ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
---|---|
管理番号 | 1245803 |
審判番号 | 不服2009-11780 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-06-29 |
確定日 | 2011-10-26 |
事件の表示 | 特願2005-294085「フィールド選択が可能な映像処理装置及びその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月20日出願公開、特開2006-109488〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件出願は、平成17年10月6日(パリ条約による優先権主張2004年10月6日、大韓民国)の出願であって、平成21年3月24日付けで拒絶査定されたところ、これを不服として平成21年6月29日付けで本件審判請求がなされると共に、同日付けで手続補正がなされたものである。 2 平成21年6月29日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年6月29日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1)本件補正 平成21年6月29日付けの手続補正(以下、本件補正という)は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含み、この補正は、請求項1の記載中の、 「前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値に基づいて所定のパターンを生成し、該生成された所定のパターンを用いて前記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断するフィルム検出部」(補正前) との記載を、 「前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値が所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合を区分して、所定のパターンを生成し、該生成された所定のパターンをフィルム映像のパターンと比較して、前記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断するフィルム検出部」(補正後) と補正するものである。 (2)補正の適法性 ア 補正の目的 上記請求項1の補正は、補正前の請求項1に記載された事項である 「フィールド間のフィールド情報の差値に基づいて所定のパターンを生成し、」の所定のパターンの生成手法について、「(差値)に基づいて」とあるところを、「(差値)が所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合を区分して、」と補正し、 「該生成された所定のパターンを用いて前記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断する」のフィルム映像であるかどうかの判断手法について、「(該生成された所定のパターンを)用いて」とあるところを、「(該生成された所定のパターンを)フィルム映像のパターンと比較して、」と補正するものであって、 生成手法、判断手法を具体的に限定して特定するものであり、補正の前後において、請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、同補正は、特許法第17条の2第4項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 イ 独立特許要件 そこで、上記補正がなされた請求項1に係る発明(以下、補正後発明という)が独立特許要件(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定)を満たすか否かについて以下に検討する。 (ア)補正後発明 補正後発明は、上記補正がなされた特許請求の範囲の請求項1の記載により特定される次のとおりのものである。 [補正後発明] 入力映像のうち連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値に基づき、前記第1のフィールドと前記第3のフィールドから現フィールドである前記第2のフィールドの補間時に用いるフィールドを選ぶフィールドセレクト部と; 前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値が所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合を区分して、所定のパターンを生成し、該生成された所定のパターンをフィルム映像のパターンと比較して、前記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断するフィルム検出部;及び 前記入力映像がフィルム映像である場合、前記フィールドセレクト部で選ばれたフィールドを用いて前記第2のフィールドを補間する補間部と; を含むことを特徴とするフィールド選択が可能な映像処理装置。 (イ)引用例1 a 引用例1の記載 原査定の拒絶理由に引用された国際公開03/084227号(以下、引用例1という)には、図面(図10,図11等)と共に次の記載がある。 (a)第1頁3?7行目(技術分野) 「 技術分野 入力されるインタレース信号の各フィールドを、フィールド間補間およびフィールド内補間の何れの方法でフレーム合成してプログレッシブ信号に変換すべきかを決定するフィールド補間方式決定装置に関する。」 (b)第1頁8行目?第2頁23行目(背景技術) 「 背景技術 プログレッシブ信号に変換すべきインタレース信号の中には、飛び越し走査で撮像された標準的な信号と、プログレッシブ信号をインタレース信号に変換した信号とがある。後者の代表的な例は、テレシネ変換信号である。 テレシネ変換方式の一つである2-2プルダウン方式では、テレシネ変換信号は、以下のように生成される。まず、毎秒24コマの映画フィルムの各コマが順次走査され、毎秒24フレームのプログレッシブ信号が生成される。そして、当該プログレッシブ信号の各フレーム(親フレーム)は、インタレース信号の奇数フィールドとその直後の偶数フィールドとに変換される。 例えば、映画フィルムの第1コマ(プログレッシブ信号の第1親フレーム)は、第1および第2フィールドに変換され、映画フィルムの第2コマ(プログレッシブ信号の第2親フレーム)は、第3および第4フィールドに変換される。 このため、同一の親フレームから変換された第1フィールドと第2フィールドとでは、それぞれの映像が類似しているため、映像の差異は小さい。一方、親フレームが異なる第2フィールドと第3フィールドとでは、フィールド間の映像の差異は、親フレーム間の差異を反映するため、前者と比較して大きくなる。つまり、隣り合うフィールド間の差異は、親フレームと各フィールドとの関係に従って、フィールドごとに大小交互に変化する。 ・・・(中略)・・・ また、NTSC方式(毎秒60フィールド)のインタレース信号にテレシネ変換するために用いられる2-3プルダウン方式では、映画フィルムの1コマは2フィールドに、次の1コマは3フィールドに変換され、2コマごとに上記の変換パターンがくり返される。2-3プルダウン方式のテレシネ変換信号も、親フレームとフィールドとの関係に従って、フィールド間の画素レベルの差について規則的な変化パターンを有するため、上記と同様の特徴を備える。」 (c)第3頁4行目?第5頁19行目 (従来のフィールド補間方式決定装置を組み込んだ映像信号処理装置) 「図10を参照して、従来のフィールド補間方式決定装置を組み込んだ映像信号処理装置について説明する。同図に示された映像信号処理装置200は、入力インタレース信号がテレシネ変換信号である場合のみフィールド間補間を行い、テレシネ変換信号でない場合にはフィールド内補間を行って、当該インタレース信号をプログレッシブ信号に変換する。 映像信号処理装置200は、入力端子1、フィールドメモリ2、フィールドメモリ4、減算器6、フィールド補間方式決定部108、ODD/EVEN検出部10、第1のスイッチ12、ラインメモリ14、2ライン補間部16、第2のスイッチ18、およびプログレッシブ信号生成部20を含む。 