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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1242690 |
審判番号 | 不服2009-1042 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-01-13 |
確定日 | 2011-09-01 |
事件の表示 | 平成11年特許願第339083号「情報処理装置およびその制御方法、並びに記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成12年12月 8日出願公開、特開2000-339097〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成11年11月30日の出願(国内優先権主張、平成10年12月16日、平成11年3月24日)であって、平成20年12月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年1月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年1月30日付けで手続補正がなされ、平成22年12月14日付けの審尋に対して、平成23年2月7日付けで回答書が提出されたものである。 第2 平成21年1月30日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年1月30日付け手続補正を却下する。 [理由] 1 補正後の本願補正発明 平成21年1月30日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項は次のように補正された。 補正後の請求項1は、補正前の請求項2に対応するものであって、補正前の請求項2に記載された「前記第1のモードまたは前記第2のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに基づいて前記第1の表示手段に情報を表示させる」との事項について、第1のモードにおいて「選択された機能に対応する情報」を前記第1の表示手段に表示させる点、及び、第2のモードにおいて「ユーザによりなぞられた入力軌跡に対応する情報」を前記第1の表示手段に表示させる点を限定するものである。また、補正前の請求項1は削除され、補正後の請求項2ないし10は、補正前の請求項3ないし11に対応している。 補正後の請求項11は、補正前の請求項13に対応するものであって、補正前の請求項13に記載された「前記第1のモードまたは前記第2のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに基づいて前記第1の表示手段に情報を表示させる」との事項を限定するものである。また、補正前の請求項12は削除され、補正後の請求項12ないし16は、補正前の請求項14ないし18に対応している。 補正後の請求項17は、補正前の請求項20に対応するものであって、補正前の請求項20に記載された「前記第1のモードまたは前記第2のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに基づいて前記第1の表示手段に情報を表示させる」との事項を限定するものである。また、補正前の請求項19は削除され、補正後の請求項18及び19は、補正前の請求項21及び22に対応している。 補正後の請求項20は、補正前の請求項24に対応するものであって、補正前の請求項24に記載された「前記第1のモードまたは前記第2のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに基づいて前記第1の表示手段に情報を表示させる」との事項を限定するものである。また、補正前の請求項23は削除され、補正後の請求項21及び22は、補正前の請求項25及び26に対応している。 補正後の請求項23は、補正前の請求項27に対応するものであって、第1のモードにおいて、「選択された機能に対応する情報を前記第1表示手段に表示」させる点、及び、第2のモードにおいて「ユーザによりなぞられた入力軌跡に対応する情報を第1表示手段に表示」させる点を限定するものである。また、補正後の請求項24及び25は、補正前の請求項28及び29に対応する。 そうすると、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、単に「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第1号及び第2号に規定された請求項の削除及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 本願補正発明は、次のとおりである。なお、下線は、審判請求人が補正箇所を示すものとして付したものを援用した。 