を支持するか否かの選択が可能であるという意味であることは明細書および図面を参照するまでもなく明らかである。「左右に対をなして突出した軸部」と記載された構成を、わざわざ左軸部と右軸部に分解し、これらを選択的に支持するとの解釈は、失当である。
また、「前縁部側近傍から」、「後縁部側近傍から」との記載も、訂正前の請求項2の「対向両縁部近傍から」との記載に対応するものであるが、「対向両縁部」を「前後両縁部」とする訂正が、上記したように、意味が不明ではなく、拡張であるともいえないので、「前縁部側近傍から」、「後縁部側近傍から」とする訂正も、これにより意味が不明になったり、拡張になったりするとは認められない。

・収納物出入口の対向両縁部が前後縁部であるとの訂正請求についても、「対向両縁部」を「前後縁部」とすることが、特に「第1のボックス本体要素5」の存在と関連しているとは認められず、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されたもの以外の形態も想定されないので、該訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。

以上のとおりであるから、訂正事項Aは、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。

(3-2)訂正事項Bについて
訂正事項Bは、「保持機構」に関する記載を、訂正事項Aにより請求項1に入れたので、これに対応する記載を請求項2から削除するものであり、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。
また、訂正事項Aについてで述べたように、訂正事項Aは認められるべきであるから、訂正事項Bに関する請求人の主張は採用できない。

(3-3)訂正事項Cについて
訂正事項Cは、「隙間」について、蓋体が、閉止位置で、「配線類を天板上に引き出すことができる」と特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。
また、訂正事項Aについてで述べたように、訂正事項Aは認められるべきであるから、訂正事項Bに関する請求人の主張は採用できない。

(3-4)訂正事項Gについて
訂正事項Gは、訂正前の請求項8の「収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持すること」との記載が、請求項1の記載と重複するため削除するものであり、また、訂正事項Aにより訂正される請求項1、請求項1を引用する請求項2、3を引用するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。
また、訂正事項Aについてで述べたように、訂正事項Aは認められるべきであるから、訂正事項Gに関する請求人の主張は採用できない。

(3-5)訂正事項Dについて
訂正事項Dは、請求項4について、訂正前に引用していた請求項1、2、3の記載を加えて独立請求項とするとともに、「対向両縁部」を「前後両縁部」に限定するとともに、「隙間」について、蓋体が、閉止位置で、「配線類を天板上に引き出すことができる」と限定するものであり、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。また、該訂正事項Dは特許請求の範囲を減縮するものであるので、特許法第134条の2第5項で準用する同126条第5項の規定により、独立して特許をうけることができるものでなければならないが、訂正後の請求項4は、後記の7.(1)における相違点2、および7.(2)における相違点4に係る構成を含んでおり、相違点2、および相違点4が、当業者にとって容易に想到し得ないので、該訂正後の請求項4は、独立して特許をうけることができるものである。
また、訂正事項Aについてで述べたように、訂正事項Aは認められるべきであるから、訂正事項Dに関する請求人の主張は採用できない。

(3-6)訂正事項Eについて
訂正事項Eは、請求項5について、訂正前の請求項1に従属させていた内容を、そのまま従属形式から独立形式に書換えられるものと認められ、明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。
同じく、準用する特許法第126条第5項には、第1項ただし書き第1号または第2号に掲げる事項を目的とする訂正については、独立して特許をうけることができるものでなければならないと規定されているが、第3号である明りょうでない記載の釈明についてはそのような規定は適用されないので、請求人の主張は採用できない。

(3-7)訂正事項Hについて
訂正事項Hは、請求項5について、訂正前の請求項4に従属させていた内容を、訂正前の請求項4が従属する訂正前の請求項1の内容とともに、そのまま従属形式から独立形式に書換えられるものと認められ、明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。
同じく、準用する特許法第126条第5項には、第1項ただし書き第1号または第2号に掲げる事項を目的とする訂正については、独立して特許をうけることができるものでなければならないと規定されているが、第3号である明りょうでない記載の釈明についてはそのような規定は適用されないので、請求人の主張は採用できない。

(3-8)訂正事項Fについて
訂正事項Fは、請求項6について、訂正前の請求項1に従属させていた内容を、そのまま従属形式から独立形式に書換えられるものと認められ、明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。

(3-9)訂正事項J?Pについて
訂正事項J?Pは、特許請求の範囲の訂正にともない明細書中の記載を訂正するもので、明りょうでない記載の釈明を目的とし、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでないものである。

(3-10)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第134条の2第1項及び同5項で準用する同126条第3項から第5項に規定する要件に適合するため、これを認める。

3.審判請求人の主張

(1)審判請求人が主張する無効理由の要旨は、次のとおりであった。

本件特許の請求項1又は8係る発明は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明と同一であるとともに、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に甲第3号証を組み合わせることにより、当業者が容易になし得たものである。したがって、該請求項1、8に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。

本件特許の請求項2係る発明は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に甲第4号証を組み合わせることにより、当業者が容易になし得たものである。したがって、該請求項2に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。

本件特許の請求項3係る発明は、特許を受けようとする発明が明確でないとともに、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に甲第4号証を組み合わせることにより、当業者が容易になし得たものである。したがって、該請求項3に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきものである。

(2)審判請求人は、被請求人の平成23年4月19日付け訂正請求に対応して、次のように主張した。

たとえば甲第6号証?甲第10号証に示すように、天板の中央部に開口部を設けることは周知である。

平成23年4月19日付の訂正請求は認められるべきものではないが、百歩譲って仮に認められたとしても、無効審理の対象である請求項に対応する訂正後の請求項に係る発明についての特許は、新規性又は進歩性を欠如し無効とされるべきものである。

4.被請求人の主張

被請求人の主張の要旨は、次のとおりである。

本件特許の訂正後の請求項1、2、3及び8記載の特許発明が無効であるとする請求人の主張は、いずれも根拠のないものである。

5.本件訂正発明
上記のとおり訂正を認めるので、本件特許の請求項1、2、3及び8に係る発明は、平成23年4月19日付け訂正請求書に添付された訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2、3及び8に記載された次のとおりのものである(以下、請求項1に記載された発明を「本件訂正発明1」、請求項2に記載された発明を「本件訂正発明2」、請求項3に記載された発明を「本件訂正発明3」、請求項8に記載された発明を「本件訂正発明8」という。)。

