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審決分類 審判 一部無効 1項3号刊行物記載  B65F
審判 一部無効 2項進歩性  B65F
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65F
管理番号 1245552
審判番号 無効2010-800055  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-03-29 
確定日 2011-10-28 
事件の表示 上記当事者間の特許第4402165号発明「ごみ貯蔵機器」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第4402165号に係る発明についての出願は、特願2009-135619号[2004年10月21日(パリ条約による優先権主張2003年10月23日、英国)を国際出願日とする特願2006-536164号の一部を平成21年6月5日に新たな特許出願としたもの。]であり、平成21年11月6日に設定登録(請求項の数20)されたものである。
そして、平成22年3月29日にアップリカ・チルドレンズプロダクツ株式会社より無効審判が請求され、同年8月19日付けで被請求人サンジェニック・インターナショナル・リミテッドより審判事件答弁書が提出され、同年11月9日付けで請求人より、同10日付けで被請求人より、口頭審理陳述要領書が提出され、同24日に口頭審理が行われ、同25日付けで請求人より上申書が提出された。


第2.本件発明
本件請求項9、10、14、15、16、17、18、及び20に係る発明(以下、「特許発明1」、「特許発明2」、「特許発明3」、「特許発明4」、「特許発明5」、「特許発明6」、「特許発明7」、及び「特許発明8」という。)は、特許請求の範囲の請求項9、10、14、15、16、17、18、及び20に記載された次のとおりのものである。
「【請求項9】
ごみ貯蔵機器の上部に設けられた小室内に回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって、
前記ごみ貯蔵カセットは、略円柱状のコアを画定する内側壁と、外側壁と、前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と、前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成と、を有し、
前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット。」(特許発明1)
「【請求項10】
前記構成は、フランジ形状を有し、前記外側壁の環状方向に設けられた、請求項9に記載のごみ貯蔵カセット。」(特許発明2)
「【請求項14】
ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって、
該ごみ貯蔵カセットは、
略円柱状のコアを画定する内側壁と、
外側壁と、
前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と、
前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって、使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と、
前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成と、を備え、
前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット。」(特許発明3)
(なお、「前記外部壁」は「前記外側壁」の誤記と認める。)
「【請求項15】
前記貯蔵部に入れられたごみ貯蔵袋織りをさらに備える請求項14に記載のごみ貯蔵カセット。」(特許発明4)
「【請求項16】
前記構成は、フランジ形状を有し、前記外側壁の環状方向に設けられた、請求項14又は15に記載のごみ貯蔵カセット。」(特許発明5)
「【請求項17】
前記小室に接触せずに吊り下げられるように構成された、請求項9、10、14乃至16のいずれか1項に記載のごみ貯蔵カセット。」(特許発明6)
「【請求項18】
前記構成は、前記ごみ貯蔵カセット回転装置に直接係合するように構成された、請求項9又は10に記載のごみ貯蔵カセット。」(特許発明7)
「【請求項20】
前記構成は、前記ごみ貯蔵カセット回転装置に直接係合するように構成された、請求項14乃至17のいずれか1項に記載のごみ貯蔵カセット。」(特許発明8)

第3.当事者の主張の概略
1.請求人の主張
請求人の主張する請求の理由は、以下の通りである。
理由1:
本件の請求項9および14に係る発明は、明確でないから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反し、本件特許は同法第123条第1項第4号の規定により無効とされるべきものである。

理由2:
本件の請求項9および14に係る発明は、本件特許優先日前に頒布された甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、本件特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。

理由3:
本件の請求項9、10、14、15、及び16に係る発明は、本件特許優先日前に頒布された甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、もしくは甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
また、本件の請求項17に係る発明は、さらに本件特許優先日前に頒布された甲第9号証の開示内容に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
本件の請求項18、及び20に係る発明は、さらに本件特許優先日前に頒布された甲第4号証の開示内容に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。

〈証拠方法〉
甲第1号証 WO03/059748A2号
甲第2号証 WO02/083525A1号
甲第3号証 WO03/068635A1号
甲第4号証 US2002/0162304A1号
甲第5号証 特開2002-226003号公報
甲第6号証 実願平5-58963号(実開平7-28104号)のCD-ROM
甲第7号証 実願昭59-74243号(実開昭60-184807号)のマイクロフィルム
甲第8号証 特表2002-502784号公報
甲第9号証 実公平5-2732号公報
甲第10号証 実願昭62-105691号(実開昭64-12002号)のマイクロフィルム

2.被請求人の主張
これに対して、被請求人の主張は、以下の通りである。
理由1:
本件の請求項9および14に係る発明は、特許法第36条第6項第2号の規定違反に伴う無効理由は存在しない。

理由2:
本件の請求項9および14に係る発明は、本件特許優先日前に頒布された甲第1号証に記載された発明と同一ではない。

理由3:
本件の請求項9、10、14、15、及び16に係る発明は、本件特許優先日前に頒布された甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、もしくは甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件の請求項17に係る発明は、さらに本件特許優先日前に頒布された甲第9号証の開示内容に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件の請求項18、及び20に係る発明は、さらに本件特許優先日前に頒布された甲第4号証の開示内容に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第4.当審の判断

1.理由1に関して

(1)請求人の理由1の概要
請求項14は、特許を受けようとする発明として、形式的には「ごみ貯蔵カセット」を規定しているが、請求項14の全体の記載内容をみると、実質的には「ごみ貯蔵カセットとごみ貯蔵容器との組合せ構造」について特許を受けようとしていると思われる。
請求項14の記載中、ごみ貯蔵容器に関係する特徴を消し、ごみ貯蔵カセットの構成自体に関係する特徴を残すと、以下のようになる。
A)ごみ貯蔵カセットであって、
B)該ごみ貯蔵カセットは、
B1)略円柱状のコアを画定する内側壁と、
B2)外側壁と、
B3)前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを人れる貯蔵部と、
B4)前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって、使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と、
B5)前記外側壁から突出する構成と、を備え(た)、
C)ごみ貯蔵カセット。

このようなごみ貯蔵カセットは、甲第1号証にも記載されている。
上記の公知技術と区別されるべき本件特許発明の本質は、とりわけ、ごみ貯蔵カセットとごみ貯蔵カセット回転装置との連結部分にあるが、現在の請求項14は「ごみ貯蔵容器」または「ごみ貯蔵カセット回転装置」を必須の構成要素とせずに、形式的に「ごみ貯蔵カセット」としている。
よって、請求項14は、特許を受けようとする発明を明確に記載しておらず、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない。
また、請求項9は、請求項14と同様に特許を受けようとする発明を明確に記載しておらず、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない。
というものである。

(2)判断
本件特許の特許請求の範囲の請求項14に記載された特許発明3を特定する事項は、
「【請求項14】
ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって、
該ごみ貯蔵カセットは、
略円柱状のコアを画定する内側壁と、
外側壁と、
前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と、
前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって、使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と、
前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成と、を備え、
前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット。」である。
このうち、請求人がごみ貯蔵機器に関する事項とした「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるための」は「ごみ貯蔵カセット」自体が配置される装置、状態を特定するための事項であり、また、「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように」は「ごみ貯蔵カセット」の「外側壁から突出する構成」を特定するための事項であり、さらに「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された」は「ごみ貯蔵カセット」自体がどのように配置されるかを特定するための事項であることは明らかである。そして、これらの特定事項は明確であって、全体として「ごみ貯蔵カセット」は明確である。
したがって、特許請求の範囲14に記載された事項で特定された特許発明3は、明確である。
さらに、特許請求の範囲の請求項9に記載された事項で特定された特許発明1も特許発明3と同様に、明確である。

よって、本件の請求項9および14に係る発明は、明確でないから、特許法第36条第6項第2号の規定に違反し、本件特許は同法第123条第1項第4号の規定により無効とされるべきものであるとする請求人の理由1は、理由がない。