「所定の入力を行う第1の入力手段と、 前記第1の入力手段によって入力された情報を処理する第1の処理手段と、 前記第1の処理手段によって処理された情報を表示する第1の表示手段と を含む情報処理装置において、 情報を表示する第2の表示手段と、 前記第2の表示手段に表示された情報が観察可能なように、前記第2の表示手段の表側に配置された、所定の入力を行う第2の入力手段と を備え、 前記第2の入力手段は、前記第2の表示手段に表示される各種の機能を選択させるためのメニューから機能を選択させる第1のモードと、ユーザによりなぞられた入力軌跡を前記第2の表示手段に表示させる第2のモードを有しており、 前記第1の処理手段は、前記第1のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに応じた機能に関する処理を実行して得られる選択された機能に対応する情報を前記第1の表示手段に表示させ、前記第2のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された前記座標データに応じた入力軌跡に関する処理を実行して得られるユーザによりなぞられた入力軌跡に対応する情報を前記第1の表示手段に表示させる ことを特徴とする情報処理装置。」 2 引用文献について 引用文献1 特開平9-101842号公報 引用文献2 特開平8-95695号公報 (1)引用文献1の記載内容 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平9-101842号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は、引用発明の認定に関連のある箇所として、当審において付したものである。 ・「【0001】 【発明が属する技術分野】この発明は、ノート型パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の携帯型電子機器に関する。」 ・「【0005】この発明は以上の点に鑑みなれたもので、その目的は、遠隔的な情報入力操作および遠隔的な情報の表示が可能な携帯型電子機器を提供することにある。また、この発明の目的は、遠隔的な情報入力操作および遠隔的な情報の表示が可能であるとともに、絵、模様等の入力が容易な携帯型電子機器を提供することにある。」 ・「【0013】 【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。図1に示すように、この発明の第1の実施の形態に係るノート型のパーソナルコンピュータは、機器本体としてのコンピュータ本体10と携帯端末ユニット12とを備えて構成されている。」 ・「【0014】コンピュータ本体10は、偏平な矩形状のケース14を備え、ケースの上壁14aには入力手段としてのキーボード16が設けられている。また、ケース上壁14aの後端部には、表示手段としての液晶表示パネル18が一対のヒンジ20を介して回動自在に設けられてる。この液晶表示パネル18は、キーボード16を開放して入力操作を可能とする図示の開放位置と、キーボードを覆う閉塞位置との間で回動される。また、ケース14の側面には、フロッピディスクドライブの挿入口22が設けられている。 ・「【0015】一方、携帯端末ユニット12は偏平な矩形状のケース26を備え、その上面には、矩形状の入力/表示部28が露出して設けられている。入力/表示部28は、矩形状の液晶表示パネル30と、この液晶表示パネル30と同一の形状に形成され液晶表示パネル上に重ねて設けられた座標入力手段としての抵抗膜方式のタブレット32と、を有し、いわゆるタッチパネルとして構成されている。すなわち、入力/表示部28は、液晶表示パネル30により種々の情報を表示することができるとともに、例えば、スタイラスペン34を用いてタブレット32表面を押下することにより、所望の情報を入力することができる。」 ・「【0018】一方、コンピュータ本体10は、キーボード16、液晶表示パネル18、その他コンピュータ全体の動作を制御するCPU44を備え、このCPU44には、電源45が接続されているとともに、インターフェース46を介して第2の送受信部48が接続されている。」 ・「【0021】例えば、スタイラスペン34により携帯端末ユニット12の入力/表示部28を介して情報の入力を行った場合、入力された情報は、入力/表示部28に表示されるとともに、インターフェース38、第1の送受信部40を介してコンピュータ本体10の第2の送受信部48にリアルタイムに送信される。そして、送信された情報は、第2の送受信部部48からインテーフェース46を介してCPU44へ送られ、コンピュータ本体10の液晶表示パネル18に表示される。この場合、スタイライスペン38を用いていることから、絵、地図等の図柄を容易に入力して液晶表示パネル18に表示することが可能となる。」 ・「【0044】 【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、電子機器本体との間で情報の送受信が可能な携帯端末ユニットを設けることにより、遠隔的な情報入力操作および遠隔的な情報の表示が可能な携帯型電子機器を提供することができる。」 ・「【0045】また、この発明によれば、遠隔的な情報入力操作および遠隔的な情報の表示が可能であるとともに、絵、模様等の入力が容易な携帯型電子機器を提供することができる。」 これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「機器本体としてのコンピュータ本体10と携帯端末ユニット12とを備えて構成されるノート型のパーソナルコンピュータにおいて、 コンピュータ本体10は、 入力手段としてのキーボード16と、 キーボード16、液晶表示パネル18、その他コンピュータ全体の動作を制御するCPU44と、 表示手段としての液晶表示パネル18とを含み、 携帯端末ユニット12は、矩形状の液晶表示パネル30と、この液晶表示パネル30と同一の形状に形成され液晶表示パネル上に重ねて設けられた座標入力手段としての抵抗膜方式のタブレット32とを有した入力/表示部28を備え、 入力/表示部28は、液晶表示パネル30により種々の情報を表示することができるとともに、例えば、スタイラスペン34を用いてタブレット32表面を押下することにより、所望の情報を入力することができるものであって、 スタイラスペン34により携帯端末ユニット12の入力/表示部28を介して情報の入力を行った場合、入力された情報は、入力/表示部28に表示されるとともに、CPU44へ送られ、コンピュータ本体10の液晶表示パネル18に表示され、この場合、絵、地図等の図柄を容易に入力して液晶表示パネル18に表示することが可能となる、 ノート型のパーソナルコンピュータ。」 (2)同じく原査定の拒絶の理由において慣用技術を示す文献として引用された引用文献2(特開平8-95695号公報)には図面とともに次の事項が記載されている。 ・「【0010】 【実施例】以下図面により本発明の実施例について説明する。図1は本発明のデータ入力装置を搭載したタッチパネル式電子手帳の電子回路の構成を示すブロック図である。」 ・「【0012】前記タッチパネル12は、前記液晶表示部17の表示領域に対応する透明のタッチ領域を有し、前記液晶表示部17の表示画面に重ねて配設されるもので、タッチペン等によりタッチパネル12上の何れかの点がタッチ操作されると、そのタッチ操作位置に対応する電圧信号が制御部(CPU)11に出力される。 【0013】これにより、制御部(CPU)11では、前記タッチパネル12から供給される電圧信号に基づき、前記液晶表示部17に対するタッチ入力座標が検出され、その時の表示内容に基づいてその操作内容が判断される。」 ・「【0014】前記ROM13には、この電子手帳の全体動作を司るシステムプログラムが記憶されると共に、スケジュールデータを入力する際に起動される日付入力処理プログラムや時刻入力処理プログラム,内容入力処理プログラム等、各種動作モードに応じたサブプログラムが記憶される。 【0015】また、前記ROM13には、液晶表示部17で表示すべき全ての文字,数字,記号キャラクタ等のフォントパターンも記憶される。前記RAM14には、制御部(CPU)11での各種動作モードに従って入出力されるデータを、必要に応じて一時的に記憶させるためのワークエリアが備えられると共に、スケジュールデータの記憶エリアも備えられる。」 ・「【0019】そして、前記液晶表示部17には、スケジュール入力モードにおいて、前記入力ボードROM15内の記憶データに基づき、日付入力ボード,時刻入力ボード,手書き入力ボードが順次表示され、また、スケジュール表示モードにおいて、前記RAM14内のスケジュールデータ記憶エリアに記憶されているスケジュールデータが表示される。」 ・「【0024】これと共に、図3における日付入力処理が起動され、図5(A)に示すように、前記スケジュール入力画面Gと共に、入力ボードROM15に予め記憶されている日付入力ボード作成プログラム及び計時部16により計時される年月日データに基づき、当月に対応するカレンダ画面が展開された日付入力ボードXが作成され液晶表示部17に表示される(ステップS1「ステップA1」)。 【0025】このスケジュール入力処理に伴なう日付入力処理での日付入力ボードXの表示状態において、該日付入力ボードXの右端に表示されている月戻しキー「↑」21aをタッチ操作すると、前月に対応するカレンダ画面が展開された日付入力ボードXが作成表示される(ステップA2→A3)。 【0026】また、前記日付入力ボードXの右端に表示されている月送りキー「↓」21bをタッチ操作すると、次月に対応するカレンダ画面が展開された日付入力ボードXが作成表示される(ステップA4→A5)。」 3 対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明における「ノート型のパーソナルコンピュータ」は、本願発明における「情報処理装置」に対応している。 引用発明における「入力手段としてのキーボード16」は、本願補正発明における「所定の入力を行う第1の入力手段」に対応している。 引用発明における「キーボード16、液晶表示パネル18、その他コンピュータ全体の動作を制御するCPU44」は、「スタイラスペン34により携帯端末ユニット12の入力/表示部28を介して情報の入力を行った場合、入力された情報は、CPU44へ送られ、コンピュータ本体10の液晶表示パネル18に表示」する動作を制御していることから、本願補正発明における「前記第1の入力手段によって入力された情報を処理する第1の処理手段」に対応している。 引用発明における「表示手段としての液晶表示パネル18」は、本願補正発明における「前記第1の処理手段によって処理された情報を表示する第1の表示手段」に対応している。 