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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  H04N
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部無効 2項進歩性  H04N
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  H04N
審判 全部無効 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  H04N
管理番号 1244987
審判番号 無効2010-800082  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-04-28 
確定日 2011-09-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4324540号発明「アクセス制御付きのテレビ予約システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第4324540号の請求項4、7、13、16に係る発明についての特許を無効とする。 特許第4324540号の請求項1ないし3、5ないし6、8ないし12、14ないし15、17ないし18に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その24分の14を請求人の負担とし、24分の10を被請求人の負担とする。 
理由 【第1】手続の経緯

1.出願手続経緯
本件特許第4324540号は、平成9年5月23日(パリ条約による優先権主張:平成8年5月29日、米国)を国際出願日とする出願である特願平9-542802号(以下、「原出願」ともいう。)の一部を、平成16年10月12日に新たな特許出願(特願2004-297760号)として出願され、平成20年9月11日の手続補正を経て、平成21年6月12日に設定登録されたものであり、登録時の請求項の数は24である。

平成16年10月12日 本件(分割)出願
(特願2004-297760号、
原出願:特願平9-542802号(平成9年5月23日出願、
優先権主張 平成8年5月29日)
平成20年 9月11日 手続補正
平成21年 6月12日 設定登録(請求項の数24)

2.審判手続経緯
これに対して、請求人より平成22年4月28日に本件無効審判の請求がなされたものであり、本件無効審判における手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成22年 4月28日 無効審判請求(請求人)
(甲第1?5号証添付)
8月23日 答弁書(被請求人)
8月23日 訂正請求(被請求人)
10月21日 弁駁書(請求人)
11月17日 通知書(合議体)
12月22日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成23年 1月13日 口頭審理陳述要領書(請求人)
(甲第6?9号証添付)
1月26日 口頭審理
2月 9日 上申書(請求人)
2月 9日 上申書(被請求人)

【第2】訂正請求について

1.本件訂正請求の内容

平成22年8月23日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正請求」という)の内容は、本件特許明細書の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した全文訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであり、本件訂正の内容は以下のとおりである。(下線部は訂正箇所である)

(1)訂正事項1
訂正事項1は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1について、以下のとおり訂正するものである。

訂正前
【請求項1】
番組に対するアクセス制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
番組をブロックする基準を入力する段階と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階と、
前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階とを含む方法。

訂正後
【請求項1】
番組に対するアクセス制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
番組をブロックする基準を入力する段階と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階と、
前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階とを含み、
ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、方法。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、本件特許の特許請求の範囲の請求項3、4、5、15、16、17(訂正前)を削除するとともに、上記削除により、それ以下の請求項6-12、14、19-24(訂正前)について項番を連続するように訂正し、また、引用形式で記載された請求項について、引用する請求項の項番の訂正に合致するように引用部分の訂正をするものである。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、本件特許の特許請求の範囲の(訂正前)請求項13について、以下のとおり訂正するものである。

訂正前
【請求項13】
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含むシステム。

訂正後
【請求項10】
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含み、
ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、システム。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、本件特許の特許請求の範囲の(訂正前)請求項18について、以下のとおり訂正するものである。

訂正前
【請求項18】
プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、基準のリストから選択された基準を処理する、請求項13に記載のシステム。

訂正後
【請求項12】
表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する、請求項10に記載のシステム。

2.当審の本件訂正請求についての判断
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「番組をブロックする基準」に基づいて、「番組に対するアクセス制御を行う」具体的な内容を、
「ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」と特許請求の範囲を減縮することを目的としているものである。

a)「番組をブロック」について
上記限定する構成について、本件特許明細書の段落【0020】に「システムは番組情報を記憶することから、現行の又は将来の番組が制約されたチャンネル上に示されているか否かを見極めることができる。システムは同様に、番組が制約された格付け及び/又は内容、Vチップ分類又は時間帯に入るか否かをも見極めることができる。従って、録画予定の番組が存在するチャンネルにロックがセットされた場合、ユーザーにその矛盾について警告するポップアップが現われることになる。ユーザーがそのポップアップを無視した場合、それは3秒以内でタイムアウトし、チャンネルはロックされ、録画は、ロックが有効化される前にセットされた通りにパスワードの必要なく行なわれることになる。チャンネルがひとたびロックされた時点で、ユーザーは、正しいパスワードを入力しないかぎり、そのチャンネル上のいずれの番組をも同調、録画又は購入することができない。しかしながら、正しいパスワードを入力した時点で、ユーザーは、将来の番組の録画を予約することができる。予約された録画を行う時点で、システムは、ロックされたチャンネルのロックを解除し、そのチャンネルに同調を行ない、番組を録画する。番組が終わった時点で、システムはそのチャンネルを再びロックする。」、【0023】に「録画予定の番組がある時間帯にロックが設けられた場合、矛盾についてユーザーに警告を発するポップアップが現われることになる。ユーザーがそのポップアップを無視した場合、ポップアップは3秒以内でタイムアウトし、チャンネルはロックされ、ロックが有効化される前にセットされた通りに、パスワードの要求無く録画が行なわれることになる。しかしながら、ロックされた時間帯に予定される将来の録画全てには、パスワードが必要となる。」の記載がある。
請求人は「番組をブロック」の意味について不明である旨主張しているが、上記明細書の記載によれば「ユーザーは、正しいパスワードを入力しないかぎり、そのチャンネル上のいずれの番組をも同調、録画又は購入することができない。」とあるから、通常の使用において、ユーザが(ロックされた)番組に(同調、録画、購入等の)アクセスをすることができない状態とすることを「番組をブロック」と称しているとみるのが妥当である。

b)「ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」について
また、上記明細書記載の「録画予定の番組が存在するチャンネルにロックがセットされた場合」とは、「チャンネルにロックがセットされた」時に、「録画予定の番組が存在する」という意味ととらえるのが普通であることからみて、「チャンネルにロックがセットされた」時点で、既に「録画予定の番組が存在」していると認めることができる。そして、「録画予定の番組」とは、「将来の番組」のことであり、【0020】では、「将来の番組」について、「将来の番組の録画を予約する」、「予約された録画を行う」とあるから、「録画予約に係る番組」といえる。そして、「録画予約に係る番組」は、技術常識から考えて、「(これから)録画予約の設定をする番組」、「(既に)録画予約の設定を完了した番組」と考えられるが、上記のとおり、「チャンネルにロックがセットされた」時点で、既に「録画予定の番組が存在」しているためには、「(既に)録画予約の設定を完了した番組」である必要があるといえる。すなわち、「ロックのセット」と「番組の予約」との前後関係は、明らかに番組の予約が先であって、「あるチャンネルに対してロックのセットを行ったとき、(既に)録画予約の設定を完了した番組が存在しており、当該番組のチャンネルとロックのセットを行ったチャンネルとが同じ場合」という意味である。また、「録画予定の番組が存在するチャンネルにロックがセットされた場合、・・・ポップアップが現われ・・・ポップアップを無視した場合、・・・チャンネルはロックされ、録画は、ロックが有効化される前にセットされた通りにパスワードの必要なく行なわれることになる。」とあるから、「あるチャンネルに対してロックのセットを行ったとき、(既に)録画予約の設定を完了した番組が存在しており、当該番組のチャンネルとロックのセットを行ったチャンネルとが同じ場合、録画は、ロックが有効化される前にセットされた通りにパスワードの必要なく行なわれる」ことを、請求の範囲では「ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」と記載していると認めることができるから、上記請求の範囲に記載された構成は、発明の詳細な説明の記載に基づくものである。
上記において、請求の範囲の「録画予約した番組」が、「(既に)録画予約の設定を完了した番組」に対応することは、「(これから)録画予約の設定をする番組」に対応する構成として、以下に示すように、請求の範囲に「録画予約すべき番組」の記載があることからも明らかである。

c)「ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」について
明細書の「チャンネルがひとたびロックされた時点で、ユーザーは、正しいパスワードを入力しないかぎり、そのチャンネル上のいずれの番組をも同調、録画又は購入することができない。しかしながら、正しいパスワードを入力した時点で、ユーザーは、将来の番組の録画を予約することができる。」においては、「ロックのセット」を行った後の動作について開示しており、『「ロックのセット」がなされた後は、「ロックのセット」がなされたチャンネルの番組の予約の設定をしようとしても、(正しいパスワードを入力しないと、「ロックのセット」がなされたチャンネルの予約の設定をしようとする番組を)番組予約の設定をすることができない』ことが開示されているといえる。
上記、開示されている事項の「ロックのセットがなされた後」、「番組の予約の設定をしようとする」、「「ロックのセット」がなされたチャンネルの予約の設定をしようとする番組」、「番組予約の設定をすることができない」は、
訂正された、「ブロック基準を入力した後」、「番組を録画予約する場合」、「ブロック基準を満たす録画予約すべき番組」、「番組をブロックする」
に相当することは明らかであるから、「ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」なる構成は、特許明細書の発明の詳細な説明の記載に基づく構成といえる。

d)まとめ(訂正事項1について)
以上まとめると、上記訂正事項1に該当する構成は、本件特許明細書に記載されているということができ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内においてしたものであるといえ、また、これらの発明の詳細な説明の記載を参酌すれば、特許請求の範囲の記載が明確でないということもできない。
そして、上記特許請求の範囲を減縮することを目的として訂正することにより、「番組に対するアクセス制御を行う」具体的な内容がなんら限定されていない構成から、訂正事項により特定される構成に限定されたのであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するとはいえない。

なお、請求人は当該訂正について、審判事件弁駁書(2ないし5頁)にて、『「正しいパスワードの入力」について規定していないことから、「ブロック基準を満たしさえすれば、正しいパスワードが入力された場合でも、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」ことになり、この点において、請求項1に係る訂正は、段落0020に記載した事項の範囲を超えている。』と主張するが、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記のとおり『「ロックのセット」がなされた後は、「ロックのセット」がなされたチャンネルの番組を予約しようとしても、(正しいパスワードを入力しないと)番組にアクセスすることができない』ことが開示されているのであるから、「正しいパスワードが入力された場合」についての規定が特許請求の範囲に無くとも、それは、発明の詳細な説明に記載がない事項であるということはできない。

してみると、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は特許請求の範囲の請求項の削除と、それに伴い項番が連続するように訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、
a)訂正事項2により請求項が削除されたため、それに伴い項番が連続するように訂正すること、
b)訂正前の請求項13に係る発明を特定するために必要な事項である「番組をブロックする基準」に基づいて、番組をブロックする具体的な内容を
「ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」と限定すること、
を含むものである。

上記a)については、特許請求の範囲の請求項の削除と、それに伴い項番が連続するように訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

上記b)については、上記訂正事項1についてと同様の訂正であり、上記「(1)訂正事項1について」で検討したとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は
a)訂正事項2により請求項が削除されたため、それに伴い項番が連続するように訂正し、また、引用する訂正前請求項13が訂正後請求項10となったことから、これに対応するように引用する請求項の項番を訂正すること、
b)訂正前の請求項18に係る発明を特定するために必要な事項である「プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、基準のリストから選択された基準を処理する」の構成を「表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する」と訂正すること
を含むものである。

a)についての判断
上記a)の訂正は、特許請求の範囲の請求項の削除と、それに伴い項番が連続するように訂正し、また引用する請求項の項番が訂正されたことに対応するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

b)についての判断

訂正前の請求項18の記載によれば、請求項18に係る発明は、以下のとおりである。

【請求項18】
プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、基準のリストから選択された基準を処理する、請求項13に記載のシステム。

そして、訂正前請求項13に係る発明は以下のとおりである。

【請求項13】
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含むシステム。

以上のことから見て、訂正前請求項18は結局以下のとおりの発明といえる。

【請求項18】
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含むシステムであって、
プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、基準のリストから選択された基準を処理するシステム。

すなわち、ペアレンタル・コントロールシステムであって、「プロセッサ」と「表示プロセッサ」を含むものであり、
プロセッサは、「録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断する」こと、および、「基準のリストを表示画面に表示し、基準のリストから選択された基準を処理する」ことを行い、
「表示プロセッサ」は、「プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する」ことを行うという構成である。

これに対して、訂正後の請求項12は、訂正後の請求項12の記載によれば以下のとおりである。

【請求項12】
表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する、請求項10に記載のシステム。

そして、訂正後の請求項10は、訂正後の特許請求の範囲の請求項10の記載によれば以下のとおりである。

【請求項10】
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含み、
ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、システム。

以上のことから見て、訂正後請求項12は結局以下のとおりの発明といえる。

【請求項12】
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含み、
ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、 システムであって、
表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理するシステム。

すなわち、ペアレンタル・コントロールシステムであって、「プロセッサ」と「表示プロセッサ」を含むものであり、
プロセッサは、「録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断する」こと、および、「基準のリストから選択された基準を処理する」ことを行い、
「表示プロセッサ」は、「プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する」こと、および「基準のリストを表示画面に表示」することを行うという構成である。

上記訂正前請求項18と訂正後請求項12とを対比すると、(訂正事項3と共通するところを除いて)訂正前は、「基準のリストを表示画面に表示」することをプロセッサが行っていたのに対し、訂正後は、「基準のリストを表示画面に表示」することを「表示プロセッサ」が行う構成となった。
すなわち、訂正前と訂正後とで、「基準のリストを表示画面に表示」することを行う手段が、「プロセッサ」から「表示プロセッサ」に、その表現が変更されている。
ところで、発明の詳細な説明には、「プロセッサ」なる表現はなく、単に「基準を満たすことを判断する」あるいは、「基準のリストから選択された基準を処理」する機能を有していることが理解できる程度の記載しかない。
また、発明の詳細な説明には「表示プロセッサ」なる表現もなく、「ユーザに対する警告を表示」の記載から見て、当該「警告を表示」するための処理機能を有していることが理解できる程度の記載である。
これらのことから見て、願書に添付した明細書に記載されている事項の範囲内において検討したところ、本件特許発明では、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼び、特に表示機能を実現する手段のことを「表示プロセッサ」と称しているにすぎないということができる。
「プロセッサ」、「表示プロセッサ」が、上記のように機能手段を表現しているのであれば、「プロセッサ」と「表示プロセッサ」とが、構造として、異なるものであるか同一のものであるかは問わないというべきであり、上記「基準のリストを表示画面に表示」することを行う手段が、「プロセッサ」から「表示プロセッサ」に表現的に変更されていても、それは、「基準のリストを表示画面に表示」することは表示に関する処理機能であるから、「表示プロセッサ」と正しく表現しただけで、ハードウエア構成そのものが「プロセッサ」から「表示プロセッサ」に変更されたものということはできない。

よって、上記b)の訂正事項は、「基準のリストを表示画面に表示」する機能手段を「プロセッサ」と称していた記載を、「基準のリストを表示画面に表示」する機能は、表示に関する機能であるから、「表示プロセッサ」と呼ぶように記載を改めただけであり、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であって、また、実質上特許請求の範囲を変更するものではない訂正である。

(5)まとめ(訂正事項1ないし4について)
上記訂正は、特許請求の範囲の減縮、明りょうでない記載の釈明を目的とし、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されている事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1ないし4に係る訂正は、特許法第134条の2ただし書き、及び、同法同条第5項において準用する同法第126条第3項、4項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

【第3】本件発明
以上のように、本件訂正請求の訂正事項1ないし4に係る訂正は認められたから、本件特許発明は、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。(以下、それぞれ、本件発明1、本件発明2・・本件発明18、あるいはこれらを総称して本件発明という。)
【請求項1】
番組に対するアクセス制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
番組をブロックする基準を入力する段階と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階と、
前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階とを含み、
ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、方法。
【請求項2】
パスワードを記憶する段階と、
ブロック基準を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る段階と、
第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する段階と、
プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取る段階と、
ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基準を入力する段階は、
基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基準を入力する段階は、
第1のパスワードを記憶する段階と、
ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階と、
プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階と、
基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階と、
一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階とを含む、請求項1に方法。(合議体注:上記「請求項1に方法」は、「請求項1に記載の方法」の誤りと認めて、以下検討する。)
【請求項5】
基準を入力する段階では番組の格付けを入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基準を入力する段階ではチャンネルの識別情報を入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
番組リストにおいてチャンネルの識別情報の隣にロック記号を表示する段階をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基準を入力する段階では時間帯を入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基準を入力する段階ではペイパービュー番組の消費限度を入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含み、
ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、システム。
【請求項11】
プロセッサはさらにパスワードを記憶し、
入力装置は、ブロック基準を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取り、
表示プロセッサは、第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示し、
プロセッサは、プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取り、ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し、
プロセッサは、第1のパスワードを記憶し、基準のリストから選択された基準を処理し、第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
入力装置は、基準として番組の格付けを入力する、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
入力装置は、基準としてチャンネルの識別情報を入力する、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
表示プロセッサは、番組リストにおいてチャンネルの識別情報の隣にロック記号を表示する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
入力装置は、基準として時間帯を入力する、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
入力装置は、基準としてペイパービュー番組の消費限度を入力する、請求項10に記載のシステム。

【第4】当事者の主張
1.請求人の主張
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、請求項1ないし24(訂正前)に係る発明について、以下のとおりの無効理由を主張し、「審判費用は被請求人の負担とする」、との審決を求めており、請求人の主張する無効理由の概要は次のとおりである。(訂正前の請求項1、2、6、7、8、9、10、11、12、13、14、18、19、20、21、22、23、24に係る発明が、それぞれ、訂正後の請求項1ないし18に係る発明(本件発明)対応するから、そのように読み替える。)

(1)本件発明1、6、8、15、17について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明1、6、8、15、17は、本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができないものであって、本件発明1、6、8、15、17に付与された本件特許は、同法第123条1項2号の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲第1号証?甲第3号証を提出している。

(2)本件発明2について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明2は、本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができないものであって、本件発明2に付与された本件特許は、同法第123条1項2号の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲1号証を提出している。

(3)本件発明3について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明3は、
a)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができない
b)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法29条2項の規定によって特許を受けることができない(予備的主張)
ものであって、本件発明3に付与された本件特許は、同法第123条1項2号の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲第1号証?甲第4号証を提出している。

(4)本件発明4、13について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明4、13は、
a)特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさない
b)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定によって特許を受けることができない
ものであって、本件発明4、13に付与された本件特許は、同法第123条1項2号、同法第123条1項4号の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲1号証、甲第3号証、甲第4号証を提出している。

(5)本件発明5、14について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明5、14は、本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定によって特許を受けることができないものであって、本件発明5、14に付与された本件特許は、同法第123条1項2号の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証を提出している。

(6)本件発明7、16について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明7、16は、
a)特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない
b)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができない
c)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定によって特許を受けることができない(予備的主張)
ものであって、本件発明7、16に付与された本件特許は、同法第123条1項2号、同法第123条1項4号の規定の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲第1号証?甲第3号証を提出している。

(7)本件発明9、18について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明9、18は、本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定によって特許を受けることができないものであって、本件発明9、18に付与された本件特許は、同法123条1項2号の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲第1号証?甲第4号証を提出している。

(8)本件発明10について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明10は、
a)特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない
b)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができない
ものであって、本件発明10に付与された本件特許は、同法第123条1項2号、同法第123条1項4号の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲1号証?甲3号証を提出している。

(9)本件発明11について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明11は、
a)特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない
b)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができない
ものであって、本件発明11に付与された本件特許は、同法第123条1項2号、同法第123条1項4号の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲1号証を提出している。

(10)本件発明12について
審判請求書、弁駁書、口頭陳述要領書によれば、請求人は、訂正後の本件発明12は、
a)特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない
b)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができない
c)本件特許出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法29条2項の規定によって特許を受けることができない(予備的主張)
ものであって、本件発明12に付与された本件特許は、同法第123条1項2号、同法第123条1項4号の規定の規定により、無効とすべきものであると主張し、甲第1号証?甲第4号証を提出している。

各甲号証
甲第1号証 :特開平5-290439号公報
甲第2号証 :特開昭61-196405号公報
甲第3号証 :特表平7-508388号公報
甲第4号証の1:国際公開第95/32583号パンフレット
甲第4号証の2:特表平10-501936号公報
(なお、甲第4号証の2は、甲第4号証の1の翻訳であり、甲第4号証の1、甲第4号証の2を総称して甲第4号証という。)
甲第5号証 :特許第4324540号公報(本件特許明細書)
甲第6号証 :特開平5-244526号公報
甲第7号証 :特開平5-109148号公報
甲第8号証 :特開平7-44930号公報
甲第9号証 :特許庁 審査基準 第II部
第2章 進歩性新規性 1?3頁

2.被請求人の主張
被請求人は、訂正請求をすると共に、「特許第4324540号に関する訂正請求による訂正を認める、訂正後の請求項1?18について特許第4324540号の特許を維持する、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めており、訂正後の請求項に無効理由がないことを主張している。

【第5】各証拠及びその内容
以下において、各甲号証の記載事項を「甲1-1」、「甲1-2」・・「甲2-1」・・のように符号を付して抽出して記載するが、上記抽出する箇所は、各甲号証に記載された技術事項から、合議体が必要と判断した部分を抽出した箇所であって、請求人が「甲1-1」、「甲1-2」・・「甲2-1」・・・の符号を付して抽出した箇所とは異なる。

1.甲第1号証について
本件特許に係る出願の優先日(平成8年5月29日)前に頒布された刊行物である甲1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

(甲1-1)
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、任意の媒体に掲載される番組コードを入力して録画の予約を行うVCRの予約録画方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】任意の媒体に掲載される番組コードを入力して録画の予約を行うVCRの予約録画方法が提案されている。すなわちこの方法は、新聞雑誌等の放送番組欄に、その番組の放送日、放送開始時刻、放送時間、放送チャンネル等の情報を、例えば8桁以内の数値に変換した番組コードを掲載し、この8桁以内の数値を例えば10キーにて入力することによって上述の各種の情報を設定して、容易に録画の予約を行うことができるようにしたものである。
【0003】ところで深夜の時間帯等において、特に年少者等の視聴に好ましくない番組が放送されることがある。そこで従来から時間帯やチャンネルを設定して、この設定された時間帯やチャンネルの番組は録画できないようにする方法が実施されている。しかしながらこれらの方法では、一律に録画が禁止されるために、設定された時間帯やチャンネルで有益な番組が放送された場合もこれを録画することができなくなってしまう。この発明はこのような点に鑑みて成されたものである。

(甲1-2)
【0006】本発明による第2の手段は、任意の媒体に掲載される番組コードを入力して録画の予約を行うVCRの予約録画方法において、予め任意の番組コードと任意のキー信号とが併せて登録(ステップ11?14)され、上記番組コードの入力(ステップ1′)時に上記登録された番組コードが入力されると(ステップ2′)、上記キー信号の入力が要求(ステップ4′)されるようにしたVCRの予約録画方法である。

(甲1-3)
【0018】さらに図2は第2の方法を実施するためのフローチャートを示す。この図において、まずAは予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するためのフローチャートである。ここでステップ11で任意の番組コードが入力され、ステップ12でキー信号の登録の操作が行われると、ステップ13でキー信号の入力が要求される。そしてステップ14で任意のキー信号が入力されて終了される。
【0019】これに対してBは録画予約のフローチャートである。ここでステップ1′で番組コードが入力されると、ステップ2′で入力された番組コードが登録されているか否かが判断される。そして登録されていないときは、ステップ3′で通常のデコード動作が行われて終了される。
【0020】またステップ2′で登録されているときは、ステップ4′でキー信号の入力が要求される。さらにステップ5′で入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別される。そして一致のときは、ステップ6′で通常のデコード動作が行われて終了される。これに対してステップ5′で不一致のときは、そのまま終了される。
【0021】従ってこの方法において、例えば年少者の視聴に好ましくない番組に対しては、予めその番組コードを登録しておく。これによって年少者等が通常の方法でその番組コードの入力を行っても、この番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される。
【0022】なお上述の方法において、操作装置(図示せず)の表示部には例えば次のような表示が行われる。
【0023】すなわち図3のAは登録時の表示を示し、まずフローチャートのステップ11で入力された番組コードが表示され、ステップ12で操作に対応してそれを示す「PSK」が表示される。さらにステップ13で「パスワード(キー信号)を入力してください」が表示され、ステップ14で入力されたキー信号が表示される。そして「パスワードを登録しました」が表示されて終了される。
【0024】また同図のBは録画予約時の表示を示し、まずフローチャートのステップ1′で入力された番組コードが表示される。またステップ4′で「パスワード(キー信号)を入力してください」が表示され、入力されたキー信号が表示される。そしてステップ6′でデコードされた情報が表示されて終了される。

(甲1-4)
【0025】このようにして不都合を生じることなく任意の番組の録画の禁止を行うことができる。

2.甲第2号証について
本件特許に係る出願の優先日(平成8年5月29日)前に頒布された刊行物である甲2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

(甲2-1)
〔従来の技術〕
テレビ、ビデオテープレコーダ等の視聴覚機器は教育に使用すると極めて有効である反面、いわゆる深夜放送等においては若年者の精神衛生上好ましくないテレビ番組も多く放送されている。これに対して保護者等が常にテレビ受像機等の近傍に居られれば、このような番組の視聴を禁止することは容易である。しかしながら現実的にそのようにすることは困難である。また特にビデオテープレコーダにおいては、いわゆるタイマー録画を行うことにより、保護者等の知らぬ間に番組を録画し、保護者等の居ない時に視聴することが極めて容易に行い得る。
ところでテレビ受像機においては、メモリとタイマー装置を内蔵し、保護者等が視聴の禁止時間帯とチャンネルをメモリに記憶させることにより、タイマー装置がその時刻になると、コンピュータ等でその状態を判別して視聴を禁止させる装置が提案されている。
第4図はそのためのコンピュータのフローチャートを示す。なおメモリにはあらかじめ時間帯、禁止チャンネル等の設定データが記憶されているものとし、その設定方法は周知の設定方法を用いるものとする。
図において、装置の電源がオンされると、まずステップ〔l〕で初期設定が行われる。続いてステップ〔2〕でタイマー装置から現時刻が検出され、ステップ〔3〕でメモリから視聴禁止の時間帯が読出される。そしてステップ〔4〕で現時刻が禁止時間帯に含まれているか否かが判断され、含まれていないときはステップ〔5〕で通常の動作モードとされる。さらにステップ〔6〕で装置の電源オフの要求がなされたか否かが判断され、オフの要求があるときはステップ〔7〕でオフの制御が行われた後、装置がオフされる。またステップ〔6〕でオフの要求がないときはステップ〔2〕へ戻される。
さらにステップ〔4〕で現時刻が禁止時間帯に含まれているときは、ステップ〔10〕で禁止チャンネルが設定されているか否かが判断される。ここで禁止チャンネルが設定されていないときは、全面的に使用が禁止されている場合である。そこで禁止チャンネルが設定されていないときは、ステップ〔11〕で「使用禁止」の表示が受像機のスクリーン上に行われ、ステップ〔12〕で所定の時間経過が持たされた後、ステップ〔13〕でオフの制御が行われ、装置がオフされる。
またステップ〔10〕で禁止チャンネルが設定されているときは、ステップ〔21〕でチューナ部から受信チャンネルが検出され、ステップ〔22〕でメモリから禁止チャンネルが読出される。そしてステップ〔23〕で受信チャンネルが禁止チャンネルであるか否かが判断され、禁止チャンネルでないときはステップ〔5〕に進められる。またステップ〔23〕で禁止チャンネルのときはステップ〔24〕で「チャンネル禁止」の表示が受像機のスクリーン上に行われる。さらにステップ〔25〕で受信チャンネルが変更されたか否かが判断され、変更されたときはステップ〔21〕に戻される。またステップ〔25〕で変更がなされないときは、ステップ〔26〕でその時間経過が判断され、所定時間が経過するとステップ〔27〕でオフの制御が行われ、装置がオフされる。
従ってこの装置によれば、保護者等が設定した視聴禁止時間帯にテレビを見ようとしても、受像機のスクリーンには「使用禁止」等の表示が出るのみで、若年者に有害と思われる番組等の視聴を禁止することができる。
ところがビデオテープレコーダにおいては、上述の構成をそのまま適用しても有効な動作が行えないばかりか、かえって故障などと誤解されるおそれがある。すなわち一般にビデオテープレコーダにおける録画はいわゆるタイマー録画で行われることが多く、その場合に録画中に使用者が傍に居ることはまれであり、そのようなときに「録画禁止」等の表示を行っても無意味である。また録画の終了後に巻戻して再生を行った場合に、そのテープに録画が行われていないことが録画が禁止されていたことによるのか、あるいは装置が故障していたためなのか判断できず、故障していたものと誤解される可能性が極めて大きい。
これに対してタイマー録画の設定を行う際に、設定時刻と禁止時間帯等とを判断して「録画禁止」等の表示を行うことも考えられるが、禁止時間帯等の設定がタイマー録画の設定の後に行われる場合もあり得るため、その場合には録画が行われるものと信じていたものが禁止されていることによって、かえって不都合を生じるおそれがある。(公報1頁右下欄7行-2頁右下欄13行)

(甲2-2)
本発明は、時間帯記憶メモリ(16)とタイマ装置(17)とを有し、上記タイマ装置からの時刻が上記メモリに記憶された時間帯に含まれていることを検出(比較部(18))し、この検出期間は動作が制限(制御部(19))されるようにしたビデオテープレコーダにおいて、所定の映像信号の発生源(15)を設け、上記検出期間中に上記動作が録画モードとされたときは、上記発生源からの所定の映像信号がテープ(6)上に録画される(スイッチ(2))ようにしたビデオテープレコーダである。(公報3頁左上欄2行-3頁左上欄11行)

(甲2-3)
〔実施例〕
第1図において、チューナ(1)からの受信信号が切換スイッチ(2)を通じて取り出され、この受信信号が記録回路(3)、録再切換スイッチ(4)を通じて回転ヘッド(5)にてテープ(6)上に記録される。またテープ(6)から回転ヘッド(5)にて再生された再生信号が録再切換スイッチ(4)、再生回路(7)を通じて取り出され、RF回路(8)にて任意のチャンネルの信号に変換されてテレビ受像機(図示せず)への出力端子(9)に出力される。
さらに記録回路(3)、録再切換スイッチ(4)、再生回路(7)等を制御するシステムコントロール回路(10)が設けられると共に、このシステムコントロール回路(10)はマイクロコンピュータ(11)にて制御され、このコンピュータ(11)は設定キー(12)、動作キー(13)等によって制御されると共に、この制御内容等が表示部(14)にて表示される。なお設定キー(12)、動作キー(13)、表示部(14)は例えば第2図に示すように構成され、設定キー(12)にはいわゆるテンキーとなる“0”?“9”のキーと、開始キー“始”、終了キー“終”、チャンネルキー“CH”、クリアキー“CL”及び登録キー“登”が設けられ、動作キー(13)には通常のビデオテープレコーダと同じく、“録画”、“再生”、“巻戻”、“早送”、“停止”、“一時停止”等のキーが設けられ、表示部(14)にはそれぞれいわゆる“日”の字配置の表示部からなる2桁のチャンネル“CH”表示部と、4桁の時刻表示部等が設けられる。(20)はカセットの挿入口である。
以上の構成において、通常の録画再生は動作キー(13)を操作することによって従来周知の如くに行われる。またいわゆるタイマー録画を行う場合には、例えば設定キー(12)の開始キーを押しながらテンキーを操作して録画開始時刻を設定し、続いてチャンネルキーを押しながらテンキーを操作してチャンネルを設定し、最後に終了キーを押しながらテンキーを操作して録画終了時刻を設定する。なお設定を誤ったときやタイマー録画が完了して設定が不要になった後はクリアキーにて設定を解除することができる。これによって設定された録画開始時刻になると設定されたチャンネルのタイマー録画が開始され、その後設定された録画終了時刻にこれを終了させることができる。また現時刻・チャンネル等及び設定された時刻・チャンネル等が表示部(14)で表示される。
そしてこの装置において、さらに所定の映像信号の発生源(15)が設けられ、この発生映像信号が切換スイッチ(2)に供給される。ここで発生される映像信号としては、いわゆる録画が禁止されていることを示すもので、「録画禁止」等の文字によるメツセージあるいは簡単な線画等によりその旨を告知するものであってもよい。(公報3頁右上欄1行-3頁右下欄11行)

(甲2-4)
すなわちBは録画のサブルーチンのフローチャートであって、このサブルーチンがコールされると、まずステップ〔71〕でタイマ装置(17)の現時刻が検出され、ステップ〔72〕でメモリ(16)の録画禁止時間帯が読出される。なおメモリ(16)への録画禁止時間帯の設定は、例えば設定キー(12)の登録キーを押しながら任意の暗証番号等をテンキーで操作することにより設定モードとされ、以後タイマー録画の設定と同じ要領で録画禁止時間帯の開始時刻、チャンネル、終了時刻を設定する。さらに設定後再度登録キーを押すなどして設定モードを解除する。
そしてステップ〔73〕で上述の現時刻が録画禁止時間帯に含まれているか否かが判断され、含まれていないときはステップ〔74〕でスイッチ(2)がチューナ(1)側に切換られ、ステップ〔75〕で録画モードとされてメインルーチンへリターンされる。
またステップ〔73〕で含まれているときは、ステップ〔76〕で録画禁止チャンネルが設定されているか否かが判断される。そして設定されているときは、ステップ〔77〕でチューナ(1)の受信チャンネルが検出され、ステップ〔78〕でメモリ(16)の録画禁止チャンネルが読出され、ステップ〔79〕でこれらが一致しているか否かが判断される。ここで一致していないときはステップ〔74〕に進められて通常の録画が行われる。
さらにステップ〔76〕で設定チャンネルがないとき(全チャンネルが禁止)と、ステップ〔79〕でチャンネルが一致したときはステップ〔80〕へ進められる。そしてこのステップ〔80〕でスイッチ(2)が発生源(15)側に切換られ、ステップ〔81〕で時間経過が判断され、例えば30秒以内のときステップ〔82〕で録画モードとされてメインルーチンへリターンされ、30秒以上になるとステップ〔83〕で停止モードにされてメインルーチンへリターンされる。なおステップ〔81〕は例えば一種のカウンタで構成され、このステップ〔81〕を通過するたびにカウントが行われ、このカウント値とメインルーチン及びサブルーチンを一巡する間の時間との積が30秒を越えるカウント値になったときに30秒の経過が判断される。このカウンタはステップ〔34〕等の各種フラグのリセットと同時にリセットされる。
このようにしてサブルーチンが実行され、メインルーチンへ戻される。さらにメインルーチンにおいて、ステップ〔38〕で停止の要求がなされるか否かが判断され、なされたときはステップ〔39〕で各種フラグ等がリセットされ、ステップ〔40〕で停止のフラグがセットされる。そして、ステップ〔38〕で要求がなされなかったときと共にステップ〔41〕に進められる。このステップ〔41〕で停止フラグがセットされているか否かが判断され、セットされているときはステップ〔42〕で停止モードにされ、ステップ〔41〕でセットされていないときと共にステップ〔43〕へ進められる。
さらにステップ〔43〕で装置の電源オフの要求がなされたか否かが判断され、要求がないときはステップ〔32〕へ戻される。またオフの要求があるときは、ステップ〔44〕でオフの制御が行われた後、装置がオフされる。(公報4頁左上欄14行-4頁右下欄11行)

(甲2-5)
従ってこの装置において、録画禁止時間帯内で動作キー(13)あるいは設定されたタイマー録画によって録画の要求がされると、ステップ[37]のサブルーチンでそれが判断され、スイッチ(2)が切換られて発生源(15)からの映像信号が30秒間テープ(6)に録画された後、装置は停止モードになる。このため後でこのテープを再生した場合にこの映像が表示されることで録画が禁止されていたことが明瞭になされ、これによって故障等と誤解されるおそれもない。(公報4頁右下欄12行-5頁左上欄1行)

3.甲第3号証について
本件特許に係る出願の優先日(平成8年5月29日)前に頒布された刊行物である甲3号証には、図面とともに次の事項が記載されている。

(甲3-1)
視聴者が使用しなければならないリモートコントローラの数を低減する一つの方法は、ユニバーサルリモートコントローラの使用である。例えば、1991年3月12日にアマノ(Amano)他に対して発行された米国特許第4,999,622によれば、異なった製造業者による、VCR、テレビといった電子機器のためにプログラムされたコードを記憶する多重コマンダが開示されている。個々のユーザは、多重コマンダを学習モードに設定し、電子機器用の個々のリモートコントローラを起動する。多重コマンダは、送信された符号化信号を受信、記憶する。多重コマンダは、受信信号を製造業者の記憶コードと比較することにより得られたリモートコントローラ信号を識別し、メモリからの信号フォーマットを第二メモリへ記憶する。多重コマンダがプログラムされると、多重コマンダは、リモートコントロールモードへ切り替えられ、ユーザが多重コマンダにコマンドを起動すると多重コマンダは、第二メモリから読み取り、対応するリモートコントロール信号を選択された電子機器の一つへ供給する。このアマノ(Amano)のリモートコマンダは、多数の電子機器をプログラムする問題を解決してはいない。これらの電子機器をプログラムする複雑さを低減する一つの方法は、ある種の符号化法を使用することである。例えば、1990年7月12日に公開されたユエン(Yuen)他のPCT出願WO90/07844によれば、放送テレビ信号のチャンネル、日付、時間及び長さの情報を一つの数値に符号する。この数値は、テレビプログラムのリストに載せられる。視聴者が、特定のテレビプログラムを録画したいとき、この符号化数値をリモートコントローラに打ち込み、そのリモートコントローラは、符号化数値を復号化し、VCRを適切な時間に起動し、そのテレビプログラムが放送される対応するチャンネルを選択し、プログラムの終了時にVCRを停止する。(公報7頁右上欄22行-公報7頁左下欄14行)

(甲3-2)
詳細説明
システム説明
図1は、対話形コントロールシステムを使用した、本発明の実施例であるシステムのブロック図である。消費者電子システム10は、テレビ(TV)12、ビデオカセットレコーダ(VCR)、即ちビデオテープレコーダ14、及びケーブルボックス16を含む多数の電子機器を有す。ケーブルボックス16は、ケーブルライン18によりケーブルテレビ端子(図不指示)に接続されている。ケーブルホックス16は、幾つかの異なったビデオチャンネルの一つからのケーブルライン18て搬送されてきたビデオ信号を共通の未使用のチャンネル、一般にチャンネル3又は4用に変換する。この特定のチャンネルは、重要ではなく、この説明に於ては、チャンネル3が使用される。ケーブルボックス16は、又、衛星受信システムを含む。ケーブルボックス16は、ケーブル又はキャリアオペレータが不正な視聴を防止するために符号化した符号化ビデオ信号を復号する。ケーブルボックス16からの出力は、同軸ケーブル20によりVCRl4に接続される。VCR14は、ビデオ磁気テープにビデオ信号を録画するか、又は、録画しないまま、通過させるかしている。VCR14からのTV出力信号は、同軸ケーブル22によりコントローラ28に接続されている。コントローラ28のTV出力は、同軸ケーブル23を通じてテレビ12に接続されている。(公報9頁左下欄22行-公報9頁右下欄10行)

(甲3-3)
クロック64が、CPU49とインタフェースされ、システムのタイミングを後述の如く提供している。クロックは、停電及び電源の中断の場合に時間をシステムが保持できるように、自身か電池バックアップ(図不指示)を備えている。コントローラ28は、時間を表示するための表示器(図不指示)を備えている。VCR14の出力から同軸ケーブル22は、入力端子64に接続され、この入力端子64は、ビデオスイッチ及びミクサー68のビデオ端子66に接続されている。ビデオスイッチ及びミクサー68の出力は、テレビ12と接続のために出力端子70へ送られる。ビデオスイッチ及びミクサー68のテキスト端子72は、ビデオ変調器74に接続され、ビデオ変調器74は、文字/グラフィック発生器76からのテキスト情報をチャンネル3のTV信号に変調する。CPU49の制御により、テキスト情報は、文字/グラフィック発生器76に供給される。テキスト情報は、テキストかまたはビットマツプグラフィックかである。ここで使用の“テキスト“と言う言葉は、文字かグラフィックのいずれかを意味する。(公報10頁左下欄20行-公報10頁右下欄3行)

(甲3-4)
他の実施例では、システムは、異なったユーザ用に固有のユーザIDとパスワードを有している。これにより、個人が、自身のクレジットカードを使用し、他人がそれを使用できないようになっている。親によるコントロールに関しては以下に説明するように、固有パスワードにより、13歳以下の子供といった視聴者は、テレビショーが見られないようにし、13歳より年上の子供といった他の視聴者は、ショーが見られるようにされている。
ユーザは、古いパスワードを入力し、新しいパスワードを入力することによってパスワードを変更することが可能である。新しいパスワードの確認は、文字のミスタイプによる変化を防止するためになされる。(公報14頁左上欄24行-公報14頁右上欄3行)

(甲3-5)
コントローラ28は、不揮発性RAM54からのチャンネル31Rコードを読み取り、TV電源オンコマンドと同様に、チャンネル3コマンドを適当なIRコードフォーマットてTVに送ることによってテレビ12をチャンネル3に切り替えている。ステップ246ては、ビデオスイッチ及びミクサー68が、テキストモードに切り替わり、ステップ248で、コントローラ28は、図14で示されるメインメニュー250をTVスクリーン上表示する。このメニューは、対話形電子制御システムで使用されるディスクの種類を示す。特に、メインメニュー250は、TV/VCR,CD、ラジオ、電話帳/新聞、ホームショッピング、映画予約等のための選択肢を示す。(公報14頁左下欄17行-公報14頁左下欄25行)

