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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1244078
審判番号 不服2011-13125  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-06-21 
確定日 2011-09-29 
事件の表示 特願2010-141016「写真シール作成装置および方法、並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月25日出願公開、特開2010-266879〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願の手続の経緯は、概要次のとおりである。
特許出願 :平成22年 6月21日
(特願2004-197039号を原出願とした分割出願)
(原出願の出願日 :平成16年 7月 2日)
手続補正 :平成22年 8月18日
拒絶理由通知(最初):平成22年10月14日(起案日)
手続補正 :平成22年12月 8日
意見書 :平成22年12月 8日
拒絶理由通知(最後):平成22年12月27日(起案日)
手続補正 :平成23年 3月 3日
意見書 :平成23年 3月 3日
拒絶査定 :平成23年 3月22日(起案日)
拒絶査定不服審判請求:平成23年 6月21日

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年3月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。

「【請求項1】
利用者に、前記利用者を被写体とする撮影作業、および、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像に対して編集情報を入力する編集入力作業を、写真シール作成ゲームとして行わせ、編集済みの前記利用者の画像が印刷されたシールシートを写真シールとして前記利用者に提供する写真シール作成装置であって、
前記撮影作業を行う撮影空間の利用者を撮影する撮影手段と、
前記編集入力作業を行う第1の編集空間において、前記利用者による前記編集入力を受け付け、前記編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集する第1の編集手段と、
前記第1の編集空間で前記編集入力作業を行う利用者と異なる組の利用者が前記編集入力作業を行う第2の編集空間において、前記利用者による前記編集入力を受け付け、前記編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集する第2の編集手段と、
前記第1の編集手段若しくは前記第2の編集手段により編集された前記利用者の画像を前記シールシートに印刷する印刷手段と、
前記写真シール作成ゲームを管理し、前記利用者に、前記写真シール作成ゲームとして、第1の所定時間、前記撮影作業を行った後、前記第1の所定時間の2倍の長さである第2の所定時間、前記編集入力作業を行わせるように、前記撮影手段、前記第1の編集手段、前記第2の編集手段、および前記印刷手段を制御する管理手段と
を備え、
前記管理手段は、前記写真シール作成ゲームを実現するゲーム処理として、
前記撮影手段を制御し、前記撮影空間の前記利用者を撮影させ、前記第1の所定時間経過後、前記利用者を前記第1の編集空間に移動させるように案内させ、前記第1の編集手段を制御し、前記撮影空間から前記第1の編集空間に移動した前記利用者による編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集させ、前記第2の所定時間経過後、前記利用者を、前記写真シールが排出される排出口の前に移動させるように案内させ、前記印刷手段を制御し、前記第1の編集手段により編集された前記利用者の画像を前記シールシートに印刷させ、前記写真シールを前記排出口より排出させるか、若しくは、
前記撮影手段を制御し、前記撮影空間の前記利用者を撮影させ、前記第1の所定時間経過後、前記利用者を前記第2の編集空間に移動させるように案内させ、前記第2の編集手段を制御し、前記撮影空間から前記第2の編集空間に移動した前記利用者による編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集させ、前記第2の所定時間経過後、前記利用者を、前記写真シールが排出される排出口の前に移動させるように案内させ、前記印刷手段を制御し、前記第2の編集手段により編集された前記利用者の画像を前記シールシートに印刷させ、前記写真シールを前記排出口より排出させ、
さらに、前の組の利用者に対する前記ゲーム処理が開始されてから前記第1の所定時間経過後、次の組の利用者に対する前記ゲーム処理を開始可能とする
写真シール作成装置。」

第3 引用例
1 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である、特開2003-32586号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の技術的事項の記載がある(下線は当審で付した。)。

(1a)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像印刷装置および方法、印刷媒体、並びにプログラムに関し、特に、ユーザの回転率を向上させ、順番待ちの時間を短縮することができるようにした画像印刷装置および方法、印刷媒体、並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ユーザの画像を撮影し、これを予め用意されたフレーム画像と合成してシール紙などに印刷して提供する画像印刷装置(例えば、プリントクラブ(商標))が知られている。そして、この画像印刷装置には、ユーザは、撮影した画像上に付属のペンで任意の文字や図形などを書き込む(編集する)ことができるようになされているものも存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような画像上に書き込むことができる画像印刷装置においては、撮影した画像を確認する画面と、書き込み作業を行う画面とが同一の画面で構成されている。そのため、順番待ちをしているユーザは、先に使用しているユーザが編集までの一連の処理を終了するまで待たなければならないという課題がある。
【0004】また、画像印刷装置を管理する、例えば、ゲームセンターの側としても、ユーザの回転率が高いほど収益率が向上し、好ましい。
【0005】本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、撮影する空間と編集する空間とを異なる位置に設け、さらに、1つの撮影空間に対して編集空間を複数設けることにより、ユーザの回転率を向上させ、順番待ちの時間を短縮するようにしたものである。」

