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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06F
審判 全部無効 2項進歩性  G06F
管理番号 1241621
審判番号 無効2009-800206  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-09-29 
確定日 2011-06-27 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4135117号発明「投影画像・動画制御システムおよび情報処理表示システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4135117号の請求項3ないし5に係る発明についての特許を無効とする。 特許第4135117号の請求項1、2、6、7に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その7分の4を参加人の負担とし、7分の3を被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4135117号(以下単に「本件」という。)の請求項1?7に係る発明についての出願は、平成19年3月9日(優先権主張平成18年3月10日、平成18年11月21日)に出願した特願2007-60495号の一部を平成19年3月23日に出願した特願2007-76365号の一部を平成19年9月4日に特願2007-229588号として新たな特許出願としたものであって、平成20年6月13日にその発明について特許権の設定登録がされたものである。

これに対して請求人より平成21年9月29日に本件無効審判の請求がなされたものであり、その後の手続の経緯の概要は以下のとおりである。

平成21年12月18日 答弁書の提出[被請求人]
同日 訂正請求書の提出[被請求人]
平成22年 2月10日 弁駁書の提出[請求人]
平成22年 4月30日 口頭審理陳述要領書の提出[請求人]
平成22年 5月 6日 参加申請[請求人側参加人(以下単に「参加人」という。)]
平成22年 5月19日 請求取下[請求人]
平成22年 6月16日 参加許否の決定(参加人の参加を認める。)
平成22年 7月 8日 上申書の提出[参加人]
平成22年 8月20日 上申書の提出[被請求人]
平成22年10月 6日 審理事項通知書の送付
平成22年11月22日 口頭審理陳述要領書の提出[参加人]
平成22年11月24日 口頭審理陳述要領書の提出[被請求人]
平成22年12月 7日 口頭審理
平成22年12月21日 上申書の提出[被請求人]
平成22年12月28日 上申書の提出[参加人]

第2 訂正の可否に対する判断
1 訂正の内容
平成21年12月18日付け訂正請求書に係る訂正の内容は、本件の明細書、特許請求の範囲及び図面を訂正請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲及び図面のとおりに訂正しようとするものであり、以下に示す訂正事項A及びBよりなる。

(1)訂正事項A
本件の特許請求の範囲の請求項1である
「所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアと、その映像表示エリアに投影される動画または画像を制御するためのアイコン画像が表示されるコントローラエリアとからなり、少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段と、
前記コントローラエリアに形成されたドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったコントローラエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに表示される動画または画像の出力を制御する制御手段とからなる投影画像・動画制御システム。」を、

「所定の座標値およびコード値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアと、その映像表示エリアに投影される動画または画像を制御するためのアイコン画像が投影されるコントローラエリアとからなり、少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段と、
前記コントローラエリアに形成されたドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったコントローラエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに投影される動画または画像の出力を制御する制御手段とからなる投影画像・動画制御システム。」に訂正する。

(2)訂正事項B
本件の明細書の段落【0010】である
「本発明の請求項1は、所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、前記投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアと、その映像表示エリアに投影される動画または画像を制御するためのアイコン画像が表示されるコントローラエリアとからなり、少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段と、前記コントローラエリアに形成されたドットパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段が読み取ったコントローラエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに表示される動画または画像の出力を制御する制御手段とからなる投影画像・動画制御システムである。」を、

「本発明の請求項1は、所定の座標値およびコード値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、前記投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアと、その映像表示エリアに投影される動画または画像を制御するためのアイコン画像が投影されるコントローラエリアとからなり、少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段と、前記コントローラエリアに形成されたドットパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段が読み取ったコントローラエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに投影される動画または画像の出力を制御する制御手段とからなる投影画像・動画制御システムである。」に訂正する。

これらの訂正事項について検討すると、上記訂正の可否について参加人及び被請求人との間に争いはなく、上記訂正は、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、平成21年12月18日付けの訂正は、特許法134条の2第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とし、また、同条5項において読み替えて準用する同法126条3?5項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 本件特許発明
本件の請求項1?7に係る発明(以下、これらの請求項に係る発明を項番号に対応して、「本件特許発明1」などといい、これらをまとめて「本件特許発明」という。)は、平成21年12月18日付けの訂正請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「本件明細書等」という。)の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される以下のとおりである。

「【請求項1】
所定の座標値およびコード値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアと、その映像表示エリアに投影される動画または画像を制御するためのアイコン画像が投影されるコントローラエリアとからなり、少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段と、
前記コントローラエリアに形成されたドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったコントローラエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに投影される動画または画像の出力を制御する制御手段とからなる投影画像・動画制御システム。
【請求項2】
前記投影ボードは、ホワイトボードの表面に粘着層を介して透明シートが貼付されており、前記ドットパターンは透明シートと粘着層との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の投影画像・動画制御システム。
【請求項3】
所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボード上に少なくともプログラムの起動を意味するアイコン画像を投影するとともに、当該アイコン画像に対応した、記憶装置にインストールされたプログラムの表示画像または動画を投影する投影手段と、
前記投影されたアイコン画像の領域に予め形成されているドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する起動信号に基づいて記憶装置からプログラムを起動する制御手段とからなる、情報処理表示システム。
【請求項4】
前記投影ボードのドットパターンが形成された面と、画像、動画またはアイコン画像を投影する面とは異なる面であり、前記投影ボードに対して投影手段はリアプロジェクタとして配置される請求項1または3記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。
【請求項5】
前記投影ボードのドットパターンは赤外線吸収特性材料で構成され、少なくとも投影手段側の面には、赤外線カットフィルタが設けられていることを特徴とする請求項4記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。
【請求項6】
前記投影ボード上に形成されたドットパターンは、座標値とコード値とが同一のパターン中に定義されており、
前記ボード上は所定のマトリクス区画が形成されており、同一のマトリクス区画内では、座標値の変化にかかわらず同一のコード値が付与されている請求項1?5のいずれかに記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。
【請求項7】
前記アイコン画像は、前記1つまたは複数のマトリクス区画にわたって配置されており、当該アイコン画像のドットパターンが読取手段で読み取られることにより、当該アイコン画像に対応した映像の制御またはプログラムの起動が指示されることを特徴とする請求項6記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。」

第4 参加人の主張
これに対して、参加人は、証拠方法として以下の甲2?5、7、9及び参考資料1、2-1、2-2(以下それぞれ「参1」、「参2-1」、「参2-2」という。)を提出し、本件特許発明について、以下の理由により無効にすべきであると主張している。
なお、平成22年11月22日付け口頭審理陳述要領書において、参加人は、参加人の主張する請求の理由は、平成22年7月8日付け上申書及び前記口頭審理陳述要領書に記載したとおりであり、それ以外の請求人の主張及び証拠は援用しない旨述べており、特に、訂正手続きの適法性の主張及び甲6、8、10?12は援用しない旨述べている。したがって、請求人が主張した請求の理由及び証拠のうち、参加人の主張していないものについては検討しない。

1 本件特許発明1は不明確であり、本件特許発明1を前提とする(従属する請求項である)本件特許発明2、4?7も不明確であるから、本件特許発明1、2、4?7についての特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法123条1項4号に該当し、無効にすべきものである(以下、「無効理由1」という。)。具体的には以下のとおり。
(1)本件特許発明1の「所定の座標値およびコード値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボード」について、次の2つのどちらを意味するのか、不明である。
[意味イ]「投影ボード」には、「座標値」がパターン化されたドットパターンが形成された部分と「コード値」がパターン化されたドットパターンが形成された部分の両方が存在し、「座標値」も「コード値」も、“同じフォーマットに従って”パターン化されている。
[意味ロ]「投影ボード」には、各位置で「座標値およびコード値」をひとまとめにしてパターン化したドットパターンが形成され、「座標値」と「コード値」の両者が“一つのフォーマット中に入って”パターン化されている。
(2)「コード値」に「座標インデックス」が含まれるか否か不明である。
(3)「アイコン画像が投影されるコントローラエリア」との記載があるから、コントローラエリアにアイコン画像を投影する手段がなければ実現され得ないものであるが、その手段が不明確である。ただし、「少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段」が、コントローラエリアにアイコン画像を投影することも行う、と理解されることを条件として、解消しているものと考える。

2 本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載されていないから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法123条1項4号に該当し、無効にすべきものである(以下、「無効理由2」という。)。具体的には以下のとおり。
(1)本件特許発明1は、(a)座標値およびコード値が形成された投影ボードであって、座標値に対応する制御信号により動画又は画像の出力を制御する発明と、(b)座標値およびコード値が形成された投影ボードであって、コード値に対応する制御信号により動画又は画像の出力を制御する発明とを含む発明を特定するものであるが、本件特許明細書には、上記(a)の発明が記載されていない。ただし、ドットパターンの構成のみを「座標値およびコード値」が“一つのフォーマット中に入って”いるものとし、ドットパターンを変換して投影手段へ制御信号を出力する際には「座標値またはコード値」のいずれか一方しか使わず、「座標値またはコード値」がパターン化されているのと同じ技術的意味しか持たないものと理解する限りにおいて、明細書のサポートがあると仮定しても構わない。
(2)「アイコン画像が投影されるコントローラエリア」との記載があるから、コントローラエリアにアイコン画像を投影する手段がなければ実現され得ないものであるが、その手段が発明の詳細な説明に記載されていない。ただし、「少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段」が、コントローラエリアにアイコン画像を投影することも行う、と理解されることを条件として、解消しているものと考える。

3 本件特許発明は、本件出願前、日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効にすべきものである。(以下、「無効理由3」という。)具体的には以下のとおり。
(1)本件特許発明1は、甲2に記載された発明に基づき、甲7を参照することにより、若しくは、甲7を参照するとともに参1及び甲9に示される技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明できたものである。また、仮に、本件特許発明1の「コントロールエリア」が、被請求人のいうような“複数のアイコンが一箇所に集められている”ものに限定されたとしても、甲3に記載された事項を更に適用することにより、当業者が容易に発明できたものである。
(2)本件特許発明2は、本件特許発明1同様に、若しくは、更に甲4を参照することにより、当業者が容易に発明できたものである。
(3)本件特許発明3は、甲2に記載された発明及び技術常識に基づいて、若しくは、甲2に記載された発明及び甲5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
(4)本件特許発明4は、本件特許発明1同様に、若しくは、本件特許発明3同様に、当業者が容易に発明できたものである。
(5)本件特許発明5のうち、本件特許発明1に従属する発明は、本件特許発明1同様に、当業者が容易に発明できたものであり、本件特許発明3に従属する発明は、甲2に記載された発明及び技術常識、若しくは、甲2に記載された発明及び甲5の記載事項に基づき、甲7を参照すること、若しくは、甲7を参照するとともに参1及び甲9に示される技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明できたものである。
(6)本件特許発明6のうち、本件特許発明1に従属する発明は、本件特許発明1同様に、当業者が容易に発明できたものであり、本件特許発明3に従属する発明は、甲2に記載された発明及び技術常識、若しくは、甲2に記載された発明及び甲5の記載事項に基づき、甲7を参照すること、若しくは、甲7を参照するとともに参1及び甲9に示される技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明できたものである。
(7)本件特許発明7のうち、本件特許発明1に従属する発明は、本件特許発明1同様に、当業者が容易に発明できたものであり、本件特許発明3に従属する発明は、甲2に記載された発明及び技術常識、若しくは、甲2に記載された発明及び甲5の記載事項に基づき、甲7を参照すること、若しくは、甲7を参照するとともに参1及び甲9に示される技術的事項を適用することにより、当業者が容易に発明できたものである。

甲2:特開2002-149331号公報
甲3:御池鮎樹、本山春紀、「メディアプレイヤー攻略マニュアル」、初版、株式会社工学社、平成15年8月1日発行、第6、7、23?29頁
甲4:実願昭52-165527号(実開昭54-91466号)のマイクロフィルム
甲5:特許第3475235号公報
甲7:特再表2004-29871号公報
甲9:特開2004-94907号公報
参1:特開2000-293303号公報
参2-1:国際公開00/73981号
参2-2:特表2003-500777号公報

第5 被請求人の主張
一方、被請求人は、参加人の主張にはいずれも理由がなく、本件特許発明は無効とされるものではないから、「本件審判の請求は成り立たない」との審決を求める旨主張している。

第6 無効理由1(特許法36条6項2号違反)についての当審の判断
1 本件特許発明1について
(1)上記「第4 1(1)」の主張について
参加人は、本件特許発明1の「所定の座標値およびコード値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボード」(以下「構成要件A」という。)について、次の2つのどちらを意味するのか、不明である旨主張している。
[意味イ]「投影ボード」には、「座標値」がパターン化されたドットパターンが形成された部分と「コード値」がパターン化されたドットパターンが形成された部分の両方が存在し、「座標値」も「コード値」も、“同じフォーマットに従って”パターン化されている。
[意味ロ]「投影ボード」には、各位置で「座標値およびコード値」をひとまとめにしてパターン化したドットパターンが形成され、「座標値」と「コード値」の両者が“一つのフォーマット中に入って”パターン化されている。
しかしながら、本件明細書の段落【0060】?【0065】、【0300】?【0305】、図9(b)及び図85?87を参酌すると、構成要件Aが[意味ロ]のみを意味していることは明らかである。

(2)上記「第4 1(2)」の主張について
参加人は、「コード値」には、「座標インデックス」が含まれるか否か不明である旨主張している。
しかしながら、「コード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに表示される動画または画像の出力を制御する」(【請求項1】)との記載から、「コード値」は制御信号に変換されるものであるが、「座標インデックス」とは、「媒体である紙のページ番号等を登録する領域であり、ドットパターンとしてXY座標が登録された媒体自体を識別する識別子やページ番号を登録することができる。」(段落【0064】)という記載にかんがみて、「座標インデックス」は、制御信号に変換されるものではない。したがって、「コード値」が、「座標インデックス」を含まないことは明らかである。

(3)上記「第4 1(3)」の主張について
発明の構成が明示的に記載されずとも、発明の構成が明確に把握できれば、その発明は明確である。請求項1には、「アイコン画像が投影されるコントローラエリア」との記載があることから、本件特許発明1には、明示的な記載はないが、コントローラエリアにアイコン画像を投影する手段が含まれていることは明らかである。したがって、本件特許発明1が不明確であるとはいえない。

よって、請求項1の記載に参加人主張の不備は認められず、本件特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号違反であるとする参加人の主張は、採用できない。

2 本件特許発明2、4?7について
上記のとおり、請求項1の記載に参加人主張の不備は認められないから、請求項2、4?7は請求項1を引用しているので、本件特許発明2、4?7は、本件特許発明1と同様の理由により明確でないという参加人の主張は、採用できない。
よって、本件特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号違反であるとする参加人の主張は、採用できない。

第7 無効理由2(特許法36条6項1号違反)についての当審の判断
1 本件特許発明1について
(1)上記「第4 2(1)」の主張について
本件明細書の段落【0300】?【0305】及び図85?87には、座標値とコード値の両者が一つのフォーマット中に入ってパターン化されたドットパターンを形成した投影ボードが記載され、また、ドットパターンを読み取り、コード値に対応するコマンドにより動画の出力を制御することが記載されている。本件明細書の段落【0260】?【0266】及び図68?70には、座標値がパターン化されたドットパターンを形成した投影ボードが記載され、また、ドットパターンを読み取り、座標値に対応するアプリケーションプログラムが起動することが記載されている。これらの記載をあわせてかんがみると、座標値とコード値の両者が一つのフォーマット中に入ってパターン化されたドットパターンを形成した投影ボードにおいて、ドットパターンを読み取り、座標値又はコード値のどちらかに対応する制御信号を出力して動画または画像の出力を制御することが記載されているといえる。

(2)上記「第4 2(2)」の主張について
請求項1には、「アイコン画像が投影されるコントローラエリア」との記載があることから、本件特許発明1には、明示的な記載はないが、コントローラエリアにアイコン画像を投影する手段が含まれていることは明らかである。
一方、本件特許明細書の段落【0265】及び図68には、コントローラエリアにアイコン画像を投影する手段として、プロジェクタが記載されている。
したがって、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載されてないとはいえない。

よって、請求項1の記載に参加人主張の不備は認められず、本件特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号違反であるとする参加人の主張は、採用できない。

2 本件特許発明2、4?7について
上記のとおり、請求項1の記載に参加人主張の不備は認められないから、請求項2、4?7は請求項1を引用しているので、本件特許発明2、4?7は、本件特許発明1と同様の理由によりサポートされていないという参加人の主張は、採用できない。

第8 無効理由3(特許法29条2項)についての当審の判断
1 甲2?5、7、9及び参1の記載

甲2?5、7、9及び参1は、本件優先日前に頒布された刊行物である。

(1)甲2(特開2002-149331号公報)
甲2には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0003】前述のような座標入力装置は各種の形態,サイズを有するものであり、小型の携帯型のパソコンあるいは端末の表示装置と一体的に構成されるものから、デスクトップにて使用するタブレットあるいは表示装置と一体化されたもの、さらには大型のプラズマディスプレイ,プロジェクタディスプレイに搭載されるものまで、幅広い範囲に普及している。いずれの形態,サイズにおいても、入力指示器であるペンを座標入力板に近づける、あるいは当接することで、入力指示器の位置座標、すなわち入力点が座標入力装置により検出され、座標入力装置からコンピュータに出力される。該入力点の位置座標の出力結果に基づいて該コンピュータにより所定の機能、例えばメニューコマンドの実行等が行われる。」(段落【0003】)

イ 「【0030】
【実施例】(実施例1)図1は、実施例1である“座標入出力装置”で用いる入力指示器のペン1の構成を示すブロック図であり、図2は本実施例全体のシステム構成を示すブロック図である。
【0031】まず、全体のシステム構成について説明する。図2において、コード化された座標情報が記録された座標板11が、プラズマディスプレイ(PDP)21の前面に設置されて、いわゆる入出力一体型(座標入出力装置)として構成されている。PDP21はCPU23の指示に基づきPDP駆動回路22により所望の画像を表示する。ペン1は前記座標情報を検出し、座標データをCPU23に接続された受信手段24に送信する。受信手段24の受信結果に基づき、CPU23は所定の処理を実行する。該処理は、例えばペン1による入力点の座標データに対応する位置のメニューコマンドの実行が行われる。またPDP駆動回路22により、前記ペン1の位置に相当する点をPDP21に表示することもできる。また、ペン1による入力が連続的になされる場合には、所定のサンプリングレートで検出した入力点群を線で結ぶことで、ペン1の操作の軌跡をPDP21に表示することができる。さらには、この軌跡を識別判断することで、文字あるいは図形の認識、あるいはジェスチャーコマンドの実行等を行うことができる。また、ペン1にマウスボタンに相当するスイッチ(不図示)を設け、該スイッチをONすることで、座標データとともに該ONの情報を送受信することで、ペン1により指示されているメニューコマンドあるいはアイコンを選択あるいは実行することもできる。この場合は、各種のアプリケーションソフトが、ペン1により操作できる。
【0032】次に、ペン1の構成について説明する。図1において、2はCCDエリア(2次元)センサあるいはCMOSエリアセンサ等のエリアセンサであり、対物レンズ3を介して座標板11の表面近傍を読み取るように構成されている。エリアセンサ2に読み取られる領域は、その中に後述のX座標値およびY座標値を表すドットアレイ12が、それぞれ確実に1個以上含まれる領域となるように、エリアセンサ2および対物レンズ3が構成される。後述するように、ドットアレイ12が、PDP21の表示画素の画素ピッチと概ね同等のピッチで、X座標値をコード化したドットアレイ12とY座標値をコード化したドットアレイ12が、交互に配列され形成されている場合には、前記領域はPDP21の表示画素で例えば2×2表示画素分より広い領域となる。本実施例では、エリアセンサ2に読み取られる領域は、PDP21の2.5×2.5表示画素分とする。またエリアセンサ2の複数の画素が後述するドットアレイ12を構成する1個のドットに対応するように、エリアセンサ2および対物レンズ3が構成される。本実施例では、エリアセンサ2の3×3の9個の画素が1個のドットに対応するように構成される。
【0033】4は座標板11を照射する発光素子であり、例えばLED,半導体レーザ素子等が用いられる。必要に応じ照射光線を平行光とするコリメータレンズ5が設けられる。また、発光素子4の利用効率を高めるために反射鏡等の集光手段が用いられてもよい。
【0034】信号処理回路6はエリアセンサ2の出力を該エリアセンサ2の画素毎に2値化し、デジタル画像情報として演算制御回路7に出力するものである。該2値化は、後述の、座標板11に記録された座標情報がドットアレイから形成される場合には、ドットがある場合には「1」の情報として、ドットがない、あるいは背景は「0」の情報として行われるものである。該2値化において、PDP21の表示画像の内容により、例えば白の画像と黒の画像の境界にペン1が位置した場合には、エリアセンサ2から見て座標板11の後方の該表示画像の影響で、エリアセンサ2中の場所により画素毎の出力レベルが大きく変化し、2値化のために固定しきい値処理ができない場合がある。このような場合には、周知である、複数の画素の出力レベルからセンサ出力の増幅率を変更する等のいわゆる自動利得制御(AGC)が用いられる。あるいは、いわゆる画像処理技術において周知である、エリアセンサ2の任意の画素の出力と、該画素の近傍の複数画素の出力の局所平均値との比較により2値化を行う移動平均法等の動的しきい値処理が用いられる。該動的しきい値処理は、必要に応じ演算制御回路7で実行される。
【0035】前記2値化されたデジタル情報は、マイクロコンピュータ、制御手順あるいは座標情報と座標値の対応テーブル等を記憶したROM、該デジタル画像情報を記憶するROM等からなる演算制御回路7に送られ記憶される。演算制御回路7において、後述の、中心近傍の第1および第2のドットアレイの抽出、該抽出したドットアレイのX座標,Y座標の区別、各座標値、およびX軸,Y軸の方向が判断され、各ドットアレイの中心からの距離が算出され、ペン1の座標値が決定される。
【0036】決定された座標値は、送信手段8に送られ、送信手段8より所定の通信フォーマットに基づき、赤外線あるいは電波を利用して受信手段24に送信される。受信手段24は所定の小型軽量なボックスに収納されており、CPU23とはRS-232C等のインターフェースで接続されている。
【0037】なお、ペン1には、エリアセンサ2,発光素子4,信号処理回路6,演算制御回路7、および送信回路8等の駆動のための電源である電池9が内蔵されている。
【0038】また、図示しないペン先スイッチが設けられている。該ペン先スイッチは、ペン1が座標板11に当接される時に、ペン先部がペン軸に沿ってペン1後端方向に所定量スライドすることにより、ONされる。該ペン先スイッチにより、ペン1が座標板11に当接している、すなわち入力状態にある時のみ、所定の時間間隔、すなわち所定のサンプリングレートで、前記各部の駆動,座標情報の読取り,座標値の決定,送信等が行われる。このため、極めて長い電池寿命が実現できる。さらに、該ペン先スイッチのON/OFFの状態を、座標値と共に送信手段8により、CPU23側に送信してもよい。
【0039】次に、座標板11の構成について説明する。本実施例においては、図1に示すように、座標板11は2枚のフレキシブルな透明フィルム11aおよび11bが貼り合わされた2層の積層構造となっている。フィルム11aおよび11bの材質は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、あるいはアクリル等の透明なプラスチックからなるものである。フィルム11aとフィルム11bとはアクリル系等の透明な接着剤あるいは両面粘着テープにより貼り合わされる。該フィルム11aあるいは11bのいずれか一方の貼り合わせ面には、後述するマトリクス状のドットアレイ12が、所定のピッチで断続的に、入力有効領域全域に形成されている。該入力有効領域は、PDP21の表示画面全域に対しペン1による入力が可能になるように、PDP21の表示領域よりも所定サイズ大きく設定されている。」(段落【0030】?【0039】)