入力端子1には、入力インタレース信号Vinが供給される。フィールドメモリ2は、入力インタレース信号Vinに対して1フィールド分遅延した1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1を出力する。また、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1は、プログレッシブ信号生成部20に入力され、同信号に対してフィールド間補間またはフィールド内補間のいずれかが行われる。 減算器6は、入力インタレース信号Vinと1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1との画素レベルの差分を求めて、フィールド間画素レベル差分Spとして出力する。(中略) フィールド補間方式決定部108は、フィールド間画素レベル差分Spに基づいて、入力インタレース信号Vinがテレシネ変換信号であるか否かを判定する。フィールド補間方式決定部108は、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1に対してフィールド間補間およびフィールド内補間のいずれを行うかを指示するフィールド補間方式指示信号Dvpを出力する。 第2のスイッチ18は、フィールド間補間を指示するフィールド補間方式指示信号Dvpが入力される場合、上記の第1のスイッチ12から出力されたフィールド間補間映像信号Sw1を選択して補間映像信号Sw2として出力する。 フィールド間補間信号映像Sw1は、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1に対して1フィールド前の信号である2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2および1フィールド後の信号である入力インタレース信号Vinのいずれかの信号であり、以下のように選択される。 ODD/EVEN検出部10は、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1に基づいて当該信号が奇数フィールドであるか偶数フィールドであるかを検出し、検出結果を示すフィールド識別信号Doeを出力する。 第1のスイッチ12は、フィールド識別信号Doeに基づいて、2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2または、入力インタレース信号Vinを選択して、フィールド間補間映像信号Sw1として出力する。具体的には、第1のスイッチ12は、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1が奇数フィールドである場合には、入力インタレース信号Vinを出力し、一方、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1が偶数フィールドである場合には、2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2を出力する。 プログレッシブ信号生成部20は、第2のスイッチ18から出力された、補間映像信号Sw2(この場合、第1のスイッチ12で選択された現信号Vinまたは2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2)で1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1を補間して、プログレッシブ信号を生成する。このように生成されたプログレッシブ信号のフレームは、元の親フレームと同一であり、後述するフィールド内補間で生成されたフレームと比較して垂直解像度が向上している。」 (d)第6頁11行目?第9頁1行目 (従来のフィールド補間決定装置) 「図11を参照して従来のフィールド補間方式決定装置について説明する。図11は、図10に示されたフィールド補間方式決定部108の構成を詳細に示すブロック図である。 フィールド補間方式決定部108は、絶対値器81、画素差判定比較器82、累積加算器83、フィールド間相関判定比較器84、第1のレジスタ85、第2のレジスタ86、2フィールド間差判定比較器189、排他的論理和(EOR)回路190、カウンタ92、およびカウント判定比較器93を含む。 また、図示していないが、タイミング発生回路により、フィールドパルスVPおよびフレームパルスFPが生成される。 絶対値器81は、減算器6によって算出された入力インタレース信号Vinと1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1との画素ごとの画素レベルの差分であるフィールド間画素レベル差分Spの絶対値を求めて、フィールド間画素レベル差分絶対値SpAを出力する。 画素差判定比較器82は、フィールド間画素レベル差分絶対値SpAと所定の第1の閾値Xとを比較して、比較対照の2つのフィールドの画素レベルの差が同一の親フレームに由来すると認められる程度よりも大きな差(有意差)か否かを判定する。画素差判定比較器82は、この判定結果を示すフィールド間画素差判定信号Dpとして、上記判定が「有意あり」である場合には「1」を出力し、一方「有意無し」である場合には「0」を出力する。 累積加算器83は、フィールド間画素差判定信号Dpを累積加算した値であるフィールド間画素差判定累積値CDpを出力する。フィールド間画素差判定累積値CDpは、入力インタレース信号Vinのフィールドと1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1のフィールドとで異なると判定された画素数を示す値である。なお、累積加算器83は、フィールドパルスVPにより、フィールドごとにリセットされる。 フィールド間相関判定比較器84は、フィールド間画素差判定累積値CDpが所定の閾値Yよりも大きい場合は、フィールド間に差異があると判定する。そして、上記判定結果を示すフィールド間相関判定信号Dfを出力する。 フィールド間相関判定信号Dfの値は、差異がある場合は「1」であり、一方、差異が無い場合は「0」である。 第1のレジスタ85および第2のレジスタ86は、Dフリップフロップであり、フィールドパルスVPがクロックとして供給される。フィールド間判定結果は、第1のレジスタ85および第2のレジスタ86の直列回路に供給される。第1のレジスタ85および第2のレジスタ86は、それぞれ記憶するフィールド間差異を2フィールド間差判定比較器189およびEOR回路190へ出力する。 第1のレジスタ85および第2のレジスタ86の出力がそれぞれ「0」および「1」、または、「1」および「0」の場合には、連続する2つのフィールド間差異がそれぞれ「小、大」または「大、小」の関係にある。すなわち上述したテレシネ変換されたインタレース信号の特徴を示している。このような場合には、2フィールド間差判定比較器189は、入力インタレース信号Vinがテレシネ変換されたものであると判定して「1」を出力し、カウンタ92をカウントアップする。 一方、第1のレジスタ85および第2のレジスタ86の出力がそれぞれ「0」および「0」、または、「1」および「1」の場合には、連続する2つのフィールド間差異が「小、小」または「大、大」の関係にある。すなわち上述したテレシネ変換されたインタレース信号の特徴を示してはいない。このような場合には、EOR回路190は、カウンタ92をリセットする。 カウンタ92は、上述したようにカウントアップあるいはリセットされる。このカウンタ92のカウント値CDsが所定の値Zに到達すると、カウント判定比較器93は、入力インタレース信号のフィールドに対してフィールド間補間を行うことを指示するフィールド補間方式指示信号Dvpを出力する。」 b 引用例1記載の技術 上記引用例1の記載は、「入力されるインタレース信号の各フィールドを、フィールド間補間およびフィールド内補間の何れの方法でフレーム合成してプログレッシブ信号に変換すべきかを決定するフィールド補間方式決定装置」に関するもので、〔上記(a)の記載〕、上記入力されるインタレース信号が「飛び越し走査で撮像された標準的な信号」や「テレシネ変換信号」(いわゆる「2-2プルダウン方式」あるいは「2-3プルダウン方式」により映像フィルムから得たインタレース信号)であることを前提とするものであるが〔上記(b)の記載〕、引用例1の上記(c),(d)の記載によれば、その従来技術として、引用例1には、上記補間方式決定装置を組み込んだ次のとおりの映像信号処理装置が記載されていることが認められる。 