(1b)「【0026】
【発明の実施の形態】図1は、本発明を適用した画像印刷装置の構成例を示す斜視図である。
【0027】図1において、画像印刷装置1の筐体10の正面上方の面10-1には、撮影装置20が設置されている。この撮影装置20には、CCD(Charge Coupled Device)、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などよりなるカメラ21、および小型のLCD(Liquid Crystal Display)などよりなる取り込み画像表示部22が配置されている。カメラ21は、被写体の画像を取り込み、その画像(動画像)は、取り込み画像表示部22に表示される。取り込み画像表示部22がカメラ21の近傍に設けられているため、ユーザは、取り込み画像表示部22に表示されている自分の画像を確認しながら、視線をほぼカメラ21に向けた状態で撮影することができる。
【0028】また、面10-1の左右には、照明装置31が配置される。照明装置31は、内部に発光体(フラッシュ)を有しており、ユーザから撮影の開始が指示され、カメラ21が被写体を撮影するとき(キャプチャするとき)、そのタイミングに合わせて、被写体を照射する。
【0029】面10-1の下方にある、所定の角度だけ上方を向いた面10-2には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCDなどよりなる撮影用モニタ41が設置されている。撮影用モニタ41は、撮影方法を案内する画面や、後述するように撮影装置20により撮影された被写体の画像を表示する。
【0030】面10-2の右側には、操作パネル42が設置されている。操作パネル42は、ユーザにより操作される各種の操作ボタンよりなり、例えば、カメラ21のズームを調整するときなどに操作される。操作パネル42には、例えば、撮影用モニタ41に表示される各種の選択に対して、決定するとき操作される「○ボタン」、決定したものをキャンセルするとき操作される「×ボタン」、撮影用モニタ41に表示されるカーソルなどを移動するとき操作される「+ボタン」、「-ボタン」などが配置され、そのほか、撮影の開始を指示するとき操作される「撮影スタートボタン」などが適宜配置される。
【0031】面10-2の下方にある面10-3には、左上方に硬貨投入口51が設けられており、ユーザは、画像印刷装置1を利用するとき、所定の金額を投入する。また、面10-3の左右下方には、スピーカ52が設けられている。スピーカ52は、各種の音声ガイダンスなどを出力し、ユーザに対して、撮影方法(シール作成の進行方法)を案内する。」

(1c)「【0032】筐体10の右側面である面10-4には、CRTやLCDなどよりなる編集用モニタ61、タッチペン62、およびスピーカ63が設けられており、その下方には印刷されたシールシートを排出する印刷物取り出し口64が設けられている。
【0033】カメラ21で撮影され、編集する画像として選択され、保存された画像は、ユーザが撮影処理を終了した後、編集用モニタ61に表示される。編集用モニタ61には、タッチパネル262(図8参照)が積層されており、ユーザは、編集用モニタ61に表示されている画像に対して、タッチペン62を操作することにより、編集対象の画像(以下、適宜、編集対象画像と称する)に任意の文字や図形などを書き込む(入力する)ことができる。
【0034】すなわち、ユーザは、筐体10の正面(面10-1)前方の場所(以下、適宜撮影空間と称する)で自分自身を撮影したのち、面10-4の前方の場所(以下、適宜第1の編集空間と称する)へ移動して、撮影した自分自身の画像を編集する。
【0035】編集用モニタ61は、編集対象画像とともに、様々な編集ツールの選択ボタンなどを表示する。そして、編集用モニタ61は、タッチペン62で書き込みがされたとき、その入力に応じて生成した編集済みの画像を表示する。
【0036】タッチペン62は、編集用モニタ61に積層されるタッチパネル262の位置検出方式(例えば、抵抗膜式、超音波式など)に応じて構成され、編集に使用されないとき、図に示すように面10-4に設置されている突起部に固定される。
【0037】スピーカ63は、第1の編集空間にいるユーザに対して、編集の入力方法を説明する音声ガイダンスを出力する。
【0038】印刷物取り出し口64は、所定の数、および大きさの複数のシールからなる、編集済みの画像が印刷されたシールシートを排出する。」

(1d)「【0039】図2は、図1に示した画像印刷装置1を左前方上側より見た場合の斜視図であり、本発明を適用した画像印刷装置の構成例を示す図である。
【0040】図2において、画像印刷装置1の筐体10の左側面10-6には、編集用モニタ71、タッチペン72、およびスピーカ73が設けられており、その下方には印刷されたシールシートを排出する印刷物取り出し口74が設けられている。
【0041】カメラ21による撮影処理が終了した後、第1の編集空間において、撮影を終了したユーザが編集を行うことができない場合、編集対象画像として選択され、保存された画像は、編集用モニタ71に表示される。編集用モニタ71には、タッチパネル272(図8参照)が積層されており、ユーザは、編集用モニタ71に表示されている画像に対して、タッチペン72を操作することにより、編集対象画像に任意の文字や図形などを書き込む(入力する)ことができる。
【0042】すなわち、ユーザは、撮影空間で自分自身を撮影したのち、第1の編集空間において編集を行うことができない場合、面10-6の前方の場所(以下、適宜第2の編集空間と称する)へ移動して、撮影した自分自身の画像を編集する。
【0043】編集用モニタ71は、編集用モニタ61と同様に、タッチペン72で書き込みがされたとき、その入力に応じて生成した編集済みの画像を表示し、タッチペン72は、タッチペン62と同様に、編集用モニタ71に積層されるタッチパネル272の位置検出方式(例えば、抵抗膜式、超音波式など)に応じて構成され、スピーカ73は、スピーカ63と同様に、第2の編集空間にいるユーザに対して、編集の入力方法を説明する音声ガイダンスを出力し、印刷物取り出し口74は、印刷物取り出し口64と同様に、所定の数、および大きさの複数のシールからなる、編集済みの画像が印刷されたシールシートを排出する。」

