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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1242697
審判番号 不服2009-23235  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-27 
確定日 2011-09-01 
事件の表示 特願2004-187439「液晶表示装置ならびにその駆動回路および駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月12日出願公開、特開2006- 11004〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
平成16年 6月25日 特許出願
平成20年 6月 3日 拒絶理由通知(同年6月10日発送)
平成20年 7月30日 意見書・手続補正書
平成21年 8月31日 拒絶査定(同年9月8日送達)
平成21年11月27日 本件審判請求

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
特許請求の範囲の請求項1?4には、補助容量電極駆動信号の電位と共通電極の電位との間に所定の電位差を保つための発明特定事項が記載されていないから、請求項1?4には、発明の詳細な説明に記載された課題を解決するための手段が記載されているとはいえない。
したがって、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3 当審の判断
当審合議体も、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合せず、本願は同条第6項に規定する要件を満たしていないと判断する。その理由は、以下のとおりである。

3-1 特許を受けようとする発明
特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項の全てが、特許請求の範囲の請求項1?4に区分して記載されているところ、請求項1?4の記載は以下のとおりである。(請求項1、4は、平成20年7月30日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、4であり、請求項2、3は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項2、3である。)

「【請求項1】
画像を表示するためにマトリクス状に配置された画素電極と、第1の所定容量である液晶容量が形成されるように前記画素電極と対向して設けられ所定期間毎に高電位と低電位とに交互に設定される共通電極と、第2の所定容量である補助容量が形成されるように前記画素電極と同一基板上に設けられ前記共通電極が高電位と低電位とに交互に設定されるのと同じタイミングで高電位と低電位とに交互に設定される補助容量電極と、前記補助容量電極を駆動するための補助容量電極駆動信号を伝達する補助容量電極駆動信号線とを備える表示部を駆動する駆動回路であって、
前記補助容量電極駆動信号の電位の上限値をグランド電位に設定する補助容量電位設定回路を備えることを特徴とする駆動回路。
【請求項2】
前記補助容量電極駆動信号を前記補助容量電極駆動信号線に出力する補助容量電極駆動回路を備え、
前記補助容量電位設定回路は、整流素子と容量素子とを含み、
前記整流素子のアノードは、前記補助容量電極駆動信号線と接続され、
前記整流素子のカソードは、グランド配線と接続され、
前記整流素子のアノードと前記補助容量電極駆動信号線との接続点は、前記容量素子を介して前記補助容量電極駆動回路と接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動回路を備えた液晶表示装置。
【請求項4】
画像を表示するためにマトリクス状に配置された画素電極と、第1の所定容量である液晶容量が形成されるように前記画素電極と対向して設けられ所定期間毎に高電位と低電位とに交互に設定される共通電極と、第2の所定容量である補助容量が形成されるように前記画素電極と同一基板上に設けられ前記共通電極が高電位と低電位とに交互に設定されるのと同じタイミングで高電位と低電位とに交互に設定される補助容量電極と、前記補助容量電極を駆動するための補助容量電極駆動信号を伝達する補助容量電極駆動信号線とを備える表示部の駆動方法であって、
前記補助容量電極駆動信号の電位の上限値をグランド電位に設定することを特徴とする駆動方法。」

3-2 発明の詳細な説明に記載した発明
(1) 発明の詳細な説明の記載事項
ア 技術分野についての記載
「【0001】
本発明は、液晶表示装置の駆動回路および駆動方法に関し、特に、補助容量電極を駆動するための駆動回路および駆動方法に関する。」