(甲3-6)
しかし、ステップ284て終了コマンドが受信されていない場合は、コントローラ28は、どのメニュー項目が選択されているかを確認する。ステップ288で、コントローラ28は、日付カレンダーが選択されているかどうか確認する。選択されていれば、ステップ290で、コントローラ28は、ユーザが視聴したいと望むプログラムリストの日付を入力するために、ユーザにコマンドを表示する。ユーザが、コントローラリモート送信器48のキーパッドを使用して日付を入力した後に、ステップ292で、コントローラ28は、ディスク62を読み取り、ステップ290で選択した日付で、選別する。選別を完了すると、コントローラ28は、図17で示される日付カレンダーメニュー294を表示する。日付カレンダーメニュー294は、コード、チャンネル、開始時間、特別プログラム及び題名のための欄を含む。これらのコードは、ユエン(Yuen)他によるPCT出願W090/07844で説明されているVCR符号化コードに対応し、その開示は、参照資料としてここに編入されている。これに替えて、コードは、ライン番号によりプログラムのランダムアクセスによる選択のために逐次のライン番号で置き換えてもよい。
テレビプログラムを示すチャンネル、日付、時間及び長さ(CDTL)を表すコード番号を使用すると、ディスク62のテレビプログラムリストは、明白なCDTL情報ではなく、コードのみを持つように省略可能である。コードを使用した実施例では、コントローラ28は、ROM56に記憶された符号化、復号化プログラムを有す。動作中は、コントローラ28は、選択したプログラムのコードを受信し、そのコードを、以下に述べるようにVCR録画機能か、TV視聴機能をプログラムするのに使用されるCDTL情報を復号化する。
特別欄を以下に詳述する。
コントローラ28は、コントローラリモート送信器48の機能をユーザ選択に応答する。ステップ294ては、コントローラ28は、ページキー92が押されたかどうか確認する。押されていれば、ステップ296で、コントローラ28は、一ページ分だけ日付カレンダーメニュー294を進ませる。キーパッド88、カーソル90及びページキー92を組み合わせて使用することにより、複数のページだけ進ませることが可能である。ページが、ステップ294で命令され、ぺ-ジがステップ296で変えられると、ステップ298では、コントローラ28は、録画キー102、視聴キー104又は親コントロールキー115が起動されたかどうかを検出する。いずれかが、起動されていれば、ステップ300でコントローラ28は、図18の録画/視聴メニュー302を表示する。録画/視聴メニュー302により、視聴者は、プログラムを一度だけ、毎日、毎週、録画したり、視聴したりすることを選択し、また、特別プログラム又は親コントロールのプログラムを選択したりすることか可能となる。殆どのプログラムは、毎日放送されるか、又は、月曜から金曜に一度放送されるかであるので、毎日の選択は、月曜から金曜の視聴に対応する。これに替えて、一週間、7日の選択も可能である。
特別プログラムは、プログラムリストスケジュールと共に表示される、放送会社により追加される標識てあって、標識が付加された放送について更なる情報があることを示す。この特別情報は、通常、他の時間に他のチャンネルで放送される。例えば、特別プログラムは、早期に殆ど使用されていないUHFて放送されたりする。この特別キー114を押すことによって、視聴者は、この空き時間での放送の録画を選択てきる。例えば、図17では、コード54769、“デスカバーザワールド”の第五項目のプログラムについては、特別欄には“X”と記されている。この特別プログラムは、例えば、観光船についての広告でもよい。
“特別”プログラムは、どのような種類のプログラムでもよく、広告に限らない。通常プログラム中に放送される範囲を越える追加情報を提供する拡大プログラムであってもよい。例えば、ある人についての伝記は、演説の全フィルム又はより詳細な情報を含む関連の特別プログラムであってもよい。こうして追加情報を示す特別フラグが、視聴者がプログラムをまだ見ていなくても利用できる。
図16Aを参照すると、特別プログラムのCDTL及び題名が、プログラムと関連づけられる。特別プログラムを選択すると、コントローラ28は、特別プログラムと同じCDTL情報を有するプログラムを求めてプログラムディスクを探索する。特別プログラムのフラグは、選択の時間及び発生を記録するために、セットされる。特別プログラムのCDTL情報は、録画又は視聴のために選択されたプログラムを記憶する不揮発性RAM54の一部分であるレコード又はメモリスタックに記憶される。図42に関連して説明されるように、コントローラ28は、クロック64の日付と時間をレコードスタックで選択されたプログラムの日付及び時間とを比較する。一致があると、コントローラ28は、VCR14にプログラムを録画するように命令し、レコードスタックからプログラム選択を削除する。フラグがセットされ、録画又は視聴が実際に実行される。(公報15頁右上欄9行-公報15頁右下欄12行)

(甲3-7)
プログラム選択時に、ユーザは、視聴者が特定のプログラム又はチャンネルを見ることかできないように親コントロールを設定することが可能である。これに替えて、親は、ある時間帯、例えば、放課後又は夕食前は、子供達がどのTVも見ることができないようにすることも可能である。
親コントロールは、ステップ300で表示される日付カレンダーメニュー294でハイライトされた選択で親コントロールキー115を押すことによって設定される。親コントロールのフラグがたったプログラムは、後述のように適当なパスワードを有す視聴者により録画したり、視聴したりすることが可能である。(公報15頁右下欄27行-公報16頁左上欄5行)

(甲3-8)
しかし、第二のユーザが、禁止されたショーを視聴したり、録画したりするためにディスクを使用しようとする可能性がある。これに替えて、不正視聴者は、TVを禁止したショーのチャンネルに同調させるか、又は禁止のショーを録画するようにVCRを電源をオンとするために、コントローラリモート送信器48、TVリモート送信器32又はVCRリモート送信器36を使用して、禁止したしたショーに対してテレビ12又はVCR14を直接設定しようとする。こうして、視聴するか、録画されているプログラムを定期的にモニタする必要がある。図20は、図15に示されるプログラム選択フローチャートに於ける選択のために親コントロールモニタプログラムに使用されるステップを示すフローチャートである。ステップ320では、コントローラ28は、視聴されているか、又は録画されているプログラムと記憶されている親コントロールプログラムリストとパスワードフラグとを定期的に比較している。パスワードフラグは、適当なパスワードがユーザにより入力されるとセットされる。ステップ322では、視聴されているプログラムと、親コントロールフラグとの間の一致がないので、プログラムは、ステップ320へ戻る。視聴されているプログラムは、制限リストにはないか、適当なパスワードが既に入力されたかであるので。視聴されているプログラムと親コントロールフラグ間の比較は、毎分なされるか、次の比較まで長期の不正視聴を禁止している。
ステップ322で一致がある場合は、ステップ324では、コントローラ28は、VCR14がオンとなっている場合は、それを停止し、全録画コマンドを禁止とする。視聴者が、禁止されいているショーを録画しようとした場合は、コントローラ28は、コマンドを無視し、録画コマンドをVCR14に送信せず、従ってそのコマンドを禁止する。コントローラ28は、同様に、コントローラリモート送信視聴48からの禁止チャンネルのチャンネルコマンドを無視する。VCR録画コマンド又は禁止ショーへのチャンネル変更を受信すると、コントローラ28は、VCRl4のスイッチを切り、TV12をチャンネル3へ切り替えることによって、禁止ショーを録画するVCRリモート送信器38からのコマンドを禁止している。コントローラ28は、同様に、TV12をチャンネル3に切り替えることによって、禁止ショーを視聴しようとするTVリモート送信器32からのコマンドを禁止している。コントローラ28は、ビデオスイッチ及びミクサー68をテキストモードに切り替え、“親コントロール:リセットするにはパスワードを入力して下さい”を表示する。ステップ326で、正しいパスワードが入力されないと、コントローラ28は、ステップ324に戻り、継続してパスワードの入力を要求する。正しいパスワードが入力されると、システムは、システム及びプログラムパスワードフラグをステップ328でリセットする。プログラムパスワードフラグをセットすると、許可された視聴者は、パスワード要求による定期的な中断なしに、ショーの視聴又はショーの録画を継続できる。ステップ330で、コントローラ28は、プログラムの視聴及び録画の不正な試みがなされたことを正規な視聴者に後に連絡するために、不揮発性RAM54又はディスク62に誤ったパスワードのイベントを記憶する。コントローラ28は、正しいパスワードが設定されるまで、パスワードに対する要求の表示を継続する。他の実施例では、コントローラ28は、ユーザが禁止されている以外のチャンネルを選択することは、許可する。許可されていない視聴者がアクセスしようとしたプログラムの日付、時間、チャンネル及び題名を表示する。TV/VCRプログラムでのメニュー(図不指示)を選択することによって、正規の視聴者は、親コントロールにより制限されているプログラムに対するアクセスの試みの日誌を呼び出すことができる。コントローラ28は、次に、ステップ320へ向かう。(公報16頁左上欄6行-公報16頁右上欄23行)

(甲3-9)
ステップ298にもどり、録画、視聴又は親コントロールが、選択されない場合は、ステップ344で、コントローラ28は、再確認コマンドがなされたかどうかを確認する。このステップにより、視聴者は、自身の行った選択を再確認できる。ステップ346で、図21の選択再確認メニュー348が表示される。この表示は、録画のために選択されたプログラムと録画の頻度(毎日、毎週、特別、その他)を示す欄を含む。プログラムが視聴するために選択されたか、また視聴の頻度を示す一つの欄がある。選択されたプログラムのチャンネル、日付、時間及び題名を示す欄もまた表示されている。ステップ294及び296で既に述べたと同様な方法で、コントローラ28は、ステップ348で要求されるようにページを変更する。ステップ348の完了時、又はステップ344で再確認が選択されていない場合は、コントローラ28は、取消コマンドが選択されたかどうかをステップ350で確認する。選択されている場合は、ステップ352で、コントローラ28は、不揮発性RAM54から選択を取り消し、プログラムは、視聴されない。しかし、親コントロールがまえもって設定されていると、コントローラ28は、パスワードを要求し、正しいパスワードが入力されない場合は、取消を無視する。ステップ358で、設定取消フラグがディスクに記憶され、ステップ356で、取消の日付及び時間がディスクに記憶される。取り消されたプログラムの記録は、市場情報用にディスクに保持される。この情報は、例えば、ネガティブ映画レビューの影響を調べるためには有効である。(公報16頁左下欄5行-公報16頁左下欄23行)

4.甲第4号証について
本件特許に係る出願の優先日(平成8年5月29日)前に頒布された刊行物である甲4号証の1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(甲4の1-1)
The second horizontal bar 62 appearing on the screen in the MAIN MENU mode shown in Fig. 6 is the Home Theater Listing. It corresponds to Pay-Per-View events or services, specialized programming, and Premium Service programs. When this category is chosen by the user, the television receiver displays information as shown in Fig. 15. The first theater-ticket icon 150 that appears in this Home Theater bar identifies a format in which the Pay-Per-View events and premium services are displayed, as shown in Fig. 22. As with other modes, the user can manipulate the cursor to highlight and select any particular show. Also, the user can obtain additional information about the Pay-Per-View event or service by depressing the i key 48 on the remote controller 40. The Pay-Per-View menu screen display shown in Fig. 22 also includes a video display section 220 in which short promotional clips of current and future events and services can be shown to the user while the user is viewing the Pay-Per-View scheduling information. The display of Fig. 22 is bit mapped such that the advertising clips may be shown in the lower left quadrant of the screen. The clips may be shown randomly in the video display section 120 or, alternatively, the clip shown could correspond to the particular selected entry on the list of events, and would change automatically as the user navigated through the list.(明細書30頁下から2行-明細書31頁21行)

(訳:甲4の2-1)
図6に示される「メイン メニュー」モードのスクリーンに表れた第二の水平バー62は、「ホーム シアター」リストである。これは、視聴毎料金(Pay-Per-View)イベント(番組)またはサービス、特殊な番組及び割増料金サービス番組に対応する。ユーザーがこのカテゴリーを選択すると、テレビ受信機は、図15に示されるように情報を表示する。このホーム シアターバーに表れた第一のホーム シアター チケット アイコン150は、図22に示すように、視聴毎料金番組及び割増料金サービスが表示された形式と同一である。他のモードのように、ユーザーは、興味を引いたものへカーソルを操作でき、何らかの特別な演劇を選択できる。また、ユーザーは、リモトートコントローラ40上でiキー48を押すことにより、視聴毎料金番組またはサービスに関する付加的な情報を得られる。図22における視聴毎料金メニュースクリーン表示は、ビデオ表示部分220を含み、これは、ユーザーが視聴毎料金予定情報を見ている間、現在または将来の番組及びサービスの短い宣伝用のクリップをユーザーに見せることができる。図22の表示は、広告用クリップがスクリーンの最左の四分区画に表示されるようにビット マップ(bit mapp)をなしている。クリップがビデオ表示部分120に無作為に表示されるか、代わりに、クリップが番組のリストへの特に選択された入力に対応して表示され、リストを通じてユーザーが操作したことに従って、自動的に切り替えられる。(公報31頁12行-明細書32頁1行)

(甲4の1-2)
The third horizontal bar 63 in the MENU mode shown in Fig. 6 is the Messages or Customer Service listing. As shownin Fig. 16, the first envelope icon 160 represents message information available from the cable operator. When the user selects the message icon, he is presented with a screen display of currently available messages, as shown in Fig. 27. The display shown in Fig. 27 includes cable system messages 270 and billing information 271. If the user selects the cable system messages option 270, she is presented with a message pertaining to the local cable operator, such as that shown in Fig. 28. If the user selects the billing status option 271 shown in Fig. 27, she is presented with a display of current billing information, such as that shown in Fig. 29. This information may include a history of purchases charged to the user, current balance information, pending orders, and, an indication of available credit, which can be an authorized debit limit previously arranged with the cable or other operator. Thus, a user could specify only a certain pre-set spending limit. Once the amount of charges from pay-per-view events reaches the limit, the microcontroller would not permit further ordering of events. An alternative messages menu is shown in Fig. 28A.
The next icon 161 in the Customer service information bar 63 of Fig. 16 identifies a Viewer Preference mode, which allows the user to create or revise a number of program schedule system operating parameters. Once selected, this display presents the user with several preference options concerning certain operating parameters of the program schedule system, as well as the viewing of certain channels and/or certain content-specific programming, for example, those shown in Fig. 7.
The first option shown in Fig. 7 is the Parental option 70, which can also be expressed as a Key Lock Access option. Once this option is initially selected by the user, the system displays a Key Lock Access submenu such as that shown in Fig. 30.
The Key Lock Access menu shown in Fig. 30 allows the user to control access to individual channels and programs or events by requiring the user to enter an access code key, consisting of a user-specified four digit code in the specific embodiment discussed herein, before ordering or viewing these pre-selected channels, programs or events. The menu display shown in Fig. 30 shows a series of subject categories that are entries in the vertical y-axis selectable by the user. A particular subject category is chosen by using the up or down direction arrow keys on the remote controller 40 to highlight the desired entry. Once the user selects a particular subject category, the left and right arrow keys are used to navigate within the chosen category.
The first subject entry shown in Fig. 30 is the Parental Guidance category 301. Once the user selects this category by manipulating the cursor to highlight the entry, the cursor can be then moved horizontally to an active window 302 which displays and selects one the five letter rating items in the category. The letter items represent ratings of program content as follows: V for violence, N for nudity, L for language, AS for adult situations and PD for parental discretion. Once the user selects a particular item, such as L, by moving to the active window 302 using the right direction arrow key, depressing the ENTER key will indicate to the microcontroller 16 that a key lock access has been selected for programs rated with a L rating for violent or explicit language. The system indicates activation of a key lock access by displaying a key icon directly below the L category display. Once a key lock access is set, it can be deactivated by selecting the category letter and then depressing the ENTER key. This action causes the key icon to disappear. The user can change the rating category in the active window 302 by using the left or right direction arrow keys on the remote controller 40, images of which are displayed on the screen adjacent the active window as a reminder to the user. In this manner, the user can select other rating categories for setting akey lock access for any of the program content identifiers appearing in the Parental Guidance category.(明細書33頁23行-明細書35頁22行)

(訳:甲4の2-2)
図6に示されるメニューモードにおける第三の水平バー63は、「メッセージ」「利用者サービス」リストである。図16に示されるように、第一の封筒アイコン160は、ケーブルオペレータから入手可能なメッセージ情報を表す。ユーザーが伝言アイコンを選択すると、図27に示されるように、ユーザーには現在入手可能なメッセージのスクリーン表示が呈示される。図27に示される表示には、ケーブルシステム メッセージ270及び広告情報271を含む。ユーザーがケーブルシステム メッセージ オプション270を選択すると、ユーザーには、図28に示されるような、地方ケーブル オペレータに関連したメッセージが呈示される。ユーザーが、図27に示される広告事情オプション271を選択すると、ユーザーには図29に示されるような現在の広告情報が呈示される。この情報は、ユーザーに請求された利用記録、現在の収支情報、係留中の注文、利用可能なクレジットの指示を含み、ここでクレジットは、ケーブルまたは他のオペレータにより借用可能限界が予め定められている。従って、ユーザーは、予め設定された確実な使用限界のみを明示すればよい。視聴毎料金番組の請求額がひとたび限界に達すると、マイクロコントローラは更なる番組注文を許可しない。代替的なメッセージメニューが図28Aに示されている。
図16の「視聴者選択」モードと認識される利用者サービス情報バー63における第二アイコン161は、ユーザーに多数の番組予定ジュールシステム操作パラメータを創作または修正させる。ひとたび選択されると、この表示は、例えば図7に示されるように、確実なチャンネル及び/または確実な番組の具体的内容の表示のみならず、番組予定システムの確実な操作パラメータに関連した幾つかの選択的オプションを提供する。
図7に示された第一のオプションは「親」オプション70であり、これはまた「キー ロック アクセス」オプションも表現する。ひとたびこのオプションがユーザーにより初期選択されると、システムは、図30に示されるような「キー ロック アクセス」サブメニューを表示する。
キー ロック アクセス サブメニューは、ここに検討された詳細な態様におけるユーザー特定四桁コードからなるアクセスコード「キー」を入力したユーザーの要求により、予め選択されたチャンネル及び番組または番組の前に、ユーザーに対して個々のチャンネル及び番組または番組の制御アクセスを許可する。図30に示されるメニュー表示は、ユーザーにより選択的に垂直Y軸に入力される目的カテゴリーの列を示す。特定の目的カテゴリーは、リモートコントローラ40の上または下向き矢印キーの使用により、所望の入力を強調して選択される。ユーザーが特定の目的カテゴリーを選択すると、左右矢印キーが選択されたカテゴリー内の操作に使用される。
図30に示される第一の目的入力は、「親の指導」カテゴリー301である。ユーザーが、カーソルの操作により入力を強調し、このカテゴリーを選択すると、カーソルは水平に能動ウィンドゥ302へ水平移動でき、このウィンドゥ302は第五の五文字格付け項目の一つを表示及び選択する。番組内容の文字項目表示格付けは以下の通りである。「V」は暴力(violence)、「N」は裸体(nudity)、「L」は語学(language)、「AS」は成人番組(adult situation)、「PD」は親の裁量(parental discretion)である。ユーザーが、右方向矢印キーの使用、エンターキーを押すことにより、特定の項目、例えば「L」を選択すると、マイクロコントローラ16に、暴力か明らかな語学(language)を示す「L」で表される番組のためにキーロック アクセスが選択されたことが指示される。システムは、「L」カテゴリー表示の直下にキー アイコンを表示させることにより、キーロック アクセスの起動を示す。キーロック アクセスが設定されると、これは、カテゴリー文字を選択し、次いでエンターキーを押すことにより、起動終了する。この動作は、キー アイコンを消去させる。ユーザーは、リモートコントローラ40上で左右方向矢印キーの使用により能動ウィンドゥ302における格付けカテゴリーを変更でき、そのイメージは、能動ウィンドゥに隣接するスクリーン上に、ユーザーに対するリマインダーとして表示される。この方式では、ユーザーは、親の指導カテゴリー内に表れるいずれの番組内容確認のためにキーロック アクセスを設定して他の格付けカテゴリーを選択できる。(公報33頁下から3行-公報35頁22行)

(甲4の1-3)
The schedule information database record for each program contains a field that corresponds to the program content identifiers in the Parental Guidance category. During operation, the microcontroller checks this field in response to a user command to tune to or order a program, or to display its corresponding schedule information before carrying out the tuning, ordering or displaying function. If the parental guide identifier in the program schedule information database record matches any one of the activated parental guidance identifiers shown in Fig.30, the user will be prompted to enter the four digit key lock access code before the system takes any further action. If the entered code matches the key lock access code previously entered and stored by the user as described above, the system will carry out the user request to tune to the program, to order it, or to display its corresponding schedule information. If the code is not recognized by the system, no further action will be taken and the user's request will be denied.(明細書36頁3行-明細書36頁19行)

(訳:甲4の2-3)
各番組内容のための予定情報データベースは、親の指導カテゴリー内の番組内容確認に対応するファイルを持つ。操作の間、マイクロコントローラは、このファイルをユーザーの指令に応じて検閲し、注文または表示機能により、番組を同調または注文させ、或いは同調が実行される前に、それに対応する予定情報を表示させる。番組予定情報データベース記録内の親の指導識別が、図30に示される起動した親の指導識別のいずれか一つに合致すると、システムが何らかの更なる動作をなす前に、ユーザーは直ちに四桁のキーロック アクセス コードを入力する。入力されたコードが、ユーザーにより上記のように予め入力されて記憶されたキーロック アクセス コードに合致すると、システムは、ユーザーの要求により、番組の同調、番組の注文、または番組に対応する予定情報の表示を実行する。コードがシステムに承認されないと、更なる動作はなされず、ユーザーの要求は拒否される。(公報36頁9行-公報36頁20行)

(甲4の1-4)
By manipulating the cursor using the direction arrow keys to highlight the second entry, MPAA ratings, 308 the user can also set a key lock access for programs based on their MPAA rating code, as also shown in Fig. 30.
As with the Parental Guidance category, once the MPAA rating category has been selected, the user can move horizontally within the category to the active window 306 to select one the five rating codes, i.e., G for general audiences, PG for parental guidance, PG-13 for suggested parental guidance, no one under 13 admitted without an adult, R for restricted and X for x-rated. As with the Parental Guidance category, by selecting a particular rating --by using the left or right direction arrow keys until the particular rating code appears in the active window--and then depressing the ENTER key, the user sets a key lock access for the rating, in which case a key icon appears below the rating code. And, as with the Parental Guidance category, once a key lock access is set, the system will prompt the user to enter the four digit key lock access code anytime a request is made to tune to, order or display schedule information for a particular program having a rating code which matches a rating code for which key lock access has been activated.(明細書36頁21行-明細書37頁5行)

(訳:甲4の2-4)
カーソルの操作により、方向矢印キーを使用して第二の入力「MPAA 評価」308を強調すると、ユーザーは、図30にも示されるように、これら「MPAA 評価」に基づく番組のためのキーロック アクセスをも設定できる。
親の指導カテゴリーと共に、MPAA 評価カテゴリーが選択されると、ユーザーはカテゴリー内で能動ウィンドゥ306を水平移動させて、五つの評価コード、即ち、「G」は一般視聴者(general audience)向け、「PG」は親の指導(parental guidance)向け、「PG-13」は、親の指導に、13歳未満の者は保護者同伴でなければ見てはいけないことを示唆するもの、「R」は禁止、「X」はX-評価の一つを選択できる。親の指導カテゴリーでは、特定の評価の選択、能動ウィンドゥに特定の評価コードが表れるまでの左右方向矢印キーの使用、次いでエンター キーを押すことにより、ユーザーは、評価のためのキーロック アクセスを設定でき、この場合、キー アイコンは評価コードの下に表れる。親の指導カテゴリーと共に、キー ロック アクセスが設定されると、システムは、ユーザーに、要求がなされたときは、いつでも四桁キーロックアクセスを入力するように促し、ここでユーザーの要求は、同調、注文または、既に起動したキーロックアクセスの評価コードに合致する評価コードを有する特定の番組のための予定インフォーメーションの表示である。(公報36頁21行-公報37頁9行)

(甲4の1-5)
The Key Lock Access mode also includes a subject category 303 for controlling access to channels, which may be entitled, for example, Channel Block or Channel Lock. As with the Parental Guidance 301 and MPAA 308 categories, the use rnavigates to the Channel Block category 303 by manipulating the cursor using the direction arrow keys on the remote controller and depressing the ENTER key. Once the Channel Block category 303 has been entered, the user can move horizontally to an active window 307, which in Fig. 30 indicates channel 2. Once the user highlights this window by manipulating the cursor using the direction arrow keys on the remote controller 40, a key lock access can be set for the channel appearing in the active window. This is done, as with the other subject categories in the Key Lock Access mode, by depressing the ENTER key, which again causes a key icon to appear below the channel number in the active window. The user can move to the prior channel or to the next channel in sequence by depressing either the left or right direction arrow key on the remote controller 40. In this manner, the user can activate a key lock access for any available channel.(明細書37頁6行-明細書37頁24行)

(訳:甲4の2-5)
キーロックアクセスモードは、チャンネルの制御アクセスのための目的カテゴリー303を含み、これは例えば、「チャンネル ブロック」または「チャンネル ロック」と題することができる。
親の指導カテゴリーと共に、MPAA 評価カテゴリーが選択されると、ユーザーはチャンネル ブロック カテゴリー303を操作し、この操作は、リモートコントローラ上の方向矢印キーの使用及びエンターキーを押すことのカーソルの操作による。
チャンネル ブロック カテゴリー303が入力されると、ユーザーは、図30にチャンネル2で示されるように、能動ウィンドゥ307を水平方向に移動できる。ユーザーが、リモートコントローラ40上の方向矢印キーを使用したカーソルの操作により、このウィンドゥを強調すると、キー ロック アクセスが、能動ウィンドゥにチャンネルを表示させるように設定される。これが、キー ロック アクセス モードにおける他の目的カテゴリーと共になされると、エンターキーを押すことにより、能動ウィンドゥにおけるチャンネル番号の下にキーアイコンが再び表示される。ユーザーは、リモートコントローラ40上の左または右方向矢印キーのいずれかを押すことにより、一続きの前のチャンネルか次ぎのチャンネルへ移動できる。この方式では、ユーザーは、任意の利用可能なチャンネルのためにキーロックアクセスを稼働させることができる。(公報37頁10行-公報37頁27行)

(甲4の1-6)
As with the Parental Guidance 301 and MPAA 308 categories, once a key lock access is set for a particular channel, the system will prompt the user to input the key lock access code prior to carrying out an instruction to tune to or order that channel. If the input key lock access code matches the previously stored access code, the user's instruction is carried out. Otherwise, the user's instruction is ignored. Thus, the user can control access to the audio and video program content of any available channel. In this instance, the microcontroller 16 will not allow audio or video program signals to pass to the VDG, but it will allow schedule information to appear for the channel.(明細書37頁25-明細書37頁35行)

(訳:甲4の2-6)
親ガイダンスカテゴリー301及びMPAA308カテゴリーと共に、特定のチャンネルのためにキーロックアクセスが設定されると、システムはユーザーに対し、そのチャンネルの同調または注文の指令を既に実行したキーロックアクセスコードの入力を促す。入力キーロックアクセスコードが、予め記憶されたアクセスコードに合致すると、ユーザーの指令が実行される。別な場合には、ユーザーの指令は無視される。従って、ユーザーは、何らかの利用可能なチャンネルのオーディオ及びビデオ番組内容に制御アクセスできる。この例では、マイクロコントローラ16は、オーディオ及びビデオ番組信号がVDGを通ることを許さないが、スケージュール インフォーメーションがチャンネルに表示されることは許す。(公報37頁最下行-公報38頁9行)

(甲4の1-7)
An alternative method for effecting lockout of programs is accomplished using a Lockout screen, as shown in Fig. 39. In addition to limiting access to programs based on the Parental Guidance, MPAA and channel criteria, as discussed above, access may be limited on the basis of program title. Fig. 39 shows an alternative Lockout screen 250 that can be used to permit or limit access to programs based on program title, in addition to the aforementioned criteria. Other parameters also may be included, such as time of day, day of week, credit limit, and content category (e.g., talk shows).
To enter the Lockout screen 250 shown in Fig. 39, the user must enter a multi-digit lockout code using the numeric digit keys 42 and the enter key 44 on the remote controller 40. The lockout code is set initially when the system is first used or installed. To set a lockout code in the first instance, the user accesses a Setup screen 260, such as that shown in Fig. 40. The Setup screen 260 will automatically appear the first time the electronic program guide is installed and initialized. For access during normal operation of the electronic program guide, a suitable access path to the Setup screen 260 may be provided, such as from an appropriate icon in the MAIN MENU 215.(明細書38頁1行-明細書38頁21行)

(訳:甲4の2-7)
番組の効果的なロックアウトの代替的な方法は、図39に示されるように、「ロックアウト」スクリーンの使用により達成される。上述したように親ガイダンス、MPAA及びチャンネル基準に基づく番組に対するアクセス制限に加えて、アクセスは、番組タイトルに基づいて制限され得る。図39は代替的なロックアウトスクリーン250を示し、これは、上述した基準に加えて、番組タイトルに基づいて番組へのアクセスを許可または制限するのに使用できる。一日の時刻、週の曜日、クレジット限界、及び内容カテゴリー(例、トーク番組)のような他のパラメータも含ませることができる。
図39に示されるように、ロックアウトスクリーン250を入力するには、ユーザーは、リモートコントローラ40上で数字桁キー42及びエンターキー44を使用して複数桁ロックアウトコードを入力せねばならない。システムが最初に使用されるか、または据え付けられた際、ロックアウトコードは初期設定される。最初の例でロックアウトコードを設定するには、ユーザーが、図40に示されるようなセットアップスクリーン260にアクセスする。セットアップスクリーン260は電子的番組ガイドが据え付けられて初期化された最初のときには、自動的に表れる。電子的番組ガイドの通常の操作期間中にアクセスするために、セットアップスクリーン260への適切なアクセス経路も備えることができ、これはメインメニュー215における適切なアイコンからのような経路である。(公報38頁10行-公報38頁27行)

(甲4の1-8)
In the Setup screen 260 of Fig. 40, the user can navigate to the Lockout Code category 265 and set a new lockout code using the appropriate navigation and selection keys on the remote controller 40. A suitable menu for inputting the lockout code is shown in Fig. 40A. Once enabled, the lockout code must be used to set or modify locks, to view a previously locked program, or to clear or change the lockout code. The memory location of the stored lockout code also should be remotely accessible, such as by the local cable company, in case the user forgets the lockout code and it must be erased.
Once the lockout code is entered and the Lockout screen 250 of Fig. 39 is displayed, navigation within the screen is controlled by the direction keys 43A and 43B on the remote controller 40. Using the up and down direction keys 43A to move the selection cursor, either the Movie Rating 251, Parental Guidance 252, Channel 253, Locked Program 254 or Lockout Code 255 category can be selected. The left and right direction keys 43B are then used to navigate inside the selected category.
Clearing a previously set lockout code is accomplished by moving the selection cursor to the Clear entry 256 in the Lockout Code category 255 and depressing the enter key 44 on the remote controller 40. This causes the microcontroller to clear the lockout code stored in memory, as well as all locks previously set by the user. To change the current lockout code, the user navigates to the Change entry 257 in the Lockout Code category 255 and depresses the enter key 44 on the remote controller 40. The user is then prompted to enter a new lockout code, which is subsequently stored in memory by the microcontroller.(明細書38頁22行-明細書39頁14行)

(訳:甲4の2-8)
図40のセットアップスクリーン260において、ユーザーはロックアウトコードカテゴリー265を操作し、新たなロックアウトコードを設定でき、これは、リモートコントローラ40上のキーの適切な操作及び選択によりなされる。ロックアウトコード入力に好適なメニューが図40Aに示されている。ひとたびロックアウトコードが与えられると、予めロックされた番組を見る際、或いは、ロックアウトコードの消去または変更など、ロックの設定または変更には、ロックアウトコードを使用せねばならない。ユーザーがロックアウトコードを忘れてしまい、それを消去せねばならない場合、ロックアウトコードが記憶されたメモリー位置には、例えば地方ケーブル会社によりアクセス可能である。
ロックアウトコードが入力され、図39のロックアウト スクリーン250が表示されると、スクリーン内の操作は、リモートコントローラ40上の方向キー43A及び43Bにより制御される。上向き及び下向きキー43Aを選択カーソルへ移動させると、映画評価251、親の指導252、チャンネル253、ロック番組254またはロックアウトコード255カテゴリーのいずれも選択できる。次いで左向き及び右向きキー43Bが選択されたカテゴリー内の操作に使用される。
予め設定されたロックアウトコードの消去は、ロックアウトコードカテゴリー255内の消去入力256への選択カーソルの移動及びリモートコントローラ40上のエンターキー44を押すことによりなされる。これにより、マイクロコントローラは、ユーザーにより予め設定された全てのロックと同様に、メモリーに記憶されたロックアウトコードを消去する。現在のロックアウトコードを変更するには、ユーザは、ロックアウトコードカテゴリー255における変更入力257を操作し、リモートコントローラ40上のエンターキー44を押す。次いでユーザーは新たなロックアウトコードを入力させ、これはマイクロコントローラにより連続的にメモリーに記憶される。(公報38頁最下行-公報39頁24行)

(甲4の1-9)
To set a lock in either the Movie Rating 251 or Parental Guidance 252 category, the user navigates to the selected entry in Fig. 39 by manipulating the selection cursor using the direction keys 43A and 43B on the remote controller 40, and then depresses a lockout key on the remote controller, such as the padlock key 45A shown in Fig. 4. The microcontroller will appropriately modify the display to indicate that a lock has been set, for example, by changing the color of the text or the background in the selected entry window, or by displaying an appropriate icon next to the text in the selected entry window. In Fig. 39, a padlock icon 258 appears in the window of the PG entry in the Movie Rating category 251. Toggling the lockout key while the selection cursor is positioned on a selected entry will alternately enable and disable the lockout function for that entry.
Similarly, to set a lock for a particular channel, the user selects the channel using the selection cursor and then depresses the lockout key. In Fig. 39, the channel 4 KCNC entry in the Channel category 253 has been locked, which is indicated by the inverse video and padlock icon appearing in the window.
Program locks also may be set by title, which can be effected in several ways. For example, when the above-described FLIP or BROWSE mode of the electronic program guide is enabled, thereby causing the title of a program to be displayed along with other program schedule information in a window superimposed on the actual program signal then being received, the user can limit access to the program corresponding to the displayed program information by depressing the lockout key 45A on the remote controller 40. The user also may limit access to the currently tuned program by depressing the lockout key 45A on the remote controller 40 while viewing the program, regardless whether the FLIP or BROWSE modes are enabled. In this instance, the microcontroller first removes the program signal from the display and then accesses the schedule information database record for the program then appearing and sets an appropriate flag to indicate the program has been locked. Also, when viewing program schedule information in the grid or category listings, as discussed above and shown, for example, in Figs. 18-20, the user also can tag a program for lockout by highlighting it with the selection cursor and then depressing the lockout key 45A on the remote controller 40.(明細書39頁15行-明細書40頁21行)

(訳:甲4の2-9)
映画評価251、親の指導252カテゴリーのいずれにおいても、ロックを設定するには、ユーザーは、リモートコントローラ40上の方向キー43A及び43Bを用いた選択カーソルの操作により、図39における選択された入力を操作し、次いで、図4に示されるパッドロック キー45Aのようなリモートコントローラのロックアウトキーを押す。マイクロコントローラは、表示の適切な変化、例えば、選択された入力ウィンドゥのテキストまたは背景の色の変化により、ロックが既に設定されたことを示す。図39において、パッドロック アイコン258が、映画評価カテゴリー251内の「PG」入力のウィンドゥに表れている。選択カーソルが選択された入力に位置している間、ロックアウト キーを留めると、ロックアウト キーを入力するために、ロックアウト キー 機能が交互に能動化、非能動化される。
同様に、特定のチャンネルのロックを設定するためには、ユーザーは、選択カーソルを用いてチャンネルを選択し、次いでロックアウト キーを押す。図39において、チャンネルカテゴリー253におけるチャンネル「4 KCNC」がロックされ、これはウィンドゥに表れる反転及びパッドロック アイコンにより示されている。
番組 ロックもまたタイトルにより設定でき、これは幾つかの方法により成し遂げられる。例えば、電子番組ガイドの上述のフリップまたはブロウズ モードが許可されているとき、これに起因して、その時に受信されている実際の番組信号に重ねられた(スーパーインポーズされた)ウィンドゥにおける他の番組 予定 インフォーメーションと一緒に番組のタイトルが表示され、ユーザーは、リモートコントローラ40上のロックアウトキー45Aを押すことにより、表示された番組に対応する番組への制限アクセスできる。ユーザーは番組を観ている間、フリップまたはブロウズ モードのいずれが許可されているかに拘らず、リモートコントローラ40上のロックアウトキー45Aを押すことにより、現在同調されている番組へも制限アクセスできる。この例では、マイクロコントローラが先ず表示から番組信号を隔て、次いで番組用の予定情報データーベース記録へアクセスし、次に、適切なフラグを現して設定することにより、番組がロックされたことが示される。また、例えば図18から図20に示して上記に討議したように、グリッド(grid)またはカテゴリーリストにおける番組予定情報を観る際、ユーザーは、選択カーソルを用い、リモートコントローラ40上のロックアウト キー45Aを押して強調することにより、ロックアウトのための番組を添えることができる。(公報39頁25行-公報41頁1行)

(甲4の1-10)
In each of these instances, the microcontroller then stores the program title in a lockout title list stored in memory along with any other titles that previously have been locked out by the user. Individual items in the lockout title list are displayed in alphabetical order in the Locked Program window 259 shown in Fig. 39, and the user may scroll through the list by positioning the selection cursor on the Locked Program window 259 using the up and down direction keys 43A on the remote controller in Fig. 40 and then using the left and right direction keys 43B to scroll through the list one item at a time. In order to save memory space, alternatively, the microcontroller may be programmed to set a flag or otherwise mark the particular database record containing the program schedule infornation for the program that is to be locked out, and to thereafter access the database to retrieve the title information when it is to be displayed, such as when the viewer is reviewing the lockout title list in the Locked Program window 259.
Once an individual title has been locked out, the microcontroller can be programmed optionally to display an appropriate lockout icon, such as a padlock, whenever program schedule information for the locked program is to be displayed, such as in the window overlay of the FLIP or BROWSE mode, or in the various grid and category displays available in the MAIN MENU displays. The system also may display an appropriate text message if someone tries to access the program signal of a previously-locked program. Of course, once a program is locked, in all instances the microcontroller prevents access to the actual program signal (including both the audio and video portions of the program signal) until an appropriate code is entered or the lockout is removed.(明細書40頁22行-明細書41頁16行)

(訳:甲4の2-10)
これらの各例では、次いでマイクロコントローラが、番組タイトルを、メモリーに記憶されたロックアウト タイトル リストへ、ユーザーにより予めロックアウトされた何らかの他のタイトルと一緒に記憶させる。ロックアウト タイトル リストの個々の項目は、図39に示された「ロック プログラム」ウィンドウ259にアルファベット順に表示され、ユーザーは、図40におけるリモートコントローラ上の上下方向キー43Aを用いてロック プログラム ウィンドゥ259に選択カーソルを位置決めすることにより、リストを初めから終りまでスクロールでき、次いで左右方向キー43Bを用いて、リストを初めから終りまで一時に一項目をスクロールできる。メモリースペースを節約する目的で、代替的に、マイクロコントローラは次のように番組できる。即ち、マイクロコントローラは、フラグを設定するか、或いはその逆に、ロック アウトされるべき番組のための番組予定情報を保持する特定のデータベース記録をマークし、その後、視聴者がロック プロフラム ウィンドゥ259のロックアウト タイトル リストを見直す際のように、タイトル情報を表示すべきときに、データベースをアクセスし、タイトル情報を検索する。
個々のタイトルがロックアウトされると、マイクロコントローラは、ロックプログラムのための番組予定情報を表示すべきときはいつでも、パッドロックのような適切なロック アウト アイコンを表示するように付加的にプログラムすることができ、ここでロック アウト アイコンが表示されるのは、フリップまたはブロウズ モードのウィンドゥ オーバーレイ内、或いは、メインメニュー表示に表れる様々なグリッド及びカテゴリー表示内などである。システムは、予めロックされた番組のプログラム信号に、仮に何者がアクセスを試みると、適切なテキスト情報を表示することもできる。勿論、ひとたびプログラムがロックされると、全ての場合にマイクロコントローラは、適切なコードが入力されるか、或いはロック アウトが外されるまで、実際のプログラム信号(プログラム信号のオーディオ及びビデオ部分の双方を含む)へのアクセスを防ぐ。(公報41頁2行-公報41頁27行)

(甲4の1-11)
Several methods can be used to block programs at their time of airing. For example, in the case of the Movie Rating, Parental Guidance and Channel categories, the schedule information database record for each program is provided with a field that corresponds to the rating, program content identifier or channel appearing, respectively, in the Movie Rating 251, Parental Guidance 256 and Channel 253 category of the Lockout screen 250shown in Fig. 39.(明細書41頁17行-明細書41頁24行)

(訳:甲4の2-11)
プログラムが放映されるときには、そのプログラムをブロックするための幾つかの方法を使用できる。例えば、映画格付け、親の指導、及びチャンネルカテゴリーの場合には、各々のプログラムのための予定情報データベース記録は、図39に示されるロック アウト スクリーン250の映画格付け251、親の指導256及びチャンネル253カテゴリーにおける格付け、プログラム内容識別子またはチャンネル登場の各々に対応したファイルを備える。(公報41頁最下行-公報42頁5行)

(甲4の1-12)
During operation, the microcontroller checks the appropriate field in the database record in response to a user command to tune to or order a program before carrying out the tuning or ordering function. Additionally, the lockout code also may be used to restrict access to program schedule information. In this instance, the microcontroller also would check the appropriate field in the schedule information database record before displaying schedule information for a program.
If the movie rating, parental guidance or channel identifier in the program schedule information database record matches any one of the locked-out entries indicated in the Lockout screen 250, a Lockout Verify screen 300 is displayed in overlaying relationship with the video signal then being displayed on the television receiver, as shown in Fig. 41. The user will be prompted to enter the previously set lockout code before the system takes any further action. As an added security measure, asterisks will be displayed as the user enters the lockout code. If the entered code matches the lockout code previously entered and stored by the user as described above, the system will carry out the user request to tune to or order the program, or to display its corresponding schedule information. If the code is not recognized by the system, no further action will be taken and the user's request will be denied. In this case, the Lockout verify screen 300 will remain displayed on the television receiver waiting for a correct code to be entered. If no action is taken by the user, the Lockout Verify screen 300 will be removed after a predetermined time-out period, such as one or two minutes.(明細書41頁25行-明細書42頁16行)

(訳:甲4の2-12)
操作期間中、マイクロコントローラは、同調または注文機能がなされる前に、プログラムを同調または注文するユーザーの指令に応答して、データベース記録の適切なファイルを検閲する。更に、ロック アウト コードは、プログラム予定 情報へのアクセスを制限するのに使用される。この例においては、マイクロコントローラはまた、プログラムのための予定 情報が表示される前に、予定情報データベース記録における適切なファイルを検閲する。プログラム 予定情報データベース記録における映画格付け、親の指導またはチャンネル識別がロック アウト スクリーン250に示されたロック アウト入力のいずれか一つに合致すると、ロック アウト照合スクリーン300がビデオ信号と重畳された関係で表示され、図41に示されるようにテレビ受信器に表示される。システムが何らかの更なる動作をとる前に、ユーザーは、予め設定されたロックアウトコードを入力するように促される。安全基準を付加するために、星印がユーザー入力ロック アウト コードとして表示される。入力コードが、上述したようにユーザーにより予め入力されて記憶されたロック アウト コードに合致すると、システムは、ユーザーの要求、即ち、プログラムの同調または注文、或いは、対応する予定 情報の表示を実行する。仮にコードがシステムに認められなければ、更なる動作はなされず、ユーザーの要求は無視される。この場合、ロック アウト照合スクリーン300は、正しいコードが入力されるまで、テレビ受信器に表示され続ける。ユーザーにより何の行為もなされなければ、ロック アウト照合スクリーン300は、予め設定された中断期間、例えば一、二分間の後に消去される。(公報42頁6行-公報42頁26行)