b1 概要(第3頁4?10行目、図10) 上記映像信号処理装置は、入力インタレース信号がテレシネ変換信号である場合のみフィールド間補間を行い、テレシネ変換信号でない場合にはフィールド内補間を行って、当該インタレース信号をプログレッシブ信号に変換する。 b2 テレシネ変換信号であるか否かの判定 (第3頁下から3行目?第4頁8行目) 減算器6により、入力インタレース信号Vinと1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1との画素レベルの差分を求めて、「フィールド間画素レベル差分Sp」として出力し、該差分Spに基づいて、フィールド補間方式決定部108により、入力インタレース信号Vinがテレシネ変換信号であるか否かを判定する。 上記上記フィールド間補間方式決定部108の具体的構成(図11参照)は次のとおり。 b2-1 絶対値器81(第6頁下から3行目?第7頁2行目) 上記フィールド間画素レベル差分Spの絶対値SpAを求めて出力。 b2-2 画素差判定比較器82(第7頁3?10行目) 上記絶対値SpAと第1の閾値Xとを比較して、比較対象の2つのフィールドの画素レベルの差(上記絶対値SpA)が同一の親フレームに由来すると認められる程度よりも大きな差(有意差)か否かを判定し、判定結果を示す「フィールド間画素差判定信号Dp」(「有意差」である場合には「1」、「有意差」ではない場合には「0」)を出力。 b2-3 累積加算器83(第7頁11?18行目) 上記判定信号Dpを累積加算した値である「フィールド間画素差判定累積値CDp」を出力。なお、この累積加算器83は、フィールドパルスVPによりフィールドごとにリセットされる。(すなわち、上記判定信号Dpをフィールドごとに累積加算する。) b2-4 フィールド間相関判定器84(第7頁19?24行目) 上記累積値CDpが所定の閾値Yよりも大きい場合は、フィールド間に差異があると判定し、判定結果を示す「フィールド間相関判定信号Df」を出力。当該判定信号Dfの値は、差異がある場合は「1」,差異がない場合は「0」。 b2-5 第1,第2のレジスタ85,86 (第7頁下から2行目?第8頁5行目) これらレジスタ85,86はDフリップフロップであり、フィールドパルスVPがクロックとして供給されると共に、上記フィールド間相関判定結果(上記判定信号Df)がこれらレジスタ85,86の直列回路に供給され、レジスタ85,86は、それぞれ記憶するフィールド間差異(上記判定信号Df)を次段の2フィールド間差判定比較器189、EOR回路190へ出力する。 b2-6 2フィールド間差判定比較器189、EOR回路190、 カウンタ92、カウント判定比較器93 (第8頁6?9頁1行目) 上記第1,第2のレジスタ85,86の出力がそれぞれ「0」および「1」、または「1」および「0」の場合は、連続する2つのフィールド間差異がそれぞれ「小、大」または「大、小」の関係、すなわちテレシネ変換されたインタレース信号の特徴を示しており、このような場合には、2フィールド間差判定比較器189は、入力インタレース信号Vinがテレシネ変換されたものであると判定する。(判定結果1を出力し、カウンタ92をカウントアップする。) 第1のレジスタ85および第2のレジスタ86の出力がそれぞれ「0」および「0」、または、「1」および「1」の場合には、連続する2つのフィールド間差異が「小、小」または「大、大」の関係にあって、テレシネ変換されたインタレース信号の特徴を示してはいない場合には、EOR回路190は、カウンタ92をリセットする。 カウンタ92は、上述したようにカウントアップあるいはリセットされる。このカウンタ92のカウント値CDsが所定の値Zに到達すると、カウント判定比較器93は、入力インタレース信号のフィールドに対してフィールド間補間を行うことを指示するフィールド補間方式指示信号Dvpを出力する。 b3 フィールド間補間映像信号Sw1の選択 (第4頁18行目?第5頁10行目) 上記テレシネ変換信号に対してフィールド間補間を行う場合、フィールド間補間映像信号Sw1(補間に用いられる映像信号)は、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1(補間される映像信号)に対して、その1フィールド前の信号である2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2および1フィールド後の信号である入力インタレース信号Vinのいずれかの信号であり、これら信号から選択される。この選択のために、ODD/EVEN検出部10は、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1に基づいて当該信号Vd1が奇数フィールドであるか偶数フィールドであるかを検出して検出結果を示すフィールド識別信号Doeを出力し、該識別信号Doeに基づいて、第1のスイッチ12は、上記1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1が奇数フィールドであれば入力インタレース信号Vinを、偶数フィールドであれば2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2を選択して出力する。 b4 フィールド間補間(第5頁11?16行目) 上記フィールド間補間を行う場合、プログレッシブ信号生成部20は、上記第1のスイッチ12で選択された現信号(入力インタレース信号)Vinまたは2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2で1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1を補間して、プログレッシブ信号を生成する。 (ウ)対比 上記引用例1に記載された映像信号処理装置の技術(従来技術)は、補正後発明と対比すべき発明として把握できるものであるので、以下、これを引用例1記載の発明(以下「引用発明」ともいう)として補正後発明と対比する。 a 「フィールドセレクト部」についての対比 補正後発明でのフィールドセレクト部は、これを項分けして示すと、 a(i)「入力映像のうち連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値に基づき、」 a(ii)「前記第1のフィールドと前記第3のフィールドから現フィールドである前記第2のフィールドの補間時に用いるフィールドを選ぶ」 ものであり、フィールド間補間を行う際の補間に用いるフィールド選択をおこなうものである。 そこで、まず、上記a(ii)の要件(以下「要件a(ii)」ともいう)について上記引用発明と対比する。 上記要件a(ii)は、当該要件での上記第1,第2,第3フィールドが上記a(i)の要件での「入力映像のうち連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールド」であることを前提に、これら第1,第2,第3フィールドについて、上記のとおり「前記第1のフィールドと前記第3のフィールドから現フィールドである前記第2のフィールドの補間時に用いるフィールドを選ぶ」ようにしたものであるが、この点について、引用発明では、フィールド間補間を行う際、フィールド間補間映像信号Sw1(補間に用いる映像信号)として、1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1(補間される映像信号)に対して、その1フィールド前の信号である2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2および1フィールド後の信号である入力インタレース信号Vinのいずれかの信号を選択している。