イ 背景技術についての記載
「【0002】
近年、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を備えるアクティブマトリクス型液晶表示装置が知られている。この液晶表示装置は、互いに対向する2枚の絶縁性の基板から構成される液晶パネルを備えている。液晶パネルの一方の基板には、走査信号線(ゲートバスライン)と映像信号線(ソースバスライン)とが格子状に設けられ、走査信号線と映像信号線との交差点近傍にTFTが設けられている。TFTは、走査信号線から分岐しているゲート電極、映像信号線から分岐しているソース電極、およびドレイン電極とから構成される。ドレイン電極は、画像を形成するために基板上にマトリクス状に配置された画素電極と接続されている。また、液晶パネルの他方の基板には、画素電極との間に電圧を印加するための電極(以下「共通電極」という)が設けられており、画素電極と共通電極とによって液晶容量が形成されている。
【0003】
このような液晶表示装置では、各走査信号線を1水平走査期間ずつ順次に選択するために、アクティブな走査信号の各走査信号線への印加が1垂直走査期間を周期として繰り返される。このため、各液晶容量に蓄積された電荷は、ほぼ1垂直走査期間保持されなければならない。ところが、液晶容量だけではその蓄積された電荷が保持されないので、液晶容量と並列に補助容量が設けられている。
【0004】
図5は、従来の液晶表示装置のTFT近傍を示す回路図である。TFT51のゲート電極57は走査信号線GLと接続され、ソース電極58は映像信号線SLと接続され、ドレイン電極59は画素電極52と接続されている。また、液晶容量55と補助容量56とが並列に設けられている。液晶容量55は画素電極52と共通電極53とによって形成され、補助容量56は画素電極52と補助容量電極54とによって形成されている。
【0005】
ところで、上述のような液晶表示装置では、補助容量電極54は画素電極52と同一の基板上に設けられており、製造不良等により画素電極52と補助容量電極54との間にはリーク電流が生じる可能性がある。…。図5に示す構成において画素電極52と補助容量電極54との間にリーク電流が生じているとき、…、画素電極52の電位と補助容量電極54の電位とは等しくなる。その結果、液晶容量55には補助容量電極54と共通電極53との電位差に相当する電圧が印加される。ここで、従来より、補助容量電極54の電位(以下「CS電位」という)Vcsと共通電極53の電位(以下「COM電位」という)Vcomとは等しくなるように駆動されている。このため、例えばノーマリホワイト方式が採用されている液晶表示装置においては、上述のようなリーク電流が生じたところは輝点として視認される。これは輝点欠陥と呼ばれており、従来より、このような輝点欠陥についてはレーザー等により黒く表示する処置(黒点化)が施されている。
【0006】
そこで、CS電位VcsとCOM電位Vcomとの間に常に所定の電位差が生じるように補助容量電極54と共通電極53とを駆動する液晶表示装置が提案されている。図7は、その液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、ゲート電源100と表示制御回路200と映像信号線駆動回路300走査信号線駆動回路400と液晶パネル500と共通電極駆動回路600と補助容量駆動回路700とCS電位設定回路800とを備えている。液晶パネル500の内部には、複数の走査信号線GLと複数の映像信号線SLとが互いに格子状に設けられており、その複数の走査信号線GLと映像信号線SLとの交差点にそれぞれ対応してスイッチ素子としてのTFT51が設けられている。TFT51のゲート電極57は走査信号線GLと接続され、ソース電極58は映像信号線SLと接続され、ドレイン電極59は画素電極52と接続されている。画素電極52と対向して共通電極53が設けられ、画素電極52と共通電極53とによって液晶容量55が形成されている。また、画素電極52が設けられている基板上には補助容量電極54も設けられており、画素電極52と補助容量電極54とによって補助容量56が形成されている。走査信号線GLは走査信号線駆動回路400と接続され、映像信号線SLは映像信号線駆動回路300と接続されている。補助容量電極54は補助容量電極駆動信号線CsLと接続され、補助容量電極駆動信号線CsLは補助容量電極駆動回路700と接続されている。なお、液晶パネル500の内部の構成については、説明の便宜上、一部のみを示している。
【0007】
補助容量電極54を駆動するための補助容量電極駆動信号は補助容量電極駆動回路700より出力される。ところで、補助容量電極駆動信号によって補助容量電極54に与えられるCS電位Vcsの上限値は後述のようにCS電位設定回路800によって設定される。図7に示すように、CS電位設定回路800は、ダイオード81と、抵抗器83、84と、コンデンサ85とを備えている。ダイオード81のアノードは、補助容量電極駆動信号線CsLと接続されている。一方、ダイオード81のカソードは、ゲートOFF電源ラインGoffLと接続されている。また、ゲートOFF電源ラインGoffLの一端はグランド配線82と接続されている。ダイオード81のアノードと補助容量電極駆動信号線CsLとの接続点bは、コンデンサ85を介して補助容量電極駆動回路700と接続されている。このような構成により、CS電位設定回路800は、いわゆるクランプ回路として機能している。なお、ゲートOFF電源ラインGoffLとは、ゲート電源100から走査信号線駆動回路400に供給すべき電圧のうち低電位の電圧(以下「ゲートOFF電圧」という)を供給するための電源ラインのことである。また、ゲート電源100から走査信号線駆動回路400に供給すべき電圧のうち高電位の電圧を以下「ゲートON電圧」という。
【0008】
次に、図7、図8および図9を参照しつつ、補助容量電極54の駆動について説明する。ダイオード81のアノードと補助容量電極駆動信号線CsLとの接続点bは、コンデンサ85の一端と接続されている。図8は、そのコンデンサ85の他端と補助容量電極駆動回路700との接続点dの電位の変化を示す波形図である。図9は、接続点bの電位の変化を示す波形図である。なお、図8および図9において、ダイオード81のカソードとゲートOFF電源ラインGoffLとの接続点aの電位を符号Vaで示し、接続点bの電位を符号Vbで示し、接続点dの電位を符号Vdで示している。また、接続点dの電位Vdが高電位にあるときの電位Vdと電位Vaとの電位差(Vd-Va)を符号Vcで示し、接続点dの電位Vdが低電位にあるときの電位Vdと電位Vaとの電位差(Va-Vd)を符号Veで示している。補助容量電極駆動回路700から1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れる補助容量電極駆動信号が出力され、電位Vdは図8に示すように変化する。電位Vdが電位Vaより低いとき、電位Vbと電位Vaとが同電位になるまで、電位Vdの上昇にしたがって電位Vbも上昇する。このとき、ダイオード81は非導通状態となっている。電位Vdがさらに上昇すると、電位Vbと電位Vaとが同電位になった時からダイオード81は導通状態となる。コンデンサ85は、電位Vdと電位Vaとの電位差に応じて充電される。また、電位Vbは、電位Vaより高くなることはない。電位Vdが下降すると、それにしたがって電位Vbも下降する。このとき、電位Vbは、電位Vaより、電位Vdと電位Vaとの電位差(Va-Vd)とコンデンサ85の充電による電位差との和に相当する電位差だけ低くなる。その結果、電位Vbの変化は、図9に示すようなものとなる。ここで、接続点bと補助容量電極54とは同電位にあるので、CS電位Vcsの変化も図9に示すようなものとなる。これに対して、COM電位Vcomも1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れるように変化するが、その下限値はグランド電位GNDとほぼ等しくなっている。以上より、CS電位VcsとCOM電位Vcomの変化は図10に示すようなものとなる。なお、ダイオード81が導通する際には電圧降下が生じるが、その電圧降下は充分に小さいので、本説明においては無視している。
【0009】
図10に示すように、CS電位VcsとCOM電位Vcomとの間には、常に所定の電位差が保たれている。リーク電流が生じると、上述したように液晶容量55にはCS電位VcsとCOM電位Vcomとの電位差に相当する電圧が印加される。ノーマリホワイト方式が採用されている液晶表示装置の場合、CS電位VcsとCOM電位Vcomとが同電位であればリーク電流が生じているところは輝点となるが、CS電位VcsとCOM電位Vcomとの間に常に所定の電位差を保つことによりリーク電流が生じているところを黒表示とすることができる。
【特許文献1】特開平2001-188217号公報」(当審注:特開平2001-188217号公報とあるのは、特開2001-188217号公報の誤記である。)