(甲4の1-13)
Similarly, in the case of lockout by title, the microcontroller also could check the title field in the schedule information database record and compare it with the list of program titles for which the user previously set a lock. If, as described above, the microcontroller does not maintain a list of the actual titles of programs locked by title, a suitable identifier can be set in a field in the database record to indicate that a program has been locked by title when the user first sets the lock, and, thereafter, the microcontroller could check that field in response to a user request to tune to or order a program, or display schedule information.
An alternative method for effecting lockout involves the use of a portion of the real-time program signal being received by the television receiver. With this method, codes corresponding to a program's rating, parental guidance category, title or channel are inserted into and transmitted along with the program signal, such as in the vertical or horizontal blanking intervals, or on raster scan lines that are not visible on the television receiver. When the program signal is received, these codes are stripped from the program signal and stored in memory. Methods and apparatus for the insertion transmission and reception of digital codes carried on a program signal are known in thin art.
After the transmitted codes have been separated from the program signal and stored in memory, the microcontroller can compare them with the lockout criteria set by the user in the Lockout screen and take appropriate action, as described above.(明細書42頁16行-明細書43頁7行)

(訳:甲4の2-13)
同様に、タイトルによるロックアウトの場合、マイクロコントローラはまた、予定情報データベース記録におけるタイトル ファイルを検閲し、それをユーザーが予めロックを設定するためのプログラム タイトルのリストと比較する。仮に、上述したように、マイクロコントローラが、タイトルによりロックされた実際のプログラムのタイトルのリストを保持していなければ、データベース記録内のファイルに適切な識別子が設定され、ユーザーが最初にロックを設定した際に、プログラムがタイトルによりロックされることを示し、その後、マイクロコントローラは、プログラムを同調または注文、或いは予定情報を表示させるユーザーの要求に応じて、上記ファイルを検閲する。効果的なロックアウトのための代替的な方法は、テレビ受信器により受信されたリアルタイム プログラム信号の一部分の使用に関係する。この方法では、プログラムの格付け、親の指導カテゴリー、タイトルまたはチャンネルに対応するコードが、プログラム信号と一緒に挿入されて伝送され、この挿入は、垂直または水平帰線消去期間(ブランクインターバル)、或いはラスター捜査線のように、テレビ受信器上では不可視なものになされる。プログラム信号が受信されると、これらのコードはプログラム信号から取り去られ、メモリーに記憶される。プログラム信号で転送されるディジタルコードの挿入伝送及び受信のための方法及び装置は公知である。
伝送コードがプログラム信号から分離されてメモリーに記憶された後は、マイクロコントローラは、これをロックアウト基準と比較でき、ここでロックアウト基準は、上述したように、ユーザーによってロックアウトスクリーン上で適切な動作により設定されたものである。(公報42頁27行-公報43頁19行)

(甲4の1-14)
The Setup screen 260 shown in Fig. 40 also contains a Purchase Code category 270, which allows the user to set a numeric purchase code that must be entered before any premium channels or pay-per-view programs can be ordered. The Setup screen 260 shown in Fig. 40 includes entries for setting a new purchase code and for clearing or changing a previously set password. Appropriate menus far setting, confirming, clearing or changing the purchase code are shown in Figs. 40B through 40E. Once a user sets a purchase code, the microcontroller thereafter will display a Purchase Code Verify screen in response to a user request to tune to or order a premium services channel or pay-per-view program. The Purchase Code Verify screen works in a manner similar to the Lockout Verify screen 300 in that the user is prompted to enter the previously set purchase code password before the microcontroller will tune to or order the requested program. If the correct purchase code is not entered, the microcontroller will take no further action and the Purchase Code Verify screen will remain displayed waiting for input of the correct code. If no action is taken within a predetermined time-out period, the Purchase Code Verify screen will be removed.(明細書43頁8行-明細書43頁27行)

(訳:甲4の2-14)
図40に示されるセットアップスクリーン260は、代金コードカテゴリー270をも含み、何らかの割増料金チャンネルまたは視聴毎料金プログラムが注文可能になる前に入力すべき数字代金コードをユーザーに設定させる。図40に示されるセットアップスクリーン260は、新たな代金コード設定と、予め設定された暗証の消去または変更とのための入力を含む。代金コードの設定、確認、消去または変更のための適切なメニューが図40Bから図40Eに示されている。ユーザーが代金コードをひとたび設定すると、マイクロコントローラはその後、割増料金サービスチャンネルまたは視聴毎料金プログラムを同調または注文するためのユーザの要求に応答して代金コード照合スクリーンを表示する。
代金コード照合スクリーンは、ロックアウト照合スクリーンと同様な方式で働く。即ち、マイクロコントローラが要求されたプログラムを同調または注文する前に、ユーザーに、予め設定された代金コード パスワードを入力するように促す。正しい代金コードが入力されないと、マイクロコントローラは、更なる動作をなさず、代金コード照合スクリーンは、正しいコードが入力されるまで、テレビ受信器に表示され続ける。予め設定された中断期間に何の行為もなされなければ、代金コード照合スクリーンは消去される。(公報43頁20行-公報44頁7行)

5.甲第5号証について
甲第5号証は、本件特許明細書である。

6.甲第6号証ないし8号証について
甲第6号証ないし甲第8号証は、請求人が平成23年1月13日付け口頭審理陳述要領書にて添付したもので、甲第2号証に記載されているに等しい事項として、本件特許出願前に知られていた技術常識として「選択可能な項目(曜日、時刻など)を載せた録画予約メニューを表示し、この録画予約メニューから選択された項目に関する処理を行うこと」が記載されている。

7.甲第9号証について
特許庁の審査基準「刊行物に「記載されているに等しい事項」」とは何かについて解説した文献である。

【第6】当審の判断
A)本件発明1の無効理由についての判断
請求人は、本件発明1について、上記【第4】1.(1)の無効理由を主張しているので、この点について検討する。

1.本件発明1と甲第1発明について
(1)甲第1発明
上記甲1-1?甲1-3の記載及び図1?図3の内容を総合すると、甲第1号証には、「VCRの予約録画方法(発明の名称)」として、次の発明(以下、「甲第1発明」という。)が記載されていると認められる。

a)録画の禁止
甲1-3の【0021】の記載によれば、甲第1発明は「指定された放送番組の録画が禁止される」録画予約方法である。

b)録画予約するステップ
甲1-3の【0019】の記載によれば、甲第1発明は「録画予約のフローチャート」にあるとおり、録画予約するためのステップを有している。

c)任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するステップ
甲1-3の【0018】の記載によれば、甲第1発明は「予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力されるステップ、任意のキー信号が入力されるステップ」を有している。

d)録画予約のフローチャート
甲1-3の【0019】ないし【0021】の記載によれば、甲第1発明の方法は、録画予約の際、「番組コードが入力されると・・・入力された番組コードが登録されているか否かが判断され・・・・登録されていないときは・・・通常のデコード動作が行われて終了され・・・登録されているときは、・・・キー信号の入力が要求され・・・入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され・・・一致のときは、・・・通常のデコード動作が行われて終了され・・・不一致のときは、そのまま終了される。・・・これによって年少者等が通常の方法でその番組コードの入力を行っても、この番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される。」ものである。

以上のことから、甲第1発明は、以下の(d-1)ないし(d-3)のステップを有しているといえる。
(d-1)番組コードが登録されているか否かの判断
録画予約の際、入力された番組コードが登録されているか否かを判断するステップ。

(d-2)(d-1の判断の結果)番組コードが登録されていないとき
「登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了」するステップ。

(d-3)(d-1の判断の結果)番組コードが登録されているとき
「キー信号の入力が要求され」るステップと、
「(上記要求により)入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、一致のときは通常のデコード動作が行われて終了され、不一致のときは、そのまま終了され、番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される」ステップ。

e)まとめ
以上、まとめると、甲第1発明は以下のとおりの発明ということができる。

(甲第1発明)
指定された放送番組の録画が禁止される録画予約方法であって、
録画予約するためのステップと、
予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力されるステップ、任意のキー信号が入力されるステップと、
録画予約の際、入力された番組コードが登録されているか否かを判断するステップと
上記判断の結果、番組コードが登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了するステップ
上記判断の結果、番組コードが登録されているときは、キー信号の入力が要求されるステップと
(上記要求により)入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、一致のときは通常のデコード動作が行われて終了され、不一致のときは、そのまま終了され、番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止されるステップ
を有する方法。

(2)対比(本件発明1と甲第1発明)
本件発明1と甲第1発明とを対比する。

a)番組に対するアクセス制御を行う方法
甲第1発明は「指定された放送番組の録画が禁止される録画予約方法」であり、本件発明1の「アクセス制御」は録画の禁止の概念も含むものであるから、「番組に対するアクセス制御を行う方法」である点で、本件発明1と相違がない。

b)番組を録画予約する段階
甲第1発明は、「録画予約するためのステップ」を有しているから、「番組を録画予約する段階」を有しているといえる。

c)番組をブロックする基準を入力する段階
甲第1発明は「予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力されるステップ、任意のキー信号が入力されるステップ」を有している。
上記構成は、いいかえると、「任意の番組コードを入力するステップと任意のキーコードを入力するステップとにより、任意の番組コードと任意のキー信号とを予め入力することにより、任意の番組コードと任意のキー信号とを登録する」ということができる。すなわち、予め任意の番組コードと任意のキー信号とを入力することにより登録するものである。
上記登録がなされると、当該登録された番組コードと一致する番組コードの番組について、録画予約が禁止され、当該番組コードと一致しない番組コードの番組は録画予約が可能な構成であり(甲1-3、【0019】、【0020】)、上記「録画が禁止」または「録画が可能」とすることは、番組に対するアクセスの制御であって、そのうちの「録画禁止」は番組に対するブロックということができる。
すなわち、当該「録画禁止」という番組に対するブロックは、(予め任意の番組コードと任意のキー信号とを入力することにより)登録された番組コードと、録画予約する際に録画予約しようとして入力した番組コードとが一致することによってなされるのであるから、(条件である)入力された「番組コード」と「録画予約しようとする番組コード」とが一致(すなわち、「ブロックしようとした番組」と「録画しようとした番組」とが一致)すると番組をブロックするものである。
以上のことから、甲第1発明は、番組をブロックするための条件(である任意の番組コード)を入力するステップ(段階)を有しているということができる。
これに対して、本件発明1は「番組をブロックする基準を入力する段階」を有し、本件発明の「番組をブロックする基準」とは、番組がある条件を満たすと番組をブロックするという点で甲第1発明の「番組をブロックするための条件」と共通するものであるが、上記「条件」が「基準」である。

本件発明1の「基準」と甲第1発明の「条件」について検討する。
本件発明1の発明の詳細な説明によれば、ブロックの基準は「チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別」であり、これ以外に記載はない。「チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別」という基準は、番組が有する属性というべきものであって番組そのもののことではない。
そして、本件発明では、上記番組が有する属性の一つがある基準を満たす(基準と一致する)と、上記基準を満たす属性を有する番組は全てロックがなされるというものであって、番組を(個別に)直接指定(選択)して、指定(選択)した番組をロックする技術思想は開示されていない。
これに対して、甲第1発明は番組をブロックするための条件として、番組そのものを示す「番組コード」を採用するものであって、番組を個別に指定(選択)し、番組をロックするものである。
すなわち、甲第1発明は、番組をブロックする条件が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することにより番組をブロックするのに対し、本件発明1は、番組をブロックする条件が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」であり、上記属性が所定の条件を満たす番組があれば、満たす番組全てをブロックする点で相違している。
以上まとめると、本件発明1と甲第1発明は、「番組をブロックする条件を入力する段階」を有している点で一致し、甲第1発明は、「番組をブロックする条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「番組をブロックする条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違しているということができる。

d)録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階
甲第1発明は、「録画予約の際、入力された番組コードが登録されているか否かを判断するステップ」を有している。上記c)で検討したとおり、甲第1発明の「登録するステップ」が、本件発明1の「基準を入力する段階」に「条件を入力する段階」である点で対応するから、甲第1発明の「登録されているか否かを判断するステップ」は、本件発明1の「番組がブロック条件を満たすか判断する段階」と、一応いうことができる。
しかし、甲第1発明の上記「録画予約の際」とは、録画予約を行おうとして、番組コードを入力した段階であり、いま、録画予約をしようとしている段階のことであって、録画予約は終了していない。
これに対して、本件発明1の「録画予約した番組」とは、(既に)録画予約の設定を完了した番組を指すことは、上記【第2】2.(1)にて検討したとおりである。
したがって、甲第1発明は「録画予約した番組がブロック条件を満たすか判断する段階」を有していない点で相違する。
また、上記c)で検討したとおり、甲第1発明は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違している。

e)前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階
甲第1発明の「上記判断の結果、番組コードが登録されているときはキー信号の入力が要求されるステップ」の「上記判断(すなわち、入力された番組コードが登録されているか否かを判断)」は、本件発明1の「番組がブロック条件を満たすか判断する段階」に一応相当することは、上記d)のとおりである。
そして、上記判断の結果、甲第1発明は「キー信号の入力が要求される」が、上記要求を行うためには、上記要求のための表示が行われることは明らかであり、上記要求のための表示が行われることによって、利用者は、「(予約しようとしている番組の)番組コードが登録されていることを知ることができる」、すなわち、上記表示により「番組がブロック条件を満たす旨のユーザに対する警告を表示」しているということができる。
したがって、甲第1発明は「前記判断に応じて、番組がブロック条件を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階」を有している点で、本件発明1と一致する。
しかし、上記c)で検討したとおり、甲第1発明は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点、
また、甲第1発明において、「上記判断」は「録画予約の際」に行われるものであるが、上記d)で検討したとおり、甲第1発明の「録画予約の際」は「録画予約は終了していない」状態であり、本件発明1の「録画予約した(番組)」は「(既に)録画予約の設定を完了した」状態である点、
で相違する。

f)ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず
甲第1発明の「上記判断の結果、番組コードが登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了するステップ」の「(番組コードの)登録」は、本件発明1の「番組をブロックする条件を入力」に対応し、『甲第1発明は、「番組をブロックする条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「番組をブロックする条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違している』ことは、上記c)にて検討したとおりである。
また、甲第1発明の「上記判断」が行われる時点である「録画予約の際」とは、「録画予約は終了していない」状態であることは、上記e)にて検討したとおりであるから、「上記判断の結果、番組コードが登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了するステップ」は「録画予約をしようとしたとき、通常の処理が行われて終了する」、すなわち、「録画予約をしようと操作をしたとき、普通に録画予約が終了する」ことであると認めることができる。
してみると、甲第1発明の「上記判断の結果、番組コードが登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了するステップ」は、「録画予約の際、ブロック条件が入力されていないときは、普通に録画の予約が終了する」ととらえることができる。
これに対して、本件発明1の「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の「録画予約した」は、(既に)録画予約の設定を完了した番組であることは、上記e)にて検討したとおりであるから、本件発明1の「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の「ブロック基準を入力する前に録画予約した場合」、「ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」は、それぞれ、「ブロック基準を入力する前に(既に)録画予約の設定を完了している場合」、「ブロック基準を満たす、既に録画予約の設定が完了している番組をブロックせず」のことを表しているといえる。
以上のことからみて、甲第1発明は、「録画予約の際、ブロック条件が入力されていないときは、普通に録画の予約が終了する」ことであるのに対し、本件発明1は「ブロック条件を満たす番組を、ブロック条件を入力する前に(既に)録画予約の設定を完了している場合、ブロック条件を満たす、既に録画予約の設定が完了している番組をブロックせず」のことである。すなわち、甲第1発明は、「録画予約を行おうとしたとき、録画予約を(普通に)終了させる」ことであり、本件発明1は「既に録画予約の設定が完了している番組に対してブロックをしない」ことであるという点で相違するから、甲第1発明は「ブロック条件を満たす番組を、ブロック条件を入力する前に録画予約した場合には、ブロック条件を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有しているということはできない。
以上のことから、甲第1発明は「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有しているということはできない。

g)(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする
甲第1発明の「上記判断の結果、番組コードが登録されているときはキー信号の入力が要求されるステップと
(上記要求により)入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、一致のときは通常のデコード動作が行われて終了され、不一致のときは、そのまま終了され、番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止されるステップ」の「登録」は、本件発明1の「ブロック条件の入力」に対応することは、上記c)にて検討したとおりである。
甲第1発明において、「上記判断の結果、番組コードが登録されている」の「上記判断」は「録画予約の際」に行われる判断であるから、「録画予約の際、録画予約しようとする番組コードが登録されていると判断されるとき」すなわち、「録画予約の際、録画予約しようとする番組についてブロック条件が入力されていると判別されたとき」といえる。
すると、「(録画予約の際の)上記判断の結果、登録されているとき」とは、「録画予約の際、ブロック条件の入力が(既に)されている」、すなわち、「ブロック条件を入力した後に番組予約をする際」ということができる。
そして、甲第1発明において、「登録されている」と判別されると、それ以降の処理である、「入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、一致のときは通常のデコード動作が行われて終了され、不一致のときは、そのまま終了され、番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される」ステップに移行する。
また、本件発明1の「(番組)ブロック」は、録画の禁止の概念も含むものであるから、甲第1発明の「放送番組の録画が禁止される」ことは、本件発明1の「ブロック」ということができる。
以上のことから見て、甲第1発明は、「ブロック条件を入力した後に番組予約をする際、録画予約しようとする番組についてブロック条件が入力されていると判別されたとき、(入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、入力されたキー信号と登録されたキー信号とが不一致のとき)指定された放送番組がブロックされる」ということができる。
そして、甲第1発明の「ブロック条件を入力した後に番組予約をする際」、「録画予約しようとする番組」、「ブロック条件が入力されていると判別されたとき」、「指定された放送番組」は、本件発明1の「ブロック条件を入力した後に番組を録画予約する場合において」、「録画予約すべき番組がブロック条件を満たす場合」、「ブロック条件を満たす録画予約すべき番組」にそれぞれ対応することは明らかである。
よって、甲第1発明は「ブロック条件を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック条件を満たす場合には、ブロック条件を満たす録画予約すべき番組をブロックする」点で、本件発明1と一致する。
もっとも、甲第1発明は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違する。

(3)判断(本件発明1と甲第1発明)
以上a)?g)の対比の結果、甲第1発明と本件発明1とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

(一致点)
番組に対するアクセス制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
番組をブロックする条件を入力する段階と、
番組がブロック条件を満たすか判断する段階と、
前記判断に応じて、番組がブロック条件を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階とを含み、
ブロック条件を満たす番組を、
ブロック条件を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック条件を満たす場合には、ブロック条件を満たす録画予約すべき番組をブロックする、方法。

(相違点)
c)より
甲第1発明は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点。

d)より
甲第1発明は「録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階」を有していない点。

e)より
甲第1発明の「録画予約の際」は「録画予約は終了していない」状態であり、本件発明1の「録画予約した(番組)」は「録画予約の設定が既に終了している」状態である点。

f)より
甲第1発明は、「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有しているといえない点。

そして、甲第1発明として認定した以外の、他の甲第1号証の記載をみても、当該相違点に係る構成を見いだすことはできず、また、実質的に開示されているに等しいとする根拠も見いだすことはできないから、本件発明1は甲第1号証に記載された発明ではない。

(4)小括(本件発明1と甲第1発明)
以上の検討によれば、本件発明1が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

2.本件発明1と甲第2発明について
(1)甲第2発明
上記甲2-1?甲2-5の記載及び図1?図4の内容を総合すると、甲第2号証には、「ビデオテープレコーダ(発明の名称)」として、次の発明(以下、「甲第2発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、甲第2号証に記載されたビデオテープレコーダで行われる制御は、各種制御を行う方法として捉えることができるので、甲第2発明を次のように制御を行う方法として認定した。

a)視聴の禁止
甲2-5の記載によれば、「この装置において、録画禁止時間帯内で動作キー(13)あるいは設定されたタイマー録画によって録画の要求がされると、ステップ[37]のサブルーチンでそれが判断され、スイッチ(2)が切換られて発生源(15)からの映像信号が30秒間テープ(6)に録画された後、装置は停止モードになる。このため後でこのテープを再生した場合にこの映像が表示されることで録画が禁止されていたことが明瞭になされ」とある。
上記「録画が禁止され」ることは、甲2の1の従来の技術の記載から、番組の録画を禁止するものであることは明らかであるから、「番組の録画を禁止する制御」を行っているといえ、「番組の録画を禁止する制御を行う方法」といえる。

b)番組を録画予約する段階
甲2-3の記載によれば「またいわゆるタイマー録画を行う場合には、例えば設定キー(12)の開始キーを押しながらテンキーを操作して録画開始時刻を設定し、続いてチャンネルキーな押しながらテンキーを操作してチャンネルを設定し、最後に終了キーを押しながらテンキーを操作して録画終了時刻を設定する。」とあることから録画の予約行っている。また、甲第2発明は、「番組の録画を禁止する制御を行う方法」に関する発明であるから、「番組を録画予約する段階」を有しているといえる。

c)視聴の禁止時間帯とチャンネルをメモリに記憶
甲2-4には、「メモリ(16)への録画禁止時間帯の設定は、例えば設定キー(12)の登録キーを押しながら任意の暗証番号等をテンキーで操作することにより設定モードとされ、以後タイマー録画の設定と同じ要領で録画禁止時間帯の開始時刻、チャンネル、終了時刻を設定する。」と記載されている。
上記「(録画禁止時間帯の)開始時刻」、「(録画禁止)チャンネル」、「(録画禁止時間帯の)終了時刻」は、上記時間およびチャンネルに該当すると、該当した番組の録画を禁止させるためのものであるから、番組の録画を禁止させるための条件ということができる。
したがって、甲第2発明は「録画を禁止させるための条件を設定する段階」を有しているということができる。

d)禁止時間、禁止チャンネルの判断
甲2-4には「すなわちBは録画のサブルーチンのフローチャートであって、このサブルーチンがコールされると、・・・ステップ〔72〕でメモリ(16)の録画禁止時間帯が読出される。・・・ステップ〔73〕で上述の現時刻が録画禁止時間帯に含まれているか否かが判断され、・・・ステップ〔73〕で含まれているときは、ステップ〔76〕で録画禁止チャンネルが設定されているか否かが判断される。そして設定されているときは、ステップ〔77〕でチューナ(1)の受信チャンネルが検出され、ステップ〔78〕でメモリ(16)の録画禁止チャンネルが読出され、ステップ〔79〕でこれらが一致しているか否かが判断される。・・・ステップ〔76〕で設定チャンネルがないとき(全チャンネルが禁止)と、ステップ〔79〕でチャンネルが一致したときはステップ〔80〕へ進められる。そしてこのステップ〔80〕でスイッチ(2)が発生源(15)側に切換られ、ステップ〔81〕で時間経過が判断され、例えば30秒以内のときステップ〔82〕で録画モードとされてメインルーチンへリターンされ、30秒以上になるとステップ〔83〕で停止モードにされてメインルーチンへリターンされる。」の記載がある。
すなわち、上記c)で検討した「録画を禁止させるための条件」であるところの、(開始時刻と終了時刻との間の)録画禁止時間帯、および、録画禁止チャンネル、と比較し、上記時間帯及びチャンネルであるか否かの判断を行っているから、「録画を禁止させるための条件を満たすか判断する段階」を有しているといえる。
そして、甲第2発明の「録画」は、甲2-5から明らかなように、タイマー録画においても上記録画のサブルーチンのフローが行われるものといえる。
上記サブルーチンのフローが「タイマー録画」にて動作するためには、事前に上記b)で検討した、録画予約の設定が完了していなくてはならないから、既に録画予約の設定が完了した番組があり、当該録画予約した番組について、タイマー録画するため、サブルーチンのフローが動作するといえる。
以上のことからみて、甲第2発明は「既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たすか判断する段階」を有しているといえる。

e)ユーザへの警告の表示
甲2-4には「すなわちBは録画のサブルーチンのフローチャートであって、・・・ステップ〔73〕で上述の現時刻が録画禁止時間帯に含まれているか否かが判断され、・・・ステップ〔73〕で含まれているときは、ステップ〔76〕で録画禁止チャンネルが設定されているか否かが判断される。そして設定されているときは、ステップ〔77〕でチューナ(1)の受信チャンネルが検出され、ステップ〔78〕でメモリ(16)の録画禁止チャンネルが読出され、ステップ〔79〕でこれらが一致しているか否かが判断される。・・・ステップ〔76〕で設定チャンネルがないとき(全チャンネルが禁止)と、ステップ〔79〕でチャンネルが一致したときはステップ〔80〕へ進められる。そしてこのステップ〔80〕でスイッチ(2)が発生源(15)側に切換られ、ステップ〔81〕で時間経過が判断され、例えば30秒以内のときステップ〔82〕で録画モードとされてメインルーチンへリターンされ、30秒以上になるとステップ〔83〕で停止モードにされてメインルーチンへリターンされる。」とあり、甲2-5には「録画禁止時間帯内で・・・設定されたタイマー録画によって録画の要求がされると、ステップ[37]のサブルーチンでそれが判断され、スイッチ(2)が切換られて発生源(15)からの映像信号が30秒間テープ(6)に録画された後、装置は停止モードになる。このため後でこのテープを再生した場合にこの映像が表示されることで録画が禁止されていたことが明瞭になされ」とある。
上記フローが「既に録画予約の設定が完了した番組があり、当該録画予約の設定が完了した番組について、タイマー録画する」時の動作であることは、上記d)にて検討したとおりである。
上記フローにおいて、「そして設定されているときは、ステップ〔77〕でチューナ(1)の受信チャンネルが検出され、ステップ〔78〕でメモリ(16)の録画禁止チャンネルが読出され、ステップ〔79〕でこれらが一致しているか否かが判断される。」の「これら」は、日本語の意味として、チューナの受信チャンネルと(読み出された)録画禁止チャンネルとのことをいうととらえるのが普通であるから、上記「これらが一致しているか否か」の判断は、「チューナの受信チャンネルと録画禁止チャンネルとが一致しているか否かの判断」ということができる。
すなわち、上記フローは「録画禁止時間帯に含まれているか否か」、「チューナの受信チャンネルと録画禁止チャンネルとが一致しているか否か」の判断を行った結果、録画禁止時間帯に含まれており、かつ、録画禁止チャンネルと一致したとき、「発生源(15)からの映像信号が30秒間テープ(6)に録画され後、装置は停止モードになる」ものである。
上記「「録画禁止時間帯に含まれているか否か」、「チューナの受信チャンネルと録画禁止チャンネルとが一致しているか否か」の判断」は、「録画を禁止させるための条件を満たすか判断」することであることは、上記d)にて検討したとおりであり、その結果「録画禁止時間帯に含まれており、かつ、録画禁止チャンネルと一致したとき」は、(録画)装置は停止モードとなり(該当する番組が)録画されないから、「録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合」といえる。
そして、上記「停止モード」となるときには、「発生源(15)からの映像信号が30秒間テープ(6)に録画され」るが、再生時に、上記映像信号が表示されることで、「録画が禁止されていたことが明瞭になされ」るのであるから、上記映像信号は、録画が禁止されたことを表示しているといえる。
以上のことからみて、甲第2発明は「録画を禁止させるための条件を満たすか判断した結果に応じ、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する」段階を有しているといえる。

f)禁止時間帯等の設定がタイマー録画の設定の後に行われる場合
甲2-2には「これに対してタイマー録画の設定を行う際に、設定時刻と禁止時間帯等とを判断して「録画禁止」等の表示を行うことも考えられるが、禁止時間帯等の設定がタイマー録画の設定の後に行われる場合もあり得るため、その場合には録画が行われるものと信じていたものが禁止されていることによって、かえって不都合を生じるおそれがある。」と記載されている。
上記記載は、タイマー録画を行う際の記述であるから、「禁止時間帯等の設定」は「録画禁止時間帯等の設定」であることは明らかである。
そして、「録画禁止時間帯等の設定」が「録画を禁止させるための条件を設定する段階」であることは、上記c)で検討したとおりであり、「タイマー録画の設定」は「番組を録画予約する段階」であることは、上記b)で検討したとおりである。
よって、「禁止時間帯等の設定がタイマー録画の設定の後に行われる場合」は、「録画を禁止させるための条件を設定する段階」が「番組を録画予約する段階」の後に行われる場合、すなわち、「録画を禁止させるための条件を入力する段階」の前に「番組を録画予約する段階」が生じた場合といい換えることができる。
そしてこのとき、「その場合には録画が行われるものと信じていたものが禁止されている」とあるから、「録画が禁止される」ものであると理解できる。
そして、録画が禁止されるのは、甲2-4のフローにおいて、「既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合」であることは、上記e)で検討したとおりである。
以上まとめると、甲第2発明は「「録画を禁止させるための条件を入力する段階」の前に「番組を録画予約する段階」が生じた場合であって、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合録画が禁止される」構成を有するといえる。

g)「録画禁止」等の表示
甲2-1には「これに対してタイマー録画の設定を行う際に、設定時刻と禁止時間帯等とを判断して「録画禁止」等の表示を行うことも考えられる」の記載がある。
上記「タイマー録画の設定」は「番組を録画予約するための設定」ことであることは明らかである。
また、上記「設定時刻と禁止時間帯等とを判断」の「設定時刻」とはその直前に記載された「タイマー録画の設定」を受けているとみるのが普通である。
また、上記甲2-1の記載は、タイマー録画に関する記述であるから、「禁止時間帯」とは、「録画禁止時間帯」の概念も含むものであることは明らかである。
そして、「番組を録画予約するための設定」の際に、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断するためには、既に「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了している必要があることは明らかである。
したがって、上記甲2-1の「タイマー録画の設定を行う際」は、「「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に、「番組を録画予約するための設定」を行う際」であるといえる。
上記甲2-1の「判断して「録画禁止」等の表示を行う」について検討するに、「判断」(の結果と)して、「「録画禁止」等の表示を行う」のであるから、「「録画禁止」等の表示」が行われるのは、(「番組を録画予約するための設定」を行う際の「判断」の結果、)「タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が「録画禁止」と判断された番組であるとき」といえる。
上記「「録画禁止」と判断」は「「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断」されることをいうことは明らかであるから、
「タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が「録画禁止」と判断された番組であるとき」とは、
「タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき」であるということができる。
また、「「録画禁止」等の表示」とは、当該装置の状態が、タイマー録画の予約が禁止された状態であることを表示しているということができるから、当該装置は「録画予約を禁止する(構成を有している)」ということができる。
以上のことから見て、甲第2号証には「「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき、録画予約を禁止する」構成を開示しているということができる。

h)まとめ
以上a)?g)についてまとめると、甲第2発明は以下のとおりの発明ということができる。

(甲第2発明)
番組の録画を禁止する制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
録画を禁止させるための条件を設定する段階と、
既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たすか判断する段階と、
録画を禁止させるための条件を満たすか判断した結果に応じ、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する段階とを含み、
「録画を禁止させるための条件を入力する段階」の前に「番組を録画予約する段階」が生じた場合であって、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合録画が禁止され、
「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき、録画予約を禁止する、
方法。

(2)対比(本件発明1と甲第2発明)
本件発明1と甲第2発明とを対比する。

a)番組に対するアクセス制御を行う方法
甲第2発明は「番組の録画を禁止する制御を行う方法」であり、本件発明1の「アクセス制御」は録画の禁止の概念も含むものであるから、「番組に対するアクセス制御を行う方法」である点で、本件発明1と相違がない。

b)番組を録画予約する段階と
甲第2発明は「番組を録画予約する段階」を有する点で、本件発明1と一致する。

c)番組をブロックする基準を入力する段階
甲第2発明は「録画を禁止させるための条件を設定する段階」を有している。本件発明1の「番組をブロック」とは、録画禁止の概念も含むものであることは、上記【第2】2.(1)で検討したとおりである。
また、甲第2発明の「録画を禁止させるための条件」は、甲2-4の記載によれば「タイマー録画の設定と同じ要領で録画禁止時間帯の開始時刻、チャンネル、終了時刻を設定する。」とあるから、「録画禁止時間帯」と「チャンネル」である。
そして、「録画時間帯」、「チャンネル」は直接番組を指定するのではなく、番組が有する属性であるから、本件発明の「基準」と対応する。
以上のことから、甲第2発明の「録画を禁止させるための条件を設定する段階」は、本件発明1の「番組をブロックする基準を入力する段階」に対応する。

d)録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階
甲第2発明は「既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たすか判断する段階」を有している。
本件発明1の「録画予約した番組」が「既に録画予約の設定が完了した番組」であることは、上記【第2】2.(1)にて検討したとおりである。
また、甲第2発明の「録画を禁止させるための条件」は、本件発明1の「ブロック基準」に対応することは、上記c)にて検討したとおりである。
したがって、甲第2発明の「既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たすか判断する段階」は、本件発明1の「録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階」に対応する。

e)前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階
甲第2発明は「録画を禁止させるための条件を満たすか判断した結果に応じ、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する段階」を有している。
本件発明1の「前記判断」は、「録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する」ことであり、甲第2発明の「録画を禁止させるための条件を満たすか判断」と対応することは、上記d)にて検討したとおりである。
また、甲第2発明の「既に録画予約の設定が完了した番組」が、本件発明1の「録画予約した番組」に対応することは、上記d)にて検討したとおりである。
甲第2発明の「録画を禁止させるための条件」が、本件発明1の「ブロック基準」に対応することは、上記c)にて検討したとおりである。
そして、甲第2発明の「録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する」とは、録画する時点で「録画を禁止させるための条件を満たす番組である」か判断し、その判断の結果を再生したときに表示するものであり、当該番組が「(録画する時点で)録画を禁止させるための条件を満たしていた」ことを(再生時に)表示しているということができる。
以上まとめると、甲第2発明は「前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たしていた旨のユーザに対する表示をする」ことであるということができる。
すなわち、本件発明1は「前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階」であるのに対し、甲第2発明は「前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たしていた旨のユーザに対する表示をする」点で異なる。
この文言上の違いは、上記表示がなされる時点が、本件発明1では、録画が開始される前の時点であって、「録画の設定」と「ブロックの設定」がいずれもなされることに対して「警告」をしているのに対し、甲第2発明は、上記表示をする時点が、録画が終了した時点であるため、「録画の設定」と「ブロックの設定」がいずれもなされていたことを、後からユーザが知ることができるように表示しているという構成上の相違を表しているということができる。
したがって、甲第2発明は「前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階」を有しているということはできない。

f)ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず
甲第2発明は「「録画を禁止させるための条件を入力する段階」の前に「番組を録画予約する段階」が生じた場合であって、既に録画予約した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止される」ものである。
甲第2発明の「録画を禁止させるための条件を入力する段階」、「番組を録画予約する段階」、「既に録画予約の設定が完了した番組」、「録画を禁止させるための条件を満たす」、「録画が禁止される」は、本件発明1の「番組をブロックする基準を入力する段階」、「番組を録画予約する段階」、「録画予約した番組」、「ブロック基準を満たす」、「番組をブロックする」に対応することは、上記b)、c)、d)、e)にて検討したとおりである。
してみると、甲第2発明の「「録画を禁止させるための条件を入力する段階」の前に「番組を録画予約する段階」が生じた場合であって、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止される」は「「番組をブロックする基準を入力する段階」の前に、「番組を録画予約する段階」が生じた場合であって、録画予約の設定が完了した番組について、ブロック基準を満たす番組である場合、番組をブロックする」といいかえることができる。
上記甲第2発明の「ブロック基準を満たす番組である場合」は、「(当該番組について)ブロック基準を満たす番組」であることは明らかである。
上記甲第2発明の「「番組をブロックする基準を入力する段階」の前に、「番組を録画予約する段階」が生じた場合」は、「ブロック基準を入力する(段階の)前に録画予約(する段階)が既に終了している」ことをいうのであるから、「ブロック基準を入力する前に録画予約の設定が完了した場合」ということができる。
上記甲第2発明の「録画予約した番組について、ブロック基準を満たす番組である場合」とは、ブロック基準を満たす番組が、録画予約した番組であるから、「ブロック基準を満たす録画予約した番組」であることは明らかである。
以上まとめると、甲第2発明は「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約の設定が完了した番組をブロックする」ということができるから、本件発明1と「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組を処理し」の点で一致する。
もっとも、本件発明1は、上記処理の内容が「(ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組を)ブロックせず」であるのに対し、甲第2発明は、上記処理の内容が「(ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組を)ブロックする」点で相違する。

g)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする
甲第2発明は「「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき、録画予約を禁止する」構成を有している。
甲第2発明の「録画予約を禁止する」は、本件発明1の「番組をブロック」に対応することは、上記c)で検討したとおりである。
上記甲第2発明の「録画予約を禁止する」ために利用される、「録画禁止時間帯等」は上記時間帯に該当すると「録画予約を禁止」するのであるから、「録画予約を禁止するための基準」、すなわち、「(番組を)ブロック(するための)基準」といえる。
そして、「「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断され」るということは、当該判断された(タイマー録画予約の設定を行おうとした)番組は、「「録画禁止時間帯等」に該当する」、すなわち、「ブロック基準を満たす」(タイマー録画予約の設定を行おうとした)番組ということができる。
また、判断した後、「録画予約を禁止する(される)」番組は、上記判断で、「ブロック基準を満たす(タイマー録画予約の設定を行おうとした)番組(である)」と判断された番組である。
以上のことから、甲第2発明の「「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき、録画予約を禁止する」は、
「「番組をブロックするための基準」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「ブロック基準を満たす」(タイマー録画予約の設定を行おうとした)番組であるとき、ブロック基準を満たす(タイマー録画予約の設定を行おうとした)番組をブロックする」ということができる。
上記甲第2発明の「「番組をブロックするための基準」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際」は「ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合」といいかえてもよいことは明らかであり、本件発明1と相違がない。
本件発明1の「録画予約すべき番組」とは、録画予約の設定をしようとする番組と認めることができることは、上記【第2】2.(1)に検討したとおりである。
してみると、甲第2発明の「タイマー録画予約の設定を行おうとした番組」は、本件発明1の「録画予約すべき番組」に対応する。
以上のことからみて、甲第2発明は「ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組が、ブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」構成を有しているということができる。

(3)判断(本件発明1と甲第2発明)
以上a)?g)の対比の結果、甲第2発明と本件発明1とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

(一致点)
番組に対するアクセス制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
番組をブロックする基準を入力する段階と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階と、を含み
ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組を処理し、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、方法。

(相違点)
e)より
甲第2発明は「前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階」を有していない点。

f)より
本件発明1は「(ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロックを満たす録画予約した番組を)ブロックせず」であるのに対し、甲第2発明は「(ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロックを満たす録画予約した番組を)ブロックする」点。

そして、甲第2発明として認定した以外の、他の甲第2号証の記載をみても、当該相違点に係る構成を見いだすことはできず、また、実質的に開示されているに等しいとする根拠も見いだすことはできないから、本件発明1は甲第2号証に記載された発明ではない。