「【請求項1】天板の中央部に巾方向に沿って開口する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持することを特徴とする蓋体の装着の構造。」

「【請求項2】前記支持部が、前記軸部を回転可能に支持する軸支持部分と、部材の弾性変形を利用して前記軸部を軸支持部分に挿入可能とするための切欠部分とを具備してなることを特徴とする請求項1記載の蓋体の装着の構造。」

「【請求項3】蓋体が、閉止位置で、少なくともその外縁の一部と、対向する収納物出入口の開口縁間に、上方に開口し配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着されることを特徴とする請求項1又は2記載の蓋体の装着の構造。」

「【請求項8】請求項1、2又は3記載の蓋体の装着の構造を用いた家具であって、その天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着してなることを特徴とする家具。」

6.甲各号証に記載された発明

(1)甲第1号証について
甲第1号証(実公平7-50975号公報)には、図面とともに、以下の記載がある。

・「【請求項1】天板(1)の奥端縁に幅方向に対して略全長に渡り、コード取り出し部(5)を形成し、該コード取り出し部(5)は、枠体(7)とキャップ(6)とからなり、枠体(7)の前後に枠体係止凹部(11)を形成し、キャップ(6)の前後にキャップ係止凸部(11′)を設け、上記キャップ(6)の前後どちらか一端のキャップ係止凸部(11′)を、上記枠体(7)の前後どちらか一方の枠体係止凹部(11)に着脱自在に取付け、上記キャップ(6)は、略中央部に一体的に蝶番機能を持たせた薄肉部(8)を形成したことを特徴とするコード取り出し部を設けた机。」(実用新案登録請求の範囲)

・「(課題を解決するための手段)
本考案は、コード取り出し部の枠体にキャップを係止する前後方向に2個所の係止部を設け、キャップは、上記枠体の2個所の係止部に係合する係止部と、略中央部に蝶番機能を持った薄肉部を形成したことによって、前記の課題の解決を図った。さらに、具体化したものとしては、天板(1)の奥端縁に幅方向に対して略全長に渡り、コード取り出し部(5)を形成し、該コード取り出し部(5)は、枠体(7)とキャップ(6)とからなり、枠体(7)前後と、キャップ(6)の前後に係合部(11)(11′)を設け、上記キャップ(6)の前後どちらか一端を、上記枠体(7)の前後どちらか一方に着脱自在に取付けられ、上記キャップ(6)は、略中央部に一体的に蝶番機能を持たせた薄肉部(8)を形成したことを特徴とするコード取り出し部を設けた机」を「天板(1)の奥端縁に幅方向に対して略全長に渡り、コード取り出し部(5)を形成し、該コード取り出し部(5)は、枠体(7)とキャップ(6)とからなり、枠体(7)の前後に枠体係止凹部(11)を形成し、キャップ(6)の前後にキャップ係止凸部(11′)を設け、上記キャップ(6)の前後どちらか一端のキャップ係止凸部(11′)を、上記枠体(7)の前後どちらか一方の枠体係止凹部(11)に着脱自在に取付け、上記キャップ(6)は、略中央部に一体的に蝶番機能を持たせた薄肉部(8)を形成したコード取り出し部を設けた机が挙げられる。
(作用)
本考案は、以上の構成を採用することにより、簡単な構成で、コードを使用する際は、左右方向どちらの、どの位置にも取り出せるし、しかも、前後のうち都合の良い方向より取り出せて、キャップも略中央部の一体的に蝶番機能を持った薄肉部を利用して、前後のどちら側かに開放でき、しかも、一体的なキャップなので取外すこともなく、キャップの置き場所を考慮する必要がなく邪魔にもならない。また、見栄えの良い机を得ることが可能となった。」(第3欄第22行から第4欄第7行)

・「(1)コードを取り出す場合、キャップの略中央部に蝶番機能を持った薄肉部を介して前、後側のどちらか一方を簡単に枠体から持ち上げ係止を取外し、他側は、枠体に係止しておくことができるので、キャップを別な場所に置くことを考慮する必要がなく、また、紛失して捜すこともなくなる。」(第5欄第19行から第24行)

したがって、甲第1号証には、次の発明が記載されている(以下、「甲第1号証発明」という。)。

「天板(1)の奥端縁に幅方向に対して略全長に渡り、コード取り出し部(5)を形成し、該コード取り出し部(5)は、枠体(7)とキャップ(6)とからなり、枠体(7)の前後に枠体係止凹部(11)を形成し、キャップ(6)の前後にキャップ係止凸部(11′)を設け、上記キャップ(6)の前後どちらか一端のキャップ係止凸部(11′)を、上記枠体(7)の前後どちらか一方の枠体係止凹部(11)に着脱自在に取付け、上記キャップ(6)は、略中央部に一体的に蝶番機能を持たせた薄肉部(8)を形成したコード取り出し部を設けた机。」

(2)甲第2号証について
甲第2号証(実開平3-98633号に係る全文明細書)には、図面とともに、以下の記載がある。

・「2.実用新案登録請求の範囲
1.天板(1)の奥端縁に幅方向に対して略全長に渡り、コード取り出し収納部(5)を形成し、該コード取り出し収納部(5)は、枠体(7)とキヤップ(6)とからなり、該枠体(7)には、キヤップ(6)を係止する前後方向に2個所の係合部(8)を形成したことを特徴とするコード取り出し収納部を設けた机。」

・「(6)は枠体(7)の上面開口を覆うように取付けられた合成樹脂製のキャップで、枠体(7)の後部内面と前部内面に形成した係止凹部あるいは係止凸部(8)を形成し、キャップ(6)の両端部に係止凸部、凹部(8’)を形成して、上記枠体の係止凹、凸部に差し込み着脱可能に係止できるようになっている。」(第6頁第3行から第9行)

・「さらに、このキャップ(6)と枠体(7)との構造は、枠体(7)にキャップ(6)を取付け、蓋をした状態のときは、略平坦になるように、例えば第2図に示すようにキャップ(6)に段部(15)を形成して枠体(7)の係止凹部(8)と関連させて係止できると同時に、コードを使用する際には、点線で示してあるように、前後どちらか必要な方向に取り出し、片側だけ係止し、片側は外してフリーに枠体(7)の内側に落し込んでおくことができるように構成してある。
この机は、上記の如き構造であるから、枠体(7)の上面部からキャップ(6)の前、後側のどちらかを適宜選択して係止を解除し、さらに他の側は係止し、この解除した側を枠体(7)の内側に落し込むことにより間隙が出来る。この間隙を利用してコードを引き出し、机上の機器類に配線することができ、また、コンセント等にも配線することができる。さらに、この枠体部分にペントレーを設けておけば筆記用具等を収納することもできる。」(第6頁第18行から第7頁第17行)