2.理由2に関して

(1)特許発明1に関して

ア.甲第1号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第1号証には、ひだ付チューブ供給用カセットに関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、文末の( )は、請求人が翻訳文として提出した特表2005-514295号公報の対応箇所である。(以下「対応記載」という。)
(ア)「When all the packed pleated tubing is used, the cassette can be removed and replaced with a similar full cassette.
(パックになったひだ付きチューブを、全て使い果たしたとき、カセットを新品の同一カセットと取換えることができる。)」(第1頁第11?13行)
(イ)「Referring to figure 3, there is shown another embodiment of a cassette, generally denoted 110, consisting of two parts 112 and 114.
Part 112 consists of annular body having a U-shaped cross-section which is defined by an inner wall 116, an outer wall 118 and a bottom wall 120, the latter joining the lower part of the inner and outer walls thus defining a housing in which a pack 122 (see figure 4) of pleated tubular tubing 124 is received. The annular body has a central core defined by the inner wall 116 which is formed of a lower part 116a and an upper part 116b. Parts 116a and 116b are axially offset to one another to define a shoulder 117.
Part 114 of the cassette consists of an annular flange that extends over the housing of body 112. The flange has an inner portion 126 that extends downwardly and engages the upper part 116b of the inner wall. The flange 114 also includes an outwardly projecting portion 128 that extends over the housing of the annular body. The outwardly projecting portion 128 is formed of a flat area 128a and a funnel shaped area 128b, the function of which will be described hereinbelow.
The lower edge 130 of the downwardly extending portion 126 of the flange rests on the shoulder 117 of the annular body 112.
The annular body 112 and the flange 114 are lockingly engaged to one another by means of the cooperation of a series of tongues 132 having a size and shape to snapingly engage info corresponding openings 134 on the inner wall of the annular body.
Once inter-engaged, the lower part of the inner wall of the annular body is co-planar with the downwardly extending portion of the annular flange so as to provide smooth inner surface for the packed tubing pleated in the housing.
Referring to figure 4, the use of the cassette of the present invention with a pack of pleated tubing received in its housing is schematically illustrated. The tubing is first retrieved from its housing through the gap 150 between the top peripheral edge 152 of the body and the outer smooth peripheral edge 154 of the flange. A knot 140 is made to close one end of the tubing. The knotted end is then pulled down through the central core of the cassette, the tubing sliding along the annular smooth edge 154 of the flange over the flat area 128a and down the funnel area 128b. A waste 142 is placed in the tubing which is then twisted as shown at 144 to seat the enclosed waste. The twisting can be done manually or by other apparatus which does not form part of the present invention.
(図3に、2つの部品112と114から成る、全体として110で表示した別な実施例のカセットを示す。
部品112は、U字形断面を持つ環状ボディから成る。前記環状ボディは、内壁116
、外壁118、内壁と外壁を下部で結合した底壁120により形成されており、ひだ付管状チューブ124のパック122(図4参照)を収納するハウジングを形成している。前記環状ボディの内壁116は、下部116aと上部116bで構成され、中央芯部を形成している。116aの部位と116bの部位は、肩部117を形成するために、軸方向で互いにずれている。
カセットの部品114は、ボディ112のハウジングを覆うように広がる環状フランジから成る。前記フランジは、芯部内を下方へ伸びボディ内壁の上部116bと係合している内側部分126を有する。又、前記フランジ114は、外側への張出し部128を含んでおり、環状ボディのハウジングを覆うように広がっている。外側への張出し部128は、平坦部128aと漏斗形状の内側部128bで形成されており、その機能は、以後に記述する。
前記フランジの下方伸長部分126の下端130は、環状ボディ112の肩部117の上に載っている。
環状ボディ112とフランジ114は、一連の舌部132の協働手段により、互いにロックされて係合している。前記舌部132は、環状ボディ内壁表面の相手側開口部134内へスナップ留めするための形状を有している。
一旦、係合すると、環状ボディ内壁の下部は、環状フランジの下方伸長部と同一面となる。パックにされたハウジング内ひだ付チューブのために滑らかな内面を提供するためである。
図4に、ハウジング内に収納したひだ付チューブのパックを持つ、本発明に係るカセット10の使い方を、模式的に示す。最初に、チューブを、前記ボディの頂部外周端152と前記フランジの滑らかな外周端154との間の隙間150を通過してハウジングから引出す。チューブの端部付近に結び目140を作る。それから、チューブを滑らかな環状端154に沿って平坦部128aの上をまたいで、更に漏斗領域128bに沿って滑らしながら、結び目を、カセット中央芯部を通過して下へ引っ張る。廃棄物142は、チューブの中へ捨てられ、包まれた廃棄物を固定するため、図示のように144においてねじられる。前記ねじりは、人手によって実施しても良いし、器具により実施しても良い。)」(第5頁第9行?第6頁第18行)
(ウ)「As seen in figure 4, as more and more of the tubing is used to enclose separate collecting of waste, it is deposited in a container 146.
(チューブは、廃棄物の匂いを封ずるための囲繞体となるバリア・フイルム(barrier film)で形成しても良い。」(第6頁第23?24行)
(エ)「Although the invention has been described above with respect to one specific form, it will be evident to a person skilled in the art that it may be modified and refined in various ways.
(本発明を、ある仕様に関して述べたが、他の様々な変形案や改良案が考案されることは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとり、明らかであろう。」(第6頁第31行?第7頁第1行)
(オ)図4のカセットのボディの外周端152の下方には、その上部にカセット10の外周端152を載せて据え付けて支持すると共に、その内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材(図番無し)が記載されている。
また、外周端152は、外壁118から水平方向に突出して設けられた部分と、そこから下方向に突出して設けられた部分とで構成され、筒状部材(図番無し)に対して径方向に移動しないように上方から係合する構成で記載されている。
さらに、カセットは該筒状部材(図番無し)に対して径方向に移動しないように上方から係合する構成で吊り下げ支持されることが記載されている。

ここで、主に上記記載事項及び図面から次のことが明らかである。
(a)記載事項(イ)の「内壁116、外壁118、内壁と外壁を下部で結合した底壁120により形成されており、ひだ付管状チューブ124のパック122(図4参照)を収納するハウジングを形成している」環状ボディの内部は、内壁116と外壁118との間に設けられた部分であって、「パック122(図4参照)を収納する」部分であるので、内壁116と外壁118との間に設けられたパック122収納部といえる。
(b)図面記載事項(オ)のボディの外周端152は、筒状部材(図番無し)が「その上部にカセット10の外周端152を載せて据え付けて吊下げ支持する」作用を生じるためのカセット側の部分であって、さらに、該外周端152が外壁118から水平方向に突出して設けられた部分と、そこから下方向に突出して設けられた部分とで構成され、筒状部材(図番無し)に対して径方向に移動しないように上方から係合する構成のものであるので、カセット110を支持するために、外壁118に設けられ、筒状部材に対して径方向に移動しないように上方から係合するように備えられた構成といえる。
(c)図面記載事項(オ)のカセットは、筒状部材(図番無し)に対して径方向に移動しないように上方から係合する構成で吊り下げ支持されるものであるので、筒状部材(図番無し)から吊り下げられるように構成された、カセットといえる。

したがって、前記甲第1号証の記載事項(ア)?(オ)及び図面の図示内容を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材の上部に据え付けるためのカセット110であって、
前記カセット110は、内壁116と、外壁118と、内壁116と外壁118との間に設けられたパック122収納部と、カセット110を支持するために、外壁118に設けられ、筒状部材に対して径方向に移動しないように上方から係合するように備えられた構成と、を有し、
前記筒状部材(図番無し)から吊り下げられるように構成された、カセット。」

また、主に上記記載事項及び図面から次のことも明らかである。
(d)記載事項(イ)の「内壁116、外壁118、内壁と外壁を下部で結合した底壁120により形成されており、ひだ付管状チューブ124のパック122(図4参照)を収納するハウジングを形成している」環状ボディの内部は、内壁116と外壁118との間に設けられた部分であって、「パック122(図4参照)を収納する」部分であるので、内壁116と外壁118との間に設けられたパック122収納部といえる。
(e)記載事項(イ)の張出し部128は、図3において内壁116の上部から外壁118に向けて延出する部位であって、図4記載の様にごみ貯蔵袋織りがその部位をこえて内壁116内側へ引き出される部位であるので、内壁116の上部から外壁118に向けて延出する張出し部128であって、使用時にパック122が張出し部128をこえて内壁116内側へ引き出される張出し部128といえる。
(f)図面記載事項(オ)のボディの外周端152は、筒状部材(図番無し)が「その上部にカセット10の外周端152を載せて据え付けて吊下げ支持する」作用を生じるためのカセット側の部分であって、さらに、該外周端152が外壁118から水平方向に突出して設けられた部分と、そこから下方向に突出して設けられた部分とで構成され、筒状部材(図番無し)に対して径方向に移動しないように上方から係合する構成のものであるので、カセット110の支持のために、筒状部材に対して径方向に移動しないように上方から係合するように、外壁118から突出する構成といえる。
(g)図面記載事項(オ)のカセットは、筒状部材(図番無し)に対して径方向に移動しないように上方から係合する構成で吊り下げ支持されるものであるので、筒状部材(図番無し)から吊り下げられるように構成された、カセットといえる。

したがって、前記甲第1号証の記載事項(ア)?(オ)及び図面の図示内容を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下「引用発明2」という。)も記載されていると認められる。
「内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材の上部に据え付けるためのカセット110であって、
該カセット110は、
内壁116と、
外壁118と、
内壁116と外壁118との間に設けられたパック122収納部と、
内壁116の上部から外壁118に向けて延出する張出し部128であって、使用時にパック122が張出し部128をこえて内壁116内側へ引き出される張出し部128と、
カセット110の支持のために、前記筒状部材に対して径方向に移動しないように上方から係合するように、外壁118から突出する構成と、を備え、
前記筒状部材(図番無し)から吊り下げられるように構成された、カセット」


イ.対比・判断

(ア)対比
a.相当する点
特許発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材」は特許発明1の「ごみ貯蔵機器」に相当し、以下同様に「カセット110」は「ごみ貯蔵カセット」に、「外壁118」は「外側壁」に相当する。
また、引用発明1の「内壁116」は、図3で略円柱状で芯(コア)を画定するものなので、特許発明1の「略円柱状のコアを画定する内側壁」に相当する。
また、引用発明1の「パック122」は、特許発明1の「ごみ貯蔵袋織り」に相当し、引用発明1の「内壁116と外壁118との間に設けられたパック122収納部」は、特許発明1の「内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部」に相当する。

b.共通する点
・引用発明1の「内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材の上部に据え付けるためのカセット110」は、特許発明1の「ごみ貯蔵機器の上部に設けられた小室内に回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」と、ごみ貯蔵機器の上部に据え付けるためのごみ貯蔵カセットである点において共通する。
・引用発明1の「カセット110を支持するために、外壁118に設けられ、筒状部材に対して径方向に移動しないように上方から係合するように備えられた構成」は、特許発明1の「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」と、ごみ貯蔵カセットを支持させるために、外側壁に設けられ、外側壁から突出し、ごみ貯蔵機器と係合するように備えられた構成である点において共通する。
・引用発明1の「前記筒状部材(図番無し)から吊り下げられるように構成された、カセット」は、特許発明1の「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット」と、ごみ貯蔵機器から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセットである点において共通する。

c.一致点
そうすると、特許発明1と引用発明1とは、次の点で一致する。
「ごみ貯蔵機器の上部に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって、
前記ごみ貯蔵カセットは、略円柱状のコアを画定する内側壁と、外側壁と、前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と、前記ごみ貯蔵カセットを支持させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、ごみ貯蔵機器と係合するように備えられた構成と、を有し、
前記ごみ貯蔵機器から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット。」

d.相違点
一方で、両者は、次の点で相違する。
[相違点1]
特許発明1はごみ貯蔵カセットが、「ごみ貯蔵機器の上部に設けられた小室内に回転可能に据え付けるための」ものであるのに対し、引用発明1は、「内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材の上部に据え付けるための」ものであって、「ごみ貯蔵機器の上部に設けられた小室内」に「回転可能に」据え付けるためのではない点。
る点。