(1e)「【0057】図8は、画像印刷装置1の内部の構成例を示すブロック図である。図1乃至図7において説明した部分についてはその説明は省略する。
【0058】CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202に記憶されているプログラム、または、プログラム記憶部204からRAM(Random Access Memory)203にロードしたプログラムに従って画像印刷装置1の全体の動作を、バス250を介して制御する。RAM203にはまた、CPU201が各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
【0059】プログラム記憶部204は、ハードディスクやそのドライブからなり、CPU201が実行する様々なプログラムなどを記憶する。ドライブ220は、フロッピディスクやハードディスクなどの磁気ディスク231、CD-ROM,DVDなどの光ディスク232、MDなどの光磁気ディスク233、または半導体メモリ234などの記録媒体に記憶されているプログラムを読み出し、バス250を介してプログラム記憶部204などに供給する。例えば、ドライブ220からは、被写体の画像と合成する新たなフレーム画像などが供給される。
【0060】撮影装置20の内部には、上述したカメラ21および取り込み画像表示部22の他に、カメラ制御部205が配置されている。カメラ制御部205は、ユーザが操作パネル42を操作することにより入力したカメラ21の調節要求に応じて、カメラ21のズーム率、取り込む光量などを制御する。
【0061】画像記憶部206は、ユーザが撮影し、編集する画像として選択した画像を所定の枚数だけ記憶する。例えば、画像記憶部206は、編集対象画像を6枚まで記憶する。
【0062】硬貨処理部207は、硬貨投入口51から投入された硬貨をカウントし、画像の作成代金として予め設定されている所定の金額が投入されたと判定したとき、それをCPU201に通知する。
【0063】音声出力制御部251は、CPU201からの制御に基づいてスピーカ52を制御し、撮影方法などを説明する各種の音声ガイダンスや、例えば、静止画像を取り込むときのシャッター音などの効果音を出力する。また、音声出力制御部263は、スピーカ63を制御し、編集方法などを説明する各種の音声ガイダンスや、画像に書き込むときに発生される効果音などを出力する。さらに、音声出力制御部273は、スピーカ73を制御し、編集方法などを説明する各種の音声ガイダンスや、画像に書き込むときに発生される効果音などを出力する。このように、スピーカ52、スピーカ63、およびスピーカ73には、必要に応じてそれぞれ異なる音が出力される。
【0064】映像入出力制御部261は、撮影処理が終了し、ユーザが編集を開始するとき、画像記憶部206からバス250を介して転送されてくる編集対象画像を内蔵するメモリ(図示せず)に記憶する。そして、映像入出力制御部261は、タッチパネル262において編集入力がされたとき、編集対象画像上における、その入力位置を検出し、編集対象画像に反映させて編集用モニタ61に表示させる。なお、図8においては、編集用モニタ61とタッチパネル262は別の位置に示されているが、実際には積層して配置されている。
【0065】同様に、映像入出力制御部271は、撮影処理が終了し、ユーザが編集を開始するとき、画像記憶部206からバス250を介して転送されてくる編集対象画像を内蔵するメモリ(図示せず)に記憶する。そして、映像入出力制御部271は、タッチパネル272において編集入力がされたとき、編集対象画像上における、その入力位置を検出し、編集対象画像に反映させて編集用モニタ71に表示させる。なお、図8においては、編集用モニタ71とタッチパネル272は別の位置に示されているが、実際には積層して配置されている。」