したがって、甲第2号証には、次の発明が記載されている(以下、「甲第2号証発明」という。)。

「天板(1)の奥端縁に幅方向に対して略全長に渡り、コード取り出し収納部(5)を形成し、該コード取り出し収納部(5)は、枠体(7)とキヤップ(6)とからなり、該枠体(7)には、後部内面と前部内面に係止凹部あるいは係止凸部(8)を形成し、キャップ(6)の両端部に係止凸部、凹部(8’)を形成して、枠体の係止凹、凸部に差し込み着脱可能に係止できるようにして、枠体(7)の上面部からキャップ(6)の前、後側のどちらかを適宜選択して係止を解除し、さらに他の側は係止し、この解除した側を枠体(7)の内側に落し込むことにより間隙が出来るコード取り出し収納部を設けた机。」

(3)甲第4号証について

甲第4号証(実開平2-117681号に係る全文明細書)には、図面とともに、以下の記載がある。

・「そして、周壁22の短手側の内面上部に対向して、前記上蓋4の前端下面が当接する上蓋4の支持突部221、221が内方に突出して形成され、支持突部221の後方に対向して、上蓋4を回動自在に保持する円柱形の上蓋保持部222、222が内方に突出して形成され、長手側の4隅に取付金具5の逃がし用切り欠き223・・・が形成されている。」(第5頁第10行から第17行)

・「上蓋4は、上面に第1切り離し細溝41に囲まれた第1切り離し片42と、該第1切り離し片42内で、2つの第2切り離し細溝43、43で囲まれた第2切り離し片44、44と、第3の切り離し細溝45、45で囲まれた第3切り離し片46、46を有し、短手側の後端部裏面に、前記保持枠2の上蓋保持部222、222に回転自在で、係脱自在に嵌合する嵌合凹部47、47がもうけられた取付突部48、48が形成されている。」(第7頁第15行から第8頁第4行)

・「次に、上蓋4を保持枠2の上方より取付突部48、48の嵌合凹部47、47を上蓋保持部222、222に嵌合し、上蓋4を保持枠2に対し回動可能に取りつける。」(第9頁第7行から第10行)

7.本件訂正発明1、2、3、8について

(1)本件訂正発明1と甲第1号証発明との対比、判断
本件訂正発明1と甲第1号証発明とを対比すると、後者の「コード取り出し部(5)」、「キャップ(6)」は、それぞれ、前者の「開口部に設けた収納物出入口」、「蓋体」に相当する。
また、後者の、枠体(7)の前後の「枠体係止凹部(11)」とキャップ(6)の前後の「キャップ係止凸部(11′)」とは、前者における、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍の、蓋体を閉止位置に保持する「第1、第2の保持機構」に相当する。
また、後者における「キャップ(6)の前後どちらか一端のキャップ係止凸部(11′)を、枠体(7)の前後どちらか一方の枠体係止凹部(11)に着脱自在に取付け、キャップ(6)は、略中央部に一体的に蝶番機能を持たせた薄肉部(8)を形成した」構成と、前者における「蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持する」構成とは、「蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方側を開閉可能にする」ものである点で共通する。
また、後者の構成も、前者と同様、「蓋体の装着の構造」であるといえる。

したがって、両者は、「天板に巾方向に沿って開口する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方側を開閉可能にする蓋体の装着の構造。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本件訂正発明1の「開口部に設けた収納物出入口」は、「天板の中央部」にあるのに対して、甲第1号証発明の「コード取り出し部(5)」は、「天板の奥端縁」にある点。

[相違点2]
「第1、第2の保持機構」、および「これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方側を開閉可能にする」ことについて、本件訂正発明1では、「第1の保持機構が、収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり」、「これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持する」のに対して、甲第1号証発明では、「枠体(7)の前後に枠体係止凹部(11)を形成し、キャップ(6)の前後にキャップ係止凸部(11′)を設け」たものであり、「キャップ(6)の前後どちらか一端のキャップ係止凸部(11′)を、枠体(7)の前後どちらか一方の枠体係止凹部(11)に着脱自在に取付け、キャップ(6)は、略中央部に一体的に蝶番機能を持たせた薄肉部(8)を形成した」ものである点。

そこで、上記相違点1及び相違点2について検討する。

相違点1について
天板の中央部に開口部を設けることは、例えば甲第6号証?甲第10号証に示すように、周知であり、甲第1号証発明において、「天板の奥端縁」に代えて、「天板の中央部」に開口部を設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。

相違点2について
甲第4号証には、周壁の内方に突出して形成した、上蓋4を回動自在に保持する円柱形の上蓋保持部222、222と、上蓋に形成され、上蓋保持部222、222に回転自在で、係脱自在に嵌合する嵌合凹部47、47がもうけられた取付突部48、48からなる保持機構が記載されている。
ところで、甲第1号証発明は、「第1、第2の保持機構」は、「枠体(7)の前後に枠体係止凹部(11)を形成し、キャップ(6)の前後にキャップ係止凸部(11′)を設け」たものであり、「キャップ(6)の前後どちらか一端のキャップ係止凸部(11′)を、枠体(7)の前後どちらか一方の枠体係止凹部(11)に着脱自在に取付け、キャップ(6)は、略中央部に一体的に蝶番機能を持たせた薄肉部(8)を形成した」ことにより、一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、略中央部に蝶番機能を持たせて形成された薄肉部を中心に開閉するものである。甲第4号証記載の保持機構が、取付のために係脱自在となっており、取りつけ後は回転自在に保持するものであることを考慮すると、甲第1号証発明において、薄肉部の代わりに、中央部に甲第4号証記載の保持機構を採用することは、当業者にとって容易に想到し得ることと認められるが、これを、回転可能に保持するものではなく保持機構としての機能が異なる、キャップ(6)の前後のキャップ係止凸部(11′)、枠体(7)の前後の枠体係止凹部(11)として採用し、一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構を回転中心としてキャップを開閉するようにし、本件訂正発明1のようにすることは、甲1、4号証の記載からは、容易には想到し得ないといわざるを得ない。