(4)小括(本件発明1と甲第2発明)
以上の検討によれば、本件発明1が甲第2号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.本件発明1と甲第3発明について
(1)甲第3発明
上記甲3-1?甲3-9の記載及び図1?図47の内容を総合すると、甲第3号証には、「消費者用電子機器の操作の自動制御及び監視する装置及び方法(発明の名称)」として、次の発明(以下、「甲第3発明」という。)が記載されていると認められる。

a)親によるコントロール
甲3-7の記載には、「プログラム選択時に、ユーザは、視聴者が特定のプログラム又はチャンネルを見ることかできないように親コントロールを設定することが可能である。これに替えて、親は、ある時間帯、例えば、放課後又は夕食前は、子供達がどのTVも見ることができないようにすることも可能である。親コントロールは、ステップ300で表示される日付カレンダーメニュー294でハイライトされた選択で親コントロールキー115を押すことによって設定される。親コントロールのフラグがたったプログラムは、後述のように適当なパスワードを有す視聴者により録画したり、視聴したりすることが可能である。」とある。
上記「視聴者が特定のプログラム又はチャンネルを見ることかできないように親コントロールを設定することが可能」とは、「親コントロールを設定することにより、特定のチャンネル/プログラムを見ることができない」という意味であり、「親コントロールの設定がされると、プログラムを見ることができないようにする制御」を行っている。
また、「親コントロールのフラグがたったプログラムは、後述のように適当なパスワードを有す視聴者により録画したり、視聴したりすることが可能である。」との記載からみて、上記「プログラムを見ることができないようにする制御」の中には、「プログラムを録画する(ことができないようにする)制御」も含まれていることが理解できる。
以上のことから、甲第3発明は「プログラムを録画することができない制御を行う方法」であるといえる。

b)録画予約
甲3-6には「ユーザが、コントローラリモート送信器48のキーパッドを使用して日付を入力した後に、ステップ292で、コントローラ28は、ディスク62を読み取り、ステップ290で選択した日付で、選別する。選別を完了すると、コントローラ28は、図17で示される日付カレンダーメニュー294を表示する。日付カレンダーメニュー294は、コード、チャンネル、開始時間、特別プログラム及び題名のための欄を含む。」、「ページが、ステップ294で命令され、ぺ-ジがステップ296で変えられると、ステップ298では、コントローラ28は、録画キー102、視聴キー104又は親コントロールキー115が起動されたかどうかを検出する。いずれかが、起動されていれば、ステップ300でコントローラ28は、図18の録画/視聴メニュー302を表示する。録画/視聴メニュー302により、視聴者は、プログラムを一度だけ、毎日、毎週、録画したり、視聴したりすることを選択し、また、特別プログラム又は親コントロールのプログラムを選択したりすることが可能となる。殆どのプログラムは、毎日放送されるか、又は、月曜から金曜に一度放送されるかであるので、毎日の選択は、月曜から金曜の視聴に対応する。これに替えて、一週間、7日の選択も可能である。」と記載されており、図17には、「カレンダー日付:2/9/91」が一番上に表示され、「コード」、「チャンネル」、「時間」、「特別」、「題名」が、横に並ぶように、表形式で番組のリストが表示される態様が、図18には「録画/視聴メニュー」が一番上に表示され、「1.一度」、「2.毎日」、「3.毎週」、「4.特別」、「5.親コントロール」が、それぞれ一行で表示される表示の態様が記載されている。
以上の記載から、甲第3号証には、図17で示される「日付カレンダーメニュー」から、(所望のプログラムを選択して)録画キーを起動すると、図18で示される「録画/視聴メニュー」を表示し、「録画/視聴メニュー」で「1.一度」、「2.毎日」、「3.毎週」のいずれかを選択すると、選択した内容で録画がされるものであることが理解できる。
すなわち、上記の操作により、所望の時間に所望のプログラムが録画される予約をしていることから、「プログラムを録画予約する段階」を有しているといえる。

c)親コントロールの選択
上記b)で検討した「番組を録画予約する段階」において、「日付カレンダーメニュー」から、(所望の番組を選択して)録画キーを起動することに替えて、親コントロールキーを起動すると、図18で示される「録画/視聴メニュー」を表示することが理解できる。 そして、甲3-7の記載によれば、「日付カレンダーメニュー294でハイライトされた選択で親コントロールキー115を押すことによって設定」される「親コントロールの制御」が、「親コントロールの設定がされると、プログラムを録画することができないようにする制御」であることは、上記a)にて検討したとおりである。
親コントロールの設定により、特定のプログラムを録画することができないようにしているのであるから、上記親コントロールの設定は録画禁止のための条件を設定(すなわち入力)しているということができる。
以上のことからみて、甲第3号証の親コントロールのため、特定の番組を録画することができないように設定することは、「録画禁止のための条件を入力する段階」ということができる。

d)録画されているプログラムを定期的にモニタ
甲3-8には「視聴するか、録画されているプログラムを定期的にモニタする必要がある。図20は、図15に示されるプログラム選択フローチャートに於ける選択のために親コントロールモニタプログラムに使用されるステップを示すフローチャートである。ステップ320では、コントローラ28は、視聴されているか、又は録画されているプログラムと記憶されている親コントロールプログラムリストとパスワードフラグとを定期的に比較している。」と記載されている。
上記記載において、定期的に比較される録画されているプログラムについて格別な限定はないから、録画されているプログラム全てについて上記定期的な比較を行うととらえるべきであるから、その場合について検討する。
上記b)、c)で検討したとおり、録画は予約録画が可能であり、親コントロールにより録画禁止とすることが可能であるから、上記「録画されているプログラムと記憶されている親コントロールプログラムリストと(パスワードフラグと)を定期的に比較している」録画されているプログラムは、予約されたプログラムを録画してしているものも想定しうる。この場合、上記予約されたプログラムを録画しているとき、当該プログラムは、録画している時点より以前に録画予約する必要があることは明らかであるから、「既に録画予約の設定が完了しているプログラム」ということができる。
また、録画されているプログラムと比較される「記憶されている親コントロールプログラムリスト」は、上記c)にて検討した親コントロールにより設定された、番組であると認めることができるから、「録画禁止のための条件」である。
以上のことから、甲第3発明は「既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する段階」を有しているといえる。

e)“親コントロール:リセットするにはパスワードを入力して下さい”を表示
甲3-8には「ステップ322では、視聴されているプログラムと、親コントロールフラグとの間の一致がないので、・・・視聴されているプログラムと親コントロールフラグ間の比較は、毎分なされるか、次の比較まで長期の不正視聴を禁止している。ステップ322で一致がある場合は、ステップ324では、コントローラ28は、VCR14がオンとなっている場合は、それを停止し、全録画コマンドを禁止とする。視聴者が、禁止されいているショーを録画しようとした場合は、コントローラ28は、コマンドを無視し、録画コマンドをVCR14に送信せず、従ってそのコマンドを禁止する。コントローラ28は、同様に、コントローラリモート送信視聴48からの禁止チャンネルのチャンネルコマンドを無視する。VCR録画コマンド又は禁止ショーへのチャンネル変更を受信すると、コントローラ28は、VCRl4のスイッチを切り、TV12をチャンネル3へ切り替えることによって、禁止ショーを録画するVCRリモート送信器38からのコマンドを禁止している。コントローラ28は、同様に、TV12をチャンネル3に切り替えることによって、禁止ショーを視聴しようとするTVリモート送信器32からのコマンドを禁止している。コントローラ28は、ビデオスイッチ及びミクサー68をテキストモードに切り替え、“親コントロール:リセットするにはパスワードを入力して下さい”を表示する。」と記載されている。
図20も参酌すると、ステップ322で、視聴されているプログラムと、親コントロールフラグとの間の一致がある場合とは、その前のステップ320で「コントローラ28は、視聴されているか、又は録画されているプログラムと記憶されている親コントロールプログラムリストとパスワードフラグとを定期的に比較し」た結果であるから、上記d)で比較した結果、一致がある場合という意味である。
そして一致がある場合、「“親コントロール:リセットするにはパスワードを入力して下さい”を表示する」のであるから、上記表示は、録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示しているといえる。
すなわち、甲第3発明は「録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示する段階」を有している。

f)まとめ
以上a)?e)についてまとめると、甲第3発明は以下のとおりの発明ということができる。

(甲第3発明)
プログラムを録画することができない制御を行う方法であって、
プログラムを録画予約する段階と、
録画禁止のための条件を入力する段階と、
既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する段階と、
録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示する段階と
を含む方法。

(2)対比(本件発明1と甲第3発明)
本件発明1と甲第3発明とを対比する。

a)番組に対するアクセス制御を行う方法
甲第3発明の「プログラム」が本件発明1の「番組」に相当することは技術常識である。
本件発明1の「アクセス制御」は録画の禁止の概念も含むものであり、甲第3発明のアクセス制御も録画禁止の概念も含むものであるから、「番組に対するアクセス制御を行う方法」である点で、本件発明1と相違がない。

b)番組を録画予約する段階
甲第3発明の「プログラム」が、本件発明1の「番組」に相当することは上記a)のとおりであるから、甲第3発明は「番組を録画予約する段階」を有する点で、本件発明1と一致する。

c)番組をブロックする基準を入力する段階
本件発明1の「番組をブロック」の概念に(「プログラム」を)「録画禁止」の概念も含むから、甲第3発明の「録画禁止のための条件を入力する段階」は「番組をブロックする条件を入力する段階」に対応する。
甲第3発明において、発明の詳細な説明に記載された実施例を参酌すると、「録画禁止のための条件を入力」する具体的な構成は、「「日付カレンダーメニュー」から、(所望の番組を選択して)録画キーを起動することに替えて、親コントロールキーを起動する」ことのみが開示されているから、上記具体的な構成については、番組を選択(入力)して録画禁止の条件を入力するもの、すなわち、番組そのものが録画禁止のための条件として設定される技術事項のみが開示されているということができる。
上記実施例の記載に加えて、甲3-7には「プログラム選択時に、ユーザは、視聴者が特定のプログラム又はチャンネルを見ることかできないように親コントロールを設定することが可能である。これに替えて、親は、ある時間帯、例えば、放課後又は夕食前は、子供達がどのTVも見ることができないようにすることも可能である。」のように、特定のプログラム(番組)を設定すること以外に、特定のチャンネルを見ることができないように設定可能としたり、これに替えて、特定の時間帯に見ることができないように(設定)することが可能である技術思想も開示されている。
そして、上記特定の「時間帯に見ることができないようにする」や「特定のチャンネルを見ることができないようにする」ことは「ユーザ」が「設定」することにより行うことは明らかであり、その設定をした番組の録画禁止の条件は、番組そのものではなく、番組が有する属性(時間・チャンネル)が所定の基準(を満たした場合に録画禁止を行うもの)であるということができる。
さらに、すくなくとも、そのような基準により、番組をブロックするためには、当該基準を入力する必要があることは明らかであるから、「基準を入力する段階」の技術についても開示があるということができる。
以上のことからみて、甲第3発明の「録画禁止のための条件を入力する段階」は、「番組をブロックする基準を入力する段階」に対応するということができる。

d)録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階
甲第3発明は「既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する段階」を有している。
甲第3発明の「条件」が本件発明1の基準に対応することは、上記c)のとおり。
甲第3発明の「既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する段階」は、「既に録画予約の設定が完了している番組」の予約時間等と「録画禁止のための基準(として設定された)」の時間等とを比較し、これらが一致しているか判断することである。
これに対して、本件発明1の「録画予約した番組」、「ブロック基準」が「既に録画予約の設定が完了している番組」、「録画禁止の基準」であることは、上記【第2】2.(1)で検討したとおりであるから、本件発明1の「録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階」は、「既に録画予約の設定が完了している番組」が「録画禁止の基準」を満たすか、すなわち、「既に録画予約の設定が完了している番組」と「録画禁止の基準」とが一致するか判断することであるといえる。
以上のことからみて、甲第3発明は「録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階」を有しているといえる。

e)前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階
甲第3発明は「録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示する段階」を有している。
甲第3発明の「録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための基準とを比較して、一致がある場合」と判断していることは、上記d)にて検討した判断のことであり、本件発明1も、上記d)で行った判断のことを「前記判断」と称しているからこの点で甲第3発明と本件発明1とは相違がない。
そして、本件発明1の「録画予約した番組がブロック基準を満たす」ことは、「既に録画予約の設定が完了している番組」と「録画禁止の基準」とが一致するか判断した結果、これらが一致した場合であることは明らかであるから、本件発明1の「録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示」は、「既に録画予約の設定が完了している番組」と「録画禁止の基準」とが一致したことを表示していることであるということができる。
以上のことからみて、甲第3発明は「前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階」を有しているといえる。

f)ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず
甲第3発明の「録画禁止のための条件を入力する段階」、「番組を録画予約する段階」が、本件発明1の「番組をブロックする基準を入力する段階」、「番組を録画予約する段階」に対応することは、上記b)、c)にて検討したとおりである。
甲第3発明は、これらの段階をそれぞれ有するが、「録画禁止のための基準を入力する段階」と「番組を録画予約する段階」とが生じているとき、これら二つの段階の前後関係についていずれが先であるかについて格別考慮していない。
すなわち、「録画禁止のための基準を入力する段階」と「番組を録画予約する段階」の前後関係が異なると、これに応じて制御を変える技術思想は開示されていないというべきである。
しかしながら、「録画禁止のための基準を入力する段階」と「番組を録画予約する段階」との二つの段階は、いずれかが先になされ、いずれかが後になされることは普通であるから、「録画禁止のための基準を入力する段階」の前に「番組を録画予約する段階」が生じることは十分あり得ることであり、以下この場合について、本件発明の構成と甲第3号証の図20とを照らして検討する。
本件発明の「録画予約した番組」が「既に録画予約の設定が完了している」という意味であることは上記【第2】2.(1)b)にて検討したとおりである。
また、「ブロック基準を満たす(録画予約した)番組」と判断可能であるということは、ブロック基準の設定も既に完了していることは明らかである。
すなわち、「録画予約の設定」、「ブロック基準の設定」がともになされている状態にて、「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の動作がなされるという意味である。
これに対して、甲第3号証の図20のフローに至る以前に、「録画予約の設定」、「ブロック基準の設定」がなされていると、当該番組について録画が停止されるから、「録画予約の設定」、「ブロック基準の設定」の前後関係にかかわらず、番組はブロックされる。
すなわち、甲第3発明は発明の詳細な説明も参酌すれば、「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には(場合であっても、後に録画予約した場合であっても)、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロック」するものである。
請求人は、甲第3号証の図20及びそれに関連する発明の詳細な説明を引用して、本件発明1の上記構成が開示されていると主張しているのでこれについても検討する。
甲第3号証の図20は録画中の装置の動作について説明しているものであり、既に録画が開始されていることからみて、現在録画中のプログラム(番組)は、既に「録画の予約が完了している番組」である場合も含むことは、上記【第6】A)3.(1)d)で検討したとおりであり、また、録画が行われているから、「ブロック基準が入力されていない」状態であることも理解できる。
すなわち、「録画禁止のための基準を入力する段階」の前に「番組を録画予約する段階」が一応生じ、また、番組がブロックされない状態でもある。しかしながら、この状態では、ブロック基準を満たすという判断がなされていないから、「ブロック基準を満たしていない録画予約した番組をブロックせず」というべきである。
そして、請求人は、「この録画されている状態で、番組をブロックする基準を入力する」という仮定のもとで、当該番組について、上記基準の入力が生じる(基準の入力が完了する)以前の番組について、ブロックしていない、と主張しているが、甲第3号証には、上記録画中に「ブロック基準を入力すること」、あるいは、「ブロック基準が入力可能であること」について、記載も示唆もない。
請求人は、平成23年2月9日付け上申書にて「Fig.20のステップ322で「YES」の場合が示されていることと、上記1)(当審注:明細書第16頁左上欄第15行?23行)の中に「プログラムと親コントロールフラグの間の比較は、毎分なされる」という記載があることから、読み取れる。」と主張している。
上記記載からは、単に、Fig.20のステップ320にて、「毎分比較を行っているが、何らかの事情で、それまで不一致であったものが一致するようになった」ことは理解できる。しかしながら、上記毎分比較する中で、あるとき不一致から一致に変わることと、「番組をブロックする基準が入力される」こととが、直接的に結びつくものではない。すなわち、「番組をブロックする基準」と「録画予約した番組」とを比較して、一致/不一致の判断を行っているのであるから、上記不一致から一致に変わることが、必ずしも番組をブロックする基準が変更されたことのみを示すものではなく、(例えば、録画予約した番組の放送時間が、既に設定されている録画禁止時間になった場合も、上記不一致から一致に変化する)したがって、上記請求人が指摘する箇所から、「番組をブロックする基準が入力される」ことを読み取ることはできない。
したがって、まず、上記請求人が主張する仮定が開示されていないというべきである。
また、上記仮定のような操作をしたとしても、甲第3号証のものにおいては、基準が入力された後は、番組の録画が停止されるのであるから、番組はブロックされるといえる。
以上のことからみて、甲第3号証には請求人が主張する構成は開示されておらず、甲第3発明は、「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有しているということはできない。

g)(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする
甲第3発明の「録画禁止のための条件を入力する段階」、「番組を録画予約する段階」が、本件発明1の「番組をブロックする基準を入力する段階」、「番組を録画予約する段階」に対応することは、上記b)、c)にて検討したとおりである。
甲第3発明は、これらの段階をそれぞれ有するが、「録画禁止のための基準を入力する段階」と「番組を録画予約する段階」とが生じているとき、これら二つの段階の前後関係についていずれが先であるかについて格別考慮しておらず、「録画禁止のための基準を入力する段階」と「番組を録画予約する段階」の前後関係が異なると、これに応じて制御を変える技術思想は開示されていないというべきであることは、上記f)で検討したとおりである。
また、本件発明の「録画予約すべき番組」とは、「(これから)予約の設定をしようとする番組」のことであることは、上記【第2】2.(1)c)にて検討したとおりである。
すなわち、本件発明の「録画予約すべき番組をブロックする」とは「(これから)予約の設定をしようとする番組をブロックする」ことであって、録画の予約をブロックすることであるということができる
これに対して、甲第3発明は、録画する(あるいはしているとき)ときに、上記録画を停止(ブロック)するものであって、録画の予約をブロックするものではない。
そして、甲第3号証において、番組をブロックする構成としては、録画を停止する技術事項を開示した図20とそれに関連する記載しか無く、当該構成によれば、番組を(視聴又は)録画している最中(録画開始のために、番組を選択した時以降)に、ブロック基準と番組とを比較し、ブロック基準を満たせば番組をブロックしている構成しか読み取ることができない。
請求人は上申書(平成23年2月9日付け)にて、甲第3号証の発明の詳細な説明(公報15頁左上欄7行?15行<以下、記載Aという。>、公報15頁右下欄下から3行?16頁左上欄5行<以下、記載Bという。>)を引用して、本件発明1の上記構成が開示されていると主張しているのでこれについて検討する。
記載Bは、概略、親コントロールの設定をすると録画したり、視聴したりすることが(パスワードの入力をしないと)できなくなることが記載されている。すなわち、「録画に係る番組をブロックする」ことが記載されているといえる。
また、上記ブロックのためには、親コントロールの設定が終了している必要があること、また、ブロックされる番組は、ブロック基準を満たしている必要があることは明らかであるから、「ブロック基準を入力した後」、「番組がブロック基準を満たす場合には」のことであることも明らかである。
以上のことから、記載Bから、「ブロック基準を入力した後に番組を録画する場合において、録画に係る番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画に係る番組をブロックする」ことが記載されているといえる。
また、記載Aには「TVプログラムリストから、選択したプログラムを録画するためにVCR14のスイッチを自動的に投入」することが記載されている。
したがって、上記A、Bの記載を総合すると「ブロック基準を入力した後に番組を録画する場合において、予約録画に係る番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす予約録画に係る番組をブロックする」ことは理解できる。
しかし、甲3号証には上記ブロックについて、上記f)にて検討した「録画中にブロック基準を満たしている場合」番組をブロックする構成については開示されているものの、録画予約をしようとしたとき、上記録画予約をブロックすることについて記載も示唆もない。
請求人の主張は、記載Bにある「プログラム選択時に、ユーザは、視聴者が特定のプログラム又はチャンネルを見ることかできないように親コントロールを設定する」ことが、記載Aを参酌することにより、「プログラムの録画予約のための選択時に、・・視聴者が特定のプログラム又はチャンネルを見ることかできないように親コントロールを設定する。」と言い換えることができるという主張である。
しかし、記載Bの「プログラム選択時」は、番組を視聴、或いは(予約された番組を)録画しようとして番組が開始するときに番組(プログラム)を選択した時を指すのであって、番組の予約録画のために、その予約の設定をする時を指すものでないことは、甲第3号証の番組をブロックする手段からみて明らかである。
そして、甲第3号証には録画をブロックする技術思想しか開示されていないのであるから、甲第3号証の「プログラム選択時」とは、予約録画に係る番組であって、予約時間になったとき、予約録画に係る番組を選択した時のことをいい、この録画予約時間になったとき、当該番組を録画することができないようにブロックする技術事項が開示されているのであって、予約録画に係る番組を予約しようとしたときに、予約をブロックすることをいうのではないことは明らかである。
以上のことからみて、甲第3号証には請求人が主張する構成は開示されておらず、甲第3発明は、「(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」の構成を有しているということはできない。

(3)判断(本件発明1と甲第3発明)
以上a)?g)の対比の結果、甲第3発明と本件発明1とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

(一致点)
番組に対するアクセス制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
番組をブロックする基準を入力する段階と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階と、
前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階とを含む方法。

(相違点)
f)より
甲第3発明は「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有していない点。

g)より
甲第3発明は「ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」の構成を有していない点。

そして、甲第3発明として認定した以外の、他の甲第3号証の記載をみても、当該相違点に係る構成を見いだすことはできず、また、実質的に開示されているに等しいとする根拠も見いだすことはできないから、本件発明1は甲第3号証に記載された発明ではない。

(4)小括(本件発明1と甲第3発明)
以上の検討によれば、本件発明1が甲第3号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項1に係る発明を無効とすることはできない。

B)本件発明2の無効理由についての判断
請求人は、本件発明2について、上記【第4】1.(2)の無効理由を主張しているので、この点について検討する。

1.本件発明2と甲第1発明について
(1)本件発明1と甲第1発明についての検討の適用
本件発明2は本件発明1の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。
(以下において、この、本件発明2がさらに有する構成を「本件発明2がさらに有する構成」といい、本件発明2以外についても、同様に「本件発明3がさらに有する構成」、「本件発明4がさらに有する構成」・・・という。)

「パスワードを記憶する段階と、
ブロック基準を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る段階と、
第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する段階と、
プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取る段階と、
ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する段階とを含む、」請求項1に記載の方法。

本件発明1を引用する構成については、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。

(2)甲第1号証にさらに記載された構成
甲第1号証には上記【第6】A)1.にて検討した構成に加えて、以下の構成が記載されている。
a)任意のキー信号の登録
甲1-3には「まずAは予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するためのフローチャートである。ここでステップ11で任意の番組コードが入力され、ステップ12でキー信号の登録の操作が行われると、ステップ13でキー信号の入力が要求される。そしてステップ14で任意のキー信号が入力されて終了される。」の記載がある。
したがって、甲第1号証には、さらに「番組コードと併せて登録される任意のキー信号を登録する段階」の構成が開示されている。

b)録画予約時のステップ
b-1)番組コードが登録されているとき
甲1-3には「これに対してBは録画予約のフローチャートである。ここでステップ1′で番組コードが入力されると、ステップ2′で入力された番組コードが登録されているか否かが判断される。・・・またステップ2′で登録されているときは、ステップ4′でキー信号の入力が要求される。」の記載がある。
上記記載は、録画予約のフローチャートにかかる説明であるから、「番組コードの入力」とは、操作者が録画予約するために番組コードを入力していることに相当することは明らかである。すなわち、番組コードの入力は、「操作者が録画予約するために番組コードを入力」といえる。
また、「入力された番組コードが登録されているか否かが判断され」、「登録されているとき」とは、入力された番組コードと、上記a)で検討した「登録された番組コード(任意のキー信号と併せて登録された番組コード)」とが一致するか判断し、一致していたときということであると解される。
さらに、「キー信号の入力が要求される」の「キー信号」は、上記a)で検討した、番組コードと併せて登録される任意のキー信号であることは明らかである。
したがって、甲第1号証には、さらに「操作者が録画予約するために番組コードを入力し、入力された番組コードと、任意のキー信号が併せて登録された番組コードとが一致していたとき、番組コードと併せて登録された任意のキー信号の入力が要求される段階」の構成が開示されている。

b-2)「パスワード(キー信号)を入力してください」の表示
上記甲1-3の記載によれば「同図のBは録画予約時の表示を示し、まずフローチャートのステップ1′で入力された番組コードが表示される。またステップ4′で「パスワード(キー信号)を入力してください」が表示され」とある。
上記フローチャートは、録画予約時の表示であるから、上記b-1)で検討した、録画予約時になされる表示であることが理解できる。
そして、上記b-1)で検討した録画予約時のフローチャートにおいて、「パスワード(キー信号)を入力してください」に相当するステップは「ステップ4′でキー信号の入力が要求される。」のステップであると認めることができる。
してみると、上記「「パスワード(キー信号)を入力してください」の表示は、パスワード(キー信号)の入力を促す表示といえ、上記b)で検討した甲第1号証に開示された構成の「任意のキー信号の入力が要求される段階」における表示と認めることができる。
以上まとめると、甲第1号証には、さらに「任意のキー信号の入力が要求される段階において、パスワード(キー信号)の入力を促す表示を行う段階」が開示されている。

b-3)入力されたキー信号の表示
甲1-3には「パスワード(キー信号)を入力してください」が表示され、入力されたキー信号が表示される。」の記載があるから、甲第1号証には、さらに、「入力されたパスワード(キー信号)を表示する段階」が開示されている。

b-4)番組コードのデコード
甲1-3には「さらにステップ5′で入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別される。そして一致のときは、ステップ6′で通常のデコード動作が行われて終了される。これに対してステップ5′で不一致のときは、そのまま終了される。・・・これによって年少者等が通常の方法でその番組コードの入力を行っても、この番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される。」と記載されている。
上記記載によれば、「通常のデコード動作が行われて終了される。」、「この番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される。」とあるから、番組コードがデコードされれば録画され、番組コードがデコードされない場合が録画されないものであるということが理解できる。
そして番組が録画される場合、すなわちデコードされる場合とは、「ステップ5′で入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別される。そして一致のときは、ステップ6′で通常のデコード動作が行われて終了される。」とあるから、入力されたキー信号と登録されたキー信号とが一致したときである。
以上のことから、甲第1号証には、さらに「入力されたキー信号と登録されたキー信号とが一致したとき、通常のデコード動作が行われて番組が録画される段階」が開示されているといえる。

c)まとめ
以上、まとめると、甲第1号証には、さらに、以下のとおりの構成が開示されているということができる。

番組コードと併せて登録される任意のキー信号を登録する段階と、
操作者が録画予約するために番組コードを入力し、入力された番組コードと、任意のキー信号が併せて登録された番組コードとが一致していたとき、番組コードと併せて登録された任意のキー信号の入力が要求される段階と、
任意のキー信号の入力が要求される段階において、パスワード(キー信号)の入力を促す表示を行う段階と、
入力されたパスワード(キー信号)を表示する段階と、
入力されたキー信号と登録されたキー信号とが一致したとき、通常のデコード動作が行われて番組が録画される段階と、
を有する方法。

(3)対比
本件発明2がさらに有する構成と、甲第1号証にさらに開示された構成とを対比する。

a)パスワードを記憶する段階
甲第1号証には「番組コードと併せて登録される任意のキー信号を登録する段階」が開示されている。
上記「任意のキー信号」は、番組を予約する際、任意のキー信号があわせて登録された番組を録画しようとすると、「任意のキー信号の入力が要求される段階において、パスワード(キー信号)の入力を促す表示を行う」のであるから、上記任意のキーを登録する段階は、パスワードを登録する段階ということができる。
そして、登録したパスワード(キー信号)が記憶されていることは普通のことであるから、上記「パスワードを登録する段階」は、「パスワードを記憶する段階」といってもよいといいうる。
したがって、甲第1号証には、さらに、「パスワードを記憶する段階」が開示されているということができる。

b)ブロック基準を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る段階
甲第1号証には、さらに「操作者が録画予約するために番組コードを入力し、入力された番組コードと、任意のキー信号が併せて登録された番組コードとが一致していたとき、番組コードと併せて登録された任意のキー信号の入力が要求される段階」が開示されている。
上記【第6】A)1.(2)c)にて検討したとおり、「任意のキー信号が併せて登録された番組コード」が本件発明1の「ブロック条件」という意味において対応する。
また、甲第1号証の「操作者が録画予約するために番組コードを入力」は、操作者が、番組コードを入力することにより、VCRに対して、録画予約を要求しているということができるから、番組を録画予約するための要求をし(VCRは)その要求を受け取っていることは明らかである。そして、「操作者」は本件発明2の「ユーザ」に対応することは明らかである。
以上のことから、甲第1号証には、さらに、「番組を録画予約するユーザ要求を受け取る段階」が開示されているということができる。
そして、上記受け取るユーザ要求の中には、「入力された番組コードと、任意のキー信号が併せて登録された番組コードとが一致していたとき」も存在し、上記登録された番組コードはブロック条件に相当するから、上記登録された番組コードと一致する入力された番組コードを有する番組は、「ブロック条件を満たす番組」である。
また、甲第1号証に開示された「番組コードと併せて登録される任意のキー信号を登録する段階」で入力される番組コードに対応する番組を第1の番組と呼べば、「録画予約するために番組コードを入力」したときの番組コードに対応する番組は「第2の番組」ということができる。
以上のことから、甲第1号証に開示された構成は「ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る段階」ということができる。
もっとも、甲第1発明は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違することは、上記【第6】A)1.(2)c)にて検討したとおりである。

c)第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する段階
甲第1号証には、さらに、「任意のキー信号の入力が要求される段階において、パスワード(キー信号)の入力を促す表示を行う段階」が開示されている。
上記「任意のキー信号の入力が要求される段階」は、上記b)の「操作者が録画予約するために番組コードを入力し、入力された番組コードと、任意のキー信号が併せて登録された番組コードとが一致していたとき、番組コードと併せて登録された任意のキー信号の入力が要求される段階」である。
上記「操作者が録画予約するために番組コードを入力し、入力された番組コードと、任意のキー信号が併せて登録された番組コードとが一致していたとき」は、「ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る」ことに対応することは、上記b)にて検討したとおりであるから、甲第1号証には、「ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取ると、番組コードと併せて登録された任意のキー信号の入力が要求される段階において、パスワード(キー信号)の入力を促す表示を行う段階」が開示されている。すなわち、甲第1号証に開示された構成は、「ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取ると、パスワード(キー信号)の入力を促す表示を行う段階」ということができる。
本件発明2の「プロンプトを表示」のプロンプトについて、発明の詳細な説明に同じ表現はないが、通常プロンプトとは、操作者に何らかの操作を促すための表示のことをいうから、本件発明2の「パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する」とは、「パスワードを入力するようユーザに促す表示を表示する」という意味ととらえることができる。
してみると、甲第1号証に開示された構成においても、「パスワード(キー信号)の入力を促す表示を行」っているのであるから、「パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示」しているといえる。
また、甲第1号証に開示された「ユーザ要求を受け取ると、・・表示を行う」ことは、「ユーザ要求を受け取りに応じて、表示を行う」ことと変わりがない。
以上のことから、甲第1号証に開示された構成は、「第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する段階」ということができる。

d)プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取る段階
甲第1号証には、さらに「入力されたパスワード(キー信号)を表示する段階」が開示されている。
甲第1号証に開示された構成において「入力されたパスワード(キー信号)を表示する」ためには、VCRが「入力されたパスワード(キー信号)を」受け取っていることは明らかである。
また、上記「入力されたパスワード(キー信号)」は、操作者が、上記c)で検討したプロンプトを見て、入力したパスワード(キー信号)のことであるから、プロンプトの表示に対するユーザ入力ということができる。
したがって、甲第1号証に開示された構成は、「プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取る段階」ということができる。

e)ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する段階
甲第1号証には、「入力されたキー信号と登録されたキー信号とが一致したとき、通常のデコード動作が行われて番組が録画される段階」が開示されている。
甲第1号証の「入力されたキー信号」は、操作者が入力したパスワード(キー信号)であるから、「ユーザ入力」である。
また、甲第1号証には「パスワード(キー信号)」との記載があるから、「登録されたキー信号」は「登録されたパスワード」ということができる。
したがって、甲第1号証に開示された構成の「入力されたキー信号と登録されたキー信号とが一致」とは、「ユーザ入力が記憶したパスワードと一致」ということができる。
本件発明2の「録画予約する段階」は、「操作者が録画予約の操作をして、録画の予約が完了する段階」をいうことは明らかである。
これに対して、甲第1号証に開示された構成の「通常のデコード動作が行われて番組が録画される段階」は、録画予約時の説明であり、録画がなされるのは番組が放送されたとき(将来)である。すなわち、上記段階において、通常まだ番組は放送されていないから、「番組が録画される段階」は「(番組が放送される将来において)番組が録画できるように、番組の録画の予約が完了する段階」すなわち、「番組の録画予約が完了する段階」という意味であるから、この点で、本件発明2に対応する。
そして、甲第1号証に開示された構成において、「録画予約するために番組コードを入力」したときの番組コードに対応する番組は「第2の番組」ということができることは、上記b)にて検討したとおりである。
以上のことからみて、甲第1号証に開示された構成は、「ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する段階」るといえる。

(4)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第1発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)1.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(5)小括
以上の検討によれば、本件発明2と甲第1号証に記載された発明とは、本件発明1を引用する構成において相違するものであって、本件発明2が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

2.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項2に係る発明を無効とすることはできない。

C)本件発明3の無効理由についての判断
請求人は、本件発明3について、上記【第4】1.(3)にて、a)、b)の無効理由(以下、a)の理由を第1の理由、b)の理由を第2の理由という。)を主張しているので、この点について検討する。
1.第1の理由について
第1の理由では、甲第3号証を引用し、「本件発明3は甲第3号証に基づき新規性(特許法第29条1項3号)が欠如している」というものであるから、この点について検討する。

(1)本件発明1と甲第3発明についての検討の適用
本件発明3は本件発明1の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「基準を入力する段階は、
基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階とを含む」請求項1に記載の方法。

本件発明1を引用する構成については、上記【第6】A)3.にて検討したとおりである。

(2)甲第3号証にさらに開示された構成
甲第3号証には上記【第6】A)3.にて検討した構成に加えて、以下の構成が開示されている。

a)親コントロールの設定
甲第3発明が「親コントロールの設定」すなわち「録画禁止のための条件を入力する段階」を有することは、上記【第6】A)3.(1)c)で検討したとおりである。

b)日付カレンダーメニューの表示
甲3-6の記載によれば、「ステップ290で選択した日付で、選別する。選別を完了すると、コントローラ28は、図17で示される日付カレンダーメニュー294を表示する。日付カレンダーメニュー294は、コード、チャンネル、開始時間、特別プログラム及び題名のための欄を含む。」とあり、図17には、「カレンダー日付:2/9/91」が一番上に表示され、「コード」、「チャンネル」、「時間」、「特別」、「題名」が、横に並ぶように、表形式で番組のリストが表示される態様が記載されていることは、上記【第6】A)3.(1)b)で検討したとおりである。
以上のことから、甲第3号証には「番組のリストを表示する段階」が開示されている。
また、甲第3-5の記載によれば、表示は「TVスクリーン上」にされることが理解できる。
したがって、甲第3号証には、「番組のリストをTVスクリーン上に表示する段階」が開示されている。

c)番組の選択
【第6】A)3.(1)c)で検討したように、甲第3発明は「録画禁止のための条件を入力する段階」を有している。
上記条件を入力するための構成について、「番組を録画予約する段階」において、「日付カレンダーメニュー」から、(所望の番組を選択して)録画キーを起動することに替えて、親コントロールキーを起動すると、図18で示される「録画/視聴メニュー」を表示し、「日付カレンダーメニュー294でハイライトされた選択で親コントロールキー115を押すことによって設定」されるというものである。
そして、上記日付カレンダーメニューが「番組のリスト」であることは、上記b)にて検討したとおりであるから、日付カレンダーメニューでハイライトされるように所望の番組を選択することは、「録画禁止のための条件を番組リストから選択する段階」ということができる。

d)まとめ
以上、まとめると、甲第3号証には、さらに、以下のとおりの構成が開示されているということができる。

「録画禁止のための条件を入力する段階と、
番組のリストをTVスクリーン上に表示する段階と、
録画禁止のための条件を番組リストから選択する段階と」
を含む方法。

(3)対比
本件発明3がさらに有する構成と、甲第3号証にがさらに開示する構成とを対比する。

a)基準を入力する段階
甲第3発明の「録画禁止のための条件を入力する段階」が、本件発明の「(ブロックするための)基準を入力する段階」に対応することは上記【第6】A)3.(2)c)にて検討したとおりである。

b)基準のリストを画面に表示する段階
甲第3号証に開示された「番組のリストをTVスクリーン上に表示する段階」において、番組リストから番組の選択を行うと当該番組に対して親コントロールの設定がなされるのであるから、上記番組リストは、(録画禁止のための)条件のリストということができる。
また、甲第3号証に開示された「TVスクリーン」は、TV画面とも呼ばれることは技術常識であるから、「画面」である。
してみると、甲第3号証には、「条件のリストを画面に表示する段階」が開示されているということができる。
これとは別に、甲第3発明が「基準を入力する段階」も有していることは、【第6】A)3.(2)c)で検討したとおりであるが、当該構成は、上記「録画禁止のための条件を番組リストから選択する段階」で番組を選択することとは別に、何らかの手段で「特定のプログラム(番組)を設定することに代えて、特定の時間帯や特定のチャンネルを設定する」ことにより実現可能であると説明されているのみである。したがって、「基準を入力する段階」の具体的な説明はなく、基準のリストが表示されているか否かは不明である。
したがって、甲第3発明は「条件のリストを画面に表示する段階」を有してはいるが、「基準のリストを画面に表示する段階」を有しているとはいえない。

c)基準のリストから入力する基準を選択する段階
上記b)にて検討したとおり、「基準のリストを画面に表示する段階」を有していないから、「基準のリストから入力する基準を選択する段階」も有しているということはできない。

(4)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第3発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)3.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(5)小括
以上の検討によれば、本件発明3と甲第3号証に開示された発明とは、本件発明1を引用する構成、および、上記(3)にて検討した甲第3号証が有していない構成において相違するものであって、本件発明3が甲第3号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

2.第2の理由について
(1)請求人の主張の主旨
第2の理由について請求人の主張の主旨は、
審判請求書85頁下から7行-86頁14行「予備的な主張として、本件特許発明1を甲第1号証により新規性欠如とした場合、甲第1号証(主引例)に甲第3号証の記載または甲第4号証の1の記載を適用することにより、本件特許発明1に従属する本件特許発明6は、当業者が容易に想到することができるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、その特許は同法第123条第1項に該当し、無効とすべきものである。
また、別の予備的な主張として、本件特許発明1を甲第2号証により新規性欠如とした場合、甲第2号証(主引例)に甲第4号証の1の記載を適用することにより、本件特許発明1に従属する本件特許発明6は、当業者が容易に想到することができるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、その特許は同法第123条第1項に該当し、無効とすべきものである。
以下、甲第1号証に甲第3号証の記載または甲第4号証の1の記載を適用すること、もしくは、甲第2号証に甲第4号証の1の記載を適用することにより、本件特許発明6は進歩性が欠如することを説明する。
(6)-3 甲第1号証に甲第3号証の記載を適用する場合について
本件特許発明6は、本件特許発明1に従属するものであり、上記「(1)-1 本件特許発明1と甲第1号証との対比」の欄で説明したように、本件特許発明1は甲第1号証に一致し、また、上記の「(6)-1 本件特許発明6と甲第3号証との対比」の欄で説明したように、本件特許発明6は甲第3号証に一致する。
よって、甲第1号証および甲第3号証の記載に、本件特許発明1に従属する本件特許発明6の構成要件の全ては開示されている。」

同87頁13行-89頁5行「(6)-4 甲第1号証に甲第4号証の1の記載を適用する場合について
本件特許発明6の構成要件6A、6Bは、甲第4号証の1(甲第4号証の2)の記載にも一致する。
・・・・・・
これらの事項が本件特許発明6の構成要件6A、6Bに一致する。
また、本件特許発明6は、本件特許発明1に従属するものであり、上記「(1)-1 本件特許発明1と甲第1号証との対比」の欄で説明したように、本件特許発明1は甲第1号証に一致し、また、上述したように、本件特許発明6は甲第4号証の2の記載に応じた甲第4号証の1の英文内容が一致する。
以上のことから、甲第1号証および甲第4号証の1の記載に、本件特許発明1に従属する本件特許発明6の構成要件の全ては開示されている。」

同90頁1行-7行「(6)-5 甲第2号証に甲第4号証の1の記載を適用する場合について
本件特許発明6は、本件特許発明1に従属するものであり、上記「(1)-3 本件特許発明1と甲第2号証との対比」の欄で説明したように、本件特許発明1は甲第2号証に一致し、また、上述したように、本件特許発明6は甲第4号証の2の記載に応じた甲第4号証の1の英文内容に一致する。
よって、甲第2号証および甲第4号証の1の記載に、本件特許発明1に従属する本件特許発明6の構成要件の全ては開示されている。」
(合議体注:上記「本件特許発明6」は訂正前の請求項であり、訂正後の「本件発明3」に対応している。以下、当審決において、審判請求書の記載を、そのまま引用した箇所について、訂正前の請求項1、2、6、7、8、9、10、11、12、13、14、18、19、20、21、22、23、24が、それぞれ、訂正後の請求項1ないし18に対応するから、そのように読み替える。)

の記載を参酌すれば、本件発明1を引用する本件発明3の構成の、上記引用する構成は、甲第1発明、および、甲第2発明と一致し、甲第3号証、甲第4号証には、本件発明3がさらに有する構成が記載されているから、該甲第3号証、甲第4号証に記載された技術事項を甲第1発明に適用すること、または甲第2発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用することにより、本件発明3は容易に発明をすることができたというものである。

(2)本件発明1と甲第1発明についての検討の適用
本件発明3は本件発明1の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「基準を入力する段階は、
基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階とを含む」請求項1に記載の方法。

本件発明1を引用する構成については、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。

(3)甲第3号証にさらに開示された構成と本件発明3がさらに有する構成について
甲第3号証には、本件発明3がさらに有する構成が記載されていないことは上記【第6】C)1.にて検討したとおりである。

(4)甲第4号証に記載された技術事項と本件発明3がさらに有する構成について
a)甲第4号証に開示された技術事項
甲4の2-3によれば、甲第4号証には「各番組内容のための予定情報データベースは、親の指導カテゴリー内の番組内容確認に対応するファイルを持つ。操作の間、マイクロコントローラは、このファイルをユーザーの指令に応じて検閲し、注文または表示機能により、番組を同調または注文させ、或いは同調が実行される前に、それに対応する予定情報を表示させる。番組予定情報データベース記録内の親の指導識別が、図30に示される起動した親の指導識別のいずれか一つに合致すると、システムが何らかの更なる動作をなす前に、ユーザーは直ちに四桁のキーロック アクセス コードを入力する。入力されたコードが、ユーザーにより上記のように予め入力されて記憶されたキーロック アクセス コードに合致すると、システムは、ユーザーの要求により、番組の同調、番組の注文、または番組に対応する予定情報の表示を実行する。コードがシステムに承認されないと、更なる動作はなされず、ユーザーの要求は拒否される。」と記載されている。
甲4の2-3の記載事項は「親の指導識別が、図30に示される起動した親の指導識別のいずれか一つに合致すると、アクセスコードの入力が必要となり、アクセスコードがシステムに承認されないと番組の同調、番組に対応する予定情報の表示が行われない」というものであるから、親の指導識別は、番組に対するアクセスを制限する基準ということができる。
そして、甲4の2-2の記載によれば、甲第4号証には「図7に示された第一のオプションは「親」オプション70であり、これはまた「キー ロック アクセス」オプションも表現する。ひとたびこのオプションがユーザーにより初期選択されると、システムは、図30に示されるような「キー ロック アクセス」サブメニューを表示する。
キー ロック アクセス サブメニューは、ここに検討された詳細な態様におけるユーザー特定四桁コードからなるアクセスコード「キー」を入力したユーザーの要求により、予め選択されたチャンネル及び番組または番組の前に、ユーザーに対して個々のチャンネル及び番組または番組の制御アクセスを許可する。図30に示されるメニュー表示は、ユーザーにより選択的に垂直Y軸に入力される目的カテゴリーの列を示す。特定の目的カテゴリーは、リモートコントローラ40の上または下向き矢印キーの使用により、所望の入力を強調して選択される。ユーザーが特定の目的カテゴリーを選択すると、左右矢印キーが選択されたカテゴリー内の操作に使用される。図30に示される第一の目的入力は、「親の指導」カテゴリー301である。ユーザーが、カーソルの操作により入力を強調し、このカテゴリーを選択すると、カーソルは水平に能動ウィンドゥ302へ水平移動でき、このウィンドゥ302は第五の五文字格付け項目の一つを表示及び選択する。番組内容の文字項目表示格付けは以下の通りである。「V」は暴力(violence)、「N」は裸体(nudity)、「L」は語学(language)、「AS」は成人番組(adult situation)、「PD」は親の裁量(parental discretion)である。ユーザーが、右方向矢印キーの使用、エンターキーを押すことにより、特定の項目、例えば「L」を選択すると、マイクロコントローラ16に、暴力か明らかな語学(language)を示す「L」で表される番組のためにキーロック アクセスが選択されたことが指示される。システムは、「L」カテゴリー表示の直下にキー アイコンを表示させることにより、キーロック アクセスの起動を示す。キーロック アクセスが設定されると、これは、カテゴリー文字を選択し、次いでエンターキーを押すことにより、起動終了する。」と記載されている。
そして、図30を参酌すると、縦に「Parental Guidance」、「MPAA Rating」、「Channel Block」と表示され、それぞれの表示の右に、それぞれの表示に対応するように、「L-Language」、「PG」、「KWGN」が表示されている。すなわち、目的カテゴリーとそれに対応した第五の五文字格付け項目が一行ごとに対応して表示されているから、目的カテゴリとそれに対応した第五の五文字格付け項目がリスト表示されている。
甲4の2-2には、上記甲4の2-3で「番組に対するアクセスを制限する基準」として用いられる「親の指導識別の項目」を設定する動作が記載されていると認めることができる。
そして、図30も参酌すると、上記項目の設定は、目的カテゴリとそれに対応した第五の五文字格付け項目がリスト表示されている状態で、右方向・左方向矢印を利用して特定の項目を選択しエンターキーを押すことにより行っているのであるから、基準である特定の項目を選択している。