(1f)「【0066】次に、図9乃至図11のフローチャートを参照して、画像印刷装置1による撮影処理について説明する。
【0067】最初にステップS1において、CPU201は、プログラム記憶部204に記憶されている、撮影の進行方法などのデモンストレーション画面(以下、デモ画面と称する)を、撮影用モニタ41に表示させるとともに、映像入出力制御部261および271を制御し、編集用モニタ61および71にそれぞれ表示させる。
【0068】ステップS2において、CPU201は、硬貨処理部207からの出力に基づいて、所定の代金(シールシートの作成代金)が投入されたか否かを判定し、投入されたと判定するまでデモ画面を表示して待機する。一方、CPU201は、代金が投入されたと判定した場合、ステップS3に進み、操作パネル42からの入力を受け付け、ユーザの指示によるカメラ21の調整等の撮影準備を行う。このとき、CPU201は、各種の機能や撮影方法を説明する説明画面を撮影用モニタ41に表示させる。ユーザは、その撮影用モニタ41に表示された説明画面に従って、カメラ21の調整などを行う。なお、硬貨が投入されることに応じて、取り込み画像表示部22には、カメラ21が撮影している動画像が表示される。
【0069】CPU201は、ステップS4において、ユーザが撮影開始を指示するために操作する操作パネル42の撮影開始ボタンの受け付けを開始し、ステップS5において、所定の時間が経過したか否か、または、ユーザにより撮影開始のボタンが操作されたか否かを判定し、所定の時間が経過した、または、ユーザにより撮影開始ボタンが操作されたと判定するまで待機する。
【0070】所定の時間が経過した、または、ユーザにより撮影開始ボタンが操作されたと判定した場合、CPU201は、ステップS6に進み、撮影用モニタ41に、カウントダウンインジケータを表示させ、撮影を行う。このとき、カメラ21により撮影されている画像が静止画としてRAM203に記憶される。
【0071】また、CPU201は、撮影するタイミングとなったとき、照明装置31を制御してフラッシュを被写体に照射するとともに、その瞬間にカメラ121により取り込まれている画像を、静止画像として保存し、画像記憶部206に記憶させる。
【0072】ステップS7において、CPU201は、ステップS6で撮影した画像の確認画面を撮影用モニタ41に表示させる。
【0073】そして、CPU201は、ステップS8において、ユーザが操作パネル42を操作することにより撮影した画像を編集対象画像として保存することを指示したか否かを判定する。指示したと判定した場合、CPU201は、ステップS9に進み、撮影用モニタ41に表示させた画像を画像記憶部206に保存し、ステップS10に進む。
【0074】一方、CPU201は、ステップS8において、撮影した画像を編集対象画像として保存することを指示していないと判定した場合、画像を保存せず、ステップS10に進む。
【0075】ステップS10において、CPU201は、ユーザに再度撮影を行うか否かを選択させる再撮影確認画面を撮影用モニタ41に表示させる。ユーザは、操作パネル42を操作して指定することにより再撮影を指示するか、若しくは撮影作業の終了を指示することができる。
【0076】CPU201は、ステップS11において、ユーザが再撮影を指示したか否かを判定する。再撮影を指示していないと判定した場合、CPU201は、ステップS12に進み、所定の時間が経過したか否か、または、撮影終了を指示したか否かを判定する。所定の時間が経過しておらず、またユーザが撮影終了を指示していないと判定した場合、CPU201は、ステップS10に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0077】所定の時間が経過した、または、ユーザが撮影終了を指示したと判定した場合、CPU201は、撮影を終了する。
【0078】また、ステップS11において、ユーザが再撮影を指示したと判定した場合、CPU201は、ステップS13に進み、残り撮影可能枚数が1枚以上あるか否かを判定する。CPU201は、画像記憶部206に記憶された画像の枚数をカウントし、残り撮影可能枚数が1枚以上あると判定した場合、ステップS3に戻り、それ以降の処理を繰り返す。また、残り撮影可能枚数が0枚であると判定した場合、CPU201は、撮影を終了する。
【0079】撮影を終了したCPU201は、ステップS14において、映像入出力制御部261およびプリンタ91の動作状態を確認し、第1の編集空間において編集処理を行うことができるか否かを判定する。CPU201は、第1の編集空間において編集処理を行うことができると判定した場合、ステップS15に進み、撮影空間にいるユーザを第1の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタ41に表示させる。
【0080】図12は、撮影用モニタ41に表示される案内画面の表示例を示す図である。
【0081】図12において、案内画面301は、「こちらで、落書きしてね!」の文章と、第1の編集空間の場所を示す右向きの矢印を含む。これにより、撮影を終了したユーザは、編集作業を行う場所を把握することができる。
【0082】案内画面を表示させたCPU201は、ステップS1に戻り、次のユーザに対してそれ以降の処理を繰り返す。
【0083】ステップS14において、第1の編集空間において編集処理を行うことができないと判定した場合、CPU201は、ステップS16に進み、映像入出力制御部271およびプリンタ92の動作状態を確認し、第2の編集空間において編集処理を行うことができるか否かを判定する。CPU201は、第2の編集空間において編集処理を行うことができると判定した場合、ステップS17に進み、撮影空間にいるユーザを第2の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタ41に表示させる。
【0084】図13は、撮影用モニタ41に表示される案内画面の表示例を示す図である。
【0085】図13において、案内画面302は、「こちらで、落書きしてね!」の文章と、第2の編集空間の場所を示す左向きの矢印を含む。これにより、撮影を終了したユーザは、編集作業を行う場所を把握することができる。
【0086】案内画面を表示させたCPU201は、ステップS1に戻り、次のユーザに対してそれ以降の処理を繰り返す。
【0087】ステップS16において、第1の編集空間と、第2の編集空間のいずれにおいても、他のユーザが編集処理を行っていたり、プリンタ91および92が正常に動作して居なかったりして、撮影を終了したユーザが編集処理を行うことができないと判定した場合、CPU201は、ステップS18に進み、画像の撮り直しを行うか否か、またはゲームを行うか否かの処理選択画面を撮影用モニタ41に表示させる。
【0088】処理選択画面を表示させたCPU201は、ステップS19において、ユーザが操作パネル42を操作して再撮影を指示したか否かを判定する。再撮影を指示したと判定した場合、CPU201は、ステップS20に進み、画像記憶部206に記憶された画像の中から消去する画像を選択させる再撮影画像確認画面を表示させる。再撮影画像確認画面を表示させたCPU201は、ステップS21に進み、ユーザにより消去する画像が選択されたか否かを判定し、画像が選択されたと判定するまで、再撮影画像確認画面を表示しながら待機する。
【0089】ユーザが操作パネル42を操作して、消去する画像を選択したと判定した場合、CPU201は、ステップS22において、選択された画像を消去し、再度撮影を行う。再撮影を行ったCPU201は、ステップS14に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0090】また、ステップS19において、ユーザが再撮影を指示していないと判定した場合、CPU201は、ステップS23に進み、撮影用モニタ41にゲーム画面を表示し、もぐらたたき等のゲームに関する処理を行う。ゲームが終了すると、CPU201は、ステップS14に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0091】以上のような、再撮影やゲーム等の処理により、ユーザは、編集処理までの時間を退屈せずに待つことができる。
【0092】図9のステップS15において案内画面を撮影用モニタ41に表示し、撮影空間にいるユーザを第1の編集空間に誘導すると、CPU201は、第1の編集空間に移動したユーザに対して、編集処理を実行する。
【0093】画像印刷装置1による編集処理を図14のフローチャートを参照して説明する。
【0094】最初にステップS41において、CPU201は、画像記憶部206に記憶された編集対象画像を取得する。そしてCPU201は、ステップS42に進み、映像入出力制御部261を介して、編集用モニタ61に取得した編集対象画像、編集機能ボタン、編集終了ボタンを含む編集画面を表示させ、ユーザがタッチペン62を操作して行われる編集入力の受け付けを開始する。ユーザは、表示された画像に対してタッチペン62を操作することにより、画像に落書きなどの編集を行う。
【0095】CPU201は、ステップS43において、ユーザがタッチペン62を操作して入力した編集情報をリアルタイムに編集対象画像に重ね合わせた編集画像を、映像入出力制御部261を介して、編集用モニタ61に表示させる。これにより、ユーザは、編集した画像を参照しながら、さらなる編集を行うことができる。
【0096】ステップS44において、CPU201は、予め決められた所定の時間が経過したか否か、または、ユーザがタッチペン62を操作することにより、編集画面に表示された編集終了ボタンを操作されたか否かを判定し、所定の時間が経過した、または、編集終了ボタンが表示されたと判定するまで、編集画像を表示しながら待機する。
【0097】ユーザの操作により、所定の時間が経過した、または、編集終了ボタンが表示されたと判定した場合、CPU201は、ステップS45に進み、編集入力の受け付けを終了する。
【0098】ステップS46において、CPU201は、編集データである編集画像に基づいて、撮影された編集対象画像と編集画像を重畳し、印刷データを作成する。
【0099】印刷データを作成したCPU201は、ステップS47において、プリンタ91の動作状態を確認し、プリンタ91のステータスが正常か否かを判定する。正常であると判定した場合、CPU201は、ステップS48に進み、プリンタ91を制御し、印刷処理を実行させる。これにより、シールに被写体の画像とこれに加えた落書きが重畳された画像が印刷されることになる。
【0100】ステップS49において、CPU201は、プリンタ91により印刷されたシールを印刷物取り出し口64から排出させる。シールを排出させたCPU201は編集処理を終了する。
【0101】また、ステップS47において、プリンタ91のステータスが正常でない場合には、ステップS50に進み、CPU201は、エラーメッセージを編集用モニタ61に表示させ、ステップS47に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0102】以上のように、第1の編集空間にいるユーザに対して編集処理が行われる。
【0103】また、図9のステップS17において、案内画面を撮影用モニタ41に表示し、撮影空間にいるユーザを第2の編集空間に誘導すると、CPU201は、第2の編集空間に移動したユーザに対して、編集処理を実行する。
【0104】この編集処理は、編集用モニタ61に対応する編集用モニタ71、タッチペン62に対応するタッチペン72、スピーカ63に対応するスピーカ73、印刷物取り出し口64に対応する印刷物取り出し口74、映像入出力制御部261に対応する映像入出力制御部271、タッチパネル262に対応するタッチパネル272、音声出力制御部263に対応する音声出力制御部273、および、プリンタ91に対応するプリンタ92が用いられて実行され、その処理は、基本的に図14に示す編集処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0105】以上において、撮影処理、第1の編集空間にいるユーザに対する編集処理、および第2の編集空間にいるユーザに対する編集処理は、それぞれ独立に平行して行われる。その結果、撮影空間におけるユーザの撮影処理、第1の編集空間におけるユーザの編集処理、および第2の編集空間におけるユーザの編集処理が独立に行われ、効率的にユーザを回転させることが可能となる。」