したがって、本件訂正発明1は、甲第1号証発明、甲第4号証の記載事項、および周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるとは認められない。

(2)本件訂正発明1と甲第2号証発明との対比、判断
本件訂正発明1と甲第2号証発明とを対比すると、後者の「コード取り出し収納部(5)」、「キヤツプ(6)」は、それぞれ、前者の「開口部に設けた収納物出入口」、「蓋体」に相当する。また、後者の「枠体(7)には、後部内面と前部内面に係止凹部あるいは係止凸部(8)を形成し、キャップ(6)の両端部に係止凸部、凹部(8’)を形成して、枠体の係止凹、凸部に差し込み着脱可能に係止できるようにし」た構成は、前者における、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍の、蓋体を閉止位置に保持する「第1、第2の保持機構」に相当する。
また、後者における「枠体(7)の上面部からキャップ(6)の前、後側のどちらかを適宜選択して係止を解除し、さらに他の側は係止し、この解除した側を枠体(7)の内側に落し込むことにより間隙が出来る」構成と、前者における「蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持する」構成とは、「何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、間隙が出来る」ものである点で共通する。
また、後者の構成も、前者と同様、「蓋体の装着の構造」であるといえる。

したがって、両者は、「天板に巾方向に沿って開口する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、間隙が出来る蓋体の装着の構造。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点3]
本件訂正発明1の「開口部に設けた収納物出入口」は、「天板の中央部」にあるのに対して、甲第2号証発明の「コード取り出し収納部(5)」は、「天板の奥端縁」にある点。

[相違点4]
「第1、第2の保持機構」、および「これら第1、第2の保持機構が、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、間隙が出来る」ことについて、本件訂正発明1では、「第1の保持機構が、収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり」、「これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持する」のに対して、甲第2号証発明では、「枠体(7)には、後部内面と前部内面に係止凹部あるいは係止凸部(8)を形成し、キャップ(6)の両端部に係止凸部、凹部(8’)を形成して、枠体の係止凹、凸部に差し込み着脱可能に係止できるようにし」、「枠体(7)の上面部からキャップ(6)の前、後側のどちらかを適宜選択して係止を解除し、さらに他の側は係止し、この解除した側を枠体(7)の内側に落し込むことにより間隙が出来る」ものである点。

そこで、上記相違点3、4について検討する。

相違点3について
天板の中央部に開口部を設けることは、例えば甲第6号証?甲第10号証に示すように、周知であり、甲第2号証発明において、「天板の奥端縁」に代えて、「天板の中央部」に開口部を設けることは、当業者が容易に想到し得たことである。

相違点4について
甲第4号証には、周壁の内方に突出して形成した、上蓋4を回動自在に保持する円柱形の上蓋保持部222、222と、上蓋に形成され、上蓋保持部222、222に回転自在で、係脱自在に嵌合する嵌合凹部47、47がもうけられた取付突部48、48からなる保持機構が記載されている。
ところで、甲第2号証発明は、「枠体(7)には、後部内面と前部内面に係止凹部あるいは係止凸部(8)を形成し、キャップ(6)の両端部に係止凸部、凹部(8’)を形成して、枠体の係止凹、凸部に差し込み着脱可能に係止できるようにし」、「枠体(7)の上面部からキャップ(6)の前、後側のどちらかを適宜選択して係止を解除し、さらに他の側は係止し、この解除した側を枠体(7)の内側に落し込むことにより間隙が出来る」ものであり、キャップ(6)の前、後側のどちらか一方の係止を解除し、他方を係止して、解除した側を枠体の内側に落とし込むものである。
甲第4号証記載の保持機構を採用すると、解除した側を枠体の内側に落とし込むことができなくなるので、甲第2号証発明の機能を変えずに甲第4号証記載の保持機構を採用することは、想到し得ないといわざるを得ない。また、上方に開閉することを許容するとしても、甲第4号証記載の保持機構を採用する必要性はなく、甲第4号証記載の保持機構が、係止を解除して開閉するために係脱自在となっているのではなく、取付のために係脱自在となっていることを考慮すれば、わざわざ甲第4号証記載の保持機構を採用する理由はないというべきである。

したがって、本件訂正発明1は、甲第2号証発明、甲第4号証の記載事項、および周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものであるとは認められない。

(3)本件訂正発明2、3、8について
また、本件訂正発明2、3、8は、本件訂正発明1に限定を付したものであるから、当業者が容易に想到できたものとすることはできず、本件訂正発明2、3、8は,特許法第29条2項の規定に違反してされたものでない。
また、本件訂正発明3について、「隙間」とは、どの程度の隙間を意味するのか明確でないとの請求人の主張に対して、本件訂正請求により、「配線類を天板上に引き出すことができる隙間」と訂正されたことにより該点は解消されたので、特許法第36条の規定に違反しているとも認められない。

(4)まとめ
以上のとおり、本件特許発明1、2、3及び8は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明、甲第4号証に記載された事項、および従来周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められず、また、発明が明確でないとも認められない。