(上記b3での認定) ここで、上記「2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2」、「1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1」および「入力インタレース信号Vin」は、上記「入力映像のうち連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールド」に相当するものであることが明らかで、引用発明でも、上記「2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2」と「入力インタレース信号Vin」(すなわち第1のフィールドと第3のフィールド)から上記フィールド間補間映像信号Sw1〔上記「1フィールド遅延インタレース信号Vd1」すなわち第2のフィールド(現フィールド)の補間に用いるフィールド〕を選択しているのであるから、結局、上記要件a(ii)と同じく、入力映像のうち連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドについて、「前記第1のフィールドと前記第3のフィールドから現フィールドである前記第2のフィールドの補間時に用いるフィールドを選ぶ」ようにしているといえる。 次に、上記a(i)の要件(以下「要件a(i)」ともいう)について、同要件は、上記第2のフィールドの補間時に用いるフィールド(以下「補間用フィールド」ともいう)の選択が上記第1,第2,第3のフィールドの「フィールド間のフィールド情報の差値に基づき」行われるようにしたというものであるが、この点については、引用発明では、上記1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1(現フィールドである第2フィールド)が奇数フィールドであるか偶数フィールドであるかの検出結果を示すフィールド識別信号Doe(ODD/EVEN検出部10から出力される)に基づいて、奇数フィールドであれば入力インタレース信号Vin(第3のフィールド)を、偶数フィールドであれば2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2(第1のフィールド)を第1のスイッチ12により選択するようにしており(上記b3での認定)、このようなフィールド識別情報Doeに基づく補間用フィールドの選択は、上記要件a(i)での「フィールド間のフィールド情報の差値に基づく」選択とは相違する。 ここで、上記フィールド識別情報Doeに基づく補間用フィールドの選択は、引用例1における前掲背景技術(テレシネ変換技術)の記載(第1頁8行目?第2頁23行目)に照らすと、補間対象とする入力インタレース信号(入力映像の各フィールド)が、いわゆる2-2プルダウン方式のテレシネ変換信号であることを前提とするものと解される。すなわち、2-2プルダウン方式のテレシネ変換信号は、映画フィルムの各コマから生成したプログレッシブ信号の各フレーム(各親フレーム)をインタレース信号の奇数フィールドとその直後の偶数フィールドとに変換したものであることから、各フィールドの映像は、奇数フィールドであればその直後の偶数フィールドと、偶数フィールドであればその直前の奇数フィールドとほぼ同じであるという特徴があるところ、上記フィールド識別情報Doeに基づく補間用フィールドの選択は、上記2-2プルダウン方式のテレシネ変換信号の特徴を利用し、2-2プルダウン方式のテレシネ変換信号がそのまま正しく入力されることを前提に、補間するフィールド(第2フィールド)が奇数フィールドであるか偶数フィールドであるかの検出結果(上記フィールド識別情報Doe)だけで、実際のフィールド映像の内容に関係なく、補間するフィールドとほぼ同じ映像のフィールド〔検出結果が奇数フィールドであれば直後の偶数フィールド(第3のフィールド)、偶数フィールドであれば直前の奇数フィールド(第1のフィールド)〕を補間用フィールドとして選択するようにしたものと解される。 一方、補正後発明での上記補間用フィールドの選択は、上記のとおり、第1,第2,第3のフィールドの「フィールド間のフィールド情報の差値に基づく」選択を行うもので、「差値に基づく」ことで、実際のフィールド情報の状態に従った選択であるという意味で、フィールドの選択手法が異なっているといえる。 しかしながら、補正後発明での上記補間用フィールドの選択も 明細書の記載(段落【0044】等)に照らすと、基本的には、入力映像がフィルム映像(テレシネ変換映像)である場合、1つのフィールドに連続するフィールド(前後の隣接フィールド)には、少なくとも1つの同じプログレッシブフレーム(同じ映画フィルムのコマ)に由来するほぼ同一のフィールド(フィールド情報の差値がほぼ0となるフィールド)があることから、これを利用して補間用フィールドを選択するようにしたといえるものである。 そうすると、上記補正後発明と引用発明での補間用フィールドの選択は、いずれも、“上記第2のフィールド(補間するフィールド)に対する上記第1と第3のフィールド(直前、直後のフィールド)のフィールド情報の近似性を利用して”、上記補間用フィールドの選択(すなわち第1と第3のフィールドからの第2のフィールドの補間に用いるフィールドの選択)を行っているものといえ、この点では共通している。 また、上記のような補間用フィールドの選択を行う上で、引用発明でも、上記ODD/EVEN検出器10や第1のスイッチ12等により、補正後発明でいう「フィールドセレクト部」が構成されているといえる。 以上の点をまとめると、補正後発明と引用発明は、いずれも、 「入力映像のうち連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドについて、前記第2のフィールドに対する前記第1のフィールドと前記第3のフィールドのフィールド情報の近似性を利用し、前記第1のフィールドと前記第3のフィールドから現フィールドである前記第2のフィールドの補間時に用いるフィールドを選ぶフィールドセレクト部」 を有しているといえ、この点で一致するといえる。 そして、フィールドセレクト部における、上記第2のフィールドに対する第1のフィールドと第3のフィールドのフィールド情報の近似性を利用した選択が、補正後発明では、「上記第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値に基づく」選択であるのに対し、引用発明では、「上記第2のフィールドが奇数フィールドであるか偶数フィールドであるかの検出結果を示すフィールド識別信号Doe」に基づく選択である点で相違する。 b 「フィルム検出部」についての対比 補正後発明のフィルム検出部は、これを項分けして示すと、 b(i)「前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値が所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合を区分して、所定のパターンを生成し、」 b(ii)「該生成された所定のパターンをフィルム映像のパターンと比較して、前記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断する」 ものであるところ、 当該フィルム検出部に対応するものとして、引用発明では、「フィールド補間方式決定部108」が設けられ、これにより、入力インタレース信号Vinがテレシネ変換信号であるか否かを判定しており(前記b2の認定)、上記「入力インタレース信号」、「テレシネ変換信号」は、それぞれ上記「入力映像」、「フィルム映像」といえるものであるから、この点を踏まえると、上記フィールド補間方式決定部108(以下、単に「補間方式決定部」ともいう)は、「入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断するフィルム検出部」といえるものである。 そこで、まず上記フィルム検出部のb(i)の要件(以下「要件b(i)」ともいう)について上記補間方式決定部と対比する。 引用発明の補間方式決定部の具体的構成(図11参照)を上記フィルム検出部との関連で整理して示すと、 イ)入力インタレース信号Vinと1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1との画素レベルの差分を求めて、「フィールド間画素レベル差分Sp」として出力し(前記b2の認定)、 ロ)上記画素レベル差分Sp(その絶対値)を第1の閾値Xと比較して当該差分Spが有意差か否か(つまり上記第1の閾値Xよりも大きいか否か)を判定し、有意差である場合は「1」、有意差ではない場合は「0」の「フィールド間画素差判定信号Dp」を出力し(前記b2-2の認定)、 ハ)上記画素差判定信号Dpをフィールドごとに累積加算し、累積値が所定の閾値Yよりも大きければ「1」,大きくなければ「0」の「フィールド間相関判定信号Df」を出力し(前記b2-3,b2-4の認定)、 ニ)上記フィールド間相関判定信号Dfを第1,第2のレジスタ85,86の直列回路に供給し、レジスタ85,86は、それぞれ記憶する上記判定信号Dfを次段の2フィールド間差判定比較器189、EOR回路190へ出力し(前記b2-5の認定)、 ホ)2フィールド間差判定比較器189は、上記第1,第2のレジスタ85,86の出力が、それぞれ「0」および「1」、または「1」および「0」の場合は、連続する2つのフィールド間差異がそれぞれ「小、大」または「大、小」の関係、すなわちテレシネ変換されたインタレース信号の特徴を示していることから、このような場合には入力インタレース信号Vinがテレシネ変換された信号であると判定する。 