[相違点2]
特許発明1はごみ貯蔵カセットが、「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」を有したものであるのに対し、引用発明1は、「カセット110を支持するために、外壁118に設けられ、筒状部材に対して径方向に移動しないように上方から係合するように備えられた構成」を有したものであって、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」を有したものではない点。

[相違点3]
特許発明1はごみ貯蔵カセットが、「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された」ものであるのに対し、引用発明1は、「筒状部材(図番無し)から吊り下げられるように構成された、カセット」であって、「ごみ貯蔵カセット回転装置」から吊り下げられるように構成されたものではない点。

(イ)判断
a.特許発明1の「係合」に関して
特許請求の範囲の請求項9に記載された特許発明1を特定する事項である「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」における「係合」の解釈については、請求人が、請求人口頭審理陳述要領書の第3(2)において、「『係合』とは、字義のとおり、2つの部材が何らかの関係で『係わり合う』ことを意味する」としつつ、同第2(3)において、「単にごみ貯蔵カセット回転装置上に載っているという構造的関係を意味するもので・・・請求項9発明や請求項14発明においては、カセットの外側壁から突出する構成とごみ貯蔵カセット回転装置とは、『完全かつ確実な回転係合』の関係ではなく、『緩やかな回転係合』の関係であると認められる。」と主張するのに対して、被請求人は、答弁書7.第3 3(4)アにおいて、「『係合』とは、・・・『2つの物が、互いにかみ合うことにより、またはその突出部と対応する凹部がひっかかることにより、連動したり、両者の相対的位置が固定されたりするような構成をとること』をいう。すなわち、単に『ともに回転する』からといって、『係合』しているといえるものではない」とそれぞれ異る意味での解釈を主張している。

そこで、「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」の解釈について検討する。
まず、本件特許明細書には、上記「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」に関して、【0017】に、「回転可能な円板は前記カセットに係合し、前記カセットそれ自体、あるいは前記袋織りに触れる必要がなく、ほとんど苦もなく、前記カセットは手動でねじる又は回転させることができる。」とごみ貯蔵カセットを「回転させる」ための「係合」に関する記載がなされている。
さらに、本件特許明細書には、「ごみ貯蔵カセット(の)・・外側壁から突出し・・た構成」と「ごみ貯蔵カセット回転装置」との係合ではないものの、「回転」のための「係合」に関して、【0023】の「カセット上の前記環状フランジ106は、前記小室それ自体に形成された構成上に置かれ、前記円板100は、前記カセット内の複数の切り欠きのような構成と係合作用をする複数の突起のような構成を含んでいる。いすれにしても、より簡単な、及び回転するためにより少ない抵抗を持つ、カセット回転手段が提供される。」、【0026】の「外側円筒状壁の下部表面から突出している突出部118は、完全な回転係合を確実にするために、前記カセット1内で凹所又は孔119に係合する。」及び「回転可能な円板100上の協同する突出部又は他の形成部と係合する複数の軸方向に方向付けられたリブを担持することができる。」と記載されている。
なお、【0026】には、「図6から理解できるように、その基底で前記カセット1を支持する前記肩を規定する内側方向に突出した環状支持フランジ115を備えている。前記カセット1は、その外壁上に、前記支持フランジ115上に載っている外方向に突出する環状フランジ又はくちびる116を備えている。」と、カセットが「支持フランジ115上に載っている外方向に突出する環状フランジ又はくちびる116を備えている」ことも記載されているものの、「係合」なる表現は使用されていない。

そして、
(a)一般的に「係合」なる表現は、被請求人が主張するように「2つの物が、互いにかみ合うことにより、またはその突出部と対応する凹部がひっかかることにより、連動したり、両者の相対位置が固定されたりするような構成をとること」を表す意図で用いられる用語であり、特許発明1の「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」の「係合」が、「支持し且つ回転させるために、・・・突出し・・・係合する」として用いられているように、「突出し」た構成による「係合」であって、該「突出し」た構成が上記の「かみ合う」や「ひっかかる」で例示される作用を生じ、結果として「係合」するものと普通に理解でき、かつ、「支持し且つ回転させる」ことを意図した「係合」である以上、該「突出し」た構成の「かみ合う」等の作用は、「支持」及び「回転させる」ことに寄与すると理解でき、「係合」を上記一般的な意図で用いられると解することに特段の支障は存在しない。
(b)本件特許明細書において、「回転」のための「係合」を図示して具体的に表されている【0026】の「外側円筒状壁の下部表面から突出している突出部118は、完全な回転係合を確実にするために、前記カセット1内で凹所又は孔119に係合する。」も、突出部が設けられている部材は異なるものの、まさに上記「かみ合う」や「ひっかかる」で例示される作用で回転させるものであり、このことも、「係合」が上記一般的な意図で用いられると解することと整合している。
(c)上記(b)以外の本件特許明細書における「回転」のための「係合」に係る記載である、【0017】、【0023】及び、【0026】の「回転可能な円板100上の協同する突出部又は他の形成部と係合する複数の軸方向に方向付けられたリブを担持することができる。」とのいずれの記載も、上記「かみ合う」や「ひっかかる」で例示される作用で回転させるものと矛盾するものではない。
これら(a)?(c)を考慮すると、本件特許明細書においては、「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」の係合は、上記一般的な意図で使用されているものと解される。
さらに、「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」は「支持し且つ回転させるために、・・・突出し・・・係合する」ものであって、「支持」及び「回転させる」ことに寄与する、「突出」構成による「かみ合う」等の作用を伴う係合であるので、請求人が主張するような「単にごみ貯蔵カセット回転装置上に載っているという構造的関係」のものまでも包含すると解することは妥当でない。

b.相違点について
特許発明1と甲第1号証に記載された発明とは、上記相違点1?3で相違する。
そして、特許発明1は、相違点1?3の「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」を有し、「ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成」されることで、明細書段落【0017】の「回転可能な円板は前記カセットに係合し、前記カセットそれ自体、あるいは前記袋織りに触れる必要がなく、ほとんど苦もなく、前記カセットは手動でねじる又は回転させることができる。」という作用効果を奏するものであるから、該相違点1?3は形式的なものではなく、実質的な相違点である。

請求人は、審判請求書7.「(14)請求項9発明の新規性および進歩性の否定」で「請求項14発明と同様」と、同(10)を引用して、「相違点カ)、キ)およびク)は、いずれもカセット自体の構造的な特徴に関するものではなく・・・区別することができない。」旨の主張をしているが、上記「理由1」に示したように請求項に記載された事項はすべてごみ貯蔵カセットを特定する事項であるから理由がない。

したがって、特許発明1は甲第1号証に記載された発明と同一であるということはできない。


(2)特許発明3に関して

ア.甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面とともに上記(1)ア.の引用発明2が記載されている。

イ.対比・判断
(ア)対比
a.相当する点
特許発明3と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材」は特許発明3の「ごみ貯蔵機器」に相当し、以下同様に、「カセット110」は「ごみ貯蔵カセット」に、「外壁118」は「外側壁」に相当する。
また、引用発明2の「内壁116」は、図3で略円柱状で芯(コア)を画定するものなので、特許発明3の「略円柱状のコアを画定する内側壁」に相当する。
また、引用発明2の「パック122」は、特許発明3の「ごみ貯蔵袋織り」に相当し、引用発明2の「内壁116と外壁118との間に設けられたパック122収納部」は、特許発明3の「前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部」に相当する。
また、引用発明2の「内壁116の上部から外壁118に向けて延出する張出し部128であって、使用時にパック122が張出し部128をこえて内壁116内側へ引き出される張出し部128」は、その「内壁116」が図3で略円柱状の芯(コア)を画定するものであり、その内側が「コア内」といえるものであるので、特許発明3の「前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって、使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部」に相当する。

b.共通する点
・引用発明2の「内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材の上部に(据え付けるためのカセット110」は、特許発明3の「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」と、ごみ貯蔵機器の上部に据え付けるためのごみ貯蔵カセットである点において共通する。
・引用発明2の「カセット110の支持のために、前記筒状部材に対して径方向に移動しないように上方から係合するように、外壁118から突出する構成」は、特許発明3の「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成」と、ごみ貯蔵カセットの支持のために、ごみ貯蔵機器と係合するように、外側壁から突出する構成である点において共通する。
・引用発明2の「前記筒状部材(図番無し)から吊り下げられるように構成された、カセット」は、特許発明3の「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット」と、ごみ貯蔵機器から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセットである点において共通する。

c.一致点
そうすると、特許発明3と引用発明2とは、次の点で一致する。
「ごみ貯蔵機器の上部に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって、
該ごみ貯蔵カセットは、
略円柱状のコアを画定する内側壁と、
外側壁と、
前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と、
前記内側壁の上部から前記外側壁に向けて延出する延出部であって、使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と、
前記ごみ貯蔵カセットの支持のために、前記ごみ貯蔵機器と係合するように、前記外側壁から突出する構成と、を備え、
前記ごみ貯蔵機器から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット。」

d.相違点
一方で、両者は、次の点で相違する。
[相違点4]
特許発明3はごみ貯蔵カセットが、「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」であるのに対し、引用発明2は、「内部に廃棄物を包んだチューブが納められる筒状部材の上部に据え付けるためのカセット110」であって、「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置」に「係合され回転可能」に据え付けるためのものではない点。

[相違点5]
特許発明3はごみ貯蔵カセットが、「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成」を備えたものであるのに対し、引用発明2は、「カセット110の支持のために、前記筒状部材に対して径方向に移動しないように上方から係合するように、外壁118から突出する構成」を備えたものであって、「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」を備えたものではない点。