ウ 「【0042】ここで、ドットアレイ12において、ドットがある場合には「1」の情報であり、ドットがない、すなわち座標板11の背後のPDP21の表示面を背景とする透明な座標板11面が「0」の情報である。該PDP21の表示面が、前記対物レンズ3の被写体深度外に配置されるように構成することで、エリアセンサ2により読み取られた画像において、ドットがない場所および背景はぼけた画像となり、ドットがある場所との適切なコントラストが得られる。また、ドットアレイの色は特別に限定される必要はない。ただし、ドットアレイ12の存在がPDP21の表示画像に与える影響は皆無ではないため、表示画像の内容によらず前記コントラストが得られる許容範囲内で、より目立たない色、例えばグレー等が望ましい。」(段落【0042】)

エ 「【0046】次に、前記ドットアレイ12についてさらに詳しく説明する。図3に入力有効領域のごく一部分の拡大図を示す。井型の細線で区切った領域がPDP21の1表示画素に相当し、該表示画素の画素ピッチと概ね同等のピッチで、入力有効領域のX座標値をコード化したドットアレイ12Xi,12Xi+1,12Xi+2が、Y座標値をコード化したドットアレイ12Yj,12Yj+1,12Yj+2が、交互に配列され形成されている。前記表示画素が正方形で、表示画面の横方向をX軸、縦方向をY軸とするように座標板11のドットアレイ12が形成される場合、X軸方向とY軸方向にいずれも同ピッチでドットアレイ12が形成される。入力有効領域全域に同様に、X座標値をコード化したドットアレイ12X1?12Xmが、Y座標値をコード化したドットアレイ12Y1?12Ynが、交互に配列され形成されていることは言うまでもない。なお、図3において、PDP21の表示画素の画素間に合わせてドットアレイ12を配置しているように示しているが、これはあくまで説明をより簡潔に分かりやすくするためのもので、実際にはPDP21の表示面に座標板11を貼り合わせるものであるから、相応の位置ズレがあることは言うまでもない。
【0047】ドットアレイ12は6行×3列のマトリクス状で、1個のドットアレイ12は18個のドットから形成されている。図3において、「1」を表すドットがある状態を黒いドットで、「0」を表すドットがない状態を囲みのある白いドットで、模式的に表してある。当然ではあるが、実際にはドットのみが存在するものである(例えば図5)。ドットのサイズは、操作者がほとんど識別できない程度のサイズが望ましく、例えば数十μm程度の直径あるいは辺からなる、円状あるいは多角形状に形成される。また、ドット間にはドットサイズとほぼ同等の間隙が設けられる。該間隙は、「1」が連続する場合、すなわち黒いドットが連続する場合に、結果的に大きなドットとなり、操作者が操作時にドットを識別してしまい、該ドットが気になり操作性が低下してしまうことを、防止するものである。
【0048】前記18個のドットのうち、最下位の行である6行目の3ドットが、X座標とY座標の判別のために使用される。すなわち、図3において、左側から「1,0,0」と構成されていればx座標値を、「0,0,1」と構成されていればY座標値を表すものである。また、最上位の行である1行目の3ドットは、全てのアレイ12で「1,1,1」と構成される。これにより、ペン1の回転方向、すなわちエリアセンサ2の座標板11の平面における向きに関わらず、マトリクスの方向が定まり、その結果X軸およびY軸の方向(正あるいは負の方向)が一義的に定まるものである。そして、2行目から5行目の12ドットによりXおよびYの座標値がコード化される。本実施例においては、12ドットの有無により4096通りの座標値が表現できる。前記エリアセンサ2の向きによらず、エリアセンサ2の画素配列が分かっていることは言うまでもない。」(段落【0046】?【0048】)

オ 「【0068】(実施例2)本発明の座標入出力装置において、座標板が取り付けられるディスプレイは、前記実施例1のPDPに限定されるものではなく、液晶ディスプレイあるいはフロント,リアプロジェクタ等の各種方式、あるいは小型から大型までの各種の表示画面サイズ等、いずれの表示手段でも本発明は適用しうるものである。また、取り付け方法は、前記実施例の粘着テープに限定されるものではなく、様々な手法が適用しうる。
【0069】この1例を実施例2として説明する。
【0070】図9は、リアプロジェクタ31に座標板11を取り付けた実施例2の模式図である。リアプロジェクタ31の表示面であるスクリーン面31aの外側四隅に、繊毛状の付着テープ(いわゆるマジックファスナー(登録商標)、マジックテープ(登録商標)、あるいはベルクロと呼ばれるもの)15a,15b,15c,15dが、両面テープ等により設けられている。座標板11は前記スクリーン面31aより所定量大きいサイズの入力有効領域を有し、さらに入力有効領域の外側の、前記付着テープ15a,15b,15c,15dに対向する位置に付着テープ14a,14b,14c,14dが両面テープ等により設けられている。そして、前記座標板11の付着テープ14a,14b,14c,14dをリアプロジェクタ31の付着テープ15a,15b,15c,15dに押接することで、極めて簡単に座標板11をリアプロジェクタ31のスクリーン面31aに取り付けることができる。また、取り外しは、付着テープ14a,14b,14c,14dを付着テープ15a,15b,15c,15dから剥がし取るだけでよい。
【0071】(実施例3)図10は、いわゆるホワイトボード41に座標板11を取り付けた実施例3の模式図である。
【0072】座標板11の上下両端部には棒状部材16a,16bが設けられている。該棒状部材16a,16bのホワイトボード41に対向する面には、不図示の磁石が複数箇所に設けられている。ホワイトボード41のボード面41aは、一般的に、アルミメッキを施した銅板にガラス被膜を焼き付けた、いわゆるホーロー銅板が使用されており、該ボード面41aに前記磁石により、極めて簡単に座標板11を取り付けることができる。
【0073】また、棒状部材16a,16bを上下方向に引っ張ることで、座標板11が弛みなくボード面41aに取り付けられるものである。また、座標板11を取り外し、巻き取る場合には、棒状部材16aあるいは16bに座標板11のフィルムを巻き付けていけばよく、極めて簡単な操作で座標板11を携帯可能な状態にし得るものである。前記ボード面41aに座標板11を取り付けた状態で、該座標板11に不図示のフロントプロジェクタによりパソコン等の表示画面を投射することで、いわゆる入出力一体型の構成が可能となるものである。」(段落【0068】?【0073】)

カ 「【0075】(実施例の変形等)前述のホワイトボード41ではなく、スクリーン面あるいは壁面等にいわゆるフック等の各種手段により座標板11を取り付けてもよい。さらには、フレキシブルで巻き取り可能なフロントプロジェクタ用スクリーン自体が座標板を構成してもよい。例えば白色マット面等を有するフロントプロジェクタ用スクリーンの表面に座標情報を形成する構成においても、本発明は適用されるものである。」(段落【0075】)

キ 「【0078】前述のいずれの場合においても、座標板11を巻き取りが可能なフレキシブルなフィルム状に構成することで、極めて携帯性に優れる座標入力装置が実現できる。また、フィルムの層問に座標情報が形成され構成により、座標板11表面における、ペンあるいは指等による当接,打突あるいは擦れ等、あるいは座標板裏面における、表示面,机面あるいは携帯中の様々な物体との接触,打突,摩擦等により、座標情報に傷,変形,摩滅,薄色化,変色,脱落等が生じることがまったくなく、極めて高い信頼性で、恒久的に座標情報を保持できる。」(段落【0078】)

ク 「【0081】前記実施例において、座標情報はX座標値とY座標値とを単独に形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の主旨のひとつは、複数層の座標板の層間に座標情報を形成することで、極めて高い信頼性、かつ安価に座標情報を半永久的に保持することが可能になるということであり、座標情報の構成に限定があるものではない。例えば、一つの座標情報にXおよびY座標値がコード化され含まれる構成でもよい。該構成は、例えばドットマトリクス状に座標情報を形成し、上位行にX座標値を、下位行にY座標値を形成する等の手法で可能となるものである。もちろん、ひとつの座標情報の中にXおよびY座標値を含める手法は、いかなる手法でもよいことは言うまでもない。座標情報をコード化する手法は、実施例のドットアレイに限るものではなく、間隙がなく連続するドット、すなわち線状図形の長さによるコード化、あるいは2種類の線の幅および間隔による、いわゆるバーコードによるコード化等、座標情報がコード化可能な手法であれば、いかなる手法でもよい。」(段落【0081】)

ケ 「【0090】座標情報を検出する、あるいはX座標値とY座標値を識別する、あるいは座標値を決定する等のための電気・電子回路部である信号処理回路および演算制御回路は、必ずしも入力指示手段に内蔵される必要はない。すなわち、入力指示手段の形状、あるいは入力指示手段に内蔵される電池特性、あるいは入力指示手段とCPU等が設置される本体との通信方法等の仕様により、信号処理回路および演算制御回路を前記本体側に設けてもよい。この場合、入力指示手段の送信手段と本体側の受信手段間での送受される情報の内容が、必要に応じ様々な形態となることは言うまでもない。また、前記実施例のように、送信手段,受信手段を設けずに、所定の接続コードにより入力指示手段と本体とを接続してもよい。この場合には、入力指示手段に電池を設けることなく、前記接続コードにより電源供給を行う構成も可能であることは言うまでもない。」(段落【0090】)

以上の記載によれば、甲2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「コード化された座標情報が記録された座標板11が、ホワイトボード41のボード面41aに取り付けた状態で、座標板11にフロントプロジェクタによりパソコンの表示画面を投射する座標入出力装置であって、
座標板11は、2枚のフレキシブルな透明フィルム11aおよび11bが貼り合わされた2層の積層構造となっており、フィルム11aとフィルム11bとは貼り合わされ、該フィルム11aあるいは11bのいずれか一方の貼り合わせ面には、マトリクス状のドットアレイ12が、所定のピッチで断続的に、入力有効領域全域に形成され、
入力有効領域のX座標値をコード化したドットアレイ12Xi、12Xi+1、12Xi+2が、Y座標値をコード化したドットアレイ12Yj、12Yj+1、12Yj+2が、交互に配列され形成され、
1個のドットアレイ12は、6行×3列のマトリクス状で、18個のドットから形成され、18個のドットのうち、2行目から5行目の12ドットによりXおよびYの座標値がコード化されており、
ペン1は、エリアセンサ2であり、対物レンズ3を介して座標板11の表面近傍を読み取るように構成され、
エリアセンサ2に読み取られる領域は、その中に後述のX座標値およびY座標値を表すドットアレイ12が、それぞれ確実に1個以上含まれる領域となるように、エリアセンサ2および対物レンズ3が構成され、
信号処理回路6は、エリアセンサ2の出力を該エリアセンサ2の画素毎に2値化し、デジタル画像情報として演算制御回路7に出力するものであり、
演算制御回路7において、ペン1の座標値が決定され、
決定された座標値は、送信手段8に送られ、送信手段8より受信手段24に送信され、
フロントプロジェクタは、CPU23の指示に基づき所望の画像を投射し、
受信手段24の受信結果に基づき、CPU23は、ペン1による入力点の座標データに対応する位置のメニューコマンドの実行を行い、
ペン1にマウスボタンに相当するスイッチを設け、該スイッチをONすることで、座標データとともに該ONの情報を送受信することで、ペン1により指示されているメニューコマンドあるいはアイコンを選択あるいは実行することもでき、
この場合は、各種のアプリケーションソフトが、ペン1により操作できる
座標入出力装置。」

<引用発明は、当業者が実施することができない旨の被請求人の主張について>
被請求人は、引用発明は、当業者が実施することができない旨主張しており、その理由の概要は、以下の(i)及び(ii)のとおりである。
(i)引用発明が生産不可能であること
甲2の段落【0042】の「該PDP21の表示面が、前記対物レンズ3の被写体深度外に配置されるように構成することで、エリアセンサ2により読み取られた画像において、ドットがない場所および背景はぼけた画像となり、ドットがある場所との適切なコントラストが得られる。」、段落【0039】の「座標板11は2枚のフレキシブルな透明フィルム11aおよび11bが貼り合わされた2層の積層構造となっている。」、段落【0044】の「取り外された座標板11は、フレキシブルなフィルム状でかつ軽量であるため、図8に示すようにロール状に巻き取ることが可能である。これにより座標板11は極めて携帯性に優れた形態となる。」及び段落【0059】の「座標板11を巻取りが可能なフレキシブルな透明フィルム11aおよび11bにより構成することで、極めて携帯性に優れる座標板が実現できる。」という記載を考慮すると、座標板の厚さは、1.0mm超であると推測される。また、被写界深度は、0.25?0.75の間が適切となる。しかしながら、スキャナーなどの電子機器の製造においては、ペン1内部の対物レンズ3の取り付け工程においては、ペン先端から±0.2?0.3mm程度の公差が生じ得る。
上記公差を考慮すると、甲2の記載に基づいて、ドットアレイ12だけが対物レンズ3の被写界深度内に常に、正確に配置されるようにペン1及び座標板11を量産することは事実上不可能である。
(ii)ペン1が使用不可能であること
ペン1を傾けることによりドットアレイ12の配置が対物レンズ3の被写界深度外となれば、ペン1はドットアレイ12を読み取ることができない。また、ユーザがペン1のような光学読み取り装置を座標板のようなドットパターンの形成面に完全な垂直角度より接触させることは極めて困難であり、光学読み取り装置を傾けた状態でドットパターンの形成面に接触させることになる。ペン1は、甲2に記載された使用方法では、表示画面とドットアレイ12とを区別するという効果を全く得られない。

しかしながら、当審は、以下の理由により、引用発明は、当業者が実施することができるものであると認める。
被請求人の主張する、スキャナーなどの電子機器の製造においては、ペン1内部の対物レンズ3の取り付け工程においては、ペン先端から±0.2?0.3mm程度の公差が生じ得ることについては、ペン1を安価で大量生産する場合を想定したものであると認められる。しかしながら、発明の実施可能性については、安価で大量生産可能な水準までは求められていない。そうすると、甲2の記載に基づいて、ドットアレイ12だけが対物レンズ3の被写界深度内に正確に配置されるように、ペン1内部の対物レンズ3を取り付け、ペン1及び座標板11を生産することは、十分に可能であるといえる。
また、引用発明について、ペン1を傾けず、角度をほぼ垂直とすれば、使用可能であることは明らかである。そして、ペン1をドットパターンの形成面にほぼ垂直に接触させることが不可能であるとまではいえない。
したがって、引用発明は、当業者が実施することができるものであり、被請求人の主張は採用できない。

(2)甲3(御池鮎樹、本山春紀、「メディアプレイヤー攻略マニュアル」、初版、株式会社工学社、平成15年8月1日発行、第6、7、23?29頁)
記載事項については省略。

(3)甲4(実願昭52-165527号(実開昭54-91466号)のマイクロフィルム)
記載事項については省略。

(4)甲5(特許第3475235号公報)
甲5には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータと一体になった表示装置や、コンピュータとオンラインで接続された表示装置の画面に表示される表示内容を、当該表示画面への接触状態および接触座標(電子式座標入力ペンによる接触だけでなく、マウスポインタによる接触も含む)の変化に応じて制御する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、表示画面に表示された表示内容を変更制御するに際しては、マウスにより操作するコンピュータや、ペンコンピュータや、ペン入力が付いているデスクトップコンピュータや、電子ペンをマウスの代わりに用いるデスクトップコンピュータや、表示内容をプロジェクタから電子白板など大型の座標入力タブレットに投影して用いるシステム等に見られるように、グラフィカル・ユーザー・インーフェース(GUIと俗称される)を用いた以下の方法を採用するのが一般的である。
【0003】かかる表示装置への入力によるアプリケーションの起動に際しては、表示画面上のプルダウンメニューやポップアップメニュー内におけるアイコンのうち、起動したいアプリケーションに対応したアイコン上に電子式の座標入力ペン(以下、単にペン若しくは電子ペンと言う)やマウスポインタを置き、ここで電子ペンやマウスポインタをダブルタップ(ダブルクリック)することにより、該当したアプリケーションのウインドウを開いてこのアプリケーションを起動させる。そして当該起動時にアプリケーションのウインドウは、以前に起動された時の位置と縦横サイズで開かれるのが常套であった。」(段落【0001】?【0003】)

イ 「【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態になる表示内容制御方法を実施するのに用いた表示装置の一例である対話型電子白板システムを示すシステム構成図であり、この電子白板システムは、表示画面2aに対する電子ペン1の接触状態と、接触座標(本明細書では、ペン座標とか、呼び出し点とも称する)およびその変化を検出する接触検出機能を備えた電子白板型タブレット(以下、電子白板と称す)2と、この電子白板2に文書等のデータを投影表示するプロジェクタ3と、プロジェクタ3に対し表示データを転送するコンピュータ4とを主たる構成要素とするものである。
【0014】コンピュータ4は、電子白板2の接触座標検出機能によって出力された接触座標を取り込むペン座標入力処理部41と、ペン1の現在位置や移動先位置を記憶するペン位置記憶部42とを備えている。コンピュータ4は更に、詳しくは後述するよう電子白板2上において行う、アプリケーション起動用ウィンドウ制御、文字/行の挿入制御、チェックボックスのON/OFF制御、選択式ラジオボタンの選択制御、メニュー項目の拡大/縮小/スクロール制御のための表示内容処理部43と、文書等の表示データを記憶する表示データメモリ44と、プロジェクタ3に対する表示処理を行う表示処理部45とを備えている。
【0015】なお本実施形態における電子白板型タブレット2は、例えばペン1との電磁結合度によってペン1の接触の有無および接触座標(呼び出し点)を検出する方式のものとして構成するが、その代わりに、感圧式、静電容量式等によってペン1の接触の有無および接触座標を検出する、その他の型式の公知のタブレットを用いてもよい。
【0016】次に、上記のように構成された電子白板システムにおける電子白板2の表示画面(白板面)2a上にプロジェクタ3によって図2(a)のごとく表示されたポップアップメニュー5内に、複数のボタンまたはアイコン6として登録してあるアプリケーションを起動させる場合の動作につき、本実施の形態における表示内容制御方法を図2および図3を参照して説明する。
【0017】今オペレータが、図2のポップアップメニュー5内における複数のアイコン6のうち、上の列の最も左側にあるアイコン6に対応するアプリケーションを起動したいと考えている場合、オペレータは、先ず図2(a)に示すようにペン1を当該アイコン6に接触させてここを呼び出し開始点とする。これによりペン1を接触させたアイコン6に対応するアプリケーションが選択される。次にオペレータが図2(b)に示すように、ペン1を上記の呼び出し開始点(X1,Y1)から接触状態のまま任意の点(X2,Y2)にドラッグする時、これら2点間を結ぶ線を対角線とする枠7を電子白板2の表示画面2a上に表示するものとする。
【0018】その後オペレータは、図2(c)に示すようにペン1を電子白板2の表示画面2aから離して呼び出し状態を解除するが、この時図2(c)に示すように、上記したペン1による呼び出し開始点(X1,Y1)と呼び出し解除点(X2,Y2)とを結ぶ線を対角線とする上記の枠7と同じ縦横サイズおよび位置に選択アプリケーションのウインドウ8を電子白板2の表示画面2a上に開き、アプリケーションを起動させるものとする。そして当該アプリケーションウインドウ8は、図2(c)に示すように呼び出し解除点を(X3,Y3)のように異ならせれば、これに応じて縦横サイズおよび位置を変更させることができ、アプリケーションを起動させる時におけるウインドウ8の大きさ、形状、および位置はオペレータがアプリケーションの起動時に任意に決めることができる。」(段落【0013】?【0018】)

(5)甲7(特再表2004-29871号公報)
甲7には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【発明の開示】
本発明は、極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案し、係るドットパターンに基づいた情報再生方法および情報再生装置を提案するものである。
本発明は、第1に、種々のマルチメディア情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムにより生成されたドット(605)を所定の規則に則って配列したドットパターン部(607)が形成された印刷物(606)等の媒体を読取り手段(602)で画像データとして読み取り、該ドットパターン部(607)の画像データをコードデータ化し、該コードデータに対応したマルチメディア情報を記憶手段から読み出して再生するようにしたものである。
該ドットパターン部(607)から音声等のここで、マルチメディア情報とは、音声、画像、動画情報、さらには文字、記号等の可視、可聴、可読な情報のいずれであってもよい。さらには他のパーソナルコンピュータ、テレビ受像システムやラジオ放送端末から動画・音声情報、文字情報等を再生させるためのデジタルデータであってもよい。
ここで、ドットパターン部(607)には、記憶手段に登録された音声データに対応するコード情報を定義しておいてもよいし、XY座標値を定義しておいてもよい。また、コード情報とXY座標値とを混在させておいてもよい。ドットパターン部(607)のヘッダには当該ドットパターン部がコード情報なのかXY座標なのかを定義するフラグを登録しておくことができる。
媒体としては絵本や写真とすることができ、この絵本等の絵柄(606b)に対応した音声情報を認識させるためのドットパターン部(607)を絵柄(606b)に重畳して印刷しておいてもよい。
また、ドットパターン部(607)はシール材に印刷してもよい。
また、ドットパターン部(607)を透明フィルム(611)に形成してもよい。その場合、当該透明フィルムは紙面に重ねて配置してもよいし、当該透明フィルム(611)をタッチパネルとして、電子機器の表示手段(613)上に貼付してもよい。この場合、表示手段(613)に指示情報を表示させてユーザに対して読み取り手段の操作を促してもよい。
また、前記タッチパネル(612)と前記紙面等の媒体または表示手段(613)の画面との間に、赤外線遮断フィルター(614)を配置してもよい。」(7頁18?47行)