第1のレジスタ85および第2のレジスタ86の出力がそれぞれ「0」および「0」、または、「1」および「1」の場合には、連続する2つのフィールド間差異が「小、小」または「大、大」の関係にあって、テレシネ変換されたインタレース信号の特徴を示してはいない場合には、EOR回路190は、カウンタ92をリセットする。 カウンタ92は、上述したようにカウントアップあるいはリセットされる。このカウンタ92のカウント値CDsが所定の値Zに到達すると、カウント判定比較器93は、入力インタレース信号のフィールドに対してフィールド間補間を行うことを指示するフィールド補間方式指示信号Dvpを出力する。(前記b2-6の認定) ようになされたものであり、このような補間方式決定部の具体的構成イ)?ホ)と上記フィルム検出部の上記要件b(i)とを対比してみると、次のことが認められる。 1)上記具体的構成イ)での「フィールド間画素レベル差分Sp」は、上記要件b(i)での「フィールド間のフィールド情報の差値」といえるものではあるが、「入力インタレース信号Vinと1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1との」画素レベルの差分、すなわち前記入力映像の「第3フィールドと第2フィールドとの」画素レベルの差分であるから、上記要件b(i)での「第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間の」フィールド情報の差値ではない。 2)しかしながら、その点は一応措いて、上記具体的構成ロ)?ホ)と上記要件b(i)とを対比してみると、両者は、いずれも、フィールド間のフィールド情報の差値を臨界値(閾値)により区分して、「0」,「1」の二値データを生成している点で共通する。 パターンについてみると、補正後発明のパターンは、要件b(ii)でフィルム映像であるかの判断に用いられるものであり、「前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値」のパターンといえる。 引用発明では、「0」,「1」の二値データは、2フィールド間差判定比較器189で、連続する2つのフィールド間差異の関係が、「小、大」または「大、小」であることが判定され、カウンタ92でカウントアップされる。また、「0」,「1」の二値データは、EOR回路190で、連続する2つのフィールド間差異の関係が、「小、小」または「大、大」であることが判定され、カウンタ92をリセットする。さらに、カウント判定比較器93で、カウンタ92のカウント値CDsが所定の値Zに到達すると、フィールド間補間を行うことを指示する。カウント判定比較器93でフィールド間補間を行うことを指示することは、この指示がフィルム映像であることの判断結果といえ、その判断に連続する2つのフィールド間差異の関係が用いられているといえる。そして、この連続する2つのフィールド間差異の関係とは、第2のレジスタ86の出力である2つのフィールド間の1つの差異(「1」もしくは「0」)と、第1のレジスタ85の出力である2つのフィールド間の1つの差異(「1」もしくは「0」)との、2つの差異の関係であって、「小、大」または「大、小」であることのカウンタ92のカウントアップと、「小、小」または「大、大」であることのカウンタ92のリセットと、カウント値の所定の値Zに到達することによる、フィールド間補間を行うことの指示、すなわち、フィルム映像であることの判断からみて、連続する2つのフィールド間差異の関係が、「小、小」または「大、大」とならずに「小、大」または「大、小」であることが(Z回)継続することをフィルム映像であるとして判断しているといえる。この連続する2つのフィールド間差異の関係が「小、小」または「大、大」とならずに「小、大」または「大、小」であることが(Z回)継続することとは、2-2プルダウンのフィルム映像が持つフィールドの関係に基づいて現れる連続する2つのフィールド間差異の関係といえ、その現れ方は、「パターン」といい得るものである。2-2プルダウンの場合、「1,0」「0,1」が繰り返されるパターンとなること当業者であれば普通に理解できることである。 したがって、両者は、“フィールド間のフィールド情報の差値を臨界値(閾値)により区分して、所定のパターンを生成する”ようにした点で共通している。 3)もっとも、上記所定のパターンを生成する上で、上記要件b(i)では、上記フィールド間のフィールド情報の差値を、上記のとおり「前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールド」のフィールド間差値とし、当該差値を上記臨界値により区分しているのに対し、上記具体的構成ロ)?ホ)では、上記フィールド間のフィールド情報の差値を、上記のとおり「第3フィールドと第2フィールドとの」フィールド間差値とし、第1,第2のレジスタ85,86を用いて、連続する2つのフィールド間差異の関係の所定のパターンとしているものであるから、この点では両者に違いがある。 4)また、上記フィールド情報の差値の臨界値による区分の仕方について、上記要件b(i)では、当該差値が「所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合」を区分しているのに対し、上記具体的構成ロ)では、「臨界値(閾値)よりも大きいか否か」により区分しているから、この点でも両者に違いがある。 次に、上記フィルム検出部のb(ii)の要件(以下「要件b(ii)」ともいう)について、当該要件は、上記の生成された所定のパターンを「フィルム映像のパターンと比較して、前記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断する」というものであるところ、上記補間方式決定部も、前記のとおり、入力映像(入力インタレース信号Vin)がフィルム映像(テレシネ変換信号)であるかどうかを判断するものといえるが、この判断は、上記の生成されたパターンがテレシネ変換されたインタレース信号(フィルム映像)の特徴を示しているか否かを判断するというものであって〔上記要件ホ)参照〕、上記生成されたパターンを、上記要件b(ii)のように「フィルム映像のパターンと比較して」判断しているとまではいえない。 しかしながら、いずれにしても、両者は、上記所定のパターンに基づいて、上記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判定している点では共通している。 c 「補間部」についての対比 補正後発明での「補間部」は、 「前記入力映像がフィルム映像である場合、前記フィールドセレクト部で選ばれたフィールドを用いて前記第2のフィールドを補間する」 ものであるが、引用発明でも、入力インタレース信号Vin(入力映像)がテレシネ変換信号(フィルム映像)である場合、フィールド間補間を行い(上記b1の認定)、このフィールド間補間では、プログレッシブ信号生成部20が、上記第1のスイッチ12で選択された入力インタレース信号Vinまたは2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2で1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1を補間している(補間によりプログレッシブ信号を生成している)ところ、上記「第1のスイッチ12で選択された入力インタレース信号Vinまたは2フィールド遅延入力インタレース信号Vd2」が前記フィールドセレクト部で選ばれたフィールド(第1または第3のフィールド)であること、上記「1フィールド遅延入力インタレース信号Vd1」が上記「第2のフィールド」に相当するものであることは、前記a.