ウ 発明が解決しようとする課題についての記載
「【0010】
ところが、上述のような液晶表示装置によると、ゲートOFF電源ラインGoffL等の電源ラインによって供給される電圧に基づいてCS電位Vcsの上限値が設定される。このため、上述のようにCS電位Vcsの上限値を設定するためにゲートOFF電源ラインGoffLを採用する場合、ゲート電源100には、走査信号線駆動回路400に供給するゲートON電圧、ゲートOFF電圧に加え、CS電位Vcsの上限値を設定するための電圧を供給することができる電源能力が必要となる。また、図7に示すようなCS電位設定回路800を構成するための部品等のコストも必要となっている。
【0011】
そこで、本発明では、消費電力の低減およびコストダウンを実現しつつリーク電流に起因する輝点欠陥の発生を防止することができる液晶表示装置ならびにその駆動回路および駆動方法を提供することを目的とする。」

エ 発明を実施するための最良の形態についての記載
「【0019】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0020】
<1.全体の構成および動作>
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、ゲート電源100と表示制御回路200と映像信号線駆動回路300走査信号線駆動回路400と液晶パネル500と共通電極駆動回路600と補助容量電極駆動回路700とCS電位設定回路800とを備えている。液晶パネル500の内部には、複数の走査信号線GLと複数の映像信号線SLとが互いに格子状に設けられており、その複数の走査信号線GLと映像信号線SLとの交差点にそれぞれ対応してスイッチ素子としてのTFT51が設けられている。TFT51のゲート電極57は走査信号線GLと接続され、ソース電極58は映像信号線SLと接続され、ドレイン電極59は画素電極52と接続されている。画素電極52と対向して共通電極53が設けられ、画素電極52と共通電極53とによって液晶容量55が形成されている。また、画素電極52が設けられている基板上には補助容量電極54も設けられており、画素電極52と補助容量電極54とによって補助容量56が形成されている。走査信号線GLは走査信号線駆動回路400と接続され、映像信号線SLは映像信号線駆動回路300と接続されている。補助容量電極54は補助容量電極駆動信号線CsLと接続され、補助容量電極駆動信号線CsLは補助容量駆動回路700と接続されている。なお、液晶パネル500の内部の構成については、説明の便宜上、一部のみを示している。
【0021】
ゲート電源100は、ゲートON電圧とゲートOFF電圧とを出力する。表示制御回路200は、外部から画像データDvを受け取り、表示用の画像データDaと、液晶パネル500に画像を表示するタイミングを制御するための水平同期信号HSY、垂直同期信号VSY、クロック信号CKおよびスタートパルス信号SPを出力する。映像信号線駆動回路300は、表示制御回路200から出力された画像データDa、クロック信号CKおよびスタートパルス信号SPに基づき、液晶パネル500を駆動するための映像信号を生成し、これを液晶パネル500の各映像信号線SLに印加する。走査信号線駆動回路400は、各走査信号線GLを1水平走査期間ずつ順次選択するために、表示制御回路200から出力された水平同期信号HSYおよび垂直同期信号VSYに基づいて、アクティブな走査信号の各走査信号線GLへの印加を1垂直走査期間を周期として繰り返す。
【0022】
共通電極駆動回路600は、共通電極53を駆動する。補助容量電極駆動回路700は、補助容量電極54を駆動するための補助容量電極駆動信号を出力する。CS電位設定回路800は、後述するように、補助容量電極54に与えるCS電位Vcsの上限値を設定する。
【0023】
CS電位設定回路800は、ダイオード(整流素子)81とコンデンサ(容量素子)85とを備えている。ダイオード81のアノードは、補助容量電極駆動信号線CsLと接続されている。一方、ダイオード81のカソードは、グランド配線82と接続されている。ダイオード81のアノードと補助容量電極駆動信号線CsLとの接続点bは、コンデンサ85を介して補助容量電極駆動回路700と接続されている。このような構成により、CS電位設定回路800は、いわゆるクランプ回路として機能している。
【0024】
<2.駆動方法>