[相違点6]
特許発明3はごみ貯蔵カセットが、「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された」ものであるのに対し、引用発明2は、「筒状部材(図番無し)から吊り下げられるように構成された、カセット」であって、「ごみ貯蔵カセット回転装置」から吊り下げられるように構成されたものではない点。

(イ)判断
a.特許発明3の「係合」に関しては、上記(1)イ.(イ)a.と同様の意図で使用されているものと解される。

b.相違点について
特許発明3と甲第1号証に記載された発明とは、上記相違点4?6で相違する。
そして、特許発明3は、相違点4?6の「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」を備え、「ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成」されることで、明細書段落【0017】の「回転可能な円板は前記カセットに係合し、前記カセットそれ自体、あるいは前記袋織りに触れる必要がなく、ほとんど苦もなく、前記カセットは手動でねじる又は回転させることができる。」という作用効果を奏するものであるから、該相違点4?6は形式的なものではなく、実質的な相違点である。

請求人は、審判請求書7.(10)で「相違点カ)、キ)およびク)は、いずれもカセット自体の構造的な特徴に関するものではなく・・・区別することができない。」旨の主張をしているが、上記「理由1」に示したように請求項に記載された事項はすべてごみ貯蔵カセットを特定する事項であるから理由がない。

したがって、特許発明3は甲第1号証に記載された発明と同一であるということはできない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件の請求項9および14に係る発明は、本件特許優先日前に頒布された甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、本件特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものであるとする請求人の理由2は、理由がない。

3.理由3に関して
(1)各甲号証について
ア.甲第1号証の記載事項
甲第1号証の記載事項は、上記2.(1)ア.記載のとおり。

イ.甲第2号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第2号証には、廃棄物貯蔵装置に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、文末の( )は、請求人が翻訳文として提出した甲第2号証付属Aの対応箇所である。(以下「対応記載」という。)
(ア)「1.Field of the Invention
The present invention relates to a waste storage device or container. More particularly, the present invention relates to a waste storage device having a mechanically operated sealing mechanism.
(1.発明の分野
本発明は廃棄物貯蔵装置に関するものであり、特に、機械的に操作される密閉機構を有する廃棄物貯蔵装置に関する。)」(第1頁第5?9行)
(イ)「2. Description of the Prior Art
・・・When the user manually opens the lid assembly by hand, a diaper can be inserted through the twist ring and hole in the film cartridge, and in the storage film. The twist ring is then manually rotated by the user's hand, which causes the film cartridge and storage film to rotate, tieing off and sealing the disposed diaper in the storage film. The storage film is continuously fed from the film cartridge.
(2.従来技術
・・・使用者は、手動で蓋を開蓋したときに、ツイストリングおよびフィルムカートリッジに設けられた穴を通過させて、貯蔵フィルムの内部におむつを廃棄することができる。ツイストリングは、そのときの使用者によって手動で回転され、この動作によって、フィルムカートリッジおよび貯蔵フィルムが回転する。その結果、貯蔵フィルムが結束されて、貯蔵フィルムの内部に廃棄されたおむつを封止して密閉する。貯蔵フィルムは、フィルムカートリッジから連続的に供給される。)」(第1頁第11?27行)
(ウ)「The device requires the user to rotate the twist ring by hand to seat the storage film. In the present invention, the sealing operation is performed mechanically.
(この装置においては、貯蔵フィルムを封止するために、使用者がツイストリングを手動で回転させる必要があった。本発明においては、貯蔵フィルムを封止するための操作が、機械的に行われる。)」(第1頁第29?32行)
(エ)「It is an object of the present invention to provide a waste storage device that has a mechanically operated sealing mechanism.
(本発明の目的は、機械的に密閉操作を行う機構を備える廃棄物貯蔵装置を提供することである。)」(第2頁第3?4行)
(オ)「Waste storage device 10 has a body 100, a lid 120, a storage film cassette 130, a film ring 140 and a sealing mechanism 200.
(廃棄物貯蔵装置10は、本体100と、蓋120と、貯蔵フィルムカセット130と、フィルムリング140と、密閉機構200とを備える。)」(第4頁第7?8行)
(カ)「Body 100 further has a cassette flange 117 with a center hole 118 and a circular wall 119. Flange 117 is circumferentially formed along the inner wall of body 100 in proximity to upper portion 106. Flange 117 engages with a clutch 270 of sealing mechanism 200, which will be discussed later in greater detail. Center hole 118 provides a support for clutch 270 and for cassette 130, which is seated on the clutch. Circular wall 119 extends substantially vertically upward from flange 117. As used herein, vertical refers to the direction between upper and lower portions 106,108, which is substantially parallel with the sidewalls defining body 100. Horizontal refers to the direction between front and rear portions 102, 104, which is substantially perpendicular to the sidewalls defining body 100. Circular wall 119 has a diameter larger than the diameter of cassette 130. Circular wall 119 provides support for cassette 130 to prevent it from moving in a horizontal direction yet allowing it to rotate in center hole 118.
(本体100は、中心穴118と円形壁119とを含むカセットフランジ117をさらに有する。カセットフランジ117は、上方部106に近接した位置において、本体100の内壁に沿って円形状に形成されている。カセットフランジ117は、密閉機構200のクラッチ270と係合している。この構成については、後述する。中心穴118は、クラッチ270と、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部を提供する。円形壁119は、カセットフランジ117から実質的に鉛直方向上方へ向けて延びている。ここで、鉛直方向とは、上方部106と下方部108との間の方向を参照しており、本体100を画定する側壁と直交する。円形壁119は、カセット130が水平方向に移動することを防ぐように、カセット130を支持している。なお、カセット130は、中心穴118において回転可能となるように円形壁119に支持されている。)」(第4頁第25行?第5頁9行)
(キ)「Cassette 130 preferably has a cylindrical or ring-like shape with a center opening 132. Film 135 is a continuous sheet of film having a cylindrical shape that is stored in cassette 130. Cassette 130 also has a film ring 140 that is positioned in center opening 132. Film 135 is dispensed from the top of cassette 130 over the outside of film ring 140 and then down through the film ring and down through center opening 132 into inner volume 110.
(カセット130は、好ましくは、中心開口132を有する円筒形状または円環形状である。フィルム135は、連続的に連なったフィルムシートであって、カセット130に貯蔵された円筒状のフィルムである。フィルム135は、カセット130の上端からフィルムリング140の外縁を超えるように供給される。そして、フィルムリング140の内部を通って下方へと延び、中心開口132を通って内部空間110へと至る。)」(第5頁第11?17行)
(ク)「Referring to Figs. 1 through 4, sealing mechanism 200 of the present invention is shown. Sealing mechanism 200 has an actuator 210, a foot pedal linkage 225, a rack linkage 230, a rack gear 260, a clutch 270 and a biasing mechanism 280. In the preferred embodiment, actuator 210 is a foot pedal and is angled downward for facilitating operation by a user's foot. Pedal 210 protrudes out from body 100 through pedal orifice 116 and into pedal housing 115. Pedal housing 115 has a height that allows a user to slide his or her foot into the housing and onto pedal 210. Pedal 210 is pivotally connected to base 105 of body 100 at pedal pivot 215. This pivotal connection translates the user's downward force into an upward force for opening lid 120.
(図1?図4を参照して、本発明に係る密閉機構200が示されている。密閉機構200は、アクチュエータ210と、足ペダルリンク225と、ラックリンク230と、ラックギア260と、クラッチ270と、圧縮ばね280とを備える。好ましい実施形態として、アクチュエータ210は、足ペダルであって、使用者の足による操作を補助するように下方へ傾斜している。ペダル(アクチュエータ)210は、ペダル開口116を通って本体100から外側へ向けて突出し、ペダルハウジング115内へと至る。ペダルハウジング115は、使用者の足がペダルハウジング115内へ挿入されて、ペダル210上に配置されることができるほどの高さを有している。ペダル210は、ペダルピボット215によって本体100のベース105に回転可能に枢支されている。この回転可能な連結によって、使用者によるペダル210の下方への踏み込みの力が、蓋120を開蓋させるため上方へ向けた力へと変換される。)」(第5頁第23?33行)
(ケ)「Pedal linkage 225 is also pivotally connected to rack linkage 230 at rack pivot 235. Rack linkage 230 is pivotally connected to rack gear 260 at rack pivot 240. The pivotal connections at rack pivots 235,240 translate the substantially vertical movement of pedal linkage 225 into a substantially horizontal movement of rack linkage 230 and rack gear 260.
(足ペダルリンク部材225は、さらに、ラックピボット235を介して、ラックリンク部材230に回転可能に連結されている。ラックリンク部材230は、ラックピボット240を介してラックギア260に回動可能に連結されている。ラックピボット235、240での回転可能な連結によって、足ペダルリンク225の実質的に鉛直方向へ向けた移動が、ラックリンク部材230およびラックギア260の水平方向への移動へと変換される。)」(第6頁第17?21行)
(コ)「Rack gear 260 is operably connected to clutch 270 so that a horizontal movement of the rack gear causes the clutch to rotate. In this embodiment, clutch 270 has gears (not shown) that engage with gears 262 of rack gear 260. Rack gear 260 is further connected to a biasing mechanism 280 positioned on the opposite end of the rack gear from rack pivot 240. In this embodiment, biasing mechanism 280 is a coil spring that biases rack gear 260 toward rear portion 104 of body 100.
(ラックギア260は、クラッチ270に操作可能に連結されているため、ラックギア260の水平方向への移動によってクラッチが回転する。本実施形態においては、クラッチ270は、ラックギア260に設けられたギア262と係合するギア(図示せず)を有している。ラックギア260は、さらに、ラックギア260におけるラックピボット240と反対側の端部に配置された圧縮ばね280に連結されている。本実施形態においては、圧縮ばね280は、ラックギア260を本体100の後方部104に向けて付勢するコイルばねである。)」(第6頁第23?29行)
(サ)「Clutch 270 is removably connected to cartridge 130. Clutch 270 is a one-way clutch that only permits rotation of cartridge 130 in one direction.
Thus, rack gear 260 can horizontally move in two directions and clutch 270 can rotationally move in two directions. However, cassette 130 can only rotate in one direction.
(クラッチ270は、カセット130に着脱可能に取り付けられている。クラッチ270は、カセット130の一方向への回転のみを許容するワンウエイクラッチである。このように、ラックギア260は、水平方向に沿って前後に移動することができ、且つクラッチ270は二方向へ回転することができる。しかしながら、カセット130は、一方向へのみ回転することができる。)」(第6頁第31行?第7頁第2行)
(シ)「In operation, when a user depresses pedal 210, pedal linkage 225 moves in an upward direction. This upward movement of pedal linkage 225 causes lid 120 to rotate about lid hinge 125 toward rear portion 104 of body 100. Thus, depressing pedal 210 causes the lid to open.
(操作においては、使用者がペダル210を踏み込むと、足ペダルリンク部材225が、上方に向けて移動する。この足ペダルリンク部材225の上方へ向けた移動によって、蓋120が、蓋ヒンジ125を介して、本体100の後方部104に向けて回動する。このように、ペダル210の踏み込みによって、蓋120が開蓋する。)」(第7頁第4?7行)
(ス)「Simultaneously, the upward movement of pedal linkage 225 causes rack linkage 230 to move substantially horizontally toward front portion 102 of body 100. This causes rack gear 260 to move horizontally toward front portion 102. Rack gear 260 is operably connected to clutch 270, which causes the clutch to rotate in a first direction. Cassette 130 remains stationary because clutch 270 is a one-way clutch and prevents the cassette from rotating in this first direction. The horizontal movement of rack gear 260 towards front portion 102 also causes spring 280 to compress.
(同時に、足ペダルリンク部材225の上方への移動によって、ラックリンク部材230が、実質的に水平方向に沿って本体100の前方部102に向けて移動する。これにより、ラックギア260が、水平方向に沿って前方部102へ向けて移動する。ラックギア260は、クラッチ270に操作可能に連結されており、これによって、クラッチ270が第1の方向へ向けて回転することとなる。カセット130は、クラッチ270がワンウエイクラッチであるためカセット130の第1の方向への回転を防止することから、回転をせずに静止している。ラックギア260の前方部102へ向けた水平方向の移動によって、圧縮ばね280が、圧縮されることにもなる。)」(第7頁第9?17行)
(セ)「With lid 120 in an open position and storage volume 138 accessible to the user, waste storage, such as a diaper, can be inserted through film ring 140 into the storage volume. The user then releases pedal 210 to commence the sealing operation. The force of compressed spring 280 against rack gear 260 causes the rack gear to horizontally move back toward rear portion 104. The horizontal movement of rack gear 260 toward rear portion 104 causes clutch 270 to rotate in a second, opposite direction. Cassette 130 rotates in this second direction. The rotation of cassette 130 causes film 135 to tie off or seal near film upper end 139.
Thus, release of pedal 210 causes sealing mechanism 200 to seal film 135.
(蓋120が開蓋し、貯蔵空間138が使用者に対してアクセス可能となると,おむつのような廃棄物を、フィルムリング140を通して貯蔵空間138の内部へと挿入することが可能となる。それから、使用者は、密閉操作を開始するためのにペダル210を開放する。圧縮された圧縮ばね280のラックギア260に対する弾性力によって、ラックギア260が、後方部104に向けて水平方向へと移動する。このラックギア260の後方への移動によって、クラッチ270が上記第1の方向とは逆の第2の方向へ向けて回転することとなる。そして、カセット130が、第2の方向へ向けて回転する。カセット130の回転によって、フィルム135が、フィルム上端139の近辺で結束(捩られる)、または封止される。このように、ペダル210を開放することによって、密閉機構200がフィルム135を封止することとなる。)」(第7頁第19?29行)