で認定したとおりであるから、結局、上記「プログレッシブ信号生成部20」は、上記「補間部」に相当し、これと同じく「前記入力映像がフィルム映像である場合、前記フィールドセレクト部で選ばれたフィールドを用いて前記第2のフィールドを補間する」ものといえる。 d 「フィールド選択が可能な映像処理装置」について 引用発明の「映像信号処理装置」も、上記のとおり、フィールドセレクト部による第1または第3のフィールドの選択を行うことが可能なものであり、したがって、補正後発明の「フィールド選択が可能な映像処理装置」といえるものである。 (エ)一致点、相違点 上記(ウ)での対比結果によれば、補の正後発明と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 入力映像のうち連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドについて、前記第2のフィールドに対する前記第1のフィールドと前記第3のフィールドのフィールド情報の近似性を判別し、前記第1のフィールドと前記第3のフィールドから現フィールドである前記第2のフィールドの補間時に用いるフィールドを選ぶフィールドセレクト部と; フィールド間のフィールド情報の差値を臨界値により区分して、所定のパターンを生成し、該生成された所定のパターンに基づいて、前記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断するフィルム検出部;及び 前記入力映像がフィルム映像である場合、前記フィールドセレクト部で選ばれたフィールドを用いて前記第2のフィールドを補間する補間部と; を含むことを特徴とするフィールド選択が可能な映像処理装置。 [相違点] (相違点1) 上記フィールドセレクト部における、上記第2のフィールドに対する第1のフィールドと第3のフィールドのフィールド情報の近似性を利用した選択が、補正後発明では、「上記第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値に基づく」選択であるのに対し、引用発明では、「上記第2のフィールドが奇数フィールドであるか偶数フィールドであるかの検出結果を示すフィールド識別信号Doe」に基づく選択である点。 (相違点2) 上記フィルム検出部において、フィールド間のフィールド情報の差値を臨界値により区分して、所定のパターンを生成する上で、 補正後発明では、「前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値」を上記臨界値により区分して上記所定のパターンを生成しているのに対し、引用発明では、“上記第2のフィールドと第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値を上記臨界値により区分し、第1,第2のレジスタ85,86を用いて、連続する2つのフィールド間差異の関係の所定のパターンとしている点。 (相違点3) 上記差値の臨界値による区分が、補正後発明では「差値が所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合を区分」するものであるのに対し、引用発明では、「差値が臨界値よりも大きいか否かにより区分」するものである点。 (相違点4) 上記フィルム検出部において、上記生成された所定のパターンに基づいて、上記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断する上で、補正後発明では、上記生成されたパターンを「フィルム映像のパターンと比較して」いるのに対し、引用発明では、上記パターンがフィルム映像の特徴を示しているか否かを判断するとしているだけで、上記パターンを特に「フィルム映像のパターンと比較する」とはしていない点。 (オ)判断 以下、上記相違点1?4について検討する。 a 相違点1について (a)引用例2 原査定の拒絶理由に引用された特開2002-247529号公報(以下、引用例2という)には、図面とともに次の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、飛び越し走査された映像信号を、順次走査映像信号に変換する装置に関する。」 「【0005】順次走査変換は、主に動き適応処理がおこなわれるが、入力映像信号が2-3プルダウンによりフレームレート変換された信号の場合は、2-3プルダウン位相に応じた順次走査変換により良好な画質を得ることができる。2-3プルダウン位相を検出して順次走査変換する方法は、米国特許4982280号に記載されている。これは、2-3プルダウンの場合、5フィールド周期ですべての画素のフィールド差分がゼロになるという特徴があるので、この特徴を検出することによりプルダウン位相を推定し、フィールド単位で、補間信号に導く映像信号を切り替えるという方法である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】前記従来の方法では、2-3プルダウン信号であるか否かを、5フィールドおきに判定するため、判定タイミングの5フィールド周期の間に2-3プルダウン位相がずれたり、2-3プルダウン信号でなくなったりした場合、次の判定タイミングまでの間、まちがった補間信号を用いて順次走査変換してしまい、画質を劣化させるという問題があった。 【0007】本発明は、2-3プルダウン位相がずれたり、2-3プルダウンとそれ以外の信号が混在した場合においても画質劣化なく順次走査変換する装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明に係る順次走査変換装置は、飛び越し走査映像信号の現入力信号と、縦続接続される3つのフィールド遅延手段と、同一コマフィールド判定手段と、セレクタ手段により構成され、現入力信号と、フィールド遅延手段により出力される1フィールド遅延信号、2フィールド遅延信号を同一コマフィールド判定手段に導き、フィールド遅延手段により出力される1フィールド遅延信号と、2フィールド遅延信号と3フィールド遅延信号をセレクタ手段に導き、上記同一コマフィールド判定手段において、1フィールド遅延信号の垂直方向に平坦な部分において現入力信号と1フィールド遅延信号のフィールド差分有りと判定された全画素数をカウントした結果と、2フィールド遅延信号と1フィールド遅延信号の差分有りと判定された全画素数ををカウントした結果を比較し、カウント値の少ないほうのフィールドを1フィールド遅延信号と同一コマフィールドと判定し、セレクタ手段では、2フィールド遅延信号に対する補間信号として、先のフィールドタイミングで、現入力信号と1フィールド遅延信号が同一コマフィールドと判定された場合は、2フィールド遅延信号を補間信号として選択し、2フィールド遅延信号と1フィールド遅延信号が同一コマフィールドと判定された場合は、3フィールド遅延信号を補間信号として選択し、現入力信号と2フィールド遅延信号のどちらも1フィールド遅延信号と同一コマフィールドではないと判定された場合は、動き適応補間手段の出力を補間信号として選択することで、2-3プルダウン位相がずれたり、2-3プルダウンとそれ以外の信号が混在した場合においても画質劣化なく順次走査変換する装置を提供するものである。」 上記引用例2の記載によると、当該記載には、飛び越し走査された映像信号を、順次走査映像信号に変換する装置において(段落【0001】)、入力映像が2-3プルダウンによりフレームレート変換された信号である場合の問題点(順次走査変換した画像の画質劣化)の解決のために(段落【0005】)?【0007】、「現入力信号と、フィールド遅延手段により出力される1フィールド遅延信号、2フィールド遅延信号を同一コマフィールド判定手段に導き、フィールド遅延手段により出力される1フィールド遅延信号と、2フィールド遅延信号と3フィールド遅延信号をセレクタ手段に導き、上記同一コマフィールド判定手段において、」「現入力信号と1フィールド遅延信号のフィールド差分有りと判定された全画素数をカウントした結果と、2フィールド遅延信号と1フィールド遅延信号の差分有りと判定された全画素数ををカウントした結果を比較し、カウント値の少ないほうのフィールドを1フィールド遅延信号と同一コマフィールドと判定し、セレクタ手段では、2フィールド遅延信号に対する補間信号として、先のフィールドタイミングで、現入力信号と1フィールド遅延信号が同一コマフィールドと判定された場合は、2フィールド遅延信号を補間信号として選択し、2フィールド遅延信号と1フィールド遅延信号が同一コマフィールドと判定された場合は、3フィールド遅延信号を補間信号として選択」するようにする(段落【0008】)ことが開示されている。 