次に、図1、図2および図3を参照しつつ、本実施形態における補助容量電極54および共通電極53の駆動方法について説明する。ダイオード81のアノードと補助容量電極駆動信号線CsLとの接続点bは、コンデンサ85の一端と接続されている。図2は、そのコンデンサ85の他端と補助容量電極駆動回路700との接続点dの電位Vdの変化を示す波形図である。図3は、接続点bの電位Vbの変化を示す波形図である。なお、図2および図3において、グランド電位をGNDで示している。また、接続点dの電位Vdが高電位にあるときの電位Vdとグランド電位GNDとの電位差(Vd-GND)を符号Vfで示し、接続点dの電位Vdが低電位にあるときの電位Vdとグランド電位GNDとの電位差(GND-Vd)を符号Vgで示している。補助容量電極駆動回路700から1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れる補助容量電極駆動信号が出力され、電位Vdは図2に示すように変化する。電位Vdがグランド電位GNDより低いとき、電位Vbがグランド電位GNDになるまで、電位Vdの上昇にしたがって電位Vbも上昇する。このとき、ダイオード81は非導通状態となっている。電位Vdがさらに上昇すると、電位Vbがグランド電位GNDになった時からダイオード81は導通状態となる。コンデンサ85は、電位Vdとグランド電位GNDとの電位差に応じて充電される。また、電位Vbは、グランド電位GNDより高くなることはない。電位Vdが下降すると、それにしたがって電位Vbも下降する。このとき、電位Vbは、グランド電位GNDより、電位Vdとグランド電位GNDとの電位差(GND-Vd)とコンデンサ85の充電による電位差との和に相当する電位差だけ低くなる。その結果、電位Vbの変化は、図3に示すようなものとなる。ここで、接続点bと補助容量電極54とは同電位にあるので、CS電位Vcsの変化も図3に示すようなものとなる。これに対して、COM電位Vcomも1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れるように変化するが、COM電位Vcomについては下限値がグランド電位とほぼ等しくなっている。以上より、CS電位VcsとCOM電位Vcomの変化は図4に示すようなものとなる。
【0025】
<3.作用>
図4に示すように、CS電位VcsとCOM電位Vcomとは同じタイミングで高電位と低電位とが繰り返される。CS電位Vcsについては、上限値がほぼグランド電位GNDに設定される。一方、COM電位Vcomについては、下限値がほぼグランド電位GNDに設定される。これにより、CS電位VcsとCOM電位Vcomとの間には、常に所定の電位差が保たれている。
【0026】
ここで、画素電極52と補助容量電極54との間にリーク電流が生じると、液晶容量55にはCS電位VcsとCOM電位Vcomとの電位差に相当する電圧が印加される。本実施形態においては図4で参照符号Vで示す電圧が印加される。このようにCS電位VcsとCOM電位Vcomとの間には常に所定の電位差が保たれているので、ノーマリホワイト方式が採用されている液晶表示装置の場合、リーク電流が生じても輝点欠陥の発生を防止することができる。
【0027】
<4.効果>
以上説明したように、本実施形態では、CS電位設定回路800内において、ダイオード81のアノードは補助容量電極駆動信号線CsLと接続され、ダイオード81のカソードはグランド配線82と接続されている。さらに、ダイオード81のアノードと補助容量電極駆動信号線CsLとの接続点bは、コンデンサ85を介して補助容量電極駆動回路700と接続されている。これにより、CS電位設定回路800がクランプ回路として機能し、CS電位Vcsの上限値がグランド電位に設定される。COM電位Vcomについては下限値がグランド電位に設定されているので、CS電位VcsとCOM電位Vcomとの間に所定の電位差を保つことができる。
【0028】
一方、従来においては、CS電位VcsとCOM電位Vcomとの間に所定の電位差を保つために、例えばゲートOFF電源ラインなど装置内の電源ラインより供給される電圧に基づいてCS電位Vcsの上限値が設定されていた。本実施形態と従来例とを比較すると、本実施形態ではCS電位VcsとCOM電位Vcomとの間に所定の電位差を保つために装置内の電源ラインを必要としていないので、本実施形態の方が消費電力を低減することができる。これにより、ゲート電源等に必要とされる電源供給能力が低減されるので、電源用のICの小型化やコストダウンを図ることができる。さらに、本実施形態によると、従来例に比して、CS電位設定回路800を構成するための部品を削減することができる。これにより、液晶表示装置のさらなる小型化やコストダウンを図ることができる。このように、リーク電流が生じた際に輝点欠陥の発生を防止することができ、なおかつ、従来よりも消費電力の低減、小型化およびコストダウンを図ることができる液晶表示装置を提供することができる。」