8.むすび
以上のとおりであるから、本件特許は、請求人の主張及び証拠方法によっては、無効とすることができない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
蓋体の装着の構造、家具
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、机等の家具に付帯して好適に利用される蓋体の装着の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスの急速なOA化の進展に伴って、机上にはパソコンやワープロを始めとする各種のOA機器が配置されるようになっており、これに伴って机上に配線類が乱雑に引き回される不都合が生じ、これら配線類を簡単に落とし込んで収納できるような配線収納空間を机に形成しておく必要が生じている。
【0003】
そこで、配線収納機能を有した配線収納ボックスが開発され、利用に供されている(例えば、下記特許文献1を参照)。具体的には、天板の中央に巾方向に沿って延びる開口部を形成し、この開口部にボックス本体の配線出入口を臨ませた状態で配線収納ボックスを天板に取付け、配線の余長分などを前記配線出入口を介してボックス本体内の配線収納空間に落とし込んで収納するようにしている。
【0004】
しかして、前記ボックス本体を天板に取り付ける場合には、ボックス本体を上方から開口部内に落とし込み、前記天板の開口部の開口縁から突出した突出体の上面に、ボックス本体の上縁に設けた鍔部を添え設けて天板にボックス本体を支持させるようにしている。
【0005】
特に、この種の配線収納ボックスでは、前記配線出入口を開閉し得る位置に着脱可能な蓋体を設け、この蓋体を取り外すことにより、配線の余長分などを前記配線出入口を介してボックス本体内に落とし込んで収納するようにしている。
【特許文献1】特開平11-127967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、天板上から収納物を出し入れすることができるようにして使い勝手を良好なものとし得るとともに、蓋体の一縁を取り付けた状態で収納物出入口を開放できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するべく、本発明では、天板の中央部に巾方向に沿って開口する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するように構成した。
【0008】
天板に形成した開口部にボックス本体の収納物出入口を臨ませた状態で着脱可能に取り付けられる収納ボックスを、前記ボックス本体が、前記収納物出入口を形成する第1のボックス本体要素と、前記第1のボックス本体要素に支持される第2のボックス本体要素とを具備してなり、前記第1、第2のボックス本体要素間に天板の一部を挟み込んだ状態で、両ボックス本体要素を連結することにより天板に支持されるものとすると、ボックス本体を、第1、第2のボックス本体要素に分離しているので、これら第1、第2のボックス本体要素間に天板の一部を挟み込んだ状態で、両ボックス本体要素をねじ等の連結手段により連結すれば、天板にねじ孔を設ける等の加工を施すことなく、天板に対する上動を禁止した状態でボックス本体を天板に支持させることができる。特に、収納ボックスに蓋体を着脱可能に装着する場合には、蓋体の着脱作業時に、ボックス本体を上動させるような外力が働きやすいものであるが、上述したような構成のものであると、蓋体の着脱作業時にもボックス本体の上動を禁止して、その作業を円滑なものとし得る。また、ボックス本体を第1、第2のボックス本体要素に分離しているので、例えば、第1のボックス本体要素を枠体状のものに、第2のボックス本体要素を内部に収納空間を有する箱体状のものにすれば、種々の容量を有する収納ボックスが所望された場合にも、第1のボックス本体要素は同一のものを利用し、第2のボックス本体要素だけを別仕様のものを準備すれば、製造の便を向上させるとともにコストダウンをも図りながら少ない加工工数で使用者の要望にも良好に対応することが可能となる。
【0009】
具体的な実施の形態としては、第1のボックス本体要素が、上下方向に貫通した枠体状のものであり、第2のボックス本体要素が、内部に収納空間を有する箱体状のものが挙げられる。簡単な構成で、ボックス本体を確実に天板に支持させるには、第1、第2のボックス本体要素が、それぞれ外方に突出した第1、第2の鍔部を具備してなり、これら第1、第2の鍔部間に天板の開口部から突出した突出体を挟み込んだ状態で両ボックス本体要素を連結することが望ましい。
【0010】
好適な実施の形態としては、蓋体を具備してなり、この蓋体がボックス本体の収納物出入口を閉止する位置に着脱可能に装着されるものが挙げられる。また、開口部の対向縁部の両側から収納ボックスの収納空間内にアクセスして収納物を出し入れすることができるようにして使い勝手を良好なものとし得るとともに、蓋体の一縁をボックス本体に取り付けた状態で収納物出入口を開放できるようにするには、ボックス本体と蓋体間の対向両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体がボックス本体の対向両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持することが望ましい。
【0011】
保持機構の好適な実施の形態としては、第1、第2の保持機構が、ボックス本体と蓋体の何れか一方側の対向両縁部近傍から突出した軸部と、他方側に設けてなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、前記支持部が、前記軸部を回転可能に支持する軸支持部分と、部材の弾性変形を利用して前記軸部を軸支持部分に挿入可能とするための切欠部分とを具備してなるものが挙げられる。
【0012】
蓋体の着脱作業や開閉作業を行い易いものとするには、蓋体が、閉止位置で、少なくともその外縁の一部と、対向する収納物出入口の開口縁間に上方に開口し配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着されることが望ましい。天板上に置いた筆記具等が誤って収納空間内に落下すること等を防止するには、ボックス本体が、その上面を天板面よりも高い位置に支持されていることが望ましい。
【0013】
収納ボックスの好適な実施の形態としては、ボックス本体が、配線類を収納するものが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上説明したような構成で実施され以下に記載されるような効果を奏する。すなわち、蓋体が収納物出入口を閉止する位置に着脱可能に装着されるものであるならば、蓋体が閉止位置にあるときには、収納物を外部から隠蔽して見栄えを良好なものにするとともに収納物出入口より埃等が入りこむのを防止し、一方、蓋体を取り外して収納物出入口を開放しているときには、収納物の出し入れや、収納物の確認等が行い易いものとなる。
【0015】
収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するならば、開口部の対向縁部の両側からアクセスして収納物を出し入れすることができるようにして使い勝手を良好なものとし得る。また、蓋体の一縁側を取り付けた状態で収納物出入口を開放できるので、収納物出入作業時などに蓋体を紛失してしまう恐れがない。
【0016】