(1g)図1

(1h)図2

(1i)図8

(1j)図10

(1k)図11

(1l)図12

(1m)図13

(1n)図14

〔引用例に記載された発明〕
これらの記載事項からして、引用例1には、
「ユーザに、撮影空間で自分自身を撮影させたのち、第1または第2の編集空間へ移動させ、撮影した自分自身の画像を編集させ、編集済みの画像が印刷されたシールシートを印刷物取り出し口から排出する画像印刷装置であって、
撮影空間のユーザを撮影する撮影装置と、
第1の編集空間でユーザによる編集入力を受け、画像の編集をするための編集用モニタ及びタッチペンと、
第2の編集空間でユーザによる編集入力を受け、画像の編集をするための編集用モニタ及びタッチペンと、
編集用モニタ及びタッチペンにより編集されたユーザの自分自身の画像をシールシートに印刷するプリンタと、
画像印刷装置全体の動作を制御するCPUとを備え、
CPUは、撮影装置に含まれるカメラにより取り込まれている画像を静止画像として保存し、所定の時間が経過した場合、撮影を終了し、撮影空間にいるユーザを第1の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタに表示させ、
CPUは、第1の編集空間に移動したユーザに対して、編集処理を実行し、画像記憶部に記憶された編集対象画像を取得し、映像入出力制御部を介して、編集用モニタに取得した編集対象画像、編集機能ボタン、編集終了ボタンを含む編集画面を表示させ、ユーザがタッチペンを操作して行われる編集入力の受け付けを開始し、ユーザは、表示された画像に対してタッチペンを操作することにより、画像に落書きなどの編集を行い、
CPUは、所定の時間が経過した場合、編集入力の受付を終了し、プリンタを制御し、シールに被写体の画像とこれに加えた落書きが重畳された画像を印刷させ、シールを第1の編集空間の印刷物取り出し口から排出させるか、もしくは、
CPUは、撮影装置に含まれるカメラをにより取り込まれている画像を静止画像として保存し、所定の時間が経過した場合、撮影を終了し、撮影空間にいるユーザを第2の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタに表示させ、
CPUは、第2の編集空間に移動したユーザに対して、編集処理を実行し、画像記憶部に記憶された編集対象画像を取得し、映像入出力制御部を介して、編集用モニタに取得した編集対象画像、編集機能ボタン、編集終了ボタンを含む編集画面を表示させ、ユーザがタッチペンを操作して行われる編集入力の受け付けを開始し、ユーザは、表示された画像に対してタッチペンを操作することにより、画像に落書きなどの編集を行い、
CPUは、所定の時間が経過した場合、編集入力の受付を終了し、プリンタを制御し、シールに被写体の画像とこれに加えた落書きが重畳された画像を印刷させ、シールを第2の編集空間の印刷物取り出し口から排出させ、
CPUは、撮影空間にいるユーザを第1または第2の編集空間に移動させる案内画面を表示させた後、次のユーザに対して撮影からの処理を繰り返す画像印刷装置。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

2 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である、特開2003-319207号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の技術的事項の記載がある。

(2a)「【0068】図4は、本発明の第2の実施の形態の画像撮影編集装置を示す。この画像撮影編集装置は、編集ブース12において複数の編集プレイが遂行できるようにした場合である。図4に示されているように、各組8の編集ブース12内には編集手段であるディスプレイ4やタッチペン5が2組配置され、それらが1つのコンピュータ装置3Bに接続され、2人並んでそれぞれの編集プレイができるようになっている。図示していないが、一方の組8だけ編集手段であるディスプレイ4やタッチペン5が1組とされ、他の組8では編集手段が2組配置されるようにすることもできる。それ以外は、上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0069】このように、編集プレイが複数箇所で遂行できるので、使用者2が編集プレイの手前で待つようなことがなくなり、円滑な写真自販機の運営が実行できる。それ以外は、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0070】図5は、本発明の第3の実施の形態の画像撮影編集装置を示す。この画像撮影編集装置は、筐体9が大きな三角形とされ、その各辺が3つの筐体壁材30で形成され、撮影ブース11と編集ブース12の組8が各筐体壁材30に付属させてある。また、被写体2が編集ブース12から出たところにプリンタ6からの印刷媒体7が出力されるようになっている。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0071】このように、3角形状をなす配置により、被写体2は周囲の3箇所のどこからでも撮影ブース11に入ることができて、利用しやすい写真自販機が形成できる。また、被写体2が編集ブース12から出たところにプリンタ6からの印刷媒体7が出力されるから、被写体2の移動距離が非常に短縮される。さらに、3角形の配置により、写真自販機としての形態に新味がでて、利用者にとって楽しみが増大する。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。」

