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審決分類 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない B65D
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない B65D
管理番号 1244448
審判番号 訂正2011-390060  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2011-05-23 
確定日 2011-10-03 
事件の表示 特許第4251461号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本訂正審判に係る特許第4251461は、平成19年10月11日(優先権主張、平成18年10月13日、日本国)に国際出願され、平成21年1月30日にその特許権の設定登録がなされたものである。
そして、本訂正審判は、平成23年5月23日に請求され、その後、同年6月13日付けで訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見を求めたが、指定期間を過ぎても、何等の応答もなかったものである。

2.本訂正の内容
本訂正は、明細書の段落【0033】、【0032】及び【0054】を訂正すると共に、特許請求の範囲を、以下のとおりのclからCLに、訂正しようとするものと認める。この特許請求の範囲についての訂正を、訂正事項Aという。

cl;「【請求項1】
食材を収容するとともに該食材を加熱可能な容器の胴体部の開口部を閉塞する蓋体であって、
前記蓋体の外周輪郭形状を定めるとともに、前記容器の前記開口部を形成する前記容器の縁部と嵌合するように隆起した周縁部と、
該周縁部により囲まれる領域内部において、前記周縁部から離間して隆起する一の領域を備え、
該一の領域は、空気抜き穴と、該空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と、該フラップ部を収容する凹領域を備え、
前記フラップ部は、前記一の領域の縁部に一体的に接続する基端部を備えるとともに、該基端部を軸に回動し、
前記フラップ部が前記凹領域に収容される第1位置にあるとき、前記突起部が前記空気抜き穴を閉塞し、
前記周縁部の隆起は、前記一の領域の隆起よりも高く、
前記フラップ部が前記第1位置にあるとき前記フラップ部の前記凹領域に相対する面には、凹溝が形成されるとともに、前記フラップ部が前記凹領域に対して直立するとき前記凹溝が形成される面とは反対側の面は平坦な面をなすことを特徴とする蓋体。
【請求項2】・・・(審決注;「・・・」は、記載の省略を示す。以下、同様。)」

CL;「【請求項1】
食材を収容するとともに該食材を加熱可能な容器の胴体部の開口部を閉塞する蓋体であって、
前記蓋体の外周輪郭形状を定めるとともに、前記容器の前記開口部を形成する前記容器の縁部と嵌合するように隆起した周縁部と、
該周縁部により囲まれる領域内部において、前記周縁部から離間して隆起する一の領域を備え、
該一の領域は、フラップ部周囲領域の上面と、空気抜き穴と、該空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と、該フラップ部を収容する前記上面から窪んだ凹領域とのみからなり、
前記フラップ部は、前記一の領域の縁部に一体的に接続する基端部を備えるとともに、該基端部を軸に回動し、
前記フラップ部が前記凹領域に収容される第1位置にあるとき、前記突起部が前記空気抜き穴を閉塞し、
前記周縁部の隆起は、前記一の領域の隆起よりも高く、
前記フラップ部が前記第1位置にあるとき前記フラップ部の前記凹領域に相対する面には、凹溝が形成されるとともに、前記フラップ部が前記凹領域に対して直立するとき前記凹溝が形成される面とは反対側の面は平坦な面をなすことを特徴とする蓋体。
【請求項2】・・・。」

3.訂正拒絶理由の内容
平成23年6月13日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、「本件に係る訂正は、特許法第126条第3項又は第4項に規定する要件に違反し、拒絶すべきものである。」というものである。そして、上記訂正拒絶理由に関する訂正拒絶理由通知書には、下記のとおりの記載がなされている。