以上のことから、甲第4号証には、
「番組に対するアクセスを制限する基準を設定する動作は
番組に対するアクセスを制限する基準である項目をリスト表示し、
上記項目がリスト表示されている状態で特定の項目を選択することにより設定される」
構成が開示されている。

b)対比
本件発明3の「基準」は「番組をブロックする基準」であり、上記基準に基づき番組に対するアクセスの制限を行っているといえるから、甲第4号証の「番組に対するアクセスを制限する基準」は、本件発明3の「(番組をブロックする)基準」と共通する。
そして、甲第4号証において、
「番組に対するアクセスを制限する基準を設定する」、
「番組に対するアクセスを制限する基準である項目をリスト表示」、
「上記項目がリスト表示されている状態で特定の項目を選択することにより設定される」、
動作を実現するためには、上記動作が実行される段階を有していることは明らかである。
また、基準を設定するということは、当該設定を入力することである。
してみると、甲第4号証には、
「(番組をブロックする)基準を入力する段階は
(番組をブロックする)基準である項目をリスト表示する段階、
上記項目がリスト表示されている状態で特定の項目を選択する(ことにより入力される)段階」が記載されているのであり、本件発明3がさらに有する構成である
「基準を入力する段階は、
基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階とを含む」
ことが開示されているといえる。

(5)甲第1発明に甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第1発明と甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第1発明に甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第1発明に、甲第3号証、甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明3がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明3がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明3がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明3がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(6)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第1発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)1.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第3号証及び甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(7)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明3は、上記【第6】A)1.にて検討した相違点の構成において、甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

(8)本件発明1と甲第2発明についての検討の適用
本件発明3は本件発明1の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「基準を入力する段階は、
基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階とを含む」請求項1に記載の方法。

本件発明1を引用する構成については、上記【第6】A)2.にて検討したとおりである。

(9)甲第4号証に記載された技術事項と本件発明3がさらに有する構成について
甲第4号証には、本件発明3がさらに有する構成に対応する構成が記載されていることは上記(4)にて検討したとおりである。

(10)甲第2発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第2発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第2発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第2発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明3がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明3がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明3がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明3がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(11)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第2発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)2.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(12)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明3は、上記【第6】A)2.にて検討した相違点の構成において、甲第2号証および甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項3に係る発明を無効とすることはできない。

D)本件発明4の無効理由についての判断
請求人は、本件発明4について、上記【第4】1.(4)にて、a)、b)の無効理由(以下、a)の理由を第1の理由、b)の理由を第2の理由という。)を主張しているので、この点について検討する。

1.第1の理由について
(1)請求人及び被請求人の主張の主旨
第1の理由について請求人の主張の主旨は、「本件発明4がさらに有する構成は、発明の詳細な説明に記載されておらず、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」というものである。
これに対して、被請求人は、当該構成は「本件特許明細書(甲第5号証)の第5頁第43行?末行および第2図B」(答弁書9頁下から4行-5行)に記載されている旨主張している。
したがって、本件発明4がさらに有する構成の、明確性について検討するとともに、サポート要件の充足性について、上記本件特許明細書の記載に基づいて検討する。

(2)本件発明4がさらに有する構成
本件発明4は本件発明1を引用し以下の構成を有する。
「基準を入力する段階は、
第1のパスワードを記憶する段階と、
ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階と、
プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階と、
基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階と、
一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階とを含む」、請求項1に(記載の)方法。

(3-1)本件発明4の明確性(特許法第36条第6項第2号)について
上記本件発明4の構成を分説して考える。
本件発明4は、以下のa)ないしg)の段階を有している。

a)基準を入力する段階は、
b)第1のパスワードを記憶する段階と、
c)ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階と、
d)プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階と、
e)基準のリストから入力する基準を選択する段階と、
f)基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階と、
g)一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階

上記各段階は、一連の動作として順次動作するものととらえるのが普通であるから、a)の段階からg)の段階までが順次生じるととらえるべきである。
そのようにとらえると、各段階は以下のように解釈できる。
a)「基準を入力する段階は、」
上記記載は、本件発明4が引用する請求項1の「基準を入力する段階」を、さらに詳細に限定することを意味するものである。
b)「第1のパスワードを記憶する段階」
上記段階は、発明の詳細な説明の【0015】にあるような、親パスワードを新規作成することである。
c)「ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階」
上記段階は、以下の段階に進むためにユーザにパスワードを入力させるための表示を行うことである。
d)「プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階」
上記段階c)にて正しいパスワードを入力すると基準を選択できるようにリスト表示を行うことである。
e)「基準のリストから入力する基準を選択する段階」
上記表示された基準のリストから一つの基準を選択することである。
f)「基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階
上記段階e)で基準を選択し、選択した基準について、何らかの設定入力を行った後、それが終了すると、上記e)で表示した基準のリストを削除(画面から消去)することである。
g)「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階」
上記e)で選択しf)で設定入力した基準とは異なる基準については、(上記c)、d)にてパスワードを入力したこととは別に)一致するパスワードを入力するまで選択することができないという意味ととらえることができる。

すなわち、本件発明4は、上記のように各段階が順次生じるという意味において明確である。
したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項2号の規定に適合していない、ということはできない。

(3-2)サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について
上記のとおり、本件発明4は一応明確であるということができるから、以下、上記(3-1)にて検討した構成が発明の詳細な説明に記載されているか検討する。
(3-2-a)本件特許明細書の記載事項
被請求人が主張する本件特許明細書には、以下のとおりの記載がある。
「【0016】
図2Bは、メインメニュー50から親パスワードが設定されユーザーが正しいパスワードを入力した時点でユーザーに示される親制御メニュー54の好ましい実施形態を示す。ユーザーは、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別にTV番組をロックすることができる。例えば、時間別にロックすることを望む場合、ユーザーはカーソルを「時間別ロック」の場所に移動させることができ、SELECTキーを入力する。代替的には、番組がロックされた場合、ユーザーは、ロックされていた全ての番組をロック解除できる。」

(3-2-b)判断
上記(3-1)で検討したとおり、本件発明4は、
「プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階」(以下、段階Aという。)があって、
「基準のリストから入力する基準を選択する段階」(同段階Bという。)を経て、
「基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階」(同段階Cという。)の後
「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階」(同段階Dという。)
に至るというものであって、上記各段階が一連の動作として順次動作するものととらえるべきである。
被請求人は、「ユーザが正しいパスワード(すなわち、一致するパスワード)入力した場合にのみ、ユーザが、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別に、TV番組をロックすることができることが記載されている。正しくないパスワード(すなわち、一致しないパスワード)が入力された場合には、ユーザが図2A?図2Gの選択オプションにアクセスすることが許可されないことから、どの基準も(すなわち、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別のうちのどの基準も)選択することができないことは明らかである。」と主張する。
しかし、段階Dにて「他の基準の選択をさせない」とあるから、上記段階A?段階Cには、他の基準ではない基準について、基準を選択する(受け付ける)動作をしていることが記載されているというべきである。
そして、特許明細書【0017】?【0019】には他の基準ではない基準を選択する例として、以下のとおり記載されている。
「【0017】
図2Cは、ユーザーが「チャンネルによるロック機能」を選択した時点で示されるポップアップ56の好ましい一実施形態である。
【0018】
この好ましい実施形態においては、ポップアップ56は、ユーザーが利用可能な全てのチャンネルのリストを含む。ユーザーがポップアップ56に適合するよりも多くのチャンネルを有する場合、インジケータ又はスクロールバーがポップアップのコーナーに示され、ユーザーに対しより多くのチャンネルを表示するべくさらに右へ又はさらに下へ移動するように命令する。ユーザーは、ポップアップ56内を移動するため前述の矢印キーを使用することができる。ユーザーがチャンネルをハイライトさせて選択した後、そのチャンネルがロックされる。そのチャンネルがロックされていることを示すためチャンネルアイコンの隣にロック記号が置かれることになる。
【0019】
チャンネルをロック解除するためには、ユーザーは、ロックされたチャンネルをハイライトさせて選択することができる。そのとき、チャンネルアイコンの隣のロック記号は消え、ロックが除去されたことを示す。ユーザーは、親制御メニューのポップアップ54に戻るべくEXITキーを使用することができる。」
上記記載において「ユーザーは、親制御メニューのポップアップ54に戻るべくEXITキーを使用することができる」とは、いいかえれば「ユーザがEXITキーを使用(操作)すると、ポップアップ56を削除し、親制御メニューのポップアップ54に戻る」ということができる。
上記記載において、
ポップアップ56のチャンネルリストが表示される段階が上記段階Aに相当し、
ユーザーがチャンネルをハイライトさせて選択する段階が上記段階Bに相当し、
ユーザがEXITキーを使用(操作)するとポップアップ56を削除する段階が構成Cに相当する、
と認めることができる。
してみると、「(ポップアップ56を削除し)親制御メニューのポップアップ54に戻」った状態が段階Dに対応すると認めることができる。
すなわち、他の基準ではない基準について、段階A?段階Cにて選択を行い、当該選択が終了して他の基準の選択を行おうとして、親制御メニューのポップアップ54に戻ることを本件発明4としていると認めることができる。
上記「親制御メニューのポップアップ54」について、発明の詳細な説明には「図2Bは、メインメニュー50から親パスワードが設定されユーザーが正しいパスワードを入力した時点でユーザーに示される親制御メニュー54の好ましい実施形態を示す。ユーザーは、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別にTV番組をロックすることができる。例えば、時間別にロックすることを望む場合、ユーザーはカーソルを「時間別ロック」の場所に移動させることができ、SELECTキーを入力する。」(【0016】)と記載されているから、既に正しいパスワードの入力がなされており、基準(チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別)の選択(入力)が可能な状態である。
すなわち、親制御メニューのポップアップ54に戻った状態では、新たにパスワードを入力しなくとも、他の基準を選択できる状態であるから、発明の詳細な説明では、「(ポップアップ56を削除し)親制御メニューのポップアップ54に戻り、新たにパスワードを入力しなくとも、他の基準を選択できる」ことが記載されている。
これに対して、本件発明4は「基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階」の後「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階」となる構成であるから、上記発明の詳細な説明に記載された内容と異なる。また、本件発明4に対応する発明の詳細な説明を他に見つけることができない。
よって、本件発明4は本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号の規定に適合していない。

また、本件発明4と対応する技術事項について発明の詳細な説明に記載がないのであるから、当該技術事項について、当業者が実施できる程度に発明の詳細な説明に当該技術事項が開示されているということはできず、特許法36条第4項の規定に適合していない。

(4)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明4は、特許法第36条第6項第1号、同法36条第4項の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、願書に添付した特許請求の範囲の請求項4についての特許は、同法123条1項4号の規定に該当し無効とすべきである

2.第2の理由について
(1)請求人の主張の主旨
第2の理由について請求人の主張の主旨は、
審判請求書91頁9行-20行「(7)本件特許発明7について
本件特許発明7の構成要件7A?7Fと、甲第1号証および甲第4号証の1(甲第4号証の2)の記載事項とを対比すると、構成要件7A、7Bは甲第1号証の記載に一致すると共に、構成要件7C?7Fは甲第4号証の1(甲第4号証の2)の記載に一致する。
また、本件特許発明7の構成要件7A?7Fと、甲第3号証および甲第4号証の1(甲第4号証の2)の記載事項とを対比すると、構成要件7A、7B、7D、7Eは甲第3号証の記載に一致すると共に、構成要件7C、7Fは甲第4号証の1(甲第4号証の2)の記載に一致する。
よって、甲第1号証(主引例)に甲第4号証の1の記載を適用すること、または、甲第3号証(主引例)に甲第4号証の1の記載を適用することにより、本件特許発明7は、進歩性が欠如することを以下に説明する。」

の記載を参酌すれば、本件発明1を引用する本件発明4の構成の、上記引用する構成は、甲第1発明、および、甲第3発明と一致し、加えて、本件発明4がさらに有する構成については甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証に記載されているから、甲第4号証に記載された技術事項を、甲第1発明または甲第3発明に適用すれば、本件発明4は容易に発明をすることができたというものである。

(2)本件発明1と甲第1発明についての検討の適用
本件発明4は本件発明1の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「基準を入力する段階は、
第1のパスワードを記憶する段階と、
ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階と、
プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階と、
基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階と、
一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階とを含む」、請求項1に(記載の)方法。

本件発明1を引用する構成については、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。

(3)甲第4号証に記載された技術事項と本件発明4がさらに有する構成について
a)甲第4号証に記載された技術事項
甲4の2-7の記載によれば「図39に示されるように、ロックアウトスクリーン250を入力するには、ユーザーは、リモートコントローラ40上で数字桁キー42及びエンターキー44を使用して複数桁ロックアウトコードを入力せねばならない。」とあり、甲4の2-8の記載によれば「ロックアウトコード入力に好適なメニューが図40Aに示されている。」とあり、甲4の2-9の記載によれば「図40のセットアップスクリーン260において、ユーザーはロックアウトコードカテゴリー265を操作し、新たなロックアウトコードを設定でき、これは、リモートコントローラ40上のキーの適切な操作及び選択によりなされる。ロックアウトコード入力に好適なメニューが図40Aに示されている。ひとたびロックアウトコードが与えられると、予めロックされた番組を見る際、或いは、ロックアウトコードの消去または変更など、ロックの設定または変更には、ロックアウトコードを使用せねばならない。ユーザーがロックアウトコードを忘れてしまい、それを消去せねばならない場合、ロックアウトコードが記憶されたメモリー位置には、例えば地方ケーブル会社によりアクセス可能である。
ロックアウトコードが入力され、図39のロックアウト スクリーン250が表示されると、スクリーン内の操作は、リモートコントローラ40上の方向キー43A及び43Bにより制御される。上向き及び下向きキー43Aを選択カーソルへ移動させると、映画評価251、親の指導252、チャンネル253、ロック番組254またはロックアウトコード255カテゴリーのいずれも選択できる。次いで左向き及び右向きキー43Bが選択されたカテゴリー内の操作に使用される。」とある。
そして、図40Aには「ロックアウトコード入力に好適なメニュー」として、「一部のチャンネル又は番組を制限するためリモートコントローラで4桁数字を入力してください。」とあるように、4桁数字の入力を促す表示の例が記載されている。
上記記載によれば「ユーザがロックアウトコードを設定すると、ロックの設定または変更にはロックアウトコードを使用しなければならず、図40Aの表示を見て、リモートコントローラ40上で数字桁キー42及びエンターキー44を使用して複数桁ロックアウトコードを入力すると、親の指導が選択できる。」というものである。
ユーザがロックアウトコードを設定するということは、設定したロックアウトコードを記憶することは明らかである。
ロックアウトコードを設定した後は、上記ロックアウトコードを入力しないと「親の指導」が選択できないのであるから、上記ロックアウトコードは「親の指導」を選択するためのパスワードということができる。
そして、上記パスワードの入力は、図40Aに示されるような、パスワードの入力を促す画面表示を見てなされるから、操作者に対して、パスワードの入力を促す画面表示を行っているということができる。さらに、「パスワードの入力を促す画面表示」が「パスワードを入力するプロンプトを画面に表示」と対応することは、上記【第6】B)1.(3)c)にて検討したとおりである。
上記「親の指導」は、上記【第6】C)2.(4)にて検討したとおりブロック基準の一つであり、「親の指導」が選択できるということは、ブロック基準を入力する段階を選択することが可能になるということである。
また、甲第4号証において、ブロック基準を入力する段階は、基準のリストを画面に表示し、基準のリストから入力する基準を選択することであることも上記【第6】C)2.(4)にて検討したとおりである。
以上のことからみて、甲第4号証には
「基準を入力する段階は、
第1のパスワードを記憶する段階と、
ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階と、
プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階と、」
に対応する構成が開示されているということができる。
しかしながら、甲第4号証には、
「基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階」
「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階」
について記載がない。

(4)甲第4号証に記載がない構成について
a)基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階
請求人は上記段階について、審判請求書94頁10行-95頁下から7行にて
「 (7)-1-5 構成要件7Eの対比
構成要件7Eは「基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階と、」である。
甲第4号証の1は、(甲4の1-10)に『0nce an individual title has been locked out, the microcontroller can be programmed optionally to display an appropriate lockout icon, such as a padlock, whenever program schedule information for the locked program is to be displayed, ・・・』という記載を有する。
上記の(甲4の1-10)の和訳として、甲第4号証の2は、(甲4の2-10)に『個々のタイトルがロックアウトされると、マイクロコントローラは、ロックプログラムのための番組予定情報を表示すべきときはいつでも、・・・』という記載を有し、この記載から、ロックアウトの設定が完了すると、マイクロコントローラは、番組予定情報等の次の表示に関する処理を行うことが読み取れる。
また、甲第4号証の1は、下記の図36のFIG.36Dで各メニューの遷移が示されており、番組アクセス制御に関する「キーアクセス」のメニューについての遷移も示されている。
また、画面に表示されるメニューにおいて、所定の入力が完了すれば、そのメニューの役目は終了するので、メニューが画面から削除されるのは技術常識である。
以上のことから、技術常識を参酌すれば、(甲4の2-10)の記載および図36のFIG.36Dが示す内容より、図39のロックアウトスクリーン250で所定の入力が完了すれば、画面の表示内容が遷移することは導き出される。
よって、(甲4の1-10)の英文内容およびFIG.36Dが示す内容から、技術常識を参酌して導き出せる事項が、構成要件7Eに一致する。」
と述べている。
しかしながら、画面の削除については「また、画面に表示されるメニューにおいて、所定の入力が完了すれば、そのメニューの役目は終了するので、メニューが画面から削除されるのは技術常識である。」
と述べるだけで、当該構成について具体的な開示があることを示しておらず、また、当該構成について技術常識であることも示していない。
したがって、請求人が指摘する甲第4号証の記載から技術常識を参酌して導き出せる事項が、上記段階に一致するということはできない。

b)一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階
請求人は上記段階について、審判請求書95頁下から6行-96頁下から4行にて、
「 (7)-1-6 構成要件7Fの対比
構成要件7Fは「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階とを含む、請求項1に方法。」である。
甲第4号証の2は、上記「(7)-1-3 構成要件7Cの対比」の欄で説明したように、(甲4の2-8)に『ロックアウトコード入力に好適なメニューが図40Aに示されている。ひとたびロックアウトコードが与えられると、予めロックされた番組を見る際、或いは、ロックアウトコードの消去または変更など、ロックの設定または変更には、ロックアウトコードを使用せねばならない。ユーザーがロックアウトコードを忘れてしまい、それを消去せねばならない場合、ロックアウトコードが記憶されたメモリー位置には、例えば地方ケーブル会社によりアクセス可能である。ロックアウトコードが入力され、図39のロックアウトスクリーン250が表示されると、・・・』と云う記載を有する。
この(甲4の2-8)の記載からは、「図40A(下記参照)で示されるメニューに対して一致するロックアウトコードを入力すると、図39のロックアウトスクリーンが表示される」という事項が分かり、この事項からは、「図40Aで示されるメニューに対して一致するロックアウトコードを入力するまで、図39のロックアウトスクリーンは表示されない」という旨が導き出せる。
そして、図39のロックアウトスクリーン250が表示されなければ、ロックアウトスクリーン250で示される各種基準は選択できないことから、結局、「一致するロックアウトコードを入力するまで、ロックアウトスクリーン250で示される各種基準は選択できない」という旨を読み取ることができ、この旨が構成要件7Fに一致する。
よって、(甲4の2-8)から読み取れる旨に応じた(甲4の1-8)の英文内容が、構成要件7Fに一致する。」
と述べている。
しかしながら、上記記載は、「ロックアウトコードが入力され、図39のロックアウト スクリーン250が表示され・・選択カーソルへ移動させると、映画評価251、親の指導252、チャンネル253、ロック番組254またはロックアウトコード255カテゴリーのいずれも選択できる。」状態にて、「映画評価251、親の指導252、チャンネル253、ロック番組254またはロックアウトコード255」のいずれかのカテゴリーについて、基準を入力した後、他のカテゴリーについて基準を入力しようとしたとき再び、パスワードの入力が必要であることについては開示がない。
本件発明4は上記【第6】D)1.にて検討したとおり、他の基準ではない基準について、段階A?段階Cにて選択を行い、当該選択が終了して、他の基準の選択を行おうとしたとき、「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階」となるものであるが、甲第4号証には、上記で検討したとおり、いずれかのカテゴリーについて、基準を入力した後、他のカテゴリーについて基準を入力しようとしたとき再び、パスワードの入力が必要であることについては開示がないのであるから、本件発明4の「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階」が記載されているということはできない。

(5)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第1発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)1.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(6)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明4は、上記【第6】A)1.にて検討した相違点の構成、および、上記(4)にて検討した甲第4号証に記載がない構成において、甲第1号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

(7)本件発明1と甲第3発明についての検討の適用
本件発明4は本件発明1の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「基準を入力する段階は、
第1のパスワードを記憶する段階と、
ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階と、
プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階と、
基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階と、
一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階とを含む」、請求項1に(記載の)方法。

本件発明1を引用する構成については、上記【第6】A)3.にて検討したとおりである。

(8)甲第4号証に記載された技術事項と本件発明4がさらに有する構成について
甲第4号証には、本件発明4がさらに有する構成について、上記(4)にて検討した点において記載されていない。

(9)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第3発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)3.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(10)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明4は、上記【第6】A)3.にて検討した相違点および、上記(4)にて検討した構成において、甲第3号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由a)(第1の理由)によって、本件特許の請求項4に係る発明を無効とすべきである。

E)本件発明5の無効理由についての判断
請求人は、本件発明5について、上記【第4】1.(5)の無効理由を主張しているので、この点について検討する。

1.本件発明5と甲第1発明、甲第3発明、甲第4号証について
請求人の主張の主旨は、
審判請求書102頁9行?下から3行の記載によれば、
「 (8)-2 本件特許発明8の対比のまとめ
以上のように本件特許発明8の構成要件8Aは、甲第4号証の1(甲第4号証の2)の記載に一致する。
また、本件特許発明8は本件特許発明1に従属し、本件特許発明1が甲第1号証または甲第3号証のいずれの記載にも一致することは、上記の「(1)本件特許発明1について」の欄で説明したとおりである。
そして、甲第1号証に甲第4号証の1の記載を適用できる動機付けが存在することは、上記の「(6)-4 甲第1号証に甲第4号証の1の記載を適用する場合について」の欄で説明したとおりであり、甲第3号証に甲第4号証の1の記載を適用できる動機付けが存在することは、上記の「(7)-2-7 甲第3号証に甲第4号証の1の記載を適用できる動機付けについて」の欄で説明したとおりである。
以上のことから、甲第1号証に甲第4号証の1記載を適用すること、または、甲第3号証に甲第4号証の1の記載を適用することにより、本件特許発明8は、当業者が容易に想到することができるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、その特許は同法第123条第1項に該当し、無効とすべきものである。」
というものである。
すなわち、本件発明1を引用する本件発明5の構成の、上記引用する構成は、甲第1発明、および、甲第3発明と一致し、本件発明5がさらに有する構成は、甲第4号証に記載されているから、該甲第4号証に記載された技術事項を、甲第1発明または甲第3発明に適用すれば、本件発明5は容易に発明をすることができたという主張であると認めることができるから、以下、当該主張について検討する。

2.甲第1発明と甲第4号証の組み合わせについて
(1)本件発明1と甲第1発明についての検討の適用
本件発明5が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。

(2)本件発明5がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
本件発明5は本件発明1を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「基準を入力する段階では番組の格付けを入力する」、請求項1に記載の方法。

本件発明5がさらに有する構成の「番組の格付け」について発明の詳細な説明を参酌すると、「格付けはアメリカ映画協会により設定されたものに対応することから、ステップ160は格付け/MPAAロックについて検査する。」(【0033】)とある。
これに対して、甲4の2-4には「カーソルの操作により、方向矢印キーを使用して第二の入力「MPAA 評価」308を強調すると、ユーザーは、図30にも示されるように、これら「MPAA 評価」に基づく番組のためのキーロック アクセスをも設定できる。親の指導カテゴリーと共に、MPAA 評価カテゴリーが選択されると、ユーザーはカテゴリー内で能動ウィンドゥ306を水平移動させて、五つの評価コード、即ち、「G」は一般視聴者(general audience)向け、「PG」は親の指導(parental guidance)向け、「PG-13」は、親の指導に、13歳未満の者は保護者同伴でなければ見てはいけないことを示唆するもの、「R」は禁止、「X」はX-評価の一つを選択できる。親の指導カテゴリーでは、特定の評価の選択、能動ウィンドゥに特定の評価コードが表れるまでの左右方向矢印キーの使用、次いでエンター キーを押すことにより、ユーザーは、評価のためのキーロック アクセスを設定でき、」とあるから、番組ロックのために入力する基準として、本件発明5がさらに有する構成が開示されている。

(3)甲第1発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第1発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第1発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第1発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明5がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明5がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明5がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明5がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第1発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)1.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明5は、上記【第6】A)1.にて検討した相違点の構成において、甲第1号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.甲第3発明と甲第4号証の組み合わせについて
(1)本件発明1と甲第3発明についての検討の適用
本件発明5が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)3.にて検討したとおりである。

(2)本件発明5がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
甲第4号証に本件発明5がさらに有する構成が開示されていることは、上記(2)にて検討したとおりである。

(3)甲第3発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第3発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第3発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第3発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明5がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明5がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明5がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明5がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第3発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)3.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明5は、上記【第6】A)3.にて検討した相違点の構成において、甲第3号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項5に係る発明を無効とすることはできない。

F)本件発明6の無効理由についての判断
請求人は、本件発明6について、上記【第4】1.(1)の無効理由を主張しているので、この点について検討する。

1.本件発明6と甲第1発明について
(1)本件発明1と甲第1発明についての検討の適用
本件発明6が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。

(2)本件発明6がさらに有する構成と甲第1号証に記載された技術事項
本件発明6は本件発明1を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「基準を入力する段階ではチャンネルの識別情報を入力する」、請求項1に記載の方法。

すなわち、「ブロック基準」として、「チャンネルの識別情報」を入力するというものである。
これに対して、甲第1発明は「任意の番組コードを入力」することにより、ブロック基準を入力している。
請求人は、甲第1号証の「【0003】ところで深夜の時間帯等において、特に年少者等の視聴に好ましくない番組が放送されることがある。そこで従来から時間帯やチャンネルを設定して、この設定された時間帯やチャンネルの番組は録画できないようにする方法が実施されている。しかしながらこれらの方法では、一律に録画が禁止されるために、設定された時間帯やチャンネルで有益な番組が放送された場合もこれを録画することができなくなってしまう。この発明はこのような点に鑑みて成されたものである。」の下線部の記載をもとに、本件発明6がさらに有する構成が開示されていると述べているが、甲第1発明は、上記下線部のような「時間帯やチャンネルを設定」して録画ができないようにすると「一律に録画が禁止されるために、設定された時間帯やチャンネルで有益な番組が放送された場合もこれを録画することができなくなってしまう。」という課題が存在し、当該課題を解決するために、番組コードを入力することにより、「設定が個々の番組で行われるので、不都合を生じることなく任意の番組の録画の禁止を行うことができるように」(甲第1号証【0027】参照)したものであるから、当該下線部の構成を、甲第1発明に採用することは記載されているということができない。

(3)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第1発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)1.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明6と甲第1号証に記載された発明とは、本件発明1を引用する構成、および、本件発明6がさらに有する構成において相違するものであって、本件発明6が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

2.本件発明6と甲第2発明について
(1)本件発明1と甲第2発明についての検討の適用
本件発明6が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)2.にて検討したとおりである。

(2)本件発明6がさらに有する構成と甲第2号証に記載された技術事項
本件発明6は本件発明1を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「基準を入力する段階ではチャンネルの識別情報を入力する」、請求項1に記載の方法。

すなわち、「ブロック基準」として、「チャンネルの識別情報」を入力するというものである。
本件発明6のブロック基準としてチャンネルの識別情報を入力することに関する発明の詳細な説明の記載は「図2Bは、メインメニュー50から親パスワードが設定されユーザーが正しいパスワードを入力した時点でユーザーに示される親制御メニュー54の好ましい実施形態を示す。ユーザーは、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別にTV番組をロックすることができる。例えば、時間別にロックすることを望む場合、ユーザーはカーソルを「時間別ロック」の場所に移動させることができ、SELECTキーを入力する。代替的には、番組がロックされた場合、ユーザーは、ロックされていた全ての番組をロック解除できる。」(【0016】)とあり、図2Bをみると、「親制御」なる表示が枠に囲われて最上部にあり、その下に、大きな枠に囲われて、小さな枠に単独で囲われた「全てのロックの解除」、「チャンネル別ロック」、「格付け/内容別ロック」、「時刻別ロック」が4行にわたって表示され、大きな枠の下に、「以前に選択した全てのロックを一時的に解除します。」の表示がある。
そして、【0017】-【0019】の記載を見れば、「チャンネル別ロック」を選択した時には、ブロックの基準として、図2Cに記載されるような、チャンネル一覧から、ロックするチャンネルを選択することが可能であることが理解できる。
また、【0022】、【0023】及び図2Eには、「時刻別ロック」についての説明がある。
発明の詳細な説明の記載によれば、上記「チャンネル別ロック」及び「時刻別ロック」はそれぞれが独立していて、これらを組み合わせて番組をブロックする基準とすることについての記載はない。
すなわち、本件発明6の「基準を入力する段階ではチャンネルの識別情報を入力する」とは、基準を入力する段階で、チャンネルの識別情報のみを入力するとブロックする基準を入力する段階が完結することをいうものであると認めることができる。
これに対して、甲2-4には「なおメモリ(16)への録画禁止時間帯の設定は、例えば設定キー(12)の登録キーを押しながら任意の暗証番号等をテンキーで操作することにより設定モードとされ、以後タイマー録画の設定と同じ要領で録画禁止時間帯の開始時刻、チャンネル、終了時刻を設定する。さらに設定後再度登録キーを押すなどして設定モードを解除する。」と記載されており、録画禁止の基準として、チャンネルを入力することは記載されているが、上記チャンネルの入力は、時刻の入力と組み合わせて一つの基準として用いられるものであり、時刻の入力とチャンネルの入力とが独立している本件発明6がさらに有する構成とは異なる。

(3)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第2発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)2.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明6と甲第2号証に記載された発明とは、本件発明1を引用する構成、および、本件発明6がさらに有する構成において相違するものであって、本件発明6が甲第2号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.本件発明6と甲第3発明について
(1)本件発明1と甲第3発明についての検討の適用
本件発明6が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)3.にて検討したとおりである。

(2)本件発明6がさらに有する構成と甲第3号証に記載された技術事項
本件発明6は本件発明1を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「基準を入力する段階ではチャンネルの識別情報を入力する」、請求項1に記載の方法。

すなわち、「ブロック基準」として、「チャンネルの識別情報」を入力するというものである。
これに対して、甲第3発明の親コントロールの具体的な構成は、
「番組のリストをTVスクリーン上に表示する段階と、
録画禁止のための条件を番組リストから選択する段階」についてのみ開示されていること、
および、番組を録画禁止の条件とするものに替えて、特定の時間帯やチャンネルも録画禁止の条件として設定できる技術思想が開示されていることは、上記【第6】C)1.(3)にて検討したとおりである。
すなわち、ブロック基準として「チャンネルの識別情報」を入力することは具体的に記載されていない。
しかしながら、具体的な実施例として、番組を入力して、録画禁止の条件を設定することが記載され、また、上記番組という条件に替えて、チャンネルを録画禁止の条件として用いることが可能である技術思想が開示されていることからみて、チャンネルを録画禁止の条件とするためには、録画禁止とすべきチャンネルを何らかの方法で設定することが必要であることは明らかであり、そのための方法として、チャンネルの識別情報を入力することは、普通に行われていることであるから、上記設定のためにチャンネルの識別情報を入力するための構成を有することは、当業者であれば自明の技術事項である。
したがって、甲第3号証には「基準を入力する段階ではチャンネルの識別情報を入力する」ことが、実質的に記載されているということができる。

(3)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第3発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)3.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明6と甲第3号証に記載された発明とは、本件発明1を引用する構成において相違するものであって、本件発明6が甲第3号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項6に係る発明を無効とすることはできない。

G)本件発明7の無効理由についての判断
請求人は、本件発明7について、上記【第4】1.(6)にて、a)、b)、c)の無効理由(以下、a)の理由を第1の理由、b)の理由を第2の理由、c)の理由を第3の理由という。)を主張しているので、この点について検討する。

1.第1の理由について
(1)請求人及び被請求人の主張の主旨
第1の理由について請求人の主張の主旨は、「本件発明7がさらに有する構成は、発明の詳細な説明に記載されておらず、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号号に規定する要件を満たしていない。」というものである。
これに対して、被請求人は、当該構成は「本件特許明細書(甲第5号証)の段落0013、段落0029および第2図C」(口頭審理陳述要領書3頁5行-20行)の記載にから自明の事項である旨主張している。
したがって、本件発明7がさらに有する構成と上記本件特許明細書の記載について検討する。

(2)本件発明7がさらに有する構成
本件発明7は本件発明6を引用し以下の構成を有する。

「番組リストにおいてチャンネルの識別情報の隣にロック記号を表示する段階をさらに含む」、請求項6に記載の方法。」

(3)本件特許明細書の記載事項
被請求人が主張する本件特許明細書には、以下のとおりの記載がある。
「【0013】
好ましい実施形態においては、データストリーム内の情報には、TV予約情報が含まれている。周辺装置内にあるソフトウェアは、TV予約ガイドを生成するべくデータストリーム内に提供された予約情報を利用する。このソフトウェアは、ROM,RAM,ディスク又はその他の記憶装置といったコンピュータ読取り可能な記憶媒体42の上に記憶されている。TV予約ガイドが、グリッド書式である場合、例えば利用可能なチャンネルを「y」軸上にリストアップさせ、さまざまな時間を「x」軸上にリストアップさせることができる。ユーザーは、ガイド内の番組をハイライトさせその番組を選択することによって、TV予約ガイド内の1つの番組に対する同調を行なうことができる。ユーザーは、自動的無人録画のため、TV予約ガイド内にリストアップされているl個またはそれ以上の所望の番組を選択することもできる。TV予約システムが情報をどのように表示するか、及びその同調及び自動録画能力に関する詳しい情報については、特許文献1及び特許文献2を参照されたい。これらの特許は共に、本特許出願と同様、StarSight Telecast Inc.,に譲渡され、ここに全ての目的のためその全体が参考文献として組み込まれる。」
「【0029】
ガイドからロックされた個々の番組にアクセスするため、ユーザは、ロックされたどの番組であれ自ら視聴したいと思うものをガイド上でハイライトさせてSELECTキーを入力することにより選択することができる。このとき、パスワードポップアップが現われることになる。ユーザーが正しいパスワードを入力した場合、システムは望みの番組をもつチャンネルに同調を行なう。ユーザーは、1秒以上の間SELECTキーを入力することもでき、このとき、ユーザーにロックされた番組に同調を行なうか又はこれを録画するかを問いかけるポップアップが現われる。ユーザーが選択を行なった時点で、パスワードポップアップが現われ、ユーザーはパスワードを入力できる。正しいパスワードが入力された後、システムは、ロックされた番組に同調を行なうか又はそれを録画することになる。SELECTキーを入力しポップアップ上で録画オプションを選択する代りに、ユーザーは、ロックされた番組をハイライトさせ、RECキーを入力して番組の録画を要求することもできる。ユーザーが正しいパスワードを供給した時点で録画が進められる。」
また、
「【0017】
図2Cは、ユーザーが「チャンネルによるロック機能」を選択した時点で示されるポップアップ56の好ましい一実施形態である。
【0018】
この好ましい実施形態においては、ポップアップ56は、ユーザーが利用可能な全てのチャンネルのリストを含む。ユーザーがポップアップ56に適合するよりも多くのチャンネルを有する場合、インジケータ又はスクロールバーがポップアップのコーナーに示され、ユーザーに対しより多くのチャンネルを表示するべくさらに右へ又はさらに下へ移動するように命令する。ユーザーは、ポップアップ56内を移動するため前述の矢印キーを使用することができる。ユーザーがチャンネルをハイライトさせて選択した後、そのチャンネルがロックされる。そのチャンネルがロックされていることを示すためチャンネルアイコンの隣にロック記号が置かれることになる。」
にて説明されている図2Cには、「チャンネル別ロック」と一番上に表示され、その下にチャンネル「2」、「4」、「5」・・・「PPB」がそれぞれ四角い枠に囲われて表示(チャンネルアイコン)され、例えば「CNN」或いは「PLAY」は網掛けされ、その隣にロックされていることを示すためロック記号が置かれている。

(4)判断
上記「ロック記号の表示」について記載されているのは、「チャンネルによるロック機能」を選択し、ロックするチャンネル(或いはロックを解除するチャンネル)を選択する際、チャンネルロックが選択されているチャンネルと上記選択がなされていないチャンネルを区別するためにロック記号を採用していることは明らかである。
すなわち、操作者がチャンネルロックをすべきチャンネルを選択する際に、現在チャンネルロックが選択されているチャンネルを表示することにより、操作者がチャンネルロックの選択を行う操作行うべきチャンネルの選択を容易に行わせるための表示ということができる。
これに対して、「番組リスト」は、上記【0013】、【0029】の記載によれば、「ユーザーは、ガイド内の番組をハイライトさせその番組を選択することによって、TV予約ガイド内の1つの番組に対する同調を行なうことができる。ユーザーは、自動的無人録画のため、TV予約ガイド内にリストアップされているl個またはそれ以上の所望の番組を選択することもできる。」、「ガイドからロックされた個々の番組にアクセスするため、ユーザは、ロックされたどの番組であれ自ら視聴したいと思うものをガイド上でハイライトさせてSELECTキーを入力することにより選択することができる。」とあるように、番組に対して、「同調」、「録画」といったアクセスをする際に表示されるリストである。
そして、上記番組に対してアクセスする際のリストを表示した状態において、ロックが選択されていることを表示することが必要であるという記載や示唆はない。
さらに、上記番組リストは、番組に対してアクセスするものであること、および、ロックの基準はチャンネルだけでなく、他の基準も存在することを考慮すると、ロックされているか否か知る必要があるのは番組に対してであり、「チャンネルの識別情報の隣にロック記号を表示する」ことが、自明であるということはできない。
また、本件発明7に対応する発明の詳細な説明を他に見つけることができない。
よって、本件特許発明7は本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号の規定に適合していない。
また、本件発明7と対応する技術事項について発明の詳細な説明に記載がないのであるから、当該技術事項について、当業者が実施できる程度に発明の詳細な説明に当該技術事項が開示されているということはできず、特許法36条第4項の規定に適合していない。

(5)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明7は、特許法第36条第6項第1号、同法36条4項の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、願書に添付した特許請求の範囲の請求項7についての特許は、同法123条1項4号の規定に該当し無効とすべきである。

2.第2の理由について
(1)請求人の主張の主旨
第2の理由について請求人の主張の主旨は、本件発明7は甲第3号証に記載された発明と一致するというものであるから、この点について検討する。

(2)本件発明6と甲第3発明についての検討の適用
本件発明7は本件発明6の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「番組リストにおいてチャンネルの識別情報の隣にロック記号を表示する段階をさらに含む、」請求項6に記載の方法。

本件発明6を引用する構成については、上記【第6】F)3.にて検討したとおりである。

(3)甲第3号証に記載された技術事項と本件発明7がさらに有する構成について
a)甲第3号証に記載された技術事項
甲3-9には「ステップ298にもどり、録画、視聴又は親コントロールが、選択されない場合は、ステップ344で、コントローラ28は、再確認コマンドがなされたかどうかを確認する。このステップにより、視聴者は、自身の行った選択を再確認できる。ステップ346で、図21の選択再確認メニュー348が表示される。この表示は、録画のために選択されたプログラムと録画の頻度(毎日、毎週、特別、その他)を示す欄を含む。プログラムが視聴するために選択されたか、また視聴の頻度を示す一つの欄がある。選択されたプログラムのチャンネル、日付、時間及び題名を示す欄もまた表示されている。」と記載され、図21には、「録画」、「視聴」、「親」、「チャンネル」、「時間」、「日付」、「題名」の項目が横方向に並び、上記項目に対応するように、「録画」の下には、「毎日」、「特別」、「視聴」の下には「毎日」、「×」、「親」の下には「×」、チャンネルの下にはチャンネル名(7、9、プレーボーイ等)、「時間」の下には時刻、「題名」の下には、題名が表示されるようになっている。
そして、上記「チャンネル」の項目の隣に「親」の項目があるから、チャンネルの隣に親コントロールの設定がされていることを示す記号が表示されているということができる。
以上のことから、甲第3号証には「選択再確認メニューが表示される際、チャンネルの隣に親コントロールの設定がされていることを示す記号を表示」する技術思想が記載されているといえる。
本件発明7の「番組リスト」は上記1.で検討したとおり、「番組に対してアクセスする際のリスト」であるのに対し、甲第3号証の表示は「選択再確認メニュー」の表示であって、当該メニューから、番組にアクセスするための選択を行うことはできない。
そして、本件発明の番組リストに対応する甲第3号証のリストは、甲第3号証のFig17と認めることができるが、当該リストには、「チャンネル」の項目の隣に「コード」または「時間」の項目があるのみでロック記号に相当するものを表示する技術思想が開示されていない。
したがって、本件発明7がさらに有する構成は、甲第3号証に記載されているということはできない。

(4)本件発明6を引用する構成について
本件発明6を引用する構成について、請求人は甲第3号証に記載された発明と一致すると主張しているが、上記【第6】F)3.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(5)小括
以上の検討によれば、本件発明7と甲第3号証に記載された発明とは、本件発明6を引用する構成、および、本件発明7がさらに有する構成において相違するものであって、本件発明7が甲第3号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.第3の理由について
(1)請求人の主張の主旨
審判請求書には、上記第3の理由について「なお、予備的な主張として、甲第1号証に甲第3号証の記載を適用すること、または、甲第2号証に甲第3号証の記載を適用することにより、本件特許発明10は、当業者が容易に想到することができるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、その特許は同法第123条第1項に該当し、無効とすべきものである。」(審判請求書106頁11行?15行)とあるのみで、具体的な主張はないが、上記【第6】F)にて検討したとおり、請求人は、本件発明7が引用する本件発明6について、a)甲第1号証に記載された発明である、あるいは、b)甲第2号証に記載された発明である、と主張していることからみて、本件発明7は、本件発明7が引用する本件発明6の構成について、甲第1発明、あるいは、甲第2発明と一致し、本件発明7がさらに有する構成については、甲第3号証に記載された技術事項を適用することにより、本件発明7は容易に発明をすることができた、と主張しているものと解し、この主張について検討する。