引用発明における「矩形状の液晶表示パネル30」及び「この液晶表示パネル30と同一の形状に形成され液晶表示パネル上に重ねて設けられた座標入力手段としての抵抗膜方式のタブレット32」は、本願補正発明における「情報を表示する第2の表示手段」及び「前記第2の表示手段に表示された情報が観察可能なように、前記第2の表示手段の表側に配置された、所定の入力を行う第2の入力手段」に対応している。 引用発明において入力される「絵、地図等の図柄」は、本願補正発明における「ユーザによりなぞられた入力軌跡」に対応していることから、引用発明における「スタイラスペン34により携帯端末ユニット12の入力/表示部28を介して情報の入力を行った場合、入力された情報は、入力/表示部28に表示される」との事項は、本願補正発明における「前記第2の入力手段は、」「ユーザによりなぞられた入力軌跡を前記第2の表示手段に表示させる」との事項に対応している。 引用発明における「入力された情報は、入力/表示部28に表示されるとともに、CPU44へ送られ、コンピュータ本体10の液晶表示パネル18に表示され、この場合、絵、地図等の図柄を容易に入力して液晶表示パネル18に表示することが可能となる」との事項は、本願補正発明における「前記第1の処理手段は、」「前記第2の入力手段から入力された前記座標データに応じた入力軌跡に関する処理を実行して得られるユーザによりなぞられた入力軌跡に対応する情報を前記第1の表示手段に表示させる」との事項に対応している。 以上によれば、本願補正発明と引用発明の一致点と相違点は,次のとおりと認められる。 (1)一致点 「所定の入力を行う第1の入力手段と、 前記第1の入力手段によって入力された情報を処理する第1の処理手段と、 前記第1の処理手段によって処理された情報を表示する第1の表示手段と を含む情報処理装置において、 情報を表示する第2の表示手段と、 前記第2の表示手段に表示された情報が観察可能なように、前記第2の表示手段の表側に配置された、所定の入力を行う第2の入力手段と を備え、 前記第2の入力手段は、ユーザによりなぞられた入力軌跡を前記第2の表示手段に表示させ、 前記第1の処理手段は、前記第2の入力手段から入力された座標データに応じた入力軌跡に関する処理を実行して得られるユーザによりなぞられた入力軌跡に対応する情報を前記第1の表示手段に表示させる ことを特徴とする情報処理装置。」 (2)相違点 本願補正発明では、第2の入力手段は、「第1のモード」と「第2のモード」を有し、「前記第2の表示手段に表示される各種の機能を選択させるためのメニューから機能を選択させる第1のモード」とするとともに、前記第1の処理手段は、「前記第1のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに応じた機能に関する処理を実行して得られる選択された機能に対応する情報を前記第1の表示手段に表示させ」ているのに対し、引用発明はそのようになっていない点。 4 当審の判断 引用発明は、「入力/表示部28は、液晶表示パネル30により種々の情報を表示することができるとともに、例えば、スタイラスペン34を用いてタブレット32表面を押下することにより、所望の情報を入力することができるもの」であり、「絵、地図等の図柄」を入力して表示する態様以外にも、種々の入力、表示の態様を利用しようとすることは、当業者であれば容易に着想できることである。 ところで、引用文献2(特開平8-95695号公報)には、「タッチパネル式電子手帳」(【0010】段落)に関して、「各種動作モードに応じたサブプログラムが記憶される。」(【0014】段落)、「前記RAM14には、制御部(CPU)11での各種動作モードに従って入出力されるデータを、必要に応じて一時的に記憶させるためのワークエリアが備えられると共に、スケジュールデータの記憶エリアも備えられる。」(【0015】段落)、「そして、前記液晶表示部17には、スケジュール入力モードにおいて、前記入力ボードROM15内の記憶データに基づき、日付入力ボード,時刻入力ボード,手書き入力ボードが順次表示され、また、スケジュール表示モードにおいて、前記RAM14内のスケジュールデータ記憶エリアに記憶されているスケジュールデータが表示される。」(【0019】段落)と記載されているように、タッチパネル式電子手帳のような情報処理装置において、各種動作モードに応じた入力あるいは表示の態様を採用することは、慣用技術として普通に知られていることである。 また、引用文献2には、例えば図5(A)に示されるようなスケジュール入力画面Gや日付入力ボードXが表示された液晶表示部に対する入力、表示の態様として、「月戻しキー「↑」21aをタッチ操作すると、前月に対応するカレンダ画面が展開された日付入力ボードXが作成表示される。」(【0024】段落)こと、及び、「月送りキー「↓」21bをタッチ操作すると、次月に対応するカレンダ画面が展開された日付入力ボードXが作成表示される。」(【0025】段落)ことが記載されており、「タッチパネルの液晶表示部に表示される各種の機能を選択させるためのメニューから機能を選択」したり、「タッチパネルから入力された座標データに応じた機能に関する処理を実行して得られる選択された機能に対応する情報を液晶表示部に表示」させることも、普通に用いられる慣用技術ということができる。 