「1.本件訂正
本件訂正は、【特許請求の範囲】の【請求項1】を新たな【請求項1】に訂正する訂正事項a及び【請求項9】を新たな【請求項8】に訂正する訂正事項bを有するものと認める。
2.訂正の適否
2-1.訂正事項aについて
1)訂正事項aは、訂正前の請求項1に記載の「該一の領域は、空気抜き穴と、該空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と、該フラップ部を収容する凹領域を備え、」を「該一の領域は、フラップ部周囲領域の上面と、空気抜き穴と、該空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と、該フラップ部を収容する前記上面から窪んだ凹領域とのみからなり、」に訂正するものということができる。
2)そこで、まずは、訂正前の請求項1に記載の「一の領域」の技術的内容について見ておくことにする。
同項の記載によれば、「一の領域」とは、少なくとも、以下の事項a?cとして特定されていたと認められる。
事項a;「一の領域」は、周縁部により囲まれる領域内部において、前記周縁部から離間して隆起している。
事項b;「一の領域」は、空気抜き穴と、該空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と、該フラップ部を収容する凹領域を備えており、その縁部に一体的に接続する、フラップ部の基端部を備えている。
事項c;周縁部の隆起は、「一の領域」の隆起よりも高い。
3)次に、訂正前の、特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「訂正前明細書等」という。)の発明の詳細な説明を見ると、ここには、「一の領域」なる用語は見当たらない。
その一方で、発明の詳細な説明には、段落【0032】?【0037】の記載が認められ、この記載は、【図1】?【図3】を参照しつつ、ここに開示された具体例について記載するもので、この具体例におけるフラップ部周囲領域(212)に注目すると、以下の事項A?Cを有するものとして特定されていることが見て取れる。
事項A;フラップ部周囲領域(212)は、周縁領域(211)より囲まれる領域内部において、中間領域(213)を介することで、周縁領域(211)から離間し、中間領域(213)に対して上方に隆起している。(段落【0033】?【0034】、参照。)
事項B;フラップ部周囲領域(212)には、開口部(121)が形成されている。(段落【0036】、参照。)
事項B’;フラップ部周囲領域(212)の周縁部には、開口部(121)と嵌合する突起部(222)が形成されたフラップ部(22)の基端部(221)が接続されている。(段落【0035】?【0036】、参照。)
事項B”;フラップ部周囲領域(212)は、凹領域(122)と凹部(123)を備えており、フラップ部(22)の領域のうち凹部(123)上部を横切る領域以外の領域は、凹領域(122)と重なり合う。(段落【0037】及び【図3】、参照。)
事項C;周縁領域(211)は、フラップ部周囲領域(212)よりも高く隆起している。(段落【0034】、参照。)
4)ここで、先に「2)」で検討した「一の領域」を特定している事項a?cと上記具体例の事項A?Cを対比すると、具体例における「周縁領域(211)」、「開口部(121)」、「フラップ部(22)」及び「凹領域(122)」は、「一の領域」を特定している内容に係る「周縁部」、「空気抜き穴」、「フラップ部」及び「凹領域」に対応し、「フラップ部周囲領域(212)」は、「一の領域」の具体例であると解するのが自然である。
以上の検討を踏まえると、訂正前明細書等において、上記「一の領域」は、「フラップ部周囲領域(212)」を具体例とする「フラップ部周囲領域」を意味していたと解せ、また、この解釈に矛盾する記載は、訂正前明細書等に見当たらない。
5)そこで、改めて、訂正しようとする「該一の領域は、フラップ部周囲領域の上面と、空気抜き穴と、該空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と、該フラップ部を収容する前記上面から窪んだ凹領域とのみからなり、」との発明特定事項を見ると、「一の領域」を「フラップ部周囲領域」とは、別の概念のものとして特定している。
これに対し、訂正前明細書等において、「一の領域」とは、これまで述べてきたように、「フラップ部周囲領域」のことであったのであるから、この訂正は、「一の領域」につき、訂正前明細書等におけるそれの概念を変更するものであるから、実質上特許請求の範囲を変更するものであるし、また、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてしたともいえない。
2-2.訂正事項bについて
この訂正についても、訂正事項aと同様の理由から、実質上特許請求の範囲を変更するものであるし、また、訂正前明細書等に記載した事項の範囲内においてしたともいえない。
3.まとめ
本件訂正は、特許法第126条第3項又は第4項に規定する要件に違反し、拒絶すべきものである。」

4.当審の判断

1)訂正事項Aは、請求項1を新たな請求項1に訂正することを有するもので、これは、訂正前の請求項1に記載の「該一の領域は、空気抜き穴と、該空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と、該フラップ部を収容する凹領域を備え、」を「該一の領域は、フラップ部周囲領域の上面と、空気抜き穴と、該空気抜き穴を閉塞可能な突起部を備えるフラップ部と、該フラップ部を収容する前記上面から窪んだ凹領域とのみからなり、」に訂正するものということができる。

2)そこで、検討すると、訂正事項Aのうち、請求項1を新たな請求項1にする訂正は、訂正拒絶理由通知書の「2-1.」に記載したとおり、実質上特許請求の範囲を変更するものであるし、また、訂正前の特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたともいえないから、本訂正審判に係る訂正は、特許法第126条第3項又は第4項に規定する要件に違反し、拒絶すべきものである。

5.まとめ
平成23年6月13日付けで通知した訂正拒絶理由は、相当である。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-08 
結審通知日 2011-08-10 
審決日 2011-08-24 
出願番号 特願2008-519754(P2008-519754)
審決分類 P 1 41・ 854- Z (B65D)
P 1 41・ 841- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 楠永 吉孝  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 佐野 健治
熊倉 強
鳥居 稔
豊島 ひろみ
登録日 2009-01-30 
登録番号 特許第4251461号(P4251461)
発明の名称 蓋体及びこの蓋体を備える容器並びにこの蓋体を成型する金型装置及びこの蓋体の製造方法  
代理人 清原 義博  

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