(2b)図4

(2c)図5

第4 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。

<対応関係A>
引用発明の「ユーザ」は、本願発明の「利用者」に相当する。

<対応関係B>
引用発明の「ユーザ」が「撮影空間で自分自身を撮影」する作業は、本願発明の「利用者を被写体とする撮影作業」に相当する。

<対応関係C>
引用発明の「第1の編集空間でユーザによる編集入力を受け、画像の編集をするための編集用モニタ及びタッチペン」を用いて行う「撮影した自分自身の画像を編集」する作業は、本願発明の「撮影作業により得られた利用者の画像に対して編集情報を入力する編集入力作業」に相当する。

<対応関係D>
引用発明の「編集済みの画像が印刷されたシールシートを印刷物取り出し口から排出する画像印刷装置」は、本願発明の「編集済みの利用者の画像が印刷されたシールシートを写真シールとして利用者に提供する写真シール作成装置」に相当する。

<対応関係E>
引用発明における、「ユーザ」が「撮影空間で自分自身を撮影」する作業及び「第1の編集空間でユーザによる編集入力を受け、画像の編集をするための編集用モニタ及びタッチペン」を用いて行う「撮影した自分自身の画像を編集」する作業によって、「シール」に「印刷」するための「被写体の画像とこれに加えた落書きが重畳された画像」を作成する工程と、本願発明の「利用者に、前記利用者を被写体とする撮影作業、および、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像に対して編集情報を入力する編集入力作業」行わせる「写真シール作成ゲーム」とは、「写真シール作成工程」である点で共通する。
また、引用発明で「CPU」が行う、「撮影装置に含まれるカメラにより取り込まれている画像を静止画像として保存」する工程から「撮影空間にいるユーザを第1または第2の編集空間に移動させる案内画面を表示させた後、次のユーザに対して撮影からの処理を繰り返す」工程までの一連の工程は、上記「写真シール作成工程」を実現するための処理であるから、上記引用発明の一連の工程と、本願発明の「写真シール作成ゲームを実現するゲーム処理」とは、「写真シール作成工程を実現する工程処理」である点で共通する。

<対応関係F>
引用発明の「撮影空間のユーザを撮影する撮影装置」は、本願発明の「撮影作業を行う撮影空間の利用者を撮影する撮影手段」に相当する。

<対応関係G>
引用発明の「第1の編集空間でユーザによる編集入力を受け、画像の編集をするための編集用モニタ及びタッチペン」は「撮影した自分自身の画像を編集」するためのものであるから、本願発明の「編集入力作業を行う第1の編集空間において、利用者による編集入力を受け付け、前記編集入力に基づいて、撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集する第1の編集手段」に相当する。
同様に、引用発明の「第2の編集空間でユーザによる編集入力を受け、画像の編集をするための編集用モニタ及びタッチペン」は、本願発明の「第1の編集空間で編集入力作業を行う利用者と異なる組の利用者が前記編集入力作業を行う第2の編集空間において、利用者による編集入力を受け付け、前記編集入力に基づいて、撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集する第2の編集手段」に相当する。

<対応関係H>
引用発明の「編集用モニタ及びタッチペンにより編集されたユーザの自分自身の画像をシールシートに印刷するプリンタ」は、本願発明の「第1の編集手段若しくは第2の編集手段により編集された利用者の画像をシールシートに印刷する印刷手段」に相当する。

<対応関係I>
引用発明の「画像印刷装置全体の動作を制御するCPU」は、撮影装置、第1?2の編集空間の編集用モニタ及びプリンタ等を制御するものであり、所定の時間が経過すると撮影を終了し、その後、所定の時間が経過すると編集入力の受け付けを終了するものであるから、上記「対応関係E」の対応関係を踏まえると、引用発明の「画像印刷装置全体の動作を制御するCPU」と、本願発明の「前記写真シール作成ゲームを管理し、前記利用者に、前記写真シール作成ゲームとして、第1の所定時間、前記撮影作業を行った後、前記第1の所定時間の2倍の長さである第2の所定時間、前記編集入力作業を行わせるように、前記撮影手段、前記第1の編集手段、前記第2の編集手段、および前記印刷手段を制御する管理手段」とは、「前記写真シール作成工程を管理し、前記利用者に、前記写真シール作成工程として、第1の所定時間、撮影作業を行った後、第2の所定時間、編集入力作業を行わせるように、撮影手段、第1の編集手段、第2の編集手段、および印刷手段を制御する管理手段」である点で共通する。

<対応関係J>
引用発明の「CPUは、撮影装置に含まれるカメラにより取り込まれている画像を静止画像として保存し、所定の時間が経過した場合、撮影を終了し、撮影空間にいるユーザを第1の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタに表示させ」ることは、撮影空間でユーザに自分自身を撮影させるために行うことであるから、本願発明の「管理手段」は「撮影手段を制御し、撮影空間の利用者を撮影させ、第1の所定時間経過後、利用者を第1の編集空間に移動させるように案内させ」ることに相当する。
同様に、引用発明の「CPUは、撮影装置に含まれるカメラをにより取り込まれている画像を静止画像として保存し、所定の時間が経過した場合、撮影を終了し、撮影空間にいるユーザを第2の編集空間に移動させるために、案内画面を撮影用モニタに表示させ」ることは、本願発明の「管理手段」は「撮影手段を制御し、撮影空間の利用者を撮影させ、第1の所定時間経過後、利用者を第2の編集空間に移動させるように案内させ」ることに相当する。