イ 「また、前記ドットパターン部(6)をXY座標情報で定義し、そのXY座標情報を前記情報伝達部(7)の内容と関連させることもできる。
また、前記ドットパターン部(6)はコード番号情報で定義し、そのコード番号情報を前記情報伝達部(7)の内容と関連させることもできる。
そして、前記のXY座標情報からなるドットパターン部(6)と、前記コード番号情報からなるドットパターン部(6)とを、前記印刷物(5)の同一平面上に印刷してもよいことは勿論である。
なお、ドットパターン部(6)は、赤外線を吸収するインク、カーボンインク、または透明インクで印刷してもよい。」(8頁14?22行)

ウ 「図12はドットパターン部607を形成したタッチパネルを説明する斜視図である。図13はドットパターン部607を形成したタッチパネルを説明する分解側面図である。
従来のタッチパネルは、液晶ディスプレイ(LCD)やCRT(ブラウン管)などのモニタ画面上に配置し、透視した画面の指示に従って指やペンなどで上から押圧することにより位置入力が行えるようにしたものである。この従来のタッチパネルは、たとえば透明フィルム上にITO等からなる透明電極を有する一対の上部電極シートと下部電極シートとが電極間に絶縁物よりなるスペーサーを介して対向配置し、その下部電極シートの下面に樹脂よりなる透明保持板が透明接着層を介して全面的に接着されたもので、高価であるという欠点があり、また長期間使用しているとその表面が反り返り使用しづらくなることがあった。
そこで、本発明では高価にならないように、透明フィルム611にドットパターン部607を印刷したタッチパネル612と普及型のカメラ602(ペン型スキャナ)のみを使用した。
このタッチパネル612をパソコン608等の液晶ディスプレイ(LCD)やCRT(ブラウン管)などのモニタ613の画面上に配置し、透視した画面の指示に従ってカメラ602でなぞることにより位置入力が行える。このように、モニタ画面に貼り付けたタッチパネル612に、カメラ602を向けてそのドットパターン部607の画像データを取り込み、上述したのと同様にそのドットパターン部607がパソコン608のモニタ画面に対応した情報を認識して、それに対応するように記憶した種々の音声等を再生させる。
ドットパターン部607のドット5はカーボンを主成分とした場合、光を吸収しやすい特性を有しているため、モニタ画面からの光線を遮断しないとカメラ602でドットパターン部607の画像データを正確に取り込むことができない。そこで、モニタ画面とタッチパネル612との間に赤外線遮断フィルム614を配置し、モニタ画面から発生する赤外線を遮断するようにしている。これにより、カメラ内から照射された赤外線のみを照射光としてドット5からの反射光を認識しやすいようにしてドットパターン部607の認識
を容易にして、当該パソコン607のタッチパネルとして利用することができる。」(16頁26行?17頁1行)

エ 「図23はXY座標情報からなるドットパターンを示す説明図である。図24はXY座標情報からなるドットパターンを認識し、その処理方法についての説明図である。
本発明のドットパターン部6はXY座標情報で作成し、そのXY座標情報と情報伝達部7の内容とを関連付けることができる。このドットパターン部6については、上述したようにカメラユニット2を用いてその画像データを取り込み、その画像情報をデジタル化し
て数値化し、そのX方向、Y方向の座標情報化したものを、円形部分A、四角部分B、三角部分Cで表現した各情報伝達部7の内容のいずれかの位置に対応させる。このときに図24の参照テーブル1を用いてXY座標と各情報伝達部7の内容とを対応させる。すなわち、どのXY領域が、情報伝達部7のいずれの内容であるかを対照させ、次に図24の参照テーブル2を参照することによりドットパターン部6に対応した情報、プログラムを出力する。
このXY座標情報からなるドットパターン部6によれば、予めドットパターン1を印刷した印刷物5を用意しておき、この印刷物5上に情報伝達部7を重ね印刷するだけで、特定の内容(コンテンツ)に対してXY座標の領域と音声等の情報およびプログラムとを関連付けることが可能になる。すなわち、情報伝達部7の内容に合わせたドットパターン部6を作成する必要がないので、その汎用性が非常に高くなる。
図25はコード番号情報からなるドットパターンを示す説明図である。図26はコード番号情報からなるドットパターンの認識および処理手順を示した説明図である。
本発明のドットパターン部6は、前述したXY座標情報に代えてコード番号情報で作成し、そのコード番号情報と情報伝達部7の内容とを関連付けることができる。たとえば、円形部分Aの情報伝達部7、四角部分Bの情報伝達部7または三角部分Cの情報伝達部7の内容に対応して、それぞれ1つのコード番号情報を含んだドットパターン部6を印刷する。このドットパターン部6についても、上述したようにカメラユニット2を用いてその画像データを取り込み、その画像情報をデジタル化して数値化(コード番号情報化)し、図26の参照テーブルを参照することによりそのドットパターン部6に対応した情報、プログラムを出力する。
このコード番号情報からなるドットパターン部6によれば、コード番号と情報伝達部7の内容が直接対応しているために、図26に示すように、参照テーブルを1つ作成すればよい。さらに、参照テーブルを1つ作成すればよいので情報処理時間を短縮することができる。
なお、XY座標情報とコード番号情報からなるドットパターン部6を印刷物5の同一平面上に印刷することは勿論可能である。」(18頁46行?19頁27行)

(6)甲9(特開2004-94907号公報)
甲9には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0003】
2次元コードをより有効に活用すべく、2次元コードとともに別の画像情報を読み取り、読み取った情報をコンピュータなどの処理装置に入力して処理する技術も提案されており、光学的に読み取り可能な2次元コードシンボルを紙面にマトリックス状に並べ、小型カメラを備えたペンで紙面に加筆すると同時に、カメラで2次元コードシンボルを読み取って座標情報を取得する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この方法では
、2次元コードを紙面上に手書きで加筆された情報をリアルタイムで読み取り、加筆された情報を、加筆前の紙面情報に関連付けて格納することができる。」(段落【0003】)

イ 「【0006】
【特許文献1】
特開平2000-293303号公報」(段落【0006】)

ウ 「【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る2次元コードパターンを搭載した印刷媒体1の平面図である。この印刷媒体1は、紙などの支持体と、印刷紙面全体にわたって、連続してマトリクス状に配置される2次元コード2a?2dのパターンを備える。2次元コード2は、複数のドット22が所定の間隔で配置されるコード枠(H1、H2、H3…、およびV1、V2、V3…)によって区画される矩形領域で構成され、この領域内に、ドット22の配置によって表される固有の情報を有する。
【0033】
2次元コードパターンは、たとえばハードディスクドライブやフロッピー(登録商標)ディスクなどに格納された電子文書を印刷する際に、電子文書とともに紙面上に印刷される。したがって、一般的なプリンタで通常使用されるインク、トナーなどにより、文書に重畳して2次元コードが印刷されることになる。図1では説明の都合上、文書そのものは図示せず、行間や余白など2次元コードのみが印刷された部分を示している。
【0034】
各2次元コード2は、紙面上のコード位置を表わす座標情報と、2次元コードパターンとともに印刷される文書ページの識別(ID)情報を含む。文書ページの識別(ID)情報とは、文書内容とその文書が含まれるページとを一意に関連付ける番号である。これらの座標情報および文書ページID情報は、2次元コード内にドットを使って符号化されている。たとえば、2次元コード2aには「水平座標=95,垂直座標=10,文書ページID=10」がエンコードされ、識別子10の文書ページの水平方向に95番目、垂直方向に10番目のマトリクス位置を表わしている。同様に、2次元コード2b、2c、2dには、それぞれ「水平座標=96,垂直座標=10,文書ID=10」、「水平座標=95,垂直座標=11,文書ID=10」、「水平座標=96,垂直座標=11,文書ID=10」を示す情報がエンコードされている。
【0035】
このように、所定の間隔で配置されるドットによるコード枠で一定の領域を区画し、コード枠の内部にこのコード枠の文書ページ上での位置情報と文書ページの識別情報を持たせることによって、この2次元コードパターンが印刷された印刷媒体に手書きで加筆する場合に、加筆内容をもとの文書ページにリンクさせ、文書中に加筆情報を反映させることができる。」(段落【0032】?【0035】)

エ 「【0040】
図3は、2次元コード2aに各種の情報を組み込むためのデータ配置領域(サブ領域)の一例を示す。説明の便宜上、ドット間隔を狭めて図示しているが、ドットサイズおよびドット間隔は、図2と関連して説明したとおりであり、ドット間隔はドット直径の約6倍である。図3の例では、2次元コード2aは、コード枠を構成するドット列H1,H2,V1,V2で区画される領域に、7×11のセルを有する。セルとはドットを打つことのできる単位をいい,最大77個のドットを打てる2次元コード2aのサイズは、2mm×3mmとなる。2次元コード2aの水平座標値は95、垂直座標は10であるから、印刷紙面の左上を原点とすると、原点から水平方向(右方向)に190mm、垂直方向(下方)に30mmの場所に位置することになる。
【0041】
2次元コード2aは、水平座標を示すデータを配置する水平座標領域401、垂直座標を表すデータを配置する垂直座標領域402、印刷される文書ページを表わす識別子を配置する文書ID領域403、誤り訂正符号を配置する誤り訂正符号領域404?407、2次元コードの上下を判別するために使用される上下識別符号領域408、409を有する。これらの各領域で、ドットの有無によって“1”または“0”の値を取る2進情報を格納する。上下識別符号領域408および409は固定値を有し、コードの上端を示す領域408では、3×1のドット有りのパターン、コードの下端を示す領域409は2×1のドット無しのパターンで上下を判別する。」(段落【0040】?【0041】)

オ 「【0045】
図5は、文書を2次元コードとともに印刷し、印刷した文書に加筆し、加筆情報をもとの文書情報に関連付けて保存、管理する文書管理システムの一例を示す概略構成図である。この文書管理システムは、2次元コードパターンを作成、印刷する第1部分と、印刷した文書に対する加筆を読み取って、もとの文書と関連付けて保存、管理する第2部分とを含む。より具体的には、文書作成、印刷命令の処理、および2次元コードパターンの作成を実行する情報処理装置509と、文書を格納、管理する記憶装置505と、情報処理装置が発する印刷命令に応じて文書ページを印刷するプリンタ501と、印刷された文書に対して加筆するとともに、加筆の位置情報を読み取ってもとの文書情報と関連付けるペン型座標入力装置600を含む。ペン型座標入力装置600の詳細な構成については後述する。文書管理システムはまた、任意で、文書や画像を光学的に読み取るスキャナ503や、複写機502、作成した文書や印刷命令を情報処理装置504に対して無線通信する携帯情報端末508などを含んでもよい。」(段落【0045】)

カ 「【0091】
図27は、2次元コード読取装置700(または700’)により読み取られた加筆情報を、原文書に重畳する処理フローを示す。まず、2次元コードパターンとともに印刷された文書に、ペン型座標入力装置600で加筆が開始されると、ステップS2701で加筆箇所近傍の2次元コードが読み取られ、上述したように2次元コード読取装置700で文書ページIDと座標情報を取得する。ペン型座標入力装置600は、加筆とともにリアルタイムで読み取った文書ページIDと座標情報を、情報処理装置504へ送信する。
【0092】
ステップS2702で、情報処理装置504は文書ページIDと座標情報を受け取ると、その文書IDと座標情報を、文書管理データベース506を管理する情報処理装置509へ転送する。ステップS2703で、情報処理装置509は受信した文書ページIDに基づき、文書管理データベース506の中で現在加筆されている文書のページを特定する。特定された文書は、たとえば図28に示すデータ構造で格納される識別番号(ID)123456の「patent.doc」の第1ページであるとする。特定された文書情報は、ペン型座標入力装置600へ送信され、ペン型入力装置600は受信した文書情報をLCD609に表示する。
【0093】
一方、ステップS2704で情報処理装置504は、特定されたファイルの実体、すなわち「patent.doc」を、それが関連付けられているアプリケーション(ワードプロセッサソフトウエア等)で開き,この情報処理装置504に接続されたディスプレイ(不図示)に表示して編集状態とする。編集状態とされた文書「patent.doc」に,ペン型座標入力装置600から次々に送信されてくる座標情報を描画することになる。具体的には、文書のウィンドウに新たな描画オブジェクトを開いて新規図形オブジェクトの生成を可能にし(ステップS2705)、受信したデータからペン先の座標情報を取得し(ステップS2706)、取得した座標を線でつないで描画する(ステップS2707)ことで加筆の再構成が実現できる。ステップS2706で取得された座標情報は、たとえば所定の数列テキストとして、個別のファイルに保存される(ステップS2708)。」(段落【0091】?【0093】)

(7)参1(特開2000-293303号公報)
参1には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、座標入力装置、その座標入力装置を備えた情報処理システムおよび媒体に関する。」(段落【0001】)

イ 「【0045】図1は、この情報処理システムで用いる媒体1の平面図である。媒体1には、人間が視覚的に読み取り可能な状態で文書が記録されており、一般的には、紙、布、プラスチック等で構成され、シート状である。符号2は、人間が読み取り可能な文書そのものであり、文字、図、表などである。符号3は、光学的に読み取り可能なコードシンボル3であり、詳しくは後述するが、一般にはバーコード、2次元コード等である。」(段落【0045】)

ウ 「【0052】図1の例では、コードシンボル3には、媒体1の表面上における位置を示す座標情報のみがエンコードされているが、これに加えて、文書2を一意的に識別するための情報である文書情報もエンコードして記録するのが望ましい。文書を一意的に識別する文書情報としては、例えば、ファイル名の情報や、ドライブ名、ディレクトリ名およびファイル名を合わせた情報や、URL等がある。どの範囲の情報をエンコードするかは、使用目的に応じて定めればよい。この文書情報をエンコードしたコードシンボル3は、座標情報を表すコードシンボル3とは別に媒体1に配置してもよいが、座標情報を表すコードシンボル3に同時にエンコードすることもできる。
【0053】例えば、コードシンボル3aを「c:\MyFile\Patent.doc0101」をエンコードしたものとし、コードシンボル3bを「c:\MyFi1e\Patent.docO102」をエンコードしたものとするように、文書情報および座標情報を1つのコードシンボル3にエンコードしてもよい。例えばQRCODEの場合、この程度の情報量は数ミリ角くらいのサイズになるので、両者を併せても十分エンコード可能である。
【0054】図2は、この情報処理システムで用いる座標入力装置4の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、この座標入力装置4は、人が手に持って筆記動作を行うことができる筆記具状の装置本体7を備えている。この装置本体7の先端部5には、必要であれば、筆記具、すなわち、ボールペン、シャープペンシルの先端部部分等を取り付けて、現実に筆記可能としてもよい。装置本体7の側部などに設けられた画像読取装置6は、例えば、CCDなどの光電変換素子6aと、レンズなどからなる光学系6bとから構成されていて、媒体1上の画像を読み取る装置である。なお、画像読取装置6には、必要に応じて照明を設けることができる。
【0055】装置本体7には、マイコン8が搭載されていて、このマイコン8には、画像読取装置6が接続されている。画像読取装置6で読み取った媒体1上の画像に基づいた各種処理がマイコン8でなされる。すなわち、読み取ったコードシンボル3をデコードし、読み取った画像上におけるコードシンボル3の位置、向き、歪み量を検出する(詳細は後述する)。これにより、デコード手段、歪み量等算出手段を実現している。また、マイコン8は装置本体7の外部のPCなどの情報処理装置9と接続可能であり、マイコン8内に蓄積したデータを情報処理装置9に出力可能である。なお、マイコン8を装置本体7に搭載するのに代えて、画像読取装置6を情報処理装置9と接続し、マイコン8で行う前記処理を情報処理装置9で実行するようにしてもよい。なお、図2では、画像読取装置6、マイコン8などに電力を供給する電源や、マイコン8と情報処理装置9とのインターフェイスなどは図示を省略している。」(段落【0052】?【0055】)

エ 「【0069】以上のようにして得られた座標情報、文書情報、色情報は、マイコン8の記憶装置に格納され、マイコン8から情報処理装置9に転送される。情報処理装置9には媒体1の元文書である文書2の文書データが予め情報処理装置9のハードディスクなどに記憶されている。これにより第1の記憶手段を実現している。そして、装置本体7により媒体1上で筆記した内容を文書2にあたかも加筆するかのように、文書2の文書データに前記の座標情報、文書情報、色情報を付加するように文書2の文書データを更新する。これにより、付加手段を実現している。
【0070】いずれの場合でも、元文書を一意的に識別できかつ筆記軌跡が求まるので、これらの情報を元文書に自動的に付加するのは容易である。文書名等の文書情報から電子的な元文書を読み出し、その文書に座標情報による筆記軌跡、さらに色情報を付加すればよい。座標入力装置4より前記の座標情報、文書情報、色情報を得て、元文書に付加するような電子文書編集のシステムは容易に構築することができるし、また周知のいわゆるワードプロセッサソフトを用いても、そのマクロ機能を用いれば容易に実現できる。」(段落【0069】?【0070】)

2 本件特許発明1について
(1)対比
本件特許発明1と引用発明を対比する。
引用発明の「XおよびYの座標値」は、本件特許発明1の所定の「座標値」に相当する。
引用発明の「ドットアレイ12」は、ドットで形成されたパターンであることが明らかであるから、本件特許発明1の「ドットパターン」に相当する。なお、本件特許発明1の「ドットパターン」は、ドットを基準点からずらして配置するものに限定されることなく、ドットで形成されたパターンがすべて含まれるものと認められる。
引用発明において、1個のドットアレイ12は、6行×3列のマトリクス状で、18個のドットから形成され、18個のドットのうち、2行目から5行目の12ドットによりXおよびYの座標値がコード化されていることから、ドットアレイ12が、XおよびYの座標値について所定のアルゴリズムでパターン化されていることは、明らかである。
引用発明の「座標板11」は、フロントプロジェクタによりパソコンの表示画面を投射されるものであるから、本件特許発明1の「投影ボード」に相当する。
引用発明において、座標板11には、ドットアレイ12が予め形成されていることは明らかである。
引用発明において、フロントプロジェクタは、パソコンの表示画面や所望の画像を投射することから、座標板11の一面は、画像が投影されるエリアからなり、また、フロントプロジェクタがそのエリアに画像を投影することは、明らかである。そうすると、引用発明において、座標板11の一面は、画像が投影されるエリアからなるといえる。そして、引用発明の画像が投影されるエリアは、本件特許発明1の動画または画像が投影される「映像表示エリア」に相当する。
引用発明の「フロントプロジェクタ」は、本件特許発明1の「投影手段」に相当する。
引用発明の「エリアセンサ2」は、あるエリアに形成されたドットアレイ12を読み取ることから、本件特許発明1のエリアに形成されたドットパターンを読み取る「読取手段」に相当する。
引用発明において、エリアセンサ2にドットアレイ12が読み取られ、信号処理回路6は、エリアセンサ2の出力をデジタル画像情報として演算制御回路7に出力し、演算制御回路7において、ペン1の座標値が決定され、決定された座標値は、送信手段8に送られ、送信手段8より受信手段24に送信され、受信手段24の受信結果に基づき、CPU23は、ペン1による入力点の座標データに対応する位置のアイコンを実行するが、「座標データに対応する位置のアイコンを実行する」ということは、座標データに対応するアイコンの実行に係る制御信号をフロントプロジェクタに対して出力し、アイコンの実行結果の画像となるようにフロントプロジェクタが投影する画像の出力を制御することを意味することは明らかであるから、引用発明の当該構成は、本件特許発明1の「前記読取手段が読み取ったエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力してエリアに投影される動画または画像の出力を制御する制御手段」に相当する構成を有している。
本件特許発明1の「投影画像・動画制御システム」の「画像・動画」の意味が、「画像及び動画」又は「画像または動画」であるか検討すると、請求項1において「画像または動画」の記載のみ存在するから、「画像・動画」は「画像または動画」を意味すると解するのが自然である。そうすると、引用発明の「座標入出力装置」は、少なくとも投影される画像を制御するシステムであるといえるから、本件特許発明1の「投影画像・動画制御システム」に相当する。

すると、本件特許発明1と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「所定の座標値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアからなり、少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段と、
前記エリアに形成されたドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに投影される動画または画像の出力を制御する制御手段とからなる投影画像・動画制御システム。」

一方、両者は次の点で相違する。
<相違点1>
本件特許発明1では、座標値およびコード値が一つのフォーマットでパターン化されているのに対し、引用発明では、座標値が所定のフォーマットでパターン化されている点。
<相違点2>
本件特許発明1では、投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアと、その映像表示エリアに投影される動画または画像を制御するためのアイコン画像が投影されるコントローラエリアとからなるのに対し、引用発明では、エリアの構成について明確な記載がない点。