なお、引用例2の上記記載では、「現入力信号と1フィールド遅延信号が同一コマフィールドと判定された場合」に選択される補間信号を「2フィールド遅延信号」としているが、この点は、上記補間信号が「2フィールド遅延信号に対する補間信号」であることと矛盾し、また、引用例2記載の実施形態(段落【0018】等)では、「1フィールド遅延信号C(t)」としていることからみて、「1フィールド遅延信号」の誤記と認め、以下においては「1フィールド遅延信号」であるとする。 (b)補正後発明との対応 引用例2が開示する上記補間信号の選択は、その選択手法についてみると、「現入力信号と1フィールド遅延信号のフィールド差分有りと判定された全画素数をカウントした結果と、2フィールド遅延信号と1フィールド遅延信号の差分有りと判定された全画素数ををカウントした結果を比較し、カウント値の少ないほうのフィールドを1フィールド遅延信号と同一コマフィールドと判定」して選択するものであるところ、上記「2フィールド遅延信号」、「1フィールド遅延信号」、「現フィールド信号」は、補正後発明での「連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び第3のフィールド」といえるもので、また上記選択は、上記第2のフィールドに対する第1,第3のフィールドのフィールド情報の近似性を利用して選択しているといえるものである。したがって、上記判定は、上記相違点(i)に係る補正後発明の「上記第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値に基づく」近似性を利用した選択を開示するものである。 なお、引用例2での上記補間信号の選択では、上記判定の結果に応じて、「2フィールド遅延信号に対する補間信号として、」「現入力信号と1フィールド遅延信号が同一コマフィールドと判定された場合は、1フィールド遅延信号を補間信号として選択し、2フィールド遅延信号と1フィールド遅延信号が同一コマフィールドと判定された場合は、3フィールド遅延信号を補間信号として選択」しているが、この点は、上記判定が(補間信号の選択よりも)「先のフィールドタイミングで」なされていることに照らすと、要は、上記判定から1フィールド遅れで上記1フィールド遅延信号に対する現フィールドまたは2フィールド遅延信号の選択がなされるというに他ならず、結局、上記第2のフィールドに対して第1または第3のフィールドを選択しているのであるから、この点では、上記引用発明や補正後発明と同じである。 (c)引用発明への適用の想到容易性 そうすると、引用発明に対する補正後発明の上記相違点(i)は、上記フィールド情報の近似性を利用した選択手法として、引用発明における前記「フィールド識別情報Doeに基づく」選択手法(以下「引用発明の選択手法」ともいう)に代え、上記引用例2が開示する選択手法(以下「引用例2の判別手法」ともいう)を適用したというものであるので、以下、そのような適用の想到容易性について判断する。 上記引用発明の選択手法は、前記したとおり、入力映像が2-2プルダウン方式のテレシネ変換信号であることを前提とするものであるのに対し、上記引用例2の選択手法は、上記のとおり、入力映像が2-3プルダウンによりフレームレート変換された信号(2-3プルダウン方式のテレシネ変換信号)である場合のものであるが、これら2-2プルダウン方式のテレシネ変換信号(以下「2-2プルダウン信号」ともいう)や2-3プルダウン方式のテレシネ変換信号(以下「2-3プルダウン信号」ともいう)は、いずれも周知の映像信号であって、変換後の形式(PAL、NTSC等)に対応させて選択的に用いられているのであるとともに、引用例1でも2-3プルダウン方式、NTSCの示唆があることから、引用発明においても、その入力映像を2-3プルダウン方式のテレシネ変換信号とし、当該信号に対する選択手法として、上記引用発明の選択手法に代え、上記引用例2の選択手法を適用することは、当業者には容易に想到されるというべき事項である。 また、上記引用例2の選択手法は、その技術的意義についてみると、補間用フィールド(補間するフィールドと近似するフィールド)を選択する上で、従来では、2-3プルダウン信号のプルダウン位相(5フィールド周期で変化する2-3プルダウン信号の変化位相)を推定し、推定したプルダウン位相に応じた補間用フィールドの選択がなされているが、このような従来の選択方法では、推定したプルダウン位相に対し実際のプルダウン位相がずれたり、あるいは2-3プルダウン信号とそれ以外の信号が混在するような場合、適切な補間用フィールドの選択ができないという問題があるので、その点を解決したというものであるところ(引用例2の前掲【0005】?【0007】の記載参照)、プルダウン信号を扱う引用発明でも、上記フィールド情報の近似性を利用した選択(判別結果に応じた補間用フィールドの選択)は、上記のとおり「第2のフィールドが奇数フィールドであるか偶数フィールドであるかの検出結果を示すフィールド識別情報Doe」に基づくもの、すなわち上記「推定したプルダウン位相」に応じた判別(近似性を実測しない判別)であるから、引用例2と同様の問題があり、その解決の必要性があることは当業者において容易に予測されることである。 そうすると、引用発明において、上記フィールド識別情報Doeに基づく選択手法に代え、上記引用例2の選択手法を適用することも当業者が容易に想到し得るというべき事項である。 b 相違点2について 補正後発明での「前記第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値」は、実施例からみて、第1,第2のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値と、第2,第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値をいうものと認められ、そうすると、この「前記第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値」から生成したパターンは、連続する2つのフィールド間差異のパターンであるといえる。 引用発明において第2,第3のフィールドのフィールド間の差値から、第1,第2のレジスタ85,86を用いて所定のパターンとすることは、第2,第3のフィールドのフィールド間の差値に対して第1,第2のレジスタ85,86を用いて遅延を行うことで、第1,第2のレジスタ85,86の部分において、遅延された1つ前の第1,第2のフィールドのフィールド間の差値と第2,第3のフィールドのフィールド間の差値に基づくパターンを生成することといえ、引用発明のパターンが上記補正後発明で「前記第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値」から生成したパターンと同じである連続する2つのフィールド間差異のパターンであることは、当業者が容易に理解できることである。 連続する2つのフィールド間差異のパターンを得るために、連続する2つのフィールド間差異を得る手段として、その2つの差異の元となる連続した3つのフィールドを用いてそれら連続した3つのフィールドの差から連続する2つのフィールド間差異を得るものは、ごく自然に考えられ、普通に成すものといえるから、引用発明で、第2,第3のフィールドのフィールド間の差値、すなわち、2つのフィールド間の差値から、第1,第2のレジスタ85,86を用いてパターンを生成することに代えて、3つのフィールド、すなわち、第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドの差値からパターンを生成することは、当業者が容易に想到できることといえる。 したがって、上記フィルム検出部において、フィールド間のフィールド情報の差値を臨界値により区分して、所定のパターンを生成する上で、引用発明で“上記第2のフィールドと第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値を上記臨界値により区分し、第1,第2のレジスタ85,86を用いて、連続する2つのフィールド間差異の関係の所定のパターンとすることに代えて、「前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値」を上記臨界値により区分して上記所定のパターンを生成するようにして、補正後発明の相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できることといえる。 