<対応関係K>
引用発明の「CPUは、第1の編集空間に移動したユーザに対して、編集処理を実行し、画像記憶部に記憶された編集対象画像を取得し、映像入出力制御部を介して、編集用モニタに取得した編集対象画像、編集機能ボタン、編集終了ボタンを含む編集画面を表示させ、ユーザがタッチペンを操作して行われる編集入力の受け付けを開始し、ユーザは、表示された画像に対してタッチペンを操作することにより、画像に落書きなどの編集を行」うことは、本願発明の「管理手段」は「第1の編集手段を制御し、前記撮影空間から前記第1の編集空間に移動した前記利用者による編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集させ」ることに相当する。
同様に、引用発明の「CPUは第2の編集空間に移動したユーザに対して、編集処理を実行し、画像記憶部に記憶された編集対象画像を取得し、映像入出力制御部を介して、編集用モニタに取得した編集対象画像、編集機能ボタン、編集終了ボタンを含む編集画面を表示させ、ユーザがタッチペンを操作して行われる編集入力の受け付けを開始し、ユーザは、表示された画像に対してタッチペンを操作することにより、画像に落書きなどの編集を行」うことは、本願発明の「第2の編集手段を制御し、前記撮影空間から前記第2の編集空間に移動した前記利用者による編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集させ」ることに相当する。

<対応関係L>
引用発明の「第1の編集空間に移動したユーザに対して」「CPUは、所定の時間が経過した場合、編集入力の受付を終了し、プリンタを制御し、シールに被写体の画像とこれに加えた落書きが重畳された画像を印刷させ、シールを第1の編集空間の印刷物取り出し口から排出させ」ることと、本願発明の「管理手段」は「第2の所定時間経過後、利用者を、写真シールが排出される排出口の前に移動させるように案内させ、印刷手段を制御し、第1の編集手段により編集された前記利用者の画像をシールシートに印刷させ、前記写真シールを前記排出口より排出させる」こととは、「管理手段」は「第2の所定時間経過後、印刷手段を制御し、第1の編集手段により編集された利用者の画像をシールシートに印刷させ、写真シールを排出口より排出させる」点で共通する。
同様に、引用発明の「第2の編集空間に移動したユーザに対して」「CPUは、所定の時間が経過した場合、編集入力の受付を終了し、プリンタを制御し、シールに被写体の画像とこれに加えた落書きが重畳された画像を印刷させ、シールを第2の編集空間の印刷物取り出し口から排出させ」ることと、本願発明の「管理手段」は「第2の所定時間経過後、利用者を、写真シールが排出される排出口の前に移動させるように案内させ、印刷手段を制御し、第2の編集手段により編集された前記利用者の画像をシールシートに印刷させ、前記写真シールを前記排出口より排出させる」こととは、「管理手段」は「第2の所定時間経過後、印刷手段を制御し、第2の編集手段により編集された利用者の画像をシールシートに印刷させ、写真シールを排出口より排出させ」る点で共通する。

<対応関係M>
引用発明の「CPUは、撮影空間にいるユーザを第1または第2の編集空間に移動させる案内画面を表示させた後、次のユーザに対して撮影からの処理を繰り返す」ことは、「撮影空間」における「所定の時間」が経過した後、先のユーザに対して案内画面を表示して編集空間に移動させ、次のユーザを撮影空間に受け入れての撮影を開始することを意味するから、上記「対応関係E」の対応関係を踏まえると、引用発明の「CPUは、撮影空間にいるユーザを第1または第2の編集空間に移動させる案内画面を表示させた後、次のユーザに対して撮影からの処理を繰り返す」ことと、本願発明の「前の組の利用者に対する前記ゲーム処理が開始されてから前記第1の所定時間経過後、次の組の利用者に対する前記ゲーム処理を開始可能とする」こととは、「前の組の利用者に対する工程処理が開始されてから前記第1の所定時間経過後、次の組の利用者に対する工程処理を開始可能とする」点で共通する。

以上の対応関係からして、本願発明と引用発明とは、
「利用者に、前記利用者を被写体とする撮影作業、および、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像に対して編集情報を入力する編集入力作業を、写真シール作成工程として行わせ、編集済みの前記利用者の画像が印刷されたシールシートを写真シールとして前記利用者に提供する写真シール作成装置であって、
前記撮影作業を行う撮影空間の利用者を撮影する撮影手段と、
前記編集入力作業を行う第1の編集空間において、前記利用者による前記編集入力を受け付け、前記編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集する第1の編集手段と、
前記第1の編集空間で前記編集入力作業を行う利用者と異なる組の利用者が前記編集入力作業を行う第2の編集空間において、前記利用者による前記編集入力を受け付け、前記編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集する第2の編集手段と、
前記第1の編集手段若しくは前記第2の編集手段により編集された前記利用者の画像を前記シールシートに印刷する印刷手段と、
前記写真シール作成工程を管理し、前記利用者に、前記写真シール作成工程として、第1の所定時間、撮影作業を行った後、第2の所定時間、編集入力作業を行わせるように、撮影手段、第1の編集手段、第2の編集手段、および印刷手段を制御する管理手段と
を備え、
前記管理手段は、写真シール作成工程を実現する工程処理として、
前記撮影手段を制御し、前記撮影空間の前記利用者を撮影させ、前記第1の所定時間経過後、前記利用者を前記第1の編集空間に移動させるように案内させ、前記第1の編集手段を制御し、前記撮影空間から前記第1の編集空間に移動した前記利用者による編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集させ、前記第2の所定時間経過後、印刷手段を制御し、第1の編集手段により編集された利用者の画像をシールシートに印刷させ、写真シールを排出口より排出させるか、若しくは、
前記撮影手段を制御し、前記撮影空間の前記利用者を撮影させ、前記第1の所定時間経過後、前記利用者を前記第2の編集空間に移動させるように案内させ、前記第2の編集手段を制御し、前記撮影空間から前記第2の編集空間に移動した前記利用者による編集入力に基づいて、前記撮影作業により得られた前記利用者の画像を編集させ、前記第2の所定時間経過後、印刷手段を制御し、第2の編集手段により編集された利用者の画像をシールシートに印刷させ、写真シールを排出口より排出させ、
さらに、前の組の利用者に対する前記工程処理が開始されてから前記第1の所定時間経過後、次の組の利用者に対する前記工程処理を開始可能とする
写真シール作成装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
「写真シール作成工程」について、本願発明は「写真シール作成ゲームとして行わせ」るとしており、「工程処理」を「ゲーム処理」としているのに対して、引用発明は写真作成をゲームとして行わせるとはしておらず、「CPU」による処理を「ゲーム処理」としていない点。