(2)当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点1についての検討>
甲7には、ドットパターン部が形成された印刷物等の媒体を読取り手段で画像データとして読み取り、該ドットパターン部の画像データをコードデータ化し、該コードデータに対応したマルチメディア情報を記憶手段から読み出して再生する情報再生装置において、ドットパターン部をXY座標情報又はコード番号情報で定義する技術が記載されている。ここで、甲7記載の技術の「ドットパターン部」、「XY座標情報」及び「コード番号情報」は、それぞれ本件特許発明1の「ドットパターン」、「座標値」及び「コード値」に相当する。そして、そして、引用発明及び甲7記載の技術の属する技術分野は、読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値に変換する座標入力装置である点で共通する。
また、甲9には、2次元コードパターン(本件特許発明1の「ドットパターン」に相当。)とともに印刷された文書に、ペン型座標入力装置で加筆が開始されると、2次元コードが読み取られ、文書ページIDと座標情報(本件特許発明1の「座標値」に相当。)を取得し、ペン型座標入力装置は、読み取った文書ページIDと座標情報を、情報処理装置へ送信し、情報処理装置は、文書ページIDと座標情報を受け取ると、文書ページIDに基づき特定されたファイルの実体を、それが関連付けられているアプリケーションで開き、この情報処理装置に接続されたディスプレイに表示して編集状態とし、編集状態とされた文書に、ペン型座標入力装置から送信されてくる座標情報を描画する文書管理システムにおいて、座標情報及び文書ページIDを1つの2次元コードパターンに含む技術が記載されている。
さらに、参1には、コードシンボル(本件特許発明1の「ドットパターン」に相当。)に座標情報(本件特許発明1の「座標値」に相当。)及び文書情報がエンコードされ、媒体上のコードシンボルを読み取り、得られた座標情報及び文書情報を文書データに付加するように文書データを更新する座標入力装置において、座標情報および文書情報を1つのコードシンボル3にエンコードする技術が記載されている。
甲2及び参1記載の技術にかんがみると、読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値に変換する座標入力装置において、座標値および文書に関する情報を一つのフォーマットでパターン化する技術は、本件優先日前周知であるといえる。
しかしながら、文書に関する情報は、ページ番号やファイル名等を意味するものであり、対応する制御信号を出力するものではないから、対応する制御信号を出力するコード値とは技術的意味が異なるものである。したがって、対応する制御信号を出力するコード値と座標値の二つを、一つのフォーマットでパターン化することを示す刊行物は、本件優先日前に存在しなかったわけである。そうすると、ドットパターンを座標値又はコード値で定義する甲7記載の技術と座標値および文書に関する情報を一つのフォーマットでパターン化する周知技術を引用発明に適用したとしても、文書に関する情報を技術的意味の異なるコード値と置換して、座標値およびコード値を一つのフォーマットでパターン化することを想到することは、当業者であっても困難といわざるを得ない。
してみると、引用発明において、甲7記載の技術及び上記周知技術を適用しても、座標値およびコード値を一つのフォーマットでパターン化することを、当業者が容易に想到し得ることであるとはいえない。
また、甲3?5には、相違点1の構成についての記載はなく、それを示唆する記載もない。
したがって、引用発明に基づき、甲3?5、7記載の技術並びに甲9及び参1記載の周知技術を適用することにより、相違点1のように構成することは、当業者にとって容易に想到し得るものであるとはいえない。

よって、相違点2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、当業者にとって容易に想到し得るものであるとはいえない。

3 本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1を引用してさらに限定したものであり、引用発明と対比すると、少なくとも、上記「1(1)対比」で述べた相違点1を有している。そして、上記「1(2)<相違点1についての検討>」で述べたとおり、相違点1は、当業者といえども容易に想到し得るものでないから、新たな相違点について検討するまでもなく、本件特許発明2は、引用発明に基づき、甲3?5、7記載の技術並びに甲9及び参1記載の周知技術を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本件特許発明3について
(1)対比
本件特許発明3と引用発明を対比する。
引用発明の「XおよびYの座標値」は、本件特許発明3の所定の「座標値」に相当する。
引用発明の「ドットアレイ12」は、ドットで形成されたパターンであることが明らかであるから、本件特許発明3の「ドットパターン」に相当する。なお、本件特許発明3の「ドットパターン」は、ドットを基準点からずらして配置するものに限定されることなく、ドットで形成されたパターンがすべて含まれるものと認められる。
引用発明において、1個のドットアレイ12は、6行×3列のマトリクス状で、18個のドットから形成され、18個のドットのうち、2行目から5行目の12ドットによりXおよびYの座標値がコード化されていることから、ドットアレイ12が、XおよびYの座標値について所定のアルゴリズムでパターン化されていることは、明らかである。
引用発明の「座標板11」は、フロントプロジェクタによりパソコンの表示画面を投射されるものであるから、本件特許発明3の「投影ボード」に相当する。
引用発明において、座標板11には、ドットアレイ12が予め形成されていることは明らかである。
引用発明において、ペン1のスイッチをONすることで、座標データとともに該ONの情報を送受信することで、ペン1により指示されているアイコンを実行することができることから、座標板11上に当該アイコンに関するアイコン画像が投影されていることは明らかである。
引用発明において、フロントプロジェクタは、パソコンの表示画面や所望の画像を投射することから、フロントプロジェクタが表示画像を投影することは、明らかである。
引用発明の「フロントプロジェクタ」は、本件特許発明3の「投影手段」に相当する。
引用発明において、ペン1のスイッチをONすることで、座標データとともに該ONの情報を送受信することで、ペン1により指示されているアイコンを実行することができることから、ペン1のエリアセンサ2は、当該アイコンのアイコン画像の領域に形成されたドットアレイ12を読み取っていることは、明らかである。そうすると、引用発明の「エリアセンサ2」は、本件特許発明3の前記投影されたアイコン画像の領域に予め形成されているドットパターンを読み取る「読取手段」に相当する。
引用発明において、エリアセンサ2にドットアレイ12が読み取られ、信号処理回路6は、エリアセンサ2の出力をデジタル画像情報として演算制御回路7に出力し、演算制御回路7において、ペン1の座標値が決定されることから、引用発明の当該構成は、本件特許発明3の「前記読取手段が読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換する制御手段」に相当する。
引用発明の「座標入出力装置」は、情報処理に関するものであることは明らかであり、また、画像を表示するシステムであるから、本件特許発明3の「情報処理表示システム」に相当する。

すると、本件特許発明3と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボード上に少なくともアイコン画像を投影するとともに、表示画像または動画を投影する投影手段と、
前記投影されたアイコン画像の領域に予め形成されているドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換する制御手段とからなる、情報処理表示システム。」

一方、両者は次の点で相違する。
<相違点3>
本件特許発明3では、アイコン画像がプログラムの起動を意味し、投影されるものが、当該アイコン画像に対応した、記憶装置にインストールされたプログラムの表示画像または動画であり、座標値またはコード値に対応する起動信号に基づいて記憶装置からプログラムを起動するのに対し、引用発明では、ペン1のスイッチをONし、座標データとともに該ONの情報を送受信することで、ペン1により指示されているアイコンを実行することが記載されている点。

(2)当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点3についての検討>
座標入力装置及び投影手段を有するコンピュータにおいて、記憶装置にインストールされたプログラムのアイコン画像を投影し、座標入力装置でアイコン画像を実行することにより、そのアイコン画像の座標値に対応する起動信号に基づいて、当該記憶装置から当該プログラムを起動し、当該プログラムの表示画像を投影することは、例えば、甲5にも記載されているように、本件優先日前において技術常識であった。したがって、ドットパターンを読み取ることにより得た座標値を用いてアイコンを実行する引用発明において、当該技術常識を適用し、記憶装置にインストールされたプログラムのアイコン画像を投影し、当該アイコン画像の座標値に対応する起動信号に基づいて、当該記憶装置から当該プログラムを起動し、当該プログラムの表示画像を投影するように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。また、このようなアイコン画像が、プログラムの起動を意味することは明らかである。なお、「プログラムの起動を意味するアイコン画像」の「プログラムの起動」には何ら限定がなされていないから、「プログラムの起動を意味するアイコン画像」には、プログラムを起動するために、アイコン画像の座標値に加え、スイッチをONすること、ダブルタップすること又はダブルクリックすることが必要なアイコン画像も当然含まれる。

また、本件特許発明3の構成によって生じる効果も、引用発明及び技術常識から当業者が予測できる程度のものである。

したがって、本件特許発明3は、引用発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 本件特許発明4について
(1)対比
本件特許発明4と引用発明を対比する。なお、本件特許発明4は、請求項3を引用するものとする。
すると、本件特許発明4と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボード上に少なくともアイコン画像を投影するとともに、表示画像または動画を投影する投影手段と、
前記投影されたアイコン画像の領域に予め形成されているドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換する制御手段とからなる、情報処理表示システム。」
「前記投影ボードのドットパターンが形成された面と、画像、動画またはアイコン画像を投影する面とは異なる面であり、前記投影ボードに対して投影手段はリアプロジェクタとして配置される請求項1または3記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。」
一方、両者は次の点で相違する。
<相違点3>
上記「4(1)<相違点3>」に述べたとおり。
<相違点4>
本件特許発明4では、投影ボードのドットパターンが形成された面と、画像、動画またはアイコン画像を投影する面とは異なる面であり、投影ボードに対して投影手段はリアプロジェクタとして配置されるのに対し、引用発明では、これらの構成が記載されていない点。

(2)当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点3についての検討>
上記「4(2)<相違点3についての検討>」に述べたとおり。

<相違点4についての検討>
甲2(特に、上記1(2)オの段落【0070】参照。)には、リアプロジェクタ31に座標板11を取り付ける技術が示唆されている。この場合、リアプロジェクタ31から投影される画像又はアイコン画像が座標板11の透明フィルム11bの透明フィルム11aとは反対側の面に投影されることは明らかである。一方、座標板11のフィルム11aあるいは11bのいずれか一方の貼り合わせ面にドットアレイ12が形成されている。そうすると、リアプロジェクタ31に座標板11を取り付ける技術においては、座標板11のドットアレイ12が形成された面と、リアプロジェクタ31が画像又はアイコン画像を投影する面は、異なることとなる。
したがって、引用発明において、甲2に示唆された技術を適用し、投影ボードのドットパターンが形成された面と、画像、動画またはアイコン画像を投影する面とは異なる面であり、投影ボードに対して投影手段はリアプロジェクタとして配置されるように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、本件特許発明4の構成によって生じる効果も、引用発明、甲2に示唆された技術及び技術常識から当業者が予測できる程度のものである。

したがって、本件特許発明4は、引用発明、甲2に示唆された技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 本件特許発明5について
(1)対比
本件特許発明5と引用発明を対比する。

すると、本件特許発明5と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボード上に少なくともアイコン画像を投影するとともに、表示画像または動画を投影する投影手段と、
前記投影されたアイコン画像の領域に予め形成されているドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換する制御手段とからなる、情報処理表示システム。」
「前記投影ボードのドットパターンが形成された面と、画像、動画またはアイコン画像を投影する面とは異なる面であり、前記投影ボードに対して投影手段はリアプロジェクタとして配置される請求項1または3記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。」
「前記投影ボードのドットパターンは赤外線吸収特性材料で構成され、少なくとも投影手段側の面には、赤外線カットフィルタが設けられていることを特徴とする請求項4記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。」

一方、両者は次の点で相違する。
<相違点3>
上記「4(1)<相違点3>」に述べたとおり。
<相違点4>
上記「5(1)<相違点4>」に述べたとおり。
<相違点5>
本件特許発明5では、投影ボードのドットパターンは赤外線吸収特性材料で構成され、少なくとも投影手段側の面には、赤外線カットフィルタが設けられているのに対し、引用発明では、この構成について記載がない点。

(2)当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点3についての検討>
上記「4(2)<相違点3についての検討>」に述べたとおり。

<相違点4についての検討>
上記「5(2)<相違点4についての検討>」に述べたとおり。

<相違点5についての検討>
甲7には、「ドットパターン部が形成された印刷物等の媒体を読取り手段で読み取り、XY座標情報を得る情報再生装置において、赤外線を吸収するインクでドットパターン部を印刷し、タッチパネル(612)と前記紙面等の媒体または表示手段(613)の画面との間に、赤外線遮断フィルター(614)を配置する」技術が記載されている。
そして、引用発明及び甲7記載の技術の属する技術分野は、ドットパターン部が形成された印刷物等の媒体を読取り手段で読み取り、座標情報を得る座標入力装置である点で共通する。
したがって、引用発明において、甲7記載の技術を適用して、相違点5のように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、本件特許発明5の構成によって生じる効果も、引用発明、甲2に示唆された技術、甲7記載の技術及び技術常識から当業者が予測できる程度のものである。

よって、本件特許発明5は、引用発明、甲2に示唆された技術、甲7記載の技術及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 本件特許発明6について
(1)対比
本件特許発明6と引用発明を対比する。なお、本件特許発明6は、請求項3を引用するものとする。
すると、本件特許発明6と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボード上に少なくともアイコン画像を投影するとともに、表示画像または動画を投影する投影手段と、
前記投影されたアイコン画像の領域に予め形成されているドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換する制御手段とからなる、情報処理表示システム。」
「前記投影ボード上に形成されたドットパターンは、座標値とコード値とが同一のパターン中に定義されており、
前記ボード上は所定のマトリクス区画が形成されており、同一のマトリクス区画内では、座標値の変化にかかわらず同一のコード値が付与されている請求項1?5のいずれかに記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。」

一方、両者は次の点で相違する。
<相違点3>
上記「4(1)<相違点3>」に述べたとおり。
<相違点6>
本件特許発明6では、投影ボード上に形成されたドットパターンは、座標値とコード値とが同一のパターン中に定義されており、ボード上は所定のマトリクス区画が形成されており、同一のマトリクス区画内では、座標値の変化にかかわらず同一のコード値が付与されているのに対し、引用発明では、この構成について記載がない点。

(2)当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点3についての検討>
上記「4(2)<相違点3についての検討>」に述べたとおり。

<相違点6についての検討>
本件特許発明6の「ドットパターンは、座標値とコード値とが同一のパターン中に定義されており」という構成は、本件特許発明1の「所定の座標値およびコード値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターン」の構成と実質的に同一である。
したがって、上記1(2)の<相違点1についての検討>で述べたように、引用発明に基づき、甲3?5、7記載の技術並びに甲9及び参1記載の周知技術を適用することにより、相違点1のように構成することは、当業者にとって容易に想到し得るものであるとはいえない。

よって、本件特許発明6は、当業者にとって容易に想到し得るものであるとはいえない。

8 本件特許発明7について
本件特許発明7は、本件特許発明6を引用してさらに限定したものであり、引用発明と対比すると、少なくとも、上記「7(1)対比」で述べた相違点6を有している。そして、上記「7(2)<相違点6についての検討>」で述べたとおり、相違点6は、当業者といえども容易に想到し得るものでないから、新たな相違点について検討するまでもなく、本件特許発明7は、引用発明に基づき、甲3?5、7記載の技術並びに甲9及び参1記載の周知技術を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

9 無効理由3についてのむすび
以上のとおりであるから、本件特許発明3は、引用発明及び技術常識に基づいて、本件特許発明4は、引用発明、甲2に示唆された技術及び技術常識に基づいて、本件特許発明5は、引用発明、甲2に示唆された技術、甲7記載の技術及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本件特許発明1、2、6、7は、甲2?5、7に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。