また、引用発明では、補間データを選択するため、図10にフィールドメモリ2,4を設け、前記第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのデータを得る構成を有することからも、図11の1つのフィールドメモリと第1,第2のレジスタ85,86での遅延との仕組みに代えて、2つのフィールドメモリを用いて第1,第2のレジスタ85,86での遅延を行わず、「第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値」を用いる構成とすることが、設計変更として容易に想到できることということができる。 よって、引用発明に対する補正後発明の上記相違点2に係る構成は当業者が容易に想到し得るというべき事項である。 なお、引用発明において、入力映像を、上記a (c)で述べたように、2-2プルダウン信号ではなく、2-3プルダウン信号とした場合には、上記2つのパターンとして、2-3プルダウン信号に応じたパターンが得られることになるから、そのパターンに基づいて適宜入力映像がフィルム映像であるかどうかの判断がなされるべきことは当然である。 c 相違点3について 引用発明で、差値を「所定の臨界値より大きいか否かにより区分」することは「差値>臨界値、差値<=臨界値」といえるところ、補正後発明の「所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合を区分」は「差値>=臨界値、差値<臨界値」を表現するといえ、差値=臨界値の判断が異なるといえる。 一般にある値を閾値(臨界値)により区分する際、値=閾値の場合をいずれに区分するかは、適宜に設定できるものといえるところ、補正後発明、引用発明ともに、フィールドの画像の違いについて、とても大きいか、およそ似ているかを判別するための臨界値であって、臨界値に一致する点を意識して区別する技術とはいえないから、差値=臨界値の判断をいずれにするかは、適宜に設計しうるものと認められ、引用発明の判断を「差値>=臨界値、差値<臨界値」として、「差値が所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合を区分」するとすることは、当業者が容易に想到できることといえる。 d 相違点4について 引用発明では、上記生成された所定のパターンに基づいて、入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断する上で、「上記パターンがフィルム映像の特徴を示している否か」を判断しているが、この判断は、フィルム映像にはその特徴となるパターンがあることを前提とし、その特徴となるパターンとなるかどうかを調べているといえ、特徴となるパターンとなるかどうかを調べる手法として、特徴となるパターンと比較するという手法は、容易に想到できるとこと認められるから、引用発明において、「フィルム映像のパターンと比較する」構成として、補正後発明の相違点4に係る構成とすることは当業者が容易に想到できることである。 e まとめ 以上のように、補正後発明の上記相違点1?4に係る構成は、いずれも当業者が容易に想到し得るものであり、また、そのような構成とすれば、補正後発明の効果を奏することも当業者が容易に予測し得ることである。 したがって、補正後発明は、上記引用例1に記載された発明および引用例2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものいえ、補正後発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 ウ むすび 以上のとおり、補正後発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 3 査定の当否 (1)本願発明 平成21年6月29日付けの手続補正は上記のとおり却下したので、本件出願に係る発明は、平成19年10月30日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1から請求項13までの各請求項に係る発明であるところ、請求項1に係る発明(以下、本願発明という)は、次のとおりのもの である。 [本願発明] 入力映像のうち連続して入力される第1のフィールド、第2のフィールド、及び、第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値に基づき、前記第1のフィールドと前記第3のフィールドから現フィールドである前記第2のフィールドの補間時に用いるフィールドを選ぶフィールドセレクト部と; 前記第1のフィールド、前記第2のフィールド、及び、前記第3のフィールドのフィールド間のフィールド情報の差値に基づいて所定のパターンを生成し、該生成された所定のパターンを用いて前記入力映像がフィルム映像であるかどうかを判断するフィルム検出部;及び 前記入力映像がフィルム映像である場合、前記フィールドセレクト部で選ばれたフィールドを用いて前記第2のフィールドを補間する補間部と; を含むことを特徴とするフィールド選択が可能な映像処理装置。 (2)原査定の理由 原査定の理由は、拒絶理由通知書に記載した理由B(36条4項1号)および理由C(29条2項)により本願を拒絶するというものであるところ、上記理由Cは、概要、本願発明は下記の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとするものである。 記 刊行物1:国際公開03/084227 刊行物2:特開2002-247529号公報 (3)刊行物1,刊行物2の記載 上記刊行物1,刊行物2は、前記2 の補正却下の決定で引用した引用例1,引用例2であり、刊行物1の記載(その記載技術)は、前記2 (2)イ (イ)のa、bに、刊行物2の記載は、前記2 (2)イ (オ)a(a)に記載したとおりである。 (4)判断 本願発明は、前記補正後発明との対応でみると、フィールド情報の差値からの所定パターンの生成について、補正後発明での、フィールド情報の差値が「所定の臨界値以上である場合及び所定臨界値より小さい場合を区分して」生成するとの限定がなく、単にフィールド情報の差値に「基づいて」生成するとし、また、入力映像がフィルム映像であるかどうかの判断について、補正後発明での、所定のパターンを「フィルム映像のパターンと比較して」判断するとの限定がなく、単に所定のパターンを「用いて」判断するとするものであって、その余の点では補正後発明と同じである。〔前記2 (1)参照〕 然るに、本願発明において、補正後発明での上記限定に係る事項が特に排除されているわけではなく、本願発明が上記限定に係る事項を有するものでよいことは明細書の記載に照らし明らかであり、そうすると、本願発明は、上記補正後発明に対する前記認定、判断に係る理由と同じ理由により、上記刊行物1に記載された発明および刊行物2に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおりであるから、本件出願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それ故、本件出願の他の請求項2から13に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-05-24 |
結審通知日 | 2011-05-31 |
審決日 | 2011-06-14 |
出願番号 | 特願2005-294085(P2005-294085) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N) P 1 8・ 575- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 古市 徹、石川 亮 |
特許庁審判長 |
奥村 元宏 |
特許庁審判官 |
梅本 達雄 乾 雅浩 |
発明の名称 | フィールド選択が可能な映像処理装置及びその方法 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠彦 |