(2)甲第1発明に甲第3号証に記載された技術事項を適用することについて
a)本件発明6と甲第1発明についての検討の適用
本件発明7が引用する本件発明6の構成については、上記【第6】F)1.にて検討したとおりである。

b)本件発明7がさらに有する構成と甲第3号証に記載された技術事項について
本件発明7がさらに有する構成について、甲第3号証に記載がないことは、上記【第6】G)2.にて検討したとおりである。

c)本件発明6を引用する構成について
本件発明6を引用する構成について、請求人は甲第1号証に記載された発明と一致すると主張しているが、上記【第6】F)1.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第3号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

d)小括
したがって、本件発明6を引用する本件発明7は、上記【第6】F)1.、および【第6】G)2.にて検討した相違点の構成において、甲第3号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

(3)甲第2発明に甲第3号証に記載された技術事項を適用することについて
a)本件発明6と甲第2発明についての検討の適用
本件発明7が引用する本件発明6の構成については、上記【第6】F)2.にて検討したとおりである。

b)本件発明7がさらに有する構成と甲第3号証に記載された技術事項について
本件発明7がさらに有する構成について、甲第3号証に記載がないことは、上記【第6】G)2.にて検討したとおりである。

c)本件発明6を引用する構成について
本件発明6を引用する構成について、請求人は甲第2号証に記載された発明と一致すると主張しているが、上記【第6】F)2.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第3号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

d)小括
したがって、本件発明6を引用する本件発明7は、上記【第6】F)2.、および【第6】G)2.にて検討した相違点の構成において、甲第3号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由a)(第1の理由)によって、本件特許の請求項7に係る発明を無効とすべきである。

H)本件発明8の無効理由についての判断
請求人は、本件発明8について、上記【第4】1.(1)の無効理由を主張しているので、この点について検討する。

1.本件発明8と甲第1発明について
(1)本件発明1と甲第1発明についての検討の適用
本件発明8が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。

(2)本件発明8がさらに有する構成と甲第1号証に記載された技術事項
本件発明8は本件発明1を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「基準を入力する段階では時間帯を入力する、」請求項1に記載の方法。

すなわち、「ブロック基準」として、「時間帯」を入力するというものである。
これに対して、甲第1発明は「任意の番組コードを入力」することにより、ブロック基準を入力している。
請求人は、甲第1号証の「【0003】ところで深夜の時間帯等において、特に年少者等の視聴に好ましくない番組が放送されることがある。そこで従来から時間帯やチャンネルを設定して、この設定された時間帯やチャンネルの番組は録画できないようにする方法が実施されている。しかしながらこれらの方法では、一律に録画が禁止されるために、設定された時間帯やチャンネルで有益な番組が放送された場合もこれを録画することができなくなってしまう。この発明はこのような点に鑑みて成されたものである。」の下線部の記載をもとに、本件発明6がさらに有する構成が開示されていると述べているが、甲第1発明は、上記下線部のような「時間帯やチャンネルを設定」して録画ができないようにすると「一律に録画が禁止されるために、設定された時間帯やチャンネルで有益な番組が放送された場合もこれを録画することができなくなってしまう。」という課題が存在し、当該課題を解決するために、番組コードを入力することにより、「設定が個々の番組で行われるので、不都合を生じることなく任意の番組の録画の禁止を行うことができるように」(甲第1号証【0027】参照)したものであるから、当該下線部の構成を、甲第1発明に採用することは記載されているということができない。

(3)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第1発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)1.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明8と甲第1号証に記載された発明とは、本件発明1を引用する構成、および、本件発明8がさらに有する構成において相違するものであって、本件発明8が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

2.本件発明8と甲第2発明について
(1)本件発明1と甲第2発明についての検討の適用
本件発明8が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)2.にて検討したとおりである。

(2)本件発明8がさらに有する構成と甲第2号証に記載された技術事項
本件発明8は本件発明1を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「基準を入力する段階では時間帯を入力する、」請求項1に記載の方法。

すなわち、「ブロック基準」として、「時間帯」を入力するというものである。

本件発明8のブロック基準としてチャンネルの識別情報を入力することに関する発明の詳細な説明の記載は「図2Bは、メインメニュー50から親パスワードが設定されユーザーが正しいパスワードを入力した時点でユーザーに示される親制御メニュー54の好ましい実施形態を示す。ユーザーは、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別にTV番組をロックすることができる。例えば、時間別にロックすることを望む場合、ユーザーはカーソルを「時間別ロック」の場所に移動させることができ、SELECTキーを入力する。代替的には、番組がロックされた場合、ユーザーは、ロックされていた全ての番組をロック解除できる。」(【0016】)とあり、図2Bをみると、「親制御」なる表示が枠に囲われて最上部にあり、その下に、大きな枠に囲われて、小さな枠に単独で囲われた「全てのロックの解除」、「チャンネル別ロック」、「格付け/内容別ロック」、「時刻別ロック」が4行にわたって表示され、大きな枠の下に、「以前に選択した全てのロックを一時的に解除します。」の表示がある。
そして、【0022】、【0023】及び図2Eには、「時刻別ロック」についての説明があり、図2Eを参酌すると、ロック開始時間及びロック解除時間を適宜設定し、ロック状態にて「毎日」等の設定を行うと、時刻別ロックが行われることが理解できる。
また、【0017】-【0019】及び図2Cには、「チャンネル別ロック」についての説明がある。
上記発明の詳細な説明の記載によれば、上記「チャンネル別ロック」及び「時刻別ロック」はそれぞれが独立していて、これらを組み合わせて番組をブロックする基準とすることについての記載はない。
すなわち、本件発明8の「基準を入力する段階では時間帯を入力する」とは、基準を入力する段階で、時間帯のみを入力するとブロックする基準を入力する段階が完結することをいうものであると認めることができる。
これに対して、甲2-4には「なおメモリ(16)への録画禁止時間帯の設定は、例えば設定キー(12)の登録キーを押しながら任意の暗証番号等をテンキーで操作することにより設定モードとされ、以後タイマー録画の設定と同じ要領で録画禁止時間帯の開始時刻、チャンネル、終了時刻を設定する。さらに設定後再度登録キーを押すなどして設定モードを解除する。」と記載されており、録画禁止の基準として、時間帯を入力することは記載されているが、上記時間帯の入力は、チャンネルの入力と組み合わせて一つの基準として用いられるものであり、時刻の入力とチャンネルの入力とが独立している本件発明8がさらに有する構成とは一応異なる。
しかし、甲2-4には「そしてステップ〔73〕で上述の現時刻が録画禁止時間帯に含まれているか否かが判断され、含まれていないときはステップ〔74〕でスイッチ(2)がチューナ(1)側に切換られ、ステップ〔75〕で録画モードとされてメインルーチンへリターンされる。
またステップ〔73〕で含まれているときは、ステップ〔76〕で録画禁止チャンネルが設定されているか否かが判断される。そして設定されているときは、ステップ〔77〕でチューナ(1)の受信チャンネルが検出され、ステップ〔78〕でメモリ(16)の録画禁止チャンネルが読出され、ステップ〔79〕でこれらが一致しているか否かが判断される。ここで一致していないときはステップ〔74〕に進められて通常の録画が行われる。
さらにステップ〔76〕で設定チャンネルがないとき(全チャンネルが禁止)と、ステップ〔79〕でチャンネルが一致したときはステップ〔80〕へ進められる。」と記載されている。
すなわち、録画禁止時間帯が設定されていて、チャンネルの設定がないときは、全てのチャンネルについて録画禁止となるものであり、「録画禁止時間帯」という基準については、当該基準のみで録画禁止の設定が可能となっている点で、本件発明8がさらに有する構成と異なるところがない。
したがって、本件発明8がさらに有する構成について、甲第2号証に記載されているということができる。

(3)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第2発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)2.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明8と甲第2号証に記載された発明とは、本件発明1を引用する構成において相違するものであって、本件発明8が甲第2号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.本件発明8と甲第3発明について
(1)本件発明1と甲第3発明についての検討の適用
本件発明8が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)3.にて検討したとおりである。

(2)本件発明8がさらに有する構成と甲第3号証に記載された技術事項
本件発明8は本件発明1を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「基準を入力する段階では時間帯を入力する、」請求項1に記載の方法。

すなわち、「ブロック基準」として、「時間帯」を入力するというものである。

これに対して、甲第3発明の親コントロールの具体的な構成は、
「番組のリストをTVスクリーン上に表示する段階と、
録画禁止のための条件を番組リストから選択する段階」についてのみ開示されていること、
および、上記番組を録画禁止の条件とするものに替えて、特定の時間帯やチャンネルも録画禁止の条件として設定できる技術思想が開示されていることは、上記【第6】C)1.(3)にて検討したとおりである。
すなわち、ブロック基準として「時間帯」を入力することは具体的に記載されていない。
しかしながら、具体的な実施例として、番組を入力して、録画禁止の条件を設定することが記載され、また、上記番組という条件に替えて、時間帯を録画禁止の設定条件として用いることが可能である技術思想が開示されていることからみて、時間帯を録画禁止の条件とするためには、録画禁止とすべき時間帯を何らかの方法で設定することが必要であることは明らかであり、そのための方法として、時間帯を入力することは、普通に行われていることであるから、上記設定のために時間帯を入力するための構成を有することは、当業者であれば自明の技術事項である。
したがって、甲第3号証には「基準を入力する段階では時間帯を入力する」ことが、実質的に記載されているということができる。

(3)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第3発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)3.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明8と甲第3号証に記載された発明とは、本件発明1を引用する構成において相違するものであって、本件発明8が甲第3号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項8に係る発明を無効とすることはできない。

I)本件発明9の無効理由についての判断
請求人は、本件発明9について、上記【第4】1.(7)の無効理由を、以下のように主張している。

「(12)本件特許発明12について
本件特許発明12の構成要件12Aと、甲第4号証の1(甲第4号証の2)の記載事項とを対比すると、両者は一致する。
よって、甲第1号証(主引例)に甲第4号証の1の記載を適用すること、甲第2号証(主引例)に甲第4号証の1の記載を適用すること、または、甲第3号証(主引例)に甲第4号証の1の記載を適用することにより、本件特許発明12は、進歩性が欠如することを以下に、説明する。」(審判請求書108頁15行?21行)
すなわち、本件発明1を引用する本件発明9の構成の、上記引用する構成は、甲第1発明ないし甲第3発明と一致し、甲第4号証には、本件発明9がさらに有する構成が記載されているから、該甲第4号証に記載された技術事項を、甲第1発明ないし甲第3発明に適用すれば、本件発明5は容易に発明をすることができたというものである。
以下、上記主張について検討する。

1.本件発明9と甲第1発明について
(1)本件発明1と甲第1発明についての検討の適用
本件発明9が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。

(2)本件発明9がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
本件発明9は本件発明1を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「基準を入力する段階ではペイパービュー番組の消費限度を入力する、」請求項1に記載の方法。

甲4の2-2には「この情報は、ユーザーに請求された利用記録、現在の収支情報、係留中の注文、利用可能なクレジットの指示を含み、ここでクレジットは、ケーブルまたは他のオペレータにより借用可能限界が予め定められている。従って、ユーザーは、予め設定された確実な使用限界のみを明示すればよい。視聴毎料金番組の請求額がひとたび限界に達すると、マイクロコントローラは更なる番組注文を許可しない。代替的なメッセージメニューが図28Aに示されている。」、また、甲4の2-7には「番組の効果的なロックアウトの代替的な方法は、図39に示されるように、「ロックアウト」スクリーンの使用により達成される。上述したように親ガイダンス、MPAA及びチャンネル基準に基づく番組に対するアクセス制限に加えて、アクセスは、番組タイトルに基づいて制限され得る。図39は代替的なロックアウトスクリーン250を示し、これは、上述した基準に加えて、番組タイトルに基づいて番組へのアクセスを許可または制限するのに使用できる。一日の時刻、週の曜日、クレジット限界、及び内容カテゴリー(例、トーク番組)のような他のパラメータも含ませることができる。」と記載されている。
甲4の2-2の記載によれば、クレジットは、借用可能限界が定められているものであり、視聴毎料金番組の請求額にも限界が定められていて、視聴毎料金番組の請求額が限界に達すると、さらなる番組の注文をしないのであるから、視聴毎料金番組の請求額もクレジットということができる。
そして、甲4の2-4の記載には、MPAA基準に基づく番組に対するアクセス制限に加えて、クレジット限界もアクセス制限の基準に含ませることができるとある。
以上の記載から見て、「視聴毎料金番組の請求額の限界も、MPAA基準に基づく番組に対するアクセス制限に加えて、アクセス制限の基準に含ませることができる」技術事項が記載されているということができる。
そして、「MPAA基準に基づく番組に対するアクセス制限に加えて、視聴毎料金番組の請求額の限界もアクセス制限の基準に含ませることができる」ということは、視聴毎料金番組の請求額の限界も、MPAA基準に基づく番組に対するアクセス制限と同様にアクセス制限の基準として使用することができるということといえる。そして、甲第4号証にのMPAA基準が、番組の格付けに対応し、甲第4号証には「基準を入力する段階では番組の格付けを入力する」発明が記載されていることは、上記【第6】E)2.(2)にて検討したとおりであるから、甲第4号証には「基準を入力する段階では番組の格付けを入力する」ことと同様「基準を入力する段階では視聴毎料金番組の請求額の限界を入力する」構成を有していることは、当業者であれば容易に類推し得たことである。
そして、甲第4号証の「視聴毎料金番組の請求額の限界」が「ペイパービュー番組の消費限度」に対応することは技術常識から明らかであるから、甲第4号証の記載から「基準を入力する段階ではペイパービュー番組の消費限度を入力する」構成を推考することは、当業者が容易になしえたことである。

(3)甲第1発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第1発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の条件を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第1発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第1発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明9がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明9がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明9がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明9がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第1発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)1.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明9は、上記【第6】A)1.にて検討した相違点の構成において、甲第1号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

2.甲第2発明と甲第4号証の組み合わせについて
(1)本件発明1と甲第2発明についての検討の適用
本件発明9が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)2.にて検討したとおりである。

(2)本件発明9がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
甲第4号証に本件発明9がさらに有する構成が開示されていることは、上記(2)にて検討したとおりである。

(3)甲第2発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第2発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第2発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第2発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明9がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明9がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明9がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明9がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第2発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)2.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明9は、上記【第6】A)2.にて検討した相違点の構成において、甲第2号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.甲第3発明と甲第4号証の組み合わせについて
(1)本件発明1と甲第3発明についての検討の適用
本件発明9が引用する本件発明1の構成については、上記【第6】A)3.にて検討したとおりである。

(2)本件発明9がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
甲第4号証に本件発明9がさらに有する構成が開示されていることは、上記(2)にて検討したとおりである。

(3)甲第3発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第3発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第3発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第3発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明9がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明9がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明9がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明9がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第3発明と一致すると主張しているが、上記【第6】A)3.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明1を引用する本件発明9は、上記【第6】A)3.にて検討した相違点の構成において、甲第3号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項9に係る発明を無効とすることはできない。

J)本件発明10の無効理由についての判断
請求人は、本件発明10について、上記【第4】1.(8)にて、a)、b)の無効理由(以下、a)の理由を第1の理由、b)の理由を第2の理由という。)を主張しているので、この点について検討する。

1.第1の理由について
(1)請求人の主張の主旨
審判請求書の記載をみれば、請求人は、結局、第1の無効理由として「本件特許明細書には、「表示プロセッサ」について記載がないから、訂正後の本件発明10は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない」と主張している。

(2)当審の判断
しかし、上記「【第2】2.(4)b)についての判断」にて検討したとおり、「本件特許発明において、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼び、特に表示機能を実現する手段のことを「表示プロセッサ」と称しているにすぎないということができる。」から、発明の詳細な説明に「表示プロセッサ」なる表現はなくとも、「表示機能を実現する手段」を有していることは明らかであり、当該手段が「表示プロセッサ」であることは明らかであるから、「表示プロセッサ」が発明の詳細な説明に記載されていないということはできない。

したがって、上記請求人が主張する第1の無効理由は存在せず、本件特許発明10について、
a)本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項の規定する要件を満たしていない、
b)本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号の規定に適合していない、
ということはできない。

(3)小括
したがって、本件発明10は、特許法第36条第4項、および、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、願書に添付した特許請求の範囲の請求項10についての特許は、同法123条1項4号の規定に該当せず、無効とすることはできない。

2.第2の理由について
審判請求書の記載を見ると、請求人は「本件特許発明13は、本件特許発明1と発明のカテゴリが異なるだけであり、実質的に同一であり、以下、本件特許発明1の構成要件と異なる箇所を中心に、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証との一致を説明する。」と述べている。
すなわち、本件発明10は、本件発明1と実質的に同一であり、本件特許発明1が甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証にそれぞれ記載された発明であるのと同様の理由により、本件発明10は甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証にそれぞれ記載された発明であるから、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができないと主張していると認めることができるから、この点について検討する。

(1)本件発明10と甲第1装置発明について
a)甲第1発明の適用
甲第1発明が以下のとおりの発明であることは、上記【第6】A)1.(1)e)のとおりである。

(甲第1発明)
指定された放送番組の録画が禁止される録画予約方法であって、
録画予約するためのステップと、
予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力されるステップ、任意のキー信号が入力されるステップ、
録画予約の際、入力された番組コードが登録されているか否かを判断するステップと
上記判断の結果、番組コードが登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了するステップ
上記判断の結果、番組コードが登録されているときは、キー信号の入力が要求されるステップと
(上記要求により)入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、一致のときは通常のデコード動作が行われて終了され、不一致のときは、そのまま終了され、番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止されるステップ
を有する方法。

b)甲第1発明の方法を実現するための手段
甲第1発明は「方法」の発明であるが、上記方法を実現する各ステップの機能を実現するための手段も開示していることは明らかであり、上記各ステップの機能を実現する手段からなる装置の発明であるということもできる。
すなわち、各「ステップ」は各「手段」と置き換え、「方法」を「装置」の発明と対応させることができるから、甲第1発明は以下のとおりの装置の発明と対応する。

指定された放送番組の録画が禁止される録画予約装置であって、
録画予約するための手段と、
予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力される手段、任意のキー信号が入力される手段と、
録画予約の際、入力された番組コードが登録されているか否かを判断する手段と
上記判断の結果、番組コードが登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了する手段と、
上記判断の結果、番組コードが登録されているときは、キー信号の入力が要求される手段と、
(上記要求により)入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、一致のときは通常のデコード動作が行われて終了され、不一致のときは、そのまま終了され、番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される手段と、
を有する装置。

さらに、甲第1号証には、「操作装置(図示せず)の表示部には例えば次のような表示が行われる。」の記載があるから、甲第1発明に対応する装置の発明は「表示部」を有している。
以上のことから、甲第1発明に対応する装置の発明(以下、甲第1装置発明という。)として、以下のとおりの発明を認定することができる。

(甲第1装置発明)
指定された放送番組の録画が禁止される録画予約装置であって、
録画予約するための手段と、
予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力される手段、任意のキー信号が入力される手段と、
録画予約の際、入力された番組コードが登録されているか否かを判断する手段と
上記判断の結果、番組コードが登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了する手段と、
上記判断の結果、番組コードが登録されているときは、キー信号の入力が要求される手段と、
(上記要求により)入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、一致のときは通常のデコード動作が行われて終了され、不一致のときは、そのまま終了され、番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される手段と、
表示部と、
を有する装置。

c)対比
(c-1)ペアレンタル・コントロールシステム
本件発明10の「ペアレンタル・コントロール」は、発明の詳細に「親制御」として「親パスワードを設定しそれを入力した後、ユーザーは、親制御メニューからチャンネル、格付け、内容及び/又は時間別に、番組をロックアウトできる。」と記載されている。すなわち、「パスワードを設定して、番組をロックアウトさせる」ことが「ペアレンタル・コントロール」であり、「ペアレンタル・コントロールシステム」は、「パスワードを設定して、番組をロックアウトさせる装置」であるということができる。
本件発明10の「番組をロックアウト」には録画の禁止も含まれることは、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。
これに対して、甲第1装置発明は「指定された放送番組の録画が禁止される録画予約装置」であり、録画禁止について、甲1-2には「予め任意の番組コードと任意のキー信号とが併せて登録(ステップ11?14)され、上記番組コードの入力(ステップ1′)時に上記登録された番組コードが入力されると(ステップ2′)、上記キー信号の入力が要求(ステップ4′)されるようにした」、甲1-3には「パスワード(キー信号)」と記載されている。以上のことから、甲第1装置発明の録画禁止は、「予め任意のパスワード(キー信号)と併せて登録された番組コードの番組を、録画予約の際、当該番組コードを入力すると、パスワード(キー信号)の入力が要求される(パスワードが入力されないと録画されない)から、パスワードを設定して番組の録画を禁止する」ようになされている。
以上のことから、甲第1装置発明はパスワードを設定して、番組をロックアウトさせる点で本件発明10と一致しているから、甲第1装置発明の「指定された放送番組の録画が禁止される録画予約装置」は、本件発明10の「ペアレンタル・コントロールシステム」に対応する。

(c-2)表示スクリーン
本件発明10の「表示スクリーン」は発明の詳細な説明を参酌すると「テレビ予約情報は、ユーザーのテレビスクリーン上に提供される」(【0004】)とあるから、テレビ画面のことである。
これに対して、甲第1装置発明の「表示部」は、何らかの「表示をする手段」という点で、本件発明10の「表示スクリーン」と相違がない、しかし、甲第1号証の【0022】に「操作装置(図示せず)の表示部」とあり、「操作装置」については格別の記載はないが、通常、テレビ画面を操作装置と呼ぶことはないから、操作装置の表示部を表示スクリーンと呼ぶことはできない。
以上のことからみて、甲第1装置発明と本件発明10とは「表示をする手段」を備えている点で一致するが、甲第1装置発明の「表示部」は「表示スクリーン」とはいうことができない点で相違する。

(c-3)番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置
甲第1装置発明は「録画予約するための手段」、「予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力される手段、任意のキー信号が入力される手段と」を備えている。
上記「録画予約するための手段」は、発明の詳細な説明(【0019】)を参酌すると、番組コードを入力することにより行われているから、番組を録画予約する入力装置を備えている。
また、上記【第6】A)1.(2)c)にて検討したとおり、
本件発明1と甲第1発明は、「番組をブロックする条件を入力する段階」を有している点で一致し、
甲第1発明は、「番組をブロックする条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、
本件発明1は、「番組をブロックする条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違しているということができるのであるから、
甲第1装置発明の「予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力される手段、任意のキー信号が入力される手段」は「番組をブロックする条件を入力する手段」ということはできるが、
甲第1装置発明の「番組をブロックする条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、
本件発明10は、「番組をブロックする条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点、
で相違しているということができる。
以上のことから、「録画予約するための手段」、「予め任意の番組コードと任意のキー信号とを併せて登録するための、任意の番組コードが入力される手段、任意のキー信号が入力される手段」は、
「番組を録画予約し、ブロックする番組の条件を入力する入力装置」ということができるが、
甲第1装置発明は、「番組をブロックする条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、
本件発明10は、「番組をブロックする条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違している。

(c-4)録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサ
甲第1装置発明は「録画予約の際、入力された番組コードが登録されているか否かを判断する手段」を有している。
甲第1装置発明の「登録されているか否かを判断する」は、本件発明10の「番組がブロック条件を満たすか判断する」ということができることは、上記第【第6】A)1.(2)d)で検討したとおりである。
そして、本件発明10の「ブロック基準」が、
甲第1装置発明の「入力された番組コード」と「ブロックする番組の条件」である点で一致するが、
甲第1装置発明は、「番組をブロックする条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、
本件発明10は、「番組をブロックする条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違していることは、上記(c-3)にて検討したとおりである。
また、本件発明10の「録画予約した番組」が、甲第1装置発明の「録画予約の際、入力された番組コード(の番組)」と異なることは、上記【第6】A)1.(2)d)にて検討したとおりである。
本件発明10の「プロセッサ」は「種々の処理機能を実現する手段」という意味でしかないから、甲第1装置発明の「手段」と相違はない。
以上のことから、甲第1装置発明は「番組がブロック条件を満たすことを判断するプロセッサ」を有する点で、本件発明10と相違がない。
もっとも、
甲第1装置発明は、「番組をブロックする条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明10は、「番組をブロックする条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点、
甲第1装置発明は、「録画予約の際、入力された番組コードが登録されているか否かを判断する」のに対し、本件発明10は「録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断する」点、
で相違する。

(c-5)プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサ
甲第1装置発明は「上記判断の結果、番組コードが登録されているときは、キー信号の入力が要求される手段」を有している。
甲第1装置発明の「上記判断」は上記(c-4)にて検討した「番組がブロック条件を満たすことを判断」であることは明らかであり、(c-4)の検討のとおり「番組がブロック条件を満たすことを判断するプロセッサ」であるから、甲第1装置発明の「上記判断の結果」は「プロセッサの判断の結果」(すなわち、「プロセッサの判断に応じて」)であるということができる。
そして、甲第1装置発明の「番組コードが登録されているときは、キー信号の入力が要求される」ことが「番組がブロック条件を満たす旨のユーザに対する警告を表示」といえることは、上記【第6】A)1.(2)e)にて検討したとおりであり、甲第1装置発明において上記「表示」を行うためには「表示手段」が必要であることは明らかであるから、甲第1装置発明は「番組がブロック条件を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示手段」を有しているということができる。
また、本件発明10の「表示プロセッサ」は表示という機能を実現するための、実現手段(すなわち、「表示手段」)であることは、上記【第2】2.(4)b)にて検討したとおりである。
以上まとめると、甲第1装置発明は「プロセッサの判断に応じて、番組がブロック条件を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサ」を有している点で本件発明10と相違がない。
もっとも、甲第1装置発明の「(番組を)ブロック(する)条件」は、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違することは、上記【第6】A)1.(2)d)にて検討したとおりである。

(c-6)ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず
甲第1装置発明の「上記判断の結果、番組コードが登録されていないときは、通常のデコード動作が行われて終了する手段」と、本件発明10の「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」とは、甲第1装置発明が「録画予約を行おうとしたとき、録画予約を(普通に)終了させる」ことであり、本件発明10は「既に録画予約の設定が完了している番組に対してブロックを行う」ことであるという点で相違することから、甲第1装置発明は「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有しているということはできないことは、上記【第6】A)1.(2)f)にて検討したとおりである。

(c-7)(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする
甲第1装置発明の「(上記要求により)入力されたキー信号と登録されたキー信号との一致が判別され、一致のときは通常のデコード動作が行われて終了され、不一致のときは、そのまま終了され、番組コードはデコードされず、指定された放送番組の録画が禁止される手段」と、
本件発明10の「(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」とは、
「ブロック条件を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」点で、本件発明1と一致し、
甲第1発明は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明1は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違することは、上記【第6】A)1.(2)g)にて検討したとおりである。

d)判断(本件発明10と甲第1装置発明)
以上(c-1)?(c-7)の対比の結果、甲第1装置発明と本件発明10とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

(一致点)
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示部と、
番組を録画予約し、ブロックする番組の条件を入力する入力装置と、
番組がブロック条件を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、番組がブロック条件を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含み、
ブロック条件を満たす番組を、
ブロック条件を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック条件を満たす場合には、ブロック条件を満たす録画予約すべき番組をブロックする、システム。

(相違点)
(c-2)より
甲第1装置発明の「表示部」は「表示スクリーン」とはいうことができない点。

(c-3)より
甲第1装置発明は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明10は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点。

(c-4)より
甲第1装置発明は「録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断するプロセッサ」を有していない点。

(c-5)より
甲第1装置発明の「録画予約の際」は「録画予約は終了していない」状態であり、本件発明10の「録画予約した(番組)」は「(既に)録画予約の設定を完了した」状態である点。

(c-6)より
甲第1装置発明は、「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有していない点。

そして、甲第1装置発明として認定した以外の、他の甲第1号証の記載をみても、当該相違点に係る構成を見いだすことはできず、また、実質的に開示されているに等しいとする根拠も見いだすことはできないから、本件発明10は甲第1号証に記載された発明ではない。

e)小括(本件発明10と甲第1装置発明)
以上の検討によれば、本件発明10が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

(2)本件発明10と甲第2装置発明について
a)甲第2発明の適用
甲第2発明が以下のとおりの発明であることは、上記【第6】A)2.(1)h)のとおりである。

(甲第2発明)
番組の録画を禁止する制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
録画を禁止させるための条件を設定する段階と、
既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たすか判断する段階と、
録画を禁止させるための条件を満たすか判断した結果に応じ、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する段階とを含み、
「録画を禁止させるための条件を入力する段階」の前に「番組を録画予約する段階」が生じた場合であって、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合録画が禁止され、
「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき、録画予約を禁止する、
方法。

b)甲第2発明の方法を実現するための手段
甲第2発明は「方法」の発明であるが、上記方法を実現する各段階の機能を実現するための手段も開示していることは明らかであり、上記各段階の機能を実現する手段からなる装置の発明であるということもできる。
すなわち、各「段階」は各「手段」と置き換え、「方法」を「装置」の発明と対応させることができるから、甲第2発明は以下のとおりの装置の発明と対応する。

番組の録画を禁止する制御を行う装置であって、
番組を録画予約する手段と、
録画を禁止させるための条件を設定する手段と、
既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たすか判断する手段と、
録画を禁止させるための条件を満たすか判断した結果に応じ、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する手段とを含み、
「録画を禁止させるための条件を入力する」ことの前に「番組を録画予約する」ことが生じた場合であって、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合録画が禁止され、
「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき、録画予約を禁止する、
装置。

さらに、甲第2号証(甲2-5)には、「このため後でこのテープを再生した場合にこの映像が表示されることで録画が禁止されていたことが明瞭になされ、これによって故障等と誤解されるおそれもない。」の記載がある。上記映像が表示されるのは、通常、テレビ画面であるから、上記甲第2発明に対応する装置の発明は「テレビ画面である表示手段」を有している。
以上のことから、甲第2発明に対応する装置の発明(以下、甲第2装置発明という。)として、以下のとおりの発明を認定することができる。

(甲第2装置発明)
番組の録画を禁止する制御を行う装置であって、
番組を録画予約する手段と、
録画を禁止させるための条件を設定する手段と、
既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たすか判断する手段と、
録画を禁止させるための条件を満たすか判断した結果に応じ、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する手段と、
テレビ画面である表示手段と、
を含み、
「録画を禁止させるための条件を入力する」ことの前に「番組を録画予約する」ことが生じた場合であって、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合録画が禁止され、
「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき、録画予約を禁止する、
装置。

c)対比
(c-1)ペアレンタル・コントロールシステム
本件発明10の「ペアレンタル・コントロール」は、発明の詳細に「親制御」として「親パスワードを設定しそれを入力した後、ユーザーは、親制御メニューからチャンネル、格付け、内容及び/又は時間別に、番組をロックアウトできる。」と記載されている。すなわち、「パスワードを設定して、番組をロックアウトさせる」ことが「ペアレンタル・コントロール」であり、「ペアレンタル・コントロールシステム」は、「パスワードを設定して、番組をロックアウトさせる装置」であるということができる。
本件発明10の「番組をロックアウト」には録画の禁止も含まれることは、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。
これに対して甲第2装置発明は、「番組の録画を禁止する制御を行う装置」であり、甲2-4に「なおメモリ(16)への録画禁止時間帯の設定は、例えば設定キー(12)の登録キーを押しながら任意の暗証番号等をテンキーで操作することにより設定モードとされ、以後タイマー録画の設定と同じ要領で録画禁止時間帯の開始時刻、チャンネル、終了時刻を設定する。さらに設定後再度登録キーを押すなどして設定モードを解除する。」と記載されている。以上のことから、甲第2装置発明は、「暗証番号等の操作」を行った後、録画禁止時間帯の設定を行うことにより録画を禁止している。上記「暗証番号等」は本件発明10の「パスワード」といいうるものであるから、甲第2装置発明は、「パスワードを設定して、番組をロックアウトさせる装置」であるということができ、この点で、本件発明10の「ペアレンタル・コントロールシステム」であるということができる。

(c-2)表示スクリーン
本件発明10の「表示スクリーン」は発明の詳細な説明を参酌すると「テレビ予約情報は、ユーザーのテレビスクリーン上に提供される」(【0004】)とあるから、テレビ画面のことである。
これに対して、甲第2装置発明は「テレビ画面である表示手段」を有しているから、「表示スクリーン」を有しているということができる。

(c-3)番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置
甲第2装置発明は「番組を録画予約する手段と、録画を禁止させるための条件を設定する手段と」を有している。
甲第2装置発明の「録画を禁止させるための条件を設定する」は、本件発明10の「番組をブロックする基準を入力する」に対応することは、上記【第6】A)2.(2)c)にて検討したとおりである。
甲第2装置発明の「番組を録画予約する手段」、「録画を禁止させるための条件を設定する手段」は、操作者が操作して、「録画予約」や「条件の設定」をする手段であり、上記「録画予約」、「設定」といった操作を行い、その操作内容を装置に入力する入力手段であることは明らかである。
以上のことから、甲第2装置発明の「番組を録画予約する手段と、録画を禁止させるための条件を設定する手段と」は、「番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置」ということができる。

(c-4)録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサ
甲第2装置発明は「既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たすか判断する手段」を有している。
甲第2装置発明の「録画を禁止させるための条件を満たすか判断」は、本件発明10の「録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する」に対応することは、上記【第6】A)2.(2)d)にて検討したとおりである。
本件発明10の「プロセッサ」は「種々の処理機能を実現する手段」という意味でしかないから、甲第2装置発明の「手段」と相違はない。
以上のことから、甲第2装置発明は「録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサ」を有しているということができる。

(c-5)プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサ
甲第2装置発明は「録画を禁止させるための条件を満たすか判断した結果に応じ、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する手段」を有している。
甲第2装置発明における「前記判断」は、上記(c-4)で検討した、プロセッサに対応する手段の判断であることは明らかである。
また、甲第2装置発明の「表示する手段」とは、表示機能を実現する手段のことであり、これに対して、本件発明10の「表示プロセッサ」は表示という機能を実現するための、実現手段であることは、上記【第2】2.(4)b)にて検討したとおりであるから、甲第2装置発明が有している「表示(機能を実現)する手段」は本件発明10の「表示プロセッサ」に対応するということができる。
甲第2装置発明の「録画を禁止させるための条件を満たすか判断した結果に応じ、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合、録画が禁止されていたことを表示する」ことが、本件発明10の「前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する」といえないことは、上記【第6】A)2.(2)e)にて検討したとおりである。
以上のことからみて、甲第2装置発明は、「プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサ」を有しているということはできない。

(c-6)ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず
甲第2装置発明は「「録画を禁止させるための条件を入力する」ことの前に「番組を録画予約する」ことが生じた場合であって、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合録画が禁止され」の構成を有している。
甲第2装置発明の「「録画を禁止させるための条件を入力する」ことの前に「番組を録画予約する」ことが生じた場合であって、既に録画予約の設定が完了した番組について、録画を禁止させるための条件を満たす番組である場合録画が禁止され」の構成が、
本件発明10の「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組を処理し」の点で一致すること、および、
上記処理の内容が、
本件発明10は「(ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組を)ブロックせず」であるのに対し、
甲第2装置発明は「(ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組を)ブロックする」点で相違する、
ことは、上記【第6】A)2.(2)f)にて検討したとおりである。

(c-7)(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする

甲第2装置発明の「「録画禁止時間帯等」の設定入力が終了した後に「番組を録画予約するための設定」を行う際、タイマー録画予約の設定を行おうとした番組が、「タイマー録画の設定時刻と録画禁止時間帯等」とを判断した結果「録画禁止」と判断された番組であるとき、録画予約を禁止する」は、
「(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」構成を有する点で、本件発明10と一致することは、【第6】A)2.(2)g)にて検討したとおりである。

d)判断(本件発明10と甲第2装置発明)
以上(c-1)?(c-7)の対比の結果、甲第2装置発明と本件発明1とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

(一致点)
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
ブロック基準を満たす番組を、
ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロックを満たす録画予約した番組を処理し、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、
システム。

(相違点)
(c-5)より
甲第2装置発明は、「プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサ」を有していない点。

(c-6)より
本件発明10は「(ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロックを満たす録画予約した番組を)ブロックせず」であるのに対し、甲第2装置発明は「(ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロックを満たす録画予約した番組を)ブロックする」点。

そして、甲第2装置発明として認定した以外の、他の甲第2号証の記載をみても、当該相違点に係る構成を見いだすことはできず、また、実質的に開示されているに等しいとする根拠も見いだすことはできないから、本件発明10は甲第2号証に記載された発明ではない。

e)小括(本件発明10と甲第2装置発明)
以上の検討によれば、本件発明10が甲第2号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

(3)本件発明10と甲第3装置発明について
a)甲第3発明の適用
甲第3発明が以下のとおりの発明であることは、上記【第6】A)3.(1)f)のとおりである。

(甲第3発明)
プログラムを録画することができない制御を行う方法であって、
プログラムを録画予約する段階と、
録画禁止のための条件を入力する段階と、
既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する段階と、
録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示する段階と
を含む方法。

b)甲第3発明の方法を実現するための手段
甲第3発明は「方法」の発明であるが、上記方法を実現する各段階の機能を実現するための手段も開示していることは明らかであり、上記各段階の機能を実現する手段からなる装置の発明であるということもできる。
すなわち、各「段階」は各「手段」と置き換え、「方法」を「装置」の発明と対応させることができるから、甲第3発明は以下のとおりの装置の発明(以下、甲第3装置発明という。)と対応する。

プログラムを録画することができない制御を行う装置であって、
プログラムを録画予約する手段と、
録画禁止のための条件を入力する手段と、
既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する手段と、
録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示する手段と
を含む装置。

さらに、甲第3号証(甲3-5)には「コントローラ28は、不揮発性RAM54からのチャンネル31Rコードを読み取り、TV電源オンコマンドと同様に、チャンネル3コマンドを適当なIRコードフォーマットてTVに送ることによってテレビ12をチャンネル3に切り替えている。ステップ246ては、ビデオスイッチ及びミクサー68が、テキストモードに切り替わり、ステップ248で、コントローラ28は、図14で示されるメインメニュー250をTVスクリーン上表示する。このメニューは、対話形電子制御システムで使用されるディスクの種類を示す。特に、メインメニュー250は、TV/VCR,CD、ラジオ、電話帳/新聞、ホームショッピング、映画予約等のための選択肢を示す。」の記載があり、「TVスクリーン上表示する」技術思想が開示されているから、甲第3装置発明は「テレビ画面である表示手段」を有している。
以上のことから、甲第3装置発明として、以下のとおりの発明を認定することができる。

(甲第3装置発明)
プログラムを録画することができない制御を行う装置であって、
プログラムを録画予約する手段と、
録画禁止のための条件を入力する手段と、
既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する手段と、
録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示する手段と、
テレビ画面である表示手段、
を含む装置。

c)対比
(c-1)ペアレンタル・コントロールシステム
本件発明10の「ペアレンタル・コントロール」は、発明の詳細に「親制御」として「親パスワードを設定しそれを入力した後、ユーザーは、親制御メニューからチャンネル、格付け、内容及び/又は時間別に、番組をロックアウトできる。」と記載されている。すなわち、「パスワードを設定して、番組をロックアウトさせる」ことが「ペアレンタル・コントロール」であり、「ペアレンタル・コントロールシステム」は、「パスワードを設定して、番組をロックアウトさせる装置」であるということができる。
本件発明10の「番組をロックアウト」には録画の禁止も含まれることは、上記【第6】A)1.にて検討したとおりである。
これに対して甲第3装置発明は、「プログラムを録画することができない制御を行う装置」であり、甲3-8に、「“親コントロール:リセットするにはパスワードを入力して下さい”を表示する。ステップ326で、正しいパスワードが入力されないと、コントローラ28は、ステップ324に戻り、継続してパスワードの入力を要求する。正しいパスワードが入力されると、システムは、システム及びプログラムパスワードフラグをステップ328でリセットする。プログラムパスワードフラグをセットすると、許可された視聴者は、パスワード要求による定期的な中断なしに、ショーの視聴又はショーの録画を継続できる。」と記載されるように、親コントロールがセットされていると、正しいパスワードが入力されない間は、ショーの視聴又は録画を行うことができない装置であるから、本件発明10の「ペアレンタル・コントロールシステム」ということができる。

(c-2)表示スクリーン
本件発明10の「表示スクリーン」は発明の詳細な説明を参酌すると「テレビ予約情報は、ユーザーのテレビスクリーン上に提供される」(【0004】)とあるから、テレビ画面のことである。
これに対して、甲第3装置発明は「テレビ画面である表示手段」を有しているから、「表示スクリーン」を有しているということができる。

(c-3)番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置
甲第3装置発明は「プログラムを録画予約する手段と、録画禁止のための条件を入力する手段と、」を有している。
甲第3装置発明の「プログラムを録画予約」、「録画禁止のための条件を入力する」が、本件発明10の「番組を録画予約」、「ブロックする番組の基準を入力する」に対応することは、上記【第6】A)3.(2)b)、および【第6】A)3.(2)c)にて検討したとおりである。
甲第3装置発明の「プログラムを録画予約する手段」、「録画禁止のための基準を入力する手段」は、操作者が操作して、「録画予約」や「基準の設定」をする手段であり、上記「録画予約」、「設定」といった操作を行い、その操作内容を装置に入力する入力手段であることは明らかである。
以上のことから、甲第3装置発明の「プログラムを録画予約する手段と、録画禁止のための条件を入力する手段と」は、「番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置」ということができる。

(c-4)録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサ
甲第3装置発明は「既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する手段」を有している。
甲第3装置発明の「既に録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較する」が、本件発明10の「録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する」に対応することは、【第6】A)3.(2)d)にて検討したとおりである。
本件発明10の「プロセッサ」は「種々の処理機能を実現する手段」という意味でしかないから、甲第3装置発明の「手段」と相違はない。
以上のことから、甲第3装置発明は「録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサ」を有しているということができる。

(c-5)プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサ
甲第3装置発明は「録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示する手段」を有している。
甲第3発明の「録画予約の設定が完了しているプログラムと録画禁止のための条件とを比較して、一致がある場合、上記一致していることを表示する」が、本件発明10の「前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する」に対応することは、【第6】A)3.(2)e)にて検討したとおりである。
そして、甲第3装置発明における「前記判断」は、上記(c-4)で検討した、プロセッサの判断であることは明らかである。
また、甲第3装置発明の「表示する手段」とは、表示機能を実現する手段のことであり、これに対して、本件発明10の「表示プロセッサ」は表示という機能を実現するための、実現手段であることは、上記【第2】2.(4)b)にて検討したとおりであるから、甲第3装置発明が有している「表示(機能を実現)する手段」は本件発明10の「表示プロセッサ」に対応するということができる。
以上のことからみて、甲第3装置発明は、「プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサ」を有しているということができる。