第9 むすび
以上のとおりであるから、本件特許発明3?5の特許は、特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり、同法123条1項2号に該当し、無効とすべきものである。
また、本件特許発明1、2、6、7の特許は、参加人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定において準用する民事訴訟法64条の規定により、これを7分し、その4を参加人の負担とし、その余を被請求人の負担とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
投影画像・動画制御システムおよび情報処理表示システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙面等の媒体面に形成(印刷)されたドットパターンを用いた情報処理装置の入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータは、生活のあらゆる場面で使用されるようになってきている。文書を作成したり計算を行ったりというような従来の用途に加え、インターネットのウェブページ(WEB Page)にアクセスして必要な情報を得たり、商品の購入を行ったり等、コンピュータの機能および用途は飛躍的に増加している。
【0003】
従来、これらの行為を行うにあたり、キーボードおよびマウスを用いて文字の入力等の操作をすることが必要とされている。
【0004】
しかし、キーボードで文字を入力するには、煩雑な操作が多く、習得するまでに時間を要する。特に、高齢者や障害者等、機器を操作するのに支障のある者にとっては操作が困難であるという問題があった。さらに、キーボードやマウスの操作が可能でコンピュータを使いこなせる者と、それらの操作ができずにコンピュータを使いこなせない者との間で、情報や機会の格差が生じる「デジタルデバイド」も問題となってきている。
【0005】
このような問題を解決するものとして、バーコードやQRコード等(以下、総称して「バーコード」という)の媒体面上に印刷されるコードパターンを用いてコンピュータに情報を入力することのできる情報処理機器およびサービス提供システムが提案されている。すなわち、業者が提供するカタログやホームページ上にバーコードが記載されており、ユーザ(オペレータ)が、コンピュータに接続されたバーコードリーダを用いてバーコードを読み取ると、希望する情報を得たり商品を購入したりすることのできるものである(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005-4574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、バーコードは、バーコードを表示させるためだけに媒体面上の所定領域を確保しなければならないため、媒体面上に表示できるコード数に限界があり、キーボードに較べて多種の文字や記号に対応するコードを入力することは困難だった。しかも、バーコードは媒体面の美観を損ねる要因となっていた。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、容易な操作でコンピュータに対して文字等の入力や、オペレーションを行うことのできるキーボード、マウス、タブレット等のハードウエアデバイスに代わる新たな入力システム、すなわち、ペーパーコントローラ、リモコン、投影画像・動画制御システムおよび情報処理表示システムを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明は以下のような手段を採用した。
【0010】
本発明の請求項1は、所定の座標値およびコード値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、前記投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアと、その映像表示エリアに投影される動画または画像を制御するためのアイコン画像が投影されるコントローラエリアとからなり、少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段と、前記コントローラエリアに形成されたドットパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段が読み取ったコントローラエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに投影される動画または画像の出力を制御する制御手段とからなる投影画像・動画制御システムである。
【0011】
本発明の請求項2は、前記投影ボードは、ホワイトボードの表面に粘着層を介して透明シートが貼付されており、前記ドットパターンは透明シートと粘着層との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の投影画像・動画制御システムである。
【0012】
本発明の請求項3は、所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、前記投影ボード上に少なくともプログラムの起動を意味するアイコン画像を投影するとともに、当該アイコン画像に対応した、記憶装置にインストールされたプログラムの表示画像または動画を投影する投影手段と、前記投影されたアイコン画像の領域に予め形成されているドットパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段が読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する起動信号に基づいて記憶装置からプログラムを起動する制御手段とからなる、情報処理表示システム。である。
【0013】
本発明の請求項4は、前記投影ボードのドットパターンが形成された面と、画像、動画またはアイコン画像を投影する面とは異なる面であり、前記投影ボードに対して投影手段はリアプロジェクタとして配置される請求項1または3記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システムである。
【0014】
本発明の請求項5は、前記投影ボードのドットパターンは赤外線吸収特性材料で構成され、少なくとも投影手段側の面には、赤外線カットフィルタが設けられていることを特徴とする請求項4記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システムである。
【0015】
本発明の請求項6は、前記投影ボード上に形成されたドットパターンは、座標値とコード値とが同一のパターン中に定義されており、前記ボード上は所定のマトリクス区画が形成されており、同一のマトリクス区画内では、座標値の変化にかかわらず同一のコード値が付与されている請求項1?5のいずれかに記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システムである。
【0016】
本発明の請求項7は、前記アイコン画像は、前記1つまたは複数のマトリクス区画にわたって配置されており、当該アイコン画像のドットパターンが読取手段で読み取られることにより、当該アイコン画像に対応した映像の制御またはプログラムの起動が指示されることを特徴とする請求項6記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容易な操作でコンピュータに対して文字等の入力や、オペレーションを行うことのできるキーボード、マウス、タブレット等のハードウエアデバイスに代わる新たな入力システム、すなわち、ペーパーコントローラ、リモコン、投影画像・動画制御システムおよび情報処理表示システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、パーソナルコンピュータとスキャナの構成を示すハードウエアブロック図である。
【0019】
同図に示すように、パーソナルコンピュータは、中央処理装置(CPU)を中心に、メインメモリ(MM)、バス(BUS)で接続されたハードディスク装置(HD)、出力手段としての表示装置(DISP)、入力手段としてのキーボード(KBD)を有している。
【0020】
そして、USBインターフェース(USB I/F)を介して撮影手段としてのスキャナ(SCN)が接続されている。
【0021】
このスキャナ(SCN)の内部構成については図示を省略するが、赤外線照射手段(LED)とその反射光の所定波長成分をカットするフィルタ、および撮像する撮像素子(CCDやCMOS)が内蔵されており、後述の媒体としてのIDタグ、ペーパーキーボードやペーパーコントローラからの反射光を撮像して、その媒体面に印刷されたドットパターンを画像データとして処理できるようになっている。
【0022】
そして、スキャナ(SCN)の側面には右クリックボタンと左クリックボタンとが設けられており、それぞれマウスの右クリック、左クリックの機能が実現可能となっている。なお、同図では読み取り部を下にした状態で、右クリックボタンを上方、左クリックボタンを下方に配置しているが、配置はこれに限られない。
【0023】
なお図示を省略してあるが、ディスプレイ装置(DISP)の他に、出力装置として、プリンタ、スピーカ等が接続されていてもよい。
【0024】
また、バス(BUS)は、ネットワークインターフェース(NW I/F)を介してインターネット等の汎用ネットワーク(NW)に接続されており、電子地図データ、文字情報、画像情報、音声情報、動画情報、プログラム等が図示しないサーバよりダウンロード可能となっている。
【0025】
ハードディスク(HD)内には、オペレーティングシステム(OS)とともに、本実施形態で用いられるドットパターンの解析プログラム等のアプリケーションプログラム、電子地図データ、文字情報、画像情報、音声情報、動画情報や各種テーブル等のデータが登録されている。
【0026】
中央処理装置(CPU)は、スキャナ(SCN)からの媒体面のドットパターンの撮影データを読み取りコードまたは座標値に変換した入力信号をUSBインターフェースを介して受信すると、当該入力信号に対応した電子地図データ、文字情報、画像情報、音声情報、動画情報、プログラム等をハードディスク(HD)から読み出してディスプレイ装置(DISP)または図示しないスピーカ等の出力装置から出力させるようになっている。
【0027】
なお、スキャナ(SCN)で読み込むコードや座標値については後で詳述する。
【0028】
スキャナは、詳細な図示は省略するが、赤外線照射手段(赤色LED)とIRフィルタと、CMOSセンサ、CCDセンサ等の光学撮像素子を備えており、媒体面に照射した照射光の反射光を撮影する機能を有している。ここで媒体面上のドットパターンはカーボンインクで印刷されており、ドットパターン以外の画像や文字部分はノンカーボンインクで印刷されている。
【0029】
このカーボンインクは赤外光を吸収する特性を有しているため、前記光学撮像素子での撮像画像では、ドットの部分のみ黒く撮影されることになる。
【0030】
このように、ドットパターンのみがカーボンインクで印刷されているため、他のカーボンインクで印刷された画像や文字に可視的に影響を与えることなく、ドットパターンを通常の印刷と重畳印刷することができる。
【0031】
なお、赤外光を吸収する特性を有するインクとしてカーボンインクを例示したが、ドットパターンの印刷は、特定波長に反応するインクであれば、カーボンインクに限定されない。
【0032】
このようにして読み取ったドットパターンの撮像画像は、スキャナ内の中央処理装置(CPU)によって解析されて座標値またはコード値に変換されて、USBケーブルおよびUSBインターフェース(USB I/O)を介してパーソナルコンピュータに送信される。
【0033】
パーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)は、受信した座標値またはコード値を示すテーブルを参照して、これらに対応した電子地図データ、文字情報、画像情報、音声情報、動画情報がディスプレイ装置(DISP)や図示しないスピーカから出力されるようになっている。
【0034】
<ドットパターンの説明 GRID1>
次に、本発明で用いるドットパターンについて図2?図7を用いて説明する。
【0035】
図2は本発明のドットパターンの一例であるGRID1を示す説明図である。
【0036】
なお、これらの図において、縦横方向の格子線は説明の便宜のために付したものであり実際の印刷面には存在していない。ドットパターン1を構成するキードット2、情報ドット3、基準格子点ドット4等は撮像手段であるスキャナが赤外線照射手段を有している場合、当該赤外光を吸収するカーボンインクで印刷されていることが望ましい。
【0037】
図3はドットパターンの情報ドットおよびそれに定義されたデータのビット表示の一例を示す拡大図である。図4(a)、(b)はキードットを中心に配置した情報ドットを示す説明図である。
【0038】
本発明のドットパターンを用いた情報入出力方法は、ドットパターン1の生成と、そのドットパターン1の認識と、このドットパターン1から情報およびプログラムを出力する手段とからなる。すなわち、ドットパターン1をカメラにより画像データとして取り込み、まず、基準格子点ドット4を抽出し、次に本来基準格子点ドット4がある位置にドットが打たれていないことによってキードット2を抽出し、次に情報ドット3を抽出することによりデジタル化して情報領域を抽出して情報の数値化を図り、その数値情報より、このドットパターン1から情報およびプログラムを出力させる。たとえば、このドットパターン1から音声等の情報やプログラムを、情報出力装置、パーソナルコンピュータ、PDAまたは携帯電話等に出力させる。
【0039】
本発明のドットパターン1の生成は、ドットコード生成アルゴリズムにより、音声等の情報を認識させるために微細なドット、すなわち、キードット2、情報ドット3、基準格子点ドット4を所定の規則に則って配列する。図2に示すように、情報を表すドットパターン1のブロックは、キードット2を基準に5×5の基準格子点ドット4を配置し、4点の基準格子点ドット4に囲まれた中心の仮想格子点5の周囲に情報ドット3を配置する。このブロックには任意の数値情報が定義される。なお、図2の図示例では、ドットパターン1のブロック(太線枠内)を4個並列させた状態を示している。ただし、ドットパターン1は4ブロックに限定されないことはもちろんである。
【0040】
1つのブロックに1つの対応した情報およびプログラムを出力させ、または、複数のブロックに1つの対応した情報およびプログラムを出力させることができる。
【0041】
基準格子点ドット4は、カメラでこのドットパターン1を画像データとして取り込む際に、そのカメラのレンズの歪みや斜めからの撮像、紙面の伸縮、媒体表面の湾曲、印刷時の歪みを矯正することができる。具体的には歪んだ4点の基準格子点ドット4を元の正方形に変換する補正用の関数(X_(n),Y_(n))=f(X_(n)’,Y_(n)’)を求め、その同一の関数で情報ドット3を補正して、正しい情報ドット3のベクトルを求める。
【0042】
ドットパターン1に基準格子点ドット4を配置してあると、このドットパターン1をカメラで取り込んだ画像データは、カメラが原因する歪みを補正するので、歪み率の高いレンズを付けた普及型のカメラでドットパターン1の画像データを取り込むときにも正確に認識することができる。また、ドットパターン1の面に対してカメラを傾けて読み取っても、そのドットパターン1を正確に認識することができる。
【0043】
キードット2は、図2に示すように、ブロックの四隅の角部にある4個の基準格子点ドット4を一定方向にずらして配置したドットである。このキードット2は、情報ドット3を表す1ブロック分のドットパターン1の代表点である。たとえば、ドットパターン1のブロックの四隅の角部にある基準格子点ドット4を上方に0.1mmずらしたものである。情報ドット3がX,Y座標値を表す場合に、キードット2を下方に0.1mmずらした位置が座標点となる。ただし、この数値はこれに限定されずに、ドットパターン1のブロックの大小に応じて可変し得るものである。
【0044】
情報ドット3は種々の情報を認識させるドットである。この情報ドット3は、キードット2を代表点にして、その周辺に配置すると共に、4点の基準格子点ドット4で囲まれた中心を仮想格子点5にして、これを始点としてベクトルにより表現した終点に配置したものである。たとえば、この情報ドット3は、基準格子点ドット4に囲まれ、図3(a)に示すように、その仮想格子点5から0.1mm離れたドットは、ベクトルで表現される方向と長さを有するために、時計方向に45度ずつ回転させて8方向に配置し、3ビットを表現する。したがって、1ブロックのドットパターン1で3ビット×16個=48ビットを表現することができる。
【0045】
図3(b)は、図2のドットパターンにおいて、1個の格子毎に2ビットを有する情報ドット3の定義の方法であり、+方向および×方向にドットをずらして各2ビットの情報を定義している。これにより、本来48ビットの情報を定義できるが、用途によって分割して32ビット毎にデータを与えることができる。+方向および×方向の組み合わせによって最大2^(16)(約65000)通りのドットパターンフォーマットが実現できる。
【0046】
なお、図示例では8方向に配置して3ビットを表現しているが、これに限定されずに、16方向に配置して4ビットを表現することも可能であり、種々変更できることはもちろんである。
【0047】
キードット2、情報ドット3または基準格子点ドット4のドットの径は、見栄えと、紙質に対する印刷の精度、カメラの解像度および最適なデジタル化を考慮して、0.05mm程度が望ましい。
【0048】
また、撮像面積に対する必要な情報量と、各種ドット2,3,4の誤認を考慮して基準格子点ドット4の間隔は縦・横0.5mm前後が望ましい。基準格子点ドット4および情報ドット3との誤認を考慮して、キードット2のずれは格子間隔の20%前後が望ましい。
【0049】
この情報ドット3と、4点の基準格子点ドット4で囲まれた仮想格子点5との間隔は、隣接する仮想格子点5間の距離の15?30%程度の間隔であることが望ましい。情報ドット3と仮想格子点5間の距離がこの間隔より近いと、ドット同士が大きな塊と視認されやすく、ドットパターン1として見苦しくなるからである。逆に、情報ドット3と仮想格子点5間の距離がこの間隔より遠いと、隣接するいずれの仮想格子点5を中心にしてベクトル方向性を持たせた情報ドット3であるかの認定が困難になるためである。
【0050】
たとえば,情報ドット3は、図4(a)に示すように、ブロック中心から時計回りでI_(1)からI_(16)を配置する格子間隔は0.5mmであり、2mm×2mmで3ビット×16=48ビットを表現する。
【0051】
なお、ブロック内に個々に独立した情報内容を有し、かつ他の情報内容に影響されないサブブロックをさらに設けることができる。図4(b)はこれを図示したものであり、4つの情報ドット3で構成されるサブブロック[I_(1)、I_(2)、I_(3)、I_(4)]、[I_(5)、I_(6)、I_(7)、I_(8)]、[I_(9)、I_(10)、I_(11)、I_(12)]、[I_(13)、I_(14)、I_(15)、I_(16)]は各々独立したデータ(3ビット×4=12ビット)が情報ドット3に展開されるようになっている。このようにサブブロックを設けることにより、エラーチェックをサブブロック単位で容易に行うことができる。
【0052】
情報ドット3のベクトル方向(回転方向)は、30度?90度毎に均等に定めるのが望ましい。
【0053】
図5は情報ドット3およびそこに定義されたデータのビット表示の例であり、他の形態を示すものである。
【0054】
また、情報ドット3について基準格子点ドット4で囲まれた仮想格子点5から長・短の2種類を使用し、ベクトル方向を8方向とすると、4ビットを表現することができる。このとき、長い方が隣接する仮想格子点5間の距離の25?30%程度、短い方は15?20%程度が望ましい。ただし、長・短の情報ドット3の中心間隔は、これらのドットの径より長くなることが望ましい。
【0055】
4点の基準格子点ドット4で囲まれた情報ドット3は、見栄えを考慮し、1ドットが望ましい。しかし、見栄えを無視し、情報量を多くしたい場合は、1ベクトル毎に、1ビットを割り当て情報ドット3を複数のドットで表現することにより、多量の情報を有することができる。たとえば、同心円8方向のベクトルでは、4点の格子ドット4に囲まれた情報ドット3で2^(8)の情報を表現でき、1ブロックの情報ドット16個で2^(128)となる。
【0056】
図6は情報ドットおよびそこに定義されたデータのビット表示の例であり、(a)はドットを2個、(b)はドットを4個および(c)はドットを5個配置したものを示すものである。
【0057】
図7はドットパターンの変形例を示すものであり、(a)は情報ドット6個配置型、(b)は情報ドット9個配置型、(c)は情報ドット12個配置型、(d)は情報ドット36個配置型の概略図である。
【0058】
図2と図4に示すドットパターン1は、1ブロックに16(4×4)の情報ドット3を配置した例を示している。しかし、この情報ドット3は1ブロックに16個配置することに限定されずに、種々変更することができる。たとえば、必要とする情報量の大小またはカメラの解像度に応じて、情報ドット3を1ブロックに6個(2×3)配置したもの(a)、情報ドット3を1ブロックに9個(3×3)配置したもの(b)、情報ドット3を1ブロックに12個(3×4)配置したもの(c)、または情報ドット3を1ブロックに36個配置したもの(d)がある。
【0059】
図8?図9は、ドットパターンとコード値と識別子との関係を示した説明図である。
【0060】
ドットパターンは、4×4個のブロック領域で構成されたドットパターンであり、このブロック内でC_(1-0)?C_(31-30)に区画されている。各領域のドットコードフォーマットを示したものが図9である。
【0061】
図9(a)は、ドットパターンをコード値のみで構成した場合であり、C_(0)?C_(27)には図8で示したそれぞれの領域のドットパターンのドット毎のコード値が登録される。そして、C_(28)?C_(30)にはパリティが登録されるようになっている。
【0062】
また、図9(b)は、コード値とともにXY座標が登録されるようになっている。すなわち、図8において、C_(0)?C_(7)にはX座標、C_(8)?C_(15)にはY座標、C_(16)?C_(27)にはコード値がそれぞれ登録されるようになっている。
【0063】
このように、本実施形態では、ドットパターン内にコード値とともにXY座標を登録しておくことができる。
【0064】
さらに、図9(c)は、XY座標とともに座標インデックスを登録したフォーマットである。座標インデックスとは、媒体である紙のページ番号等を登録する領域であり、ドットパターンとしてXY座標が登録された媒体自体を識別する識別子やページ番号を登録することができる。
【0065】
このように、本発明のドットパターンは、コード値のみを登録する場合、コード値とXY座標を登録する場合、座標インデックスとともにXY座標を登録する場合のように、柔軟性に富んだフォーマットが可能である。
【0066】