ここで、主に上記記載事項及び図面から次のことが明らかである。
(a)図1,2,5?7のカセット130は、記載事項(セ)の「クラッチ270が上記第1の方向とは逆の第2の方向へ向けて回転することとなる。そして、カセット130が、第2の方向へ向けて回転する」動作を行うものであって、記載事項(カ)の「上方部106に近接した位置において、本体100の内壁に沿って円形状に形成されている」カセットフランジ117の上方の小室内に据え付けられており、その据え付けられる位置は本体100の上部にといえるものであるので、本体100(ごみ貯蔵機器)の上部に設けられた小室内に回転可能に据え付けるためのものといえる。
(b)図1,2,5?7の状態において、フィルム135はカセット130内で織り畳まれた状態であり、該織り畳まれた状態のフィルム135を収容しているカセット130の空間は、カセット130の内側壁と外側壁との間に設けられたものであるので、内側壁と外側壁との間に設けられた織り畳まれた状態のフィルム135を入れる貯蔵部といえる。
(c)また、カセット130は、記載事項(カ)の「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部」に支持されているものであり、その支持は、図1,2,5?7記載の様にカセット130の底部で行われたものであり、さらに、カセット130は、記載事項(セ)の「クラッチ270が上記第1の方向とは逆の第2の方向へ向けて回転することとなる。そして、カセット130が、第2の方向へ向けて回転する」動作を行うものであるので、カセット130の底部は、カセット130を支持し且つ回転させるために、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるカセット130の底部構成といえると共に、カセット130は、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるように構成されたものといえる。

したがって、前記甲第2号証の記載事項(ア)?(セ)及び図面の図示内容を総合すると、甲第2号証には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「本体100の上部に設けられた小室内に回転可能に据え付けるためのカセット130であって、
前記カセット130は、内側壁と、外側壁と、前記内側壁と前記外側壁との間に設けられた織り畳まれた状態のフィルム135を入れる貯蔵部と、前記カセット130を支持し且つ回転させるために、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるカセット130の底部構成と、を有し、
クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるように構成された、カセット130。」

また、主に上記記載事項及び図面から次のことも明らかである。
(d)図1,2,5?7のカセット130は、記載事項(カ)の「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部」に支持されているものであり、記載事項(セ)の「クラッチ270が上記第1の方向とは逆の第2の方向へ向けて回転することとなる。そして、カセット130が、第2の方向へ向けて回転する」動作を行うものであって、記載事項(カ)の「上方部106に近接した位置において、本体100の内壁に沿って円形状に形成されている」カセットフランジ117の上方の小室内に据え付けられており、その据え付けられる位置は本体100の上部にといえるものであるので、本体100の上部に備えられた小室に設けられたクラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれ回転可能に据え付けるためのものといえる。
(e)図1,2,5?7の状態において、フィルム135はカセット130内で織り畳まれた状態であり、該織り畳まれた状態のフィルム135を収容しているカセット130の空間は、カセット130の内側壁と外側壁との間に設けられたものであるので、内側壁と外側壁との間に設けられた織り畳まれた状態のフィルム135を入れる貯蔵部といえる。
(f)記載事項(キ)のフィルムリング140は、図1,3,5,7において、内側壁に内嵌する内筒部の上部から外方に向けて延出する部位を有し、「フィルム135は、カセット130の上端からフィルムリング140の外縁を超えるように供給される。」機能のものであるので、フィルムリング140の外方に向けて延出する部位は、内側壁の上部から外部壁に向けて延出する延出部であって、使用時に織り畳まれた状態のフィルム135が延出部をこえてコア内へ引き出される延出部といえる。
(g)カセット130は、記載事項(カ)の「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部」に支持されているものであり、その支持は、図1,2,5?7記載の様にカセット130の底部で行われたものであり、さらに、カセット130は、記載事項(セ)の「クラッチ270が上記第1の方向とは逆の第2の方向へ向けて回転することとなる。そして、カセット130が、第2の方向へ向けて回転する」動作を行うものであるので、前記カセット130の支持・回転のために、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるカセット130の底部構成を有するものといえる。

したがって、前記甲第2号証の記載事項(ア)?(セ)及び図面の図示内容を総合すると、甲第2号証には、次の発明(以下「引用発明4」という。)も記載されていると認められる。
「本体100の上部に備えられた小室に設けられたクラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれ回転可能に据え付けるためのカセット130であって、
該カセット130は、
内側壁と、
外側壁と、
前記内側壁と前記外側壁との間に設けられた織り畳まれた状態のフィルム135を入れる貯蔵部と、
前記内側壁の上部から外部壁に向けて延出する延出部であって、使用時に織り畳まれた状態のフィルム135が前記延出部をこえて内側壁の内側へ引き出される延出部と、
前記カセット130の支持・回転のために、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるカセット130の底部構成と、を備え、
クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるように構成された、カセット130。」

ウ.甲第3号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第3号証には、廃棄物収納パックを形成及び収納する装置に関して図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)図5には、カセットの外方突出部を支持部材によって下から支えてカセットを吊下げ支持する吊下げ式の構成、及び外壁、内壁、底壁および上部の延出壁を備え、これらの壁に取り囲まれた空間内にフィルムを折り畳んで収容する構成が記載されている。
(イ)図5には、カセットの延出壁と外壁との間に隙間を設ける構成が記載されている。
(ウ)図5には、カセットを容器本体で支持する構成が記載されている。
(エ)図5には、カセットの底部が浮くようにカセットを吊り下げる構成が記載されている。