(2)発明の詳細な説明の記載事項の検討
(2-1) 従来の技術
本願の発明の詳細な説明の【0005】には、画素電極と共通電極によって形成される液晶容量と、前記画素電極と補助容量電極によって形成される補助容量が並列に設けられた液晶パネルを備える液晶表示装置の駆動回路として、前記補助容量電極の電位(以下「CS電位」ということがある。)Vcsと前記共通電極の電位(以下「COM電位」ということがある。)Vcomが等しくなるように駆動する駆動回路(以下「従来技術1」という。)が記載されている。そして、該従来技術1は、CS電位VcsとCOM電位Vcomが同電位であるから、ノーマリホワイト方式が採用されている液晶表示装置の場合、画素電極と補助容量電極との間にリーク電流(以下、単に「リーク電流」ということがある。)が生じているところが輝点となる問題を有することが開示されている。
また、本願の発明の詳細な説明の【0006】?【0009】には、前記従来技術1を改良した従来の駆動回路として、ゲート電源が供給する低電位の電圧を用い、CS電位設定回路がCS電位Vcsの上限値を設定することで、前記CS電位Vcsと、下限値がグランド電位GNDにほぼ等しいCOM電位Vcomの間に常に所定の電位差を保つ駆動回路(以下「従来技術2」という。)が記載されている。該従来技術2は、ノーマリホワイト方式が採用されている液晶表示装置の場合、リーク電流が生じているところが黒表示になることが開示されている。

(2-2) 発明が解決しようとする課題
上記従来技術2は、ノーマリホワイト方式が採用されている液晶表示装置の場合、リーク電流が生じているところが黒表示になるから、上記従来技術1の問題は生じないところ、本願の発明の詳細な説明の【0010】には、ゲート電源100にさらなる電源能力が必要となる問題、CS電位設定回路800を構成するコストが必要となる問題のあることが記載されている。そして、本願の発明の詳細な説明の【0011】には、本願の発明が解決しようとする課題として、「消費電力の低減およびコストダウンを実現しつつリーク電流に起因する輝点欠陥の発生を防止する」ことが記載されている。すなわち、本願の発明の詳細な説明に記載された発明が解決しようとする課題は、
A)消費電力の低減の実現、
B)コストダウンの実現、
C)リーク電流に起因する輝点欠陥の発生の防止、
の3つである。

(2-3) 課題を解決する手段
本願の発明の詳細な説明の【0012】?【0015】には、課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1?請求項4とほぼ同じ事項が記載されている。

(2-4) 発明の効果
本願の発明の詳細な説明の【0016】?【0018】には、補助容量電極に印加する補助容量電極駆動信号の電位の上限値をグランド電位に設定することにより、従来と同様に共通電極を駆動しても、補助容量電極と共通電極との間に所定の電位差を保つことができるため、補助容量にリーク電流が生じても、輝点欠陥の発生を防止できることが記載されている。そして、電源供給能力の低減、回路構成部品の削減等により、消費電力を低減し、コストダウンを実現することが記載されている。