(相違点2)
「撮影作業」における制限時間である「第1の所定時間」と「編集入力作業」における制限時間である「第2の所定時間」との関係について、本願発明は「第2の所定時間」は「第1の所定時間の2倍の長さである」としているのに対して、引用発明はそのように限定していない点。

(相違点3)
シールシートの印刷工程に関して、本願発明は「利用者を、写真シールが排出される排出口の前に移動させるように案内させ」るステップを有するのに対して、引用発明はシールを編集空間の印刷物取り出し口から排出するため、当該ステップを有さない点。

第5 検討・判断
上記相違点について検討する。

1 相違点1について
引用発明において、撮影作業及び編集入力作業を写真作成の「ゲーム」として行わせるという明示はないものの、引用発明の機能からして、ユーザは撮影時には様々なポーズでの撮影を楽しむことができ、編集時には画像に落書きなどをして楽しむことができるから、引用発明における撮影作業及び編集入力は、時間制限の中で楽しみながら行うことのできる「ゲーム」としての性質を有するといえる。
そもそも、本願発明も、撮影作業と編集作業を「写真シール作成ゲーム」とする点に関して、特別な工程や条件等を導入している訳ではなく、単に時間制限の中で利用者に撮影や編集を行わせるだけであるから、撮影作業と編集作業とを「写真シール作成ゲーム」とするのは、単なる用語の定義に類するものである(どのような作業でも、実行する者が「ゲーム」として楽しめば「ゲーム」とすることができ、それによって作業の実質内容が変わる訳ではなく、作業の定義(作業の呼称と実行する者の認識)が異なるだけである。)。
また、撮影作業及び編集入力作業を写真作成の「ゲーム」とした場合、それらを扱う「CPU」の処理を「ゲーム処理」と称するのも、単なる処理の呼称の問題に過ぎない。
そうすると、相違点1については実質的な相違点ではない。
少なくとも、引用発明において、撮影作業及び編集入力作業を写真作成の「ゲーム」とすることは、当業者にとって何ら創意を必要とすることではないから、相違点1に係る構成を得ることは格別のことではない。

2 相違点2について
引用発明の画像印刷装置では、撮影空間での作業に対して、編集空間での作業が続いて行われるようになっており、かつ、編集空間が2つ設けられているため、編集空間での作業は2組が同時並行できるようになっている。
ここで、ユーザに所定料金で装置を利用させる分野では、装置が無駄に遊ぶことの無いように、ユーザによる装置の利用をなるべく効率的に行わせるようにするのが通常であるから、引用発明において、撮影空間及び編集空間の利用に無駄が無いようにユーザに利用させることは、当業者であれば当然考慮すべきことである(なお、上記摘記事項(1a)の記載からして、引用発明もユーザの回転率の向上を目的としており、装置の利用の効率性を高めようとするものであることは明らかである。)。
そして、撮影空間及び編集空間の利用に無駄な空白時間がないように装置利用のタイムスケジュールを組む場合、引用発明では、撮影空間を1組が利用する間に編集空間は同時に2組が利用可能であるから、撮影空間での作業に割り当てる時間を1単位期間としたとき、2組が同時並行可能な編集空間での作業には2倍の2単位期間が割り当てられることは、技術常識からして自明なことである。
そうすると、引用発明において、撮影空間及び編集空間の利用に無駄な空白時間がないようにユーザに利用させて、編集空間での作業の制限時間を撮影空間での作業の制限時間の2倍の長さにすることで、相違点2に係る構成を得ることは、当業者であれば容易になし得ることである。
なお、編集空間が2つ設けられていて、編集空間での作業が同時並行できるとき、編集空間での編集空間での作業の制限時間を、撮影空間での作業の制限時間の2倍の長さに設定することは、ごく当たり前に行われていることである(例えば、特開2004-40639号公報(段落【0119】、【0122】、【0127】等参照。)でも、撮影の制限時間2分に対して、編集の制限時間4分としている。)から、例えば、引用発明にそのような相対関係の制限時間を導入し、相違点2に係るに係る構成を得ることも格別のことではない。

3 相違点3について
引用例2には、2つの編集手段に対してプリンタを1つ設けて、使用者は編集ブースを出たところでプリンタから出力された印刷媒体を受け取るという画像撮影編集装置の装置レイアウトが記載されている。
引用発明の画像印刷装置と引用例2に記載された画像撮影編集装置とは、同じ技術分野に属するものであり、かつ、編集手段を複数に増やして回転率を向上させるという共通課題を有するから、引用発明に引用例2に記載された装置レイアウトを採用することは当業者が適宜になし得ることである。
そして、引用発明は、ユーザが作業する空間を移動するときに、案内画面を表示するものであるから、装置レイアウトを変更して編集空間から印刷媒体を受け取る位置まで移動するようにした場合、その移動についても案内画面を表示することは、当業者であれば容易に想到することである。
そうすると、引用発明に引用例2に記載された装置レイアウトを採用することにより、相違点3に係る構成を得ることは、当業者であれば容易になし得ることである。

4 本願発明の作用効果
本願発明が奏する作用効果は、引用発明及び引用例2に記載された技術、または、引用発明及び周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。

5 まとめ
よって、本願発明は、当業者が引用発明及び引用例2に記載された技術、または、引用発明及び周知の技術に基いて容易に発明をすることができたものである。

第6 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-02 
結審通知日 2011-08-04 
審決日 2011-08-18 
出願番号 特願2010-141016(P2010-141016)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植前 津子  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 森林 克郎
橋本 直明
発明の名称 写真シール作成装置および方法、並びにプログラム  
代理人 稲本 義雄  

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