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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K
管理番号 1244542
審判番号 不服2008-18981  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-24 
確定日 2011-10-25 
事件の表示 特願2004-164779「制癌剤」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月 7日出願公開、特開2004-277430、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成10年12月28日(特許法第41条に基づく優先権主張;平成10年9月4日,特願平10-251261号(以下、「出願1」という。))を出願日とする特願平10-373480号(以下、「出願2」という。)の一部を、特許法第44条第1項の規定により、平成16年6月2日に新たな出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、平成23年6月16日付け手続補正書により補正させた特許請求の範囲における請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
次の一般式(1):
【化1】

(式中、R101は、CH3(CH2)nCO-(nは、12?24の整数)を表し、R102は、水素原子を表す。)により表される化合物およびその薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする大腸癌または胃癌のための制癌剤。」 (以下、「本願発明」という。)

2.原査定の理由について

平成20年6月17日付けの拒絶査定の理由の概要は、本願発明は、下記の引用文献1、書類2、引用文献3?6、および参考文献の記載からみて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、とするものである。

・引用文献1;花島慎弥 他,“高等生物のDNAポリメラーゼ阻害剤の研究:3合成研究”,日本農芸化学会誌講演要旨集,日本農芸化学会,1998年3月5日,第72巻、臨時増刊号,p.82,「出願1」に添付された特許法第30条第4項に規定する書面
・書類2;花島慎弥 他,“高等生物のDNAポリメラーゼ阻害剤の研究:3合成研究<発表内容の要旨>”,1998年9月17日(1998年4月1日に日本農芸化学会1998年度大会において発表された内容の要旨),「出願1」に添付された特許法第30条第4項に規定する書面
・引用文献3;水品善之 他,“高等生物DNAポリメラーゼ阻害物質の探索および構造決定”,第40回天然有機化合物討論会講演要旨集,1998年8月31日,p.493-498
・引用文献4;Akio Ogawa et al, “Sulfated glycoglycerolipid from archaebacterium inhibits eukaryotic DNA polymerase , and retroviral reverse transcriptase and affects methyl me thanesulfonate cytotoxicity, International Journal of Cancer”,1998年5月18日,Vol.76,Iss.4,p.512-518
・引用文献5;中根英雄 他,DNAポリメラーゼ活性阻害物質,代謝,1991年11月25日,Vol.28 No.12,p.1027-1034
・引用文献6;特開平09-268198号公報
・参考文献;全訂 医薬品要覧,株式会社 薬業時報社,1986年,5刷,p.1060-1061,1066-1067,1070-1071

3.当審の判断

(1)特許法第41条に基づく優先権主張について

上記「出願1」には、本願発明に係る一般式(1)により表される化合物が記載されているが(【0090】?【0092】等)、当該化合物の用途については、「本発明の新規なピラノシドは、医薬への用途が期待されるスルホリピド類合成のための有用な中間体として利用することができる。」と記載されているにとどまり(【0002】)、「出願1」の他の部分の記載および技術常識を参酌しても、「出願1」には、当該化合物が、大腸癌または胃癌に対して制癌作用を有することについては何ら記載されていないから、本願発明は、「出願1」の願書に添付した明細書および図面に記載されていない。

したがって、特許法第41条第2項の規定により、本願の優先日は、「出願1」の出願日である「平成10年9月4日」であるとみなすことはできず、また、本願における特許法第30条第1項の適用についての申請は、「出願1」の出願時になされたものとみなすことはできない。

一方、本願は、上記「出願2」の一部を、特許法第44条第1項の規定により新たな出願としたものであるところ、本願発明は、上記「出願2」の願書に添付した明細書に記載されている(「出願2」の【請求項1】,【0033】?【0048】,【0129】?【0146】等)。
したがって、特許法第44条第2項の規定により、本願は、原出願である「出願2」の出願日に出願したものであるとみなされるので,本願の出願日は、「出願2」の出願日である「平成10年12月28日」であるとみなされる。

(2)原査定の理由について

原査定の拒絶の理由に引用された、上記「引用文献1」および「書類2」は、いずれも「出願2」の出願時に特許法第30条第1項の適用を受けるために、同法同条第4項の規定により提出された書面である。
しかしながら、「引用文献1」(日本農芸化学会誌講演要旨集)は1998年(平成10年)3月5日に頒布され、「書類2」によれば、引用文献1に記載された発明は、1998年(平成10年)4月1日に日本農芸化学会1998年度大会において発表された発明であるところ、前記(1)で検討したように、本願の出願日は「平成10年12月28日」であるとみなされるから、本願は、引用文献1が頒布された日、あるいは引用文献1に記載された発明が学会において発表された日から6月以内に出願されたものではない。
したがって、本願について、特許法第30条第1項の規定を適用することはできない。

ところで、上記引用文献1に記載された発明、あるいは上記学会発表によって公然と知られた発明は、本願発明に係る一般式(1)により表される化合物、および当該化合物が高等生物のDNAポリメラーゼ阻害活性を有することを開示するにとどまり、当該化合物が大腸癌または胃癌に対して制癌作用を有することについて示唆するものではない。
そして、引用文献3?6に記載された発明,および参考文献に記載された事項を参酌しても、本願発明の一般式(1)により表される化合物が「大腸癌または胃癌に対する制癌作用」を有することが、本願の出願日(すなわち、平成10年12月28日)より前に知られていた、あるいは示唆されていたとは認められない。
また、当該化合物が「大腸癌または胃癌のための制癌剤」として有用であるという効果は、本願の実施例(本願明細書の【0014】?【0032】)の記載によって裏付けられており、当該効果は、上記引用文献等から当業者が予測し得る範囲を越えたものであるというべきである。

よって、本願発明は、上記引用文献等に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないので、原査定の理由により拒絶すべきものではない。

4.結論

以上のとおりであるから、本願は、原査定の理由によって拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-10-07 
出願番号 特願2004-164779(P2004-164779)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三木 寛  
特許庁審判長 横尾 俊一
特許庁審判官 上條 のぶよ
前田 佳与子
発明の名称 制癌剤  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 河井 将次  
代理人 山下 元  
代理人 峰 隆司  
代理人 岡田 貴志  
代理人 中村 誠  
代理人 市原 卓三  
代理人 堀内 美保子  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 風間 鉄也  
代理人 野河 信久  
代理人 白根 俊郎  
代理人 村松 貞男  
代理人 竹内 将訓  
代理人 河野 直樹  
代理人 福原 淑弘  
代理人 佐藤 立志  
代理人 砂川 克  
代理人 勝村 紘  
代理人 河野 哲  
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