<ドットパターンの説明 GRID2>
次にGRID2のドットパターンの基本原理について図10?14を用いて説明する。GRID2は差分法を用いたドットの配置アルゴリズムである。
【0067】
まず、図10に示すように、XY方向に所定間隔毎に格子線(y1?y7、x1?x5)を仮定する。この格子線の交点を格子点と呼ぶことにする。そして、本実施形態ではこの4つの格子点で囲まれた最小ブロック(1グリッド)としてXY方向に4ブロック(4グリッド)ずつ、すなわち4×4=16ブロック(16グリッド)を1つの情報ブロックとする。なお、この情報ブロックの単位を16ブロックとしたのはあくまでも一例であり、任意のブロック数で情報ブロックを構成することが可能であることはいうまでもない。
【0068】
そしてこの情報ブロックの矩形領域を構成する4つの角点をコーナードット(x1y1,x1y5,x5y1,x5y5)とする(図中、円形で囲んだドット)。この4つのコーナードットは格子点と一致させる。
【0069】
このように、格子点と一致する4個のコーナードットを発見することにより、情報ブロックを認識することができるようになっている。ただし、このコーナードットだけだと情報ブロックは認識できても、その向きが分からない。たとえば情報ブロックの方向が認識できないと同じ情報ブロックであっても±90度または180度回転させたものをスキャンしてしまうと全く別の情報となってしまうためである。
【0070】
そこで、情報ブロックの矩形領域の内部または隣接した矩形領域の格子点にベクトルドット(キードット)を配置している。同図では、三角形で囲まれたドット(x0y3)がそれであり、情報ブロックの上辺を構成する格子線の中点の鉛直上方の1つ目の格子点にキードット(ベクトルドット)が配置されている。これと同様に、当該情報ブロック内において下辺を構成する格子線の中点の鉛直上の1つ目の格子点(x4y3)に下の情報ブロックキードットが配置されている。
【0071】
なお、本実施形態では、格子間(グリッド間)距離を0.25mmとした。したがって、情報ブロックの1辺は0.25mm×4グリッド=1mmとなる。そしてこの面積は1mm×1mm=1mm^(2)となる。この範囲内に14ビットの情報が格納可能であり、このうち2ビットをコントロールデータとして使った場合、12ビット分の情報が格納できることになる。なお、格子間(グリッド間)距離を0.25mmとしたのはあくまでも一例であり、たとえば0.25?0.5mm超の範囲で自由に変更してもよい。
【0072】
GRID2において、情報ドットは1つおきに格子点からx方向、y方向にずらした位置に配置されている。情報ドットの直径は好ましくは0.03?0.05mm超であり、格子点からのずれ量は格子間距離の15?25%程度とすることが好ましい。このずれ量も一例であるため必ずしもこの範囲でなくてもよいが、一般に25%よりも大きなずれ量とした場合には目視したときにドットパターンが模様となって表れやすい傾向がある。
【0073】
つまり格子点からのずれ方が、上下(y方向)のずれと左右(x方向)へのずれとが交互となっているため、ドットの配置分布の偏在がなくなり、紙面上にモアレや模様となって見えることがなくなり、印刷紙面の美観が保てる。
【0074】
このような配置原則を採用することにより、情報ドットは1つおきに必ずy方向(図11参照)の格子線上に配置されることになる。このことは、ドットパターンを読み取る際には、1つおきにy方向またはx方向に直線状に配置された格子線を発見すればよいこととなり、認識の際の情報処理装置における計算アルゴリズムを単純かつ高速化できる利点がある。
【0075】
また、たとえドットパターンが紙面の湾曲等により変形していた場合、格子線は正確な直線とならない場合があるが、直線に近似した緩やかな曲線であるため、格子線の発見は比較的容易であるため、紙面の変形や読取光学系のずれや歪みに強いアルゴリズムであるということがいえる。
【0076】
情報ドットの意味について説明したものが図12である。同図中において+は格子点、●はドット(情報ドット)を示している。格子点に対して-y方向に情報ドットを配置した場合を0、+y方向に情報ドットを配置した場合を1とする。
【0077】
次に図13を用いて具体的な情報ドットの配置状態と読み取りアルゴリズムについて説明する。
【0078】
同図中、丸付き数字の1の情報ドット(以下、情報ドット(1)とする)は格子点(x2y1)よりも+方向にずれているため“1”を意味している。また、情報ドット(2)(図では丸付き数値)は格子点(x3y1)よりも+y方向にずれているため“1”を意味している。さらに情報ドット(3)(図では丸付き数字)は格子点(x4y1)よりも-x方向にずれているため“0”、情報ドット(4)(図では丸付き数字)は“0”、情報ドット(5)(図では丸付き数字)は“0”を意味している。
【0079】
図13に示したドットパターンの場合、情報ドット(1)?(17)は以下の値となる。
【0080】
(1)=1
(2)=1
(3)=0
(4)=0
(5)=0
(6)=1
(7)=0
(8)=1
(9)=0
(10)=1
(11)=1
(12)=0
(13)=0
(14)=0
(15)=0
(16)=1
(17)=1
【0081】
なお、本実施形態では上記情報ビットに対して、さらに以下に説明する差分法による情報取得アルゴリズムを用いて値を算出するようにしたが、この情報ドットをそのまま情報ビットとして出力してもよい。また、この情報ビットに対して後述するセキュリティテーブルの値を演算処理して真値を算出するようにしてもよい。
【0082】
次に、図13を用いて本実施形態のドットパターンに基づいて差分法を適用した情報取得方法を説明する。
【0083】
なお、本実施形態の説明において、()で囲まれた数字は図における円形で囲まれた数字(丸付き数字)、[]で囲まれた数字は図における四角形状で囲まれた数字を意味している。
【0084】
本実施形態において、情報ブロック内の14ビットそれぞれの値は隣接した情報ドットの差分によって表現されている。たとえば、第1ビットは情報ドット(1)に対してx方向に+1格子分の位置にある情報ドット(5)との差分によって求められる。すなわち、[1]=(5)-(1)となる。ここで情報ドット(5)は“0”を、情報ドット(1)は“1”を意味しているので第1ビット[1]は0-1、すなわち“1”を意味している。同様に第2ビット[2]は[2]=(6)-(2)、第3ビット[3]=(7)-(3)で表される。
【0085】
なお、下記の差分式において、値は絶対値をとることにする。
【0086】
[1]=(5)-(1)=0-1=1
[2]=(6)-(2)=1-1=0
[3]=(7)-(3)=0-0=0
【0087】
次に、第4ビット[4]については、ベクトルドットの直下位置にある情報ドット(8)と情報ドット(5)との差分で求める。したがって、第4ビット[4]?第6ビット[6]は+x方向に1格子、+y方向に1格子の位置にある情報ドットの値との差分をとる。
【0088】
このようにすると、第4ビット[4]?第6ビット[6]は以下の式で求めることができる。
【0089】
[4]=(8)-(5)=1-0=1
[5]=(9)-(6)=0-1=1
[6]=(10)-(7)=1-0=1
【0090】
次に、第7ビット[7]?第9ビット[9]については、+x方向に1格子、-y方向に1格子の位置にある情報ビットとの値の差分をとる。
【0091】
このようにすると、第7ビット[7]?第9ビット[9]は以下の式で求めることができる。
【0092】
[7]=(12)-(8)=0-1=1
[8]=(13)-(9)=0-0=0
[9]=(14)-(10)=0-1=1
【0093】
次に、第10ビット[10]?第12ビット[12]については、+x方向に1格子の位置にある情報ドットの差分をとり、以下のようになる。
【0094】
[10]=(15)-(12)=0-0=0
[11]=(16)-(13)=1-0=1
[12]=(17)-(14)=1-0=1
【0095】
最後に、第13ビット[13]と第14ビット[14]は、情報ドット(8)に対してx方向にそれぞれ+1、-1格子の位置にある情報ドットとの差分をとり、以下のように求める。
【0096】
[13]=(8)-(4)=1-0=1
[14]=(11)-(8)=1-1=0
【0097】
なお、第1ビット[1]?第14ビット[14]をそのまま真値として読み取りデータとして採用してもよいが、セキュリティを確保するために、当該14ビットに対応するセキュリティテーブルを設けて、各ビットに対応する鍵パラメータを定義しておき、読取データに対して鍵パラメータを加算、乗算等することにより真値を得るようにしてもよい。
【0098】
この場合、真値TはTn=[n]+Kn(n:1?14、Tn:真値、[n]:読取値、Kn:鍵パラメータ)で求めることができる。このような鍵パラメータを格納したセキュリティテーブルは、光学読取装置内のROM内に登録しておくことができる。
【0099】
たとえば、セキュリティテーブルとして、以下のような鍵パラメータを設定した場合、
K_(1)=0
K_(2)=0
K_(3)=1
K_(4)=0
K_(5)=1
K_(6)=1
K_(7)=0
K_(8)=1
K_(9)=1
K_(10)=0
K_(11)=0
K_(12)=0
K_(13)=1
K_(14)=1
【0100】
真値T1?T14は、それぞれ以下のように求めることができる。
【0101】
T_(1)=[1]+K_(1)=1+0=1
T_(2)=[2]+K_(2)=0+0=0
T_(3)=[3]+K_(3)=0+1=1
T_(4)=[4]+K_(4)=1+0=1
T_(5)=[5]+K_(5)=1+1=0
T_(6)=[6]+K_(6)=1+1=0
T_(7)=[7]+K_(7)=1+0=1
T_(8)=[8]+K_(8)=0+1=1
T_(9)=[9]+K_(9)=1+1=0
T_(10)=[10]+K_(10)=0+0=0
T_(11)=[11]+K_(11)=1+0=1
T_(12)=[12]+K_(12)=1+0=1
T_(13)=[13]+K_(13)=1+1=0
T_(14)=[14]+K_(14)=0+1=1
【0102】
以上に説明した情報ビットと、セキュリティテーブルと真値との対応を図14に示す。
【0103】
なお、上記では情報ドットから情報ビットを得て、セキュリティテーブルを参照して真値を求める場合を説明したが、これとは逆に、真値からドットパターンを生成する場合には、第nビットの値[n]は、[n]=Tn-Knで求めることができる。
【0104】
ここで一例として、T1=1、T2=0、T3=1とした場合、第1ビット[1]?第3ビット[3]は、以下の式で求められる。
【0105】
[1]=1-0=1
[2]=0-0=0
[3]=1-1=0
【0106】
そして、第1ビット[1]?第3ビット[3]は、以下の差分式により表される。
【0107】
[1]=(5)-(1)
[2]=(6)-(2)
[3]=(7)-(3)
【0108】
ここで、(1)=1、(2)=1、(3)=0という初期値を与えると、以下のようにドット(5)?(7)を求めることができる。
【0109】
(5)=(1)+[1]=1+1=0
(6)=(2)+[2]=1+0=1
(7)=(3)+[3]=0+0=0
【0110】
以下の説明は省略するが、同様にドット(8)?(14)の値も求めることができ、この値に基づいてドットを配置すればよい。
【0111】
なお、ドット(1)?(3)の初期値は任意の乱数(0か1)である。
【0112】
つまり、割り当てられた初期ドット(1)?(3)に対して情報ビット[1]?[3]の値を加算してやることで、次のy方向格子線に配置されるドット(5)?(7)の値を求めることができる。同様に、ドット(5)?(7)の値に情報ビット[4]?[6]の値を加算してやることにより、ドット(8)?(10)の値を求めることができる。さらに、これらに情報ビット[7]?[9]の値を加算してやることでドット(12)?(14)の値を求めることができる。さらに、これに情報ビット[10]?[12]の値を加算すればドット(15)?(17)の値を求めることができる。
【0113】
なお、ドット(4)および(11)については前記で算出されたドット(8)に基づいて情報ビット[13]を減算、情報ビット[14]を加算することでそれぞれ求められる。
【0114】
このように、本実施形態では、格子線yn上のドットの配置を格子線y(n-1)上のドット配置に基づいて決定し、それを順次繰り返すことにより全体の情報ドットの配置が決定する。
【0115】
(ペーパーキーボード)
図15?図17は、本発明の実施形態であるペーパーキーボードについて説明した図である。
【0116】
図15は、媒体としてのペーパーキーボードの一面(媒体面)上に印刷されたドットパターンをスキャナ(SCN)が読み取ることによって、パーソナルコンピュータの種々の入力・オペレーションを行う、ペーパーキーボードを示す説明図である。このペーパーキーボードは一方の長辺側が綴じられた冊子状となっており、その冊子の各ページ面にキーボード(キートップ)の図柄が印刷されている。
【0117】
具体的には、図16に示すように、パーソナルコンピュータのキートップを模した、ひらがな、または英文字の一文字(「あ」、「い」、「A」、「B」等)または複数文字からなる文言(「送る」、「はい」等)が印刷された複数の四角い画像領域が設けられている。
【0118】
このそれぞれの四角形状の画像領域には、それぞれの文字(一文字の四角画像領域の場合)に対応する割り込みキーのコード値がドットパターンとして登録されており、この割り込みキーのコード値は、実際のハードウエアキーボードのそれぞれの文字のキートップに定義されたコード値と一致するようになっている。
【0119】
つまり、「A」の英文字が印刷された四角画像領域のドットパターンをスキャナ(SCN)が読み取った場合、ハードウエアキーボードの「A」のキーが押されたときに発生する割り込みキーのコード値がパーソナルコンピュータ(情報処理装置)に入力されるようになっている。
【0120】
なお、ハードウエアキーボードにはない機能として、挨拶文などの文言「はじめまして」、「ひさしぶり」、「ありがとう」等が四角画像領域として印刷されており、これらの領域にはそれぞれの文言に対応した文字列のコード値列がドットパターンとして印刷されている。なお、文字列をそのままキートップに割り当てられたコード値のドットパターンとして印刷しておく場合の他、所定の桁数の入力命令コード値がドットパターンとして印刷されており、後述の図24で説明するインデックステーブルに対応する文字入力情報をあらかじめ保持させておいてもよい。
【0121】
なお、図16では、これらの文言の他、「ホームページを見る」、「Eメールを送る」等の文言が印刷された四角画像領域が印刷されているが、前者はブラウザプログラム、後者はメーラープログラムの起動コマンドのコード値がドットパターンとして印刷されている。
【0122】
なお、図16では、キーボードの配置を五十音順、アルファベット順に配置したが、これに限らず、実際のJIS配列キーボードと同じ配列としてもよい。
【0123】
また、図16に示したペーパーキーボード上には、それぞれの四角画像領域において、ドットパターンとして前記で説明したコード値の他に、前述の座標値も登録されている。
【0124】
ここで、当該ペーパーキーボード面(媒体面)のドットパターンを撮像したときに、コード値を用いてキーボード入力の代替にする場合の他、座標値を用いてマウスやタブレット入力の代替にすることも可能である。このように、コード値を用いるか、座標値を用いるかについては、ペーパーキーボード上に「コード・座標切換」の文字が表示された四角画像領域を設けて、この領域にコード値を採用するか座標値を採用するかを切り換えるコード値をドットパターンとして印刷しておき、この四角画像領域をスキャンする毎にコード値と座標値との入力が切り換えられるようにしてもよい。
【0125】
さらに、四角画像領域に印刷されたドットパターン化されたコード値についても、その読み取り手順によって、コード値とは異なる意味を有するコード値として用いることが可能である。
【0126】
たとえば、「A」の四角画像領域のドットパターンが所定時間内に連続して読み込まれた場合(「A」の四角画像領域上でスキャナをタッピング)、すなわちスキャナの先端を連続的に媒体面に接触させたり離反させるように上下動を繰り返した場合や、スキャナをスクラッチ、すなわち、キートップ画像上でスキャナを前後または左右方向に擦る動作をさせる場合のように、座標値の読み取り画像が変化した場合には、ハードウエアキーボードのシフトキーが押されたのと同じ状態としてもよい。
【0127】
具体的には、小文字の「a」をスキャナ(SCN)で撮影し、当該「A」に対応する割り込みキーのコード値がパーソナルコンピュータに入力され、その後、タッピング動作を行った場合に、パーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)は、プログラムに基づいて、スキャナの撮影画像の変化を検出し、小文字の「a」に対応する割り込みコード値を大文字の「A」に対応する割り込みコード値に変換してワードプロセッサ等のアプリケーションプログラムに引き渡す。
【0128】
また、タッピング動作の場合、最初の1回だけドットパターンの読み取りを行い、後はスキャナ(SCN)のCMOSセンサが認識する光の強弱だけを検出してタッピング動作が行われていることを検出してもよい。
【0129】
また、このようなタッピング動作の他に、当該四角画像領域上でスキャナを一定時間以上停止させてドットパターンの読み取りを行った場合には大文字の「A」、一定時間以下の場合には小文字の「a」と判定してそれぞれのコード値をアプリケーションプログラムに引き渡してもよい。
【0130】
さらに、当該四角画像領域上で同一のコード値を読み取りながら座標値が変化した場合(スキャナのスクラッチ動作)、撮像画像範囲内の光の強弱の分布の変化でスキャナの傾きを検出した場合等に大文字と小文字の入力を切り換えてそれぞれのコード値をアプリケーションプログラムに引き渡すようにしてもよい。
【0131】
図31(b)はこのグリッドタッピング動作を説明する図である。
【0132】
すなわち、スキャナ(SCN)のグリッドタッピング動作とは、スキャナを地図に垂直に立て、上下にスキャナを動かして媒体面のアイコン(ここでは英文字「A」のキートップ画像)を叩く動作を行うことである。
【0133】
図31(a)および(c)はスキャナ(SCN)のグリッドスクラッチ動作を示す説明図である。
【0134】
グリッドスクラッチ動作とは、地図上で、引っかくようにスキャナを複数回動かす動作をいう。ユーザ(オペレータ)は、媒体面のアイコン(ここでは英文字「A」のキートップ画像)上でグリッドスクラッチ動作を行う。これにより、アプリケーションプログラムへの入力文字が大文字の「A」と小文字の「a」の割り込みコードに相互に切り換えられるようになっている。
【0135】
図32はスキャナ(SCN)のグリッドグラインド動作を示す説明図である。
【0136】
グリッドグラインド動作とは、媒体面上の同一のアイコン(ここでは英文字の「A」のキートップ画像)を撮像しながら、スキャナの後端(図では上方)を回転させる動作のことである。紙面に対して右方向(時計方向)にグリッドグラインドすることを「グリッドグラインドライト」、左方向(反時計方向)にグリッドグラインドすることを「グリッドグラインドレフト」と呼んでもよい。
【0137】
図78に示したように、スキャナの撮像画像の明暗を認識し、その明暗領域が撮像中心に対して変化したときに、中央処理装置は、スキャナが図32のように動作されたことを認識できる。このようなスキャナのオペレーションによって、キーボードのシフト、コントロール、入力文字の変換等を行ってもよい。
【0138】
また、スキャナの撮像画像の明暗が変化する動作の他の一例として、グリッドポンプ動作(図示は省略)が挙げられる。グリッドポンプ動作とは、スキャナを前方または後方に繰り返し倒す操作のことである。
【0139】
図78は、スキャナの傾きと角度との関係を説明した図である。
【0140】
キートップ画像上のドットパターンは、紙面の縦方向と同方向に重畳印刷されている。(a)に示す如く、ドットパターンの向きと、スキャナ内のカメラの向きとがなす角度をαとする。また、(b)に示す如く、ユーザがスキャナを傾けたときに、スキャナの傾きとカメラの向きとがなす角度をβとする。この場合に、ドットパターンの向きとスキャナの傾きとがなす角度γが、キートップ画像に対してスキャナを傾けた角度となる。すなわち、角度γは、
γ=α+β
となる。
【0141】
図79から図83は、上述したスキャナの動作において、スキャナの撮影画像の明暗および傾斜方向の算出方法について説明した図である。
【0142】
スキャナ(撮像手段)の媒体面(キートップ画像)の鉛直方向に対する傾きについては、図78(b)に示すように、当該スキャナの撮像視野における明度の差で認識することが可能である。
【0143】
スキャナの傾斜方向とは、図80(a)に示す如く、スキャナと地図とのなす角度をいう。ユーザがどの方向にスキャナを傾けたかは、以下の方法により求めることができる。
【0144】
まず、キャリブレーションを行う。スキャナを地図に対して垂直に立て、その場合の、図79に示した、1?48のセルの明るさを測定する。図79は、スキャナ周辺の領域である。このときの明るさをBL0(i)とする。iは、測定したセルの値であり、たとえば、24番のセルの明るさは、BL0(24)と表示する。
【0145】
スキャナ内部には、LEDが2個設置されている。そのため、スキャナを地図に対して垂直に立てていても、LED付近のセルとLEDから離れた位置にあるセルとでは、明るさが異なる。そのため、キャリブレーションを行なう。
【0146】
次に、スキャナを傾けた場合の明るさを測定する。図80(a)に示す如く、スキャナを一定方向に傾けた場合の、セル1からセル48までの明るさを測定し、セルiにおける明るさをBL(i)とする。そして、各セルにおけるBL(i)とBL0(i)との差分を計算する。そして、
Max(BL0(i)-BL(i))
を計算する。
【0147】
スキャナを傾けた場合、傾けた方向と逆の方向が暗くなる。スキャナを傾けた方向にLEDも傾くため、傾けた方向と逆方向では、LEDとの距離が遠くなるからである。したがって、図80(b)に示す如く、差分が最大値となるセルと逆方向が、スキャナを傾けた位置となる。
【0148】
これにより、スキャナを傾けた方向が定まる。
【0149】
次に、図79?図80を用いて、キャリブレーションを行なうことにより、傾斜方向および角度を決定する他の方法について説明する。
【0150】
最初にキャリブレーションを行なう。まず、スキャナを地図に対して垂直に立て、図79に示したセル1からセル48の明るさを測定し、セルiにおける明るさをBL0(i)とする。
【0151】
次に、スキャナを45°傾け、図80に示す如くペン先を軸にして一周させる。この場合に、スキャナがセルiの位置にきた場合の明るさをBL45(i)とする。セル1からセル48までのBL45(i)を求める。以上の操作によりキャリブレーションが終了する。
【0152】
次に、ユーザがスキャナを傾けた場合の、セル1からセル48までの明るさを測定し、セルiにおける明るさをBL(i)、i=1,n(=48)とする。そして、
【0153】
【数1】