(c-6)ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず
甲第3装置発明が、「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有しているということはできないことは、上記【第6】A)3.(2)f)にて検討したとおりである。

(c-7)(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする
甲第3装置発明が「(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」の構成を有しているということはできないことは、上記【第6】A)3.(2)g)にて検討したとおりである。

d)判断(本件発明10と甲第3装置発明)
以上(c-1)?(c-7)の対比の結果、甲第3装置発明と本件発明10とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

(一致点)
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含む、
システム。

(相違点)

(c-6)より
甲第3装置発明が、「ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず」の構成を有していない点。

(c-7)より
甲第3装置発明が「(ブロック基準を満たす番組を、)ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする」の構成を有していない点。

そして、甲第3装置発明として認定した以外の、他の甲第3号証の記載をみても、当該相違点に係る構成を見いだすことはできず、また、実質的に開示されているに等しいとする根拠も見いだすことはできないから、本件発明10は甲第3号証に記載された発明ではない。

e)小括(本件発明10と甲第3装置発明)
以上の検討によれば、本件発明10が甲第3号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項10に係る発明を無効とすることはできない。

K)本件発明11の無効理由についての判断
請求人は、本件発明11について、上記【第4】1.(9)にて、a)、b)の無効理由(以下、a)の理由を第1の理由、b)の理由を第2の理由という。)を主張しているので、この点について検討する。

1.第1の理由について
(1)請求人の主張の主旨
審判請求書の記載をみれば、請求人は、結局、第1の無効理由として「本件特許明細書には、「プロセッサ」、「表示プロセッサ」について記載がないから、訂正後の本件発明10は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない」と主張している。

(2)当審の判断
しかし、上記「【第2】2.(4)b)についての判断」にて検討したとおり、「本件特許発明において、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼び、特に表示機能を実現する手段のことを「表示プロセッサ」と称しているにすぎないということができる。」から、発明の詳細な説明に「プロセッサ」、「表示プロセッサ」なる表現はなくとも、「(表示機能を除く)種々の処理機能を実現する手段」、「表示機能を実現する手段」を有していることは明らかであり、当該手段が、それぞれ、「プロセッサ」、「表示プロセッサ」であることは明らかであるから、「プロセッサ」、「表示プロセッサ」が発明の詳細な説明に記載されていないということはできない。

したがって、上記請求人が主張する第1の無効理由は存在せず、本件特許発明11について、
a)本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項の規定する要件を満たしていない、
b)本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号の規定に適合していない、
ということはできない。

(3)小括
したがって、本件発明11は、特許法第36条第4項、および、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、願書に添付した特許請求の範囲の請求項11についての特許は、同法123条1項4号の規定に該当せず、無効とすることはできない。

2.第2の理由について
(1)請求人の主張
請求人の主張は、結局、審判請求書を参酌すると、本件発明11は本件発明2とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明2と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明2について、請求人が主張する無効理由は、上記【第4】1.(2)(本件発明2は甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができない。)の無効理由を主張しているので、上記「本件発明2」を「本件発明11」と読み替えてこの点について検討する。

(2)本件発明11
本件発明11は、本件発明10の記載を引用し、さらに、以下の構成を有する。

【請求項11】
プロセッサはさらにパスワードを記憶し、
入力装置は、ブロック基準を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取り、
表示プロセッサは、第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示し、
プロセッサは、プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取り、ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する、請求項10に記載のシステム。

(3)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、本件発明2がさらに有する構成と対比して、以下の構成が開示されていることは、上記【第6】B)1.(3)にて検討したとおり。

パスワードを記憶する段階
ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る段階
第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する段階
プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取る段階
ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する段階
とを有する方法。

(4)甲第1号証にさらに記載された発明の方法を実現するための手段
甲第1号証にさらに記載された発明は「方法」の発明であるが、上記方法を実現する各段階の機能を実現するための手段も開示していることは明らかであり、上記各段階の機能を実現する手段からなる装置の発明であるということもできる。
すなわち、各「段階」は各「手段」と置き換え、「方法」を「装置」の発明と対応させることができるから、甲第1号証はさらに以下のとおりの装置の発明を開示しているということができる。

パスワードを記憶する手段
ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る手段
第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する手段
プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取る手段
ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する手段
とを有する装置。

(5)対比(本件発明10と上記装置発明)
a)プロセッサはさらにパスワードを記憶し
本件発明11のプロセッサは、上記【第6】J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼んでいるにすぎないから、甲第1号証の「パスワードを記憶する手段」は、本件発明11の「プロセッサはさらにパスワードを記憶し」に対応する。

b)入力装置は、ブロック基準を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取り
甲第1号証の「ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る手段」は、「ユーザ要求を受け取る手段は、ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る」という意味であり、装置としてユーザ要求を受け取る手段のことを入力装置ともいう。
以上のことから甲第1号証には「入力装置は、ブロック条件を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取り」の構成を有する点で、本件発明11と一致する。
もっとも、甲第1号証にさらに開示された発明は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組そのものを示す「番組コード」であって、番組そのものが一致することであるのに対し、本件発明11は、「(番組を)ブロック(する)条件」が、番組の属性が所定の条件を満たすための「基準」である点で相違することは、上記【第6】A)1.(2)c)にて検討したとおりである。

c)表示プロセッサは、第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示し
甲第1号証の「第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する手段」は、「表示する手段は、第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する」という意味である。
本件発明11の表示プロセッサは、上記【第6】J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のうちの、表示機能を実現する手段ことを「表示プロセッサ」と呼んでいるにすぎないから、甲第1号証の「表示する手段」は、本件発明11の表示プロセッサと相違がない。
したがって、甲第1号証の「第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する手段」は、本件発明11の「表示プロセッサは、第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示し」と相違がない。

d)プロセッサは、プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取り、ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する
甲第1号証の「ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する手段」は、「録画予約する手段は、ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する」という意味である。
プロセッサについては上記a)にて検討したとおりであるから、甲第1号証の「録画予約する手段」は「録画予約(処理)を行う」手段ということができる。そして、本件発明では、種々の処理を行う手段を、単に「プロセッサ」と呼んでいるから、録画予約(処理)を行う手段も、単に「プロセッサ」ということができる。
以上のことから、甲第1号証の「ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する手段」は、本件発明11の「プロセッサは、プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取り、ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する」と対応している。

(6)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第1装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(7)小括
以上の検討によれば、本件発明11と甲第1号証に記載された発明とは、本件発明10を引用する構成において相違するものであって、本件発明11が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

2.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項11に係る発明を無効とすることはできない。

L)本件発明12の無効理由についての判断
請求人は、本件発明12について、上記【第4】1.(10)にあるように、a)、b)、c)の無効理由(以下、a)の理由を第1の理由、b)の理由を第2の理由、c)の理由を第3の理由という。)を主張しているので、この点について検討する。

1.第1の理由について
(1)請求人の主張の主旨
審判請求書の記載をみれば、請求人は、結局、第1の無効理由として「本件特許明細書には、「プロセッサ」について記載がないから、訂正後の本件発明12は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない」と主張している。

(2)当審の判断
しかし、上記「【第2】2.(4)b)についての判断」にて検討したとおり、「本件特許発明において、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼び、特に表示機能を実現する手段のことを「表示プロセッサ」と称しているにすぎないということができる」から、発明の詳細な説明に「プロセッサ」、「表示プロセッサ」なる表現はなくとも、「(表示機能を除く)種々の処理機能を実現する手段」、「表示機能を実現する手段」を有していることは当然のことであり、当該手段が、それぞれ、「プロセッサ」、「表示プロセッサ」であることは明らかであるから、「プロセッサ」、「表示プロセッサ」が発明の詳細な説明に記載されていないということはできない。
そして、本件特許明細書(特に、図2B、図2Cに対応する記載参照。)には基準のリストが表示されることが記載されているから、上記表示するための「表示プロセッサ」があることは自明である。

したがって、上記請求人が主張する第1の無効理由は存在せず、本件特許発明12について、
a)本件特許の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項の規定する要件を満たしていない、
b)本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号の規定に適合していない、
ということはできない。

(3)小括
したがって、本件発明12は、特許法第36条第4項、および、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえないから、願書に添付した特許請求の範囲の請求項12についての特許は、同法123条1項4号の規定に該当せず、無効とすることはできない。

2.第2の理由について(特許法29条第1項第3号の規定に基づく理由)
(1)請求人の主張
請求人の主張は、結局、審判請求書を参酌すると、本件発明12は本件発明3とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明3と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明3について、請求人が主張する、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができないとする無効の理由は、「本件発明3は甲第3号証に記載された発明と同一であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができない」というものであるから、上記「本件発明3」を「本件発明12」と読み替えて、この点について検討する。

(2)本件発明12
本件発明12は、本件発明10の記載を引用し、さらに、以下の構成を有する。

【請求項12】
「表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する」、請求項10に記載のシステム。

(3)甲第3号証に記載された発明
甲第3号証には、本件発明3がさらに有する構成と対比して、以下の発明が記載されていることは、上記【第6】C)1.(3)にて検討したとおり。

基準を入力する段階
条件のリストを画面に表示する段階
条件のリストから入力する基準を選択する段階
とを有する方法。

(4)甲第3号証にさらに記載された発明の方法を実現するための手段
甲第3号証にさらに記載された発明は「方法」の発明であるが、上記方法を実現する各段階の機能を実現するための手段も開示していることは明らかであり、上記各段階の機能を実現する手段からなる装置の発明であるということもできる。
すなわち、各「段階」は各「手段」と置き換え、「方法」を「装置」の発明と対応させることができるから、甲第3号証はさらに以下のとおりの装置の発明を開示しているということができる。

基準を入力する手段
条件のリストを画面に表示する手段
条件のリストから入力する条件を選択する手段
とを有する装置。

(5)対比
a)表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し
本件発明12の表示プロセッサは、上記【第6】J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のうちの、表示機能を実現する手段ことを「表示プロセッサ」と呼んでいるにすぎず、また、甲第3号証の「条件のリストを画面に表示する手段」は、「表示する手段は、条件のリストを(表示)画面に表示する」という意味である。
以上のことから、甲第3号証の「条件のリストを画面に表示する手段」は、本件発明12の「表示プロセッサは、条件のリストを表示画面に表示し」に対応する。
もっとも、甲第3号証には「条件のリストを表示画面に表示」は開示されているが、「基準のリストを表示画面に表示」を開示されているとはいえないことは、上記【第6】C)1.(3)b)にて検討したとおりである。

b)プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する
本件発明12のプロセッサは、上記【第6】J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼んでいるにすぎず、また、甲第3号証の「条件のリストから入力する条件を選択する手段」は、「選択する手段は、条件のリストから入力する条件を選択する」という意味である。
以上のことから、甲第3号証の「条件のリストから入力する条件を選択する手段」は、本件発明12の「プロセッサは条件のリストから選択された条件を処理する」に対応する。
もっとも、甲第3発明は「条件のリストから入力する基準を選択する」ことを開示してはいるが、「基準のリストから入力する基準を選択する」ことを開示しているとはいえないことは、上記【第6】C)1.(3)c)にて検討したとおりである。

(6)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第3装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(7)小括
以上の検討によれば、本件発明12と甲第3号証に記載された発明とは、本件発明10を引用する構成、および、上記(5)にて検討した甲第3号証が有していない構成において相違するものであって、本件発明12が甲第3号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.第3の理由について(特許法29条第2項の規定に基づく理由)
(1)請求人の主張
請求人の主張は、結局、審判請求書を参酌すると、本件発明12は本件発明3とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明3と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明3について、請求人が主張する、特許法29条第2項の規定によって特許を受けることができないとする無効の理由は、「本件発明1を引用する本件発明3の構成の、上記引用する構成は、甲第1発明、および、甲第2発明と一致し、甲第3号証、甲第4号証には、本件発明3がさらに有する構成が記載されているから、該甲第3号証、甲第4号証に記載された技術事項を甲第1発明すること、または甲第4号証に記載された技術事項を甲第2発明に適用することにより、本件発明3は容易に発明をすることができた」というものであるから、上記「本件発明1」、「本件発明3」を、それぞれ「本件発明10」、「本件発明12」と読み替えて、この点について検討する。

(2)本件発明10と甲第1装置発明についての検討の適用
本件発明12は本件発明10の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

【請求項12】
「表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する、」請求項10に記載のシステム。

本件発明10を引用する構成については、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりである。

(3)甲第3号証にさらに記載された発明と本件発明12がさらに有する構成について
甲第3号証には、本件発明12がさらに有する構成が記載されていないことは上記【第6】L)2.にて検討したとおりである。

(4)甲第4号証に記載された技術事項と本件発明12がさらに有する構成について
甲第4号証には、本件発明3がさらに有する構成と対比して、以下の発明が記載されていることは、上記【第6】C)2.(4)にて検討したとおり。

基準を入力する段階は、
基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階とを含む
方法。

(5)甲第4号証にさらに記載された発明の方法を実現するための手段
甲第4号証にさらに記載された発明は「方法」の発明であるが、上記方法を実現する各段階の機能を実現するための手段も開示していることは明らかであり、上記各段階の機能を実現する手段からなる装置の発明であるということもできる。
すなわち、各「段階」は各「手段」と置き換え、「方法」を「装置」の発明と対応させることができるから、甲第4号証はさらに以下のとおりの装置の発明を開示しているということができる。

基準を入力する手段は、
基準のリストを画面に表示する手段と、
基準のリストから入力する基準を選択する手段とを含む
装置。

(6)対比
a)表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し
本件発明12の表示プロセッサは、上記【第6】J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のうちの、表示機能を実現する手段ことを「表示プロセッサ」と呼んでいるにすぎず、また、甲第4号証の「基準のリストを画面に表示する手段」は、「表示する手段は、基準のリストを(表示)画面に表示する」という意味である。
以上のことから、甲第4号証の「基準のリストを画面に表示する手段」は、本件発明12の「表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し」に対応する。

b)プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する
本件発明12のプロセッサは、上記【第6】J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼んでいるにすぎず、また、甲第4号証の「基準のリストから入力する基準を選択する手段」は、「選択する手段は、基準のリストから入力する基準を選択する」という意味である。
以上のことから、甲第4号証の「基準のリストから入力する基準を選択する手段」は、本件発明12の「プロセッサは、基準のリストから選択された基準を選択する」に対応する。

c)まとめ
上記a)、b)の検討によれば、甲第4号証には、本件発明12がさらに有する構成が開示されているということができる。

(7)甲第1装置発明に甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第1装置発明と甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第1装置発明に甲第3号証及び甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第1装置発明に、甲第3号証、甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明12がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明12がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明12がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明12がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(8)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第1装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第3号証及び甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(9)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明12は、上記【第6】J)2.(1)にて検討した相違点の構成において、甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

(10)本件発明10と甲第2装置発明についての検討の適用
本件発明12は本件発明10の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する、」請求項10に記載のシステム。

本件発明10を引用する構成については、上記【第6】J)2.(2)にて検討したとおりである。

(11)甲第4号証にさらに記載された発明と本件発明12がさらに有する構成について
甲第4号証には、本件発明12がさらに有する構成が記載されていることは上記【第6】L)3.(6)にて検討したとおりである。

(12)甲第2装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第2装置発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第2装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第2装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明12がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明12がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明12がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明12がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(13)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第2装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(2)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(14)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明12は、上記【第6】J)2.(2)にて検討した相違点の構成において、甲第2号証および甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項12に係る発明を無効とすることはできない。

M)本件発明13の無効理由についての判断
請求人は、本件発明13について、上記【第4】1.(4)にて、a)、b)の無効理由(以下、a)の理由を第1の理由、b)の理由を第2の理由という。)を主張しているので、この点について検討する。

1.第1の理由について
(1)請求人の主張の主旨
審判請求書の記載をみれば、請求人は、結局、第1の無効理由として
a)本件特許明細書には、「プロセッサ」、「表示プロセッサ」について記載がないから、訂正後の本件発明13は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない
b)本件発明13がさらに有する構成は、発明の詳細な説明に記載されておらず、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない
と主張している。

(2)当審の判断
a)について
上記「【第2】2.(4)b)についての判断」にて検討したとおり、「本件特許発明において、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼び、特に表示機能を実現する手段のことを「表示プロセッサ」と称しているにすぎないということができる」から、発明の詳細な説明に「プロセッサ」、「表示プロセッサ」なる表現はなくとも、それぞれ、「(表示機能を除く)種々の処理機能を実現する手段」、「表示機能を実現する手段」を有していることは当然のことであり、当該手段が、それぞれ、「プロセッサ」、「表示プロセッサ」であることは明らかであるから、「プロセッサ」、「表示プロセッサ」が発明の詳細な説明に記載されていないということはできない。

b)について
上記b)に係る主張は、上記【第6】D)1.(1)にて検討した主張と同じである。
したがって、本件発明10を引用する本件発明13の構成について、当該発明は明確であるか、および「本件特許明細書(甲第5号証)の第5頁第43行?末行および第2図B」の記載から願書に添付した明細書の発明の詳細な説明に記載されている事項であるか検討する。

(b-1)本件発明13がさらに有する構成
本件発明13は本件発明10を引用し以下の構成を有する。
「表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し、
プロセッサは、第1のパスワードを記憶し、基準のリストから選択された基準を処理し、第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」、請求項10に記載のシステム。

(b-2)本件発明13の明確性(特許法第36条第6項第2号)について
上記本件発明13の構成を分説して考える。
本件発明13は、以下のi)ないしii-3)の構成を有している。

i)表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し、
ii)プロセッサは、
ii-1)第1のパスワードを記憶し、
ii-2)基準のリストから選択された基準を処理し、
ii-3)第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない

すなわち、「表示プロセッサ」は「基準のリストを表示画面に表示」する処理を行い、
「プロセッサ」は上記ii-1)ないしii-3)の処理を行うというものである。
「表示プロセッサ」は「基準のリストを表示画面に表示」する処理を行うという意味で構成は明確である。

プロセッサの処理について以下検討する。
「(プロセッサは)第1のパスワードを記憶し」とは、「プロセッサ」が(例えば、発明の詳細な説明の【0015】にあるような)親パスワードを(新規に)記憶する処理を行うことである。
「(プロセッサは)基準のリストから選択された基準を処理し」とは、上記i)にて表示された基準のリストから基準を選択し、当該選択された基準について(何らかの)処理を行うという意味において明確である。
「(プロセッサは)第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」とは、上記ii-2)の「基準のリストから選択された基準を処理」の基準とは異なる基準の選択(処理)については、「第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで」行うことができないという意味である。
このことは、ii-2)において、基準のリストから選択した(他の基準ではない)基準について処理をしているのであるから、(他の基準にではない)基準については基準のリストから選択し処理が可能な状態であって、そのような状態において、他の基準を選択しようとすると「第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで」当該他の基準は選択できないととらえるのが普通であり、そのような意味において上記プロセッサの処理は明確である。

したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項2号の規定に適合していない、ということはできない。

(b-3)サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について
上記のとおり、本件発明13は一応明確であるということができるから、以下、上記(b-2)にて検討した構成が発明の詳細な説明に記載されているか検討する。

(b-3-1)本件特許明細書の記載事項
被請求人が主張する本件特許明細書には、以下のとおりの記載がある。
「【0016】
図2Bは、メインメニュー50から親パスワードが設定されユーザーが正しいパスワードを入力した時点でユーザーに示される親制御メニュー54の好ましい実施形態を示す。ユーザーは、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別にTV番組をロックすることができる。例えば、時間別にロックすることを望む場合、ユーザーはカーソルを「時間別ロック」の場所に移動させることができ、SELECTキーを入力する。代替的には、番組がロックされた場合、ユーザーは、ロックされていた全ての番組をロック解除できる。」

(b-3-2)判断
本件発明13の「表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し」は、図2Bに、「チャンネル、格付け/内容、時間別」という基準がリスト表示されていて、当該図について、上記【0016】に説明されている。そして、上記図にあるような表示を行う手段を表示プロセッサと呼ぶのであるから、発明の詳細な説明に記載されている。
また、親パスワードの新規作成についての説明が【0015】にあることから、「プロセッサは、第1のパスワードを記憶し」についても、発明の詳細な説明に記載されている。
本件発明13の「(プロセッサは、)基準のリストから選択された基準を処理し、第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」について検討する。
上記記載から見て、「プロセッサ」は、
「基準のリストから選択された基準を処理」(以下、処理1という)、
「第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」(同、処理2)
を行うというものである。
上記処理1の「基準を処理」と処理2の「他の基準を選択させない」とは異なる基準である。また、上記基準については、被請求人も主張するように「チャンネル、格付け/内容、時間別」のうちの一つであると認めることができる。
以上のことから、「基準のリストから選択された基準を処理」とは、まず、「チャンネル、格付け/内容、時間別」の中から一つの基準を選択し(例えば、チャンネル)、当該選択された基準の(チャンネルに係る)処理(処理1)を行うことをいうことは明らかである。
そして、「第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」とは、第1の処理で選択された基準の(チャンネルに係る)処理(処理1)を行うことは可能であっても、ひとたび、当該選択された基準の(チャンネルに係る)処理(処理1)から、他の基準(格付け/内容または時間別)の処理を選択しようとしても、他の基準(格付け/内容または時間別)の処理は(一致するパスワードを入力するまで)選択することができない(行うことができない)ようにすることを表しているとみるのが自然であることは、上記(b-2)にて検討したとおりである。
このような請求の範囲に記載された構成に対して、発明の詳細な説明【0017】-【0019】では、「基準のリストから選択された基準を処理」に相当する、「チャンネル、格付け/内容、時間別」から「チャンネル」を選択し、チャンネルロックの処理を行い、上記処理を行う画面から、「他の基準の処理」を行うため、チャンネルロックの画面から他の基準を選択できる画面に移行するために「EXITキー」を使用すると「親制御メニューのポップアップ54に戻る」ことが記載されるのみである。
そして、この「親制御メニューのポップアップ54」は、発明の詳細な説明では「図2Bは、メインメニュー50から親パスワードが設定されユーザーが正しいパスワードを入力した時点でユーザーに示される親制御メニュー54の好ましい実施形態を示す。ユーザーは、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別にTV番組をロックすることができる。例えば、時間別にロックすることを望む場合、ユーザーはカーソルを「時間別ロック」の場所に移動させることができ、SELECTキーを入力する。」(【0016】)と記載されているから、既に正しいパスワードの入力がなされており、基準(チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別)の選択(入力)が可能な状態である。
すなわち、親制御メニューのポップアップ54に戻った状態では、新たにパスワードを入力しなくとも、他の基準を選択できる状態であるから、発明の詳細な説明では、「親制御メニューのポップアップ54に戻り、新たにパスワードを入力しなくとも、他の基準を選択できる」ことが記載されている。
すなわち、本件発明13は「基準のリストから選択された基準を処理し、第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」のに対し、発明の詳細な説明では「基準のリストから選択された基準を処理し、第1のパスワードに一致するパスワードを入力しなくとも他の基準の選択することが可能」であるから、本件発明13の構成と、発明の詳細な説明に記載された内容と異なるものである。また、本件発明13に対応する発明の詳細な説明を他に見つけることができない。
よって、本件発明13は本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものでないから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法36条6項1号の規定に適合していない。
また、本件発明13と対応する技術事項について発明の詳細な説明に記載がないのであるから、当該技術事項について、当業者が実施できる程度に発明の詳細な説明に当該技術事項が開示されているということはできず、特許法36条第4項の規定に適合していない。

(3)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明13は、特許法第36条第6項第1号、同法第36条第4項の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、願書に添付した特許請求の範囲の請求項13についての特許は、同法123条1項4号の規定に該当し無効とすべきである

2.第2の理由について
(1)請求人の主張
請求人の主張は、結局、審判請求書を参酌すると、本件発明13は本件発明4とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明4と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明4について、請求人が主張する、特許法29条第2項の規定によって特許を受けることができないとする無効の理由は、「本件発明1を引用する本件発明4の構成の、上記引用する構成は、甲第1発明、および、甲第3発明と一致し、加えて、本件発明4がさらに有する構成については甲第1号証、甲第3号証、甲第4号証に記載されているから、甲第4号証に記載された技術事項を、甲第1発明または甲第3発明に適用すれば、本件発明4は容易に発明をすることができた」というものであるから、上記「本件発明1」、「本件発明4」を、それぞれ「本件発明10」「本件発明13」と読み替えて、この点について検討する。

(2)本件発明10と甲第1装置発明についての検討の適用
本件発明13は本件発明10の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「 表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し、
プロセッサは、第1のパスワードを記憶し、基準のリストから選択された基準を処理し、第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」、請求項10に記載のシステム。

本件発明10を引用する構成については、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりである。

(3)甲第4号証に記載された技術事項と記載されていない技術事項
第4号証には、本件発明4がさらに有する構成と対比して、以下の(一致点)に係る構成が記載されていて、また、以下の(相違点)に係る構成が記載されていないことは、上記【第6】D)2.(3)にて検討したとおり。

(一致点)
「基準を入力する段階は、
第1のパスワードを記憶する段階と、
ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階と、
プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階と、」

(相違点)
「基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階」
「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階」

(4)甲第4号証に記載された技術事項である方法を実現するための手段
甲第4号証に記載された(あるいは記載されていない)技術事項は「方法」を実現するためのそれぞれの段階であるが、上記方法を実現する各段階の機能を実現するための手段も開示していることは明らかであり、上記各段階の機能を実現する手段からなる装置に係る技術事項も開示しているということもできる。
すなわち、各「段階」は各「手段」と置き換え、「方法」を「装置」と対応させることができるから、甲第1号証は以下のとおりの(装置に用いられる)手段を、一致点については開示しており、また相違点については開示がないということができる。

(一致点)
「基準を入力する手段は、
第1のパスワードを記憶する手段と、
ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する手段と、
プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する手段と、
基準のリストから入力する基準を選択する手段」

(相違点)
「基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する手段」
「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない手段」

(5)対比(本件発明13と上記一致点・相違点に係る構成)
a)表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し、
本件発明13の表示プロセッサは、上記J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のうちの、表示機能を実現する手段ことを「表示プロセッサ」と呼んでいるにすぎないから、上記一致点の「基準のリストを画面に表示する手段」は、本件発明12の「表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し」に対応する。

b)プロセッサは、第1のパスワードを記憶し、
本件発明13のプロセッサは、上記J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼んでいるにすぎないから、上記一致点の「第1のパスワードを記憶する手段」は、本件発明13の「プロセッサは、第1のパスワードを記憶し」に対応する。

c)(プロセッサは)基準のリストから選択された基準を処理し
本件発明13のプロセッサは、上記J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼んでいるにすぎないから、上記一致点の「基準のリストから入力する基準を選択する手段」は、本件発明13の「(プロセッサは)基準のリストから選択された基準を処理し」に対応する。

d)(プロセッサは)第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない
本件発明13のプロセッサは、上記J)1.にて検討したとおり、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼んでいるにすぎないから、上記相違点の「一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない手段」は、本件発明13の「(プロセッサは)第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」に対応する。

e)まとめ
以上のことから、上記a)ないしc)については、甲第4号証に記載があるといえるが、上記d)については記載があるということができない。
上記d)の記載がない点について、請求人の主張を採用できないことは、上記【第6】D)2.(4)にて検討したとおりである。

(6)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第1装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(7)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明13は、上記【第6】J)2.(1)にて検討した相違点の構成、および、上記(5)にて検討した甲第4号証に記載がない構成において、甲第1号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

(8)本件発明10と甲第3装置発明についての検討の適用
本件発明13は本件発明10の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「 表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し、
プロセッサは、第1のパスワードを記憶し、基準のリストから選択された基準を処理し、第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない」、請求項10に記載のシステム。

本件発明10を引用する構成については、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりである。

(9)甲第4号証に記載された技術事項と本件発明13がさらに有する構成について
甲第4号証には、本件発明13がさらに有する構成について、上記(5)にて検討した点において記載されていない。

(10)本件発明1を引用する構成について
本件発明1を引用する構成について、請求人は甲第3発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(11)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明13は、上記【第6】J)2.(3)にて検討した相違点および、上記(5)にて検討した構成において、甲第3号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由a)(第1の理由)によって、本件特許の請求項13に係る発明を無効とすべきである。

N)本件発明14の無効理由についての判断
1.請求人の主張
請求人は、上記【第4】1.(5)のとおりの無効の理由を主張しているが、この主張は、審判請求書を参酌すると、本件発明14は本件発明5とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明5と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明5について、請求人が主張する無効の理由は、「本件発明1を引用する本件発明5の構成の、上記引用する構成は、甲第1発明、および、甲第3発明と一致し、本件発明5がさらに有する構成は、甲第4号証に記載されているから、該甲第4号証に記載された技術事項を、甲第1発明または甲第3発明に適用すれば、本件発明5は容易に発明をすることができた」というものであるから、上記「本件発明1」、「本件発明5」を、それぞれ、「本件発明10」、「本件発明14」と読み替えて、この点について検討する。

2.甲第1装置発明と甲第4号証の組み合わせについて
(1)本件発明10と甲第1装置発明についての検討の適用
本件発明14が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりである。

(2)本件発明14がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
本件発明14は本件発明10を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「入力装置は、基準として番組の格付けを入力する」、請求項10に記載のシステム。

これに対して、甲第4号証には「番組ロックのために入力する基準として、本件発明5がさらに有する構成が開示されている。」ことは、上記【第6】E)2.(2)にて検討したとおりである。
基準として番組の格付けを入力することが甲第4号証に記載されているのであるから、甲第4号証には、上記基準を入力するための手段(すなわち、基準として番組の格付けを入力する入力装置)も記載されているということができ、「入力装置は、基準として番組の格付けを入力する」は甲第4号証に記載されているということができる。

(3)甲第1装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第1装置発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第1装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第1装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明14がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明14がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明14がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明14がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第1装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明14は、上記【第6】J)2.(1)にて検討した相違点の構成において、甲第1号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.甲第3装置発明と甲第4号証の組み合わせについて
(1)本件発明10と甲第3装置発明についての検討の適用
本件発明14が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりである。

(2)本件発明14がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
甲第4号証に本件発明14がさらに有する構成が開示されていることは、上記(2)にて検討したとおりである。

(3)甲第3装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第3装置発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第3装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第3装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明14がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明14がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明14がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明14がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第3装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明14は、上記【第6】J)2.(3)にて検討した相違点の構成において、甲第3号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項14に係る発明を無効とすることはできない。

P)本件発明15の無効理由についての判断
1.請求人の主張
請求人は、上記【第4】1.(1)のとおりの無効の理由を主張しているが、この主張は、審判請求書を参酌すると、本件発明15は本件発明6とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明6と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明6について、請求人が主張する無効の理由は、「訂正後の本件発明6は、本件特許出願前に頒布された刊行物(甲第1号証ないし甲第3号証のそれぞれ)に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができないものであって、本件発明6に付与された本件特許は、同法第123条1項2号の規定により、無効とすべきものである」というものであると認めることができるから、上記「本件発明6」を「本件発明15」と読み替えて、この点について検討する。

2.本件発明15と甲第1装置発明について
(1)本件発明10と甲第1装置発明についての検討の適用
本件発明15が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりである。

(2)本件発明15がさらに有する構成と甲第1号証に記載された技術事項
本件発明15は本件発明10を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「入力装置は、基準としてチャンネルの識別情報を入力する」、請求項10に記載のシステム。

すなわち、「ブロック基準」として、「チャンネルの識別情報」を入力する入力装置というものである。
これに対して、甲第1号証に「ブロックの基準」として、「チャンネルの識別情報」を採用する技術思想が開示されていないことは、上記【第6】F)1.(2)にて検討したとおりである。

(3)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第1装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明15と甲第1号証に記載された発明とは、本件発明10を引用する構成、および、本件発明15がさらに有する構成において相違するものであって、本件発明15が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.本件発明15と甲第2装置発明について
(1)本件発明10と甲第2装置発明についての検討の適用
本件発明15が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(2)にて検討したとおりである。

(2)本件発明15がさらに有する構成と甲第2号証に記載された技術事項
本件発明15は本件発明10を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「入力装置は、基準としてチャンネルの識別情報を入力する」、請求項10に記載のシステム。

すなわち、「ブロック基準」として、「チャンネルの識別情報」を入力する入力装置というものである。
これに対して、甲第2号証に「ブロックの基準」として、「チャンネルの識別情報」を採用する技術思想が開示されていないことは、上記【第6】F)2.(2)にて検討したとおりである。

(3)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第2装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(2)にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明15と甲第2号証に記載された発明とは、本件発明10を引用する構成、および、本件発明15がさらに有する構成において相違するものであって、本件発明15が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.本件発明15と甲第3装置発明について
(1)本件発明10と甲第3装置発明についての検討の適用
本件発明15が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりである。

(2)本件発明15がさらに有する構成と甲第3号証に記載された技術事項
本件発明15は本件発明10を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「入力装置は、基準としてチャンネルの識別情報を入力する」、請求項10に記載のシステム。
すなわち、「ブロック基準」として、「チャンネルの識別情報」を入力する入力装置というものである。
これに対して、甲第3号証に「ブロックの基準」として、「チャンネルの識別情報」を採用する技術思想が開示されていることは、上記【第6】F)3.(2)にて検討したとおりである。

(3)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第3装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明15と甲第3号証に記載された発明とは、本件発明10を引用する構成において相違するものであって、本件発明15が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

5.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項15に係る発明を無効とすることはできない。

Q)本件発明16の無効理由についての判断
請求人は、本件発明16について、上記【第4】1.(6)にて、a)、b)、c)の無効理由(以下、a)の理由を第1の理由、b)の理由を第2の理由、c)の理由を第3の理由という。)を主張しているので、この点について検討する。

1.第1の理由について
(1)請求人の主張の主旨
審判請求書の記載をみれば、請求人は、結局、第1の無効理由として
a)本件特許明細書には、「表示プロセッサ」について記載がないから、訂正後の本件発明16は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号の要件を満たさない
b)本件発明16がさらに有する構成は、発明の詳細な説明に記載されておらず、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない
と主張している。

(2)当審の判断
a)について
上記「【第2】2.(4)b)についての判断」にて検討したとおり、「本件特許発明において、種々の処理機能を実現する手段のことを「プロセッサ」と呼び、特に表示機能を実現する手段のことを「表示プロセッサ」と称しているにすぎないということができる」から、発明の詳細な説明に「表示プロセッサ」なる表現はなくとも、「表示機能を実現する手段」を有していることは当然のことであり、当該手段が、「表示プロセッサ」であることは明らかであるから、「表示プロセッサ」が発明の詳細な説明に記載されていないということはできない。

b)について
上記b)に係る主張は、上記【第6】G)1.にて検討した内容と同じである。
したがって、本件発明15を引用する本件発明16は、特許法第36条第6項第1号、同法同条第4項の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、願書に添付した特許請求の範囲の請求項16についての特許は、同法123条1項4号の規定に該当し無効とすべきである。

2.第2の理由について
(1)請求人の主張
請求人の主張は、結局、審判請求書を参酌すると、本件発明16は本件発明7とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明7と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明7について、請求人が主張する、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができないとする無効の理由は、訂正後の本件発明7は、本件特許出願前に頒布された甲第3号証に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができないものであって、本件発明7に付与された本件特許は、同法第123条1項2号の規定により、無効とすべきものである、というものであるから、上記「本件発明7」を「本件発明16」に読み替えて、この点について検討する。

(2)本件発明15と甲第3発明についての検討の適用
本件発明16は本件発明15の記載を引用して、さらに、以下の構成を有するものである。

「表示プロセッサは、番組リストにおいてチャンネルの識別情報の隣にロック記号を表示する」、請求項15に記載のシステム。

本件発明15を引用する構成については、上記【第6】P)4.にて検討したとおりである。

(3)甲第3号証に記載された技術事項と本件発明7がさらに有する構成について
これに対して、甲第3号証に本件発明16がさらに有する構成が開示されていないことは、上記【第6】F)2.(3)にて検討したとおりである。

(4)本件発明15を引用する構成について
本件発明15を引用する構成について、請求人は甲第3号証に記載された発明と一致すると主張しているが、上記【第6】P)4.にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(5)小括
以上の検討によれば、本件発明16と甲第3号証に記載された発明とは、本件発明15を引用する構成、および、本件発明16がさらに有する構成において相違するものであって、本件発明16が甲第3号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.第3の理由について
(1)請求人の主張の主旨
請求人の主張は、結局、審判請求書を参酌すると、本件発明16は本件発明7とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明7と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明7に対する無効の理由として、請求人の主張の主旨は、上記【第6】G)3.(1)で検討したように「本件発明7は、本件発明7が引用する本件発明6の構成について、甲第1発明、あるいは、甲第2発明と一致し、本件発明7がさらに有する構成については、甲第3号証に記載された技術事項を適用することにより、本件発明7は容易に発明をすることができた」と解することができるから、上記「本件発明7」を「本件発明16」と読み替えて、この点について検討する。

(2)甲第1装置発明に甲第3号証に記載された技術事項を適用することについて
a)本件発明15と甲第1装置発明についての検討の適用
本件発明16が引用する本件発明15の構成については、上記【第6】P)2.にて検討したとおりである。

b)本件発明7がさらに有する構成と甲第3号証に記載された技術事項について
本件発明7がさらに有する構成について、甲第3号証に記載がないことは、上記【第6】Q)2.にて検討したとおりである。

c)本件発明15を引用する構成について
本件発明15を引用する構成について、請求人は甲第1号証に記載された発明と一致すると主張しているが、上記【第6】P)2.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第3号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

d)小括
したがって、本件発明15を引用する本件発明16は、上記【第6】P)2.、【第6】Q)2.にて検討した相違点の構成において、甲第3号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

(3)甲第2装置発明に甲第3号証に記載された技術事項を適用することについて
a)本件発明15と甲第2装置発明についての検討の適用
本件発明16が引用する本件発明15の構成については、上記【第6】P)3.にて検討したとおりである。

b)本件発明16がさらに有する構成と甲第3号証に記載された技術事項について
本件発明16がさらに有する構成について、甲第3号証に記載がないことは、上記【第6】Q)2.にて検討したとおりである。

c)本件発明15を引用する構成について
本件発明15を引用する構成について、請求人は甲第2号証に記載された発明と一致すると主張しているが、上記【第6】P)3.にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第3号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

d)小括
したがって、本件発明15を引用する本件発明16は、上記【第6】P)3.、および【第6】Q)2.にて検討した相違点の構成において、甲第3号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由a)(第1の理由)によって、本件特許の請求項16に係る発明を無効とすべきである。

R)本件発明17の無効理由についての判断
1.請求人の主張
請求人は、上記【第4】1.(1)のとおりの無効の理由を主張しているが、この主張は、審判請求書を参酌すると、本件発明17は本件発明8とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明8と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明8について、請求人が主張する無効の理由は、「訂正後の本件発明8は、本件特許出願前に頒布された刊行物(甲第1号証ないし甲第3号証のそれぞれ)に記載された発明であり、特許法29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができないものであって、本件発明8に付与された本件特許は、同法第123条1項2号の規定により、無効とすべきものである」というものであると認めることができるから、上記「本件発明8」を「本件発明17」と読み替えて、この点について検討する。

2.本件発明17と甲第1装置発明について
(1)本件発明10甲第1装置発明についての検討の適用
本件発明17が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりである。

(2)本件発明17がさらに有する構成と甲第1号証に記載された技術事項
本件発明17は本件発明10を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「入力装置は、基準として時間帯を入力する」、請求項10に記載のシステム。

すなわち、「ブロック基準」として、「時間帯」を入力する入力装置というものである。
これに対して、甲第1号証に「ブロックの基準」として、「時間帯」を採用する技術思想が開示されていないことは、上記【第6】H)1.(2)にて検討したとおりである。

(3)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第1装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明17と甲第1号証に記載された発明とは、本件発明10を引用する構成、および、本件発明17がさらに有する構成において相違するものであって、本件発明17が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.本件発明17と甲第2装置発明について
(1)本件発明10と甲第2装置発明についての検討の適用
本件発明17が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(2)にて検討したとおりである。

(2)本件発明17がさらに有する構成と甲第2号証に記載された技術事項
本件発明17は本件発明10を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「入力装置は、基準として時間帯を入力する」、請求項10に記載のシステム。

すなわち、「ブロック基準」として、「時間帯」を入力する入力装置というものである。
これに対して、甲第2号証に「ブロックの基準」として、「時間帯」を採用する技術思想が開示されていることは、上記【第6】H)2.(2)にて検討したとおりである。

(3)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第2装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(2)にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明17と甲第2号証に記載された発明とは、本件発明10を引用する構成において相違するものであって、本件発明17が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.本件発明17と甲第3装置発明について
(1)本件発明10と甲第3装置発明についての検討の適用
本件発明17が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりである。

(2)本件発明17がさらに有する構成と甲第3号証に記載された技術事項
本件発明17は本件発明10を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「入力装置は、基準として時間帯を入力する」、請求項10に記載のシステム。

すなわち、「ブロック基準」として、「時間帯」を入力する入力装置というものである。
これに対して、甲第3号証に「基準を入力する段階では時間帯を入力する」技術思想が開示されていることは、上記【第6】H)3.(2)にて検討したとおりである。

(3)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第3装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりであり相違点が存在する。

(4)小括
以上の検討によれば、本件発明17と甲第3装置発明とは、本件発明10を引用する構成において相違するものであって、本件発明17が甲第1号証に記載された発明であるということはできないから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

5.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項17に係る発明を無効とすることはできない。

S)本件発明18の無効理由についての判断
1.請求人の主張
請求人は、上記【第4】1.(7)のとおりの無効の理由を主張しているが、この主張は、審判請求書を参酌すると、本件発明18は本件発明9とカテゴリが異なるだけで、実質的に同一であるから、本件発明9と同様の理由により、特許を受けることができない、というものであると認める。
そして、本件発明9について、請求人が主張する無効の理由は、「本件発明1を引用する本件発明9の構成の、上記引用する構成は、甲第1発明ないし甲第3発明と一致し、甲第4号証には、本件発明9がさらに有する構成が記載されているから、該甲第4号証に記載された技術事項を、甲第1発明ないし甲第3発明に適用すれば、本件発明5は容易に発明をすることができたものであり、特許法29条第2項の規定によって特許を受けることができないものであって、本件発明9に付与された本件特許は、同法第123条1項2号の規定により、無効とすべきものである」というものであると認めることができるから、上記「本件発明9」を「本件発明18」と読み替えて、この点について検討する。

2.本件発明18と甲第1装置発明について
(1)本件発明10と甲第1装置発明についての検討の適用
本件発明18が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりである。

(2)本件発明18がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
本件発明18は本件発明10を引用し、さらに、以下の構成を有する。