第1、第2の保持機構が、収納物出入口と蓋体の何れか一方側の対向両縁部近傍から突出した軸部と、他方側に設けてなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、前記支持部が、前記軸部を回転可能に支持する軸支持部分と、部材の弾性変形を利用して前記軸部を軸支持部分に挿入可能とするための切欠部分とを具備してなるならば、簡単な構成で、蓋体の着脱作業及び開閉作業を円滑に行い得るものを提供することができる。
【0017】
蓋体が、閉止位置で、少なくともその外縁の一部と、対向する収納物出入口の開口縁間に上方に開口し配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着されるならば、蓋体の着脱作業時や開閉作業時に、隙間内に手を入れて対応することができ、その作業が良好なものとなる。また、特に、収納ボックスが配線収納ボックスとして利用される場合には、前記隙間を介して収納空間内の配線類を天板上に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。本実施例では、図1に示すように、収納ボックスたる配線収納ボックス1を机2の天板21に取り付けて使用した場合について説明する。この机2は、主としてオフィス等で利用されるもので、略矩形状の天板21と、前記天板21を支持する4本の支柱脚22とを有するものである。前記天板21は、中央部に巾方向に沿って開口する開口部23を有し、この開口部23の周囲にパソコン入力作業等を行う作業領域を有するものである。そして、前記開口部23にボックス本体3の収納物出入口たる配線出入口3aを臨ませた状態で前記配線収納ボックス1を天板2に着脱可能に取り付けるようにしている。前記開口部23は、平面視略矩形状のものであり、図3及び図4に示すように、この開口部23の前後の開口縁部23aの下端部より内方に向かって突出体たる突条231を突出している。なお、図3は、前記開口部23を除く天板21全体を想像線で示すものである。
【0019】
配線収納ボックス1は、図2?図4に示すように、上部に配線出入口3aを有するボックス本体3と、前記配線出入口3aを閉止する位置に着脱可能に装着される蓋体4とを具備しており、さらに前記ボックス本体3は、枠体状の第1のボックス本体要素5と、前記第1のボックス本体要素5に支持される箱体状の第2のボックス本体要素6と、第2のボックス本体要素6に着脱可能に装着される網棚7とを具備している。そして、本実施例では、前記第1のボックス本体要素5の前後上端部に設けた第1の鍔部たる前後鍔部53と、第2のボックス本体要素6の前後上端部に設けた第2の鍔部たる前後鍔部64との間に天板21の突条231を挟み込んだ状態で、両ボックス本体要素5、6を連結することによりボックス本体3を天板21に支持させるようにしている。
【0020】
第1のボックス本体要素5は、複数の板金素材を塑性変形加工し、さらに適宜の手段で枠体状に組み合わせて構成した上下方向に貫通しているものである。この第1のボックス本体要素5は、前後壁51と、左右側壁52と、前記前後壁51の上端部から外方に向かって略水平方向に突出した前後鍔部53と、前記左右側壁52の上端部から外方に向かって略水平方向に突出した左右鍔部54とを具備している。前記前後鍔部53は、前後壁51の上端部を断面略ロ字形に折り曲げるとともに、その下方に断面略ロ字形の部材を重合させて形成したものである。なお、この前後鍔部53の頂壁は、図4に示すように、取付位置において略水平状態で位置する水平部分531と、前記水平部分531の内側に位置し、内方に向かう程漸次下降するテーパ状の傾斜部分532とから構成されている。一方、左右鍔部54は、左右側壁52の上端部を断面略コ字形に折り曲げて形成したものである。なお、この第1のボックス本体要素5は、取付位置において、その上面5cを天板面21aよりも2mm程度高い位置に支持されている。
【0021】
第2のボックス本体要素6は、複数の板金素材を塑性変形加工し、さらに適宜の手段で箱体状に構成した内部に配線収納空間Sを有するものである。この第2のボックス本体要素6は、上部を開口させてなるもので、前後壁61と、左右側壁62と、底壁63と、前記前後壁61の上縁を外方に向かって略水平方向に折り曲げ延長して形成した前後鍔部64とを具備している。この第2のボックス本体要素6の巾寸法及び奥行寸法は、前記第1のボックス本体要素5を挿入可能なように該第1のボックス本体要素5よりも若干大きく設定されている。そして、前記第2のボックス本体要素6内に第1のボックス本体要素5を挿入した状態で両ボックス本体要素5、6の左右側壁52、62同士を連結し得るよう、図3に示すように、前記左右側壁62の外面側に、第1のボックス本体要素5の左右側壁52の前後方向2箇所に設けたねじ挿入孔55から挿入したねじVとねじ作用で嵌まるナット部65と、前記第1のボックス本体要素5の左右側壁52の前後方向略中央に設けた挿入孔56から挿入した樹脂リベットRの軸部r1と凹凸嵌合する嵌合凹部66を設けている。また、底壁63の左右方向2箇所には、配線収納空間Sを机2の下肢空間に連通して配線類を外部に引き出し得る配線連通口68が設けてある。
【0022】
網棚7は、複数の線状部材71を溶接等の適宜の手段で格子状に連結しているものである。そして、巾方向に延びる線状部材71の端部を下方に折り曲げて折曲部71aを形成し、この折曲部71aを第2のボックス本体要素6の左右側壁62に上下方向に等しいピッチで複数設けたスリット67に引っ掛け、上下に高さ調整可能に支持させている。この網棚7上には、図示しない配線類やACアダプタ等が載せ置かれるが、常時収納しておく配線類やACアダプタ等は第2のボックス本体要素6の底壁63上に載せ置き、随時取り出すものは、網棚7に載せ置くようにすれば、常時収納しておくものと随時取り出すものを分別して収納することができる。また、この網棚7は、線状部材71により構成されているため、装着状態であっても配線収納空間S内の収納物の確認が行い易いものである。
【0023】
蓋体4は、複数の板金素材を塑性変形加工して形成したもので、図2及び図4に示すように、前後面の下端部側が下方へ行くほど相寄る方向に傾斜したテーパ面となっている。この蓋体4は、閉止位置で、その前後縁部4a、4bと、対向する第1のボックス本体要素5の前後縁部5a、5b間に巾方向に沿って開口する隙間s1を形成した状態で装着されている。また、この蓋体4は、第1のボックス本体要素5の前記配線出入口3aを閉止する位置に着脱可能且つ第1のボックス本体要素5の前後縁部5a、5bの何れか一方或いは他方を選択的に開放し得るように両開き可能に装着されている。すなわち、第1のボックス本体要素5と蓋体4間の前後両縁部近傍に、蓋体4を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構8A、8Bを設け、これら第1、第2の保持機構8A、8Bが、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体4を開閉可能に支持するものである。
【0024】
第1の保持機構8Aは、第1のボックス本体要素5の左右側壁52の前縁部5a側近傍から左右に対をなして突出した軸部81と、蓋体4の前縁部4a側の下面から垂下してなり前記軸部81を選択的に回転可能に支持する支持部82とを具備してなる。一方、第2の保持機構8Bは、第1のボックス本体要素5の左右側壁52の後縁部5b側近傍から左右に対をなして突出した軸部81と、蓋体4の後縁部4b側の下面から垂下してなり前記軸部81を選択的に回転可能に支持する支持部82とを具備してなる前記第1の保持機構8Aと同様の構成を有するものである。