(2-5) 発明の実施形態
本願の発明の詳細な説明の【0019】?【0028】に本願の発明の実施形態が記載されているところ、【0020】?【0023】には、発明の実施形態の「全体の構成および動作」が記載されており、液晶表示装置が、ゲート電源100、液晶パネル500、共通電極駆動回路600、補助容量電極駆動回路700、及びCS電位設定回路800等を備えることが記載されている。また、前記液晶パネル500の内部には、画素電極52と共通電極53によって形成される液晶容量55、前記画素電極52と補助容量電極54によって形成される補助容量56、TFT51、走査信号線GL、映像信号線SL、及び補助容量電極駆動信号線CsLを設けることが記載され、前記CS電位設定回路800は、ダイオード81とコンデンサ85を備え、該ダイオード81のカソードをグランド配線82と接続し、クランプ回路として機能することが記載されている。
本願の発明の詳細な説明の【0024】には、発明の実施形態の「駆動方法」が記載されている。前記ダイオード81が導通状態となることにより、前記ダイオード81のアノードと前記補助容量電極駆動信号線CsLとの接続点bの電位Vb(補助容量電極54の電位であるCS電位Vcsも同電位である。)の上限値がほぼグランド電位GNDにクランプされることが記載されている。これに対して、COM電位Vcomの下限値はグランド電位GNDにほぼ等しいことが記載されている。
本願の発明の詳細な説明の【0025】?【0026】には、発明の実施形態の「作用」が記載されている。CS電位VcsとCOM電位Vcomは、上述のとおり、CS電位Vcsの上限値がほぼGND電位に設定され、COM電位Vcomの下限値がほぼGND電位に設定されるから、CS電位VcsとCOM電位Vcomとの間に常に所定の電位差が保たれ、ノーマリホワイト方式が採用されている液晶表示装置の場合、リーク電流が生じても輝点欠陥の発生を防止できることが開示されている。
本願の発明の詳細な説明の【0027】?【0028】には、発明の実施形態の「効果」が記載されている。CS電位Vcsとcom電位Vcomとの間に所定の電位差を保つためのCS電位Vcsの上限値の設定をグランド電位GNDに設定することで、電源ラインを必要とせず消費電力を低減できること、CS電位設定回路800を構成するための部品を削減できるのでコストダウンを図れることが記載されている。

(3) 発明の詳細な説明に記載された発明
上記「3-2 (2-1)」?「3-2 (2-5)」の検討より、本願の発明の詳細な説明に記載された発明が解決しようとする課題は、画素電極と共通電極によって形成される液晶容量と、前記画素電極と補助容量電極によって形成される補助容量が並列に設けられた液晶パネルを備える液晶表示装置の駆動回路において、A)消費電力の低減の実現、B)コストダウンの実現、C)リーク電流に起因する輝点欠陥の発生の防止、の3つである。
前記課題を解決する手段について検討すると、「【0009】…ノーマリホワイト方式が採用されている液晶表示装置の場合、…、CS電位VcsとCOM電位Vcomとの間に常に所定の電位差を保つことによりリーク電流が生じているところを黒表示とすることができる」ところ、本願の発明の詳細な説明に記載された発明は、【0016】に記載されるように、補助容量電極に印加される補助容量電極駆動信号の電位の上限値をグランド電位に設定すると共に、「従来と同様に共通電極を駆動」することで、補助容量電極と共通電極との間に所定の電位差を保ち、上記C)の課題を解決している。ここで、共通電極について、「従来と同様に共通電極を駆動」とあるから、従来の記載「【0008】…。これに対して、COM電位Vcomも1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れるように変化するが、その下限値はグランド電位GNDとほぼ等しくなっている。…」を参照すると、従来はCOM電位Vcomの下限値をグランド電位GNDとほぼ等しく駆動しているから、「従来と同様に共通電極を駆動」するとは、下限の電位がグランド電位GNDとほぼ等しくなるよう共通電極を駆動する意味である。そうすると、上記C)の課題解決手段は、補助容量電極に印加される補助容量電極駆動信号の電位の上限値をグランド電位に設定すると共に、下限の電位がグランド電位GNDとほぼ等しくなるよう共通電極を駆動することであり、それによって、補助容量電極と共通電極との間に所定の電位差が保たれる。ここで、補助容量電極に印加される補助容量電極駆動信号の電位の上限値をグランド電位に設定するだけでは、補助容量電極と共通電極との間に所定の電位差を保つことはできないから、下限の電位がグランド電位GNDとほぼ等しくなるよう共通電極を駆動することは、上記C)の課題を解決する手段の一つである。
本願の発明の詳細な説明に記載された発明は、上記A)?C)の3つの課題を解決する発明であるから、少なくとも、「下限の電位がグランド電位GNDとほぼ等しくなるよう共通電極を駆動すること」を備える発明である。