「入力装置は、基準としてペイパービュー番組の消費限度を入力する」、請求項10に記載のシステム。

すなわち、「ブロック基準」として、「ペイパービュー番組の消費限度」を入力する入力装置というものである。
これに対して、甲第4号証に「ブロックの基準」として、「ペイパービュー番組の消費限度」を採用する技術思想が開示されていることは、上記【第6】I)1.(2)にて検討したとおりである。

(3)甲第1装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第1装置発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の条件を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第1装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第1装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明18がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明18がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明18がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明18がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第1装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(1)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明18は、上記【第6】J)2.(1)にて検討した相違点の構成において、甲第1号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

3.本件発明18と甲第2装置発明について
(1)本件発明10と甲第2装置発明についての検討の適用
本件発明18が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(2)にて検討したとおりである。

(2)本件発明18がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
本件発明18がさらに有する構成について、甲第4号証に記載されていることは、上記【第6】I)1.(2)にて検討したとおりである。

(3)甲第2装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第2装置発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第2装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第2装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明18がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明18がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明18がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明18がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第2装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(2)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明18は、上記【第6】J)2.(2)にて検討した相違点の構成において、甲第2号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

4.本件発明18と甲第3装置発明について
(1)本件発明10と甲第3装置発明についての検討の適用
本件発明18が引用する本件発明10の構成については、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりである。

(2)本件発明18がさらに有する構成と甲第4号証に記載された技術事項
本件発明18がさらに有する構成について、甲第4号証に記載されていることは、上記【第6】I)1.(2)にて検討したとおりである。

(3)甲第3装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用する点
甲第3装置発明と甲第4号証に記載された技術事項はともに、番組に対するアクセス制限を行うものにおいて、上記アクセス制限の基準を設定する際に用いられる技術として共通しており、甲第3装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を採用することに格別の困難性があるということはできない。
したがって、甲第3装置発明に甲第4号証に記載された技術事項を適用し、本件発明18がさらに有する構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

〈効果等について〉
以上のように、本件発明18がさらに有する構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明18がさらに有する構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明18がさらに有する構成が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(4)本件発明10を引用する構成について
本件発明10を引用する構成について、請求人は甲第3装置発明と一致すると主張しているが、上記【第6】J)2.(3)にて検討したとおりであり相違点が存在する。
そして、甲第4号証に上記相違点に対応する技術事項は開示されていない。

(5)小括
したがって、本件発明10を引用する本件発明18は、上記【第6】J)2.(3)にて検討した相違点の構成において、甲第2号証、甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に該当せず、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当しない。

5.まとめ
以上のようであるから、請求人の主張する無効理由によっては、本件特許の請求項18に係る発明を無効とすることはできない。

【第7】むすび
以上のとおり、本件発明4、7、13及び16に係る特許は、特許法第36条第6項第1号、同法同条第4項に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

また、本件発明1-3、5、6、8-12、14、15、17、18については、請求人が、審判請求書に記載した理由及び証拠によって、これを無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第64条の規定により、その24分の14を請求人の負担とし、24分の10を被請求人の負担とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アクセス制御付きのテレビ予約システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ予約情報を提供するためのシステム、より特定的に言うとテレビ番組へのアクセスを制御する能力を伴うテレビ予約情報ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーにテレビ予約情報を提供するためのシステムが、現在利用可能である。
【0003】
【特許文献1】米国特許B1 4,706,121号(Young)
【0004】
例えば、特許文献1は、テレビ予約システム及びプロセスを提供している。Youngの一実施形態においては、テレビ予約情報は、ユーザーのテレビスクリーン上に提供される。ユーザーは、番組の選択などを行なうために、Youngシステムによって利用される選択基準を供給することができる。さらに、Youngは、テレビ予約情報ガイド内にリストアップされている番組の自動的選択及び自動的無人録画を可能にするべくテレビ受像機を制御するシステムを開示している。番組の自動的無人録画は、ビデオテープレコーダ(VCR)又はその他の記録装置を制御することによって達成される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ユーザーが時間、格付け、内容及び/又はチャンネル別にテレビ番組へのアクセスを制御することを可能とする、ユーザーインターフェイスを伴うテレビ予約システムに関する。さらに、ユーザーは、ペイ・パー・ビュー(PPV)(従量料金)方式番組の購入を制限するべくPPV消費に対する限度を設定することができる。
【0006】
好ましい実施形態においては、テレビ予約システムはメインメニューを有している。ユーザーは、親パスワードを入力するためにメインメニューから「Parental Control」(親制御)メニューを選択することができる。親パスワードは、メインメニューから設定できる。親パスワードを設定しそれを入力した後、ユーザーは、親制御メニューからチャンネル、格付け、内容及び/又は時間別に、番組をロックアウトできる。ショーの内容記述はさらに、FCCにより供給されるVチップ格付けデータに基づく対応する「Vチップ」分類を有することができる。
【0007】
従って、ユーザーはさらに、Vチップ分類別に番組をロックアウトできる。ロックされた番組に同調するためには、好ましくは親パスワードが供給される。
【0008】
一実施形態においては、ユーザーは、購入パスワードを入力するためメインメニューから「視聴制御」メニューを選択することができる。購入パスワードは、同様にメインメニューから設定することもできる。購入パスワードを設定し入力した後、ユーザーは、PPV消費限度を特定し、かくしてPPV方式番組の購入を制限することができる。ユーザーはさらに、格付け及び内容に基づいて、許容されたPPV方式番組のタイプを特定することができる。消費限度を超えて購入を行なうためには、好ましくは購入パスワードが供給される。制約のある番組を購入するためには、好ましくはパスワードと購入パスワードの両方が供給される。
【0009】
ユーザーがパスワードを思い出せない場合、例えばケーブルオペレータを呼出すことができる。ケーブルオペレータは、パスワードをゼロにセットすることができ、かくしてユーザーは新しいパスワードを設定できる。
【0010】
本発明のその他の特長及び利点は、明細書及び図面の残りの部分を熟読した時点で、当業者には明白となるだろう。図面中、同じ参照番号は、同一の又は機能的に類似した要素を表わしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、TV番組へのアクセスを制御する能力をもつテレビ(TV)予約システムを提供する。図1は、本発明を利用することのできるTVシステム1の好ましい一実施形態を例示する。図示されている通り、システム1は、配給センター10と多数の受信場所を含む。配給センター10は、データストリームのためのデータをコンパイルする。好ましい実施形態においては、このデータストリームは、受信場所16,18,20及び22に放送される。データストリームを配給センタ10から受信場所16?22まで放送するためには、複数の方法が利用可能である。例えば、衛星15がテレビチャンネル(例えばPBS)又は専用チャンネルの垂直ブランキング期間(VBI)内でこのデータストリームを受信場所16,18,20及び22に放送することができる。代替的には、非チャンネル特定機構を用いて、データを帯域外で放送することもできる。もう1つの実施形態においては、データストリームは、伝送ライン13を介して受信場所16,18,20及び22に提供される。伝送ライン13は、例えば、光ファイバ、同軸ケーブル、電話回線などであってよい。さらにもう1つの実施形態においては、受信場所の中にある周辺装置が、例えばローカルサービスプロバイダ40からデータストリームを受信する。サービスプロバイダ40は、ライン17を介して配給センタ10からデータストリームを受信し、衛星15(又はもう1つの衛星)を介してか又はライン19及び13を介して受信周辺装置にデータストームを放送する。受信周辺機器は、テレビ30,テレビ34,VCR32,VCR36及び/又はセットトップボックス38であってよい。さらにその他の実施形態においては、PCTVを利用することもできるし、或いは又上述の装置の複数のもの及び/又はコンピュータと共に使用するためパーソナルコンピュータにデータを提供することもできる。
【0012】
【特許文献2】米国特許5,151,789号
【0013】
好ましい実施形態においては、データストリーム内の情報には、TV予約情報が含まれている。周辺装置内にあるソフトウェアは、TV予約ガイドを生成するべくデータストリーム内に提供された予約情報を利用する。このソフトウェアは、ROM,RAM,ディスク又はその他の記憶装置といったコンピュータ読取り可能な記憶媒体42の上に記憶されている。TV予約ガイドが、グリッド書式である場合、例えば利用可能なチャンネルを「y」軸上にリストアップさせ、さまざまな時間を「x」軸上にリストアップさせることができる。ユーザーは、ガイド内の番組をハイライトさせその番組を選択することによって、TV予約ガイド内の1つの番組に対する同調を行なうことができる。ユーザーは、自動的無人録画のため、TV予約ガイド内にリストアップされている1個またはそれ以上の所望の番組を選択することもできる。TV予約システムが情報をどのように表示するか、及びその同調及び自動録画能力に関する詳しい情報については、特許文献1及び特許文献2を参照されたい。これらの特許は共に、本特許出願と同様、StarSight Telecast Inc.,に譲渡され、ここに全ての目的のためその全体が参考文献として組み込まれる。
【0014】
当該システムはさらに、視聴者が1個またはそれ以上のTV番組に同調を行なうか又はそれを見るのを妨げる能力も有している。TV番組は、チャンネル、格付け、内容及び/又は時間別に遮断され得る。ユーザーがロックされた時間中にTVをオンに切換えた場合、又はロックされた格付け又は内容/Vチップ分類(例えば)を含むショーに対し同調を行なった場合、テレビ予約システムは音声をミュートにし、TVスクリーン全体に濃淡の無い青色スクリーンを表示する。ここで親パスワードを要求するポップアップが現われることになる。正しいパスワードが入力された時点で、濃淡の無い青色スクリーンは消え、ミュートは無効化される。
【0015】
図2Aは、パスワードが設定されずユーザーがメインメニュー50から親制御を選択した場合にユーザーに示されるポップアップ52の好ましい一実施形態を示す。システムのさまざまなメニュー及びポップアップは、下にある全面スクリーンの上にある部分スクリーンとして示すこともできるし、或いは又全面スクリーンとして示すこともできる。図示されている通り、ユーザーは、SELECTキーを押すことにより親パスワードを新規作成するよう要請を受ける。SELECTキーはENTERキーであってもよく、ユーザー入力装置上にあってもよいし或いは又TV予約ガイド上に位置されスクリーンボタンへカーソルを導くことで入力されてもよい。SELECTキーがTV予約ガイド上にある場合、ユーザーは、ガイド上でそれをハイライトさせ、入力キー又はユーザー入力装置上で入力キーとして機能するあらゆるキーを押すことでそれを入力することができる。ユーザー入力装置又はTV予約ガイド上に位置されうるその他のキーとしては、CANCELキー、RECキー、及びEXITキーが含まれる。ユーザーがポップアップメニュー内で移動し選択を行なえるようにするため、好ましくは上、下、左及び右の矢印キーが含まれる。しかしながら、ユーザーがポップアップメニュー内を移動できるようにするあらゆるキーの組合せが使用可能である。親パスワードは、SELECTキーを叩くことにより、メインメニュー50から設定可能である。
【0016】
図2Bは、メインメニュー50から親パスワードが設定されユーザーが正しいパスワードを入力した時点でユーザーに示される親制御メニュー54の好ましい実施形態を示す。ユーザーは、チャンネル、格付け及び/又は内容又は時間別にTV番組をロックすることができる。例えば、時間別にロックすることを望む場合、ユーザーはカーソルを「時間別ロック」の場所に移動させることができ、SELECTキーを入力する。代替的には、番組がロックされた場合、ユーザーは、ロックされていた全ての番組をロック解除できる。
【0017】
図2Cは、ユーザーが「チャンネルによるロック機能」を選択した時点で示されるポップアップ56の好ましい一実施形態である。
【0018】
この好ましい実施形態においては、ポップアップ56は、ユーザーが利用可能な全てのチャンネルのリストを含む。ユーザーがポップアップ56に適合するよりも多くのチャンネルを有する場合、インジケータ又はスクロールバーがポップアップのコーナーに示され、ユーザーに対しより多くのチャンネルを表示するべくさらに右へ又はさらに下へ移動するように命令する。ユーザーは、ポップアップ56内を移動するため前述の矢印キーを使用することができる。ユーザーがチャンネルをハイライトさせて選択した後、そのチャンネルがロックされる。そのチャンネルがロックされていることを示すためチャンネルアイコンの隣にロック記号が置かれることになる。
【0019】
チャンネルをロック解除するためには、ユーザーは、ロックされたチャンネルをハイライトさせて選択することができる。そのとき、チャンネルアイコンの隣のロック記号は消え、ロックが除去されたことを示す。ユーザーは、親制御メニューのポップアップ54に戻るべくEXITキーを使用することができる。
【0020】
システムは番組情報を記憶することから、現行の又は将来の番組が制約されたチャンネル上に示されているか否かを見極めることができる。システムは同様に、番組が制約された格付け及び/又は内容、Vチップ分類又は時間帯に入るか否かをも見極めることができる。従って、録画予定の番組が存在するチャンネルにロックがセットされた場合、ユーザーにその矛盾について警告するポップアップが現われることになる。ユーザーがそのポップアップを無視した場合、それは3秒以内でタイムアウトし、チャンネルはロックされ、録画は、ロックが有効化される前にセットされた通りにパスワードの必要なく行なわれることになる。チャンネルがひとたびロックされた時点で、ユーザーは、正しいパスワードを入力しないかぎり、そのチャンネル上のいずれの番組をも同調、録画又は購入することができない。しかしながら、正しいパスワードを入力した時点で、ユーザーは、将来の番組の録画を予約することができる。予約された録画を行う時点で、システムは、ロックされたチャンネルのロックを解除し、そのチャンネルに同調を行ない、番組を録画する。番組が終わった時点で、システムはそのチャンネルを再びロックする。
【0021】
図2Dは、ユーザーが格付け及び/又は内容別に番組をロックすることを選んだ場合に示されるポップアップ60の好ましい一実施形態である。これを見ればわかるように、1つは格付けによるもの、もう1つは内容によるものと言う2つのリストがユーザーに示される。ユーザーは、ポップアップ上で関連する内容及び/又は格付けをハイライトさせてSELECTキーを入力することにより内容及び/又は定格別にロックすることができる。複数のカテゴリーの格付け及び/又は内容を用いて、番組をロックすることが可能である。さらに、ポップアップ60上の内容記述は、Vチップにより供給されるデータに対応する情報を含んでいてよい。Vチップデータはカッコ内に入れられる場合があり、これは番組のVチップ属性分類を表わす。例えば、内容カテゴリ「暴力」は、対応するVチップ属性、やや暴力的(V2)、中程度に暴力的(V3)などへの対応を有していてもよい。ユーザーが或る格付けに従ってショーをロックした場合、それより高い格付けは全て自動的にロックされる。ショーの内容は、過激さの順にリストアップされてる訳ではないことから、1つの内容をロックすることで自動的に他のいずれかをロックすることにはならない。
【0022】
ユーザーは同様に、特定の時間帯をロックしてその時間中のTV視聴を防ぐこともできる。ユーザーはさらに、例えば特定の一日だけ、月曜日から金曜日までのみ、週末のみ、又は一週間の毎日というように、ロックの頻度を特定することもできる。図2Eは、TV視聴を防止すべき時間帯についてのユーザーの入力を要求するポップアップ62を示している。図示されている通り、ユーザーは、ロックを開始する時刻(省略時(デフォルト)の時刻2:30pm)、ロックを終了する時刻(省略時時刻は5pm)、及びロック頻度(省略時頻度は一日)を特定することができる。ユーザーが前もってこれらの値をセットしていたという状況下では、システムは値を覚えており、ポップアップ62が示された時点でそれらを表示する。
【0023】
ロックされた時間帯にTV視聴が試みられた場合、システムは音声をミュートし、ビデオ全体に青色スクリーンを表示する。ここで親パスワードを要請するポップアップが現われることになる。正しいパスワードが入力された時点で、濃淡の無い青色スクリーンは消え、音声は再び有効化される。録画予定の番組がある時間帯にロックが設けられた場合、矛盾についてユーザーに警告を発するポップアップが現われることになる。ユーザーがそのポップアップを無視した場合、ポップアップは3秒以内でタイムアウトし、チャンネルはロックされ、ロックが有効化される前にセットされた通りに、パスワードの要求無く録画が行なわれることになる。しかしながら、ロックされた時間帯に予定される将来の録画全てには、パスワードが必要となる。
【0024】
図2Fは、購入パスワードが設定されず、ユーザーが視聴制御メニュー66からの「IPPV消費限度のセット」機能を選択した場合にユーザーに対し示されるポップアップ64の好ましい一実施形態を示す。IPPVはインパルスペイ・パー・ビューの略であり、例えばリモコンといったユーザー入力装置を介して購入されるPPV番組を意味する。これは、番組を購入するのにユーザーが番組プロバイダを電話で呼出す必要のある従来のPPV番組とは異なっている。ユーザーは、ユーザー入力装置上でキーを押すか又はそれをTV予約ガイド上で選択するかのいずれかによってSELECTキーを入力することにより、メインメニュー50から購入パスワードを設定することができる。図2Gは、購入パスワードが設定されユーザーが視聴制御メニュー66から「IPPV消費限度のセット」機能を選択した場合にユーザーに示されるポップアップ68の好ましい一実施形態を示す。この場合、ユーザーは、単純に購入パスワードを入力し、SELECTキーを入力することになる。図2Gに示されているように、ユーザーが間違った場合、ユーザーはCANCELキーを入力し、パスワードを再入力することができる。
【0025】
ひとたび購入パスワードが設定され、入力された時点で、ユーザーはIPPV消費限度ポップアップ70(図2Hに示されているような)を見て、システムが購入を有効化するパスワードを要求する前に、IPPVの消費を制限するべき合計金額を入力することができる。省略時消費額はゼロであり、その場合ユーザーは全ての購入について購入パスワードを入力する必要がある。ゼロより大きい金額がセットされた場合、これは、付加的な購入を行なうために購入パスワードが要求される前にユーザが消費できる金額である。この金額をセットするためには、ユーザーは、右矢印キーを入力することができ、右矢印キーの入力毎に、限度に1ドルが付加される。金額を削減するためには、ユーザーは左矢印キーを使用することができる。ユーザーは、望まれる時にいつでも、金額をリセットする目的で矢印キーを使用できる。
【0026】
ロックされた番組にアクセスするためには、ユーザーは、親制御メニュー54から「全てのロックの解除」機能を選択することができ、ロックされた番組は全てロック解除されることになる。代替的には、ユーザーは、ガイド内にある間に約1秒間SELECTキーを入力することによって、テレビ予約情報ガイドから全てのロックを解除することができる。ポップアップが現われることになり、ユーザーは「全てロック解除」オプションを選択することができる。
【0027】
システムは、ユーザーに親パスワードを要請することになり、正しいパスワードの入力時点で、ユーザーは、利用可能な全てのチャンネル上で全ての番組に対する同調を行なうことができる。番組がロック解除されている間、「全てのロックの解除」機能は切り替えられて、「全てのロックの再ロック」機能となり、ガイド内の灰色ロック記号は赤色解除済みロック記号となる。ユーザーは、親制御メニュー54から「全てのロックの再ロック」を選択することによって、以前にロックされた番組全てを再ロックすることができる。TVのスイッチを切ることによっても全ての親ロックが自動的に復元されることになる。
【0028】
代替的には、ユーザーは、TV又はTV予約ガイドのいずれかから番組に直接同調を行ない正しいパスワードを入力することによって、個々の番組をロック解除することができる。ユーザーがロックされたチャンネルに同調を行った場合、システムはTVスクリーン全体に青色スクリーンを表示し、音声をミュートする。親パスワードを要求するポップアップが現われることになる。正しいパスワードが供給された場合、システムは青色スクリーンを除去し、音声を復元する。しかしながら、この場合、ユーザーが以前にロックしたチャンネルを途中で切った時点で、親ロックは自動的に復元されることになる。従ってユーザーがロックされたチャンネルを途中で切り次に同調し戻した場合、ユーザーは、ロックされたチャンネルを見るためにパスワードを再入力しなくてはならない。
【0029】
ガイドからロックされた個々の番組にアクセスするため、ユーザは、ロックされたどの番組であれ自ら視聴したいと思うものをガイド上でハイライトさせてSELECTキーを入力することにより選択することができる。このとき、パスワードポップアップが現われることになる。ユーザーが正しいパスワードを入力した場合、システムは望みの番組をもつチャンネルに同調を行なう。ユーザーは、1秒以上の間SELECTキーを入力することもでき、このとき、ユーザーにロックされた番組に同調を行なうか又はこれを録画するかを問いかけるポップアップが現われる。ユーザーが選択を行なった時点で、パスワードポップアップが現われ、ユーザーはパスワードを入力できる。正しいパスワードが入力された後、システムは、ロックされた番組に同調を行なうか又はそれを録画することになる。SELECTキーを入力しポップアップ上で録画オプションを選択する代りに、ユーザーは、ロックされた番組をハイライトさせ、RECキーを入力して番組の録画を要求することもできる。ユーザーが正しいパスワードを供給した時点で録画が進められる。
【0030】
図3は、ユーザーが1つの番組に同調を行なえるか否かを決定するためのプロセスフローチャートを例示する。好ましい実施形態においては、本書で記述されているさまざまなプロセスは、ソフトウェアの制御下で動作し、かかるソフトウェアはコンピュータ読取り可能な記憶媒体上に記憶されている。好ましい実施形態においては、システムは、ステップ100で親パスワードが必要か否かを検査する。ステップ102では、システムは、ユーザーが正しい親パスワードを供給したか否かを決定する。正しい親パスワードが入力された場合、プロセスは、ステップ104でその番組が無料のイベントか否かを検査することになる。無料イベントは、ペイ・パー・ビュー方式でないイベントである。イベントが無料である場合、システムはステップ110で番組に同調を行なうことになる。イベントが無料でない場合、システムは、ステップ106で、ユーザーが購入パスワードを入力することを要求する。ステップ108では、入力されたパスワードが確認される。パスワードが正しい場合、システムは、ステップ110でその番組に同調を行なう。両方の確認ステップ102及び108について、正しくないパスワードが供給された場合、システムは要求された番組に同調を行なわない。
【0031】
図4は、親制御機能のオペレーションについてのプロセスフローチャートを例示する。ユーザーがTVをつけるか又は1つの番組又はチャンネルに同調を行なった時点で、システムは、ステップ150にて、番組が放映される前に親パスワードが必要とされるか否かを検査する。親パスワードが存在する場合、システムのステップ152は、BOXロックがセットされたか否かを検査する。BOXロックは、毎日24時間、TVをロックされた状態に保つことから、基本的に特殊なTIMEロックである。BOXロックが存在する場合、ステップ154は、視聴者がTVを見ることができるようになるにはパスワードが必要であるということを視聴者に知らせるポップアップを表示し、ステップ172は、ユーザーが親パスワードを入力するよう要求する。ユーザーは、正しいパスワードを供給した時点で、ステップ168でその番組に同調を行なうこと、自動同調を予約すること又は番組の録画を予約することができる。
【0032】
BOXロックがセットされていない場合、システムは、ステップ156でチャンネルロックについて検査する。それが全く存在しない場合、ステップ158は、TIMEロックについて検査する。TIMEロックが存在する場合、ステップ170は、現時刻が制約された時間の範囲内にあるか否かを検査する。ユーザーが制約された時間にTVを見ようとしている場合、ステップ172においてユーザーは親パスワードを供給するよう要請を受ける。同様にして、チャンネルロックが存在しユーザーがロックされたチャンネルに対する同調を行なおうとしている場合、ユーザーは、ステップ172でパスワードを供給するよう要請されることになる。ユーザーが制約されていない時間にTVを見ている場合、ユーザーはステップ168に進むことができ、又番組に同調を行なったり、番組を録画したりすることができる。
【0033】
いかなるTIMEロックもセットされなかった場合、格付けはアメリカ映画協会により設定されたものに対応することから、ステップ160は格付け/MPAAロックについて検査する。格付けロックがセットされていた場合、ステップ164は番組が制約された格付けを有するか否かを決定する。制約された格付けを有する場合、ユーザーは、ステップ172において親パスワードを供給するよう要請を受ける。一方、格付けロックが全く無い場合、ステップ162は、内容/ATTRIBUTEロックについて検査する。システムはステップ166において、番組が制約された内容を含むか否かを検査し、それを有する場合、ユーザーは、ステップ172において親パスワードを供給するよう要請を受ける。ステップ176はさらに、番組が制約された内容を含んでいない場合に、番組がVチップ分類を有するか否かを検査する。これを有する場合、ステップ178(図7に詳細を示す)は、ユーザーが、制約されたVチップ分類をもつ番組へのアクセスを得ようとしているか否かを決定する。
【0034】
ステップ106をさらに詳細に記述している図5は、購入制御機能のオペレーションのためのプロセスフローチャートを例示する。ユーザーが1つの番組に同調を行なった時点で、ステップ200は、購入パスワードが設定されたか否かを検査する。設定された場合、ステップ204は、限度を超えたか否かを検査する。ステップ172は、限度を超えた場合に購入パスワードを要求する。超えない場合、システムは、ステップ208で購入プロセスを続行する。ステップ200で、購入パスワードが設定されなかったことが見極められた場合も、システムは同様にステップ208で購入プロセスを続行することになる。
【0035】
ステップ172をさらに詳細に記述する図6は、購入又は親パスワードを入力するにあたって、パスワードを確認しユーザーの試行回数を制限するためのプロセスフローチャートを例示する。ステップ250では、ユーザーは、適用可能なパスワードを供給するよう要請を受ける。ステップ252は、ユーザーの入力を受取り、ステップ254は、パスワードが適切な書式であるか否かを検査する。
【0036】
パスワードが適切でない場合、例えば、文字数が多すぎる場合、ステップ256は、そのパスワードが不当であることをユーザーに知らせるメッセージを表示する。ステップ252は反復され、ユーザーは適切なパスワードを再入力することができる。図示されている通り、ユーザーは、パスワードが不適切なものとして拒絶された場合、無限の回数パスワードを再入力することができる。
【0037】
ユーザーがひとたび適切なパスワードを入力したならば、ステップ258は、入力されたパスワードが正しいことを確認する。正しい場合、ステップ260は、ロックされた番組に対するユーザーのアクセスを可能にする。しかしながら、入力されたパスワードが正しくない場合、ステップ262は、ユーザーが正しくないパスワードを入力しようと試みた回数を追跡する。ステップ264は、262での計数を3という数字と比較する。262での計数が3より少ない場合、ステップ256は、不当パスワードのポップアップを表示し、ユーザーはステップ252でパスワードを再入力することができる。ユーザーが3回以上正しいパスワードを入力しようと試みた場合、ステップ266は、パスワードの入力試行回数が多すぎることをユーザーに知らせるポップアップを示し、ユーザーは、パスワードを再び入力しようとするまでに15分間待たなくてはならない。ステップ268及び270はフラグをセットし、ユーザーにパスワードの再入力を許す前に15分の制約を開始させる。
【0038】
好ましい実施形態においては、システムを電源から切断しても、15分の制約を回避することにはならない。逆に、システムは再び電源に接続された時点で15分の時間帯をリセットするため、ユーザーはパスワードを再入力するのにより長い時間待たなければならなくなる。システムは、パスワードの機密保持を確保するためユーザーが正しいパスワードを入力する試行を3回に制約する。許可されていないユーザーは、好ましくも3回の試行毎にその後少なくとも15分待たなくてはならなくなるため、無許可のユーザーがパスワードに不正侵入する確率はさほど高くない。
【0039】
ステップ178をさらに詳しく記述する図7は、番組が制約されたVチップ分類を有するか否か及びユーザーがアクセスを許されるべきか否かを決定するためのプロセスフローチャートを例示している。Vチップデータは1つのチャンネルのビデオストリームから来ることから、番組が制約されたVチップ分類を有するか否かを決定する1つの方法は、まず最初に、データにアクセスするべくそのチャンネルに同調を行なうことにある。例えば、ユーザーがチャンネル9を見ていてチャンネル3に同調を行ないたいと考えたとする。図7を参照すると、チャンネル3上の番組がVチップ分類を有することをシステムが決定した場合、ステップ300はチャンネル9のビデオ及び音声ボリューム情報をセーブする。システムは、ステップ302でユーザーがチャンネルをTVスクリーンから変更しているか又はガイド内から変更していることを決定する。ユーザーがチャンネルをTVスクリーンから変更している場合、ステップ304はTVスクリーン全体に青色スクリーンを置く。
【0040】
代替的には、ユーザーがチャンネルをガイド内から変更している場合、ステップ306はガイドのまわりに青色の枠を適用し、ガイドにより網羅されていないスクリーンの部分をふさぐ。ステップ308では、システムは音声をミュートし、ユーザーが番組を聞かなくてすむようにする。ステップ310は、この例ではチャンネル3である要求されたチャンネルに同調を行ない、ステップ312は、チャンネルのビデオストリームからVチップデータを読みとる。ステップ314は、Vチップ分類が制約された分類であるか否かを決定する。そうでない場合、ユーザーはチャンネル3上の番組に同調を行なうことができる。しかしながら、番組が制約されたVチップ分類を有する場合、ユーザーはステップ172で親パスワードを供給するよう要請を受ける。
【0041】
ステップ316は、ユーザーが正しい親パスワードを供給したことを検査し、供給している場合、ステップ318はチャンネル(この場合はチャンネル3)の音声ボリュームを復元する。ユーザーがTVスクリーン又はガイドのいずれかに於いてチャンネルを変更していたかに応じて、ステップ324がステップ304により置かれた青色スクリーンを除去するか、又はステップ322がガイド及びステップ306により適用された青色枠をクリアすることになる。アクセスがステップ316で確認されなかった場合、音声はミュートされた状態にとどまり、青色スクリーン又は青色枠及びガイドはスクリーン上にどとまる。しかしながら、ユーザーは、その他のチャンネル/番組にアクセスしようとすることもでき、これらのチャンネル/番組はそれが制約されていない場合放映されることになる。
【0042】
もう1つの実施形態においては、システムはVチップデータにアクセスするためにまず最初にチャンネルに同調を行なう必要はない。Vチップ格付けデータがデータストリーム内に含まれ、番組のタイトル、内容説明などに関するデータと同様の要領で受信され得ることから、システムは前もってVチップ格付けデータを受信しそのデータをデータベースに記憶することができる。この実施形態においては、システムは単純にデータベースからデータを検索できることから、Vチップデータをアクセスするためにチャンネルにまず同調を行なう必要なく親制御を適用できる。図7の例を参照すると、システムは、ユーザーがなおもチャンネル9内にある間に、データベースからチャンネル3の番組に関するVチップデータ情報を検索することにより、チャンネル3上の番組がVチップ分類を有するか否かを決定することができる。この情報を検索した後、番組がVチップ情報を有する場合、システムは、Vチップ分類が制約された分類であるか否かを決定することができる。そうである場合、親パスワードが要求され、そうでない場合、システムはチャンネル3の番組に同調を行なう。従って、この実施形態は、システムがまず第1にチャンネルに同調を行なう必要がないことから、システムが音声をミュートしガイドのまわりに青色スクリーン又は青色枠を打ち立てる必要性を無くする。
【0043】
図8は、親制御又は購入パスワードを変更するためのプロセスフローチャートを例示する。ステップ350はパスワードを要求し、ステップ352はユーザーパスワード入力を受理する。ステップ354は、パスワードが適切な形であるか否かを検査し、そうでない場合ステップ356は、不当なパスワードのポップアップを表示し、ユーザーは、ステップ352で無制限回数、適切なパスワードを再入力することができる。入力されたパスワードが適切な形である場合、ステップ358は、そのパスワードが実際に正しいパスワードであるか確認する。ステップ360は、誤ったパスワードが入力された回数を保持する。ステップ360及び362により示される通り、ユーザーには、正しいパスワードを入力する3回の試行が与えられる。3回の試行の後、入力されたパスワードがなおも正しくない場合、ステップ364は「試行過剰」ポップアップを表示する。ユーザーは、ステップ366及び368がフラグをセットし15分の制約を開始するため、、システムがさらなる何らかのパスワード入力試行を許容する迄に15分間待機しなければならない。前述の通り、ユーザーは好ましくは、電源からシステムを切断することによっても15分間の待機を回避することができない。
【0044】
ユーザーは、ステップ352で正しいパスワードを供給していれば、ステップ370で古いパスワードを変更し新しいパスワードを入力することができる。ステップ372は、新しいパスワードが確実に適切な形であるようにし、そうでない場合ステップ374は不当なパスワードのポップアップを表示し、ユーザーは無制限回数、ステップ370で適切な新しいパスワードを再入力することができる。入力された新しいパスワードが適切な形状である場合、ユーザーは、入力された新しいパスワードが実際に所望したパスワードであることを確認するためステップ376で新しいパスワードを再入力するよう要求される。ステップ378では、システムは、ステップ370で入力されたパスワードをステップ376で入力されたパスワードと比較する。2つのパスワードが異なる場合、ユーザーは、入力された新しいパスワードが望まれるパスワードであることを確認するべくステップ376で新しいパスワードを再び入力し直すよう要請され、ステップ378は再び入力されたパスワードを比較する。
【0045】
ステップ376及び378は、ステップ376で入力されたパスワードがステップ370で入力されたパスワードと整合するまで反復される。或いは又、ユーザーはプロセスから退出することもでき、その場合、パスワードは未変更である。代替的には、ステップ378がその比較を行なった後、パスワード370がパスワード376と異なる場合、ステップ370?378が反復される。このことはすなわちユーザーは、ステップ370での入力が確実に正しものとなるようにするためステップ370での新しいパスワードを再入力し、ステップ376でパスワードを再確認できることを意味する。ステップ378は2つのパスワードを比較し、それらが同じである場合、ステップ380は古いパスワードを新しいパスワードに変更する。
【0046】
図9は、親制御又は購入パスワードを設定するためのプロセスフローチャートを例示する。ステップ400がパスワードを要求し、ステップ402がユーザーのパスワード入力を受理する。ステップ404では、システムはパスワードが適切な形をしているか否かを検査し、そうでなければ、ステップ406が不当なパスワードのポップアップを表示し、ユーザーはステップ402において無制限の回数、適切なパスワードを再入力することができる。入力されたパスワードが適切な形をしている場合、ユーザーは、入力されたパスワードが実際に望まれるパスワードであることを確認するため、ステップ408でパスワードを再入力するよう要求される。ステップ410は、ステップ402で入力されたパスワードをステップ408で入力されたパスワードと比較する。2つのパスワードが異なる場合、ユーザーは、入力された新しいパスワードが望まれるパスワードであることを確認するべくステップ408で、そのパスワードを再び入力し直すよう要請され、ステップ410は再び入力されたパスワードを比較する。
【0047】
ステップ408及び410は、ステップ408で入力されたパスワードがステップ402で入力されたパスワードと整合するまで反復される。或いは又、ユーザーはプロセスから退出することもでき、その場合、パスワードは新規作成されない。代替的には、ステップ410がその比較を行なった後、パスワード402がパスワード408と異なる場合、ステップ402?410が反復される。このことはすなわちユーザーは、ステップ402での入力が確実に正しいものとなるようにするためステップ402でのパスワードを再入力し、ステップ408でそのパスワードを再確認できることを意味する。ステップ410は2つのパスワードを比較し、それらが同じである場合、ステップ412はそのパスワードを現行のパスワードとして設定する。
【0048】
図10は、親制御又は購入パスワードを除去するためのプロセスフローチャートを例示する。ステップ450では、システムは、ユーザーがパスワードを除去した場合に全ての番組を制約無く視聴できることをユーザーに説明するポップアップを表示し、ユーザーが続行したいか否かを尋ねる。ユーザーがステップ452で続行する決定を下した場合、ステップ454は、ユーザーがパスワードを入力するよう要求する。そうでない場合ユーザーはこのプロセスから退出する。ステップ456は、ユーザーが続行する決定を下した場合にユーザーの入力を受理し、ステップ458はパスワードが適切な形をしているか否かを検査する。適切な形でない場合、ステップ460は、不当なパスワードのポップアップも表示しユーザーは、ステップ456で無制限回数、適切なパスワードを再入力することができる。入力されたパスワードが適切な形である場合、ステップ462は、そのパスワードが実際に正しいパスワードであるか確認する。ステップ464は、誤ったパスワードが入力された回数を保持する。
【0049】
ステップ466,460及び456により示される通り、ユーザーには、正しいパスワードを入力する3回の試行が与えられる。3回の試行の後、入力されたパスワードがなおも正しくない場合、ステップ468は「試行過剰」ポップアップを表示する。ユーザーは、ステップ470及び472がフラグをセットし15分の制約を開始するにつれて、システムがさらなる何らかのパスワード入力試行を許容する前に15分間待機しなければならない。前述の通り、ユーザーは好ましくは、電源からシステムを切断することによっても15分間の待機を回避することができない。ユーザーは、ステップ462で正しいパスワードを供給していれば、ステップ474でパスワードを除去することができる。
【0050】
以上の記述は、例示的なものであって制限的意味はない。本開示を再検討することにより、本発明の変形形態は当業者にとって明らかとなるだろう。従って本発明の範囲は、以上の記述を参照してではなく、添付のクレームをその全等価物範囲と合わせて参照することによって決定されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に従ったテレビシステムの好ましい実施形態を例示する。
【図2A】パスワードが設定されず、ユーザーがテレビ予約ガイドのメインメニューから親制御を選択する場合に、ユーザーに示されるポップアップメニューの好ましい一実施形態を示す。
【図2B】親パスワードが設定され入力された後、ユーザーに示される親制御メニューの好ましい一実施形態を示す。
【図2C】ユーザーが「チャンネル別ロック」機能を選択したときに示されるポップアップの好ましい一実施形態を示す。
【図2D】ユーザーが「格付け及び内容別ロック」機能を選択したときに示されるポップアップの好ましい一実施形態を示す。
【図2E】ユーザーが「時間別ロック」機能を選択したときに示されるポップアップの好ましい実施形態を示す。
【図2F】購入パスワードが設定されず、ユーザーが視聴制御メニューから「IPPV消費限度のセット」機能を選択した場合にユーザーに示されるポップアップの好ましい一実施形態を示す。
【図2G】購入パスワードが設定され、ユーザーが視聴制御メニューから「IPPV消費限度のセット」機能を選択した場合にユーザーに示されるポップアップの好ましい一実施形態を示す。
【図2H】適切な購入パスワードが設定され入力された後ユーザーに示されるIPPV消費限度ポップアップの好ましい一実施形態を示す。
【図3】ユーザーが1つの番組への同調を行なうことができるか否かを決定するためのプロセスフローチャートを示す。
【図4】親制御機能のオペレーションについてのプロセスフローチャートを示す。
【図5】購入制御機能のオペレーションについてのプロセスフローチャートを示す。
【図6】親制御又は購入パスワードを入力するにあたりパスワードを確認しユーザーの試行回数を制限するためのプロセスフローチャートを示す。
【図7】番組が制約されたVチップ分類を有するか否か、及びアクセスが許容されるべきか否かを決定するためのプロセスフローチャートを示す。
【図8】親制御又は購入パスワードを変更するためのプロセスフローチャートを示す。
【図9】親制御又は購入パスワードを設定するためのプロセスフローチャートを示す。
【図10】親制御又は購入パスワードを除去するためのプロセスフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0052】
10・・・配給センター
15・・・衛星
16,18,20,22・・・受信場所
40・・・ローカルサービスプロバイダ
50・・・メインメニュー
54・・・親制御メニュー
52,56,60,62,64,68,70・・・ポップアップ
66・・・視聴制御メニュー
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組に対するアクセス制御を行う方法であって、
番組を録画予約する段階と、
番組をブロックする基準を入力する段階と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすか判断する段階と、
前記判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する段階とを含み、
ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、方法。
【請求項2】
パスワードを記憶する段階と、
ブロック基準を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取る段階と、
第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示する段階と、
プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取る段階と、
ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基準を入力する段階は、
基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基準を入力する段階は、
第1のパスワードを記憶する段階と、
ユーザに対するパスワードを入力するプロンプトを画面に表示する段階と、
プロンプトに応じてユーザが第1のパスワードと一致するパスワードを入力したら、基準のリストを画面に表示する段階と、
基準のリストから入力する基準を選択する段階と、
基準が入力されたら基準のリストを画面から削除する段階と、
一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない段階とを含む、請求項1に方法。
【請求項5】
基準を入力する段階では番組の格付けを入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基準を入力する段階ではチャンネルの識別情報を入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
番組リストにおいてチャンネルの識別情報の隣にロック記号を表示する段階をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基準を入力する段階では時間帯を入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基準を入力する段階ではペイパービュー番組の消費限度を入力する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ペアレンタル・コントロールシステムであって、
表示スクリーンと、
番組を録画予約し、ブロックする番組の基準を入力する入力装置と、
録画予約した番組がブロック基準を満たすことを判断するプロセッサと、
プロセッサの判断に応じて、録画予約した番組がブロック基準を満たす旨のユーザに対する警告を表示する表示プロセッサとを含み、
ブロック基準を満たす番組を、ブロック基準を入力する前に録画予約した場合には、ブロック基準を満たす録画予約した番組をブロックせず、
ブロック基準を入力した後に番組を録画予約する場合において、録画予約すべき番組がブロック基準を満たす場合には、ブロック基準を満たす録画予約すべき番組をブロックする、システム。
【請求項11】
プロセッサはさらにパスワードを記憶し、
入力装置は、ブロック基準を満たす第2の番組を録画予約するユーザ要求を受け取り、
表示プロセッサは、第2の番組を録画予約するユーザ要求の受け取りに応じて、パスワードを入力するようユーザにプロンプトを表示し、
プロセッサは、プロンプトの表示に対するユーザ入力を受け取り、ユーザ入力が記憶したパスワードと一致したら第2の番組を録画予約する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
表示プロセッサは、基準のリストを表示画面に表示し、プロセッサは、基準のリストから選択された基準を処理する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
表示プロセッサは基準のリストを表示画面に表示し、
プロセッサは、第1のパスワードを記憶し、基準のリストから選択された基準を処理し、第1のパスワードに一致するパスワードを入力するまで他の基準の選択をさせない、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
入力装置は、基準として番組の格付けを入力する、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
入力装置は、基準としてチャンネルの識別情報を入力する、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
表示プロセッサは、番組リストにおいてチャンネルの識別情報の隣にロック記号を表示する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
入力装置は、基準として時間帯を入力する、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
入力装置は、基準としてペイパービュー番組の消費限度を入力する、請求項10に記載のシステム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2011-02-22 
結審通知日 2011-02-24 
審決日 2011-05-10 
出願番号 特願2004-297760(P2004-297760)
審決分類 P 1 113・ 113- ZD (H04N)
P 1 113・ 841- ZD (H04N)
P 1 113・ 536- ZD (H04N)
P 1 113・ 537- ZD (H04N)
P 1 113・ 121- ZD (H04N)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 古川 哲也  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 梅本 達雄
奥村 元宏
登録日 2009-06-12 
登録番号 特許第4324540号(P4324540)
発明の名称 アクセス制御付きのテレビ予約システム  
代理人 安村 高明  
代理人 安村 高明  
代理人 森下 夏樹  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 山本 秀策  
復代理人 大塩 竹志  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  

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