【0025】
支持部82は、弾性変形可能な合成樹脂などの素材により形成されているものである。この支持部82は、その軸心を前記軸部81に一致させた円筒状のものであり、前記軸部81を回転可能に支持する軸支持部分821と、部材の弾性変形を利用して前記軸部81を軸支持部分821に挿入可能とするための切欠部分822とを具備してなる。具体的には、このものは、切欠部分822の開口幅を奥の軸支持部分821の内径よりも小さくしておき、部材の一時的な弾性変形を利用して前記軸部81を前記軸支持部分821に係り合わせるようにしている。
【0026】
次に、この配線収納ボックス1を天板21に設けた開口部23に取り付ける場合の手順について説明する。先ず、図5に示すように、第1のボックス本体要素5を天板21の上方から開口部23内に挿入し、その前後鍔部53の下面が前記突条231の上面に添え設けられる位置まで下方に落とし込み、前記前後鍔部53を突条231に支持させる。
【0027】
次に、第2のボックス本体要素6を天板21の下方から前記突条231の下面に近づけ、第2のボックス本体要素6内に第1のボックス本体要素5の下端部を挿入した状態で、両ボックス本体要素5、6の前後鍔部53、64間に前記突条231を挟み込み、第1のボックス本体要素5の左右側壁52に設けた挿入孔56と、第2のボックス本体要素6の左右側壁62に設けた嵌合凹部66の軸心を略一致させた状態で、図6に示すように、樹脂リベットRの軸部r1を前記嵌合凹部66内に圧入し、第1のボックス本体要素5に第2のボックス本体要素6を仮保持させる。しかる後、第1のボックス本体要素5の内側からねじ挿入孔55を介して挿入したねじVを第2のボックス本体要素のナット部Nに締結して、両ボックス本体要素5、6を連結し、天板2にボックス本体3を支持させる。
【0028】
さらに、蓋体4を前記ボックス本体3に取り付け、閉止位置に保持するには、蓋体4の下面に設けた第1、第2の保持機構8A、8Bの4箇所の支持部82の全てにおいて、その切欠部分822から部材の弾性変形を利用して前記軸部81を軸支持部分821内に挿入し、該軸部81に支持部82を保持させる。一方、第1のボックス本体要素5の前後縁部5a、5bの何れか一方、例えば後縁部5b側を開放して天板21の後縁側から配線作業を行いたい場合には、部材の弾性変形を利用して後縁部5b側に設けてある第2の保持機構8Bの軸部81と支持部82との係り合いを解除し、図8中実線で示すように、前縁部5a側に設けた第1の保持機構8Aの軸部81に対して支持部82を介し蓋体4を回転させることにより、後縁部5b側を開放することができる。逆に、前縁部5a側を開放して天板21の前縁側から配線作業を行いたい場合には、部材の弾性変形を利用して前縁部5a側に設けてある第1の保持機構8Aの軸部81と支持部82との係り合いを解除し、図8中想像線で示すように、後縁部5b側に設けた第2の保持機構8Bの軸部81に対して支持部82を介し蓋体4を回転させることにより、前縁部5a側を開放することができる。
【0029】
このような構成のものであると、ボックス本体3を、第1、第2のボックス本体要素5、6に分離しているので、これら第1、第2のボックス本体要素5、6間に天板21の突条231を挟み込んだ状態で、両ボックス本体要素5、6を連結すれば、天板21にねじ孔を設ける等の加工を施すことなく、天板21に対する上動を禁止した状態でボックス本体3を天板21に支持させることができる。特に、本実施例のようにボックス本体3に蓋体4を着脱可能且つ開閉可能に装着する場合には、蓋体4の着脱作業や開閉作業時に、ボックス本体3を上動させるような外力が働きやすいものであるが、このような蓋体4の着脱作業時にもボックス本体3の上動を禁止して、蓋体4の着脱作業や開閉作業を円滑なものとすることができる。また、本実施例では、第1、第2のボックス本体要素5、6を連結する際に、樹脂リベットRだけでなく、ねじVで止めるようにしているので、第2のボックス本体要素6を確実に第1のボックス本体要素5に支持させ、その落下を防止することができる。
【0030】
さらに、枠体状の第1のボックス本体要素5と、配線収納空間Sを有している箱体状の第2のボックス本体要素6とを分離しているので、例えば、種々の容量を有する配線収納ボックス1が所望された場合にも、第1のボックス本体要素5は同一のものを利用し、比較的簡単な加工で製造できる第2のボックス本体要素6だけを交換すればよい。したがって、製造の便を向上させるとともにコストダウンをも図りながら、使用者の要望に良好に対応することができる。
【0031】
第1、第2のボックス本体要素5、6が、それぞれ外方に突出した前後鍔部53、64を具備してなり、これら前後鍔部53、64間に天板21の開口部23から突出した突条231を挟み込んだ状態で両ボックス本体要素5、6を連結しているので、簡単な構成で確実且つ安定的にボックス本体3を天板21に支持させることができる。
【0032】
蓋体4を具備してなり、この蓋体4がボックス本体3の収納物出入口3aを閉止する位置に着脱可能に装着されるものであるので、図7中実線で示すように蓋体4が閉止位置にあるときには、配線収納空間S内の配線類Hを外部から隠蔽して見栄えを良好なものにするとともに配線収納空間S内に埃等が入りこむのを防止し、一方、ACアダプタ等の比較的大きな収納物を出し入れするときは図7中想像線で示すように蓋体4を取り外して収納物出入口3aを開放して配線作業を行い、配線収納空間S内の配線替えや点検作業を良好に行うことができる。
【0033】
第1のボックス本体要素5と蓋体4間に、蓋体4を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構8A、8Bを設け、これら第1、第2の保持機構8A、8Bが、蓋体4が第1のボックス本体要素5の前後縁部5a、5bに対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体4を開閉可能に支持するので、天板21の前後縁部の両側から配線収納ボックス1の配線収納空間S内にアクセスして配線類やACアダプタなどを出し入れすることができるようにして使い勝手を良好なものとし得る。また、蓋体4の一縁側をボックス本体3に支持させた状態で配線出口3aを開放できるので、配線替えや点検作業時に蓋体4を紛失してしまう恐れがない。
【0034】
第1、第2の保持機構8A、8Bが、第1のボックス本体要素5の前後縁部5a、5b近傍から突出した軸部81と、蓋体4側に設けてなり前記軸部81を選択的に回転可能に支持する支持部82とを具備してなり、前記支持部82が、前記軸部81を回転可能に支持する軸支持部分821と、部材の弾性変形を利用して前記軸部81を軸支持部分821に挿入可能とするための切欠部分822とを具備してなるので、簡単な構成で、蓋体4の着脱作業及び開閉作業を円滑に行い得るものを提供することができる。
【0035】
蓋体4が、その前後縁4a、4bと、対向する第1のボックス本体要素5の前後縁部5a、5b間に上方に開口した隙間s1を形成した状態で装着されるので、蓋体4の着脱作業時や開閉作業時に、隙間s1内に手を入れて作業を行うことができる。また、図1及び図7に示すように前記隙間s1を介して配線収納空間S内の配線類Hを天板21上に引き出すことができる。
【0036】
