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審決分類 |
再審 査定不服 その他 審決却下 B60R |
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管理番号 | 1241660 |
審判番号 | 再審2009-950003 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-13 |
確定日 | 2009-11-06 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第354675号「シートベルト装着検出システム」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 7月 7日出願公開、特開平10-181531〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求を却下する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 再審請求人は、発明の名称を「シートベルト装着検出システム」とする特許出願(特願平08-354675号、平成8年12月20日出願)を行い、平成18年3月8日付けで拒絶査定されたところ、平成18年4月11日に拒絶査定不服の審判(不服2006-9415号)が請求された。 そして、平成20年7月14日付けで「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決がなされ、平成20年8月6日に審決の謄本が送達された。 その審決の謄本の送達があった日から30日以内にその審決に対する訴えがなされなかったため、その審決は確定したものである。 そして、平成21年7月13日に本件再審の請求がなされたものである。 2.再審請求人の主張 再審請求人が提出した再審請求書及び平成21年7月24日付け手続補正書によれば再審請求人の主張は以下の通りである。 請求の趣旨 不服2006-9415不服審判事件についてなされた原審決を取消す。特許願平成8-354675の発明は特許すべきものである。との審決を求める。 請求の理由 拒絶査定書と原審決には矛盾があり、また原審決で例示された発明は本発明に必要としている条件の一つを満たさない。 証拠方法 本願発明とは平成8年特許願第354675号、引用発明とは特開昭63-265751号を言う。 まず拒絶査定書の備考における、「第2電極ELFRが電場を発生する手段である」は正しい命題である。 引用発明の明細書によると第2電極EL_(FR)はシート座面の裏側に取り付けられていて、搭乗者の着座判定やシートベルトの正常装着の判定に用いる。 シートベルトの正常装着の判定では、第2電極EL_(FR)の電場は第2電極EL_(FR)と第1電極10aから成るコンデンサの静電容量と抵抗Rから求められる時定数により決まる周波数の交流電場で、第2電極EL_(FR)が可動なため電場の向きや周波数が変化する。 この周波数の違いによりシートベルトの正常装着の判定を行っている。 さらに第1電極10aが移動しなくても搭乗者の体位の変化等により、この交流電場の周波数や方向は変化する。 上記内容が引用発明の要約で、拒絶査定書の論旨である。 引用発明においては第2電極EL_(FR)の電場の周波数変化が必須で、第2電極EL_(FR)の電場は一定ではないことは重要である。 一方、審決書の発明の対比の項では「第2電極EL_(FR)は本願発明でいう「一定の場を生成する手段」」なっていて拒絶査定書と矛盾する。 特許法173条6項により再審請求する。 審決書を精査すると、「引用発明の定電圧Vcに接続される第2電極EL_(FR)は、本願発明でいう「一定の場を生成する手段」に相当するものといえる。」といった文言があった。 これは誤りである。 引用発明の第12図によると、第2電極EL_(FR)と第1電極10aから成るコンデンサC_(x2)が、抵抗R及び差動増幅器の反転側に接続されている。これは差動増幅器を用いたCR発信器の基本である。第2電極EL_(FR)はVcには接続されていない。 また審決書では、「上記コンデンサ(C_(x2))の電界(電場)の強さや静電容量は両電極間に存在する誘電体(の誘電率)が変わることによって、あるいは誘電体(の誘電率)に変化が無くても、両電極間の距離が変動することによって変化(増減)する。」と認めている。 つまり第2電極EL_(FR)の交流電場の周波数及び強度は第1電極10aが移動しなくても変化する。そのため、第2電極EL_(FR)は「一定の場を生成する手段」には成りえない。 これで引用発明には本願発明で必要な「一定の場を生成する手段」が無くなり、引用発明が本願発明の先願発明では無くなった。本願発明に対し特許を与えるべきである。 3.当審の判断 (1)特許法173条6項により再審請求する、との主張について。 特許法173条6項は、再審の請求期間に関する規定であって、「第1項及び第4項の規定は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする再審の請求には、適用しない。」というものである。 しかし、再審請求人の主張は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを主張するものではなく、「審決書の発明の対比の項では「第2電極EL_(FR)は本願発明でいう「一定の場を生成する手段」」なっていて拒絶査定書と矛盾する」というものであって、本件に係る特許出願の拒絶査定とその拒絶査定不服審判の審決が矛盾する旨の主張であるから、特許法173条6項の適用とは関係のない主張であってこれを採用することはできない。 (2)再審請求人は、再審の請求期間に関しては特に主張していないので、本件再審請求が特許法173条に規定する適法な請求期間になされたか否かは明らかではないが、再審請求人の主張に基づき本件再審の請求の適法性について検討する。 再審の事由に関しては、特許法172条2項で、「民事訴訟法第338条第1項及び第2項並びに第339条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。」と規定されている。 しかし、本件再審請求において主張されている事由は、拒絶査定不服審判の審決における引用例の認定誤りあるいは判断の誤りについて主張するものであって、民訴法338条1項各号の再審の事由のいずれにも該当しないものである。 4.むすび 以上のとおり、再審請求人が主張する請求の理由によっては、本件再審を請求することはできない。 よって、結論のとおり審決する。。 |
審理終結日 | 2009-08-24 |
結審通知日 | 2009-09-04 |
審決日 | 2009-09-15 |
出願番号 | 特願平8-354675 |
審決分類 |
P
5
8・
09-
X
(B60R)
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最終処分 | 審決却下 |
前審関与審査官 | 関 裕治朗 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
金丸 治之 藤井 昇 |
発明の名称 | シートベルト装着検出システム |