を求める。
【0154】
BL0(i)-BL45(i)は一定であるため、BL0(i)-BL(i)の値が最も大きいとき、すなわち、BL(i)が最小となるときに、
【0155】
【数2】

は最大値となる。上述した如く、スキャナを傾けた方向と逆の方向が最も暗くなるため、この場合のセルiの逆方向が、スキャナを傾けた方向となる。
【0156】
また、スキャナを傾けた角度は、
【0157】
【数3】

となる。
【0158】
なお、上述した式は、明るさに対して角度θが線形となることを想定しているが、厳密には、三角関数等で以下のように近似するとさらに精度を高めることができる。このようにすると、角度は
【0159】
【数4】

となる。
【0160】
図82は、フーリエ関数を用いて、傾斜方向を測定する方法である。
【0161】
図81に示す如く、1から8の8個のセルを測点とし、各セルの明るさを測定する。
【0162】
サイン関数は、
αj{sin(1/2)j-1(θ-βj)}
で表される。すなわち、未知数は2個となる。
【0163】
したがって、n個の測点を有する場合には、離散したポイントがn個となるため、n/2個のサイン関数の和を求め、これが解析中心から半径における明るさBL(i)となる。すなわち、
【0164】
【数5】

ただし、n=2m(nは測点の数)
で表される。
【0165】
本実施例においては、測点が8個であるため、n=8である。したがって、4個のサイン関数の式を合成することにより、フーリエ級数のα1?α4およびβ1?β4を求める。そして、解析中心から半径における明るさBL(i)を、4個のサイン関数の和で表す。
【0166】
上記式より、BL(i)が最小値となる角度θが最も暗い位置であり、その180度反対の方向が、スキャナを傾けた方向となる。
【0167】
図83は、n次方程式を解くことにより、傾斜方向を測定する方法である。
【0168】
図83のグラフは、n次関数を示したものである。n次関数を用いた場合、解析中心から半径における明るさBL(i)は、
BL(i)=α1(θ-β1)・α2(θ-β2)・・・・αj(θ-βj)
ただし、j=n/2,n=2m
で表される。
【0169】
図81に示す如く、本実施例においては、測点が8個であるため、8個の解を求める必要がある。1個の方程式には、αj,βjの2個の未知数が含まれているため、4個の方程式を解き、α1?α4およびβ1?β4を求める。
【0170】
これにより、BL(i)が最小値となる角度θを求める。角度θとなる位置が最も暗い位置であり、その180度反対の方向が、スキャナを傾けた方向となる。
【0171】
なお、図82および図83による測定方法では、キートップ画像の鉛直線に対するスキャナの傾きまでは測定できない。そこで、図79?図80に示した測定方法と併用することにより、具体的に傾けた角度を測定することができる。
【0172】
さらには、上述の図78で説明したように、スキャナを用いて媒体面上のドットパターンを読み取る際に、スキャナが媒体面に対して傾けられたことをスキャナの撮像画像の明暗の差によって認識することにより、媒体面に対するスキャナの傾き方向にしたがって画面上のGUIのオペレーションを行うことも可能である。
【0173】
図78に示したように、中央処理装置(CPU)がスキャナの撮像画像の明暗を認識し、その明暗領域が撮像中心に対して反対側に移動したときに、スキャナが媒体面に対して傾けられたと判定できる。
【0174】
一方、撮像画像の明暗が前記撮像中心に対して回転するように変化したときに、中央処理装置(CPU)は、スキャナがグリッドグラインド動作が行われたことを判定する(図32参照)。
【0175】
また、撮像画像の明暗が撮像中心に対して前方向または後方向に繰り返し変化したときに、中央処理装置は、スキャナが前方または後方に繰り返し倒される動作(グリッドポンプ動作)が行われたことを判定できる。このようなスキャナのオペレーション動作にともなって、ディスプレイ画面上に表示されたカーソルの移動、画面のスクロール等のGUIのオペレーションを行ってもよい。
【0176】
画面上のGUIのオペレーションは、具体的には、画面のスクロール、カーソル移動、画面上のアイコンの指定、ドラッグ&ドロップ操作、メニュー選択、文字等の入力位置指示動作等のマウス操作のオペレーション等である。
【0177】
(ペーパーコントローラ)
図18?図30は、本発明の一実施形態であるペーパーコントローラについて説明した図である。
【0178】
ペーパーコントローラの一面(媒体面)には、図18に示すように、インターネットへのアクセスを行うブラウザプログラム(マイクロソフト社のインターネットエクスプローラ(商標名)等)への指示を行う命令が紙媒体等の表面にアイコン領域として印刷されている。当該ペーパーコントローラ上には、同図に示すように、「ユーザ(オペレータ)登録」指示、ウェブ閲覧の際のカーソルの移動指示、URLのコピー/リンク指示、ディスプレイ装置上に表示される、登録・編集パネルの操作指示、登録・編集パネルの開閉指示、登録・編集パネルのURLおよびそのリンクの削除指示を意味するアイコン領域が印刷されている。そして、これらのアイコン領域にはそれぞれの指示コードを意味するドットパターンが印刷されている。たとえば、ウェブ閲覧のスクロールアイコン領域の「上へ△」の領域には、ブラウザプログラムに表示される画面を上方に移動させる割り込みコードが登録されており、「下へ▽」の領域には、ブラウザプログラムに表示される画面を下方に移動させる割り込みコードが登録されている。
【0179】
図19は、インターネットのURLをブックマークとして登録するためのペーパーコントローラを示している。英文字のGがデザインされた四角形領域(アイコン領域)が9行×11列分設けられており、これらの99個のアイコン領域にそれぞれ異なるコード値のドットパターンが登録されている。また、右側には9行×2列にカテゴリを示すアイコン領域が設けられている。
【0180】
図20は、図18および図19で説明したペーパーコントローラの一面(媒体面)上に印刷されたドットパターンをスキャナ(SCN)が読み取ることによって、パーソナルコンピュータの種々のオペレーションを行っている状態を示す説明図である。
【0181】
ペーパーコントローラ本体は、シート状の紙または合成樹脂で形成されており、その上面には、ドットパターンを含む印刷面が構成されており、さらにその印刷面上には透明の保護シートが積層されたラミネート構造となっている。なお、このような保護シートは必ずしも必須のものではなく、印刷面が露出したものであってもよいことはもちろんである。
【0182】
また、図21は、図19で説明したペーパーコントローラの各アイコン領域を剥離可能なシール構造にして、システム手帳等に貼付して、音声や音楽データ等との関連付けを行うものである。
【0183】
図24(a)は、パーソナルコンピュータのハードディスク装置(HD)内に設けられたローカルなインデックステーブルを示している。
【0184】
ローカルなインデックステーブルには同図(a)に示すように、ドットコードが意味するコード番号と命令とが対応付けられている。当該インデックステーブルの内容は、具体的にはタグに登録されたドットパターンのIDを読み取った際に実行される命令を登録したID(会員用)に関する領域(第1の領域:図では「ID(会員用)」とした領域)と、ペーパーコントローラのドットパターンを読み取って変換されたコード番号とアクセス先を関係付けた領域(第2の領域:図では「ペーパーコントローラ」とした領域)と、コード番号とコンテンツの登録先を関係付けた領域(第3の領域:図では「媒体」とした領域)とに分けることができる。
【0185】
たとえば、第1の領域を使用する例として、タグのドットパターンの読み取り結果において、コード番号の先頭の一桁が1である場合には、中央処理装置(CPU)は、解析プログラムに基づいて、このインデックステーブルを参照して、タグからの情報であることを認識する。そして、この場合にはドットコード管理サーバへのアクセスを行いドットコード管理サーバのインデックステーブル(図24の(b)に示す管理サーバテーブル)にアクセスするようになっている。
【0186】
第2の領域を使用する例として、ペーパーコントローラのドットパターンの読取結果において、コード番号が00001?00004以降である場合には、それぞれに対応付けられたファイルにアクセスするようになっている。
【0187】
たとえば、同図に示すように、アクセス先としては、ドライブ名と起動ファイル、それにパラメータがセットになって登録されている。具体的には、ペーパーコントローラから読み取られたドットパターンが、コード番号00001である場合、電子メールのアプリケーションプログラムがこれに対応付けられており、パラメータとして新規のメール作成を意味するコマンドが設定されている。これによって電子メールのプログラムが起動し、電子メールが新規作成できるような状態になる。
【0188】
また、たとえばコード番号00002の場合にはムービープレイヤの起動が指定されており、パーソナルコンピュータ内に登録されたプレイヤソフトが起動するようになっている。
【0189】
さらに、ペーパーコントローラから物理的なキーボードと同様に文字列が直接入力できるようになっており、たとえばコード番号00003が読み取られたときには、特定のアプリケーションにおいて英文字の「A」、または「B」が入力され、これらの文字コードがアプリケーションに引き渡されるようになっている。
【0190】
さらに、第3の領域を使用する例として、通販カタログ(媒体)等に印刷されたドットパターンを読み込んで、コード番号が00100?であった場合、そのコード番号に対応付けられたURLへのアクセス(Web閲覧)、プログラムの実行、ムービーファイルの起動(再生)が行われるようになっている。
【0191】
ここで、スキャナが読み込んでコード番号に変換して、当該コード番号がインデックステーブルに存在しない場合には、中央処理装置(CPU)は、ネットワークを介して管理サーバへのアクセスを行う。
【0192】
管理サーバでは、個人情報を管理するユーザデータベースとサーバ側のインデックステーブル(図24(b)参照)が設けられている。図示を省略したサーバ側の個人情報管理テーブルにはタグから読み取ったコード番号に対応した個人情報が登録されるようになっているが、前述の先頭桁に1が付与されたコード番号に対して、個人情報が登録されてない場合には、管理サーバの中央処理装置(CPU)は、プログラムにしたがって、初期登録プログラムを前記パーソナルコンピュータに対してダウンロードさせるようになっている。この初期登録プログラムでは、ユーザの自分の個人情報、たとえば住所、氏名、電話番号等を入力するようになっている。このように入力された個人情報に基づいて、管理サーバのユーザデータベースが生成されるようになっている。
【0193】
すなわち、管理サーバのユーザデータベースにタグに対応付けた個人情報を登録しておくことにより、ネットワークアクセスや、決済等の認証処理を容易に行うことができるようになっている。
【0194】
管理サーバの管理サーバテーブルにも、前記図24(a)で説明したローカルのインデックステーブルと同様なテーブルが生成されている。
【0195】
この管理サーバテーブルは、ローカルのインデックステーブルに登録されたコード番号を補完するテーブルであり、スキャナでの読み取り結果のコード番号がローカルのインデックステーブルに存在しない場合に、当該管理サーバテーブルがアクセスされる。
【0196】
たとえば、スキャナでの読み取り結果が、ローカルなインデックステーブルに存在しなかったコード番号00200であった場合、パーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)は、プログラムにしたがって、ネットワークを介して管理サーバにアクセスし、管理サーバテーブルを参照する。
【0197】
管理サーバテーブルにおいて、コード番号00200は、所定のURLのアクセス(Webの閲覧)が定義されているので、当該パーソナルコンピュータは当該URLへのアクセス(Webの閲覧)を実行する。
【0198】
また、当該コード番号がたとえば00201であり、ストリーミング配信を意味している場合には、その配信サーバへのアクセスを行い、ストリーミングデータをダウンロードさせるようになっている。
【0199】
なお、この場合、当該ストリーミングデータのダウンロードとともに、この管理サーバテーブルの内容も前記パーソナルコンピュータのインデックステーブルにダウンロードされる。
【0200】
したがって、その後は、パーソナルコンピュータがスキャナからの読取結果がコード番号00201であっても、管理サーバテーブルにアクセスすることなく、ローカルのインデックステーブルのみで処理できるようになる。
【0201】
図25?図28は、ペーパーコントローラの他の実施形態について説明した図である。
【0202】
これらの図に示すペーパーコントローラは、図18?図20で説明したペーパーコントローラとほぼ同様であるが、所定のアイコン領域毎にガイドバンクが設けられている点が異なる。
【0203】
ガイドバンクは、図27に示すように、ペーパーコントローラ本体の上層にさらに、プラスチック板が設けられており、当該プラスチック板の一部が露出面方向に突出したリブ状のバンクガイドとなっている。
【0204】
このバンクガイドは、上シート面上をスキャナの先端(図では下端)でスライド(シート面に沿って並行移動)させたときに、当該スキャナを把持したオペレータがスライド方向に対して僅かな障害として感じる程度の高さであることが好ましく、意図的に乗り越えてスライドを継続することも可能である。
【0205】
このようなバンクガイドを設けることによって、バンクガイドとペーパーコントローラ本体上のアイコン領域の位置関係をある程度覚えておけば、オペレータは目視に依存しなくてもスキャナを意図するアイコン領域上に配置させることが可能となる。たとえば、図25では、四角状のバンクガイドに囲まれた領域に最大4個のアイコン領域(たとえば図25の左欄中段には「URL」、「リンク」、「全てのURL」、「全てのリンク」)を設けているが、スキャナをそれぞれ左上、右上、左下、右下の方向に移動できなくなるまで(ガイドバンクの四隅まで)スライドさせることで、ユーザ(オペレータ)は手許のペーパーコントローラの印刷面を注視していなくても、それぞれのアイコン領域上で正確にスキャナを停止させてそれぞれのコード値の読み取りを行わせることができる。
【0206】
なお、ガイド部は、カード自体をエンボス加工等することにより、カード自体に突起を設けてもよい。また、ガイドは、図28に示すように、プラスチックの別体で構成し、カードのみをそのガイドに対して入れ替え可能にしてもよい。
【0207】
図29および図30は、このペーパーコントローラのバンクガイドに囲まれた領域にドットパターンとともに点字の突起を設けたものである。このよう点字とドットパターンを同じ領域に設けておくことにより、視覚障害を持つユーザ(オペレータ)がスキャナを使用するときにも健常者と同様の入力効率を保つことができる。
【0208】
特に、図30では、媒体(たとえば紙や合成樹脂板)の所定の四角領域の上方にドットパターンが印刷され、下方に点字が設けられており、この四角領域が壁部(バンク)によって囲まれているため、目が不自由なユーザであってもスキャナの先端がバンクを越えることで異なる領域をスキャンすることが感覚的に把握できるようになっている。
【0209】
なお、本実施例においては、ドットパターンが印刷されている領域と点字が印刷されている領域を別に設けたが、本発明はこれに限らず、ドットパターンと点字を同一の領域に重畳印刷してもよいことは勿論である。
【0210】
(マウスパッド)
図33?図39は、本発明の一実施形態であるマウスパッドについて説明した図である。
【0211】
図33は、媒体としてのマウスパッドの一面(媒体面)上に印刷されたドットパターンをスキャナ(SCN)が読み取ることによって、パーソナルコンピュータの種々のオペレーションを行う、マウスパッドシステムを示す説明図である。
【0212】
このマウスパッドは、前述のペーパーコントローラ、ペーパーキーボードと同様に、シート状の紙または合成樹脂で形成されており、その上面には、ドットパターンを含む印刷面が構成されており、さらにその印刷面上には透明の保護シートが積層されたラミネート構造となっている。なお、このような保護シートは必ずしも必須のものではなく、印刷面が露出したものであってもよいことはもちろんである。
【0213】
印刷面は、図34(a)に示すように、内周領域と、環状の外周領域とで構成されている。
【0214】
内周領域には、座標値とコードAとがドットパターンとして印刷されている。また、外周領域には、座標値とコードBとがドットパターンとして印刷されている。当該マウスパッドを座標入力に用いる場合には、円形内の全ての領域を用いてタブレットのように座標入力が可能となる。
【0215】
なお、同図(b)は、外周領域にアルファベットのコード値を登録した画像領域を設けている。
【0216】
なお、このようなマウスパッドは必ずしも円形である必要はなく、同図(c)および(d)に示すように四角形状であってもかまわない。
【0217】
図35は、環状の外周領域にパーソナルコンピュータの入力指示領域をそれぞれ配置したものであり、この各入力指示領域には、それぞれコンピュータのオペレーションのためのコード値がドットパターン化されて印刷されており、マウスパッドの機能と前述のペーパーコントローラの機能を兼ねている。
【0218】
同図において、各機能領域(同図で丸付き数字で示された領域)における機能は以下の通りである。本詳細な説明では、丸付き数字をカッコつき数字として記載する。
【0219】
(1)範囲選択
アイコン(機能領域)をタッチして、内枠内のスキャナの動作でカーソルを移動し、始点が決まったら、リリースし、もう一度タッチしてカーソルを移動して終点を決めてリリースすると、その間のテキストがブルー表示され、アクティブとなる。
【0220】
(2)コピー
アイコン(機能領域)をタッチすると、範囲選択されたテキストをメモリに蓄える。メモリリストには、今、コピーしたテキストが先頭にリストされる。
【0221】
(3)切り取り
アイコン(機能領域)をタッチすると、範囲選択されたテキストを削除し、そのテキストをメモリに貯える。メモリリストには、今、切り取ったテキストが先頭にリストされる。
【0222】
(4)挿入
カーソルが入力モードになっていない等の場合、アイコン(機能領域)をタッチして、カーソルキー→←・↑↓を使ってカーソルを移動させるか、内枠内のスキャナの動作でカーソルを移動し、リリースすることにより、挿入位置を定める。
【0223】
(5)貼り付け
アイコン(機能領域)をタッチすると、入力モードになっているカーソルの位置から、メモリに格納されてアクティブになっているテキストが挿入される。
【0224】
(6)消去
アイコン(機能領域)をタッチすると、直前に範囲選択されたテキストを消去する。直前に範囲選択されていなければ、入力モードになっているカーソルの位置から後のテキストを1文字消去する。2秒以上長押しすると、リリースするまで連続して文字が消去される。
【0225】
(7)Back Space
アイコン(機能領域)をタッチすると、入力モードになっているカーソルの位置の前のテキストを1文字消去する。2秒以上長押しすると、リリースするまで連続して文字が消去される。
【0226】
(8)行替え
アイコン(機能領域)をタッチすると、行替えして入力モードになっているカーソルの位置が行替えした先頭に移動する。
【0227】
(9)解除
アイコン(機能領域)をタッチすると、(1)、(4)、(15)のアイコン(機能領域)をクリックした後、何も操作していない場合、そのモードを解除し、待機状態となる。
【0228】
(10)UNDO
アイコン(機能領域)をタッチすると、直前に行われたオペレーションが解除され、その前の状態に戻る。何度も繰り返し戻ることが出来る。
【0229】
(11)カーソル→
(12)カーソル←
(13)カーソル↑
(14)カーソル↓
アイコン(機能領域)をタッチすると、入力モードになっているカーソルの位置をその方向に1文字移動させる。2秒以上長押しすると、連続してカーソルの位置をその方向に移動させる。もし、プルダウンメニューが表示されている場合は、(13)、(14)のアイコン(機能領域)をタッチすると、表示された項目のアクティブとなっている項目を上・下に移動させる。
【0230】
(15)メモリ表示
アイコンをクリックすると、範囲選択してコピー、もしくは切り取られたテキストのリストが、新しい順で上から表示される。(11)、(12)のアイコン(機能領域)をタッチしてアクティブとなっている項目を上・下に移動できる。アクティブとした項目を(6)消去しない限り、全てのテキストは保存される。
【0231】
(16)ENTER
カーソルの位置を所定の位置に移動させ、その位置にインストラクションがある場合、アイコン(機能領域)をタッチすると、そのインストラクションが実行される。カナ漢字変換等の決定もできる。一般的なENTERキーと同じ機能を有する。
【0232】
図36(a)?(d)および図37(a)?(b)は、このようなマウスパッドを用いたスキャナの動作により、インターネットのブラウザプログラムのウェブページのスクロールオペレーションを示している。
【0233】
図38(a)は立体マウスパッドの平面図、同図(b)はその断面図である。
【0234】
当該マウスパッドは、環状の溝を設けて、領域の違いを把持したオペレータがスキャナを通じて体感できるようになっている。
【0235】
このような溝は図38に示した環状のものの他、図39に示すような放射状のものであってもよい。
【0236】
(その他のペーパーコントローラ)
図40は、この入力読取り手段を設けて新たなキーボードを提案するものである。
【0237】
キーボードの配置については、「H」「ダブル」「Y」および「変換」「Enter」を中心に扇状に各キートップの画像が配置されており、各キートップの画像は扇状に中心方向に各キートップ画像が直線状に並ばないようにそれぞれずらした位置に配置されている。
【0238】
そして、各キートップ画像は、「H」「ダブル」「Y」および「変換」「Enter」を中心に、より内側に母音(「A」「I」「U」「E」「O」)、その外側に子音(「K」「S」「T」「N」「M」「Y」「R」「W」)が配置されている。
【0239】
これらのキートップ画像上には、図9(b)に示されたようなコード値とXY座標とが同一のフォーマット中に登録されたドットパターンが重畳印刷されている。
【0240】
このXY座標は、アイコンごとに独立してXY座標が定義されていてもよいし、媒体面全体にわたってXY座標が定義されていてもよい。
【0241】
このキーボードを用いれば、スキャナ(SCN)による媒体面のタッチ&リリースで文字入力を行うことが可能である。たとえば、「傘」と入力したい場合、まず、「K」のキートップ画像部分をスキャナで読み取らせる。そしてそのままスキャナ(SCN)を「A」→「S」→「A」の順番にペーパーキーボード上をなぞる(摺動させる)。このようなキートップ間の動作は、媒体上に重畳印刷されたドットパターンの座標値の変化によって認識させることができる。その後、最後の「A」のキートップ画像からスキャナをリリース(上に引き揚げ)する。パーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)は認識プログラムによって、ローマ字入力の「KASA」の入力と、リリース動作によって「変換命令」であることを認識して、パーソナルコンピュータ等のアプリケーションプログラム(日本語入力プログラム)に引き渡す。これによって、ディスプレイ装置上のカーソル位置には漢字で「傘」と表示される。また、入力した文字を日本語に変換したい場合には「変換」をスキャナで読み取らせてもよい。
【0242】
また、「特許」と入力したい場合には(図42(1)?(5)参照)、まず「T」のキートップ画像部分をスキャナで読み取らせて、そのままスライドして「O」→「K」→「ダブル」→「Y」→「O」にスライドさせ、最後の「O」のキートップ画像からスキャナをリリース(上に引き揚げ)するか、さらに「変換」にスライドする。ここで、「ダブル」はその前の文字を2回続けて入力する場合にスキャナで読み取る領域である。パーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)は認識プログラムによって、ローマ字入力の「TOK(ダブル)YO」の入力と、リリース動作、またはそれに続く「変換」の読み取りによって「変換命令」であることを認識して、パーソナルコンピュータ等のアプリケーションプログラム(日本語入力プログラム)に引き渡す。これによって、ディスプレイ装置上のカーソル位置には漢字で「特許」と表示される。
【0243】
図41は、日本語の変換についての規則の一覧であるが、これに限定されなくてもよい。
【0244】
図43は、音声読取りの補助装置としての用途を示したものである。
【0245】
同図は、音声による日本語入力を補助するシステムを示している。ユーザ(オペレータ)が、マイクを通じて発声を行うと、パーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)は、マイクから入力された音声情報を分析して、変換候補をディスプレイ装置に表示するようになっている。ここではユーザ(オペレータ)が「いし」と発声した場合を示している。ディスプレイ装置には「いし」の発声に対応した変換候補が「1 意思」、「2 石」、「3 意志」、「4 医師」、「5 遺志」が表示されている。
【0246】
ここで、ユーザ(オペレータ)はディスプレイ装置に表示された候補から番号を選択して、ペーパーコントローラ(ペーパーキーボード)のその番号のアイコン領域(たとえば「2」)をスキャナでスキャンする。これらの番号のアイコン領域にはそれぞれの番号がコード化されたドットパターンが印刷されており、前記スキャナのオペレーションにより、コード化された番号がパーソナルコンピュータに入力される。パーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)は、入力されたコードから入力候補に関係付けられた番号を読み出し、当該番号に対応する変換文字(たとえば「石」)をアプリケーションプログラムに引き渡す。
【0247】
図44から56は赤外線リモコンの入力手段としてペーパーキーボードを用いた例である。
【0248】
これらは、スキャナをリモコンと一体化したものであり、図44の(a)はリモコンの先端にスキャナが設けられた構造、図44の(b)はリモコンの操作パネルとは反対側の面にスキャナが設けられた構造を示している。
【0249】
ユーザ(オペレータ)は、リモコンのスキャナを用いて新聞等のラジオ・テレビ欄を走査するようになっている。新聞のテレビ欄は、チャンネルと放送局とがXY方向に表示されており、番組名と出演者や内容が文字情報で印刷されている。このようなラジオ・テレビ欄には視聴・録画予約コードがドットパターンとして印刷されており、このドットパターンをスキャナでスキャンすることによって、番組毎に付与された予約コードをリモコンで読み込んで、セットトップボックス(STB)またはテレビ本体の赤外線受光部に向けて送信するようになっている。
【0250】
図45は、クレードル(台)にスキャナが載置できる構造のリモコンであり、クレードル内にはスキャナからの読取信号を分析して赤外線信号を生成する中央処理装置(CPU)と電源(BAT)等が内蔵されている。
【0251】
図46は、図45のスキャナ(SCN)とクレードルとを用いてCS放送やインターネット放送用のセットトップボックスに対して番組予約・録画する場合の説明図である。
【0252】
なお、スキャナ(SCN)とクレードルとの接続は図45および46に示した有線の他、無線で通信を行うようにしてもよい。
【0253】
図47は、図45や図46に示したリモコンに用いられるペーパーコントローラの一例、図48はセットトップボックスを制御対象としたリモコンに用いられるペーパーコントローラの一例である。
【0254】
図49?図56は、図47に示したペーパーコントローラの各機能領域(ドットパターンが印刷された領域、アイコン)のコード値が意味するテレビ(TV)またはセットトップボックスの実行命令を対応つけたものである。
【0255】
たとえば、図47の表紙に印刷された「電源」の領域をスキャナで読み取ると、当該領域に印刷されたドットパターンが読み取られて、コード値に変換され、電源投入信号がテレビまたはセットトップボックスに対して送信される。
【0256】
図57は、本実施形態のペーパーコントローラを、ホテル内の客室に設けられたセットトップボックスに対しての制御を行う媒体として実現したものである。
【0257】
このペーパーコントローラ上には、英語、中国語、韓国語、日本語、それぞれについてシンボルが印刷されており、各シンボル上にはドットパターンが印刷されている。そしてそれぞれのシンボルが意味する動作をセットトップボックスが行うよう、制御信号が無線または光通信としてリモコンから出力されるようになっている。
【0258】
図58および59は、音楽あるいは動画プレイヤの制御を行う場合のペーパーコントローラ(ペーパーキーボード)の一例である。音楽・動画プレイヤについては詳細な説明は省略するが、これらの音楽・動画プレイヤのオペレーションにおいてもスキャナ(SCN)とこれらのペーパーコントローラ(ペーパーキーボード)を使用して映像や音声の録画、再生が可能である。これらのペーパーコントローラ(ペーパーキーボード)の各命令領域にもドットパターンが入力されている。また、図59に示すように、文字入力が可能なペーパーコントローラ(ペーパーキーボード)を用意してもよい。
【0259】
図60?図67は、図58および59に示したペーパーコントローラの各機能領域(ドットパターンが印刷された領域、アイコン)のコード値が意味する音楽・動画プレイヤの実行命令を対応付けたものである。
【0260】
図68?図70は、媒体面として、ホワイトボードを用いた場合であり、このホワイトボード上にもドットパターンが印刷されている。このホワイトボード上のドットパターンは座標値を意味するドットコード(図9参照)が印刷されているものとする。
【0261】
図70に示すように、座標値を意味するドットパターンが印刷されたホワイトボードに対して、プロジェクタにより所定の画像が投影表示される。プロジェクタは図示しないパーソナルコンピュータに接続されており、このパーソナルコンピュータに接続された本発明のスキャナ(図1参照)を用いてホワイトボードの任意の位置を操作すると、その位置のドットパターンがスキャナ(SCN)に読み込まれてパーソナルコンピュータ内で座標値に変換される。パーソナルコンピュータ内のハードディスク装置内には、座標値と命令またはアドレス等が対応付けられたインデックステーブル(図24参照)を参照し、それに対応するアドレスに規定された情報表示、命令実行を行うようになっている。
【0262】
このホワイトボードでは、図69に示すように、ホワイトボードの表面に粘着剤層が設けられており、ここに一面にドットパターンを印刷した透明シートがそのドットパターンを粘着剤層側にして貼付されている。
【0263】
したがって、ドットパターン自体は透明シートに保護されているため、スキャナの先端が接触したりホワイトボード用のペン先が接触してもドットパターン自体が劣化することはない。
【0264】
図70の例では、ホワイトボード上でアイコンが表示された領域上のドットパターンをスキャナで読み取ると、そのドットパターンがパーソナルコンピュータ上で座標値に変換されて、当該座標値に対応してあらかじめ登録されているアプリケーションプログラムが起動するようになっている。
【0265】
また、図68に示すように、ホワイトボードの左側にリモコンの画像が投影され、右側にはリモコンで制御される動画が再生されるようになっていてもよい。
【0266】
この場合、リモコンの各ボタンの投影画像に対応した箇所をスキャナで読み取ると、その座標値がパーソナルコンピュータに読み込まれて当該座標値に対応する動作、たとえば動画の再生、早送り、巻き戻し、一時停止等が行われ、投影動画(画像)を制御できるようになっている。
【0267】
図71は、ホワイトボードの代わりに、ボードを半透明のアクリルボード(スクリーンボード)とした例であり、背後からリアプロジェクタによってパーソナルコンピュータのデスクトップ画面や動画(画像)を投影するようになっている。
【0268】