エ.甲第4号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第4号証には、廃棄物処理装置に関して図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、文末の( )は、請求人が翻訳文として提出した甲第4号証付属Aの対応箇所である。(以下「対応記載」という。)
(ア)「[0108] Referring to FIG. 2, cartridge 24 has a series of projections 66 extending outward from a rim 26a of outer wall 26. Although not shown, projections 66 are uniformly spaced around the entire circumference of the outer wall 26. Projections 64 on the gear 60 are designed to mesh with the projections 66 on the cartridge 24 to enable rotation force to be transferred from the gear assembly 44 to the cartridge 24. As such, rotation of the gear 60 in the direction of arrow D in FIG. 3 will result in rotation of the cartridge 24 in the direction of arrow E in FIG. 2. Rotation of the cartridge 24 causes twisting of the tubing 34 above a waste package when the waste package is held stationary.
(【0108】図2を参照して、カートリッジ24は、外壁26の外縁26aから外方へ突出するように連なって設けられた凸部66を有する。図示されていないが、凸部66は、外壁26の外周全体に均一に設けられている。ギア60に設けられた凸部64は、カートリッジ24に設けられた凸部66と係合するように設けられており、ギア組立体44からカートリッジ24へと回転力を伝達することを可能とする。)」
(イ)図1には、カートリッジ24が外壁26、内壁30、底壁および上壁32を備え、これらの壁に取り囲まれた空間内にチューブ34を折り畳んで収容する構成が記載されている。
(ウ)図2及び図3には、外縁26aとギア組立体44とが、直接係合する構造で記載されている。

オ.甲第5号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第5号証には、おむつ処理器に関して図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)図1には、パック4の上側の壁と内側の壁との間に隙間を設けたものが記載されている。
(イ)図1には、コンテナ1に対してパック4を回転させて可撓性チューブ5を捩じるおむつ処理器が記載されている。

カ.甲第6号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第6号証には、パッケージング装置に関して図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)図1には、シート収納部11のガイド部15と収納部押さえ部材19との間に隙間を設けたものが記載されている。

キ.甲第7号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第7号証には、廃棄物の処理装置に関して図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)図1には、ホルダー3の底側の壁と内側の壁との間に隙間を設けるものが記載されている。

ク.甲第8号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第8号証には、廃棄物貯蔵装置に関して図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)図1には、コア1の上側の壁と内側の壁との間に隙間を設けるものが記載されている。
(イ)図1には、コア1の底部を下から支持する構成が記載されている。

ケ.甲第9号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第9号証には、フロアー用塵芥収納庫に関して図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)図3には、ごみを収容する塵芥容器2を、外側の容器の上部開口部に係合部7から吊下げる構造が記載されている。

コ.甲第10号証の記載事項
本件優先日前に頒布された刊行物である甲第10号証には、流し台用水切り袋体に関して図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)図1には、厨芥容器3の上部開口部に保持枠6を取り付け、ごみを収容する水切り網袋9を吊下げる構造が記載されている。


(2)特許発明1に関して

(2-1)甲第1号証に記載された発明に基づく容易想到性に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
(ア)対比
特許発明1と引用発明1とを対比すると、
a.相当する点は、上記2.(1)イ.(ア)a.記載のとおり。
b.共通する点は、上記2.(1)イ.(ア)b.記載のとおり。
c.一致点は、上記2.(1)イ.(ア)c.記載のとおり。
d.相違点は、上記2.(1)イ.(ア)d.記載のとおり。

(イ)判断
請求人は、請求人口頭審理陳述要領書の第4 「4.請求項9発明の進歩性の否定」で「請求項14発明と同様」と、同「1.(3)」を引用して、「本件発明の優先日の時点において、カセットから引き出されたフィルムの上方部分と下方部分との間にねじれ部分を形成するために、カセットと引き出されたフィルムの下方部分との間で相対的なねじれを生じさせるようにすること、および相対的なねじれ操作のためにフィルムを収容しているカセットを回転させることは、例えば甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証にも開示されており、この分野において周知の事項と認められる。
・・・甲第1号証において、器具を用いたねじり操作によってカセットを回転させるために、ごみ貯蔵カセットを支持する部材を回転させるようにすることを容易に想到し得る。・・・ごみ貯蔵カセット回転装置がごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたことを規定しているが、係る特徴はごみ貯蔵カセット自体の構造的特徴とは無関係であり、何ら特許性を高めるものではない。
以上のように、当業者であれば、甲第1号証の開示内容を根拠に、ごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成をごみ貯蔵カセット回転装置に係合させ、ごみ貯蔵カセットをごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げるようにして請求項14発明に到達することは容易である。」旨の主張をしているので、それについて検討する。

上記2.(1)イ.(ア)d.に[相違点2]として記載した様に、引用発明1は、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」を有したものではない。
そして、請求人が主張するように、「カセットから引き出されたフィルムの上方部分と下方部分とのねじれ部分を形成するために、カセットと引き出されたフィルムの下方部分との間で相対的なねじれを生じさせるようにすること、および相対的なねじれ操作のためにフィルムを収容しているカセットを回転させること」が甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証に開示されて周知の事項であったとしても、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」が、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証及び、その他の甲各号証に記載されておらず、また、それらの記載に示唆されている構成ということもできない以上、請求項9発明(すなわち特許発明1)に到達することは容易ではない。
なお、相違点2に係る「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」は、「支持し且つ回転させるために、・・・突出し・・・係合する」ものであって、その「係合」は、上記2.(1)イ.(イ)a.の意図で使用されているものである。

また他に、相違点2が甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたことであるとする合理的理由も発見できない。
したがって、特許発明1は甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


(2-2)甲第2号証に記載された発明に基づく容易想到性に関して

ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
(ア)対比
a.相当する点
特許発明1と引用発明3とを対比すると、引用発明3の「本体100」は特許発明1の「ごみ貯蔵機器」に相当し、以下同様に「カセット130」は「ごみ貯蔵カセット」に、「織り畳まれた状態のフィルム135」は「ごみ貯蔵袋織り」に相当する。
また、引用発明3の「内側壁」は、図1,2,5?7で略円柱状で芯(コア)を画定するものなので、特許発明1の「略円柱状のコアを画定する内側壁」に相当する。
また、引用発明3の「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部」は、「カセット130を支持し且つ回転させるため」に、カセット130をその「上に置かれる」であるので、特許発明1の「ごみ貯蔵カセット回転装置」に相当する。

b.共通する点
・引用発明3の「前記カセット130を支持し且つ回転させるために、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるカセット130の底部構成」は、特許発明1の「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」と、ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、関連づけられた構成である点において共通する。
・引用発明3の「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるように構成された、カセット130」は、特許発明1の「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット」と、ごみ貯蔵カセット回転装置に支持されるように構成された、ごみ貯蔵カセットである点において共通する。

c.一致点
そうすると、特許発明1と引用発明3とは、次の点で一致する。
「ごみ貯蔵機器の上部に設けられた小室内に回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって、
前記ごみ貯蔵カセットは、略円柱状のコアを画定する内側壁と、外側壁と、前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と、前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、関連づけられた構成と、を有し、
前記ごみ貯蔵カセット回転装置に支持されるように構成された、ごみ貯蔵カセット。」

d.相違点
一方で、両者は、次の点で相違する。
[相違点7]
特許発明1はごみ貯蔵カセットが、「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」を有したものであるのに対し、引用発明3は、「前記カセット130を支持し且つ回転させるために、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるカセット130の底部構成」を有したものであって、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」を有したものではない点。

[相違点8]
特許発明1はごみ貯蔵カセットが、「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された」ものであるのに対し、引用発明3は、「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるように構成された、カセット130」であって、ごみ貯蔵カセット回転装置「から吊り下げられるように構成」されたものではない点。

(イ)判断
請求人は、請求人口頭審理陳述要領書の第4 「4.請求項9発明の進歩性の否定」で「請求項14発明と同様」と、同「2.(2)」を引用して、「請求項14発明の優先日の時点において、吊り下げ式カセット支持構造・・・および底部支持式カセット支持構造の両者が一般的に知られている。・・・
-甲第1号証の図4。
-甲第3号証の図5。
-甲第7号証の図1。
・・・
-甲第2号証の図1。
-甲第4号証の図1。
-甲第8号証の図1。
請求項14発明の優先日の時点において、吊下げ式カセット支持構造および底部支持式カセット支持構造の両者が一般的に知られているので、当業者にとって、どちらの支持構造を採用するかは単なる設計上の選択事項である。したがって、甲第2号証において、ごみ貯蔵カセットの支持・回転のための構造として、ごみ貯蔵カセットの底部をカセット回転装置上に係合させる底部支持式カセット支持構造に代えて、ごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する部分をカセット回転装置上に係合させる吊下げ式カセット支持構造を採用して請求項14発明に到達することは、当業者にとって容易になし得ることである。」旨の主張をしているので、それについて検討する。

上記(ア)d.に[相違点7]として記載した様に、引用発明3は、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」を有したものではない。
そして、請求人が主張するように、「吊下げ式カセット支持構造」および「底部支持式カセット支持構造」の両者が甲第1,3,7号証、及び、甲第2,4,8号証に開示されて一般的に知られていることであったとしても、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」が、甲第1,3,7号証、甲第2,4,8号証及び、その他の甲各号証に記載されておらず、また、それらの記載に示唆されている構成ということもできない以上、請求項9発明(すなわち特許発明1)に到達することは容易ではない。
なお、相違点7に係る「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」は、「支持し且つ回転させるために、・・・突出し・・・係合する」ものであって、その「係合」は、上記2.(1)イ.(イ)a.の意図で使用されているものである。

また他に、相違点7は甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたことであるとする合理的理由も発見できない。
したがって、特許発明1は甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。


(2-3)甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づく容易想到性に関して

ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
(ア)対比
特許発明1と引用発明1とを対比すると、
a.相当する点は、上記2.(1)イ.(ア)a.記載のとおり。
b.共通する点は、上記2.(1)イ.(ア)b.記載のとおり。
c.一致点は、上記2.(1)イ.(ア)c.記載のとおり。
d.相違点は、上記2.(1)イ.(ア)d.記載のとおり。