また、この場合に、本実施例では、前後鍔部53の頂壁の内側が、上方に行くほど配線出入口3aの開口面積が大きくなるように傾斜したテーパ状の傾斜部分532であり、さらに蓋体4も下端部にテーパ面を有しているので、隙間s1の開口巾が広くなり、着脱作業時や開閉作業時に指を挿入しやすいだけでなく、配線類Hの引出し作業も前記傾斜部分532に沿わせて行えば非常に行い易いものとなる。また、このような構成であると、保持機構8を利用して蓋体4を開く際に、より大きな角度で開くことが可能となることは勿論、図8に示すように、蓋体4を前記傾斜部分532で開成位置に保持することができる。
【0037】
第1のボックス本体要素5が、その上面5cを天板面21aよりも若干高い位置に支持されているので、天板面21aに置いた筆記具等が誤って前記隙間s1等を介して配線収納空間S内に落下することを防止することができる。なお、本発明における構成は、以上説明したものに限定されないのは勿論である。例えば、収納ボックスは、配線収納用のものに限定されず、例えば、筆記具等の文房具を収納するものであってもよいのは勿論である。また、第1、第2のボックス本体要素の構成も上述したものに限定されない。さらに、本実施例では、前記隙間s1を、ボックス本体3の巾方向略全域に亘って設けているが、この隙間s1を部分的に設けるようにしてもよい。その他の構成も本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例を示す全体斜視図。
【図2】同要部を示す斜視図。
【図3】同要部を示す分解斜視図。
【図4】同側断面図。
【図5】同作用説明図。
【図6】同取付方法を示す斜視図。
【図7】同作用説明図。
【図8】同作用説明図。
【符号の説明】
【0039】
1…収納ボックス(配線収納ボックス)
21…天板
21a…天板面
23…開口部
3…ボックス本体
3a…収納物出入口(配線出入口)
4…蓋体
4a…外縁(前縁部)
4b…外縁(後縁部)
5…第1のボックス本体要素
5a…縁部(前縁部)
5b…縁部(後縁部)
53…前後鍔部
6…第2のボックス本体要素
64…前後鍔部
8A…第1の保持機構
8B…第2の保持機構
81…軸部
82…支持部
821…軸支持部分
822…切欠部分
S…収納空間(配線収納空間)
s1…隙間
H…配線類
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の中央部に巾方向に沿って開口する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、
収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、
これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持することを特徴とする蓋体の装着の構造。
【請求項2】
前記支持部が、前記軸部を回転可能に支持する軸支持部分と、部材の弾性変形を利用して前記軸部を軸支持部分に挿入可能とするための切欠部分とを具備してなることを特徴とする請求項1記載の蓋体の装着の構造。
【請求項3】
蓋体が、閉止位置で、少なくともその外縁の一部と、対向する収納物出入口の開口縁間に、上方に開口し配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着されることを特徴とする請求項1又は2記載の蓋体の装着の構造。
【請求項4】
天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、
収納物出入口と蓋体間の前後両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、第1の保持機構が、前記収納物出入口の前縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の前縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、第2の保持機構が、前記収納物出入口の後縁部側近傍から左右に対をなして突出した軸部と、蓋体の後縁部側の下面から垂下してなり前記軸部を選択的に回転可能に支持する支持部とを具備してなり、
これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の前後縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するものであり、
蓋体が、閉止位置で、前記蓋体の前後縁部と、対向する収納物出入口の前後縁部間に、配線類を天板上に引き出すことができる隙間を形成した状態で装着され、
前記蓋体が着脱可能に装着されることを特徴とする蓋体の装着の構造。
【請求項5】
天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、
収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するものであり、
前記収納物出入口が配線出入口であることを特徴とする蓋体の装着の構造。
【請求項6】
天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、
収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するものであり、
第1のボックス本体要素と、第1のボックス本体要素の下方に位置し該第1のボックス本体要素に支持される第2のボックス本体要素とを具備するボックス本体を、前記第1、第2のボックス本体要素間に天板の一部を挟み込んだ状態で両ボックス本体要素を連結することによって天板に支持させており、
前記第1のボックス本体要素が収納物出入口を形成していることを特徴とする蓋体の装着の構造。
【請求項7】
ボックス本体が、その上面を天板面よりも高い位置に支持されていることを特徴とする請求項6記載の蓋体の装着の構造。
【請求項8】
請求項1、2又は3記載の蓋体の装着の構造を用いた家具であって、その天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着してなることを特徴とする家具。
【請求項9】
天板が有する開口部に設けた収納物出入口を閉止する位置に蓋体を装着するための構造であって、
収納物出入口と蓋体間の対向両縁部近傍に、蓋体を閉止位置に保持する第1、第2の保持機構を設け、これら第1、第2の保持機構が、蓋体が収納物出入口の対向両縁部に対して両開き可能となるように、何れか一方側の保持機構の保持状態を解除した場合に、他方の保持機構により蓋体を開閉可能に支持するものであり、
前記蓋体が着脱可能に装着されるものであり、
前記収納物出入口が配線出入口であることを特徴とする蓋体の装着の構造。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2011-05-19 
出願番号 特願2004-225417(P2004-225417)
審決分類 P 1 123・ 121- YA (A47B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 陽蔵野 いづみ  
特許庁審判長 川向 和実
特許庁審判官 丸山 英行
田口 傑
登録日 2009-07-31 
登録番号 特許第4349993号(P4349993)
発明の名称 蓋体の装着の構造、家具  
代理人 宮澤 岳志  
代理人 宮澤 岳志  
代理人 平松 麻美  
代理人 森 浩之  
代理人 赤澤 一博  
代理人 赤澤 一博  
代理人 赤澤 一博  
代理人 平松 麻美  
代理人 宮澤 岳志  
代理人 中馬 典嗣  
代理人 竹沢 荘一  
代理人 平松 麻美  

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