3-3 判断
本願の特許を受けようとする発明が、発明の詳細な説明に記載したものであるか否か検討する。
(1) 対比
本願の特許を受けようとする発明と、発明の詳細な説明に記載した発明とを対比する。
上記「3-2 (3)」で検討したとおり、発明の詳細な説明に記載した発明は、「下限の電位がグランド電位GNDとほぼ等しくなるよう共通電極を駆動すること」を備える発明である。これに対し、特許請求の範囲の請求項1-4に記載された特許を受けようとする発明は、共通電極について「第1の所定容量である液晶容量が形成されるように前記画素電極と対向して設けられ所定期間毎に高電位と低電位とに交互に設定される共通電極」と特定しているものの、共通電極を駆動する電位を明記していない。

(2) 用語の意義
審判請求人は、審判請求書の請求の理由において、「明細書の記載を考慮して特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈すると(特許法第70条第2項)、共通電極についての電位がグランド電位である旨を把握することができる」と主張する。そこで、共通電極の電位が、その用語の意義からグランド電位GNDであると把握できるのか否か検討する。

(2-1) 本願の明細書と図面の検討
本願の明細書を参酌すると、「【0008】…これに対して、COM電位Vcomも1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れるように変化するが、その下限値はグランド電位GNDとほぼ等しくなっている。」、「【0024】…これに対して、COM電位Vcomも1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れるように変化するが、COM電位Vcomについては下限値がグランド電位とほぼ等しくなっている。」、「【0025】…一方、COM電位Vcomについては、下限値がほぼグランド電位GNDに設定される。」、「【0027】…COM電位Vcomについては下限値がグランド電位に設定されている」との記載がある。また、本願の図面には、従来技術2のCOM電位Vcomの波形が図10に、実施の形態のCOM電位Vcomの波形が図4に描かれており、COM電位Vcomの下限値はほぼグランド電位GNDである。してみると、本願の明細書と図面には、COM電位Vcomの下限値として、ほぼグランド電位であることが記載されている。

(2-2) 本願の先行技術を開示する特許文献1の検討
本願の明細書の【0009】には、先行技術を開示する文献として「【特許文献1】特開2001-188217号公報」(以下「特許文献1」という。)が記載されている。特許文献1を参照すると、従来の技術(【0002】?【0009】、図7?図9)には、「【0007】図9は、図7に示すアクティブマトリクス型液晶表示装置1のゲート信号配線11およびコモン信号線16を駆動する信号波形の概要を示す。補助容量配線13は、コモン信号線16と接続されているので、Com信号とCs信号とは同等である。図9(a)はゲート信号配線11に印加されるゲート信号を示し、図9(b)はコモン信号線16に印加されるコモン信号を示し、図9(c)はゲート信号およびコモン信号を重合わせた状態を示す。」との記載があり、図9(c)には、高電位が+Vs、低電位が-VsでGNDを中心に変動するCom信号の信号波形図が描かれている。さらに、該特許文献1の実施の形態の駆動方法を示す信号波形図である図2、図5にも、同様の信号波形図が描かれている。ここで、特許文献1の「Com信号」は、本願の「COM電位Vcom」に相当し、特許文献1の「Cs信号」は、本願の「CS電位Vcs」に相当する。してみると、特許文献1には、COM電位Vcomの下限値をグランド電位GNDより低い電位である-Vsに設定することが開示されている。さらに、COM電位VcomとCS電位Vcsを同電位にすることも開示されている。

(2-3) 技術常識
COM電位Vcomは、画素電極と共に液晶容量を形成する共通電極の電位であるところ、液晶容量には画素電極の電位と共通電極の電位の差電圧が印加され、該差電圧に応じて階調が表示される。してみると、一般に、COM電位Vcomの下限値は、必ずしもグランド電位GNDである必要はなく、画素電極の電位との関係でグランド電位GNDと異なる電位をとり得ることは、技術常識である。

(2-4) 検討
本願の明細書に記載された従来の技術や実施の形態には、COM電位の下限値をほぼグランド電位に設定した駆動回路が記載されている。また、本願の明細書に記載された先行技術を開示する特許文献1には、COM電位Vcomの下限値をグランド電位GNDと異なる電位に設定した駆動回路が開示されている。してみると、COM電位Vcomの下限値は必ずしもグランド電位GNDに特定されるものではなく、グランド電位GND以外の電位をとり得るもの解され、このことは技術常識とも合致する。そうすると、共通電極の電位が有する用語の意義を解釈しても、その低電位がグランド電位であると把握することはできない。