(イ)判断
請求人は、請求人口頭審理陳述要領書の第4 「4.請求項9発明の進歩性の否定」で「請求項14発明と同様」と、同「3.(2)」を引用して、「引用発明1の示唆、引用発明2の教示内容および請求項14発明の優先日における当業者の技術水準を考慮すれば、引用発明1における手動でのフィルム捩じり操作に代えて、器具を用いたねじり操作によってカセットを回転させるために、引用発明1のごみ貯蔵カセットを、支持・回転のために、引用発明2の回転装置上に係合させるようにすることは当業者にとって容易なことである。また、その際に、カセット支持構造として、底部支持式カセット支持構造および吊下げ式カセット支持構造のいずれを採用するかは単なる設計上の選択事項にすぎないこと、および引用発明1のカセットが吊下げ式カセット支持構造に適合するように外側壁から突出した構成を備えていることから、引用発明1のカセットの外側壁から突出する構成を引用発明2に開示されたような回転装置に係合させてこの回転装置から吊下げるようにして請求項14発明に到達することは、当業者が容易になし得るものである。」旨の主張をしているので、それについて検討する。(なお、請求人がいう「引用発明2」は、本審決の「引用発明3」に対応したもの。以下同様。)

上記2.(1)イ.(ア)d.に[相違点2]として記載した様に、引用発明1は、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」を有したものではない。
そして、請求人が主張するように、「引用発明1における手動でのフィルム捩じり操作に代えて、器具を用いたねじり操作によってカセットを回転させる」ことが「当業者にとって容易なこと」であったとしても、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」が甲第1号証、甲第2号証及び、その他の甲各号証に記載されておらず、また、それらの記載に示唆されている構成ということもできない以上、「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し「係合する」構成には到達できず、結局、請求項9発明(すなわち特許発明1)に到達することは容易ではない。
なお、相違点2に係る「前記ごみ貯蔵カセットを支持し且つ回転させるために、前記外側壁に設けられ、前記外側壁から突出し、前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」は、「支持し且つ回転させるために、・・・突出し・・・係合する」ものであって、その「係合」は、上記2.(1)イ.(イ)a.の意図で使用されているものである。

また他に、相違点2が甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたことであるとする合理的理由も発見できない。
したがって、特許発明1が甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。


(3)特許発明2に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
特許発明2は、特許発明1を引用する形式で記載された発明であるので、特許発明2と引用発明1とを対比すると、両者は少なくとも、上記2.(1)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記2.(1)イ.(ア)d.の相違点1?3で相違する。
また、特許発明2と引用発明2とを対比すると、両者は少なくとも、上記(2-2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記(2-2)イ.(ア)d.の相違点7?8で相違する。
そして、少なくとも相違点2、及び相違点7は、上記(2-1)イ.(イ)、上記(2-2)イ.(イ)、上記(2-3)イ.(イ)で述べたように、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとすることはできないものなので、特許発明2は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、または甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


(4)特許発明3に関して
(4-1)甲第1号証に記載された発明に基づく容易想到性に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
(ア)対比
特許発明3と引用発明1とを対比すると、
a.相当する点は、上記2.(2)イ.(ア)a.記載のとおり。
b.共通する点は、上記2.(2)イ.(ア)b.記載のとおり。
c.一致点は、上記2.(2)イ.(ア)c.記載のとおり。
d.相違点は、上記2.(2)イ.(ア)d.記載のとおり。

(イ)判断
請求人は、請求人口頭審理陳述要領書の第4 1.(3)において、「本件発明の優先日の時点において、カセットから引き出されたフィルムの上方部分と下方部分との間にねじれ部分を形成するために、カセットと引き出されたフィルムの下方部分との間で相対的なねじれを生じさせるようにすること、および相対的なねじれ操作のためにフィルムを収容しているカセットを回転させることは、例えば甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証にも開示されており、この分野において周知の事項と認められる。
・・・甲第1号証において、器具を用いたねじり操作によってカセットを回転させるために、ごみ貯蔵カセットを支持する部材を回転させるようにすることを容易に想到し得る。・・・ごみ貯蔵カセット回転装置がごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたことを規定しているが、係る特徴はごみ貯蔵カセット自体の構造的特徴とは無関係であり、何ら特許性を高めるものではない。
以上のように、当業者であれば、甲第1号証の開示内容を根拠に、ごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成をごみ貯蔵カセット回転装置に係合させ、ごみ貯蔵カセットをごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げるようにして請求項14発明に到達することは容易である。」旨の主張をしているので、それについて検討する。

上記2.(2)イ.(ア)d.に[相違点5]として記載した様に、引用発明1は、「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」を備えたものではない。
そして、請求人が主張するように、「カセットから引き出されたフィルムの上方部分と下方部分とのねじれ部分を形成するために、カセットと引き出されたフィルムの下方部分との間で相対的なねじれを生じさせるようにすること、および相対的なねじれ操作のためにフィルムを収容しているカセットを回転させること」が甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証に開示されて周知の事項であったとしても、「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」が、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証及び、その他の甲各号証に記載されておらず、また、それらの記載に示唆されている構成ということもできない以上、請求項14発明(すなわち特許発明3)に到達することは容易ではない。
なお、相違点5に係る「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成」は、「支持・回転のために、・・・係合するように・・・突出する」ものであって、その「係合」は、上記2.(1)イ.(イ)a.の意図で使用されているものである。

また他に、相違点5が甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたことであるとする合理的理由も発見できない。
したがって、特許発明3が甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


(4-2)甲第2号証に記載された発明に基づく容易想到性に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
(ア)対比
a.相当する点
特許発明3と引用発明4とを対比すると、引用発明4の「本体100」は特許発明3の「ごみ貯蔵機器」に相当し、以下同様に「カセット130」は「ごみ貯蔵カセット」に、「織り畳まれた状態のフィルム135」は「ごみ貯蔵袋織り」に相当する。
また、引用発明4の「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部」は、カセット130を「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれ回転可能に据え付け」る部材であるので特許発明3の「ごみ貯蔵カセット回転装置」に相当する。
また、引用発明4の「内側壁」は、図1,2,5?7で略円柱状で芯(コア)を画定するものなので、特許発明3の「略円柱状のコアを画定する内側壁」に相当し、引用発明4の「内側壁の内側」は、特許発明3の「コア内」に相当する。

b.共通する点
・引用発明4の「本体100の上部に備えられた小室に設けられたクラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれ回転可能に据え付けるためのカセット130」は、特許発明3の「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」と、ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットである点において共通する。
・引用発明4の「カセット130の支持・回転のために、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるカセット130の底部構成」は、特許発明3の「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成」と、ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と関連づけられた構成である点において共通する。
・引用発明4の「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるように構成された、カセット130」は、特許発明3の「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された、ごみ貯蔵カセット」と、ごみ貯蔵カセット回転装置に支持されるように構成された、ごみ貯蔵カセットである点において共通する。

c.一致点
そうすると、特許発明3と引用発明4とは、次の点で一致する。
「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって、
該ごみ貯蔵カセットは、
略円柱状のコアを画定する内側壁と、
外側壁と、
前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と、
前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって、使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と、
前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と関連づけられた構成と、を備え、
前記ごみ貯蔵カセット回転装置に支持されるように構成された、ごみ貯蔵カセット。」

d.相違点
一方で、両者は、次の点で相違する。
[相違点9]
特許発明3はごみ貯蔵カセットが、「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」であるのに対し、引用発明4は、「本体100の上部に備えられた小室に設けられたクラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれ回転可能に据え付けるためのカセット130」であって、ごみ貯蔵カセット回転装置に「係合され」回転可能に据え付けるものではない点。

[相違点10]
特許発明3はごみ貯蔵カセットが、「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成」を備えたものであるのに対し、引用発明4は、「カセット130の支持・回転のために、クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるカセット130の底部構成」を備えたものであって、「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、「外側壁から突出する構成」を備えたものではない点。

[相違点11]
特許発明3はごみ貯蔵カセットが、「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された」ものであるのに対し、引用発明4は、「クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部上に置かれるように構成された」ものであって、ごみ貯蔵カセット回転装置「から吊り下げられるように構成」されたものではない点。


(イ)判断
請求人は、請求人口頭審理陳述要領書の第4 2.(2)において、「請求項14発明の優先日の時点において、吊り下げ式カセット支持構造・・・および底部支持式カセット支持構造の両者が一般的に知られている。・・・
-甲第1号証の図4。
-甲第3号証の図5。
-甲第7号証の図1。
・・・
-甲第2号証の図1。
-甲第4号証の図1。
-甲第8号証の図1。
請求項14発明の優先日の時点において、吊下げ式カセット支持構造および底部支持式カセット支持構造の両者が一般的に知られているので、当業者にとって、どちらの支持構造を採用するかは単なる設計上の選択事項である。したがって、甲第2号証において、ごみ貯蔵カセットの支持・回転のための構造として、ごみ貯蔵カセットの底部をカセット回転装置上に係合させる底部支持式カセット支持構造に代えて、ごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する部分をカセット回転装置上に係合させる吊下げ式カセット支持構造を採用して請求項14発明に到達することは、当業者にとって容易になし得ることである。」旨の主張をしているので、それについて検討する。

上記(ア)d.に[相違点10]として記載した様に、引用発明4は、「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、「外側壁から突出する構成」を備えたものではない。
そして、請求人が主張するように、「吊下げ式カセット支持構造」および「底部支持式カセット支持構造」の両者が甲第1,3,7号証、及び、甲第2,4,8号証に開示されて一般的に知られていることであったとしても、「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」が、甲第1,3,7号証、甲第2,4,8号証及び、その他の甲各号証に記載されておらず、また、それらの記載に示唆されている構成ということもできない以上、請求項14発明(すなわち特許発明3)に到達することは容易ではない。
なお、相違点10に係る「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成」は、「支持・回転のために、・・・係合するように・・・突出する」ものであって、その「係合」は、上記2.(1)イ.(イ)a.の意図で使用されているものである。

また他に、相違点10が甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたことであるとする合理的理由も発見できない。
したがって、特許発明3が甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