そうすると、引用発明において、入力/表示部28が、「絵、地図等の図柄」を入力して表示する態様を「第2のモード」とし、「入力/表示部28に表示される各種の機能を選択させるためのメニューから機能を選択させる」態様を「第1のモード」として有するように構成するとともに、「第1のモード」において、「入力/表示部28から入力された座標データに応じた機能に関する処理を実行して得られる選択された機能に対応する情報を入力/表示部28に表示」することは、当業者であれば容易に想到できるものである。 なお、引用発明において、「絵、地図等の図柄」は、「入力/表示部28」と「コンピュータ本体10の液晶表示パネル18」の両方に表示されているのであるから、第1のモードにおいて「入力/表示部28から入力された座標データに応じた機能に関する処理を実行して得られる選択された機能に対応する情報」を表示するにあたり、当該情報を「入力/表示部28」に表示するとともに、「コンピュータ本体10の液晶表示パネル18」にも表示させることは、当業者であれば必要に応じて採択できる設計的事項にすぎない。 また、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び慣用技術から予測できる範囲のものである。 以上より、本願補正発明は、引用発明及び慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび したがって、本件補正は、改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?29に係る発明は、平成20年10月23日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?29に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と請求項2に係る発明(以下、「本願発明2」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 所定の入力を行う第1の入力手段と、 前記第1の入力手段によって入力された情報を処理する第1の処理手段と、 前記第1の処理手段によって処理された情報を表示する第1の表示手段と を含む情報処理装置において、 情報を表示する第2の表示手段と、 前記第2の表示手段に表示された情報が観察可能なように、前記第2の表示手段の表側に配置された、所定の入力を行う第2の入力手段と を備え、 前記第2の入力手段は、前記第2の表示手段に表示される各種の機能を選択させるためのメニューから機能を選択させる第1のモードと、ユーザによりなぞられた入力軌跡を前記第2の表示手段に表示させる第2のモードを有しており、 前記第1の処理手段は、前記第1のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに応じた機能に関する処理を実行し、前記第2のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された前記座標データに応じた入力軌跡に関する処理を実行する ことを特徴とする情報処理装置。 【請求項2】 前記第1の処理手段は、前記第1のモードまたは前記第2のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに基づいて前記第1の表示手段に情報を表示させる ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。」 2 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献及びその記載事項は、前記「第2 2」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明2は、上記「第2」で検討した本願補正発明において、「選択された機能に対応する情報」及び「ユーザによりなぞられた入力軌跡に対応する情報」との限定を解除したものに相当する。 そして、本願発明1は、本願発明2において、「前記第1の処理手段は、前記第1のモードまたは前記第2のモードにおいて、前記第2の入力手段から入力された座標データに基づいて前記第1の表示手段に情報を表示させる」との限定を解除したものに相当する。 そうすると、本願発明1の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2」に記載したとおり、引用発明及び上記慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用発明及び慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-06-23 |
結審通知日 | 2011-06-28 |
審決日 | 2011-07-20 |
出願番号 | 特願平11-339083 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 廣瀬 文雄、篠塚 隆 |
特許庁審判長 |
井上 正 |
特許庁審判官 |
須田 勝巳 木方 庸輔 |
発明の名称 | 情報処理装置およびその制御方法、並びに記録媒体 |
代理人 | 稲本 義雄 |