(3) 判断
以上のことから、出願人が特許請求の範囲1?4に記載した特許を受けようとする発明は、共通電極の電位を特定するものではなく、また、用語の意義を解釈しても、共通電極の電位を特定するものとは解されない。してみると、出願人が特許請求の範囲1?4に記載した特許を受けようとする発明は、共通電極の電位の低電位をグランド電位GNDに設定してリーク電流に起因する輝点欠陥の課題を解決する発明(以下「前者の発明」という。)のみならず、COM電位VcomをCS電位Vcsと等しく設定してリーク電流に起因する輝点欠陥が発生する発明(例えば、特許文献1の従来の技術参照。以下「後者の発明」という。)も含んでいる。よって、出願人が特許請求の範囲の請求項1?4に記載した特許を受けようとする発明のうち、後者の発明については、発明の詳細な説明に記載された発明ではない。
したがって、出願人が特許請求の範囲に記載した特許を受けようとする発明は、発明の詳細な説明に記載された発明ではないから、本願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第1号の規定に適合しない。よって、本願は同条第6項に規定する要件を満たしていない。

3-4 審判請求人の主張に対して
(1) 請求人の主張
請求人は、審判請求書の請求の理由の「3.記載不備の指摘事項に対する対処」において、
「ところで、共通電極の電位については、請求項1には『所定期間毎に高電位と低電位とに交互に設定される』としか記載されていない。しかしながら、明細書の段落0008に『COM電位Vcomも1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れるように変化するが、その下限値はグランド電位GNDとほぼ等しくなっている。』と記載されている。さらに、明細書の段落0024にも『COM電位Vcomも1水平走査期間(1H)毎に高電位と低電位とが交互に現れるように変化するが、COM電位Vcomについては下限値がグランド電位とほぼ等しくなっている。』と記載されている。このように、従来例においても本願発明においても共通電極の電位の下限値はほぼグランド電位となっている。従って、明細書の記載を考慮して特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈すると(特許法第70条第2項)、共通電極についての低電位がグランド電位である旨を把握することができる。このことから共通電極についての高電位がグランド電位よりも高い電位である旨を把握することができる。」
と記載し、記載不備はない旨主張する。

(2) 発明の認定
特許請求の範囲に記載された発明の認定は、特許請求の範囲の記載に基づいて行うとともに、特許請求の範囲に記載された用語の意義は、発明の詳細な説明の記載を参照して解釈して行う。そして、特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか、あるいは一見してその記載が誤記であることが発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情のない限り、用語の意義を参照する限度を超えて特許請求の範囲の記載にはなく発明の詳細な説明にだけ記載された技術事項を読み取り、特許請求の範囲の記載と異なった認定をすることは許されるものではない。
ところで、審判請求人の上記主張のうち、用語の意義の解釈に際し、発明の詳細な説明の記載を参照しても「共通電極についての低電位がグランド電位である」ことを把握できないことは、上記「3-3 (2-4)」に記載したとおりである。しかし、用語の意義を参照する限度を超えて特許請求の範囲の記載にはなく発明の詳細な説明にだけ記載された技術事項を読み取ることが許される特段の事情があれば、「共通電極についての低電位がグランド電位である」ことを読み取る余地も考えられるので、以下に検討する。

(3) 検討
本願の特許請求の範囲の請求項1?4には、技術的意義が一義的に明確に理解することができない記載や、一見して誤記であることが明らかな記載はないところ、審判請求人は、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載が「従来例においても本願発明においても共通電極の電位の下限値はほぼグランド電位となっている」ことを根拠に「共通電極についての低電位がグランド電位である旨を把握することができる」旨主張する。しかしながら、上記「3-3 (2-1)」?「3-3 (2-4)」に記載したとおり、共通電極に設定する低電位をグランド電位GNDに設定することが液晶表示装置の技術分野における当業者の一般的な技術常識ではないことを考慮すると、明細書の発明の詳細な説明に共通電極の電位の下限値がほぼグランド電位となっているもののみが記載されていることをもって、特許請求の範囲の記載にはなく発明の詳細な説明にだけ記載された技術事項を読み取り、特許請求の範囲の記載と異なった認定をすることが許される特段の事情があるとすることはできない。
よって、審判請求人の主張は採用できない。

4 むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合せず、本願は同条第6項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-22 
結審通知日 2011-06-28 
審決日 2011-07-19 
出願番号 特願2004-187439(P2004-187439)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 浩史  
特許庁審判長 小松 徹三
特許庁審判官 松浦 久夫
飯野 茂
発明の名称 液晶表示装置ならびにその駆動回路および駆動方法  
代理人 島田 明宏  
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