このスクリーンボードでは、アクリルボードのリアプロジェクタ側に粘着剤層を介して赤外線カットフィルタシートが貼付されており、その反対側の面には、粘着剤層を介して透明シートが貼付されている。そして透明シートの粘着剤層側には座標値を意味するドットパターンが印刷されている。
【0269】
このように、スクリーンボードのリアプロジェクタ側に赤外線カットフィルタシートが貼付されていることにより、リアプロジェクタからの照射光の中の赤外線成分がカットされるため、スキャナ側にはリアプロジェクタからの赤外線成分のノイズ光が届くことがない。そのため、ドットパターンの読み取り精度を高く維持することができる。
図71において、スキャナによってブラウザプログラムのアイコン部分が撮影された場合には、この座標値がパーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)によって、座標と処理命令とが対になった対応テーブル(図示を省略)を参照して、前記ブラウザプログラムのアイコンの配置位置であることが認識されて、当該座標に対応する処理命令(ここではブラウザプログラムの起動)が実行される。
【0270】
図73は、以上に説明したペーパーキーボードをユーザ(オペレータ)自身が作成するために、画面上にペーパーキーボードのイメージ情報を編集し、たとえば一部の領域にマスクを切ってマスクを形成し、当該マスク上にドットパターンのコードを配置して自由な配置でユーザ(オペレータ)自身が使えるペーパーキーボードを作成するための一例である。
【0271】
画面上のアプリケーションで機能アイコンを自分で削除、追加、配置を自由にできるようなプログラムを用意し、その画面のイメージをドットパターンと共に印刷するか、あるいは、ドットパターンが印刷された用紙に印刷することにより、ワードプロセッサ、表計算ソフトなどのアプリケーションプログラムの機能の実行命令を全て自分専用にカスタマイズして印刷したペーパーキーボードにより実現することができる。
【0272】
これによって、画面上の機能ボタンの配置を少なくすることができ、ワードプロセッサや表計算、アプリケーションプログラムの画面インターフェースを極めてシンプルなものにできる。
【0273】
図74および75は、本実施形態に以上に説明したドットパターン読み取り装置と、インデックステーブル、サーバ管理テーブル等を応用した一つの実施形態を技術紹介として配布資料の形式にしたものである。
【0274】
この配布資料(図74および75)に示すように、本技術はGrid Onput(商標名)として実現することが可能である。
【0275】
図74および図75は、GAM(Grid Application Manager、このGAMはパーソナルコンピュータのハードディスク装置内にインストールされたアプリケーションプログラムの名称である)として、ハードウエアとしてはパーソナルコンピュータ(PC)でスキャナを使用する場合の例を示したものである。
【0276】
同図において、(1)?(5)、(7)までは実際の運用例を示したものである。すなわち図74の(1)に示すように、ユーザはCD-ROM、もしくはインターネットの配信サーバにアクセスしてダウンロードしたインストールプログラムをパーソナルコンピュータ(PC)上で実行し、OS(オペレーティングシステム)上にGAMとドライバプログラムを常駐プログラムとして登録する。また、そのときにGAMにバンドルされたアプリケーションプログラムや画像、動画等のコンテンツデータもハードディスク装置(HD)内にインストールする。
【0277】
次に、USB端子にスキャナが接続されると、前記常駐状態のドライバプログラムがこれを認識する。
【0278】
次に、スキャナによってタグの表面が読み取られると、その撮影画像(ドットパターン)がUSBケーブルを介してパーソナルコンピュータ(PC)に読み込まれて、ビデオメモリ(VRAM)に展開される。中央処理装置(CPU)に読み込まれたGAMは、前述のアルゴリズム(GRID1またはGRID2)にしたがって当該撮影画像(ドットパターン)からコード(コード番号)に復号する。
【0279】
ここでスキャナによってはじめてタグをスキャンしたときには、パーソナルコンピュータ(PC)のディスプレイ装置(DISP)には、当該タグに対応した個人情報の入力を促す画面が表示され、この表示画面にしたがって、ユーザは氏名、住所、クレジットカード番号等の個人情報を登録する。このようにして入力された個人情報は、前述の図24に示した管理サーバテーブルに登録されて、以後の認証に使われる。
【0280】
つまり、その後はパーソナルコンピュータ(PC)を起動する際に、スキャナでタグをスキャンすることにより、管理サーバでの認証が行われ、この認証が完了すると、GAMが起動するようになる。
【0281】
次に、ドットパターンが印刷された紙媒体やペーパーコントローラ(ペーパーキーボード)がスキャナで走査される(読み取られる)ことにより、ドットパターンが撮影され撮影画像データがパーソナルコンピュータに入力されて前記と同様に32ビットの数字列からなるドットコード(コード番号)が復号される。
【0282】
このドットコード(コード番号)に基づいて、GAMのドットコード管理テーブル(インデックステーブル)が参照される。
【0283】
ここで、インデックステーブルに既に当該ドットコード(コード番号)が登録されていれば、そのパーソナルコンピュータ(PC)内に既にインストールされたコンテンツデータであるということが認識され、そのコンテンツデータが読み出されて再生される。このコンテンツデータが動画や画像であれば、それに対応した動画再生アプリケーションプログラムや画像表示プログラムによって、ムービーや画像がディスプレイ装置(DISP)に表示される。
【0284】
また、インデックステーブルのドットコード(コード番号)にインターネット上のアドレス(URL)が登録されている場合には、閲覧プログラム(マイクロソフト社のインターネットエクスプローラ等)が起動して当該アドレスへのアクセスが行われる。
【0285】
ところで、図74の(5)に示すように、ドットパターンを読み取った結果のドットコード(コード番号)がローカル(パーソナルコンピュータ内)のドットコード管理テーブル(インデックステーブル)に登録されていないときには、インターネット上のドットコード管理サーバを参照するようになっている。ここで、ドットコード管理サーバの管理サーバテーブルにドットコード(コード番号)が登録されていればそのドットコード(コード番号)に対してのインストラクション(命令)にしたがって、指定されたWebサーバから(1)コンテンツのダウンロード、具体的にはサーバAからのコンテンツのダウンロード、(2)動画のストリーミング配信、具体的にはストリーミング配信サーバとしてのサーバBからのデータ配信、(3)Webの閲覧、具体的にはサーバCのアドレス(URL)で指定されたWebファイルのダウンロードが自動的に開始されるようになっている。
【0286】
次にコンテンツデータがパーソナルコンピュータ(PC)にダウンロードされたときには、そのコンテンツデータとともに、そのコンテンツデータを起動するためのドットコード管理テーブル(インデックステーブル)の追加データ(コード番号とアドレスとが対になったデータ)もダウンロードされ、以後はパーソナルコンピュータ内のドットコード管理テーブル(インデックステーブル)で管理されるようになっている。
【0287】
したがって、その後は前記と同一のコード番号が読み取られた場合、再度インターネット上のサーバA,BまたはCにアクセスすることはなく、新たに追加されたデータを含むドットコード管理テーブル(インデックステーブル)に基づいて、パーソナルコンピュータのハードディスク装置(HD)内にダウンロードされたコンテンツデータが再生されることになる。
【0288】
図76および図77は、ペーパーコントローラをレストラン等の飲食店のオーダーシステムに利用した例を説明したものである。
【0289】
同図に示すように、レストランの各テーブルには、メニュー項目毎に異なるコード番号のドットパターンが印刷されたメニューが置かれており、テーブルの一端にはディスプレイ装置(DISP)を備えたコンピュータ端末が設置されている。
【0290】
スキャナには、ブルートゥース等の近距離無線通信システムが組み込まれており、コンピュータ端末との間で、メニューから読み取ったコード番号と個数情報とが送信が可能となっている。
【0291】
スキャナから読み取られたメニュー項目に対応するコード番号と個数情報とは、前記コンピュータ端末に送信される。コンピュータ端末内の中央処理装置(CPU)は、このメニュー項目のコード番号と個数情報とにテーブル番号を付加したオーダー信号を生成し、オーダーサーバに送信する。
【0292】
オーダーサーバでは、当該オーダー信号からテーブル番号とメニュー項目のコード番号と個数情報とを抽出して、厨房に対してオーダーを設定する。具体的には厨房に表示されるディスプレイ装置に対して、テーブル番号とコード番号に対応したメニュー項目とその個数を表示し、厨房担当者が調理の準備にとりかかれるようになっている。
【0293】
なお、オーダー信号生成の際に、テーブル番号はコンピュータ端末内で付加する場合で説明したが、あらかじめコンピュータ端末のスタンドの表面またはテーブルの表面にテーブル番号を意味するドットパターンが印刷されたシール等が貼付されており、テーブル上にスキャナを配布する際に、スキャナで前記シールの表面を読み取ることによって、テーブル番号とコンピュータ端末との関係付けが行われる。
【0294】
したがって、テーブル上に複数本のスキャナを配布して複数人からのオーダーを同時に受け付けられるようにしてもよい。
【0295】
図84は、XY座標値をマウスパッドとして使用したペーパーキーボードの一例である。
【0296】
図84(a)は、ペーパーキーボードの一部にマウスパッド領域を設けたものである。
【0297】
本実施例では、キートップ画像に印刷されたドットパターンにはコード値のみが登録されており、マウスパッド領域に印刷されたドットパターンにはコード値とXY座標値が登録されている。ユーザがマウスパッド領域でスキャナを上方向にスライドさせると、画面が上方向にスクロールされる。同様に、スキャナを下方向にスライドさせると、画面が下方向にスクロールされる。右方向、左方向についても同様である。
【0298】
図84(b)は、ペーパーキーボード全体をマウスパッド領域として使用するものである。
【0299】
本実施例では、すべてのキートップ画像に、キートップの内容に対応したコード値と、座標値の両方が登録されている。ユーザがペーパーキーボード上の任意の位置でスキャナを2回以上タッピングし、それからスキャナを上方向にスライドさせると、画面が上方向にスクロールされる。同様に、スキャナを2回以上タッピングした後にスキャナを下方向にスライドさせると、画面が下方向にスクロールされる。右方向、左方向についても同様である。
【0300】
図85では、投影ボード上に形成されたドットパターンは、座標値とコード値とが一つのドットパターンのフォーマット中に定義されており、ボード上は所定のマトリクス区画が形成されており、同一のマトリクス区画内では、座標値の変化にかかわらず同一のコード値が付与されている。
【0301】
本実施例は、アイコン画像は、1つまたは複数のマトリクス区画にわたって配置されており、当該アイコン画像のドットパターンが読取手段で読み取られることにより、当該アイコン画像に対応した映像の制御またはプログラムの起動が指示されることを特徴とする。
【0302】
図86は、ホワイトボードの各マトリクスにおけるドットパターンのコード値とXY座標値との関係を示している。
【0303】
図86(a)は、本ドットパターンのC_(0)?C_(31)までの32ビットに定義される値を表で示したものである。同図に示すようにC_(0)?C_(7)がY座標、C_(8)?C_(15)がX座標、C_(16)?C_(29)がコード値、C_(30)?C_(31)がパリティをそれぞれ意味している。
【0304】
これらの数値は、(b)に示す格子領域に配置され、具体的なドットパターンを示したのが(c)である。
【0305】
図87は、パーソナルコンピュータのハードディスク装置(HD)内に設けられたコード値・コマンド対応テーブルについて示したものである。たとえば、スキャナで読み取られたドットパターンに対応したドットコードが11または12である場合には、映像の再生を停止させる。また、ドットコードが13である場合には、再生を一時停止させる。
【0306】
図88?図90は、デスクトップ画面をキャプチャーして印刷を行うことにより、デスクトップ画面のアイコンが印刷されたペーパーキーボードを作成する技術について説明する図である。
【0307】
本実施例においては、キーボード(KBD)の「プリントスクリーン」ボタン(prt sc)が押されること等によりデスクトップ画面がキャプチャーされると、紙面にドットパターンとともにアイコンが印刷された、ペーパーキーボードが印刷媒体として出力されるプログラムが用意されている。
【0308】
図88(a)は、ディスプレイ(表示手段)のデスクトップ画面を示したものである。たとえばデスクトップ画面には、ワードプロセッサ、インターネットおよび表計算のアイコン画像およびスタートボタンが表示されている。
【0309】
デスクトップ画面がキャプチャーされると、パーソナルコンピュータのハードディスク装置(HD)は、デスクトップ画面上のどの位置にアイコンが表示されているかを認識し、アイコンが表示されている位置の座標値を算出する。そして、デスクトップのXY座標と印刷用紙のXY座標とを対応させ、アイコンに対応したドットパターンを生成する。このドットパターンには、画面上の座標値を意味するドットパターンおよびアイコンの機能を意味するコード値が、1つのフォーマットに含まれている。そして、デスクトップ画面のイメージと、生成したドットパターンとの重畳印刷処理を行う。図88(b)は、デスクトップ画面およびドットパターンが印刷されたペーパーキーボードを示す図である。
【0310】
図89は、コード値と起動プログラムとの対応を示すテーブルについて説明した図である。上述した処理によりドットパターンが生成されると、ハードディスク装置(HD)内に、ドットパターンのコード値と、アイコンが意味する起動プログラム(アイコンの機能)とを対応させたテーブルが生成される。例えば、ワードプロセッサを示すアイコンに対応したドットパターンが生成され、コード値0001が割り当てられると、コード値0001と起動プログラムWarpro.exeとが対応したテーブルが生成される。インターネット、表計算を示すアイコンに関しても同様である。このようなテーブルが作成されることにより、ユーザが、例えば、図88(b)に示したペーパーキーボードのグラフの絵をスキャナによりクリックすると、表計算プログラムが起動する。
【0311】
図90は、上述したドットパターンのフォーマットについて示した図である。ドットパターンのフォーマットについては、前述したものと同様であるので説明は省略する。
【0312】
このように、あらかじめデスクトップ画面上のアイコンを印刷しておくことにより、アイコンの指定が容易となる。例えば、すでに複数のプログラムを起動した等により、デスクトップ上のアイコンが画面から隠れてしまった場合であっても、印刷されたペーパーキーボード上でスキャナによりアイコン画像をクリックすれば、容易にプログラムを立ち上げることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0313】
本発明は、パーソナルコンピュータやテレビ、音楽プレイヤ等の情報処理機器の入力システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0314】
【図1】スキャナおよびコンピュータのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】GRID1のドットパターンを示す説明図である。
【図3】GRID1におけるドットパターンの情報ドットの一例を示す拡大図である。
【図4】GRID1における情報ドットの配置を示す説明図である。
【図5】GRID1における情報ドットおよびそこに定義されたデータのビット表示の例であり、他の形態を示すものである。
【図6】GRID1における情報ドットおよびそこに定義されたデータのビット表示の例であり、(a)はドットを2個、(b)はドットを4個および(c)はドットを5個配置したものである。
【図7】GRID1におけるドットパターンの変形例を示すものであり、(a)は情報ドット6個配置型、(b)は情報ドット9個配置型、(c)は情報ドット12個配置型、(d)は情報ドット36個配置型の概略図である。
【図8】GRID1におけるドットの配置を示す説明図である。
【図9】本実施形態におけるドットパターンのフォーマットについて説明した図である。
【図10】GRID2のドットパターンを示す説明図である。
【図11】GRID2におけるドットと格子線との関係を示す図である。
【図12】GRID2における情報ドットの格子点からのずれ方の態様を示す図である。
【図13】GRID2における差分による情報取得を説明するためのドットパターン図である。
【図14】GRID2における情報ビットとセキュリティテーブルと真値との関係を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態であるペーパーキーボードの使用状態を示す説明図である。
【図16】ペーパーキーボードの見開きページを示した図である。
【図17】ペーパーキーボードの見開きページを示した図である。
【図18】本発明の実施形態であるペーパーコントローラを示す説明図である。
【図19】ペーパーコントローラの他の実施形態を示すものであり、インターネットのURLをブックマークとして登録するためのペーパーコントローラである。
【図20】ペーパーコントローラの使用状態を示す説明図である。
【図21】ペーパーコントローラの使用状態を示す説明図である。
【図22】ペーパーコントローラを用いて操作を行なった場合にモニタ上に表示される画面を示した図である。
【図23】ペーパーコントローラを用いて操作を行なった場合にモニタ上に表示される画面を示した図である。
【図24】本実施形態で用いられるテーブルについて説明した図であり、(a)はパーソナルコンピュータ内に設けられたインデックステーブル、(b)は管理サーバ内に設けられた管理サーバテーブルについて示した図である。
【図25】ペーパーコントローラの他の実施形態について説明した図であり、ガイドバンクが設けられたものについて示す図である。
【図26】ペーパーコントローラの他の実施形態について説明した図であり、ブックマークを行なうためのペーパーコントローラについて示す図である。
【図27】図20に示すペーパーコントローラの断面図である。
【図28】ペーパーコントローラとガイドバンクが別体となっている状態を示す説明図である。
【図29】ペーパーコントローラの他の実施形態を示す図であり、ドットパターンとともに点字の突起を設けたものについて示す図である。
【図30】ペーパーコントローラの他の実施形態を示す図であり、ドットパターンとともに点字の突起を設けたものについて示す図である。
【図31】スキャナを動作させることによるペーパーキーボードの操作について説明する図であり、(a)はグリッドスクラッチ動作、(b)はグリッドタッピング動作、(c)はグリッドスライディング動作について説明する図である。
【図32】スキャナを動作させることによるペーパーキーボードの操作について説明する図であり、(a)はグリッドグラインドライト、(b)はグリッドグラインドレフトについて説明する図である。
【図33】本発明の実施形態であるマウスパッドの使用状態について示した説明図である。
【図34】マウスパッドについて説明する図であり、(a)および(b)は円形のマウスパッド、(c)および(d)は四角形状のマウスパッドについて示した図である。
【図35】マウスパッドの具体例について説明した図である。
【図36】マウスパッドを用いた、スキャナの動作によるブラウザプログラムのウェブページのスクロールオペレーションについて説明した図である。
【図37】マウスパッドを用いた、スキャナの動作によるブラウザプログラムのウェブページのスクロールオペレーションについて説明した図である。
【図38】マウスパッドの他の実施形態について説明した図であり、環状の溝を設けたものについて示す図である。
【図39】マウスパッドの他の実施形態について説明した図であり、放射状の溝を設けたものについて示す図である。
【図40】ペーパーキーボードの他の実施形態について示す図であり、タッチ・アンド・リリース動作により入力を行なうものについて説明する図である。
【図41】図40に示したペーパーキーボードを用いて文字を入力する際の文字入力方法について説明した図である。
【図42】図40に示したペーパーキーボードを用いた文字入力の具体例について説明した図である。
【図43】音声認識により文字入力を行なうための補助装置としての用途について説明した図である。
【図44】赤外線リモコンと一体となったスキャナについて示す図である。
【図45】クレードルにスキャナが載置できる構造のリモコンを用いて、テレビに赤外線信号を送信する操作について説明する図である。
【図46】クレードルにスキャナが載置できる構造のリモコンを用いて、セットトップボックスに赤外線信号を送信する操作について説明する図である。
【図47】テレビのリモコン機能およびセットトップボックスの制御機能を有するペーパーコントローラについて説明する図である。
【図48】テレビのリモコン機能およびセットトップボックスの制御機能を有するペーパーコントローラについて説明する図である。
【図49】図47及び図48に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図50】図47及び図48に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図51】図47及び図48に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図52】図47及び図48に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図53】図47及び図48に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図54】図47及び図48に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図55】図47及び図48に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図56】図47及び図48に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図57】ホテルで各種サービスを提供するためのペーパーコントローラについて説明した図である。
【図58】音楽あるいは動画プレイヤの制御を行なうためのペーパーコントローラについて説明した図である。
【図59】音楽あるいは動画プレイヤの制御を行なうためのペーパーコントローラについて説明した図である。
【図60】図58及び図59に示したペーパーコントローラの使用方法について説明した図である。
【図61】図58及び図59に示したペーパーコントローラを用いた際にディスプレイに表示される具体例を示した図である。
【図62】図58及び図59に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図63】図58及び図59に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図64】図58及び図59に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図65】図58及び図59に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図66】図58及び図59に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図67】図58及び図59に示したペーパーコントローラの機能及び操作について説明した図である。
【図68】ドットパターンが印刷されたホワイトボードについて説明した図であり、プロジェクタを用いてコントローラおよび映像を表示した状態を示す図である。
【図69】ホワイトボードの断面構造を拡大して示す縦断面図である。
【図70】ドットパターンが印刷されたホワイトボードについて説明した図であり、プロジェクタを用いてアイコンを表示した状態を示す図である。
【図71】ドットパターンが印刷されたアクリルボードについて説明した図であり、リアプロジェクタを用いてアイコンの初期画面を表示した状態を示す図である。
【図72】アクリルボードの断面構造を拡大して示す縦断面図である。
【図73】ペーパーキーボードをユーザ自身が作成する機能について説明した図であり、(a)はディスプレイ装置に表示された映像、(b)は用紙にプリントアウトされた状態について示した図である。
【図74】本発明の一実施形態であるGAMについて説明した図である。
【図75】本発明の一実施形態であるGAMについて説明した図である。
【図76】本発明の一実施形態であるレストランメニューのオーダーシステムについて説明した図である。
【図77】本発明の一実施形態であるレストランメニューのオーダーシステムについて説明した図である。
【図78】スキャナに内蔵されたカメラの向きおよびスキャナの傾きについて説明した図である。
【図79】スキャナの傾きによりキー入力割り込み処理またはGUIのオペレーションを行う場合において、傾けた方向および角度を測定する方法を説明するための図(1)である。
【図80】スキャナの傾きによりキー入力割り込み処理またはGUIのオペレーションを行う場合において、傾けた方向および角度を測定する方法を説明するための図(2)である。
【図81】スキャナの傾きによりキー入力割り込み処理またはGUIのオペレーションを行う場合において、傾けた方向を測定する方法を説明するための図である。
【図82】スキャナの傾きによりキー入力割り込み処理またはGUIのオペレーションを行う場合において、フーリエ関数を用いることにより傾けた方向を測定する方法を説明するための図である。
【図83】スキャナの傾きによりキー入力割り込み処理またはGUIのオペレーションを行う場合において、n次方程式を用いることにより傾けた方向を測定する方法を説明するための図である。
【図84】XY座標値をマウスパッドとして使用したペーパーキーボードについて説明するための図である。
【図85】マトリクス区画が形成されたホワイトボードについて説明するための図である。
【図86】図85に示したホワイトボードに用いるドットパターンのフォーマットについて説明するための図である。
【図87】図85に示したホワイトボードに用いるドットパターンのコード値とコマンドとの対応テーブルを示した図である。
【図88】ディスプレイ上のデスクトップ画面を印刷し、ペーパーキーボードを作成する機能について説明するための図である。
【図89】ディスプレイ上のデスクトップ画面を印刷し、ペーパーキーボードを作成する際に生成される、コード値と起動プログラムの対応テーブルについて示した図である。
【図90】ディスプレイ上のデスクトップ画面を印刷し、ペーパーキーボードを作成する際に生成されるドットパターンのフォーマットについて説明するための図である。
【符号の説明】
【0315】
1 ドットパターン
2 キードット
3 情報ドット
4 基準格子点ドット
5 仮想格子点
CPU 中央処理装置
MM メインメモリ
USB I/F USBインターフェース
HD ハードディスク装置
DISP ディスプレイ装置(表示手段)
KBD キーボード
NW I/F ネットワークインターフェース
SCN スキャナ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の座標値およびコード値が所定のアルゴリズムで一つのフォーマットでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボードの一面は、動画または画像が投影される映像表示エリアと、その映像表示エリアに投影される動画または画像を制御するためのアイコン画像が投影されるコントローラエリアとからなり、少なくとも映像表示エリアに動画または画像を投影する投影手段と、
前記コントローラエリアに形成されたドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったコントローラエリアのアイコン画像上のドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する制御信号を前記投影手段に対して出力して映像表示エリアに投影される動画または画像の出力を制御する制御手段とからなる投影画像・動画制御システム。
【請求項2】
前記投影ボードは、ホワイトボードの表面に粘着層を介して透明シートが貼付されており、前記ドットパターンは透明シートと粘着層との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の投影画像・動画制御システム。
【請求項3】
所定の座標値および/またはコード値が所定のアルゴリズムでパターン化されたドットパターンが予め形成された投影ボードと、
前記投影ボード上に少なくともプログラムの起動を意味するアイコン画像を投影するとともに、当該アイコン画像に対応した、記憶装置にインストールされたプログラムの表示画像または動画を投影する投影手段と、
前記投影されたアイコン画像の領域に予め形成されているドットパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取ったドットパターンを解析してその意味する座標値またはコード値に変換し、当該座標値またはコード値に対応する起動信号に基づいて記憶装置からプログラムを起動する制御手段とからなる、情報処理表示システム。
【請求項4】
前記投影ボードのドットパターンが形成された面と、画像、動画またはアイコン画像を投影する面とは異なる面であり、前記投影ボードに対して投影手段はリアプロジェクタとして配置される請求項1または3記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。
【請求項5】
前記投影ボードのドットパターンは赤外線吸収特性材料で構成され、少なくとも投影手段側の面には、赤外線カットフィルタが設けられていることを特徴とする請求項4記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。
【請求項6】
前記投影ボード上に形成されたドットパターンは、座標値とコード値とが同一のパターン中に定義されており、
前記ボード上は所定のマトリクス区画が形成されており、同一のマトリクス区画内では、座標値の変化にかかわらず同一のコード値が付与されている請求項1?5のいずれかに記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。
【請求項7】
前記アイコン画像は、前記1つまたは複数のマトリクス区画にわたって配置されており、当該アイコン画像のドットパターンが読取手段で読み取られることにより、当該アイコン画像に対応した映像の制御またはプログラムの起動が指示されることを特徴とする請求項6記載の投影画像・動画制御システムまたは情報処理表示システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2011-01-07 
結審通知日 2011-01-14 
審決日 2011-02-14 
出願番号 特願2007-229588(P2007-229588)
審決分類 P 1 113・ 537- ZD (G06F)
P 1 113・ 121- ZD (G06F)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 久米 輝代  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 近藤 聡
中野 裕二
登録日 2008-06-13 
登録番号 特許第4135117号(P4135117)
発明の名称 投影画像・動画制御システムおよび情報処理表示システム  
代理人 津田 理  
代理人 大野 聖二  
代理人 田中 久子  

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