(4-3)甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づく容易想到性に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
(ア)対比
特許発明3と引用発明1とを対比すると、
a.相当する点は、上記2.(2)イ.(ア)a.記載のとおり。
b.共通する点は、上記2.(2)イ.(ア)b.記載のとおり。
c.一致点は、上記2.(2)イ.(ア)c.記載のとおり。
d.相違点は、上記2.(2)イ.(ア)d.記載のとおり。

(イ)判断
請求人は、請求人口頭審理陳述要領書第4 3.(2)において、「引用発明1の示唆、引用発明2の教示内容および請求項14発明の優先日における当業者の技術水準を考慮すれば、引用発明1における手動でのフィルム捩じり操作に代えて、器具を用いたねじり操作によってカセットを回転させるために、引用発明1のごみ貯蔵カセットを、支持・回転のために、引用発明2の回転装置上に係合させるようにすることは当業者にとって容易なことである。また、その際に、カセット支持構造として、底部支持式カセット支持構造および吊下げ式カセット支持構造のいずれを採用するかは単なる設計上の選択事項にすぎないこと、および引用発明1のカセットが吊下げ式カセット支持構造に適合するように外側壁から突出した構成を備えていることから、引用発明1のカセットの外側壁から突出する構成を引用発明2に開示されたような回転装置に係合させてこの回転装置から吊下げるようにして請求項14発明に到達することは、当業者が容易になし得るものである。」旨の主張をしているので、それについて検討する。

上記2.(2)イ.(ア)d.に[相違点5]として記載した様に、引用発明1は、「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」を備えたものではない。
そして、請求人が主張するように、「引用発明1における手動でのフィルム捩じり操作に代えて、器具を用いたねじり操作によってカセットを回転させる」ことが「当業者にとって容易なこと」であったとしても、ごみ貯蔵カセットを「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」が甲第1号証、甲第2号証及び、その他の甲各号証に記載されておらず、また、それらの記載に示唆されている構成ということもできない以上、「支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」構成には到達できず、結局、請求項14発明(すなわち特許発明3)に到達することは容易ではない。
なお、相違点5に係る「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために、前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように、前記外側壁から突出する構成」は、「支持・回転のために、・・・係合するように・・・突出する」ものであって、その「係合」は、上記2.(1)イ.(イ)a.の意図で使用されているものである。

また他に、相違点5が甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたことであるとする合理的理由も発見できない。
したがって、特許発明3が甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


(5)特許発明4?5に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
特許発明4?5は、特許発明3を引用する形式で記載された発明であるので、特許発明4?5と引用発明2とを対比すると、両者は少なくとも、上記2.(2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記2.(2)イ.(ア)d.の相違点4?6で相違する。
また、特許発明4?5と引用発明4とを対比すると、両者は少なくとも、上記(4-2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも(4-2)イ.(ア)d.の相違点9?11で相違する。
そして、少なくとも相違点5、及び相違点10は、上記(4-1)イ.(イ)、上記(4-2)イ.(イ)、上記(4-3)イ.(イ)で述べたように、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとすることはできないものなので、特許発明4?5は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


(6)特許発明6に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
特許発明6は、特許発明1または、特許発明3を引用する形式で記載された発明であるので、特許発明6と引用発明1とを対比すると、両者は少なくとも、上記2.(1)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記2.(1)イ.(ア)d.の相違点1?3で相違する。
また、特許発明6と引用発明2とを対比すると、両者は少なくとも、上記2.(2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記2.(2)イ.(ア)d.の相違点4?6で相違する。
また、特許発明6と引用発明3とを対比すると、両者は少なくとも、上記(2-2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記(2-2)イ.(ア)d.の相違点7?8で相違する。
また、特許発明6と引用発明4とを対比すると、両者は少なくとも、上記(4-2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも(4-2)イ.(ア)d.の相違点9?11で相違する。
そして、少なくとも、相違点2、及び相違点7は、上記(2-1)イ.(イ)、上記(2-2)イ.(イ)、上記(2-3)イ.(イ)で述べたように、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとすることはできないものであり、相違点5、及び相違点10は、上記(4-1)イ.(イ)、上記(4-2)イ.(イ)、上記(4-3)イ.(イ)で述べたように、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとすることはできないものなので、特許発明6は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

なお、請求人口頭審理陳述要領書の第4 8.において、「甲第9号証は、ごみを収容する内容器を、外容器の上部開口部に取り付けた枠体から吊り下げる構造を開示している。この構造であれば、内容器が外容器に接触することは無い。甲第2号証においても、ごみを収容する内容器は、外容器に接触していない。これらの開示内容を考慮すれば、ごみ貯蔵カセットを小室に接触させずに吊り下げるように構成することは当業者が容易に想到し得るものであり、請求項17発明の進歩性は否定されるべきである。」旨の主張をしているので、甲第9号証についても検討する。

請求人が主張するように、甲第9号証が「ごみを収容する内容器を、外容器の上部開口部に取り付けた枠体から吊り下げる構造を開示している。」としても、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」、及び「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」を示すものでない以上、請求項17発明(すなわち特許発明6)に到達することは容易ではない。


(7)特許発明7に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
特許発明7は、特許発明1を引用する形式で記載された発明であるので、特許発明7と引用発明1とを対比すると、両者は少なくとも、上記2.(1)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記2.(1)イ.(ア)d.の相違点1?3で相違する。
また、特許発明7と引用発明3とを対比すると、両者は少なくとも、上記(2-2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記(2-2)イ.(ア)d.の相違点7?8で相違する。

そして、少なくとも相違点2、及び相違点7は、上記(2-1)イ.(イ)、上記(2-2)イ.(イ)、上記3.(2-3)イ.(イ)で述べたように、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとすることはできないものなので、特許発明7は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

なお、請求人口頭審理陳述要領書の第4 9.において、「甲第2号証に開示されたごみ貯蔵カセットは、その底部において、ごみ貯蔵カセット回転装置に直接係合するものである。また、甲第4号証は、ごみ貯蔵カセットの外側壁に環状に設けられたフランジ部分がごみ貯蔵カセット回転装置に直接係合する構造を開示している。これらの公知文献の開示内容を考慮すれば、請求項18発明及び請求項20発明の進歩性は否定されるべきである。」旨の主張をしているので、甲第4号証についても検討する。
請求人が主張するように、甲第4号証が「ごみ貯蔵カセットの外側壁に環状に設けられたフランジ部分がごみ貯蔵カセット回転装置に直接係合する構造を開示している。」としても、それは「ごみ貯蔵カセットの支持」を前提とした係合ではなく、結局、ごみ貯蔵カセットを「支持し且つ回転させるため」に、「外側壁から突出」し、「小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成」が甲第1,2,4号証及び、その他の甲各号証に記載されておらず、また、それらの記載に示唆されている構成ということもできない以上、請求項18発明(すなわち特許発明7)に到達することは容易ではない。


(8)特許発明8に関して
ア.各甲号証の記載事項
各甲号証の記載事項は、上記(1)記載のとおり。

イ.対比・判断
特許発明8は、特許発明3を引用する形式で記載された発明であるので、特許発明8と引用発明2とを対比すると、両者は少なくとも、上記2.(2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも上記2.(2)イ.(ア)d.の相違点4?6で相違する。
また、特許発明8と引用発明4とを対比すると、両者は少なくとも、上記(4-2)イ.(ア)c.の点で一致し、少なくとも(4-2)イ.(ア)d.の相違点9?11で相違する。
そして、少なくとも相違点5、及び相違点10は、上記(4-1)イ.(イ)、上記(4-2)イ.(イ)、上記(4-3)イ.(イ)で述べたように、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものとすることはできないものなので、特許発明8は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

なお、請求人口頭審理陳述要領書の第4 9.において、「甲第2号証に開示されたごみ貯蔵カセットは、その底部において、ごみ貯蔵カセット回転装置に直接係合するものである。また、甲第4号証は、ごみ貯蔵カセットの外側壁に環状に設けられたフランジ部分がごみ貯蔵カセット回転装置に直接係合する構造を開示している。これらの公知文献の開示内容を考慮すれば、請求項18発明及び請求項20発明の進歩性は否定されるべきである。」旨の主張をしているので、甲第4号証についても検討する。
請求人が主張するように、甲第4号証が「ごみ貯蔵カセットの外側壁に環状に設けられたフランジ部分がごみ貯蔵カセット回転装置に直接係合する構造を開示している。」としても、それは「ごみ貯蔵カセットの支持」を前提とした係合ではなく、結局、「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」に、「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するよう」に、外側壁から「突出する構成」が甲第1,2,4号証及び、その他の甲各号証に記載されておらず、また、それらの記載に示唆されている構成ということもできない以上、請求項20発明(すなわち特許発明8)に到達することは容易ではない。


(9)まとめ
以上のとおり、「本件の請求項9、10、14、15、及び16に係る発明は、本件特許優先日前に頒布された甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、もしくは甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
また、本件の請求項17に係る発明は、さらに本件特許優先日前に頒布された甲第9号証の開示内容に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。
本件の請求項18、及び20に係る発明は、さらに本件特許優先日前に頒布された甲第4号証の開示内容に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件特許は同法第123条第1項第2号の規定により無効とされるべきものである。」とする請求人の理由3は、理由がない。

第5.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-14 
結審通知日 2010-12-16 
審決日 2011-01-04 
出願番号 特願2009-135619(P2009-135619)
審決分類 P 1 123・ 121- Y (B65F)
P 1 123・ 537- Y (B65F)
P 1 123・ 113- Y (B65F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早房 長隆  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 中川 真一
長浜 義憲
登録日 2009-11-06 
登録番号 特許第4402165号(P4402165)
発明の名称 ごみ貯蔵機器  
代理人 幸長 保次郎  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 伊藤 英彦  
代理人 砂川 克  
代理人 竹内 直樹  
代理人 竹平 征吾  
代理人 廣瀬 崇史  
代理人 重冨 貴光  
代理人 吉村 幸祐  

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